JP7027925B2 - 方向性電磁鋼板とその製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7027925B2
JP7027925B2 JP2018019186A JP2018019186A JP7027925B2 JP 7027925 B2 JP7027925 B2 JP 7027925B2 JP 2018019186 A JP2018019186 A JP 2018019186A JP 2018019186 A JP2018019186 A JP 2018019186A JP 7027925 B2 JP7027925 B2 JP 7027925B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
film
coating
temperature
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018019186A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019137874A (ja
Inventor
史明 高橋
宣郷 森重
徹 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018019186A priority Critical patent/JP7027925B2/ja
Publication of JP2019137874A publication Critical patent/JP2019137874A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7027925B2 publication Critical patent/JP7027925B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

本発明は方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
方向性電磁鋼板は、{110}<001>を主方位とする結晶組織を有し、変圧器の鉄心材料として多用されており、特にエネルギーロスを少なくするために鉄損の小さい材料が求められている。
特許文献1には、方向性電磁鋼板の鉄損を低減する手段として、仕上げ焼鈍後の鋼板表面にレーザービームを照射して局部的な歪を与え、それによって磁区を細分化する方法が開示されている。
特許文献2には、鉄心加工後の歪取り焼鈍(応力除去焼鈍)を施した後もその効果が消失しない磁区細分化手段が開示されている。
一方で、鉄及び珪素を含有する鉄合金は結晶磁気異方性が大きいため、外部張力を付加すると磁区の細分化が起こり、鉄損の主要素である渦電流損失を低下させることができる。特に、5%以下の珪素を含有する方向性電磁鋼板の鉄損の低減には鋼板に張力を付与することが有効であることが知られている。この張力は、表面に形成された被膜によって付与される。
方向性電磁鋼板には、仕上げ焼鈍工程で鋼板表面の酸化物と焼鈍分離剤とが反応して生成するフォルステライトを主体とする一次被膜、及び特許文献3等に開示されたコロイド状シリカとリン酸塩とを主体とするコーティング液を焼き付けることによって生成する非晶質を主とする二次被膜の2層の被膜によって、板厚0.23mmの場合で1.0kgf/mm程度の張力が付与されている。
上記のような従来被膜の場合、被膜量を多くすることによりさらに大きな張力付与が可能で、張力向上による鉄損改善の可能性は残されているものの、付与張力向上のために現状以上に被膜を厚くすることは、占積率の低下をもたらすため好ましくない。このため、占積率低下を引き起こすことなく、密着性に優れ、薄くて鋼板に大きな張力が付与できる被膜が望まれている。
これに対して、特許文献4では、ホウ酸アルミニウム結晶を主とする被膜を表面に有する方向性電磁鋼板が提案されている。
ある被膜が高張力被膜となるためには、被膜のヤング率が高く、かつ熱膨張係数が小さいことが求められる。一般に、結晶は非晶質よりもヤング率が高い。ホウ酸アルミニウムからなる被膜は主たる構成物が結晶であるためシリカとリン酸塩からなる従来の非晶質の被膜よりもヤング率が高い。熱膨張係数も十分に低いため、ヤング率の効果と相まって、特許文献3に開示されたような被膜よりも高い張力を得ることが可能である。
一方、ホウ酸アルミニウム被膜では、被膜密着性を確保するために非晶質成分が一定量必要であるが、一方でこの非晶質の存在が、張力の低下や湿潤雰囲気下での鋼板の錆の発生の問題を引き起こすことが指摘されている。非晶質は結晶質に比較してヤング率が低いため、非晶質が多く存在すると結晶質が100%の被膜よりも張力が低下し、低鉄損が得られにくくなる。
また、被膜中に水に溶解しやすい成分が存在すると湿潤雰囲気で鋼板に錆が発生しやすくなる。ホウ酸アルミニウム結晶は水に不溶であると考えられることから、被膜中で水に溶解しやすい成分は、ホウ酸アルミニウム結晶以外の非晶質と考えられる。
特許文献5では、以上のような課題を解決するために、アルカリ成分を被膜中に含有させる方法が開示されている。この方法によれば、錆の問題は解決されるが、被膜密着性が十分ではない場合があるとの課題がある。すなわち、ホウ酸アルミニウム被膜の欠点である耐錆性などの課題を解決する手段の開発がいまだ必要とされる状況である。
特開昭58-26405号公報 特開昭62-86175号公報 特開昭48-39338号公報 特開平6-65754号公報 特開平8-325745号公報
本発明は、これら従来技術における問題点を解決し、耐水性に優れ、鋼板に対して従来よりも大きな張力付与が可能なホウ酸アルミニウム被膜を最表面に有することで低鉄損化を達成し、かつ耐錆性に優れた方向性電磁鋼を提供することを目的とする。
本発明者らは、ホウ酸アルミニウム被膜の課題を解決するためには、被膜中の非晶質すなわち、水溶性成分量を制御することが本質的な課題であると考えた。そして、鋭意検討の結果、被膜中の非水溶性成分と水溶性成分の比率を適正な値とすることで、低鉄損で、かつ耐錆性に優れた方向性電磁鋼が得られることを知見した。また、これは、塗布液中のAlとBの比率および被膜の焼き付け条件を最適化することで実現できることを見出した。
本発明は上記の知見に基づきなされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)アルミニウムとホウ素を成分とした酸化物からなる絶縁被膜を有し、鋼板の単位面積当たりの水溶性成分の質量:A、鋼板の単位面積当たりの被膜の質量:Cが、0.05≦A/C≦0.15を満たすことを特徴とする方向性電磁鋼板。
(2)前記(1)の方向性電磁鋼板の製造方法であって、アルミニウムを含む化合物とホウ素を含む化合物を、アルミニウムとホウ素のモル比Al/Bが1.25~1.81となるように分散媒に分散させて懸濁液を作製し、上記懸濁液を一方向性珪素鋼板に塗布した後、上記一方向性珪素鋼板を露点が0~40℃で水素を0~25体積%含み、残部が窒素である雰囲気中で、500℃までの間の平均の昇温速度を2~5℃/秒で加熱し、続いて、750℃まで昇温速度を平均で10℃/秒以上で昇温し、その後、750~1000℃の温度域で20~120秒の間熱処理することを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、張力付与効果が大きい被膜を有することで、良好な鉄損を有し、かつ密着性と耐錆性に優れた方向性電磁鋼板を実現することができる。
本発明者らは、被膜特性の向上について調査及び検討を行った。その結果、ホウ酸アルミニウム被膜中の水に可溶な成分の量を限定することにより、低鉄損で錆発生のない方向性電磁鋼板が得られることを見出した。具体的には、鋼板の単位面積あたりの水溶性成分の質量をAとしたとき、鋼板の単位面積あたりの被膜の質量Cに対する比が、0.05≦A/C≦0.15を満たすようにすることにより、低鉄損で錆発生のない方向性電磁鋼板が得られることを見出した。
本発明の効果を得るためには、水に可溶の成分を規定する必要がある。ホウ酸アルミニウム被膜は、ホウ酸アルミニウム結晶、ホウ酸とアルミニウムを含む非晶質からなる。さらに、微量の酸化アルミニウム結晶が含まれる場合もある。ホウ酸アルミニウム結晶と、酸化アルミニウム結晶は水に不溶と考えられるので、被膜中で水に可溶なのはホウ酸とアルミニウムを含む非晶質である。
本発明では、鋼板の単位面積当たりの被膜の質量に対する水に可溶な被膜成分量を規定しているが、被膜成分のうち、水に可溶な鋼板の単位面積当たりの被膜量を求めるためには、分析すべきホウ酸アルミニウム被膜を有した鋼板を沸騰水中で煮沸し、煮沸前後の鋼板質量を計測すればよい。具体的には、以下の方法を用いる。
まず、単位面積当たりの被膜付着量がわかっている鋼板を1辺5cmの大きさに切りだし、質量測定後に150ccの沸騰水中に10分間浸漬する。その後鋼板を引き上げて、再度鋼板の質量を測定する。次に、沸騰水浸漬前後の質量差から単位面積あたりの質量差を算出する。以上のようにして鋼板の単位面積当たりの水に可溶な被膜成分を求めることができる。
本発明では、耐水性に優れたホウ酸アルミニウム被膜を有した方向性電磁鋼板を得るために、単位面積当たりの被膜付着量をC(g/m)、単位面積当たりの水に可溶な被膜成分量をA(g/m)とし、0.05≦A/C≦0.15とする。ホウ酸アルミニウム被膜の付着量は鋼板片面あたり2~6g/mの付着量とすると良好な鉄損が得られやすい。
水に溶けやすい成分が被膜中に多いことにより(A/C>0.15となることにより)、湿潤雰囲気下では鋼板表面に水分が到達しやすくなり、錆の発生原因となると考えられる。ホウ酸アルミニウム結晶は水に不溶と考えられるため、被膜中の非晶質成分が被膜の水溶性成分を構成していると考えられる。
ホウ酸アルミニウム塗布液は、被膜密着性、ホウ酸アルミニウム結晶生成促進のため、ホウ酸アルミニウム結晶の化学量論組成よりもホウ素過剰になっている。この過剰のホウ素が非晶質生成の原因の一つである。したがって、耐錆性向上のためには被膜中の非晶質量をできるだけ抑制する必要があるが、抑制しすぎると(A/C<0.05となると)、被膜密着性が劣位となり、またホウ酸アルミニウム結晶が生成されにくくなるとの問題が生じる。
そこで本発明者らは、被膜中の非晶質成分、すなわち水溶性の成分量の最適値を検討した。その結果、単位面積当たりの被膜付着量をC(g/m)、単位面積当たりの水に可溶な被膜成分量をA(g/m)とし、0.05≦A/C≦0.15であることを見出した。このような被膜を実現する手段は、添加物等を用いる方法があるが、本検討ではプロセス条件を検討することで課題の解決を試みた。
プロセス検討の結果、上述の条件を満たす理想的な被膜を形成するためには、方向性電磁鋼板の母材鋼板にアルミニウムとホウ素のモル比Al/B比が1.25~1.81である被膜塗布液を塗布したのち、塗布後の乾燥、及び焼き付け温度を含む熱処理の温度および雰囲気条件を限定するとよいことが明らかになった。このプロセスは、(1)塗布液乾燥時の突沸の抑制、(2)乾燥後ホウ酸アルミニウム結晶化前の昇温中におけるホウ素の拡散、(3)結晶化前におけるホウ素の蒸散の抑制、さらに、(4)ホウ酸アルミニウム結晶化温度以上での結晶化の促進からなる。具体的には、以下の製造条件で目的を達成できる。
上述の組成からなる塗布液を鋼板に塗布し、500℃まで平均2~5℃/秒で昇温し、500~750℃の間は平均10℃/秒以上で昇温し、その後、750~1000℃の間で20秒以上熱処理する。室温から500℃までの温度域では塗布した液の加熱、乾燥、及び乾燥終了後に鋼板上に形成されたホウ素化合物とアルミニウム化合物との混合物からなる膜状物質の加熱が行われる。
コーティング前の塗布液はホウ酸の析出や過度な水分の蒸発を防ぐため、20℃以上40℃以下の温度に保つとよい。塗布液の温度が低すぎると塗布液中でホウ酸の析出が起こり、温度が高すぎると水分が少なくなりやすく、正常な塗布ができなくなり、いずれの場合も目的とする被膜が得られなくなる。
500℃までの昇温速度を2~5℃/秒に限定するのは、上記(2)のプロセスであるホウ素の拡散を十分に行うためである。昇温速度が速すぎるとホウ素の拡散が十分でなくなり、目標とする水溶性成分の組成、量が得られないことに加え、塗布液の乾燥時に突沸による被膜欠陥が生じやすくなる。一方、遅すぎるとホウ素の蒸散がすすみ、狙った組成の被膜が得られなくなる。
500~750℃の昇温速度を10℃/秒以上とする理由は、上記(3)に関し、500℃以上の温度域では、特に、ホウ素の蒸散が進みやすいためである。昇温速度が遅いとホウ素の蒸散が進み、狙った組成の被膜が得られなくなる。昇温速度が50℃/秒以上であると特に良い結果が得られ、好ましい。昇温速度が速くとも問題はないが、100℃/秒を超えても効果は上昇しなくなるので、実質的な上限は100℃/秒である。
750~1000℃の間で20秒以上熱処理する必要があるのは、上記(4)に関し、750℃以上でホウ酸アルミニウムの結晶化が進行するためである。温度及び時間が上記の範囲に満たないと、ホウ酸アルミニウムの結晶化が十分に進行せず、水溶性の成分が多くなり、結果として良好な鉄損が得られなくなるとともに、耐錆性が悪化する。温度及び熱処理時間がこれを超えると密着性が十分ではなくなる。このため温度および熱処理時間の上限は1000℃および120秒である。この上限の原因は、温度が高すぎる、あるいは熱処理時間が長すぎる場合には、非晶質相が少なくなるためと考えられる。
本発明の方向性電磁鋼板は、鋼板最表面に上述の被膜を有しているが、母材鋼板については、二次再結品が完了しているものであれば特に制限はない。通常、母材として一般的に用いられている鋼板は、仕上げ焼鈍(二次再結品焼鈍)時に形成されたフォルステライト質の一次被膜を有する鋼板、一次被膜を酸洗等の方法によって除去し、金属表面を露出させた鋼板、あるいはさらにその表面を研磨等によって平坦化した鋼板、一次被膜が生成しない条件下で仕上げ焼鈍(二次再結晶焼鈍)を行い、金属表面を露出させた鋼板、あるいはさらにその表面を平坦化した鋼板等である。
本発明の方向性電磁鋼板の被膜は、厚すぎる場合には占積率が低下するため目的に応じてできるだけ薄いものが良く、鋼板厚さに対して5%以下の厚さが好ましい。より好ましく2は%以下である。また、張力付与の観点からは、極端に薄くては十分な効果が得られず、0.1μm以上が好ましい。
以下に、本発明の方向性電磁鋼板を好適に製造する方法について述べる。
まず、ホウ酸、酸化アルミニウム、又は酸化アルミニウム前駆体化合物を含む懸濁液(スラリー)を作製する。ホウ酸はHBOで表されるオルトホウ酸が作業性、価格等の点から最も好ましいが、HBOで表されるメタホウ酸、Bで表される酸化ホウ素、あるいはこれらの混合物も用いることができる。
酸化アルミニウム前駆体化合物は、酸化アルミニウムはもとより、ベーマイトのようなAl・mHOで表記される酸化アルミニウムの水和物、水酸化アルミニウム等を指す。また硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムをはじめとする各種のアルミニウム塩類も好適に用いられる。
これらの原料を分散媒に分散させてスラリーを作製する。分散媒は水が最も良いが、他の工程で特に支障がなければ有機溶媒、あるいはこれらの混合物が使用できる。このスラリーのうち酸化アルミニウム前駆体として、いわゆるゾルと呼ばれる微粒子分散系を用いることにより薄くて均一、かつ、密着性の良い被膜が得られる場合がある。これは、表面に非金属物質が存在せず、金属面上に直接被膜を形成するような場合に特に顕著である。
塗布液にゾルを用いる場合には、酸化アルミニウム前駆体として上述のベーマイトゾル、及び/又はアルミナゾルと呼ばれているものが作業性、あるいは価格等の点から特に適している。
得られたスラリーは、ロールコーター等のコーター、ディップ法、スプレー吹き付けあるいは電気泳動等、従来公知の方法によって仕上げ焼鈍が完了した方向性電磁鋼板表面に塗布する。
ここでいう仕上げ焼鈍が完了した鋼板とは、(1)従来公知の方法で仕上げ焼鈍を行って、表面にフォルステライト質の一次被膜が形成された鋼板、(2)一次被膜および付随的に生成している内部酸化層を酸に浸漬して除去した鋼板、(3)上記(2)で得た鋼板に水素含有雰囲気中で平坦化焼鈍を施した鋼板、あるいは化学研磨や電解研磨等の研磨を施した鋼板、(4)被膜生成に対して不活性であるアルミナ粉末等、または塩化物等の微量添加物を添加した従来公知の焼鈍分離剤を塗布し、一次被膜を生成させない条件下で仕上げ焼鈍を行った鋼板等を指す。
塗布後の鋼板を乾操後、750℃以上で焼き付けることによって表面に酸化物被膜を形成する。焼き付け時の雰囲気は窒素等の不活性ガス雰囲気、窒素-水素混合雰囲気等の還元性雰囲気が好ましく、空気、あるいは酸素を含む雰囲気は鋼板を酸化させる可能性があり好ましくない。
雰囲気ガスの露点については0~40℃で良好な結果が得られる。焼き付け温度は750℃末満の場合、塗布した前駆体が酸化物とならない場合があり、また焼き付け温度が低いため十分な張力が発現せず、好ましくない。一方、1000℃を超える場合、前述のとおり不都合が生じるので1000℃以下とするとよい。
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
市販のほう酸(HBO)試薬、酸化アルミニウム(Al)粉末(平均粒径:0.4μm)を表1に示した割合に混合し、これに蒸留水を加えてスラリーを作製した。これを、Siを3.2%含有する厚さ0.23mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(フォルステライト質の一次被膜あり)に、焼き付け後の被膜質量で4.5g/mとなるように塗布した。その後、表1に示す条件で乾燥後、750℃まで昇温し、この温度で均熱時間を100秒として焼き付けた。乾燥、昇温、焼き付け時の雰囲気は、水素を10%含む窒素雰囲気で、露点は30℃とした。
被膜を形成した鋼板を、そのまま150ccの沸騰蒸留水中に10分間浸漬し、鋼板の質量変化から鋼板の単位面積当たりの被膜中の水溶性成分と鋼板の単位面積当たりの被膜の量の比A/Cを得た。
被膜の密着性はφ20mmの円柱に鋼板を巻き付け、被膜の剥離面積が5%未満を良好とした。
耐錆性は、50℃、91%RHの雰囲気中に鋼板を1週間保持し、その際の表面状態を目視で観察し、錆の発生が全くなかった場合を良好、錆が確認された場合を劣位として評価した。
鉄損は単板磁気測定装置で、磁束密度1.7T、50Hzで励磁した場合の値を示すが、0.85W/kg未満を良好な鉄損と評価した。
表1の結果から分かるように、本発明の実施例では、被膜密着性及び耐錆性に優れ、鉄損の低い一方向性珪素鋼板が得られた。
Figure 0007027925000001
[実施例2]
市販の酸化アルミニウム(Al)粉末(平均粒径:0.4μm)100gに対し、ほう酸(HBO)試薬60.6g、及び蒸留水を加えてスラリーを作製した。Al/Bのモル比は1.63である。
これを、Siを3.2%含有する厚さ0.23mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(フォルステライト質の一次被膜あり)に、焼き付け後の被膜質量で4.5g/mとなるように塗布した。その後、露点30℃で水素を10体積%含む窒素雰囲気中で、500℃まで毎秒3℃で昇温後、均熱温度まで毎秒50℃で昇温し、表2に示す条件で焼き付けた。
被膜を形成した鋼板を、そのまま150ccの沸騰蒸留水中に10分間浸漬し、鋼板の質量変化から鋼板の単位面積当たりの被膜中の水溶性成分と鋼板の単位面積当たりの被膜の量の比A/Cを得た。
被膜の密着性はφ20mmの円柱に鋼板を巻き付け、被膜の剥離面積が5%未満を良好とした。
耐錆性は、50℃、91%RHの雰囲気中に鋼板を1週間保持し、その際の表面状態の目視観察し、錆の発生が全くなかった場合を良好、錆が確認された場合を劣位として評価した。
鉄損は単板磁気測定装置で、磁束密度1.7T、50Hzで励磁した場合の値を示すが、0.85W/kg未満を良好な鉄損と評価した。
表2の結果から分かるように、本発明の実施例では、被膜密着性及び耐錆性に優れ、鉄損の低い一方向性珪素鋼板が得られた。
Figure 0007027925000002
[実施例3]
市販の酸化アルミニウム(Al)粉末(平均粒径:0.4μm)100gに対し、ほう酸(HBO)試薬60.6gおよび蒸留水を加えてスラリーを作製した。Al/Bのモル比は1.63である。
これを、Siを3.2%含有する厚さ0.23mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(フォルステライト質の一次被膜あり)に、焼き付け後の被膜質量で4.5g/mとなるように塗布した。その後、500℃まで毎秒3℃で昇温後、均熱温度まで毎秒50℃で昇温し、800℃に温度を100秒保定して、被膜を焼き付けた。昇温から焼き付け終了までの雰囲気を表3に示す。
被膜を形成した鋼板を、そのまま150ccの沸騰蒸留水中に10分間浸漬し、鋼板の質量変化から鋼板の単位面積当たりの被膜中の水溶性成分と鋼板の単位面積当たりの被膜の量の比A/Cを得た。
被膜の密着性はφ20mmの円柱に鋼板を巻き付け、被膜の剥離面積が5%未満を良好とした。
耐錆性は、50℃、91%RHの雰囲気中に鋼板を1週間保持し、その際の表面状態の目視観察し、錆の発生が全くなかった場合を良好、錆が確認された場合を劣位として評価した。
鉄損は単板磁気測定装置で、磁束密度1.7T、50Hzで励磁した場合の値を示すが、0.85W/kg未満を良好な鉄損と評価した。
表3の結果から分かるように、本発明の実施例では、被膜密着性及び耐錆性に優れ、鉄損の低い一方向性珪素鋼板が得られた。
Figure 0007027925000003

Claims (2)

  1. アルミニウムとホウ素を成分とした酸化物からなる絶縁被膜を有し、
    上記絶縁被膜中の水溶性成分について、
    鋼板の単位面積当たりの水溶性成分の質量:A、鋼板の単位面積当たりの被膜の質量:Cが、0.05≦A/C≦0.15を満たし、
    50℃、91%RHの雰囲気中に1週間保持し、その後、表面状態を目視で観察した場合に、錆の発生が確認されない
    ことを特徴とする方向性電磁鋼板。
  2. 請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法であって、
    アルミニウムを含む化合物とホウ素を含む化合物を、アルミニウムとホウ素のモル比Al/Bが1.25~1.81となるように分散媒に分散させて懸濁液を作製し、
    上記懸濁液を一方向性珪素鋼板に塗布した後、
    上記一方向性珪素鋼板を露点が0~40℃で水素を0~25体積%含み、残部が窒素である雰囲気中で、500℃までの間の平均の昇温速度を2~5℃/秒で加熱し、続いて、
    750℃まで昇温速度を平均で10℃/秒以上で昇温し、その後、
    750~1000℃の温度域で20~120秒の間熱処理する
    ことを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法。
JP2018019186A 2018-02-06 2018-02-06 方向性電磁鋼板とその製造方法 Active JP7027925B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018019186A JP7027925B2 (ja) 2018-02-06 2018-02-06 方向性電磁鋼板とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018019186A JP7027925B2 (ja) 2018-02-06 2018-02-06 方向性電磁鋼板とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019137874A JP2019137874A (ja) 2019-08-22
JP7027925B2 true JP7027925B2 (ja) 2022-03-02

Family

ID=67695012

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018019186A Active JP7027925B2 (ja) 2018-02-06 2018-02-06 方向性電磁鋼板とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7027925B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113272473B (zh) * 2019-01-08 2023-07-07 日本制铁株式会社 方向性电磁钢板及方向性电磁钢板的制造方法
JP7356017B2 (ja) * 2019-11-12 2023-10-04 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0238581A (ja) * 1988-07-28 1990-02-07 Kobe Steel Ltd 塗装性に優れた絶縁皮膜付電磁鋼板の製法
JPH0699812B2 (ja) * 1989-04-07 1994-12-07 新日本製鐵株式会社 磁気特性及び皮膜特性の優れた方向性電磁鋼板の絶縁皮膜処理方法
JPH03130377A (ja) * 1989-10-16 1991-06-04 Babcock Hitachi Kk 低鉄損方向性珪素鋼板の絶縁被膜の形成方法
JPH051387A (ja) * 1991-06-24 1993-01-08 Kawasaki Steel Corp 方向性けい素鋼板の絶縁コートの形成方法
JP2662482B2 (ja) * 1992-08-21 1997-10-15 新日本製鐵株式会社 低鉄損方向性電磁鋼板
JP3169500B2 (ja) * 1994-01-14 2001-05-28 新日本製鐵株式会社 低鉄損一方向性電磁鋼板
JP2664337B2 (ja) * 1994-04-15 1997-10-15 新日本製鐵株式会社 一方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法
JP3065908B2 (ja) * 1995-04-12 2000-07-17 新日本製鐵株式会社 低鉄損一方向性珪素鋼板
JP3394845B2 (ja) * 1995-05-26 2003-04-07 新日本製鐵株式会社 低鉄損一方向性珪素鋼板
JP3065933B2 (ja) * 1996-04-09 2000-07-17 新日本製鐵株式会社 耐食性に優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法
JPH09272981A (ja) * 1996-04-09 1997-10-21 Nippon Steel Corp 低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019137874A (ja) 2019-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6547835B2 (ja) 方向性電磁鋼板、及び方向性電磁鋼板の製造方法
WO2007007417A1 (ja) クロムを含まない絶縁皮膜を有する方向性電磁鋼板及びその絶縁皮膜剤
JPWO2009123156A1 (ja) 方向性電磁鋼板及びその製造方法
CN111684106B (zh) 带有绝缘被膜的电磁钢板及其制造方法
JP7226528B2 (ja) 方向性電磁鋼板被膜形成用塗布剤および方向性電磁鋼板の製造方法
JP7027925B2 (ja) 方向性電磁鋼板とその製造方法
JPWO2020026627A1 (ja) 絶縁被膜処理液、絶縁被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法
WO2020145317A1 (ja) 方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法
JP2698549B2 (ja) 酸化マグネシウム−酸化アルミニウム系複合被膜を有する低鉄損一方向性珪素鋼板およびその製造方法
JP7356017B2 (ja) 方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法
JP3394845B2 (ja) 低鉄損一方向性珪素鋼板
JP3065933B2 (ja) 耐食性に優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法
JP4236431B2 (ja) 方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法
JP3162624B2 (ja) 低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法
JP7448819B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JPH07278832A (ja) 低鉄損一方向性珪素鋼板およびその製造方法
RU2774128C1 (ru) Покрывающий агент для формирования покрытия листа анизотропной электротехнической стали и способ производства листа анизотропной электротехнической стали
JP3098691B2 (ja) 被膜耐水性、耐置錆性にすぐれた低鉄損一方向性珪素鋼板
RU2780701C1 (ru) Лист анизотропной электротехнической стали и способ его производства
JP7481628B2 (ja) 方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤及びその製造方法並びにこれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法
JP6904499B1 (ja) 被膜形成方法および絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法
JP3527008B2 (ja) 低鉄損一方向性電磁鋼板およびその製造方法
WO2024002261A1 (zh) 涂料、具有该涂料形成的涂层的取向硅钢板及其制造方法
KR20240116512A (ko) 지향성 규소강 코팅층을 위한 코팅, 지향성 규소강 플레이트, 및 그를 위한 제조 방법
JPH09256164A (ja) 低鉄損一方向性珪素鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201008

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210917

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220118

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220131

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7027925

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151