JP7034525B2 - ナルフラフィン含有口腔内崩壊錠 - Google Patents

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Description

本発明は、ナルフラフィン含有口腔内崩壊錠に関し、より詳しくは、ナルフラフィンの安定性を確保しつつ別途の被覆層を設けることなく適切な硬度及び摩損度を保持し且つ口腔内で速やかに崩壊するナルフラフィン含有口腔内崩壊錠に関する。
血液透析患者にとって難治性そう痒症は耐えられないほどの苦痛を誘発する。血液透析患者は中枢性感覚調節異常、腎臓機能障害、皮膚乾燥などによってそう痒症を病んでおり、一般的に血液透析患者の35%以上がそう痒症を病んでいると報告されている。
ナルフラフィン(Nalfurafine)は、このような重症の血液透析患者のそう痒症を治療するための薬物であって、κオピオイド受容体に選択的に作用して既存の抗ヒスタミン剤及び抗アレルギー薬物では効きにくい末期腎臓疾患の血液透析患者に現われる尿毒症性そう痒症を有効に抑制すると知られている。ナルフラフィンは、日本とヨーロッパで実施された臨床によれば、かゆみ症に対する効果が確認され、1年以上の長期投与でも安全であるのみならず、耐性や習慣性及び依存性はないと報告されている。
一方、腎臓機能が顕著に低下している血液透析患者は、体内に溜まっている大部分の水分を血液透析という方法にて除去しなければならない。このため、血液透析患者は制限的に水を摂らなければならない。よって、少量の水でも摂り量を減らすためには、既存の製剤の服用方法を改善する必要がある。
ナルフラフィン製剤としては、軟質カプセル型のレミッチ(Remitch)が市販中である。しかし、軟質カプセル製剤は水とともに服用しなければならない短所をもっている。そこで、ナルフラフィンを口腔内崩壊錠の形態に製剤化する必要がある。
しかし、口腔内崩壊錠は、錠剤に比べて速やかな崩壊速度を追求していることから低い硬度を有し摩損度が高くて崩れ易く、取り扱いの面でも容易ではないという短所をもっている。
また、ナルフラフィンは、熱、光、酸素、水分に対して化学的に不安定である。そのため、口腔内崩壊錠として剤形化した場合、保存時は低温保存、遮光及び不活性ガス置換などの手段を講じる必要がある。
このような剤形の特性やナルフラフィン薬物の不安定な特性のため、大韓民国登録特許第10-1682965号ではポリビニルアルコール系樹脂を用いて被覆層を形成することで摩損度を改善した口腔内崩壊錠を製造する方法を提示したことがあり、当該方法にて製造された口腔内崩壊錠はレミッチOD(Remitch OD)という商品名で市販中である。しかし、当該方法は、製造工程の際に被覆層の形成のためにコーティングを行う必要があるという不具合がある。
本発明の目的は、ナルフラフィンの安定性を確保しつつ別途の被覆層を設けることなく適切な硬度及び摩損度を保持し且つ口腔内で速やかに崩壊するナルフラフィン含有口腔内崩壊錠を提供することである。
本発明の他の目的は、前記ナルフラフィン含有口腔内崩壊錠の製造方法を提供することである。
一方で、本発明は、ナルフラフィン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、抗酸化剤としてのトコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、及び可溶化剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含有する口腔内崩壊錠を提供する。
もう一方で、本発明は、
(i)ナルフラフィン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、トコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、及びラウリル硫酸ナトリウムを溶媒に溶解させてナルフラフィン含有溶液を得るステップ;
(ii)前記ナルフラフィン含有溶液を湿式顆粒化して顆粒物を収得するステップ;及び
(iii)前記顆粒物を打錠するステップを含む口腔内崩壊錠の製造方法を提供する。
本発明によるナルフラフィン含有口腔内崩壊錠は、ナルフラフィンの安定性を確保しつつ別途の被覆層を設けることなく適切な硬度及び摩損度を保持することができる。また、本発明によるナルフラフィン含有口腔内崩壊錠は、口腔内で速やかに崩壊し且つ異物感を残さない。
したがって、本発明によるナルフラフィン含有口腔内崩壊錠は、製造工程が単純化でき、且つ患者の水分攝取を減らすことができるため血液透析患者のそう痒症の治療に有利に適用可能である。
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明の一実施形態は、ナルフラフィン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、抗酸化剤としてのトコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、及び可溶化剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含有する口腔内崩壊錠に関するものである。
本発明の一実施形態において、前記ナルフラフィンは、有効成分として、遊離塩基、薬学的に許容可能な塩、水和物、ラセミ体、エナンチオマー、同質異像体又は溶媒和物などの形態で用いられてよい。前記薬学的に許容可能な塩としては、塩酸塩、臭素酸塩、臭化水素酸塩、ハイドロアイオダイド、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸の塩;及びマレイン酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸の塩を例に挙げられる。好ましくは、ナルフラフィン塩酸塩を用いてよい。
前記ナルフラフィンの含有量は、2.5~5.0μg、特に2.5μgが好ましく、1日の最大用量は、1日1回、5μgである。
前記ナルフラフィン、特にナルフラフィン塩酸塩は、引湿が強く水分や光に対する安定性が良くないため、口腔内崩壊錠としての剤形化が容易ではない。
しかし、本発明の一実施形態によるナルフラフィン含有口腔内崩壊錠は、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、抗酸化剤としてのトコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、及び可溶化剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含有することで、ナルフラフィン、特にナルフラフィン塩酸塩の安定性を確保することができる。
本発明の一実施形態において、前記メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体は、ナルフラフィンを均一に分散させることができ、且つ安定化剤、結合剤及びコーティング基剤の役割をすることでナルフラフィンの安定性を向上させる役割をする。
前記メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体は、低いpH溶液では高い溶解度を示し、高いpH溶液では低い溶解度を示す特徴を有する。
前記メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体は、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して4~20重量%の量で含有されてよい。前記メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体が4重量%未満の量で含有されると、ナルフラフィンの安定性増加効果が発揮できないことがあり、また20重量%超過の量で含有されると、前記メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体が製剤で占める重量比が増加するため、製剤の全体重量に対して他の成分の使用量が不足することがある。
本発明の一実施形態において、前記トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートは、抗酸化剤としての役割をし、且つメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体及び後述するラウリル硫酸ナトリウムと共にナルフラフィンの安定性を向上させることができる。
前記トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートは、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して0.5~4重量%、好ましくは、1.5~4重量%の量で含有されてよい。前記トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートが0.5重量%未満の量で含有されると、安定化効果が発揮できないことがあり、また4重量%超過の量で含有されると、口腔内崩壊錠の崩壊速度が遅くなることがある。
本発明の一実施形態において、前記ラウリル硫酸ナトリウムは、可溶化剤としての役割をし、且つ上述したメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体及びトコフェロールポリエチレングリコールサクシネートと共にナルフラフィンの安定性を向上させることができる。
前記ラウリル硫酸ナトリウムは、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して0.7~4重量%の量で含有されてよい。前記ラウリル硫酸ナトリウムが0.7重量%未満の量で含有されると、溶出率が低下することがあり、また4重量%超過の量で含有されると、錠剤の崩壊が遅延することがある。
本発明の一実施形態に係る口腔内崩壊錠は、薬剤学的に許容可能な添加剤を更に含んでよい。口腔内崩壊錠の特性上、錠剤が速やかに崩壊する必要があるため、口腔内崩壊錠に適合した添加剤を用いることが好ましい。
前記薬剤学的に許容可能な添加剤としては、賦形剤、吸着剤、崩壊剤、可塑剤、滑沢剤、安定化剤、甘味剤、結合剤、保存剤、充填剤、発泡剤、希釈剤、増粘剤、溶剤、等張化剤、緩衝剤、基剤などが挙げられる。
前記賦形剤は、打錠の容易性を向上させ且つ口腔内崩壊錠の形態を保持する役割をする。
前記賦形剤としては、崩壊を早め且つ口腔内で異物感を感じさせない賦形剤を用いることが好ましい。具体的に、前記賦形剤としては、α化澱粉、ラクトース、デキストロース、スクロース、マルトース、とうもろこし澱粉、マンニトール-とうもろこし澱粉などを単独で又は2種以上混合して用いてよく、特にマンニトールにとうもろこし澱粉が混合されているマンニトール-とうもろこし澱粉を賦形剤として用いることが好ましい。前記マンニトール-とうもろこし澱粉は風味が良く安定性に優れ且つ崩壊し易くする。
前記賦形剤は、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して50~80重量%、好ましくは、50~75重量%の量で含有されてよい。前記賦形剤が50重量%未満の量で含有されると、顆粒物の密度が低くなることがあり、また80重量%超過の量で含有されると、製剤で占める重量比が増加するため、製剤の全体重量に対して他の成分の使用量が不足することがある。
前記吸着剤は、口腔内崩壊錠の製造に用いられる混合物の流動性を改善させる役割をし、溶媒を吸着する性質を持っている。前記吸着剤としては、無水リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム、ケイ酸カルシウムなどを用いてよく、特にケイ酸カルシウムを用いることが好ましい。
前記吸着剤は、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して1~11重量%の量で含有されてよい。前記吸着剤が11重量%超過の量で含有されると、顆粒化し難いことがある。
前記崩壊剤は、錠剤の内部に水分を浸透させて崩壊を促進させる役割をする。前記崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどを用いてよく、特に低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。
前記崩壊剤は、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して9~18重量%の量で含有されてよい。前記崩壊剤が9重量%未満の量で含有されると、口腔内崩壊が遅延することがあり、また18重量%超過の量で含有されると、錠剤のマトリックスが直ぐ崩れる現象が生じることがある。
前記可塑剤は、前記メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体のスムーズな溶解を促進する役割をする。前記可塑剤としては、流動点が-10℃以下のクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチンなどを単独で又は2種以上混合して用いてよく、特にクエン酸トリエチルを用いることが好ましい。
前記可塑剤は、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して0.4~2重量%の量で含有されてよい。前記可塑剤が0.4重量%未満の量で含有されると、含量及び含量の均一性が低く示されることがあり、また2重量%超過の量で用いると、錠剤の安定性が低くなることがある。
前記滑沢剤は、粉粒体の流動性を向上させて打錠機の下部であるダイ(die)への充填性を増加させて、粉粒体相互の間及び粉粒体と打錠機の上部であるポンチ(punch)-ダイ(die)間の摩擦を低減させ、錠剤の圧縮及び放出を容易にする役割をする。前記滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどを用いてよく、特にフマル酸ステアリルナトリウムを用いた場合、錠剤の硬度が増加し且つ所望の崩壊及び溶出データを得ることができるため好ましい。
前記滑沢剤は、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して0.5~5重量%の量で含有されてよい。前記滑沢剤が0.5重量%未満の量で含有されると、打錠し難くなることがあり、また5重量%超過の量で含有されると、錠剤の崩壊が遅延することがある。
本発明の一実施形態に係るナルフラフィン含有口腔内崩壊錠は、大韓民国藥典の崩壊試験法によって水で1分以内で崩壊でき、且つ市販製品(レミッチOD)よりも高い安定性を示す。
本発明の一実施形態は前記口腔内崩壊錠の製造方法に関するものであって、本発明の製造方法は、
(i)ナルフラフィン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、トコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、及びラウリル硫酸ナトリウムを溶媒に溶解させてナルフラフィン含有溶液を得るステップ;
(ii)前記ナルフラフィン含有溶液を湿式顆粒化して顆粒物を収得するステップ;及び
(iii)前記顆粒物を打錠するステップを含む。
本発明の一実施形態において、前記ステップ(i)は、顆粒物の製造のためのナルフラフィン含有溶液を得るステップである。
前記ステップ(i)において、溶媒としては、当該成分をすべて溶解し得るものであれば該溶媒の種類は特に制限されない。特に、前記溶媒としては、エタノールと水との混合溶媒を用いてよい。前記エタノールと水との混合溶媒は、好ましくは、水1重量部に対してエタノール4~5重量部を含んでなるものであってよい。前記混合割合の範囲で優れた可溶性を示すことができる。
前記ステップ(i)において、可塑剤を更に溶媒に溶解させてナルフラフィン含有溶液を得てよい。
前記ステップ(ii)は、ナルフラフィン含有溶液を湿式顆粒化するステップである。
前記ステップ(ii)において、前記ナルフラフィン含有溶液は、賦形剤、吸着剤、及び崩壊剤の混合物と湿式顆粒化されてよい。このような湿式顆粒化方式により、ナルフラフィンが1次的にメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体中に均一に分散してコーティングされた状態で、2次的に賦形剤、吸着剤、及び崩壊剤の混合物中に均一に分散することができる。これにより、口腔内崩壊錠が速やかな崩壊速度を示し、且つ優れた安定性、特に水分や光に対する高い安定性を示すことができる。
前記ステップ(ii)は、スピードミキサーを使用して行ってよい。撹拌羽根の速度は2L基準で200~300rpmに調節してよい。
本発明の一実施形態において、前記ステップ(iii)は、前記顆粒物を打錠するステップであって、通常の打錠方法を用いて行ってよい。
前記ステップ(iii)において、顆粒物と共に薬剤学的に許容可能な添加剤を更に用いてよい。
以下、実施例、比較例及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例、比較例、及び試験例は単に本発明を説明するためのもので、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないことは当業者にとって自明である。
実施例1~3及び比較例1:高分子の有無及び割合によるナルフラフィン含有口腔内崩壊錠の製造
下記の表1の組成にて下記の方法に従いナルフラフィン含有口腔内崩壊錠を製造した(単位:重量部)。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、クエン酸トリエチル、トコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、ラウリル硫酸ナトリウム、及びナルフラフィンを水とエタノールとの混合溶媒(1:4、w/w)に溶解させた後、前記溶液をスピードミキサーを用いて賦形剤、吸着剤及び崩壊剤の混合物と湿式顆粒化した後、流動層造粒機で乾燥して顆粒物を得た。
前記顆粒物を所定の粒径に整粒してから残りの添加剤と混合し打錠して、口腔内崩壊錠を製造した。
Figure 0007034525000001
実験例1:高分子の有無及び割合による安定性評価
メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体の有無及び割合による安定性を調べるために、実施例1~実施例3と比較例1のナルフラフィン含有口腔内崩壊錠に対して下記のように安定性試験を行った。
実施例1~3と比較例1で製造されたナルフラフィン含有口腔内崩壊錠をアルミニウムパウチで封止し70℃で7日間保存後、口腔内崩壊錠中の薬物の含量を超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)で測定し、残存率を算出して安定性を評価した。
その結果を下記の表2に表した。
Figure 0007034525000002
前記表2から、高分子としてメタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体を含有する実施例1~3の口腔内崩壊錠は、薬物残存率が高くナルフラフィンの安定性に優れていることを確認した。しかし、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体を含有しない比較例1の口腔内崩壊錠は、薬物残存率が非常に低くナルフラフィンの安定性が大きく低下することを確認した。また、実施例1~3から、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体の割合が増加するにつれてナルフラフィンの安定性が増加することが分かった。
実施例4~6及び比較例2:抗酸化剤の有無及び割合によるナルフラフィン含有口腔内崩壊錠の製造
下記の表3の組成にて前記実施例1と同様な方法に従いナルフラフィン含有口腔内崩壊錠を製造した(単位:重量部)。
Figure 0007034525000003
実験例2:抗酸化剤の有無及び割合による安定性評価
トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートの有無及び割合による安定性を調べるために、実施例4~実施例6と比較例2のナルフラフィン含有口腔内崩壊錠に対して下記のように安定性試験を行った。
実施例4~実施例6と比較例2で製造されたナルフラフィン含有口腔内崩壊錠をアルミニウムパウチで封止し70℃で7日間保存後、口腔内崩壊錠の中の薬物の含量を超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)で測定し、残存率を算出して安定性を評価した。
その結果を下記の表4に表した。
Figure 0007034525000004
前記表4から、抗酸化剤としてトコフェロールポリエチレングリコールサクシネートを添加した実施例4~6の口腔内崩壊錠は、薬物残存率が高くナルフラフィンの安定性に優れていることを確認した。しかし、トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートを含有しない比較例2の口腔内崩壊錠は、薬物残存率が非常に低くナルフラフィンの安定性が大きく低下することを確認した。また、実施例4~6から、トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートの割合が増加するにつれてナルフラフィンの安定性が増加することが分かった。
実施例7~8及び比較例3:可溶化剤の有無及び割合によるナルフラフィン含有口腔内崩壊錠の製造
下記の表5の組成にて前記実施例1と同様な方法に従いナルフラフィン含有口腔内崩壊錠を製造した(単位:重量部)。
Figure 0007034525000005
実験例3:可溶化剤の有無及び割合による安定性評価
ラウリル硫酸ナトリウムの有無及び割合による安定性を調べるために、実施例7~実施例8と比較例3のナルフラフィン含有口腔内崩壊錠に対して下記のように安定性試験を行った。
実施例7~実施例8と比較例3で製造されたナルフラフィン含有口腔内崩壊錠をアルミニウムパウチで封止し70℃で7日間保存後、口腔内崩壊錠中の薬物の含量を超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)で測定し、残存率を算出して安定性を評価した。
その結果を下記の表6に表した。
Figure 0007034525000006
前記表6から、可溶化剤としてラウリル硫酸ナトリウムを添加した実施例7~8の口腔内崩壊錠は、薬物残存率が高くナルフラフィンの安定性に優れていることを確認した。しかし、ラウリル硫酸ナトリウムを含有しない比較例3の口腔内崩壊錠は、薬物残存率が非常に低くナルフラフィンの安定性が大きく低下することを確認した。また、実施例7~8から、ラウリル硫酸ナトリウムの割合が増加するにつれてナルフラフィンの安定性が増加することが分かった。
実験例4:対照薬レミッチODとの安定性比較
対照薬と安定性を比較するために、70℃でそれぞれの製剤をPTP/Alu及びAlu/Aluで包んで安定性試験を行った。初期、7日目、20日目にわたって製剤中の薬物の含量を超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)で測定し、残存率を算出して安定性を評価した。
その結果を下記の表7に表した。
Figure 0007034525000007
前記表7から、対照薬に比べて実施例4~6の口腔内崩壊錠は残存率が高く顕著に優れた安定化効果を示した。前記結果から、高分子、抗酸化剤、及び可溶化剤の添加によって安定性が増加することを確認することができる。
実験例5:加速条件における安定性評価
実施例4~6と比較例1~2の口腔内崩壊錠に対し、40℃加速保存試験条件にて保管しながら所定の期間毎に10錠に対して含量試験を実施した。
その結果を下記の表8に表した。
Figure 0007034525000008
前記表8から、実施例4~6の口腔内崩壊錠は初期の結果値が1ヶ月まで保持できたが、比較例1~2の口腔内崩壊錠は1ヶ月間も初期結果値が保持できなかった。6ヶ月後、実施例5及び6の口腔内崩壊錠が最も優れた安定性を示した。
実施例9:安定性を確保したナルフラフィン含有口腔内崩壊錠の製造
前記実施例1~8の口腔内崩壊錠の安定性試験結果を基に安定性を確保したナルフラフィン含有口腔内崩壊錠を、下記の表9の組成にて前記実施例1と同様な方法に従い製造した(単位:重量部)。
Figure 0007034525000009
実験例6:口腔内及び水での崩壊時間の比較
前記製造された実施例4~6及び9の口腔内崩壊錠に対し、口腔内及び水での崩壊時間を対照薬と比較した。口腔内崩壊時間は健康な成人男性及び女性からなる5人の測定者によって測定され、水での崩壊時間は大韓民国藥典の崩壊試験法によって測定された。
その結果を下記の表10に表した。
Figure 0007034525000010
前記表10から、実施例4の口腔内崩壊錠は、対照薬に比べて早い口腔内崩壊時間を示し、実施例5、6及び9の口腔内崩壊錠は、対照薬と類似の口腔内崩壊時間を示すことを確認することができる。
実験例7:保管条件による経時変化の比較
前記製造された実施例9の口腔内崩壊錠と対照薬をそれぞれ保管条件を異ならせて保管した後、錠剤硬度及び水での崩壊時間を比較した。
その結果を下記の表11に表した。
Figure 0007034525000011
前記表11から、実施例9の口腔内崩壊錠は、対照薬に比べて、初期硬度に対して硬度変化が小さいことを確認することができる。また、対照薬は崩壊時間が増加するのに対し、実施例9の口腔内崩壊錠は初期の崩壊時間から減少して保持できた。
実験例8:錠剤摩損度の評価
前記製造された実施例9の口腔内崩壊錠に対して摩損度を測定した。実施例9の口腔内崩壊錠の硬度は3.5kpであり、公知の口腔内崩壊錠の摩損度測定方法(Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. Vol. 32(2006) No.6 P511-516)によって摩損度を測定した。
その結果を下記の表12及び表13に表した。
Figure 0007034525000012
Figure 0007034525000013
前記表12及び表13から、3.5kpの錠剤硬度を有する実施例9の口腔内崩壊錠は、摩損度が0.1%以下と低いことが分かる。
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。

Claims (14)

  1. ナルフラフィン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、抗酸化剤としてのトコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、及び可溶化剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含有する、口腔内崩壊錠。
  2. 前記ナルフラフィンは、遊離塩基、薬学的に許容可能な塩、水和物、ラセミ体、エナンチオマー、同質異像体又は溶媒和物の形態である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  3. 前記ナルフラフィンの薬学的に許容可能な塩は、ナルフラフィン塩酸塩である、請求項2に記載の口腔内崩壊錠。
  4. 前記メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体は、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して4~20重量%の量で含有される、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  5. 前記トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートは、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して0.5~4重量%の量で含有される、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  6. 前記トコフェロールポリエチレングリコールサクシネートは、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して1.5~4重量%の量で含有される、請求項5に記載の口腔内崩壊錠。
  7. 前記ラウリル硫酸ナトリウムは、口腔内崩壊錠の全体100重量%に対して0.7~4重量%の量で含有される、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  8. 賦形剤、吸着剤、崩壊剤、可塑剤、及び滑沢剤からなる群より選ばれる一種以上を更に含有する、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  9. 前記賦形剤は、マンニトール-とうもろこし澱粉を含む、請求項8に記載の口腔内崩壊錠。
  10. 前記可塑剤は、クエン酸トリエチルを含む、請求項8に記載の口腔内崩壊錠。
  11. (i)ナルフラフィン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、トコフェロールポリエチレングリコールサクシネート、及びラウリル硫酸ナトリウムを溶媒に溶解させてナルフラフィン含有溶液を得るステップ;
    (ii)前記ナルフラフィン含有溶液を湿式顆粒化して顆粒物を収得するステップ;及び
    (iii)前記顆粒物を打錠するステップを含む、口腔内崩壊錠の製造方法。
  12. 前記ステップ(i)において溶媒は、エタノールと水との混合溶媒である、請求項11に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  13. 前記ステップ(i)において可塑剤を更に溶媒に溶解させてナルフラフィン含有溶液を得る、請求項11に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  14. 前記ステップ(ii)において前記ナルフラフィン含有溶液を賦形剤、吸着剤、及び崩壊剤の混合物と湿式顆粒化して顆粒物を収得する、請求項11に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
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