JP7024223B2 - モータ制御装置、モータ駆動システム、及び、モータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置、モータ駆動システム、及び、モータ制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数のマイコンによりモータの駆動を制御するモータ制御装置、それを備えるモータ駆動システム、及び、モータ制御方法に関する。
従来、冗長的に設けられた複数のマイコンでモータの駆動を制御するモータ制御装置において、各マイコンが、それぞれ独立したクロック生成回路で生成されたクロックにより動作する装置が知られている。一つのクロック生成回路で全てのマイコンを動作させる場合には、クロック生成回路の故障時にモータ駆動が停止するのに対し、各マイコンに対応して独立したクロック生成回路を設けることにより、信頼性が向上する。
ただし、現実には、クロック生成回路の製造ばらつき等により、各マイコンの演算制御タイミングにずれが生じるという問題がある。
そこで、例えば特許文献1に開示された電動機制御装置は、複数のマイコン間で同期信号を送受信し、同期信号を受信したマイコンが、同期信号に基づいて演算制御タイミングを補正する。こうして複数のマイコンの演算制御タイミングを互いに同期させることで、モータのトルク脈動の抑制を図っている。
特許第5412095号公報
複数のマイコンの動作を停止させる時、各マイコンへの供給電圧の差や電源生成回路の特性ばらつき等により、電源OFFによる停止判定のタイミングが各マイコンでずれる場合がある。そのとき、各マイコンが独自に動作の停止を判定すると、あるマイコンは動作し続けているにもかかわらず、他のマイコンが動作を停止することとなる。
その結果、本来、他マイコンから受信すべき信号が途絶することにより誤ったフェイル判定をしたり、他マイコンとの同期ができなくなったりするおそれがある。さらに、複数のマイコン間でモータの駆動/停止等の状態が不一致のまま動作を停止すると、電源を再ONしたとき、例えば一方ではモータ駆動を開始し、他方ではイニシャルチェックを行うというような不都合が生ずるおそれがある。このように複数のマイコンの動作停止時に同期関係が崩れるという問題について、特許文献1には何ら言及されていない。
また、特許文献1の技術では、複数のマイコン間で送受信される同期信号に異常が発生した場合を想定していない。しかし、送信される同期信号に異常が発生すると、同期信号受信側のマイコンが異常な同期信号に基づいてタイミングを補正することになる。そのため、同期信号の異常の程度によっては、同期信号受信側マイコンによる制御が破綻するおそれがある。その結果、クロックのずれによりトルク脈動が生じることよりも不都合な事態に陥る可能性がある。例えば、車両の電動パワーステアリング装置において、モータ駆動の停止によりアシスト機能が停止すると、運転者に不安を与えることとなる。したがって、同期信号の異常を判定し、異常の場合に適切な処置を実施することが求められる。
本発明は上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、複数のマイコンの動作停止時における同期関係を確保するモータ制御装置を提供することにある。
また、好ましくは、それぞれ独立したクロックで動作する複数のマイコン間で、クロックのずれを補正するための同期信号を送受信するモータ制御装置において、同期信号の異常を判定可能なモータ制御装置を提供することにある。
さらに、そのモータ制御装置を備えるモータ駆動システム、及び、そのモータ制御装置によるモータ制御方法を提供することにある。
本発明のモータ制御装置は、複数のモータ駆動回路(701、702)と、複数のマイコン(401、402)と、複数のクロック生成回路(651、652)と、を備える。
複数のモータ駆動回路は、例えば複数の巻線組を有する一つ以上のモータ(80)を駆動する。
複数のマイコンは、電源(111、112)に接続された電源生成回路(161、162)が生成するマイコン電源により動作し、駆動信号生成部(451、452)、及び、駆動タイミング生成部(441、442)を有する。駆動信号生成部は、複数のモータ駆動回路にそれぞれ指令するモータ駆動信号(Dr1、Dr2)を生成する。駆動タイミング生成部は、モータ駆動信号のパルスタイミングである駆動タイミングを生成する。
複数のクロック生成回路は、複数のマイコンが動作の基準とするクロックをそれぞれ独立して生成する。
クロック生成回路、マイコン及びモータ駆動回路は、互いに対応して設けられており、それら一群の構成要素の単位を「系統」と定義する。各系統の構成要素が対応する巻線組への通電を制御することにより、モータ制御装置はモータを駆動する。
複数のマイコンのうち、「自マイコンの駆動タイミングに同期し、且つ、複数のマイコンの駆動タイミングを同期させる同期信号を送信する少なくとも一つのマイコン」を同期信号送信側マイコン(401)とし、「同期信号送信側マイコンから送信された同期信号を受信する少なくとも一つのマイコン」を同期信号受信側マイコン(402)とする。また、各マイコンにとって、そのマイコン自身のことを「自マイコン」という。
第一の態様のモータ制御装置は、上記の基本構成に加え、さらに以下の構成を備える。
同期信号送信側マイコンは、同期信号を生成し、同期信号受信側マイコンに送信する同期信号生成部(411)を有する。
同期信号受信側マイコンは、受信した同期信号に同期するように自マイコンの駆動タイミングを補正するタイミング補正を実施可能なタイミング補正部(422)を有する。
さらに、複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコンは、自マイコンの動作が停止されようとしていることを判定し、その情報を停止判定信号として他マイコンに送信する停止判定部(531、532)を有する。
一つ以上の他マイコンから停止判定信号を受信したマイコンは、少なくとも他マイコンの停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させる。
これにより、本発明のモータ制御装置は、供給電圧や電源生成回路の特性の違いにより複数のマイコン間で停止判定のタイミングがずれた場合でも、実際の動作停止タイミングを揃えることができる。したがって、複数のマイコンの動作停止時における同期関係を確保することができる。
好ましくは、同期信号受信側マイコンのタイミング補正部は、受信した同期信号の正常又は異常の判定である受信信号判定を行う受信信号判定部(432)を含む。
そして、同期信号受信側マイコンは、受信信号判定において同期信号が正常と判定されたとき、タイミング補正を許可し、受信信号判定において同期信号が異常と判定されたとき、タイミング補正を禁止し、同期信号送信側マイコンとは非同期でモータを駆動する。
この構成では、同期信号受信側マイコンの受信信号判定部により同期信号の異常を判定可能である。また、受信信号判定において同期信号が異常と判定されたとき、同期信号受信側マイコンは、タイミング補正を禁止し、同期信号送信側マイコンとは非同期でモータを駆動する。したがって、同期信号の異常が原因となって、同期信号受信側マイコンの制御が破綻することを防止することができる。
この場合、たとえトルク脈動が生じたとしても、少なくともモータの駆動を継続することができる。したがって、電動パワーステアリング装置のように、モータ駆動によるアシスト機能を継続するニーズが大きいモータ駆動システムにおいて、特に有効である。
第二の態様のモータ制御装置は、上記の基本構成を前提とし、さらに、複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコン、及び、そのマイコン以外の少なくとも一つのマイコンは、動作を同時に停止する。
第三の態様のモータ制御装置は、上記の基本構成を前提とし、さらに、複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコン、及び、そのマイコン以外の少なくとも一つのマイコンは、モータの駆動を同時に停止する。
また、上記基本構成のモータ制御装置によるモータ制御方法が提供される。
このモータ制御方法の自マイコン停止判定ステップ(S72)では、複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコンが有する停止判定部(531、532)が、自マイコンの動作が停止されようとしていることを判定する。
停止判定信号送信ステップ(S73)では、自マイコン停止判定ステップでの判定に基づき、自マイコンの動作が停止されようとしていることの情報を停止判定信号として他マイコンに送信する。
他マイコン停止判定ステップ(S74)では、自マイコンが一つ以上の他マイコンから停止判定信号を受信する。
動作停止ステップ(S77)では、自マイコンが、少なくとも他マイコンの停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させる。
各実施形態のECUが機電一体式のモータ駆動システムとして適用される電動パワーステアリング装置の構成図。 各実施形態のECUが機電別体式のモータ駆動システムとして適用される電動パワーステアリング装置の構成図。 二系統機電一体式モータの軸方向断面図。 図3のIV-IV線断面図。 多相同軸モータの構成を示す模式図。 各実施形態によるECU(モータ制御装置)の全体構成図。 第1実施形態の基礎形態によるECU(モータ制御装置)の詳細構成図。 モータ駆動信号とアナログ信号サンプリングタイミングとの関係を示す図。 二系統のマイコンのクロックずれを示すタイムチャート。 同期信号によるタイミング補正(従来技術)を説明するタイムチャート。 同期信号異常時における従来技術の問題点を説明するタイムチャート。 第1実施形態の基礎形態によるタイミング判定処理のフローチャート。 第1実施形態の基礎形態による同期許可区間の設定例を説明する図。 第1実施形態の基礎形態による同期信号異常時タイムチャート。 マイコン起動時のモータ駆動開始処理のフローチャート。 マイコン起動時のタイミング判定待機処理のフローチャート。 同期信号異常判定後のタイミング補正復帰処理のフローチャート。 同期信号の異常確定処理のフローチャート。 第1実施形態によるECU(モータ制御装置)の構成図。 比較例の動作1を説明する図。 比較例の動作2を説明する図。 比較例の動作3を説明する図。 比較例の動作4を説明する図。 比較例の動作5Aを説明する図。 比較例の動作5Bを説明する図。 比較例の動作5Bを示すタイムチャート。 第1実施形態の動作を説明する図。 第1実施形態の動作を示すタイムチャート。 第1電源開閉回路接続/開放判定の簡易的なフローチャート。 第2電源開閉回路接続/開放判定の簡易的なフローチャート。 他マイコンからの停止判定信号の受信に上限待ち時間を設ける場合のマイコン停止処理のフローチャート(1)。 同上のフローチャート(2)。 第2実施形態によるECU(モータ制御装置)の構成図。 第3実施形態によるECU(モータ制御装置)の構成図。 第4実施形態によるECU(モータ制御装置)の構成図。 第4実施形態によるマイコンリセット処理のフローチャート。 第5実施形態によるECU(モータ制御装置)の構成図。 第5実施形態による双方向の同期信号送受信タイミングを示す図。 特定パルスパターンの同期信号を用いる第6実施形態のタイムチャート。 特定パルスパターンの同期信号を用いる第7実施形態のタイムチャート。
以下、モータ制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態において、「モータ制御装置」としてのECUは、車両の電動パワーステアリング装置に適用され、操舵アシストトルクを出力するモータの通電を制御する。また、ECU及びモータにより「モータ駆動システム」が構成される。
複数の実施形態で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、以下の第1~第7実施形態を包括して「本実施形態」という。
最初に、各実施形態に共通する事項として、適用される電動パワーステアリング装置の構成、モータ駆動システムの構成等について、図1~図6を参照して説明する。
図1、図2に、電動パワーステアリング装置90を含むステアリングシステム99の全体構成を示す。図1には、ECU10がモータ80の軸方向の一方側に一体に構成されている「機電一体式」の構成が図示され、図2には、ECU10とモータ80とがハーネスで接続された「機電別体式」の構成が図示される。なお、図1、図2における電動パワーステアリング装置90はコラムアシスト式であるが、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置にも同様に適用可能である。
ステアリングシステム99は、ハンドル91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、及び、電動パワーステアリング装置90等を含む。
ハンドル91にはステアリングシャフト92が接続されている。ステアリングシャフト92の先端に設けられたピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が設けられる。運転者がハンドル91を回転させると、ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によりラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の変位量に応じた角度に一対の車輪98が操舵される。
電動パワーステアリング装置90は、操舵トルクセンサ93、ECU10、モータ80、及び、減速ギア94等を含む。
操舵トルクセンサ93は、ステアリングシャフト92の途中に設けられ、運転者の操舵トルクを検出する。図1、図2に示す形態では、二重化された操舵トルクセンサ93は、第1トルクセンサ931及び第2トルクセンサ932を含み、第1操舵トルクtrq1及び第2操舵トルクtrq2を二重に検出する。
操舵トルクセンサが冗長的に設けられない場合、一つの操舵トルクtrqの検出値が二系統共通に用いられてもよい。以下、冗長的に検出された操舵トルクtrq1、trq2を用いることに特段の意味が無い箇所では、一つの操舵トルクtrqとして記載する。
ECU10は、操舵トルクtrq1、trq2に基づいて、モータ80が所望のアシストトルクを発生するようにモータ80の駆動を制御する。モータ80が出力したアシストトルクは、減速ギア94を介してステアリングシャフト92に伝達される。
ECU10は、回転角センサが検出したモータ80の電気角θ1、θ2及び操舵トルクセンサ93が検出した操舵トルクtrq1、trq2を取得する。ECU10は、これらの情報やECU10内部で検出したモータ電流等の情報に基づき、モータ80の駆動を制御する。
モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体に構成された機電一体式モータ800の構成について、図3、図4を参照して説明する。図3に示す形態では、ECU10は、モータ80の出力側とは反対側において、シャフト87の軸Axに対して同軸に配置されている。なお、他の実施形態では、ECU10は、モータ80の出力側において、モータ80と一体に構成されてもよい。
モータ80は、三相ブラシレスモータであって、ステータ840、ロータ860、及びそれらを収容するハウジング830を備えている。
ステータ840は、ハウジング830に固定されているステータコア845と、ステータコア845に組み付けられている二組の三相巻線組801、802とを有している。
第1巻線組801を構成する各相巻線からは、リード線851、853、855が延び出している。第2巻線組802を構成する各相巻線からは、リード線852、854、856が延び出している。
ロータ860は、リア軸受835及びフロント軸受836により支持されているシャフト87と、シャフト87が嵌入されたロータコア865とを有している。ロータ860は、ステータ840の内側に設けられており、ステータ840に対して相対回転可能である。シャフト87の一端には永久磁石88が設けられている。
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834と、ケース834の一端に設けられているフロントフレームエンド838とを有している。ケース834及びフロントフレームエンド838は、ボルト等により互いに締結されている。各巻線組801、802のリード線851、852等は、リアフレームエンド837のリード線挿通孔839を挿通してECU10側に延び、基板230に接続されている。
ECU10は、カバー21と、カバー21に固定されているヒートシンク22と、ヒートシンク22に固定されている基板230と、基板230に実装されている各種の電子部品とを備えている。カバー21は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU10内への埃や水等の浸入を防止したりする。
カバー21は、外部からの給電ケーブルや信号ケーブルが外部接続用コネクタ部214と、カバー部213とを有している。外部接続用コネクタ部214の給電用端子215、216は、図示しない経路を経由して基板230に接続されている。
基板230は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向する位置に設けられ、ヒートシンク22に固定されている。基板230には、二系統分の各電子部品が系統毎に独立して設けられており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では基板230は一枚であるが、他の実施形態では、二枚以上の基板を備えるようにしてもよい。
基板230の二つの主面のうち、リアフレームエンド837に対向している面をモータ面237とし、その反対側の面、すなわちヒートシンク22に対向している面をカバー面238とする。
モータ面237には、複数のスイッチング素子241、242、回転角センサ251、252、カスタムIC261、262等が実装されている。
本実施形態では複数のスイッチング素子241、242は各系統について6個であり、モータ駆動回路の三相上下アームを構成する。回転角センサ251、252は、シャフト87の先端に設けられた永久磁石88と対向するように配置される。カスタムIC261、262及びマイコン401、402は、ECU10の制御回路を有する。カスタムIC261、262には、例えば図7に示すクロック監視部661、662等が設けられる。
カバー面238には、マイコン401、402、コンデンサ281、282、及び、インダクタ271、272等が実装されている。特に、第1マイコン401及び第2マイコン402は、同一の基板230の同一側の面であるカバー面238に、所定間隔を空けて配置されている。
コンデンサ281、282は、電源から入力された電力を平滑化し、また、スイッチング素子241、242のスイッチング動作等に起因するノイズの流出を防止する。インダクタ271、272は、コンデンサ281、282と共にフィルタ回路を構成する。
図5、図6に示すように、ECU10の制御対象であるモータ80は、二組の三相巻線組801、802が同軸に設けられた三相ブラシレスモータである。
巻線組801、802は、電気的特性が同等であり、例えば特許第5672278号公報の図3に参照されるように、共通のステータに互いに電気角30degずらして配置されている。これに応じて、巻線組801、802には、例えば、振幅が等しく位相が30degずれた相電流が通電されるように制御される。
図6において、第1巻線組801と、第1巻線組801の通電制御に係る第1マイコン401及びモータ駆動回路701等との組み合わせを第1系統GR1とする。第2巻線組802と、第2巻線組802の通電制御に係る第2マイコン402及び第2モータ駆動回路702等との組み合わせを第2系統GR2とする。第1系統GR1と第2系統GR2とは、全て独立した2組の要素群から構成されており、いわゆる「完全二系統」の冗長構成をなしている。
明細書中、必要に応じて、第1系統GR1の構成要素又は信号には語頭に「第1」を付し、第2系統GR2の構成要素又は信号には語頭に「第2」を付して区別する。各系統に共通の事項については、「第1、第2」を付さず、まとめて記載する。また、第1系統の構成要素又は信号の符号の末尾に「1」を付し、第2系統の構成要素又は信号の符号の末尾に「2」を付して記す。
以下、ある構成要素にとって、その構成要素が含まれる系統を「自系統」といい、他方の系統を「他系統」という。同様に、二系統のマイコン401、402について、自系統のマイコンを「自マイコン」といい、他系統のマイコンを「他マイコン」という。
ECU10の第1コネクタ部351には、第1電源コネクタ131、第1車両通信コネクタ311、及び、第1トルクコネクタ331が含まれる。第2コネクタ部352には、第2電源コネクタ132、第2車両通信コネクタ312、及び、第2トルクコネクタ332が含まれる。コネクタ部351、352は、それぞれ単一のコネクタとして形成されていてもよいし、複数のコネクタに分割されていてもよい。
第1電源コネクタ131は、第1電源111に接続される。第1電源111の電力は、電源コネクタ131、電源リレー141、第1モータ駆動回路701、及び、モータリレー731を経由して、第1巻線組801に供給される。また、第1電源111の電力は、第1マイコン401及び第1系統GR1のセンサ類にも供給される。
第2電源コネクタ132は、第2電源112に接続される。第2電源112の電力は、電源コネクタ132、電源リレー142、第2モータ駆動回路702、及び、モータリレー732を経由して、第2巻線組802に供給される。また、第2電源112の電力は、第2マイコン402及び第2系統GR2のセンサ類にも供給される。
電源が冗長的に設けられない場合、二系統の電源コネクタ131、132は共通の電源に接続されてもよい。
車両通信ネットワークとしてCANが冗長的に設けられる場合、第1車両通信コネクタ311は、第1CAN301と第1車両通信回路321との間に接続され、第2車両通信コネクタ312は、第2CAN302と第2車両通信回路322との間に接続される。
CANが冗長的に設けられない場合、二系統の車両通信コネクタ311、312は、共通のCAN30に接続されてもよい。また、CAN以外の車両通信ネットワークとして、CAN-FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、どのような規格のネットワークが用いられてもよい。
車両通信回路321、322は、自系統及び他系統の各マイコン401、402との間で双方向に情報を通信する。
第1トルクコネクタ331は、第1トルクセンサ931と第1トルクセンサ入力回路341との間に接続される。第1トルクセンサ入力回路341は、第1トルクコネクタ331が検出した操舵トルクtrq1を第1マイコン401に通知する。
第2トルクコネクタ332は、第2トルクセンサ932と第2トルクセンサ入力回路342との間に接続される。第2トルクセンサ入力回路342は、第2トルクコネクタ332が検出した操舵トルクtrq2を第2マイコン402に通知する。
マイコン401、402における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
マイコン401、402は、クロック生成回路651、652が生成した基準クロックにより動作する。クロック監視部661、662は、クロック生成回路651、652により生成された基準クロックをそれぞれ監視する。基準クロックの生成、監視について、詳しくは後述する。
第1マイコン401は、第1モータ駆動回路701のスイッチング素子241の動作を操作するモータ駆動信号Dr1を生成し、第1モータ駆動回路701に指令する。また、第1マイコン401は、第1電源リレー駆動信号Vpr1、及び、第1モータリレー駆動信号Vmr1を生成する。
第2マイコン402は、第2モータ駆動回路702のスイッチング素子242の動作を操作するモータ駆動信号Dr2を生成し、第2モータ駆動回路702に指令する。また、第2マイコン402は、第2電源リレー駆動信号Vpr2、及び、第2モータリレー駆動信号Vmr2を生成する。
マイコン401、402が生成した電源リレー駆動信号Vpr1、Vpr2は、自系統の電源リレー141、142に指令される他、他マイコンにも通知される。
マイコン401、402は、マイコン間通信により、相互に情報を送受信可能である。マイコン401、402は、マイコン間通信にて、電流検出値や電流指令値等を相互に送受信し、第1系統GR1及び第2系統GR2を協働させてモータ80を駆動することが可能である。マイコン間通信の通信フレームには、電流検出値等が含まれる。その他、電流指令値、電流制限値、アップデートカウンタ、ステータス信号、及び、誤り検出値信号であるCRC信号、またはチェックサム信号等が含まれる場合もある。なお、本実施形態はマイコン間通信の通信内容に依らず適用可能であり、必要に応じてその他の情報を送受信してもよく、あるいは前記データの一部ないし全部が含まれていなくてもよい。
各マイコンが他マイコンからの電源リレー駆動信号Vpr1、Vpr2を受信しているにもかかわらず、マイコン間通信で他マイコンからの信号を受信しない場合には、他マイコンは正常であり、マイコン間通信の異常であると判断される。
一方、各マイコンが他マイコンからの電源リレー駆動信号Vpr1、Vpr2を受信せず、且つ、マイコン間通信で他マイコンからの信号を受信しない場合には、他マイコンが異常であると判断される。
第1モータ駆動回路701は、複数のスイッチング素子241を有する三相インバータであって、第1巻線組801へ供給される電力を変換する。第1モータ駆動回路701のスイッチング素子241は、第1マイコン401から出力されるモータ駆動信号Dr1に基づいてオンオフ作動が制御される。
第2モータ駆動回路702は、複数のスイッチング素子242を有する三相インバータであって、第2巻線組802へ供給される電力を変換する。第2モータ駆動回路702のスイッチング素子242は、第2マイコン402から出力されるモータ駆動信号Dr2に基づいてオンオフ作動が制御される。
第1電源リレー141は、第1電源コネクタ131と第1モータ駆動回路701との間に設けられ、第1マイコン401からの第1電源リレー駆動信号Vpr1により制御される。第1電源リレー141がオンのとき、第1電源111と第1モータ駆動回路701との間の通電が許容され、第1電源リレー141がオフのとき、第1電源111と第1モータ駆動回路701との間の通電が遮断される。
第2電源リレー142は、第2電源コネクタ132と第2モータ駆動回路702との間に設けられ、第2マイコン402からの第2電源リレー駆動信号Vpr2により制御される。第2電源リレー142がオンのとき、第2電源112と第2モータ駆動回路702との間の通電が許容され、第2電源リレー142がオフのとき、第2電源112と第2モータ駆動回路702との間の通電が遮断される。
本実施形態の電源リレー141、142は、MOSFET等の半導体リレーである。電源リレー141、142がMOSFETのように寄生ダイオードを有する場合、電源リレー141、142に対し寄生ダイオードの向きが逆向きになるように直列接続される図示しない逆接保護リレーを設けることが望ましい。また、電源リレー141、142は、メカリレーであってもよい。
第1モータリレー731は、第1モータ駆動回路701と第1巻線組801との間の各相電力経路に設けられ、第1マイコン401からの第1モータリレー駆動信号Vmr1により制御される。第1モータリレー731がオンのとき、第1モータ駆動回路701と第1巻線組801との間の通電が許容され、第1モータリレー731がオフのとき、第1モータ駆動回路701と第1巻線組801との間の通電が遮断される。
第2モータリレー732は、第2モータ駆動回路702と第2巻線組802との間の各相電力経路に設けられ、第2マイコン402からの第2モータリレー駆動信号Vmr2により制御される。第2モータリレー732がオンのとき、第2モータ駆動回路702と第2巻線組802との間の通電が許容され、第2モータリレー732がオフのとき、第2モータ駆動回路702と第2巻線組802との間の通電が遮断される。
第1電流センサ741は、第1巻線組801の各相に通電される電流Im1を検出し、第1マイコン401に出力する。第2電流センサ742は、第2巻線組802の各相に通電される電流Im2を検出し、第2マイコン402に出力する。
回転角センサ251、252が冗長的に設けられる場合、第1回転角センサ251は、モータ80の電気角θ1を検出し、第1マイコン401に出力する。第2回転角センサ252は、モータ80の電気角θ2を検出し、第2マイコン402に出力する。
回転角センサが冗長的に設けられない場合、例えば第1回転角センサ251が検出した第1系統の電気角θ1に基づき、第2系統の電気角θ2を「θ2=θ1+30deg」の式により算出してもよい。
[ECUの構成]
以下、各実施形態のECUの構成及び作用効果について実施形態毎に説明する。図6に示す二系統冗長に関する各構成については、適宜記載を省略する。各実施形態のECUの符号は、「10」に続く3桁目に実施形態の番号を付す。
(第1実施形態の基礎形態)
第1実施形態の説明に先立って、まず、第1実施形態の基幹部分をなす基礎形態の構成及び作用効果について、図7~図18を参照して説明する。
図7には、図19に示す第1実施形態のECU101の構成のうち特に同期制御部49に関する構成を示す。図7に示す基礎形態のECUの符号を「100」とする。
図7に示すように、ECU100は、第1巻線組801の通電を制御する第1系統制御部601、及び、第2巻線組802の通電を制御する第2系統制御部602を含む。各系統の制御部601、602は、クロック生成回路651、652、クロック監視部661、662、マイコン401、402及びモータ駆動回路701、702を含む。言い換えれば、互いに対応するクロック生成回路、マイコン及びモータ駆動回路を含む一群の構成要素の単位を「系統」という。
第1クロック生成回路651及び第2クロック生成回路652は、第1マイコン401及び第2マイコン402が動作の基準とする基準クロックをそれぞれ独立して生成する。
第1クロック監視部661は、第1クロック生成回路651により生成され第1マイコン401に出力された基準クロックを監視する。第2クロック監視部662は、第2クロック生成回路652により生成され第2マイコン402に出力された基準クロックを監視する。また、クロック監視部661、662は、基準クロックの異常を検出すると、マイコン401、402にリセット(図中「RESET」)信号を出力する。
マイコン401、402は、CAN301、302を経由して入力される車両情報や、各センサから入力される操舵トルクtrq1、trq2、相電流Im1、Im2、電気角θ1、θ2等の情報が入力される。マイコン401、402は、これらの各種入力情報に基づく制御演算によりモータ駆動信号Dr1、Dr2を生成し、モータ駆動回路701、702に出力する。ここで、制御演算のタイミングは、クロック生成回路651、652が生成したクロックに基づいて決定される。
モータ駆動回路701、702は、マイコン401、402から指令されたモータ駆動信号Dr1、Dr2に基づいて、巻線組801、802に通電する。典型的には、モータ駆動回路701、702は、MOSFET等の複数のスイッチング素子がブリッジ接続された電力変換回路である。また、モータ駆動信号Dr1、Dr2は、各スイッチング素子をON/OFFさせるスイッチング信号である。例えば三相ブラシレスモータを駆動する本実施形態では、モータ駆動回路701、702は三相インバータである。
以下は、二つのマイコン401、402間にまたがる同期制御部49の構成である。
各マイコン401、402は、制御プログラムやパラメータ等の固定値を格納するROM、演算処理結果を一時的に記憶保持するRAM等を独立に備えており、相手マイコンのROM、RAMを参照することができない。
このことを前提として、二つのマイコン401、402は、同期信号線471で接続されている。図7に示す例では、同期信号線471は一つであるが、後述する第5実施形態や、三つ以上のマイコンを備える他の実施形態では、複数の同期信号線が設けられる場合もある。つまり、総じて本実施形態のECUは、少なくとも一つの同期信号線を備える。
この同期信号線は、後述する同期信号送信のための専用線に限らず、例えばマイコン間通信に使用するクロック線や電流等の情報を通信するシリアル通信線のように、同期信号以外の通信用の信号線と共用されてもよい。
また、例えば特開2011-148498号公報の段落[0044]に開示されているように、同期信号線による通信に代えて、第1マイコン401から第2マイコン402に対してポート信号のレベル変化を行うことで、同期信号を通知することができる。
第1マイコン401及び第2マイコン402は、共通の構成として、駆動タイミング生成部441、442、駆動信号生成部451、452、及び、アナログ信号サンプリング部461、462を有する。
駆動タイミング生成部441、442は、例えば各相共通のPWMキャリアを用いて、モータ駆動信号Dr1、Dr2のパルスタイミングである駆動タイミングを生成し、駆動信号生成部451、452に指示する。駆動信号生成部451、452は、例えば電圧指令信号のDUTYとPWMキャリアとを比較することで、PWM信号であるモータ駆動信号Dr1、Dr2を生成し、モータ駆動回路701、702に指令する。
アナログ信号サンプリング部461、462は、アナログ信号をサンプリングする。
アナログ信号としては、主に各系統のモータ電流Im1、Im2の検出値を想定する。三相モータでは、モータ電流Im1、Im2は、各巻線組801、802のU相、V相、W相の電流である。図7には、モータ駆動回路701、702に設けられたシャント抵抗等で検出されたモータ電流Im1、Im2が取得される場合を想定して矢印を記載している。その他、モータ80側に設けた電流センサからモータ電流Im1、Im2が取得される場合を想定すると、ECU100の外からアナログ信号サンプリング部461、462への矢印を記載してもよい。また、破線で示すように、アナログ信号サンプリング部461、462は、電気角θ1、θ2や操舵トルクtrq1、trq2のアナログ信号を取得してもよい。
アナログ信号サンプリング部461、462は、駆動タイミング生成部441、442と同期し、モータ駆動信号Dr1、Dr2のスイッチングタイミングと異なるタイミングでアナログ信号をサンプリングする。
図8に、周期TpのPWMキャリアを各相に共通に用いてモータ駆動信号Drを生成する構成を示す。ここで、想定するDUTYは、例えば10%~90%の範囲の値、0%及び100%とする。本明細書では、DUTY0%をPWMキャリアの山側とし、DUTY100%をPWMキャリアの谷側として表す。PWMキャリアの周期Tpは、モータ駆動信号Drのパルス周期に相当する。
DUTY90%のとき、モータ駆動信号Drのパルスは、時刻u9に立ち上がり、時刻d9に立ち下がり、ON時間は0.9Tpと表される。
DUTY10%のとき、モータ駆動信号Drのパルスは、時刻u1に立ち上がり、時刻d1に立ち下がり、ON時間は0.1Tpと表される。
10%~90%のDUTY範囲において、モータ駆動信号Drのパルスは、時刻u9から時刻u1までの期間SWu中に立ち上がり、時刻d1から時刻d9までの期間SWd中に立ち下がる。また、DUTY0%及び100%の期間中にはパルスの立ち上がりや立ち下がりが発生しない。したがって、破線でハッチングした「非スイッチング期間NSW」には、全ての相のスイッチング素子について、モータ駆動信号Drのスイッチングが生じない。なお、PWM制御での非スイッチング期間NSWは、キャリアの谷及び山のタイミングを跨ぐ微小期間に相当する。
なお、DUTY0%以外のDUTYから0%に切り替わる時、またはDUTY100%以外のDUTYから100%に切り替わる時には、パルスの立ち上がり又は立ち下がりが発生する。しかし、DUTYの切り替えタイミングをキャリアの谷タイミングに設定しておくことで、非スイッチング期間NSWのうち、山タイミングでのスイッチングを避けることが可能である。その逆に、DUTYの切り替えタイミングを山タイミングに固定しておけば、非スイッチング期間NSWのうち、谷タイミングでのスイッチングを避けることが可能である。さらに、PWMキャリアの谷、山タイミングの例えばN回に1回DUTYを切り替える設定とすれば、DUTYの切り替えを行わない(N-1)回の谷、山タイミングではスイッチングは発生しない。
そこで、アナログ信号サンプリング部461、462は、駆動タイミング生成部441、442と同期して、非スイッチング期間NSWのうち、0%又は100%DUTYへの切り替えが発生しないタイミングでサンプリングする。これにより、サンプリング信号がスイッチングノイズの影響を受けにくくなり、サンプリング精度が向上する。
より詳しくは、スイッチングにより発生するサージ電圧が減衰する時間の経過後にサンプリングを行うことが好ましい。
さらに、第1実施形態の基礎形態において、第1マイコン401は同期信号生成部411を有し、第2マイコン402はタイミング補正部422を有する。第1マイコン401は、同期信号を送信する「同期信号送信側マイコン」として機能し、第2マイコン402は、同期信号を受信する「同期信号受信側マイコン」として機能する。また、各マイコン401、402にとって、そのマイコン自身のことを「自マイコン」という。
第1マイコン401の同期信号生成部411は、自マイコンの駆動タイミング生成部441が生成した駆動タイミングに同期し、且つ、二つのマイコン401、402の駆動タイミングを同期させる同期信号を生成する。そして、同期信号生成部411は、同期信号線471を介して同期信号を第2マイコン402に送信する
第2マイコン402のタイミング補正部422は、第1マイコン401から送信された同期信号を受信し、受信した同期信号に同期するように自マイコンの駆動タイミング生成部442が生成する駆動タイミングを補正可能である。この補正を「タイミング補正」という。図7において第2マイコン402内に破線で示すように、タイミング補正では、タイミング補正部422から駆動タイミング生成部442へタイミング補正指示が出力され、それに応じて、駆動タイミング生成部442が駆動タイミングを補正する。
ところで、「第1マイコン401から送信された同期信号に基づいて、第2マイコン402が駆動タイミングを補正する」構成は、特許文献1(特許第5412095号公報)に開示されている。この従来技術に対し、第1実施形態の基礎形態では、「受信信号判定部」としてのタイミング判定部432がさらにタイミング補正部422に含まれる。
次にタイミング判定部432の説明に移る前に、特許文献1の従来技術が解決した点、及び、この従来技術では未解決の問題点について、図9~図11を参照して説明する。
図9に、クロック生成回路651、652の製造ばらつき等により、二つのマイコン401、402のモータ駆動信号Dr1、Dr2のタイミングが徐々にずれていく様子を示す。
図9以下のタイムチャートでは、第1モータ駆動信号Dr1のパルス周期をTpA、第2モータ駆動信号Dr2のパルス周期をTpBと示す。また、第1マイコン401のPWMキャリアの谷、山タイミングを基準時ta0から順にta1、ta2・・・とする。同様に、第2マイコン402のPWMキャリアの谷、山タイミングを基準時tb0から順にtb1、tb2・・・とする。ここで、基準時ta0及びtb0は一致している。
基準時ta0、tb0後、パルス周期がTpA<TpBの関係にあるため、第2モータ駆動信号Dr2は、第1モータ駆動信号Dr1に対して徐々に遅れていく。1周期目に生じるタイミングずれΔt1は比較的小さいが、これが蓄積すると、4周期目にはΔt7の大きさにまでタイミングずれが拡大する。タイミングずれが大きくなると、一つには特許文献1に記載されているように、トルク脈動が発生する。
また、図9において、ta11後の第1モータ駆動信号Dr1の立ち下がりタイミングは、第2マイコン402のアナログ信号サンプリングタイミングに重なっている。tb11後の第2モータ駆動信号Dr2の立ち上がりタイミングは、第1マイコン401のアナログ信号サンプリングタイミングに重なっている。このように、モータ駆動信号Dr1、Dr2のパルスエッジに重なったサンプリングタイミングでは、スイッチングノイズの影響を受け、サンプリング精度が低下する。
次に、特許文献1の従来技術では二つのマイコン401、402を同期信号線471で結線し、同期信号を用いて演算タイミングのずれを補正する。この方法を図10に示す。
図10に示すように、同期信号は、第1モータ駆動信号Dr1のパルス周期TpAの4周期に相当する周期Tsのパルス信号として生成される。このパルスは、PWMキャリアの谷、山タイミングの4回毎に、立ち上がり及び立ち下がりを繰り返す。つまり、ta0、ta8で立ち上がり、ta4、ta12で立ち下がる。そして、図10の例では、パルスが立ち上がるta0、ta8のタイミングに同期させるように、第2マイコン402のタイミングを補正する。
つまり、図9と同様にタイミングずれΔt7が蓄積された後、同期信号のパルスが立ち上がるタイミングta8に、第2マイコン402のタイミングtb8を一致させるようにタイミングが補正される。
tb8でタイミングずれが0にリセットされるため、その後の1周期で生じるタイミングずれΔt9は、初期のタイミングずれΔt1と同程度に抑えられる。つまり、タイミングずれがトルク脈動やサンプリング精度に影響を及ぼすレベルになる前に、駆動タイミングを補正して同期させることにより、良好なモータ駆動を継続することができる。なお、具体的な同期方法は、図10の例に限らず、適宜設定してよい。
このように、複数のマイコン間で同期信号を用いてタイミング補正を行うことにより、各マイコンがそれぞれ独立したクロック生成回路で生成されたクロックにより動作するECUにおいて、制御タイミングを同期させながらモータ駆動を行うことができる。これにより、トルク脈動を抑制することができる。また、アナログ信号サンプリングタイミングがモータ駆動信号Dr1、Dr2のスイッチングタイミングと重なることを回避することができる。
しかし、常に正常な同期信号が送信されるとは限らない。すなわち、第1マイコン401を動作させる第1クロック生成回路651、又は、第1マイコン401の同期信号生成部411、又は、同期信号線471の故障等により、送信される同期信号自体に異常が生じる可能性も考えられる。そこで次に、異常な同期信号が第2マイコン402に受信された場合の問題点について説明する。
第1マイコン401を動作させる第1クロック生成回路651に異常が発生した場合に想定される不具合を図11に示す。
図11に示すように、クロック生成回路651は、基準時ta0からta8まで正常であるが、ta8以後、クロック周波数が増加し、第1モータ駆動信号Dr1のパルス周期TpAが短くなる異常が発生する。これに伴い、クロック生成回路651が生成したクロックを用いて生成される同期信号の周波数が増加し、周期Tsが短くなる。
この場合、増加したクロック周波数に対し制御演算が追従不能となると、第1マイコン401の制御が破綻し、モータ駆動を停止せざるを得ない自体に陥る。
一方、第2マイコン402は正常であり、第2モータ駆動信号Dr2のパルス周期TpBは一定に維持されている。ここで、同期信号のパルスの立ち上がりタイミングta0、ta8、ta16、ta24に第2マイコン402の駆動タイミングを補正する場合を想定する。すると、破線で囲んだta16及びta24では、第2モータ駆動信号Dr2のON期間の途中にタイミング補正が実施され、強制的にOFFされる。
その結果、意図しないパルスが生成され、第2モータ駆動回路702のスイッチング制御が不安定となるおそれがある。また、アナログ信号のサンプリング間隔が不均等となり、サンプリング精度にも影響を及ぼすおそれがある。
このように、第1系統制御部601で発生した障害の影響が、他系統のマイコン402の動作に影響を及ぼすことを「故障伝搬」という。図11の例では、第1マイコン401から送信された異常な同期信号に基づいて第2マイコン402がタイミング補正を実施したことにより、第2系統のみであれば正常に実行できたはずのモータ駆動が不能な状態に陥るという深刻な事態が発生している。
そもそもモータ制御装置を二系統の冗長構成としているのは、いずれか一方の系統に異常が生じても、他方の正常な系統の動作によりモータ駆動を継続可能とすることが目的である。それにもかかわらず、故障伝搬が発生すると、その目的が全く果たされなくなる。
特に電動パワーステアリング装置90では、たとえトルク脈動が生じ、アナログ信号のサンプリング精度が低下したとしても、モータ駆動を継続し、アシスト機能の停止を回避することの方がより重要である。よって、故障伝搬の可能性がある特許文献1の従来技術には、致命的な問題が存在する。
そこで、この問題を解決するため、第1実施形態の基礎形態によるECU100は、第2マイコン402のタイミング補正部422に、受信した同期信号の正常又は異常の判定である「受信信号判定」を行う「受信信号判定部」として、タイミング判定部432を含む。
そして、第2マイコン402は、タイミング判定部432により、受信した同期信号が正常と判定されたとき、タイミング補正を許可する。一方、第2マイコン402は、受信した同期信号が異常と判定されたとき、タイミング補正を禁止し、第1マイコン401とは非同期でモータを駆動する。
要するに、同期信号受信側マイコンは、故障伝搬の原因となる同期信号送信側マイコンからの同期信号が正常であるか否かを、まず判定する。そして、同期信号が正常と判定された場合、同期信号受信側マイコンの駆動タイミングを同期信号送信側マイコンの駆動タイミングと同期するように補正することにより、良好なモータ駆動を実現する。
しかし、同期信号が異常と判定された場合には、故障伝搬の防止を優先して、タイミング補正を行わない。すなわち、同期信号送信側マイコンとの縁を切り、非同期でモータ駆動を継続することにより、最低限のアシスト機能を維持することが最も重要であると考える。
続いて、タイミング判定部432が「受信信号判定」として「タイミング判定」を行う構成について、図12~図14を参照して説明する。
第1実施形態の基礎形態の判定方法では、受信した同期信号のパルスエッジ、すなわち立ち上がり又は立ち下がりのタイミングが「同期許可区間」に含まれるか否かを判定する。「同期許可区間」は「補正許可区間」と言い換えてもよい。以下、「同期信号のパルスエッジ受信のタイミング」を単に「同期信号の受信タイミング」という。
モータ制御方法におけるこのタイミング判定処理を図12のフローチャートに示す。以下のフローチャートで記号「S」はステップを意味する。また、図12のS01を除き、図12、図15~図18のフローチャートの実行主体は、同期信号受信側マイコンのタイミング補正部及びタイミング判定部、又は、同期信号受信側マイコン全体とする。
図12の同期信号送信ステップS01で、第1マイコン401の同期信号生成部411は、第2マイコン402に同期信号を送信する。
同期信号受信ステップS02で、タイミング補正部422は同期信号を受信する。
受信信号判定ステップS03で、タイミング判定部432は、同期信号の受信タイミングが同期許可区間内であるか否か判断することで、同期信号の正常又は異常を判定する。
S03でYESの場合、第2マイコン402は、タイミング補正許可ステップS04で第2マイコン402のタイミング補正を許可する。すると、第1マイコン401及び第2マイコン402は、同期してモータ80を駆動する。
S03でNOの場合、受信した同期信号が異常であると判定される。第2マイコン402は、タイミング補正禁止ステップS05で第2マイコン402のタイミング補正を禁止し、第1マイコン401とは非同期でモータ80を駆動する。
次に同期許可区間の設定例について説明する。例えば図10のように、PWMキャリアの谷又は山タイミングに合わせて同期信号のパルスを生成する場合を想定する。この場合、図8に参照される通り、同期信号のタイミングは、モータ駆動信号Drのスイッチタイミングとは重ならない。
モータ駆動信号Dr1、Dr2のタイミングずれが理想的に0の場合、タイミング補正部422が同期信号を受信するタイミングは、第2マイコン402のPWMキャリアの谷又は山タイミングに一致する。この理想状態に対し、クロック生成回路651、652の正常時における、クロックずれの最大範囲を推定する。
例えばクロック生成回路651、652で生成されるクロックが最大±x%ばらつくとし、また、同期信号によりタイミング補正を実施する周期をTs[s]とする。
このとき、マイコン401、402内部でのカウントされる時間は、クロック生成回路651、652が生成した原クロックに対し、最小で「(100-x)/100」倍から最大で「(100+x)/100」倍の範囲でばらつく。
このことから、同期周期1周期の間に、マイコン401、402間で生じる最大ずれ幅ΔTmax[s]は、式(1)で表される。
ΔTmax=Ts×{(100+x)-(100-x)}/100
=Ts×2x/100 ・・・(1)
正常駆動中に誤って補正禁止としないためには、同期許可区間をΔTmax以上の幅で定める必要がある。その上で、システム上許容される時間以内に同期許可区間を設定することで、適切なタイミング判定処理を実施することができる。
例えば同期周期Tsを1msとし、クロック生成回路651、652で生成されるクロックのばらつき幅を最大±1%とする。このとき、1度同期してから次に同期するまでの間に生じる最大ずれ幅ΔTmax[s]は、式(1)により、0.02[ms]となる。
ΔTmax=1[ms]×(2×1/100)=0.02[ms]
図13に示すように、PWMキャリア周期Tpが例えば0.5[ms]であり、DUTY範囲が10%~90%であるとする。ここで、DUTY90%で駆動した場合、モータ駆動信号Drの立ち下がり時刻d9から次の立ち上がり時刻u9までの間の非スイッチング期間は、0.1Tp、すなわち0.05[ms]である。
一方、PWMキャリアの谷タイミングの前後0.01[ms]に最大ずれ幅ΔTmaxである0.02[ms]の期間を同期許可区間として設定すると、同期許可区間は、確実に0.05[ms]の非スイッチング期間内に含まれる。
このことから、クロック生成回路651、652で生成されるクロックのばらつきが最大±1%以内であれば、同期許可区間を同期信号周期Tsの2%以上に設定することにより、正常駆動中に誤って補正禁止とすることを防止することができる。したがって、マイコン401、402間での駆動タイミングを同期させつつ、同期駆動を継続可能となる。
なお、仮に第2クロック生成回路652の故障によりクロックのばらつきが±1%を超えた場合、第2クロック監視部662により検出可能である。したがって、第2マイコン402の同期許可区間の位置は、正しく設定されていることを前提とする。
また、最大DUTYにおけるモータ駆動信号Drの非スイッチング期間内に同期許可区間を設定すれば、タイミング補正によりパルスのON期間途中に強制的にOFFすることが避けられる。そのため、仮に異常な同期信号が本来の同期タイミングとは異なるタイミングで同期許可区間内に入ったとしても、モータ駆動信号Drは、必ず最大DUTYでのパルス幅を確保することができ、問題の無い動作を担保することができる。
なお、DUTYとして、例えば10%~90%の範囲に加えて0%及び100%の出力を含む過変調制御では、同期信号の受信タイミングがDUTYの切り替えタイミングに重なる場合がある。しかし、その場合はDUTYの切り替えタイミングが同期するだけであり、例えばDUTY100%を継続する場合にはそもそもOFFするタイミングが存在しないことから、同期タイミングがどのタイミングで生じても実質的な影響は生じない。
また、DUTYの切り替えタイミングにおいても、例えば100%以外のDUTYから100%に切り替わる場合は、切り替え前のDUTYについて正常なパルス幅を出し切った後、100%DUTY出力の開始タイミングが前後するだけである。一方で、100%DUTYから100%以外のDUTYへ切り替わる場合は、100%DUTY出力の終了タイミングが前後するだけであり、次のDUTY出力期間に影響を与えない。いずれの場合も、異常なDUTY出力が行われるわけではなく、モータ駆動に与える影響は軽微である。0%DUTY出力に関しても、100%DUTY出力に対しONとOFFとが入れ替わるだけであり、同様である。
上記例の同期許可区間を用いた、同期信号異常時のタイミング判定のタイムチャートを図14に示す。図14では、図11と同様に、第1クロック生成回路651に異常が発生した場合において、同期信号のパルスの立ち上がりタイミングta8、ta16、ta24におけるタイミング判定の結果を示す。同期信号のタイミングが同期許可区間内にある場合を「OK」、同期許可区間外にある場合を「NG」と記す。
ta8、ta16では、同期信号の受信タイミングが同期許可区間外にあるため、タイミング補正部422はタイミング補正を実施しない。このとき、第2マイコン402は、第1マイコン401とは非同期でモータ80を駆動する。
これにより、第2マイコン402は、第1マイコン401からの故障伝搬を防止することができる。特にta16では、異常な同期信号に基づくタイミング補正によってモータ駆動信号Dr2がON期間の途中で強制的にOFFされる事態を回避する。
一方、ta24では、同期信号の受信タイミングが同期許可区間内にあるため、タイミング補正部422はタイミング補正を実施する。この場合、たとえ同期信号の周期Tsが異常であったとしても、ta24における立ち上がりタイミング自体は正常なタイミングに近い。したがって、受信した同期信号に基づいてタイミング補正部422がタイミング補正を実施しても、実質的にモータ駆動信号Dr2への影響は無い。
以上のように、第1実施形態の基礎形態の基本的な技術的思想によると、第2マイコン402のタイミング判定部422は、第1マイコン401から送信された同期信号の正常又は異常を判定する。
受信した同期信号が正常と判定されたとき、第2マイコン402は、タイミング補正を許可し、第1マイコン401と同期してモータ80を駆動する。これにより、モータ80のトルク脈動を抑制することができる。また、アナログ信号サンプリング部461、462のサンプリングタイミングがモータ駆動信号Dr1、Dr2のスイッチングタイミングと重なることを回避することができる。なお、同期信号としてDUTY50%の矩形波を用いる場合には、その立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングが非スイッチング期間NSWに入ることから、副次的に同期信号の切り替えによるアナログ信号への影響も低減することが可能である。
一方、受信した同期信号が異常と判定されたとき、第2マイコン402は、タイミング補正を禁止し、第1マイコン401とは非同期でモータを駆動する。これにより、第1マイコン401からの故障伝搬により、第2マイコン402の制御が破綻することを防止することができる。
特に電動パワーステアリング装置90では、少なくとも正常な第2マイコン402によるモータ駆動を継続し、アシスト機能を維持することができる。
なお、モータ駆動信号Dr1、Dr2のスイッチングは、アナログ信号のサンプリングだけでなく同期信号へ影響する可能性もある。仮にモータ駆動信号Dr1、Dr2のスイッチングが同期信号に影響し、同期信号に誤ったパルスエッジが生じた場合を想定する。この場合、同期許可区間を設けない通常の構成であれば、同期信号受信側マイコンが本来とは異なるタイミングでパルスの立ち上がりを認識してしまい、誤ったタイミング補正が行われるという問題が生じる。
しかし、同期許可区間を非スイッチング期間NSW内に設定する第1実施形態の基礎形態の構成によれば、この問題についても有意な効果を得ることが期待できる。つまり、第1実施形態の基礎形態の構成によればモータ駆動信号Dr1、Dr2のスイッチングは必ず同期許可区間外で行われる。したがって、たとえ同期信号に影響が生じ、誤ったパルスエッジが生じたとしても、そのタイミングは同期許可区間外になることが期待できる。その結果、たとえ同期信号受信側マイコンがモータ駆動信号Dr1、Dr2のスイッチングの影響によって生じた同期信号のパルスエッジを認識したとしても、同期許可区間外であるため、異常な同期タイミングであると判別することができる。よって、同期信号受信側マイコンが誤ったタイミングでタイミング補正することを回避できる。
次に、第1実施形態の基礎形態の各種応用処理について、図15~図18を参照して説明する。
(起動時処理)
各マイコンが個別に起動してモータ駆動を開始した場合において、駆動タイミングにずれが生じたとき、正常に駆動している状態であっても、同期信号の受信タイミングが同期許可区間に入らないため、タイミング補正が許可されない可能性がある。そこで、同期信号受信側マイコンの起動時に、図15、図16に示す起動時処理を実施することが考えられる。
図15に、マイコン起動時のモータ駆動開始処理のフローチャートを示す。
S10では、受信側の第2マイコン402を起動する。起動時の受信回数の初期値は0である。タイミング補正部422は、S11で同期信号を受信し、S12で受信回数をインクリメントする。
S13では、受信回数が所定の初期回数Ni(≧2)に達したか否か判断する。
S13でYESの場合、第2マイコン402は、S14でモータの駆動を開始する。S13でNOの場合、S11の前に戻る。
要するに、同期信号受信側マイコンは、同期信号送信側マイコンから同期信号をNi回受信するまでモータの駆動開始を待ち、同期信号をNi回受信したとき、同期信号送信側マイコンと同期してモータ駆動を開始する。これにより、複数のマイコン間での同期の準備が整うのを待ってから、同期駆動を適切に開始することができる。
図16に、マイコン起動時のタイミング判定待機処理のフローチャートを示す。
S20~S22は、図15のS10~S12と同様である。
S23では、受信回数が所定の待機回数Nw(≧1)を超えたか否か判断する。
S23でYESの場合、タイミング判定部432は、S24でタイミング判定を開始する。S23でNOの場合、S21の前に戻る。
要するに、同期信号受信側マイコンの起動後、同期信号の受信回数がNw回までの間、同期信号受信側マイコンは、無条件でタイミング補正を許可する。そして、(Nw+1)回目以後に受信した同期信号からタイミング判定を開始する。これにより、起動直後に過剰にタイミング補正が禁止される事態を適切に回避することができる。
(復帰処理)
一旦同期信号に異常が生じ、非同期駆動に移行した後、同期信号送信側マイコンをリセット又は再初期化することにより正常動作するようになった場合でも、そのままでは、同期駆動を再開することができない。そこで、図17に示す復帰処理を実施することが考えられる。
図17に、同期信号異常判定後のタイミング補正復帰処理のフローチャートを示す。
S31で、タイミング補正部422は、同期信号の受信タイミングが同期許可区間外であったため、同期信号が異常と判定する。
S32では、異常判定後の同期信号受信回数が所定の復帰回数Nre(≧2)に達したか、又は、同期信号の非受信期間が所定の復帰時間Treに達したか否か判断する。
S32でYESの場合、タイミング補正部422は、S33で、タイミング補正の禁止を解除する。そして、次回の同期信号の受信以後、受信タイミングが同期許可区間内であり、同期信号が正常と判定された場合にはタイミング補正を許可する。
(異常確定処理)
例えば一時的な同期信号のパルスの乱れ等により、同期信号送信側マイコンに実質的な異常が生じていないにもかかわらず、同期信号の受信タイミングが同期許可区間に入らないため、同期信号が異常であると誤判定する可能性も考えられる。このような場合、タイミング補正を過剰に禁止するおそれがある。そこで、図18に示す異常確定処理を実施することが考えられる。
図18に、同期信号の異常確定処理のフローチャートを示す。
S40で、タイミング判定部432は、「同期信号の異常を連続して判定した回数」である連続異常回数の初期値を0に設定する。
S41で、タイミング補正部422は、同期信号を受信する。
S42で、タイミング判定部432は、同期信号の受信タイミングが同期許可区間外であるか否か判断する。同期信号が正常であり、S42でNOの場合、処理を終了する。なお、この場合、図12のS04により、タイミング補正が実施される。
S42でYESの場合、S43で連続異常回数をインクリメントする。
S44では、連続異常回数が所定の確定回数Nfixに達した否か判断する。S44でYESの場合、S45に移行する。S44でNOの場合、S41の前に戻る。
S45でタイミング判定部432が同期信号の異常を確定すると、S46で、タイミング補正部422はタイミング補正を禁止する。言い換えれば、異常確定まではタイミング補正を許可し、第2マイコン402は第1マイコン401との同期駆動を継続するようにしてもよい。これにより、タイミング判定における誤判定を防止することができる。
(第1実施形態)
以上のような基礎形態の構成を踏まえ、第1実施形態について、図19~図30を参照して説明する。
図19に第1実施形態のECU101の構成を示す。基礎形態の図7と同様に、図19では、第1系統の構成要素の符号の末尾に「1」を付し、第2系統の構成要素の符号の末尾に「2」を付して記す。以下の説明で各系統の構成要素を区別する場合、構成要素又は信号の語頭に「第1」又は「第2」を付し、共通の事項については、まとめて記載する。
ECU101は、マイコン401、402の外部に、基礎形態のクロック回路651、652、クロック監視部661、662及びモータ駆動回路701、702に加え、電源開閉回路151、152及び電源生成回路161、162を備えている。
電源開閉回路151、152は電源経路191、192の途中に設けられる。電源開閉回路151、152は、例えばMOSFETで構成され、マイコン401、402の電源開閉判定部551、552からの指示に従って接続又は開放される。
電源生成回路161、162は、車両スイッチ信号経路181、182を経由して車両スイッチ信号Sw1、Sw2が入力される。エンジン車両におけるイグニッションON/OFF信号や、ハイブリッド車両におけるレディON/OFF信号が車両スイッチ信号に相当する。各マイコン401、402は、対応する電源生成回路161、162に車両スイッチ信号Sw1、Sw2が入力されている状態であるか否かを認識する。
また、電源開閉回路151、152が接続されたとき、電源電圧P1、P2が電源生成回路161、162に供給される。電源生成回路161、162は、供給された電源電圧P1、P2を用いて、各マイコン401、402を動作させるマイコン電源を生成する。
マイコン401、402は、基礎形態の同期制御部49がマイコン間にまたがって構成されることに加え、各マイコン401、402が、停止判定部531、532及び電源開閉判定部551、552を有している。また、マイコン401、402間には、停止判定信号用通信線541、542が設けられている。
停止判定部531、532は、電源生成回路161、162へ入力される車両スイッチ信号Sw1、Sw2の電圧低下に基づいて、「自マイコンの動作が停止されようとしていること」を判定する。つまり、停止判定部531、532は、自マイコンの動作が既に停止したことではなく、今後の動作停止が予測される状態であることを判定する。
停止判定部531、532は、その情報を停止判定信号として、自マイコン内部の電源開閉判定部551、552に通知すると共に、停止判定信号用通信線541、542を経由して他マイコンに送信する。
すなわち、第1マイコン401の停止判定部531による停止判定信号は、第1マイコン401の電源開閉判定部551に通知されると共に、停止判定信号用通信線541を経由して第2マイコン402の電源開閉判定部552に送信される。第2マイコン402の停止判定部532による停止判定信号は、第2マイコン402の電源開閉判定部552に通知されると共に、停止判定信号用通信線542を経由して第1マイコン401の電源開閉判定部551に送信される。
停止判定信号用通信線541、542は、基礎形態や後述の第5実施形態における同期信号線471、472、48と共用されてもよく、専用に設けられてもよい。停止判定信号の通信は、例えばマイコン間のシリアル通信を用いて行われる。或いは、停止判定信号の通信は、信号線に代えて、マイコンポートの出力レベルを用いて行われる。
電源開閉判定部551、552は、対応する電源生成回路161、162に対し、接続又は開放の指示を出力する。なお、電源生成回路161、162の初期値が開放状態であるノーマリーオープン型の構成では、接続指示を出力しないことが開放指示の出力とみなされる。一方、電源生成回路161、162の初期値が接続状態であるノーマリークローズ型の構成では、開放指示を出力しないことが接続指示の出力とみなされる。
第1実施形態では、第1マイコン401及び第2マイコン402のいずれの電源開閉判定部551、552も、自マイコンの停止判定信号が通知されると共に、他マイコンの停止判定信号を受信する。電源開閉判定部551、552は、自マイコンの停止判定信号、及び、他マイコンから受信した停止判定信号に基づいて、対応する電源開閉回路151、152に開放指示を出力する。その結果、電源生成回路161、162でのマイコン電源の生成が停止されるため、自マイコンの動作は実際に停止する。つまり、電源開閉判定部551、552は、対応する電源開閉回路151、152に開放指示を出力することにより、自マイコンの動作を実際に停止させる。
次に、第1実施形態のECU101の動作を説明する前に、この実施形態により解決する課題を理解するため、比較例のECUの動作について、図20~図26を参照して説明する。図20~図25におけるブロックの枠線及びブロック間の矢印について、基本的に細線、細破線で示すものはOFF状態を示し、太線で示すものはON状態を示す。
比較例のECU109は、第1実施形態のECU101に対し、マイコン401、402間に停止判定信号用通信線541、542を備えず、各マイコン401、402が自マイコンの停止判定信号のみに基づいて独自に動作を停止するものである。
また、図20~図25では、ECU109の動作電源を供給する電源システムとして、個別の電源111、112を備える構成例を示す。
第1電源111は、第1車両スイッチ121が設けられた第1車両スイッチ信号経路181を経由して第1電源生成回路161に接続される。第1車両スイッチ121がONすると、第1車両スイッチ信号Sw1が第1電源生成回路161に入力される。
また、第1電源111は、第1車両スイッチ121の手前で第1車両スイッチ信号経路181から分岐した第1電源経路191を経由して、第1電源開閉回路151に接続される。第1電源開閉回路151の入力側には、常時、第1電源電圧P1が供給されている。
同様に第2電源112は、第2車両スイッチ122が設けられた第2車両スイッチ信号経路182を経由して第2電源生成回路162に接続される。第2車両スイッチ122は、第1車両スイッチ121のON/OFF信号SSを受信し、第1車両スイッチ121と共にON/OFFする。第2車両スイッチ122がONすると、第2車両スイッチ信号Sw2が第2電源生成回路162に入力される。
また、第2電源112は、第2車両スイッチ122の手前で第2車両スイッチ信号経路182から分岐した第2電源経路192を経由して、第2電源開閉回路152に接続される。第2電源開閉回路152の入力側には、常時、第2電源電圧P2が供給されている。
ただし、電源システムの構成例はこれに限らない。例えば、一つの共通電源に対し第1車両スイッチ121及び第2車両スイッチ122が並列に接続され、車両スイッチ121、122の手前で車両スイッチ信号経路181、182から電源経路191、192が分岐されるように構成されてもよい。
個別の電源111、112を用いる場合、電源111、112の電圧そのものに差が生じる可能性がある。また、一つの共通電源を用いる場合であっても、配線抵抗や電圧検出回路のA/D変換特性のばらつき等により、各マイコン401、402が認識する電圧には差が生じる可能性がある。このような電圧差による影響については後述する。
<比較例の動作1>
図20を参照する。初期状態では、第1車両スイッチ121及び第2車両スイッチ122はOFFされている。このとき、車両スイッチ信号Sw1、Sw2は電源生成回路161、162に入力されない。
ここでは、電源開閉判定部551、552が電源生成回路161、162に対し、初期値として開放指示を出力する構成を想定する。電源開閉回路151、152の接続/開放状態について、図中のブロック内に[接続]又は[開放]と記す。
電源開閉回路151、152が開放していると、電源生成回路161、162に電源電圧P1、P2が供給されないため、電源生成回路161、162はマイコン電源を生成しない。図中の電源生成回路161、162のブロック内に、マイコン電源を生成する状態を[生成]、マイコン電源を生成しない状態を[非生成]と記す。
なお、電源開閉判定部551、552が電源生成回路161、162に対し、初期値として接続指示を出力する構成では、次の動作2と動作3とが一段階で実現される。
<比較例の動作2>
図21を参照する。第1車両スイッチ121がONされると、第1車両スイッチ信号Sw1が第1電源生成回路161に入力される。また、第1車両スイッチ121と共に第2車両スイッチ122もONし、第2車両スイッチ信号Sw2が第2電源生成回路162に入力される。
ここで、電源生成回路161、162への車両スイッチ信号Sw1、Sw2の入力は、信号通信機能のみを有し、電源電圧の供給を伴わないものとする。
<比較例の動作3>
図22を参照する。動作2において、各マイコン401、402は、車両スイッチ信号Sw1、Sw2が電源生成回路161、162に入力されたことを検知すると、その後、任意のタイミングで、電源開閉判定部551、552から電源開閉回路151、152へ接続指示を出力する。
これにより、ブロック矢印で示すように電源開閉回路151、152を経由して、電源生成回路161、162に電源電圧P1、P2が供給される。供給された電源電圧P1、P2を用いて電源生成回路161、162がマイコン電源を生成することで、マイコン401、402が起動する。
なお、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の入力に伴って、電源111、112の電圧が車両スイッチ信号経路181、182を経由して電源生成回路161、162に供給される構成としてもよい。
その場合、図21にブロック矢印で示すように、動作2の段階で電源生成回路161、162に電源電圧が供給される。そして、電源生成回路161、162がマイコン電源を生成し、マイコン401、402が起動する。また、動作3の段階では、電源生成回路161、162は、車両スイッチ信号経路181、182、及び、電源経路191、192の両方を経由して電源電圧が供給される。図21では、この場合を想定し、電源生成回路161、162のブロックに[生成]と記す。
<比較例の動作4>
図23を参照する。第1車両スイッチ121がOFFされると、第2車両スイッチ122もOFFする。すると、電源生成回路161、162への車両スイッチ信号Sw1、Sw2の入力が停止する。しかし、電源開閉回路151、152が接続されているので、電源電圧P1、P2は、ブロック矢印で示すように電源開閉回路151、152を経由して、電源生成回路161、162に供給され続ける。
<比較例の動作5A>
図24を参照する。車両スイッチ信号Sw1、Sw2の入力が停止すると、各マイコン401、402の停止判定部531、532は、自マイコンの電源開閉判定部551、552に停止判定信号を通知する。それを受け、電源開閉判定部551、552は、電源開閉回路151、152へ開放指示を出力する。すると、電源生成回路161、162への電源電圧P1、P2の供給が遮断され、マイコン電源が生成されなくなり、各マイコン401、402が動作を停止する。
ここで、複数のマイコン401、402による停止判定及び電源開閉判定タイミングが理想的に一致すると仮定すると、マイコン401、402は、同時に動作を停止する。
しかしながら、あるタイミングで各マイコン401、402の停止判定及び電源開閉判定に不一致が生じた場合、次のような問題が生じると考えられる。
<比較例の動作5B>
図25を参照する。例えば、第1マイコン401は第1車両スイッチ信号Sw1の電圧低下を検知して停止判定を行い、第2マイコン402は第2車両スイッチ信号Sw2の電圧低下を検知して停止判定を行う構成を想定する。この構成では、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の電圧差により、各マイコン401、402の判定結果で異なる場合がある。
図25の例では、第1車両スイッチ信号Sw1がOFFされたとき、第2車両スイッチ信号Sw2はONのままである。このとき、第1マイコン401のみが停止判定され、第2マイコン402は停止判定されずに、電圧供給及びマイコン電源生成が継続する。
なお、上述の通り、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の電圧差は、二つの電源111、112の電圧差によるものに限らない。例えば、一つの電源から分岐して電圧供給される構成においても、配線抵抗や各電源生成回路161、162の特性ばらつきにより、停止判定の基準となる電圧に差が生じる可能性がある。
ここで、さらに図26を参照する。図26には、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の電圧低下、及び、マイコン401、402の動作停止のタイミングを示す。車両スイッチ信号Sw1、Sw2の電圧は、OFFレベルよりも上の範囲がON状態に該当する。
第1車両スイッチ信号Sw1及び第2車両スイッチ信号Sw2は、時刻q0に同時に電圧低下し始める。第1車両スイッチ信号Sw1は、時刻q1sに先に電圧低下が完了してOFF状態となり、第2車両スイッチ信号Sw2は、時刻q2sに遅れて電圧低下が完了してOFF状態となる。
第1マイコン401は、時刻q1sからマイコン停止処理を開始し、処理期間Za1後の時刻q1eに動作を停止する。第2マイコン402は、時刻q1eから待ち期間Zb後の時刻q2sからマイコン停止処理を開始し、処理期間Za2後の時刻q2eに動作を停止する。待ち期間Zbでは第1マイコン401のみが停止し、第2マイコン402が動作している状態となる。この場合、第2マイコン402は、第1マイコン401から同期信号を受信することができなくなる。そのため、同期信号の受信途絶を監視して異常判定を行う場合、外部電圧に由来する要因であるにもかかわらず、誤ってECU109の異常であると判定するおそれがある。
また、待ち期間Zb、又は、第2マイコン402の処理期間Za2中の時刻rs1に第1車両スイッチ121が再びONされた場合、第2マイコン402が既に動作している状態で、第1マイコン401が起動する。このとき、各マイコン401、402の動作開始タイミングにずれが生じる。したがって、同期信号に対して同期許可区間を設けてタイミング判定を実施する場合、同期ができなくなる可能性が高い。
その結果、マイコン同期によりアナログ信号サンプリングへの影響を低減するという基礎形態の目的が達成されなくなる。
そこで、図19に示す通り、第1実施形態のECU101は、二つのマイコン401、402間に停止判定信号用通信線541、542を設け、各マイコンの停止判定部531、532による停止判定信号を他マイコンに相互に通信する。
<第1実施形態のECUの動作>
次に図27、図28を参照し、第1実施形態のECU101の動作について説明する。
図27では、図25に示す比較例の動作5Bと同様に、第1車両スイッチ信号Sw1がOFFされ、第2車両スイッチ信号Sw2はONしている状況を想定する。
このとき、第1マイコン401の停止判定部531は停止判定信号を出力するが、第2マイコン402の停止判定部532は停止判定信号を出力しない。したがって、第1マイコン401の電源開閉判定部551は、他マイコンである第2マイコン402からの停止判定信号を受信しないため、第1電源開閉回路151に対し接続指示を出力する。その結果、電源生成回路161への電圧供給が継続され、第1電源生成回路161は、第1マイコン401のマイコン電源を生成する。
また、第2マイコン402の電源開閉判定部552は、自マイコンの停止判定信号を受信しないため、第2電源開閉回路152に対し、接続指示を出力する。
要するに、第1マイコン401は、第2マイコン402の停止判定信号を受信するまでは動作を継続し、第2マイコン402の停止判定信号を受信したとき、実際に動作を停止する。
図28には、第1実施形態での車両スイッチ信号Sw1、Sw2の電圧低下、及び、マイコン401、402の動作停止のタイミングについて、図26と同様の要領で示す。
第1車両スイッチ信号Sw1の電圧低下が完了した時刻q1sに第1マイコン401がマイコン停止処理を開始し、第2車両スイッチ信号Sw2の電圧低下が完了した時刻q2sに第2マイコン402がマイコン停止処理を開始する点は、比較例と同様である。
ただし第1実施形態では、第1マイコン401は、時刻q1sから処理期間Za1後の時刻q1eに停止判定信号を出力した後も動作を継続し、時刻q2eに第2マイコン402の停止判定信号を受信したとき動作を停止する。第2マイコン402は、時刻q2sからマイコン停止処理を開始し、時刻q2eに第1マイコン401に停止判定信号を送信する。このとき第2マイコン402は、既に第1マイコン401からの停止判定信号を受信しているため、待つことなく自マイコンの動作を停止する。
このように、ECU101が備える複数のマイコンのうち一つのマイコンである第1マイコン401、及び、第1マイコン401以外の一つのマイコンである第2マイコン402は、動作を同時に停止する。したがって、ECU101は、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の電圧低下タイミングがずれた場合であっても、複数のマイコン401、402の実際の動作停止タイミングを揃えることができる。
そして、モータ制御装置が備える複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコン、及び、そのマイコン以外の少なくとも一つのマイコンが動作を同時に停止する場合、そのマイコン制御装置は、本実施形態のECUに相当するとみなされる。なお、複数のマイコンが動作を同時に停止することは、例えば暗電流を検出することにより、判定可能である。
これにより、ECU101は、供給電圧や電源生成回路の特性の違いによりマイコン401、402間で停止判定のタイミングがずれた場合でも、実際の動作停止タイミングを揃えることができる。したがって、複数のマイコンの動作停止時における同期関係を確保することができる。
例えば第1マイコン401は、第2マイコン402に対し同期信号を出力し続けることができ、第2マイコン402による同期信号の受信途絶異常の誤判定を防止することができる。
次に、第1実施形態による電源開閉回路151、152の接続/開放判定処理の簡易的なフローチャートを図29、図30に示す。
図29に示す第1電源開閉回路151の接続/開放判定について、第1マイコン401の電源開閉判定部551は、S51で、第1マイコン401の停止判定信号、及び、第2マイコン402の停止判定信号をいずれも受信したか判断する。
S51でYESの場合、電源開閉判定部551は、S52で、第1電源開閉回路151に開放指示を出力する。
S51でNOの場合、電源開閉判定部551は、S53で、第1電源開閉回路151に接続指示を出力する。
同様に、図30に示す第2電源開閉回路152の接続/開放判定について、第2マイコン402の電源開閉判定部552は、S61で、第1マイコン401の停止判定信号、及び、第2マイコン402の停止判定信号をいずれも受信したか判断する。
S61でYESの場合、電源開閉判定部552は、S62で、第2電源開閉回路152に開放指示を出力する。
S61でNOの場合、電源開閉判定部552は、S63で、第2電源開閉回路152に接続指示を出力する。
ところで第1実施形態の構成では、ハードウェア故障により特定の他マイコンが停止を正常に判定できない場合、自マイコンも停止できなくなることが懸念される。そのため、自マイコンが停止判定信号を出力した後、他マイコンからの停止判定信号の受信を待つ時間に上限を設けるようにしてもよい。
そこで図31、図32に、待ち時間に上限を設ける構成でのマイコン停止処理のフローチャートを示す。ここでは、図25~図28の動作に準じ、自マイコンである第1マイコン401が先に停止判定した後、他マイコンである第2マイコン402が停止判定するものとする。マイコン停止処理は、第1電源開閉回路151が接続しており第1系統モータ駆動中の初期状態から、第1車両スイッチ信号Sw1がOFFした時に開始される。
また、マイコン動作停止タイミングに対し、各系統によるモータ駆動停止のタイミングをずらすことも可能である。図31及び図32に示すマイコン停止処理は、モータ駆動停止のタイミングが異なる。
図31の例では、第1車両スイッチ信号Sw1がOFFし、第1マイコン401が停止処理を開始すると、最初にS71で第1系統のモータ駆動を停止する。つまり、第1マイコン401は、第2マイコン402に停止判定信号を送信する前に、まず自系統によるモータ駆動を停止する。
自マイコン停止判定ステップS72で、第1マイコン401の停止判定部531は、自マイコンの動作が停止されようとしていることを判定する。第1マイコン401は、「第1マイコン停止判定あり」、すなわちS72でYESと判断すると、停止判定信号送信ステップS73で、第2マイコン402へ停止判定信号を送信する。
続いて、第1マイコン401が第2マイコン402から停止判定信号を受信したとき、第1マイコン401は、他マイコン停止判定ステップS74でYESと判断する。
また、第2マイコン402から停止判定信号を受信する前に上限待ち時間が経過したとき、S74でNO、S75でYESと判断される。これらの両方の場合に、S77に移行する。動作停止ステップS77で、第1マイコン401は、第2マイコン402の停止判定信号に基づいて、第1電源開閉回路151に開放指示し、自マイコンの動作を実際に停止させる。
ここで、S75でYESと判断された後に動作停止ステップS77で自マイコンの動作を実際に停止させる処理は、「他マイコンのタイムアウトによる自発停止」とみなすことができる。これにより、特定の他のマイコンが何らかの故障により正しく停止判定できない場合、自マイコンは自発的に電源を停止し、電力消費を低減することができる。
図32のマイコン停止処理は、図31の処理に対し、S71に代えてS76を実行する点のみが異なる。S76では、S74でYES、又はS75でYESと判断された後、第1マイコン401は第1系統のモータ駆動を停止する。つまり、上限待ち時間が経過する場合を除き、第1マイコン401は、第2マイコン402へ停止判定信号を送信し、且つ第2マイコン402から停止判定信号を受信した後、自マイコンの動作を実際に停止する直前に、自系統のモータ駆動を停止する。要するに、他マイコン停止判定ステップS74でYESと判断された後の動作停止ステップS77では、自マイコン及び他マイコンの停止判定が揃ってから両系統のモータ駆動を同時に停止することとなる。
このように、モータ制御装置が備える複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコン、及び、そのマイコン以外の少なくとも一つのマイコンがモータ駆動を同時に停止する場合、そのマイコン制御装置は、本実施形態のECUの一形態に相当するとみなされる。
(第2実施形態)
第2実施形態について、図33を参照して説明する。
図19に示す第1実施形態のECU101の構成に対し、第2実施形態のECU102は、第1マイコン401から第2マイコン402への停止判定信号が送信される停止判定信号用通信線541が設けられていない。
すなわち、各マイコンの停止判定信号は、マイコン間で相互に通信されるわけでなく、第2マイコン402から第1マイコン401への一方向にのみ送信される。
ここで、第1車両スイッチ121がOFFされた時、電源生成回路161、162の特性の違い等により、常に第1マイコン401が第2マイコン402よりも早く停止判定すると仮定する。
この前提で、第1マイコン401の電源開閉判定部551は、自マイコンの停止判定部531から停止判定信号が入力された後、第2マイコン402の停止判定部532から停止判定信号を受信した時、第1電源開閉回路151を開放するよう判定する。
また、第2マイコン402は、停止判定部532が停止判定信号を第1マイコン401に送信すると同時に、電源開閉判定部552が自マイコンの停止判定信号を取得し、第2電源開閉回路152を開放するよう判定する。
その結果、第1、第2電源開閉回路151、152は同時に開放され、第1、第2マイコン401、402は、同時に動作を停止する。
第2実施形態において、第2マイコン402から停止判定信号を受信した第1マイコン401が、他マイコンである第2マイコン402の停止判定信号、及び、自マイコンの停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させる点は第1実施形態と同様である。ここで、第2マイコン402は、「停止判定信号を他マイコンに送信する停止判定部532を有する少なくとも一つのマイコン」に相当する。また、第1マイコン401は、「一つ以上の他マイコンから停止判定信号を受信したマイコン」に相当する。
このように、第1マイコン401が先に停止判定することが決まっている場合には、停止判定信号の通信を第2マイコン402から第1マイコン401への一方向とすることにより、装置構成を簡略化することができる。
また、停止判定信号受信側の第1マイコン401は、図31、32に示す「他マイコンのタイムアウトによる自発停止」の処理を適用可能である。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図34を参照して説明する。
図33に示す第2実施形態のECU102の構成に対し、第3実施形態のECU103は、さらに第1マイコン401が停止判定部531を有していない。
すなわち、第1、第2実施形態では、各マイコン401、402が停止判定部531、532を有しているのに対し、第3実施形態では、第2マイコン402のみが停止判定部532を有している。
ここで、第1車両スイッチ121がOFFされた時、第2実施形態と同様に、常に第1マイコン401が第2マイコン402よりも早く停止判定すると仮定する。また、第1電源生成回路161への第1車両スイッチ信号Sw1がOFFした後、所定時間以内に第2マイコン402の停止判定部532が確実に停止判定信号を出力することを前提とする。
この前提で、第1マイコン401の電源開閉判定部551は、第2マイコン402の停止判定部532から停止判定信号を受信した時、第1電源開閉回路151を開放するよう判定する。
また、第2マイコン402は、停止判定部532が停止判定信号を第1マイコン401に送信すると同時に、電源開閉判定部552が自マイコンの停止判定信号を取得し、第2電源開閉回路152を開放するよう判定する。
その結果、第1、第2電源開閉回路151、152は同時に開放され、第1、第2マイコン401、402は、同時に動作を停止する。
第3実施形態では、第2マイコン402から停止判定信号を受信した第1マイコン401は、自マイコンの停止判定信号を用いず、他マイコンである第2マイコン402の停止判定信号のみに基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させる。
このように、上記前提が成立する場合には、停止判定信号の通信を第2マイコン402から第1マイコン401への一方向とし、さらに、第1マイコン401が停止判定部を有しない構成とすることで、装置構成をより簡略化することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態について、図35、図36を参照して説明する。
第1実施形態のECU101において、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の入力に伴って、電源電圧が電源生成回路161、162に供給される構成を想定する。そして、車両スイッチ信号Sw1、Sw2のOFF後、電源開閉判定部551、552による電源開放指示時に、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の再ONが重なる場合を想定する。
このとき、電源開閉回路151、152から電源生成回路161、162への供給電圧が十分低下する前に、車両スイッチ信号Sw1、Sw2に伴って供給される電圧を用いて電源生成回路161、162がマイコン電圧を生成し続ける可能性が考えられる。
この場合、第1電源電圧P1と第2電源電圧P2との差により、一方のマイコン電圧だけが生成され続け、他方のマイコン電圧は、一旦生成が停止した後、再度生成される可能性がある。
そこで、このような状況を回避するための手段として、各マイコン401、402に対し、電源生成回路161、162の開放指示に加え、マイコン401、402をリセットする手段を設けることが考えられる。
図35に示す第4実施形態のECU104は、第1実施形態のECU101に対し、各マイコン401、402に対応するリセットコントロール(図中「リセットCTRL」)部171、172をさらに備えている。なお、クロック監視部661、662の図示を省略する。リセットコントロール部171、172は、対応する各マイコン401、402が出力した停止判定信号に基づいて、各マイコン401、402を停止させる。
この実施形態のリセットコントロール部171、172は、各マイコン401、402の外部に設けられ、各マイコン401、402のリセット端子571、572の接点を操作しリセット端子571、572をコントロールするICとして構成されている。なお、他の実施形態では、マイコン内部にリセットコントロール部が設けられてもよい。
マイコンリセット処理の例を図36に示す。
マイコン401、402は、それぞれ、車両スイッチ信号Sw1、Sw2の入力を監視する。S81で車両スイッチ信号Sw1、Sw2が一旦OFFすると、電源開閉判定部551、552は、S82で、停止判定信号に基づいて電源を開放するように判定する。
その後、車両スイッチ信号Sw1、Sw2が再入力され、S83でYESと判断されると、マイコン401、402は、リセットコントロール部171、172にリセット指示を通知する。リセット指示を受けたリセットコントロール部171、172は、S84で、それぞれマイコン401、402をリセットする。
これにより、各マイコン401、402のリセットタイミングを揃えることで、例えば電動パワーステアリング装置90の初期チェック時にアシスト力残存の影響を受けないように制御することができる。
また、初期同期の仕組みを設けることで、一方のマイコンのみが動作したまま、他方のマイコンが停止し動作再開することによる同期タイミングのずれの問題を防止することができる。初期同期の仕組みとしては、例えば、マイコン起動後及びリセット解除後、1回目は無条件に同期を許可する等の仕組みが考えられる。
(第5実施形態)
第5実施形態について、図37、図38を参照して説明する。
図37は、第1実施形態の基礎形態のECU100に対応する部分について、同期信号の通信に関する別の構成を示す。
図37に示すように、第5実施形態のECU105は、第1マイコン401及び第2マイコン402がそれぞれ同期信号生成部411、412、及びタイミング補正部421、422を有する。第1マイコン401及び第2マイコン402は、「同期信号送信側マイコン」且つ「同期信号受信側マイコン」として機能し、同期信号を相互に送受信する。
この形態における同期信号線の構成は、実線で示すように、第1マイコン401から第2マイコン402への送信用の第1同期信号線471と、第2マイコン402から第1マイコン401への送信用の第2同期信号線472とを個別に備えてもよい。或いは、破線で示すように、双方向に通信可能な同期信号線48を用いてもよい。なお、双方向の同期信号線48、又は、一方向の同期信号線471、472のうち少なくとも一本は、マイコン間通信に用いられる他の通信用の信号線と共用されてもよい。
共通の同期信号線48を双方向の信号線として用いる場合、図38に示すように、第1マイコン401から第2マイコン402への同期信号の送信タイミングと、その逆方向の同期信号の送信タイミングとは、互いに異なるタイミングに設定されている。特に図38の例では、マイコン401、402が交互に同期信号を送信する。
なお、第1実施形態の基礎形態での説明と同様に、同期信号線による双方向通信に代えて、同期信号送信側マイコンから同期信号受信側マイコンに対してポート信号のレベル変化を行うことで、同期信号を双方向に通知するようにしてもよい。
この他、例えば、マイコン401、402の起動タイミングが異なる場合に、先に起動したマイコンが後から起動したマイコンに対して同期信号を送信するようにしてもよい。
また、主として第1マイコン401から第2マイコン402へ同期信号を送信し、何らかの場合にのみ逆方向の送信をするようにしてもよい。例えば、起動時には第2マイコン402からの同期信号に同期して第1マイコン401が起動し、その後は第1マイコン401からの同期信号に同期して第2マイコン402が動作するようにしてもよい。また、例えば第1マイコン401に異常が生じマイコンをリセットした際に、第2マイコン402からのマイコンからの同期信号をもとに自マイコンの動作開始タイミングを決定し動作を開始してもよい。この場合は、マイコン異常から復帰した際に初めから同期した状態でモータ駆動を再開することが可能である。
第5実施形態では、第1マイコン401及び第2マイコン402がそっくり同じ機能を備えており、完全な冗長性を有している。したがって、一系統についてのあらゆる故障パターンに対応可能であるため、信頼性をより向上させることができる。
また、各方向の同期信号の送信タイミングを異ならせ、共通の双方向同期信号線48を用いることにより、ECUの部品点数を減らし、構成を簡易にすることができる。
(第6、第7実施形態)
第6、第7実施形態について、図39、図40を参照して説明する。
第6、第7実施形態のECU10は、基本的に図7に示す第1実施形態の基礎形態の構成を援用する。ただし第6、第7実施形態では、受信信号判定において、同期信号を受信したタイミングを判定するのでなく、特定のパルスパターンを有する同期信号を用いて、同期信号の正常又は異常を判定する。そこで、第2マイコン402におけるタイミング補正部422内の「タイミング判定部432」を「受信信号判定部432」と読み替える。
第6、第7実施形態の受信信号判定部432により同期信号が正常と判定されたとき、又は、異常と判定されたときの処理については、第1実施形態の基礎形態と同様である。
特定のパルスパターンとは、1周期あたりのパルス数、時間幅、又は間隔等が予め規定されたパターンをいう。なお、図39、図40では、図11及び図14のように同期信号の異常原因については明示せず、正常なパルスパターンと正常でないパルスパターンとの違いのみを表す。
図39に示す第6実施形態では、R部に示すように、予め決められた時間幅のクロック入力が規定回数であるk回入力されたとき同期信号が正常であると判定する。そして、同期信号受信側マイコンは、k回目のクロック入力タイミングでタイミング補正を実施、すなわち、マイコン間での駆動タイミングの同期を行う。
一方、X部に示すように、同期信号のパルスの時間幅が異なったり、連続回数が異なったりする場合にはタイミング補正を実施せず、非同期でモータ駆動する。
また、第7実施形態では、同期信号を他の信号と共通化した構成において、例えばシリアル通信用のクロックラインを同期信号用として利用する場合に、シリアル通信の受信をトリガとしてCRC方式等により受信データの信頼性を計算する。チェックの結果、正しい通信が行われている場合には、マイコン間の同期を許可するというものである。
図40に、第7実施形態における通信クロック及び受信信号線のパルスを示す。R部では、CRC正常と判断されたら、受信完了タイミングを基準としてタイミング補正を実施する。このとき、例えばCRC計算にかかった時間分だけ補正して同期信号するというように、タイミング補正の具体的な方法は適宜設定してよい。
一方、X部では、CRCが不一致であるため正常なタイミングではないと判断し、タイミング補正を実施しない。
このように、受信信号判定部432は、第1実施形態の基礎形態のように同期信号の受信タイミングによる方法に限らず、特定のパルスパターンを用いても、同期信号の正常又は異常を判定することができる。
なお、特定パルスパターンにより受信信号判定を実施する第6、第7実施形態の構成においても、上記図15~図18の各処理を同様に適用可能である。また、双方向で同期信号を送受信する第5実施形態の構成に第6、第7実施形態を適用してもよい。
(その他の実施形態)
(a)上記実施形態の制御対象であるモータ80は、二組の巻線組801、802が共通のステータに互いに電気角30degずらして配置される多重巻線モータである。その他の実施形態で制御対象とされるモータは、二組以上の巻線組が同位相で配置されるものでもよい。また、二組以上の巻線組が一つのモータの共通のステータに配置される構成に限らず、例えば各巻線組が別々に巻回された複数のステータにより協働してトルクを出力する複数のモータに適用されてもよい。
また、多相ブラシレスモータの相の数は、三相に限らず四相以上でもよい。さらに駆動対象のモータは、交流ブラシレスモータに限らず、ブラシ付き直流モータとしてもよい。その場合、「モータ駆動回路」としてHブリッジ回路を用いてもよい。
(b)上記実施形態は、二つのマイコンを備えるモータ制御装置について例示しているが、三つ以上のマイコンを備えるモータ制御装置に本発明を適用してもよい。例えば第1実施形態の基礎形態に準ずる同期信号一方向送信の構成において、一つの同期信号送信側マイコンが他の二つ以上の同期信号受信側マイコンに対して同期信号を送信してもよい。或いは、二つ以上の同期信号送信側マイコンが、それぞれ、自マイコン以外の各同期信号受信側マイコンに対して同期信号を送信してもよい。
また、三つ以上のマイコンを備えるモータ制御装置における停止判定の構成について、全てのマイコンの動作がモータ駆動に影響する場合には全てのマイコンの停止タイミングを揃え、同期を確保することが好ましい。例えば第2実施形態に準じる構成では、一つ以上の他マイコンから停止判定信号を受信したマイコンは、受信した全ての他マイコンの停止判定信号、及び、自マイコンの停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させればよい。
一方、一部のマイコンの動作がモータ駆動に影響しない場合等には、モータ駆動に影響するマイコン間のみで停止タイミングを揃え、同期を確保すればよい。例えば第2実施形態に準じる構成では、一つ以上の他マイコンから停止判定信号を受信したマイコンは、受信した他マイコンの停止判定信号のうち少なくとも一つの他マイコンの停止判定信号、及び、自マイコンの停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させればよい。
(c)モータ制御装置は、モータ駆動タイミング生成部に同期するアナログ信号サンプリング部を備えなくてもよい。その場合、モータ制御装置は、外部から取得したデジタルデータに基づいて制御演算を行ってもよい。或いは、フィードバック情報を用いず、フィードフォワード制御を実施してもよい。
また、アナログ信号サンプリング部を備える構成において、サンプリングタイミングがモータ駆動信号のスイッチタイミングに重なるようにしてもよい。
(d)モータ駆動信号の生成方式として、図8等に示されるPWM制御方式に限らず、例えば、予め記憶した複数のパルスパターンから変調率や回転数に応じて最適なパターンを選択するパルスパターン方式等を採用してもよい。また、PWM制御方式のキャリアは三角波に限らず、鋸波を用いてもよい。
(f)本発明のモータ制御装置は、電動パワーステアリング装置用のモータに限らず、他のいかなる用途のモータに適用されてもよい。例えば車両以外のシステムに適用される場合、上記実施形態の「車両スイッチ信号」は、「システムスイッチ信号」等に置き換えて解釈可能である。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
101-105・・・ECU(モータ制御装置)、
111、112・・・電源、 161、162・・・電源生成回路、
401・・・第1(同期信号送信側)マイコン、
402・・・第2(同期信号受信側)マイコン、
411、412・・・同期信号生成部、
421、422・・・タイミング補正部、
441、442・・・駆動タイミング生成部、
451、452・・・駆動信号生成部、
471、472、48・・・同期信号線、
531、532・・・停止判定部、
651、652・・・クロック生成回路、
701、702・・・モータ駆動回路、 80・・・モータ。

Claims (17)

  1. 一つ以上のモータ(80)を駆動する複数のモータ駆動回路(701、702)と、
    電源(111、112)に接続された電源生成回路(161、162)が生成するマイコン電源により動作し、前記複数のモータ駆動回路にそれぞれ指令するモータ駆動信号(Dr1、Dr2)を生成する駆動信号生成部(451、452)、及び、前記モータ駆動信号のパルスタイミングである駆動タイミングを生成する駆動タイミング生成部(441、442)を有する複数のマイコン(401、402)と、
    前記複数のマイコンが動作の基準とするクロックをそれぞれ独立して生成する複数のクロック生成回路(651、652)と、
    を備え、
    前記複数のマイコンのうち、自マイコンの前記駆動タイミングに同期し、且つ、前記複数のマイコンの前記駆動タイミングを同期させる同期信号を送信する少なくとも一つのマイコンを同期信号送信側マイコン(401)とし、前記同期信号送信側マイコンから送信された前記同期信号を受信する少なくとも一つのマイコンを同期信号受信側マイコン(402)とすると、
    前記同期信号送信側マイコンは、
    前記同期信号を生成し、前記同期信号受信側マイコンに送信する同期信号生成部(411)を有し、
    前記同期信号受信側マイコンは、
    受信した前記同期信号に同期するように自マイコンの前記駆動タイミングを補正するタイミング補正を実施可能なタイミング補正部(422)を有し、
    さらに、前記複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコンは、自マイコンの動作が停止されようとしていることを判定し、その情報を停止判定信号として他マイコンに送信する停止判定部(531、532)を有し、
    一つ以上の他マイコンから前記停止判定信号を受信したマイコンは、少なくとも他マイコンの前記停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させるモータ制御装置。
  2. 一つ以上の他マイコンから前記停止判定信号を受信したマイコンは、受信した他マイコンの前記停止判定信号のうち少なくとも一つの他マイコンの前記停止判定信号、及び、自マイコンの前記停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させる請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 一つ以上の他マイコンから前記停止判定信号を受信したマイコンは、受信した全ての他マイコンの前記停止判定信号、及び、自マイコンの前記停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させる請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 自マイコンの前記停止判定信号の出力から上限待ち時間が経過したとき、他マイコンからの前記停止判定信号の受信の有無にかかわらず自マイコンの動作を停止させる請求項2または3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記複数のマイコンは、それぞれ前記停止判定部を有し、各前記停止判定部による前記停止判定信号を相互に通知する請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記複数のマイコンは、前記電源生成回路への電圧供給経路を開閉する電源開閉回路(151、152)に対し接続又は開放を指示する電源開閉判定部(551、552)をさらに有し、
    前記電源開閉判定部は、前記停止判定信号が通知されたとき、前記電源開閉回路に開放指示を出力し各マイコンの動作を実際に停止させる請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 各マイコンのリセットをコントロールするリセットコントロール部(171、172)をさらに備え、
    前記リセットコントロール部は、前記停止判定信号に基づいて各マイコンの動作を停止させる請求項1~6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記リセットコントロール部は、マイコン外部に設けられ、マイコンのリセット端子をコントロールするICとして構成される請求項7に記載のモータ制御装置。
  9. 車両に搭載され、車両スイッチ信号(Sw1、Sw2)が入力されたとき前記電源生成回路に電圧が供給されるように構成されたモータ制御装置であって、
    前記複数のマイコンは、前記車両スイッチ信号の入力を監視し、前記車両スイッチ信号が一旦OFFした後、再入力されたとき、対応する前記リセットコントロール部にリセット指示を通知し、
    当該リセット指示を受けた前記リセットコントロール部は、対応するマイコンをリセットする請求項7または8に記載のモータ制御装置。
  10. 前記同期信号送信側マイコンと前記同期信号受信側マイコンとを接続し、前記同期信号が送受信される少なくとも一つの同期信号線(471、472、48)をさらに備える請求項1~9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記同期信号受信側マイコンの前記タイミング補正部は、受信した前記同期信号の正常又は異常の判定である受信信号判定を行う受信信号判定部(432)を含み、
    前記同期信号受信側マイコンは、
    前記受信信号判定において前記同期信号が正常と判定されたとき、前記タイミング補正を許可し、
    前記受信信号判定において前記同期信号が異常と判定されたとき、前記タイミング補正を禁止し、前記同期信号送信側マイコンとは非同期でモータを駆動する請求項1~10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  12. 前記複数のマイコンは、同一の基板(230)の同一側の面(238)に、所定間隔を空けて配置されている請求項1~11のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置により通電される複数の多相巻線組(801、802)が同軸に設けられたブラシレスモータとして構成される前記モータと、
    を備えるモータ駆動システム。
  14. 前記モータの軸方向の一方側に前記モータ制御装置が一体に構成されている請求項13に記載のモータ駆動システム。
  15. 車両の電動パワーステアリング装置に適用され、
    請求項1~12のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置により駆動され、アシストトルクを出力する前記モータと、
    を備えるモータ駆動システム。
  16. 二つの電源(111、112)と、
    二つの前記電源からそれぞれ電力が供給される二組の多相巻線組が設けられた前記モータと、
    二組の前記多相巻線組への通電をそれぞれ制御する二つの前記マイコン、及び、二つの前記マイコンからそれぞれ前記モータ駆動信号が指令される二つの前記モータ駆動回路を備える前記モータ制御装置と、
    操舵トルクを検出し、二つの前記マイコンに出力する二つの操舵トルクセンサ(931、932)と、
    前記モータの電気角を検出し、二つの前記マイコンに出力する二つの回転角センサ(251、252)と、
    を備える請求項15に記載のモータ駆動システム。
  17. 一つ以上のモータ(80)を駆動する複数のモータ駆動回路(701、702)と、
    電源(111、112)に接続された電源生成回路(161、162)が生成するマイコン電源により動作し、前記複数のモータ駆動回路にそれぞれ指令するモータ駆動信号(Dr1、Dr2)を生成する駆動信号生成部(451、452)、及び、前記モータ駆動信号のパルスタイミングである駆動タイミングを生成する駆動タイミング生成部(441、442)を有する複数のマイコン(401、402)と、
    前記複数のマイコンが動作の基準とするクロックをそれぞれ独立して生成する複数のクロック生成回路(651、652)と、
    を備え、
    前記複数のマイコンのうち、自マイコンの前記駆動タイミングに同期し、且つ、前記複数のマイコンの前記駆動タイミングを同期させる同期信号を送信する少なくとも一つのマイコンを同期信号送信側マイコン(401)とし、前記同期信号送信側マイコンから送信された前記同期信号を受信する少なくとも一つのマイコンを同期信号受信側マイコン(402)とすると、
    前記同期信号送信側マイコンは、
    前記同期信号を生成し、前記同期信号受信側マイコンに送信する同期信号生成部(411)を有し、
    前記同期信号受信側マイコンは、
    受信した前記同期信号に同期するように自マイコンの前記駆動タイミングを補正するタイミング補正を実施可能なタイミング補正部(422)を有するモータ制御装置によるモータ制御方法であって、
    前記複数のマイコンのうち少なくとも一つのマイコンが有する停止判定部(531、532)が、自マイコンの動作が停止されようとしていることを判定する自マイコン停止判定ステップ(S72)と、
    前記自マイコン停止判定ステップでの判定に基づき、自マイコンの動作が停止されようとしていることの情報を停止判定信号として他マイコンに送信する停止判定信号送信ステップ(S73)と、
    自マイコンが一つ以上の他マイコンから前記停止判定信号を受信する他マイコン停止判定ステップ(S74)と、
    自マイコンが、少なくとも他マイコンの前記停止判定信号に基づいて、自マイコンの動作を実際に停止させる動作停止ステップ(S77)と、
    を含むモータ制御方法。
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