JP7029418B2 - メタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭、及びその製造方法、並びに該活性炭を用いたメタン吸蔵材、及び該活性炭を用いたメタン吸蔵方法 - Google Patents
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Description
孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)の積が0.2cm3/cm3以上、且つ
全細孔容積(cm3/g)に対する前記細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)の細孔容積比率が50%以上であることに要旨を有する。
以下の細孔容積(cm3/g)の積が0.2cm3/cm3以上、且つ
前記充填密度(g/cm3)と全細孔容積(cm3/g)の積が0.28~0.41cm3/cm3であることに要旨を有する。
た充填密度が0.53g/cm3以上であることが好ましい。
量(Nml)が55Nml/cm3以上であることも好ましい。
2ではアルシン等の水素化化合物気体やハロゲン化化合物気体の吸着に最適化された比表面積や細孔構造等を有する活性炭であるため、十分なメタン吸着量が得られないと考えられる。
第1活性炭は、活性炭充填時の充填密度(g/cm3)と細孔径0.72nm以下の細
孔容積(cm3/g)の積から求められる体積あたりの細孔径0.72nm以下の細孔容
積(cm3/cm3)(以下、「体積あたりの細孔径0.72nm以下の細孔容積」という)と、全細孔容積(cm3/g)に対する細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)の細孔容積比率とをバランスよく適切に制御することでメタン吸蔵量を増大できる。なお、本発明において体積とは、活性炭を充填した容器が空間を仕切る輪郭の内側が占める体積のことをいう。またメタン吸蔵量とは体積あたりのメタン吸着量である。
り好ましくは80%以下、更に好ましくは60%以下である。
第2活性炭は、体積あたりの細孔径0.72nm以下の細孔容積と、充填密度(g/cm3)と全細孔容積(cm3/g)との積から求められる体積あたりの全細孔容積(cm3
/cm3)(以下、「体積あたりの全細孔容積」ということがある)とをバランスよく適
切に制御することでメタン吸蔵量を増大できる。
cm3以上であって、好ましくは0.40cm3/cm3以下である。
活性炭の比表面積が小さすぎると十分なメタン吸着量が得られない。一方、比表面積が大きくなりすぎると充填密度が低下することがある。したがって比表面積は、好ましくは700m2/g以上、より好ましくは900m2/g以上、更に好ましくは1000m2/
g以上であって、好ましくは1700m2/g以下、より好ましくは1600m2/g以下、更に好ましくは1500m2/g以下である。
充填密度は、大きくなるほどメタン吸蔵量が増大する。一方、充填密度の上限は特に限定されず、他の特性を満足する範囲で適宜決定すればよい。充填密度は好ましくは0.53g/cm3以上、より好ましくは0.6g/cm3以上であって、好ましくは0.8g/cm3以下、より好ましくは0.7g/cm3以下である。
体積あたりの比表面積は、大きくなるほどメタン吸蔵量が増大する傾向を示すが、大きくなりすぎるとかえってメタン吸蔵量が低下する。体積あたりの比表面積は、好ましくは
570m2/cm3以上、より好ましくは600m2/cm3以上、更に好ましくは750m2/cm3以上であって、好ましくは900m2/cm3以下、より好ましくは860m2/
cm3以下である。体積あたりの比表面積は上記比表面積と上記充填密度の範囲内で適宜
調整することが望ましい。
全細孔容積は、小さすぎると細孔径0.72nm以下の細孔容積も減少し、十分なメタン吸蔵量が得られないことがある。一方、全細孔容積が大き過ぎると細孔径0.72nm以下の細孔容積の細孔容積比率が低下し、メタン吸蔵量が低下することがある。したがって全細孔容積は好ましくは0.45cm3/g以上、より好ましくは0.50cm3/g以上であって、好ましくは0.80cm3/g未満、より好ましくは0.75cm3/g以下である。
細孔径0.72nm以下の細孔容積は、メタン吸着量向上に有効な細孔である。細孔径0.72nm以下の細孔容積が大きくなる程、メタン吸着量は向上する。一方、細孔径0.72nm以下の細孔容積が大きくなりすぎると充填密度および活性炭の強度が低下することがある。したがって細孔径0.72nm以下の細孔容積は、好ましくは0.25cm3/g以上、より好ましくは0.30cm3/g以上、更に好ましくは0.35cm3/g
以上であって、好ましくは0.39cm3/g未満、より好ましくは0.38cm3/g以下である。
活性炭の平均細孔径は特に限定されないが、平均細孔径が小さすぎると、活性炭からのメタンの出入りがスムーズに行われ難くなり、メタンの吸脱着速度が低下することがある。また平均細孔径が大きすぎると、充填密度の低下につながり体積当たりのメタン吸蔵量が低下することがある。したがって平均細孔径は、好ましくは1.5nm以上であって、好ましくは2.3nm以下、より好ましくは2.1nm以下である。
球状フェノール樹脂の粒径は特に限定されないが、好ましくは0.0001mm以上、より好ましくは0.001mm以上、更に好ましくは0.01mm以上であって、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは0.3mm以下である。なお、本発明では同一、或いは異なる粒径の球状フェノール樹脂活性炭を適宜組み合わせて使用してもよい。
上記特性を備えた本発明の活性炭は従来の活性炭と比べてメタン吸蔵量が大きい。具体的には圧力1.1MPaにおけるメタン吸蔵量(活性炭1cm3当たりのメタン吸着量N
ml)は好ましくは55Nml/cm3以上、より好ましくは57Nml/cm3以上、更に好ましくは60Nml/cm3以上である。なお、圧力1.1MPaにおけるメタン吸
蔵量が大きい程、圧力1MPa未満の低圧メタン吸蔵(ANG)においても従来の活性炭よりも高メタン吸蔵量を示す。したがって本発明の活性炭は常圧から1MPa未満の圧力下において従来の活性炭では達成困難であったメタン吸蔵量を達成できる。例えば0.87MPaにおいて好ましくは40Nml/cm3以上、より好ましくは50Nml/cm3以上のメタン吸蔵量を達成できる。
幅に増大できる。本発明の活性炭はANG方式のメタン吸蔵に好適であるが、1MPa以上の圧力下でのメタン吸蔵にも使用できる。なお、球状フェノール樹脂活性炭を充填する容器は用途に応じて適宜選択すればよく、各種燃料タンク、燃料カートリッジ、貯蔵タンクが例示され、用途に応じた容量、形状の容器を選択すればよい。
球状フェノール樹脂は不活性ガス雰囲気下で加熱処理して炭化すればよい。炭化処理条件は特に限定されず、通常、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下でフェノール樹脂が燃焼しない温度、時間で加熱処理すればよい。炭化処理温度は、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上であって、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1000℃以下である。
球状フェノール樹脂を炭化処理して得られた球状フェノール樹脂炭化物は、ロータリーキルン炉等の加熱炉等で水蒸気賦活処理すればよい。細孔径0.72nm以下の細孔容積等を上記所定の範囲に制御された本発明の活性炭を得るためには水蒸気賦活条件を適切に制御する必要がある。なお、以下の条件は本発明者らが確認した実験室レベルの水蒸気賦活条件である。水蒸気賦活は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気で行うこ
とが好ましく、窒素雰囲気がより好ましい。不活性ガス供給量は粒子の吹き飛びを防止するため、好ましくは0.5L/min以上、より好ましくは1.0L/min以上であって、好ましくは10.0L/min以下、より好ましくは5.0L/min以下に制御することが望ましい。
表1に示す粒子径を有する球状フェノール樹脂をマッフル炉(光洋サーモシステム社製)に投入し、窒素流通下(2L/min)、700℃まで昇温した後、700℃で2時間保持して球状フェノール樹脂炭化物を得た。得られた球状フェノール樹脂炭化物をロータリーキルン炉に投入し、窒素流通下(5L/min)で880℃まで昇温(昇温速度:10℃/min)した後、水蒸気(水蒸気分圧40kPa)を窒素と共に供給し、880℃で表1に示す時間保持して水蒸気賦活を行って活性炭No.1~5を作製した。なお、活性炭No.1~5の原料にはバインダーや界面活性剤などの添加剤を使用していない反応型球状フェノール樹脂のみを炭化処理した。
表1に示す粒子径を有する市販のヤシガラ水蒸気賦活炭(MCET社製Z10-30)
を活性炭No.6とした。
活性炭30gを入れたメスシリンダー(150ml)をかさ密度測定器(筒井理化学器機社製、「TPM-3」)に装着して30分間タッピングした後、活性炭の質量(g)と容積(cm3)とから充填密度(g/cm3)を算出した。
活性炭0.2gを250℃にて真空加熱した後、窒素吸着装置(マイクロメリティック社製、「ASAP-2400」)を用いて、液体窒素雰囲気下(77K)で窒素吸着等温線を求め、BET法により比表面積(m2/g)を求めた。
体積あたりの比表面積(m2/cm3)=比表面積(m2/g)×充填密度(g/cm3)
窒素吸着等温線から相対圧P/P0(P:吸着平衡にある吸着質の気体圧力、P0:吸着温度における吸着質の飽和蒸気圧)が0.93における細孔直径30nmまでの窒素吸着量を全細孔容積(cm3/g)とした。
体積あたりの全細孔容積(cm3/cm3)=全細孔容積(cm3/g)×充填密度(g
/cm3)
活性炭40mgをセルに入れ250℃、12時間の真空加熱により前処理を行った後、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置(日本ベル株式会社製、「BELSORP-max」)を用いて液体窒素雰囲気下(77K)で窒素吸着等温線を作成し、HK(Horvath-Kawazoe)法を用いて、細孔径0.72nm以下の細孔量を示す相対圧((P/
P0)=8.86×10-4まで)を確認し、その相対圧における窒素吸着量を窒素吸着等温線から算出し細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)とした。
体積あたりの細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/cm3)=細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)×充填密度(g/cm3)
細孔径0.72nm以下の細孔容積の細孔容積比率(%)=細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)/全細孔容積(cm3/g)×100
活性炭の細孔をシリンダー状と仮定し、以下の式に基づいて算出した。
平均細孔径(nm)=(4×全細孔容積(cm3/g))/比表面積(m2/g)×1,000
上記細孔径0.72nm以下の細孔容積と同様にして窒素吸着等温線における下記所定
の相対圧までの窒素吸着量を各測定細孔径までの窒素吸着量とし、充填密度との積から体積あたりの各細孔径の細孔容積(cm3/cm3)を算出した。
細孔径0.42nm以下の細孔容積:P/P0=1.32×10-7
細孔径0.52nm以下の細孔容積:P/P0=9.95×10-6
細孔径0.62nm以下の細孔容積:P/P0=1.52×10-4
細孔径0.72nm以下の細孔容積:P/P0=8.86×10-4
細孔径0.92nm以下の細孔容積:P/P0=7.71×10-3
細孔径1.62nm以下の細孔容積:P/P0=9.35×10-2
25℃で常圧から1.1MPaまでの各圧力における活性炭質量当たりのメタン吸着量を求め、質量当たりのメタン吸着量と充填密度から体積あたりのメタン吸着量を算出し、メタン吸蔵量とした。
メタン吸蔵量(Nml/cm3)=メタン吸着量(Nml/g)×充填密度(g/cm3)
い活性炭No.5、6のメタン吸蔵量は55Nml/cm3を下回った。
来の活性炭よりも優れたメタン吸蔵量を有することがわかる。
細孔径0.72nm以下の細孔容積がメタン吸蔵量増大に有効であることがわかる。
Claims (9)
- 活性炭充填時の充填密度(g/cm3)と細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)の積が0.2cm3/cm3以上、且つ
全細孔容積(cm3/g)に対する前記細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)の細孔容積比率が50%以上、
全細孔容積0.80cm 3 /g未満であることを特徴とするメタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭(但し、造粒型球状フェノール樹脂を除く)。 - 活性炭充填時の充填密度(g/cm3)と細孔径0.72nm以下の細孔容積(cm3/g)の積が0.2cm3/cm3以上、且つ
前記充填密度(g/cm3)と全細孔容積(cm3/g)の積が0.28~0.41cm3/cm3、
全細孔容積0.80cm 3 /g未満であることを特徴とするメタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭(但し、造粒型球状フェノール樹脂を除く)。 - 比表面積が、700~1700m2/gである請求項1または2に記載のメタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭。
- 前記充填密度が0.53g/cm3以上である請求項1~3のいずれかに記載のメタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭。
- 活性炭充填時の充填密度(g/cm3)と比表面積(m2/g)の積が、570~900m2/cm3である請求項1~4のいずれかに記載のメタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭。
- 圧力1.1MPaにおける活性炭1cm3あたりのメタン吸着量(Nml)が55Nml/cm3以上である請求項1~5のいずれかに記載のメタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭。
- 請求項1~6のいずれかに記載の球状フェノール樹脂活性炭が充填されているメタン吸蔵材。
- バインダーで結着されていない球状フェノール樹脂を炭化処理して得られた球状フェノール樹脂炭化物を、不活性雰囲気下、800℃以上、950℃以下の温度域、保持時間5.5時間以下で水蒸気賦活処理することを特徴とするメタン吸蔵用球状フェノール樹脂活性炭の製造方法。
- 請求項1~6のいずれかに記載の球状フェノール樹脂活性炭が充填されているメタン吸蔵材に1MPa未満の圧力下でメタンガスを吸蔵させることを特徴とするメタン吸蔵方法。
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