本発明の着色樹脂組成物は、染料、バインダー樹脂、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光重合開始剤、ならびに、下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物および/または下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物を含有する。バインダー樹脂は、着色樹脂組成物の各成分を保持する作用を有する。エチレン性不飽和結合を有するモノマーおよび光重合開始剤は、紫外線照射によりラジカルを発生して着色樹脂組成物を硬化させ、パターン加工性を付与する作用を有する。染料は、可視光領域において特定の波長帯の光が透過することにより色性能を発現する作用を有するが、前述のとおり、画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合、画素が黄変しやすい。本発明においては、染料とともに下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物および/または下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物を含有することにより、2つのアミン部位が効率的にラジカルを補足することができ、画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合にも画素の黄変を抑制する効果を奏する。
一般式(1)~(2)中、R1~R4はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基または炭素数3~8のシクロアルキル基を表す。着色樹脂組成物の相溶性の観点から、R1~R4は、水素または炭素数1~10のアルキル基が好ましい。R5は、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基または炭素数1~10のアシル基を表す。着色樹脂組成物の相溶性の観点から、R5は、水素または炭素数1~10のアルキル基がより好ましい。R6~R9はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~20のアルキル基を表す。R6とR7、R8とR9は、炭素数5~15の環を形成してもよい。立体障害による着色樹脂組成物中における安定性の観点から、R6とR7、R8とR9は炭素数7~13の環を形成することが好ましい。
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、“ホスタビン”(登録商標)N30、“ホスタビン”N321、“ホスタビン”3050、“ホスタビン”3070、“ホスタビン”3212(以上、商品名、いずれもクラリアントジャパン(株)製)などが挙げられる。前記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、7-オキサ-3,20-ジアゾジスピロ[5.1.11.2]ヘンエイコサン-20-プロパン酸,2,2,4,4-テトラメチル,ドデシルエステル/テトラデシルエステル、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアゾジスピロ[5.1.11.2]-ヘンエイコサンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合の画素の黄変をより抑制する観点から、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
一般式(3)中、R1~R4はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基または炭素数3~8のシクロアルキル基を表す。着色樹脂組成物の相溶性の観点から、R1~R4は、水素または炭素数1~10のアルキル基が好ましい。R5は、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基または炭素数1~10のアシル基を表す。着色樹脂組成物の相溶性の観点から、R5は、水素または炭素数1~10のアルキル基が好ましい。R6~R 7 はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~20のアルキル基を表す。R6とR 7
は、炭素数5~15の環を形成してもよい。立体障害による着色樹脂組成物中における安定性の観点から、R6とR 7
は炭素数7~13の環を形成することが好ましい。nは0~100の範囲を表し、mは1~100の範囲を表す。なお、nおよびmはいずれも個々の分子においては整数となるが、nまたはmの値が異なる2種以上の化合物が含まれていてもよく、この場合、構造分析により求められるnおよびmの値は整数とはならない場合がある。着色樹脂組成物の相溶性の観点から、nは0~10の範囲が好ましく、mは1~10の範囲が好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、“ホスタビン”(登録商標)N30、“ホスタビン”N321、“ホスタビン”3070(以上、商品名、クラリアントジャパン(株)製)などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物および前記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物の含有量は、画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合の画素の黄変をより抑制する観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。一方、着色樹脂組成物の相溶性の観点から、10.0重量部以下が好ましく、5.0重量部以下がより好ましい。なお、前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物および前記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物の含有量とは、着色樹脂組成物が前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物および前記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物を両方含有する場合にはその合計含有量を指し、前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物または前記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物のいずれかのみを含有する場合にはその含有量を指す。
本発明における染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料などが挙げられる。より具体的には、例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、アズレン系染料などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい、これらの中でも、キサンテン系染料が好ましい。キサンテン系染料は青色領域の透過率を表す三刺激値Zが高く、画素の黄変をより抑制することができる。キサンテン系染料としては、特開2010-32999号公報に記載のキサンテン染料、特許第4492760号明細書に記載のキサンテン染料、特許6015151号明細書に記載のキサンテン染料などが挙げられる。キサンテン染料としては、例えば、下記構造式(9)~(20)のいずれかで表される化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。下記構造式(9)~(20)のいずれかで表される化合物は、特許6015151号明細書に記載された方法により製造することができる。
本発明の着色樹脂組成物において、染料の含有量は、全固形分中、0.1~25重量%が好ましい。染料の含有量を0.1重量%以上にすることにより、透過率を向上させることができる。染料の含有量は0.5重量%以上がより好ましい。一方、染料の含有量を25重量%以下にすることにより、画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合にも画素の黄変をより抑制することができる。染料の含有量は5重量%以下がより好ましい。ここで、全固形分とは、着色樹脂組成物における、溶媒以外の全成分をいう。
本発明の着色樹脂組成物は、染料以外の着色剤を含有していても構わない。染料以外の着色剤としては、例えば、有機顔料、無機顔料などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、着色樹脂組成物の透明性の観点から、有機顔料が好ましい。
有機顔料のうち、赤色顔料としては、例えば、ピグメントレッド(以下、「PR」)9、48、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料などが挙げられる。オレンジ色顔料としては、例えば、ピグメントオレンジ(以下、「PO」)13、PO31、PO36、PO38、PO40、PO42、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などが挙げられる。緑色顔料としては、例えば、ピグメントグリ-ン(以下、「PG」)7、10、36、58などが挙げられる。黄色顔料としては、例えば、ピグメントイエロ-(以下、「PY」)12、13、17、20、24、83、86、93、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、85などが挙げられる。青色顔料としては、例えば、ピグメントブルー(以下、「PB」)15:3、15:4、15:6、16、21、22、60、64などが挙げられる。紫色顔料としては、例えば、ピグメントバイオレット(以下「PV」)19、23、29、30、37、40、50などが挙げられる(以上、番号はいずれもカラーインデックスNo.)。
本発明の着色樹脂組成物の色純度、透過率およびコントラスト比を高めるためには、PR177、PR254、臭素基を有するジケトピロロピロール顔料、PG7、PG36、PG58、PB15:6、PV23、PY129、PY138、PY150を適宜組み合わせることが好ましい。これら顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理等の表面処理がされていても構わない
本発明の着色樹脂組成物が染料以外の着色剤を含有する場合、染料以外の着色剤の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分中、1~40重量%が好ましい。染料以外の着色剤の含有量を1重量%以上とすることにより、色純度を向上させることができる。染料以外の着色剤の含有量は5重量%以上がより好ましい。一方、染料以外の着色剤の含有量を40重量%以下とすることにより、現像時の溶解時間を短縮することができる。染料以外の着色剤の含有量は30重量%以下がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。着色樹脂組成物の透明性を高めるため、アクリル系樹脂および/またはシロキサン系樹脂が好ましい。
バインダー樹脂は、アルカリ可溶性基を有することが好ましく、着色樹脂組成物に感光性を付与することができる。アルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシル基などが挙げられる。
アルカリ可溶性基を有するバインダー樹脂としては、不飽和カルボン酸を重合または共重合したアクリル系樹脂が好ましい。不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸等のモノカルボン酸や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸や、それらの酸無水物などが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸と共重合される化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸誘導体、エチレン性不飽和化合物などが挙げられる。不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル;アミノエチルアクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル;フタル酸モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)等の多価カルボン酸モノエステルなどが挙げられる。エチレン性不飽和化合物としては、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;1,3-ブタジエン、イソプレン等の脂肪族共役ジエン;末端にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するポリスチレンまたはポリメチルアクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリシリコーン等のマクロモノマーなどが挙げられる。
アクリル系樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和基を有することが好ましく、感度をより向上させることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが好ましい。アクリル系樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、例えば、アクリル系樹脂が有するカルボキシル基または水酸基に対し、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、アクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法などが挙げられる。ここで、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、α-エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N-(3,5-ジメチル-4-グリシジル)ベンジルアクリルアミド、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色樹脂組成物から得られる塗膜の強度を向上させる観点から、3千以上が好ましく、5千以上がより好ましい。一方、現像性を向上させる観点から、Mwは20万以下が好ましく、10万以下がより好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた標準ポリスチレン換算値を指す。
また、バインダー樹脂の酸価は、現像性を向上させる観点から、20mg/KOH/g以上が好ましく、30mg/KOH/g以上がより好ましい。一方、染料やエチレン性不飽和基を有するモノマーとの相溶性の観点から、バインダー樹脂の酸価は、200mg/KOH/g以下が好ましく、150mg/KOH/g以下がより好ましい。ここで、バインダー樹脂の酸価は、滴定試薬として0.1mol/LのNaOH/EtOH溶液を用いて、「JIS K2501(2003)」に基づき、電位差滴定法により測定することができる。
本発明の着色樹脂組成物において、バインダー樹脂の含有量は、タック性を抑制する観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、10重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましい。一方、現像性を向上させる観点から、80重量部以下が好ましく、70重量部以下がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有するモノマーを含有する。エチレン性不飽和基を有するモノマーとは、分子中に1つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物をいう。ラジカル重合が容易であることから、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有することが好ましい。
エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、2,2-ビス[4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]エーテル、4,4’-ビス[4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]シクロヘキサン、9,9-ビス[4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-メチル-4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-クロロ-4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン型グリシジル基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、トリメチロールプロパン型グリシジル基含有(メタ)アクリレートが好ましい。トリメチロールプロパン型グリシジル基含有(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルのグリシジル基に、1部のグリシジル基を残してアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させた化合物をいう。光硬化性を有する(メタ)アクリロイル基と、熱硬化性を有するグリシジル基を有するトリメチロールプロパン型グリシジル基含有(メタ)アクリレートを含有することにより、波長350nm以上の照射光に対するパターン加工性をより向上させ、画素の黄変をより抑制することができる。
トリメチロールプロパン型グリシジル基含有(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパングリシジルエーテル類に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。ここで、トリメチロールプロパングリシジルエーテル類としては、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、硬化性の観点からトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテルが好ましい。トリメチロールプロパングリシジルエーテル類に(メタ)アクリル酸を付加するに当たっては、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルのグリシジル基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を1当量未満の割合で反応させる。トリメチロールプロパン型グリシジル基含有アクリレートの製造方法としては、粘度安定性の観点から、特開2016-199629号公報に記載の方法が好ましい。
また、エチレン性不飽和基を有するモノマーは、その構造の一部に酸性基を有していてもよい。酸性基を有するエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とから得られる遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物などが挙げられる。かかる遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート、モノヒドロキシオリゴメタクリレート類などが挙げられる。ジカルボン酸類としては、例えば、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類などが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物におけるエチレン性不飽和基を有するモノマーの含有量は、塗膜強度を向上させる観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより好ましい。一方、タック性を抑制する観点から、90重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物がトリメチロールプロパン型グリシジル基含有(メタ)アクリレートを含有する場合、その含有量は、エチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量%中、0.1重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましい。トリメチロールプロパン型グリシジル基含有(メタ)アクリレートを0.1重量%以上含有することにより、画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合の画素の黄変をより抑制することができる。一方、トリメチロール型グリシジル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、パターン加工性をより向上させる観点から、エチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量%中、50重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤とは、光(紫外線又は電子線を含む)により分解および/または反応し、ラジカルを発生させる化合物をいう。光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系化合物、アルキルフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
オキシムエステル系化合物としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)、“オプトマー”(登録商標)N-1919、NCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、いずれも(株)ADEKA製)、“IRGACURE”(登録商標)OXE01、OXE02、OXE03、OXE04(以上、いずれもBASFジャパン(株)製)などが挙げられる。
一般式(4)中、R10~R11はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基または炭素数6~20のアリール基を表す。R12は-O-、-S-または>C=Oを表す。R13は下記一般式(5)または(6)で表される構造を表す。
一般式(5)~(6)中、R14、R20は-O-、-S-または>C=Oを表す。R15~R19、R21~R25はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、臭素、塩素、ヨウ素またはニトロ基を表す。
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始剤として、上記一般式(4)で表される化合物を含有することが好ましく、感度をより向上させ、黄変をより抑制することができる。上記一般式(4)で表される化合物の中でも、下記構造式(7)で表される化合物がより好ましい。
アルキルフェノン系化合物としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンなどが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体などが挙げられる。ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。ベンゾオキサゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾオキサゾール、アシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。チタノセン系化合物としては、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムなどが挙げられる。上記一般式(4)で表される化合物に、チオキサントン系化合物を組み合わせると、より高感度化するため好ましい。
本発明の着色樹脂組成物において、光重合開始剤の含有量は、光硬化をより進める観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。一方、残存した光重合開始剤の溶出を抑制して耐溶剤性を向上させる観点から、45重量部以下が好ましく、35重量部以下がより好ましい。
本発明の着色樹脂組成物が上記構造式(7)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、光硬化をより進める観点から、光重合開始剤の合計含有量100重量%中、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。一方、画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合の画素の黄変をより抑制する観点から、50重量%以下が好ましい。
発明の着色樹脂組成物は、溶剤を含有しても構わない。溶剤としては、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。また、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサなどの溶剤を併用してもよい。
エステル系溶剤としては、例えば、ベンジルアセテート、エチルベンゾエート、γ-ブチロラクトン、メチルベンゾエート、マロン酸ジエチル、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、3-メトキシ-ブチルアセテート、アセト酢酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、2-エチルブチルアセテート、イソペンチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸ペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチルなどが挙げられる。これらの中でも、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネートなどのプロピオン酸エステル系溶剤が好ましく、3-メトキシ-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノールなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物は、その他の添加剤を含有しても構わない。その他の添加剤としては、例えば、密着改良剤、界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線硬化助剤、高分子分散剤、増感補助剤などが挙げられる。
密着改良剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。
密着改良剤の含有量は、着色樹脂組成物と基板との現像密着性を向上させる観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、1.0重量部以上がより好ましい。一方、樹脂の凝集を抑制する観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましい。
界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などが挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインが挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどが挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロブチルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキル基含有トリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物などが挙げられる。シリコン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、着色樹脂組成物を均一に塗布する観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。一方、表面均一性を向上させる観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン系またはカテコール系の重合禁止剤が挙げられる。ヒドロキノン系重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ヒドロキノンなどが挙げられる。カテコール系重合禁止剤としては、例えば、カテコール、tert-ブチルカテコールなどが挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、着色樹脂組成物の経時安定性を向上させる観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.001重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましい。一方、着色樹脂組成物のパターン加工性と経時安定性をより向上させる観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、テトラフェニル(テトラトリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,3’-ビフェニレン-ジ-ホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)3,3’-ビフェニレン-ジ-ホスホナイトなどが挙げられる。これらの化合物は、例えば、“アデカスタブ”(登録商標)1500((株)ADEKA製)、“ホスタノックス”(登録商標)P-EPQ(クラリアントジャパン(株)製)、JPP-613M(城北化学工業(株)製)などとして販売されている。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリル-チオ-プロピオネート)、3,9-ビス(2-ドデシルチオエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
また、その他の酸化防止剤としては、“アデカクールズ”(登録商標)GPA-5001((株)ADEKA製)などが販売されている。
酸化防止剤の含有量は、加熱処理を行う場合の画素の黄変をより抑制する観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。一方、着色樹脂組成物のパターン加工性をより向上させる観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。
紫外線硬化助剤としては、例えば、多官能チオール化合物等が挙げられる。多官能チオール化合物としては、下記構造式(8)で表される化合物、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)などの多官能チオール化合物が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、上記構造式(8)で表される化合物を含有することが好ましく、感度をより向上させ、黄変をより抑制することができる。
上記構造式(8)で表される化合物の含有量は、着色樹脂組成物のパターン加工性と画素形成後に紫外線照射や加熱処理を行う場合の画素の黄変をより抑制する観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。一方、経時安定性を向上する観点から20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。
紫外線硬化助剤の含有量は、着色樹脂組成物と基板との現像密着性を向上させる観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。一方、樹脂の凝集を抑制する観点から、バインダー樹脂およびエチレン性不飽和基を有するモノマーの合計含有量100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。
高分子分散剤とは、顔料と溶剤の両方に親和性を持つ高分子化合物をいう。高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、これらの共重合体などが挙げられる。これらの高分子分散剤としては、例えば、“ソルスパース”(登録商標)シリーズ(アビシア社製)、“EFKA”(登録商標)シリーズ(エフカ社製)、“アジスパー”(登録商標)シリーズ(味の素ファインテクノ(株)製)、“BYK”(登録商標)シリーズ(ビックケミー社製)などが販売されている。これらの中でも、透過率の観点から、“ソルスパース”24000、“EFKA”4300、4330、4340、“アジスパー”PB821、PB822、“BYK”102、110、111、161~163、2000、2001、2096、6919、21116、P104、P104S、P105、220Sが好ましい。
高分子分散剤の含有量は、分散安定性を向上する観点から、顔料の合計量100重量部に対して、2重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。一方、アルカリ現像性を向上させる観点から、顔料の合計量100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましい。
増感補助剤としては、例えば、芳香族または脂肪族の第3級アミン等が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物は、例えば、染料、バインダー樹脂、必要に応じて溶剤およびその他の成分を、分散機により分散して着色剤分散液を調製した後、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光重合開始剤、前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物および/または前記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物、必要に応じて溶剤およびその他の成分を配合することによって得ることができる。分散機としては、例えば、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、3本ロールミル、アトライター等が挙げられる。これらの中でも、分散効率に優れるビーズミルが好ましい。分散ビーズとしては、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズなどが挙げられる。これらの中でも、ジルコニアビーズが好ましい。着色剤として顔料を含有する場合、予め顔料の粉体に溶剤等を添加し、分散機により二次粒子(粒子径は1~50μm程度)を微細化しておくことが好ましい。
本発明のカラーフィルター基板は、本発明の着色樹脂組成物の硬化物から形成された画素を有する。本発明のカラーフィルター基板は、さらに、必要に応じて、基板、ブラックマトリックス、平坦化膜、フォトスペーサー、透明電極、配向膜を有していても構わない。
画素のパターン形状としては、例えば、矩形、ストライプ、正方形、多角形、波型、凹凸のある形状が挙げられる。画素の幅は、開口部面積を大きくして透過率を向上させる観点から、0.5μm以上が好ましく、1μm以上が好ましい。一方、より緻密な画像を表示する観点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
画素の膜厚は、高色域を表示する観点から、1.5μm以上が好ましく、1.8μm以上がより好ましい。一方、透過率を向上させる観点から、3.0μm以下が好ましく、2.8μm以下がより好ましい。
カラーフィルター基板における画素の黄変は、紫外線照射と加熱処理前後でのC光源を用いて測定したCIE1931XYZ表色系の三刺激値(X,Y,Z)から評価することができる。
画素の黄変の優劣は、赤色の着色樹脂組成物は(X)の変化、緑色の着色樹脂組成物は(Y)の変化、青色の着色樹脂組成物は(Z)の変化から評価することができる、紫外線照射および加熱処理前後で値の変化が小さい場合は黄変が小さいと判断することができる。
基板としては、例えば、石英ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等の無機ガラスの板や、有機プラスチックのフィルム、シートなどが挙げられる。なお、本発明のカラーフィルター基板を備える表示装置が反射型の表示装置である場合は、基板は不透明であっても構わない。
ブラックマトリックス(以下、「BM」)は、画素と、それに隣接する画素との間に、表示画像のコントラストを高めるため形成される。BMは、互いに隣接する画素の一部を重ねることにより形成しても構わないが(色重ねBM)、画素の段差を抑制して表示画像をより良好なものとし、かつ、高い遮光性を得るため、樹脂および遮光材を含有する樹脂BMを別途形成することが好ましい。
樹脂BMを形成する樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シロキサン系樹脂などが挙げられるが、耐熱性および有機溶剤耐性の高いポリイミド系樹脂が好ましい。
樹脂BMを形成する遮光材としては、例えば、黒色有機顔料、混色有機顔料、無機顔料などが挙げられる。黒色有機顔料としては、例えば、カーボンブラック、樹脂被覆カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラックなどが挙げられる。混色有機顔料としては、例えば、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアン等の顔料を混合して、疑似黒色化したものが挙げられる。無機顔料としては、例えば、グラファイト、チタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物などが挙げられる。これらの中でも、チタンブラック、窒化チタン、炭化チタン、カーボンブラックが好ましく、チタンブラックがより好ましい。
樹脂BMは、さらに密着改良剤、高分子分散剤、重合開始剤、酸発生剤、塩基発生剤、界面活性剤等を含有しても構わない。
BMの膜厚は、遮光性と抵抗値を向上させる観点から、0.5μm以上が好ましく、0.8μm以上がより好ましい。一方、平坦性を向上させる観点から、膜厚は2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましい。
平坦化膜は、画素やBMを形成した際に発生する段差を平坦化するために形成される。平坦化膜は、画素やBM上の全面に形成してもよいし、平坦化したい部分を選択的に平坦化するため、パターン形成しても構わない。平坦化膜を画素やBM上の全面に形成する場合は熱硬化性樹脂組成物を用い、パターン形成する場合は感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。
平坦化膜を形成する樹脂としては、樹脂BMを形成する樹脂として例示したものが挙げられる。
平坦化膜は、さらに密着改良剤、重合開始剤、酸発生剤、塩基発生剤、界面活性剤等を含有しても構わない。
平坦化膜の膜厚は、平坦性と画素からの不純物の溶出を抑制する観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。一方、透明性を向上させる観点から、膜厚は3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましい。
フォトスペーサーはカラーフィルター基板とThin Film Transistor(TFT)基板とのギャップを調整するために形成される。
フォトスペーサーを形成する樹脂としては、樹脂BMを形成する樹脂として例示したものが挙げられる。力学特性、透明性、パターン加工性が良好な、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン系樹脂が好ましい。
フォトスペーサーは、フィラーとして無機酸化物微粒子、金属微粒子、樹脂微粒子などを含有してもよく、力学特性を向上させることができる。無機酸化物微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、硫酸バリウム等の微粒子が挙げられる。金属微粒子としては、例えば、金、銀、銅等の微粒子が挙げられる。樹脂微粒子としては、例えば、アクリル、スチレン、シリコーン、フッ素含有ポリマー等の微粒子が挙げられる。
透明電極は、TFT基板の画素電極の対向電極として形成される。液晶ディスプレイにおいては、Vertical Alingnment(VA)方式の場合はCF上への透明電極の形成が必要となるが、In-Plane Switching(IPS)方式やFringe Field Switching(FFS)方式の場合はCF上に透明電極を形成しなくてもよい。
透明電極は、例えば、Indium-Tin-Oxide(ITO)、Indium-Zinc-Oxide(InZnO)などにより形成することが好ましい。
配向膜は、液晶セル中の液晶分子を配向するために形成される。配向膜は、静電気や埃が発生することなく均一な液晶性を実現できることから、光配向法によって形成された光配膜が好ましい。配向膜を形成する樹脂としては、例えば、ポリアミック酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミック酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シロキサン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂は光照射により光異性化が生じる構造部位として、例えば、アゾベンゼン構造、スチルベン構造を含有してもよい。
配向膜は、さらに密着改良剤、重合開始剤、界面活性剤等を含有しても構わない。
配向膜の膜厚は、液晶配向性を向上させる観点から、0.001μm以上が好ましく、0.005μm以上がより好ましい。一方、透明性を向上させる観点から、膜厚は0.5μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましい。
配向膜は、光配向処理やラビング処理が施されていることが好ましい。光配処理はラビング処理に比べて、異物や静電気による表示ムラを抑制することができるため、歩留まりの観点から、光配向処理された配向膜が好ましい。
本発明のカラーフィルター基板は、例えば、基板上に、前述の着色樹脂組成物を塗布し、フォトリソグラフィによりパターン形成した後、加熱処理により硬化させて画素を形成することにより得ることが好ましい。カラーフィルター基板が樹脂BMを有する場合は、画素形成前に、基板上に樹脂BMを形成する組成物を塗布し、パターン形成することが好ましい。カラーフィルター基板が平坦化膜を有する場合は、画素形成後に、平坦化膜を形成する材料を塗布し、必要に応じてパターン加工を行うことが好ましい。
樹脂BMを形成する組成物の塗布方法およびパターン形成方法としては、後述する着色樹脂組成物の塗布方法およびパターン形成方法が挙げられる。なお、樹脂BMを形成する組成物として非感光性の組成物を用いる場合には、フォトレジストを用いたパターニングを行うことが好ましい。得られた樹脂BMを加熱処理してもかまわない。
画素を形成する着色樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーコーティング法が挙げられる。得られた塗布膜を減圧乾燥しても構わない。減圧乾燥する場合、乾燥溶媒が減圧チャンバー内壁に再凝縮することを防ぐために、減圧チャンバー内を100℃以下で加熱することが好ましい。減圧乾燥の圧力は、使用する溶剤の蒸気圧以下が好ましく、1~1000Paが好ましい。減圧乾燥時間は、10~600秒間が好ましい。また、オーブンやホットプレートを用いた加熱乾燥すなわちセミキュアをしても構わない。セミキュアの条件は、感光性樹脂組成物の成分等により適宜選択することができ、加熱温度は60~200℃、加熱時間は1~60分間が一般的である。
塗布膜をフォトリソグラフィによりパターン形成する際、フォトマスクを介して投影露光方式により露光を行うことが好ましい。投影倍率は、1:1投影露光、縮小投影露光のどちらであっても構わない。投影露光方式としては、レンズスキャン露光方式、ミラープロジェクション露光方式、ステッパー露光方式等が挙げられる。これらの中でも、緻密な画素の形成が可能であり、かつ、大面積の基板を短時間で露光できるレンズスキャン露光方式が好ましい。露光に用いられる光としては、例えば、超高圧水銀ランプのg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)、g線h線i線を含んだブロードの波長、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)等が挙げられる。
露光後の塗布膜を、アルカリ現像液により現像することが好ましい。アルカリ現像液としては、有機アルカリ現像液、無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。現像液には現像の均一性を高めるために、界面活性剤を添加することが好ましい。アルカリ性物質の含有量は、未露光部の現像溶解性の観点から、アルカリ現像液中0.02重量%以上が好ましい。一方、露光部のパターン加工性をより向上させる観点から、アルカリ現像液中2.0重量%以下が好ましい。現像液の温度により現像速度が変化するため、現像液温度は18~40℃の範囲で適宜選択することが好ましい。
現像方法としては、例えば、ディップ現像、シャワー現像、パドル現像などが挙げられる。現像液の温度、流量およびシャワー噴射圧力、現像後の水洗温度、流量およびシャワー噴射圧力条件を適宜選択することが好ましい。基板上の残渣を除去するためには、現像液または水洗水を高圧で噴射することが好ましく、噴出圧力は0.01MPa~20MPaが好ましい。
得られた塗布膜パターンを加熱処理することにより硬化させ、画素を得ることができる。加熱処理装置としては、熱風オーブン、ホットプレートなどが挙げられる。加熱温度は180~300℃が好ましく、加熱時間は5~90分間が好ましい。
画素の色毎に作製した着色樹脂組成物を使用して、上記工程を赤色画素、緑色画素および青色画素について順次行うことにより、カラーフィルター基板を作製することができる。なお、各色のパターニング順序は特に限定されない。
配向膜を形成する組成物の塗布方法としては、着色樹脂組成物の塗布方法が挙げられる。得られた塗布膜に、直線偏光された紫外光を0.5~10J/cm2(i線換算)露光し、加熱処理することにより、配向膜を得ることができる。加熱処理装置としては、熱風オーブン、ホットプレートなどが挙げられる。加熱温度は100~300℃が好ましく、加熱時間は5~90分間が好ましい。
本発明のカラーフィルター基板は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置の構成要素とすることができる。
表示装置の一例として、本発明のカラーフィルター基板を有する液晶表示装置の構成を以下に示す。
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルター基板、対向基板を有し、両基板の間に液晶化合物が充填されてなり、バックライトを有する。バックライトとしては、2波長LED、3波長LEDまたはCCFL等が挙げられる。これらの中でも、液晶表示装置の色再現範囲が広く、消費電力を低減できることから、3波長LEDが好ましい。カラーフィルター基板および対向基板上には、液晶配向膜およびセルギャップ保持のためのスペーサーを有してもよい。対向基板上には、薄膜トランジスタ(TFT)素子または薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、ゲート電極または信号線等を有することが好ましい。また、TFTを覆ってSiN等の無機パッシベーション膜やアクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂等の有機パッシベーション膜を有してもよい。パッシベーション膜上には、ITO等の透明電極を有してもよい。更に、カラーフィルター基板のガラス側には偏光板を有することが好ましい。TFT基板のガラス側には、偏光板、輝度向上フィルム、プリズム板、拡散板、導光板、反射板等を有することが好ましい。さらに、ICドライバー等が実装されていることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の製造方法の一例を以下に示す。カラーフィルター基板と対向基板とを、それらの基板上に設けられた液晶配向膜およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼り合わせる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶化合物を注入した後に、注入口を封止する。次に、偏光板、輝度向上フィルム、プリズム板、拡散板、導光板、反射板を貼り付ける。さらに、バックライトを取り付け、ICドライバー等を実装することにより、液晶表示装置を得ることができる。
以下に本発明を実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。まず、各実施例および比較例に用いた成分について説明する。
(アクリル系アルカリ可溶性樹脂溶液(P-1)の合成)
500mLの三口フラスコに、33gのメタクリル酸メチル(0.3mol)、33gのスチレン(0.3mol)、34gのメタクリル酸(0.4mol)、3gの2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(0.02mol)および150gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEA)を仕込み、90℃で2時間撹拌してから内温を100℃に昇温して、さらに1時間撹拌し、反応溶液を得た。得られた反応溶液に、33gのメタクリル酸グリシジル(0.2mol)、1.2gのジメチルベンジルアミン(0.009mol)および0.2gのp-メトキシフェノール(0.002mol)を添加して、90℃で4時間撹拌した後、50gのPGMEAを添加して、固形分濃度40質量%のアクリル系アルカリ可溶性樹脂(P-1)のPGMEA溶液を得た。アクリル系アルカリ可溶性樹脂(P-1)について、電位差自動滴定装置(AT-510;京都電子工業(株)製)を用い、滴定試薬として0.1mol/LのNaOH/EtOH溶液を用いて、「JIS K2501(2003)」に基づき、電位差滴定法により酸価を測定しところ、酸価は80.0(mg/KOH/g)であった。また、GPC分析装置(HLC-8220;東ソー(株)製)を用い、流動層としてTHFを用いてGPC測定を行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めたところ、Mwは22000であった。
(トリメチロールプロパン型グリシジル基含有アクリレート(C-1)の合成)
500mLの三口フラスコに、100gのトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンジグリシジルエーテル、トリメチルロールプロパンモノグリシジルエーテルとの混合物(SR-TMPL;阪本薬品工業(株)製、エポキシ当量:125g/eq)、38gのメタクリル酸(エポキシ樹脂中のグリシジル基1当量に対してアクリル酸0.67当量)および0.1gのp-メトキシフェノール(重合禁止剤)を添加して、90℃で加熱撹拌して均一な混合溶液にした後、0.1gのペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)を添加して、同温度で6時間反応させて、トリメチロールプロパン型グリシジル基含有アクリレート(C-1)を得た。
(平坦化膜形成用樹脂組成物(O-1)の調製)
上記方法により得られた10.5重量部のアクリル系アルカリ可溶性樹脂溶液(P-1)、多官能モノマーである4.20重量部のジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(“カヤキュア”(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製)(以下、「DPHA」)、光重合開始剤である0.42重量部の2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(“イルガキュア”(登録商標)907;BASFジャパン(株)製)(以下、「IC907」)、0.42重量部の1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](“イルガキュア”OXE01;BASFジャパン(株)製)(以下、「OXE01」)、0.42重量部の2,4-ジエチルチオキサントン(“カヤキュア”DETX-S;日本化薬(株)製)(以下、「DETX」)、0.30重量部のビニルトリメトキシシラン(KBM1003;信越化学(株)製)(以下、「KBM1003」)、界面活性剤である0.04重量部の“BYK”(登録商標)-333(ビックケミージャパン(株)製)、重合禁止剤である0.01重量部の2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン(以下、「DOHQ」;和光純薬工業(株)製)および83.69重量部のPGMEAを混合して、平坦化膜形成用樹脂組成物(O-1)を調製した。
次に、各実施例および比較例における黄変抑制の評価方法について説明する。
厚み0.5mmの無アルカリガラス基板上に、スピンコーター(1HD2型;ミカサ(株)製)を用いて、各実施例および比較例により得られた着色樹脂組成物を塗布し、90℃のオーブン(PERFECTOVEN PV-210;ダバイエスペック(株)製)内で10分間セミキュアして塗布膜を得た。このとき、後述する本キュア後の着色画素の色度が、C光源を使用して測定したCIE1931XYZ表色系色度(x、y)においてx=0.139、y=0.080になるように回転数を調整した。
得られた塗布膜を、幅20μmのストライプパターンが開口されたフォトマスク(HOYA(株)製)を介して、1:1投影露光装置(FX66S;(株)ニコン製)により、i線:365nm、h線:405nmおよびg線:436nmの各波長を含む紫外線を照射光として、100mJ/cm2(i線換算)で露光した。このときのi線(365nm)照度は600mW/cm2であった。
次に、0.3重%の水酸化テトラメチルアンモニウムおよび0.3重量%のエマルゲン(登録商標)A-60(花王(株)製)を含有する23℃の水溶液を用い、自動現像装置(AD-2000;ミカサ(株)製)を用いて1分間シャワー現像した後、純水でリンスして風乾し、ストライプパターンを得た。さらに、230℃のオーブン内で30分間本キュアし、硬化を行うことにより、着色画素を作製した。得られた着色画素について、高精細CF基板光学検査装置(LCF-100MA_SF;大塚電子(株)製)を用いて、光源をC光源としてCIE1931XYZ表色系色度(x、y)を測定した。
前記方法により作製した着色画素が形成された基板を、卓上型表面処理装置(SSP16-110;セン特殊光源(株)製)により、800mJ/cm2の露光量(i線換算)で露光し、スピンコーターを用いて、着色画素を覆うように平坦化膜形成用樹脂組成物(O-1)を塗布し、90℃のオーブン内で10分間セミキュアして塗布膜を得た。得られた塗布膜を、フォトマスクを介さないで露光したこと以外は着色画素の形成と同様の条件により露光および現像した。さらに、230℃のオーブン内で30分間本キュアし、硬化を行うことにより、平坦化膜を作製した。本キュア後の平坦化膜厚(下方に着色画素が存在しない部位)は、1.5μmであった。
上記の方法に従って形成した、平坦化膜に覆われた20μmマスク幅に対応した着色画素のストライプパターンについて、高精細CF基板光学検査装置(LCF-100MA_SF;大塚電子(株)製)を用いて、光源をC光源としてCIE1931XYZ表色系色度(Z1)を測定した。
次に、ランプ式UV照射システム(EX250;HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製)のノズル先端を、平坦化膜に覆われた50μmマスク幅に対応した着色画素のストライプパターン表面から5cmの位置に設置し、5.0J/cm2の露光量(i線換算)で露光した。さらに、230℃のオーブン内で30分間加熱後に、試験前に測定した同一箇所を、再度、高精細CF基板光学検査装置により、光源をC光源としてCIE1931XYZ表色系色度(Z2)を測定し、以下の基準により評価した。
◎:87.0≦Z2
○:85.0≦Z2<87.0
×:Z2<85.0
Zの変化量であるΔZ%を△Z%={1-(Z2/Z1)}×100から算出し、以下の基準により評価した。
◎:0.0%≦△Z≦2.5%
○:2.5%<ΔZ≦4.0%
×:4.0%<ΔZ。
(実施例1)
顔料である16.32重量部のPB15:6(“リオノール”(登録商標)ブルー 7602;東洋インキ(株)製)、2.88重量部の前記構造式(4)で表されるキサンテン系染料、高分子分散剤である6.20重量部のDisper“BYK”(登録商標)102(ビックケミージャパン(株)製)、前記方法により得られた83.01重量部のアクリル系アルカリ可溶性樹脂溶液(P-1)(固形分濃度40重量%のPGMEA溶液)、121.59重量部のPGMEA、270重量部のダイアセトンアルコールを混合し、ジルコニアビーズが充填されたミル型分散機を用いて分散して、顔料分散液(b-1)を得た。
500重量部の顔料分散液(b-1)、エチレン性不飽和基を有するモノマーである3.30重量部のトリメチロールプロパン型グリシジル基含有アクリレート、29.90重量部のペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの重量比55/45の混合物(“NKエステル”(登録商標)A-TMM-3L;新中村化学工業(株)製)、光重合開始剤である1.33重量部の前記構造式(7)で表される化合物(B-1)、1.99重量部の2,4-ジエチルチオキサントン(“カヤキュア”(登録商標)DETX-S;日本化薬(株)製)、硬化助剤である0.66重量部の前記構造式(8)で表される化合物、0.81重量部の前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物(“ホスタビン”(登録商標)N30;クラリアントケミカルズ(株)製)、密着改良剤である3.00重量部のビニルトリメトキシシラン(KBM1003;信越化学(株)製)、界面活性剤である0.40重量部の“BYK”(登録商標)-333(ビックケミージャパン(株)製)および458.61重量部のPGMEAを混合して、着色樹脂組成物-1を調製した。
(実施例2~13、比較例1~4)
各成分の種類および量を表1~4のように変更した以外は、実施例と同様の方法で、着色樹脂組成物-2~17を調製した。
各実施例および比較例の組成の一部および評価結果を表1~4に示す。なお、表1~4において、各成分は次の通りである。
A-1:一般式(3)で表される化合物(“ホスタビン”(登録商標)N30;クラリアントケミカルズ(株)製)
A-2:一般式(1)で表される部分構造を有する化合物(7-オキサ-3.20-ジアゾジスピロ[5.1.11.2]ヘンエイコサン-20-プロパン酸,2,2,4,4-テトラメチル-21-オキソ-,ドデシルエステル/テトラデシルエステル(“ホスタビン”(登録商標)3050;クラリアントケミカルズ(株)製))
A-3:一般式(2)で表される部分構造を有する化合物(7-オキサ-3.20-ジアゾジスピロ[5.1.11.2]ヘンエイコサン-20-プロパン酸,2,2,4,4-テトラメチル)
A-4:N-(1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-2-ドデシル-スクシンイミド(“ホスタビン”(登録商標)3058;クラリアントケミカルズ(株)製)
A-5:デカンジカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-1-オクトキシ-4-ピペリジノールとのジエステル化合物と1,1-ジメチルエチルヒドロパーオキシドとオクタンとの反応生成物(“Tinuvin”(登録商標)123;BASFジャパン(株)製)
A-6:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート(“Tinuvin”(登録商標)765;BASFジャパン(株)製)
B-1:構造式(7)で表される化合物
B-2:“IRGACURE”(登録商標)OXE-1;BASFジャパン(株)製
B-3:“オプトマー”(登録商標)NCI-930;(株)ADEKA製
B-4:2,4-ジエチルチオキサントン(“カヤキュア”(登録商標)DETX-S;日本化薬(株)製
C-1:トリメチロールプロパン型グリシジル基含有アクリレート
C-2:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの質量比55/45の混合物(“NKエステル”(登録商標)A-TMM-3L;新中村化学工業(株)製)
P-1:アクリル系アルカリ可溶性樹脂
D-1:構造式(8)で表される化合物(TS-G:四国化成(株))
D-2:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(“カレンズMT”(登録商標)PE-1;昭和電工(株)製)
E-1:PB15:6(“リオノール”(登録商標)ブルー 7602;東洋インキ(株)製)
E-2:構造式(4)で表されるキサンテン系染料
F-1:Disper“BYK”(登録商標)102(ビックケミージャパン(株)製)
G-1:ビニルトリメトキシシラン(KBM1003;信越化学(株)製)
H-1:“BYK”(登録商標)-333(ビックケミージャパン(株)製)