以下、本発明の各実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る電波時計を示す平面図である。図1には、電波時計100の外装(時計ケース)である胴1、胴1内に配置された文字板2と時刻を示す指針である時針3、分針4、秒針5が示されている。また、胴1の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うための竜頭6、ボタン7が配置されている。胴1の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部8が伸びている。
なお、図1に示した電波時計100のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴1を丸型でなく角型にしてもよいし、竜頭6やボタン7の有無、数、配置は任意である。また、第1実施形態では、指針を時針3、分針4、秒針5の3本としているが、これに限定されず、秒針5を省略しても、あるいは、曜日、タイムゾーンやサマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加したりしてもよい。
第1実施形態では、電波時計100として、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される衛星信号を受信し、その衛星信号に含まれる日付や時刻に関する情報に基づいて内部時刻を修正する機能を有する腕時計を用いて説明をする。ただし、腕時計に限られるものではなく、時計機能を有する他のウェアラブル端末であってもよい。なお、内部時刻とは、電波時計100内部の時計回路が保持する時刻情報(時刻及び日付を含む)である。
図2は、図1のA-A線による断面図である。電波時計100の文字板2を覆うように風防9が胴1に取り付けられ、また、風防9の反対側では、裏蓋10が胴1に取り付けられる。風防9の材質は、ガラス等の透明な材料であり、非磁性かつ非導電性である。また、胴1及び裏蓋10の材質は、特に限定はされないが、第1実施形態では金属である。第1実施形態では、以降、電波時計100の風防9が配置される方向(図2における上方向)を風防側、裏蓋10が配置される方向(図2における下方向)を裏蓋側と呼ぶ。
文字板2の裏蓋側には、太陽電池(光起電パネル)11が配置され、風防側から入光した光により発電がなされる。そのため、文字板2はある程度光線を透過する材質で形成されるとよい。第1実施形態では、文字板2は、太陽電池11を挟むようにして、ベース部材12に固定される。
ベース部材12は、合成樹脂等の非磁性かつ非導電性の材質からなり、パッチアンテナ14や指針を駆動するための歯車機構25等、各種部材を支持する。パッチアンテナ14には、その厚み方向を貫くように給電ピン14bが設けられ、風防側の面が衛星からの電波を受信する受信面14aとなっている。
ベース部材12の裏蓋側には、回路基板24が配置され、さらにその裏蓋側には電池26が配置される。第1実施形態では、電池26は充電可能な二次電池であり、ボタン型のリチウムイオン二次電池を用いている。そして、太陽電池11により発電された電力が蓄積されるようになっている。また、回路基板24には歯車機構25の駆動源であるモータ23も取り付けられている。なお、電池26の形状はボタン型に限定されず、任意である。さらに、二次電池としてリチウムイオン二次電池以外のもの、例えば、リチウムイオンキャパシタやニッケル水素畜電池を用いてもよい。
ここで、図2に示されるようにパッチアンテナ14の受信面14aは太陽電池11の受光面と平行に設けられており、いずれも風防側を向いている。また、図1に示されるように太陽電池11は概略円形をなし、その外周の一部が矩形状に切りかかれている。そして、この部分にパッチアンテナ14が配置されている。このため、パッチアンテナ14の受信面14aと太陽電池11の受光面は、いずれも文字板2の裏面に直接対向している。第1実施形態では、太陽電池11の発電量を電波時計100の受光量としている。強い光が文字板2にあたっている状況は、日中の屋外や窓際など、パッチアンテナ14が衛星に向いており、衛星信号の受信に適した環境にある可能性が高い。
図3は、第1実施形態に係る電波時計の回路構成及びシステム構成を示す図である。図3に示す回路要素は、主に回路基板24上に配置される。パッチアンテナ14により受信された衛星信号は、高周波回路46によりベースバンド信号に変換され、デコーダ回路53により時刻に関する情報、具体的には時刻や日付を示す情報が抽出され、制御部47へと受け渡される。高周波回路46及びデコーダ回路53により受信回路31が構成される。制御部47は、モータ23のドライバ、揮発性及び不揮発性メモリ、時計回路、各種AD変換器等を内蔵したマイクロコンピュータであり、各種の制御は不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って実行される。ここで、制御部47に内蔵される揮発性メモリには、日時修正情報が格納される。日時修正情報は、衛星信号から抽出されるものであり、後述の週内時刻TOWや、現在の閏秒に関する情報、将来の閏秒に関する情報を含むものである。
また、太陽電池11はスイッチ29を介して電池26に接続されており、制御部47からの指示によりスイッチ29が太陽電池11と電池26とを導通させている状態では、太陽電池11により発電された電力は、電池26に蓄積される。そして、電池26からは、高周波回路46、デコーダ回路53及び制御部47に電力が供給される。
また、太陽電池11はスイッチ29を介して発電量検出部30にも接続されており、制御部47からの指示によりスイッチ29が太陽電池11と発電量検出部30を導通させている状態では、太陽電池11により生じる電流は発電量検出部30に流れる。発電量検出部30はこの電流を電圧に変換するとともに、この電圧をさらにデジタル値に変換し、制御部47に供給する。
スイッチ56は、受信回路31、すなわち高周波回路46及びデコーダ回路53への電力供給のオン/オフを切り替えるスイッチであり、制御部47により制御される。高周波数で動作する高周波回路46とデコーダ回路53はその消費電力が大きいため、制御部47は、衛星信号を受信する時のみスイッチ56をオンとして受信回路31、すなわち高周波回路46及びデコーダ回路53を動作させ、それ以外の時はスイッチ56をオフとして、消費電力を低減する。
ここで、電波時計100の日時修正に用いられるGPS衛星が送信する衛星信号(航法データ)について説明する。図4は、GPS衛星が送信する衛星信号における1のサブフレームの構成を示す図である。
GPS衛星は、計25フレーム(ページ)を1セットとする衛星信号を繰り返し時間順に送信している。各フレームは30秒分の信号を含んでおり、GPS衛星は、全25フレームの信号を12.5分周期で送信する。さらに、各フレームは、5個のサブフレームSFから構成される。1のフレームが30秒なので、1のサブフレームSFは6秒分の信号に相当する。1のサブフレームSFは全体で300ビット分の情報を含んでいる。さらに、1のサブフレームSFは10ワードから構成され、1のサブフレームは6秒なので、1のワードは0.6秒分の信号に相当する。
各サブフレームSFの先頭ワードは、TLM(TeLeMetry word)と呼ばれ、TLMは、各サブフレームSFの先頭を示すコードと、地上管制局の情報を含んでいる。TLMの先頭部分(すなわち、サブフレームSF全体の先頭部分)には、当該サブフレームSFの開始位置を示すプリアンブルが含まれる。
各サブフレームSFの2番目のワードは、HOW(HandOver Word)と呼ばれ、HOWの先頭部分には、週の始まり(日曜日の午前0:00)を起点としたGPS時刻、すなわち現在の時刻に関する情報である週内時刻TOW(Time Of Week)が含まれている。HOWに続く情報は、サブフレームSF毎に異なっており、サブフレームSF1には、HOWに続いて週番号WN(Week Number)が含まれている。週番号WNは、週内時刻TOWにより表される時刻が属する週の番号を示す情報であって、週に1度、日曜日の午前0:00になる度にカウントアップされる。
なお、サブフレームSF2及びサブフレームSF3には、HOWに続いてエフェメリスと呼ばれる各GPS衛星の軌道情報が含まれ、サブフレームSF4及びSF5には、HOWに続いてアルマナックと呼ばれる全GPS衛星の概略軌道情報が含まれているが、その詳細な説明については省略する。
さらに、図3に戻って説明を続ける。電波時計100は、1又は複数のGPS衛星から衛星信号を受信する。そして、制御部47が、受信した衛星信号から抽出した週内時刻TOWの情報を、内蔵される揮発性メモリに格納し、格納された週内時刻TOWの情報に基づいて、内部時刻を修正し、内部時刻に基づいてモータ23を駆動する。モータ23により発生した回転動力は、輪列を経て指針(時針3、分針4及び秒針5)へと伝達され、時刻表示がなされる。
また、内部時刻を修正する情報として、現在の閏秒に関する情報がある。閏秒とはGPS衛星の原子時計の出力する時刻とUTC(Universal Time, Coordinated)とのずれを調整するものである。制御部47は、予め衛星信号から抽出した現在の閏秒に関する情報を、内蔵される揮発性メモリに格納し、格納された現在の閏秒に関する情報に基づいて、内部時刻を修正している。
また、内部時刻を修正する情報として、将来の閏秒に関する情報(以下、LS情報ともいう)がある。LS情報は、次回の閏秒修正が行われる閏秒更新予定日時の情報や、次回の閏秒修正における修正量に関する情報等を含む情報である。制御部47は、衛星信号から抽出したLS情報を、内蔵される揮発性メモリに格納し、格納されたLS情報に基づいて、閏秒更新予定日時に内部時刻を修正する。すなわち、制御部47は、週内時刻TOWや現在の閏秒に関する情報に加えて、閏秒更新予定日時までに取得した将来の閏秒に関する情報に基づいて、閏秒更新予定日時に内部時刻を修正する。なお、閏秒更新予定日は、例えば、6月末日や12月末日である。また、LS情報は不定期に更新されるものであるが、例えば、閏秒更新予定日前の1ヶ月間のみGPS衛星から送信される衛星信号に含まれる。以降、閏秒更新予定日前の1ヶ月の期間、すなわち、LS情報が衛星信号に含まれて送信される期間を、LS受信可能期間と呼ぶ。なお、LS受信可能期間は、1ヶ月間に限られるものではなく、1ヶ月間よりも長い場合(例えば2ヶ月間)もあれば、短い場合(例えば2週間)もある。なお、閏秒更新予定日を経過した後であっても、次回更新予定のLS情報が衛星信号に含まれるまでは今回更新予定のLS情報が含まれる期間がある場合があり、その期間もLS受信可能期間に含まれることとなる。なお、今回更新予定の閏秒更新予定日を経過した後に、今回更新予定のLS情報を取得した場合は、その後遅滞なく内部時刻に今回の閏秒が反映されることとなる。
電波時計100が屋内にある等、衛星信号の受信に適さない環境にある場合、受信動作を実行しても、衛星信号を受信できない可能性が高い。そのような環境にある場合に、受信動作を実行すると不要に電力を消費してしまう。そこで、第1実施形態においては、電波時計100が受信環境に適した環境にあるか否かの判定をするための受信環境チェックを行い、電波時計100が受信環境に適した環境にあると判定された場合、すなわち、受信動作の環境条件を満たす場合、受信動作を実行する構成とした。
制御部47は、発電量検出部30の検出結果に基づいて、衛星信号の受信動作を受信回路31に実行させる。具体的には、発電量検出部30が検出した検出値(発電量)が所定の閾値以上であるか否かを所定の間隔で判定し、所定の閾値以上の検出値が検出された場合、衛星信号の受信動作を受信回路31に実行させる。発電量検出部30が検出した検出値が所定の閾値以上であれば、電波時計100が屋外や窓際など受信に適した環境にある可能性が高いといえるためである。
図5を参照して、第1実施形態における時刻情報受信動作について説明する。図5は、第1実施形態における時刻情報受信動作について説明する図である。ここで、時刻情報受信動作とは、週内時刻TOWを受信するための受信動作をいう。なお、図5においては、制御部47による受信環境チェックが行われたタイミングを矢印で示す。また、発電量検出部30が検出した検出値が所定の閾値以上であった場合を「OK」で示し、所定の閾値未満であった場合を「NG」で示す。後述の図6、図11についても同様とする。
図5においては、「OK」判定が2回連続でなされた時に環境条件を満たし、その後時刻情報受信動作が6秒間継続して実行される例を示している。2回連続して「OK」判定がなされると、制御部47が図3に示すスイッチ56をオン状態に切り替える。そして、受信回路31が起動し、衛星信号を受信する。すなわち、週内時刻TOWを受信するための時刻情報受信動作が実行される。
上述したように週内時刻TOWは全てのサブフレームSFに含まれている。そのため、いずれのタイミングで時刻情報受信動作を開始した場合であっても、その受信動作を少なくとも6秒間継続することで、週内時刻TOWを取得し得る。図5に示す例においては、ページ2のサブフレームSF3に含まれる週内時刻TOWが取得される。なお、取得する週内時刻TOWが含まれるサブフレームSFは任意である。すなわち、サブフレームSF1~5のいずれに含まれる週内時刻TOWを取得するタイミングで時刻情報受信動作を行っても構わない。例えば、仮に、図5に示す例において、ページ1のサブフレームSF4のタイミング及びその10秒後のタイミング(ページ2のサブフレームSF1の先頭部分のタイミング)で行った受信環境チェックにおいて、「OK」判定がなされた場合、ページ2のサブフレームSF2に含まれる週内時刻TOWを取得可能なタイミングで時刻情報受信動作を行うとよい。また、図5においては、10秒間隔で受信環境チェックを行う例について示すが、これに限られるものではなく10秒間隔よりも長くても短くても構わない。なお、例えば、受信環境チェックの検出間隔を10秒間隔とする場合、分針4の駆動タイミングも10秒に1ステップとするとよい。このように、受信環境チェックの検出間隔と、指針を駆動する間隔を合わせることにより、制御部47(マイクロコンピュータ)の起動タイミングを同じとすることができる。その結果、制御部47を起動させる頻度を少なくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。ここで、受信環境チェックに発電検出を用いる場合、発電検出処理に数ms~数百msの時間がかかり秒針5の運針タイミングの瞬間的なズレが起こったり、電池電圧がドロップしやすい状況であるため、これらの発生を抑制(回避)する目的で指針が停止している間、すなわち指針が駆動し、次の駆動を開始するまでの間に発電検出(受信環境チェック)を実施することが好ましい。
図6を参照して、第1実施形態における閏秒情報受信動作について説明する。図6は、第1実施形態における閏秒情報受信動作について説明する図である。ここで、閏秒情報受信動作とは、LS情報を受信するための受信動作をいう。
LS情報は、衛星信号のサブフレームSF4が25回(ページ1~25)送信されるうち1回のみに含まれている。具体的には、LS情報は、ページ18のサブフレームSF4のみに含まれている。サブフレームSF1~5はそれぞれ6秒かけて送信されるので、LS情報は12.5分に1回送信されることになる。なお、LS情報は、サブフレームSF4のTLMから4~5秒経過後に含まれる。
電波時計100においては、GPS衛星からLS情報を取得して、週番号WNの情報と組み合わせることで、GPS衛星の原子時計の出力する時刻とUTC(Universal Time, Coordinated)とのずれを調整することができる。電波時計100は、制御部47において週番号WNの情報を保持することが可能であり、その場合は、少なくともページ18のサブフレームSF4を受信することにより、LS情報を受信することができる。図6においては、10秒間隔で受信環境チェックを行い、「OK」判定が2回連続でなされた後、LS情報が含まれるサブフレームSF4の先頭から閏秒情報受信動作の実行を開始する例について示す。具体的には、ページ18のサブフレームSF4の先頭から閏秒情報受信動作を開始し、ページ18のサブフレームSF4の終わりまで、6秒間継続して閏秒情報受信動作を実行する例について示す。第1実施形態の電波時計100においては、自身が保持する週番号WNを用いることができるため、閏秒情報受信動作においてサブフレームSF1に含まれる週番号WNを合わせて受信する必要がない。そのため、後述の第4実施形態等と比較して、閏秒情報受信動作の実行時間を短くすることができるため、消費電力を抑制することが可能となる。
ここで、第1実施形態において、衛星信号の受信動作の実行の開始タイミングは、電波時計100の内部時刻に基づいて決定される。具体的には、まず、制御部47が、受信環境チェックを行い、電波時計100が受信環境に適した環境にあると判定された際の内部時刻を取得し、取得した内部時刻から推定される衛星信号のページやサブフレームを取得する。そして、制御部47は、内部時刻から推定される衛星信号のページやサブフレームに応じて、受信動作の実行の開始タイミングを決定する。
LS情報が送信されるタイミングが近い場合は、LS情報の受信タイミング(例えばページ18のサブフレームSF4の直前)まで待機してから受信動作をおこない、LS情報が送信されるタイミングが遠い場合は、所定期間待機後に再び受信環境チェックを行うようにすることができる。また、所定期間待機後に再び受信環境チェックを行う動作に代わって他の受信動作(例えば時刻情報受信動作)を実行してもよい。
受信環境チェックについては、常に内部時刻に対して10秒おきに行うようにしてもよいし、前回の閏秒情報受信動作のときから所定期間以上経過している場合や、所定期間内における受信動作の回数が所定値以下であると判断した場合に、行うようにしてもよい。
このように内部時刻に基づいて受信動作の実行の開始タイミングを決定しているため、電波時計100が保持する内部時刻が実際の現在時刻(以下、基準時刻という)からずれている場合、受信動作を実行しても、目的とする衛星信号に含まれる情報を受信できない場合がある。特に、12.5分に1回しか送信されないLS情報を受信するための閏秒情報受信動作においては、基準時刻に対する内部時刻のずれが原因で、受信に失敗してしまう可能性が高い。なお、受信動作の実行の開始タイミングの決定に用いる内部時刻は、電波時計100の文字板2上に表示されている時刻に対応する内部時刻に限らず、UTC時刻又はGPS時刻に基づいて電波時計100内部でカウントされており、文字板2上には表示されていない時刻であってもよい。
なお、内部時刻が基準時刻からずれる原因としては、電波時計100の精度(例えば、月差±15秒や月差±5秒)によるものや、ユーザが手動で内部時刻を修正したことによるもの等がある。電波時計100の精度の影響により、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過時間が長くなるほど、内部時刻の基準時刻に対するずれは大きくなる。特に、電波時計100が備える水晶振動子等の発振器の温度特性により影響を受け、25℃を中心に温度変化が大きい環境下、高温環境下、低温環境下においては内部時刻のずれが大きく遅れる傾向にある。特に閏秒を受信する可能性が高い6月や12月では外気温の影響を受ける可能性が高い。また、受信回路31に電力を供給する電池26が電圧降下した状態においては、水晶振動子等の発振器の精度が低下し、内部時刻のずれが大きくなる傾向にある。その後、電池電圧が復帰したとしても、発振器の精度は戻るが、ずれは維持されてしまう。
そこで、第1実施形態においては、制御部47が、電波時計100の内部時刻の信頼性に関する情報に基づいて、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更するよう受信回路31を制御することとした。具体的には、第1実施形態においては、制御部47が、最後に週内時刻TOWの受信に成功してから経過した日数(経過時間)に応じて、閏秒情報受信動作の開始タイミングを早くするよう受信回路31を制御することとした。なお、以下、閏秒情報受信動作の開始タイミングが変更されていない場合の開始タイミングを、基準開始タイミング(第1のタイミング)ということとする。具体的には、第1実施形態においては、基準開始タイミングを、内部時刻に基づいて18ページのサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミングとした。
図7を参照して、第1実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて具体的に説明する。図7は、第1実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて説明する図である。なお、図7の(1)~(4)のうち、図7の(4)が第1実施形態特有の制御を示す図である。なお、図7においては、受信環境チェックが行われるタイミングについての図示は省略するが、図6と同様のタイミングで受信環境チェックは行われているものとする。
図7の(1)は、GPS衛星から送信される衛星信号を示している。図7の(1)に示すように、LS情報は、ページ18のサブフレームSF4の後半部分に含まれている。そのため、ページ18のサブフレームSF4の後半部分が送信される際に、閏秒情報受信動作が実行されている場合、LS情報を受信することができるといえる。なお、図7においては、LS情報が衛星信号に含まれるタイミングを2点鎖線で示す。この2点鎖線と一致するタイミングにおいて、閏秒情報受信動作が実行されている場合、LS情報を受信することができる。
図7の(2)は、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が1日である場合における電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号、及び基準開始タイミングから閏秒情報受信動作の実行を開始した場合の例を示している。図7の(2)に示す例においては、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が少ないため、電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号は、GPS衛星から送信される衛星信号とほぼ一致する。そのため、基準開始タイミング(ページ18のサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミング)から閏秒情報受信動作の実行を開始することにより、LS情報を受信することができる。なお、図7においては、図6で説明したのと同様に、閏秒情報受信動作の実行時間を6秒とした。
図7の(3)は、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が50日である場合における電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号、及び基準開始タイミングから閏秒情報受信動作の実行を開始した場合の例を示している。図7の(3)に示す例においては、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が多く、電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号が、GPS衛星から送信される衛星信号から9秒遅れた場合を示している。このような場合に、基準開始タイミング(ページ18のサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミング)から閏秒情報受信動作の実行を開始した場合、GPS衛星からLS情報を含む衛星信号が既に送信された後、閏秒情報受信動作を実行することとなってしまうそのため、閏秒情報受信動作を実行しても、LS情報を受信することができない。また、LS情報が含まれるページ18のサブフレームSF4が次に送信されるのは約12.5分後であるため、閏秒情報受信動作の実行時間を数秒~数分程度延長したとしてもLS情報を受信することはできない。
図7の(4)は、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が50日である場合における電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号、及び基準開始タイミングよりも10秒早いタイミングで閏秒情報受信動作の実行を開始した場合の例を示している。
図7の(3)に示したように、内部時刻が基準時刻から遅れている場合、基準開始タイミングから閏秒情報受信動作の実行を開始すると、LS情報を受信することができない。そこで、第1実施形態においては、図7の(4)に示すように、基準開始タイミングよりも10秒早く閏秒情報受信動作の実行を開始することとした。このように第1タイミングより変更された実行開始タイミングを第2のタイミングとする。本実施形態では、第2のタイミングは、第1のタイミングよりも早く開始されるように変更されている。これにより、衛星信号のページ18のサブフレームSF3の後半から、ページ18のサブフレームSF4の後半が送信される間に、閏秒情報受信動作が実行されることとなり、ページ18のサブフレームSF4に含まれるLS情報を受信することが可能となる。
なお、電波時計100の内部時刻の信頼性が低いほど、基準開始タイミングよりも閏秒情報受信動作の開始タイミングを早くすることとしてもよい。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が多いほど、電波時計100の内部時刻の信頼性は低く、基準時刻に対して遅れる傾向にあるためである。
例えば、制御部47が、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が6日未満の場合(図7の(2)参照)、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更しないこととするとよい。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が少なければ、内部時刻は基準時刻からほぼずれていない可能性が高いためである。
また、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が6日以上であって30日未満の場合、閏秒情報受信動作の開始タイミングを基準開始タイミングから5秒早めることとするとよい。1週間~1ヶ月の期間、週内時刻TOWを受信していない場合、内部時計が基準時刻から1秒~5秒程度遅れている可能性が高いためである。
また、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が30日以上であって60日未満の場合(図7の(4)参照)、閏秒情報受信動作の開始タイミングを基準開始タイミングから10秒早めることとするとよい。また、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が60日以上であって、120日未満の場合、閏秒情報受信動作の開始タイミングを基準開始タイミングから20秒早めることとするとよい。また、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が120日以上であって、180日未満の場合、閏秒情報受信動作の開始タイミングを基準開始タイミングから40秒早めることとするとよい。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が多いほど、電波時計100の内部時計の基準時刻に対するずれ量が大きくなる傾向にあるためである。
また、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が180日以上の場合、閏秒情報受信動作の実行を禁止することとするとよい。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が過度に多い場合、内部時刻が基準時刻からどの程度ずれているのか予想困難であり、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更したところで、LS情報を受信できる可能性が低いためである。このような場合は、時刻情報受信動作を実行することにより週内時刻TOWを受信して内部時刻を修正した後、閏秒情報受信動作を実行することが好ましい。
なお、電波時計100の内部時計の信頼性に関する情報は、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数に関するものに限られるものではい。例えば、電池26が長期間充電されていないことにより、電波時計100において受信動作の実行が禁止される節電モード節電になっている場合、電波時計100の内部時刻の信頼性は低いといえる。そのようなモードにある状態においては、歩度ずれが生じやすくなるためである。このように、歩度ずれが生じやすくなるような制御が所定期間行われた場合、閏秒情報受信動作の開始タイミングを所定秒早くする等の制御を制御部47が行うこととするとよい。すなわち、電波時計100の内部時刻の信頼性に関する情報として、電池26の充電状態に関する情報を含んでいてもよい。
また、ユーザが手動により竜頭6、ボタン7等の操作部を操作することにより、電波時計100の内部時刻を修正した場合、内部時刻の信頼性は低いといえる。そのため、ユーザの手動による内部時刻の調整操作を操作部が受け付けたことに関する受付情報を、制御部47が保持する場合、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更する、又は閏秒情報受信動作を禁止するとよい。
また、電波時計100の内部時計の信頼性に関する情報として、制御部47の揮発性メモリに格納される現在の閏秒の調整量に関する情報を含んでいてもよい。制御部47の揮発性メモリに格納される現在の閏秒は、ユーザが手動により竜頭6、ボタン7等の操作部を操作することにより変更可能である。現在の閏秒にずれが生じている場合、電波時計100の内部時刻の信頼性は低いといえる。そのため、ユーザの手動による現在の閏秒の調整操作を操作部が受け付けたことに関する受付情報を、制御部47が保持する場合、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更する、又は閏秒情報受信動作を禁止するとよい。現在の閏秒の調整量は、数秒から10数秒程度であると考えられるため、例えば、閏秒情報受信動作の開始タイミングを10秒早くする等の制御を制御部47が行うこととするとよい。
なお、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数は、制御部47に含まれるタイマー等で管理されるとよい。なお、制御部47は、経過日数に応じて内部時刻の信頼性に関する情報を管理するものではなく、経過時間に応じて内部時刻の信頼性に関する情報を管理してもよい。すなわち、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過時間が10時間の場合よりも50時間の場合の方が、内部時刻の信頼性が低いとして、閏秒情報受信動作の開始タイミングを設定することとするとよい。
さらに、図8を参照して、第1実施形態における制御部の動作の一例について説明する。図8は、第1実施形態における制御部の動作を説明するフローチャートである。まず、内部時刻に基づいて、LS情報を受信するための受信環境チェックを行う(ステップS1)。制御部47が受信可能環境にないと判定した場合(ステップS2のNO)、受信環境チェックを繰り返す。制御部47が受信可能環境にあると判定した場合(ステップS2のYES)、制御部47は、竜頭6、ボタン7等の操作部がユーザからの調整操作を受け付けたことに関する受付情報がメモリに記憶されているか否かを判定する(ステップS3)。受付情報がメモリに記憶されている場合、すなわち、ユーザによる内部時刻の手動時刻修正があった場合は、閏秒情報受信動作の実行を禁止する(ステップS4)。
ユーザによる手動時刻修正がない場合、制御部47は、閏秒情報受信動作の実行の開始タイミングを基準開始タイミングに設定する(ステップS5)。そして、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が6日未満である場合(ステップS6のYES)、制御部47は、基準開始タイミングで閏秒情報受信動作を受信回路31に実行させる(ステップS7)。
最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が6日以上であって30日未満である場合(ステップS8のYES)、制御部47は、開始タイミングを5秒早める設定を行った上で(ステップS9)、閏秒情報受信動作を受信回路31に実行させる(ステップS7)。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が30日以上であって60日未満である場合(ステップS10のYES)、制御部47は、開始タイミングを10秒早める設定を行った上で(ステップS11)、閏秒情報受信動作を受信回路31に実行させる(ステップS7)。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が60日以上であって120日未満である場合(ステップS12のYES)、制御部47は、開始タイミングを20秒早める設定を行った上で(ステップS13)、閏秒情報受信動作を受信回路31に実行させる(ステップS7)。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が120日以上であって180日未満である場合(ステップS14のYES)、制御部47は、開始タイミングを40秒早める設定を行った上で(ステップS15)、閏秒情報受信動作を受信回路31に実行させる(ステップS7)。最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が180日以上である場合(ステップS14のNO)、制御部47は、閏秒情報受信動作の実行を禁止する(ステップS4)。
以上説明したように、第1実施形態においては、電波時計100の内部時刻の信頼性が低い場合であっても、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更することで、衛星信号に含まれるLS情報の受信成功の確度を向上することができる。また、閏秒情報受信動作を実行する前に、週内情報TOWを受信するための受信動作を実行する必要もないため、その分電力消費を抑制することができる。また、電力消費を抑制することができるため、電池電圧が過度に低下することによりシステムダウンを生じる可能性を低減することもできる。
図9を参照して、第2実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて具体的に説明する。図9は、第2実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて説明する図である。なお、図9の(1)~(4)のうち、図9の(4)が第2実施形態特有の制御を示す図である。なお、第2実施形態においては、閏秒情報受信動作の基準開始タイミング及び実行時間は第1実施形態で説明したものと同様とする。
第1実施形態においては、内部時刻が基準時刻に対して遅れている場合の例について説明したが、第2実施形態においては、内部時刻が基準時刻に対して進んでいる場合の例について説明する。具体的には、第2実施形態においては、内部時刻が基準時刻に対して3秒進んでいる場合の例について説明する。
図9(3)に示すように、基準開始タイミング(ページ18のサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミング)から閏秒情報受信動作を開始した場合、LS情報が含まれる衛星信号が送信される前に、閏秒情報受信動作が終わってしまう。そのため、閏秒情報受信動作を実行しても、LS情報を受信することができない。また、閏秒情報受信動作の実行時間を数秒~数分程度延長可能な構成である場合は、LS情報の受信を行うことはできるが、必要以上に長い間受信動作を行うことになるため、電力消費が大きくなってしまう。
そこで、第2実施形態においては、図9の(4)に示すように、基準開始タイミングよりも5秒遅らせて閏秒情報受信動作の実行を開始することとした。つまり、本実施形態では、第2のタイミングは、第1のタイミングよりも遅く開始されるように変更されている。これにより、LS情報が送信されている間に閏秒情報受信動作が実行されることとなるため、電力消費を抑えてLS情報を受信することが可能となる。
なお、第1実施形態で説明したように閏秒情報受信動作の開始タイミングを基準開始タイミングよりも早くするか、又は、第2実施形態で説明したように閏秒情報受信動作の開始タイミングを基準開始タイミングよりも遅くするかのどちらの制御を制御部47が行うかについて、内部時刻の信頼性に関する情報に基づいて選択可能としてもよい。例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が多い場合、内部時刻は基準時刻に対して遅れる傾向にあるため、週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数に応じて開始タイミングを変更する場合は、制御部47は閏秒情報受信動作の開始タイミングを早める制御を行うとよい。一方、例えば、ユーザによる操作部の調整操作により内部時刻が基準時刻に対してずれている場合、早めの行動を心がけたいというユーザの心理から内部時刻は基準時刻に対して早めに設定されている傾向にあるといえるため、内部時刻のずれの原因がユーザによる操作部の調整操作による場合は、制御部47は閏秒情報受信動作の開始タイミングを遅くする制御を行うとよい。また、閏秒情報受信動作の開始タイミングを早くする制御を行い、LS情報を受信できなかった場合、次に閏秒情報受信動作を行う際に開始タイミングを遅くする制御を行うこととしてもよい。基準開始タイミングよりも閏秒情報受信動作の開始タイミングを早くする又は遅くする制御のいずれをも実行することにより、LS情報を受信できる確度が向上する。また、電波時計100の内部に温度センサを有する場合は、温度センサが検出した温度やその温度が計測された時間に基づいて、時計精度が進んでいるのか、または遅れているのかを判断し、受信動作の開始タイミングを遅らせるのか、または早めるのかを判断するようにしてもよい。
次に、図10を参照して、第3実施形態について説明する。図10は、第3実施形態における閏秒情報受信動作の実行時間について説明する図である。なお、図10の(1)~(4)のうち、図10の(4)が第3実施形態特有の制御を示す図である。なお、図10の(1)、(2)、(3)については、図9で示したものと同じであるため、その説明については省略する。
上記第1、第2実施形態においては、電波時計100の内部時刻の信頼性に基づいて、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更する例について説明したが、第3実施形態においては、電波時計100の内部時刻の信頼性に基づいて、閏秒情報受信動作の実行時間を変更する例について説明する。
図10の(3)に示す例においては、電波時計100の内部時刻が基準時刻から進んでいるため、基準開始タイミングで閏秒情報受信動作の実行を開始した場合、LS情報が含まれる衛星信号が送信される前に、閏秒情報受信動作が終了してしまう。そこで、第3実施形態においては、図10の(4)に示すように、閏秒情報受信動作の開始タイミングは基準開始タイミングから変更せず、通常の実行時間(以下、基準実行時間(第1の時間)という)よりも実行時間を長くした。具体的には、第3実施形態においては、基準実行時間は6秒とし、基準実行時間よりも長くした場合の実行時間(第2の時間)を11秒とした。すなわち、実行時間を基準実行時間よりも5秒長くした。これにより、LS情報を含む衛星信号が送信される間に閏秒情報受信動作が実行されることとなり、LS情報を受信することが可能になる。
なお、第1実施形態等で説明したのと同様に、電波時計100の内部時刻の信頼性が低いほど、閏秒情報受信動作の実行時間を長くするとよい。例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が30日以上であって60日未満の場合、基準実行時間よりも実行時間を10秒長くするとよい。また、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が60日以上であって120日未満の場合、基準実行時間よりも実行時間を20秒長くするとよい。
次に、図11、図12を参照して、第4実施形態における閏秒情報受信動作について説明する。図11は、第4実施形態における閏秒情報受信動作について説明する図である。上記第1から第3実施形態等においては、図6を参照して、電波時計100が内部に週番号WNを保持する場合の例について説明したが、第4実施形態においては、週番号WNを電波時計100の内部に保持しない場合の例について説明する。
電波時計100の制御部47において週番号WNを保持しない場合において、LS情報に基づいて正しく閏秒修正を行うためには、閏秒情報受信動作を行うことにより、衛星信号のページ18のサブフレームSF1に含まれる週番号WNも取得する必要がある。図11においては、10秒間隔で受信環境チェックを行い、「OK」判定が2回連続でなされた後、LS情報が含まれるサブフレームSFのサブフレーム5つ分前から閏秒情報受信動作の実行を開始する例について示す。具体的には、ページ17のサブフレームSF4の先頭から閏秒情報受信動作を開始し、ページ18のサブフレームSF4の終わりまで、36秒間継続して閏秒情報受信動作を実行する例について示す。このように、第4実施形態においては、基準開始タイミングがページ17のサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミングであって、実行時間が36秒である例について説明する。
図12を参照して、第4実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて具体的に説明する。図12は、第4実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて説明する図である。なお、図12の(1)~(4)のうち、図12の(4)が第4実施形態特有の制御を示す図である。なお、図12においては、受信環境チェックが行われるタイミングについての図示は省略するが、図11と同様のタイミングで受信環境チェックは行われているものとする。
図12の(1)は、GPS衛星から送信される衛星信号を示している。図12の(2)は、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が1日である場合における電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号、及び基準開始タイミングから閏秒情報受信動作の実行を開始した場合の例を示している。図12の(2)に示す例においては、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が少ないため、電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号は、GPS衛星から送信される衛星信号とほぼ一致する。そのため、基準開始タイミング(ページ17のサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミング)から閏秒情報受信動作の実行を開始することにより、LS情報を受信することができる。なお、図12においては、図11で説明したのと同様に、閏秒情報受信動作の実行時間を36秒とした。
図12の(3)は、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が150日である場合における電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号、及び基準開始タイミングから閏秒情報受信動作の実行を開始した場合の例を示している。図12の(3)に示す例においては、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が多く、電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号が、GPS衛星から送信される衛星信号から40秒遅れた場合を示している。このような場合に、基準開始タイミング(ページ17のサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミング)から閏秒情報受信動作の実行を開始した場合、GPS衛星からLS情報を含む衛星信号が既に送信された後、閏秒情報受信動作を実行することとなってしまう。そのため、閏秒情報受信動作を実行しても、LS情報を受信することができない。また、LS情報が含まれるサブフレームが次に送信されるのは約12.5分後であるため、閏秒情報受信動作の実行時間を数秒程度延長したとしてもLS情報を受信することはできない。
図12の(4)は、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が150日である場合における電波時計100の内部時刻に基づいて送信されると推定される衛星信号、及び基準開始タイミングよりも40秒早いタイミングで閏秒情報受信動作の実行を開始した場合の例を示している。
図12の(3)に示したように、内部時刻が基準時刻から遅れている場合、基準開始タイミングから閏秒情報受信動作の実行を開始すると、LS情報を受信することができない。そこで、第4実施形態においては、図12の(4)に示すように、基準開始タイミングよりも40秒早く閏秒情報受信動作の実行を開始することとした。これにより、LS情報が送信されるタイミングにおいて閏秒情報受信動作が実行されることとなり、LS情報を受信することができる。
図13を参照して、第5実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて説明する。図13は、第5実施形態における閏秒情報受信動作の開始タイミングについて説明する図である。なお、図13の(1)~(4)のうち、図13の(4)が第5実施形態特有の制御を示す図である。
第5実施形態においては、閏秒情報受信動作の開始タイミングと実行時間は第4実施形態と同じであり、かつ、内部時刻が基準時刻に対して進んでいる場合の例について説明する。具体的には、第5実施形態においては、内部時刻が基準時刻に対して3秒進んでいる場合の例について説明する。
図13(3)に示すように、基準開始タイミング(ページ17のサブフレームSF4の先頭が送信されると推定されるタイミング)から閏秒情報受信動作を開始した場合、LS情報が含まれる衛星信号が送信される前に、閏秒情報受信動作が終わってしまう。そのため、閏秒情報受信動作を実行しても、LS情報を受信することができない。
そこで、第5実施形態においては、図13の(4)に示すように、基準開始タイミングよりも5秒遅らせて閏秒情報受信動作の実行を開始することとした。これにより、LS情報が送信されている間に閏秒情報受信動作が実行されることとなるため、LS情報を受信することが可能となる。
次に、図14を参照して、第6実施形態について説明する。図14は、第6実施形態における閏秒情報受信動作の実行時間について説明する図である。なお、図14の(1)~(4)のうち、図14の(4)が第6実施形態特有の制御を示す図である。なお、図14の(1)、(2)、(3)については、図13で示したものと同じであるため、その説明については省略する。
上記第4、第5実施形態においては、電波時計100の内部時刻の信頼性に基づいて、閏秒情報受信動作の開始タイミングを変更する例について説明したが、第6実施形態においては、電波時計100の内部時刻の信頼性に基づいて、閏秒情報受信動作の実行時間を変更する例について説明する。
図14の(3)に示す例においては、電波時計100の内部時刻が基準時刻から進んでいるため、基準開始タイミングで閏秒情報受信動作の実行を開始した場合、LS情報が含まれる衛星信号が送信される前に、閏秒情報受信動作が終了してしまう。そこで、第6実施形態においては、図14の(4)に示すように、閏秒情報受信動作の開始タイミングは基準開始タイミングから変更せず、基準実行時間よりも実行時間を長くした。具体的には、第6実施形態においては、基準実行時間は36秒とし、基準実行時間よりも長くした場合の実行時間を41秒とした。これにより、LS情報を含む衛星信号が送信される間に閏秒情報受信動作が実行されることとなり、LS情報を受信することが可能になる。
なお、第3実施形態等で説明したのと同様に、電波時計100の内部時刻の信頼性が低いほど、閏秒情報受信動作の実行時間を長くするとよい。例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が30日以上であって60日未満の場合、基準実行時間よりも実行時間を10秒長くするとよい。また、例えば、最後に週内時刻TOWの受信に成功してからの経過日数が60日以上であって120日未満の場合、基準実行時間よりも実行時間を20秒長くするとよい。
上記各実施形態においては、閏秒情報受信動作の実行開始タイミングを変更する例、及び閏秒情報受信動作の実行時間を変更する例について説明したが、このような制御部47による受信回路31の制御は、衛星信号に含まれる他の情報を受信するための受信動作にも適用可能である。例えば、週内時刻TOWを受信する時刻情報受信動作の実行時間を4秒とした場合、電波時計100の内部時刻が基準時刻からずれている場合、6秒に1回送信される週内時刻TOWを受信できない場合がある。そのような場合においても、電波時計100の内部時刻の信頼性に関する情報に基づいて、時刻情報受信動作の実行開始タイミングを変更したり、時刻情報受信動作の実行時間を変更したりすることにより、週内時刻TOWの受信の成功の確度を向上させることができる。
なお、上記各実施形態においては、太陽電池11を用いて光検出を行う例について説明したがこれに限られるものではなく、例えば、紫外線センサを用いて、太陽光の有無を判定することにより受信環境を判定する構成としてもよい。又は、カメラ等のイメージセンサを用いて、画像解析を行うことにより、受光量を検出し、受信環境を判定する構成としてもよい。
また、上記各実施形態においては、受信動作の環境条件を満たすか否かの判定を、発電量検出部30が検出した発電量(受光量)に基づいて行う例について説明したがこれに限られるものではなく、電波時計100が屋外にあるか屋内にあるか等を判定可能な情報であれば、他の情報に基づいて行ってもよい。例えば、加速度センサを検出手段として用い、電波時計100のユーザがランニングをしている等と判定される情報を加速度センサが出力した場合、電波時計100は屋外にあり、電波時計100は衛星信号を受信するのに適した環境にあると判定できる。すなわち、受信動作の環境条件を満たすと判定できる。また、例えば、音センサを検出手段として用い、その音センサが電波時計100周辺の環境音を取得し、電波時計100が屋外にあると判定される情報が検出された場合、電波時計100は衛星信号を受信するのに適した環境にあると判定できる。
なお、受信環境チェックは、10秒間隔で常に行われていてもよいし、時間帯によって行われる時間と行われない時間が分けられていてもよい。例えば、深夜の時間帯においては、受信環境チェックを行わないよう設定しておくとよい。また、受信環境チェックは、竜頭6やボタン7等の入力手段によるユーザからの要求がなされた時に行われてもよい。
なお、電波時計100は、発振器の発振周波数に基づいて時刻を計時し、電波時計100の使用環境温度を測定する温度測定器をさらに備えてもよい。発振器は温度特性を有し、異常温度(例えば、-10℃以下又は60℃以上)の環境下においては、歩度ずれを生じるおそれがある。そのため、異常温度の環境下においては、内部時刻の精度が低下し、受信動作を行っても目的とする衛星信号を受信できない場合がある。また、異常温度の環境下においては、受信動作自体が正常に実行されない可能性がある。したがって、温度測定器が異常温度を検出した場合においては、受信環境チェックが実行されないこととするとよい。それにより、受信環境チェックに要する電力消費を抑制することができる。なお、異常温度の環境下でなくなった場合、例えば、温度測定器が5℃~40℃を検出した場合、受信環境チェックの実行を可能とするとよい。なお、異常環境下においては、内部時刻は基準時刻から遅れる傾向にある。
なお、電波時計100が受信する信号はGPS衛星から送信されるものに限られず、例えば、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System、準天頂衛星システム:みちびき)やGLONASS(Global Navigation Satellite System)が送信する信号であってもよく、これら複数の衛星に対応した受信を可能な構成としてもよい。また、これら衛星のうち軌道上に配置される数が多い衛星を選択し、選択した衛星から送信される信号を受信する構成とすることで、受信の成功率の向上が期待できる。なお、LS情報の更新タイミングはGPS衛星からの衛星信号が最も早いことより、複数の衛星に対応した構成とする場合においては、GPS衛星を優先的に選択することが好ましい。
また、例えば、受信環境チェックを停止している状態を示す停止表示や、受信環境チェックが開始されたことを示す開始表示や、受信環境チェックに成功し、受信回路31が起動したことを示す受信中表示などを文字板2に設け、それらを指針により指し示すことによりユーザが確認できる構成としてもよい。これにより、受信環境に適した環境に電波時計100を移動させること等をユーザに促すことが可能となる。また、同様に、LS情報を受信済みであることの表示、未受信であることの表示を文字板2に設け、それらを指針により指し示すことによりユーザがLS情報を受信済みか否かを確認できる構成とするとよい。また、LS情報を未受信であって、閏秒更新予定日までの残日数が少ないことを示す警告表示を文字板2に設け、LS情報を受信可能な環境に電波時計100を移動させることをユーザに促す構成とするとよい。さらに、残日数が20日、10日、5日のように少なくなるに従い、ユーザが警告表示に気づきやすいように警告レベルを切り替える構成とするとよい。例えば、残日数が少なくなるに従い、運針の動きを大きくしたり、運針の回転速度を早くしたり、警告表示に用いる指針を目立つものに切り替えたりするとよい。また、LS情報を未受信の場合、竜頭6やボタン7等の入力手段によるユーザからの要求により強制的に受信動作を開始する構成としても良い。
また、上記各実施形態において、電波時計は、衛星電波を受信可能なアンテナを有し、自機の受信動作によってLS情報を取得する構成であるとして説明を行った。しかし、電波時計は、スマートフォン等の外部端末と通信可能なインターフェースのみ有する構成であってもよい。この場合は、電波時計が有する内部時刻に応じて、外部端末に対して衛星電波の受信命令を行い、外部端末側でLS情報を取得した後に、外部端末から電波時計にLS情報を受け渡すような構成(システム)としてもよい。外部端末と通信可能なインターフェースはBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)といった無線通信や、ケーブルによる有線通信を含む。
この場合であっても、上述の各実施形態と同様に電波時計の内部時刻の信頼性に基づいて、外部端末に衛星電波の受信命令をおこなうタイミングを変更してもよい。または、外部端末が衛星電波の受信動作を開始する開始タイミングを変更するような情報を含めた命令をおこなうようにしてもよい。なお、外部端末から受け取るデータはLS情報に限らず、時刻に関する情報やタイムゾーン情報、サマータイム情報等を含んでいてもよい。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。