JP7028591B2 - 変性アクリル樹脂系塗料組成物、積層塗膜、塗膜付き基材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の構成例は以下の通りである。
ヨウ素価が4~25の変性アクリル樹脂(a)および乾燥促進剤(b)を含有する、変性アクリル樹脂系塗料組成物。
<3> さらに顔料(d)を含有し、該塗料組成物中の顔料体積濃度(PVC)が15~45%である、<1>または<2>に記載の塗料組成物。
<6> 前記基材が鉄鋼構造物である、<5>に記載の塗膜付き基材。
[1]基材に、エポキシ樹脂系防食塗料組成物を塗装し、下塗り防食塗膜(A)を形成する工程
[2]下塗り防食塗膜(A)上に、ヨウ素価が4~25の変性アクリル樹脂(a)および乾燥促進剤(b)を含有する変性アクリル樹脂系塗料組成物を塗装し、上塗り塗膜(B)を形成する工程
本発明に係る変性アクリル樹脂系塗料組成物(以下「アクリル塗料」ともいう。)は、エポキシ樹脂系防食塗膜上に塗装され、ヨウ素価が4~25の変性アクリル樹脂(a)および乾燥促進剤(b)を含有する。
前記変性アクリル樹脂(a)は、ヨウ素価が前記範囲となるように、(メタ)アクリル化合物を用いて得られる樹脂であれば特に制限されないが、酸化重合型変性アクリル系樹脂であることが好ましく、アルキド樹脂変性アクリル系樹脂または脂肪酸変性アクリル系樹脂であることがより好ましく、アルキド樹脂変性アクリル系樹脂であることが特に好ましい。
このように、アルキド樹脂または脂肪酸で変性されたアクリル系樹脂は、酸化重合可能な酸化重合性基を有する。
変性アクリル樹脂(a)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
具体的には、アルキド樹脂に溶剤を加え、これに(メタ)アクリル化合物を含む不飽和モノマーおよび重合開始剤を所定量加えて、80~150℃で3~10時間程度反応させることにより合成することができる。
また、前記不飽和モノマーとして、メタクリル酸を用いる場合には、変性アクリル樹脂(a)100質量%に対する、メタクリル酸由来の構造単位の含有量は0.5質量%以上が好ましく、またその上限値は10質量%であることが、得られるアクリル塗料より形成される上塗り塗膜の防食性(耐水性など)等の点から望ましい。
該反応の条件としては、重合禁止剤の存在下に、140~170℃で6時間~15時間程度反応させる等の条件が挙げられる。
水酸基を有する重合性不飽和モノマーとしては、前記(複数の)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと同様の化合物等が挙げられる。
該酸化重合性基としては、(半)乾性油脂肪酸由来の基、ジシクロペンタジエンオキシアルキル基、アリル基等が挙げられる。
ヨウ素価とは、変性アクリル樹脂(a)100gに対してヨウ素を作用させた場合、吸収されるヨウ素のg(グラム)数をいい、酸化重合反応による架橋に寄与する二重結合の度合いを示す。
変性アクリル樹脂(a)のヨウ素価は、耐気泡フクレ性およびインターバル付着性の両者が同時に優れる上塗り塗膜が得られる等の点から、4~25であり、好ましくは4~15、より好ましくは4~10である。
変性アクリル樹脂(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、耐気泡フクレ性およびインターバル付着性の両者が同時に優れる上塗り塗膜(B)を容易に得ることができる等の点から、好ましくは25000~250000、より好ましくは30000~200000である。
変性アクリル樹脂(a)の酸価は、樹脂に含まれるカルボキシ基数に依存して変動することから、変性アクリル樹脂(a)のカルボキシ基(COOH基)がどの程度存在するかを示す指標となる。
ここで、変性アクリル樹脂(a)のCOOH基は、下塗り防食塗膜中のエポキシ樹脂由来のOH基と水素結合等することで、上塗り塗膜と下塗り防食塗膜との付着性に影響すると考えられる。ただし、変性アクリル樹脂(a)中にカルボキシ基が過剰に存在する場合、上塗り塗膜の耐水性を低下させる可能性がある。これらの観点などから、変性アクリル樹脂(a)の酸価は、好ましくは0.5~10mgKOH/gである。
塗工性に優れるアクリル塗料が得られる等の点から、変性アクリル樹脂(a)は、該樹脂の50%キシレンまたはトルエン溶液における粘度(25℃、mPa・s)が、好ましくは300~15000、より好ましくは500~12000である。
変性アクリル樹脂(a)の含有量は、所望の物性を有する塗膜を容易に得ることができる等の観点から、アクリル塗料の固形分100質量%に対し、好ましくは20~60質量%、より好ましくは30~50質量%である。
前記変性アクリル樹脂(a)の内、前記不飽和モノマー由来の構造単位のガラス転移温度(Tg、理論値)は、硬度、耐汚染性、耐クラック性およびインターバル付着性にバランスよく優れる上塗り塗膜を容易に得ることができる等の点から、好ましくは20~70℃、より好ましくは25~50℃である。Tgが前記範囲を下回ると、形成される上塗り塗膜の硬度が低下し易く、耐汚染性にも悪影響を生じる傾向にある。また、Tgが前記範囲を上回ると、形成される上塗り塗膜の耐クラック性やインターバル付着性が低下する傾向にある。
前記アクリル塗料は、前記特定の変性アクリル樹脂(a)と共に乾燥促進剤(b)を含むため、耐気泡フクレ性およびインターバル付着性に優れる上塗り塗膜を得ることができる。
乾燥促進剤(b)としては特に限定されないが、酸化重合による架橋反応を促進する作用を有する物質であることが好ましく、具体的には、脂肪酸の金属塩、金属酸化物、単体金属等が挙げられる。
乾燥促進剤(b)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
アクリル塗料は、耐クラック性や耐水性の向上、特に、エポキシ樹脂系防食塗膜の形成からアクリル塗料を塗布するまでの時間が長期間になった場合の、下塗り塗膜と上塗り塗膜との付着性を向上させることができる等の点から、可塑剤(c)を含むことが好ましい。
可塑剤(c)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
顔料(d)としては特に限定されないが、着色顔料、体質顔料、機能性顔料等が挙げられ、所望の物性に応じて適宜選択して使用すればよい。
顔料(d)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
体質顔料の例としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカが挙げられる。
機能性顔料の例としては、導電顔料、蛍光顔料、アルミ顔料、ステンレス顔料が挙げられる。
アクリル塗料中の顔料体積濃度(PVC)は、上塗り塗膜の強靭性および光沢などにバランスよく優れる等の点から、15~45%であることが好ましく、18~40%であることがより好ましく、20~38%であることが特に好ましい。PVCが低すぎると、塗膜の耐気泡フクレ性が低下する傾向にあり、高すぎると、インターバル付着性が低下する傾向にある。
PVC(%)=顔料の合計の体積/塗料組成物中の固形分の体積×100(%)
なお、PVCは、より具体的には、前記JIS K5601-1-2に基づいて、加熱残分の質量および真密度を測定し、さらに、該加熱残分より顔料を分離し、分離された顔料の質量および真密度を測定することで、PVCを算出することができる。
アクリル塗料は、必要により、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外のその他の成分として、タレ止め・沈降防止剤、消泡剤、皮張り防止剤および溶剤等を含んでいてもよい。
これらその他の成分は、それぞれ、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
このようなタレ止め・沈降防止剤の市販品としては、アマイドワックス系化合物である「ディスパロンA630-20X」(楠本化成(株)製)等が挙げられる。
タレ止め・沈降防止剤は、アクリル塗料中に、例えば、0.1~10質量%の量で含有することが好ましい。
消泡剤は、アクリル塗料中に、例えば、0.01~5質量%の量で含有することが好ましい。
皮張り防止剤は、アクリル塗料中に、例えば、0.01~2質量%の量で含有することが好ましい。
前記エポキシ樹脂系防食塗膜(下塗り塗膜)は、エポキシ樹脂系防食塗料組成物(以下「エポキシ塗料」ともいう。)から形成される塗膜である。該エポキシ塗料としては、特に制限されず、従来公知のエポキシ樹脂系防食塗料組成物を用いることができるが、該塗料から形成される下塗り防食塗膜の防食性および基材との密着性の観点から、エポキシ樹脂(p)およびエポキシ樹脂用硬化剤(q)を含有することが好ましい。
前記エポキシ樹脂(p)としては、特に制限されないが、分子内に2個以上のエポキシ基を有するポリマーまたはオリゴマー、およびそのエポキシ基が開環反応したポリマーまたはオリゴマー等が挙げられる。このようなエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、脂環族型エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂(p)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
エポキシ樹脂用硬化剤(q)としては特に制限されないが、具体的には、アミン硬化剤および酸無水物系硬化剤が挙げられ、脂肪族系、脂環族系、芳香族系、複素環系などのアミン硬化剤が好ましい。
硬化剤(q)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記アミン硬化剤としては、さらに、前述したアミン硬化剤の変性物、ポリアミド、ポリアミドアミン(ポリアミド樹脂)、エポキシ化合物とのアミンアダクト、マンニッヒ化合物(例:マンニッヒ変性ポリアミドアミン)、マイケル付加物、ケチミン、アルジミン、フェナルカミン等が挙げられる。
エポキシ塗料は、エポキシ樹脂(p)および硬化剤(q)の他に、硬化促進剤、前記顔料(d)、タレ止め・沈降防止剤、消泡剤および溶剤を含んでいてもよく、基材への密着性および価格の観点から、前記顔料(d)を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂系防食塗膜は、前記エポキシ塗料を用いて、従来公知の方法で形成すればよく、具体的には、基材に、エポキシ塗料を塗装し、塗装された該塗料を乾燥、硬化させることで形成できる。
なお、塗装の際には、必要に応じて各種溶剤にて希釈したものを用いることができる。該溶剤としては、相溶性や乾燥性のよいものであれば制限なく、前述した溶剤を使用することができる。
すなわち、前記基材としては、シーラー、バインダー、プライマー等で塗装された基材も含まれる。
このような膜厚の塗膜を形成する際は、1回の塗装で、前記所望の厚みの塗膜を形成してもよいし、2回(必要によりそれ以上)の塗装で、前記所望の厚みの塗膜を形成してもよい。
本発明に係る積層塗膜は、前記エポキシ樹脂系下塗り防食塗膜と、前記アクリル塗料から形成された上塗り塗膜との積層塗膜である。
このような積層塗膜は、エポキシ塗料を用いて、下塗り防食塗膜(A)を形成し、該下塗り防食塗膜(A)上にアクリル塗料を用いて上塗り塗膜(B)を形成することで、製造することができるが、具体的には、前記基材に、エポキシ塗料を塗装し、塗装された該塗料を乾燥、硬化させて下塗り防食塗膜(A)を形成する工程、および、下塗り防食塗膜(A)上に、アクリル塗料を塗装し、塗装された該塗料を乾燥、硬化させて上塗り塗膜(B)を形成する工程を含む方法により、製造することができる。後者の方法では、塗膜付き基材が製造される。
前記エポキシ塗料およびアクリル塗料の塗装方法としては、前記エポキシ塗料の塗装方法と同様の方法等が挙げられ、好ましい方法も同様である。
なお、塗装の際には、前記のとおり、必要に応じて各種溶剤にて希釈したものを用いることができる。
前記インターバルとしては、通常、1~120日程度である。前記アクリル塗料としては、このように、120日もの間下塗り防食塗膜(A)の形成から時間が空くことが十分に考えられる(場合によっては、180日程度のインターバルが要求される)ため、該アクリル塗料の性質として、このような塗膜に対する付着性に優れることが求められる。前記アクリル塗料は、前述の効果を奏するため、下塗り防食塗膜(A)の形成から1~120日程度インターバルを空けて塗装する用途に好適に用いることができる。
また、前記上塗り塗膜(B)の厚さも特に制限ないが、通常は20μm~350μm、好ましくは30μm~150μmである。
このような膜厚の塗膜を形成する際は、1回の塗装で、前記所望の厚みの塗膜を形成してもよいし、2回(必要によりそれ以上)の塗装で、前記所望の厚みの塗膜を形成してもよい。
重量平均分子量は、GPC法により、装置(東ソー(株)製、HLC-8220GPC)、カラム(SuperH2000+SuperH4000(東ソー(株)製、内径6mm/長さ各15cm))、カラム温度(40℃)、溶離液(テトラヒドロフラン)、流速(0.50mL/min.)、検出器(RI)、標準物質(ポリスチレン)の条件にて測定した。
樹脂溶液を108℃の熱風乾燥機中3時間乾燥した後の加熱残分(「固形分」と同義)を計測し、以下の式から算出した。
固形分(質量%)=(前記加熱残分の質量/加熱前の樹脂溶液の質量)×100(%)
前記「比重(全体)」および「比重(固形分)」は、JIS K 0061;2001(化学製品の密度及び比重測定方法)に準拠して測定した。
コニカルビーカーに樹脂1~5gを正確に秤量し、トルエン/エタノール=7/3(体積比)混合溶液を30~50ml加えて該樹脂を溶かし、指示薬としてフェノールフタレイン-エタノール溶液を2滴加え、N/10水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定した。液の赤みが30秒間消えなくなったときを滴定の終点とし、酸価は次式によって計算した。
酸価=(B×f×5.61)/S
(B:水酸化カリウム-エタノール溶液の使用量(ml)、f:水酸化カリウム-エタノール溶液のファクター、S:樹脂の質量(g))
共栓付きフラスコに、樹脂0.2~5gを正確に秤量し、四塩化炭素10mlを加えて該樹脂を溶解し、さらにウィイス液25mlを正確に加えた。栓をしたのち、30分間常温で暗所に置いた。次に、10W/V%ヨウ化カリウム水溶液20mlおよび水100mlを加えて振り混ぜた。N/10チオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し、溶液が微黄色になった後、デンプン溶液を数滴加え、よく振り混ぜながら滴定を続け、デンプンによる青色が消失した時を終点とすることで本試験を行った。なお前記本試験と並行して、樹脂を用いない以外は本試験と同様の空試験を行った。
ヨウ素価は、次式によって計算した。算出したヨウ素価と前記固形分とから、固形分換算におけるヨウ素価を算出した。
ヨウ素価=((A-B)×f×1.269)/S
(A:空試験のN/10チオ硫酸ナトリウム水溶液使用量(ml)、B:本試験のN/10チオ硫酸ナトリウム水溶液使用量(ml)、f:N/10チオ硫酸ナトリウム水溶液のファクター、S:樹脂の質量(g))
反応器内に大豆油脂肪酸311.55質量部と、無水フタル酸230.70質量部と、グリセリン82.05質量部と、ペンタエリスリトール98.55質量部と、安息香酸27.15質量部と、還流溶剤としてキシレン22.50質量部とを仕込んだ。
窒素気流下で、得られた混合液を220℃まで昇温し、6時間保温した後冷却し、その後キシレン650.80質量部を加えてアルキド樹脂溶液(K1)を調製した。
アルキド樹脂溶液(K1)の合成において、保温時間を3時間に変更したこと以外は、(K1)の合成と同様にアルキド樹脂溶液(K2)を調製した。
アルキド樹脂溶液(K2)中のアルキド樹脂(K2)のMwは16000であった。また、アルキド樹脂溶液(K2)中の固形分は50.0質量%であり、アルキド樹脂(K2)の酸価は6.4mgKOH/gであった。
反応器内に、溶剤としてキシレン57.67質量部およびトルエン9.00質量部を仕込み、混合液を得た。窒素気流下で、前記混合液を125℃(反応温度)まで昇温させた後、モノマー成分の混合液(スチレン:40.00質量部、メタクリル酸メチル(MMA):18.90質量部、n-ブチルアクリレート(BA):31.10質量部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(2-HEMA):8.90質量部、および、メタクリル酸(MAA):1.10質量部)100質量部と、開始剤(t-ブチルパーオキシベンゾエート)1.00質量部との混合液を、125℃を維持しながら3時間かけて滴下した。滴下後、同温度(125℃)で1時間保温した後、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.3質量部を加えて2時間保温した後、冷却し、キシレン33.33質量部を加えてアクリル樹脂溶液(a1)を調製した。
反応器内に、前記で得られたアルキド樹脂溶液(K1)10.00質量部(固形分換算で5.00質量部)と、溶剤としてキシレン52.67質量部およびトルエン9.00質量部とを仕込み、混合液を得た。窒素気流下で、前記混合液を125℃(反応温度)まで昇温させた後、モノマー成分の混合液(スチレン:38.00質量部、メタクリル酸メチル(MMA):18.00質量部、n-ブチルアクリレート(BA):29.50質量部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(2-HEMA):8.45質量部、および、メタクリル酸(MAA):1.05質量部)95質量部と、開始剤(t-ブチルパーオキシベンゾエート)1.00質量部との混合液を、125℃を維持しながら3時間かけて滴下した。滴下後、同温度(125℃)で1時間保温した後、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.3質量部を加えた。2時間保温した後、冷却し、キシレン33.33質量部を加えて変性アクリル樹脂溶液(a2)を調製した。
製造例2の樹脂溶液(a2)の合成において、使用したアルキド樹脂溶液およびモノマー成分の混合液を表1または2に示す組成に変更したこと以外は樹脂溶液(a2)の合成と同様にして、変性アクリル樹脂溶液(a3)~(a13)を調製した。その際に、有機溶剤および開始剤の量は適宜調整して製造を行った。なお、表1または2中のアルキド樹脂(K1)および(K2)の配合量(質量部)は固形分の値を示す。
容器に、変性アクリル樹脂(a)として製造例4の変性アクリル樹脂溶液(a4)45.5質量部を添加した。次に、可塑剤(c)として「トヨパラックス150」(東ソー(株)製)1質量部を添加し、さらに、顔料(d)として、「GPS-55」(丸尾カルシウム(株)製)0.2質量部、「沈降性硫酸バリウム100」(堺化学工業(株)製)28.5質量部、「三菱カーボンブラックMA-100」(三菱ケミカル(株)製)1質量部、および、「ネオライト SP-100」(竹原化学工業(株)製)3.5質量部を添加した。次いで、溶剤として、「スワゾール1000」(丸善石油化学(株)製)7.1質量部、「ブチセロ」(三協化学(株)製)2質量部、キシロール(大伸化学(株)製)3.4質量部、および、n-ブタノール(ダウ・ケミカル日本(株)製)3.2質量部を添加した。
各成分の種類および配合量を表3~5に示すとおりに変更した以外は組成物(E1)の製造例と同様にして、塗料組成物(E2)~(E22)および(C1)~(C8)をそれぞれ製造した。なお、表3~5中の樹脂溶液(a)の配合量(質量部)は溶液の値を示す。
塗料組成物(E1)~(E22)および(C1)~(C8)の製造例で用いた各成分の詳細を表6に示す。
容器に、エポキシ樹脂「E-001-75X」(大竹明新化学(株)製)5質量部、エポキシ樹脂「E-834-85X」(大竹明新化学(株)製)23.7質量部を添加した。次に、顔料として、「R-5N」(堺化学工業(株)製)3質量部、「三菱カーボンブラックMA-100」(三菱ケミカル(株)製)0.1質量部、「TTKタルク」(竹原化学工業(株)製)22質量部、および、「セラミックパウダーOF-T」(キンセイマテック(株)製)18質量部を添加した。さらに、添加剤として、「KBM-403」(信越化学工業(株)製)0.3質量部、「DISPARON6650」(楠本化成(株)製)1質量部を添加した。次いで、溶剤として、「メトキシプロパノール」(ダイセル化学工業(株)製)4質量部、キシロール(大伸化学(株)製)7.9質量部、および、n-ブタノール(ダウ・ケミカル日本(株)製)1質量部を添加した。
その後、ガラスビーズGB605Mを添加し、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いてこれらの配合成分を混合した。次いで、このガラスビーズを取り除き、エポキシ樹脂系防食塗料組成物(P1)の主剤成分を製造した。
なお、表7における当量比とは、(硬化剤の使用量/活性水素当量)/(エポキシ樹脂の使用量/エポキシ当量)のことを意味する。
各成分の種類および配合量を表7に示すとおりに変更した以外は組成物(P1)の製造例と同様にして、組成物(P2)および(P3)をそれぞれ製造した。
エポキシ樹脂系防食塗料組成物(P1)~(P3)の製造例で用いた各成分の詳細を表8に示す。
<耐気泡フクレ性試験>
環境温度23℃の下、サンドブラスト鋼板(150mm×70mm×2.3mm、Sa2.5以上)上に、エアースプレー塗装機(W-77、アネスト岩田(株)製)を用い、エポキシ樹脂系防食塗料組成物(P1)をウェット膜厚約200μmで塗装した。温度23℃、湿度55%の環境条件下で1日乾燥後、エアレススプレー塗装機(Xフォース、Graco社製)を用い、得られたエポキシ樹脂系防食塗膜上に変性アクリル樹脂系塗料組成物(E1)をウェット膜厚約400μmで塗装した。次いで、温度23℃、湿度55%の環境条件下で1日乾燥後、エアレススプレー塗装機(Xフォース)を用い、得られた変性アクリル樹脂系塗膜上にさらに変性アクリル樹脂系塗料組成物(E1)をウェット膜厚約400μmで塗装し、温度23℃、湿度55%の環境条件下で7日間乾燥させることで、耐気泡フクレ性試験用の塗装鋼板を作成した。
14サイクル後の塗装鋼板表面を目視で確認し、フクレの程度を6点満点で評価した。なお、この評価は、サンドブラスト鋼板の塗膜形成面を平面視した状態で、ASTM D714-87に従い、下記表9の判断基準に基づいて評価した。評価値が4以上の場合を、耐気泡フクレ性が良好(合格)の塗膜とした。結果を表10に示す。
環境温度23℃の下、前記と同様のサンドブラスト鋼板上に、エアースプレー塗装機(W-77)を用い、エポキシ樹脂系防食塗料組成物(P1)をウェット膜厚約200μmで塗装した。温度23℃、湿度55%の環境条件下で1日乾燥後、得られた下塗り塗膜付き塗装板を屋外暴露台(中国塗料(株)大竹研究所敷地内)に設置し、1、3、7、15、30、60、90または120日間屋外暴露させた。ここで、屋外暴露台に得られた下塗り塗膜付き塗装板を設置する際には、下塗り塗膜が、水平(地面)に対して45°の角度で南側を向くように固定した。以下、屋外暴露とは、この条件で実施したことを意味する。
得られたインターバル付着性試験用の塗装鋼板を、90日間屋外暴露した。暴露後、水洗を行い、温度23℃、湿度55%の環境条件下で1日乾燥した後、碁盤目テープ剥離試験(2mm×2mm、25マス)を行った。
碁盤目テープ剥離試験は、該塗装鋼板の塗膜表面にカッターガイドを使用し、基材である鋼板に達する深さで、縦6本×横6本の切り傷をつけて25マスの碁盤目を作成した。なお、切り傷の間隔は2mmとした。次に、前記塗膜の碁盤目の部分にセロテープ(登録商標)を強く圧着し、該セロテープの端を塗膜面に対して60°に近い角度で一気に引き剥がし、前記25マス中、残存・付着しているマスの面積である、残存面積率(%)でインターバル付着性を評価した。残存面積率(%)が80%以上の場合をインターバル付着性が良好(合格)の塗膜とした。結果を10に示す。
変性アクリル樹脂系塗料組成物(E1)の代わりに、表10~12に記載の(変性)アクリル樹脂系塗料組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、耐気泡フクレ性試験およびインターバル付着性試験を行った。結果を表10~12に示す。
エポキシ樹脂系防食塗料組成物(P1)の代わりに、エポキシ樹脂系防食塗料組成物(P2)または(P3)を用い、下塗り塗膜付き塗装板を屋外暴露させた日数を、7、15、30または90日間に変更した以外は、実施例1と同様にして、インターバル付着性試験を行った。結果を表13に示す。
変性アクリル樹脂系塗料組成物(E1)の代わりに、変性アクリル樹脂系塗料組成物(E3)を用いた以外は、実施例23と同様にして、インターバル付着性試験を行った。結果を表13に示す。
変性アクリル樹脂のヨウ素価が4~25の場合、これを含む変性アクリル樹脂系塗料組成物から得られる塗膜は、十分なインターバル付着性を有していた(実施例1~24)。変性アクリル樹脂のヨウ素価が25を超える場合、これを含む変性アクリル樹脂系塗料組成物から得られる塗膜のインターバル付着性は、前記実施例と比べて顕著に低下した(比較例4および5)。変性アクリル樹脂のヨウ素価が4未満の場合、これを含む変性アクリル樹脂系塗料組成物を用いて得られる積層塗膜の耐気泡フクレ性は、顕著に低下した(比較例1~3)。
Claims (7)
- さらに可塑剤(c)を含有する、請求項1に記載の塗料組成物。
- 前記変性アクリル樹脂(a)が、スチレン由来の構造単位を、変性アクリル樹脂(a)100質量%に対し、10~60質量%含有する樹脂である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
- エポキシ樹脂系下塗り防食塗膜と、請求項1~3の何れか1項に記載の塗料組成物から形成された上塗り塗膜との積層塗膜。
- 請求項4に記載の積層塗膜と基材とを含む塗膜付き基材。
- 前記基材が鉄鋼構造物である、請求項5に記載の塗膜付き基材。
- 下記工程[1]および[2]を含む、塗膜付き基材の製造方法。
[1]基材に、エポキシ樹脂系防食塗料組成物を塗装し、下塗り防食塗膜(A)を形成する工程
[2]下塗り防食塗膜(A)上に、ヨウ素価が4~25のアルキド樹脂変性アクリル樹脂(a)、乾燥促進剤(b)および顔料(d)を含有する変性アクリル樹脂系塗料組成物であって、該変性アクリル樹脂(a)が、下記式[I]で表される構成単位を有さない樹脂であり、該塗料組成物中の顔料体積濃度(PVC)が15~45%である変性アクリル樹脂系塗料組成物を塗装し、上塗り塗膜(B)を形成する工程
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