以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。ただし、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態による液晶表示装置10について説明する。まず、液晶表示装置10の全体的な構成について説明する。図1は、液晶表示装置10の全体構成を示すブロック図である。液晶表示装置10は、液晶パネル100と、信号処理部400とを有する。
液晶パネル100は、素子基板110と、対向基板150と、液晶層170とを有する。素子基板110と対向基板150とは一定の間隙を保って貼り合わせられ、液晶層170は素子基板110と対向基板150との間に挟持されている。液晶パネル100の表示領域101内に、複数の画素102が、水平方向(X方向)と垂直方向(Y方向)とに配列されている。画素102の、X方向に並んだ配列を行と呼び、Y方向に並んだ配列を列と呼ぶこととする。
素子基板110は、画素電極120と、薄膜トランジスター(TFT)130と、走査線141と、データ線142とを有する。画素電極120とTFT130とは、画素102ごとに設けられている。各画素電極120は、透光性の導電材料で形成され、X方向に延びる一対の辺とY方向に延びる一対の辺とを有する矩形状である。
走査線141は、画素102の行ごとに設けられ、画素102の隣接する行と行の間に配置され、行方向に(X方向に)延び、遮光性の導電材料で形成された配線である。データ線142は、画素102の列ごとに設けられ、画素102の隣接する列と列の間に配置され、列方向に(Y方向に)延び、遮光性の導電材料で形成された配線である。各TFT130において、ゲート電極は、走査線141と電気的に接続され、ソース電極は、データ線142と電気的に接続され、ドレイン電極は、画素電極120と電気的に接続されている。
対向基板150は、共通電極160を有する。共通電極160は、透光性の導電材料で形成され、対向基板150の全面に亘って形成されている。共通電極160には、電圧LCcomが印加される。本例では、電圧LCcomを0Vとする。液晶層170は、正または負の誘電異方性を有する液晶で形成されている。液晶パネル100は、例えば、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードで動作する。液晶の配向方位を制御するために、素子基板110および対向基板150のそれぞれに、配向膜が形成されている。液晶パネル100は、素子基板110の外側に配置された偏光板と、対向基板150の外側に配置された偏光板とに挟まれた状態で、表示装置として使用される。
信号処理部400は、制御部200と、駆動部300とを有する。以下説明するように、信号処理部400は、入力画像信号(以下、画像信号とも呼ぶ)Viaに基づいて、複数の画素電極120に電圧を印加する。制御部200には、上位装置から画像信号Viaが同期信号Syncに同期して供給される。画像信号Viaは、液晶パネル100における各画素102の階調レベルをそれぞれ指定するデジタルデータであり、同期信号Syncに含まれる垂直走査信号、水平走査信号およびドットクロック信号にしたがった走査の順番で供給される。画像信号Viaは階調レベルを指定するが、階調レベルに応じて各画素102の画素電極120への印加電圧が定まるので、画像信号Viaは、画素電極120への印加電圧を指定する信号と捉えてもよい。
制御部200は、走査制御回路210と、画像処理回路220とを有する。走査制御回路210は、各種の制御信号を生成するとともに、同期信号Syncに同期して各部を制御する。画像処理回路220は、デジタルの画像信号Viaを処理して、アナログの画像信号Vxを出力する。また、画像処理回路220は、画像信号Viaを補正する。画像処理回路220について、詳細は後述する。
駆動部300は、走査線駆動回路310と、データ線駆動回路320とを有する。走査線駆動回路310は、走査制御回路210から与えられる制御信号Yctrにしたがって、走査線141に、走査信号Y1、Y2、Y3、・・・、Ymを供給する。データ線駆動回路320は、走査制御回路210から与えられる制御信号Xctrにしたがって、データ線142に、データ信号X1、X2、X3、・・・、Xnを供給する。データ信号X1、X2、X3、・・・、Xnは、画像処理回路220から供給される画像信号Vxに基づいて生成される。
走査信号Y1、Y2、Y3、・・・、Ymに応じて、所定のタイミングでTFT130がオン状態にされることで、データ信号X1、X2、X3、・・・、Xnは、画素電極120に書き込まれる。つまり、画素電極120に、データ信号に対応する電圧が印加される。書き込まれたデータ信号は、画素電極120と共通電極160との間に形成される液晶容量で所定期間保持される。なお、書き込まれたデータ信号のリークを抑制するために、各画素102に蓄積容量が設けられていてもよい。
このように、各画素102において、画素電極120に電圧が印加され、印加された電圧レベルに応じて液晶層170の配向状態が変化することで、液晶層170に入射した光が変調されて、階調表示が可能となる。
次に、液晶パネル100の構造の詳細について説明する。また併せて、液晶層170に生じるリバースチルトドメインについて説明する。以下、ノーマリーブラックモードでの動作について説明する。図2は、画素102の配列を示す概略的な平面図である。画素電極120の表面に対して垂直な方向、または、共通電極160の表面に対して垂直な方向から液晶パネル100を見ることを、平面視と称する。
図2は、画素P0と、画素P0に対してX方向の一方側(紙面右側)に並んだ画素PR1と、画素P0に対してX方向の他方側(紙面左側)に並んだ画素PL1と、画素P0に対してY方向の一方側(紙面下側)に並んだ画素PD1と、画素P0に対してY方向の他方側(紙面上側)に並んだ画素PU1とを示す。画素P0、PR1、PL1、PD1およびPU1のそれぞれに、画素電極E0、ER1、EL1、ED1およびEU1が設けられている。画素P0、PR1、PL1、PD1およびPU1の輪郭を二点鎖線で示し、画素電極E0、ER1、EL1、ED1およびEU1の輪郭を破線で示す。
図2に示す例において、画素P0は、表現可能な最も大きい階調レベルで表示されている。つまり、画素電極E0に、印加可能な最も大きい電圧(例えば5V)が印加されている。また、残りの他の画素PR1、PL1、PD1およびPU1は、表現可能な最も小さい階調レベルで表示されている。つまり、画素電極ER1、EL1、ED1およびEU1に、印加可能な最も小さい電圧(例えば0V)が印加されている。なお、表現可能な最も大きい階調レベルに対応する印加電圧は、液晶表示装置10の動作モードによって異なってよい。例えば、ある動作モードで表現可能な最も大きい階調レベルに対応する印加電圧は5Vであり、他の動作モードで表現可能な最も大きい階調レベルに対応する印加電圧は4Vであってよい。
液晶表示装置に係る技術において、隣接する画素電極間で印加電圧の差(横電界)が大きくなることに起因して、隣接する辺に概ね沿う形状で、液晶の配向が乱れた領域であるリバースチルトドメイン(以下、ドメインとも呼ぶ)が発生することが知られている。ただし、横電界の大きさが同じであっても、ある向きに隣接する画素電極側にはドメインが発生しやすいが、それと反対向きに隣接する画素電極側にはドメインが発生しにくい、という傾向がある。なお、斜め方向に配置された画素電極間では、ドメインの発生は特に問題とならない。
図2の例は、画素電極E0と、画素電極E0にX方向で隣接する画素電極ER1およびEL1のそれぞれとの間で、同様に大きな横電界が生じているが、画素電極ER1側にはドメインRTXが発生し、画素電極EL1側にはドメインが発生していない状況を示す。また、図2の例は、画素電極E0と、画素電極E0にY方向で隣接する画素電極ED1およびEU1のそれぞれとの間で、同様に大きな横電界が生じているが、画素電極ED1側にはドメインRTYが発生し、画素電極EU1側にはドメインが発生していない状況を示す。ドメインRTX、RTYは、右上がりのハッチングを付して示す。ドメインRTX、RTYは、大きい階調レベルで表示された画素P0において、明るさが低下した領域として視認されやすい。
走査線141は、Y方向において相互に隣接する画素102同士の境界上に配置されており、Y方向に隣接する画素102のうち下側の画素102に設けられた画素電極120の上端部と、上側の画素102に設けられた画素電極120の下端部とに重なる幅で設けられている。データ線142は、X方向において相互に隣接する画素102同士の境界上に配置されており、X方向に隣接する画素102のうち右側の画素102に設けられた画素電極120の左端部と、左側の画素102に設けられた画素電極120の右端部とに重なる幅で設けられている。
走査線141は、画素電極120のX方向に延びる辺に沿ってX方向に延びた遮光膜を構成する。データ線142は、平面視において走査線141と交差し、画素電極120のY方向に延びる辺に沿ってY方向に延びた遮光膜を構成する。平面視において走査線141とデータ線142とに囲まれた、画素電極120の(画素102の)内部の領域は、光が透過する開口領域(透光領域)103となる。一方、平面視において走査線141またはデータ線142が設けられた領域は、画素102同士の境界部分において光が遮光される非開口領域(遮光領域)104となる。
図3は、図2における画素P0の近傍を拡大して示す概略的な平面図である。第1実施形態において、液晶パネル100が有する走査線141およびデータ線142は、データ線142の幅(X方向の寸法)wxと比べて、走査線141の幅(Y方向の寸法)wyが狭い態様で設けられている。
ドメインRTXは、X方向に隣接する画素電極E0と画素電極ER1との間に(画素電極E0、ER1の相互に対向する辺の近傍に)、画素電極E0のY方向に延びる辺に沿って発生している。ドメインRTXの幅(X方向の寸法)をdxとする。ドメインRTYは、Y方向に隣接する画素電極E0と画素電極ED1との間に(画素電極E0、ED1の相互に対向する辺の近傍に)、画素電極E0のX方向に延びる辺に沿って発生している。ドメインRTYの幅(Y方向の寸法)をdyとする。
液晶層170における液晶の配向方位171は、ドメインRTXが沿う画素電極E0の辺と、ドメインRTXが沿う画素電極E0の辺とがなす角を二等分する方向に沿い、X方向およびY方向のそれぞれと45°をなす。液晶の配向方位171が、X方向およびY方向のそれぞれと等しい角度(すなわち45°)をなすように設定されていることで、X方向に隣接する画素102間で生じるドメインRTXと、Y方向に隣接する画素102間で生じるドメインRTYとは同様な条件で発生して、ドメインRTXの幅dxとドメインRTYの幅dyとは等しくなる。
走査線141の幅wyがデータ線142の幅wxと比べて狭いことに起因して、ドメインRTYが画素P0の開口領域103内にはみ出す幅dyaは、ドメインRTXが画素P0の開口領域103内にはみ出す幅dxaと比べて広くなっている。このため、画素P0の開口領域103内において、ドメインRTXよりもドメインRTYの方が視認されやすい。
なお、以上の説明から理解されるように、図3の例とは逆に、走査線141およびデータ線142が、走査線141の幅wyと比べてデータ線142の幅wxが狭い態様で設けられている場合であれば、ドメインRTYよりもドメインRTXの方が視認されやすくなる。
つまり、相対的に幅の狭い方の(幅狭の)遮光膜(図3の例では走査線141)の近傍に発生するドメイン(図3の例ではドメインRTY)は、相対的に幅の広い方の(幅広の)遮光膜(図3の例ではデータ線142)の近傍に発生するドメイン(図3の例ではドメインRTX)と比べて視認されやすく、幅狭の遮光膜の幅方向(図3の例では、走査線141の幅方向であるY方向)は、幅広の遮光膜の幅方向(図3の例では、データ線142の幅方向であるX方向)と比べて、ドメイン(図3の例ではドメインRTY)が視認されやすい方向となる。
本実施形態による液晶表示装置10は、詳細は後述するように、画像処理回路220に入力される画像信号Viaを画像処理回路220により補正することで、ドメイン発生を抑制する。そして、この補正において、交差する遮光膜のうち幅狭の遮光膜の幅方向に対応する、ドメインが視認されやすい方向に対して、より強い補正を行うことで、幅狭の遮光膜の近傍に発生するドメインが視認されやすいという状況を抑制する。
次に、画像処理回路220について説明する。また併せて、画像処理回路220による画像信号Viaの補正の例について説明する。図4は、画像処理回路220の構成を例示するブロック図である。例示の画像処理回路220は、フレームメモリーコントローラー(FMC)230と、フレームメモリー(FM)231と、補正部240と、デジタルアナログ(D/A)変換器250とを有する。
画像信号Viaが、上位装置からFMC230に供給され、FMC230を介してFM231に記憶される。FM231に記憶された画像信号Viaは、FMC230を介して補正部240に供給される。
画像信号Viaは、補正部240によって補正される。そこで以下、補正部240に入力される画像信号Viaを補正前画像信号Viaと呼び、補正部240から出力される画像信号Vibを補正後画像信号Vibと呼ぶことがある。なお、補正前画像信号Viaは、後述の説明から理解されるように、ドメイン発生を抑制する必要に応じて補正される。したがって、補正前画像信号Viaは、ドメインを発生させない信号(後述のリスク境界検出部241で特定される画素電極120の組を含まない信号)である場合は、補正されなくてよい。補正前画像信号Viaが補正されない場合は、補正部240に入力される画像信号Viaである補正前画像信号Viaと、補正部240から出力される画像信号Vibである補正後画像信号Vibとは、一致していてよい。
補正前画像信号Viaは、各画素102の階調レベルを定めることにより、各画素102に設けられた画素電極120に印加すべき電圧を定める。ここで、ある画素電極120に「印加すべき電圧」とは、補正前画像信号Viaが指定するそのままの階調レベルに対応する印加電圧を示す。したがって、補正後画像信号Vibにおいて、当該画素電極120への印加電圧が補正されている場合、実際の印加電圧は、当該「印加すべき電圧」とは異なった値となる。
補正部240は、リスク境界検出部241と、補正量設定部242と、補正演算部243とを有する。リスク境界検出部241に、補正前画像信号Viaが供給される。リスク境界検出部241は、補正前画像信号Viaに基づいて、並んだ(隣接した)2つの画素電極120の各々に印加すべき電圧同士の差が所定値以上であってドメインが発生すると判定される画素電極120の組を特定する。つまり、特定された画素電極120の組に含まれる2つの画素電極120同士の境界、すなわち、これらの画素電極120に対応する画素102同士の境界が、ドメインの発生する境界(リスク境界)として検出される。
図4に加え図5も参照して、説明を続ける。図5は、画像信号Viaの補正の例1を示す、画素102の配列の概略的な平面図である。図5の左側部分に、補正前画像信号Viaに対応する印加電圧(つまり「印加すべき電圧」)を示し、図5の右側部分に、補正後画像信号Vibに対応する印加電圧を示す。各画素102内に、印加電圧をV単位で示す。
図5の左側部分に示すように、補正前画像信号Viaに対応する印加電圧は、図2に示した例と同様である。図5には、画素P0に対しX方向右側に配置された2つ隣の画素PR2および3つ隣の画素PR3と、画素P0に対しX方向左側に配置された2つ隣の画素PL2および3つ隣の画素PL3と、画素P0に対しY方向下側に配置された2つ隣の画素PD2および3つ隣の画素PD3と、画素P0に対しY方向上側に配置された2つ隣の画素PU2および3つ隣の画素PU3とを追加して示す。画素P0、PR1~PR3、PL1~PL3、PD1~PD3およびPU1~PU3のそれぞれに、画素電極E0、ER1~ER3、EL1~EL3、ED1~ED3およびEU1~EU3が設けられている。印加すべき電圧が5Vであり大きい階調レベルで表示される画素P0は、白抜きで示す。また、印加すべき電圧が0Vであり小さい階調レベルで表示される画素PR1~PR3、PL1~PL3、PD1~PD3およびPU1~PU3は、クロスハッチングを付して示す。
図5に示す例では、リスク境界検出部241によって、以下のような画素電極120の組が特定される。印加すべき電圧同士の差の所定値は、例えば4.0Vとする。並んだ2つの画素電極120の各々に印加すべき電圧同士の差が4.0V以上であってドメインが発生すると判定される画素電極120の組として、画素電極E0、ER1の組、および、画素電極E0、ED1の組の2組が特定される。画素電極E0、ER1の組のように、X方向に並ぶ画素電極120の組を、X方向の組と呼ぶこととし、画素電極E0、ED1の組のように、Y方向に並ぶ画素電極120の組を、Y方向の組と呼ぶこととする。
なお、画素電極E0、EL1の組、および、画素電極E0、EU1の組については、並んだ2つの画素電極120の各々に印加すべき電圧同士の差が4.0V以上であるが、図2を参照して説明したように、ドメインは発生しないと判定される。このため、画素電極E0、EL1の組、および、画素電極E0、EU1の組は、リスク境界検出部241で特定される画素電極120の組とはならない。なお、印加すべき電圧差(横電界)が大きい場合に、どのように並んだ画素電極120の組においてドメインが発生するかは、液晶層170に設定された配向方位により判定することができる。
リスク境界検出部241によって特定された画素電極120の組(以下単に、画素電極120の組と呼ぶことがある)を示すデータは、補正量設定部(算出部)242に入力される。補正量設定部242は、画素電極120の組における印加電圧の差が減少するように、当該画素電極120の組に含まれる2つの画素電極120への印加電圧の補正量を設定(算出)する。なお、補正量は、電圧値でなく階調レベルとして設定されてもよい。
補正量設定部242は、水平用設定部242xと、垂直用設定部242yとを有する。X方向(つまり水平方向)の組である画素電極120の組に対しては、水平用設定部242xにより補正量が設定される。Y方向(つまり垂直方向)の組である画素電極120の組に対しては、垂直用設定部242yにより補正量が設定される。
図5に示す例では、補正量設定部242によって、以下のような補正量が設定される。X方向の組である画素電極E0、ER1の組に対しては、水平用設定部242xにより補正量が設定される。印加すべき電圧が5Vである画素電極E0の補正量として-0.5Vが設定される。印加すべき電圧が0Vである画素電極ER1の補正量として+1.0Vが設定される。つまり、補正後の画素電極E0の印加電圧として4.5Vが設定され、補正後の画素電極ER1の印加電圧として1.0Vが設定される。したがって、画素電極E0、ER1間の印加電圧差は、補正前の5.0Vから補正後の3.5Vに減少し、補正による印加電圧差の減少量は、1.5Vとなる。
Y方向の組である画素電極E0、ED1の組に対しては、垂直用設定部242yにより補正量が設定される。印加すべき電圧が5Vである画素電極E0の補正量として-0.5Vが設定される。印加すべき電圧が0Vである画素電極ED1の補正量として+1.5Vが設定される。つまり、補正後の画素電極E0の印加電圧として4.5Vが設定され、補正後の画素電極ED1の印加電圧として1.5Vが設定される。したがって、画素電極E0、ED1間の印加電圧差は、補正前の5.0Vから補正後の3.0Vに減少し、補正による印加電圧差の減少量は、2.0Vとなる。
補正量設定部242によって設定された、画素電極120の組に対する補正量を示すデータが、補正演算部243に入力される。また、補正演算部243には、FMC230から補正前画像信号Viaが供給される。補正演算部243は、画素電極120の組に対する補正量を示すデータを用いて、補正前画像信号Viaを補正し、補正後画像信号Vibを生成する。補正後画像信号Vibは、D/A変換器250によりアナログの画像信号Vxに変換され、画像信号Vxは、駆動部300(データ線駆動回路320)に供給される。
図5に示す例では、補正量演算部243によって、以下のような補正後画像信号Vibが生成される。図5の右側部分に示すように、補正後画像信号Vibは、画素電極ER2、ER3、EL1~EL3、ED2、ED3およびEU1~EU3については、補正前画像信号Viaと同様に、0Vの印加電圧を示す信号である。つまり、これらの画素電極に対応する画素については、補正がされていない。また、補正後画像信号Vibは、画素電極E0、ER1およびED1については、上述のように補正前画像信号Viaから補正されて、それぞれ4.5V、1.0Vおよび1.5Vの印加電圧を示す信号となる。
以上説明したように、本実施形態では、画素電極E0、ER1およびED1の印加電圧を補正して、画素電極E0、ER1間の印加電圧差を1.5V減少させ、画素電極E0、ED1間の印加電圧差を2.0V減少させている。このように、特定された画素電極120の組における印加電圧の差が減少するよう、補正前画像信号Viaを補正して補正後画像信号Vibを生成し、補正後画像信号Vibにより液晶パネル100を駆動することで、ドメインの発生を抑制できる。
また、本実施形態では、画素電極E0、ER1の組における印加電圧差の減少量1.5Vと比べ、印加すべき電圧の差がこの組と等しい画素電極E0、ED1の組における印加電圧差の減少量を、2.0Vと大きくしている。つまり、特定された画素電極120の組に含まれる2つの画素電極120が、Y方向に並ぶ場合は、当該2つの画素電極120がX方向に並ぶとした場合に行われる補正と比べて、印加電圧の差の減少量が大きくなるように、強い補正を行っている。
これにより、視認されやすい方のドメインRTYの発生を、ドメインRTXの発生と比べて、より強く抑制することができる。つまり、ドメインRTYの幅dyをドメインRTXの幅dxと比べて狭くすることができる。したがって、幅狭の遮光膜である走査線141の近傍に発生するドメインRTYが視認されやすいという状況(Y方向においてドメインが視認されやすいという状況)を抑制できる。
また言い換えると、本実施形態では、特定された画素電極120の組に含まれる2つの画素電極120がX方向に並ぶ場合は、当該2つの画素電極120がY方向に並ぶとした場合に行われる補正と比べて、印加電圧の差の減少量が小さくなるように、補正を行っている。
これにより、データ線142の近傍に発生する、視認されにくい方のドメインRTXの発生を抑制するための印加電圧の補正量を、小さくすることができる。画素電極120への印加電圧が変化することに起因して、対応する画素102の表示状態(透過率)は変化する。したがって、表示品位を保つ観点からは、印加電圧の補正量は小さいこと(過剰とならないこと)が好ましい。このように、印加電圧の補正量を小さくすることで、補正に起因する表示状態の変化を抑制できる。
以下、補正前画像信号Viaの補正の他の例を説明する。まず、補正の例2について説明する。図6は、補正の例2を示す、画素102の配列の概略的な平面図である。補正前画像信号Viaに対応する印加電圧は、図5の左側部分に示すものと同様である。図6は、補正の例2における、補正後画像信号Vibに対応する印加電圧を示す。
補正の例1との違いについて説明する。補正の例1では、画素電極ED1の補正された印加電圧が1.5Vであったのに対し、補正の例2では、画素電極ED1の補正された印加電圧を1.7Vに増加させている。つまり、画素電極E0、ED1間の印加電圧差をさらに減少させることで、より強い補正を行っている。
また、補正の例1では、画素電極ED2は補正せず印加電圧が0Vであったのに対し、補正の例2では、画素電極ED2も補正して印加電圧を1.0Vとしている。これは、画素電極ED1の印加電圧をより増加させたことで、画素電極ED1、ED2間の印加電圧の差が過剰に大きくなって、ドメインが生じることを抑制するためである。言い換えると、画素電極ED1から、印加電圧が0Vから補正されていない画素電極ED3までの電圧変化を、なだらかにするためである。
この結果、補正の例2では、ドメインが視認されやすい方向(本例ではY方向)において印加電圧が補正されている画素電極120の個数(3個)が、ドメインが視認されにくい方向(本例ではX方向)において印加電圧が補正されている画素電極120の個数(2個)と比べて、多くなっている。
次に、補正の例3について説明する。図7は、補正の例3を示す、画素102の配列の概略的な平面図である。図7の左側部分に、補正前画像信号Viaに対応する印加電圧(つまり「印加すべき電圧」)を示し、図5の右側部分に、補正後画像信号Vibに対応する印加電圧を示す。
補正前画像信号Viaに対応する印加電圧は、画素電極E0について0Vであり、残りの他の画素電極ER1~ER3、EL1~EL3、ED1~ED3およびEU1~EU3について5Vである。リスク境界検出部241により、画素電極E0、ER1の組、および、画素電極E0、ED1の組が特定される。
補正量設定部242により、画素電極E0の補正量として+1.0Vが設定され、画素電極ER1の補正量として-0.2Vが設定され、画素電極ED1の補正量として-0.5Vが設定される。つまり、補正後の画素電極E0の印加電圧として1.0Vが設定され、補正後の画素電極ER1の印加電圧として4.8Vが設定され、補正後の画素電極ED1の印加電圧として4.5Vが設定される。したがって、画素電極E0、ER1間の印加電圧差は、補正前の5.0Vから補正後の3.8Vに減少し、補正による印加電圧差の減少量は、1.2Vとなる。また、画素電極E0、ED1間の印加電圧差は、補正前の5.0Vから補正後の3.5Vに減少し、補正による印加電圧差の減少量は、1.5Vとなる。
本例においても、ドメインが視認されやすい方向(本例ではY方向)に対して、印加電圧の差の減少量が大きくなるように強い補正を行うことで、幅狭の遮光膜(本例では走査線141)の近傍に発生するドメインが視認されやすいという状況を抑制できる。
次に、補正の例4について説明する。図8は、補正の例4を示す、画素102の配列の概略的な平面図である。補正前画像信号Viaに対応する印加電圧は、図7の左側部分に示すものと同様である。図8は、補正の例4における、補正後画像信号Vibに対応する印加電圧を示す。
補正の例3との違いについて説明する。補正の例3では、画素電極ED1の補正された印加電圧が4.5Vであったのに対し、補正の例4では、画素電極ED1の補正された印加電圧を4.0Vに減少させている。つまり、画素電極E0、ED1間の印加電圧差をさらに減少させることで、より強い補正を行っている。
また、補正の例3では、画素電極ED2は補正せず印加電圧が5.0Vであったのに対し、補正の例4では、画素電極ED2も補正して印加電圧を4.5Vとしている。これは、画素電極ED1の印加電圧をより減少させたことで、画素電極ED1、ED2間の印加電圧の差が過剰に大きくなって、ドメインが生じることを抑制するためである。言い換えると、画素電極ED1から、印加電圧が5.0Vから補正されていない画素電極ED3までの電圧変化を、なだらかにするためである。
この結果、補正の例4では、ドメインが視認されやすい方向(本例ではY方向)において印加電圧が補正されている画素電極120の個数(3個)が、ドメインが視認されにくい方向(本例ではX方向)において印加電圧が補正されている画素電極120の個数(2個)と比べて、多くなっている。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態による液晶表示装置10について説明する。図9は、第2実施形態の液晶表示装置10が有する液晶パネル100における画素P0の近傍を拡大して示す概略的な平面図である。第2実施形態の液晶表示装置10は、液晶パネル100の有する走査線141の幅wyとデータ線142の幅wxとが等しい点で、第1実施形態と異なる。他の点は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、走査線141の幅wyとデータ線142の幅wxとが等しいので、ドメインRTYが画素P0の開口領域103内にはみ出す幅dyaと、ドメインRTXが画素P0の開口領域103内にはみ出す幅dxaとが等しい。このため、X方向、Y方向ともドメインの視認されやすさは同程度である。
図10は、第2実施形態における補正の例5を示す、画素102の配列の概略的な平面図である。補正前画像信号Viaに対応する印加電圧は、第1実施形態で図5の左側部分に示したものと同様である。図10は、補正の例5における、補正後画像信号Vibに対応する印加電圧を示す。
リスク境界検出部241により、画素電極E0、ER1の組、および、画素電極E0、ED1の組が特定される。補正量設定部242により、画素電極E0の補正量として-0.5Vが設定され、画素電極ER1の補正量として+1.5Vが設定され、画素電極ED1の補正量として+1.5Vが設定される。つまり、補正後の画素電極E0の印加電圧として4.5Vが設定され、補正後の画素電極ER1の印加電圧として1.5Vが設定され、補正後の画素電極ED1の印加電圧として1.5Vが設定される。したがって、画素電極E0、ER1間の印加電圧差は、補正前の5.0Vから補正後の3.0Vに減少し、補正による印加電圧差の減少量は、2.0Vとなる。また、画素電極E0、ED1間の印加電圧差は、補正前の5.0Vから補正後の3.0Vに減少し、補正による印加電圧差の減少量は、2.0Vとなる。
第2実施形態においても、補正前画像信号Viaを画像処理回路220により補正することで、ドメイン発生を抑制することができる。第2実施形態では、走査線141とデータ線142の幅wx、wyが等しく、X方向、Y方向ともドメインの視認されやすさが同程度であるため、X方向、Y方向とも同等の印加電圧の補正を行えばよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に述べるような各種の変形が可能である。また、以下に述べる変形の態様は、任意に選択された一または複数を、適宜に組み合わせることもできる。
例えば、上述の実施形態では、画素電極120の辺に沿ってX方向に延びた遮光膜として走査線141を例示したが、このような遮光膜は、走査線141に限らず、また、素子基板110に設けられていても、対向基板150に設けられていてもよい。また例えば、上述の実施形態では、画素電極120の辺に沿ってY方向に延びた遮光膜としてデータ線142を例示したが、このような遮光膜は、データ線142に限らず、また、素子基板110に設けられていても、対向基板150に設けられていてもよい。
なお、上述の実施形態では、画素102の開口領域103を画定する遮光膜(走査線141、データ線142)が、一定幅である単純化された場合を例示したが、このような遮光膜の幅は、一般には、位置に応じて変化しうる。そこで、遮光膜の幅を、以下のように定義する。
図11は、1つの画素P0を拡大して示す概略的な平面図である。X方向に延びた遮光膜145の幅は、画素P0のX方向に延びる辺上における遮光膜145の最小の幅wymとして定義される。また、Y方向に延びた遮光膜146の幅は、画素P0のY方向に延びる辺上における遮光膜146の最小の幅wxmとして定義される。
なお、画像信号Viaは、静止画を構成する画像信号であってもよいし、動画を構成する複数の画像信号のうちの一部であってもよい。
なお、上述の第1実施形態では、主として、幅狭の遮光膜(第1遮光膜)が延びた方向(第1方向)がX方向であり、幅広の遮光膜(第2遮光膜)が延びた方向(第1方向に交差する第2方向)がY方向である態様を例示したが、幅狭の遮光膜がY方向に延び、幅広の遮光膜がX方向に延びた態様であってもよい。幅狭の遮光膜がY方向に延びた態様であれば、ドメインが視認されやすいX方向に対して、より強い補正を行うこととなる。
なお、上述の第1実施形態では、ドメインが視認されやすい方向に対して、より強い補正を行っている。つまり、相対的にドメインが視認されやすい方向と、相対的にドメインが視認されにくい方向とで、非対称な補正が行われる。このため、実施形態による液晶表示装置10は、例えば以下のような試験に対して、以下のように動作することとなる。
図12は、試験の例を示す、表示領域101の概略的な平面図である。例示の試験において、まず、図12の上部の左側部分に示す表示A、および、上部の右側部分に示す表示Bを行う。表示Aでは、全画面を表現可能な最も大きい階調レベルとする表示(全白表示)を示す画像信号Viaが入力される。表示Bでは、全画面を表現可能な最も小さい階調レベルとする表示(全黒表示)を示す画像信号Viaが入力される。
表示Aおよび表示Bのそれぞれにおいて、液晶パネル100の駆動用端子にオシロスコープを接続し、画素電極120に印加される電圧値を測定する。なお、フォトダイオード等を使って画素102の明るさ(透過率)を測定することで、当該画素102に設けられた画素電極120に印加される電圧の測定に替えてもよい。
表示Aおよび表示Bは、それぞれ、全画面に亘り一様な表示である。したがって、これらは、隣接する画素電極120間での印加電圧差に起因するドメインが発生しない表示、つまり、ドメインを抑制するための補正を要しない表示である。このため、表示Aおよび表示Bのそれぞれで測定された印加電圧の値は、表現可能な最も大きい階調レベルに対応する、補正されていない印加電圧、および、表現可能な最も小さい階調レベルに対応する、補正されていない印加電圧を示す。
次に、図12の下部の左側部分に示す表示C、および、下部の右側部分に示す表示Dを行う。表示Cでは、Y方向に並ぶ一列分の画素102を表現可能な最も大きい階調レベルとし、残りの画素102を表現可能な最も小さい階調レベルとする表示を示す画像信号Viaが入力される。表示Dでは、X方向に並ぶ一行分の画素102を表現可能な最も大きい階調レベルとし、残りの画素102を表現可能な最も小さい階調レベルとする表示を示す画像信号Viaが入力される。
表示Cおよび表示Dのそれぞれにおいて、画素電極120に印加される電圧値、または、画素102の明るさ(透過率)を測定する。表示Cで入力される画像信号Viaは、最も大きい階調レベルで表示される画素102のX方向の両隣に、最も小さい階調レベルで表示される画素102が配置された表示を示す。このため、ドメイン抑制のための補正が行われることとなる。この補正において、明るい画素102に対しX方向においてドメインが発生しやすい側に並んだ暗い画素102における印加電圧は、その反対側に並んだ画素102における印加電圧と比べて大きくなる(強く補正される)。
表示Dで入力される画像信号Viaは、最も大きい階調レベルで表示される画素102のY方向の両隣に、最も小さい階調レベルで表示される画素102が配置された表示を示す。このため、ドメイン抑制のための補正が行われることとなる。この補正において、明るい画素102に対しY方向においてドメインが発生しやすい側に並んだ暗い画素102における印加電圧は、その反対側に並んだ画素102における印加電圧と比べて大きくなる(強く補正される)。
例えば、X方向に延びた遮光膜の幅が、Y方向に延びた遮光膜の幅と比べて狭い場合は、Y方向に対してより強い補正が行われる。したがって、この場合は、表示Cに関しX方向において強く補正された側の画素電極120への印加電圧と比べて、表示Dに関しY方向において強く補正された側の画素電極120への印加電圧が、より大きくなる(より強く補正される)。
また例えば、Y方向に延びた遮光膜の幅が、X方向に延びた遮光膜の幅と比べて狭い場合は、X方向に対してより強い補正が行われる。したがって、この場合は、表示Dに関しY方向において強く補正された側の画素電極120への印加電圧と比べて、表示Cに関しX方向において強く補正された側の画素電極120への印加電圧が、より大きくなる(より強く補正される)。
なお、図5の左側部分に示した画像信号Via(1つの画素電極120に対応する画素102は所定の大きい階調レベル(第1の階調レベル)で表示し、残りの他の画素電極120に対応する画素102はこれよりも小さい階調レベル(第2の階調レベル)で表示する画像信号Via)、または、図7の左側部分に示した画像信号Via(1つの画素電極120に対応する画素102は所定の小さい階調レベル(第3の階調レベル)で表示し、残りの他の画素電極120に対応する画素102はこれよりも大きい階調レベル(第4の階調レベル)で表示する画像信号Via)が入力された場合には、液晶表示装置10は、以下のように動作する。幅狭の遮光膜が延びた方向をX方向とし、幅広の遮光膜が延びた方向をY方向とする。
画素電極E0(第1画素電極)と、画素電極E0に対しX方向においてドメインが発生しやすい側に並んだ画素電極ER1(第2画素電極)との印加電圧の差を、第1印加電圧差(例えば、補正の例1(図5)では3.5V、補正の例2(図6)では3.5V、補正の例3(図7)では3.8V、補正の例4(図7)では3.8V)とする。
画素電極E0と、画素電極E0に対しX方向においてドメインが発生しにくい側に並んだ画素電極EL1(第3画素電極)との印加電圧の差を、第2印加電圧差(例えば、補正の例1(図5)では4.5V、補正の例2(図6)では4.5V、補正の例3(図7)では4.0V、補正の例4(図7)では4.0V)とする。
画素電極E0と、画素電極E0に対しY方向においてドメインが発生しやすい側に並んだ画素電極ED1(第4画素電極)との印加電圧の差を、第3印加電圧差(例えば、補正の例1(図5)では3.0V、補正の例2(図6)では2.8V、補正の例3(図7)では3.5V、補正の例4(図7)では3.0V)とする。
画素電極E0と、画素電極E0に対しY方向においてドメインが発生しにくい側に並んだ画素電極EU1(第5画素電極)との印加電圧の差を、第4印加電圧差(例えば、補正の例1(図5)では4.5V、補正の例2(図6)では4.5V、補正の例3(図7)では4.0V、補正の例4(図7)では4.0V)とする。
第2印加電圧差と比べて第1印加電圧差が小さく、第4印加電圧差と比べて第3印加電圧差が小さく、かつ、第1印加電圧差と比べて第3印加電圧差が小さくなる条件で、各画素電極120に電圧が印加される。つまり、信号処理部400は、このような条件が満たされるように、入力される画像信号Viaを補正して、各画素電極120に電圧を印加する。第1印加電圧差と比べて第3印加電圧差を小さくすることで、X方向と比べてY方向においてリバースチルトドメインが視認されやすい状況を抑制できる。
なお、印加電圧の替わりに透過率を測定した場合は、以下のような条件が満たされる。画素電極E0に対応する画素P0と、画素電極ER1、EL1、ED1およびEU1に対応する画素PR1、PL1、PD1およびPU1と、のそれぞれの透過率の差を、第1~第4透過率差とする。第2透過率差と比べて第1透過率差が小さく、第4透過率差と比べて第3透過率差が小さく、かつ、第1透過率差と比べて第3透過率差が小さくなる条件で、各画素電極120に電圧が印加される。つまり、信号処理部400は、このような条件が満たされるように、入力される画像信号Viaを補正して、各画素電極120に電圧を印加する。第1透過率差と比べて第3透過率差を小さくすることで、X方向と比べてY方向においてリバースチルトドメインが視認されやすい状況を抑制できる。
<応用例>
次に、上述の実施形態における液晶表示装置10として、投射型表示装置(プロジェクター)について説明する。図13は、応用例によるプロジェクター500の光学系を例示する模式図である。プロジェクター500は、光源装置501と、インテグレーター504と、偏光変換素子505と、色分離導光光学系502と、光変調装置としての液晶光変調装置510R、液晶光変調装置510G、 液晶光変調装置510Bと、クロスダイクロイックプリズム512および投写光学系514と、を具備して構成されている。液晶光変調装置510R、510Gおよび510Bには、後述するように、液晶表示装置520R、520Gおよび520Bが設けられている。これらの液晶表示装置520R、520Gおよび520Bとして、例えば上述の液晶表示装置10を用いることができる。
光源装置501は、第1色光である赤色光(以下「R光」という)、第2色光である緑色光(以下「G光」という)、および第3色光である青色光(以下「B光」という)を含む光を供給する。光源装置501としては、例えば超高圧水銀ランプを用いることができる。
インテグレーター504は、光源装置501から出射された光の照度分布を均一化する。照度分布を均一化された光は、偏光変換素子505にて特定の振動方向を有する偏光光、例えば色分離導光光学系502の反射面に対してs偏光したs偏光光に変換される。s偏光光に変換された光は、色分離導光光学系502を構成するR光透過ダイクロイックミラー506Rに入射する。
色分離導光光学系502は、R光透過ダイクロイックミラー506Rと、B光透過ダイクロイックミラー506Gと、3枚の反射ミラー507と、2枚のリレーレンズ508と、を具備して構成されている。
R光透過ダイクロイックミラー506Rは、R光を透過し、G光、B光を反射する。R光透過ダイクロイックミラー506Rを透過したR光は、反射ミラー507に入射する。
反射ミラー507は、R光の光路を90度折り曲げる。光路を折り曲げられたR光は、R光用液晶光変調装置510Rに入射する。R光用液晶光変調装置510Rは、R光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。
R光用液晶光変調装置510Rは、λ/2位相差板523R、ガラス板524R、第1偏光板521R、液晶表示装置520R、および第2偏光板522Rを有する。λ/2位相差板523Rおよび第1偏光板521Rは、偏光方向を変換させない透光性のガラス板524Rに接する状態で配置される。なお、図13において、第2偏光板522Rは独立して設けられているが、液晶表示装置520Rの射出面や、クロスダイクロイックプリズム512の入射表面に接する状態で配置しても良い。
R光透過ダイクロイックミラー506Rで反射された、G光とB光とは光路を90度折り曲げられる。光路を折り曲げられたG光とB光とは、B光透過ダイクロイックミラー506Gに入射する。B光透過ダイクロイックミラー506Gは、G光を反射し、B光を透過する。B光透過ダイクロイックミラー506Gで反射されたG光は、G光用液晶光変調装置510Gに入射する。G光用液晶光変調装置510GはG光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。G光用液晶光変調装置510Gは、液晶表示装置520G、第1偏光板521Gおよび第2偏光板522Gを有する。
G光用液晶光変調装置510Gに入射するG光は、s偏光光に変換されている。G光用液晶光変調装置510Gに入射したs偏光光は、第1偏光板521Gをそのまま透過し、液晶表示装置520Gに入射する。液晶表示装置520Gに入射したs偏光光は、画像信号に応じた変調により、G光がp偏光光に変換される。液晶表示装置520Gの変調により、p偏光光に変換されたG光が、第2偏光板522Gから射出される。このようにして、G光用液晶光変調装置510Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム512に入射する。
B光透過ダイクロイックミラー506Gを透過したB光は、2枚のリレーレンズ508と、2枚の反射ミラー507とを経由して、B光用液晶光変調装置510Bに入射する。
B光用液晶光変調装置510Bは、B光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。B光用液晶光変調装置510Bは、λ/2位相差板523B、ガラス板524B、第1偏光板521B、液晶表示装置520B、および第2偏光板522Bを有する。
B光用液晶光変調装置510Bに入射するB光は、s偏光光に変換されている。B光用液晶光変調装置510Bに入射したs偏光光は、λ/2位相差板523Bによりp偏光光に変換される。p偏光光に変換されたB光は、ガラス板524Bおよび第1偏光板521Bをそのまま透過し、液晶表示装置520Bに入射する。液晶表示装置520Bに入射したp偏光光は、画像信号に応じた変調により、B光がs偏光光に変換される。液晶表示装置520Bの変調により、s偏光光に変換されたB光が、第2偏光板522Bから射出される。B光用液晶光変調装置510Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム512に入射する。
このように、色分離導光光学系502を構成するR光透過ダイクロイックミラー506RとB光透過ダイクロイックミラー506Gとは、光源装置501から供給される光を、第1色光であるR光と、第2色光であるG光と、第3色光であるB光とに分離する。
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム512は、2つのダイクロイック膜512a、512bをX字型に直交して配置して構成されている。ダイクロイック膜512aは、B光を反射し、G光を透過する。ダイクロイック膜512bは、R光を反射し、G光を透過する。このように、クロスダイクロイックプリズム512は、R光用液晶光変調装置510R、G光用液晶光変調装置510G、およびB光用液晶光変調装置510Bでそれぞれ変調されたR光、G光およびB光を合成する。
投写光学系514は、クロスダイクロイックプリズム512で合成された光をスクリーン516に投射する。これにより、スクリーン516上でフルカラー画像を得ることができる。このように、上述の液晶表示装置10は、一例としてプロジェクター500に用いることができる。
なお、上述の液晶表示装置10は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに用いることも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに用いることもできる。
なお、液晶表示装置10を適用可能な電子機器は、プロジェクター500に限定されない。液晶表示装置10は、例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として用いてもよい。