以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電波修正時計の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(電波修正時計の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計の構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計の外観を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計は、電波修正時計100の外装をなすケース101を備えている。ケース101は、たとえば、金属などの導電性部材やセラミックスや樹脂などの非導電性部材を用いて形成され、両端が開口した略円筒形状をなす。
ケース101における一端側の開口は、透明なガラス材料などを用いて略円板形状に形成された風防ガラス102によって閉塞されている。風防ガラス102の周縁は、風防ガラス102の直径と略同一の内径の環形状をなすベゼル103によって支持されている。ベゼル103は、ケース101同様に、導電性部材や非導電性部材を用いて形成されている。
ケース101の他端側の開口は、裏蓋部材(図2における符号201を参照)によって閉塞されている。裏蓋部材は、ケース101同様に、導電性部材や非導電性部材を用いて形成することができる。ケース101の側面には、ユーザによる操作を可能とする操作手段110が設けられている。操作手段110にはたとえば、リューズ110aやプッシュボタン110bを用いることができる。操作手段110は、ユーザによる操作を受け付けた場合、操作内容に応じた信号を制御回路(図3を参照)に対して出力する。
電波修正時計100においては、たとえば、リューズ110aをケース101から所定量引き出した状態でプッシュボタン110bを長時間操作することにより、システム異常が発生した場合などにリセット操作をおこなうことができる。
ケース101は、上記の形状に限るものではなく、少なくとも軸心方向における一端側に開口を備えていればよい。ケース101と裏蓋部材とが、一体化されたいわゆるワンピース構造であってもよい。
ケース101の内側には、文字板104が設けられている。文字板104には、表示部材である指針(時刻指示針)105の位置、すなわち時刻を示すインデックス106が設けられている。インデックス106は、指針105の軸心を中心とする円周上に配置されている。インデックス106は、たとえば、文字、数字、記号などによって実現することができる。
文字板104上に環状の見返しリング111を設け、インデックス106を見返しリング111上に配置してもよい。見返しリング111には都市や時差に関する情報を指示するための刻印を有する。見返しリング111には、都市に関する情報に代えてタイムゾーンに関する情報のみを設けてもよく、あるいは、外周側に都市に関する情報を指示するための刻印を設け内周側にタイムゾーンに関する情報を指示するための刻印を設けてもよい。
指針105は、文字板104に設けられ、具体的には、たとえば、時針、分針、秒針などによって実現することができる。図1において、指針105は、文字板104の中心を回転中心として回転可能な状態で文字板104に設けられている。また、指針105は、たとえば、時針と分針のみによって実現してもよい。指針105は、駆動部(図2における符号208を参照)に連結されている。
指針105は、時針、分針、秒針に加えて、曜日針を指針105として備えていてもよい。さらに、指針105として日板(日車)を備えていてもよい。日板は、ケース101の内側であって、文字板104よりも裏蓋部材側に設けられる。日板は、円板形状あるいは環形状をなし、周縁部に「1」〜「31」の日付を示す数字が設けられている。日板に設けられた数字は、文字板104に設けられた日付表示用の開口(日窓)を介して所定の日付に対応する数字が表示される。電波修正時計100は、上記指針105の他に、充電量を段階的あるいは無段階的に示す充電量表示や、サマータイム設定のON/OFFを示す機能針を備えていてもよい。
曜日針や日板などの指針105は、時針、分針、秒針などの指針105と同様に、駆動部を介してステッピングモータ(図2における符号202を参照)に連結されており、時針、分針、秒針などの回転に連動して軸心周りに回転する。駆動部は、24時間で1回転する歯車を備えており、曜日針や日送り車などの指針105は当該歯車が1回転するごとに曜日や日付を1日分進める方向に回転(回動)する。
文字板104や指針105は、ユーザに対して時刻を表示する時刻表示部を構成する。この実施の形態においては、文字板104や指針105によって、この発明にかかる表示手段を実現することができる。時刻表示部は、デジタルに内部時刻を表示する液晶パネルなどによって実現してもよい。
文字板104には、アンテナ107による衛星信号の受信制御に関する情報を表示するためのマーカー108が配置されている。マーカー108は、たとえば、衛星信号の受信中であることを示す「RX」や、アンテナ107による衛星信号の受信処理の成否を示す「NO」や「OK」などの文字列、および、当該文字列が示す各位置を示す記号によって実現することができる。
電波修正時計100は、たとえば、直前におこなわれた受信に成功したことを示す場合は、電波修正時計100に対する所定の操作に応じて、秒針などの特定の指針105を運針させて「OK」を指し示す。また、直前におこなわれた受信が失敗したことを示す場合は、「NO」を指し示す。
アンテナ107は、ソーラーセル(太陽電池)109とともに、ケース101の内側であって、文字板104よりも裏蓋部材201側に設けられている。ソーラーセル109は、たとえば、文字板104における略6時の位置を回避した、文字板104の大部分の領域と重なる位置に設けられている。
ソーラーセル109は、風防ガラス102を介して文字板104に入射する太陽光などの光によって発電し、発電した電力を電池(図2における符号204を参照)に出力する。ソーラーセル109が発電した電力は、DC/DCコンバータなどによって昇圧して電池に出力される。この実施の形態の電波修正時計100においては、ソーラーセル109によって、この発明にかかる発電部を実現することができる。
アンテナ107は、たとえば、文字板104の略6時位置に配置され、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波(衛星信号)を受信する。具体的には、アンテナ107は、たとえば、GPS衛星から送信される、周波数約1.6GHzの電波を受信するパッチアンテナによって実現することができる。アンテナ107は、複数のGPS衛星から送信される電波を受信する。
GPS衛星は、それぞれ、地球の周回軌道を周回しており、高精度の原子時計を搭載し、当該原子時計によって計時された時刻情報を含んだ電波を周期的に送信する。各GPS衛星は、計25フレーム(ページ)を1セットとする航法データを繰り返し送信している。各フレームは30秒分の信号を含んでおり、GPS衛星は、全25フレームの信号を12.5分周期で送信する。
さらに、各フレームは、5個のサブフレームから構成される。1フレームが30秒であるため、1つのサブフレームは6秒分の信号に相当する。1つのサブフレームは、10ワードから構成され、1ワード30ビット、1サブフレーム全体で300ビット分の情報を含んでいる。
各サブフレームの先頭ワード(第1ワード)は、TLM(TeLeMetry word)と称され、その先頭部分(すなわち、サブフレーム全体の先頭部分)には、当該サブフレームの開始位置を示すプリアンブルが含まれる。さらに各サブフレームの2番目のワード(第2ワード)は、HOW(HandOver Word)と称され、その先頭部分には、TOW(Time Of Week)情報やWN(Week Number)情報が含まれている。
TOW情報は、週の始まり(日曜日の午前0:00)を起点としたGPS時刻(すなわちTime Of Week)を示す時刻情報であって、具体的には、週のはじめからの通算秒を示す。
WN情報は、TOW情報によりあらわされる時刻が属する週の番号(すなわちWN:Week Number)を示し、週に1度、日曜日の午前0:00になるごとにカウントアップされる。WN情報は、GPS衛星から送信される衛星信号のうち、各フレームの第1サブフレーム内に格納されてGPS衛星から送信されている。電波修正時計100は、1または複数のGPS衛星から受信した衛星信号から得られるTOW情報やWN情報などの時刻情報に基づいて、GPS衛星によって計時されているGPS時刻を得ることができる。
TOW情報やWN情報によって得られるGPS時刻は、協定世界時UTCに対して、協定世界時との差を調整するために追加もしくは削除される秒である閏秒の累積によって生じた整数秒分のずれがある。GPS衛星が送信する衛星信号には、このずれを補正するために用いられる閏秒補正値であるLS(Leap Second)情報も含まれている。具体的に、LS情報は、航法データのうち、第18ページ目のフレームの第4サブフレームに格納されている。
電波修正時計100は、LS情報を受信し、GPS時刻に対してLS情報に基づく補正をおこなうことにより、協定世界時に準拠した時刻情報を取得する。第18ページ目のフレームの第4サブフレームには、LS情報のみでなく、次回の閏秒更新予定日時を示す情報が含まれている。電波修正時計100は、LS情報とともに、閏秒更新予定日時に関する情報を受信してもよい。
アンテナ107は、GPS衛星から送信される電波に代えて、あるいは、GPS衛星から送信される電波に加えて、GLONASS(Global Navigation Satellite System)衛星、GALILEO衛星、準天頂衛星などの衛星から送信される電波を受信してもよい。
(電波修正時計100の内部構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計100の内部構成について説明する。図2は、図1のA−A断面図である。図2において、ケース101の内側であって文字板104よりも裏蓋部材201側には、基板203が設けられ、アンテナ107、ステッピングモータ202、受信回路204、制御回路205および電池206などが実装されている。
受信回路204は、高周波回路(RF回路)とデコード回路とを含んで構成されている。高周波回路は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ107が受信した電波に基づくアナログ信号に対して増幅、検波をおこなって、ベースバンド信号に変換する。デコード回路は、ベースバンド処理をおこなう集積回路であって、高周波回路が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路205に対して出力する。
このように、この実施の形態の電波修正時計100においては、アンテナ107および受信回路204によって、この発明にかかる受信手段を実現することができる。
制御回路205は、CPU、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などによって構成されるメモリ、RTC(Real Time Clock)、モータ駆動回路などを含んで構成されるマイクロコンピュータによって実現することができる。メモリは、少なくとも一部が電源を供給しなくても記憶内容が消失しない不揮発性のメモリを用いる。
メモリは、具体的には、たとえば、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)型メモリなどの不揮発性メモリを用いることができる。メモリは、アンテナ107や受信回路204を介して受信された電波に含まれる所定のパラメータ値を記憶する。
メモリは、パラメータ値として、たとえば、上記のTOW信号から得られる週のはじめからの通算秒(TOW)、WN信号から得られる週の番号(WN)を記憶する。メモリは、パラメータ値にかかる信号を含む電波を受信するごとに、記憶しているパラメータ値を、当該パラメータ値よりも新しく受信した電波に基づいて更新する。
また、メモリは、時差情報を記憶する。時差情報は、たとえば、都市情報によって実現することができる。都市情報は、標準電波に含まれており、また、GPS衛星を利用した測位受信によっても求められ、電波を受信した時点における電波修正時計100が位置する都市を示す。
また、操作手段110(リューズ110aやプッシュボタン110b)によるユーザ操作によって指針105を駆動し、ベゼル103や文字板104(見返しリング111)などに記された都市の指定が可能な構成にして、指定された都市名を都市情報としてメモリに記憶させてもよい。操作手段110、制御回路205、指針105、ベゼル103または文字板104の都市情報(時差情報)によって、本発明の時差情報設定手段を実現することができる。
都市情報の代わりに、タイムゾーンデータを用いてもよい。また、時差情報にはサマータイムを含める構成とすることができる。以降の説明においては、時差情報は都市情報を利用するとして説明をおこなう。
このように、この実施の形態においては、制御回路205が備えるメモリによって、この発明にかかる記憶手段および時差情報記憶手段を実現することができる。
CPUは、RAMをワークメモリとしてCPUの処理対象となるデータを書き込みながら、ROMに格納された各種の制御プログラムに従って各種の情報処理をおこなう。RTCは、CPUに対して、電波修正時計100内部での計時に使用されるクロック信号を出力する。
CPUは、RTCが出力したクロック信号に基づいて内部時刻を計時する。また、CPUは、計時した内部時刻を、受信回路204によって受信された電波に基づいて修正し、時刻表示部において表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。この実施の形態においては、制御回路205が備えるCPUやRTCによって、この発明にかかる計時手段を実現することができる。
制御回路205は、異常リセットが発生してからの経過時間をカウントするカウンタを備えている。カウンタは、RTCが出力したクロック信号などに基づいて、時刻表示部に表示する時刻とは異なる異常リセットが発生してからの経過時間をカウントする。
制御回路205は、RTCに応じて駆動信号を駆動部207に対して出力し、指針105を駆動させる。具体的には、駆動部207は、ステッピングモータ202や輪列208などによって構成され、ステッピングモータ202は制御回路205の駆動信号に応じて駆動し、輪列208を回転駆動させる。輪列208は、指針105と連結されており、輪列208の回転駆動にともなって指針105を回転させる。これにより、時刻表示部において、制御回路205によって生成された表示時刻を表示することができる。
ステッピングモータ202は、モータ駆動回路から出力される駆動パルスに応じた正転(右回り)または逆転(左回り)の回転動作をおこなう。駆動部207は、ステッピングモータ202の回転を、輪列208を介して指針105に伝達することによって、当該指針105を回転させる。
駆動部207において、ステッピングモータ202は、一つであっても複数であってもよい。たとえば、指針105と同数の複数のステッピングモータ202を用いて、時針、分針、秒針などを、それぞれ独立に駆動することができる。また、ステッピングモータ202および輪列208は、指針105の数と一致していなくてもよい。たとえば、指針105のうち分針および秒針を1つめのステッピングモータ202によって駆動し、2つめのステッピングモータ202によって指針105のうち時針を駆動するようにしてもよい。
電池206は、受信回路204、制御回路205、ステッピングモータ202など、電波修正時計100が備える各部に電力を供給する。電池206の種類は、たとえば、リチウムイオン電池などの二次電池を用いることができ、ソーラーセル109によって発電された電力を蓄積(蓄電)する構成としてもよい。この実施の形態においては、電池206によって、この発明にかかる蓄電部を実現することができる。
電波修正時計100は、電池206の電圧値を検出する、図示を省略する電圧センサを備えている。電圧センサの出力値(電池206の電圧値)は、制御回路205におけるCPUに出力される。電池206から受信回路204への電力供給路の途中には、スイッチが設けられている。スイッチは、制御回路205から出力される制御信号にしたがってオン/オフが切り替えられ、受信回路204の動作タイミングを制御することができる。
<実施の形態1>
(電波修正時計100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の電波修正時計100のハードウエア構成について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態1の電波修正時計100のハードウエア構成を示す説明図である。
図3に示すように、電波修正時計100のハードウエアは、アンテナ107と、制御装置301と、ステッピングモータ202と、輪列208と、指針105と、電池206と、ソーラーセル109と、操作手段110と、ウォッチドッグ304と、によって構成されている。制御装置301は、上記の受信回路204および制御回路205と、システムリセット発生手段302と、指針位置検出部303と、によって構成されている。
電波修正時計100は、システムすなわち制御装置301の動作を監視するウォッチドッグ(Watchdog)304を備えており、制御装置301が正常に動作しているかどうかを監視している。ウォッチドッグ304は、ウォッチドッグタイマがタイムアップすると制御装置301が正常に動作していないと判断してシステムリセットフラグをONにする。
システムリセット発生手段302は、システムリセットフラグがONになったか否かを監視しており、システムリセットフラグがONになったと判定した場合に、制御回路205に対してシステムリセット(SR)信号を出力する。制御回路205は、システムリセット発生手段302から出力されたSR信号を受信した場合、システムリセット操作がおこなわれたか否かを判断し、正常なシステムリセット操作がおこなわれた(正常リセット)か、異常状態が発生した(異常リセット)かを判断するためのシステムリセット判定部(以下、SR判定部)305を有する。
正常なシステムリセット操作は、電波修正時計100の仕様によって設定することができる。具体的に、システムリセット操作は、たとえば、操作手段110のリューズ110aが二段階引っ張られる、いわゆる2段引き後のプッシュボタン110bの操作によって実現したり、電池206の電圧値が所定の閾値以下となったことをもって実現したりすることができる。
そして、リューズ110aの2段引きによってシステムリセット操作を実現する仕様の電波修正時計100の場合、制御回路205は、リューズ110aが引かれていない状況(いわゆる0段引き)やリューズ101aが一段階しか引かれていない状況(いわゆる1段引き)であるにもかかわらずSR信号を受信すると、異常リセットであると判断する。ここで制御回路は、リューズ110aが、0段引き(引かない状態)、1段引き、2段引きのどの状態であるかを判定できる構成となっている。たとえば、リューズ110aと制御回路205を電気的に接続させておき、状態に応じた状態信号を制御回路205に送信可能な構成とすることができる。
また、たとえば、電池206の電圧値が所定の閾値以下となったことをもってシステムリセット操作を実現する仕様の電波修正時計100の場合、制御回路205は、電池206の電圧値が所定の閾値よりも高いにもかかわらずSR信号を受信すると、異常リセットであると判断する。
SR判定部305は、計時される内部時刻がリセットされた場合、システムリセット発生手段302の判定結果に基づいて、当該リセットが所定の操作による正常リセットであるか当該正常リセット以外の異常リセットであるかを判断する。
たとえば、制御部205が備えるメモリに、正常なシステムリセット動作における操作手段110の状態や、システムリセットが発生しうる電池206の電圧値など(以下、まとめてシステムリセット条件という)をあらかじめ記憶しておく。そして、システムリセットが発生したときに、SR判定部305は、現在の操作手段110の状態や、電池206の電圧値などによって示される現在の状態を検出し、検出した現在の状態とメモリに記憶されたシステムリセット条件との比較をおこなう。
検出した現在の状態と、システムリセット条件とが一致した場合(複数の条件がある場合は、いずれかが一致した場合)は、SR判定部305は正常なシステムリセットであると判定する。検出した現在の状態が、システムリセット条件のいずれにも一致しない場合は、異常リセットであると判定する。このように、この実施の形態においては、制御回路205やシステムリセット発生手段302、SR判定部305によって、この発明にかかる異常リセット判断手段を実現することができる。
指針位置検出部303は、指針105の基準位置を検出する、いわゆる針位置検出をおこなう。指針105の基準位置は、時刻(および曜日や日付)を表示するための基準となる原点位置を示す。指針105の基準位置は、当該指針105を原点位置に位置づける、すなわち指針105を原点復帰させることによって検出することができる。各指針105の基準位置は、時針は「0時」、分針は「0分」、秒針は「0秒」の位置とすることができる。また、曜日針は「日曜日」の位置、日板は「31日と1日との間」の位置とすることができる。
基準位置を検出するための構成としては、たとえば、発光素子と、当該発光素子から発光された光を受光する受光素子とによって構成される光センサを備え、当該光センサからの出力信号に基づいて指針105の基準位置を検出する。具体的に、指針位置検出部303は、たとえば、輪列208の一部を構成する指針車に設けられた貫通孔が光センサの光路を横切ることによる、受光素子における受光量の変化に応じて変動する光センサからの出力信号に基づいて指針105の基準位置を検出する。
また、指針105とインデックス106(時字)の間の容量を検出し、検出された容量に基づいて指針105の基準位置を検出したり、輪列208の逆回転を防止する逆回転防止機構を用いて、逆回転運針される指針105が所定の位置で停止することを利用して指針105の基準位置を検出してもよい。指針105の基準位置を検出する技術については公知の技術を用いて実現可能であるため説明を省略する。
指針105を有する電波修正時計100が異常リセットの発生によってリセットされた場合、内部時刻は初期化されるが、指針105はリセットが発生したときの位置のままである。つまり、内部時刻と、指針105が指し示す時刻とがずれてしまい、電波受信による更新後の内部時刻のみに基づいて指針105を動かしても正確な時刻を表示することができない。
このため、制御回路205は、内部時刻がリセットされた場合は、指針位置検出部303による指針105の基準位置の検出を行い、検出された基準位置と内部時刻のリセット時における指針105の位置との差分の算出をおこなう。この差分は、たとえば、基準位置の検出を開始してから基準位置が検出されるまでに駆動したステッピングモータ202のステップ数から特定することができる。
上述の構成により、制御回路205は、SR判定部305によって異常リセットであると判断した場合、アンテナ107や受信回路204によって時刻情報を有する電波の受信をおこない、取得した時刻情報に基づいて計時される内部時刻を更新し、指針位置検出部303の検出結果(差分)と更新した内部時刻とに基づいて、更新後の内部時刻を時刻表示部に表示することができる。これにより異常リセットが発生した場合であっても、電波修正時計のユーザに対して煩雑な操作をおこなわせることなく、正確な時刻を表示することができる。
また、制御回路205は、異常リセットが発生してから、指針位置検出部303による基準位置の検出にかかる(かかった)時間や、受信回路204によって時刻情報を含む電波を受信する時間、上記基準位置から時刻情報が更新された後の内部時刻に基づく指針105の位置までの指針105の運針にかかる時間を回復処理時間としてカウントし、更新後の内部時刻にこれらの回復処理時間を加味して、指針105の位置を調整することにより、時刻表示部においてより正確な時刻を表示させることができる。
この実施の形態においては、制御回路205、受信回路204、指針位置検出部303、ステッピングモータ202、輪列208などによって、この発明にかかる回復制御手段を実現することができる。
GPS衛星からの電波を取得する電波修正時計においては、仕様によって、受信したTOW信号によりあらわされる週のはじめからの通算秒(TOW)を示すTOW情報や、WN信号によりあらわされる週の番号(WN)を示すWN情報、および、都市情報などの情報を記憶している機種がある。このため、制御回路205は、メモリに記憶されたパラメータ値に応じて、受信する電波を異ならせることができる。
具体的に、制御回路205は、メモリに記憶されたパラメータ値に、都市情報が含まれている場合は、時刻に関する情報のみを受信する測時受信をおこなう。また、メモリに都市情報が含まれていない場合は、位置および時刻に関する情報を受信する測位受信をおこなう。測位受信に際しては、3機または4機のGPS衛星から電波を受信する。
ここで、メモリに都市情報が記憶されていない場合とは、たとえば、ユーザ操作によって都市設定を任意に変更している最中(都市設定を確定する前)に異常なリセットが発生した場合や、一度も測位受信に成功していない工場出荷状態である場合や、異常リセットにより都市情報が想定範囲を超えた場合などが含まれる。
制御回路205は、内部時刻がリセットされ、かつ、都市情報が記憶されていない場合、受信をおこなう前に所定の待機期間の待機をおこない、この待機期間に都市情報が設定されたかを判断してから、測位受信をおこなうか、または測時受信をおこなうかを判断する構成としてもよい。これは、都市情報が設定されれば測時受信をおこなうことができ、測位受信と比較して測時受信の方が、受信環境に対する条件が厳しくなく、また受信時間も短くて済むため、消費電力を抑えることができるためである。
具体的には、たとえば、都市情報が記憶されていない状態であるが、ユーザによる操作手段110の操作によって都市設定を変更している最中である場合は、都市設定がおこなわれる(完了する)までの期間を待機期間として、都市設定がおこなわれる(完了する)まで待機する。これにより、都市情報がメモリに記憶されるため、測時受信をおこなうことができる。
また、所定期間内にユーザ操作などによる都市設定がなされることが見込まれる場合は、都市設定がなされることが見込まれる期間を待機期間として、都市設定がおこなわれるまで待機する構成としてもよい。都市設定がなされることが見込まれる場合とは、たとえば、都市設定を変更するモードではないものの、操作手段110が操作されている(リューズ110aが引かれているまたはプッシュボタン110bが押下されている)ときが挙げられる。その後の操作によっては都市設定モードに移行する可能性があるためである。この場合、都市設定がなされないまま、操作手段110による操作が終了した(たとえば、リューズ110aが0段引きとなり通常の時刻表示モードになった)ときは、都市情報は記憶されていないと判断して測位受信をおこなう。
また、異常リセット後に所定の期間を都市設定がなされることが見込まれる期間として、操作手段110の操作によらず所定の待機期間内に操作手段110による都市設定がなされるかを待機するような構成としてもよい。さらに、異常リセット後の原点復帰後に、都市設定モードに自動的に移行し、所定の待機期間に操作手段110による都市設定がなされるかを待機するような構成とすることもできる。この場合の都市設定がなされることが見込まれる期間(待機期間)は、特に限定されるものではないが、たとえば1分〜5分程度の間で設定することができる。制御回路205は、この所定期間(待機期間)中に都市情報が設定された場合は、測時受信をおこなって、都市情報が設定されなかった場合は測位受信をおこなう。
制御回路205は、メモリに週番号や通算秒などのパラメータ値が記憶されている場合は、メモリに記憶されたパラメータ値に基づいて内部時刻を仮更新し、仮更新後の内部時刻を時刻表示部に表示させることで、表示時刻の仮復帰(±24時間以内)をおこなうことができる。内部時刻の仮更新に際して、制御回路205は、メモリに記憶されているパラメータ値に応じた演算をおこなう。
また、指針位置検出部303の検出結果に基づいて、検出された基準位置と内部時刻のリセット時における指針105の位置との差分から求められたステップ数と異常リセットが発生してからの経過時間カウントを内部時刻に加えることで表示時刻の仮復帰(±1分以内)をおこなうことができる。
内部時刻の仮更新をおこなう場合、仮更新後の内部時刻は、異常リセット発生前にメモリに記憶された情報に基づく内部時刻であるため、正確な時刻に対して誤差を有している可能性が高い。よって、仮更新後の内部時刻を時刻表示部に表示させるのは正常状態に復帰するまでの間に限定することが好ましい。仮更新後の内部時刻を時刻表示部に表示させる仮復帰をおこなう場合、制御回路205は、異常リセットであると判断し、仮復帰させたことを示す運針形態を採用してもよい。具体的には、秒針を1分間隔で1回転させるなど、ユーザに対して通常の運針形態と異なる表示をおこなう。これにより、ユーザに仮復帰に基づく表示時刻であることを知らせることができる。
制御回路205が、メモリに記憶されているパラメータ値に基づいて内部時刻の仮更新をおこない、この仮更新後の内部時刻に基づく表示時刻の仮復帰をおこなうことにより、異常リセットが発生した直後に測位受信あるいは測時受信ができない環境においても、極力正確な時刻に近い時刻を表示することができる。
(制御回路205の処理の具体例)
つぎに、制御回路205の処理の具体例について説明する。はじめに、異常リセット発生後から電波による正確な時刻情報を取得できるまでの間、指針105の針位置検出結果やメモリに記憶された各種の情報などに基づいて、制御回路205による内部時刻の仮更新、および、仮更新された内部時刻に基づく表示時刻の仮復帰をおこなう際の手順について説明する。
この具体例においては、東京時刻における2016年11月22日(火)の14時30分45秒に、異常リセットが発生した場合を想定して説明する。
リセットの発生により、制御回路205が計時する内部時刻は、ロンドン時刻(RON時刻)における2000年1月1日(日)の00時00分00秒に初期化される。また、制御回路205は、異常リセットと判断された場合、回復動作にかかる時間の計測を開始する。具体的には、異常リセットが発生してからの経過時間をカウントするカウンタの動作を開始する。
このとき、内部時刻がロンドン時刻における2000年1月1日(日)の00時00分00秒に初期化されたのに対して、指針105(時針、分針、秒針、曜日針および日板)の位置は22日(火)の14時30分45秒の位置を示す、指針位置ずれの状態となっている。制御回路205は、内部時刻と指針105が示す表示時刻とを一致させるために、針位置検出をおこなう。
時針、分針および秒針の針位置検出に際しては、時針、分針および秒針を基準位置まで運針させることによって、各指針105の基準位置を検出する。この針位置検出をおこなうことにより、指針105の位置を00時00分00秒に移動させることができる。また、針位置検出に際して、制御回路205は、各指針105の基準位置を特定するためにステップモータを駆動したステップ数をカウントし、カウントしたステップ数を記憶しておく。このステップ数に基づいて、針位置検出前の時刻(この例においては14時30分45秒±1分)を特定できる。
曜日や日付を表示する仕様の電波修正時計100においては、時針、分針および秒針の針位置検出に加えて、曜日針および日板の針位置検出をおこなう。曜日針および日板の針位置検出は、時針、分針および秒針の針位置検出と同様に、曜日針および日板を基準位置まで運針させて基準位置を検出することによっておこなう。これにより、曜日針と日板を、1日(日)に移動させることができる。
また、針位置検出に際して、曜表示については、日曜日の位置を検出できるまでステップモータを駆動して曜日針を運針させ、そのステップ数をカウントし、記憶しておく。日表示については、1日の位置を検出できるまでステップモータを駆動して曜日針を運針させ、そのステップ数をカウントし、記憶しておく。このステップ数に基づいて、針位置検出前の曜日と日付(この例においては、火曜、22日)を特定できる。なお、年や月を表示する仕様である場合も同様に針位置検出をおこなえばよい。
あるいは、所定時刻(たとえば00時00分)を検出した際に曜日データと日数データを更新するMONOS型メモリを有する場合は、このメモリに記憶された当該曜日データと日数データとに基づいて、該当するステップ数分だけ、針送りとは逆方向に輪列208を回転させることによって針位置検出をおこなってもよい。これによっても、針位置を基準位置に戻すことができるとともに、検出前の曜日、日付を特定できる。
制御回路205は、指針105(時針、分針、秒針、曜日針および日板)の針位置検出の結果に基づいて、表示時刻を1日(日)の00時00分00秒に調整するようにステッピングモータ202を制御した後に、運針を開始して、表示時刻の補正をおこなう。表示時刻は、以下の条件1〜4を加味して補正することができる。
<条件1:WNの有無>
メモリに週に1回書き込まれるWN情報、LS情報およびロールオーバー情報が記憶されている場合、表示時刻の補正に際しては、当該WN情報に基づいて内部時刻を補正することができる。すなわち、WN情報が示すWNに基づいて、2016年11月20日(日)を過ぎていることを判断できるため、内部時刻を、ロンドン時刻における2000年1月1日(日)の00時00分00秒から、ロンドン時刻における2016年11月20日(日)の00時00分に更新することができる。
ロールオーバー情報とは、前述したWNの桁あふれが所定の開始時点以降に起こった回数を示している。GPS衛星が送信する情報に含まれる週番号WNは、10ビットの情報であって、その最大値は1023である。そのため、1024週(約20年)が経過するごとに週番号WNは桁あふれを起こし、0にリセットされてしまう。そこで、メモリは、この桁あふれ回数を計数するロールオーバー情報を備えている。
WNは、電池206の電圧が低い場合はメモリに記憶されない。電波修正時計100においては、電池206の電圧に基づいてWNの信憑性、すなわち、記憶されているWNを用いるか否かを判断することができる。そして、電池206の電圧が閾値以下であれば記憶されているWNの信憑性が低いと判断して、メモリの記憶内容に基づく内部時刻の補正はおこなわないとすることができる。
<条件2:都市情報の有無>
メモリに都市情報が記憶されている場合、表示時刻の補正に際しては、当該都市情報に基づいて内部時刻を補正することができる。メモリに東京が記憶されている場合は、ロンドンと東京の時差9時間を加味し、内部時刻を、ロンドン時刻における2000年1月1日(日)の00時00分00秒から、東京時刻における2000年1月1日(日)の9時00分に調整することができる。都市情報をメモリに記憶するタイミングは測位受信に成功した場合やユーザ操作によって任意に修正され、都市が確定した時などである。
条件2において内部時刻を補正する都市情報の代わりに、時差を表すタイムゾーンデータや、緯度や経度などの情報を測位受信に成功した場合にメモリへ記憶させ、メモリに記憶されたタイムゾーンデータや、緯度経度高度などを用いて、内部時刻を修正してもよい。
緯度や経度などの情報から位置情報すなわちタイムゾーンデータや都市情報を逆算して求めることが可能である。また、都市やタイムゾーン毎に設定されるサマータイム情報をメモリに記憶させておくことで、より正確に内部時刻を修正することができる。
<条件3:曜日情報>
メモリに1日に1回書き込まれる曜日情報が記憶されている場合、表示時刻の補正に際しては、当該曜日情報に基づいて内部時刻を補正することができる。すなわち、曜日情報に基づいて、内部時刻を、2000年1月1日(日)から、2016年11月22日(火)に調整することができる。
<条件4:針位置検出にかかるステップ数>
表示時刻の補正に際しては、異常リセット位置から針位置検出に際して記憶したステップ数を用いて、内部時刻を(東京時刻における2016年11月)22日(火)の14時30分45秒に補正することができる。
電波修正時計100が有する機能の状態を秒針で示しているとき、具体的には直前の受信結果である「OK」や「NO」を表示している場合や、現在の都市情報「TYO」を表示している場合は、異常リセットがかかると、リセット発生時の内部秒と秒針の針位置とが一致しなくなる。このような場合では、針位置検出によって検出された位置は最大で±1分の誤差を含んでいる場合がある。
表示時刻の補正のため指針105の位置を調整する際には、ステアリングのずれによる空振りが発生することが想定される。ここで、時と分は360ステップで1周する電波修正時計100においては、ステアリングのずれによる空振りが発生していない場合であれば、それぞれ、時針の指針車を435ステップ(14×30+15)、分針の指針車を184ステップ(30×6+4)、秒針の指針車を45ステップ(45×1)、回転させることによって14時30分45秒に補正することができる。このときの表示時刻の範囲は、時針に関しては31分59秒〜30分00秒、分針に関しては49秒〜40秒、秒針に関しては45秒となる。
これに対し、時と分は360ステップで1周する電波修正時計100において、ステアリングのずれによる空振りが発生した場合、時針の指針車は434ステップ分回転したことになる。同様に、分針の指針車を183ステップ、秒針の指針車は44ステップ分回転したことになる。このときの表示時刻の範囲は、時針に関しては29分59秒〜28分00秒、分針に関しては30分39秒〜30秒、秒針に関しては44秒となる。
このような空振りの発生によって、たとえば、分針の指針車のステップが本来184ステップ分回転しているところ実際は183ステップしか回転せず、本来49秒〜40秒の範囲であるにもかかわらず実際は表示時刻の範囲が39秒〜30秒に該当する場合、秒ステップは44秒であるため、分針の指針車を回転させるステップを1ステップ分増やす。これにより、表示時刻は30分44秒を示す。
また、このような空振りの発生によって、たとえば、時針の指針車のステップが本来435ステップ分回転しているところ実際は434ステップしか回転せず、本来31分59秒〜30分00秒の範囲であるにもかかわらず実際は表示時刻の範囲が29分59秒〜28分00秒に該当する場合、分ステップは30分であるため、時ステップを1ステップ分増やす。これにより、表示時刻は14時30分44秒を示す。このように、ステアリングのずれによる空振りが発生した場合にも、メモリの記憶内容に基づいて、1秒のずれの範囲まで、表示時刻を補正することができる。
<条件5:回復動作にかかる時間>
制御回路205は、指針105の位置の補正に際して、異常リセットが発生してから、更新後の内部時刻に基づく表示時刻の補正が完了するまでの一連の動作、すなわち回復動作にかかる時間を加味する。
具体的には、制御回路205は、指針105の位置の補正に際して、異常リセットが発生してからの経過時間をカウントするカウンタのカウント値に基づく数値を、内部時刻に加算する。これにより、より信頼性の高い時刻を表示することができる。
上述の条件に基づいて、電波修正時計100は正常な時刻からの若干のずれが生じる可能性はあるものの、仮復帰をすることができ、電波受信をおこない正確な時刻情報を取得するまでの間、時刻表示をおこなうことができる。このとき、仮復帰であることを示す表示を設けておいてもよく、たとえば、秒針の運針を数秒おきにする、1分間隔で1回転させる、逆回転をおこなわせるなど通常の運針とは異なる運針にしたり、機能針の一つが異常を示す位置を指し示すような構成とすることができる。これにより、電波修正時計100が異常状態にあることをユーザに知らせることができる。
仮復帰の状態から、時刻情報を含む測位受信をおこなうことで、内部時刻に更新する復帰をおこなうことができるが、上述の<条件1>〜<条件5>によっては、測時受信のみでよいなど、受信の種類を異ならせることで受信時間を短縮させ、ユーザの煩わしさを軽減することができる。
上述の<条件1>が揃わない、すなわちメモリに週に1回書き込まれるWN情報、LS情報が記憶されていない場合、閏秒受信、測位受信、測時受信をおこなうことによって復帰できる。また、測位受信の中でLS情報や時刻情報を同時に取得する場合も含まれる。
上述の<条件2>が揃わない、すなわちメモリに都市情報が記憶されていない場合、測位受信をおこなうことによって復帰できる。また、測位受信の中で時刻情報を同時に取得する場合も含まれる。<条件2>が揃っている、すなわち、メモリに都市情報が記憶されている場合は、位置情報が分かっていることになるため、測時受信をすれば、正確な内部時刻に更新することができる。測位受信は測時受信と比較して、受信時間が長くなるため消費電力が大きい。そこで、揃っている条件によっては測位受信をおこなわずに測時受信のみをおこなうことにより、省電力化を実現できる。
上述の<条件1>〜<条件5>に応じて、電波受信の緊急性や求められる受信環境について、数段階のレベルに分けるようにしてもよい。特に、都市情報を有さない<条件1>および<条件2>が揃わない場合は、受信の緊急度が高く、4機の捕捉衛星数が必要となる測位受信をおこなう必要があるため、受信環境は安定したところであることが望ましい。
<条件1>および<条件2>が揃っていて、<条件3>〜<条件5>のいずれかが揃っていない場合は、測時受信となるが、測時受信に際しての捕捉衛星数は1機でよく、測位受信の環境よりは低いレベルにすることができる。緊急性については、<条件1>に次ぐレベルにしてもよいし、仮復帰の再現度合いに応じてレベルを分けてもよい。<条件1>〜<条件5>がすべて揃っている場合は、仮復帰の表示時刻は正確な時刻とのずれが少ないと考えられるため、レベルは最も低くするような構成としてもよい。LS情報については、衛星から電波を受信するのではなく、ユーザが任意に手動での設定ができる構成にすることで受信の種類を削減することもできる。
なお、異常リセットが発生した場合、指針105を原点復帰させてから自動受信が完了するまでの間、当該指針105を原点位置で停止したままにしてもよい。
(電波修正時計100の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の電波修正時計100のシステムリセット発生時の異常リセット判断処理手順について説明する。図4は、この発明にかかる実施の形態1の電波修正時計100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4のフローチャートにおいて、システムリセットが発生したとき、CPUが計時する内部時刻はたとえば、ロンドン時刻における2000年1月1日(日)00:00:00(00時00分00秒)となっている。はじめに、システムリセット発生手段302から制御回路205に出力されたSR信号が、正常リセットによるものか異常リセットによるものかを判断する(ステップS401)。具体的には、上述したように、制御回路205のSR判定部305によって、メモリに記憶されたシステムリセット条件と、リセット発生時の電波修正時計100の状態とを比較する。
システムリセット条件と現在の状態とが一致した場合は正常なリセットであると判断し(ステップS401:No)、正常リセットであるフラグをONにして(ステップS416)、回復処理を抜けて終了とする。つまり、正常リセット時の動作モードに移行する。システムリセット条件が複数ある場合は、いずれかの条件に一致した場合に正常なリセットであると判断してもよい。このとき、正常リセットであるフラグ情報に、一致したシステムリセット条件の情報を付与し、この一致したシステムリセット条件に対応する動作モードに移行する構成としてもよい。ステップS401において、異常リセットに拠る場合(ステップS401:Yes)、回復制御手段による回復処理を開始する。
つぎに、制御回路205は、異常リセットが発生してからの経過時間をカウントするカウンタをスタートする(ステップS402)。つぎに、針位置検出を開始する(ステップS403)とともに、当該針位置検出に際して、指針105を原点復帰させるまでのステッピングモータ202のステップ数を記憶する(ステップS404)。ステップS404の処理により、異常リセットが発生した時点における表示時刻を特定することができる。
そして、ステップS404において記憶されたステップ数に基づいて仮復帰動作をおこなう(ステップS405)。ステップS405においては、指針105の位置を異常リセットが発生した時点における表示時刻に応じた位置にあわせることによって見かけ上の表示時刻を修正(表示時刻を仮復帰)させる。
また、ステップS405においては、ステップS402においてカウントをスタートしたカウント値、すなわち、異常リセットが発生してからの経過時間を加味して表示時刻を仮復帰させてもよい。異常リセットが発生してからの経過時間、すなわち、回復動作にかかる時間を加味して表示時刻を仮復帰させることにより、異常リセットにより初期化された内部時刻の補正中に、さらに異常リセットが発生した場合にも、回復動作にかかる時間を加味して表示時刻を仮復帰させることができる。
また、ステップS405においては、メモリに都市情報やWN情報、曜日情報などが記憶されている場合には、その記憶された情報とS404で記憶されたステップ数に応じて、内部時刻と表示時刻とを連動させて仮復帰することもできる。
つぎに、電波受信による復帰動作をおこなう。まず、メモリに都市情報が記憶されているか否かを判断する(ステップS406)。ステップS406において、メモリに都市情報が記憶されている場合(ステップS406:Yes)、測時受信をおこなう(ステップS407)。ステップS407においては、1機のGPS衛星から送信される時刻情報を含む電波を受信することによって、測時データを取得することができる。
つぎに、ステップS407における測時受信によって、測時データを取得したか否かを判断する(ステップS408)。ステップS408において、測時データを取得した場合(ステップS408:Yes)、メモリに記憶されている都市情報と取得された測時データに基づいて内部時刻を修正する(ステップS413)。そして、ステップS413において修正された内部時刻に基づいて、指針105の位置を修正された内部時刻に応じた位置にあわせる針位置合わせをおこなって、表示時刻を修正する(ステップS414)。
その後、受信結果を更新して(ステップS415)、一連の処理を終了する。ステップS415においては、たとえば、秒針などの特定の指針105を運針させてマーカー108の「OK」を指し示し、ユーザに知らせてもよい。ステップS415においては、メモリに確保された所定のエリアにおいて記憶する最新の受信結果に関する情報を更新することによって受信結果の更新を実現してもよい。このように最新の受信結果に関する情報を記憶することにより、ユーザの操作に応じて、常に最新の受信結果を報知することができる。
ステップS408において、測時データを取得できていなかった場合(ステップS408:No)、ステップS407において測時受信をおこなってからの時間が所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS409)。ステップS409において、所定時間が経過した場合(ステップS409:Yes)、ステップS407へ移行して測時受信をおこなう。受信失敗時に直ちに再受信をおこなっても再び失敗するおそれがあり、そのような場合は消費電力が大きくなってしまう。そのため、時間間隔をあけて再受信をおこなうことにより、消費電力量を抑制させるとともに、受信成功率を高くすることができる。なお、ステップS409の処理を省略することもできる。
ステップS406において、メモリに都市情報が記憶されていない場合(ステップS406:No)、測位受信をおこなう(ステップS410)。ステップS410においては、たとえば、4機のGPS衛星から電波を受信することによって測位受信をおこなう。
ここで、メモリに都市情報が記憶されていないとき(ステップS406:No)において、上述のようにユーザ操作によって都市設定を変更している最中である場合、または、所定期間内にユーザ操作などによる都市設定がなされることが見込まれる場合は、すぐに測位受信をおこなわずに、所定の間待機してもよい。具体的には、あらかじめ定めた所定の待機期間をカウントし、待機期間中に都市情報が設定されたかを判断する。そして、待機期間内に都市情報が設定された場合は測時受信をおこなうステップS407に進み、都市情報が設定されなかった場合は測位受信をおこなうステップS410に進む。
つぎに、ステップS410における測位受信によって、測位データを取得したか否かを判断する(ステップS411)。測位データは、GPS衛星から受信した電波に基づいて取得することができ、時刻情報および位置情報を含む。位置情報は、4機のGPS衛星との距離をそれぞれ算出し、それぞれの距離が一つに交わる地点、または、当該地点を含むタイムゾーンを示す。
ステップS411において、測位データを取得した場合(ステップS411:Yes)、ステップS413へ移行し、取得された測位データに基づいて内部時刻を修正する。測位受信をおこなった場合、GPS衛星から受信した電波に含まれる時刻情報と、各GPS衛星との距離に基づいて算出される位置情報と、に基づいて正確な内部時刻を修正することができる。
一方、ステップS411において、測位データを取得していない場合(ステップS411:No)、測位受信をおこなってからの時間が所定時間を経過したか否かを判断するステップS412に進むが、このステップS412の動作はS409と同様である。
このように、電波修正時計100は、メモリに記憶されたパラメータ値に基づく時刻を表示させる期間を、更新後の内部時刻を表示させるまでの間に限定し、測時データまたは測位データに基づく内部時刻の更新後は電波修正時計100のユーザによる操作を介することなく、更新後の内部時刻にあわせて補正した表示時刻を表示する。これにより、電波修正時計100のユーザに対して、煩雑な操作をおこなわせることなく、正確な時刻を表示させることができる。
なお、ステップS406においてメモリに都市情報が記憶されているか否かの判断をおこなってから、ステップS413において内部時刻を修正するまでの間の処理は、ステップS403における針位置検出から、ステップS405において表示時刻を仮復帰させるまでの処理と並行しておこなってもよい。具体的には、ステップS406:Yesを経由した後のステップS407における測時受信の結果取得した測時データに基づいて内部時刻を修正する処理、あるいは、ステップS406:Noを経由した後のステップS410における測位受信の結果取得した測位データに基づいて内部時刻を修正する処理と、針位置検出から表示時刻を仮復帰させるまでの処理と、を並行しておこなってもよい。
なお、秒針や機能針などによって仮復帰動作中であることを示す動作をおこなっていた場合は、ステップS414によって表示時刻を修正したときは、仮復帰動作中である動作を停止させて、正常時の運針状態に戻す構成としてもよい。
図4のフローチャートに示す処理においては、異常リセットが発生した場合は針位置検出などをおこなって表示時刻を仮復帰させるとともに、メモリに都市情報が記憶されているか否かを判断し、都市情報が記憶されていれば測時受信のみをおこない、都市情報が記憶されていない場合に測位受信をおこなって、各受信結果に基づいて内部時刻や表示時刻を修正するようにしたが、測時受信や測位受信をおこなうタイミングはこれに限るものではない。
たとえば、異常リセットが発生した場合にはまずは測位受信をおこない、測位受信に失敗したときに表示時刻の仮復帰をおこなうようにしてもよい。以下に、異常リセットが発生した場合にまずは測位受信を試みる場合の、上記とは別の処理手順の一例について説明する。
(実施の形態1の別の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の電波修正時計100の別の処理手順について説明する。上述した実施の形態1の処理手順との違いは、異常リセット発生後にまず測位受信をおこない、測位データが取得できた場合は、そのデータ内容に基づいて時刻を修正し、取得できなかった場合に、仮復帰動作をおこなう点である。図5は、この発明にかかる実施の形態1の電波修正時計100の別の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、まず、SR判定部305による異常リセットが発生したかの判断(ステップS501)と異常リセットが発生してからの経過時間をカウント(ステップS502)、および、ステップS501において正常なリセットであると判断した場合の処理(ステップS518)については、図4のS401、S402、S416と同様であるため、説明を省略する。
ステップS502のつぎに、制御回路205は測位受信をおこなう(ステップS503)。また、針位置検出(ステップS504)と、針位置検出による指針105を原点復帰させるまでのステッピングモータ202のステップ数の記憶(ステップS505)をおこなう。このステップS504、S505は上述したステップS403、S404とそれぞれ同様の動作である。そして、ステップS504においておこなった測位受信により、測位データを取得できたか否かを判断する(ステップS506)。
ステップS506において、測位データを取得した場合(ステップS506:Yes)、取得された測位データに基づいて内部時刻を修正する(ステップS515)。そして、ステップS515において修正された内部時刻に基づいて、指針105の位置を内部時刻に応じた位置にあわせる針位置合わせをおこなって、表示時刻を修正する(ステップS516)。その後、受信結果を更新して(ステップS517)、一連の処理を終了する。
一方、ステップS506において、測位データを取得できなかった場合(ステップS506:No)、仮復帰動作をおこなう(ステップS507)。仮復帰動作から正確な時刻への復帰までのフロー(S507〜S514)については、それぞれ上述に記載のステップS405〜S412と同様であるため、説明を省略する。
なお、ステップS506による測位データの取得ができていなかったということは、受信に失敗している可能性が高く、受信環境が整っていないおそれがある。そのため、仮復帰動作後の受信時期はS503での測位受信の時間から所定時間経過した後とするように制御してもよい。
このように、異常リセット発生後にまず測位受信による復帰を試み、測位受信データが取得できなかった場合のみ仮復帰動作をおこなうような構成とすることができる。
図5においては、測位受信(ステップS503)の後に、針位置検出(ステップS504)とステップ数の記憶(ステップS505)をおこなう順番となっているが、これに限定されず、針位置検出とステップ数の記憶をおこなってから測位受信をおこなってもよいし、測位受信及び針位置検出とステップ数の記憶は並行しておこなってもよい。
<実施の形態2>
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の電波修正時計100について説明する。実施の形態2は、異常リセットの発生後、電波の受信をおこなう前に受信環境を検出し、電波受信がおこなえる環境であると判断されたときに受信を開始する構成が加わったことが実施の形態1と異なる。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図6は、この発明にかかる実施の形態2の電波修正時計100のハードウエア構成を示す説明図である。図6に示すように、この発明にかかる実施の形態2の電波修正時計100のハードウエアは、アンテナ107と、制御装置301と、ステッピングモータ202と、輪列208と、指針105と、電池206と、ソーラーセル109と、によって構成されている。制御装置301は、上記の受信回路204および制御回路205と、システムリセット発生手段302と、指針位置検出部303と、状態判定部601と、によって構成されている。
状態判定部601は、受信環境の検出をおこない、判定結果に基づく信号を制御回路205に出力する。電波の受信環境は、電波修正時計100が電波の受信をおこなう際の環境であって、受信が可能な状況であるかどうかを判断する。詳細には、測位受信が可能であるか、測時受信が可能であるか、受信が不可能な状況であるかを判断するように構成することもできる。
状態判定部601は、たとえば、ソーラーセル109から電池206に流れる電流値を発電量として計測し、計測したソーラーセル109の発電量に応じて電波の受信環境が電波の受信環境が電波の受信に適しているか(整っているか)否かを判定し、その結果に基づく信号を制御回路205に対して出力する。また、状態判定部601は、電池206の電圧値(電圧レベル)または電池206の電力値を計測し、電池206の電圧値または電池206の電力値に応じて判定をおこなってもよい。
また、状態判定部601は、電池206の電圧値または電池206の電力値が所定の閾値を上回ったまたは下回った場合など特定の条件に応じて判定をおこなってもよい。これらの状態判定部601は、異常リセット発生時から電波受信をおこなうまでの間に間欠的にまたは常時動作するように制御回路205によって制御される。
制御回路205は、状態判定部601から出力される判定信号に基づいて、整っている(測位受信に適している)と判定された信号が検出されたときに、電波受信を開始する。さらに一度、受信動作を開始し、衛星の捕捉動作を完了した時点で、再度受信環境を判断してもよい。この場合は受信している衛星の数や信号強度などによって判断できる。
このように、この実施の形態においては、制御回路205や状態判定部601によって、この発明にかかる受信環境判定手段を実現することができる。
また、電波修正時計100が3軸加速度センサを備える場合、状態判定部601は、3軸加速度センサの出力値に応じて判定をおこなう構成とすることができる。3軸加速度センサは、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の加速度を検出することができ、これらの出力信号に基づいて、電波修正時計100の姿勢を検出することができる。
電波修正時計100が電波を受信するためには、アンテナの受信領域が、衛星電波がある天頂方向に向いている状態であることが好ましい。電波修正時計100の姿勢を検出することにより、アンテナの受信領域が天頂方向に対してどれくらいの角度であるかを検出することができるため、この出力値に基づいて受信が可能であるか否か(受信環境が整っているか否か)を判定することができる。
状態判定部601が判定をおこなうために使用する信号は、上述の発電量や電圧値、電力値、姿勢の組合せであってもよく、複数の組合せに応じて、測位受信、測時受信、受信不可の判定をおこなうようにすることができる。
(電波修正時計100の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の電波修正時計100の処理手順について説明する。図7は、この発明にかかる実施の形態2の電波修正時計100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートにおいて、SR判定部305による異常リセットが発生したかの判断(ステップS701)、異常リセットが発生してからの経過時間をカウント(ステップS702)、針位置検出(ステップS703)、ステップ数の記憶(ステップS704)、仮復帰動作(ステップS705)、メモリに都市情報が記憶されているかの判断(ステップS706)、および、ステップS701において正常なリセットであると判断した場合の処理(ステップS716)については、図4のS401〜S406、S416と同様であるため、説明を省略する。
ステップS706において、メモリに都市情報が記憶されていない場合(ステップS706:No)、測位受信動作をおこない回復動作を開始する。ここで、電波受信動作を開始する前に、電波の受信環境が整っているか否かを判断する(ステップS707)。ステップS707においては、たとえば、ソーラーセル109による発電にかかる電流値が所定の閾値を超えているか否かを判断することにより、電波の受信環境が整っているか否かを判断することができる。
あるいは、上述したように、電池206の電圧値または電力値が所定の閾値を超えているか否かを判断したり、3軸加速度センサの出力値に基づく電波修正時計100の姿勢に対して、受信領域の天頂方向に対する傾きが所定の閾値範囲に属するか否かを判断することにより、電波の受信環境が整っているか否かを判断することができる。
ステップS707において、電波の受信環境が整っている場合(ステップS707:Yes)、測位受信をおこなう(ステップS708)。つぎに、ステップS708においておこなった測位受信により、測位データを取得したか否かを判断する(ステップS709)。
ステップS709において、測位データを取得した場合(ステップS709:Yes)、取得された測位データに基づいて内部時刻を修正する(ステップS713)。これ以降の内部時刻の修正(ステップS713)、表示時刻の修正(ステップS714)、受信結果の更新(ステップS715)は、上述したステップS413〜S415とそれぞれ同じ動作であるため、説明を省略する。
ステップS707において、電波の受信環境が整っていない場合(ステップS707:No)は、定期的に受信環境を確認して、受信環境が整うまで待機する。このとき、直ちに受信環境が整う可能性は低く、その間も連続的に発電量や電圧値、加速度センサの出力値を検出すると消費電力が大きくなる。そのため、所定期間の待機期間を設け、所定期間経過後に受信環境が整っているかを改めて判断するような構成にすることによって、消費電力量を抑えることができる。
ここで、受信環境が整うまで待機している期間に、ユーザの操作によって受信環境の確認操作や強制受信がおこなわれたときは、上述の次の受信環境が整うまで待機すること無く受信をおこなってもよい。また、ユーザが異常リセットに気づいていない場合、強制受信として測時受信をおこなう可能性があるが、ステップS706のNo判断のように、都市情報が記憶されていない状況においては、測時受信のみをおこなっても正しい時刻に復帰することはできない。そこで、都市情報が記憶されていない場合は、ユーザ操作により測時受信操作がおこなわれたとしても、測位受信をおこなう構成にすることにより、確実に正常な時刻に回復することができる。
また、ステップS709において測位データが取得できなかった場合(ステップS709:No)も、再受信をするにあたってステップS707の受信環境が整っているか否かを再びおこなうが、このとき、次の受信環境の確認をおこなうまで所定期間の待機期間を設け、所定期間経過後に受信環境が整っているかを改めて判断するような構成にすることによって、消費電力量を抑えることができる。
ステップS706において、メモリに都市情報が記憶されている場合(ステップS706:Yes)、測時受信動作をおこない回復動作を開始する。測時受信による回復動作は図7に示すステップS710〜S712,S713〜S715となるが、測位受信の場合と受信モードが測時受信モードであることを除いては同じ動作であるため、説明を省略する。
なお、受信環境が整わないまたは、測時データが取得できなかった場合、その期間中にタイムゾーンを跨ぐ移動が生じたりする可能性があり、測時だけでは正しい時刻情報に修正できなくなるおそれがある。そこで、ステップS712において測時データの取得ができなかった場合は、測位受信モードに切り換える(ステップS707に移行する)構成にしてもよい。
このように、受信環境が整っている場合にのみ電波の受信をおこなわせることにより、不要な電力消費を抑制し、省電力化を図ることができる。そして、これにより、たとえば、電力不足に起因して電波修正時計100の機能の一部が制限される機会を減らすことができる。
受信環境が整っているか否かの判断においては、上述したように、電波受信の緊急性と求められる受信環境性に基づいて判断基準のレベル分けをおこない、当該判断基準に基づいて判断してもよい。判断基準は、たとえば、上記の<条件1>〜<条件5>のうち、いずれの条件が揃っていていずれの条件が揃っていないか、および、揃っている条件と揃っていない条件との組み合わせパターンなどに基づいて上述したようにレベル分けすることができる。
具体的には、たとえば、電波受信の緊急性に基づいて判断基準をレベル分けする場合、都市情報にかかる<条件1>もしくは<条件2>が揃わない場合は高いレベルを設定し、<条件1>と<条件2>が揃っており、かつ、<条件3>〜<条件5>のいずれかが揃っていない場合は、<条件1>と<条件2>が揃わない場合よりも低いレベルを設定する。
また、電波受信の緊急性に基づいて判断基準のレベル分けをおこなう場合、当該判断基準は、仮復帰の再現度合いに応じてレベルを分けてもよい。たとえば、<条件1>〜<条件5>がすべて揃っている場合は、仮復帰の表示時刻は正確な時刻とのずれが少ないと考えられるため、<条件1>と<条件2>が揃っており、かつ、<条件3>〜<条件5>のいずれかが揃っていない場合よりも低いレベル(最も低いレベル)を設定してもよい。
受信環境の判断に際して、このレベルに応じて受信環境の可否を決めてもよい、たとえば、緊急性が高い場合は、受信環境の可否の判断周期を早めたり、受信環境の可否の判断基準となる発電量や電池電圧値の閾値を低く設定したり、測位受信が必要な場合は、天頂に対する電波修正時計100の受信領域の角度の閾値を高く(天頂に近い状態で可と判断する)したりすることができる。
図7のフローチャートに示す処理においては、システムリセットの発生にともない仮復帰をおこない、その後の、測時受信、測位受信のそれぞれの受信をおこなう前に、受信環境が整っているかの判断をするとして説明をおこなった。受信環境の判定手段を有する電波修正時計の処理の順番はこれに限定されず、たとえば、受信環境に応じて受信をおこなうか否かを判断するとともに、仮復帰をするか否かの判断をおこなってもよい。つぎに、上述の実施の形態2とは別の処理手順の一例について説明する。
(実施の形態2の別の処理手順)
この発明にかかる実施の形態2の電波修正時計100の別の処理手順について説明する。実施の形態2の別の処理手順では、システムリセット発生後に受信環境が整っているかを判定し、受信環境が整っている場合は電波の受信をおこない、受信環境が整っていない場合に仮復帰をおこなう。図8は、この発明にかかる実施の形態2の別の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートにおいて、SR判定部305による異常リセットが発生したかの判断(ステップS801)、異常リセットが発生してからの経過時間をカウント(ステップS802)、指針位置検出手段303による針位置検出(ステップS803)、ステップ数の記憶(ステップS804)については、図4のS401〜S404と同様であるため、説明を省略する。
つぎに、制御回路205は受信環境が整っているかを判断する(ステップS805)。受信環境は状態判定部601の出力に応じて判断され、上述した電圧値または電力値、3軸加速度センサの出力値に基づく天頂方向に対する電波修正時計100の姿勢を用いることができる。
ステップS805において、電波の受信環境が整っている場合(ステップS805:Yes)、受信動作処理に進む。受信動作処理のはじめに、メモリに都市情報が記憶されているかを判断する(ステップS806)。ステップS806の処理内容は、図4のS406と同様である。
メモリに都市情報が記憶されている場合(ステップS806:Yes)は時刻情報を取得する測時受信をおこない(ステップS807)、メモリに都市情報が記憶されていない場合(ステップS806:No)は時差情報および時刻情報を取得する測位受信をおこなう(ステップS808)。
そして、制御回路205は、測時受信または測位受信の受信結果を判断する。つまり、それぞれの受信モードで内部時刻を修正するのに必要なデータを取得したかを判断する(ステップS809)。ここで、測時受信の場合は、時刻情報が取得できた否かが判断され、測位受信の場合は、時差情報と測時情報の両方が取得できたか否かが判断される。
ステップS809において、内部時刻を修正するのに必要なデータが取得できた場合(ステップS809:Yes)、取得した時刻情報に関する受信データに基づいて内部時刻を修正する(ステップS810)。そして、内部時刻情報に基づいて指針105の時刻修正をおこない(ステップS811)、受信結果を更新して(ステップS812)、回復動作処理を終了する。
この、内部時刻の修正(ステップS810)、表示時刻の修正(ステップS811)、受信結果の更新(ステップS812)は、上述したステップS413〜S415とそれぞれ同じ動作であるため、説明を省略する。
ステップS805において、電波の受信環境が整っていない場合(ステップS805:No)は、仮復帰動作処理に進む。受信環境が整っていない場合、つぎに受信環境が整うまでの期間は、正しい内部時刻情報を計時できず、ユーザはそのときまで電波修正時計100を用いることができなくなってしまう。そこで、システムリセット発生時に電波修正時計100のメモリに記憶されている情報と、針位置検出による指針105の位置から、仮時刻を表示する。このとき、上述したユーザに仮復帰したことを知らせる機構を備えていることが好ましい。
仮復帰動作処理では、はじめに、すでに仮復帰動作が行われているかを判断する(S813)。仮復帰がまだなされていない場合(ステップS813:No)は、仮復帰動作をおこなう(ステップS814)。仮復帰動作については、上述したステップS405と同様の処理であるため説明を省略する。
仮復帰動作後、制御回路205は、所定期間が経過したかを判断する(ステップS815)。所定期間が経過していない場合(ステップS815:No)は、所定期間が経過するまで待機する。ステップS815は、受信環境が整っていないときにおこなわれる行程であり、直ちに受信環境が整う可能性は低く、その間も連続的に発電量や電圧値、加速度センサの出力値を検出すると消費電力が大きくなる。そのため、所定期間の待機期間を設け、所定期間経過後に受信環境が整っているかを改めて判断するような構成にすることによって、消費電力量を抑えることができる。所定期間が経過した場合(ステップS815:Yes)、ステップS805に戻り、受信環境の再確認をおこなう。
また、ステップS809において内部時刻情報を更新するための受信データが取得できなかった場合(ステップS809:No)は、ステップS813に移行し、仮復帰動作(ステップS813)、所定期間の待機(ステップS815)をおこなってから、受信環境の再確認(ステップS805)の動作をおこなうステップに進む。
ステップS813において、システムリセットが発生してから、最初の受信環境確認をおこない、受信環境が整っていると判断されて、測位受信または測時受信がおこなわれたものの、時刻情報に関する受信データが取得できなかったとき(ステップS809:No)、または、最初の受信環境確認において、受信環境が整っていないと判断されたとき(ステップS805:No)は、仮復帰動作がまだおこなわれていない状態であるため、上述のとおり仮復帰動作がおこなわれる。しかし、一度仮復帰をおこなった後は、仮復帰動作は不要である。そこで、仮復帰動作がおこなわれたことをメモリに記憶させておき、二度目の仮復帰をおこなわないようにすることができる。
仮復帰が不要であるとは、たとえば2回以上の受信環境の再確認をおこなうときや、ステップS806〜S809にかかる時刻情報に関する受信データの取得に、2回以上失敗したときなどが挙げられる。これにより、不要な仮復帰動作を回避することができる。
ステップS801において、システムリセット条件と現在の状態とが一致した場合は正常なリセットであると判断し(ステップS801:No)、正常リセットであるフラグをONにして(ステップS816)、回復処理を抜けて終了とする。つまり、正常リセット時の動作モードに移行する。この動作については図4のステップS416と同様であるため説明を省略する。
このように、受信環境が整っていない場合にすぐ仮復帰をおこなうことにより、迅速に時刻の仮表示をおこなうことができる。
なお、受信環境が整わない、または、測時データが取得できなかった場合、次の受信までの待機期間中にタイムゾーンを跨ぐ移動が生じたりする可能性があり、測時だけでは正しい時刻情報に修正できなくなるおそれがある。そこで、測時受信の条件であっても所定期間が経過した後は、測位受信をおこなう構成にしてもよい。
<実施の形態3>
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の電波修正時計100について説明する。実施の形態3では、針位置検出を時刻関連情報の取得タイミングのうち、次の時刻関連情報を取得するまでの待機時間中におこなうとしたものである。実施の形態3においては、上述した実施の形態1、2と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図9は、この発明にかかる実施の形態3の電波修正時計100の処理の概要を示す説明図である。図9において、この発明にかかる実施の形態3の電波修正時計100は、GPS衛星から送信され、少なくともTOW情報、WN情報およびLS情報の3種類の時刻関連情報を含む電波を受信する。
これら3つの情報は、TOWは6秒間隔、WN情報は30秒間隔、LS情報は12分30秒間隔というように、それぞれ異なるタイミングで送信電波に付与されるため、TOW情報を受信してからWN情報を受信するまで、および、WN情報を受信してからLS情報を受信するまでには時間的な間隔が存在する。実施の形態3の電波修正時計100は、この間隔を有効に活用し、該当する情報を受信するまでの間に針位置検出901〜903をおこなうものである。
電波修正時計によっては、電波受信と針位置検出などの複数の負荷を同時におこなうことができない。また、電池残量によっては、複数の負荷によってシステムダウンを起こす可能性がある。このような場合であっても、電波の受信と指針105の基準位置の検出とを効率よくおこなうことにより、電波修正時計にかかる負荷を軽減し、かつ、迅速に正常状態に復帰することができる。これにより、電波修正時計100のユーザに対して、煩雑な操作をおこなわせることなく、正確な時刻を迅速に表示させることができる。
(実施の形態3の電波修正時計100の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の電波修正時計100の処理手順について説明する。図10は、システムリセット信号が発生したときの実施の形態3の電波修正時計100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートにおいて、まず、SR判定部305による異常リセットが発生したかの判断をおこなう(ステップS1001)。ステップS1001において、異常リセットが発生した場合(ステップS1001:Yes)、回復動作をおこなう。
つぎに、電波の受信環境が整っているか否かを判断する(ステップS1002)。ステップS1002において、電波の受信環境が整っていると判断した場合(ステップS1002:Yes)、TOW情報を受信するまで待機する(ステップS1003:No)。
ステップS1003において、TOW情報を受信した場合(ステップS1003:Yes)、受信されたTOW情報は、メモリに記憶されると共に、内部時刻に反映させ、受信動作を低消電状態にし、WN情報やLS情報が到来するタイミングを算出する(ステップS1004)。ここで、低省電状態とは、たとえば、アンテナ107や受信回路204に電力を供給しない待機状態、または、必要最低限の電力のみを供給するパワーセーブ状態のことをいう。
そして、WN情報またはLS情報が到来するタイミングまで秒針の針位置検出を開始する(ステップS1005)。ステップS1005においては、たとえば、指針105の原点復帰を開始するとともに、原点復帰までに駆動したステッピングモータ202のステップ数のカウントを開始する。
つぎに、WN情報を取得(記憶)しているかを確認する(ステップS1006)。メモリがWN情報を有していないとき(ステップS1006:No)は、WN情報を含む電波の取得動作をおこなう。まず、先に算出したWN情報が到来するタイミングであるかを確認する(ステップS1007)。WN情報が到来するタイミングである場合(ステップS1007:Yes)は、S1005で開始した針位置検出が完了しているか否かを判断する(ステップS1008)。WN情報が到来するタイミングでない場合(ステップS1007:No)は、次のWN情報が到来する次のタイミングまで待機する。
針位置検出が完了している場合(ステップS1008:Yes)は、指針105は原点に復帰して停止しており、制御回路205は受信回路204の受信動作を低消電状態から通常受信状態に復帰させ、WN情報を受信する(ステップS1009)。受信されたWN情報は、メモリに記憶されると共に、内部時刻に反映させ、受信動作を低消電状態にし、LS情報の確認ステップに進む。
一方、針位置検出が完了していない場合(ステップS1008:No)は、一旦、針位置検出動作の中断(ステップS1010)をしてから、WN情報の受信動作をおこなう(ステップS1011)。このステップS1011の動作は前述したステップS1009と同様である。WN情報の取得が完了した後に針位置検出動作を再開し(ステップS1012)、LS情報の確認ステップに進む。上述のステップS1006において、すでにWN情報をメモリに記憶されている場合もLS情報の確認ステップに進む。
つぎに、LS情報を取得(記憶)しているかを確認する(ステップS1013)。メモリがLS情報を有していないとき(ステップS1013:No)は、LS情報を含む電波の取得動作をおこなう。まず、先に算出したLS情報が到来するタイミングであるかを確認する(ステップS1014)。WN情報が到来するタイミングである場合(ステップS1014:Yes)は、S1005で開始した針位置検出が完了しているか否かを判断する(ステップS1015)。LS情報が到来するタイミングでない場合(ステップS1014:No)は、LS情報が到来する次のタイミングまで待機する。
針位置検出が完了している場合(ステップS1015:Yes)は、指針105は原点に復帰して停止しており、制御回路205は、LS情報が到来するタイミングで受信動作を低消電状態から通常受信状態に復帰させ、LS情報を受信する(ステップS1016)。受信されたLS情報は、メモリに記憶されると共に、内部時刻に反映させ、受信動作を終了し、以降RTCによる内部計時を実施する。
一方、針位置検出が完了していない場合(ステップS1015:No)は、一旦、針位置検出動作の中断(ステップS1017)をしてから、LS情報の受信動作をおこなう(ステップS1018)。このステップS1018の動作は前述したステップS1016と同様である。LS情報の取得が完了した後に針位置検出動作を再開する(ステップS1019)。
つぎに、ステップS1005において開始した秒針、分針、時針の全ての針位置検出が完了しているか否かを判断する(ステップS1020)。ステップS1020において、いずれかの針位置検出が完了していない場合(ステップS1020:No)、全ての針位置検出が完了するまで待機する。一方、ステップS1020において、全ての針位置検出が完了した場合(ステップS1020:Yes)、ステップS1003〜S1019の動作において修正された内部時刻に基づいて、指針105の位置を当該内部時刻に応じた位置にあわせる針位置合わせをおこなう(ステップS1021)。ステップS1021の処理によって、表示時刻が修正される。
ステップS1002において、電波の受信環境が整っていないと判断した場合、受信環境が整うまで待機する。このとき、次の受信環境が整っているかの判断のときまでの待機時間を設け、所定時間が経過した後に受信環境の検出をおこなうようにしてもよい。
また、WN情報取得タイミング(ステップS1007:Yes)やLS情報取得タイミング(ステップS1014:Yes)が到来した時に、S1002と同様に受信環境が整っているかを確認し、整っていない場合は、それぞれ次回の情報が到来するタイミングまで待機するようにしてもよい。
上述の実施の形態3においては、WN情報の取得後にLS情報の確認ステップに進む行程であるとして説明をおこなった。送信電波に含まれる情報によっては、WN情報よりもLS情報のほうが早く取得できる可能性がある。そこで、ステップS1007でWN情報取得のタイミングでない場合は、次のWN情報の到来タイミングまで待機するのではなく、LS情報を取得済みであるかを確認し、取得していなければ、先にLS情報が取得できるタイミングであるかどうか(ステップS1014相当)を確認して、LS情報の取得をWN情報の取得よりも先におこなうような構成としてもよい。
このとき、LS情報の取得タイミングでなければ、またWN情報の到来するタイミングまで待機する構成としてもよい。また、LS情報取得タイミングであり、LS情報を先に取得できた場合は、WN情報取得タイミングまでの待機動作に戻り、WN情報およびLS情報の両データの取得をおこなう構成とすることができる。
実施の形態3の電波修正時計100においては、上記の図10に示した処理におけるステップS1002の実行に際して、電波の受信環境が整っていないと判断した場合、実施の形態1、2の電波修正時計100と同様に、メモリに記憶されているデータに基づいて内部時刻を修正し、電波の受信環境が整うまでの間、メモリに記憶されているデータに基づいて修正された内部時刻に基づく表示時刻を表示するようにしてもよい。
上述した各実施の形態における、WN情報やLS情報などの情報を取得できるタイミングまでの期間に針位置検出をおこなうことは、異常リセット時の動作に限定されない。正常なリセット動作のときにおいても、自動受信と針位置検出をおこなう場合には、同様に、電波受信タイミングまでの待機期間中に針位置検出を行う構成とすることができる。
上述した各実施の形態においては、指針105によってこの発明にかかる表示部材を実現したが、この発明にかかる表示部材は指針105によって実現されるものに限らない。この発明にかかる表示部材は、指針105に代えて、あるいは、指針105に加えて、時・分・秒などの整数を表示することにより時刻をあらわす液晶表示パネルによって実現してもよい。
また、上述した実施の形態においては、アンテナ107によってGPS衛星から送信される電波を受信し、この電波に基づいて指針105位置を補正する電波修正時計100について説明したが、この発明にかかる電波修正時計100はGPS衛星から送信される電波に基づいて指針105位置を補正するものに限らない。
この発明にかかる電波修正時計100は、所定の送信局から送信される標準電波を受信するアンテナ107を備え、当該アンテナ107を介して受信した標準電波に基づいて指針105位置を補正するものであってもよい。標準電波は、標準時と周波数の国家標準または国際標準として政府や国際機関が放送している電波であって、たとえば、JJYなどの標準周波数報時局から送信され、タイムコードが重畳されている。
また、アンテナ107は、GPS衛星から送信される電波と、標準電波との両方を受信し、いずれかの電波に基づいて内部時刻を更新し、更新された内部時刻に基づいて表示時刻を修正するようにしてもよい。これにより、受信環境や電波修正時計100の状態(電池206の電圧値など)に応じて最適な電波を受信し、受信された電波に基づいて正確な時刻を表示することができる。
上述の各実施の形態において、仮復帰動作を、異常リセット時に適宜おこなうことで、時刻情報の受信に成功するまでの間は、メモリに記憶されている時刻に関する情報や針位置検出による指針位置から、現在の時刻に近い時刻であろう仮時刻を表示することができると記載した。しかし、仮復帰動作は、異常リセット発生時に限定されず、正常リセット時に適宜実施してもよい。
これにより、受信に成功するまでの間に時刻情報をユーザが確認できないことを回避することができる。ただし、このときは仮復帰中であることを示す機構(たとえば機能針を用いた仮復帰動作であることの示唆や、通常の動作とは異なる秒針の運針形態)を有しておくことが好ましい。
以上説明したように、静電気の影響や制御回路205の暴走などに起因して異常リセットが発生した場合に、電波修正時計100のユーザによる操作を介することなく、内部時刻を更新するとともに更新後の内部時刻にあわせて表示時刻を補正することができる。これにより、異常リセットが発生した場合も、電波修正時計100のユーザに対して煩雑な操作をおこなわせることなく、正確な時刻を表示することができる。