以下に図面を参照して、この発明にかかる電子時計の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(実施の形態1にかかる電子時計の外観)
図1は、実施の形態1にかかる電子時計の外観の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる電子時計100は、外装ケース101である胴内に配置された、文字板110と、時刻を示す指針である時針121、分針122及び秒針123と、アンテナ150と、太陽電池160と、を備える腕時計である。電子時計100の外装はベゼルと胴の二体物から構成されてもよい。
時針121、分針122及び秒針123は、文字板110に対する相対的な位置によって時刻を表示する指針である。また、例えば秒針123は、後述の「RX-TIME」、「RX-GPS」、「OK」、「NO」など、時刻とは異なる情報の表示にも用いられてもよい。
また、電子時計100は、胴の側面に、電子時計100のユーザが種々の操作を行うための操作部130として、リューズ(竜頭)131、第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133が配置されている。図1に示す例では、リューズ131は3時側に配置され、第1プッシュボタン132は2時側に配置され、第2プッシュボタン133は4時側に配置されている。
電子時計100には、文字板110を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が胴に取り付けられている。また、電子時計100における風防の反対側には胴に裏蓋が取り付けられている。以降、電子時計100において風防が配置される方向(図1における紙面手前方向)を表側、電子時計100において裏蓋が配置される方向(図1における紙面奥方向)を裏側と呼ぶ。
また、電子時計100は、太陽などの光エネルギーを動力源とする太陽電池時計である。図1に示す例では、文字板110の裏側には太陽電池160が配置され、表側から入光した光により太陽電池160において発電がなされる。そのため、文字板110はある程度光線を透過する材質で形成される。
また、電子時計100は、日付や時刻に関する時刻情報等を含む衛星電波を衛星から受信する。衛星は、一例としてはGPS衛星である。GPSはGlobal Positioning System(全地球測位システム)の略である。図1に示す例では、電子時計100における太陽電池160と重畳しない領域には、衛星電波を受信するためのアンテナ150が配置される。
アンテナ150は、表側の面が衛星からの電波を受信する受信面となっている。アンテナ150の受信面、太陽電池160の受光面及び文字板110は、互いに平行に設けられており、いずれも表側を向いている。例えば、アンテナ150は、GPS衛星から送信される衛星電波を受信するパッチアンテナである。ただし、アンテナ150は、パッチアンテナに限らず、例えばチップアンテナや逆Fアンテナなどであってもよい。
電子時計100は、アンテナ150を用いて衛星電波を受信することにより、例えば測時受信、測位受信及び閏秒受信を行う。測時受信、測位受信及び閏秒受信は、それぞれ衛星電波に含まれる異なる情報を受信する受信動作である。
測時受信は、電子時計100の内部に保持している時刻の情報である内部時刻(例えば図3に示す内部時刻301)を修正するために、衛星電波の時刻情報(TOW)を受信する受信動作である。時刻情報(TOW)は、例えば衛星電波に6秒毎に含まれる情報である。
測位受信は、電子時計100の位置のタイムゾーン(都市)を特定するために、例えば4基のGPS衛星からの各衛星電波に含まれる30秒間のデータを受信する受信動作である。また、測位受信は、上述の時刻情報(TOW)や週番号(WN)を受信する動作を含んでもよい。週番号(WN)は、例えば衛星電波に30秒毎に含まれる情報である。
閏秒受信は、電子時計100の閏秒の補正を行うために、衛星電波の閏秒情報(例えば18ページ目の第4サブフレーム)を受信する受信動作である。閏秒情報は、例えば衛星電波に12.5分毎に含まれる。また、閏秒受信は、上述の時刻情報(TOW)を受信する動作を含んでもよい。また、閏秒受信は上述の週番号(WN)を受信する動作を含んでもよい。
また、これらの受信動作のそれぞれは、手動又は自動で実行される。受信動作を手動で行うとは、例えば、電子時計100に対するユーザからの特定の操作に応じてその受信動作を行うことである。特定の操作とは、例えばユーザがその受信動作を電子時計100に実行させることを意図した操作である。測時受信を電子時計100に実行させる操作は、一例としては第2プッシュボタン133の短押し(例えば2秒以上7秒未満の押下)である。閏秒受信を電子時計100に実行させる操作は、一例としては第2プッシュボタン133の長押し(例えば7秒以上の押下)である。測位受信を電子時計100に実行させる操作は、一例としては第1プッシュボタン132の短押しである。
受信動作を自動で行うとは、例えば、電子時計100に対するユーザからの操作によらずに、電子時計100が判定可能な特定の条件を満たしたことに応じてその受信動作を行うことである。特定の条件には、例えば、電子時計100がユーザへ表示する表示時刻(例えば図3に示す表示時刻304)に基づいて判定される条件が含まれる。
また、文字板110には、「RX-TIME」、「RX-GPS」、「OK」、「NO」などのマークが表記されている。これらの各マークは、文字板110に印刷や刻印など各種の方法で表記された印(しるし)である。
「RX-TIME」は、例えば、電子時計100により上述の測時受信又は閏秒受信が行われる場合に、測時受信又は閏秒受信を行っていることを秒針123により表示するための、測時受信及び閏秒受信に共通の印である。「RX-GPS」は、電子時計100により上述の測位受信が行われる場合に、測位受信を行っていることを秒針123により表示するための印である。「OK」、「NO」は、電子時計100による各受信動作の成否等を秒針123により表示するための印である。
図1に示した電子時計100の外観は一例であり、電子時計100の外観はこれに限らない。例えば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、リューズ131等の操作部の有無、数、配置、種類も任意に変更することができる。また、曜日、サマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加してもよい。
(実施の形態1にかかる電子時計のハードウェア構成)
図2は、実施の形態1にかかる電子時計のハードウェア構成の一例を示す図である。図2において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図2に示すように、実施の形態1にかかる電子時計100は、操作部130と、アンテナ150と、太陽電池160と、受信回路220と、制御回路230と、モータ駆動回路241と、駆動機構242と、表示部243と、二次電池251と、スイッチ252と、により実現される。
受信回路220は、アンテナ150によって受信されたGPS衛星からの衛星電波を復号し、復号により得られる衛星電波の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。例えば、受信回路220は、アンテナ150が受信したアナログ信号に対して増幅及び検波を行うことにより、アンテナ150が受信したアナログ信号をベースバンド信号に変換する。そして、受信回路220は、変換したベースバンド信号を復号することにより、GPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成する。そして、受信回路220は、生成したビット列を制御回路230へ出力する。
制御回路230は、RTC231と、演算部232と、時差設定部233と、カウンタ234と、を備える。RTCはReal Time Clock(リアルタイムクロック)の略である。制御回路230は、例えばマイクロコンピュータ等の情報処理装置などにより実現することができる。このような情報処理装置には、例えばバスなどにより互いに接続されたCPU、RAM及びROMなどが含まれる。CPUはCentral Processing Unit(中央処理装置)の略である。RAMはRandom Access Memory(ランダムアクセスメモリ)の略である。ROMはRead Only Memoryの略である。
RTC231は、電子時計100における計時に使用されるクロック信号を供給する。RTC231によって供給されるクロック信号は、演算部232において、現実の時刻の進行とともに演算部232の内部時刻を進行させるために用いられる。
演算部232は、例えば、上述のCPUにより実現され、上述のRAMをワークメモリとして用い、上述のROMに格納されたプログラムに従って動作することにより各種の情報処理を行う。演算部232が実行する処理の詳細については後述する。
また、演算部232は、自動又は手動により、受信回路220を制御して、上述の各種の受信動作を行う。手動による受信動作は、例えば操作部130によって上述の特定の操作が受け付けられた場合に実行される。自動による受信動作は、少なくとも電子時計100がユーザへ表示する表示時刻に基づいて判定される上述の特定の条件を満たした場合に実行される。演算部232は、この特定の条件を満たしたか否かを後述のカウンタ234を用いて判定する。
演算部232は、例えば、上述の時刻情報(TOW)を含む衛星電波を受信するように受信回路220を制御することにより測時受信を行う。また、演算部232は、測時受信によって受信した時刻情報(TOW)に基づいて、電子時計100の現在位置を特定する測位を行う。また、演算部232は、上述の4基のGPS衛星からの各衛星電波を受信するように受信回路220を制御することにより測位受信を行う。また、演算部232は、上述の閏秒情報を含む衛星電波を受信するように受信回路220を制御することにより閏秒受信を行う。
また、演算部232は、閏秒受信によって受信した閏秒情報に基づいて、衛星電波に含まれる時刻情報を協定世界時に準拠した時刻に補正するための閏秒を補正する。また、演算部232は、RTC231から供給されるクロック信号によって内部時刻を計時するとともに、測時受信によって受信した時刻情報と、上述の閏秒情報に基づく閏秒と、に基づいて内部時刻を補正する。内部時刻は、例えばUTCである。UTCはCoordinated Universal Time(協定世界時)の略である。
また、演算部232は、電子時計100が時刻を表示する通常モードである場合に、補正した内部時刻と、時差設定部233によって設定された自装置のタイムゾーンと、に基づいて、表示部243により表示すべき時刻(表示時刻)を決定し、決定した時刻を表示部243が表示するようにモータ駆動回路241を制御する。また、演算部232は、表示時刻の決定に、時差設定部233によって設定されたサマータイムを用いてもよい。
時差設定部233は、例えば演算部232によって特定された電子時計100の現在位置と、自装置のメモリ(例えばROM)に記憶された地図データと、に基づいて、電子時計100の現在位置に対応する時差(例えばタイムゾーン)を判定する。そして、時差設定部233は、判定した時差を自装置の時差として設定する。時差は、例えば、タイムゾーンや都市名等の時差を間接的に示す情報や時差を直接的に示す情報として設定される。
また、時差設定部233は、通信インタフェース271によって受信された他端末(例えばスマートフォン)からの情報に基づく時差を自装置の時差として設定してもよい。また、時差設定部233は、操作部130によってユーザから指示された時差を自装置の時差として設定してもよい。例えば、ユーザが操作部130のリューズ131を回転させて、図1に示した電子時計100の見返しリングに表記された都市を秒針123等で指示すると、時差設定部233は、指示された都市に対応する時差を設定する。また、時差設定部233は、時差とは別に自装置のサマータイムを自動又は手動で設定してもよい。
カウンタ234は、演算部232によって受信動作が実行されてからの経過時間をカウントする。例えば、カウンタ234は、電子時計100のメモリ(RAM又はROM)により実現される。演算部232は、例えば、表示時刻が毎日の所定時刻になる毎や表示時刻が特定の曜日になる毎に、カウンタ234のカウント値をインクリメントする。インクリメントタイミングは一日1回に限定されず、例えば表示時刻がAM0時及びPM0時になる毎というように、一日に2回以上行われてもよい。このようにある起点を通過する度にカウンタをインクリメントさせることで、単純な経過時間を計算するよりも、簡略化することができ、長時間のカウントが容易になる。また、演算部232は、受信動作を実行した場合にカウンタ234のカウント値をリセット(初期化)する。そして、演算部232は、カウンタ234のカウント値が所定値に達した場合に、自動での受信動作を実行すると判断する。
モータ駆動回路241は、制御回路230(演算部232)からの制御に応じて、後述する駆動機構242に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。駆動機構242は、モータ駆動回路241から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、表示部243に含まれる時針121、分針122、秒針123などの指針を回転させる。
表示部243は、例えば、図1に示した時針121、分針122、秒針123などの指針及び文字板110を含む。例えば、時針121、分針122及び秒針123が文字板110上を回転することによって現在時刻が表示される。
二次電池251は、太陽電池160によって発電された電力を蓄積する。そして、二次電池251は、蓄積した電力を、受信回路220や制御回路230に対して供給する。二次電池251は、例えばリチウムイオン電池等により実現することができる。
二次電池251から受信回路220への電力供給路の途中にはスイッチ252が設けられており、このスイッチ252のオン/オフは制御回路230(演算部232)が出力する制御信号によって切り替えられる。例えば、制御回路230の演算部232がスイッチ252のオン/オフを切り替えることで、受信回路220の動作タイミングが制御される。この場合に、受信回路220は、スイッチ252を介して二次電池251から電力が供給されている間だけ動作し、その間にアンテナ150が受信した衛星電波の復号を行う。
操作部130は、例えば、図1に示したように、リューズ131、第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133などを含む。制御回路230は、操作部130が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。例えば、制御回路230は、ユーザによる操作部130に対する操作入力に応じて、上述した測時受信、測位受信及び閏秒受信などの受信動作を行う。
さらに、電子時計100は、衛星電波以外の電波や外部装置との通信を行うことができるように通信インタフェース271を備えてもよい。通信インタフェース271は、制御回路230によって制御される。通信インタフェース271の一例としてはBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信の通信インタフェースとしてもよいし、USBケーブルなどの有線接続による通信の通信インタフェースとしてもよい。USBはUniversal Serial Busの略である。なお、通信インタフェース271による通信が無線通信である場合には、通信インタフェース271はアンテナ及び受信回路を含む構成となる。
図2に示した電子時計100において、時刻をユーザに通知する通知部は、例えば制御回路230、モータ駆動回路241、駆動機構242及び表示部243により実現することができる。また、所定の電波を受信する受信動作を行う受信部は、例えば受信回路220及びアンテナ150により実現することができる。また、通知部によって通知される時刻に基づくタイミングで受信部に受信動作を実行させ、その時刻が補正された場合に受信動作のタイミングを遅延させる制御部は、例えば制御回路230により実現することができる。
(実施の形態1にかかる電子時計が管理する時刻に関する各情報)
図3は、実施の形態1にかかる電子時計が管理する時刻に関する各情報の一例を示す図である。例えば、図2に示した電子時計100(例えば演算部232)は、時刻に関する情報として、例えば、内部時刻301、時差302、サマータイム303、表示時刻304及びカウント値305を管理している。
内部時刻301は、上述した測時受信によって得られた時刻情報と、上述した閏秒受信によって得られた閏秒情報と、に基づいて設定される。また、内部時刻301は、図2に示したRTC231からのクロック信号に基づいて進行する。時差302は、図2に示した時差設定部233により設定された時差(例えばタイムゾーン)である。サマータイム303は、図2に示した時差設定部233により設定されたサマータイムである。
表示時刻304は、時差302及びサマータイム303などの補正情報によって内部時刻301を補正することによって得られる時刻である。電子時計100は、表示時刻304を表示部243によってユーザへ表示する。
また、表示時刻304は、手動による時刻補正が可能である。手動による時刻補正は、例えば上述した操作部130に対してユーザが所定の操作を行うことによって実行される。手動による時刻補正が実行されると、内部時刻301、時差302及びサマータイム303に関わらず、表示時刻304が、手動による時刻補正により指定された時刻に補正され、補正後の時刻を基準として進行する。
カウント値305は、図2に示したカウンタ234のカウント値である。図2に示した演算部232は、表示時刻304が毎日の所定の時刻になる毎にカウント値305をインクリメントする。所定の時刻は、一例としては“00:00”(0時0分)である。図2に示した演算部232は、カウンタ234のカウント値305に基づいて、自動での受信動作(自動受信)の実行を判断する。
このように、電子時計100は、内部時刻301ではなく表示時刻304に基づくタイミングで受信動作を実行する。これは、例えば、受信動作が、現実の特定の時間帯に実行されることが望ましいためである。例えば、標準電波を受信する電子時計にあっては、深夜帯であることが好ましく、衛星電波を受信する電子時計にあっては、屋外である可能性が高い日中(明け方以降夕方までの任意の時間帯)が好ましい。演算部232がカウント値305に基づいて自動受信の実行を判断して受信動作を開始する動作は、各時間帯になった際に連続して処理する構成としてもよいし、先に所定の時刻において自動受信の実行を判断する処理を行い、実行すると判断された後に所定期間待機させてから受信動作を開始するような構成にしてもよい。そのときは、待機期間をカウントする待機カウンタを設けてもよい。
また、自動受信の実行をする際に、電子時計100が受信に適した環境にいるか否かの受信環境チェック処理を行ってもよい。受信に適した環境とは、例えば、屋外にいるという状況である。屋外であるか否かの判定は、例えば日中の太陽光を検出したか否かとすることができる。具体的には、例えば電子時計100に設けられる光センサによる光強度の検出結果や、太陽電池160による発電量の検出結果などに基づいて照度を算出し、算出した照度が所定の閾値を超えた場合には屋外にいると判定することができる。
カウント値305は、上述のように表示時刻304に基づいてインクリメントされる。このため、例えば時差302の切り替えによって表示時刻304が補正されると、カウント値305は、内部時刻301の進行に伴う本来のペースよりも速く増加してしまう場合がある。
例えば、表示時刻304を進める補正が行われ、その補正によって表示時刻304が上述の所定の時刻を跨がなかった場合は、カウント値305が本来より速くインクリメントされる。一例としては、上述の所定の時刻を“00:00”とし、表示時刻304を“20:55”から“23:55”に進める補正が行われた場合は、本来は3時間5分後にカウント値305がインクリメントされる状況であるにも関わらず、5分後にカウント値305がインクリメントされることになる。
また、表示時刻304を戻す補正が行われ、その補正によって表示時刻304が上述の所定の時刻を跨いだ場合は、カウント値305が本来より速くインクリメントされる。一例としては、上述の所定の時刻を“00:00”とし、表示時刻304を“00:55”から“23:55”に戻す補正が行われた場合は、本来は23時間5分後にカウント値305がインクリメントされる状況であるにも関わらず、5分後にカウント値305がインクリメントされることになる。
これに対して、演算部232は、例えば時差302がカウントの開始時と異なる場合はカウント値305をリセットする。これにより、自動受信の頻度が意図せず高くなることを抑制することができる。
(実施の形態1にかかる電子時計による自動受信のタイミングの遅延)
図4は、実施の形態1にかかる電子時計による自動受信のタイミングの遅延の一例を示す図である。図4において、図3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4において、横軸は現実の時刻を示している。また、図4に示す例では、電子時計100は、カウント値305が所定値=“3”に達した場合に自動受信を実行するとする。
時刻t1において、カウント値305は“2”であったとする。また、時刻t1において、電子時計100が時差302の切り替えを行い、表示時刻304が12/12の“18:00”から12/13の“5:00”に補正されたとする。この場合に、電子時計100は、時刻t1においてカウント値305をリセットする。これにより、カウント値305は“0”になる。
その後、電子時計100は、表示時刻304が“00:00”になる毎にカウント値305をインクリメントし、時刻t2においてカウント値305が“3”(所定値)になったとする。この場合は、電子時計100は、時刻t1から時刻t2の直前までは上述の受信動作を実行せず、時刻t2において受信動作を実行する。また、電子時計100は、時刻t2においてカウント値305をリセットする。これにより、カウント値305は“0”になる。
(実施の形態1にかかる電子時計による受信動作の実行処理)
図5は、実施の形態1にかかる電子時計による受信動作の実行処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態1にかかる電子時計100は、例えば測時受信、測位受信及び閏秒受信の少なくともいずれかを含む受信動作の実行処理として、例えば図5に示す各ステップを繰り返し実行する。図5に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
まず、電子時計100は、手動での受信動作の実行を指示する受信操作を、操作部130を介してユーザから受け付けたか否かを判断する(ステップS501)。受信操作を受け付けた場合(ステップS501:Yes)は、電子時計100は、ステップS505へ移行する。
ステップS501において、受信操作を受け付けていない場合(ステップS501:No)は、電子時計100は、自動受信許可フラグが“true”であるか否かを判断する(ステップS502)。自動受信許可フラグは、電子時計100の表示時刻304に基づいて判定される条件を満たしていることにより自動受信が許可されているか否かを示す情報である。自動受信許可フラグが“true”である場合は自動受信が許可されていることを示し、自動受信許可フラグが“false”である場合は自動受信が許可されていないことを示す。自動受信許可フラグは、例えば図2に示した制御回路230のメモリ(例えばRAM又はROM)に記憶される。
ステップS502において、自動受信許可フラグが“true”でない場合(ステップS502:No)、すなわち自動受信許可フラグが“false”である場合は、電子時計100は、受信動作を行わずに一連の処理を終了する。自動受信許可フラグが“true”である場合(ステップS502:Yes)は、電子時計100は、電子時計100の周辺の照度を検出する受信環境チェック処理を行う(ステップS503)。電子時計100の周辺の照度は、例えば電子時計100に設けられる光センサによる光強度の検出結果や、太陽電池160による発電量の検出結果などに基づいて判定することができる。
次に、電子時計100は、ステップS503により検出した照度が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS504)。照度が閾値以上でない場合(ステップS504:No)は、太陽電池160による発電量が少なく、受信動作を行うと二次電池251の電池残量が不足する可能性が高い状況であると判断することができる。この場合に、電子時計100は、受信動作を行わずに一連の処理を終了する。
ステップS504において、照度が閾値以上である場合(ステップS504:Yes)は、太陽電池160による発電量が多く、受信動作を行っても二次電池251の電池残量が不足する可能性が低い状況であると判断することができる。この場合に、電子時計100は、カウンタ234のカウント値305をリセットする(ステップS505)。また、電子時計100は、自動受信許可フラグを“false”に設定する(ステップS506)。また、電子時計100は、受信動作を行い(ステップS507)、一連の処理を終了する。ステップS505~S507は、順序を入れ替えてもよい。
また、自動受信許可フラグの設定処理として後述の図8に示す処理を実行する場合は、例えば図5に示すステップS505において、電子時計100は、メモリに記憶したカウント履歴情報をクリアする。
図5に示した処理によれば、表示時刻304に基づいて判定される条件を満たしていることに加えて電子時計100の周辺の照度が所定の条件を満たしている場合に自動受信を行うことができる。ただし、電子時計100は、電子時計100の周辺の照度に関する条件を用いずに、表示時刻304に基づいて判定される条件を満たしている場合に自動受信を行うようにしてもよい。この場合に、電子時計100は、ステップS503及びステップS504を省き、ステップS502において自動受信許可フラグが“true”である場合(ステップS502:Yes)はステップS505へ移行する。この場合は、自動受信許可フラグが“true”になると自動受信が測時実行される。
又は、電子時計100の表示時刻304に基づいて判定される条件を満たしていることに加えて、電子時計100の周辺の照度に関する条件とは異なる追加条件を満たした場合に自動受信を行うようにしてもよい。追加条件は、例えば、表示時刻304が特定の時間になったことでもよい。また、追加条件は、二次電池251の充電残量が所定量以上であることでもよい。また、追加条件は、電子時計100や電子時計100のユーザの姿勢が特定の姿勢になったことでもよい。これらの姿勢は、例えば電子時計100に設けられた加速度センサやジャイロセンサなどによって判定することができる。又は、追加条件は、上述の各条件の任意の組み合わせでもよい。
(実施の形態1にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理)
図6は、実施の形態1にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態1にかかる電子時計100は、図5に示した受信動作の実行処理とともに、自動受信許可フラグの設定処理として例えば図6に示す各ステップを繰り返し実行する。図6に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
まず、電子時計100は、現在の時差302が、現在のカウント値305のカウントの開始時の時差302と異なるか否かを判断する(ステップS601)。カウントの開始とは、例えばカウント値305を“0”に設定することであり、例えば、電子時計100が起動してカウント値305を初期化することや、後述のステップS607によりカウント値305をリセット(初期化)することを含む。
例えば、電子時計100は、時差302の切り替えを行うと“true”になり、カウント値305のリセットにより“false”になるフラグ情報をメモリ(例えばRAMやROM)に記憶しており、時差302がカウントの開始時と異なるか否かをそのフラグ情報に基づいて行うことができる。又は、電子時計100は、時差302の切り替えを行う毎にその履歴情報をメモリに記憶しており、時差302がカウントの開始時と異なるか否かの判断をその履歴情報に基づいて行ってもよい。又は、電子時計100は、カウント値305のカウントを開始する際に設定されていた時差302をメモリに記憶しており、時差302がカウントの開始時と異なるか否かの判断を、メモリに記憶している時差302と現在設定されている時差302とを比較することにより行ってもよい。
ステップS601において、時差302がカウントの開始時と同じであった場合(ステップS601:No)は、電子時計100は、現在の表示時刻304が所定の時刻か否かを判断する(ステップS602)。所定の時刻は、カウント値305のインクリメントタイミングであり、上述のように一例としては毎日の“00:00”である。また、この所定の時刻は毎日複数回ずつ存在していてもよい。
ステップS602において、表示時刻304が所定の時刻でない場合(ステップS602:No)は、電子時計100は、ステップS604へ移行する。表示時刻304が所定の時刻である場合(ステップS602:Yes)は、電子時計100は、カウント値305をインクリメントする(ステップS603)。
次に、電子時計100は、カウント値305が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS604)。例えば、上述の所定の時刻が毎日1回ずつ存在する時刻であり、受信動作をおよそ6日に1回行う場合は、所定値を例えば“6”とすることができる。
ステップS604において、カウント値305が所定値以上である場合(ステップS604:Yes)は、電子時計100は、上述の自動受信許可フラグを“true”に設定し(ステップS605)、一連の処理を終了する。カウント値305が所定値以上でない場合(ステップS604:No)は、電子時計100は、上述の自動受信許可フラグを“false”に設定し(ステップS606)、一連の処理を終了する。
ステップS601において、時差302がカウントの開始時と異なる場合(ステップS601:Yes)は、電子時計100は、カウント値305をリセットし(ステップS607)、ステップS604へ移行する。
図6に示した自動受信許可フラグの設定処理により、時差302がカウントの開始時と異なる場合に、カウント値305をリセットして自動受信を延期することができる。このため、自動受信の頻度が意図せず高くなることを抑制することができる。
図7は、実施の形態1にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理の他の一例を示すフローチャートである。実施の形態1にかかる電子時計100は、図5に示した受信動作の実行処理とともに、自動受信許可フラグの設定処理として例えば図7に示す各ステップを繰り返し実行してもよい。図7に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
まず、電子時計100は、現在の表示時刻304が所定の時刻か否かを判断する(ステップS701)。表示時刻304が所定の時刻でない場合(ステップS701:No)は、電子時計100は、ステップS704へ移行する。
ステップS701において、表示時刻304が所定の時刻である場合(ステップS701:Yes)は、電子時計100は、現在の時差302が、現在のカウント値305のカウントの開始時の時差302と異なるか否かを判断する(ステップS702)。時差302がカウントの開始時と異なる場合(ステップS702:Yes)は、電子時計100はステップS707へ移行する。
ステップS702において、時差302がカウントの開始時と同じ場合(ステップS702:No)は、電子時計100はステップS703へ移行する。図7に示すステップS703~S707は、図6に示したステップS603~S607と同様である。
図7に示した自動受信許可フラグの設定処理により、現在の表示時刻304が所定の時刻である場合に時差302がカウントの開始時と異なるか否かを判断することができる。これにより、時差302の切り替えがあってから、現在の表示時刻304が次の所定の時刻になるまでの間に時差302が切り戻された場合は、カウント値305がリセットされないようにすることができる。
したがって、例えばユーザが誤って時差302を切り替えてその後に時差302を切り戻した場合や、現在位置とは異なる地域の時刻を見るために一時的に時差302を切り替えた場合などは、自動受信を延期しないようにすることができる。このため、自動受信の頻度が意図せず低くなることを抑制することができる。
図8は、実施の形態1にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理のさらに他の一例を示すフローチャートである。実施の形態1にかかる電子時計100は、図5に示した受信動作の実行処理とともに、自動受信許可フラグの設定処理として例えば図8に示す各ステップを繰り返し実行してもよい。図8に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
まず、電子時計100は、カウンタ234の現在のカウント値305のカウントを開始してから時差302の切り替えがあったか否かを判断する(ステップS801)。例えば、電子時計100は、時差302の切り替えがあったか否かの判断を上述のフラグ情報に基づいて行うことができる。又は、電子時計100は、時差302の切り替えがあったか否かの判断を上述の履歴情報に基づいて行ってもよい。
ステップS801において、時差302の切り替えがなかった場合(ステップS801:No)は、電子時計100は、ステップS802へ移行する。図8に示すステップS802~S806は、図6に示したステップS602~S606と同様である。時差302の切り替えがあった場合(ステップS801:Yes)は、電子時計100は、現在の時差302がカウント履歴情報に含まれるか否かを判断する(ステップS807)。カウント履歴情報は、時差302と、その時差302において過去にカウントしたカウント値305と、の対応情報であり、後述のステップS808により電子時計100のメモリに記憶される。
ステップS807において、現在の時差302がカウント履歴情報に含まれない場合(ステップS807:No)は、電子時計100は、切り替え前の時差302と、現在のカウント値305と、を対応付けたカウント履歴情報を電子時計100のメモリ(例えばRAM又はROM)に記憶する(ステップS808)。次に、電子時計100は、カウント値305をリセットし(ステップS809)、ステップS804へ移行する。
ステップS807において、現在の時差302がカウント履歴情報に含まれる場合(ステップS807:Yes)は、電子時計100は、カウント値305を、カウント履歴情報において現在の時差302と対応付けられたカウント値に設定し(ステップS810)、ステップS804へ移行する。
図8に示す設定処理を実行する場合に、電子時計100は、例えば図5に示したステップS505において、メモリに記憶したカウント履歴情報をクリアする。図8に示した自動受信許可フラグの設定処理により、カウンタ234をリセットする際の時差302とカウント値305をメモリに退避させておき、再度同じ時差302に戻した場合には、退避させていたカウント値305を参照してカウンタ234を再開させることができる。
例えば、電子時計100のユーザが東京、ニューヨーク、東京の順に移動し、それにともなって電子時計100の時差302が東京、ニューヨーク、東京の順に変化する場合について説明する。ここで、ステップS804においてカウント値305と比較する所定値を“6”とする。
まず、電子時計100の時差302が東京である状態でカウント値305が“2”まで進み、その状態で電子時計100の時差302がニューヨークに変化したとする。この場合は、電子時計100は、ステップS808により、切り替え前の時差302である東京と現在のカウント値である“2”とを対応付けたカウント履歴情報を記憶する。また、電子時計100は、ステップS809により、カウント値305をリセットする。
次に、電子時計100の時差302がニューヨークである状態でカウント値305が“0”から“3”まで進み、その状態で電子時計100の時差302が東京に変化したとする。この場合は、電子時計100は、ステップS808により、切り替え前の時差302であるニューヨークと現在のカウント値305である“3”とを対応付けたカウント履歴情報を記憶する。また、電子時計100は、ステップS809により、カウント値305をリセットする。
また、この場合に、電子時計100は、現在の時差302である東京がカウント履歴情報に含まれているため、ステップS810により、カウント値305を、カウント履歴情報において東京と対応付けられたカウント値である“2”に設定する。次に、電子時計100の時差302が東京である状態で、“2”からカウントを開始したカウント値305が“6”に達したとする。
この場合に、電子時計100は、カウンタ234のカウント値が所定値である“6”以上になったため、ステップS805により、自動受信許可フラグを“true”に設定する。したがって、照度等の他の条件が満たされれば、電子時計100は、図5に示した処理によって自動受信を実行する。このとき、電子時計100は、図5に示したステップS505において、東京及びニューヨークについての各カウント履歴情報をクリアする。
また、カウント履歴情報に記憶された各時差の積算値と現在のカウント値305との合計値を記憶しておき、この合計値がある閾値以上である場合に、自動受信許可フラグを“true”に設定するように構成してもよい。この閾値は、上述の所定値よりも大きい値であることが好ましく、例えば、所定値の2倍の数値以上であることが好ましい。
カウンタ234のカウント値305が所定値を超えるまでの間に、複数の都市(時差)に次々と切り替えられた場合、極端に受信頻度が低下し、時計精度が落ちてしまうおそれがある。そこで、時差が切り替えられるたびにカウント履歴情報に記憶される各時差におけるカウント値の合算と現在のカウント値が、ある閾値を超えた場合には自動受信許可フラグを“true”に設定することにより、長期間受信されないことによる時計精度の低下を抑制することができる。
具体例として、カウント値305と比較する所定値を“6”とし、既にカウント履歴情報として東京に対応付けられたカウント値“3”、ニューヨークに対応付けられたカウント値“2”、ロンドンに対応付けられたカウント値“5”が記憶されており、現在の時差(都市)が北京でありカウント値305が“4”であるとする。このとき、カウント履歴情報の積算値は“10”であり、カウント値305が“4”であるため、合計値は“14”となり、所定値“6”と比較して2倍以上の差となることから、非受信による時計精度の低下が懸念される。この場合、閾値を“12”以上とすれば、現在地(北京)でのカウント値305が“2”になった時点で、自動受信許可フラグが“true”に設定される。
すなわち、電子時計100は、時差302のそれぞれについてカウント値を記憶し、時差302のそれぞれについてのカウント値(カウント履歴情報の各カウント値及び現在のカウント値305)の合計が所定値より大きい値に達したタイミングにおいても受信動作を実行してもよい。また、表示時刻304がサマータイム303によって補正される場合には、電子時計100は、サマータイム303毎、又は時差302及びサマータイム303の組み合わせ毎にカウント値を記憶し、各カウント値の合計が所定値より大きい値に達したタイミングにおいても受信動作を実行してもよい。
このように、実施の形態1にかかる電子時計100によれば、ユーザに通知する時刻に基づくタイミングで受信動作を実行し、ユーザに通知する時刻が補正された場合に受信動作の実行のタイミングを遅延させることができる。これにより、受信動作の頻度が意図せず高くなることを抑制し、消費電力の増加を抑制することができる。このため、例えば二次電池251における電池電圧の低下によるシステムダウンや機能制限等を回避することができる。
例えば、ユーザに通知する時刻は、自装置(電子時計100)に設定された時差302に基づく表示時刻304であり、電子時計100は、時差302が変更された場合に受信動作の実行のタイミングを遅延させる。ただし、表示時刻304の補正は、時差302の変更に限らず、内部時刻301に基づく表示時刻304の進行に変化を与える各種の補正とすることができる。
例えば、表示時刻304は、自装置に設定されたサマータイム303に基づく時刻である場合に、電子時計100は、サマータイム303が変更された場合に受信動作の実行のタイミングを遅延させてもよい。また、表示時刻304は、ユーザにより指定された時刻に補正可能であり、電子時計100は、表示時刻304がユーザにより指定された時刻に補正された場合に受信動作の実行のタイミングを遅延させてもよい。閏秒の設定を変更した場合も同様である。
また、ユーザに通知する時刻に基づくタイミングは、例えば、ユーザに通知する時刻が所定の時刻になる毎に加算(インクリメント)されるカウント値305であって受信動作が実行されると初期化(リセット)されるカウント値305が所定値に達したタイミングである。この場合に、電子時計100は、表示時刻304が補正された場合にカウント値305を初期化することにより、受信動作の実行のタイミングを遅延させる。
また、カウント値305は、ユーザに通知する時刻が所定の時刻になる毎に減算(デクリメント)され、受信動作が実行されると初期化(リセット)されてもよい。一例としては、カウント値305の初期値を“6”とし、上述の所定値を“0”とし、表示時刻304が所定の時刻になる毎にカウント値305をデクリメントしてもよい。
また、電子時計100は、例えば図7に示したように、表示時刻304が所定の時刻になり、かつ時差302やサマータイム303などの補正情報が、そのときのカウント値305のカウントの開始時の補正情報と異なる場合にカウント値305を初期化してもよい。これにより、時差302などの切り替えがあってから、現在の表示時刻304が次の所定の時刻になるまでの間に時差302などが切り戻された場合は、カウント値305がリセットされないようにし、自動受信の頻度が意図せず低くなることを抑制することができる。
また、電子時計100は、例えば図8に示したように、時差302やサマータイム303などの補正情報が第1の情報から第2の情報に変更された場合に、第1の情報とその時のカウント値305との対応情報を記憶してカウント値305を初期化し、その後に補正情報が第1の情報に戻った場合に、カウント値305を対応情報に基づいて設定してもよい。例えば、電子時計100は、カウント値305を、対応情報において第1の情報と対応付けられた過去のカウント値305に設定する。これにより、時差302やサマータイム303が切り戻った場合には、その時差302やサマータイム303について過去にカウントした過去のカウント値305からカウントを再開し、自動受信の頻度が意図せず低くなることを抑制することができる。
又は、ユーザに通知する時刻に基づくタイミングは、例えば、現在の表示時刻304と、前回の受信動作が実行されたときの表示時刻304と、の差分が所定値に達したタイミングであってもよい。この場合に、電子時計100は、表示時刻304が補正された場合にその所定値を増加させることにより、受信動作の実行のタイミングを遅延させる。
また、受信動作は、例えば上述のように測時受信、測位受信及び閏秒受信の少なくともいずれかを含む。ただし、受信動作は、これらに限らず、電子時計100が所定の電波を受信する各種の動作とすることができる。例えば、受信動作は、標準電波からの電波を受信する動作や他の端末からBluetoothなどにより無線送信される信号を受信する動作などであってもよい。標準電波を受信する受信部は、例えば図2に示した受信回路220及びアンテナ150により実現することができる。Bluetoothなどにより無線送信される信号を受信する受信部は、例えば図2に示した通信インタフェース271により実現することができる。
また、電子時計100は、表示時刻304が補正された場合に限らず、例えば二次電池251の充電残量が所定量以下になった場合にカウント値305をリセットしてもよい。これにより、電池残量が不足している場合に受信動作の頻度を低くし、消費電力を抑制することができる。又は所定値の値を変更することにより、受信動作の頻度が低くなるように構成してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2について、実施の形態1と異なる部分について説明する。実施の形態2においては、現在の表示時刻304が、前回の受信動作が実行されたときの表示時刻304に基づく所定の時刻を過ぎたタイミングで受信動作を実行する構成について説明する。
(実施の形態2にかかる電子時計による受信動作の実行処理)
図9は、実施の形態2にかかる電子時計による受信動作の実行処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる電子時計100は、受信動作の実行処理として、例えば図9に示す各ステップを繰り返し実行する。図9に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
図9に示すステップS901~S904は、図5に示したステップS501~S504と同様である。ステップS901において受信操作を受け付けた場合(ステップS901:Yes)、又はステップS904において照度が閾値以上である場合(ステップS904:Yes)は、電子時計100は、ステップS905へ移行する。
すなわち、電子時計100は、次回受信時刻を、例えば現在の表示時刻304から144時間後(現在の表示時刻+144時間)に設定する(ステップS905)。次回受信時刻は、電子時計100が次に自動受信(自動での受信動作)を行う時刻であり、電子時計100のメモリ(例えばRAM又はROM)に記憶される。ただし、電子時計100は直後のステップS907により受信動作を実行するため、この時点の次回受信時刻は、直後のステップS907による受信動作の次に電子時計100が自動で受信動作を実行する時刻である。なお、144時間は、上述のように受信動作をおよそ6日に1回行う場合を想定した場合の時間であり、適宜変更することができる。
図9に示すステップS906及びステップS907は、図5に示したステップS506及びステップS507と同様である。ステップS907の次に、電子時計100は、ステップS907の受信動作による受信が成功したか否かを判断する(ステップS908)。受信が成功していない場合(ステップS908:No)は、電子時計100は、一連の処理を終了する。
ステップS908において、受信が成功した場合(ステップS908:Yes)は、受信が成功した衛星電波に基づいて内部時刻301が補正され、それによって表示時刻304が補正されている可能性がある。この場合に、電子時計100は、次回受信時刻を、電波を受信して内部時刻301が補正された現在の表示時刻304からステップS907の受信動作にかかった時間だけ遡った時刻から144時間後(現在の表示時刻-受信動作にかかった時間+144時間)に設定し(ステップS909)、一連の処理を終了する。受信動作にかかった時間は、電子時計100のメモリに記憶された固定長の時間であってもよいし、電子時計100によって実測された時間であってもよい。
(実施の形態2にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理)
図10は、実施の形態2にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる電子時計100は、図9に示した受信動作の実行処理とともに、自動受信許可フラグの設定処理として例えば図10に示す各ステップを繰り返し実行する。図10に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
まず、電子時計100は、現在の次回受信時刻を設定してから時差302の切り替えがあったか否かを判断する(ステップS1001)。例えば、電子時計100は、時差302の切り替えを行うと“true”になり、次回受信時刻の更新により“false”になるフラグ情報をメモリ(例えばRAMやROM)に記憶しており、時差302の切り替えがあったか否かをそのフラグ情報に基づいて行うことができる。
又は、電子時計100は、時差302の切り替えがあったか否かの判断を、上述の履歴情報に基づいて行ってもよい。また、電子時計100は、次回受信時刻を設定する際に設定されていた時差302をメモリに記憶しており、時差302の切り替えがあったか否かの判断を、メモリに記憶している時差302と現在設定されている時差302とを比較することにより行ってもよい。
ステップS1001において、時差302の切り替えがなかった場合(ステップS1001:No)は、電子時計100は、現在の表示時刻304が次回受信時刻を過ぎたか否かを判断する(ステップS1002)。
ステップS1002において、表示時刻304が次回受信時刻を過ぎた場合(ステップS1002:Yes)は、電子時計100は、上述の自動受信許可フラグを“true”に設定し(ステップS1003)、一連の処理を終了する。表示時刻304が次回受信時刻を過ぎていない場合(ステップS1002:No)は、電子時計100は、上述の自動受信許可フラグを“false”に設定し(ステップS1004)、一連の処理を終了する。
ステップS1001において、時差302の切り替えがあった場合(ステップS1001:Yes)は、電子時計100は、次回受信時刻を、現在の次回受信時刻から24時間後(次回受信時刻+24時間)に設定し(ステップS1005)、ステップS1002へ移行する。これにより、次回の自動受信が24時間延期される。
図10に示した自動受信許可フラグの設定処理により、時差302の切り替えがあった場合に、次回受信時刻を遅らせて自動受信を延期することができる。このため、自動受信の頻度が意図せず高くなることを抑制することができる。
図11は、実施の形態2にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理の他の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる電子時計100は、図9に示した受信動作の実行処理とともに、自動受信許可フラグの設定処理として例えば図11に示す各ステップを繰り返し実行してもよい。図11に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
図11に示すステップS1101~S1105は、図10に示したステップS1001~S1005と同様である。ただし、ステップS1105において、電子時計100は、次回受信時刻を、現在の次回受信時刻に時差302の切り替えによる時差を加算した時刻(次回受信時刻+時差)に設定する(ステップS1105)。時差302の切り替えによる時差は、切り替え前の時差302のUTCに対する時差と、切り替え後の時差302のUTCに対する時差と、の差である。
例えば、時差302の切り替えがロンドン(UTC+0)からパリ(UTC+1)への切り替えである場合に、電子時計100は、次回受信時刻を現在の受信時刻の1時間後に設定する。また、時差302の切り替えが東京(UTC+9)からロンドン(UTC+0)への切り替えである場合に、電子時計100は、次回受信時刻を現在の受信時刻の9時間前に設定する。
図11に示した自動受信許可フラグの設定処理により、時差302の切り替えがあった場合に、その時差302の切り替えに伴う時差に合わせて自動受信を調整することができる。このため、自動受信の頻度の変動を抑制することができる。
図12は、実施の形態2にかかる電子時計による自動受信許可フラグの設定処理のさらに他の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる電子時計100は、図9に示した受信動作の実行処理とともに、自動受信許可フラグの設定処理として例えば図12に示す各ステップを繰り返し実行してもよい。図12に示す各ステップは、例えば図2に示した制御回路230により実行される。
図12に示すステップS1201~S1205は、図10に示したステップS1001~S1005と同様である。ステップS1205の次に、電子時計100は、現在の表示時刻304が次回受信時刻を過ぎたか否かを判断する(ステップS1206)。表示時刻304が次回受信時刻を過ぎていない場合(ステップS1206:No)は、電子時計100は、ステップS1202へ移行する。
ステップS1206において、表示時刻304が次回受信時刻を過ぎた場合(ステップS1206:Yes)は、例えばユーザが手動で表示時刻304を進めた等の理由により、自動受信がすぐに実行される状況であると判断することができる。この場合に、電子時計100は、次回受信時刻を、現在の表示時刻304から1時間後(現在の表示時刻+1時間)に設定し(ステップS1207)、ステップS1202へ移行する。
図12に示した自動受信許可フラグの設定処理により、例えば自動受信に測位受信が含まれる場合に、ユーザが意図的に時差302を修正したにも関わらず直ちに自動受信が実行され時差302が受信したデータによって戻ってしまう又は変更されてしまうことを抑制することができる。これは表示時刻をベースに受信開始時刻を設定するのに加え、時差に左右されないUTC時刻を基準にして、受信予定時刻を待つ方法についても有効である。
このように、実施の形態2にかかる電子時計100によれば、表示時刻304が前回の受信動作が実行されたときの表示時刻304に基づく受信時刻(例えば次回受信時刻)を過ぎたタイミングで受信動作を実行し、ユーザに通知する時刻が補正された場合にその受信時刻を遅らせることにより受信動作の実行のタイミングを遅延させることができる。これにより、受信動作の頻度が意図せず高くなることを抑制し、消費電力の増加を抑制することができる。このため、例えば二次電池251における電池電圧の低下によるシステムダウンや機能制限等を回避することができる。
また、電子時計100は、例えば図11に示したように、時差302やサマータイム303等の補正情報が変更された場合に、その補正情報の変更に伴う表示時刻304の変化に応じて受信時刻を調整してもよい。これにより、自動受信の頻度の変動を抑制することができる。
また、電子時計100は、例えば図12に示したように、表示時刻304が補正された場合に受信時刻を遅らせ、遅らせた受信時刻を表示時刻304が過ぎている場合は、受信時刻を現在の表示時刻304から所定時間だけ遅らせた時刻に設定してもよい。これにより、ユーザが意図的に時差302やサマータイム303等の補正情報や表示時刻304を修正したにも関わらず直ちに受信動作が実行され、その受信動作によって時差302やサマータイム303等や表示時刻304が戻ってしまうことを抑制することができる。
また、上述した各実施の形態において、電子時計100が腕時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、懐中時計、置き時計、掛け時計などの時計であってもよい。また、電子時計100が指針により時刻を表示するアナログ時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、ディスプレイにより時間を表示するデジタル時計、又は音声によって時間を通知する音声時計などであってもよい。
以上説明したように、電子時計によれば、消費電力の増加を抑制することができる。
例えば、従来、時刻情報が含まれる電波信号を受信し、時計内部でカウントしている内部時刻を修正する電波時計が知られている。電波信号の種類としては、標準電波やGPSなどの衛星電波、Bluetoothなどがある。
腕時計等の小型の電子時計においては、電池を配置できるスペースが限られており、回路の消電が求められている。上述の電波時計の受信動作は、消費電力が大きいため、例えば数日に1回の間隔で行われる。例えば、月差±5秒の電子時計においては、6日に1回で受信動作を行えば時刻のずれが1秒以内に収まる。
また、例えば、電池電圧が所定値以下に低下すると、システムダウンをしてしまうおそれがあり、受信期間の値などはシステムダウンが起こらないように消電量に基づいて設定される。ここで、電波時計には、ワールドタイム機能(時差調整機能)がついた製品があり、例えばリューズやスイッチ、ダイヤルリングなどの操作に応じて時差を変更できるものがある。上述したカウントが例えば0時00分00秒を跨ぐことや、定期的にカレンダデータ(年月日)を確認することによりカウントアップ(又はカウントダウン)する場合、時差変更を行うことで意図せずカウントが進んでしまうことがある。例えば、頻繁に時差変更を行った場合に、意図せずカウントが進んでいき、想定したよりも早く次の受信動作を行ってしまい、消電の増加によるシステムダウンや機能制限等が懸念される。
これに対して、上述した各実施の形態によれば、ユーザに通知する時刻に基づくタイミングで受信動作を実行し、ユーザに通知する時刻が補正された場合に受信動作の実行のタイミングを遅延させることができる。これにより、受信動作の頻度が意図せず高くなることを抑制し、消費電力の増加を抑制することができる。このため、例えば上述のシステムダウンや機能制限等を回避することができる。