JP7029920B2 - 変圧器 - Google Patents

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本発明は、樹脂モールド巻線を有する変圧器の巻線で発生する漂遊負荷損を低減する技術に関する。
配電用変圧器等の静止誘導電器は、珪素鋼板、アモルファス合金、ナノ結晶合金等の軟磁性材料により構成された鉄心に、内側に低圧側、外側に高圧側の2系統の巻線がそれぞれ巻回される。電力容量がおおむね5MVA以下の受電用変圧器等の静止誘導電器用鉄心の断面は矩形であることが一般的であり、その周囲に巻回される巻線も、筺体の小形化のために矩形に巻かれる。巻線に所定の電流が流れると、低圧側巻線には内向きの、高圧側巻線には外向きの電磁力が作用する。矩形巻線の場合、その屈曲部に応力が集中するので、特に高圧側巻線の破壊を避けるため、その導体の断面が横長のエッジワイズ巻線を用いて、耐機械力を持たせる必要がある。
例えば特許文献1には、エッジワイズ導体を巻回した巻線と、その内周および外周に形成した絶縁層とを備えた樹脂モールド巻線において、導体を径方向の外周から内周に向かって複数回巻き付けた部分と、内周から外周に向かって複数回巻き付けた部分とを、軸方向に積層して巻線を構成し、巻線の周りを樹脂で覆って絶縁を施した樹脂モールド巻線が開示されている。
静止誘導電器内の負荷損失は、巻線に電流が流れることにより発生する抵抗損と、巻線および鉄心からの漏洩磁束が巻線導体を鎖交することにより発生する渦電流損(漂遊損)に分けられる。上記のエッジワイズ巻線を構成する導体は、磁束と鎖交する面積が大きいため、漂遊損が大きくなる。そのため、負荷損失の増大、巻線温度の上昇を招き、導体の断面積を大きくする必要があり静止誘導電器も大形化し、材料費の増加に繋がる。
例えば特許文献2には、鉄心にギャップを有するリアクトルにおいて、ギャップからの漏洩磁束がコイルに鎖交して生じる漂遊損を減らすため、内側コイルの断面の縦長さに対する横長さの比であるアスペクト比を、外側コイルの断面のアスペクト比よりも小さくすることが開示されている。
特開2005-158857号公報 特開2013-16691号公報
特許文献1に開示されている技術においては、矩形に巻回したエッジワイズ巻線を樹脂で覆うことで耐機械力を持たせることができるが、巻線導体を鎖交する漏洩磁束により発生する漂遊損の低減は考慮されていない。
また、特許文献2に開示されている技術は、リアクトルにおいて、鉄心のギャップからの漏洩磁束がコイルに鎖交して生じる漂遊損を減らすもので、変圧器において、低圧巻線と高圧巻線の間の漏洩磁束により発生する漂遊損の低減は考慮されていない。
本発明は、変圧器において、巻線に耐機械力を持たせつつ、漂遊損を減少させ、変圧器の効率を向上することを目的とする。
上記課題を解決するための、本発明の「変圧器」の一例を挙げるならば、
鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回された低圧巻線と、前記低圧巻線の周囲に巻回された高圧巻線を備える変圧器であって、前記高圧巻線が、前記低圧巻線と対向する内側に巻回された第1の高圧巻線と、前記第1の高圧巻線の周囲に巻回された第2の高圧巻線からなり、前記第1の高圧巻線を構成する導体がシート状であり、巻厚方向に巻回されており、前記第1の高圧巻線内の導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より小さく、前記第2の高圧巻線内の導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より大きくしたものである。
また、本発明の「変圧器」の他の一例を挙げるならば、
鉄心と、前記鉄心に巻回される低圧コイルと、前記低圧コイルの外側に巻回される高圧コイルと、を有する変圧器であって、前記高圧コイルは第1の層の巻線と、前記第1の層の巻線よりも内側に巻回され前記低圧コイルと対向する第2の層の巻線とを有し、前記第1の高圧巻線を構成する導体がシート状であり、巻厚方向に巻回されており、前記第2の層の巻線の巻厚方向の幅は、前記第1の層の巻線の巻厚方向の幅よりも小さいものである。
本発明により、変圧器の高圧巻線において、外周側に巻回されたエッジワイズ巻線により耐機械力を持たせつつ、低圧巻線と対向する内周側の巻線導体が漏洩磁束により鎖交される断面積が小さくなり、漂遊損が減少して変圧器の効率を向上することができる。
そして、漂遊損が減少することで巻線導体の断面積を減らすことが可能になり、変圧器の小形化、および材料費の削減が可能になる。
本発明の第1の実施例を示す、鉄心に巻回された変圧器用巻線の縦断面図である。 本発明の第1の実施例を示す、鉄心とその周囲に巻回された巻線の全体図である。 本発明の第1の実施例において、巻線内の模式的な磁束分布を示す図である。 本発明の第1の実施例において、巻線導体を鎖交する磁束と、発生する渦電流を示す模式図である。 本発明の第1の実施例を示す、三相三脚型変圧器の縦断面図である。 本発明の第2の実施例を示す、鉄心に巻回された変圧器用巻線の縦断面図である。 本発明の第3の実施例を示す、鉄心に巻回された変圧器用巻線の縦断面図である。 本発明の第4の実施例を示す、鉄心に巻回された変圧器用巻線の縦断面図である。 鉄心に巻回された変圧器用巻線の従来の構成を示す縦断面図である。
以下、本発明の複数の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
図1から図5は、本発明の第1の実施例を示す。本実施例の構成とその作用について、図9に示した従来例と比較しながら説明する。
図1は、鉄心1に巻回された変圧器用巻線の構造を示した縦断面図を示す。図は、鉄心1の右側の巻線を示しており、実際には、鉄心1に対して対称に左側にも同様の巻線を備えている。図の横方向が巻線の巻厚方向、縦方向が高さ方向であり、以降に示される巻線の縦断面図における方向の定義も同一である。鉄心1の外側に、シート状の低圧巻線導体2を巻厚方向に巻回した低圧巻線(低圧コイル)がモールド樹脂21内に構成され、電極22および23がモールド樹脂の外側に取り出される。その外側に、低圧巻線に対向して第1の高圧巻線導体3aを高さ方向と巻厚方向に巻回した第1の高圧巻線(高圧コイルの第2の層の巻線)がモールド樹脂31a内に構成される。そして、さらに外側に第2の高圧巻線導体3bを高さ方向と巻厚方向に巻回した第2の高圧巻線(高圧コイルの第1の層の巻線)がモールド樹脂31b内に構成される。上記の第1の高圧巻線と第2の高圧巻線は、接続線32aによりモールド樹脂の外側で直列に接続され、電極32および33がモールド樹脂31aおよび31bの外側に取り出される。
第2の高圧巻線導体3b中に示したように、その巻厚方向の断面寸法をa、高さ方向の断面寸法をbとすると、第1の高圧巻線導体3aの断面寸法はa<bなる関係を満たし、第2の高圧巻線導体3bの断面寸法はa>bなる関係を満たすエッジワイズ巻線により構成される。すなわち、第1の高圧巻線導体3aは、導体断面の巻厚方向の寸法aが高さ方向の寸法bより小さく、第2の高圧巻線導体3bは、導体断面の巻厚方向の寸法aが高さ方向の寸法bより大きい。
上記の低圧巻線のモールド樹脂21と鉄心1の間隙部にはスペーサ40が備えられて、絶縁距離d0が確保される。そして、低圧巻線のモールド樹脂21と第1の高圧巻線のモールド樹脂31aの間隙は絶縁距離d1、第1の高圧巻線のモールド樹脂31aと第2の高圧巻線のモールド樹脂31bの間隙は絶縁距離d2がそれぞれ絶縁材で構成したスペーサ(図示せず)を備えることで確保され、各部位の絶縁距離が適切に保持される。
巻線に電流を流した際には、低圧巻線導体2には内周側(図の左側)に、第1および第2の高圧巻線導体3aおよび3bには外周側(図の右側)に電磁力が作用する。第1の高圧巻線導体3aの断面は縦長なので、上記の電磁力に抗する耐機械力は不足するが、第2の高圧巻線導体3bの断面は横長であり、上記の電磁力に抗する十分な耐機械力を備える。よって、第1の高圧巻線導体3aに作用する電磁力と、自身に作用する電磁力による変形、あるいは破壊を防ぐことができる。
図9に示した従来の巻線構成は、図1における第1の高圧巻線導体3aと、それを覆うモールド樹脂31aを備えていない。そして、低圧巻線2のモールド樹脂21の外側に、導体の断面寸法がa>bなる関係を満たす、エッジワイズ巻線から構成される高圧巻線3aが内部に構成されたモールド樹脂31aを備えている。
図2は、本実施例における鉄心1の周囲に巻回された、低圧巻線のモールド樹脂21、第1の高圧巻線のモールド樹脂31a、および第2の高圧巻線のモールド樹脂31bの構造を示した斜視図である。鉄心1の断面形状は矩形であり、その周囲に巻回される上記の各巻線のモールド樹脂の横断面は、屈曲部を持つ略矩形である。各巻線のモールド樹脂の上部から、低圧巻線電極22および23、高圧巻線電極32および33が取り出される状況を示しているが、そのすべて、あるいは一部の電極は、各巻線のモールド樹脂の下部から取り出してもよい。
図3は、図1に示した本実施例の巻線の縦断面図において、電流を流した際に発生する磁束ベクトルBの概略の状態を示したものである。低圧巻線と高圧巻線を備える変圧器用巻線においては、両巻線の間隙部の高さ方向に最大の磁束が発生し、間隙部から離れるに従ってその強度が減少する特徴を有する。
図4は、断面積が同一で、断面寸法の縦横の比率が異なる巻線導体を鎖交する磁束ベクトルBと、導体内に発生する渦電流を模式的に示したものである。図4(a)に示した、断面寸法がa<bの場合には、渦電流が流れる面積が小さいので漂遊損は小さいが、図4(b)に示した、断面寸法がa>bの場合には、渦電流が流れる面積が大きく、漂遊損が増加する。
本実施例では、鎖交磁束が大きい、低圧巻線2と対向する部分に断面寸法がa<bである第1の高圧巻線導体3aを備えるので、図9に示した従来例に比べ、高圧巻線で発生する漂遊損が低減される。低圧巻線から離れた位置に備える、第2の高圧巻線導体3bを鎖交する磁束は小さいため、断面寸法がa>bなる導体3bを備えても漂遊損の増加の影響は小さい。そして上述したように、第2の高圧巻線導体3bにより、通電時に発生する電磁力による巻線の変形、あるいは破壊を防ぐ耐機械力を持たせることができる。
なお、これら2つの高圧巻線導体3aおよび3bの断面積は同一とするのが好適であるが、本実施例により高圧巻線で発生する漂遊損が低減されるため、例えば第1の高圧巻線導体3aの断面積を第2の高圧巻線導体3bの断面積より小さくしてもよい。これにより、変圧器用巻線の巻厚が減少し、変圧器の筐体を従来と同等、あるいはそれ以下に小型化することが可能になる。
本実施例において、巻線の形状と渦電流の状態を示す図4の(a)(b)の対比から、第1の高圧巻線導体3a(高圧コイルの第2の層の巻線)の巻厚方向の幅aが、第2の高圧巻線導体3b(高圧コイルの第1の層の巻線)の巻厚方向の幅aよりも小さくければ、渦電流を低減することができる。この場合、図に示すように、第1の高圧巻線導体3a(高圧コイルの第2の層の巻線)の高さbを第2の高圧巻線導体3b(高圧コイルの第1の層の巻線)の高さbよりも大きくしても良い。
図5は、本実施例の巻線構造を三相変圧器に適用した例を示す縦断面図である。本図における鉄心は、薄い磁性材料を多数枚積層して環状に成形した内側巻鉄心1aを2つ並べ、その外周に1つの外側巻鉄心1bを巻回した三相三脚型であり、三相の磁脚部11、12、13が構成される。これらの磁脚の周囲に、低圧巻線のモールド樹脂21、第1の高圧巻線のモールド樹脂31a、および第2の高圧巻線のモールド樹脂31bを配置し、三相の変圧器用巻線が構成される。
なお、本発明は、三相三脚型に限らず、単相変圧器や三相五脚型変圧器など他の変圧器にも用いることができる。
本実施例によれば、変圧器の高圧巻線において、外周側に巻回されたエッジワイズ巻線により耐機械力を持たせつつ、低圧巻線と対向する内周側の巻線導体が漏洩磁束により鎖交される断面積が小さくなり、漂遊損が減少して変圧器の効率を向上することができる。そして、漂遊損が減少することで巻線導体の断面積を減らすことが可能になり、変圧器の小形化、および材料費の削減が可能になる。
図6は、本発明の第2の実施例の、鉄心1に巻回された変圧器用巻線の構造を示した縦断面図を示す。
鉄心1の外側に、シート状の低圧巻線導体2を巻厚方向に巻回した低圧巻線がモールド樹脂21内に構成され、電極22および23がモールド樹脂の外側に取り出される。その外側に第1の高圧巻線導体3aを高さ方向と巻厚方向に巻回した第1の高圧巻線が構成され、その外側に第2の高圧巻線導体3bを高さ方向と巻厚方向に巻回した第2の高圧巻線が構成される。前記の高圧巻線導体3aと3bの間には絶縁部材41が備えられ、これらが同一のモールド樹脂31a内に構成される。第1の高圧巻線と第2の高圧巻線は、接続線32aによりモールド樹脂31aの内部で直列に接続され、電極32および33がモールド樹脂の外側に取り出される。
第2の高圧巻線導体3b中に示したように、その巻厚方向の断面寸法をa、高さ方向の断面寸法をbとすると、第1の高圧巻線導体3aの断面寸法はa<bなる関係を満たし、第2の高圧巻線導体3bの断面寸法はa>bなる関係を満たすエッジワイズ巻線により構成される。上記の低圧巻線のモールド樹脂21と鉄心1の間隙部にはスペーサ40が備えられて絶縁距離d0が確保される。そして、低圧巻線のモールド樹脂21と高圧巻線のモールド樹脂31aの間隙は絶縁距離d1が、絶縁材で構成したスペーサ(図示せず)を備えることで確保され、各部位の絶縁距離が適切に保持される。
実施例1で説明したように、巻線に電流を流した際には、低圧巻線導体2には内周側(図の左側)に、第1および第2の高圧巻線導体3aおよび3bには外周側(図の右側)に電磁力が作用する。第1の高圧巻線導体3aの断面は縦長なので、上記の電磁力に抗する耐機械力は不足するが、第2の高圧巻線導体3bの断面は横長であり、上記の電磁力に抗する十分な耐機械力を備える。よって、第1の高圧巻線導体3aに作用する電磁力と、自身に作用する電磁力による変形、あるいは破壊を防ぐことができる。また、低圧巻線導体2と高圧巻線導体3aの間隙部で最も大きくなる鎖交磁束は、第2の高圧巻線導体3bが備えられた位置においては十分小さい。よって実施例1と同様の理由により、高圧巻線で発生する漂遊損は、従来の構成に比べて低減される。
本実施例によれば、実施例1の効果に加えて、第1の高圧巻線導体3aと第2の高圧巻線導体3bをモールド樹脂31aで一体に樹脂モールドしたので、高圧巻線を小型化することができ、変圧器を小型化することができる。
図7は、本発明の第3の実施例の、鉄心1に巻回された変圧器用巻線の構造を示した縦断面図を示す。
鉄心1の外側に、シート状の低圧巻線導体2を巻厚方向に巻回した低圧巻線がモールド樹脂21内に構成され、電極22および23がモールド樹脂の外側に取り出される。その外側にシート状の第1の高圧巻線導体3aを巻厚方向に巻回した第1の高圧巻線がモールド樹脂31a内に構成される。そして、さらに外側に第2の高圧巻線導体3bを高さ方向と巻厚方向に巻回した第2の高圧巻線がモールド樹脂31b内に構成される。上記の第1の高圧巻線と第2の高圧巻線は、接続線32aによりモールド樹脂の外側で直列に接続され、電極32および33がモールド樹脂の外側に取り出される。
第2の高圧巻線導体3bの断面寸法はa>bなる関係を満たすエッジワイズ巻線により構成される。上記の低圧巻線のモールド樹脂21と鉄心1の間隙部にはスペーサ40が備えられて絶縁距離d0が確保される。そして、低圧巻線のモールド樹脂21と第1の高圧巻線のモールド樹脂31aの間隙は絶縁距離d1、第1の高圧巻線のモールド樹脂31aと第2の高圧巻線のモールド樹脂31bの間隙は絶縁距離d2がそれぞれ絶縁材で構成したスペーサ(図示せず)を備えることで確保され、各部位の絶縁距離が適切に保持される。
実施例1および実施例2で説明したように、巻線に電流を流した際には、低圧巻線導体2には内周側(図の左側)に、第1および第2の高圧巻線導体3aおよび3bには外周側(図の右側)に電磁力が作用する。シート状の第1の高圧巻線導体3aの電磁力に抗する耐機械力は不足するが、第2の高圧巻線導体3bの断面は横長であり、上記の電磁力に抗する十分な耐機械力を備える。よって、シート状の第1の高圧巻線導体3aに作用する電磁力と、自身に作用する電磁力による変形、あるいは破壊を防ぐことができる。
また、低圧巻線導体2と第1の高圧巻線導体3aの間隙部で最も大きくなる鎖交磁束が、シート状の第1の高圧巻線導体3aを貫く面積は実施例1、および実施例2に比べて小さいので、発生する漂遊損は前記実施例の場合よりもさらに低減される。
本実施例によれば、第1の高圧巻線を、シート状の巻線導体を巻厚方向に巻回して構成したので、実施例1に比べて、より漂遊損を減少させ、変圧器の効率を向上することができる。
図8は、本発明の第4の実施例の、鉄心1に巻回された変圧器用巻線の構造を示した縦断面図を示す。
鉄心1の外側に、シート状の低圧巻線導体2を巻厚方向に巻回した低圧巻線がモールド樹脂21内に構成され、電極22および23がモールド樹脂の外側に取り出される。その外側にシート状の第1の高圧巻線導体3aを巻厚方向に巻回した第1の高圧巻線が構成され、その外側に第2の高圧巻線導体3bを高さ方向と巻厚方向に巻回した第2の高圧巻線が構成される。そして、そのさらに外側に、第3の高圧巻線導体3cを高さ方向と巻厚方向に巻回した第3の高圧巻線が構成される。前記の高圧巻線導体3aと3b、および3bと3cの間にはそれぞれ絶縁部材41が備えられ、これらが同一のモールド樹脂31a内に構成される。第1の高圧巻線と第2の高圧巻線および第2の高圧巻線と第3の高圧巻線は、接続線32aによりモールド樹脂31aの内部で互いに直列に接続され、電極32および33がモールド樹脂の外側に取り出される。
第3の高圧巻線導体3b中に示したように、その巻厚方向の断面寸法をa、高さ方向の断面寸法をbとすると、第2の高圧巻線導体3bの断面寸法はa<bなる関係を満たし、第3の高圧巻線導体3bの断面寸法はa>bなる関係を満たすエッジワイズ巻線により構成される。上記の低圧巻線のモールド樹脂21と鉄心1の間隙部にはスペーサ40が備えられて絶縁距離d0が確保される。そして低圧巻線のモールド樹脂21と高圧巻線のモールド樹脂31aの間隙は絶縁距離d1が確保され、各部位の絶縁距離が適切に保持される。
実施例1から実施例3で説明したように、巻線に電流を流した際には、低圧巻線導体2には内周側(図の左側)に、第1、第2、および第3の高圧巻線導体3a、3bおよび3cには外周側(図の右側)に電磁力が作用する。第1の高圧巻線導体3aはシート状であり、第2の高圧巻線導体3bの断面は縦長なので、ともに上記の電磁力に抗する耐機械力は不足するが、第3の高圧巻線導体3cの断面は横長であり、上記の電磁力に抗する十分な耐機械力を備える。よって、第1の高圧巻線導体3aと第2の高圧巻線導体3bに作用する電磁力と、自身に作用する電磁力による変形、あるいは破壊を防ぐことができる。
また、低圧巻線のモールド樹脂21と、高圧巻線のモールド樹脂31aの間隙部で最も大きくなる鎖交磁束が、シート状の第1の高圧巻線導体3aを貫く面積は実施例1、および実施例2に比べて小さいので、発生する漂遊損は実施例1および実施例2の場合よりも低減される。また、第2の高圧巻線導体3bが備えられた位置における鎖交磁束は、第1の高圧巻線導体3aにおける位置より小さいが、この巻線導体の断面は縦長なので、発生する漂遊損は十分に低減される。よって、本実施例のような巻線を構成することで、実施例1から実施例3に記載の構成に比べ、漂遊損はさらに低減される。
なお、これら3つの高圧巻線導体3a、3bおよび3bの断面積はすべて同一とするのが好適であるが、本実施例により、高圧巻線で発生する漂遊損が低減されるため、例えば第1の高圧巻線導体3aの断面積と第2の高圧巻線導体3bの断面積を、第3の高圧巻線導体3cの断面積より小さくしてもよい。これにより、変圧器用巻線の巻厚が減少し、変圧器の筐体を従来と同等、あるいはそれ以下に小型化することが可能になる。
本実施例によれば、高圧巻線を、低圧巻線と対向する、シート状の導体を巻厚方向に巻回した第1の高圧巻線と、その外側の、導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より小さい第2の高圧巻線と、その外側の、導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より大きい第3の高圧巻線とで構成したので、実施例1~3の構成に比べて、さらに漂遊損を減少させ、変圧器の効率を向上することができる。
以上説明した4つの実施例は本発明の構成を限定するものではなく、任意の複数の実施例を組み合わせても、本発明が提供する効果は同様に得られる。
1:鉄心
1a:内側巻鉄心
1b:外側巻鉄心
11,12,13:磁脚部
2:低圧巻線導体
21:低圧巻線のモールド樹脂
22,23:低圧巻線電極
3a:第1の高圧巻線導体
31a:第1の高圧巻線のモールド樹脂
3b:第2の高圧巻線導体
31b:第2の高圧巻線のモールド樹脂
32a:高圧巻線導体間の接続線
3c:第3の高圧巻線導体
32,33:高圧巻線電極
40:鉄心と低圧巻線のモールド樹脂間のスペーサ
41:高圧巻線間の絶縁部材
a:高圧巻線導体の横方向(巻厚方向)の断面寸法
b:高圧巻線導体の縦方向(高さ方向)の断面寸法
d0:鉄心と低圧巻線のモールド樹脂間の距離
d1:低圧巻線のモールド樹脂と第1の高圧巻線のモールド樹脂間の距離
d2:第1の高圧巻線のモールド樹脂と第2の高圧巻線のモールド樹脂間の距離

Claims (12)

  1. 鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回された低圧巻線と、前記低圧巻線の周囲に巻回された高圧巻線を備える変圧器であって、
    前記高圧巻線が、前記低圧巻線と対向する内側に巻回された第1の高圧巻線と、前記第1の高圧巻線の周囲に巻回された第2の高圧巻線からなり、
    前記第1の高圧巻線を構成する導体がシート状であり、巻厚方向に巻回されており、
    前記第1の高圧巻線内の導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より小さく、前記第2の高圧巻線内の導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より大きくした変圧器。
  2. 請求項1に記載の変圧器において、
    前記低圧巻線、前記第1の高圧巻線、および前記第2の高圧巻線は樹脂モールドされており、
    前記低圧巻線と前記第1の高圧巻線、および、前記第1の高圧巻線と前記第2の高圧巻線の間隙部に絶縁材で構成したスペーサを備える変圧器。
  3. 請求項1に記載の変圧器において、
    前記第1の高圧巻線と前記第2の高圧巻線を直列に接続した変圧器。
  4. 請求項1に記載の変圧器において、
    前記第1の高圧巻線と前記第2の高圧巻線との間隙部に絶縁材を備え、
    前記第1の高圧巻線、前記第2の高圧巻線および前記絶縁材を同一の樹脂で樹脂モールドされている変圧器。
  5. 請求項4に記載の変圧器において、
    前記低圧巻線は別の樹脂で樹脂モールドされており、
    前記低圧巻線と、同一の樹脂で樹脂モールドされている前記第1の高圧巻線および前記第2の高圧巻線との間隙部に絶縁材で構成したスペーサを備える変圧器。
  6. 請求項1に記載の変圧器において、
    前記第1の高圧巻線および前記第2の高圧巻線の導体の断面積が、同一である変圧器。
  7. 請求項1に記載の変圧器において、
    複数の高圧巻線のうち、内側に巻回された高圧巻線の導体の断面積が、外側に巻回された高圧巻線の導体の断面積より小さくした変圧器。
  8. 請求項1に記載の変圧器において、
    前記鉄心の断面形状が矩形であり、
    前記鉄心の周囲に巻回された低圧巻線、および前記第2の高圧巻線の横断面が、屈曲部を有する略矩形である変圧器。
  9. 請求項1に記載の変圧器において、
    前記鉄心は薄帯状材料を複数枚積層し、環状に成形した巻鉄心により構成され、
    前記巻鉄心の周囲に低圧巻線と複数の高圧巻線が巻回されている変圧器。
  10. 鉄心と、前記鉄心の周囲に巻回された低圧巻線と、前記低圧巻線の周囲に巻回された高圧巻線を備える変圧器であって、
    前記高圧巻線が、前記低圧巻線と対向する内側に巻回された第1の高圧巻線と、前記第1の高圧巻線の外側に巻回された第2の高圧巻線と、前記第2の高圧巻線の外側に巻回された第3の高圧巻線からなり、
    前記低圧巻線と前記第1の高圧巻線がシート状導体を巻厚方向に巻回して構成され、
    前記第2の高圧巻線内の導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より小さく、前記第3の高圧巻線内の導体断面の巻厚方向の寸法が高さ方向の寸法より大きくした変圧器。
  11. 鉄心と、前記鉄心に巻回される低圧コイルと、前記低圧コイルの外側に巻回される高圧コイルと、を有する変圧器であって、
    前記高圧コイルは第1の層の巻線と、前記第1の層の巻線よりも内側に巻回され前記低圧コイルと対向する第2の層の巻線とを有し、
    前記第2の層の巻線を構成する導体はシート状であり、巻厚方向に巻回されており、
    前記第2の層の巻線の巻厚方向の幅は、前記第1の層の巻線の巻厚方向の幅よりも小さいことを特徴とする変圧器。
  12. 請求項11に記載の変圧器において、
    前記第2の層の巻線の高さは前記第1の層の巻線の高さよりも大きいことを特徴とする変圧器。
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