JP7026390B2 - 肝細胞癌の早期検出 - Google Patents
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Description
本願は、2016年2月26日に出願された米国仮出願第62/300,142号に対する優先権の利益を主張する。この出願の内容全体は、本明細書に参考として援用される。
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立がん研究所(NCI)により授与された助成金番号第R01 CA120206号およびU01 CA168856号の下で政府支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本開示は、肝疾患の検出、患者の層別化、および治療的介入のためのアッセイ、キット、および方法に関する。
B型肝炎ウイルス(HBV)および/またはC型肝炎ウイルス(HCV)による感染は、肝細胞がん(HCC)の主な病因である。HBVとHCVは共に、急性および慢性肝臓感染を引き起こし、ほとんどの慢性的に感染した個体は、臨床疾患(HCCおよび肝硬変)は通常発症に数十年を要するため、何年も無症候性のままである。全ての慢性HBV保有者の10から40パーセントは最終的に肝臓がんを発症し、HBV/HCVに関連する肝臓がんのために、世界中で100万人を超える人が亡くなると見積もられている。実際に、HBVおよびHCV感染は、世界中の全てのHCC症例の80%より多くと関連し、HBVが風土病である地域では96%にも達する場合がある。
しかしながら、単一の糖タンパク質、グルコシル化パターン、バイオマーカー組(suite)、または高度な感度および早期検出の能力を付与するHCCの他の指標を同定することは未だできていない。HCCの早期検出器(early detectors)に対する要求が未解決なままである。
本明細書においては、被験体の肝細胞癌を検出するための方法であって、該被験体由来の生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するステップ;該生体液中の1つまたは複数のバイオマーカーの量を測定するステップ;該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに該決定した年齢および性別、ならびに該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を使用して、該被験体の肝細胞癌の存在または非存在を決定するステップを含む方法が提供される。
特定の実施形態では例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
被験体の肝細胞癌を検出するための方法であって、
該被験体由来の生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するステップ;
該生体液中の1つまたは複数のバイオマーカーの量を測定するステップ;
該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を使用して、該被験体の肝細胞癌の存在または非存在を決定するステップ
を含む方法。
(項目2)
被験体の肝細胞癌を検出するためのアッセイであって、
生体液中の1つまたは複数のバイオマーカーの量を測定するステップであって、該アッセイが、該測定するステップの前に該被験体の生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するための試薬を利用する、ステップ:
該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を使用して、該被験体の肝細胞癌の存在または非存在を決定するステップ
を含むアッセイ。
(項目3)
被験体の肝細胞癌を決定するためのキットであって、
該被験体由来の生体液からIgGを除去するための試薬;
該被験体由来の生体液からIgMを除去するための試薬;
該生体液中の1つまたは複数のバイオマーカーをそれぞれ測定するための試薬;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を使用して、該被験体の肝細胞癌の存在または非存在を決定するための指示
を含むキット。
(項目4)
肝細胞癌の確率が高いまたは低い群に被験体を割り当てるための方法であって、
該被験体由来の生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するステップ;
該生体液中の1つまたは複数のバイオマーカーの量を測定するステップ;
該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力に基づいて、肝細胞癌の確率が高いまたは低い群に該被験体を割り当てるステップ
を含む方法。
(項目5)
肝細胞癌を有する疑いがある被験体の処置を管理するための方法であって、
該被験体由来の生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するステップ;
該生体液中の1つまたは複数のバイオマーカーの量を測定するステップ;
該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力に基づいて該被験体を処置するステップであって、該被験体が該関数の該出力に基づいて疾患を有すると決定される場合、該被験体が肝細胞癌を処置される、ステップ
を含む方法。
(項目6)
前記関数が、前記決定した年齢および性別、ならびに前記1つまたは複数のバイオマーカーの前記測定した量の、それぞれ最適化した重み付け係数を含む、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、フコシル化ヘモペキシン、フコシル化キニノーゲン、フコシル化アルファ-1-アンチトリプシン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、およびアルカリホスファターゼ(ALK)のうちの1つまたは複数である、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記バイオマーカーが、
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-A;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化フェチュイン-A;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化ヘモペキシン;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化キニノーゲン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化ヘモペキシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化キニノーゲン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化アルファ-1アンチトリプシン、およびフコシル化キニノーゲン;または
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化アルファ-1アンチトリプシン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化キニノーゲンである、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシンである、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-Aである、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記IgGが、前記生体液をプロテインA/Gとインキュベートすることによって除去され、IgMが、前記生体液を分子量ベースのフィルターに通すことによって除去される、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記IgGおよび前記IgMが、前記生体液をポリエチレングリコールとインキュベートすることによって除去される、項目1、4、および5のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記関数が、前記決定した年齢および性別、ならびに前記1つまたは複数のバイオマーカーの前記測定した量の、それぞれ最適化した重み付け係数を含む、項目2に記載のアッセイ。
(項目15)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、フコシル化ヘモペキシン、フコシル化キニノーゲン、フコシル化アルファ-1-アンチトリプシン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、およびアルカリホスファターゼ(ALK)のうちの1つまたは複数である、項目2または項目14に記載のアッセイ。
(項目16)
前記バイオマーカーが、
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-A;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化フェチュイン-A;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化ヘモペキシン;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化キニノーゲン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化ヘモペキシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化キニノーゲン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化アルファ-1アンチトリプシン、およびフコシル化キニノーゲン;または
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化アルファ-1アンチトリプシン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化キニノーゲン
である、項目2、14または15のいずれか一項に記載のアッセイ。
(項目17)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、項目2または項目14に記載のアッセイ。
(項目18)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシンである、項目2または項目14に記載のアッセイ。
(項目19)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-Aである、項目2または項目14に記載のアッセイ。
(項目20)
前記IgGを除去するための前記試薬がプロテインA/Gであり、IgMを除去するための前記試薬が分子量ベースのフィルターである、項目2または14~19のいずれか一項に記載のアッセイ。
(項目21)
前記IgGおよび前記IgMが、前記生体液をポリエチレングリコールとインキュベートすることによって除去される、項目2または14~19のいずれか一項に記載のアッセイ。
(項目22)
前記関数が、前記決定した年齢および性別、ならびに前記1つまたは複数のバイオマーカーの前記測定した量の、それぞれ最適化した重み付け係数を含む、項目3に記載のキット。
(項目23)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、フコシル化ヘモペキシン、フコシル化キニノーゲン、フコシル化アルファ-1-アンチトリプシン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、およびアルカリホスファターゼ(ALK)のうちの1つまたは複数である、項目3または項目15に記載のキット。
(項目24)
前記バイオマーカーが、
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-A;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化フェチュイン-A;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化ヘモペキシン;
アルファ-フェトプロテインおよびフコシル化キニノーゲン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化ヘモペキシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化キニノーゲン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化アルファ-1アンチトリプシン、およびフコシル化キニノーゲン;または
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化アルファ-1アンチトリプシン、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化キニノーゲン
である、項目3、22または23のいずれか一項に記載のキット。
(項目25)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、項目3または項目22に記載のキット。
(項目26)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシンである、項目3または項目22に記載のキット。
(項目27)
前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-Aである、項目3または項目22に記載のキット。
(項目28)
前記IgGが、前記生体液をプロテインA/Gとインキュベートすることによって除去され、IgMが、前記生体液を分子量ベースのフィルターに通すことによって除去される、項目3または22~27のいずれか一項に記載のキット。
(項目29)
前記肝細胞癌が、早期の肝細胞癌、アルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌、またはアルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌でもある早期の肝細胞癌である、項目1、4、または5のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記肝細胞癌が、早期の肝細胞癌、アルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌、またはアルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌でもある早期の肝細胞癌である、項目2に記載のアッセイ。
(項目31)
前記肝細胞癌が、早期の肝細胞癌、アルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌、またはアルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌でもある早期の肝細胞癌である、項目3に記載のキット。
本発明は、本開示の一部を構成する添付の図面および実施例と関連付けて、以下の詳細な記載を参照することによってより容易に理解され得る。これらの発明は、本明細書に記載および/または示した特定の方法、アッセイ、キット、条件、またはパラメーターに限定されず、本明細書で使用した専門用語は、例示のみのために特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、請求した発明を限定することを意図しないことを理解されたい。
臨床データの分析およびHCCの予測因子の同定
本発明の予測因子の開発は、2つの臨床コホートからのデータを使用して行った。1つは、HCCの115人の患者および肝硬変の93人の患者からなり(このコホートの肝機能検査のデータは入手可能である)、もう1つはHCCの66人の患者、肝硬変の38人の患者からなった(このコホートの肝機能検査のデータは入手可能ではない)。
図1のデータを生成するために使用した集団において、HCCの病因は、61%HCV、6%HBV、および33%その他であり、肝硬変の病因は、48%HCV、10%HBV、および42%その他であった。図1Aは、肝硬変の全ての患者(N=93)からHCCの全ての患者(N=115);肝硬変(N=93)から早期のHCC(N=69);AFP陰性肝硬変(N=84)からAFP陰性HCC(N=39);ならびにAFP陰性肝硬変(N=84)から早期およびAFP陰性HCC(N=29)の両方を識別する受信者動作特性曲線下面積(AUROC)のデータを要約する。95%信頼区間(CI)は全ての場合においてオーバーラップしなかった。図1Bは、同じ試験における同じそれぞれの患者群の識別のための90%特異性カットオフでの感度値を要約し、図1Cは、同じ試験における同じそれぞれの患者群の識別のための95%特異性カットオフでの感度値を要約する。
アッセイ夾雑物としてのIgGおよびIgMの同定
肝細胞癌の検出のためのプレートベースアッセイは、従来、異好抗体および潜在的に他のレクチン結合夾雑物の存在によって妨害されてきた。そのような夾雑物は、偽陽性の結果をもたらすことが公知である。肝硬変および肝臓がんを有する被験体の血清に存在する夾雑するレクチン反応性因子を同定するために、研究が着手された。下に記載したように、本発明者らは夾雑するレクチン反応性因子としてIgMを同定し、レクチン-ELISAの前に血清からIgMを除去した場合、特定のタンパク質に関連する、レクチン反応性シグナルが検出できた。この方法は、2つの独立した試料セットで使用し、方法を検証し、肝細胞癌のバイオマーカーとしてのフコシル化糖型の性能も検証した。
血清試料は、患者集団の人口統計学および臨床情報のため、各試験被験体の血液から得た。HCCの継続患者、ならびにHCC患者と年齢、性別、および人種/民族性が一致する肝硬変の患者が研究に登録された。HCCの診断は、全てのT1病変を含む病理組織によってなされ、病理組織が入手できない場合、>2cmに拡大した血管塊(vascular enhancing mass)を示す2つの画像モダリティ(超音波、磁気共鳴画像法、またはコンピュータ断層撮影)によってなされた。肝硬変の診断は、肝臓の組織学または、肝臓の代償不全もしくは門脈圧亢進症の臨床的、検査室のおよび画像証拠に基づいていた。肝硬変を有する各患者は、正常な超音波を有し、血清のAFPが上昇した場合、登録前3カ月以内の肝臓のMRI、および登録後6カ月の別のMRIによって、肝臓の塊は示されなかった。肝硬変対照は、登録後中央値で12カ月間(範囲:7~18カ月)追跡調査され、HCCを発症した対照はいなかった。腫瘍ステージは、HCCの全米臓器配分ネットワーク-修正TNM病期分類システムを使用して決定した。早期のHCCはT1(直径が<2cmの単一病変)およびT2(直径2cmと5cmの間の単一病変;または各直径<3cmの<3の病変)病変と定義され、それらは米国の肝臓移植の判定基準に適合した。各被験体から20mlの血液試料を採血し、スピンし、分割し、得られた血清を試験まで-80℃で保存した。血液試料は、HCC処置の開始前に採血した。AFPは、増強した化学発光を利用する市販のイムノアッセイを使用して試験した。
簡単に言うと、捕捉抗体(マウス抗ヒトAATまたはウサギ抗フェチュイン、AbD Serotec、Raleigh、NC)のフコシル化を除去するため、抗体を10mM過ヨウ素酸ナトリウムと4℃で1時間インキュベートした。等容量のエチレングリコールを添加し、酸化抗体を炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.5で10μg/mLの濃度にした。抗体(5μg/ウェル)をプレートに添加し、インキュベーション後、0.1%Tween20/PBS 7.4で洗浄し、3%BSA/PBSで終夜ブロッキングした。分析のため、5μlの血清を95μlのHeterophilic Blocking Tube(商標)(Scantibodies Laboratory,Inc.、Santee、CA)中で希釈し、室温で1時間インキュベートした。続いて、試料を2時間プレートに添加し、フコシル化タンパク質がビオチンコンジュゲートAleuria aurantia(AAL)レクチン(Vector Laboratories、Burlingame、CA)によって検出される前に、レクチンインキュベーション緩衝液(10mM Tris pH8.0、0.15M NaCl、0.1%Tween20)で5回洗浄した。結合レクチンはIRDye(商標)800コンジュゲートストレプトアビジンを使用して検出し、シグナル強度はOdyssey(登録商標)Infrared Imaging System(LI-COR Biotechnology、Lincoln、NE)を使用して測定した。全ての場合において、シグナル強度を市販のヒト血清(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)によって検出されたシグナルと比較した。レクチン-FLISAは、各患者試料からの等量の捕捉分子上に存在するフコシル化の量を検出し、任意の所与の患者のタンパク質の総量とは無関係に行われることに留意する。
レクチン-ウェスタン
血清は、プロテインA/Gコートしたアガロースビーズを使用してIgGを枯渇させ、モノクローナル抗A1AT(AbD Serotec、Raleigh、NC)によってコートした磁気Dynabeads(登録商標)(Thermo Fisher Scientific Inc.、Waltham、MA)を使用してA1ATを免疫沈降した。続いて、A1ATを溶出し、SDS-PAGEによって分離した。フコシル化A1ATを、ビオチンコンジュゲートAleuria aurantiaレクチン(AAL)を使用して検出した。結合AALは、IRDye(商標)800コンジュゲートストレプトアビジンを使用して可視化し、シグナル強度はOdyssey(登録商標)Infrared Imaging System(LI-COR Biotechnology、Lincoln、NE)を使用して測定した。続いて、A1ATをポリクローナル抗A1AT(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を使用して検出し、結合抗体はIRDye(商標)700コンジュゲート抗ウサギ抗体を使用して検出した。
血清中に見出される非特異的レクチン反応性物質を同定するため、A1ATについてのレクチンELISAを96ウェルプレート中で行った。通常のレクチンELISAと同一の条件を使用して、プレートを、血清を含んでインキュベートしたが、レクチンを添加する前に、試料はSDS溶解緩衝液と共にインキュベートし、試料をSDS-PAGEおよびコロイド状クマシーブリリアントブルー染色によるフコース結合レクチンでのレクチンブロッティング、またはヒトA1ATの存在についてブロッティングによって調べた。強いレクチン染色は、約80kDのバンドで観察され、弱いバンドは50kDで観察された。50kDのバンドは、続くコロイド状クマシーブリリアントブルーによる染色およびA1AT抗体による染色でも観察されたが、約80kDのバンドはコロイド状クマシーブリリアントブルーまたはA1ATレクチンブロッティングのいずれによる染色でも観察されなかった。このことは、これらの試料中の非特異的レクチン反応性物質が、高度にフコシル化された80kDの糖タンパク質であることを示唆した。続いて、同様に処置したウェルをELISA捕捉後に回収し、トリプシンによる消化後にプロテオミクスにより調べた。これらの試料で同定した糖タンパク質のリストを下記の表5に示し、レクチンブロッティングで観察されたものにサイズが似ている2つの主なタンパク質:補体BおよびIgM重鎖、が観察された。
IgGおよびIgMを除去するために代替えの方法が開発され、それにより血清をPEG-8000とインキュベートし、遠心分離し、上清をレクチンELISAでアッセイした。例えば、フコシル化A1ATまたはフコシル化フェチュインAの分析のため、2μLの血清を8μL PBSに添加し、続いて6μLの40%PEG-8000水溶液を最終PEG-8000濃度が15%になるように添加した。試料は、10~20回ピペットに試料を吸い上げ、ピペットから試料を排出し、次いで短くボルテックスすることによって混合した。次に、試料は振盪機上で、30分間1000~1500rpmでインキュベートし、次いで緩やかに振盪しながら4℃で終夜、インキュベーションを続けた。翌朝、試料は4℃、14,000rpmで遠心分離し、レクチンELISAの前に上清を素早く新しいチューブに移した。IgGおよびIgMの除去の効果は、例えば免疫ブロッティングによるまたはレクチンブロッティングによる、免疫グロブリンを除去する元来の手順に関して、同様の方法論を使用して確認した。
Claims (24)
- 被験体の肝細胞癌を検出するための方法であって、
該被験体由来の生体液において、または、分割した該生体液において、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、フコシル化キニノーゲン、およびアルカリホスファターゼ(ALK)を含むバイオマーカーの量を測定するが、フコース含有糖型であるバイオマーカーの量を測定する前に、該被験体由来の該生体液または該分割した該生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するステップ;
該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液または該分割した該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を得るステップであって、該出力が該被験体の肝細胞癌の存在または非存在を示すステップを含む方法。 - 被験体の肝細胞癌を決定するためのキットであって、
該被験体由来の生体液からIgGを除去するための試薬、実験機材または機械系の品目;
該被験体由来の生体液からIgMを除去するための試薬、実験機材または機械系の品目;
該生体液または分割した該生体液中のアルファ-フェトプロテイン(AFP)、フコシル化キニノーゲン、およびアルカリホスファターゼ(ALK)を含むバイオマーカーをそれぞれ測定するための試薬;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液または該分割した該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を使用して、該被験体の肝細胞癌の存在または非存在を決定するための指示
を含むキット。 - 肝細胞癌の確率が高いまたは低い群に被験体を割り当てるための方法であって、
該被験体由来の生体液において、または、分割した該生体液において、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、フコシル化キニノーゲン、およびアルカリホスファターゼ(ALK)を含むバイオマーカーの量を測定するが、フコース含有糖型であるバイオマーカーの量を測定する前に、該被験体由来の該生体液または該分割した該生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するステップ;
該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液または該分割した該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を得るステップであって、該出力が、肝細胞癌の確率が高いまたは低い群に該被験体が割り当てられることを示すステップ
を含む方法。 - 肝細胞癌を有する疑いがある被験体の処置を管理するための方法であって、
該被験体由来の生体液において、または、分割した該生体液において、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、フコシル化キニノーゲン、およびアルカリホスファターゼ(ALK)を含むバイオマーカーの量を測定するが、フコース含有糖型であるバイオマーカーの量を測定する前に、該被験体由来の該生体液または該分割した該生体液からIgGおよびIgMタンパク質を除去するステップ;
該被験体の年齢および性別を決定するステップ;ならびに
該決定した年齢および性別、ならびに該生体液または該分割した該生体液中の該測定したバイオマーカーの関数の最適化した出力を得るステップであって、該関数の該出力が、該被験体が疾患を有することを示す場合、該被験体が、肝細胞癌の処置に適すると決定される、ステップ
を含む方法。 - 前記関数が、前記決定した年齢および性別、ならびに前記バイオマーカーの前記測定した量の、それぞれ最適化した重み付け係数を含む、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記バイオマーカーがさらに、フコシル化フェチュイン-A、フコシル化ヘモペキシン、フコシル化アルファ-1-アンチトリプシン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のうちの1つまたは複数を含む、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記バイオマーカーが、
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-A;または
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン
である、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。 - 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシンである、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-Aである、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、フコシル化フェチュイン-Aおよびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシンである、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IgGが、前記生体液または前記分割した前記生体液をプロテインA/Gとインキュベートすることによって除去され、IgMが、前記生体液または前記分割した前記生体液を分子量ベースのフィルターに通すことによって除去される、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IgGおよび前記IgMが、前記生体液または前記分割した該生体液をポリエチレングリコールとインキュベートすることによって除去される、請求項1、3、および4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記関数が、前記決定した年齢および性別、ならびに前記バイオマーカーの前記測定した量の、それぞれ最適化した重み付け係数を含む、請求項2に記載のキット。
- 前記バイオマーカーがさらに、フコシル化フェチュイン-A、フコシル化ヘモペキシン、フコシル化アルファ-1-アンチトリプシン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載のキット。
- 前記バイオマーカーが、
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン;
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-A;または
アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、フコシル化フェチュイン-A、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシン
である、請求項2、14または15のいずれか一項に記載のキット。 - 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである、請求項2または請求項14に記載のキット。
- 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシンである、請求項2または請求項14に記載のキット。
- 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびフコシル化フェチュイン-Aである、請求項2または請求項14に記載のキット。
- 前記バイオマーカーが、アルファ-フェトプロテイン、フコシル化キニノーゲン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、フコシル化フェチュイン-Aおよびフコシル化アルファ-1-アンチトリプシンである、請求項2または14に記載のキット。
- 前記IgGを除去するための試薬が、プロテインA/Gであり、IgMを除去するための試薬が、分子量ベースのフィルターである、請求項2および14~19のいずれか一項に記載のキット。
- 前記IgGおよびIgMタンパク質を除去するための試薬が、ポリエチレングリコールである、請求項2および14~19のいずれか一項に記載のキット。
- 前記肝細胞癌が、早期の肝細胞癌、アルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌、またはアルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌でもある早期の肝細胞癌である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記肝細胞癌が、早期の肝細胞癌、アルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌、またはアルファフェトプロテイン陰性肝細胞癌でもある早期の肝細胞癌である、請求項2に記載のキット。
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