JP7033624B2 - シランカップリング剤及びシリコーンエラストマーを含むポリアリーレンスルフィド組成物 - Google Patents

シランカップリング剤及びシリコーンエラストマーを含むポリアリーレンスルフィド組成物 Download PDF

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Description

[0001]本出願は、2012年4月13日の出願日を有する米国仮特許出願61/623,664(その全部を参照として本明細書中に包含する)の出願の利益を主張する。
[0002]ポリアリーレンスルフィドは、高い熱的、化学的、及び機械的応力に耐えることができ、広範囲の用途において有益に用いられている高性能ポリマーである。ポリアリーレンスルフィドは、しばしば製品組成物の特性を向上させるために他の材料とブレンドしている。例えば、ポリアリーレンスルフィドは、しばしば強度及びスティフネスを増加させるためにガラス又は無機充填剤のような充填剤を配合している。しかしながら、かかる組成物はなお非常に剛性であり、これにより組成物の用途が限定される。より高い可撓性を有するポリアリーレンスルフィド組成物を形成する試みにおいて、エラストマー耐衝撃性改良剤をポリアリーレンスルフィド組成物中に含ませている。かかるブレンドは、組成物の可撓性、伸び、及び耐衝撃性を向上させる意図で形成されている。
[0003]残念なことに、エラストマー耐衝撃性改良剤を含ませると幾つかの特性において多少の向上が与えられたが、ポリアリーレンスルフィド組成物の他の望ましい特性が悪化した。例えば、オレフィン又はアクリレートラバーをポリアリーレンスルフィド組成物に含ませると、幾つかの機械的及び熱的特性、並びにそれらを含ませるポリアリーレンスルフィドの耐化学薬品性及び難燃性に悪影響を与える可能性がある。更に、耐衝撃性の改良のために有用であると一般的に考えられているポリマーは、しばしばポリアリーレンスルフィドと相溶性でなく、相分離によって2つの層を含む組成物が形成されるという問題があった。例えば相溶化剤を用いることによって組成物形成を向上させる試みが行われている。しかしながら、かかる変性を行っても、ポリアリーレンスルフィドをエラストマー耐衝撃性改良ポリマーと組み合わせて含む組成物は、特に高い耐熱性及び高い耐衝撃性の両方を必要とする用途において望まれる可能性がある製品性能を与えることは未だ成功していない。
[0004]改良された特性、特に耐熱特性と耐衝撃特性の組み合わせを示して、種々の用途において用いるのに好適な製品を与えるポリアリーレンスルフィド組成物が当該技術において必要である。
[0005]一態様によれば、ポリアリーレンスルフィド、シランカップリング剤、及びシリコーンエラストマーを含む組成物が開示される。本組成物は、ISO試験No.527(ASTM-D638と技術的に同等である)にしたがって23℃において測定して約3000MPaより大きい引張弾性率などの優れた物理特性を示すことができる。本組成物はまた、耐熱性及び難燃性のような優れた熱的特性も示すことができる。例えば、本組成物は、0.2mmの厚さにおいてUNDERWRITERS LABORATORIES, INC. (Northbrook, III)によって公開されたV-0燃焼性標準規格を満足することができる。
[0006]また、複合体を形成する方法も開示される。この方法には、ポリアリーレンスルフィドを、シランカップリング剤及びシリコーンエラストマーと共に溶融加工することを含ませることができる。カップリング剤は、ポリアリーレンスルフィドをシリコーンエラ
ストマーに結合させて、その場で相溶化剤を有効に形成することができる。
[0007]本組成物は、限定なしに、繊維及び不織繊維マットのような繊維製品、自動車部品、電気部品、並びに石油及びガスパイプラインのような高温用途において用いることができる管状部材のような製品を形成するのに有益に用いることができる。
[0008]本発明は以下の図面を参照してより良好に理解することができる。
[0009]図1は、ポリアリーレンスルフィド組成物の繊維を形成するのに用いることができる延伸繊維形成方法を示す。 [0010]図2は、ポリアリーレンスルフィド組成物のメルトブローン繊維を形成するための形成方法を示す。 [0011]図3は、本明細書に記載するポリアリーレンスルフィド繊維を含ませることができる繊維マットを示す。 [0012]図4は、ポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができる管状部材を示す。 [0013]図5は、その1以上の層をポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができる多層管状部材である。 [0014]図6は、ポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができる燃料タンクを示す。 [0015]図7は、ポリアリーレンスルフィド組成物を外装材料として含ませた外装電線(図7A)及び外装ケーブル(図7B)を示す。 [0016]図8は、ポリアリーレンスルフィド組成物を含ませることができるポータブルコンピューターを示す。 [0017]図9は、図8のポータブルコンピューターの他の図を示す。
[0018]本議論は代表的な態様のみの記載であり、本発明のより広い形態を限定することは意図しないことが当業者によって理解される。
[0019]本発明は、概して、ポリアリーレンスルフィド、シランカップリング剤、及びシリコーンエラストマーを含むポリアリーレンスルフィド組成物に関する。有益には、本組成物には比較的少量のシランカップリング剤を含ませることができ、これによってポリアリーレンスルフィド組成物に対して非常に有益な改良をなお与えながら製造コストを低く抑えることができる。本発明はまた、組成物を形成する方法、並びに組成物を有益に用いることができる用途にも関する。
[0020]特定の成分、即ちポリアリーレンスルフィド、シランカップリング剤、及びシリコーンエラストマーの組み合わせによって、形成される組成物は、従来公知のポリアリーレンスルフィド組成物と比較して、強度及び耐熱性の両方の点で向上した特性を示すことができる。したがって、本ポリアリーレンスルフィド組成物は、限定なしに、自動車部品、高温及び/又は可燃性の流体について用いることができる貯蔵容器及び配管、例えば石油及びガスパイプライン、電線及びケーブルの外装などの広範囲の種々の用途、並びに組成物から形成される繊維、フィラメント、及びフィルムのような押出、延伸、又は紡糸物品を用いることができる他の用途において有利に用いることができる。
[0021]ポリアリーレンスルフィド組成物の改良された特性は、組成物の1以上の物理特性を測定することによって確認することができる。例えば、引張弾性率は、約3000MPaより大きく、または約3050MPaより大きくすることができ、引張破断応力は、
約42MPaより大きく、又は約43MPaより大きくすることができる。引張破断歪みは、約3%未満、または約2%未満にすることができる。引張り強さ特性は、ISO試験No.527(ASTM-D638と技術的に同等である)にしたがって測定することができる。ノッチなしアイゾッド衝撃強さは、ISO試験No.180/1Uにしたがって測定して約1.7kJ/m未満、または約1.6kJ/m未満にすることができる。
[0022]本ポリアリーレンスルフィド組成物はまた、良好な耐熱性及び難燃特性も示すことができる。例えば、本ポリアリーレンスルフィド組成物は、0.2ミリメートルの厚さにおいてV-0燃焼性標準規格を満足することができる。難燃有効性は、"Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances", 5版, 1996年10月29日のUL94垂直燃焼試験手順にしたがって測定することができる。UL94試験
による等級を下表にまとめる。
Figure 0007033624000001
[0023]「残炎時間」は、総残炎時間(試験した全ての試料の総計値)を試料の数で割ることによって求められる平均値である。総残炎時間は、UL-94VTM試験において記載されているように炎の2回の別々の適用後に全ての試料が発火状態を維持する時間(秒)の合計である。より短い時間は、より良好な難燃性、即ち炎がより速く消失したことを示す。V-0の等級に関しては、5つの試料(それぞれに炎の2回の適用を与える)に関する総残炎時間は50秒間を超えてはならない。本発明の難燃剤を用いると、物品は0.8ミリメートルの厚さを有する試験片に関して少なくともV-1の等級、通常はV-0の等級を達成することができる。
[0024]ポリアリーレンスルフィドは、式(I):
Figure 0007033624000002
(式中、Ar、Ar、Ar、及びArは、同一か又は異なり、6~18個の炭素原子のアリーレン単位であり;W、X、Y、及びZは、同一か又は異なり、-SO-、-S-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、又は1~6個の炭素原子のアルキレン若しくはアルキリデン基から選択される二価の連結基であり、連結基の少なくとも1つは-S-であり;そして、n、m、i、j、k、l、o、及びpは、独立して、0、又は1、2、3、若しくは4であり、但しこれらの合計は2以上である)
の繰り返し単位を含むポリアリーレンチオエーテルであってよい。アリーレン単位のAr、Ar、Ar、及びArは、選択的に置換又は非置換であってよい。有利なアリ
ーレン系は、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセン、及びフェナントレンである。ポリアリーレンスルフィドは、通常は約30モル%より多く、約50モル%より多く、又は約70モル%より多いアリーレンスルフィド(-S-)単位を含む。一態様においては、ポリアリーレンスルフィドは、少なくとも約85モル%の、2つの芳香環に直接結合しているスルフィド連結基を含む。
[0025]一態様においては、ポリアリーレンスルフィドは、本発明においてその成分としてフェニレンスルフィド構造:-(C-S)-(式中、nは1以上の整数である)を含むものとして定義されるポリフェニレンスルフィドである。
[0026]ポリアリーレンスルフィドは、ポリアリーレンスルフィド組成物を形成する前に合成することができるが、これはプロセスの必須要件ではなく、ポリアリーレンスルフィドは公知の供給業者から購入することもできる。例えば、Florence, Kentucky,米国のTiconaから入手できるFortron(登録商標)ポリフェニレンスルフィドを購入してポリアリーレンスルフィドとして用いることができる。
[0027]ポリアリーレンスルフィドの製造において用いることができる合成技術は当該技術において一般的に知られている。一例として、ポリアリーレンスルフィドを製造する方法には、ヒドロスルフィドイオンを与える材料、例えばアルカリ金属硫化物を、有機アミド溶媒中でジハロ芳香族化合物と反応させることを含ませることができる。
[0028]アルカリ金属硫化物は、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、又はこれらの混合物であってよい。アルカリ金属硫化物が水和物又は水性混合物である場合には、アルカリ金属硫化物を、重合反応の前に脱水操作によって処理することができる。アルカリ金属硫化物はまた、その場で生成させることもできる。更に、少量のアルカリ金属水酸化物を反応中に含ませて、アルカリ金属硫化物と共に非常に少量で存在する可能性があるアルカリ金属ポリスルフィド又はアルカリ金属チオスルフェートのような不純物を除去するか又は(例えばかかる不純物を無害の材料に変化させるために)反応させることができる。
[0029]ジハロ芳香族化合物は、限定なしに、o-ジハロベンゼン、m-ジハロベンゼン、p-ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ-ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、又はジハロジフェニルケトンであってよい。ジハロ芳香族化合物は、単独か又はその任意の組合せのいずれかで用いることができる。具体的な代表的ジハロ芳香族化合物としては、限定なしに、p-ジクロロベンゼン;m-ジクロロベンゼン;o-ジクロロベンゼン;2,5-ジクロロトルエン;1,4-ジブロモベンゼン;1,4-ジクロロナフタレン;1-メトキシ-2,5-ジクロロベンゼン;4,4’-ジクロロビフェニル;3,5-ジクロロ安息香酸;4,4’-ジクロロジフェニルエーテル;4,4’-ジクロロジフェニルスルホン;4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド;及び4,4’-ジクロロジフェニルケトン;を挙げることができる。
[0030]ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であってよく、同じジハロ芳香族化合物中の2つのハロゲン原子は、同一か又は互いと異なっていてよい。一態様においては、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、又はこれらの2以上の化合物の混合物をジハロ芳香族化合物として用いる。
[0031]当該技術において公知なように、ポリアリーレンスルフィドの末端基を形成するか、或いは重合反応及び/又はポリアリーレンスルフィドの分子量を調節するために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物ではない)をジハロ芳香族化合物と組み合わせて用
いることもできる。
[0032]ポリアリーレンスルフィドはホモポリマーであってよく、又はコポリマーであってよい。ジハロ芳香族化合物の好適な選択的組み合わせによって、2以上の異なる単位を含むポリアリーレンスルフィドコポリマーを形成することができる。例えば、p-ジクロロベンゼンをm-ジクロロベンゼン又は4,4’-ジクロロジフェニルスルホンと組み合わせて用いる場合には、式(II):
Figure 0007033624000003
の構造を有するセグメント、及び式(III):
Figure 0007033624000004
の構造を有するセグメント、又は式(IV):
Figure 0007033624000005
の構造を有するセグメントを含むポリアリーレンスルフィドコポリマーを形成することができる。
[0033]一般に、充填したアルカリ金属硫化物の有効量1モルあたりの1種類又は複数のジハロ芳香族化合物の量は、一般に1.0~2.0モル、1.05~2.0モル、又は1.1~1.7モルであってよい。これにより、ポリアリーレンスルフィドにハロゲン化アルキル(一般に塩化アルキル)末端基を含ませることができる。
[0034]ポリアリーレンスルフィドを製造する方法には、有機アミド溶媒中で重合反応を行うことを含ませることができる。重合反応において用いる代表的な有機アミド溶媒としては、限定なしに、N-メチル-2-ピロリドン;N-エチル-2-ピロリドン;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド;N-メチルカプロラクタム;テトラメチル尿素;ジメチルイミダゾリジノン;ヘキサメチルリン酸トリアミド、及びこれらの混合物を挙げることができる。反応において用いる有機アミド溶媒の量は、例えばアルカリ金属硫化物の有効量1モルあたり0.2~5kg(kg/モル)であってよい。
[0035]重合は段階的重合プロセスによって行うことができる。第1重合段階には、ジハロ芳香族化合物を反応器に導入し、そしてジハロ芳香族化合物を、水の存在下、約180℃~約235℃、又は約200℃~約230℃の温度において重合反応にかけ、ジハロ芳
香族化合物の転化率が理論的に必要な量の約50モル%以上に達するまで重合を継続することを含ませることができる。
[0036]第2重合段階においては、水を反応スラリーに加えて、重合系中の水の全量が充填したアルカリ金属硫化物の有効量1モルあたり約7モル、又は約5モルまで増加するようにする。次に、重合系の反応混合物を、約250℃~約290℃、約255℃~約280℃、又は約260℃~約270℃の温度に加熱することができ、かくして形成されるポリマーの溶融粘度がポリアリーレンスルフィドの所望の最終レベルに上昇するまで重合を継続することができる。第2重合段階の継続時間は、例えば約0.5~約20時間、又は約1~約10時間であってよい。
[0037]ポリアリーレンスルフィドは、線状、半線状、分岐、又は架橋型であってよい。線状ポリアリーレンスルフィドは、-(Ar-S)-の繰り返し単位を主構成単位として含む。一般に、線状ポリアリーレンスルフィドは約80モル%以上のこの繰り返し単位を含んでいてよい。線状ポリアリーレンスルフィドは少量の分岐単位又は架橋単位を含んでいてよいが、分岐又は架橋単位の量はポリアリーレンスルフィドの全モノマー単位の約1モル%未満であってよい。線状ポリアリーレンスルフィドポリマーは、上記に記載の繰り返し単位を含むランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってよい。
[0038]3つ以上の反応性官能基を有する少量の1種類以上のモノマーをポリマー中に導入することによって与えられる架橋構造又は分岐構造を有していてよい半線状ポリアリーレンスルフィドを用いることができる。例えば、3つ以上の反応性官能基を有するモノマーから、ポリマーの約1モル%~約10モル%の間を形成することができる。半線状ポリアリーレンスルフィドの製造において用いることができる方法は、当該技術において一般的に知られている。一例として、半線状ポリアリーレンスルフィドを形成する際に用いるモノマー成分に、分岐ポリマーの製造において用いることができる分子あたり2以上のハロゲン置換基を有する一定量のポリハロ芳香族化合物を含ませることができる。かかるモノマーは、式:R’X(式中、それぞれのXは、塩素、臭素、及びヨウ素から選択され、nは3~6の整数であり、R’は、約4個以下のメチル置換基を有していてよい価数nの多価芳香族基であり、R’中の炭素原子の総数は6~約16の範囲内である)によって表すことができる。半線状ポリアリーレンスルフィドを形成する際に用いることができる分子あたり2個より多いハロゲンで置換されている幾つかのポリハロ芳香族化合物の例としては、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3-ジクロロ-5-ブロモベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、1,2,3,5-テトラブロモベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロ-2,4,6-トリメチルベンゼン、2,2’,4,4’-テトラクロロビフェニル、2,2’,5,5’-テトラヨードビフェニル、2,2’,6,6’-テトラブロモ-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル、1,2,3,4-テトラクロロナフタレン、1,2,4-トリブロモ-6-メチルナフタレンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
[0039]重合の後、ポリアリーレンスルフィドを液体媒体で洗浄することができる。例えば、ポリアリーレンスルフィドを、混合物を形成する間に、他の成分と混合する前に、水、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、塩溶液、及び/又は酢酸若しくは塩酸のような酸性媒体で洗浄することができる。ポリアリーレンスルフィドは、当業者に一般に知られている逐次的方法で、例えばポリアリーレンスルフィドを分解しない有機溶媒によって洗浄することができる。酸性溶液又は塩溶液による洗浄によって、ナトリウム、リチウム、又はカルシウム金属イオン末端基濃度を約2000ppmから約100ppmに減少させることができる。ポリアリーレンスルフィドは、熱水洗浄プロセスにかけることができる。熱水洗浄の温度は、約100℃以上、例えば約120℃より高く、約150℃より高く、又は約170℃より高くてよい。一態様においては、有機溶媒洗浄を熱水洗浄及び/
又は温水洗浄と組み合わせることができる。N-メチルピロリドンのような高沸点有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒洗浄後に水又は温水で洗浄することによって残留有機溶媒を除去することができ、この洗浄のためには蒸留水又は脱イオン水を用いることができる。
[0040]ポリアリーレンスルフィドを形成するための重合反応装置は特に限定されないが、高粘度流体の形成において通常的に用いられている装置を用いることが通常は望ましい。かかる反応装置の例としては、アンカータイプ、多段式タイプ、螺旋リボンタイプ、スクリューシャフトタイプなど、或いはこれらの変形形状のような種々の形状の撹拌ブレードを有する撹拌装置を有する撹拌タンクタイプの重合反応装置を挙げることができる。かかる反応装置の更なる例としては、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー等のような混練において通常的に用いられている混合装置が挙げられる。重合の後、溶融したポリアリーレンスルフィドを、通常は所望の構造のダイを取り付けた押出オリフィスを通して反応器から排出し、冷却し、回収することができる。通常は、有孔ダイを通してポリアリーレンスルフィドを排出してストランドを形成することができ、これを水浴中で巻き取り、ペレット化し、乾燥する。ポリアリーレンスルフィドはまた、ストランド、顆粒、又は粉末の形態であってもよい。
[0041]ポリアリーレンスルフィド組成物には、組成物の重量基準で約10重量%~約99重量%、例えば組成物の重量基準で約20重量%~約90重量%の量のポリアリーレンスルフィド成分(複数のポリアリーレンスルフィドのブレンドも包含する)を含ませることができる。
[0042]ポリアリーレンスルフィドは、一般にポリアリーレンスルフィド組成物に関して意図される最終用途及び組成物を形成するのに用いる加工方法に応じて、任意の好適な分子量及び溶融粘度のものであってよい。例えば、ポリアリーレンスルフィドは、約500ポイズ未満の溶融粘度を有する低粘度材料、約500ポイズ~約1500ポイズの間の溶融粘度を有する中粘度ポリアリーレンスルフィド、又は約1,500ポイズより大きい溶融粘度を有する高溶融粘度ポリアリーレンスルフィドであってよい。一態様においては、ポリアリーレンスルフィドは、約25,000g/モルより大きく、又は約30,000g/モルより大きい数平均分子量、及び約60,000g/モルより大きく、又は約65,000g/モルより大きい重量平均分子量を有していてよい。溶融粘度は、ISO試験No.11443にしたがって1200秒-1の剪断速度及び310℃の温度において測定することができる。
[0043]一態様においては、ポリアリーレンスルフィドはジスルフィド化合物と共に溶融加工することができる。ポリアリーレンスルフィドとジスルフィド化合物との間の反応によってポリアリーレンスルフィドの連鎖切断を引き起こすことができ、これによってポリアリーレンスルフィドの溶融粘度を減少させ、加工条件及び製品特性を向上させることができる。例えば、ポリアリーレンスルフィドが高分子量で低ハロゲン含量のポリアリーレンスルフィドである態様においては、ジスルフィドとの反応によって、低いハロゲン含量を維持しながらポリマーの分子量(溶融粘度)を減少させることができる。これにより、組成物は優れた加工性及び低いハロゲン含量を示すことができる。低ハロゲン含量のポリアリーレンスルフィドは、一般に約1000ppm未満、約900ppm未満、約600ppm未満、又は約400ppm未満のハロゲン含量を有していてよい。
[0044]ジスルフィド化合物は、場合によっては反応性官能基を含んでいてよい。この態様においては、ポリアリーレンスルフィドとジスルフィド化合物との間の反応によってポリアリーレンスルフィドにジスルフィド化合物の反応性官能基を与えることもでき、これによって組成物の成分の間の更に向上した相互作用をもたらすことができる。例えば、ポ
リアリーレンスルフィドの反応性官能基によって、組成物のポリアリーレンスルフィドと他の成分との間の結合を増加させることができる。
[0045]用いる場合には、ジスルフィド化合物は一般に式(V):
-S-S-R (V)
(式中、R及びRは、同一か又は異なっていてよく、独立して1~約20個の炭素原子を含む炭化水素基である)
の構造を有していてよい。例えば、R及びRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、又は複素環式基であってよい。
[0046]更に、R及びRの少なくとも1つは、ジスルフィド化合物の1つ又は複数の末端における反応性官能基を含んでいてよい。例えば、R及びRの少なくとも1つは、末端カルボキシル基、ヒドロキシル基、置換又は非置換アミノ基、ニトロ基などを含んでいてよい。出発ポリアリーレンスルフィドと混合することができるような反応性末端基を含むジスルフィド化合物の例としては、限定なしに、2,2’-ジアミノジフェニルジスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ジチオサリチル酸、ジチオグリコール酸、α,α’-ジチオジ乳酸、β,β’-ジチオジ乳酸、3,3’-ジチオジピリジン、4,4’-ジチオモルホリン、2,2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)、2,2’-ジチオビス(ベンズイミダゾール)、2,2’-ジチオビス(ベンゾオキサゾール)、及び2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールを挙げることができる。
[0047]ジスルフィド化合物は1つ又は複数の末端に非反応性官能基を含んでいてよい。例えば、R及びR基は、同一か又は異なっていてよく、1~約20個の炭素原子のアルキル、シクロアルキル、アリール、及び複素環式基からなる群から独立して選択される非反応性基であってよい。ポリアリーレンスルフィドと混合することができるような非反応性末端基を含むジスルフィド化合物の例としては、限定なしに、ジフェニルジスルフィド、ナフチルジスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、及びジプロピルジスルフィドを挙げることができる。
[0048]ポリアリーレンスルフィドの量とジスルフィド化合物の量との比は、約1000:1~約10:1、約500:1~約20:1、又は約400:1~約30:1であってよい。一態様においては、ポリアリーレンスルフィド組成物の所望の溶融粘度を発現させるのに十分な反応性官能化ジスルフィド化合物をポリアリーレンスルフィドに加えることができる。しかしながら過剰のジスルフィド化合物をポリアリーレンスルフィドに加えると、ポリアリーレンスルフィド組成物の形成中に過剰の反応性官能化ジスルフィド化合物と他の成分との間に望ましくない相互作用が引き起こされる可能性がある。
[0049]ポリアリーレンスルフィドと組み合わせて、本組成物にシランカップリング剤を含ませることができる。一態様においては、カップリング剤は有機シランカップリング剤であってよく、特に、限定なしにモノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、コルロールシランなどのようなアルコキシシランカップリング剤であってよい。例えば、Morrisville, PennsylvaniaのGelest, Inc.から入手できるシランカップリング剤を用いることが
できる。アルコキシシラン化合物は、限定なしにビニルアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、及びこれらの組み合わせから選択されるシラン化合物であってよい。用いることができるビニルアルコキシシランの例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シランが挙げられる。用いることができるエポキシアルコキシシランの例としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及びγ-グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシランが挙げられる。用いることができるメルカプトアルコキシシランの例としては、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
[0050]ポリアリーレンスルフィド組成物中に含ませることができるアミノシラン化合物は、通常は式:R-Si-(R(式中、Rは、NHのようなアミノ基;アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチルなどのような、約1~約10個の炭素原子、又は約2~約5個の炭素原子のアミノアルキル;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのような、約2~約10個の炭素原子、又は約2~約5個の炭素原子のアルケン;並びに、エチン、プロピン、ブチンなどのような、約2~約10個の炭素原子、又は約2~約5個の炭素原子のアルキン;からなる群から選択され;Rは、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどのような、約1~約10原子、又は約2~約5個の炭素原子のアルコキシ基である)のものである。
[0051]一態様においては、Rは、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、エチレン、エチン、プロピレン、及びプロピンからなる群から選択され、Rは、メトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基からなる群から選択される。他の態様においては、Rは、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのような約2~約10個の炭素原子のアルケン、並びに、エチン、プロピン、ブチンなどのような約2~約10個の炭素原子のアルキンからなる群から選択され、Rは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのような約1~約10原子のアルコキシ基である。また、種々のアミノシランの組合せをポリアリーレンスルフィド組成物中に含ませることもできる。
[0052]ポリアリーレンスルフィド組成物中に含ませることができるアミノシランカップリング剤の幾つかの代表例としては、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、エチレントリメトキシシラン、エチレントリエトキシシラン、エチントリメトキシシラン、エチントリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン又は3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-アミノプロピル)テトラメトキシシラン、ビス(3-アミノプロピル)テトラエトキシジシロキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。アミノシランはまた、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ジアリルアミノプロピルトリメトキシシラン、及びγ-ジアリルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノアルコキシシランであってもよい。1つの好適なアミノシランは、Degussa、Sigma Chemical Company、及びAldrich Chemical Companyから入手できる3-アミノプロピルトリエトキシシラ
ンである。
[0053]有益には、比較的少量のシランカップリング剤をポリアリーレンスルフィド組成物中に含ませることができ、これは非常にコスト効率がよい可能性がある。少量のシランカップリング剤を用いても、ポリアリーレンスルフィド組成物は優れた機械特性及び耐熱特性を示すことができる。例えば、ポリアリーレンスルフィド組成物に約3重量%未満のシランカップリング剤、例えば重量基準で約0.05%~約3%のシランカップリング剤を含ませることができる。一態様においては、組成物に、重量基準で約0.1%~約2.5%、又は約1%~約2%のシランカップリング剤を含ませることができる。
[0054]ポリアリーレンスルフィド及びシランカップリング剤に加えて、本組成物はシリコーンエラストマー(即ちシリコーンラバー)も含む。代表的なシリコーンエラストマーには、ポリ(ジメチルシロキサン)のようなポリ(ジオルガノシロキサン)を含ませることができる。例えば、シリコーンエラストマーは、例えばヒドロキシル又はビニル官能基によって末端停止されていてよいポリ(ジメチルシロキサン)であってよい。一態様においては、シリコーンエラストマーは、2~20個の炭素原子を有する少なくとも2つのアルケニル基を含んでいてよい。アルケニル基としては、例えばビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、及びデセニルを挙げることができる。アルケニル官能基の位置は重要ではなく、分子鎖末端、分子鎖上の非末端位置、又は両方の位置において結合していてよい。一般に、アルケニル官能基は、シリコーンエラストマーの0.001~3重量%、好ましくは0.01~1重量%のレベルで存在していてよい。一態様においては、シリコーンエラストマーは、それぞれの端部においてヒドロキシル又はビニル基で末端停止されていて、場合によってはその主鎖に沿って少なくとも1つのビニル基も含むポリ(ジメチルシロキサン)ホモポリマーである。
[0055]シリコーンエラストマー他の有機基は、脂肪族不飽和を含まない炭化水素又はハロゲン化炭化水素基から独立して選択することができる。これらは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルのような1~20個の炭素原子を有するアルキル基;シクロヘキシル及びシクロヘプチルのようなシクロアルキル基;フェニル、トリル、及びキシリルのような6~12個の炭素原子を有するアリール基;ベンジル及びフェネチルのような7~20個の炭素原子を有するアラルキル基;並びに3,3,3-トリフルオロプロピル及びクロロメチルのような1~20個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基;によって例示することができる。これらの基は、シリコーンエラストマーが室温より低いガラス転移温度(又は融点)を有し、エラストマー性であるように選択される。
[0056]シリコーンエラストマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。コポリマーとしては、中でも、例えば、ジメチルシロキシ単位及びフェニルメチルシロキシ単位;ジメチルシロキシ単位及びジフェニルシロキシ単位;並びにジメチルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位、及びフェニルメチルシロキシ単位;を含むものを挙げることができる。また、分子構造は重要ではなく、直鎖及び部分分岐直鎖によって例示される。
[0057]シリコーンエラストマーの具体的な例としては、限定なしに、トリメチルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン-メチルヘキセニルシロキサンコポリマー;ジメチルヘキセニルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン-メチルヘキセニルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ末端ブロックメチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ末端ブロックジメチルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ末端ブロックメチルフェニルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端ブロックメチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー;及び少なくとも1つの末端基がジメチルヒドロキシシロキシである同様のコポリマー;を挙げることができる。
[0058]シリコーンエラストマーの分子量は広く変化してよい。例えば、シロキサンエラストマーは、約7,500~約250,000g/モル、幾つかの態様においては約15,000~約150,000g/モル、幾つかの態様においては約20,000~100,000g/モルの数平均分子量を、通常は2.5~7の範囲の多分散指数と共に有していてよい。
[0059]一般に、シリコーンエラストマーは、約0.05重量%~約25重量%の量、例えば約0.1重量%~約15重量%の量で組成物中に存在させることができる。
[0060]いかなる特定の理論にも縛られることは望まないが、3つの成分、即ち、ポリアリーレンスルフィド、シランカップリング剤、及びシリコーンエラストマーの間のカップリング反応によって、シリコーンエラストマーのポリアリーレンスルフィド全体にわたる分散を向上させることができる量の相溶化コポリマーがポリアリーレンスルフィド組成物中に形成されて、組成物の向上した物理特性がもたらされると考えられる。
[0061]一般化したカップリング反応の1つの態様は、次式:
Figure 0007033624000006
の通りであってよい。
[0062]ポリアリーレンスルフィド、シランカップリング剤、及びシリコーンエラストマーに加えて、ポリアリーレンスルフィド組成物には、当該技術において一般的に知られている1種類以上の添加剤を含ませることができ。例えば、組成物に繊維状充填剤及び/又は無機充填剤のような1種類以上の充填剤を含ませることができる。充填剤は、一般に組成物の重量基準で約5%~約70%、又は約20%~約65%の量でポリアリーレンスルフィド組成物中に含ませることができる。
[0063]存在させる場合には、繊維状充填剤は、通常は約0.5mm~約5.0mmの長さのものである。繊維状充填剤としては、限定なしに、ポリマー繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維など、又は複数の繊維タイプの組み合わせなどの1以上の繊維タイプを挙げることができる。一態様においては、繊維はガラス短繊維又はガラス繊維粗紡糸(トウ)であってよい。
[0064]ガラス繊維は、好適な成分又は原材料(例えば、SiOに関しては砂、CaOに関しては生石灰、MgOに関してはドロマイト)から製造することができ、これらを通
常の方法で適当な量で混合又はブレンドして、最終組成物の所望の重量%を与えることができる。混合したバッチは、次に加熱炉又は溶融装置内で溶融させることができ、得られる溶融ガラスは、前床に沿って通して、前床の底部に沿って配置されている繊維形成ブッシング中に通すことができる。溶融ガラスは、ブッシングの底部又はチッププレート内の穴又はオリフィスを通して牽引又は延伸してガラス繊維を形成することができる。ブッシングオリフィスを通って流れる溶融ガラスの流れは、巻取機の回転可能なコレット上に取り付けられている成形チューブ上にフィラメントのストランドを巻回することによって、フィラメントに細化することができる。繊維は、所期の用途のために好適な通常の方法で更に加工することができる。例えば、繊維をサイジングで予備処理して、これによって溶融加工中におけるポリアリーレンスルフィド組成物の他の成分との混合を促進させることができる。
[0065]繊維の直径は、用いる特定の繊維によって変化してよく、短繊維形態又は連続形態のいずれかで入手できる。繊維は、例えば、約100μm未満、例えば約50μm未満の直径を有していてよい。例えば、繊維は短繊維又は連続繊維であってよく、約5μm~約50μm、例えば約5μm~約15μmの繊維径を有していてよい。繊維長さは変化してよい。一態様においては、繊維は約3mm~約5mmの初期長さを有していてよい。
[0066]一態様においては、繊維は高いイールド又は小さいK値を有していてよい。トウはイールド又はK値によって示される。例えば、ガラス繊維トウは、50イールド以上、例えば約115イールド~約1200イールドを有することができる。
[0067] ポリアリーレン組成物中に、1種類以上の無機充填剤のような粒子状充填剤を
含ませることができる。例えば、組成物に、組成物の約1重量%~約50重量%の量の1種類以上の無機充填剤を含ませることができる。無機充填剤としては、限定なしに、シリカ、石英粉末、シリケート、例えばケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、マイカ、クレイ、珪藻土、及び珪灰石などを挙げることができる。
[0068]ポリアリーレンスルフィド組成物中に含ませることができる更に他の添加剤としては、限定なしに、抗菌剤、顔料、潤滑剤、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、流動促進剤、固体溶媒、並びに組成物の特性及び/又は加工性を向上させるために加える他の材料を挙げることができる。かかる随意的な材料は組成物中において通常の量で用いることができる。
[0069]ポリアリーレンスルフィド組成物は、全ての成分、例えばポリアリーレンスルフィド、シランカップリング剤、及びシリコーンエラストマーを、押出機のような溶融加工装置内で混合する単一工程溶融加工プロセスで形成することができる。或いは、多工程プロセスで組成物を形成することができる。例えば、ポリアリーレンスルフィド及びシランカップリング剤を第1溶融加工工程において混合することができ、1以上の続く工程において、シリコーンエラストマー及び1種類以上の添加剤を、ポリアリーレンスルフィド及びシランカップリング剤を含む混合物と混合することができる。
[0070]成分は、当該技術において公知の技術にしたがって溶融加工することができる。例えば、ポリアリーレンスルフィド組成物の成分は、一軸又は多軸押出機内において、約250℃~約320℃の温度で溶融混練することができる。一態様においては、組成物は、複数の温度区域を含む押出機内で溶融加工することができる。例えば、約250℃~約320℃の間の温度に維持した温度区域を含む押出機内で組成物を溶融加工することができる。
[0071]一態様においては、本ポリアリーレンスルフィド組成物は、繊維、フィルム、被
覆などの形成において用いることができる。一例として、高い強度及び耐熱品質を示す連続又は不連続繊維を、本ポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができる。かかる繊維は、例えば濾過材料、絶縁材料等において用いるための織成又は不織マットの形成において有益に用いることができる。
[0072]本ポリアリーレンスルフィド組成物は、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸して、ステープル、連続、マルチフィラメント、又はモノフィラメント繊維を形成することができる。一例として、図1はポリアリーレンスルフィド組成物から延伸繊維を形成することができる方法及びシステム10を示す。示されている態様によれば、例えばペレット又はチップの形態の予め成形したポリアリーレンスルフィド組成物を押出機装置12に供給することができる。押出機装置12には混合マニホールド11を含ませることができ、その中でポリアリーレン組成物を加熱して溶融組成物を形成し、場合によっては任意の更なる添加剤と混合することができる。所望の場合には、溶融混合物の流動状態を確保するのを助けるために、溶融混合物を押出の前に濾過することができる。例えば、約325メッシュ又はそれより微細のフィルターを用いることによって、溶融混合物を濾過して混合物から微細粒子を除去することができる。或いは、ポリアリーレンスルフィド組成物を混合マニホールド11内で形成することができる。例えば、押出の前に、ポリアリーレンスルフィド、シランカップリング剤、及びシリコーンエラストマーを、混合マニホールド内に個々に加えて混合して組成物を形成することができる。
[0073]溶融混合物を形成した後、混合物を加圧下で押出機装置12の紡糸口金14に送ることができ、そこで複数の紡糸口金オリフィスを通して押出して1以上の繊維又はフィラメント9を形成することができる。約280℃~約340℃の範囲、例えば約290℃~約320℃の範囲の押出温度を用いることができる。ポリアリーレンスルフィド組成物を押出して繊維又はフィラメントを形成した後、未延伸の繊維又はフィラメント9を液体浴16内で急冷し、巻き取りロール18によって回収して、例えばマルチフィラメント繊維構造体又は繊維束28を形成することができる。巻き取りロール18及びロール20は、浴16内に配置して、浴16を通して個々の繊維又はフィラメント9及びギャザリングされた繊維束28を送ることができる。浴16中における材料の滞留時間は、ライン速度、浴温度、繊維寸法等によって変化させることができる。急冷浴から排出した後、繊維束28を一連のニップロール23、24、25、26に通して、過剰の液体を繊維束28から除去することができる。場合によっては、繊維束28に潤滑剤を施すことができる。例えば、紡糸仕上げ剤塗布器チェスト22において紡糸仕上げ剤を施すことができる。続いて、繊維を適当な温度に加熱するように設計されている延伸区域を有する通常の装置を用いて、ポリアリーレンスルフィド繊維束を90℃~110℃の範囲の温度において延伸することができる。例えば図1に示す態様においては、繊維束28はオーブン43内で延伸することができる。更に、この態様において、延伸ロール32、34は、当該技術において一般的に知られているようにオーブン43の内部又は外部のいずれかに配することができる。繊維束28を延伸した後、100℃~約200℃の温度範囲の高温ロール40又は加熱区域を用いて、形成されたポリアリーレンスルフィド繊維30を少なくとも部分的に結晶化させることができる。
[0074]他の態様によれば、本ポリアリーレンスルフィド組成物からメルトブローン繊維を形成することができる。図2は、用いることができるメルトブロープロセス110の一態様を示す。メルトブロープロセス110は、ポリアリーレンスルフィド組成物を、押出機127から直線配列の単一押出しオリフィス128を通して、一般に130aと130bとの間に画定されている高速加熱空気流中に直接押し出すことを含む。高速で移動する高温空気によって、繊維129はオリフィス128から排出されながら大きく細化される。ダイチップは、穴がそれぞれの側部130a、130bから衝突する高速空気と直線状になるようにデザインされている。通常のダイは、1インチあたり20~50個で離隔し
ている直径10~20ミル(0.25~0.51mm)の穴を有する。衝突する高速高温空気によってフィラメントが細化されて所望の極細繊維が形成される。通常の空気条件は約200℃~約370℃の範囲である。ダイの直ぐ周りにおいては、大量の大気空気が繊維を含む高温空気流中に引き込まれる。大気空気によって高温気体が冷却され、繊維が固化する。
[0075]ロール125、126を通して供給されるコンベヤ又は巻き取りスクリーン121上に不連続繊維を堆積させて、ランダムな絡合ウェブを形成することができる。繊維は、例えば配管132によって空気を掃引するファン133を用いる吸引装置131を用いることによって、コンベヤ121に送ることができる。適当な条件下において、繊維はレイダウン時に多少柔軟なままにすることができ、繊維-繊維結合を形成する、即ち粘着する傾向がある。繊維の絡合と繊維-繊維の粘着を組み合わせることによって、一般にウェブを更に結合させることなく取り扱うことができるのに十分な絡合が生起する。また、ウェブを通常の紡糸しているが結合していないウェブの上に堆積させることができ、次に前者を後者に熱結合させる。
[0076]他の態様によれば、繊維は、個々の繊維の間の熱結合を回避するようにコンベヤ又は巻き取りスクリーン121の上に堆積させることができる。例えば、高速気体流の温度及び/又は押出機オリフィス128からコンベヤ121迄の距離を、個々の繊維の熱結合が回避されるように予め定めることができる。堆積させた後、繊維を例えば切断又は切刻によって更に加工して、例えば約100ミリメートル未満、約50ミリメートル未満、又は約30ミリメートル未満のより短い長さのステープル繊維を形成することができる。
[0077]ステープル繊維及びフィラメントはまた、他の公知のプロセスにしたがって形成することができる。例えば、繊維を紡糸し、場合によって延伸し、繊維形成布帛上に堆積させるスパンボンドプロセスを用いることができる。スパンボンドフィラメントを形成した後、フィラメントを切刻してステープル繊維を形成することができるが、公知なように、スパンボンドプロセスを用いて、更なる切刻又は切断操作の必要なしにステープル繊維を直接形成することもできる。
[0078]本ポリアリーレンスルフィド組成物から形成される繊維は、限定なしに、バッテリーセパレーター、油吸収材、フィルター媒体、病院-医療用品、断熱詰物などをはじめとする種々の用途において用いることができる。一例として、図3は、気体又は液体流から微細粒子を捕捉するために用いることができる、複数のポリアリーレンスルフィドメルトブローン繊維314を含む繊維マット312を示す。例えば、ポリアリーレンスルフィド組成物から形成される繊維を含むフィルターは、燃料、油、排気、エンジン、例えば自動車エンジン内の他の流体の濾過において、或いは例えば工業用煙突に関して用いることができるフィルターバッグの形成において用いることができる。ポリアリーレンスルフィド組成物から形成される繊維はまた、電気部品における絶縁紙又は布のような絶縁材料の形成において用いることもできる。
[0079]勿論、本ポリアリーレンスルフィド組成物から非繊維状物品を形成することもできる。ポリアリーレンスルフィド組成物の物品を形成するための成形プロセスとしては、限定なしに、押出、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡、圧縮成形、熱間鍛造、引き抜き成形などを挙げることができる。形成することができる成形物品としては、使用中に高温で高衝撃の環境に遭遇すると予測される可能性がある構造及び非構造成形部品を挙げることができる。例えば、自動車用ホース、燃料タンク、電子ワイヤー、ケーブルなどのような自動車部品を、本ポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができる。
[0080]液体又は気体、及び1つの特定の態様においては加熱された液体又は気体を移送
するために用いることができる管状部材を、本ポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができる。例えば、ホース、パイプ、導管などの管状部材を、本ポリアリーレンスルフィド組成物から形成することができる。例えば一態様においては、ブロー成形中空部材の形成において本ポリアリーレンスルフィド組成物を用いることができる。
[0081]図4を参照すると、本ポリアリーレンスルフィド組成物から形成される管状部材410の一態様が示されている。示されているように、管状部材410は複数の方向に伸びて比較的複雑な形状を形成している。例えば、ポリアリーレンスルフィド組成物を固化させることができる前に、図4に示す角変位を部品中に形成することができる。管状部材10は、412、414、及び416において角変位の変化を含む。管状部材410には、例えば乗物の排気システムにおいて用いることができる部品を含ませることができる。
[0082]一態様によれば、管状部材410はブロー成形プロセスにしたがって形成することができる。ブロー成形中においては、まずポリアリーレンスルフィド組成物を加熱し、押出し装置に取り付けられているダイを用いてパリソンに押出す。パリソンが形成された時点で、組成物は、重力によってパリソンの部分が望ましくなく伸ばされて、それによって不均一な壁厚さ及び他の欠陥を形成するのを阻止するのに十分な溶融強度を有していなければならない。パリソンは、一般に、一緒になって三次元金型キャビティを形成する複数のセクションで形成されている成形装置中に受容する。
[0083]認識することができるように、パリソンが形成されてからパリソンを成形装置との噛合部中に移動させるまでに一定の時間が経過する。プロセスのこの段階中において、ポリアリーレンスルフィド組成物の溶融強度は、パリソンが移動中にその形状を維持するのに十分に高くすることができる。ポリアリーレンスルフィド組成物はまた、半流体状態を維持して、ブロー成形を開始する前に過度に速やかに固化しないようにすることもできる。
[0084]成形装置を閉止したら、不活性ガスのような気体を気体供給口からパリソン中に供給する。気体によって、パリソンを金型キャビティの形状に一致させるのに十分な圧力がパリソンの内表面に対して与えられる。ブロー成形の後、仕上げ処理された成形物品を取り出す。一態様においては、ポリアリーレンスルフィド組成物を成形装置から取り出す前に固化させるために、冷却空気を成形部品中に噴射することができる。
[0085]本ポリアリーレンスルフィド組成物は、パイプ及びホースに加えて、限定なしにフランジ、バルブ、バルブシート、シール材、センサーハウジング、サーモスタット、サーモスタットハウジング、誘導弁、ライニング、プロペラなどのような流体取扱いシステム中に含ませることができる種々雑多の部品の形成において用いることができる。流体取扱いシステムは、例えば石油又はガスパイプラインシステムにおいて有益に用いることができるような、液体又は気体の運搬において用いることができる。
[0086]本ポリアリーレンスルフィド組成物を含む管状部材は、多層管状部材であってよい。図5は、管状部材の1以上の層中にポリアリーレンスルフィド組成物を含ませることができる多層管状部材210を示す。例えば、少なくとも内層212に、広い温度範囲下で高い衝撃強さ特性を示し、管状部材210内を運ばれる材料に対して実質的に不活性であるポリアリーレンスルフィド組成物を含ませることができる。
[0087]外層214及び中間層216には、本明細書に記載するポリアリーレンスルフィド組成物と同じであるか又は異なるポリアリーレンスルフィド組成物を含ませることができる。或いは、多層管状部材の他の層を異なる材料で形成することができる。例えば一態様においては、中間層216は圧力及び機械的影響に対して高い抵抗性を示すことができ
る。一例として、層216は、ホモポリアミド、コポリアミド、互いとか又は他のポリマーとのそれらのブレンド若しくは混合物の群からのポリアミドで形成することができる。或いは、層216は、繊維強化樹脂複合体などのような繊維強化材料で形成することができる。例えば、ポリアラミド(例えばKevlar(登録商標))織成マットを用いて、機械的攻撃に対して高度に抵抗性の中間層216を形成することができる。
[0088]外層214は、外部からの攻撃からの保護を与えることができ、並びに管状部材に対して断熱又は他の望ましい特性を与えることができる。例えば、高いレベルの耐チップ性、耐候性、難燃性、及び耐寒性を有する適当な種類のラバー材料から形成される外層214を多層パイプ又はホースに含ませることができる。かかる材料の例としては、ポリアミド熱可塑性エラストマー、ポリエステル熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、及びスチレン熱可塑性エラストマーのような熱可塑性エラストマーが挙げられる。外層214のために好適な材料としては、限定なしに、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーラバー、エチレン-プロピレンラバー、クロロスルホン化ポリエチレンラバー、アクリロニトリル-ブタジエンラバーとポリ塩化ビニルのブレンド、アクリロニトリル-ブタジエンラバーとエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーラバーとのブレンド、及び塩素化ポリエチレンラバーが挙げられる。
[0089]外層214は、或いはポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、又は高密度ポリエチレンのようなより硬質でより可撓性の低い材料、ガラス繊維複合体又は炭素繊維複合体のような繊維強化複合体材料、或いはスチールジャケットのような金属材料で形成することができる。
[0090]勿論、多層管状部材は三層に限定されず、二層、四層、又は更に別の個数の層を含ませることができる。多層管状部材には、例えばポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエラストマー、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエーテルポリイミド、官能化ポリオレフィンなどのような接着剤材料から形成される1以上の接着剤層を更に含ませることができる。
[0091]多層管状部材は、例えば共押出、乾式積層、サンドイッチ積層、共押出被覆などのような通常のプロセスによって製造することができる。一例として、図5に示す三層管状部材210の形成においては、ポリアリーレンスルフィド組成物、ポリアミド組成物、及び熱可塑性エラストマー組成物を、3つの異なる押出機中に別々に供給することができる。これらの3つの押出機からの別々の押出溶融体を、次に加圧下で1つのダイ中に導入することができる。3つの異なる管状溶融体流を生成させながら、これらの溶融体流を、ポリアリーレンスルフィド組成物の溶融体流が内層212を形成し、ポリアミド組成物の溶融体流が中間層216を形成し、熱可塑性エラストマー組成物の溶融体流が外層214を形成するようにダイ内で混合することができ、かくして混合された溶融体流をダイから共押出して三層管状部材を製造する。
[0092]勿論、ブロー成形法などの任意の公知の管形成法を用いることができる。例えば一態様においては、連続テープ、例えば引き抜き成形法にしたがって形成された繊維強化テープ又はリボンから多層管状部材の1以上の層を形成することができる。当該技術において一般的に知られている公知の方法にしたがって、テープを巻き付けて管状部材又は多層管状部材の層を形成することができる。
[0093]流体取扱いシステムにおいて見られる貯蔵容器に、本ポリアリーレンスルフィド組成物を有利に含ませることもできる。例えば、図6は自動車用システムにおいて見られる燃料タンク512を図示する。燃料タンク512には、例えば燃料タンクの内部「C」内の抵抗層514として本ポリアリーレン組成物を含ませることができる。燃料タンク5
12は、ブロー成形した外層及び熱成形した内層514を含む壁の厚さ「T」を有することができる。例えば、ポリアリーレンスルフィド組成物をフィルムに成形し、次に燃料タンクの内部の所望の形状及び/又は寸法に熱成形することができる。フィルムは、例えば管状捕捉気泡フィルムプロセス、フラット又は管状キャストフィルムプロセス、スリットダイフラットキャストフィルムプロセス等による任意の公知の技術を用いて製造することができる。それを形成する方法に関係なく、フィルムは、フィルムを特定の温度に加熱して流動性になるようにして燃料タンク内でフィルムを成形することによって熱成形し、次に成形されたフィルムをトリミングして多層燃料タンクを形成することができる。ポリアリーレンスルフィド熱成形製品は燃料タンクに限定されず、例として、包装、他のタイプの容器、トレー(例えば食品用)、電気コネクター、回路、ビン、袋、カップ、タブ型容器、バケツ、広口瓶、箱等を挙げることができる。
[0094]更には、本組成物は電子コンポーネントのような全く異なる環境において用いることができる。例えば、図7A及び7Bに示すように、本ポリアリーレン組成物を用いて、保護及び被包の目的のために電線603の周りの外装601又はケーブル604の周りの外装602を形成することができる。例えば、外装機を用いることによって、ポリアリーレンスルフィド組成物を電線又はケーブルの周りに押出して、電線/ケーブルの外表面上に保護被覆を形成することができる。
[0095]射出成形技術を考察すると、本ポリアリーレン組成物を用いて種々の成形製品、一態様においては小さい寸法公差を有する部品を形成することができる。例えば、本組成物は電子コンポーネントにおいて用いるための部品に成形することができる。この部品は、約100ミリメートル以下、幾つかの態様においては約50ミリメートル以下、幾つかの態様においては約100マイクロメートル~約10ミリメートルの厚さを有する平坦な基材の形態であってよい。或いは、この部品は、単純に上述の厚さ範囲内の幾つかの造作(例えば壁部、突起部等)を有していてよい。かかる成形部品を用いることができる電子コンポーネントの例としては、例えば、携帯電話、ラップトップコンピューター、小型ポータブルコンピューター(例えば超軽量型コンピューター、ネットブックコンピューター、及びタブレットコンピューター)、腕時計型機器、ペンダント型機器、ヘッドホン又はイヤホン型機器、無線通信機能を有するメディアプレイヤー、携帯型コンピューター(時には携帯情報端末とも呼ばれる)、リモートコントローラー、全地球測位システム(GPS)機器、携帯ゲーム機器、バッテリーカバー、スピーカー、カメラモジュール、集積回路(例えばSIMカード)等が挙げられる。
[0096]しかしながら、無線電子機器が特に好適である。好適な無線電子機器の例としては、デスクトップコンピューター又は他のコンピューター装置、ラップトップコンピューター又は時には「超軽量型」と呼ばれるタイプの小型のポータブルコンピューターのようなポータブル電子機器を挙げることができる。1つの好適な配置においては、ポータブル電子機器は携帯型の電子機器であってよい。ポータブル携帯型電子機器の例としては、携帯電話、無線通信機能を有するメディアプレイヤー、携帯型コンピューター(時には携帯情報端末とも呼ばれる)、リモートコントローラー、全地球測位システム(GPS)機器、及び携帯ゲーム機器を挙げることができる。この機器はまた、複数の従来の機器の機能を合わせた複合型機器であってもよい。複合型機器の例としては、メディアプレイヤーの機能を含む携帯電話、無線通信機能を含むゲーム機器、ゲーム及びeメール機能を含む携帯電話、並びに、eメールを受信し、携帯電話の呼び出しをサポートし、音楽プレイヤーの機能を有し、ウェブ閲覧をサポートする携帯機器が挙げられる。
[0097]図8~9を参照すると、電子機器700の1つの特定の態様をポータブルコンピューターとして示す。電子機器700は、液晶ダイオード(LCD)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は任意の他の好適
なディスプレイのようなディスプレイ部材703を含む。示されている態様においては、機器はラップトップコンピューターの形態であり、したがってディスプレイ部材703は基部部材706に回転可能に接続されている。しかしながら、基部部材706は随意的であり、機器がタブレットポータブルコンピューターの形態である場合のような他の態様においては取り除くことができることを理解すべきである。しかしながら、図8~9に示される態様においては、ディスプレイ部材703及び基部部材706は、それぞれ電子機器700の1以上の部品を保護及び/又は支持するためのハウジング(それぞれ786及び788)を含む。ハウジング786は例えばディスプレイスクリーン720を支持することができ、基部部材706には、種々のユーザーインターフェース部品のための空洞部及びインターフェース(例えばキーボード、マウス、及び他の周辺機器への接続手段)を含ませることができる。本ポリアリーレンスルフィド組成物は一般に電子機器700の任意の部分を形成するために用いることができるが、通常はハウジング786及び/又は788の全部又は一部を形成するために用いる。例えば、機器がタブレットポータブルコンピューターである場合には、ハウジング788は存在させなくてよく、本熱可塑性組成物はハウジング786の全部又は一部を形成するために用いることができる。しかしながら、本発明によって達成される独特の特性のために、1つ又は複数のハウジング或いは1つ又は複数のハウジングの造作は、上述の範囲内のような非常に小さい壁厚さを有するように成形することができる。
[0098]明示してはいないが、機器700にはまた、記憶装置、処理回路、及び入力-出力コンポーネントのような当該技術において公知の回路を含ませることもできる。回路内の無線送受信機回路を用いて、高周波(RF)信号を送信及び受信することができる。同軸通信路及びマイクロストリップ通信路のような通信路を用いて、送受信機回路とアンテナ構造体との間で高周波信号を伝達することができる。通信路を用いて、アンテナ構造体と回路との間で信号を伝達することができる。通信路は、例えばRF送受信機(時にはラジオと呼ばれる)と多周波帯アンテナとの間を接続する同軸ケーブルであってよい。
[0099]本ポリアリーレンスルフィド組成物を用いて、例えば、携帯電話、小型ポータブルコンピューター(例えば超軽量型コンピューター、ネットブックコンピューター、及びタブレットコンピューター)、腕時計型機器、ペンダント型機器、ヘッドホン又はイヤホン型機器、無線通信機能を有するメディアプレイヤー、携帯型コンピューター(時には携帯情報端末とも呼ばれる)、リモートコントローラー、全地球測位システム(GPS)機器、携帯ゲーム機器、バッテリーカバー、スピーカー、カメラモジュール、集積回路(例えばSIMカード)等のような成形部品を用いることができる種々の電子コンポーネントを形成することができる。
[0100]本発明の幾つかの態様を以下の実施例によって示すが、これらは単に幾つかの態様の例示の目的のものであり、本発明の範囲又は本発明を実施することができる方法を限定するものとはみなされない。他に具体的に示さない限りにおいて、部及びパーセントは重量基準で与える。
試験方法:
[0101]引張弾性率、引張応力、及び引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527(ASTM-D638と技術的に同等である)にしたがって試験した。80mmの長さ、10mmの厚さ、及び4mmの幅を有する同じ試験片試料について、弾性率及び強度の測定を行った。試験温度は23℃であり、試験速度は5mm/分であった。
[0102]ノッチなしアイゾッド衝撃強さ:ノッチなしアイゾッド特性は、ISO試験No.180/1Uにしたがって測定した。試験片は、一枚歯フライス盤を用いて多目的棒材の中央部分から切り出した。試験温度は23℃であった。
[00103]燃焼性:"Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances", 5版, 1996年10月29日のUL94垂直燃焼試験手順にしたがって難燃有効性を測定した。試料を垂直燃焼試験にかけた。試験片を10秒間炎に曝露した後に観察して、残炎が消失するのに必要な時間の長さを求めた。次に、試験片を更に10秒間炎に再び曝露し、再び観察して残炎が消失するのに必要な時間を求めた。かかる時間の後、試験片を更に観察して試験片が残光する時間を求めた。
実施例1:
[00104]ヒドロキシル末端基を含むポリ(ジメチルシロキサン)エラストマー(OH-
PDMS)(Dow Corning(登録商標)217フレーク樹脂)を、ポリフェニレンスルフィド(PPS)(Ticona Engineering Polymersから入手できるFortron(登録商標)0214)及びアミノシランカップリング剤(アミノプロピルトリエトキシシラン)と共に溶融加工した。ポリフェニレンスルフィド及びエチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸ターポリマー耐衝撃性改良剤(Arkema, Inc.から入手できるLotader(登録商標)AX8840)を
含ませた対照試料No.1を形成し、カップリング剤を用いない試料No.4を形成した。全ての組成物に、潤滑剤(Lonza Group Ltd.から入手できるGlycolube(登録商標)P)も含ませた。組成物の配合を下表1に与える。全ての量は、組成物の全重量を基準とする重量%として与える。
Figure 0007033624000007
[0105]試験結果を下表2に与える。
Figure 0007033624000008
[0106]示されるように、シランカップリング剤及びシリコーンエラストマーの両方を含む試験試料は優れた燃焼性及び機械特性を示し、両方の対照試料よりも高い引張弾性率、並びにより低い引張破断歪み及びノッチなしアイゾッド衝撃強さを示した。
[0107]本発明を例示する目的のために幾つかの代表的な態様及び詳細を示したが、本発
明の範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を本発明において行うことができるこ
とは当業者に明らかであろう。
以下に、出願時の特許請求の範囲の記載を示す。
[請求項1]
ポリアリーレンスルフィド;
シランカップリング剤;及び
シリコーンエラストマーを含み;
ISO試験No.527にしたがって測定して約3000MPaより大きい引張弾性率
を示し、0.2ミリメートルの厚さにおいてV-0燃焼性標準規格を満足するポリアリー
レンスルフィド組成物。
[請求項2]
組成物が、ISO試験No.527にしたがって測定して約3%未満の引張破断歪みを
示すか、又はISO試験No.180/1Aにしたがって測定して約1.7kJ/m
満のノッチなしアイゾッド衝撃強さを示す、請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド
組成物。
[請求項3]
ポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドであるか又は反応性官能化ポリ
アリーレンスルフィドである、請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド組成物

[請求項4]
シランカップリング剤が、アミノプロピルトリエトキシシランのようなアミノシランカ
ップリング剤である、請求項1~3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物

[請求項5]
シリコーンエラストマーがポリ(ジメチルシロキサン)のようなポリ(ジオルガノシロ
キサン)である、請求項1~4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
[請求項6]
シリコーンエラストマーがヒドロキシル又はビニル官能基で末端停止されている、請求
項1~5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
[請求項7]
シリコーンエラストマーがコポリマーである、請求項1~6のいずれかに記載のポリア
リーレンスルフィド組成物。
[請求項8]
繊維状充填剤又は無機充填剤を更に含む、請求項1~7のいずれかに記載のポリアリー
レンスルフィド組成物。
[請求項9]
製品が、繊維、織成又は不織ウェブ、或いはフィルターの部品である、請求項1~8の
いずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む製品。
[請求項10]
請求項1~8のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む管状部材、例
えば多層管状部材。
[請求項11]
請求項1~8のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む流体取扱いシ
ステムの部品、例えば液体貯蔵容器。
[請求項12]
請求項1~8のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む電子コンポー
ネント、例えば外装電線又はケーブル。
[請求項13]
ポリアリーレンスルフィドをシランカップリング剤及びシリコーンエラストマーと共に
溶融加工することを含む、ISO試験No.527にしたがって測定して約3000MP
aより大きい引張弾性率を示し、0.2ミリメートルの厚さにおいてV-0燃焼性標準規
格を満足するポリアリーレンスルフィド組成物の製造方法。
[請求項14]
ポリアリーレンスルフィドをジスルフィド化合物、例えば反応性官能化ジスルフィド化
合物と反応させることを更に含む、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
シリコーンエラストマーがポリ(ジメチルシロキサン)であり、及び/又はシランカッ
プリング剤がアミノシランカップリング剤である、請求項13又は14に記載の方法。
[請求項16]
ポリアリーレンスルフィド組成物を用いて、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、
発泡、圧縮成形、熱間鍛造、繊維紡糸、及び引き抜き成形の1以上を含む成形方法を行う
ことを更に含む、請求項13~15のいずれかに記載の方法。

Claims (20)

  1. ポリアリーレンスルフィド組成物であって、
    当該ポリアリーレンスルフィド組成物の20~90重量%のポリアリーレンスルフィド;
    当該ポリアリーレンスルフィド組成物の0.1~2.5重量%のシランカップリング剤;及び
    当該ポリアリーレンスルフィド組成物の0.05~25重量%の、ビニル又はヒドロキシル官能基で末端停止されたシリコーンエラストマーホモポリマーを含み;
    当該ポリアリーレンスルフィド組成物が、当該ポリアリーレンスルフィドと、当該シランカップリング剤と、当該シリコーンエラストマーホモポリマーのビニル又はヒドロキシル官能基との間のカップリング反応生成物を含み;
    当該ポリアリーレンスルフィド組成物が、ISO試験No.527にしたがって測定して3000MPaより大きい引張弾性率を示し、0.2ミリメートルの厚さにおいてV-0燃焼性標準規格を満足する、前記ポリアリーレンスルフィド組成物。
  2. ISO試験No.527にしたがって測定して%未満の引張破断歪みを示すか、又はISO試験No.180/1Aにしたがって測定して1.7kJ/m未満のノッチなしアイゾッド衝撃強さを示す、請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  3. 当該ポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドであるか又は反応性官能化ポリアリーレンスルフィドである、請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  4. 当該シランカップリング剤が、アミノシランカップリング剤である、請求項1~3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  5. 当該アミノシランカップリング剤が、アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤である、請求項4に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  6. 当該シリコーンエラストマーホモポリマーポリ(ジオルガノシロキサン)である、請求項1~のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  7. 当該シリコーンエラストマーホモポリマーポリ(ジメチルシロキサン)である、請求項に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  8. 繊維状充填剤又は無機充填剤を更に含む、請求項1~7のいずれかに記載のポリアリー
    レンスルフィド組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む製品であって、当該製品が、繊維、織成又は不織ウェブ、或いはフィルターの部品である、前記製品
  10. 請求項1~8のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む管状部材
  11. 多層管状部材である、請求項10に記載の管状部材。
  12. 請求項1~8のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む流体取扱いシステムの部品
  13. 液体貯蔵容器である、請求項12に記載の流体取扱いシステムの部品。
  14. 請求項1~8のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物を含む電子コンポーネント
  15. 外装電線又はケーブルである、請求項14に記載の電子コンポーネント。
  16. ポリアリーレンスルフィド組成物の製造方法であって、
    当該ポリアリーレンスルフィド組成物の20~90重量%のポリアリーレンスルフィドを、当該ポリアリーレンスルフィド組成物の0.1~2.5重量%のシランカップリング剤及び当該ポリアリーレンスルフィド組成物の0.05~25重量%のビニル又はヒドロキシル官能基で末端停止されたシリコーンエラストマーホモポリマーと共に溶融加工することを含
    当該溶融加工は、当該ポリアリーレンスルフィドと、当該シランカップリング剤と、当該シリコーンエラストマーホモポリマーのビニル又はヒドロキシル官能基との間のカップリング反応を含み、
    当該ポリアリーレンスルフィド組成物が、ISO試験No.527にしたがって測定して3000MPaより大きい引張弾性率を示し、0.2ミリメートルの厚さにおいてV-0燃焼性標準規格を満足する、前記製造方法。
  17. 当該ポリアリーレンスルフィドをジスルフィド化合物と反応させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
  18. 当該ジスルフィド化合物が反応性官能化ジスルフィド化合物である、請求項17に記載の方法。
  19. 当該シリコーンエラストマーホモポリマーがポリ(ジメチルシロキサン)であり、及び/又は当該シランカップリング剤がアミノシランカップリング剤である、請求項16~18のいずれかに記載の方法。
  20. 当該ポリアリーレンスルフィド組成物を用いて、押出し、射出成形、ブロー成形、熱成形、発泡、圧縮成形、熱間鍛造、繊維紡糸、及び引き抜き成形の1以上を含む成形方法を行うことを更に含む、請求項16~19のいずれかに記載の方法。
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