JP7031558B2 - ネジ長判定システム、ネジ締めシステムおよびプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、ネジ締めの工程においてネジの長さを判定するネジ長判定システム、当該ネジ長判定システムを備えるネジ締めシステム、およびプログラムに関する。
特許文献1には、ボルトの締付異常検出方法などが開示されている。当該方法では、ボルトの座部が被締結物に着座するまでの締付を連続して二度行い、二度目の締付動作におけるモータないしソケットの回転開始時間からボルトが着座するまでに要した時間をタイマが測定する。当該時間をコントローラが、適正なボルトを使用したときの標準時間と比較することにより、当該ボルトの長さを判定する。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、例えばモータないしソケットの回転開始時間におけるボルトの位置から被締結物までの距離にバラツキがある場合などに、ボルトが着座するまでに要する時間が変化し、当該ボルトの長さを正確に判定できない虞がある。
本発明の一態様は、高い精度でネジの長さを判定することが可能なネジ長判定システムなどを実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記ネジの先端がネジ締め対象である被締結物に接触する時刻を下降終了の時刻とし、前記ネジの座面が前記被締結物に接触する時刻を仮着座の時刻とし、前記ネジに対してネジ締めを行うためのドライバーの軸周りでの回転運動を生じさせる第1モータの回転トルクが第1所定値以上かつ第2所定値未満であり、かつ、前記ドライバーの軸方向への往復運動を生じさせる第2モータの移動トルクが第3所定値である期間を本締め中の期間とし、前記ドライバーの軸周りでの回転運動を生じさせる第1モータの回転トルクが第2所定値であり、かつ、前記ドライバーの軸方向への往復運動を生じさせる第2モータの移動トルクが第3所定値である期間を本締め保持中の期間とした場合に、前記下降終了の時刻から、前記仮着座の時刻、前記本締め中の期間の終了時刻、および前記本締め保持中の期間の終了時刻、のうちいずれかまでの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置または回転量に基づいて前記ネジの長さを判定する。
上記の構成によれば、ネジ長判定システムは、ネジの下降終了の時刻を始点とする、所定のネジ締め工程が終了するまでの期間における、ドライバーの軸方向における位置または回転量に基づいてネジの長さを判定する。したがって、例えばネジ締めに要した時間などに基づいてネジの長さを判定する場合と比較して、高い精度でネジの長さを判定できる。
また、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記下降終了の時刻から、前記仮着座の時刻または前記本締め中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置の変化に基づいて前記ネジの長さを判定する。
また、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記下降終了の時刻から前記仮着座の時刻までの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置の平均値または最大値に基づいて前記ネジの長さを判定する。
また、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記下降終了から前記本締め中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置の平均値または最小値に基づいて前記ネジの長さを判定する。
また、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記ネジの長さと、前記ドライバーの軸方向における位置との関係を示すテーブルを参照して、前記ネジの長さを判定する。
上記の構成によれば、ネジの個体差に起因する、ネジ締めの工程における、ドライバーの位置のバラツキ、ネジの長さの個体差、およびワークの高さの個体差などによる、ネジ-ワーク間の相対位置のバラツキの、判定への影響を低減できる。
また、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記下降終了の時刻から、前記本締め中の期間の終了時刻または前記本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの回転量に基づいて前記ネジの長さを判定する。
また、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記下降終了の時刻から前記本締め中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの回転量の最大値に基づいて前記ネジの長さを判定する。
また、本発明の一態様に係るネジ長判定システムは、前記下降終了の時刻から前記本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの回転量の平均値、最大値または最小値に基づいて前記ネジの長さを判定する。
また、本発明の一態様に係るネジ締めシステムは、ドライバーの軸周りでの回転運動を生じさせる回転用サーボと、前記ドライバーの軸方向への往復運動を生じさせる往復用サーボと、前記ドライバーの前記軸方向における位置を検知する軸方向位置検知部と、上記のいずれかの態様のネジ長判定システムと、を備える。
上記の構成によれば、ネジ締めシステムが回転用サーボおよび往復用サーボによりドライバーに運動を生じさせてネジ締めを行う場合において、ネジ長判定システムは、軸方向位置検知部が検知したドライバーの位置、または回転用サーボから取得したドライバーの回転量に基づいてネジ長を判定することができる。
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記のいずれかの態様に係るネジ締め不良判定装置としてコンピュータを動作させる。
本発明の一態様に係るネジ長判定システムなどによれば、高い精度でネジの長さを判定することができる。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
§1 適用例
図1は、本実施形態に係るネジ締めシステム1の概要を示すブロック図である。図1に示すように、ネジ締めシステム1は、PLC(Programmable Logic Controller)10(ネジ長判定システム)、カプラ20、回転用サーボ30(第1モータ)、および往復用サーボ40(第2モータ、軸方向位置検知部)を備える。ネジ締めシステム1は、後述するドライバー51(図2参照)の、軸周りでの回転運動および軸方向への往復運動により、ネジ締め動作を行う。このとき、PLC10は、ネジ締め動作の制御を行うとともに、ネジの長さが正しいものであるか否かを判定する。
図1は、本実施形態に係るネジ締めシステム1の概要を示すブロック図である。図1に示すように、ネジ締めシステム1は、PLC(Programmable Logic Controller)10(ネジ長判定システム)、カプラ20、回転用サーボ30(第1モータ)、および往復用サーボ40(第2モータ、軸方向位置検知部)を備える。ネジ締めシステム1は、後述するドライバー51(図2参照)の、軸周りでの回転運動および軸方向への往復運動により、ネジ締め動作を行う。このとき、PLC10は、ネジ締め動作の制御を行うとともに、ネジの長さが正しいものであるか否かを判定する。
ネジの長さが適切でない場合には、底付き(ネジがネジ穴よりも長い、または異物がネジ穴に溜まっているなどの理由で、ネジ締め動作が途中で止まる)またはネジがネジ穴に螺合される長さが短いといった、ネジ締め不良が生じる。ネジ締め不良とは、ネジに規定のトルクが与えられたにもかかわらず、当該ネジが十分な締結力を発揮しない状態を意味する。PLC10は、ネジの長さについて判定することで、上記のネジ締め不良の発生を抑制する。
回転用サーボ30は、ドライバー51の軸周りの回転運動を生じさせるモータである。また、回転用サーボ30は、自身の回転速度(deg./s)、回転量(deg.)、および回転トルク(定格トルクに対する割合(%))をカプラ20へ出力する。
往復用サーボ40は、ドライバー51の軸方向への往復運動を生じさせるモータである。また、往復用サーボ40は、自身の回転によるドライバー51の移動速度(mm/s)、移動位置(mm)、および移動トルク(定格トルクに対する割合(%))をカプラ20へ出力する。このため、往復用サーボ40は、ドライバー51の軸方向における位置を検知する軸方向位置検知部としても機能する。
カプラ20は、PLC10と、回転用サーボ30および往復用サーボ40と、を接続する。詳細には、カプラ20は、PLC10から受信した制御信号を回転用サーボ30および往復用サーボ40へ送信する。また、カプラ20は、回転用サーボ30から受信した、回転用サーボ30の回転速度、回転量および回転トルクをPLC10へ送信する。また、カプラ20は、往復用サーボ40から受信した、往復用サーボ40の回転によるドライバー51の移動速度、移動位置および移動トルクをPLC10へ送信する。
以下の説明では、回転用サーボ30の回転速度、回転量および回転トルク、並びに往復用サーボ40の回転によるドライバー51の移動速度、移動位置および移動トルクを総称してパラメータと称することがある。
図2は、PLC10の構成を示すブロック図である。PLC10は、ネジ締めシステム1の動作を制御する。図2に示すように、PLC10は、制御部11、通信部12、および判定部13(速度計測部、長さ判定部)を備える。
制御部11は、回転用サーボ30および往復用サーボ40を制御するための制御信号を通信部12へ出力する。通信部12は、制御部11から入力された制御信号をカプラ20へ送信する。制御信号は、カプラ20を介して回転用サーボ30および往復用サーボ40へ送信され、回転用サーボ30および往復用サーボ40を制御する。制御部11は、回転用サーボ30および往復用サーボ40を同期させて制御する。また、制御部11は、回転用サーボ30および往復用サーボ40のパラメータを当該回転用サーボ30および往復用サーボ40制御にフィードバックする。
通信部12は、回転用サーボ30および往復用サーボ40から、カプラ20を介してパラメータを受信する。通信部12は、受信したパラメータを図示しない記憶装置に記憶させる。また、受信したパラメータを記憶するための記憶装置を、ネジ締めシステム1が備えていてもよい。制御部11および判定部13は、必要に応じてパラメータを記憶装置から取得する。なお、簡単のため、図2においては、通信部12がパラメータを制御部11および判定部13へ出力している。
判定部13は、ネジ締めの過程におけるパラメータに基づいて、ネジの長さを判定する。判定部13による判定の具体例については後述する。
§2 構成例
(ネジ締めシステム1の構成)
図3は、本実施形態に係るネジ締めシステム1の外観の例を示す図である。図3に示すように、ネジ締めシステム1は、回転用サーボ30、往復用サーボ40、ドライバーユニット50および支柱60を備える。また、図3には表れていないが、ネジ締めシステム1は、上述したとおり、PLC10およびカプラ20も備える。
(ネジ締めシステム1の構成)
図3は、本実施形態に係るネジ締めシステム1の外観の例を示す図である。図3に示すように、ネジ締めシステム1は、回転用サーボ30、往復用サーボ40、ドライバーユニット50および支柱60を備える。また、図3には表れていないが、ネジ締めシステム1は、上述したとおり、PLC10およびカプラ20も備える。
ドライバーユニット50は、ネジ締めを行うユニットである。ドライバーユニット50は、ドライバー51と、ネジ保持部52とを備える。ドライバー51は、軸周りで回転運動しながら軸方向に往復運動することで、ネジ締め動作を実行する。以下の説明では、ドライバー51の軸方向のうち、ネジ締めの過程でドライバー51が移動する方向を下方と称する。
回転用サーボ30は、ドライバー51の上方に配され、ドライバー51の軸周りの回転運動を生じさせる。また、ネジ保持部52は、ドライバー51の下方に設けられ、ドライバー51によるネジ締めの対象となるネジを保持する。
支柱60は、ドライバーユニット50を上下に移動可能に支持する。往復用サーボ40は、支柱60の上部に設けられ、ボールネジ(不図示)を介してドライバーユニット50と接続されている。往復用サーボ40の回転運動が、ボールネジにより上下方向への直線運動に変換される。その結果、ドライバーユニット50が上下に往復運動する。
(ネジ締め動作)
ネジ締めシステム1によるネジ締めの動作は、以下のとおりである。まず、ネジを保持した状態のネジ保持部52が、ネジ締めを行う対象であるワーク(被締結物)(不図示)の、ネジ締めを行う箇所へネジを下降させる。判定部13は、ネジの先端がワークに接触する時刻を下降終了の時刻とする。次に、ドライバー51は、ネジが仮着座するまで、ネジ締めを行う箇所へネジを回転させながら押し当てる。ここで、仮着座とは、ネジの座面がワークに接触した状態を指す。本実施形態では、回転用サーボ30の回転トルクが50%(第1所定値)に到達した状態を、ネジが仮着座した状態とする。判定部13は、回転用サーボ30の回転トルクが第1所定値に到達した時刻を、ネジが仮着座した時刻とする。
ネジ締めシステム1によるネジ締めの動作は、以下のとおりである。まず、ネジを保持した状態のネジ保持部52が、ネジ締めを行う対象であるワーク(被締結物)(不図示)の、ネジ締めを行う箇所へネジを下降させる。判定部13は、ネジの先端がワークに接触する時刻を下降終了の時刻とする。次に、ドライバー51は、ネジが仮着座するまで、ネジ締めを行う箇所へネジを回転させながら押し当てる。ここで、仮着座とは、ネジの座面がワークに接触した状態を指す。本実施形態では、回転用サーボ30の回転トルクが50%(第1所定値)に到達した状態を、ネジが仮着座した状態とする。判定部13は、回転用サーボ30の回転トルクが第1所定値に到達した時刻を、ネジが仮着座した時刻とする。
ネジ締めシステム1は、ネジが仮着座した状態から、さらにネジを回転させながら押し当てることで、本締めを行う。本実施形態では、本締めは、回転用サーボ30の回転トルクが150%(第2所定値)に到達するまで行われる。また、このとき、ネジ締めシステム1は、往復用サーボ40の移動トルクを所定の値(第3所定値)とする。すなわち、判定部13は、回転用サーボ30の回転トルクが第1所定値以上かつ第2所定値未満であり、かつ、往復用サーボ40の移動トルクが第3所定値である期間を本締め中の期間とする。回転用サーボ30の回転トルクが150%に到達すると、ネジ締めシステム1は、ネジを押し当てることをやめ、回転トルクが150%以上である状態を100msの間保持する。
その後、回転用サーボ30の回転トルクが0%以下になるようにして、ネジを解放する。さらに、ドライバー51を上方へ移動させて元の位置に復帰させることで、ネジ締め動作が完了する。ただし、上述した第1~第3所定値および保持時間は一例であり、ネジの種類および締結物/被締結物の種類によって異なる。
なお、上述したネジ締め動作の例は、ネジ締めを行う箇所に雌ネジが予め切られた状態(タップ)のワークに対してネジ締めを行うものである。しかし、ネジ締めシステム1は、ネジ締めを行う箇所に雌ネジが切られていない状態(タッピン(セルフタップ))のワークに対してネジ締めを行うことも可能である。
タッピンのワークに対してネジ締めを行う場合には、ネジが仮着座していない場合であっても、回転用サーボ30の回転トルクが50%以上に到達する。そこで、タッピンのワークに対してネジ締めを行う場合には、判定部13は、回転用サーボ30の回転トルクが100%に到達した状態を、ネジが仮着座した状態とする。ただし、判定部13は、タッピンのワークに対してネジ締めを行う場合にネジが仮着座した状態とする回転用サーボ30の回転トルクを、別の値としてもよい。
§3 動作例
本実施形態では、判定部13は、ネジの下降終了の時刻から、仮着座の時刻、本締め中の期間の終了時刻、および本締め保持中の期間の終了時刻、のうちいずれかまでの期間における、ドライバー51の軸方向における位置または回転量に基づいてネジの長さを判定する。具体的には、本実施形態における判定部13による判定は、以下の(1)および(2)のいずれかである。
本実施形態では、判定部13は、ネジの下降終了の時刻から、仮着座の時刻、本締め中の期間の終了時刻、および本締め保持中の期間の終了時刻、のうちいずれかまでの期間における、ドライバー51の軸方向における位置または回転量に基づいてネジの長さを判定する。具体的には、本実施形態における判定部13による判定は、以下の(1)および(2)のいずれかである。
(1)ネジの下降終了の時刻から、仮着座の時刻または本締め中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の軸方向における位置の変化に基づいてネジの長さを判定する
(2)ネジの下降終了の時刻から、本締め中の期間の終了時刻または本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量に基づいてネジの長さを判定する
以下に、判定部13による、ネジの長さの判定について説明する。
(2)ネジの下降終了の時刻から、本締め中の期間の終了時刻または本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量に基づいてネジの長さを判定する
以下に、判定部13による、ネジの長さの判定について説明する。
<3.1 仮着座までの位置の変化に基づく判定>
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの仮着座の時刻までの期間における、ドライバー51の軸方向における位置の平均値または最大値に基づいてネジの長さを判定してよい。
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの仮着座の時刻までの期間における、ドライバー51の軸方向における位置の平均値または最大値に基づいてネジの長さを判定してよい。
図4は、ネジの下降終了の時刻から仮着座の時刻までの期間における、時間に対するドライバー51の軸方向における位置を示すグラフであって、(a)は位置の平均値、(b)は位置の最大値を示す。図4の(a)に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の軸方向における位置の平均値を示す。また、図4の(b)に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の軸方向における位置の最大値を示す。
図4の(a)および(b)に示すグラフは、横軸方向において2つの領域T1およびT2に区分されている。領域T1には、M4L8ネジのネジ締めにおけるドライバー51の位置の変化が4通り示されている。領域T2には、M4L10ネジのネジ締めにおけるドライバー51の位置の変化が3通り示されている。なお、図4の(a)および(b)の領域T2における2通り目のグラフは、当該領域T2における1通り目および3通り目のグラフとの区別のため、それらのグラフとは異なる色で示されている。
図4の(a)および(b)に示すように、M4L8ネジとM4L10ネジとでは、ネジの下降終了の時刻から仮着座の時刻までの期間における、ドライバー51の位置の平均値および最大値に明確な差がある。図4の(a)に示す例では、ドライバー51の位置の平均値は、M4L8ネジのネジ締め工程においては閾値TH未満の範囲で変化するのに対し、M4L10ネジのネジ締め工程においては主に閾値TH以上の範囲で変化する。したがって、例えば上記の期間におけるドライバー51の位置の平均値または最大値に、閾値を設けることができる。判定部13は、当該閾値に基づいてネジの長さを判定することで、高い精度でネジの長さを判定することができる。
<3.2 本締め終了までの位置の変化に基づく判定>
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の軸方向における位置の平均値または最小値に基づいてネジの長さを判定してもよい。
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の軸方向における位置の平均値または最小値に基づいてネジの長さを判定してもよい。
図5は、ネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、時間に対するドライバー51の軸方向における位置を示すグラフであって、(a)は位置の平均値、(b)は位置の最小値を示す。図4の(a)に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の軸方向における位置の平均値を示す。また、図4の(b)に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の軸方向における位置の最小値を示す。また、図5の(a)および(b)に示すグラフも、横軸方向において、図4の(a)および(b)に示すグラフと同様の領域T1およびT2に区分されている。
図5の(a)および(b)に示すように、M4L8ネジとM4L10ネジとでは、ネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の位置の平均値および最小値の変化量に明確な差がある。したがって、例えば上記の期間におけるドライバー51の位置の平均値または最小値の変化量に、閾値を設けることができる。判定部13は、当該閾値に基づいてネジの長さを判定することで、高い精度でネジの長さを判定できる。
<3.3 本締め終了までの回転量の変化に基づく判定>
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量の最大値に基づいてネジの長さを判定してもよい。
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量の最大値に基づいてネジの長さを判定してもよい。
図6は、ネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、時間に対するドライバー51の回転量の最大値を示すグラフである。図6に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の回転量の最大値を示す。また、図5の(a)および(b)に示すグラフも、横軸方向において、図4の(a)および(b)に示すグラフと同様の領域T1およびT2に区分されている。
図6に示すように、M4L8ネジとM4L10ネジとでは、ネジの下降終了の時刻からネジの本締め中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量の最大値に明確な差がある。したがって、例えば上記の期間におけるドライバー51の回転量の最大値に、閾値を設けることができる。判定部13は、当該閾値に基づいてネジの長さを判定することで、高い精度でネジの長さを判定できる。
<3.4 本締め保持終了までの回転量の変化に基づく判定>
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量の平均値、最大値または最小値に基づいてネジの長さを判定してもよい。
判定部13は、例えばネジの下降終了の時刻からネジの本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量の平均値、最大値または最小値に基づいてネジの長さを判定してもよい。
図7は、ネジの下降終了の時刻からネジの本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、時間に対するドライバー51の回転量を示すグラフであって、(a)は回転量の平均値、(b)は回転量の最大値、(c)は回転量の最小値を示す。図7の(a)に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の回転量の平均値を示す。また、図7の(b)に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の回転量の最大値を示す。また、図7の(c)に示すグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はドライバー51の回転量の最小値を示す。また、図7の(a)~(c)に示すグラフも、横軸方向において、図4の(a)および(b)に示すグラフと同様の領域T1およびT2に区分されている。
図7の(a)~(c)に示すように、M4L8ネジとM4L10ネジとでは、ネジの下降終了の時刻からネジの本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、ドライバー51の回転量の平均値、最大値および最小値のそれぞれに明確な差がある。したがって、例えば上記の期間におけるドライバー51の回転量の平均値、最大値または最小値に、閾値を設けることができる。判定部13は、当該閾値に基づいてネジの長さを判定することで、高い精度でネジの長さを判定できる。
<3.5 処理の流れ>
図8は、判定部13における処理の例を示すフローチャートである。まず、判定部13は、ネジの長さの判定に用いるパラメータを回転用サーボ30または往復用サーボ40から取得する(S1)。例えば3.1で説明した判定を行うのであれば、判定部13は、ドライバー51の軸方向における位置の情報を往復用サーボ40から取得し、その平均値を算出する。
図8は、判定部13における処理の例を示すフローチャートである。まず、判定部13は、ネジの長さの判定に用いるパラメータを回転用サーボ30または往復用サーボ40から取得する(S1)。例えば3.1で説明した判定を行うのであれば、判定部13は、ドライバー51の軸方向における位置の情報を往復用サーボ40から取得し、その平均値を算出する。
次に、判定部13は、パラメータを取得する期間が終了したか判定する(S2)。例えば3.1で説明した判定を行うのであれば、判定部13は、ネジが仮着座したか否かを判定する。パラメータを取得する期間が終了していない場合(S2でNO)、判定部13は、ステップS1から処理を繰り返す。
一方、パラメータを取得する期間が終了した場合(S2でYES)、判定部13は、ネジの長さを判定する(S3)。その後、判定部13は処理を終了する。
以上の処理により、上述した3.1~3.4のいずれかの判定を行うことで、PLC10は、高い精度でネジの長さを判定することができる。特に、上述した3.1~3.3のいずれかの判定を行う場合、PLC10は本締め保持中の期間が終了するよりも前にネジの長さを判定できるため、早期にネジの長さを判定できる。
なお、PLC10は、ステップS3において判定部13が判定したネジの長さに関する報知を行う報知部をさらに備えていてもよい。例えば判定部13が判定したネジの長さが適切な長さとは異なっていた場合、報知部はその旨を音声、光または画像などによってネジ締めシステム1のユーザに報知してもよい。この場合、ネジ締めシステム1は、報知部が報知を行うためのスピーカー、発光装置または画像表示装置などを備えていればよい。
また、上述した例では、判定部13がドライバー51の移動速度の計測およびネジの長さの算出の両方を行ったが、これらをそれぞれ別の処理部が実行してもよい。
また、上述した例では、PLC10がネジ締め動作の制御およびネジの長さの判定の両方を行ったが、上記制御を行うPLCと、上記判定を行うPLCとを別々に設けてもよい。例えば、1台のネジ長さ判定用コントローラが、複数台のネジ締め制御用PLCから計測データを受信し、ネジの長さ判定を行ってもよい。この場合には、ネジ長さ判定用コントローラが、ネジ長判定システムに相当する。
<3.6 テーブルを参照しての判定>
図9は、判定部13が参照するテーブルの例を示す図である。上述した3.1または3.2の判定、すなわちドライバー51の軸方向における位置を用いて判定を行う場合、判定部13は、ネジの長さと、ドライバー51の軸方向における位置との関係を示すテーブルを参照してネジの長さを判定してもよい。図9には、図4の(a)にグラフを示したネジについて判定する場合における、ドライバー51の軸方向における位置の平均値と、ネジの長さとの関係を示すテーブルが示されている。判定部13は、ネジの長さについてこのようなテーブルを参照して判定することで、ネジの個体差に起因する、ネジ締めの工程におけるドライバーの位置のバラツキの、判定への影響を低減できる。上記のテーブルは、例えばカプラ20を介してPLC10と接続されている記憶装置(不図示)に記憶されていてよい。
図9は、判定部13が参照するテーブルの例を示す図である。上述した3.1または3.2の判定、すなわちドライバー51の軸方向における位置を用いて判定を行う場合、判定部13は、ネジの長さと、ドライバー51の軸方向における位置との関係を示すテーブルを参照してネジの長さを判定してもよい。図9には、図4の(a)にグラフを示したネジについて判定する場合における、ドライバー51の軸方向における位置の平均値と、ネジの長さとの関係を示すテーブルが示されている。判定部13は、ネジの長さについてこのようなテーブルを参照して判定することで、ネジの個体差に起因する、ネジ締めの工程におけるドライバーの位置のバラツキの、判定への影響を低減できる。上記のテーブルは、例えばカプラ20を介してPLC10と接続されている記憶装置(不図示)に記憶されていてよい。
§4 変形例
ネジ締めシステム1の制御ブロック(特に制御部11、通信部12および判定部13)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
ネジ締めシステム1の制御ブロック(特に制御部11、通信部12および判定部13)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、ネジ締めシステム1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 ネジ締めシステム
10 PLC(ネジ長判定システム)
13 判定部
30 回転用サーボ(第1モータ、軸方向位置検知部)
40 往復用サーボ(第2モータ)
51 ドライバー
10 PLC(ネジ長判定システム)
13 判定部
30 回転用サーボ(第1モータ、軸方向位置検知部)
40 往復用サーボ(第2モータ)
51 ドライバー
Claims (10)
- ネジの先端がネジ締め対象である被締結物に接触する時刻を下降終了の時刻とし、
前記ネジに対してネジ締めを行うためのドライバーの軸周りでの回転運動を生じさせる第1モータの回転トルクが第1所定値に到達した時刻を仮着座の時刻とし、
前記第1モータの回転トルクが前記第1所定値以上かつ第2所定値未満であり、かつ、前記ドライバーの軸方向への往復運動を生じさせる第2モータの移動トルクが第3所定値である期間を本締め中の期間とし、
前記ドライバーの軸周りでの回転運動を生じさせる第1モータの回転トルクが第2所定値であり、かつ、前記ドライバーの軸方向への往復運動を生じさせる第2モータの移動トルクが第3所定値である期間を本締め保持中の期間とした場合に、
前記下降終了の時刻から、前記仮着座の時刻、前記本締め中の期間の終了時刻、および前記本締め保持中の期間の終了時刻、のうちいずれかまでの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置または回転量に基づいて前記ネジの長さを判定するネジ長判定システム。 - 前記下降終了の時刻から、前記仮着座の時刻または前記本締め中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置の変化に基づいて前記ネジの長さを判定する請求項1に記載のネジ長判定システム。
- 前記下降終了の時刻から前記仮着座の時刻までの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置の平均値または最大値に基づいて前記ネジの長さを判定する請求項2に記載のネジ長判定システム。
- 前記下降終了から前記本締め中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの軸方向における位置の平均値または最小値に基づいて前記ネジの長さを判定する請求項2に記載のネジ長判定システム。
- 前記ネジの長さと、前記ドライバーの軸方向における位置との関係を示すテーブルを参照して、前記ネジの長さを判定する請求項3または4に記載のネジ長判定システム。
- 前記下降終了の時刻から、前記本締め中の期間の終了時刻または前記本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの回転量に基づいて前記ネジの長さを判定する請求項1に記載のネジ長判定システム。
- 前記下降終了の時刻から前記本締め中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの回転量の最大値に基づいて前記ネジの長さを判定する請求項6に記載のネジ長判定システム。
- 前記下降終了の時刻から前記本締め保持中の期間の終了時刻までの期間における、前記ドライバーの回転量の平均値、最大値または最小値に基づいて前記ネジの長さを判定する請求項6に記載のネジ長判定システム。
- ドライバーの軸周りでの回転運動を生じさせる回転用サーボと、
前記ドライバーの軸方向への往復運動を生じさせる往復用サーボと、
前記ドライバーの前記軸方向における位置を検知する軸方向位置検知部と、
請求項1から8のいずれか1項に記載のネジ長判定システムと、を備えるネジ締めシステム。 - 請求項1に記載のネジ長判定システムとしてコンピュータを動作させるためのプログラム。
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