JP7024698B2 - 排ガス浄化フィルタ及び排ガス浄化フィルタの製造方法 - Google Patents

排ガス浄化フィルタ及び排ガス浄化フィルタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、外皮と、その内側を区画する多孔質の隔壁と、隔壁に囲まれるセルとを有する排ガス浄化フィルタ、及び排ガス浄化フィルタの製造方法に関する。
ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関、ボイラー等の熱機関から出される排ガス中には、パティキュレートと呼ばれる粒子状物質が含まれる。パティキュレートのことを以下適宜「PM」という。排ガス中のPMを捕集するために排ガス浄化フィルタが用いられている。
排ガス浄化フィルタは、一般に、多孔質の隔壁によって区画されて形成された複数のセルと、セルの両端のうち一方を封止する封止部とを有する。排ガス浄化フィルタでは、PMの捕集率を高めつつ、圧力損失を低減することが求められている。なお、PMの捕集率を以下適宜「捕集率」といい、圧力損失のことを以下適宜「圧損」という。圧損を低下させるためには、隔壁の気孔率を高めることが有効であるが、気孔率を高めると捕集率が低下する傾向がある。
近年では、多孔質の隔壁の内部構造を規定することにより、気孔率を高めながらも捕集率を向上させようとする試みがなされている。例えば、特許文献1では、ハニカム壁におけるセラミック部の3Dモデルを細線化して得られるネットワークについて、そのネットワーク長さを長くする技術が開示されている。同文献によれば、上記構成を採用することにより、ハニカム壁の形状が複雑化し、気孔率を高めても煤等の粒子を高い効率で捕集できるとされている。
特開2017-164691号公報
しかしながら、PMは、主に、隔壁を連通する気孔内を通過する際に捕集される。そのため、PMの捕集に有効な気孔の構造は、隔壁のガス入口側からガス出口側まで繋がっている気孔である、連通気孔の構造であるが、セラミック部のネットワーク構造は連通気孔の構造とは必ずしも一致しない。したがって、引用文献1のようにセラミック部のネットワークを長くする技術では、PMが捕集される連通気孔の構造は十分に調整されない。つまり、セラミック部のネットワークを長くしてもPMの通り道となる連通気孔の構造が必ずしも複雑化されないため、捕集率の向上には限界があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、気孔率を高めても、高い捕集率でPMを捕集することができる排ガス浄化フィルタを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、外皮(11)と、上記外皮の内側を複数のセル(13)に区画する多孔質の隔壁(12)とを有しておりコージェライトから形成されている排ガス浄化フィルタ(1)であって、
上記隔壁の厚みは、100μm以上400μm以下であり、
上記隔壁は、気孔率が55%以上75%以下であり、平均細孔径が12μm以上30μm以下であり、
上記隔壁は、該隔壁に隣接する上記セル間を連通させる複数の連通気孔(122)を有しており、
上記隔壁の厚みTμmに対する上記連通気孔の平均流路長Lμmの比で定義される屈曲度L/Tが下記式1の関係を満足し、
上記連通気孔の流路面積が最小となるネック部の円相当径で定義されるネック径の平均値Φ1μmと、上記隔壁の平均細孔径Φ2μmとが下記式3の関係を満足する、
触媒が担持されていない、排ガス浄化フィルタ(1)にある。
L/T≧1.1 ・・・式1
Φ1/Φ2≧0.2 ・・・式3
本発明の他の態様は、上記排ガス浄化フィルタに触媒が担持されてなる排ガス浄化フィルタであって、
上記触媒が50g/L以上担持されており、
上記触媒が担持された状態における上記屈曲度L/Tが1.7以上2.5以下である、排ガス浄化フィルタにある。
本発明のさらに他の態様は、上記排ガス浄化フィルタの製造方法であって、
タップ嵩密度0.38g/cm3以下の多孔質シリカと、タルクと、Al源とを混合することにより、コージェライト形成原料を作製する混合工程と、
上記コージェライト形成原料を含む坏土を作製し、該坏土を成形することにより成形体を作製する成形工程と、
上記成形体を焼成する焼成工程と、を有する、排ガス浄化フィルタの製造方法にある。
上記排ガス浄化フィルタは、上記構成の外皮、隔壁、セル、及び連通気孔を有し、隔壁の厚みTμmに対する連通気孔の平均流路長Lμmの比で定義される屈曲度L/Tが式1の関係を満足する。つまり、隔壁の厚みTμmに対して、連通気孔の平均流路長Lμmが1.1倍以上で形成されている。このような構成の隔壁では、連通気孔が屈曲している。
排ガス浄化フィルタの捕集率は、PMの隔壁への衝突頻度に依存するが、屈曲度を1.1以上にすることにより、PMの通り道となる連通気孔の構造が複雑化し、連通気孔内でのPMの衝突頻度の増大につながる。これは、連通気孔の屈曲により、PMの慣性衝突の頻度が増大するためであると考えられる。その結果、排ガス浄化フィルタは、高い捕集率を発揮し、気孔率を高めても高い捕集率を示すことができる。
上記製造方法は、混合工程と成形工程と焼成工程とを有する。混合工程においては、多孔質シリカと、タルクと、Al源とを混合する。これにより、コージェライト形成原料を作製する。成形工程においては、コージェライト形成原料を含む坏土を作製し、坏土を成形する。これにより成形体を作製する。焼成工程においては、成形体を焼成する。これにより、排ガス浄化フィルタを得ることができる。
混合工程では、タップ嵩密度0.38g/cm3以下の多孔質シリカを用いる。これにより、コージェライト形成原料における多孔質シリカが占める体積割合を増やすことができる。その結果、連通気孔の屈曲度L/Tを高めることができる。これにより、例えばL/T≧1.1の関係を満足する排ガス浄化フィルタを製造することができる。その結果、捕集率の高い排ガス浄化フィルタを得ることができる。
以上のごとく、上記態様によれば、気孔率を高めても、高い捕集率でPMを捕集することができる排ガス浄化フィルタを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、排ガス浄化フィルタの斜視図である。 実施形態1における、排ガス浄化フィルタの軸方向における部分断面拡大図である。 (a)実施形態1における、排ガス浄化フィルタの隔壁の拡大断面模式図の一例であり、(b)実施形態1における、排ガス浄化フィルタの隔壁の拡大断面模式図の他の一例である。 (a)図3(a)の気孔をさらに簡略的に示した隔壁の断面模式図であり、(b)図3(b)の気孔をさらに簡略的に示した隔壁の断面模式図である。 実施形態1における、隔壁のCTスキャンに関する説明図である。 実施形態1における、隔壁のCTスキャンによるスキャン画像の一例を示した図である。 図6に示したスキャン画像の拡大図である。 実施形態1における、(a)隔壁のCTスキャン画像、(b)隔壁のCTスキャン画像の二値化処理画像の一例を示した図である。 実施形態1における、屈曲度を測定するための測定サンプルの採取位置を示した図である。 実施形態2における、隔壁の拡大断面であって、連通気孔内のネック部の位置を模式的に示す図である。 実施形態2における、隔壁のCTスキャン画像であって、連通気孔内のネック部の位置を示す図である。 実験例1における、試験片を設置したネック径測定治具の断面図である。 実験例1における、圧力と流量との関係により表される圧力曲線を示す図である。 実験例1における、ネック径と頻度との関係図である。 実験例1における、屈曲度と捕集率との関係図である。 実験例1における、屈曲度と圧損との関係図である。 実験例1における、平均ネック径Φ1/平均細孔径Φ2と捕集率との関係図である。 実験例1における、平均ネック径Φ1/平均細孔径Φ2と圧損との関係図である。 実験例2における、多孔質シリカのタップ嵩密度TDSと捕集率との関係図である。 実験例2における、コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMと多孔質シリカとタルクの混合粉のタップ嵩密度TDSTg/cm3との比PDM/TDSTと、捕集率との関係図である。 実験例2における、多孔質シリカの平均粒子径A1と水酸化アルミニウムの平均粒子径A2との比A1/A2と、捕集率との関係図である。
[実施形態1]
排ガス浄化フィルタに係る実施形態について、図1~図9を参照して説明する。図1~図3に例示されるように、排ガス浄化フィルタ1は、例えば、コージェライトから形成され、外皮11と、隔壁12と、セル13とを有する。外皮11は、例えば、円筒状のような筒状に形成される。本実施形態では、この筒状の外皮11の軸方向Yを排ガス浄化フィルタ1の軸方向Yとして以下説明する。また、図2における矢印は、排ガス浄化フィルタ1を排ガス管などの排ガスの通り道に配置した際の排ガスの流れを示す。
図1および図2に例示されるように、隔壁12は、外皮11の内側を多数のセルに区画する。隔壁13は、一般に、セル壁とも呼ばれる。隔壁12は、例えば、格子状に設けられる。排ガス浄化フィルタ1は多孔質体であり、図3に例示されるように、隔壁12には多数の気孔121が形成されている。したがって、排ガス浄化フィルタ1は、隔壁12の表面や気孔121内に排ガス中に含まれるPMを堆積させて捕集することができる。PMは、粒子状物質、パティキュレートマター、パティキュレートなどと呼ばれる微小粒子である。
隔壁12の平均細孔径は、12μm以上30μm以下、好ましくは、13μm以上28μm以下、より好ましくは、15μm以上25μm以下の範囲で調整することができる。隔壁12の気孔率は、55%以上75%以下、好ましくは、58%以上73%以下、より好ましくは、60%以上70%以下の範囲で調整することができる。隔壁12の平均細孔径、気孔率がこの範囲内である場合には、高い捕集率および低い圧損を両立しつつ、必要となる強度を担保しやすくなる。隔壁12の平均細孔径が12μm以上、気孔率が55%以上の場合には、ダルシーの透過係数を例えば0.8以上にまで高めることができ、圧損を十分に低減させることができる。その結果、排ガス浄化フィルタ1は、例えばガソリンエンジンから排出されるPMを捕集する用途に好適になる。隔壁12の平均細孔径が30μm以下の場合には、後述する連通気孔122の屈曲度をより大きくし易くなり、捕集率をより高めることができる。隔壁12の気孔率が75%以下の場合には、排ガス浄化フィルタ1の構造信頼性を確保しやすくなる。なお、隔壁12の平均細孔径、気孔率は、実験例で後述するように水銀圧入法により測定できる。
図1および図2に例示されるように、排ガス浄化フィルタ1は、多数のセル13を有する。セル13は、隔壁12に囲まれガス流路を形成する。セル13の伸長方向は、通常、軸方向Yと一致する。
図1に例示されるように、軸方向Yと直交方向のフィルタ断面におけるセル形状は、例えば、四角形状であるが、これに限定されない。セル形状は、三角形状、四角形状、六角形状などの多角形や円形状などであってもよい。また、セル形状は、2種以上の異なる形状の組み合わせであってもよい。
排ガス浄化フィルタ1は、例えば、円柱状等の柱状体であり、その寸法は適宜変更可能である。排ガス浄化フィルタ1は、軸方向Yの両端に第1端面14と第2端面15とを有する。排ガス浄化フィルタ1が排ガス管等の排ガス経路内に配置されると、第1端面14が上流側端面となり、第2端面15が下流側端面となる。
セル13としては、第1セル131と第2セル132とを有することができる。図2に例示されるように、第1セル131は、第1端面14に開口し、第2端面15においては封止部16により閉塞されている。第2セル132は、第2端面15に開口し、第1端面14においては封止部16により閉塞されている。封止部16は、例えば、コージェライト等のセラミックスにより形成できるが、その他の材質であってもよい。図2では、プラグ状の封止部が形成されているが、封止部の形状は、第1端面14又は第2端面15を封止できれば特に限定されない。なお、構成の図示を省略するが、例えば第1端面14又は第2端面15において隔壁12の一部を変形させることにより、封止部16を形成することも可能である。この場合には、隔壁12の一部によって封止部16が形成されるため、隔壁12と封止部16とが連続的に形成される。
第1セル131と第2セル132とは、軸方向Yに直交する横方向においても、軸方向Yおよび横方向の双方に直交する縦方向においても、例えば、互いに隣り合うよう、交互に並んで形成される。つまり、軸方向Yから排ガス浄化フィルタ1の第1端面14または第2端面15を見たとき、第1セル131と第2セル132とが、例えば、チェック模様状に配される。
隔壁12は、図2に例示されるように、互いに隣接する第1セル131、第2セル132を隔てている。隔壁12内には、図3(a)(b)に例示されるように、多数の気孔121が形成されている。隔壁12内の気孔121は、図3(a)(b)に例示されるように、互いに隣接する第1セル131、第2セル132間を連通させる連通気孔122以外にも、互いに隣接する第1セル131、第2セル132間を連通させない非連通気孔123を含んでいてもよい。なお、図4は、図3の気孔121をさらに簡略的に示したものである。また、これら図3および図4においては、気孔121が二次元に簡略化されて描かれているが、少なくとも連通気孔122は三次元に交差するものが大半を占めると考えられる。
本形態の排ガス浄化フィルタ1においては、連通気孔122の屈曲度が1.1以上である。屈曲度は、隔壁12の厚みTμmに対する連通気孔122の平均流路長Lμmの比で定義される。つまり、屈曲度は、L/Tで表される。この屈曲度が1.1以上であることにより、排ガス浄化フィルタ1は、気孔率を高めても、高い捕集率を発揮することができる。具体的には、排ガス浄化フィルタ1は、例えば気孔率を55%以上にまで高めても、十分に高い捕集率を示すことができる。したがって、圧損の増大を抑制しながら、捕集率を高めることができる。
捕集率をさらに高めるという観点から、屈曲度は、1.15以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましく、1.35以上であることがさらにより好ましい。一方、屈曲度を高くしすぎても捕集率は次第に向上し難くなるという観点や、圧損を低下させるという観点からは、屈曲度は、1.6以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.4以下であることがさらに好ましい。また、捕集率と圧損とを高度に両立させる観点からは、屈曲度は、1.2以上1.3以下とすることがより好ましい。
ここで、屈曲度は、次のようにして求められる。具体的には、図5に例示されるように、排ガス浄化フィルタ1から採取した測定サンプルについて、隔壁12をCTスキャンすることにより、隔壁12のスキャン画像を撮影する。CTスキャン装置としては、ZEISS社製のXradia520 Versaを用いる。測定条件は、管電圧80kV、管電流87mAである。撮影画像の解像度は1.6μm/pixelである。なお、図5では、測定サンプルにおける一部を示している。
CTスキャンにおけるスキャン方向Sは、隔壁12の厚み方向に沿う方向であって、上流側端面となる第1端面14に開口する第1セル131側の隔壁12の面(以下、適宜、隔壁表面12aという。)から下流側端面となる第2端面15に開口する第2セル132側の隔壁12の面(以下、適宜、隔壁裏面12bという。)に向かう方向とされる。図6および図7にスキャン画像の例を示す。図7は、図6を拡大したものである。図6および図7では、軸方向Yに沿う方向がY方向とされ、Y方向に垂直で、第2セル132を囲む4つの隔壁12うちの一つに沿う方向がX方向とされ、X方向およびY方向に垂直な方向がZ方向とされている。なお、記号Mは、第1端面14における封止部16を意味している。
したがって、図6および図7におけるスキャン方向Sは、-Z方向である。この方向のスキャン画像の一例を示したものが、図6および図7における、左上の画像sである。この-Z方向のスキャン画像は、X-Y平面に沿っている。なお、参考のため、Y方向のスキャン画像(X-Z平面に沿う画像)を図6および図7の左下に、-X方向のスキャン画像(Y-Z平面に沿う画像)を図6および図7の右下に併せて示す。
次いで、スキャン方向Sの撮影画像の群(スキャン方向Sの撮影画像を撮影枚数分(=隔壁12の厚みμm/1pixelの大きさである1.6μm))を用いて解析を行う。以下の例では、解析画像サイズは、X、Y平面の範囲が500μm×500μmであり、-Z方向については、隔壁12の厚みμm/1.6μmの枚数を用いている。
次いで、スキャン方向Sの撮影画像について二値化処理を行う。二値化処理には画像解析ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所(NIH)製)を用いる。二値化は、隔壁12における気孔部分と骨格部分とを区別することを目的とする。骨格部分は、隔壁12におけるセラミック部分であり、気孔部分は、セラミックスが存在しない、セラミック部以外の部分である。気孔部分と骨格部分とは、相互に輝度が異なるため、二値化処理では、撮影画像に残るノイズの除去を施し、任意の閾値を設定した後に二値化処理を行う。各測定サンプルによって閾値は異なるため、CTスキャンにて撮影された全体画像を目視にて確認しながら、気孔部分と骨格部分とを分離できる閾値を撮影画像ごとに設定する。二値化処理前の撮影画像の一例を図8(a)に、二値化処理後の撮影画像の一例を図8(b)に示す。図8(b)においては、黒色領域が気孔部分であり、灰色領域が骨格部分である。
次いで、当該二値化処理後の撮影画像を、解析ソフトGeoDict(SCSK社製)に読み込ませ、1Voxel当たり0.685μmの条件で、気孔部分および骨格部分の構造を三次元モデル化した仮想モデルを作成する。そして、得られた仮想モデルにつき、全ての連通気孔122の流路長(μm)を測定する。ここで、PMは、ガスの流れに沿って流れる。ガスは、流体として、連通気孔122内で最短流路を通って流れようとする。上記にて長さを測定する流路は、連通気孔122内をガスが流れていく最短流路である。つまり、連通気孔122における流路長は、連通気孔122の孔径の中央を結んだ線の長さとは必ずしも一致しないパラメータであるといえる。得られた全ての連通気孔122の流路長の平均値が、連通気孔122の平均流路長Lμmとされる。また、仮想モデルの厚み(μm)が、屈曲度を算出する際の隔壁12の厚みTμmとされる。そして、上記のようにして求めた連通気孔122の平均流路長Lμmを隔壁12の厚みTμmで除することにより、測定サンプルの屈曲度が算出される。排ガス浄化フィルタ1における屈曲度は、排ガス浄化フィルタ1から採取した6か所の測定サンプルについて、上述のように求めた各測定サンプルの屈曲度の平均値から算出される。
なお、測定サンプルは、具体的には、図9に示されるように、排ガス浄化フィルタ1における直径の中心部を通る軸方向Yの、中央部分1a、第1端面14側の封止部16の直ぐ内側部分1b、第2端面15側の封止部16の直ぐ内側部分1c、排ガス浄化フィルタ1における半径の中心部を通る軸方向Yの、中央部分1d、第1端面14側の封止部16の直ぐ内側部分1e、および、第2端面15側の封止部16の直ぐ内側部分1fの6か所から採取する。測定サンプルの形状は、軸方向Yと直行方向の寸法が縦5mm×横5mm、軸方向Yの長さが5mmである立方体である。
排ガス浄化フィルタ1において、隔壁12の厚みは、100μm以上400μm以下の範囲で調整される。なお、隔壁12の厚みは、図9に示されるように、排ガス浄化フィルタ1における直径の中心部を通る軸方向Yの、中央部分1a、第1端面14側の封止部16の直ぐ内側部分1b、第2端面15側の封止部16の直ぐ内側部分1cの3か所について測定した厚み測定値の平均値とされる。
捕集率は、一般に、PMの隔壁12への衝突頻度に依存する。本実施形態のように、屈曲度L/Tを1.1以上にすることにより、PMの通り道となる連通気孔122の構造が複雑化する。その結果、連通気孔122内でのPMの衝突頻度が増大する。その理由は、連通気孔122が屈曲することにより、PMの慣性衝突の頻度が増大するためであると考えられる。その結果、排ガス浄化フィルタ1は、高い捕集率を発揮し、気孔率を高めても高い捕集率を示すことができる。屈曲度と捕集率との関係については、後述の実験例1においてさらに詳説する。
本形態の排ガス浄化フィルタ1では、構造的強度を保ちながらも、捕集率を例えば70%以上にまで高めることができる。排ガス浄化フィルタ1に貴金属などの触媒を含むスラリーをコートすることにより、触媒を担持することができる。このとき、触媒粒子径、スラリー粘度、担持量、コート時のスラリーの流速条件等により、気孔121の一部が閉塞して捕集率が低下する。特に、担持量による影響が大きく、担持量が70g/L未満の場合には、担持前に比べて捕集率が4/5程度にまで低下し、70g/L以上の場合には捕集率が2/3~1/2程度にまで低下するか、あるいはそれ以上にまで低下する傾向にある。これはPMの捕集に有効な連通気孔122の流路が触媒により閉塞されるためである。
今後の規制強化に対応するという観点から、触媒担持後のPM捕集率は60%以上であることが好ましい。したがって、触媒担持前のPM捕集率は70%以上であることが好ましい。また、さらなる規制強化に対応するという観点から、触媒担持前のPM捕集率は80%以上であることがより好ましい。また、排ガス浄化フィルタ1は、触媒が50g/L以上担持されており、当該触媒が担持された状態における屈曲度L/Tが1.7以上2.5以下である構成とすることができる。排ガス浄化フィルタ1は、触媒が担持された状態で使用されることが多く、触媒担持後も隔壁12の連通気孔122の屈曲度を保つことが重要となる。上記触媒50g/Lという触媒量は、今後の排ガス規制を満たすために必要な触媒量である。上記構成によれば、触媒が担持された状態でも、捕集率の向上と圧損の抑制を図ることができる。なお、触媒が担持された状態における屈曲度L/Tも、上述した手法に準じて求められる。触媒が担持された状態における屈曲度は、捕集率の向上と圧損の抑制などの観点から、好ましくは、1.8以上、より好ましくは、2.0以上とすることができる。また、触媒が担持された状態における屈曲度は、好ましくは、2.45以下、より好ましくは、2.4以下、さらに好ましくは、2.3以下とすることができる。なお、触媒担持後に屈曲度が変化するのは、触媒による流路の閉塞が生じることで、触媒担持前に形成されていた最短流路を取れなくなるためである。
[実施形態2]
実施形態2の排ガス浄化フィルタについて、実施形態1で用いた図1~図9と、図10および図11を参照しつつ説明する。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本形態の排ガス浄化フィルタ1においては、連通気孔122のネック径の平均値Φ1μmと、隔壁12の平均細孔径Φ2μmとが式3の関係を満足する。なお、ネック径の平均値Φ1のことを、以下適宜「平均ネック径Φ1」という。つまり、本形態の排ガス浄化フィルタ1では、隔壁12の平均細孔径Φ2に対する平均ネック径Φ1の比Φ1/Φ2が0.2以上となっている。
Φ1/Φ2≧0.2 ・・・式3
まず、ネック径について説明する。図10に例示されるように、隔壁12内には、多数の気孔121が形成されており、隣り合うセル13を連通させる多数の連通気孔122が存在する。連通気孔122では、排ガスが流れる流路面積は、通常一定ではなく、連続的に変化し、局所的に流路面積が小さくなる狭小部が存在する。各連通気孔122において、最も小さな狭小部がネック部124a、124bである。
図11は、排ガス浄化フィルタ1の隔壁12について、実施形態1と同様にしてCTスキャンを行い、二値化処理を行ったものである。図11において、矢印で示される連通気孔122の流路Rtにおいては、最も狭小となるネック部124cは、丸枠で囲った部分である。このネック部の流路面積の円相当径がネック径となる。つまり、ネック部における流路面積と同じ面積を有する円の直径がネック径である。ネック径は、連通気孔122の流路面積が最小となるネック部の円相当径で定義される。なお、図11において矢印で示される流路Rtは、スキャン画像の側面で終わっているが、この流路Rtは、実際には、隔壁表面12aから隔壁裏面12bまで続いており、連通気孔122の流路である。
ネック径は、バブルポイント法により測定される。バブルポイント法では、まず、多孔質の測定サンプルに、表面張力が既知の液体を完全に含浸させる。次いで、測定サンプルの一方の端面から測定サンプルに対して圧力をかける。昇圧させていくと、測定サンプルの細孔内の液体が押し出され、測定サンプル内をガスが流れ始める。圧力の上昇に伴ってガス流量は増加する。圧力をかけた端面とは反対側の端面からガスが流れる際の圧力に基づいて、式4から細孔径(つまり気孔径)を算出する。式4において、Dpは細孔径であり、γは含浸する液体の表面張力であり、θは液体の接触角であり、定数である。なお、本形態で用いられる測定装置は、PorousMaterial社製のCEP-1100AXSHJであり、試薬には、同社のSilwick(表面張力:20.1[dyne/cm])が用いられる。
p=4×γ×cosθ×α/P ・・・式4
本形態ではバブルポイント法における測定サンプルは、排ガス浄化フィルタの一部である。測定サンプルが多数の連通気孔122を有することを考慮すると、バブルポイント法において端面からガスが流れ出すときの圧力は、連通気孔122における狭小部(具体的にはネック部124a、124b、124c)にて律速される。連通気孔122においては、ネック部124a、124b、124cがガス流れの抵抗値を支配的に決定するからである。したがって、式4における細孔径Dpは、ネック径に他ならない。
バブルポイント法では、排ガス浄化フィルタ1から採取した6箇所の測定サンプルを用いる。各測定サンプルの採取箇所は、実施形態1にて説明した屈曲度の測定サンプルの採取箇所と同様である。但し、測定サンプルの形状は、軸方向Yと直交方向の直径がΦ19mm、軸方向Yに沿う厚さが400~500μmである円板状体とされる。なお、上記圧力をかえる端面は、円板状体の円板面のことである。また、採取された測定サンプルでは、封止部16が含まれない。そのため、測定サンプルには、排ガス浄化フィルタ1と同じガス流れとなるように第1セル131、第2セル132に封止部16が設けられる。これら6つの測定サンプルからバブルポイント法によりネック径を測定し、その平均値を求める。この平均値が平均ネック径Φ1である。詳しくは、実験例にて後述する。
隔壁12の平均細孔径Φ2は、後述の実験例にて示すように水銀圧入法により求める。測定サンプルは、排ガス浄化フィルタ1の軸方向Yと直交方向の寸法が縦15mm×横15mmであり、軸方向Yの長さが20mmである直方体である。
上記のようにしてそれぞれ測定される平均ネック径Φ1μmと、平均細孔径Φ2μmとが、Φ1/Φ2≧0.2の関係を満足する場合には、排ガス浄化フィルタ1の圧損が低下する。圧損をさらに低下させるという観点から、Φ1/Φ2≧0.3の関係を満足することがより好ましく、Φ1/Φ2≧0.4の関係を満足することがさらに好ましく、Φ1/Φ2≧0.5の関係を満足することがさらにより好ましい。
その他の構成および作用効果は、実施形態1の排ガス浄化フィルタ1と同様である。実施形態1の構成と実施形態2の構成とを組み合わせることにより、捕集率が高く、かつ圧力損失の低い排ガス浄化フィルタ1が提供される。
[実施形態3]
実施形態1のように屈曲度が1.1以上となる排ガス浄化フィルタの製造方法について説明する。本形態の排ガス浄化フィルタは、コージェライトを主成分とし、以下のように、混合工程、成形工程、焼成工程を行うことにより製造される。
混合工程では、多孔質シリカと、タルクと、Al源とを混合する。これにより、コージェライト形成原料を作製する。成形工程では、コージェライト形成原料を含む坏土を作製し、坏土を成形する。これにより成形体を作製する。焼成工程では成形体を焼成する。
排ガス浄化フィルタ1は、例えば化学組成がSiO2:45~55重量%、Al23:33~42重量%、MgO:12~18重量%よりなるコージェライトを主成分とする。したがって、排ガス浄化フィルタ1の製造にあたっては、コージェライト組成が生成するように、Si源、Al源、及びMg源を含むコージェライト形成原料を用いる。
コージェライト形成原料は、焼成によりコージェライト組成を生成できる原料のことである。コージェライト形成原料としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、アルミナ、カオリン等を適宜混合した混合物が用いられる。
シリカとしては、タップ嵩密度0.38g/cm3以下の多孔質シリカを用いる。タップ嵩密度が0.38g/cm3以下の多孔質シリカを用いることにより、屈曲度1.1以上の排ガス浄化フィルタ1を得ることができる。この理由は以下の通りである。
コージェライト形成原料において、多孔質シリカ、タルクは、気孔形成材料である。タップ嵩密度が上記所定値以下まで小さい多孔質シリカを用いることにより、コージェライト形成原料中の気孔形成材料の占める体積割合が増大する。これにより、連通気孔が増え、その屈曲度が高くなる。その結果、捕集率の高い排ガス浄化フィルタ1が得られる。タップ嵩密度は、後述の実験例に示す方法により測定される嵩密度である。
屈曲度をさらに高め、捕集率がさらに高い排ガス浄化フィルタ1が得られるという観点から、多孔質シリカのタップ嵩密度TDSは、0.38g/cm3以下であることが好ましく、0.33g/cm3以下であることがより好ましく、0.28g/cm3以下であることがさらに好ましい。
また、コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMg/cm3と、多孔質シリカとタルクの混合粉のタップ嵩密度TDSTg/cm3とは、好ましくはPDM/TDST≧1.7、より好ましくはPDM/TDST≧1.8、さらに好ましくはPDM/TDST≧1.9の関係を満足する。この場合には、屈曲度L/Tをさらに高めることができる。これは、PDM/TDSTを上記所定値以上まで大きくすることにより、コージェライト形成原料における多孔質シリカおよびタルクの体積を増やすことができるためであると考えられる。
多孔質シリカのタップ嵩密度TDSだけでなく、コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMg/cm3と、多孔質シリカとタルクの混合粉のタップ嵩密度TDSTg/cm3との比PDM/TDSTを上記所定値以上にすることにより、屈曲度をより高くすることができる。多孔質シリカおよびタルクは、その粒子径、表面の凹凸形状、球形度などによってタップ嵩密度の値が変わり、コージェライト形成原料についても同様であるため、多孔質シリカおよびタルクの体積割合が屈曲度を左右する上で最も重要な因子となる。したがって、気孔形成材料である混合粉の多孔質シリカおよびタルクの粒子数割合を表すPDM/TDSTを上記所定値以上にすることより、より確実に屈曲度を高めることができる。なお、加圧嵩密度は、後述の実験例2に示す方法により測定される嵩密度である。
また、多孔質シリカの平均粒子径A1μmとAl源の平均粒子径A2μmとが、好ましくはA1/A2≦3.58、より好ましくはA1/A2≦3.43、さらに好ましくはA1/A2≦3.28の関係を満足するとよい。この場合にも、屈曲度L/Tをさらに高めることができる。これは、気孔形成材料である多孔質シリカと、骨格形成材料であるAl源との粒径比を調整することにより、コージェライト形成原料における各原料の充填密度を制御することができるためであると考えられる。なお、気孔形成材料は、隔壁12の気孔部の形成に影響を及ぼす原料であり、コージェライト形成原料においては、例えば、多孔質シリカ、タルクなどのSi源である。一方、骨格形成材料は、隔壁12のセラミック部の形成に影響を及ぼす原料であり、コージェライト形成原料においては、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナなどのAl源である。
また、気孔率を高めることができるという観点から、Al源としては、水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
排ガス浄化フィルタ1の製造においては、コージェライト形成原料に、水、バインダ、潤滑油、造孔材等を適宜混合し、コージェライト形成原料を含む坏土を製造する。混合には、混練機を用いることができる。次いで、例えば押出成形により坏土をハニカム状に成形する。成形体は、坏土からなり、例えば乾燥後に所定の長さに切断される。
次いで、成形体を焼成する。これにより、ハニカム構造の焼結体が得られる。図示を省略するが、ハニカム構造の焼結体は、封止部が形成されていない点を除いて、図1及び図2に例示される排ガス浄化フィルタ1と同様の構成となる。
次いで、封止部16を形成する。封止部16は、ディスペンサや印刷等により、ハニカム構造の焼結体と同種のセラミックス原料を含むスラリーでセル13の第1端面14又は第2端面15を埋めて焼成することにより形成される。封止部16の形成方法は特に限定されず、他の方法を用いてもよい。また、焼成前の成形体に封止部を形成し、1回の焼成工程により成形体と封止部との焼結を同時進行させてもよい。また、ハニカム構造の成形体の端面において焼成前あるいは焼成中の隔壁12の一部を変形させることにより、封止部を形成することもできる。
このようにして、屈曲度が1.1以上の排ガス浄化フィルタ1を製造することができる。これにより、捕集率の高い排ガス浄化フィルタ1を提供することができる。
また、実施形態2のように、Φ1/Φ2を所定値以上に高めるためには、混合粉体中における気孔形成材料の粒子数割合を高くすればよい。これにより、気孔形成材料同士の接触度合が高まり、Φ1/Φ2を高めることができる。その結果、捕集率をほとんど低下させることなく、圧損の低い排ガス浄化フィルタ1を得ることができる。
なお、本実施形態では、コージェライトを主成分とする排ガス浄化フィルタ1について、その屈曲度やΦ1/Φ2の高める方法について説明したが、本形態にて説明した製造方法の原理などに基づけば、コージェライト以外の材料を主成分とする排ガス浄化フィルタ1についても、屈曲度やΦ1/Φ2を高めることができる。例えば、コージェライト形成原料以外においても、気孔形成材料や骨格形成材料の嵩密度、粒径比などを本形態と同様に調整することができる。これにより、コージェライト以外の材料を主成分とし、屈曲度やΦ1/Φ2が上記所定以上の排ガス浄化フィルタ1を得ることができると考えられる。
[実験例1]
本例では、屈曲度、Φ1/Φ2が異なる複数の排ガス浄化フィルタ1を作製し、そのPM捕集率を比較評価する。
具体的には、多孔質シリカ、タルク、水酸化アルミニウムを適宜配合し、コージェライト形成原料を作製した。コージェライト形成原料に、適宜、グラファイトからなる造孔材、水、潤滑油、メチルセルロースからなるバインダを添加し、コージェライト形成原料を含む坏土を作製した。試験体A1~A3、A6~A11、A14~A17については、一般的に坏土の混練時間が30分~2時間程度であるのに対して、粒子同士の接触性向上による連通性および屈曲度向上のため、坏土の混練時間を長くした。但し、坏土の混練時間が長くなり過ぎると水分が蒸発し、十分な成形性が得られなくなることから、本実験例では、1.2~1.5倍程度、坏土の混練時間を長くした。これらにより作製された坏土を押出成形し、焼成した後、封止部を形成することにより、コージェライトを主成分とする排ガス浄化フィルタ1を作製した。
本例では、多孔質シリカ、タルク、水酸化アルミニウムの平均粒子径や配合割合、グラファイトの配合割合などを変更することにより、17種類の排ガス浄化フィルタ1を作製した。これらの排ガス浄化フィルタ1を試験体A1~A6、A8~A12、A14~A19とする。
各試験体の気孔率、平均細孔径、屈曲度L/T、Φ1/Φ2を測定し、その結果を表1に示す。また、各試験体の捕集率、圧損を測定し、その結果を表1に示す。また、気孔内に60g/Lの触媒を担持させた後の各試験体の屈曲度L/T、捕集率を測定し、その結果を表1に示す。なお、触媒の担持には、各試験体の隔壁内まで触媒含有スラリーを満たした後、各試験体の一方端面または両端面から触媒含有スラリーを吸引させる、インウォールコート法を用いる。
(気孔率、平均細孔径)
各試験体の隔壁12における気孔率および平均細孔径Φ2を、水銀圧入法の原理を用いた水銀ポロシメータにより測定した。平均細孔径Φ2は、平均気孔径とも呼ばれる。水銀ポロシメータとしては、島津製作所社製のオートポアIV9500を用いた。測定条件は、以下の通りである。
まず、各試験体から測定用の試験片を切り出した。試験片は、軸方向と直交方向の寸法が縦15mm×横15mmであり、軸方向の長さが20mmである直方体である。次いで、水銀ポロシメータの測定セル内に試験片を収納し、測定セル内を減圧した。その後、測定セル内に水銀を導入して加圧し、加圧時の圧力と試験片の気孔内に導入された水銀の体積より、気孔径と気孔容積とを測定した。
測定は、圧力0.5~20000psiaの範囲で行った。なお、0.5psiaは、0.35×10-3kg/mm2に相当し、20000psiaは14kg/mm2に相当する。この圧力範囲に相当する気孔径の範囲は0.01~420μmである。圧力から気孔径を算出する際の常数として、接触角140°および表面張力480dyn/cmを使用した。平均細孔径Φ2は、気孔容積の積算値50%での気孔径のことである。気孔率は、次の関係式より算出した。なお、コージェライトの真比重は2.52である。
気孔率(%)=総気孔容積/(総気孔容積+1/コージェライトの真比重)×100
(屈曲度)
各試験体の隔壁12の屈曲度を、実施形態1で説明した方法により測定した。なお、二値化処理には、アメリカ国立衛生研究所(NIH)製の画像解析ソフトImageJ バージョン1.46を用いた。屈曲度を算出する際の流路長の測定には、SCSK社製の解析ソフトGeoDict バージョン 2017を用いた。
(Φ1/Φ2
各試験体における連通気孔122の平均ネック径Φ1を実施形態2で説明した方法に従って測定した。バブルポイント法は、PorousMaterials社製の測定装置CEP-1100AXSHJを用いて行った。測定においては、図12に例示される、外径が25.4mm、内径が16.5mmのリング状の治具4を用いた。治具4には、内径19mmの窪みが設けられており、この窪み内に測定サンプルSpが載置される。測定サンプルSpは、Φ19mm、厚さ400~500μmの円板状体であり、実施形態2で説明したように各試験体から切り出したものを用いた。なお、測定サンプルSpは、円板状体の直径方向が試験体の軸方向Yの直交方向となり、かつ、円板状体の厚み方向が試験体の軸方向Yと同方向となるように切り出した。試験体から切り出した測定サンプルSpの表面を♯320のサンドペーパーにて仕上げ研磨した後、測定サンプルSpの両端面に通気性のないプラスチックパラフィンフィルムを貼り付けた。そして、各フィルムに穴を形成することにより、第1セル131および第2セル132の開口とするとともに、穴を形成したかった部分を、第1セル131および第2セル132の封止部16とした。なお、図12では、フィルム、および、封止部16は、便宜上省略されている。封止部16を設けた測定サンプルSpを治具4の窪み内に配置した。バブルポイント法において測定サンプルSpに含浸させる液体としては、表面張力が20.1dynes/cmに調整されたPorousMaterials社製のSilwichを用いた。2ml注射器を用いてこの液体を測定サンプルSpが覆われるまで滴下し、完全に含浸させるまで真空脱泡を行った。その後、測定サンプルSpの厚み方向にガスにて圧力をかけ、圧力とガス流量の関係を調べた。なお、圧力をかける方向は、図12における矢印Pの方向である。また、測定サンプルSpにおける圧力をかけた端面には、第1セル131が開口している。測定サンプルSpにおける圧力をかけた端面とは反対側の端面には、第2セル132が開口している。
バブルポイント法での圧力と流量との関係により表される圧力曲線を図13に例示する。図13では、試験体A1及び試験体A2の圧力曲線を示す。また、実施形態2の式4に基づいて、圧力曲線から各圧力における気孔径(つまり、ネック径)を測定することにより、図14に示されるネック径と累積頻度との関係図が得られる。この関係図における頻度50%でのネック径が測定サンプルSpのネック径である。さらに実施形態2にて示すように各試験体から6つの測定サンプルSpを採取し、各測定サンプルSpのネック径を測定した。そして、これらの平均値Φ1(つまり、平均ネック径)を求めた。そして、平均ネック径Φ1と上述の平均細孔径の値Φ2との比Φ1/Φ2を算出した。
(捕集率、圧損)
PM捕集率および圧損は、具体的には、次のように測定した。各試験体の排ガス浄化フィルタ1をガソリン直噴エンジンの排気管内に取り付け、排ガス浄化フィルタ1にPMを含む排ガスを流した。このとき、排ガス浄化フィルタ1に流入する前の排ガス中のPM数、排ガス浄化フィルタ1から流出する排ガス中のPM数を測定し、PM捕集率を算出した。測定条件は、温度450℃、排ガス流量2.8m3/minである。また、圧損は、捕集率の測定と同時に圧力センサにより排ガス浄化フィルタ前の圧力と排ガス浄化フィルタ後の圧力とを測定し、その差分を圧力損失として計測した。測定条件は、温度720℃、排ガス流量11.0m3/minとした。いずれの測定も、排ガス浄化フィルタ内にPMが堆積していない初期状態について行った。PM数の測定は、AVL社製のPM粒子数カウンタ(AVL-489)を用いて行った。
Figure 0007024698000001
表1より知られるように、屈曲度が1.1以上の排ガス浄化フィルタ1は、捕集率が高い。屈曲度と捕集率との関係の傾向を知るために、試験体の屈曲度と捕集率との関係を図15に示す。図15より知られるように、屈曲度を高くすると、捕集率が増大し、屈曲度1.1以上においては、65%を超える高い捕集率を発揮する。屈曲度が1.2以上となると捕集率は70%を超える。これは、屈曲度を高めて隔壁内の連通気孔の流路を複雑にするほど、ブラウン運動による壁面衝突頻度が増え、PMの慣性衝突の頻度も増大するためであると考えられる。
一方、屈曲度が1.6を超えると捕集率の増加率が大きく低下する。この理由は、連通気孔の流路を複雑にすればするほど、実際には流路同士の交点も増えることとなり、ブラウン運動による壁面衝突頻度が増える一方で、PMが通過する流路の分岐が増えることにより、PMの慣性による衝突が低下するためであると考えられる。また、図16に示すように、屈曲度と圧損とは比例関係があり、屈曲度が高くなると、圧損が増大する。したがって、捕集率の向上効果がほとんど得られなくなり、かつ圧損が増大するという観点から屈曲度は1.6以下であることが好ましいことがわかる。
また、表1より知られるように、平均ネック径Φ1/平均細孔径Φ2が大きくなると、捕集率をほとんど低下させることなく圧損が小さくなる。Φ1/Φ2と捕集率との関係、Φ1/Φ2と圧損との関係の傾向を知るために、試験体のΦ1/Φ2と捕集率との関係を図17に示し、Φ1/Φ2と圧損との関係を図18に示す。
図17及び図18より知られるように、Φ1/Φ2を大きくすると、捕集率をほとんど変化させることなく圧損を低下させることができる。特にΦ1/Φ2を0.2以上にすることにより、捕集率をほとんど変化させることなく、圧損を大幅に低下させることができる。一般には、圧損の抑制には、平均細孔径を大きくする手法がとられるが、連通気孔においては、ボトルネックとなるネック部の拡大が特に有効になる。つまり、圧損低下には、平均ネック径Φ1/平均細孔径Φ2を大きくすることが有効であり、特にΦ1/Φ2を0.2以上にすることにより、圧損の顕著な低下効果が得られる。
さらに、屈曲度を1.1以上にしつつ、Φ1/Φ2を0.2以上にすることにより、相互にトレードオフの関係になりがちな高捕集率と低圧損とを高いレベルで両立させることができる。
[実験例2]
本例では、屈曲度の高い排ガス浄化フィルタの製造方法について検討する。排ガス浄化フィルタ1がコージェライトを主成分とする場合、コージェライト組成が生成するように、Si源、Al源、およびMg源を含むコージェライト形成原料が用いられる。コージェライト形成原料としては、多孔質シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、アルミナ、カオリン等を適宜混合した混合物を用いることができる。排ガス浄化フィルタ1の製造においては、コージェライト形成原料に、水、バインダ、潤滑油、造孔材等を適宜混合し、コージェライト形成原料を含む坏土を準備することができる。そして、実験例1に示すように、坏土の押出成形、焼成、封止部の形成などの工程を行うことにより、排ガス浄化フィルタ1を得ることができる。
多孔質シリカ、タルクは、高温で溶融して気孔121を形成できるため、気孔形成材料と呼ぶことができる。この気孔形成材料の粒子数割合が高いほど、粒子同士の接触性が向上し、その結果、屈曲度を高めることが可能になると考えられる。そこで、屈曲度を高めるためには、コージェライト形成原料を含む坏土を押出成形したときにおいて、坏土中に含まれる多孔質シリカとタルクの粒子数割合を制御すればよい。
しかし、粒子数割合は、測定が困難であり、さらに成形条件によって測定値がばらつくことが想定される。そのため、シリカ、タルク、Al源などの原料粉末の条件制御により屈曲度を調整できる指標が望まれる。このような観点から、多孔質シリカのタップ嵩密度、コージェライト形成原料の粉末の加圧嵩密度等に着目して以下の検討を行った。
具体的には、表2に示される配合の坏土を考える。ここでは、表2に示されるように多孔質シリカ、タルク、水酸化アルミニウムを適宜配合することにより、コージェライト形成原料が調整される。多孔質シリカとしては、タップ嵩密度が異なる3種類のシリカが用いられる。これらの多孔質シリカのタップ嵩密度は表3に示される。なお、タップ嵩密度は、以下のようにして測定される。
(タップ嵩密度)
タップ嵩密度の測定は、タップ嵩密度法流動性付着力測定器によって行われる。具体的には、セイシン企業社製のタップデンサを用いた。測定器のシリンダに測定対象粉末を充填し、測定対象粉末をタッピングにより圧縮させ、圧縮状態の測定対象粉末の質量とシリンダの体積とから嵩密度を算出した。この嵩密度がタップ嵩密度である。測定対象粉末としては、多孔質シリカ、多孔質シリカとタルクの混合粉を用いた。
水酸化アルミニウムとしては、1種類又は平均粒子径が相互に異なる2種類のものが使用される。コージェライト形成原料には、適宜、グラファイトからなる造孔材、水、潤滑油、メチルセルロースからなるバインダが添加される。このような混合原料から坏土を作製することを考える。なお、試験体B14、B15については、一般的に坏土の混練時間が30分~2時間程度であるのに対して、粒子同士の接触性向上による連通性および屈曲度向上のため、坏土の混練時間を長くした。但し、坏土の混練時間が長くなり過ぎると水分が蒸発し、十分な成形性が得られなくなることから、本実験例では、1.2~1.5倍程度、坏土の混練時間を長くした。
Figure 0007024698000002
一方で、坏土を模擬した評価方法を検討すべく、コージェライト形成原料の粉末(以下、混合粉という)の加圧嵩密度を測定した。具体的には、先ず、島津製作所社製の加圧測定機「オートグラフ」における直径25mm、長さ20mmの測定器内に混合粉を投入し、混合粉の加圧を開始した。加圧速度は1mm/minである。実際の成形時の圧力15MPaに相当する荷重7kNに到達した際に、リミット制御で加圧を停止した。この加圧により、混合粉からなる円柱状のペレットが得られる。このペレットの重量及び高さを測定した。
ペレットの高さの測定は、ノギス、マイクロメータ、三次元測定機などによって行うことができる。ここでは、マイクロメータを用いて測定を行った。ペレットの直径は25mmとなるため、直径と高さとの積からペレットの体積を算出した。
また、ペレットの体積と重量から密度を算出した。密度は、重量を体積で割ることにより算出される。この密度を加圧嵩密度とした。なお、混合粉には、バインダとして松本油脂製薬社製のメチルセルロース「65MP-4000」が添加されている。バインダは、ペレット状の混合粉を取り扱いやすくするためのものであり、他のバインダを用いることも可能である。具体的には、混合粉1.5g、バインダ0.5gの合計2gを用いている。
一般に、粒子径と嵩密度には相関があり、粒子径が小さい程、粒子間に空間が形成されるため、嵩密度は小さくなる。ある体積内に配置される粒子数は、粒子径が小さいほど粒子数が多くなる。したがって、嵩密度が小さいほど粒子数は多くなる。すなわち、嵩密度と粒子数とは反比例の関係にある。
混合粉における気孔形成材料の粒子数割合Rは、多孔質シリカとタルクの粒子数NSTと、排ガス浄化フィルタ1の製造に用いられるすべての原料混合粉の粒子数NMとから、以下の式(i)により算出される。ここでは、気孔形成材料は、多孔質シリカおよびタルクである。
R=NST/NM ・・・(i)
式(i)に、上述の嵩密度と粒子数の関係を適用すると、気孔形成材料の粒子数割合Rは、すべての原料、すなわち、多孔質シリカ、タルク、及び、水酸化アルミニウムの原料混合粉の嵩密度DMと、多孔質シリカとタルクの混合粉の嵩密度DSTとから、以下の式(ii)で表される。
R=DM/DST ・・・(ii)
つまり、この式(ii)より、水酸化アルミニウムの嵩密度を大きくすること、多孔質シリカもしくはタルクの嵩密度を小さくすることにより、粒子数割合が大きくなるといえる。本例では、多孔質シリカの嵩密度DSとしては、多孔質シリカのタップ嵩密度TDSを用い、多孔質シリカとタルクの混合粉の嵩密度DSTとしては、多孔質シリカとタルクの混合粉のタップ嵩密度TDSTを用い、コージェライト形成原料の嵩密度DMとしては、コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMを用いる。
表2に示される各坏土について、多孔質シリカのタップ嵩密度TDS、多孔質シリカとタルクの混合粉のタップ嵩密度TDST、コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMを測定した。タップ嵩密度TDS、加圧嵩密度PDMは、上述の方法により測定される。その結果を表3に示す。
また、表2に示される各坏土を用いて、実験例1と同様に押出成形、焼成、封止部の形成を行うことにより、各試験体の排ガス浄化フィルタ1を得た。各試験体の屈曲度L/T、平均ネック径Φ1/平均細孔径Φ2、捕集率、圧損を実験例1と同様にして測定した。その結果を表3に示す。なお、試験体B1、B5、B14、B15は、実験例1の試験体A1、A5、A14、A15と同様の排ガス浄化フィルタ1である。試験体B13は、本例において作製した、屈曲度1.12の排ガス浄化フィルタ1である。
Figure 0007024698000003
表3より知られるように、タップ嵩密度TDSの小さい多孔質シリカB、多孔質シリカCを用いることにより、コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMと、多孔質シリカとタルクの混合粉のタップ嵩密度TDSTとの比PDM/TDSTで表される、多孔質シリカとタルクの粒子数割合が大きくなる。また、相対的に平均粒子径の大きい水酸化アルミニウム粒子と相対的に平均粒子径の小さい水酸化アルミニウムを混合して用いることにより、水酸化アルミニウムの嵩密度を大きくし、充填性を向上させることができる。
一般に、水酸化アルミニウムの全量に対する平均粒子径の小さい小粒子径の水酸化アルミニウムの割合を25~30wt%にすることにより、充填性がさらに向上する。しかし、粒子径の組み合わせ、粒子形状、分布などにより、充填性を高めるための最適な配合比は変わる。
本実験例では、表2及び表3に示されるように、試験体B5及びB13では、水酸化アルミニウムとして平均粒子径5μmの水酸化アルミニウムを単独で用い、試験体B1及びB14では、小粒子径と大粒子径が3:7(ただし、小粒子径:大粒子径)の水酸化アルミニウムを用い、試験体B15では、小粒子径と大粒子径が5:5の水酸化アルミニウムを用いた。その結果、小粒子径の配合割合が30~50wt%では、表3に示すようにコージェライト形成原料の嵩密度は同程度になることがわかる。
また、表3より知られるように、コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMと、気孔形成材料である多孔質シリカとタルクの混合粉のタップ嵩密度TDSTとの比PDM/TDSTは、試験体B5及びB13、試験体B1及びB15、試験体B14の順に、順次高くなっている。このPDM/TDSTの序列は、屈曲度L/Tの序列及び捕集率の序列ともほぼ相関がある。したがって、屈曲度を高めて捕集率を高めるためには、多孔質シリカのタップ嵩密度を小さくし、比PDM/TDSTを大きくすればよいことがわかる。
図19に、多孔質シリカのタップ嵩密度TDSと捕集率との関係を示す。また、図20に、上記PDM/TDSTと捕集率との関係を示す。また、図21に、多孔質シリカの平均粒子径A1と水酸化アルミニウムの平均粒子径A2との比A1/A2と捕集率との関係を示す。
図19より知られるように、タップ嵩密度0.38g/cm3以下の多孔質シリカを用いることにより、捕集率を70%以上にできることがわかる。また、図20より知られるように、PDM/TDSTを1.7以上とすることにより、捕集率を70%以上にできることがわかる。また、図21より知られるように、A1/A2を3.58以下とすることにより、捕集率を70%以上にできることがわかる。
本例では、コージェライト形成原料として、シリカ、タルク、及び水酸化アルミナを用いたが、コージェライト形成原料は、カオリン、アルミナなどの原料を含むことができる。また、気孔率が低下してもよい場合には、Al源として、アルミナを用いることができる。Al源としては、水酸化アルミニウム及びアルミナの少なくとも一方を用いることができる。水酸化アルミニウムとアルミナとは、同じ平均粒粒子径のものを用いても、異なる平均粒子径のものを用いてもよい。これらの組み合わせは、成形性、収縮性、コストなどの観点から、適宜調整することができる。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施形態、各実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
1 排ガス浄化フィルタ
11 外皮
12 隔壁
13 セル
122 連通気孔

Claims (7)

  1. 外皮(11)と、上記外皮の内側を複数のセル(13)に区画する多孔質の隔壁(12)とを有しておりコージェライトから形成されている排ガス浄化フィルタ(1)であって、
    上記隔壁の厚みは、100μm以上400μm以下であり、
    上記隔壁は、気孔率が55%以上75%以下であり、平均細孔径が12μm以上30μm以下であり、
    上記隔壁は、該隔壁に隣接する上記セル間を連通させる複数の連通気孔(122)を有しており、
    上記隔壁の厚みTμmに対する上記連通気孔の平均流路長Lμmの比で定義される屈曲度L/Tが下記式1の関係を満足し、
    上記連通気孔の流路面積が最小となるネック部の円相当径で定義されるネック径の平均値Φ1μmと、上記隔壁の平均細孔径Φ2μmとが下記式3の関係を満足する、
    触媒が担持されていない、排ガス浄化フィルタ(1)。
    L/T≧1.1 ・・・式1
    Φ1/Φ2≧0.2 ・・・式3
  2. 上記屈曲度L/Tが、さらに、下記式2の関係を満足する、請求項1に記載の排ガス浄化フィルタ。
    L/T≦1.6 ・・・式2
  3. 上記排ガス浄化フィルタのパティキュレートマターの捕集率が70%以上である、請求項1または2に記載の排ガス浄化フィルタ。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の排ガス浄化フィルタに触媒が担持されてなる排ガス浄化フィルタであって、
    上記触媒が50g/L以上担持されており、
    上記触媒が担持された状態における上記屈曲度L/Tが1.7以上2.5以下である、排ガス浄化フィルタ。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の排ガス浄化フィルタの製造方法であって、
    タップ嵩密度0.38g/cm3以下の多孔質シリカと、タルクと、Al源とを混合することにより、コージェライト形成原料を作製する混合工程と、
    上記コージェライト形成原料を含む坏土を作製し、該坏土を成形することにより成形体を作製する成形工程と、
    上記成形体を焼成する焼成工程と、を有する、排ガス浄化フィルタの製造方法。
  6. 上記混合工程においては、上記コージェライト形成原料の加圧嵩密度PDMg/cm3と、上記多孔質シリカと上記タルクの混合粉のタップ嵩密度TDSTg/cm3とが、PDM/TDST≧1.7の関係を満足するコージェライト形成原料を作製する、請求項5に記載の排ガス浄化フィルタの製造方法。
  7. 上記多孔質シリカの平均粒子径A1μmと上記Al源の平均粒子径A2μmとが、A1/A2≦3.58の関係を満足する、請求項5又は6に記載の排ガス浄化フィルタの製造方法。
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