JP2020108327A - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】システムスイッチのオフ時における両系統の動作の一致性を確保する制御装置を提供する。【解決手段】複数のマイコンは、「制御量指令値及び制御量制限値」としての電流指令値及び電流制限値に基づいて生成したモータ駆動信号を各モータ駆動回路に出力する。各マイコンは、自マイコンのオフ判定が成立した(S02、S03)とき、終了処理の第1段階として「第1終了処理」を実行する(S05)とともに、オフ判定信号を他マイコンへ送信する(S06)。続いて各マイコンは、さらに他マイコンからオフ判定信号を受信した(S12)とき、調停後オフ判定が成立したと判断し(S15)、電流指令値又は電流制限値を現在値から漸減させる「第2終了処理」を開始する(S20)。各マイコンは、第2終了処理が完了し、さらに自マイコン及び他マイコンの電源オフ準備が完了したとき、電源リレーを遮断する「最終終了処理」を実行する(S40)。【選択図】図9

Description

本発明は、制御装置に関する。
従来、冗長的に設けられた複数のマイコンでモータの駆動を制御するモータ制御装置として機能する制御装置が知られている。
例えば特許文献1には、電動パワーステアリング制御装置の制御ユニットにおいて、メインマイコン又はサブマイコンのいずれかが異常のとき、正常なマイコンで制御を継続する技術が開示されている。
特開第2015−81013号公報
二組の巻線組を有するモータを二系統の冗長システムにより駆動するモータ制御装置として、本明細書では、特に車両の電動パワーステアリングシステム(以下「EPS」)において、操舵アシストモータを駆動し、アシスト動作を行うモータ制御装置を想定する。また、一般にシステムの起動状態(すなわちオン状態)と停止状態(すなわちオフ状態)とを切り替えるスイッチを「システムスイッチ」といい、特にシステムが車両である場合には「車両スイッチ」という。車両スイッチは、エンジン車ではイグニッションスイッチ(以下、「IGスイッチ」と記す)に相当し、ハイブリッド車や電気自動車ではレディスイッチに相当する。
ここでは、車両スイッチとしてIGスイッチを備える車両のEPSに適用されるモータ制御装置を具体例として記載する。EPSのモータ制御装置は、基本的にIGONによりマイコンが起動してアシストを開始し、IGOFFによりアシストを停止する。ただし、車両要因やIG電源を使用する制御回路(ECU)の数により、系統間でIGOFFのタイミングずれが発生した場合、正常にIGOFFしても片系統だけIGOFFとなる可能性がある。片系統のマイコンだけがモータ駆動を停止し、アシスト停止すると、本来の狙いとは異なるアシストトルクが出力され、操舵感の低下を招いたり、運転者に不安を与えたりするという問題が発生する。
また、一方のマイコンでIGON状態からOFF操作後、素早く再ON操作が行われた場合、両系統のマイコンの判定タイミングにおいて状態遷移ずれが発生し、一方のマイコンだけがOFF判定する可能性がある。すると、OFF判定した系統の駆動停止に引きずられて両系統ともに駆動停止するおそれがある。例えば、両系統で協調して動作し、電流制限値を共有する構成では、片系統のマイコンだけがOFF判定すると、共有の電流制限値が0となるため、アシスト停止に至る。
また、アシスト復帰するときにもアシストの急峻な変動が発生することがある。例えば片系統だけがアシスト停止すると、その後、電流制限値の共有が中止され、急峻なアシスト変動が発生する。さらに、例えば両系統の電流指令値差を監視するフェイル判定を行う場合等、系統間の動作が異なることで誤ってフェイル判定することも起こりえる。このように、車両スイッチのオフ時に両系統のマイコンの制御状態や動作タイミング等の一致性が崩れるという問題について、特許文献1には何ら言及されていない。
本発明は、上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、システムスイッチのオフ時における両系統の動作の一致性を確保する制御装置を提供することにある。
本発明は、車両に搭載され、複数の巻線組(801、802)を含むモータ(80)を駆動するモータ制御装置として機能する制御装置である。この制御装置は、複数の巻線組に対応して設けられる複数のモータ駆動回路(701、702)と、複数のマイコン(401、402)と、一つ以上の電源リレー(141、142)と、を備える。すなわち、この制御装置は、複数系統の冗長システムにより構成される。
複数のマイコンは、モータの駆動制御に係る制御量についての制御量指令値、及び、制御量指令値の上限である制御量制限値を演算し、制御量指令値及び制御量制限値に基づいて生成したモータ駆動信号を、各モータ駆動回路に出力する。制御量は、例えば巻線組に通電される電流である。一つ以上の電源リレーは、電源(111、112)から各モータ駆動回路に供給される電力を遮断可能である。
互いに対応して設けられるマイコン及びモータ駆動回路を含む一群の構成要素の単位を「系統」と定義する。各系統の構成要素が制御量を制御することにより、モータ制御装置はモータを駆動する。また、二系統の各マイコンについて、自系統のマイコンを「自マイコン」といい、他系統のマイコンを「他マイコン」という。
各マイコンは、オフ判定部(411、412)、及び、マイコン間通信部(421、422)を有する。オフ判定部は、システムの起動状態であるオン状態と停止状態であるオフ状態とを切り替えるシステムスイッチ(171、172)がオフ操作され、所定の条件が成立したとき、オフ判定が成立したと判断する。「所定の条件」としては、供給電圧が閾値電圧まで低下したことや通信異常の発生等が用いられる。マイコン間通信部は、オフ判定が成立したことの情報をオフ判定信号として自マイコンと他マイコンとの間で送受信する。
各マイコンは、自系統において自マイコンのオフ判定が成立したとき、終了処理の第1段階として「第1終了処理」を実行するとともに、オフ判定信号を他マイコンへ送信する。第1終了処理としては、例えばCAN送信停止、車両協調制御禁止、フェイルマスク等の処理が行われる。自マイコンのみの判断で第1終了処理を進めることで、全体の処理時間を短縮することができる。
各マイコンは、さらに他マイコンからオフ判定信号を受信したとき、調停後オフ判定が成立したと判断し、制御量指令値又は制御量制限値を現在値から漸減させる「第2終了処理」を開始する。各マイコンにおいて調停後オフ判定が成立したことは、システムの視点から、「冗長システムのオフ判定」が成立したことに相当する。このとき、両系統のマイコンが電流制限値を共有することで動作タイミングを一致させ、モータ出力(EPSではアシストトルク)の変動や急変、及び、フェイルの誤判定等を防止することができる。
各マイコンは、第2終了処理が完了し、さらに自マイコン及び他マイコンの電源オフ準備が完了したとき、電源リレーを遮断する「最終終了処理」を実行する。このとき、温度記憶等も行われる。仮に両系統の最終終了処理のタイミングが一致しないと、遅れて停止する系統のマイコンが、先に停止した系統の異常を誤検出したり、通信異常が発生したりするおそれがある。本発明では、最終終了処理のタイミングを一致させることで、誤検出や通信異常を回避することができる。
このように本発明の制御装置は、自系統のオフ判定の成立により必要となる処理と、調停後オフ判定が成立し冗長システムとしてのオフ判定が成立した時の停止処置とを分けて実行する。これにより、車両スイッチのオフ時における両系統の動作の一致性を適切に確保することができる。
好ましくは、各マイコンは、第2終了処理の完了後、最終終了処理の前に、マイコン制御電源を保持する「第3終了処理」を開始する。各マイコンは、第3終了処理の完了後、自マイコンの電源オフ準備完了信号を他マイコンへ送信する。第3終了処理は、いわゆる「パワーラッチ」に相当し、処理の期間中、温度推定演算等が継続される。この場合、自マイコンのみの判断で第3終了処理を進めることで、全体の処理時間を短縮することができる。
ところで、システムスイッチの故障等により、いずれかの系統のマイコンに供給されている電源がオフされない場合、そのマイコンはオフ判定できず、調停後オフ判定がいつまでも成立しない。そこで、自マイコンのオフ判定の成立後、所定の待機時間内に他マイコンのオフ判定信号を受信せず、調停後オフ判定が成立しない場合、自マイコンは、第2終了処理に代えて、自系統のみの制御量指令値又は制御量制限値を独立して漸減させ、自系統によるモータの駆動を停止することが好ましい。
また、マイコンがオフ判定できないと、暗電流が流れ続け、最終的に電源電圧の低下によりマイコンが停止した場合、マイコン間通信異常等のECU内部故障履歴を示す記憶が記憶媒体に残る可能性がある。すると、制御ユニットが正常であるにもかかわらず、内部故障履歴が残っているため修理の際に誤って交換されるおそれがある。この課題は、モータ制御装置として機能する制御装置に限らず、停止時に複数のマイコンがオフ判定を相互に通信し、調停後オフ判定に基づきオフする制御装置全般に共通する。
そこで本発明の別の態様の制御装置は、複数の電気回路(701、702)と、各電気回路に通電信号を出力する複数のマイコン(401、402)と、電源(111、112)から各電気回路に供給される電力を遮断可能な複数の電源リレー(141、142)と、を備える。互いに対応して設けられるマイコン及び電気回路を含む一群の構成要素の単位を「系統」と定義する。
各マイコンは、上記と同様のオフ判定部(411、412)、及び、マイコン間通信部(421、422)を有する。各マイコンは、自系統において自マイコンのオフ判定が成立したとき、オフ判定信号を他マイコンへ送信する。また、自マイコンのオフ判定の成立後、所定の待機時間内に他マイコンのオフ判定信号を受信した場合、調停後オフ判定が成立したと判断し、各系統の電源リレーを遮断する。
一方、各マイコンは、自マイコンの前記オフ判定の成立後、待機時間内に他マイコンのオフ判定信号を受信せず、調停後オフ判定が成立しない場合、「他系統未終了状態」であると判定し、自系統のみの電源リレーを遮断する。これにより、一般的な制御装置において、他系統未終了状態が継続することによる電源電圧の低下や、それに起因するマイコン間通信異常等のECU内部故障履歴の記憶を防止することができる。
一実施形態のECUが機電一体式のモータ駆動システムとして適用される電動パワーステアリングシステムの構成図。 一実施形態のECUが機電別体式のモータ駆動システムとして適用される電動パワーステアリングシステムの構成図。 二系統機電一体式モータの軸方向断面図。 図3のIV−IV線断面図。 多相同軸モータの構成を示す模式図。 各実施形態によるECU(モータ制御装置)の全体構成図。 IGスイッチ構成例の図。 (a)マイコン間通信の構成図、(b)他マイコンからの判定信号の受信処理を示すフローチャート。 一実施形態によるIGOFF時における基本処理のフローチャート。 図9の第2終了処理(電流漸減)のサブフローチャート。 図9の第3終了処理(パワーラッチ)のサブフローチャート。 図9〜図11に対応する基本処理のタイムチャート。 アシスト開始前のIGOFF判定処理のフローチャート。 マイコン間通信途絶時の処理、及び、調停後IGOFF判定信号に基づく処理のフローチャート。 再IGON判定成立時の電流制限値漸増処理のフローチャート。 IGOFF判定成立後に待機時間を設定する処理のフローチャート。 調停後IGOFF判定不成立(他系統未終了)となる事象例を説明する正常時の図。 同事象例を説明するIGスイッチ故障時の図。 調停後IGOFF判定不成立時の処理例のフローチャート。 調停後IGOFF判定不成立時における駆動モード切り替え処理のフローチャート。 駆動モード切り替え処理のタイムチャート。 (a)独立駆動モード、(b)片系統駆動モードの出力特性図。 応用実施例によるIGOFF判定の調停フローチャート。 応用実施例によるIGOFF判定及び判定時処置のフローチャート。
(一実施形態)
以下、制御装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。「モータ制御装置」として機能するECUは、車両の電動パワーステアリングシステム(以下「EPS」)に適用され、操舵アシストトルクを出力するモータを駆動する。本実施形態のECUはエンジン車に搭載され、「システムスイッチ」且つ「車両スイッチ」としてのイグニッションスイッチ(以下「IGスイッチ」)がオン操作されることにより起動し、IGスイッチがオフ操作されることにより停止する。本実施形態中の「IGOFF判定」及び「再IGON判定」は、「オフ判定」及び「再オン判定」に相当する。
最初にEPSの構成について、図1〜図6を参照して説明する。図1、図2に、EPS90を含むステアリングシステム99の全体構成を示す。図1に、「モータ駆動装置」としてのECU10がモータ80の軸方向の一方側に一体に構成されている「機電一体式」の構成が図示され、図2に、ECU10とモータ80とがハーネスで接続された「機電別体式」の構成が図示される。なお、図1、図2におけるEPS90はコラムアシスト式であるが、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置にも同様に適用可能である。
ステアリングシステム99は、ハンドル91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、及び、EPS90等を含む。ハンドル91にはステアリングシャフト92が接続されている。ステアリングシャフト92の先端に設けられたピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が設けられる。運転者がハンドル91を回転させると、ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によりラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の変位量に応じた角度に一対の車輪98が操舵される。
EPS90は、操舵トルクセンサ93、ECU10、モータ80、及び、減速ギア94等を含む。操舵トルクセンサ93は、ステアリングシャフト92の途中に設けられ、運転者の操舵トルクを検出する。図1、図2に示す形態では、二重化された操舵トルクセンサ93は、第1トルクセンサ931及び第2トルクセンサ932を含み、第1操舵トルクtrq1及び第2操舵トルクtrq2を二重に検出する。操舵トルクセンサが冗長的に設けられない場合、一つの操舵トルクtrqの検出値が二系統共通に用いられてもよい。以下、冗長的に検出された操舵トルクtrq1、trq2を用いることに特段の意味が無い箇所では、一つの操舵トルクtrqとして記載する。
ECU10は、操舵トルクtrq1、trq2に基づいて、モータ80が所望のアシストトルクを発生するようにモータ80の駆動を制御する。モータ80が出力したアシストトルクは、減速ギア94を介してステアリングシャフト92に伝達される。ECU10は、回転角センサが検出したモータ80の電気角θ1、θ2及び操舵トルクセンサ93が検出した操舵トルクtrq1、trq2を取得する。ECU10は、これらの情報やECU10内部で検出したモータ電流等の情報に基づき、モータ80の駆動を制御する。
モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体に構成された機電一体式モータ800の構成について、図3、図4を参照して説明する。図3に示す形態では、ECU10は、モータ80の出力側とは反対側において、シャフト87の軸Axに対して同軸に配置されている。なお、他の実施形態では、ECU10は、モータ80の出力側において、モータ80と一体に構成されてもよい。モータ80は、三相ブラシレスモータであって、ステータ840、ロータ860、及びそれらを収容するハウジング830を備えている。
ステータ840は、ハウジング830に固定されているステータコア845と、ステータコア845に組み付けられている二組の三相巻線組801、802とを有している。第1巻線組801を構成する各相巻線からは、リード線851、853、855が延び出している。第2巻線組802を構成する各相巻線からは、リード線852、854、856が延び出している。ロータ860は、リア軸受835及びフロント軸受836により支持されているシャフト87と、シャフト87が嵌入されたロータコア865とを有している。ロータ860は、ステータ840の内側に設けられており、ステータ840に対して相対回転可能である。シャフト87の一端には永久磁石88が設けられている。
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834と、ケース834の一端に設けられているフロントフレームエンド838とを有している。ケース834及びフロントフレームエンド838は、ボルト等により互いに締結されている。各巻線組801、802のリード線851、852等は、リアフレームエンド837のリード線挿通孔839を挿通してECU10側に延び、基板230に接続されている。
ECU10は、カバー21と、カバー21に固定されているヒートシンク22と、ヒートシンク22に固定されている基板230と、基板230に実装されている各種の電子部品とを備えている。カバー21は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU10内への埃や水等の浸入を防止したりする。カバー21は、外部からの給電ケーブルや信号ケーブルが外部接続用コネクタ部214と、カバー部213とを有している。外部接続用コネクタ部214の給電用端子215、216は、図示しない経路を経由して基板230に接続されている。
基板230は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向する位置に設けられ、ヒートシンク22に固定されている。基板230には、二系統分の各電子部品が系統毎に独立して設けられており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では基板230は一枚であるが、他の実施形態では、二枚以上の基板を備えるようにしてもよい。基板230の二つの主面のうち、リアフレームエンド837に対向している面をモータ面237とし、その反対側の面、すなわちヒートシンク22に対向している面をカバー面238とする。
モータ面237には、複数のスイッチング素子241、242、回転角センサ251、252、カスタムIC261、262等が実装されている。本実施形態では複数のスイッチング素子241、242は各系統について6個であり、モータ駆動回路の三相上下アームを構成する。回転角センサ251、252は、シャフト87の先端に設けられた永久磁石88と対向するように配置される。カスタムIC261、262及びマイコン401、402は、ECU10の制御回路を有する。
カバー面238には、マイコン401、402、コンデンサ281、282、及び、インダクタ271、272等が実装されている。特に、第1マイコン401及び第2マイコン402は、同一の基板230の同一側の面であるカバー面238に、所定間隔を空けて配置されている。コンデンサ281、282は、電源から入力された電力を平滑化し、また、スイッチング素子241、242のスイッチング動作等に起因するノイズの流出を防止する。インダクタ271、272は、コンデンサ281、282と共にフィルタ回路を構成する。
図5、図6に示すように、ECU10の制御対象であるモータ80は、二組の三相巻線組801、802が同軸に設けられた三相ブラシレスモータである。巻線組801、802は、電気的特性が同等であり、共通のステータに互いに電気角30[deg]ずらして配置されている。これに応じて、巻線組801、802には、例えば、振幅が等しく位相が30[deg]ずれた相電流が通電されるように制御される。
[ECU(モータ制御装置)の構成]
次に図6を参照し、ECU10の構成及び作用効果について説明する。ECU10は、車両に搭載され、二組の巻線組801、802を含むモータ80を二系統の冗長システムにより駆動する。以下、互いに対応して設けられるマイコン401、402及びモータ駆動回路701、702を含む一群の構成要素の単位を「系統」という。図6において、第1巻線組801と、第1巻線組801の通電制御に係る第1マイコン401及びモータ駆動回路701等との組み合わせを第1系統GR1とする。第2巻線組802と、第2巻線組802の通電制御に係る第2マイコン402及び第2モータ駆動回路702等との組み合わせを第2系統GR2とする。第1系統GR1と第2系統GR2とは、全て独立した二組の要素群から構成されている。
明細書中、必要に応じて、第1系統GR1の構成要素又は信号には語頭に「第1」を付し、第2系統GR2の構成要素又は信号には語頭に「第2」を付して区別する。各系統に共通の事項については、「第1、第2」を付さず、まとめて記載する。また、第1系統の構成要素又は信号の符号の末尾に「1」を付し、第2系統の構成要素又は信号の符号の末尾に「2」を付して記す。以下、ある構成要素にとって、その構成要素が含まれる系統を「自系統」といい、他方の系統を「他系統」という。同様に、二系統のマイコン401、402について、自系統のマイコンを「自マイコン」といい、他系統のマイコンを「他マイコン」という。
ECU10の第1コネクタ部351には、第1電源コネクタ131、第1車両通信コネクタ311、及び、第1トルクコネクタ331が含まれる。第2コネクタ部352には、第2電源コネクタ132、第2車両通信コネクタ312、及び、第2トルクコネクタ332が含まれる。コネクタ部351、352は、それぞれ単一のコネクタとして形成されていてもよいし、複数のコネクタに分割されていてもよい。
第1電源コネクタ131は、第1電源(例えばバッテリ)111に接続される。第1電源111の電力は、電源コネクタ131、電源リレー141、第1モータ駆動回路701、及び、モータリレー731を経由して、第1巻線組801に供給される。また、第1電源111の電力は、第1マイコン401及び第1系統GR1のセンサ類にも供給される。
第2電源コネクタ132は、第2電源(例えばバッテリ)112に接続される。第2電源112の電力は、電源コネクタ132、電源リレー142、第2モータ駆動回路702、及び、モータリレー732を経由して、第2巻線組802に供給される。また、第2電源112の電力は、第2マイコン402及び第2系統GR2のセンサ類にも供給される。電源が冗長的に設けられない場合、二系統の電源コネクタ131、132は共通の電源に接続されてもよい。
車両通信ネットワークとしてCANが冗長的に設けられる場合、第1車両通信コネクタ311は、第1CAN301と第1車両通信回路321との間に接続され、第2車両通信コネクタ312は、第2CAN302と第2車両通信回路322との間に接続される。CANが冗長的に設けられない場合、二系統の車両通信コネクタ311、312は、共通のCAN30に接続されてもよい。また、CAN以外の車両通信ネットワークとして、CAN−FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、どのような規格のネットワークが用いられてもよい。車両通信回路321、322は、自系統及び他系統の各マイコン401、402との間で双方向に情報を通信する。
第1トルクコネクタ331は、第1トルクセンサ931と第1トルクセンサ入力回路341との間に接続される。第1トルクセンサ入力回路341は、第1トルクコネクタ331が検出した操舵トルクtrq1を第1マイコン401に通知する。第2トルクコネクタ332は、第2トルクセンサ932と第2トルクセンサ入力回路342との間に接続される。第2トルクセンサ入力回路342は、第2トルクコネクタ332が検出した操舵トルクtrq2を第2マイコン402に通知する。
マイコン401、402は、各巻線組801、802に通電される電流についての電流指令値及び電流制限値を演算する。電流指令値は、「モータの駆動制御に係る制御量についての制御量指令値」に相当し、電流制限値は、「制御量指令値の上限である制御量制限値」に相当する。そして、マイコン401、402は、電流指令値及び電流制限値に基づいて生成したモータ駆動信号Dr1、Dr2を各モータ駆動回路701、702に出力する。マイコン401、402における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。以下、自系統のマイコンを「自マイコン」といい、他系統のマイコンを「他マイコン」という。
第1マイコン401は、第1モータ駆動回路701のスイッチング素子241の動作を操作するモータ駆動信号Dr1を生成し、第1モータ駆動回路701に指令する。また、第1マイコン401は、第1電源リレー駆動信号Vpr1、及び、第1モータリレー駆動信号Vmr1を生成する。第2マイコン402は、第2モータ駆動回路702のスイッチング素子242の動作を操作するモータ駆動信号Dr2を生成し、第2モータ駆動回路702に指令する。また、第2マイコン402は、第2電源リレー駆動信号Vpr2、及び、第2モータリレー駆動信号Vmr2を生成する。マイコン401、402が生成した電源リレー駆動信号Vpr1、Vpr2は、自系統の電源リレー141、142に指令される他、他マイコンにも通知される。
各マイコン401、402は、「オフ判定部」としてのIGOFF判定部411、412、及びマイコン間通信部421、422を有する。IGOFF判定部411、412は、図7に示すIGスイッチ171、172がオフ操作され、所定の条件が成立したとき、「IGOFF判定」が成立したと判断する。「所定の条件」としては、IG電圧が閾値電圧まで低下したことや、CAN通信途絶等の通信異常の発生等が用いられる。IGOFF判定の詳細については後述する。マイコン間通信部421、422は、少なくとも、IGOFF判定が成立したことの情報を「IGOFF判定信号」として自マイコンと他マイコンとの間で送受信する。
マイコン間通信部421、422は、マイコン間通信により、相互に情報を送受信可能である。マイコン間通信部421、422は、電流指令値や電流制限値等を相互に送受信し、第1系統GR1及び第2系統GR2を協働させてモータ80を駆動する。マイコン間通信の通信フレームには、電流指令値、電流制限値、電流検出値等が含まれる。その他、アップデートカウンタ、ステータス信号、及び、誤り検出値信号であるCRC信号、チェックサム信号等が含まれる場合もある。
各マイコンが他マイコンからの電源リレー駆動信号Vpr1、Vpr2を受信しているにもかかわらず、マイコン間通信で他マイコンからの信号を受信しない場合には、他マイコンは正常であり、マイコン間通信の異常であると判断される。一方、各マイコンが他マイコンからの電源リレー駆動信号Vpr1、Vpr2を受信せず、且つ、マイコン間通信で他マイコンからの信号を受信しない場合には、他マイコンが異常であると判断される。
二つのモータ駆動回路701、702は、二組の巻線組801、802に対応して設けられる。第1モータ駆動回路701は、複数のスイッチング素子241を有する三相インバータであって、第1巻線組801へ供給される電力を変換する。第1モータ駆動回路701のスイッチング素子241は、第1マイコン401から出力されるモータ駆動信号Dr1に基づいてオンオフ作動が制御される。第2モータ駆動回路702は、複数のスイッチング素子242を有する三相インバータであって、第2巻線組802へ供給される電力を変換する。第2モータ駆動回路702のスイッチング素子242は、第2マイコン402から出力されるモータ駆動信号Dr2に基づいてオンオフ作動が制御される。
電源リレー141、142は、各電源111、112から各モータ駆動回路701、702に供給される電力を遮断可能である。第1電源リレー141は、第1電源コネクタ131と第1モータ駆動回路701との間に設けられ、第1マイコン401からの第1電源リレー駆動信号Vpr1により制御される。第1電源リレー141がオンのとき、第1電源111と第1モータ駆動回路701との間の通電が許容され、第1電源リレー141がオフのとき、第1電源111と第1モータ駆動回路701との間の通電が遮断される。
第2電源リレー142は、第2電源コネクタ132と第2モータ駆動回路702との間に設けられ、第2マイコン402からの第2電源リレー駆動信号Vpr2により制御される。第2電源リレー142がオンのとき、第2電源112と第2モータ駆動回路702との間の通電が許容され、第2電源リレー142がオフのとき、第2電源112と第2モータ駆動回路702との間の通電が遮断される。
本実施形態の電源リレー141、142は、MOSFET等の半導体リレーである。電源リレー141、142がMOSFETのように寄生ダイオードを有する場合、電源リレー141、142に対し寄生ダイオードの向きが逆向きになるように直列接続される図示しない逆接保護リレーを設けることが望ましい。また、電源リレー141、142は、メカリレーであってもよい。
第1モータリレー731は、第1モータ駆動回路701と第1巻線組801との間の各相電力経路に設けられ、第1マイコン401からの第1モータリレー駆動信号Vmr1により制御される。第2モータリレー732は、第2モータ駆動回路702と第2巻線組802との間の各相電力経路に設けられ、第2マイコン402からの第2モータリレー駆動信号Vmr2により制御される。各モータリレー731、732がオンのとき、各モータ駆動回路701、702と巻線組801、802との間の通電が許容され、各モータリレー731、732がオフのとき、各モータ駆動回路701、702と巻線組801、802との間の通電が遮断される。
第1電流センサ741は、第1巻線組801の各相に通電される電流Im1を検出し、第1マイコン401に出力する。第2電流センサ742は、第2巻線組802の各相に通電される電流Im2を検出し、第2マイコン402に出力する。回転角センサ251、252が冗長的に設けられる場合、第1回転角センサ251は、モータ80の電気角θ1を検出し、第1マイコン401に出力する。第2回転角センサ252は、モータ80の電気角θ2を検出し、第2マイコン402に出力する。回転角センサが冗長的に設けられない場合、例えば第1回転角センサ251が検出した第1系統の電気角θ1に基づき、第2系統の電気角θ2を「θ2=θ1+30[deg]」の式により算出してもよい。
次に、IGスイッチの構成例を図7に示す。IGスイッチ171、172は、車両の起動状態であるオン状態と停止状態であるオフ状態とを切り替える。第1電源111から第1系統GR1に、電源線IG1及びパワー電源線PIG1が並列に接続される。電源線IG1の途中には第1IGスイッチ171が設けられ、パワー電源線PIG1の途中にはヒューズ181が設けられる。電源線IG1は第1系統GR1に接続される他に、分岐して他部品191にも接続される。また、第1電源111及び第1系統GR1はグランドGNDが共有される。
同様に、第2電源112から第2系統GR2に、電源線IG2及びパワー電源線PIG2が並列に接続される。電源線IG2の途中には第2IGスイッチ172が設けられ、パワー電源線PIG2の途中にはヒューズ182が設けられる。電源線IG2は第2系統GR2に接続される他に、分岐して他部品192にも接続される。また、第2電源112及び第2系統GR2はグランドGNDが共有される。
このように、図7の構成例では、各系統に対等にIGスイッチ171、172が設けられる。その他の構成例では、二つの電源をメイン電源とサブ電源により構成し、メイン電源側から分岐して各系統に接続される電源線IG1、IG2の途中に二つのIGスイッチを設けてもよい。また、メイン電源とサブ電源とを切り替えられるようにしてもよい。
また、マイコン間通信の構成を図8(a)に示す。第1系統のマイコン間通信部421及び第2系統のマイコン間通信部422は、IGOFF判定部411、412による判定結果を示すIGOFF判定フラグ及び調停後IGOFF判定フラグを相互に送受信する。IGOFF判定フラグは、自系統に入力される電源線に設けられたIGスイッチ171、172がOFFされたことを各マイコンで個別に判定した結果を示すフラグである。調停後IGOFF判定フラグは、両系統のマイコンで共にIGOFF判定が成立したこと、すなわち冗長システムのIGOFF判定が成立したことを示すフラグである。
マイコン間通信部421、422は、自マイコンのIGOFF判定フラグがOFFからONになったとき、「IGOFF判定信号」を他マイコンへ送信する。また、自マイコンの調停後IGOFF判定フラグがOFFからONになったとき、「調停後IGOFF判定信号」を他マイコンへ送信する。
続いて図8(b)のフローチャートを参照し、マイコン間通信における他マイコンからの判定信号の受信処理を示す。以下のフローチャートの説明で、記号「S」はステップを示す。S51で各マイコンのマイコン間通信部421、422は、他マイコンからのIGOFF判定信号又は調停後IGOFF判定信号を二回以上連続して受信したか判断する。S51でYESの場合、各マイコンのマイコン間通信部421、422は、その受信信号を有効として、S52で判定フラグを更新する。一方、判定信号を一回のみ受信し、二回連続して受信しなかった場合、S51でNOと判断され、判定フラグを更新せずに受信処理を終了する。
これにより、通信データの異常(いわゆる「RAM化け」)による誤判定を防止することができる。なお、連続受信の時間間隔は、マイコン間通信の通信周期に応じて設定される。また、高度な信頼性が要求されるシステムでは、連続受信として判定する受信回数を三回以上の所定回数に設定してもよい。逆に、通信データ異常のおそれがないシステムでは、一回の受信のみで判定フラグを更新してもよい。
次に、図9〜図11のフローチャート及び図12のタイムチャートを参照し、本実施形態による基本処理について説明する。以下のフローチャートでは、前述のステップと実質的に同一のステップには、原則として同一の番号を付して説明を適宜省略する。各フローチャートのステップ番号は、不連続となる場合や部分的に逆転する場合がある。また、図17を除く以下のフローチャートにおいて、判定信号を「受信」と記載した箇所は、図8(b)の処理に基づき「連続受信」を意味するものとする。図12では、各判定の成否をフラグのON/OFFで表し、判定信号を破線矢印で示す。
図9のS02では、自マイコンのIGOFF判定が行われる。具体的には図12に示すように、IG電圧が閾値電圧Vth(例えば数[V])未満の状態が判定時間Tj(例えば数[ms])継続したことにより、OFFしたと判定される。S03では自マイコンのIGOFF判定が成立したか判断され、NOの場合、S02の前に戻る。図12では、時刻t11に第1系統のIGOFF判定が成立し、その後、時刻t12に第2系統のIGOFF判定が成立する。
S03でYESの場合、S05で自マイコンは、終了処理の第1段階として第1終了処理を実行する。例えば、二系統の電流指令値の偏差が所定値以上であるとき異常とみなす「指令値偏差異常判定」をマスク、すなわち無効とする。つまり、正規の処置として一系統のみの電流指令値を漸減させたことにより指令値偏差が生じ、異常と誤判定される可能性を排除する。また、車載通信であるCAN送信を停止する。さらに車両協調制御の禁止や、指令値偏差異常判定マスク以外のフェイルマスク等の処理を実行してもよい。
またS06で自マイコンは、マイコン間通信により、IGOFF判定が成立したことの情報を「IGOFF判定信号」として他マイコンへ送信する。S111では車両が走行中であるか、具体的には車速が第1速度閾値Vth1(例えば30[km/H])以上の状態であるか判断され、YESの場合、S112に移行する。S112では、その後、車速が低下したか、具体的には第1速度閾値Vth1より低い第2速度閾値Vth2(例えば5[km/H])以下の状態に低下したか判断される。なお、車速は常時取得されてもよいし、例えばIGOFF判定成立から所定時間経過後に取得され、第2速度閾値Vth2と比較されてもよい。
S112でYESの場合、車両が走行中の状態からほぼ停車した状態に減速したとみなされ、以下のS12、S15をスキップしてS20の第2終了処理へ移行する。これにより、走行中のIGOFF時には、車両がほぼ停車したことを確認した上で、自マイコンの判定のみで電流漸減に移行することができる。なお、S111、S112による走行中の例外処置を行わず、S06の後、常にS12に移行するようにしてもよい。
S111でNOの場合、S12で自マイコンは、他マイコンのIGOFF判定信号を受信したか判断する。S12でYESと判断されると、S15で調停後IGOFF判定が成立したと判断され、S20の第2終了処理に移行する。図12では、時刻t2に調停後IGOFF判定が成立し、第2終了処理が開始される。なお、後述する調停後IGOFF判定信号の送受信についてはタイミングを簡略化し、両方向の破線矢印で示す。S12でNOの場合、S02の前に戻る。
第2終了処理において両マイコンは、電流指令値、又は、電流指令値の上限である電流制限値を現在値から漸減させ、モータの駆動を停止する。図10のS21では、電流指令値又は電流制限値の漸減が開始される。漸減方法としては、S22A又はS22Bが選択される。S22Aでは、両マイコンは二系統の電流指令値又は電流制限値を共有して漸減させる。S22Bでは、各マイコンは自系統の電流指令値又は電流制限値を独立して漸減させる。図12の例では、二系統の電流制限値を共有して漸減させる。
S23で電流指令値又は電流制限値が0[A]に達したと判定されると、S24で電流漸減が完了したと判断される。なお、0[A]とは、機器の分解能や検出誤差を考慮し、実質的に0[A]とみなされる値に設定されてよい。また、0[A]以外の所定電流値により判定されてもよい。このとき、実質的にモータ80の駆動が停止し、EPSでのアシストが停止する。ここで、S22Aにより電流指令値又は電流制限値を共有して漸減させることで、両系統の電流指令値又は電流制限値が0[A]になるタイミングを一致、すなわち同期させることができる。図12の例では、時刻t3に第2終了処理が完了する。また、S22Bにより電流指令値又は電流制限値を独立して漸減させる構成でも、電流漸減完了タイミングを同期させるようにしてもよい。
第2終了処理が完了すると、各マイコンはS30の第3終了処理に移行する。第3終了処理は、いわゆる「パワーラッチ」であり、駆動電流停止後に基板上の素子の温度推定演算等を継続するためのマイコン制御電源が保持される。図11のS31で各マイコンは、パワーラッチを開始する。S32では、所定時間が経過したか、又は、所定部位の温度が所定条件を充足するか判断される。例えば基板上のスイッチング素子の温度が所定値以下まで低下したか判断される。S32でYESと判断されると、各マイコンは、パワーラッチを完了する。
第3終了処理後、S34で自マイコンは、マイコン間通信で電源OFF準備完了信号を他マイコンへ送信する。S35で自マイコンが他マイコンの電源OFF準備完了を受信すると、S40の最終終了処理に移行する。図12の例では、時刻t4に第1系統、第2系統の電源OFF準備が共に完了し、最終終了処理に移行する。最終終了処理では、電源リレー141、142が遮断され、また、温度記憶等も行われる。なお、系統毎に個別に設けられた複数の電源リレーが遮断される構成に限らず、各系統に共通に設けられた一つの電源リレーが遮断されるようにしてもよい。
上記基本処理の作用効果について説明する。仮に二系統のマイコン間でIGOFF判定のタイミングがずれると、アシスト停止時、すなわち操舵アシストモータの駆動停止時、アシストトルクの変動や急変、及び、フェイルの誤判定等の問題が生じる可能性がある。例えば第2終了処理において、電流指令値や電流制限値を共有する場合、先行した系統のIGOFF判定により、常に両系統によるアシストが停止する。また、電流指令値や電流制限値を共有しない場合、それらの値が0になるタイミングのずれにより、モータ駆動回路701、702から各巻線組801、802に通電される電流変動が発生し、その結果、アシスト変動が発生する。さらに両系統の最終終了処理のタイミングが一致しないと、遅れて停止する系統のマイコンが、先に停止した系統の異常を誤検出したり、通信異常が発生したりするおそれがある。
そこで、本実施形態の基本処理では、第2終了処理及び最終終了処理において、両系統の動作タイミングを合わせるため、先行した系統のマイコンが後続する系統のマイコンの動作を待つ。そして、第2終了処理では、両系統のマイコンが電流制限値を共有することで動作タイミングを一致させ、モータ出力(EPSではアシストトルク)の変動や急変、及び、フェイル判定の誤り等を防止することができる。また、最終終了処理のタイミングを一致させることで、誤検出や通信異常を回避することができる。
一方、第1終了処理及び第3終了処理については、両系統のタイミングがずれても問題が生じない。したがって、各マイコンは、自マイコンのみの判断で第1終了処理及び第3終了処理を進めることで、全体の処理時間を短縮することができる。
なお、上記の基本処理において、S30の第3終了処理(パワーラッチ)を実施しなくてもよい。その場合、第2終了処理における電流漸減完了後、最終終了処理に移行する。第3終了処理を実施しない場合、第2終了処理による電流漸減タイミングを同期させ、両系統同時に最終終了処理に移行することが好ましい。
このように本実施形態のモータ制御装置は、自系統のIGOFF判定の成立により必要となる処理と、調停後IGOFF判定が成立し冗長システムとしてのIGOFF判定が成立した時の停止処置とを分けて実行する。これにより、IGスイッチ171、172のオフ時における両系統の動作の一致性を適切に確保することができる。
次に図13〜図22のフローチャート等を参照し、上記基本処理に付加される各種処理について説明する。なお、図13〜図22では、特有の処理以外の、基本処理又は他の図に示される処理と重複する処理について、適宜記載を省略する。省略した部分は他の図の処理と組み合わせて実施可能である。
<アシスト開始前のIGOFF判定処理>
図13のS01では、アシスト開始前であるか判断される。S01でYESの場合、S03Aで自マイコンのIGOFF判定が成立したか判断される。S03AでYESの場合、S41で自マイコンは、他マイコンの判定結果にかかわらず、自マイコンのIGOFF判定が成立したことに基づき、アシストを開始しない。これによりドライバの意図に反したアシストの開始を回避可能である。S03AでNOの場合、S01の前に戻る。
S01でNOの場合、すなわちアシスト中には、S03Bで自マイコンのIGOFF判定が成立したか判断され、且つ、S12で他マイコンのIGOFF判信号を受信したか判断される。S03B及びS12でYESの場合、S15で自マイコンは、調停後IGOFF判定が成立したと判断し、S42でアシスト停止する。S03又はS12でNOの場合、S01の前に戻る。
<マイコン間通信途絶時の処理、及び、調停後IGOFF判定信号に基づく処理>
図14のS02、S03、S06は基本処理と同様である。S07ではマイコン間通信が途絶したか判断される。S07でYESの場合、S08で自マイコンは、途絶したマイコンのIGOFF判定信号をマスク、すなわち無効とする。そして、S03でのYES判定である「自マイコンのIGOFF判定の成立」のみに基づき、S15で調停後IGOFF判定が成立したと判断され、S20で第2終了処理が開始される。これにより、マイコン間通信の途絶異常時に自マイコンの判定のみによりアシスト停止処理を進めることができる。
一方、マイコン間通信が正常であり、S07でNOの場合、S13では、自マイコンで調停後IGOFF判定が成立したか、又は、他マイコンから調停後IGOFF判定信号を受信したか判断される。S13でYESの場合、S15で調停後IGOFF判定が成立したと判断され、S20で第2終了処理が開始される。S13でNOの場合、S02の前に戻る。
例えば、自マイコンがIGON状態からOFF操作された後、他マイコンのIGOFF判定が成立する前に、素早く再ON操作が行われた場合を想定する。この場合、両系統のマイコンの判定タイミングにおいて状態遷移ずれが発生し、一方のマイコンだけがOFF判定する可能性がある。すると、OFF判定した系統の駆動停止に引きずられて両系統ともに駆動停止するおそれがある。そこで、他マイコンからの調停後IGOFF判定信号の受信を条件として第2終了処理を開始することにより、両マイコンの状態遷移ずれを回避することができる。
<再IGON判定成立時の電流制限値漸増処理>
図15の処理フローは、S15で調停後IGOFF判定が成立したところから始まる。その後S61では、IGスイッチが再度オン操作されたことを示す「再IGON判定」が自マイコンにおいて成立したか判断される。S61でYESの場合、S62で自マイコンは、自系統の電流制限値を独立して漸増させる。また、S63で自マイコンは、調停後IGOFF判定を不成立とし、他マイコンから受信するIGOFF判定信号をマスクする。これにより、停止しかけたアシストをドライバの意図通りに漸増復帰することができる。なお、S62で電流制限値に代えて自系統の電流指令値を漸増させてもよい。
一方、S61でNOの場合、すなわちIGスイッチ171、172のオフ操作後、再度オン操作されていない場合、S24で第2終了処理による電流漸減が完了したか判断される。S24でYESの場合、S40では最終終了処理が実行され、アシスト停止状態へ移行する。S24でNOの場合、S61の前に戻る。
<IGOFF判定成立後に待機時間を設定する処理>
次に図16〜図22を参照し、IGOFF判定成立後に待機時間を設定する処理について説明する。図16のS02〜S06は基本処理と同様である。S09では、自マイコンのIGOFF判定の成立後、所定の待機時間が経過したか判断され、S12では、他マイコンのIGOFF判定信号を受信したか判断される。待機時間内に他マイコンのIGOFF判定信号を受信した場合、S09でNO、S12でYESと判断される。
この場合、S15で調停後IGOFF判定が成立したと判断される。S22Aで両マイコンは、第2終了処理として、二系統の電流制限値(又は電流指令値)を共有して漸減させる。S42Aでは、二系統が同時にアシスト停止する。そして、図9、図12に示すように、パワーラッチ期間経過後、最終終了処理として二系統の電源リレー141、142が遮断される。
一方、待機時間内に他マイコンのIGOFF判定信号を受信しない場合、S09でNOと判断される。この場合、自マイコンは、S17で、調停後IGOFF判定が成立しないと判断し、S180で「調停後IGOFF判定不成立時処理」を実行する。以下、調停後IGOFF判定が不成立であることを、自マイコンの視点から「他系統未終了状態」であると判定した、ともいう。すなわち「調停後IGOFF判定不成立」と「他系統未終了状態の判定」とは同義である。S180の具体的な処理例は後述する。
その後、S22Bで自マイコンは、自系統の電流制限値(又は電流指令値)を独立して漸減させる。S42Bでは、自系統のみがアシスト停止する。この場合、パワーラッチ期間に相当する所定時間の経過後、自系統のみの電源リレーが遮断される。これにより、他マイコンのIGOFF判定を限りなく待つことなく、自マイコンのIGOFF判定のみに基づいてアシスト停止するため、処理の遅れを防止することができる。なお、S22Bで電流制限値を「独立して」漸減させることの意義は後述する。
ここで図17、図18を参照し、待機時間内に他マイコンのIGOFF判定信号を受信せず、調停後IGOFF判定が不成立となる事象例について説明する。図17、図18には、図7に参照されるECU外部のIGスイッチ171、172、及び、図6に参照されるECU内部の電源リレー141、142のON/OFF動作と、各マイコン401、402によるIGOFF判定との関係を模式的に示す。ここで、電源リレー141、142は系統毎に設けられるものとする。
図17に示す正常時、各系統のIGスイッチ171、172は、IGOFF信号が入力されて正常にOFFする。各マイコン401、402は、それを認識してIGOFF判定し、互いに通信することで調停後IGOFF判定が成立する。そして、各マイコン401、402は電源リレー141、142にリレーOFF信号を出力し、電源リレー141、142がOFFして各系統のPIGラインを遮断する。
これに対し図18に示すIGスイッチ故障時、第2系統のIGスイッチ172はIGOFF信号が入力されてもOFFしない。したがって、第2マイコン402はIGOFF判定できず、電源リレー142が遮断されない。そのため、PIGラインに暗電流が流れ続け、最終的に第2電源112の電圧低下により第2マイコン402が停止する。
一方、第1系統のIGスイッチ171は正常にOFFし、第1マイコン401はIGOFF判定するものの、第2マイコン402からのIGOFF判定の受信を待つ間、調停後IGOFF判定は成立しない。したがってリレーOFF信号が出力されず、第1電源リレー141もON状態のままとなる。待機時間を設定せずに第2マイコン402からのIGOFF判定を待ち続けると、最終的に第1電源111の電圧低下により第1マイコン401が停止する。
こうして第2マイコン402又は第1マイコン401が停止すると、マイコン間通信異常等のECU内部故障履歴が記憶媒体に残る可能性がある。その場合、制御ユニットが正常であるにもかかわらず、内部故障履歴が残っているため修理の際に誤って交換されるおそれがある。そこで、IGOFF判定成立後に待機時間を設定し、調停後IGOFF判定不成立(他系統未終了状態判定)時に所定の処理を行うことで、制御ユニットの誤交換が防止される。
図19に調停後IGOFF判定不成立(他系統未終了状態判定)時における自マイコンの処理例を示す。並列に記載された三通りの処理のうち一つ又は二つが選択的に実施されてもよく、全てが実施されてもよい。また、二つ以上の処理は同時に実施されてもよく、任意の順番に実施されてもよい。
S18Aで自マイコンは、調停後IGOFF判定が不成立となる事象が発生したこと、言い換えれば、他系統未終了状態であると判定したことを記憶する。記憶する情報には、ダイアグ情報や発生前後の信号値等の挙動データが含まれる。事象を記憶することで、異常発生時等に履歴を解析することができる。
S18Bで自マイコンは、一部の異常監視機能をマスク、すなわち無効とする。他系統未終了状態では電源がOFFされないため、電源電圧が低下するおそれがある。電源電圧が低下し、いずれかの系統のマイコンが停止した場合、マイコン間通信異常等のECU内部故障履歴を示す記憶が残り、制御ユニットが正常であるにもかかわらず誤交換されるおそれがある。そこで、一部の異常監視機能を無効とすることで誤交換を防止することができる。
S18Cで自マイコンは、他系統未終了状態であることをウォーニングランプの点灯やブザー等によりユーザに通知する。これにより、異常な状態での使用が継続されることを防ぐ。
次に図20〜図22を参照し、調停後IGOFF判定不成立時におけるモータ駆動制御の駆動モード切り替え処理について説明する。ここでは、第1系統が自系統、第2系統が他系統であり、第1系統の自マイコンはIGOFF判定し、第2系統の他マイコンはIGOFF判定しない場合を例とする。駆動モードは、複数系統でのモータ80の出力関係を規定するものであり、「協調駆動モード」、「独立駆動モード」、「片系統駆動(又はハーフアシスト)モード」が含まれる。
二系統での駆動時、両マイコンはマイコン間通信により指令値を共有し、協調駆動を行っている。調停後IGOFF判定不成立後、自マイコンは第2終了処理により電流制限値を漸減させて第3、最終終了処理へと移行するのに対し、未終了の他マイコンは駆動が継続される。そのため、IGOFF判定不成立後に協調駆動を継続すると、指令値を共有することで他マイコンの電流指令値も制限されてしまう。また、電源電圧低下抑制のため自マイコンが電流制限値を低下させる場合、さらに他マイコンの電流指令値が制限される。
そこで、図20のS18Dで、自マイコン及び他マイコンは各系統の駆動モードを切り替える。具体的には図21に示すように、調停後IGOFF判定が不成立となり、「他系統未終了」と判定された時刻t2sに、自マイコン及び他マイコンは、各系統の駆動モードを協調駆動から独立駆動に切り替える。これにより、未終了系統の電流指令値が制限されることを回避することができる。
図22(a)に示すように、独立駆動モードでは、協調駆動モードでの二系統合計のアシストトルクに対して各系統が2分の1ずつのアシストトルクを出力する。つまり、独立駆動モードの二系統のアシストトルクの合算値は協調駆動モードのアシストトルクに等しい。なお、三系統以上のN系統でも同様に、各系統は協調駆動時のN分の1のアシストトルクを独立駆動時に出力する。
図21に戻り、両系統が独立駆動に移行してからパワーラッチ期間に相当する所定時間が経過した時刻t4sに第1系統の電源リレー141が遮断すると第1系統は停止する。この時、他マイコンは、第2系統を独立駆動から片系統駆動に切り替える。片系統駆動は、二系統のうち一系統が停止していることを前提とし、他の一系統のみでモータ駆動する駆動モードである。
図22(b)に示すように、片系統駆動モードでは、操舵トルクが限界値trqLIM以下の領域において協調駆動時の二系統合計分のアシストトルクを出力する。また、操舵トルクが限界値trqLIMを超える領域において、片系統駆動時のアシストトルクの上限値は、協調駆動時のアシストトルクの上限値の2分の1以下に設定される。このように、未終了の第2系統が駆動モードを片系統駆動に切り替えることで、第1系統の停止後に適切にアシストを継続することができる。
次に図23、図24のフローチャートを参照し、実際の実装構成に近い形態を想定した応用実施例の処理フローを説明する。図13〜図22と同様に、図23、図24においても、基本処理又は他の図に示される処理と重複する処理について、適宜記載を省略する。省略した部分は他の図の処理と組み合わせて実施可能である。
<IGOFF判定の調停フローチャート>
図23のS140で自マイコンは、マイコン間通信により信号を受信、又は、マイコン間通信の異常情報を取得する。その後、自マイコンによる調停後IGOFF判定が成立するための条件がS141、S142、S143の三通りのOR条件で示される。図23では、他マイコンからの判定信号の受信について、「連続受信」であることを明示する。
S141で自マイコンは、自マイコンのIGOFF判定が成立し、且つ、マイコン間通信の途絶を検知したか判断する。S142で自マイコンは、自マイコンのIGOFF判定が成立し、且つ、他マイコンのIGOFF判定信号を連続受信したか判断する。S143で自マイコンは、他マイコンの調停後IGOFF判定信号を連続受信したか判断する。S141、S142、S143のいずれかでYESの場合、S15で自マイコンによる調停後IGOFF判定が成立する。S141、S142、S143で全てNOの場合、処理は終了する。
<IGOFF判定及び判定時処置のフローチャート>
図24のS03で、自マイコンのIGOFF判定が成立すると、S05で自マイコンは、第1終了処理としてCAN送信を停止する。S61では再IGON判定が成立したか判断される。S61でYESの場合、S64で自マイコンのIGOFF判定の成立を解除し、不成立とする。また、CAN送信を許可する。S61でNOの場合、S64をスキップする。S15では、調停後IGOFF判定が成立したか判断され、NOの場合、S03の前に戻る。以上が「冗長システムのIGOFF判定成立前」の処理となる。
S15でYESの場合、S19に移行する。以後が「冗長システムのIGOFF判定成立後」の処理となる。S19で両マイコンは、必要データを記憶し、第2終了処理として電流漸減処置を行う。次にS66では再IGON判定が成立したか判断される。S66でYESの場合、S67で電流漸減が完了したか判断される。S67でYESの場合、S68で両マイコンは、起動時のイニシャル処理へ移行する。また、調停後IGOFF判定の成立を解除し、不成立とする。S67でNOの場合、S66の前に戻る。
一方、再IGON判定が成立せず、S66でNOの場合、S22で電流漸減が完了したか判断される。S22でYESの場合、S40で両マイコンは、最終終了処理として温度を記憶し、アシスト停止状態へ移行する。S22でNOの場合、S66の前に戻る。
本実施形態では、図13〜図24の付加処理を適宜組み合わせることで、ドライバの意図に応じて、IGOFF判定時のアシスト漸減停止、再IGON時の漸増復帰等を適切に実施することができる。
(その他の実施形態)
(a)本発明は、モータ駆動に特有の制御を除き、「モータ制御装置」として機能する制御装置に限らず、停止時に複数のマイコン401、402がオフ判定を相互に通信し、調停後オフ判定に基づきオフする制御装置全般に適用可能である。その場合、上記実施形態のモータ駆動回路701、702は「電気回路」に一般化され、モータ駆動信号Dr1、Dr2は「通電信号」に一般化される。なお、以下の(b)〜(e)は、本発明の制御装置が「モータ制御装置」として機能する場合について記載する。
(b)上記実施形態のECU10は、二組の巻線組801、802を含むモータ80を二系統の冗長システムにより駆動する。これに限らず、本発明のモータ制御装置は、複数の巻線組を含むモータを二系統以上の冗長システムにより駆動するものであればよい。すなわち、本発明のモータ駆動装置は、上記実施形態に示す二つのマイコンを含む三つ以上のマイコンを備えるものであってもよい。その場合、一つの自マイコンのIGOFF判定が成立し、且つ、自マイコン以外の全ての他マイコンからIGOFF判定信号を受信したとき、調停後IGOFF判定が成立したと判断する。例えば第2終了処理では、全系統のマイコンの電流指令値又は電流制限値を共有して漸減させる。また、「二系統の指令値偏差」は、「自系統と他のいずれかの系統との指令値偏差」に拡張解釈される。
また、第1マイコンと第2マイコンとのマイコン間通信が途絶したとき、例えば第1マイコンと第3マイコンとのマイコン間通信が有効である場合を想定する。この場合、第1マイコンにおいてIGOFF判定が成立し、且つ、第1マイコンが第3マイコンからIGOFF判定信号を受信したとき、冗長システムのIGOFF判定が成立したと判断してもよい。
(c)本発明のモータ制御装置は、EPSの操舵アシストモータに限らず、車両に搭載される他の用途のモータ、或いは車両以外のシステムのモータに適用されてもよい。その場合、上記実施形態における「アシスト開始」及び「アシスト停止」は、一般に「モータ駆動開始」及び「モータ駆動停止」と読み替えられる。
また、エンジン車以外のハイブリッド車や電気自動車に搭載される場合、IGスイッチに代えてレディスイッチが「車両スイッチ」として用いられてもよい。さらに、車両以外の一般システムでは、システムの起動状態であるオン状態と停止状態であるオフ状態とを切り替える、どのような「システムスイッチ」が用いられてもよい。IGスイッチ以外の車両スイッチやシステムスイッチがオフ操作又は再オン操作される実施例では、「IGOFF判定」及び「再IGON判定」は、一般に「オフ判定」及び「再オン判定」と読み替えられる。
(d)上記実施形態では、「モータの駆動制御に係る制御量」として、巻線組801、802に通電される電流が用いられるが、その他のモータ制御装置では、制御量として、回転数、回転角度(EPSでは舵角を含む)、トルク等の量が用いられてもよい。また、例えば制御量が負の値で定義される場合、「制御量の上限」は「制御量の絶対値の上限」と解釈されてもよい。
(e)上記実施形態の制御対象であるモータ80において、二組の巻線組801、802の位相差は電気角30[deg]に限らず、例えば同位相で配置されるものでもよい。また、多相ブラシレスモータの相の数は、三相に限らず四相以上でもよい。さらに駆動対象のモータは、交流ブラシレスモータに限らず、ブラシ付き直流モータとしてもよい。その場合、「モータ駆動回路」としてHブリッジ回路を用いてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10 ・・・ECU(モータ制御装置、制御装置)、
111、112・・・電源、
141、142・・・電源リレー、
171、172・・・IGスイッチ(車両スイッチ、システムスイッチ)、
401、402・・・マイコン、
411、412・・・IGOFF判定部(オフ判定部)、
421、422・・・マイコン間通信部、
701、702・・・モータ駆動回路(電気回路)、
80 ・・・モータ、
801、802・・・巻線組。

Claims (21)

  1. 複数の巻線組(801、802)を含むモータ(80)を駆動するモータ制御装置として機能する制御装置であって、
    複数の前記巻線組に対応して設けられる複数のモータ駆動回路(701、702)と、
    前記モータの駆動制御に係る制御量についての制御量指令値、及び、前記制御量指令値の上限である制御量制限値を演算し、前記制御量指令値及び前記制御量制限値に基づいて生成したモータ駆動信号を、各前記モータ駆動回路に出力する複数のマイコン(401、402)と、
    電源(111、112)から各前記モータ駆動回路に供給される電力を遮断可能な一つ以上の電源リレー(141、142)と、
    を備え、
    互いに対応して設けられる前記マイコン及び前記モータ駆動回路を含む一群の構成要素の単位を系統と定義すると、
    各前記マイコンは、
    システムの起動状態であるオン状態と停止状態であるオフ状態とを切り替えるシステムスイッチ(171、172)がオフ操作され、所定の条件が成立したとき、オフ判定が成立したと判断するオフ判定部(411、412)、及び、前記オフ判定が成立したことの情報をオフ判定信号として自マイコンと他マイコンとの間で送受信するマイコン間通信部(421、422)を有し、
    自系統において自マイコンの前記オフ判定が成立したとき、終了処理の第1段階として第1終了処理を実行するとともに、前記オフ判定信号を他マイコンへ送信し、
    さらに他マイコンから前記オフ判定信号を受信したとき、調停後オフ判定が成立したと判断し、前記制御量指令値又は前記制御量制限値を現在値から漸減させる第2終了処理を開始し、
    前記第2終了処理が完了し、さらに自マイコン及び他マイコンの電源オフ準備が完了したとき、前記電源リレーを遮断する最終終了処理を実行する制御装置。
  2. 各前記マイコンは、
    前記第2終了処理の完了後、前記最終終了処理の前に、マイコン制御電源を保持する第3終了処理を開始し、前記第3終了処理の完了後、自マイコンの電源オフ準備完了信号を他マイコンへ送信する請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記制御量は、前記巻線組に通電される電流であり、
    各前記マイコンは、電流指令値及び電流制限値に基づいて前記モータ駆動信号を生成し、且つ、前記第2終了処理において電流指令値又は電流制限値を現在値から漸減させる請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 前記モータの駆動開始前に前記システムスイッチがオフされた場合、
    各前記マイコンは、自マイコンの前記オフ判定が成立したことに基づき、前記モータの駆動を開始しない請求項1〜3のいずれか一項に記載の制御装置。
  5. 前記マイコン間通信部によるマイコン間通信の途絶が検知された場合、
    各前記マイコンは、他マイコンから受信する前記オフ判定信号を無効とし、自マイコンの前記オフ判定の成立のみに基づき前記調停後オフ判定が成立したと判断する請求項1〜4のいずれか一項に記載の制御装置。
  6. 自マイコンの前記オフ判定が成立し、且つ、他マイコンから前記オフ判定信号を受信した前記マイコンは、前記調停後オフ判定が成立したことを示す調停後オフ判定信号を他マイコンに送信し、
    前記調停後オフ判定信号を受信したマイコンは、前記第2終了処理を開始する請求項1〜5のいずれか一項に記載の制御装置。
  7. 各前記マイコンは、自マイコンの前記オフ判定が成立した場合、前記第1終了処理において、自系統と他のいずれかの系統との前記制御量指令値の偏差が所定値以上であるとき異常とみなす指令値偏差異常判定を無効とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の制御装置。
  8. 各前記マイコンは、前記調停後オフ判定の成立後、前記システムスイッチが再度オン操作されたことを判定する再オン判定が自マイコンにおいて成立した場合、自系統の前記制御量指令値又は前記制御量制限値を独立して漸増させる請求項1〜7のいずれか一項に記載の制御装置。
  9. 各前記マイコンは、前記第2終了処理において、全系統の前記制御量指令値又は前記制御量制限値を共有して漸減させ、前記モータの駆動を停止する請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御装置。
  10. 各前記マイコンは、前記第2終了処理において、自系統の前記制御量指令値又は前記制御量制限値を独立して漸減させ、前記モータの駆動を停止する請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御装置。
  11. 自マイコンの前記オフ判定の成立後、所定の待機時間内に他マイコンの前記オフ判定信号を受信せず、前記調停後オフ判定が成立しない場合、
    自マイコンは、前記第2終了処理に代えて、自系統のみの前記制御量指令値又は前記制御量制限値を独立して漸減させ、自系統による前記モータの駆動を停止する請求項1〜10のいずれか一項に記載の制御装置。
  12. 自マイコンの前記オフ判定の成立後、所定の待機時間内に他マイコンの前記オフ判定信号を受信せず、前記調停後オフ判定が成立しない場合、
    自マイコンは、前記調停後オフ判定が不成立となる事象が発生したことを記憶する請求項1〜11のいずれか一項に記載の制御装置。
  13. 前記マイコン間通信部は、他マイコンから同じ信号を二回以上の所定回数連続して受信した場合、その受信信号を有効とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の制御装置。
  14. 車両に搭載されるモータ制御装置であって、
    各系統の前記マイコンは、自マイコンの前記オフ判定が成立し、且つ、車速が第1速度閾値以上の状態から、前記第1速度閾値より低い第2速度閾値以下の状態に低下したとき、前記第2終了処理を開始する請求項1〜13のいずれか一項に記載の制御装置。
  15. 複数の電気回路(701、702)と、
    各前記電気回路に通電信号を出力する複数のマイコン(401、402)と、
    電源(111、112)から各前記電気回路に供給される電力を遮断可能な複数の電源リレー(141、142)と、
    を備え、
    互いに対応して設けられる前記マイコン及び前記電気回路を含む一群の構成要素の単位を系統と定義すると、
    各前記マイコンは、
    システムの起動状態であるオン状態と停止状態であるオフ状態とを切り替えるシステムスイッチ(171、172)がオフ操作され、所定の条件が成立したとき、オフ判定が成立したと判断するオフ判定部(411、412)、及び、前記オフ判定が成立したことの情報をオフ判定信号として自マイコンと他マイコンとの間で送受信するマイコン間通信部(421、422)を有し、
    自系統において自マイコンの前記オフ判定が成立したとき、前記オフ判定信号を他マイコンへ送信し、
    自マイコンの前記オフ判定の成立後、所定の待機時間内に他マイコンの前記オフ判定信号を受信した場合、調停後オフ判定が成立したと判断し、各系統の前記電源リレーを遮断し、
    自マイコンの前記オフ判定の成立後、前記待機時間内に他マイコンの前記オフ判定信号を受信せず、前記調停後オフ判定が成立しない場合、他系統未終了状態であると判定し、自系統のみの前記電源リレーを遮断する制御装置。
  16. 自マイコンは、前記他系統未終了状態であると判定したとき、前記他系統未終了状態であると判定したことを記憶する請求項15に記載の制御装置。
  17. 自マイコンは、前記他系統未終了状態であると判定したとき、一部の異常監視機能を無効とする請求項15または16に記載の制御装置。
  18. 自マイコンは、前記他系統未終了状態であると判定したとき、前記他系統未終了状態であることをユーザに通知する請求項15〜17のいずれか一項に記載の制御装置。
  19. 自マイコンは、前記他系統未終了状態であると判定したとき、所定時間後に自系統の前記電源リレーを遮断する請求項15〜18のいずれか一項に記載の制御装置。
  20. 複数の巻線組(801、802)を含むモータ(80)を駆動するモータ制御装置として機能する制御装置であって、
    複数の前記電気回路は、複数の前記巻線組に対応して設けられる複数のモータ駆動回路であり、
    複数の前記マイコンは、各前記モータ駆動回路に前記通電信号としてのモータ駆動信号を出力するものであり、
    前記電源リレーは、前記電源から各前記モータ駆動回路に供給される電力を遮断可能である請求項15〜19のいずれか一項に記載の制御装置。
  21. 自マイコンの前記オフ判定の成立後、前記待機時間内に他マイコンの前記オフ判定信号を受信せず、前記調停後オフ判定が成立しない場合、自マイコン及び他マイコンは、複数系統での前記モータの出力関係を規定する駆動モードを各系統において切り替える請求項11または20に記載の制御装置。
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