JP7029898B2 - 光照射装置 - Google Patents
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Description
例えば、蚊の一種であるハマダラカは、マラリアなどの病気を媒介することによって、人類に多大な被害を及ぼしている。マラリアは、全世界で年間約2億人が感染し、うち約75万人が死亡しているとの報告もある。蚊の数を減らすために薬剤を使用することも考えられるが、現実的に薬剤を散布できる範囲は限られており、長期的には薬剤耐性の問題もあり、その効果は限定的である。また、蚊を誘引して電撃により駆除することも考えられるが、そのための装置を広範囲に設置しようとすると多額の費用がかかる問題がある。
例えば、青色から紫外線を放つ誘導灯を用いてターゲットとなる害虫を誘引して、高電圧で感電させて駆除する方法が考えられる。しかし、この方法では装置周辺での害虫の駆除は可能であるとしても、広い範囲での害虫の駆除には不向きである。
実施の形態は、このような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る光照射装置100について説明する。図1は、第1実施形態に係る光照射装置100の側面視の断面を示す模式図である。図2は、光照射装置100の構成の一例を示すブロック図である。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向あるいは右方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向で正方向を上方向、Z軸方向で負方向を下方向と表記することがある。このような方向の表記は光照射装置100の使用姿勢を制限するものではなく、光照射装置100は任意の姿勢で使用されうる。
光照射装置100は、害虫に光を照射するための光照射装置である。光照射装置100は、第1照射ユニット10と、誘引部20と、制御部30と、筐体40と、電源部50と、を主に含む。誘引部20は害虫を誘引する。第1照射ユニット10は、害虫を不妊化することが可能な波長特性と強度の光を含む第1照射光12eを照射する。筐体40は、第1照射ユニット10および誘引部20を支持する。電源部50は、第1照射ユニット10および誘引部20に電力を供給する。制御部30は第1照射ユニット10の動作を制御する。
第1照射ユニット10は、後述する筐体40の捕集室40cの下側において収容部40bに収容されており、捕集室40cに向けて第1照射光12eを出力する。第1照射ユニット10は、第1照射光12eの少なくとも一部を筐体40の捕集室40cに出力するように設けられてもよい。図1の例では、第1照射ユニット10は、第1照射光12eの殆どが捕集室40cに向けて出力されるように構成されている。
筐体40は、第1照射ユニット10および誘引部20を支持する基台である。図1の例では、筐体40は、収容部40bと、捕集室40cと、透光部材40gと、を含んでいる。一例として、収容部40bは筐体40の下部に設けられ、捕集室40cは筐体40の上側に設けられている。収容部40bと捕集室40cとの間は透光部材40gで仕切られている。筐体40の形に特別な限定はないが、図1の例では、筐体40は全体として略直方体形状を呈する。筐体40は、箱状の捕集室であってもよい。
収容部40bは、第1照射ユニット10と、蓄電池54と、制御部30と、を主に収容する。第1照射ユニット10など収容部40bの内包物が濡れると、光出力の低下など機能低下や故障の原因となり得る。そこで、光照射装置100では、収容部40bは、収容空間を包囲する外殻40dを有している。外殻40dを形成する素材は、種々の樹脂材料や金属材料から、耐久性など所望の特性に応じて選択することができる。外殻40dの形状に特別の制限はないが、図1の例では略直方体形状である。収容部40bの捕集室40c側の面には、透光部材40gを取付ける開口が設けられている。収容部40bは、雨などによって内包する部材が濡れないように防水構造を有していてもよい。
第1照射ユニット10など収容部40bの内包物に異物が付着すると、光出力の低下や故障の原因となり得る。そこで、光照射装置100では、収容部40bの上側には透光部材40gが設けられている。透光部材40gは、収容部40bの内部に枯れ葉などの異物や、害虫の死骸などの進入を抑制することができる。透光部材40gは、第1照射ユニット10が発した第1照射光12eを捕集室40c側に透過させる。図1の例では、透光部材40gは、矩形状の薄板状の石英ガラスで形成されている。透光部材40gは石英ガラスとは別の素材で形成されてもよい。透光部材40gは、例えばフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂で形成されてもよい。
第1照射光12eは対象とする害虫を誘引して集めた空間に集中して照射されることが望ましい。そこで、光照射装置100では、害虫を集める空間を画定するために捕集室40cを備える。捕集室40cは害虫が容易に進入し、容易に退出できることが望ましい。図1の例では、捕集室40cは略直方体状の空間を縁取るフレーム40fによって構成されている。フレーム40fは、収容部40bの4隅から上向きに伸びる4本の縦フレーム40hと、縦フレーム40hの上端の間に横方向に架け渡される4本の横フレーム40kと、を含んでいる。縦フレーム40hは支柱であってもよい。4本の横フレーム40kは、平面視で矩形に組み合わされている。横フレーム40kは梁であってもよい。フレーム40fの各フレームの間は、害虫の出入りを妨げないように開放されている。捕集室40cの一部は被覆体により覆われていてもよい。第2照射ユニット22や発電部52は、4本の横フレーム40kの上側に固定されている。捕集室40cは、フレーム40fの変形を抑制するために筋交いなどの補強部材が設けられてもよく、一部の面に壁が設けられてもよい。
誘引部20は、光照射装置100の周囲から害虫を誘引する。図1の例では、誘引部20は、第2照射ユニット22と、触媒部26と、を含んでおり、害虫を捕集室40cに誘引する。第2照射ユニット22は、害虫を誘引することが可能な波長特性の第2照射光24eを出力する。触媒部26は、所定の光が照射されることにより害虫を誘引する作用のある気体を発生させる。
第2照射ユニット22は、捕集室40cの上部や側部に取付けられ、第2照射光24eを出力する。第2照射ユニット22は、第2照射光24eの一部を筐体40の捕集室40cに出力するように設けられてもよい。害虫を効果的に誘引するために、第2照射光24eの少なくとも一部は筐体40の外部に出力されるように構成されてもよい。図1の例では、第2照射ユニット22は、第2照射光24eの一部は捕集室40cに出力され、別の一部は筐体40の外部に出力されるように構成されている。図1の例では、第2照射ユニット22が、捕集室40cの上部と側部とに取付けられる例を示しているが、第2照射ユニット22は捕集室40cの上部と側部の一方に取付けられてもよい。
触媒部26は、所定の光に反応して害虫を誘引するための気体を発生する。触媒部26は、捕集室40cにおいて第1照射光12eの光路に配置される網目状のベース26cと、ベース26cに塗布された光触媒26bと、を含む。光触媒26bは、第1照射光12eと第2照射光24eの少なくとも一方に反応して光触媒反応を生じ、蚊などが好む二酸化炭素を生成する。このような光触媒26bとして、二酸化チタン系触媒など公知の触媒を用いることができる。触媒部26の近傍には発生させた二酸化炭素の濃度が比較的高い領域が形成されるため、この領域に害虫を誘引することができる。
電源部50は、第1照射ユニット10と、第2照射ユニット22に電力を供給する。電源部50は、商用電源から供給される電力に基づき内部に電力を供給するようにしてもよいが、光照射装置100では、電源部50は、内部で発電した電力を供給するようにしている。電源部50は、電力を出力する発電部52と、発電部52からの電力の少なくとも一部を蓄える蓄電池54と、発電部52または蓄電池54からの電力を第1照射ユニット10と第2照射ユニット22と制御部30とに供給する給電部56と、を含む。
次に制御部30について説明する。図2に示す制御部30の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。制御部30に関するこの説明は後述する制御部230にも同様に適用される。
次に、このように構成された光照射装置100の動作の一例について説明する。図3は、光照射装置100の動作の一例を説明するフローチャートであり、この動作に関する処理S100を示している。処理S100は、光照射装置100が動作開始してから、自己診断や各センサの検知結果に応じて自律制御する動作を含んでいる。
図4、図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る光照射装置200について説明する。図4は、光照射装置200の側面視の断面を示す模式図であり、図1に対応する。図5は、光照射装置200の構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態に係る光照射装置200は、第1実施形態に係る光照射装置100に対して、害虫に産卵をさせるための容器42を備える。光照射装置100が主に害虫の成虫に作用光を照射するのに対して、光照射装置200は、主に害虫が産卵した卵、その卵がふ化した幼虫およびその幼虫のさなぎに対して作用光を照射するように構成されている。
第2実施形態に係る光照射装置200では、第1照射ユニット210は、主に害虫が産卵した卵、その卵がふ化した幼虫およびそのさなぎに対して第1照射光212eを照射するように構成されている。図4の例では、第1照射ユニット210は、第1照射光212eを下向きに照射するように捕集室40cの上部に設けられている。第1照射ユニット210は、第1照射光212eの少なくとも一部を筐体40の捕集室40cに出力するように配置されてもよい。図4の例では、第1照射ユニット210は、第1照射光212eの殆どは捕集室40cに向けて出力されるように配置されている。
第2実施形態の誘引部220は、触媒部26と、第2照射ユニット22と、を含む。触媒部26は第1実施形態と同様であり説明を省く。図4の例では、第2照射ユニット22は、捕集室40cの側部に取付けられている。
第2実施形態の制御部230は、第1実施形態の制御部30に対して第6取得部を含む点で異なり、他の構成は同様である。第6取得部は後述する水位センサ76からその検知結果を取得する。
容器42は蚊などの害虫に産卵させるための水42bを保持する。容器42は例えば水槽であってもよい。容器42は、害虫が入り込み産卵をすることが可能であれば特別な限定はない。図4の例では、容器42は上面が開放された角桶形状を有する。容器42は、所望の仕様に応じて、種々の有機材料や無機材料で形成することができる。図4の例では、容器42は、耐候性の観点からガラス材料で形成されている。
容器42の水42bは、長期間補充しないと徐々に蒸発して水位が下がり、卵N(d)や幼虫N(d)などが死滅するおそれがある。そこで、第2実施形態に係る光照射装置200は、貯蔵タンク70と、雨水収集部72と、循環部74と、を備える。貯蔵タンク70は、容器42に補充する予備の水を蓄えている。雨水収集部72は、光照射装置200またはその周辺に降水する雨水を収集して、貯蔵タンク70に送る。つまり、貯蔵タンク70は、予備の水に加えて収集した雨水を貯蔵する。循環部74は、貯蔵タンク70の水を容器42の水42bと循環させる。このように構成することによって容器42の水位の低下を緩和することができる。貯蔵タンク70は循環部74を介して容器42に接続されている。循環部74は、容器42の水42bの水位が低下したら、貯蔵タンク70の水を容器42に送水することができる。循環部74は、容器42の水42bの水位が過度に上昇したら、容器42の水42bを貯蔵タンク70に送水するようにしてもよい。循環部74としては公知の送水機構を用いることができる。
容器42の水42bの水位が過度に低下して幼虫等の生育に不適な状態になった場合には、第1照射ユニット210の動作を停止することが望ましい。そこで、第2実施形態に係る光照射装置200は、容器42の水42bの水位が過度に低下した場合に、第1照射ユニット210の動作を停止するように構成されている。具体的には、容器42の水42bの水位を検知してその検知結果を制御部230に出力する水位センサ76を備えている。制御部230は、水位センサ76から取得した検知結果に基づき、容器42の水42bの水位が閾値より低くなった場合、第1照射ユニット210および第2照射ユニット22の動作を停止するように制御する。
次に、このように構成された光照射装置200の動作の一例について説明する。図6は、光照射装置200の動作の一例を説明するフローチャートであり、この動作に関する処理S200を示している。処理S200は、光照射装置200が動作開始してから、自己診断や各センサの検知結果に応じて自律制御する動作を含んでいる。
各実施形態の説明では、第2照射ユニット22が第1照射ユニット10、210とは別体に構成される例について説明したが、これに限定されない。第2照射ユニットは第1照射ユニットと一体に構成されてもよい。例えば、第2照射光を発光する発光素子が第1照射ユニットの基板上に設けられてもよい。
各実施形態の説明では、筐体40が全体として略直方体形状である例について説明したが、これに限定されない。例えば、筐体は円筒形など直方体とは異なる形状であってもよい。
各実施形態の説明では、蓄電池54と制御部30、230が筐体40の下部に設けられる例について説明したが、これに限定されない。例えば、蓄電池と制御部の一方は筐体の上部に設けられてもよい。
第1実施形態の説明では、第1照射光12eが捕集室40cの下側から照射される例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1照射光は捕集室の上側や側方から照射されてもよい。この場合、透光部材を省くことも可能になる。
第1実施形態の説明では、光照射装置100は害虫の不妊化することを主用途とする例について説明したが、これに限定されない。上述したように、光照射装置100は、第1照射光12eの照度や波長特性を選択して不妊化率と生存率とを調整することが可能である。言い換えれば、光照射装置100は、所望の不妊化率と生存率とに対応して第1照射光12eの照度や波長特性を設定することができる。この特徴から、光照射装置100は、生存率を大幅に低く設定して殺虫装置として使用することができる。この場合、人の非居住地域では第1照射光12eを不妊化用に設定し、人の居住地域では第1照射光12eを殺虫装置として設定することができる。光照射装置100を殺虫装置として設定した場合でも、一部の害虫は不妊化されて生存し、自然界に戻って他の害虫と生殖活動をすることも考えられる。
第2実施形態の説明では、第1照射光212eが容器42の上側から照射される例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1照射光は容器の底側や側方から照射されてもよい。この場合に、容器の第1照射光が照射される部分は、第1照射光が透過可能な材料で形成されることが望ましい。このような材料としては石英ガラスを使用することができる。
Claims (7)
- 害虫に光を照射するための光照射装置であって、
捕集室と、
前記捕集室に害虫を誘き寄せるための誘引部と、
前記捕集室に、害虫を不妊化することが可能な波長特性の光を含む第1照射光を照射する第1照射ユニットと、
前記第1照射光が照射されることによって二酸化炭素を発生する光触媒を含む触媒部と、
を備え、
前記触媒部は、前記捕集室における前記第1照射光の光路の途中において当該第1照射光が通過するように配置される網目状のベースと、前記網目状のベースに塗布された光触媒と、を含むことを特徴とする光照射装置。 - 前記誘引部は、害虫を誘き寄せることが可能な波長特性の第2照射光を出力する第2照射ユニットを含み、
前記第2照射ユニットは、前記第2照射光の少なくとも一部を前記捕集室の外部に出力するように設けられ、
前記第1照射ユニットは、前記第1照射光の少なくとも一部を前記捕集室の内部に出力するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記網目状のベースには、前記第1照射光と前記第2照射光とが互いに異なる方向から照射されることを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
- 前記第1照射ユニットは、透光部材を介して前記第1照射光を前記網目状のベースに照射することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光照射装置。
- 前記網目状のベースは、前記透光部材の前記第1照射ユニットとは反対側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の光照射装置。
- 害虫の卵、害虫の幼虫および害虫のさなぎの少なくとも1つに光を照射するための光照射装置であって、
捕集室と、
前記捕集室に配置され、害虫に産卵をさせるための容器と、
前記容器に、害虫の卵、害虫の幼虫および害虫のさなぎの少なくとも1つを不妊化可能な波長特性の光を含む第1照射光を照射する第1照射ユニットと、
前記第1照射光が照射されることによって二酸化炭素を発生する光触媒を含む触媒部と、
を備え、
前記触媒部は、前記捕集室における前記第1照射光の光路の途中において当該第1照射光が通過するように配置される網目状のベースと、前記網目状のベースに塗布された光触媒と、を含むことを特徴とする光照射装置。 - 電力を出力する発電部と、
前記発電部からの電力の少なくとも一部を蓄える蓄電池と、
前記発電部または前記蓄電池から前記第1照射ユニットに電力を供給する給電部と、
を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光照射装置。
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