JP7031049B1 - 換気用スリーブパイプ及び建物壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物壁に換気路を容易に施工できるようにする。【解決手段】スリーブパイプ10は、建物壁1に設けた貫通孔2aと嵌合可能な差込部13を有する円筒状の筒部11と、筒部11の外周から突出するフランジ部12とを有しており、筒部11の内周面11aには、建物壁1の一方側の壁面に設置するレジスタ16を支持可能であり且つ前記壁面に形成した前記換気口用端末部材の取付開口3bを通じて筒部11の支持部14から嵌合される継ぎ目の無い直管でなる支持管4に対して当接可能な係止段部15を有する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用 発行日 2021年7月2日 刊行物 製品リーフレット 発行者 株式会社ユニックス
本開示は、建物壁に設ける換気用スリーブパイプ及び建物壁に関する。
室内を室外と仕切る建物壁には、室内と室外とを連通する換気路が形成されている。その換気路を形成する建築資材として換気用スリーブパイプが知られている(特許文献1参照)。
特許第5664948号公報
建物壁は、その仕様に応じて構造や厚みが異なる。例えば建物壁の外壁としてALCパネル(軽量気泡コンクリートパネル)を用いる場合、室外壁としてALCパネルを配置し、ALCパネルの室内側の面に断熱材を施工し、室内壁としてクロス貼りしたプラスターボードを配置して構成される。
このような建物壁に換気路を形成する場合には、ALCパネルに貫通孔を形成し、換気用スリーブパイプをALCパネルに固定し、換気用スリーブパイプの周辺に断熱材を施工した後、その室外側にプラスターボードとクロス貼りを設置し、プラスターボードとクロスに穿設した取付開口に露出する換気用スリーブパイプの端部に換気口用端末部材(レジスタ、換気口、スリーブキャップ等)を取付けるという工程を経る。
しかしながら、ALCパネルとプラスターボードとの壁間距離は、建物壁の設計や仕様によって異なり、プラスターボードの厚みもまた建物壁(室内壁)として求められる断熱性能や防音性能に応じて異なる。さらに、プラスターボードの表面を装飾するクロスの厚みも、使用するクロスによって異なる。したがって、ALCパネルとクロス貼りしたプラスターボードとの間に設置する換気用スリーブパイプは、そのような壁間距離の違いに容易に適応できることが好ましい。このためスリーブパイプに、そのスリーブパイプ用の既製の専用部品であるジョイント部材やソケット部材を継ぎ足して長さ調整をすることが考えられる。しかしながら、既製の専用部品を別部品として用意しなければならず、またジョイント部材やソケット部材はその長さを変えることができないため、壁間距離に応じた長さで配置できないという課題がある。
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その一態様は、室内と室外とを仕切る建物壁が、貫通孔を有し室外側に配置される第1の壁材と、室内側に配置される第2の壁材と、前記第1の壁材と前記第2の壁材との間に配置され、室内側管端に前記第2の壁材の室内側壁面に設置する換気口用端末部材を取付可能であり継ぎ目の無い直管でなる支持管とを有して構成されており、前記第1の壁材に取付可能に構成される換気用スリーブパイプであり、円筒状の筒部とフランジ部とを一体に有する樹脂成形体にて形成されており、前記フランジ部は、前記第1の壁材に固定可能に構成され、前記筒部は、前記フランジ部の第1の面から突出して前記貫通孔と嵌合可能な差込部と、前記フランジ部の第2の面から突出して前記支持管を嵌合可能な支持部と、前記筒部に設けられ前記支持部から嵌合される前記支持管に対して当接可能な係止段部とを有する換気用スリーブパイプである。
また、他の一態様は、建物壁に設けた貫通孔と嵌合可能な第1の端部を有する円筒状の筒部と、前記筒部の外周から突出するフランジ部とを有する換気用スリーブパイプであり、前記筒部には、前記建物壁の一方側の壁面に設置する換気口用端末部材を支持可能であり且つ前記壁面に形成した前記換気口用端末部材の取付開口を通じて前記筒部の第2の端部から挿入(嵌合)される継ぎ目の無い直管でなる支持管に対して当接可能な係止段部を有する、換気用スリーブパイプである。
さらに、他の一態様は、貫通孔を有し室外側に配置する第1の壁材と、換気口用端末部材の取付開口を有し室内側に配置する第2の壁材と、前記貫通孔と嵌合可能な第1の端部を有する円筒状の筒部と、前記筒部の外周から突出するフランジ部と、前記筒部に設けられる係止段部とを有し、一体の樹脂成形体である換気用スリーブパイプと、一端側が前記筒部の第2の端部から嵌合されて前記係止段部に当接し他端側が前記取付開口に露出する長さを有しており、継ぎ目の無い直管パイプでなる支持管と、前記支持管の前記他端側に設置する換気口用端末部材とを備える建物壁である。
以上の本開示の一態様によれば、換気用スリーブパイプに係止段部を設け、その係止段部に対して、継ぎ目の無い直管でなる支持管の一端を当接させて、支持管の他端に換気口用端末部材を取付けることが可能となる。このため換気用スリーブパイプと直管でなる支持管とによって、建物壁の設計や仕様に応じて換気路を容易に形成することができる。
さらに前記各一態様における換気用スリーブパイプは、前記筒部と前記フランジ部とを一体の樹脂成形体にて構成できる。これによれば、筒部とフランジ部とを別部材として構成する場合と比べて施工上の取扱い性を向上でき、また部品点数を少なくすることができる。
本開示の一態様によれば、建物壁に容易に換気路を形成できる。
一実施形態による換気用スリーブパイプの正面、平面、右側面を含む斜視図。 2Aは図1の換気用スリーブパイプの正面図、2Bは2Aの背面図。 3Aは図2Aの平面図、3Bは図2Aの底面図。 図2Aの左側面図。 図2AのV-V線断面図。 図1の換気用スリーブパイプの各部の長さを示す図5相当の端面図。 図1の換気用スリーブパイプと支持管の接続状態を模式的に示す端面図。 一実施形態による建物壁の断面図。
本開示の一態様による実施形態の例について説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲の請求項の記載を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが課題解決手段として必須であるとは限らない。
以下の説明では、「建物壁」の例として、室外側の外壁にALCパネルを用い、室内側の内壁にクロス貼りしたプラスターボードを用いる例を説明するが、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造などの各種の建築構造に応じた建築壁であっても、換気用スリーブパイプを適用することができる。
以下の説明では、図2で示す換気用スリーブパイプ10の正面に対する左右方向(幅方向)をX方向、前後方向(軸方向)をY方向、上下方向(高さ方向)をZ方向として説明する。また、建物壁1では、前記X方向を建物壁1の面方向とし、前記Y方向を建物壁1の厚み方向とし、前記Z方向を建物壁1の高さ方向として説明する。本明細書、特許請求の範囲に記載する「第1の」、「第2の」という用語は、異なる構成要素を区別するために用いており、特定の順序や優劣を示すために用いるものではない。図面は、実施形態の理解を容易にするために、物の構造の要部を模式的に示すものである。
換気用スリーブパイプの説明〔図1~図7〕
換気用スリーブパイプ(以下、「スリーブパイプ」という。)10は、全体が硬質樹脂の樹脂成形体により形成されている。硬質樹脂としては、例えばABS樹脂を用いることができる。スリーブパイプ10は、樹脂成形体として、筒部11とフランジ部12とを一体に有する。
筒部11は、全体が円筒状に形成されている。筒部11は、フランジ部12の第1の面12aから突出する差込部13と、フランジ部12の第2の面12bから突出する支持部14とを有する。第1の面12aは施工状態で室外側に位置する面であり、差込部13は室外側に向けて円筒状に突出する。第2の面12bは施工状態で室内側に位置する面であり、支持部14は室内側に向けて円筒状に突出する。
差込部13と支持部14を比較すると、支持部14の方が差込部13よりも大きな外径及び内径を有している。そして筒部11の内周面11aには係止段部15が形成されている。係止段部15は、差込部13と支持部14との境界部に形成されている。より具体的には、係止段部15は、支持部14に繋がる小径の差込部13の端部として形成されている。係止段部15は、内周面11aの全周にわたって円環状に形成されている。したがって、支持部14に挿入される後述する支持管4の挿入側端部が、全周にわたって当接可能となっている。後述する支持管4は、施工時に現場合わせで切断して長さを決めることがあり、切断が現場作業のため切断面となる管端が管軸4bに対して直交せず斜めになることもある。そうした場合に、斜めの切断面となる管端のうち最も支持部14への挿入側端部が、簡単の周方向のどの位置になっても、係止段部15が円環状であるため必ず突き当てることができる。筒部11の径方向における係止段部15の長さは、その支持管4の管端の径方向における幅に相当する長さとして形成されている。なお、「相当する長さ」とは、同一長さでも、どちらか一方の方が若干長くてもよい。
次に、図6を参照して差込部13と支持部14を説明する。図6は、スリーブパイプ10の各部の寸法の大小を比較しやすくするため、図1から図5で示すスリーブパイプ10の特徴を強調して模式的に示している。
差込部13は、図6で示すように、フランジ部12に繋がる基端よりも先端側が薄肉となる形状で形成されている。すなわち差込部13は、外周面13aの外径が、フランジ部12の第1の面12aに繋がる基端外径の長さL1よりも先端外径の長さL2が短くなるように形成されている。より具体的には、外周面13aは、基端から先端にかけてテーパー状に縮径する形状とされている。このため施工時には、差込部13をALCパネル2の貫通孔2aに挿入しやすくなっている。また、外周面13aと貫通孔2aとの間のALC用止水処理部5やシーリング7を確実に施工することができる。
他方、内周面13bの内径は、基端内径の長さL3よりも先端内径の長さL4の方が大きく形成されている。より具体的には、内周面13bは、基端から先端にかけて漏斗状に拡径する形状とされている。差込部13の内周面13bには、施工状態で室外に設置する換気口の差込筒が挿入される。このため換気口から差込部13に雨水が入り込むおそれがある。こうした場合でも、内周面13bが漏斗状に拡径する形状であるため、差込部13の基端から先端にかけて下り勾配となり、雨水をできるだけ室内側に流れないように抑制することができる。
支持部14もまた、差込部13と同様に、図6で示すように、フランジ部12に繋がる基端よりも先端側が薄肉となる形状で形成されている。すなわち支持部14は、外周面14aの外径が、フランジ部12の第2の面12bに繋がる基端外径の長さL5よりも先端外径の長さL6が短くなるように形成されている。より具体的には、外周面14aは、基端から先端にかけてテーパー状に縮径する形状とされている。この支持部14の外周面14aと差込部13の外周面13aとは、互いの傾斜方向が逆の傾きとなっている。
他方、内周面14bの内径は、基端内径の長さL7よりも先端内径の長さL8の方が大きく形成されている。より具体的には、内周面14bは、基端から先端にかけて漏斗状に拡径する形状とされている。その理由は、フランジ部12の説明と合わせて後述する。この支持部14の内周面14bと差込部13の内周面13bとは、フランジ部12の側(基端側)よりも先端側の内径が大きく、その傾斜方向は互いに逆の傾き(拡径するテーパー形状)となっている。また、支持部14の外周面14aと差込部13の外周面13aも、フランジ部12の側(基端側)よりも先端側の外径が小さく、その傾斜方向は互いに逆の傾き(縮径するテーパー形状)となっている。
なお、本実施形態では、一例として、差込部13については外周面13aと水平線HL(図7参照)とのなす角を0.2°、内周面13bと水平線HLとのなす角を0.2°とし、支持部14については外周面14aと水平線HLとのなす角を0.3°、内周面14bと水平線HLとのなす角を0.3°とし、鉛直に対してフランジ部12の第1の面12aが傾斜する角度を0.3°として構成している。
フランジ部12は、平板状に形成されており、図2で示すように正面及び背面から見て、全体として四角形状に形成されている。前述の筒部11は、その筒軸がフランジ部12の中心と合致するように配置されている。フランジ部12には、複数の取付孔12cと、位置表示部12dと、取付方向表示12eとを有する。
複数の取付孔12cは、固定部材8(ALC用ビス)を挿通して、フランジ部12を後述するALCパネル2に固定するための孔である。各取付孔12cは、四角形状の四隅の角を落としたフランジ部12の湾曲縁12fと並んで配置される傾斜長孔として形成されている。各取付孔12cを傾斜長孔として形成することで、その傾斜長孔の範囲でスリーブパイプ10の取付姿勢を修正することができる。取付孔12cの長手方向に沿う中心線の水平線に対する傾斜角度は45度とされている。
位置表示部12dは、フランジ部12の第2の面12bに形成した厚肉突起として設けられている。すなわち位置表示部12dは、樹脂成形体の成形面の形状として形成されている。位置表示部12dは、フランジ部12における鉛直上方向、鉛直下方向、水平右方向、水平左方向を示す位置に配置されている。フランジ部12をALCパネル2に固定する際には、ALCパネル2の貫通孔2aを穿孔する際に墨付け(マーキング)した十字状の取付基準線に、位置表示部12dを合わせることで、筒部11の筒軸とALCパネル2に穿孔した貫通孔2aの孔軸とを合致させて、スリーブパイプ10を正しい位置に設置することができる。位置表示部12dは、細長い三角形状にて形成されている。その先端はフランジ部12の外縁12gの縁際に位置しており、目視による位置合わせを容易に行えるようにしている。
取付方向表示12eは、三角形状の厚肉突起(成形面の形状)として形成されている。取付方向表示12eは、フランジ部12の外縁12gの上端を指しており、スリーブパイプ10は、取付方向表示12eを上にして設置する。後述のように、フランジ部12の第1の面12aが傾斜面として形成されているため、上下を逆さにすると正しく施工できなくなるため、取付方向表示12eによって施工時にスリーブパイプ10の取付姿勢を間違えないように注意を促すことができる。
フランジ部12は、図6と図7で示すように、その上端側の板厚L9よりも下端側の板厚L10の方が厚くなるように形成されている。その理由を、図6と同様にスリーブパイプ10とその設置状態を模式的に示す図7を参照して説明する。
フランジ部12は、第2の面12bが筒部11の筒軸に対して直交配置となるよう形成されているのに対して、第1の面12aは筒部11の筒軸に対して斜めに傾斜する配置となるように形成されている。すなわち第1の面12aは、図6で部分拡大して示すように、外縁12gの上端面(又は水平線HL(図7参照))とのなす角度θ1が直角より大きい鈍角となるように形成されている。ここで比較説明のため、例えば第1の面12aが傾斜面ではなく、図7Aで示すように、第2の面12bと平行な鉛直方向に沿う面であると仮定する。この場合、支持部14の内周面14bは、前述のように内周基端から内周先端にかけて漏斗状に拡径している。このため、後述する支持管4を水平方向に挿入したときに、支持管4の外周面4aと支持部14の内周面14bとの間に断面横長三角形状の隙間が生じる。その隙間は、内周基端から内周先端にかけて徐々に大きくなることから、支持管4との間に、接着性を高めるための均一な隙間を形成するのが難しくなる。すなわち隙間にバラツキがあると、隙間を埋める接着層に接着品質を低下させるムラが生じるおそれがある。そこで、その隙間を解消するため、支持管4の外周面4aの下側を支持部14の内周面14bの下側部に沿わせて配置すると、図7Aで示すように、支持管4の管軸4bが水平線HLに対して室内に向けて下り勾配に傾斜し、スリーブパイプ10に入り込んだ雨水が、下り勾配の支持管4を通じて室内に流れ出てしまうおそれがある。
これに対して、第1の面12aを傾斜面として形成すると、図7Bで示すように、第1の面12aが鉛直方向に沿うALCパネル2の室内側面に沿うことにより、支持管4を下から支える支持部14の内周面14bの下側部を、実質的に水平に沿うように配置することができる。このとき支持管4の管軸4bは、水平線HLと一致する。したがって、支持管4を水平に挿入(嵌合)したときに、支持管4の外周面4aと内周面14bの下側部との間に接着性を向上するための均一な隙間を形成するのが容易となり、その間を充填する接着層も適切に形成しやすくなる。したがって、室内側の換気口用端末部材(レジスタ16)の重量を支持する支持管4を、支持部14によってより確実に固着することができる。また、支持管4を水平(図7B)に又は室内に向けて登り勾配に配置することができるため、スリーブパイプ10に入り込んだ雨水が室内に流出するのを抑制することができる。
第1の面12aを鉛直に沿って後述のALCパネル2に固定する場合、図6の部分拡大図で示すように、第1の面12aと内周面14bの下側部(下側部の延長線14c)とのなす角度θ2(スリーブパイプ10の設置姿勢での傾斜角)が直角であれば、支持管4が水平に配置されて、雨水の室内への流出を抑制できる。他方、ALCパネル2の施工上の理由や部材の寸法精度等の理由で、第1の面12aの上端側が鉛直に対して室内側に傾いた状態でALCパネル2に固定される場合、角度θ2が直角だと内周面14bの下側部が下り勾配となり、雨水が室内への流出するおそれがある。こうした事態も想定して、角度θ2は90°より小さく構成できる。これによれば、第1の面12aの上端側が前述のように室内側に傾いて固定されたとしても、支持管4を水平又は室内に向けて登り勾配に配置することできる。以上により角度θ2は、支持管4に取付ける「換気口用端末部材」としてのレジスタ16の室内での設置姿勢の見栄えをも考慮すると、88°以上90°以下とすることができる。
建物壁とその施工方法の説明〔図8〕
建物壁1は、図8で示すように、貫通孔2aを有し室外側に配置される「第1の壁材」としてのALCパネル2と、室内側に配置される「第2の壁材」としてのプラスターボード3と、ALCパネル2に固定されるスリーブパイプ10と、ALCパネル2とプラスターボード3との間に配置される支持管4とを少なくとも有する。支持管4は、継ぎ目の無い直管である。
建物壁1を施工するには、「室外壁」を構成するALCパネル2に貫通孔2aを形成してから、スリーブパイプ10の差込部13を挿入し、フランジ部12をALCパネル2に固定する。その際、差込部13の外周面13aと貫通孔2aとの隙間には、ALCパネル2用の止水処理剤が充填されたALC用止水処理部5を形成する。ALC用止水処理部5は、施工後に乾燥することで硬化体となる。ALC用止水処理部5の室外側には、ゴム状弾性体でなる仕切り材6を介してシーリング7が形成される。また、フランジ部12は、ALC用ビスでなる固定部材8を4つの取付孔12cに挿通してALCパネル2にねじ込むことにより、ALCパネル2に固定される。
次に、スリーブパイプ10を固定したALCパネル2の室内側表面に断熱材9を施工する。断熱材9は、フランジ部12を被覆し且つ支持部14の外周面14aの中央付近まで覆うように施工される。
次に、クロス3aを貼付けたプラスターボード3を設置する。このクロス貼りしたプラスターボード3は、「室内壁」を構成する。クロス3aを含むプラスターボード3には取付開口3bが穿孔される。断熱材9とプラスターボード3の間には、建物壁1の設計や仕様に応じた断熱のための壁内空間1aが形成されている。
ALCパネル2(第1の壁材)とプラスターボード3(第2の壁材)との間の壁間距離L11は、建物壁1の設計や仕様によって異なり、したがって建物壁1の厚み方向(Y方向)における壁内空間1aの大きさも異なることになる。その壁間距離L11に応じた換気路を形成するため、スリーブパイプ10の係止段部15からプラスターボード3の取付開口3bまでの距離に応じた支持管4を用意する。支持管4は、管材として汎用されている硬質塩化ビニル製の直管(SU管、LP管)を用いることができる。直管は、継ぎ目が無いストレート管である。
支持管4は、通常、設計上の壁間距離L11に応じた長さのものが用意されるが、施工現場での仕様変更のため、現場合わせで支持管4を切断して用意する場合もある。この場合には、例えば、職人が所持する定規を係止段部15に突き当てれば取付開口3bまでの距離を容易に測ることが可能であり、その長さに応じた支持管4を切断して用意することができる。したがって、係止段部15を有することで、現場合わせであっても容易に適切な長さの支持管4を用意することができる。このようにして建物壁1に応じて用意した支持管4を、取付開口3bを通じて支持部14の中に挿入する。挿入された支持管4の先端は係止段部15に当接し、挿入が停止する。これにより支持管4を支持部14に取付けることができる。なお、支持部14の内周面14bと支持管4の外周面4aとは接着剤により接合されている。
最後に、差込部13の室外側端部に、図示しない換気口を設置する。他方、支持管4の室内側端部から管内に、「換気口用端末部材」としてのレジスタ16を差し込んで取付ける。以上のようにして、建物壁1を施工することができる。
効果
スリーブパイプ10は、室内と室外とを仕切る建物壁1が、貫通孔2aを有し室外側に配置される「第1の壁材」としてのALCパネル2と、室内側に配置される「第2の壁材」としてのプラスターボード3と、それらの間に配置され、室内側管端にプラスターボード3の室内側壁面に設置する「換気口用端末部材」としてのレジスタ16を取付可能であって継ぎ目の無い直管でなる支持管4とを有して構成されており、ALCパネル2に取付可能に構成され、円筒状の筒部11とフランジ部12とを一体に有する樹脂成形体にて形成されており、フランジ部12は、ALCパネル2に固定可能に構成され、筒部11は、フランジ部12の第1の面12aから突出して貫通孔2aと嵌合可能な差込部13と、フランジ部12の第2の面12bから突出して支持管4を挿入可能な支持部14と、筒部11に設けられ支持部14から挿入される支持管4に対して当接可能な係止段部15とを有する。
また、スリーブパイプ10は、建物壁1に設けた貫通孔2aと嵌合可能な「第1の端部」としての差込部13を有する円筒状の筒部11と、筒部11の外周から突出するフランジ部12とを有しており、筒部11には、建物壁1の一方側の壁面に設置する「換気口用端末部材」としてのレジスタ16を支持可能であり且つ前記壁面に形成した前記換気口用端末部材の取付開口3bを通じて筒部11の「第2の端部」としての支持部14から挿入される継ぎ目の無い直管でなる支持管4に対して当接可能な係止段部15を有する。
さらに、建物壁1は、貫通孔2aを有し室外側に配置する「第1の壁材」としてのALCパネル2と、「換気口用端末部材」としてのレジスタ16の取付開口3bを有し室内側に配置する「第2の壁材」としての室内壁(プラスターボード3)と、貫通孔2aと嵌合可能な「第1の端部」としての差込部13を有する円筒状の筒部11と、筒部11の外周から突出するフランジ部12と、筒部11に設けられる係止段部15とを有し、一体の樹脂成形体であるスリーブパイプ10と、一端側が筒部11の「第2の端部」としての支持部14から挿入されて係止段部15に当接し、他端側が取付開口3bに露出する長さを有しており、継ぎ目の無い直管パイプでなる支持管4と、支持管4の前記他端側に設置する「換気口用端末部材」としてのレジスタ16とを備える。
以上のスリーブパイプ10と建物壁1によれば、スリーブパイプ10の筒部11に係止段部15を設け、その係止段部15に対して壁間距離L11の長さの直管でなる支持管4の一端を当接させ、支持管4の他端にレジスタ16を取付けることが可能となる。このためスリーブパイプ10と直管パイプでなる支持管4とによって、建物壁1の仕様に応じて換気路を容易に形成することができる。
スリーブパイプ10は、筒部11とフランジ部12とを一体の樹脂成形体にて構成できるので、筒部11とフランジ部12とを別部材として構成する場合と比べて、施工上の取扱い性を向上でき、また部品点数を少なくすることができる。
フランジ部12は、フランジ部12における鉛直上方向、鉛直下方向、水平右方向、水平左方向の少なくとも何れかを示す厚肉突起(又は薄肉溝)でなる位置表示部12dを有する。このためスリーブパイプ10をALCパネル2の所定位置に正しく設置することができる。
フランジ部12は、その上端側の板厚L9よりも下端側の板厚L10の方が長くなるように形成されている。このため支持部14を水平か登り勾配にして設置することができ、支持管4を確実に固定し、雨水が室内側に流れないように抑制することができる。
変形例
以上、実施形態について詳細に説明したが、本発明の構成及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがってこのような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、スリーブパイプ10、建物壁1の構成も、前記実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形例が可能である。
前記実施形態では、差込部13と支持部14を何れも円筒形状とする例を示したが、周方向に配置する複数の円弧状の差込部、円弧状の支持部のように形成してもよい。
前記実施形態では、係止段部15について、内周面11aの全周にわたる円環状の段部として形成する例を示したが、全周ではなく1又は複数の円弧状の段部として形成してもよい。
前記実施形態では、支持管4を支持部14の中に挿入する内挿接続を例示したが、支持部14の外周に支持管4を被せる外挿接続としてもよい。すなわち本明細書及び特許請求の範囲でいう「挿入」とは、内挿接続だけでなく外挿接続をも含む用語であり、内挿接続と外挿接続とを合わせて「嵌合」と同義の用語として定義することができる。この場合、支持部14の外径を支持管4の内径よりも外径が小さい支持部とし、断熱材で被覆されない支持部の部位に係止段部を形成する。そして支持管4を支持部に外挿して係止段部に当接させる構成とすることができる。そのような係止段部は、支持部の成形面の形状として設ける構成とするだけでなく、支持部14の外周面14aに取付けるスリーブパイプ10とは別部材(例えば粘着テープの積層体、樹脂片、環状又は突起状のゴム状弾性体など)によって設ける構成とすることもできる。
前記実施形態では、位置表示部12dについて、フランジ部12の第2の面12bに厚肉突起として設ける例を示したが、第2の面12bに形成した薄肉溝(凹部)として形成することもできる。位置表示部12dは、フランジ部12の成形面形状として設ける例を示したが、印刷や塗装等による着色表示として形成することもできる。これによればスリーブパイプ10の樹脂材料の色彩と異色の位置表示となり、より視認性を向上できる。位置表示部12dは、細長い三角形状とする例を示したが、位置を表示することができれば、その他の三角形状や細長い棒状など、どのような形状でもよい。位置表示部12dは、フランジ部12の外縁12gに近接する位置に配置される短い長さで形成する例を示したが、外縁12gと支持部14との間に配置できれば、前記実施形態よりも長く形成してもよい。位置表示部12dは、フランジ部12における鉛直上方向、鉛直下方向、水平右方向、水平左方向を示す位置に配置する例を示したが、少なくとも異方向で隣接する二つの位置表示部12dがあれば位置合わせは可能である。したがって、位置表示部12dは、2つ以上とすることができる。
前記実施形態では「換気口用端末部材」としてレジスタ16を例示したが、換気口、スリーブキャップでもよい。
1 建物壁
1a 壁内空間
2 ALCパネル
2a 貫通孔
3 プラスターボード
3a クロス
3b 取付開口
4 支持管
4a 外周面
4b 管軸
5 ALC用止水処理部
6 仕切り材
7 シーリング
8 固定部材
9 断熱材
10 スリーブパイプ
11 筒部
11a 内周面
12 フランジ部
12a 第1の面
12b 第2の面
12c 取付孔
12d 位置表示部
12e 取付方向表示
12f 湾曲縁
12g 外縁
13 差込部
13a 外周面
13b 内周面
14 支持部
14a 外周面
14b 内周面
15 係止段部
16 レジスタ(換気口用端末部材)
L1 差込部の基端外径
L2 差込部の先端外径
L3 差込部の基端内径
L4 差込部の先端内径
L5 支持部の基端外径
L6 支持部の先端外径
L7 支持部の基端内径
L8 支持部の先端内径
L9 フランジ部の上端側の板厚
L10 フランジ部の下端側の板厚
L11 壁間距離

Claims (8)

  1. 室内と室外とを仕切る建物壁が、貫通孔を有し室外側に配置される第1の壁材と、室内側に配置される第2の壁材と、前記第1の壁材と前記第2の壁材との間に配置され、室内側管端に前記第2の壁材の室内側壁面に設置する換気口用端末部材を取付可能であり継ぎ目の無い直管でなる支持管とを有して構成されており、前記第1の壁材に取付可能に構成される換気用スリーブパイプであり、
    円筒状の筒部とフランジ部とを一体に有する樹脂成形体にて形成されており、
    前記フランジ部は、前記第1の壁材に固定可能に構成され、
    前記筒部は、
    前記フランジ部の第1の面から突出して前記貫通孔と嵌合可能な差込部と、
    前記フランジ部の第2の面から突出して前記支持管を嵌合可能な支持部と、
    前記筒部の内周面に設けられ前記支持部から嵌合される前記支持管に対して当接可能な円環状の係止段部とを有する
    換気用スリーブパイプ。
  2. 室内と室外とを仕切る建物壁が、貫通孔を有し室外側に配置される第1の壁材と、室内側に配置される第2の壁材と、前記第1の壁材と前記第2の壁材との間に配置され、室内側管端に前記第2の壁材の室内側壁面に設置する換気口用端末部材を取付可能であり継ぎ目の無い直管でなる支持管とを有して構成されており、前記第1の壁材に取付可能に構成される換気用スリーブパイプであり、
    円筒状の筒部とフランジ部とを一体に有する樹脂成形体にて形成されており、
    前記フランジ部は、前記第1の壁材に固定可能に構成され、
    前記筒部は、
    前記フランジ部の第1の面から突出して前記貫通孔と嵌合可能な差込部と、
    前記フランジ部の第2の面から突出して前記支持管を嵌合可能な支持部と、
    前記筒部の内周面に設けられ前記支持部から嵌合される前記支持管に対して当接可能な円弧状の係止段部とを有する
    換気用スリーブパイプ。
  3. 前記フランジ部は、前記フランジ部における鉛直上方向、鉛直下方向、水平右方向、水平左方向の少なくとも何れかを示す厚肉突起又は薄肉溝でなる位置表示部を有する
    請求項1又は2記載の換気用スリーブパイプ。
  4. 前記フランジ部は、その上端側の板厚よりも下端側の板厚の方が長くなるように形成されている
    請求項1~3何れか1項記載の換気用スリーブパイプ。
  5. 前記支持部の前記内周面は、前記フランジ部と繋がる基端側よりも先端側が拡径した形状であり、前記支持部の前記内周面の下側部と前記フランジ部の前記第1の面とのなす角度は、90°以下である
    請求項1~4何れか1項記載の換気用スリーブパイプ。
  6. 貫通孔を有し室外側に配置する第1の壁材と、
    換気口用端末部材の取付開口を有し室内側に配置する第2の壁材と、
    前記貫通孔と嵌合可能な第1の端部を有する円筒状の筒部と、前記筒部の外周から突出するフランジ部と、前記筒部の内周面に円環状に設けられる係止段部とを有し、一体の樹脂成形体である換気用スリーブパイプと、
    一端側が前記筒部の第2の端部から嵌合されて前記係止段部に当接し他端側が前記取付開口に露出する長さを有しており、継ぎ目の無い直管パイプでなる支持管とを備える建物壁。
  7. 貫通孔を有し室外側に配置する第1の壁材と、
    換気口用端末部材の取付開口を有し室内側に配置する第2の壁材と、
    前記貫通孔と嵌合可能な第1の端部を有する円筒状の筒部と、前記筒部の外周から突出するフランジ部と、前記筒部の内周面に円弧状に設けられる係止段部とを有し、一体の樹脂成形体である換気用スリーブパイプと、
    一端側が前記筒部の第2の端部から嵌合されて前記係止段部に当接し他端側が前記取付開口に露出する長さを有しており、継ぎ目の無い直管パイプでなる支持管とを備える建物壁。
  8. さらに、前記支持管の前記他端側に設置する換気口用端末部材を備える
    請求項6又は7記載の建物壁。
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