JP7036651B2 - 溶接方法 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係るレーザ溶接に使用されるレーザ溶接装置1を示す概略構成図である。この図1に示すように、レーザ溶接装置1は、レーザ発振器2、レーザスキャナ3、溶接ロボット4、および、ロボットコントローラ5を備えている。
次に、本実施形態の特徴である溶接方法について説明する。本実施形態では、鉛直方向で重ね合わされた2枚の金属板W1,W2の重ね隅肉溶接を行う場合であって、この金属板W1,W2の重ね合わせ部分(重ね隅肉部分)に対して、前記レーザスキャナ3より出射されるレーザ光を上方から照射する場合について説明する。このため、以下では、上側の金属板を上板W1と呼び、下側の金属板を下板W2と呼ぶこととする。
部分溶接工程では、各金属板W1,W2における溶接線Lに沿う方向に亘って所定間隔を存した複数箇所(図3では6箇所)それぞれにレーザ光を照射し(図3の一点鎖線を参照)各箇所を溶融させて各金属板W1,W2同士を部分的に接合させる。
図5は部分溶接工程での溶接順序と部分溶接工程終了後の板隙との関係を求めるために行った実験結果を示す図である。この図5の上段に示す各金属板W1,W2に付した数字は、複数(6箇所)の溶接箇所それぞれにおける溶接順序を表している。つまり、この実験では3種類の溶接順序で実験を行っている。この3種類の溶接順序のうち第1の溶接順序としては図中の右側から左側に向けて等間隔寸法で順に溶接を行ったものである。その場合の結果(部分溶接工程終了後の板隙)を図5の下段の△で示している。第2の溶接順序としては図中の中央側(内側)から順次外側に亘って等間隔寸法で溶接を行ったものである。その場合の結果を図5の下段の□で示している。第3の溶接順序としては図中の外側から順次中央側(内側)に亘って等間隔寸法で溶接を行ったものである。その結果を図5の下段の○で示している。
図6は部分溶接工程での溶接点数と部分溶接工程終了後の板隙との関係を求めるために行った実験結果を示す図である。この実験では、溶接点数を1点、2点、3点、4点、5点、6点それぞれに設定した場合についての部分溶接工程終了後の板隙を計測して行った。溶接点数が1点の場合には、前記溶接線Lに沿う方向の略中央部分を溶接箇所とした。また、溶接点数が複数点の場合には、前記溶接線Lに沿う方向に亘って等間隔寸法を存した箇所を溶接箇所とした。
図7は部分溶接工程での溶接長さと部分溶接工程終了後の板隙との関係を求めるために行った実験結果を示す図である。この実験では、溶接長さを2mm、3mm、6mmそれぞれに設定した場合についての部分溶接工程終了後の板隙を計測して行った。また、溶接順序としては前述したように外側から順次中央側(内側)に亘って等間隔寸法で溶接を行うものとした。
図8および図9は部分溶接工程での溶接時間間隔と部分溶接工程終了後の板隙との関係を求めるために行った実験結果を示す図である。この実験では、溶接時間間隔を0秒間隔、0.2秒間隔、2秒間隔それぞれに設定した場合についての部分溶接工程終了後の板隙を計測して行った。また、図8に示すものは溶接順序として外側から順次中央側(内側)に亘って等間隔寸法で溶接を行ったものであり、図9に示すものは溶接順序として図中の右側から左側に向けて順に等間隔寸法で溶接を行ったものである。
図10は部分溶接工程での上板W1の板厚寸法と部分溶接工程終了後の板隙との関係を求めるための実験結果を示す図である。この実験では、上板W1の板厚寸法を1.2mmに設定した場合および1.0mmに設定した場合それぞれについての部分溶接工程終了後の板隙を計測して行った。また、溶接順序としては前述したように外側から順次中央側(内側)に亘って等間隔寸法で溶接を行うものとした。
次に、本溶接工程について説明する。本溶接工程は、前述したように、部分溶接工程の終了後、該部分溶接工程で溶融した金属(溶融金属)が硬化した後に行われるものであって、前記接合領域の全体に亘って順にレーザ光を照射していくことで、この接合領域の全体を溶融させて各金属板W1,W2同士を接合させるものである。
以上説明したように、本実施形態では、部分溶接工程において、複数枚の金属板W1,W2における接合領域内の少なくとも1箇所にレーザ光を照射し該箇所を溶融させて各金属板W1,W2同士を部分的に接合させている。そして、この際、溶融金属が凝固するときの収縮によって各金属板W1,W2同士の間の隙間(板隙)を小さくしている。そして、この部分溶接工程の終了後、所定時間経過後に本溶接工程を行っている。この本溶接工程では、前記部分溶接工程によって接合領域における板隙は小さくなっているので、本溶接工程での溶融金属の量が比較的少なくても、この板隙に溶融金属が十分に入り込み各金属板W1,W2に亘って溶融金属が架橋されることで各金属板W1,W2が良好に接合されることになる。このように本実施形態では、本溶接工程の開始前における接合領域の板隙は小さくなっているため、各金属板W1,W2に亘って溶融金属を架橋させるための溶融金属量が得られる溶接条件の選定が容易である。つまり、溶接条件の選定の煩雑化を抑制でき、溶接動作を容易に行うことが可能になる。
次に、変形例1について説明する。本変形例は、部分溶接工程での溶接箇所および溶接順序が前記実施形態のものと異なっている。従って、ここでは、部分溶接工程での溶接箇所および溶接順序についてのみ説明する。
次に、参考例1について説明する。本参考例は、2枚の金属板(上板W1および下板W2)が重ね合わされて成るワークWを重ね合わせ溶接する場合に本発明を適用したものである。
る。ここで使用されるレーザ溶接方法としてはレーザスクリューウェルディング(LSW)が挙げられる。つまり、ワークWの溶接箇所の中心位置の周囲の全周に亘ってレーザ光を走査していき、この溶接箇所を溶融させることで溶接を行うものである。この際にも、前記実施形態の場合と同様に、溶融金属が凝固するときの収縮によって各金属板W1,W2同士の間の隙間(板隙)が小さくなる。つまり、接合領域における板隙が小さくなる。
次に、参考例2について説明する。本参考例も、2枚の金属板(上板W1および下板W2)が重ね合わされて成るワークWを重ね合わせ溶接する場合に本発明を適用したものである。
尚、本発明は、前記実施形態および前記変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
W ワーク
W1 上板(金属板)
W2 下板(金属板)
Claims (8)
- 鉛直方向で重ね合わされた金属板で成る上板と下板との重ね隅肉部分に対して上方からレーザ光を照射して重ね隅肉溶接を行う溶接方法であって、
前記上板の先端面と前記下板の上面との重ね合わせ部分である溶接線に沿う方向に延在された接合領域内において前記溶接線に沿う方向に亘って所定間隔を存した複数箇所それぞれに前記レーザ光を照射することで溶融させて前記上板の先端面と前記下板の上面とを部分的に接合させる部分溶接工程と、
前記部分溶接工程の終了後、所定時間経過後に前記溶接線を跨ぐように前記レーザ光の照射位置を移動させるレーザウォブリング溶接を行って前記接合領域の全体を溶融させて各金属板同士を接合させる本溶接工程と、を行うことを特徴とする溶接方法。 - 請求項1記載の溶接方法において、
前記部分溶接工程では、前記溶接線上の複数の溶接箇所に対し、外側に位置する溶接箇所から内側に位置する溶接箇所に亘って順に溶接を行うことを特徴とする溶接方法。 - 請求項1または2記載の溶接方法において、
前記部分溶接工程での各溶接箇所の数は、前記溶接線に沿う方向に亘って等間隔寸法を存した箇所を溶接箇所とした場合に、前記溶接線に沿う方向において各金属板上で略10mm当たり1箇所となる数に設定されていることを特徴とする溶接方法。 - 請求項1、2または3記載の溶接方法において、
前記部分溶接工程での各溶接箇所におけるそれぞれの溶接長さは略3mmに設定されていることを特徴とする溶接方法。 - 請求項1~4のうち何れか一つに記載の溶接方法において、
前記部分溶接工程での溶接時間間隔としては略0.2秒間隔に設定されていることを特徴とする溶接方法。 - 請求項1~5のうち何れか一つに記載の溶接方法において、
前記上板の板厚寸法は前記下板の板厚寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする溶接方法。 - 請求項1~6のうち何れか一つに記載の溶接方法において、
前記本溶接工程は、
前記レーザ光の照射位置を、前記各金属板の重ね合わせ部分である溶接線を跨ぐように円形または楕円形の軌跡に沿って移動させながら、その軌跡における円形または楕円形の中心を前記溶接線に沿う方向に移動させていくようにし、
前記レーザ光の照射位置の前記円形または前記楕円形の軌跡に沿う移動方向が、前記溶接線に沿う方向において既に前記レーザ光が通過した範囲よりも下流側であって前記各金属板の未溶融部分を前記レーザ光が通過する際に、前記上板に前記レーザ光が照射された後、前記下板に前記レーザ光が照射される方向に規定されていることを特徴とする溶接方法。 - 請求項1記載の溶接方法において、
前記部分溶接工程では、前記溶接線上の複数の溶接箇所に対し、外側に位置する溶接箇所から内側に位置する溶接箇所に亘って順に溶接を行った後、最も外側に位置する溶接箇所とその溶接箇所に隣り合って内側に位置する溶接箇所との間に溶接を行うことを特徴とする溶接方法。
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