JP7028657B2 - 液状油性の皮膚洗浄用組成物 - Google Patents
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Description
特許文献2については、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体が組成物中で安定的に相溶されず、分離が発生するといった場合や、洗い流しのさっぱり感が不良であり、使用性が悪い場合が存在した。
特許文献3については、メイク馴染みが不十分であり、クレンジング効果が不良である場合があった。
このような背景からクレンジング効果、垂れ落ちの無さ、まろやかな感触、洗い流しのさっぱり感に優れながら、かつ経時安定性が良好な組成物が求められていた。
次の成分(a)~(e);
(a)ダイマー酸のジエステル
(b)HLBが8~12の範囲にある脂肪酸ポリオキシエチレンソルビットおよび/または脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル 10~35質量%
(c)25℃で液状の炭化水素油 10~30質量%
(d)揮発性シリコーン油
(e)リンゴ酸ジイソステアリル
を含有し、
成分(a)と成分(e)の含有質量割合(a)/(e)が0.1~1であることを特徴とする液状油性の皮膚洗浄用組成物を提供するものである。
本発明に用いられる成分(a)のダイマー酸のジエステルは、2分子の不飽和脂肪酸の重合によって得られる2塩基酸のジエステルである。ダイマー酸の好ましいものとして、工業的に生産される炭素数が11~22の不飽和脂肪酸の二量体を挙げることができる。それらの中で、例を挙げると、ダイマージリノール酸、ダイマージリノレイン酸、ダイマージオレイン酸、あるいは、これらの水素添加物などがあるが、特にこれに限定されるものではない。かかるダイマー酸のエステルのエステル部分を構成するアルコールの好ましいものとしては、飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐状の炭素数が12~34である1価アルコールや環含有もしくは環状のステロール類を挙げることができる。特に限定されないが、例を挙げると、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、リノレイルアルコール等の通常の高級アルコールなどがあるが、特にこれに限定されるものではない。この様なダイマー酸のエステルは、多くのものが化粧料用の原料として市販されている。好ましいものは、日本化粧品工業連合会発行の「化粧品の成分表示名称リスト」による表示名称で示すと、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(商品名:PLANDOOL-S、日本精化社製)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)(商品名:LUSPLAN PI-DA、日本精化社製)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(商品名:LUSPLAN DD-DA7、日本精化社製)等が挙げられる。本発明の化粧料においては、かかるダイマー酸のエステルは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。これらの中で、特にリンゴ酸ジイソステアリルとの組み合わせにより、まろやかな感触と、垂れ落ちの無さが良好である点で、好ましくは、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルが挙げられ、さらに好ましくはダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)が挙げられる。
本発明に用いられる成分(b)は、HLBが8~12の範囲にある脂肪酸ポリオキシエチレンソルビットおよび/または脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルである。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10
ここで、Σ無機性値/Σ有機性は、IOB(Inorganic-Organicbalance)と呼ばれ、各種原子及び官能基毎に設定された「無機性値」、「有機性値」に基づいて、界面活性剤等の有機化合物を構成する原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することにより算出することができる(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)。
本発明に用いられる成分(c)の25℃で液状の炭化水素油は通常化粧品に使用されるものであれば特に制限されず、いずれのものも使用することができる。成分(c)は動物油、植物油、合成油等の起源は問わず、例えば流動パラフィン、重質流動イソパラフィン(水添ポリイソブテン)、軽質流動イソパラフィン、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等を挙げることができる。まろやかな感触に優れ、経時安定性が良好となる点で、成分(c)の平均分子量は好ましくは20~1000、より好ましくは30~400である。
本発明に用いられる成分(d)は、揮発性シリコーン油である。揮発性とは、1気圧下における沸点が260℃以下であることを指す。1気圧下における沸点が260℃以下のシリコーン油としては、特に限定されないが、鎖状ポリシロキサン類(メチルトリメチコン、テトラキストリメチルシロキシシラン、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度が2mPa・s以下)、メチルフェニルポリシロキサン等)や、環状ポリシロキサン類(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン等)、またはカプリリルメチコン等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度が2mPa・s以下)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンである。成分(d)を含有しない際には、経時安定性が不良である場合がある。
本発明に用いられる成分(e)は、リンゴ酸とイソステアリルアルコールとのジエステルである。イソステアリルアルコールは、特に限定されないが、例えば、5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチルブチル)-オクタノールがある。特に限定されないが、市販品のリンゴ酸ジイソステアリルの例としては、コスモール222(日清オイリオグループ社製)、エステロールDISM(ナショナル美松社製)、ハイマレートDIS(高級アルコール工業社製)等がある。
本発明における成分(e)の含有量は、特に限定されないが、クレンジング効果が高くなり、垂れ落ちの無さが良好となり、経時安定性が良好となる点で、液状油性の皮膚洗浄用組成物全量に対して、好ましくは10~18%であり、より好ましくは11~16%である。
表1に示す各処方により、成分2、3と成分1とを70℃で加熱・混合することで均一溶解し、30℃まで冷却した後、成分4~14を混合・撹拌して均一にし、容器に充填して液状油性の皮膚洗浄用組成物を得た。
イ.クレンジング効果
ロ.垂れ落ちの無さ
ハ.まろやかな感触
ニ.洗い流しのさっぱり感
[イ、ロ、ハ、ニについて(官能評価)]
専門パネル20名が下記油性ファンデーション(固形状)を頬に3g塗布した後、各試料を用いて洗浄する時に感じる、クレンジング効果、垂れ落ちの無さ、まろやかな感触、洗い流しのさっぱり感をパネル各人が各試料について下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点を付け、各試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える :非常に良好
○ :3点を超える4.5点以下:良好
△ :1.5点を超える3点以下:やや不良
× :1.5点以下 :不良
(油性ファンデーション(固形状)の組成)
(成分) (%)
(1)キャンデリラワックス 10
(2)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 20
(3)ジメチルポリシロキサン 5
(4)スクワラン 5
(5)ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグルコール 残量
(6)トリプロピレングリコール 1
(7)マイカ 10
(8)セリサイト 10
(9)タルク 5
(10)ベンガラ 0.5
(11)黄酸化鉄 1
(12)黒酸化鉄 0.5
(13)オキシベンゾン 0.1
(14)グリセリン 0.5
(15)フェノキシエタノール 0.2
A:成分(1)~(6)を100℃に加熱溶解し混合する
B:Aに成分(7)~(15)を加えてロールミルにて冷却しながら均一に分散する。
C:Bを樹脂皿に90℃で充填する。
ホ.経時安定性について
各試料について透明ガラス製容器に入れて密封し、恒温槽(5℃)に1ヶ月保存した後、組成物の不均一性(経時安定性不良の度合)を評価するために、透過率を測定した。測定機器としては、分光光度計(測定波長:700nm、ダブルビーム分光光度計 U-2900 日立ハイテクサイエンス株式会社製)ディスポセル (材質:PMMA、品番:2-5719-01(スタンダードタイプ)、アズワン株式会社製)を用い、測定温度は25℃とした。測定結果の透過率を4段階に評価し、評点を付け、各試料ごとにその平均値を算出し、下記3段階判定基準により判定した。
絶対評価基準
(評点):(評価)
4点:透過率が90%以上である
3点:透過率が80%以上90%未満である
2点:透過率が70%以上80%未満である
1点:透過率が70%未満である
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
○ :3点以上 :良好
△ :2点以上3点未満 :やや不良
× :2点未満 :不良
なお、判定が×であったサンプルに関しては、恒温槽(5℃)に6ヶ月以上保存した際に、分離や油浮きが認められた。
成分(b)のHLBを満たさない脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルを含有する比較例1では、洗い流しのさっぱり感、経時安定性が不良であった。成分(b)の含有量が10%未満である比較例2は、クレンジング効果、洗い流しのさっぱり感、経時安定性が不良であった。成分(b)の含有量が35%を超える比較例3は、垂れ落ちの無さ、経時安定性が不良であった。
成分(c)を含有せず、代わりに25℃で固形の炭化水素油を含有する比較例4は、クレンジング効果、垂れ落ちの無さ、まろやかな感触、洗い流しのさっぱり感、経時安定性が不良であった。成分(c)の含有量が10%未満である比較例5はまろやかな感触、洗い流しのさっぱり感、経時安定性が不良であった。成分(c)の含有量が30%を超える比較例6は洗い流しのさっぱり感、経時安定性が不良であった。
成分(d)を含有せず、代わりに揮発性でないシリコーン油を含有する比較例7は、クレンジング効果、経時安定性が不良であった。
成分(e)を含有せず、代わりに25℃における粘度値が近い極性油を含有する比較例8は、垂れ落ちの無さ、まろやかな感触、経時安定性が不良であり、比較例9は、クレンジング効果、垂れ落ちの無さ、経時安定性が不良であった。
含有質量割合(a)/(e)が0.1未満である比較例10は、クレンジング効果、垂れ落ちの無さ、まろやかな感触、洗い流しのさっぱり感が不良であった。含有質量割合(a)/(e)が1を超える比較例11は、クレンジング効果、垂れ落ちの無さ、まろやかな感触、洗い流しのさっぱり感、経時安定性が不良であった。
(成分) (%)
1.エチルヘキサン酸セチル 残量
2.流動パラフィン(注7) 28
3.ジリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 7.5
4.ミリスチン酸イソプロピル 4
5.植物性スクワラン 2
6.ホホバ油 1
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 10
8.テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(注3) 9
9.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(注4) 7.5
10.エタノール 3.5
11.グリチルレチン酸ステアリル 0.1
12.L-メントール 0.01
13.香料 0.01
14.リンゴ酸ジイソステアリル 9
成分3と成分4を70℃で加熱・混合することで均一溶解し、30℃まで冷却した後、成分1、2、5~14を混合・撹拌して均一にし、容器に充填してクレンジングオイルを得た。
実施例12:クレンジングオイルは、クレンジング効果、垂れ落ちの無さ、まろやかな感触、洗い流しのさっぱり感、経時安定性が良好であった。
(成分) (%)
1.トリエチルヘキサン酸グリセリル 残量
2.スクワラン 20
3.ジリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 1
4.イソステアリン酸エチル 7
5.オリーブ油 2
6.オレイルアルコール 1
7.メチルトリメチコン(注14) 2
8.ジメチルポリシロキサン(注15) 2
9.テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(注3) 10
10.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(注5) 6.5
11.エタノール 3
12.フェノキシエタノール 0.1
13.シクロヘキサン-1、4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(注16)
1
14.トコフェロール 0.01
15.リンゴ酸ジイソステアリル 9
(注14)TMF-1.5(信越化学工業社製)
(注15)KF-96L-1.5cs(信越化学工業社製)
(注16)NEOSOLUE-AQULIO(日本精化社製)
成分3と成分4を70℃で加熱・混合することで均一溶解し、30℃まで冷却した後、成分1、2、5~15を混合・撹拌して均一にし、容器に充填して洗顔料を得た。
Claims (4)
- 次の成分(a)~(e);
(a)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、およびダイマージリノール酸ダイマージリノレイルからなる群から選ばれる1種または2種以上
(b)HLBが8~11の範囲にある脂肪酸ポリオキシエチレンソルビットおよび/または脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル 10~35質量%
(c)25℃で液状の炭化水素油 10~30質量%
(d)揮発性シリコーン油 4~15質量%
(e)リンゴ酸ジイソステアリル 9~18質量%
を含有し、
成分(a)と成分(e)の含有質量割合(a)/(e)が0.1~1であることを特徴とする液状油性の皮膚洗浄用組成物。 - 前記成分(a)は炭素数が11~22の不飽和脂肪酸の二量体と、飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐状の炭素数が12~34である1価アルコールや環含有もしくは環状のステロールとのジエステルである請求項1に記載の液状油性の皮膚洗浄用組成物。
- 成分(a)の含有量が0.1~10質量%である請求項1または2のいずれかの項に記載の液状油性の皮膚洗浄用組成物。
- 成分(a)と成分(d)の含有質量割合(a)/(d)が0.25~1.25である請求項1~3のいずかの項に記載の液状油性の皮膚洗浄用組成物。
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