第1の態様によれば、ファン組立体用のノズルが提供される。ノズルは、空気入口と、空気流を放出するための第1の空気出口及び空気流を放出するための第2の空気出口であって、第1及び第2の空気出口が組み合わされてノズルの統合空気出口を定める、第1及び第2の空気出口と、空気入口と第1及び第2の空気出口との間に延びる単一の内部空気通路と、空気入口から第1及び第2の空気出口への空気流を制御するバルブとを備える。バルブは、ノズルの統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第2の空気出口のサイズ(すなわち、開口面積)に対して第1の空気出口のサイズを調整するために移動可能な1又は2以上のバルブ部材を備える。言い換えれば、バルブは、第1及び第2の空気出口の統合的サイズを一定に保ちながら、1又は2以上のバルブ部材の移動が、第1の空気出口のサイズを調整すると同時に、第2の空気出口のサイズを逆比例して調整するように配置されている。第1及び第2の空気出口は個別的である。言い換えれば、第1の空気出口と第2の空気出口は物理的に互いに分離されている。
本発明は、ノズルであって、例えば単一の空気供給源からの単一の空気流の入力を受け取り、ノズルが取り付けられた組立体を揺動又は傾動させる必要もなく、ノズルから放出される空気流の方向を変更できるように空気流を操作することができるノズルを提供する。第1の空気出口は、第1の空気流を放出し、第2の空気出口は、第2の空気流を放出する。第1の空気流と第2の空気流との組み合わせである、ノズルから放出される全空気流は一定のままあるが、第1及び第2の空気出口の各々を通して放出される全空気流の割合を変化させることにより、ノズルから放出される空気流のプロファイルを変えることができる。
1又は2以上のバルブ部材は、第1の空気出口が最大限に閉塞される第1の端部位置と、第2の空気出口が最大限に閉塞される第2の端部位置との間のある位置範囲にわたって移動可能とすることができる。1又は2以上のバルブ部材は、第1の空気出口が最大限に閉塞されて第2の空気出口が最大限に開口する第1の端部位置と、第1の空気出口が最大限に開口して第2の空気出口が最大限に閉塞される第2の端部位置との間のある位置範囲にわたって移動可能とすることができる。好ましくは、1又は2以上のバルブ部材は、ノズルの本体又は外側ケーシングに対して移動可能である。バルブは、ノズルの統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第2の空気出口のサイズ(すなわち、開口面積)に対して第1の空気出口のサイズを調整するように移動可能な単一のバルブ部材を備えることができる。或いは、バルブは、ノズルの統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズを調整するように協働する複数のバルブ部材を備えることができる。そのために、複数のバルブ部材は、同時に移動するように連結することができる。
第1の空気出口及び第2の空気出口は、ノズルの面上に設けられ、ノズルの面の中心軸線に向かって配向することができる。収束点は、ノズルの面の中心軸線上に位置することができる。第1の空気出口と第2の空気出口は、ノズルの面上で正反対に配置することができる。
好ましくは、ノズルは、空気出口に隣接する外部案内面を備える。より好ましくは、外部案内面は、第1の空気出口と第2の空気出口の間に延びる。好ましくは、外部案内面は外向きである(すなわち、ノズルの中心から離れる方向を向く)。外部案内面は、第1の空気出口と第2の空気出口の間の領域(すなわち、第1の空気出口と第2の空気出口を隔てる領域)にわたることができる。言い換えれば、外部案内面は、第1及び第2の空気出口を隔てる距離にわたって延びることができる。例えば、第1の空気出口と第2の空気出口は、ノズルの面上で正反対に配置することができ、中間面は、正反対に配置された第1の空気出口と第2の空気出口との間に延びることができる。
ノズルは、ノズルの1又は2以上の最外面を定めるノズル本体又は外側ケーシングを更に備えることができる。次に、ノズル本体又は外側ケーシングは、ノズルの外部形状又は外形を実質的に定めることができる。ノズル本体又は外側ケーシングは、ノズルの面に開口部を定めることができ、次いで、外部案内面を開口部内に露出させることができる。従って、ノズルの面は、外部案内面を備えることができる。結果として、外部案内面は、ノズルの面を少なくとも部分的にわたって延びることができる。次に、ノズルの面は、外部案内面の周囲(すなわち、外部案内面が露出する開口部内の縁部)の周りに延びる又はこれを取り囲むノズル本体の一部分を更に備えることができる。
ノズル本体は、切頭楕円体の全体的形状を有することができ、第1の切頭部がノズル本体の面を定め、第2の切頭部がノズル本体のベースを定める。空気入口は、ノズル本体のベースに設けることができる。第1及び第2の空気出口は、ノズル本体の面に設けることができる。ノズル本体は、ノズル本体の面に開口部を定めることができ、次いで、外部案内面は開口部内に配置することができる。第1及び第2の空気出口は、外部案内面の周囲の周りに配置することができる。空気入口は、空気通路の第1の端部によって少なくとも部分的に定めることができる。詳細には、空気入口は、ノズル本体のベースに設けられた別の開口部内に配置された空気通路の第1の端部によって少なくとも部分的に定めることができる。第1及び第2の空気出口は、空気通路の対向する第2の端部によって少なくとも部分的に定めることができる。詳細には、第1及び第2の空気出口は、ノズル本体の面にある開口部内に配置された空気通路の対向する第2の端部によって少なくとも部分的に定めることができる。
第1及び第2の空気出口は、外部案内面の少なくとも一部にわたって空気流を導くように配向することができる。第1及び第2の空気出口は、そこから放出される空気流を導いて、その空気流が外部案内面の少なくとも一部分をわたるように配置することができる。第1及び第2の空気出口は、それぞれの空気出口に隣接する外部案内面の一部にわたって空気流を導くように配置することができる。好ましくは、外部案内面は、第1及び第2の空気出口の一部を定める。1又は2以上のバルブ部材は、外部案内面の少なくとも一部分を含むことができる。第1の出口は、ノズル本体の第1部分と外部案内面の第1部分とによって定めることができ、第2の出口は、ノズル本体の第2部分と外部案内面の第2部分とによって定めることができる。外部案内面の第1部分(すなわち、第1の空気出口を部分的に定める部分)は、ノズル本体の対向する第1部分の形状に相当する形状を有することができる。詳細には、外部案内面の第1部分は、ノズル本体の対向する第1部分の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有することができる。外部案内面の第2部分(すなわち、第2の空気出口を部分的に定める部分)は、ノズル本体の対向する第2部分の形状に相当する形状を有することができる。詳細には、外部案内面の第2部分は、ノズル本体の対向する第2部分の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有することができる。
ノズルは更に、単一の内部空気通路内の空気流を第1及び第2の空気出口に向けて導くように配置された少なくとも1つの空気誘導面を備えることができる。
1又は2以上のバルブ部材を枢動可能に取り付けることができる。好ましくは、1又は2以上のバルブ部材は、ノズルの本体に対して枢動するように配置され、また、任意選択的に、外部案内面に対して枢動するように配置することができる。1又は2以上のバルブ部材は、外部案内面の下方に又はこれに隣接して枢動可能に取り付けることができる。
バルブは、ノズルの本体に対して枢動するように配置され、任意選択的に外部案内面に対しても枢動するように配置される単一のバルブ部材を備えることができる。バルブ部材は、第1の空気出口が最大限に閉塞される第1の端部位置と、第2の空気出口が最大限に閉塞される第2の端部位置との間で枢動可能であるように配置することができる。バルブ部材は、第1の空気出口が最大限に閉塞されて第2の空気出口が最大限に開口する第1の端部位置と、第1の空気出口が最大限に開口して第2の空気出口が最大限に閉塞される第2の端部位置との間で枢動可能であるように配置することができる。バルブ部材は、バルブ部材が第1の端部位置にあるときに第1の空気出口を最大限に閉塞するように配置された第1のバルブアームと、バルブ部材が第2の端部位置にあるときに第2の空気出口を最大限に閉塞するように配置された第2のバルブアームとを備えることができる。バルブ部材は、単一の内部空気通路内の空気流を第1及び第2の空気出口に向けて導くように配置された空気誘導面を備えることができる。この場合、第1のバルブアーム及び第2アームは、空気誘導面の両側から延び、空気誘導面と連続することができる。
バルブは、ノズルの統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズを調整するように協働する第1のバルブ部材及び第2のバルブ部材を備えることができる。第1のバルブ部材と第2のバルブ部材は、同時に移動するように連結することができる。第1のバルブ部材と第2のバルブ部材は各々、第1の端部位置と第2の端部位置との間で移動可能であるように配置することができ、第1の端部位置では、第1の空気出口が第1のバルブ部材によって最大限に閉塞され、第2の端部位置では、第2の空気出口が第2のバルブ部材によって最大限に閉塞される。第1のバルブ部材と第2のバルブ部材は各々、第1の端部位置と第2の端部位置との間で移動可能であるように配置することができ、第1の端部位置では、第1の空気出口が第1のバルブ部材によって最大限に閉塞されて第2の空気出口が最大限に開口し、第2の端部位置では、第1の空気出口が最大限に開口して第2の空気出口が第2のバルブ部材によって最大限に閉塞される。第1のバルブ部材は、第1の空気出口に隣接して枢動可能に取り付けられ、第2のバルブ部材は、第2の空気出口に隣接して枢動可能に取り付けられるとすることができる。
第1のバルブ部材は、第1のバルブ部材と第2のバルブ部材が同時に枢動するように、カプラーによって第2のバルブ部材に連結することができる。ノズルは更に、第1のバルブ部材、第2のバルブ部材及びカプラーの内の何れかに接続されたロッドを備え、ロッドの移動が第1のバルブ部材及び第2のバルブ部材の同時移動を引き起こすようになっている。ここでロッドは、ノズルから外に(すなわち、ノズルの本体/外側ケーシングを通って外に)延びることができ、ロッドの外側部分が、ユーザ操作可能なハンドルを提供するように配置され、ロッドの内側部分が、第1のバルブ部材、第2のバルブ部材及びカプラーの内の何れかに枢動可能に接続されている。
第1のバルブ部材は、第1のバルブ部材が第1の端部位置にあるときに第1の空気出口を最大限に閉塞するように配置された第1のバルブアームを備えることができ、第2のバルブ部材は、第2のバルブ部材が第2の端部位置にあるときに第2の空気出口を最大限に閉塞するように配置された第2のバルブアームを備えることができる。第1のバルブアームは、第1のバルブ部材から第1の空気出口内に延びることができ、第2のバルブアームは、第2のバルブ部材から第2の空気出口内に延びることができる。第1のバルブ部材及び第2のバルブ部材の各々は、単一の内部空気通路内の空気流を第1及び第2の空気出口に向けて案内するように配置された空気案内面を備えることができる。第1のバルブアームは、第1のバルブ部材の空気案内面から延びてこれと連続することができ、第2のバルブアームは、第2のバルブ部材の空気案内面から延びてこれと連続することができる。
ノズルは更に、第1のバルブ部材と第2のバルブ部材との間に配置された空気誘導面を備え、この空気誘導面は、単一の空気入口通路内の空気流を第1及び第2の空気出口に向けて導くように配置される。空気誘導面は、第1のバルブ部材3281及び第2のバルブ部材3282の最後端部間に配置することができ、好ましくは凸状又は先鋭であり、第1及び第2のバルブ部材の空気案内面と実質的に連続するように配置されることが好ましい。
1又は2以上のバルブ部材は、並進的に(すなわち、回転せずに)、好ましくは直線的に(すなわち、真っ直ぐに)移動するように配置することができる。1又は2以上のバルブ部材は、ノズルの本体に対して横方向に移動するように配置することができ、任意選択的に外部案内面に対しても横方向に移動するように配置することができる。
バルブは、単一のバルブ部材を備えることができ、バルブ部材は、バルブ部材の第1の端部が第1の空気出口を最大限に閉塞する第1の端部位置と、バルブ部材の第2の端部が第2の空気出口を最大限に閉塞する第2の端部位置との間で移動可能であるように配置される。
第1及び第2の空気出口は、細長スロットのペアを定めることができる。細長スロットのペアは、環状ノズルの一部を形成することができる。ここで、環状ノズルは2つの長い平行な側面を備えることができ、細長スロットのペアが各側面に位置する。環状ノズルは、空気出口から放出された空気によってノズルの外側からの空気が引き込まれるボアを定めることができる。
バルブ部材は、第1の空気出口の細長スロットが最大限に閉塞される第1の端部位置と、第2の空気出口の細長スロットが最大限に閉塞される第2の端部位置との間で枢動可能であるように配置することができる。バルブ部材は、第1の空気出口の細長スロットが最大限に閉塞されて第2の空気出口の細長スロットが最大限に開口する第1の端部位置と、第1の空気出口の細長スロットが最大限に開口して第2の空気出口の細長スロットが最大限に閉塞される第2の端部位置との間で枢動可能であるように配置することができる。この場合、第1のバルブアームと第2のバルブアームは、バルブ部材から第1及び第2の空気出口それぞれの細長スロット内に延びることができる。
第1及び第2の空気出口は、弧状スロットのペアを定めることができる。ノズルは、楕円面を有することができ、この場合、弧状スロットのペアは、ノズルの面上に設けられ、互いに正反対に配置することができる。弧状スロットのペアは、略円筒形又は楕円体のノズルの一部を形成することができる。ノズルは、略楕円形の開口部を定めることができ、この場合、弧状スロットのペアは、開口部の別個の部分によって提供することができる。例えば、ノズルは、外部案内面とノズル本体との間に開口部又はギャップ(すなわち、ノズル本体の面における開口部の縁部)を定めることができ、この場合、1又は2以上の空気出口は、開口部又はギャップの部分によって設けることができる。弧状スロットのペア間の開口部の一部分は各々、1又は2以上のカバーによって閉塞することができる。1又は2以上のカバーを固定することができる。或いは、1又は2以上のカバーは、弧状スロットのペア間の開口部の一部分が閉塞された閉位置と、弧状スロットのペア間の開口部の一部分が開口した開位置との間で移動可能とすることができる。弧状スロットのペア間のギャップ/開口部の各部分について、対応するカバーは、ノズル本体の対向する部分の形状に相応する形状を有することができる。詳細には、対応するカバーは、ノズル本体の対向する部分の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有することができる。
バルブは、単一のバルブ部材を備えることができ、バルブ部材は、バルブ部材の第1の端部が第1の空気出口の弧状スロットを最大限に閉塞する第1の端部位置と、バルブ部材の第2の端部が第2の空気出口の弧状スロットを最大限に閉塞する第2の端部位置との間で移動可能であるように配置される。バルブ部材の第1の端部及び第2の端部は、弧状の形状とすることができる。
バルブは、各々が第1の端部位置と第2の端部位置との間で移動可能であるように配置された第1のバルブ部材及び第2のバルブ部材を備えることができ、第1の端部位置では、第1の空気出口の弧状スロットが第1のバルブ部材によって最大限に閉塞され、第2の端部位置では、第2の空気出口の弧状スロットが第2のバルブ部材によって最大限に閉塞される。この場合、第1のバルブアームは、第1のバルブ部材から第1の空気出口の弧状スロット内に延びることができ、第2のバルブアームは、第2のバルブ部材から第2の空気出口の弧状スロット内に延びることができる。
ノズルは更に、ファン組立体に接続されるように配置されたベースを備えることができ、ベースは、ノズルの空気入口を定める。好ましくは、ノズルのベースに対するノズルの面の角度が固定される。ベースに対する面の角度は、0~90度とすることができ、より好ましくは0~45度、更により好ましくは20~35度である。
ノズルは更に、第1及び第2の空気出口を通る空気流を選択的に制御するために、バルブを制御する制御手段を備えることができる。
ノズルは、多種多様な空気送給用途で使用することができる。例えば、ノズルは、ファン、清浄器、加湿器、天井ファン、ACユニット、HVACユニット、及び車載送風機に組み込むことができる。
第2の態様によれば、ファン組立体用のノズルが提供される。ノズルは、空気入口と、収束方向に配向された、空気流を放出するための第1の空気出口及び空気流を放出するための第2の空気出口と、第1及び第2の空気出口を制御するためのバルブとを備える。バルブは、第1の空気出口のサイズを調整すると同時に第2の空気出口のサイズを逆比例して調整するように移動可能な1又は2以上のバルブ部材を備える。1又は2以上のバルブ部材は、第1の空気出口が最大限に開口して第2の空気出口が最大限に閉塞される第1の端部位置と、第1の空気出口が最大限に閉塞して第2の空気出口が最大限に開口する第2の端部位置との間のある位置範囲にわたって移動可能である。
第3の態様によれば、インペラーと、空気流を生成するためにインペラーを回転させるモータと、空気流を受け取るための、第1の態様及び第2の態様の何れかによるノズルとを備えるファン組立体が提供される。第1の空気出口及び第2の空気出口は、ノズルの面上に設けることができる。ファン組立体は更に、ファン組立体が支持されるベースを備えることができ、ファン組立体のベースに対するノズルの面の角度を固定することができる。ファン組立体のベースに対するノズルの面の角度は0~90度とすることができ、より好ましくは0~45度であり、更により好ましくは20~35度である。ファン組立体のベースは、好ましくはファン組立体本体の第1の端部に設けられ、この場合、ノズルは、ファン組立体本体の対向する第2の端部に取り付けられることが好ましい。好ましくは、モータ及びインペラーは、ファン組立体の本体内に収容される。
ここで、添付図面を単に例証として参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
ここで、ファン組立体用のノズルであって、例えば単一の空気供給源からの単一の空気流の入力を受け取り、ノズル又はノズルが取り付けられたファン組立体の何れかを揺動又は傾動させる必要もなく、ノズルから放出される空気流の方向を変更できるように空気流を操作することのできるにノズルについて説明する。本明細書で使用される用語「ファン組立体」は、温度快適性及び/又は環境制御もしくは温度調節の目的で空気流を発生させて送給するように構成されたファン組立体を意味する。このようなファン組立体は、除湿空気流、加湿空気流、浄化空気流、濾過空気流、冷却空気流、及び加熱空気流の内の1又は2つ以上を発生させることができる。
ノズルは、空気流を受け取るための空気入口と、空気流を放出するための第1の空気出口と、空気流を放出するための第2の空気出口とを備え、第1の空気出口と第2の空気出口は、組み合わされてノズルの統合/複合空気出口を定め、第1の空気出口及び第2の空気出口の両方は、収束点に向けて配向される。単一の内部空気通路が、空気入口と第1及び第2の空気出口との間に延びており、空気入口から第1及び第2の空気出口への空気流を制御するために単一の内部空気通路内に空気流ベクタリングバルブが設けられる。空気流ベクタリングバルブは、ノズルの統合空気出口の全体的なサイズを一定に保ちながら、第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズ(すなわち、開口面積)を調整するために移動可能な1又は2以上のバルブ部材を備える。詳細には、1又は2以上のバルブ部材は、第1の空気出口が最大限に閉塞される(すなわち、第1の空気出口のサイズが最小になるように、可能な限り最大範囲に閉塞される)第1の端部位置と、第2の空気出口が最大限に閉塞される第2の端部位置との間のある位置範囲にわたって移動可能とすることができる。反対に、第1の端部位置では、第2の空気出口が最大限に開口する(すなわち、第2の空気出口のサイズが最大となるように、可能な限り最大範囲に開口する)ことができ、第2の端部位置では、第1の空気出口が最大限に開口することができる。従って、空気流ベクタリングバルブは、第1及び第2の空気出口に隣接して位置することが好ましい。言い換えれば、バルブは、第1及び第2の空気出口の統合的サイズを一定に保ちながら、1又は2以上のバルブ部材の移動が、第1の空気出口のサイズを調整すると同時に、第2の空気出口のサイズを逆比例して調整するように配置されている。
本明細書で使用する用語「空気出口」は、空気流がノズルから流出するノズルの部分を指す。詳細には、本明細書に記載する実施形態では、各空気出口は、ノズルによって定められ、空気流がノズルから出て行く導管又はダクトを備える。従って、各空気出口を代わりに排出口と呼ぶことができる。これは、空気出口から上流側にあり、ノズルの空気入口と空気出口との間で空気流を送る役割を果たすノズルの他の部分とは対照的である。
第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズ(すなわち、開口面積)を変化させることによって、第1及び第2の空気出口の各々を通って放出される空気流の割合も変化し、これにより、ノズルが発生させる空気流のプロファイルの変化をもたらす。詳細には、第1及び第2の空気出口が収束点に向けて配向されると、第1及び第2の空気流は、この収束点で及び/又はその周辺で衝突して、ノズルから離れるように導かれる単一の複合空気流を形成する。複合空気流がノズルから放出される角度又はベクトルは、第1及び第2の空気流の相対的強度に強く依存する。従って、1又は2以上のバルブ部材を動かして第2の空気出口に対して第1の空気出口のサイズを調整することを通じて、これらの個々の強度を変化させることにより、複合空気流の方向を変えることが可能である。この配置は、統合空気出口の全体的なサイズが一定のままであるときに、本システムが定負荷を受けることを意味する。これは、ノズルから放出される空気流を制御して前後にベクタリングすることができるときに、ノズルに空気流を供給する圧縮機又は他の手段の動作点も一定のままであることを意味する。加えて、これによってシステム全体の圧力を低下させることができ、本システムがエネルギ効率のよいより静かなものになる。
第1の空気出口及び第2の空気出口は、ノズルの面上に設けることができる。この場合、第1の空気出口及び第2の空気出口は、収束点がノズルの面の中心軸線上に位置するように、ノズルの面の中心軸線に向かって配向することができる。好ましくは、第1及び第2の空気出口は、ノズルの面上で正反対に配置される。また、ノズルが空気出口に隣接する外部案内面を備えることも好ましい。この外部案内面は、外向きである(すなわち、ノズルの中心から離れた方向を向く)ようなファン組立体の外面を備え、平坦又は少なくとも部分的に凸状とすることができる。この場合、第1及び第2の空気出口は各々、放出される空気流を外部案内面の少なくとも一部にわたって導くように、すなわち、そこから放出された空気流が外部案内面の少なくとも一部分にわたって通過するように配向することができる。好ましくは、第1及び第2の空気出口は、空気出口に隣接するこの外部案内面の一部分と略平行な方向に空気流を放出するように配向される。この場合、外部案内面は、第1及び第2の空気出口から空気流が放出される方向から離れるように外部案内面が逸れる又は方向を変えるように成形されて、これらの空気流が、外部案内面からの干渉を受けることなく、収束点で/又はその周辺で衝突できるようになることが好ましい。外部案内面にわたって空気流を放出することにより、最初にノズルを離れる際の空気流の乱れを最小限に抑え、それに続く空気流の外部案内面からの離脱により、外部案内面、放出された空気流及び収束点の間に剥離バブルを形成することが可能となる。剥離バブルの形成は、2つの対向する空気流が衝突したときに形成される合成噴流又は複合空気流を安定化させるのを助けることができる。
また、外部案内面が、第1及び第2の空気出口を定めることが好ましい。詳細には、第1の出口は、ノズルの本体又はハウジングの第1部分と外部案内面の第1部分とによって定めることができ、第2の出口は、ノズルの本体/ハウジングの第2部分と外部案内面の第2部分とによって定めることができる。この場合、空気流ベクタリングバルブの1又は2以上のバルブ部材は、第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズを調整するために、ノズルの本体/ハウジング及び/又は外部案内面に対して移動可能となる。詳細には、外部案内面は、ノズルの本体/ハウジングに対して固定することができ、1又は2以上のバルブ部材は、第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズを調整するために、ノズルの本体/ハウジング及び/又は外部案内面の両方に対して移動可能となる。或いは、1又は2以上のバルブ部材は、外部案内面を備えることができ、1又は2以上バルブ部材が第1の空気出口のサイズを第2の空気出口のサイズに対して調整できるように、外部案内面はノズルの本体/ハウジングに対して移動可能となる。
図1及び2は、ファン組立体1000の第1の実施形態の外観図である。図1はファン組立体1000の等角図を示し、図2はファン組立体1000の正面図である。次に、図3は、図2の線A-Aに沿った、ファン組立体の本体又はスタンド1100を通る断面図を示し、一方、図4は、ファン組立体1000のノズル1200の等角図を示す。
ファン組立体1000は、本体又はスタンド1100と、本体1100に取り付けられた細長い環状ノズル1200とを備える。次に、以下でより詳細に説明するように、環状ノズル1200は、ファン組立体1000から空気を放出するための2つの別個の細長いノズル1210、1220を備える。この実施形態では、本体1100は、略円筒状であり、ファン組立体1000の本体1100に空気流が入る空気入口1110を備え、空気入口1110は、本体1100に形成されたアパーチャのアレイを備える。或いは、空気入口1110は、本体1100に形成されたウィンドウに取り付けられた1又は2以上のグリル又はメッシュを備えることができる。
図3は、ファン組立体1000を通る断面図を示す。本体1100は、空気入口1110を介して本体1100内に一次空気流を引き込むためのインペラー1120を収容する。好ましくは、インペラー1120は、混流インペラーの形態である。インペラー1120は、モータ1130から外向きに延びる回転シャフト1121に接続される。図3に示す実施形態では、モータ1130は、ユーザによって提供される制御入力に応じて制御回路1140により変更可能な速度を有するDCブラシレスモータである。モータ1130は、下側部分1132に接続された上側部分1131を備えるモータハウジング内に収容される。モータハウジングの上側部分1131は更に、モータハウジングの上側部分1131の外面から突出する湾曲したブレードの形態の環状ディフューザ1132を備える。
モータハウジング1131、1132は、本体1100内に取り付けられたダクトの中に取り付けられる。ダクトは、略円錐台状の上壁1151と、略円錐台状の下壁1152と、下壁1152内に配置されてこれに当接するインペラシュラウド1122とを備える。次に、実質的に環状の入口部材1160が、インペラハウジング内に一次空気流を案内するためにダクトの底部に接続される。従って、ダクトの空気入口は、ダクトの底端部に設けられた環状入口部材1160によって定められる。次いで、一次空気流が本体1100から排出される通気口/開口部1170は、モータハウジングの上側部分1131及びダクトの上壁1151によって定められる。ダクトの上壁1151と本体1110との間には、空気がダクトの外面の周りから入口部材1160に通過するのを防ぐために、可撓性のシール部材(図示せず)が取り付けられる。シール部材は、好ましくはゴムから形成された環状リップシールを備えることが好ましい。
ノズル1200は、一次空気流が本体1100から流出する通気口1170を覆って本体1110の上端に取り付けられる。ノズル1200は、本体1100の上端に接続され、本体1100から一次空気流を受け取るための空気入口1240を提供する開口下端を有するネック/ベース1230を備える。この場合、ノズル1200のベース1230の外面は、本体1100の外縁と実質的に面一である。従って、ベース1230は、本体1100の上面に設けられるファン組立体1000のあらゆる構成要素を覆う/取り囲むハウジングを備え、この実施形態では制御回路1140を含む。
図4に示す実施形態では、ノズル1200は、スタジアム又はディスコレクタングル形状と呼ばれることが多い細長い環形状を有し、その幅(ノズル1200の側壁間に延びる方向で測定される)よりも大きい高さ(ノズル1200の上端からノズル1200の下端へ延びる方向で測定される)と中心軸線(X)とを有する、相応する形状にされた開口部又はボア1300を定める。従って、ノズル1200は、各々が開口部1300のそれぞれの細長い辺に隣接する2つの平行な直線状セクション1201、1202と、直線状セクション1201、1202の上端につながる上側湾曲セクション1203と、直線状セクション1201、1202の下端につながる下側湾曲セクション1204とを備える。
平行側部セクション1201、1202の各々は、別個の細長い直線ノズル1210、1220を形成する。直線ノズル1210、1220は、側部セクション1201、1202の実質的に全長に沿って延びる。図5及び6に示すように、各直線ノズル1210、1220は、第1の空気出口1211及び第2の空気出口1212を備える。第1の空気出口1211及び第2の空気出口1212は、固定された案内面1213の対向する側部に位置し、それぞれの空気出口に隣接する案内面1213の一部にわたって空気流を導くように配向される。直線ノズル1210、1220の構造及び動作は、図5~7に関連して以下で更に詳細に説明する。
細長い環状ノズル1200の空気入口1240は、一次空気流が本体1100から排出される通気口/開口部1170から空気流を受け取るように配置される。単一の内部空気通路1250が、細長い環状ノズル1200の周囲に延びて、空気入口1240から空気を受け取る。空気が通気口/開口部1170から細長い環状ノズル1200の空気入口1240に流入すると、2つに分割され、内部空気通路1250を介して細長い環状ノズル1200のボア1300を中心として対向する角度方向に流れる。
細長い環状ノズル1200の上側及び下側湾曲セクション1203、1204は、空気流が湾曲セクション1203、1204を通って細長い環状ノズル1200から流出することができないように塞がれている。むしろ、空気流は、細長い環状ノズル1200の平行側部セクション1201、1202に沿って延びる直線ノズル1210、1220を通って、細長い環状ノズル1200から流出することが可能にされる。空気案内ベーン(図示せず)が、平行側部セクション1201、1202の内面に設けられ、垂直方向に配向された空気流を、細長い環状ノズル1200の前方を向いた面に設けられた直線ノズル1210、1220に向けて90°転回する。
次に図6を参照すると、図6は、図2の線C-Cに沿った環状ノズル1200の水平断面図を示している。直線ノズル1210、1220の構造及び動作は同じなので、明確にするために、直線ノズル1210の内の一方についてだけ参照する。この記載が直線ノズル1220の他方にも適用されることは理解されるであろう。直線ノズル1210、1220は独立して制御することができ、平行側部セクション1201、1202の各々から放出される空気流の方向を独立して制御できるようになる。これにより、細長い環状ノズル1200は、複数の異なる流れパターンを生成することが可能となり、これは以下でより詳細に説明する。
この実施形態では、細長い環状ノズル1200の本体は、細長い環状ノズル1200の外壁1260と細長い環状ノズル1200の内壁1270とによって部分的に定められる。内壁1270の外面は、ボア軸線(X)を囲み、ボア1300を定める。外壁1260及び内壁1270はまた、内部空気通路1250を定める。細長い環状ノズル1200の前端部において、外壁1260及び内壁1270は、直線ノズル1210の中心軸線(Y)に向かって内方に曲がる。外壁1260及び内壁1270の内方に曲がった部分1261、1271は、一部分において、直線ノズル1210の第1の空気出口1211及び第2の空気出口1212を定める。
案内面1213は、外壁1260及び内壁1270の内方に曲がった部分1261、1271の間に位置する。従って、案内面1213の第1の部分1213aと外壁1260の内方に曲がった部分1261が組み合わされて、第1の空気出口1211を形成する細長い直線状のスロットを定め、一方で、案内面1213の第2の部分1213bと内壁1270の内方に曲がった部分1271が組み合わされて、第2の空気出口1212を形成する別の細長い直線状スロットを定める。これら第1及び第2の空気出口1211、1212は同じサイズであり、組み合わされて直線ノズル1210の統合/複合空気出口を形成する。
この実施形態では、案内面1213は、外壁1260及び内壁1270によって部分的に定められる細長い環状ノズル1200の本体に対して固定される。案内面1213は凸状であり、外壁1260及び内壁1270の最外点は、案内面1213の最外点に対してオフセットされる。詳細には、外壁1260及び内壁1270の最外点は、案内面1213の最外点の前方にある。
案内面1213の後方に取り付けられるのは、バルブ部材1214である。バルブ部材1214は、案内面1213の中心軸線(Y)のすぐ後ろに枢動可能に取り付けられ、バルブ部材1214の中心軸線の周りに対称である。バルブ部材1214は、一般に、「アンカー形」と表現することができ、凸状の後部空気誘導面1214aと、バルブ部材本体の前面から延びる中央垂直ヒンジアーム1214bと、第1及び第2の空気出口1211、1212それぞれに向かって延びる対向するバルブアーム1214c、1214dのペアとを有するバルブ部材本体を備える。誘導面1214aは、単一の内部空気通路1250内の空気流を第1及び第2の空気出口1211、1212に向けて導く又は偏向させるように配置される。次に、第1及び第2のバルブアーム1214c、1214dは、誘導面1214aの対向する側部から延びて、誘導面1214aと連続している。
使用時には、バルブ部材1214は、第1のバルブアーム1214cが第1の空気出口1211内に移動してこれを閉鎖/閉塞するように第1の方向に枢動することができ、第2のバルブアーム1214dが第2の空気出口1212内に移動してこれを閉鎖/閉塞するように、第1の方向とは反対の第2の方向に枢動することができる。従って、バルブ部材1214は、バルブ部材1214が第1の端部位置にあるときに第1のバルブアーム1214cが第1の空気出口1211を最大限に閉塞する(すなわち、第1の空気出口1211のサイズが最小となるように、可能な限り最大に閉塞される)ように、並びにバルブ部材1214が第2の端部位置にあるときに第2のバルブアーム1214dが第2の空気出口1212を最大限に閉塞するように配置される。反対に、バルブ部材1214が第1の端部位置にあるときに第2の空気出口は最大限に開口し(すなわち、第2の空気出口のサイズが最大となるように、可能な限り最大に開口する)、バルブ部材が第2の端部位置にあるときに第1の空気出口は最大限に開口する。バルブ部材1214がこの2つの極端な位置の間で枢動するとき、統合/複合空気出口のサイズ/開口面積は一定のままである。
第1の空気出口1211及び第2の空気出口1212は各々、放出される空気流を案内面1213の中心軸線(Y)と整列する収束点に導くように配置される。この場合、第1の空気出口1211、第2の空気出口1212及び案内面1213は、放出される空気流がそれぞれの空気出口に隣接する案内面1213の一部分上に導かれるように配置される。詳細には、空気出口1211、1212は、空気出口1211、1212に隣接する案内面1213の部分と実質的に平行な方向に空気流を放出するように配置される。この場合、案内面1213の凸形状は、第1及び第2の空気出口1211、1212から放出された空気流が収束点に接近するにつれて案内面1213から離れ、これらの空気流は、案内面1213からの干渉なしに収束点において及び/又はその周辺で衝突できるようになっている。放出された空気流が衝突すると、2つの対向する空気流が衝突するときに形成された合成噴流又は複合空気流を安定させる上で助けとなる剥離バブルが形成される。
ステッピングモータ(図示せず)がバルブ部材1214に接続され、バルブ部材1214のその枢軸点1214e周りの回転を引き起こすように作動させることができる。図8a~8cを参照してより詳細に説明するように、直線ノズル1210、1220の各々の空気出口1211、1212の各々から放出される空気流の相対量を変化させることによって、細長い環状ノズル1200から放出される空気流の方向を制御することが可能である。図6及び7におけるのと同様に、バルブ部材1214が中央位置にある状態では、第1及び第2の空気出口1211、1212のサイズは同じであり、結果として、同量の空気流が各空気出口1211、1212から放出される。空気流は案内面1213の前で衝突することになり、これらの大きさが同じであるので、合成空気流は前方に導かれることになる。第1及び第2の空気出口1211、1212の相対サイズ(すなわち、開口面積)を変化させることにより、ファン組立体を揺動又は傾動させることなく、多種多様な異なる流れの挙動を実現することができる。
図7は、空気入口から第1及び第2の空気出口1211、1212への空気流を制御するバルブの代替の実施形態を示す。この実施形態では、滑らかな凸状の後部空気誘導面を有するのではなく、バルブ部材1214の後部空気誘導面1214aは、単一の内部空気通路1250内の空気流を第1及び第2の空気出口1211、1212に向けて導く又は偏向させるより先鋭な形状を有する。詳細には、この実施形態では、バルブ部材1214の本体は、実質的に三角形の断面を有し、中央垂直ヒンジアーム1214bが本体の前縁から延びる。次いで、空気誘導面1214aは、円滑点又は頂点に収束する本体の2つの最後縁部によって定められる。第1のバルブアーム1214cは、2つの最後縁部の内の第1の縁部から延びてこれと連続し、第2のバルブアーム1214dは、2つの最後縁部の内の第2の縁部から延びてこれと連続している。
ここで図8a~8cを参照すると、これらは、各直線ノズル1210、1220の第2の空気出口1212のサイズに対して第1の空気出口1211のサイズ(すなわち、開口面積)を変化させることによって達成できる3つの可能性のある空気流の組み合わせを示している。実際には、第1及び第2の空気出口1211、1212の相対サイズを変化させることによって、及び/又は直線ノズル1210、1220の各々を独立して制御することによって、広範囲の実施可能な空気流の組み合わせ及び挙動を実現することができる。
図8aにおいて、直線ノズル1210、1220の各々は、そのバルブ部材1214が中央位置に配置されており、等量の空気が第1及び第2の空気出口1211、1212の各々から流れるように導かれる。これは、直線ノズル1210、1220の各々によって、及びひいてはファン組立体全体によって生成された合成空気流が、矢印Aで示すように、略前方に導かれることを意味する。
図8bでは、直線ノズル1210、1220の各々は、ボア1300の軸線に対して外方に空気流を導くように配置され、これによって全体的に拡散した空気流をもたらす。この流れは、室内暖房に特に有利である。第1直線ノズル1210において、バルブ部材1214は、第1の空気出口1211を最大限に閉塞するように回転している。これは、第1直線ノズル1210に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第2の空気出口1212を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面1213の上方を流れるように導かれるが、第1の空気出口1211から放出される何れかの有意な空気流と衝突しないので、ボア1300の軸線に対して外方にその流れ進路を進み続ける。第2直線ノズル1220において、バルブ部材1214はまた、第1の空気出口1211を最大限に閉塞するように回転しているので、第2直線ノズル1220に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第2の空気出口1212を通って放出されることになる。第1直線ノズル1210と同様に、空気流は、通常通り案内面1213の上方を流れるように導かれるが、第1の空気出口1211から放出される何れかの有意な空気流と衝突しないので、ボア1300の軸線に対して外方にその流れ進路を進み続ける。第1及び第2直線ノズル1210、1220の両方からの空気流が外方に導かれることにより、矢印Bで示すように、ファン組立体からの全体的に拡散した空気流がもたらされる。
図8cでは、直線ノズル1210、1220の各々は、ボア1300の軸線に対して内方に集束空気流の状態で空気流を導くように配置される。この流れは、個人用暖房に特に有利である。第1直線ノズル1210において、バルブ部材1214は、第2の空気出口1212を最大限に閉塞するように回転している。これは、第1直線ノズル1210に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第1の空気出口1211を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面1213の上方を流れるように導かれるが、第2の空気出口1212から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、ボア1300の軸線に対して外方にその流れ経路を進み続ける。第2直線ノズル1220において、バルブ部材1214はまた、第2の空気出口1212を最大限に閉塞するように回転している。これは再び、第2直線ノズル1220に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第1の空気出口1211を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面1213の上方を流れるように導かれるが、第2の空気出口1212から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、ボア1300の軸線に向かって内方にその流れ経路を進み続ける。第1及び第2直線ノズル1210、1220の両方からの空気流が内方に導かれることにより、矢印Cで示すように、集束空気流がもたらされる。
図8a、8b及び8cの実施例は、単に代表的なものに過ぎず、実際には一部の極端な場合を表していることは容易に理解されるであろう。制御回路1140を利用して、第1及び第2の直線ノズル1210、1220の各々内のバルブ部材1214に接続されたステッピングモータを制御することにより、多種多様な合成空気流を実現することが可能である。特に有利な動作は、各直線ノズル1210、1220用のステッピングモータを制御して、ファン組立体を物理的に動かすことなく、揺動する空気流の効果を作り出すことである。この効果は、第1直線ノズル1210がボア1300の軸線に向かって内方に向けられ、第2直線ノズル1220がボア1300の軸線から離れて外方に向けられた状態から開始することによって達成される。次に、ステッピングモータを一体となって制御することによって、直線ノズル1210、1220を徐々に調整することが可能であり、第1直線ノズル1210により生成された空気流が外向きから内向きへと徐々に掃引され、第2直線ノズル1220により生成された空気流が内向きから外向きと徐々に掃引されるようになる。この効果は、ファン組立体1000によって生成される全体的な空気流が、前方及び左方への放出から、前方及び右方への放出に変わることである。その後、このプロセスを反転させて元の位置に戻すことができる。このサイクルを行う際に、ファン組立体1000を物理的に揺動させることなく揺動効果が達成される。この方法を用いて、広範囲に及ぶ可能なファン動作が実現できると理解されるであろう。
また、図1~8cに示したファン組立体100において、直線ノズル1210、1220からの空気流の放出は、外部環境からの空気のエントレインメントによって二次空気流を発生させることは理解されるであろう。具体的には、外部環境からの空気は、ボア1300を通って細長い環状ノズル1200の側面の周りに引き込まれる。この二次空気流は、細長い環状ノズル1200から放出された一次空気流と組み合わされて、ファン組立体1000から前方に放出される複合又は総和的な空気流、又は空気の流れを作り出す。
次に、図9及び10は、本発明によるファン組立体2000の第2の実施形態を示す。図9及び10から明らかに分かるように、ファン組立体1000、2000の間の主な相違点は、第2の実施形態ではファン組立体が、ボアを取り囲む細長い環状ノズルを有してない点である。ファン組立体1000、2000は全く異なるように見えるが、ファン組立体の本体1100、2100は本質的に同じである。このため、本体2100の説明は繰り返さない。
ノズル2200は、一次空気流が本体2100から流出する通気口を覆って本体2110の上端に取り付けられる。ノズル2200は、本体2100から一次空気流を受け取るための空気入口2240を提供する開口下端を有する。次に、ノズル2200の外壁の外面は本体2100の外縁に収束する。
ノズル2200は、ノズル本体、すなわち外側ケーシング又はハウジング2230を備え、ノズルの最外面を定め、ひいてはノズル2200の外部形状又は外形を定める。図示の実施形態では、ノズル2200のノズル本体/外側ケーシング2230は、切頭球体の全体的形状を有し、第1の切頭部がノズルの円形面2231を形成し、第2の切頭部がノズル本体2230の円形面2232を形成し、ノズル本体2230のベース2232に対するノズル本体2230の円形面2231の角度(α)は固定される。図示の実施形態では、この角度(α)は約25度であるが、ノズル本体2230のベース2232に対する面2231の角度は、0~90度の何れでもよく、より好ましくは0~45度であり、更により好ましくは20~35度である。
図示の実施形態では、第1の切頭部は、ノズル本体2230の直径(DN)が、ノズル本体2230の円形面2231の直径(DF)の約1.2倍であるようにするが、ノズル本体2230の直径(DN)は、ノズル本体2230の円形面2231の直径(DF)の1.05~2倍の何れでもよく、好ましくは1.1~1.4倍である。第2の切頭部は、ノズル本体2230の直径(DN)が、ノズル本体2230の円形ベース2232の直径(DB)の約1.2倍であるようにするが、ノズル本体2230の直径(DN)は、ノズル本体2230の円形ベース2232の直径(DF)の1.05~2倍の何れでもよく、好ましくは1.1~1.4倍である。
ノズル本体2230は、ノズル本体2230の円形面2231に開口部を定める。次に、ノズル2200は更に、ノズル本体2230の円形面2231の開口部内に同心円状に配置された固定の外部案内面2250を備え、この外部案内面2250が開口部内に少なくとも部分的に露出されて、ノズル本体2230の一部が案内面2250の周囲に延びるようになっている。従って、外部案内面2250は、外向きである(すなわち、ノズルの中心から離れる方向を向く)。
図示の実施形態では、この案内面2250は凸状で実質的にディスク状であるが、代替の実施形態では、案内面2250は平坦又は部分的にだけ凸状とすることができる。次に、ノズル本体2230の内方に湾曲した上側部分2230aは、案内面2250の円周部分2250aに重なる/突出している。この場合、凸状案内面の最も外側の中央部分2250bは、ノズル本体2230の開口円形面2231の最外点に対してオフセットされる。次いで、凸状のガイド面2250の最外の中央部分2250bは、ノズル本体2230の開放された円形面2231の最外点に対して相対的にオフセットされる。詳細には、ノズル本体2230の開口円形面2231の最外点は、案内面の最外部2250bの前方にある。
案内面2250の円周部分2250aとノズル本体2230の対向する部分は、組み合わされてこれらの間に略環状のギャップ2260を定め、この場合、このギャップ2260の正反対に配置された2つの部分は、ノズル2200の第1及び第2の空気出口2210、2220を提供する合同な円弧状スロットのペアを形成する。従って、案内面2250は、第1及び第2の空気出口2210、2220の間の領域にわたる中間面を提供する。言い換えれば、案内面2250は、第1及び第2の空気出口2210、2220を隔てる空間にわたって延びる中間面を形成する。以下でより詳細に説明するように、ノズル2200の少なくとも1つの構成では、弧状スロットのペアを隔てるギャップ2260の部分が覆われ/塞がれる。
図示の実施形態では、第1及び第2の空気出口2210、2220を提供する弧状スロットのペアは各々、約60度の円弧角度(β)(すなわち、円形面2231の中心として弧に対する角度)を有するが、これらは各々、20~110度、好ましくは45~90度、より好ましくは60~80度の何れかの円弧角度を有することができる。結果として、ギャップ2260の面積は、第1及び第2の空気出口2210、2220の各々の面積の3~18倍の何れかとすることができ、好ましくは4~8倍、より好ましくは4~6倍である。
第1及び第2の空気出口2210、2220はほぼ同じサイズであり、組み合わされて球状ノズル2200の統合/複合空気出口を形成する。第1の空気出口2210と第2の空気出口2220は、案内面2250の対向する側部に位置し、それぞれの空気出口に隣接する案内面2250の一部分上へ案内面2250の中央軸線(YY)と整列する収束点に向けて放出される空気流を導くように配向される。この場合、第1の空気出口2210、第2の空気出口2220及び案内面2250は、放出される空気流がそれぞれの空気出口に隣接する案内面2250の一部分上に導かれるように配置される。詳細には、空気出口2210、2220は、空気出口2210、2220に隣接する案内面2250の部分と実質的に平行な方向に空気流を放出するように配置される。この場合、案内面2250の凸形状は、第1及び第2の空気出口2210、2220から放出された空気流が収束点に接近するにつれて案内面2250から離れて、これらの空気流は、案内面2250からの干渉なしに収束点で及び/又はその周辺で衝突することができるようになっている。放出された空気流が衝突すると、2つの対向する空気流が衝突するときに形成される合成噴流又は複合空気流を安定させる上で助けとなる剥離バブルが形成される。
ノズル2200の構造及び動作は、図11~19cに関連して以下で更に詳細に説明する。図11は、図9及び10のファン組立体2000のノズル2200に関する等角図である。次に、図12、13及び14は、ノズル2200の上面図、正面図及び側面図を示す。次いで、図15は、図13の線A-Aを通る断面図を示し、図16は、図13の線B-Bを通る断面図を示す。そして、図17及び18は、案内面及びノズル本体の上側部分を取り外したノズル2200の上面図及び等角図を示す。
上述のように、ノズル2200は、切頭球体の全体的形状を有し、第1の切頭部がノズルの円形面2231を形成し、第2の切頭部がノズル本体2230の円形ベース2232を形成する。従って、ノズル本体2230は、切頭球体形状を定める外壁2233を備える。この場合、外壁2233は、ノズル2200の円形面2231上の円形開口部と、ノズル本体2230の円形ベース2232上の円形開口部とを定める。ノズル本体2230はまた、第1の切頭部を形成する外壁2233の縁部から内方に延びるリップ2234を備える。このリップ2234は、形状が略円錐台状であり、案内面2250に向かって内方に先細となっている。
ノズル本体2230は更に、ノズル本体2230内に配置されてノズル2200の単一の内部空気通路2270を定める内壁2235を備える。内壁22235は、全体的に湾曲し、略円形の断面を有し、ノズル本体2230の面2231又はベース2232の何れかに平行な平面における内壁2235の断面積が、空気入口2240と1又は2以上の空気出口2210、2220との間で変化する。詳細には、内壁2235は、空気入口2240の近辺で外方に幅広又は裾広がりになり、次いで、空気出口2210、2220の近辺で狭くなる。従って、内壁22235は、ノズル本体2230の形状にほぼ共形である。
内壁2235は、その下端において、ノズル本体2200の円形ベース2232の円形開口部内に同心円状に配置された円形開口部を有し、内壁2235の下側円形開口部が、本体2100からの空気流を受け取るための空気入口2240を提供する。内壁2235はまた、その上端において、ノズル本体2230の円形面2231の円形開口部内に同心円状に配置された円形開口部を有する。この場合、内壁2235の内方に湾曲した上端は、外壁2233から内方に先細になるリップ2234と交わり/当接して、ノズル本体2230の円形面2231の円形開口部を定める。
次いで、案内面2250は、内壁2235の上側円形開口部と同心円状に配置され、内壁2235の上側円形開口部の中心軸線に沿って内壁2235の上側円形開口部に対してオフセットされ、結果として、内壁2235と案内面2250の隣接部分との間の空間によってギャップ2260が定められる。この場合、内壁2235の内方に湾曲した上端は、ノズル2200から空気流が出る角度がノズル2200によって生成された合成空気流を最適化するほどに浅くなることを確実にするため、案内面2250の円周部分2250aに重なり/突出している。詳細には、空気流がノズル2200から出る角度は、案内面2250の中心軸線(YY)に沿う収束点の距離と、空気流が収束点で衝突する角度とを決定する。この場合、リップ2234の先細外面は、空気流を変化することができる角度範囲に対するこの突出の影響を最小限にする。
この実施形態では、2つの別個のバルブ機構が案内面2250の下に配置される。これらの内の第1のバルブ機構は、ノズル2200の統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口2210のサイズ(すなわち、開口面積)を第2の空気出口2220のサイズに対して調整することによって、空気入口2240から第1及び第2の空気出口2210、2220への空気流を制御するように配置された流れベクタリングバルブである。これらのバルブ機構の内の第2のものは、ノズル2200の空気送給モードを指向モードから拡散モードに変更するために配置されたモード切替バルブである。両方のバルブ機構について、以下で更に詳細に説明する。
ノズル2200は更に、両方のバルブ機構の下に内部空気誘導面又は方向転換面2271を備え、空気誘導面2271が、単一の空気入口通路2270内の空気流をギャップ2260に向けて、及びひいては第1及び第2の空気出口2210、2220に向けて導くように配置されている。この実施形態では、この空気誘導面2271は凸状で実質的にディスク状であり、従って案内面2250と形が類似し、案内面2250と整列/同心状態にある。結果として、両方のバルブ機構は、案内面2250と空気誘導面2271との間に定められた空間内に収容される。
この実施形態では、空気入口2240とギャップ2260との間に延びる内部空気通路2270は、ファン組立体2000の本体2100から受け取った空気流の圧力を均等化してギャップ2260に、ひいては空気出口2210、2220により均等に分配するように機能するプレナムチャンバを形成する。従って、空気誘導面2271は、内部空気通路2270によって定められるプレナムチャンバの上面を形成する。
流れベクタリングバルブは、案内面2250の下方に且つ空気誘導面2271の上方に取り付けられた単一のバルブ部材2280を備える。流れベクタリングバルブ部材2280は、第1の端部位置と第2の端部位置との間で並進移動するように配置される。詳細には、流れベクタリングバルブ部材2280は、第1の端部位置と第2の端部位置との間で直線的に(すなわち、真っ直ぐに)移動するように配置される。具体的には、流れベクタリングバルブ部材2280は、第1の端部位置と第2の端部位置との間で案内面2250に対して横方向に(すなわち、横向きに左右に)移動するように配置される。第1の端部位置では、第1の空気出口2210は、バルブ部材2280によって最大限に閉塞され(すなわち、第1の空気出口のサイズが最小となるように、可能な限り最大に閉塞される)、第2の空気出口2220は、最大限に開口する(すなわち、第2の空気出口のサイズが最大となるように、可能な限り最大に開口する)のに対して、第2の端部位置では、第2の空気出口2220はバルブ部材2280によって完全に閉鎖され、第1の空気出口2210は最大限に開口する。バルブ部材2280がその2つの極端な位置の間で移動するとき、統合/複合空気出口のサイズ/開口面積は一定のままである。
最小時には、第1及び/又は第2の空気出口2210、2220を完全に閉塞/閉鎖することができる。しかしながら、最小時に第1及び/又は第2の空気出口2210、2220は、少なくとも極めて小さい程度まで開口するとすることができ、そうすることによって、製造中に生じるあらゆる誤差/不正確さが、空気の通過時に付加的な異音(例えば、ホイッスリング)を誘起する可能性のある小ギャップに繋がらないようにすることができる。
図示の実施形態では、バルブ部材2280は、バルブ部材2280が第1の端部位置にあるときに第1の空気出口2210を最大限に閉塞する第1の端部セクション2280aと、バルブ部材2280が第2の端部位置にあるときに第2の空気出口2220を最大限に閉塞する対向する第2の端部セクション2280bとを有する。バルブ部材2280の第1及び第2の端部セクション2280a、2280bの遠位縁は両方とも弧状形状であり、対応する空気出口を部分的に定めるノズル本体2230の対向面の形状と対応するようになる。詳細には、各バルブ部材の遠位縁は、ノズル本体2230の対向面の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有する。従って、バルブ部材2280の第1の端部セクション2280aは、第1の空気出口2210を閉塞するために、第1の端部位置にあるときに対向面に当接する(すなわち、接触する、又は隣接する/近接する)ことができ、これによってこの対向面が第1バルブシートを提供するのに対して、バルブ部材2280の第2の端部セクション2280bは、第2の空気出口2220を閉塞するために、第2の端部位置にあるときに対向面に当接する(すなわち、接触する、又は隣接する/近接する)ことができ、これによってこの別の対向面が第2バルブシートを提供する。更に、バルブ部材2280の第1及び第2の端部セクション2280a、2280bの遠位縁の弧状形状により、第1の端部セクション2280aの遠位縁が、第2の端部位置にあるときに案内面2250の隣接縁と略面一になり、第2の端部セクション2280bの遠位端が、第1の端部位置にあるときに案内面2250の隣接縁と略面一になる。
流れベクタリングバルブは更に、主制御回路から受信した信号に応答して、案内面2250に対するバルブ部材2280の並進移動を引き起こすように配置されたバルブモータ2281を備える。そのために、バルブモータ2281は、バルブ部材2280上に設けられた直線ラック2280cと係合するピニオン2282を回転させるように配置される。この実施形態では、直線ラック2280cは、第1の端部セクション2280aと第2の端部セクション2280bとの間に延びるバルブ部材の中間セクションに設けられる。結果として、バルブモータ2281によるピニオン2282の回転は、バルブ部材2280の直線移動をもたらすことになる。
モード切替バルブは、ノズル2200の空気送給モードを指向モードから拡散モードに変更するために配置される。指向モードでは、モード切替バルブは、ノズルから指向空気流を提供するために使用される第1及び第2の空気出口2210、2220を除く全ての空気出口を閉鎖する(すなわち、弧状スロットのペアを分離するギャップ2260の当該部分を覆う/閉塞する)。この指向モードでは、次に流れベクタリングバルブを用いて、第1及び第2の空気出口2210、2220だけによってノズル2200から放出される空気流の方向を制御する。指向モードから拡散モードに切り替わるときに、モード切替バルブは、ギャップ2260の残りの部分を開く(すなわち、弧状スロットのペアを分離するギャップ2260の当該部分を開く)。この拡散モードでは、ギャップ2260全体がノズル2200の単一の空気出口となり、これによって、より拡散した低圧の空気流を提供することができる。更に、モード切替バルブによるギャップ2260全体の開放により、ノズル2200を出る空気を案内面2250の周囲/円周全体に分配して、その全てを収束点に向けることができるように提供され、ノズル2200によって生成された合成空気流は、ノズル2200の面2231に対して実質的に垂直に導かれる。この実施形態では、ノズル2200のベース2232に対する、従ってファン組立体2000のベースに対するノズル2200の面2231の角度は、ファン組立体2000が略水平面上に配置されている場合、ノズル2200が拡散モードにあるときにファン組立体2000によって生成された合成空気流が、略上向きに導かれるようになっている。
この二重モード構成は、ノズルが清浄空気を供給するように構成されたファン組立体での使用を意図する場合に特に有用であり、このようなファン組立体のユーザが、指向モードで提供されるより高圧で集束した空気流によって作り出される冷却効果なしで、ファン組立体から清浄空気を引き続き受けたいと望む場合があることによる。例えば、これは、温度が低すぎて指向モード空気流で提供される冷却効果を利用できないとユーザが考える冬季の場合である。このような状況では、ユーザは、ユーザインタフェースを操作することによって空気送給モードを制御することができる。この場合、これらのユーザ入力に応じて、主制御回路はモード切替バルブ部材を閉位置から開位置に移動させるので、ギャップ全体がノズルの単一の空気出口となり、これによって、より拡散した低圧の空気流を提供する。更に、好ましい実施形態では、ノズルのベースに対する、従ってファン組立体のベースに対するノズルの面の角度は、ファン組立体が略水平面上に配置されている場合、ノズルが拡散モードにあるときにファン組立体によって生成された合成空気流が、略上向きに導かれるようになっている。従って、これらの実施形態はまた、拡散モードの空気流が間接的にユーザに送給されることを提供し、これにより空気流によって作り出される冷却効果を更に減少させる。
図示の実施形態では、モード切替バルブは、案内面2250の下方に且つ空気誘導面2271の上方に取り付けられたモード切替バルブ部材2290a、2290bのペアを備える。これらのモード切替バルブ部材2290a、2290bは、閉位置と開位置との間で案内面2250に対して横方向に(すなわち、並進的に)移動するように配置される。閉位置では、弧状スロット間(すなわち、第1及び第2の空気出口2210、2220を提供するスロット間)のギャップ2260の部分がモード切替バルブ部材2290a、2290bによって閉塞されるのに対し、開位置では、弧状スロット間のギャップ2260の部分が開口している。従って、これらのモード切替バルブ部材2290a、2290bは、可動カバーであると見なすことができる。
図示の実施形態では、モード切替バルブ部材2290a、2290bは、閉位置において、第1の空気出口2210の一端と第2の空気出口2220の隣接端との間にあるギャップ2260の正反対に配置された別個の部分をそれぞれ閉塞するように配置される。このために、モード切替バルブ部材2290a、2290bは、閉位置において、第1の空気出口2210の両端と第2の空気出口2220のその隣接端との間にそれぞれ延びるように配置される。
モード切替バルブ部材2290a、2290bの各々は略平面状であり、この場合、バルブ部材の遠位縁は弧状の形状であり、ギャップ2260を部分的に定めるノズル本体2230の対向面の形状に対応するようになる。詳細には、各バルブ部材の遠位縁は、ノズル本体2230の対向面の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有する。従って、各バルブ部材2290a、2290bの遠位縁は、弧状スロット間のギャップ2260の一部を閉塞するために閉位置にあるとき、対向面(すなわち、対応するバルブシート)に当接することができる。更に、各バルブ部材2290a、2290bの遠位縁の弧状形状はまた、開位置にあるときにその遠位縁が案内面2250の隣接縁と略面一であるようにする。次に、モード切替バルブ部材2290a、2290bの各々には、バルブ部材の近位縁から延びるバルブ軸2290c、2290dが設けられる。
モード切替バルブは更に、主制御回路から受信した信号に応答して、案内面2250に対するモード切替バルブ部材2290a、2290bの並進移動を引き起こすように配置されたモード切替バルブモータ2291を備える。そのために、バルブモータ2291は、各バルブ軸2290c、2290d上に設けられた直線ラックと係合するピニオン2292を回転させるように配置される。結果として、バルブモータ2291によるピニオン2292の回転は、バルブ部材2290a、2290bの直線移動をもたらすことになる。この実施形態では、バルブモータ2291によるピニオン2292の回転は、1組の歯車を用いて達成され、バルブモータ2291の軸に取り付けられた駆動歯車がピニオン2292に固定された従動歯車と係合し、これによって従動歯車とピニオン2292は複合歯車を形成する。
図15~18に示す実施形態では、モード切替バルブは更に、ノズル2200が指向モードにあるときに、それぞれ第1及び第2の空気出口2210、2220から放出される空気の流路形成を支援するように配置された2つの可動バッフル2293、2294のペアを備える。詳細には、第1の可動バッフル対2293a、2293bは、ノズル2200が指向モードにあるときに第1の空気出口2210から放出される空気の流路形成を支援するように配置されるのに対し、第2の可動バッフル対2294a、2294bは、ノズル2200が指向モードにあるときに第2の空気出口2220から放出される空気の流路形成を支援するように配置される。従って、これら2つの可動バッフル2293、2294のペアは、ノズル2200が指向モードにあるときに延伸し、ノズル2200が拡散モードにあるときには、バッフルがギャップ2260を遮るのを回避するために後退するように配置される。
可動バッフル2293、2294のペアは、第1可動バッフル2293a、2294aと第2可動バッフル2293b、2294bとを備え、第1可動バッフル2293a、2294a及び第2可動バッフル2293b、2294bは、細長いストラット2293c,2294cの対向する端部に設けられる。各可動バッフル2293a、2293b、2294a、2294bは、略L字形の断面を有し、第1平面セクションは、バッフルが取り付けられたストラット2293c、2294cの端部から下方に延び、次に第2平面セクションは、第1平面セクションの底端部からストラット2293c、2294cの長さと平行な方向に延びる。そして、各バッフルの第1及び第2の平面セクションはまた、ストラット2293c、2294cの長さと垂直な方向に延びる。各バッフルの第1平面セクションは、第1及び第2の空気出口2210、2220の内の一方の端部を定める。この場合、各バッフルの第2平面セクションの遠位縁は弧状形状であり、ギャップ2260を部分的に定めるノズル本体2230の対向面の形状に対応するようになる。詳細には、各バッフルの遠位縁は、ノズル本体2230の対向面の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有する。従って、各バッフルの第2平面セクションの遠位縁は、閉位置にあるときに対向面に当接することができる。そして、各バッフルの第2平面セクションは更に、隣接するモード切替バルブ部材2290a、2290bの近位縁の一部と重なるように配置され、バッフルと、隣接するモード切替バルブ部材2290a、2290bとの間で空気がノズル2200から流出する経路が確実に存在しないようになっている。
この実施形態では、これらの可動バッフル2293、2294のペアは、ノズル2200が指向モードにあるときの延伸位置と、ノズル2200が拡散モードにあるときの後退位置との間で、案内面2250に対して横方向に(すなわち、並進的に)移動するように配置される。そのために、可動バッフル2293、2294のペアには、対応するストラット2293c、2294cの端部間の途中位置で、対応するストラット2293c、2294cから垂直に延びるアクチュエータアーム2293d、2294dが設けられる。これらのアクチュエータアーム2293d、2294dにはそれぞれ、モード切替バルブのピニオン2292と係合する直線ラックが設けられる。従って、モード切替バルブモータ2291によるピニオン2292の回転は、可動バッフル2293、2294のペアの直線移動をもたらすことになる。結果として、モード切替バルブを用いてノズル2200の空気送給モードを指向モードと拡散モードとの間で変更する場合、モード切替バルブモータ2291の起動は、ピニオン2292の回転を引き起こし、これによりモード切替バルブ部材2290a、2290bを閉位置と開位置との間で移動させ、同時にまた、可動バッフル2293、2294のペアを延伸位置と後退位置との間で移動させることになる。
図15~18では、ノズル2200を指向モードで示され、モード切替バルブ部材2290a、2290bが閉位置にあり、両可動バッフル2293、2294のペアが延伸位置にある。従って、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220との間にあるギャップ2260の部分は、モード切替バルブ部材2290a、2290bによって閉塞され、可動バッフル2293、2294のペアの第1平面セクションは第1及び第2の空気出口2210、2220の対向する端部を定め、案内面2500を越えて収束点に向かう空気の流路形成を支援するようになっている。
ノズル2200を拡散モードに切り替えるために、モード切替バルブモータ2291を起動させてピニオン2292の回転を引き起こし、これによりモード切替バルブ部材2290a、2290bを閉位置から開位置に移動させることになる。開位置では、モード切替バルブ部材2290a、2290bは、案内面2250と空気誘導面2271との間に定められた空間内に後退するので、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220との間にあるギャップ2260の部分をもはや遮ることはない。同時に、ピニオン2292のこの回転はまた、可動バッフル2293、2294のペアを延伸位置から後退位置に移動させることになる。後退位置では、可動バッフル2293、2294のペアは、案内面2250と空気誘導面2271との間に定められた空間内に後退するので、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220との間にあるギャップ2260の部分をもはや遮ることはない。好ましくは、ノズル2200を指向モードから拡散モードに切り替える時に、流れベクタリングバルブモータ2281も起動させてピニオン2282の回転を引き起こすようにし、これにより、流れベクタリングバルブ部材2280を、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220の大きさが等しくなる中央位置に移動させることになる。この設定では、ギャップ2260全体がノズル2200の単一の空気出口となり、これによって、より拡散した低圧の空気流を提供する。
図15~18に示す実施形態では、ノズル2200はまた、ノズル2200の円形面上の弧状スロットのペアの位置を変えることができるように配置される。具体的には、案内面2250の中心軸線(YY)に対する弧状スロットのペアの角度位置は可変である。従って、ノズル2200は、案内面2250の中心軸線(YY)の周りで弧状スロットのペアの回転移動を引き起こすように配置された出口回転モータ2272を更に備える。そのために、出口回転モータ2272は、空気誘導面2271に接続された弧状ラック2274と係合するピニオン2273の回転を引き起こすように配置される。この場合、空気誘導面2271はノズル本体2230内に回転自在に取り付けられ、流れベクタリングバルブ機構及びモード切替バルブ機構は、空気誘導面2271によって支持される。従って、出口回転モータ2272によるピニオン2273の回転は、ノズル本体2230内での空気誘導面2271の回転移動をもたらし、これにより、案内面2250の中心軸線(YY)の周りに流れベクタリングバルブとモード切替バルブ両方の回転を引き起こすことになる。第1及び第2の空気出口2210、2220を形成する弧状スロットのペアが、モード切替バルブ部材2290a、2290bで閉塞されないギャップ2260の部分によって定められることを考えると、モード切替バルブの回転は、案内面2250の中心軸線(YY)に対する弧状スロットのペアの角度位置の変化をもたらす。
ここで図19a~19cを参照すると、これらは、ノズル2200が指向モードにある場合に、ノズル2200の統合的な指向モード空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口2210のサイズを第2の空気出口2220のサイズに対して変化させることによって達成できる、3つの可能性のある合成空気流を示している。
図19aにおいて、流れベクタリングバルブは、流れベクタリングバルブ部材2280が中央位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220はサイズが等しいので、第1の空気出口2210及び第2の空気出口2220から等量の空気流が放出される。第1及び第2の空気出口2210、2220は、案内面2250の中心軸線(YY)と整列する収束点に向けて配向される。図19aの事例のように2つの空気流が同じ強度を有する場合、合成空気流は、矢印AAで示すように、ノズル2200の面2231から前方に(すなわち、面2231に対して実質的に垂直に)導かれることになる。
図19bでは、流れベクタリングバルブは、流れベクタリングバルブ部材2280が第1の端部位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口2210が最大限に閉塞され、第2の空気出口2220が最大限に開口している。これは、ノズル2200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第2の空気出口2220を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面2250の上方を流れるように導かれるが、第1の空気出口2210から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、矢印BBで示すようにその流れ進路を進み続けることになる。
図19cでは、流れベクタリングバルブは、流れベクタリングバルブ部材2280が第2の端部位置にある状態に配置され、この位置では、第2の空気出口2220が最大限に閉塞され、第1の空気出口2210が最大限に開口している。これは、ノズル2200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第1の空気出口2210を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面2250の上方を流れるように導かれるが、第2の空気出口2220から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、矢印CCで示すようにその流れ進路を進み続けることになる。
図8a、8b及び8cに関連して上述したように、図19a、19b及び19cの実施例は、単に代表的なものに過ぎず、実際には一部の極端な場合を表していることは容易に理解されるであろう。制御回路を利用して、流れベクタリングバルブ部材2280に接続された流れベクタリングバルブモータ2281を制御することにより、多種多様な合成空気流を実現することが可能である。出口回転モータ2272を制御して第1及び第2の空気出口2210、2220の角度位置を調整することによって、合成空気流の方向を更に変化させることができる。
次に、図20、21a及び21bは、ファン組立体用ノズル3200の更なる実施形態の断面図を示す。この更なる実施形態では、ノズル3200は、上述の第1及び第2の実施形態のものとほぼ同じファン本体での使用に適しており、従って、ファン本体は、更なる図示も説明もしてない。しかしながら、細長い環状又は切頭球状の形状を有するのではなく、この更なる実施形態のノズル3200は、形状が略円筒状なので、ノズル3200の構造が相違し、またノズル3200内に設けられる流れベクタリングバルブも相違する。
この実施形態では、ノズル3200は、ファン組立体の本体から一次空気流を受け取るための空気入口3240を提供する開口下端を有する。ノズル3200は、ノズル3200の外壁の外面が、ファン本体に取り付けられた時の外縁に収束するように配置される。
ノズル3200は、ノズル本体、外側ケーシング又はハウジング3230を備え、ノズル本体はノズルの最外面を定め、従ってノズル3200の外部形状又は外形を定める。図示の実施形態では、ノズル3200のノズル本体/外側ケーシング3230は、直円筒の全体的形状を有し、従って、円形面3231と円形ベース3232とを有する。ノズル本体3230のベース3232に対するノズル本体3230の面3231の角度は固定されている。図示の実施形態では、この角度が0度なので、円形面3231と円形ベース3232は略平行である。
次に、ノズル3200は、ノズル本体3230の円形面3231の開口部内に同心円状に配置された固定の外部案内面3250を更に備え、この外部案内面3250を開口部内に少なくとも部分的に露出させて、ノズル本体3230の一部が案内面3250の周囲に延びるようになっている。従って、外部案内面3250は、外向きである(すなわち、ノズルの中心から離れる方向を向く)。
図示の実施形態では、この案内面3250は凸状で実質的にディスク状であるが、代替の実施形態では、案内面3250は平坦又は部分的にだけ凸状とすることができる。次に、ノズル本体3230の内方に湾曲した上側部分3230aは、案内面3250の円周部分3250aに重なる/突出している。そして、凸状案内面の最も外側の中央部分3250bは、ノズル本体3230の開口円形面3231の最外点に対してオフセットされる。詳細には、ノズル本体3230の開口円形面3231の最外点は、案内面の最外部3250bの前方にある。
案内面3250の円周部分3250aとノズル本体3230の対向する部分とは、組み合わされてこれらの間に略環状のギャップを定め、この場合、このギャップ3260の正反対に配置された2つの部分は、ノズル3200の第1及び第2の空気出口3210、3220を提供する合同の円弧状スロットのペアを形成する。従って、案内面3250は、第1及び第2の空気出口3210、3220の間の領域にわたる中間面を提供する。言い換えれば、案内面3250は、第1及び第2の空気出口3210、3220を隔てる空間にわたって延びる中間面を形成する。この実施形態では、弧状スロットのペアを分離するギャップの部分は、それぞれ固定カバーによって閉塞される(図示せず)。従って、第2の実施形態のノズル2200とは対照的に、この更なる実施形態のノズル3200は単一の指向モードだけを有し、別個の拡散モードを持たない。
図示の実施形態では、第1及び第2の空気出口3210、3220を提供する弧状スロットのペアは各々、約60度の円弧角度(すなわち、円形面3231の中心で弧によって限定される角度)を有するが、これらは各々、20~110度、好ましくは45~90度、より好ましくは60~80度の何れかの円弧角度を有することができる。
第1及び第2の空気出口3210、3220はほぼ同じサイズであり、組み合わされて球状ノズル3200の統合又は複合空気出口を形成する。第1の空気出口3210と第2の空気出口3220は、案内面3250の対向する側部に位置し、それぞれの空気出口に隣接する案内面3250の一部分上へ案内面3250の中央軸線(YYY)と整列する収束点に向けて放出される空気流を導くように配向される。この場合、第1の空気出口3210、第2の空気出口3220及び案内面3250は、放出される空気流がそれぞれの空気出口に隣接する案内面3250の一部分上に導かれるように配置される。詳細には、空気出口3210、3220は、空気出口3210、3220に隣接する案内面3250の部分と実質的に平行な方向に空気流を放出するように配置される。この場合、案内面3250の凸形状は、第1及び第2の空気出口3210、3220から放出された空気流が収束点に接近するにつれて案内面3250から離れて、これらの空気流は、案内面3250からの干渉なしに収束点及び/又はその周辺で衝突することができるようになっている。放出された空気流が衝突すると、2つの対向する空気流が衝突するときに形成される合成噴流又は複合空気流を安定させる上で助けとなる剥離バブルが形成される。
この実施形態では、ノズル本体3230は、ノズル3200の円筒形状とノズル3200の単一の内部空気通路3270とを定める外壁3233を備える。外壁3233はまた、ノズル3200の円形面3231上の円形開口部と、ノズル本体3230の円形ベース3232上の円形開口部とを定める。外壁3233の下側円形開口部は、フファン本体から一次空気流を受け取るための空気入口3240を提供する。ノズル本体3230はまた、案内面3250の中心軸線に向かって内方に湾曲する上側部分3230aを備える。
次いで、案内面3250は、内壁3233の上側円形開口部と同心円状に配置され、内壁3233の上側円形開口部の中心軸線に沿って内壁3233の上側円形開口部に対してオフセットされるので、結果として、内壁3233と案内面3250の隣接部分との間の空間によってギャップが定められる。
次に、流れベクタリングバルブが案内面3250の下方に配置される。流れベクタリングバルブは、ノズル3200の統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口3210のサイズを第2の空気出口3220のサイズに対して調整することによって、空気入口から第1及び第2の空気出口3210、3220への空気流を制御するように配置される。
流れベクタリングバルブは、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282とを備え、これらは、ノズル3200の統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口3281のサイズを第2の空気出口3282のサイズに対して調整するように協働する。そのために、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282は、同時に移動するように接続される。従って、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282は各々、第1の端部位置と第2の端部位置との間で、ノズル本体3230及び案内面3250の両方に対して枢動可能であるように配置される。第1の端部位置では、第1の空気出口3210が、バルブ部材3281によって最大限に閉塞される(すなわち、第1の空気出口のサイズが最小となるように、可能な限り最大に閉塞される)一方で、第2の空気出口3220は、最大限に開口する(すなわち、第2の空気出口のサイズが最大となるように、可能な限り最大に開口する)。第2の端部位置では、第2の空気出口3220が第2のバルブ部材3282によって最大限に閉塞されるのに対して、第1の空気出口3210は最大限に開口する。
最小時には、第1及び/又は第2の空気出口3210、3220を完全に閉塞/閉鎖することができる。しかしながら、最小時に第1及び/又は第2の空気出口3210、3220は、少なくとも極めて小さ程度まで開口するとすることができ、そうすることによって、製造中に生じるあらゆる誤差/不正確さが、空気の通過時に付加的な異音(例えば、ホイッスリング)を誘起する可能性のある小ギャップに繋がらないようにすることができる。
この実施形態では、第1のバルブ部材3281は、第1の空気出口3210に隣接する位置で案内面3250の下方に枢動可能に取り付けられ、第2のバルブ部材3282は、第2の空気出口3220に隣接する位置で案内面3250の下方に枢動可能に取り付けられている。この場合、第1のバルブ部材3281は、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3283が同時に枢動するように、カプラー3283によって第2のバルブ部材3282に接続される。従って、案内面3250、第1のバルブ部材3281、第2のバルブ部材3282、及びカプラー3283は、平面四節リンク機構、具体的には平行四辺形四節リンク機構を形成する。従って、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282は、それぞれリンク部分3281a、3282aを備え、リンク部分の第1の端部がヒンジによってカプラー3283に接続され、リンク部分の第2の端部が別のヒンジによって案内面3250の裏面に接続される。その結果、第1及び第2のバルブ部材3281、3282のこれらのリンク部分は、四節リンク機構のクランクとして機能する。
次いで、第1のバルブ部材3281は、第1のバルブ部材3281が第1の端部位置にあるときに第1の空気出口3210を最大限に閉塞するように配置された第1のバルブアーム3281bを更に備え、第2のバルブ部材3282は、第2のバルブ部材3282が第2の端部位置にあるときに第2の空気出口3220を最大限に閉塞するように配置された第2のアーム3282bを更に備える。第1のバルブアーム3281bは、第1のバルブ部材3281から第1の空気出口3210内に延び、第2のバルブアーム3282bは、第2のバルブ部材3282から第2の空気出口3220内に延びる。詳細には、第1のバルブアーム3281bは、第1のバルブ部材3281のリンク部分3281aの第1の端部から延び、第2のバルブアーム3282bは、第2のバルブ部材3282のリンク部分3282aの第1の端部から延びる。
流れベクタリングバルブは更に、カプラー3283に接続されたロッド3284を備え、ロッド3284の移動が第1のバルブ部材3281及び第2のバルブ部材3282の同時移動を引き起こすようになっている。この実施形態では、ロッド3284は、案内面3250の中心を通ってノズル3200の外へ延び、ロッド3284の外側部分3284aがユーザ操作可能なハンドルを提供するように配置され、ロッド3284の内側部分3284bは、カプラー3283に枢動可能に接続されている。次に、ロッド3284の外側部分3284aと、ロッド3284のカプラー3283に対する枢動接続部との間で、ロッド3284はまた、案内面2050のすぐ下に枢動可能に接続される。
次いで、ノズル3200は、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282との間に配置された内部空気誘導面/方向転換面3271を更に備え、この内部空気誘導面は、単一の空気入口通路3270から/単一の空気入口通路3270内で受け取った空気流を第1及び第2の空気出口3210、3220に向けて誘導するように配置される。この実施形態では、この空気誘導面3271は凸状で実質的にディスク状であり、カプラー3283の下面に取り付けられる。従って、この空気誘導面3271は、カプラー3283と共に移動し、第1のバルブ部材3281及び第2のバルブ部材3282の位置に関係なく、常に第1のバルブ部材3281及び第2のバルブ部材3282の最後端部間に配置される。更に、単一の内部空気通路3270に面する第1のバルブアーム3281b及び第2のバルブアーム3282bの各表面はまた、単一の内部空気通路3270から/内で受け取った空気流を、それぞれ第1及び第2の空気出口3210、3220に向けて導くように配置される。詳細には、これら第1のバルブアーム3281b及び第2のバルブアーム3282bの各空気誘導面は、空気誘導面3271とほぼ連続するように配置される。
この実施形態では、空気入口3240と第1及び第2の空気出口3210、3220との間に延びる内部空気通路2270は、ファン本体から受け取った空気流の圧力を均等化して第1及び第2の空気出口3210、3220により均等に分配するように機能するプレナムチャンバを形成する。従って、空気誘導面3271は、内部空気通路3270によって定められるプレナムチャンバの上面を形成する。
図21a及び21bは、ノズル2200が指向モードにある場合に、ノズル3200の統合的な空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口3210のサイズを第2の空気出口3220のサイズに対して変化させることによって達成できる、2つの可能性のある合成空気流を示している。
図21aにおいて、流れベクタリングバルブは、第1及び第2のバルブ部材3281、3282が中央位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口3210と第2の空気出口3220はサイズが等しいので、第1の空気出口3210及び第2の空気出口3220から等量の空気流が放出される。第1及び第2の空気出口3210、3220は、案内面3250の中心軸線(YYY)と整列する収束点に向けて配向される。図21aの事例のように2つの空気流が同じ強度を有する場合、合成空気流は、矢印AAAで示すように、ノズル3200の面3231から前方に(すなわち、面3231に対して実質的に垂直に)導かれることになる。
図21bでは、流れベクタリングバルブは、第1及び第2のバルブ部材3281、3282が第1の端部位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口3210が最大限に閉塞され、第2の空気出口2220が最大限に開口している。これは、ノズル3200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第2の空気出口3200を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面3250の上方を流れるように導かれるが、第1の空気出口3210から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、矢印BBBで示すようにその流れ進路を進み続けることになる。
図21a及び21bの実施例は、単に代表的なものに過ぎず、実際には一部の極端な場合を表していると容易に理解されるであろう。流れベクタリングバルブ部材3281、3282に接続されたロッド3284のユーザ操作可能なハンドル部分を利用することにより、多種多様な合成空気流を実現することが可能である。
次に、図22は、ファン組立体用ノズルの更に別の実施形態4200の断面図を示す。この更に別の実施形態では、ノズル4200は、上述の第1、第2及び第3の実施形態のものとほぼ同じファン本体での使用に適しており、従って、ファン本体を更に図示することも、説明することもしていない。
この第4の実施形態のノズル4200は、第2の実施形態のものと類似する。詳細には、第4の実施形態のノズル4200の本体4230もまた、切頭球体の全体的形状を有し、第1の切頭部がノズルの円形面4231を形成して、第2の切頭部がノズル本体4230の円形ベース4232を形成し、ノズル本体4230のベース4232に対するノズル本体4230の円形面4231の角度(α)は固定される。しかしながら、第4の実施形態の流れベクタリングバルブは、第2の実施形態のノズル2200に使用されているものとは異なる。
第2の実施形態のノズル2200では、バルブ部材2280は、案内面2250の下方に且つ空気誘導面2271の上方に取り付けられ、案内面2250と空気誘導面2271の両方から独立して動く。対照的に、この第4の実施形態のノズルでは、バルブ部材4280は、外部案内面4250と内部空気指示面4271の両方を備え、これらはノズル本体4230に対して動くように構成される。図示の実施形態では、この案内面4250は凸状で実質的にディスク状であるが、代替の実施形態では、案内面4250は平坦又は部分的にだけ凸状とすることができる。
バルブ部材4280が中央位置にあるとき、案内面4250の円周部分4250aとノズル本体4230の対向する部分とは、組み合わされてこれらの間に略環状のギャップ2260を定め、この場合、このギャップ4260の正反対に配置された2つの部分は、ノズル4200の第1及び第2の空気出口4210、4220を提供する合同な円弧状スロットのペアを形成する。
この実施形態では、第1及び第2の空気出口4210、4220はほぼ同じサイズであり、組み合わされて球状ノズル4200の統合又は複合空気出口を形成する。第1の空気出口4210と第2の空気出口4220は、案内面4250の対向する側部に位置し、それぞれの空気出口に隣接する案内面4250の一部分上へ、且つ案内面4250の中央軸線(YYYY)と整列する収束点に向かって、放出される空気流を導くように配向される。
次に、空気入口4240と第1及び第2の空気出口4210、4220との間に延びる単一の内部空気通路4270は、空気流が第1及び第2の空気出口4210、420の間にあるギャップ4260の部分に到達しないように形づくられる。詳細には、単一の内部空気通路には、第1の空気出口4210を提供する湾曲スロットの端部及び第2の空気出口4220を提供する湾曲スロットの隣接端部と略平行で、これらの間に延びる側壁4272が設けられる。従って、単一の内部空気通路4270は、空気出口4210、4220の端部を越えて延びず、ただ単に、一方の空気出口の遠位湾曲側面/縁から他方の空気出口の遠位湾曲側面/縁まで、中間/案内面4250の対応する部分の下に延びているだけである。この配置では、単一の内部空気通路4270は、依然として、ノズル4200の空気入口4240を通して受け取る空気流のためのプレナム領域を提供するが、これを空気出口4210、4220の下方及びその間の領域に制限する。
バルブ部材4280が中央位置にある状態に流れベクタリングバルブが配置された場合、外部案内面4250は、ノズル本体4230の開口円形面4231内に同心円状に配置され、第1の空気出口4210と第2の空気出口4220はサイズが等しいので、第1の空気出口4210及び第2の空気出口4220から等量の空気流が放出される。従って、合成空気流は、ノズル4200の面4231から前方に(すなわち、面4231に対して実質的に垂直に)導かれることになる。
バルブ部材4280が第1の端部位置にある状態に流れベクタリングバルブが配置された場合、バルブ部材4280の第1の端部は、ノズル本体4230の対向面に当接(すなわち、接触する、又は隣接する/近接する)し、これによって第1の空気出口4210を最大限に閉塞する一方で、第2の空気出口4220を最大限に開口させる。その結果、外部誘導面は、第1の空気出口3210に向かって、第2の空気出口4210から離れるように移動してしまったことになり、もはや同心位置にはない。これは、ノズル4200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第2の空気出口4220を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面4250の上方を流れるように導かれるが、第1の空気出口4210から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、その流れ進路を進み続けることになる。
バルブ部材4280が第2の端部位置にある状態に流れベクタリングバルブが配置された場合、バルブ部材4280の第2の端部は、ノズル本体4230の対向面に当接(すなわち、接触する、又は隣接する/近接する)し、これによって第2の空気出口4220を最大限に閉塞する一方で、第1の空気出口4210を最大限に開口させる。その結果、外部誘導面は、第2の空気出口4220に向かって、第1の空気出口4210から離れるように移動してしまったことになり、もはや同心位置にはない。これは、ノズル4200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第1の空気出口4210を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面4250の上方を流れるように導かれるが、第2の空気出口4220から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、その流れ進路を進み続けることになる。
上述の個々の項目を単独で、或いは図面に示した又は明細書に記載した他の項目と組み合わされて使用できること、並びに、互いに同じ節に又は互いに同じ図面に記載した項目を互いに組み合わせて使用する必要はないことが理解されるであろう。更に、「手段」という表現は、任意選択的にアクチュエータ又はシステム又はデバイスに置き換えることができる。加えて、「を備える」又は「から構成される」という言及によって、いかなる意味でも限定を意図するものではなく、読者は適宜に本明細書及び特許請求の範囲を解釈すべきである。
更に、上述のように好ましい実施形態に関して本発明を記述してきたが、これらの実施形態は例示的なものに過ぎないことを理解されたい。当業者は、本開示の見地から変更形態及び代替形態を作成することができ、これらは添付の特許請求の範囲に入ると想定される。例えば、上述の発明が自立式ファン組立体だけでなく、他のタイプの環境制御ファン組立体にも等しく適用できる可能性があることを当業者は理解しよう。例として、このようなファン組立体は、自立式ファン組立体、天井取付け型又は壁取付け型のファン組立体、及び車載ファン組立体の何れでもよい。
別の例として、上述の流れベクタリングバルブの各々は、様々なノズルの実施形態間で置き換えることできる。詳細には、第1の実施形態に関連して記載したような単一の枢動バルブ部材は、第2又は第3のノズル実施形態のどちらでも使用することができる。同様に、第2及び第4の実施形態に関連して記載したような単一の直線的に移動可能なバルブ部材は、第1又は第3のノズル実施形態のどちらでも使用することができる。第3の実施形態に関連して記載したような1対のリンク式枢動バルブ部材は、第2又は第3のノズル実施形態のどちらでも使用することができる。
更に別の例として、第2の実施形態では、第1及び第2の指向モード空気出口間のギャップの部分は可動カバーによって閉塞されるが、第3の実施形態の場合と同様に、固定カバーによって等しく閉塞することができるので、この場合、第2の実施形態のノズルは、単一の指向モードの空気送給だけを有することになる。逆に、第3の実施形態の固定カバーは、第2の実施形態に関連して記載したような可動カバーに置き換えることができ、これによって、第3の実施形態のノズルに、指向型と拡散型の空気送給モードの両方を提供する。
更に、上述した実施形態のノズル及び出口は、異なった形状を有することができる。例えば、第1及び第2の空気出口を提供するスロットは、円弧の一般的な形状を有するのではなく、それぞれ楕円弧とすることができる。同様に、第2の実施形態のノズルは、球体の全体的形状を有するのではなく、楕円体又は回転楕円体の一般的な形状を有することができる。第3の実施形態のノズルもまた、直円筒の全体的形状を有するのではなく、楕円筒の一般的な形状を有することができる。そしてまた、ノズルの面も形状が異なるとすることができる。詳細には、ノズルの面は円形ではなくて、楕円形とすることができる。
更に、上述の実施形態の幾つかは、外部案内面と独立して外部案内面に対して移動する1又は2以上のバルブ部材を利用するが、第4の実施形態の場合と同様に、バルブ部材と外部案内面の両方がノズル本体に対して共に移動するように、1又は2以上のバルブ部材が外部案内面を備える、そうでなければ外部案内面に接続されることも可能である。同様に、上述の実施形態の幾つかは、内部誘導面と独立して内部誘導面に対して移動する1又は2以上のバルブ部材を利用するが、第3の実施形態の場合と同様に、バルブ部材と内部誘導面の両方がノズル本体に対して共に移動するように、1又は2以上のバルブ部材が外部案内面を備える、そうでなければ内部誘導面に接続されることも可能である。
更に、上述の実施形態の幾つかは、1又は2以上のバルブ部材の移動を駆動するためにバルブモータを利用するが、本明細書に記載したノズルの全ては、代わりに、バルブ部材(複数可)の移動を駆動するために手動機構を含むことができ、この場合、ユーザによる力の付与がバルブ部材(複数可)の移動に変換されることになる。例えばこれは、回転可能なダイヤル又はホイール、或いは摺動可能なダイヤル又はスイッチの形態をとることができ、ユーザによるダイヤルの回転又は摺動がピニオンの回転を引き起こす。