JP7156211B2 - 回転電機制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機制御装置に関する。
従来、複数の制御部にてモータの駆動を制御する回転電機制御装置が知られている。例えば特許文献1では、発生した異常の種類に応じて制御モードを切り替える。
特開2018-130007号公報
特許文献1では、異常が解消し、復帰カウンタのカウント値が復帰判定閾値以上になると、制御モードを通常制御に戻している。しかしながら、制御モード復帰のタイミングによっては、トルク変動が生じ、運転者に違和感を与えたり、自動運転制御に影響を及ぼしたりする虞がある。本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動モードを適切に切替可能な回転電機制御装置を提供することにある。
本発明の回転電機制御装置は、モータ巻線(180、280)を有する回転電機(80)の駆動を制御するものであって、複数のインバータ部(120、220)と、複数の制御部(150、250)と、を備える。インバータ部は、モータ巻線の通電を切り替える。制御部は、相互に通信可能であって、モード選択部(152、252)、および、駆動制御部(151、251)を有する。モード選択部は、協調駆動モードおよび独立駆動モードを含む駆動モードを選択する。駆動制御部は、選択された駆動モードにて、対応して設けられるインバータ部を制御する。
協調駆動モードは、他の制御部から取得された値および自身の制御部にて演算した値を用いる。独立駆動モードは、他の制御部から取得された値を用いない。モード選択部は、少なくとも1つの遷移判定項目が独立遷移条件を満たしたとき、駆動モードを協調駆動モードから独立駆動モードに遷移させる。また、モード選択部は、遷移判定項目が協調復帰条件を満たし、かつ、遷移判定項目とは異なる復帰許可判定項目が復帰許可条件を満たしたとき、駆動モードを独立駆動モードから協調駆動モードに復帰させる。これにより、駆動モードを適切に切替可能である。
第1実施形態によるステアリングシステムの概略構成図である。 第1実施形態による駆動装置の断面図である。 図2のIII-III線断面図である。 第1実施形態によるECUを示すブロック図である。 第1実施形態による電源リレーを説明する回路図である。 第1実施形態による和と差の制御による電流フィードバック制御を説明するブロック図である。 第1実施形態による独立フィードバック制御を説明するブロック図である。 第1実施形態による独立遷移処理を説明するフローチャートである。 第1実施形態による協調復帰処理を説明するフローチャートである。 第1実施形態による独立駆動から協調駆動への復帰を説明するタイムチャートである。 第2実施形態による独立遷移処理を説明するフローチャートである。
以下、本発明による回転電機制御装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態を図1~図10に示す。図1に示すように、回転電機制御装置としてのECU10は、回転電機であるモータ80の駆動を制御するものであって、モータ80とともに、例えば車両のステアリング操作を補助するための操舵装置としての電動パワーステアリング装置8に適用される。
図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の構成を示す。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するトルクセンサ94が設けられる。トルクセンサ94は、第1センサ部194および第2センサ部294を有しており、各々自身の故障検出ができるセンサが二重化されている。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
電動パワーステアリング装置8は、モータ80、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える動力伝達部としての減速ギア89、および、ECU10等を備える。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」等としてもよい。本実施形態では、ステアリングシャフト92が「駆動対象」に対応する。
図1~図4に示すように、モータ80は、操舵に要するトルクの一部または全部を出力するものであって、電源としてのバッテリ101、201から電力が供給されることにより駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。モータ80は、3相ブラシレスモータであって、ロータ860およびステータ840を有する。
モータ80は、第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する。モータ巻線180、280は電気的特性が同等であり、共通のステータ840に、互いに電気角30[deg]ずらしてキャンセル巻きされる。これに応じて、モータ巻線180、280には、位相φが30[deg]ずれた相電流が通電されるように制御される。通電位相差を最適化することで、出力トルクが向上する。また、6次のトルクリプルを低減することができ、騒音、振動の低減することができる。また、電流も分散されることで発熱が分散、平準化されるため、各センサの検出値やトルク等、温度依存の系統間誤差を低減可能であるとともに、通電可能な電流量を増やすことができる。なお、モータ巻線180、280は、キャンセル巻きされていなくてもよく、電気的特性が異なっていてもよい。
以下、第1モータ巻線180の通電制御に係る第1インバータ部120および第1制御部150等の組み合わせを第1系統L1、第2モータ巻線280の通電制御に係る第2インバータ部220および第2制御部250等の組み合わせを第2系統L2とする。また、第1系統L1に係る構成を主に100番台で付番し、第2系統L2に係る構成を主に200番台で付番する。また、第1系統L1および第2系統L2において、同様または類似の構成には、下2桁が同じとなるように付番する。また、第1制御部150の一部の構成に500番台、第2制御部250の一部の構成に600番台を用いる。後述の500番台、600番台についても、同様または類似の構成には、下2桁が同じとなるように付番する。以下適宜、「第1」を添え字の「1」、「第2」を添え字の「2」として記載する。
図2に示すように、駆動装置40は、モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」であるが、モータ80とECU10とは別途に設けられていてもよい。ECU10は、モータ80の出力軸とは反対側において、シャフト870の軸Axに対して同軸に配置されている。ECU10は、モータ80の出力軸側に設けられていてもよい。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU10とモータ80とを効率的に配置することができる。
モータ80は、ステータ840、ロータ860、および、これらを収容するハウジング830等を備える。ステータ840は、ハウジング830に固定されており、モータ巻線180、280が巻回される。ロータ860は、ステータ840の径方向内側に設けられ、ステータ840に対して相対回転可能に設けられる。
シャフト870は、ロータ860に嵌入され、ロータ860と一体に回転する。シャフト870は、軸受835、836により、ハウジング830に回転可能に支持される。シャフト870のECU10側の端部は、ハウジング830からECU10側に突出する。シャフト870のECU10側の端部には、マグネット875が設けられる。
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834、および、ケース834の開口側に設けられるフロントフレームエンド838を有する。ケース834とフロントフレームエンド838とは、ボルト等により互いに締結されている。リアフレームエンド837には、リード線挿通孔839が形成される。リード線挿通孔839には、モータ巻線180、280の各相と接続されるリード線185、285が挿通される。リード線185、285は、リード線挿通孔839からECU10側に取り出され、基板470に接続される。
ECU10は、カバー460、カバー460に固定されているヒートシンク465、ヒートシンク465に固定されている基板470、および、基板470に実装される各種の電子部品等を備える。カバー460は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU10の内部への埃や水等の浸入を防止したりする。カバー460は、カバー本体461、および、コネクタ部103、203が一体に形成される。コネクタ部103、203は、カバー本体461と別体であってもよい。コネクタ部103、203の端子463は、図示しない配線等を経由して基板470と接続される。コネクタ数および端子数は、信号数等に応じて適宜変更可能である。コネクタ部103、203は、駆動装置40の軸方向の端部に設けられ、モータ80と反対側に開口する。
基板470は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向して設けられる。基板470には、2系統分の電子部品が系統ごとに独立して実装されており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では、1枚の基板470に電子部品が実装されているが、複数枚の基板に電子部品を実装するようにしてもよい。
基板470の2つの主面のうち、モータ80側の面をモータ面471、モータ80と反対側の面をカバー面472とする。図3に示すように、モータ面471には、インバータ部120を構成するスイッチング素子121、インバータ部220を構成するスイッチング素子221、角度センサ126、226、カスタムIC135、235等が実装される。角度センサ126、226は、マグネット875の回転に伴う磁界の変化を検出可能なように、マグネット875と対向する箇所に実装される。
カバー面472には、コンデンサ128、228、インダクタ129、229、および、制御部150、250を構成するマイコン等が実装される。図3では、制御部150、250を構成するマイコンについて、それぞれ「150」、「250」を付番した。コンデンサ128、228は、バッテリ101、201から入力された電力を平滑化する。また、コンデンサ128、228は、電荷を蓄えることで、モータ80への電力供給を補助する。コンデンサ128、228、および、インダクタ129、229は、フィルタ回路を構成し、バッテリを共用する他の装置から伝わるノイズを低減するとともに、駆動装置40からバッテリを共用する他の装置に伝わるノイズを低減する。なお、図3中には図示を省略しているが、電源リレー122、222、モータリレー125、225、および、電流センサ127、227等についても、モータ面471またはカバー面472に実装される。
図4に示すように、ECU10は、インバータ部120、220、および、制御部150、250等を備える。ECU10には、コネクタ部103、203が設けられる。第1コネクタ部103には、第1電源端子105、第1グランド端子106、第1IG端子107、第1通信端子108、および、第1トルク端子109が設けられる。
第1電源端子105は、図示しないヒューズを経由して第1バッテリ101に接続される。第1電源端子105を経由して第1バッテリ101の正極から供給された電力は、電源リレー122、インバータ部120、および、モータリレー125等を経由して、第1モータ巻線180に供給される。第1グランド端子106は、ECU10の内部の第1系統のグランドである第1グランドGND1と、ECU10の外部の第1系統のグランドである第1外部グランドGB1とに接続される。車のシステムにおいては金属ボデーが共通のGNDプレーンとなっており、第1外部グランドGB1はGNDプレーン上の接続ポイントの1つを示し、第2バッテリ201の負極もこのGNDプレーン上の接続ポイントに接続される。
第1IG端子107は、イグニッションスイッチ等である車両の始動スイッチと連動してオンオフ制御される第1スイッチを経由して第1バッテリ101の正極と接続される。以下適宜、始動スイッチを「IGキー」とする。第1IG端子107を経由して第1バッテリ101から供給された電力は、第1カスタムIC135に供給される。第1カスタムIC135には、第1ドライバ回路136、第1回路電源137、図示しないマイコン監視モニタ、および、図示しない電流モニタアンプ等が含まれる。
第1通信端子108は、第1車両通信回路111と、第1車両通信網195とに接続される。第1車両通信網195と第1制御部150とは、第1車両通信回路111を経由して、送受信が可能に接続される。また、第1車両通信網195と第2制御部250とは、情報を受信可能に接続され、第2制御部250が故障しても、第1制御部150を含む第1車両通信網195に影響がないように構成される。
第1トルク端子109は、トルクセンサ94の第1センサ部194と接続される。第1センサ部194の検出値は、第1トルク端子109および第1トルクセンサ入力回路112を経由して、第1制御部150に入力される。ここで第1センサ部194および第1制御部150は、このトルクセンサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
第2コネクタ部203には、第2電源端子205、第2グランド端子206、第2IG端子207、第2通信端子208、および、第2トルク端子209が設けられる。第2電源端子205は、図示しないヒューズを経由して第2バッテリ201の正極に接続される。第2電源端子205を経由して第2バッテリ201から供給された電力は、電源リレー222、インバータ部220、および、モータリレー225等を経由して、第2モータ巻線280に供給される。第2グランド端子206は、ECU10の内部の第2系統のグランドである第2グランドGND2と、ECU10の外部の第2系統のグランドである第2外部グランドGB2とに接続される。車のシステムにおいては金属ボデーが共通のGNDプレーンとなっており、第2外部グランドGB2はGNDプレーン上の接続ポイントの1つを示し、さらに、第2バッテリ201の負極もこのGNDプレーン上の接続ポイントに接続される。ここで、少なくとも異なった系統は、GNDプレーン上の同一の接続ポイントに接続しないよう構成される。
第2IG端子207は、車両の始動スイッチと連動してオンオフ制御される第2スイッチを経由して第2バッテリ201の正極と接続される。第2IG端子207を経由して第2バッテリ201から供給された電力は、第2カスタムIC235に供給される。第2カスタムIC235には、第2ドライバ回路236、第2回路電源237、図示しないマイコン監視モニタ、および、図示しない電流モニタアンプ等が含まれる。
第2通信端子208は、第2車両通信回路211と、第2車両通信網295とに接続される。第2車両通信網295と第2制御部250とは、第2車両通信回路211を経由して、送受信が可能に接続される。また、第2車両通信網295と第1制御部150とは、情報を受信可能に接続され、第1制御部150が故障しても、第2制御部250を含む第2車両通信網295に影響がないように構成される。
第2トルク端子209は、トルクセンサ94の第2センサ部294と接続される。第2センサ部294の検出値は、第2トルク端子209および第2トルクセンサ入力回路212を経由して、第2制御部250に入力される。ここで第2センサ部294および第2制御部250は、このトルクセンサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
図4では、通信端子108、208は、それぞれ別途の車両通信網195、295に接続されているが、同一の車両通信網に接続されてもよい。また、図4では、車両通信網195、295として、CAN(Controller Area Network)を例示しているが、CAN-FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、CAN以外の規格のものを用いてもよい。
第1インバータ部120は、スイッチング素子121を有する3相インバータであって、第1モータ巻線180の電力を変換する。第2インバータ部220は、スイッチング素子221を有する3相インバータであって、第2モータ巻線280の電力を変換する。
第1電源リレー122は、第1電源端子105と第1インバータ部120との間に設けられる。第1モータリレー125は、第1インバータ部120と第1モータ巻線180との間の各相に設けられる。第2電源リレー222は、第2電源端子205と第2インバータ部220との間の各相に設けられる。第2モータリレー225は、第2インバータ部220と第2モータ巻線280との間に設けられる。
本実施形態では、スイッチング素子121、221、電源リレー122、222、および、モータリレー125、225は、いずれもMOSFETであるが、IGBT等の他の素子を用いてもよい。図5に示すように、第1電源リレー122をMOSFETのように寄生ダイオードを有する素子で構成する場合、寄生ダイオードの向きが逆向きとなるように2つの素子123、124を直列に接続することが望ましい。第2電源リレー222も同様であるので図示を省略する。これにより、バッテリ101、201が誤って逆向きに接続された場合に、逆向きの電流が流れるのを防ぐことができる。電源リレー122、222は、メカリレーであってもよい。
図4に示すように、第1スイッチング素子121、第1電源リレー122および第1モータリレー125は、第1制御部150によりオンオフ作動が制御される。第2スイッチング素子221、第2電源リレー222および第2モータリレー225は、第2制御部250によりオンオフ作動が制御される。
第1角度センサ126は、モータ80の回転角を検出し、検出値を第1制御部150に出力する。第2角度センサ226は、モータ80の回転角を検出し、検出値を第2制御部250に出力する。ここで、第1角度センサ126と第1制御部150、および第2角度センサ226と第2制御部250は、各々の角度センサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
第1電流センサ127は、第1モータ巻線180の各相に通電される電流を検出する。第1電流センサ127の検出値は、カスタムIC135内の増幅回路にて増幅され、第1制御部150に出力される。第2電流センサ227は、第2モータ巻線280の各相に通電される電流を検出する。第2電流センサ227の検出値は、カスタムIC235内の増幅回路にて増幅され、第2制御部250に出力される。
第1ドライバ回路136は、第1制御部150からの制御信号に基づき、第1スイッチング素子121、第1電源リレー122および第1モータリレー125を駆動する駆動信号を各素子に出力する。第2ドライバ回路236は、第2制御部250からの制御信号に基づき、第2スイッチング素子221、第2電源リレー222および第2モータリレー225を駆動する駆動信号を各素子に出力する。
回路電源137は、電源端子105およびIG端子107に接続され、第1制御部150に電力を供給する。回路電源237は、電源端子205およびIG端子207に接続され、第2制御部250に電力を供給する。
制御部150、250は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部150、250における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。ここで、第1制御部150、および第2制御部250は、例えばロックドステップデュアルマイコン等を使用し、各々の自身の故障が検出されるように構成される。
第1制御部150は、個別電流制限値演算部531、電流制限部535(図6参照)、駆動制御部151、モード選択部152、および、異常監視部155を有する。駆動制御部151は、第1スイッチング素子121のオンオフ作動を制御することで、第1モータ巻線180の通電を制御する。また、駆動制御部151は、第1電源リレー122および第1モータリレー125のオンオフ作動を制御する。モード選択部152は、各種条件に応じ、駆動モードを選択する。モード選択の詳細は後述する。
第2制御部250は、個別電流制限値演算部631、電流制限部635(図6参照)、駆動制御部251、モード選択部252、および、異常監視部255を有する。駆動制御部251は、第2スイッチング素子221のオンオフ作動を制御することで、第2モータ巻線280の通電を制御する。また、駆動制御部251は、第2電源リレー222および第2モータリレー225のオンオフ作動を制御する。モード選択部252は、各種条件に応じ、駆動モードを選択する。
異常監視部155は、自系統である第1系統L1の異常の監視を行う。また、自系統にて自系統を停止すべき異常が生じた場合、第1制御部150は、第1インバータ部120、第1電源リレー122および第1モータリレー125の少なくとも1つをオフにする。
また、異常監視部155は、第2制御部250との通信状態、および、第2系統L2の動作状態を監視する。第2系統L2の動作状態の監視方法として第2系統L2の異常を検出したときに自系統を停止する回路(例えば、第2インバータ部220、第2電源リレー222、および第2モータリレー225)またはマイコン間通信に係る通信線のうち、少なくとも1つの状態を監視し、非常停止しているか否かを判断する。本実施形態では、第2ドライバ回路236から第2電源リレー222に出力される第2リレーゲート信号Vrg2を取得する他系統リレー監視回路139が設けられ、第2リレーゲート信号Vrg2に基づいて第2電源リレー222の状態を監視する。
異常監視部255は、自系統である第2系統L2の異常の監視を行う。また、自系統にて自系統を停止すべき異常が生じた場合、第2制御部250は、第2インバータ部220、第2電源リレー222および第2モータリレー225の少なくとも1つをオフにする。
異常監視部255は、第1制御部150との通信状態、および、第1系統L1の動作状態を監視する。第1系統L1の動作状態の監視方法として第1系統L1の異常を検出したときに自系統を停止する回路(例えば、第1インバータ部120、第1電源リレー122、および第1モータリレー125)またはマイコン間通信に係る通信線のうち、少なくとも1つの状態を監視し、非常停止しているか否かを判断する。本実施形態では、第1ドライバ回路136から第1電源リレー122に出力される第1リレーゲート信号Vrg1を取得する他系統リレー監視回路239が設けられ、第1リレーゲート信号Vrg1に基づいて第1電源リレー122の状態を監視する。
以下、他系統リレー監視回路から取得される情報を「他系統リレー情報」、他系統リレー情報に基づいて他系統の動作状態を監視することを「他系統リレー監視」、監視されるリレーを「他系統リレー」という。また、他系統リレーがオンされているべきタイミングにて、他系統リレーがオフである旨の情報が取得された場合、「他系統リレー情報が異常である」とする。
第2制御部250における第1系統L1の監視において、リレーゲート信号に替えて、電源リレー122を構成する2つの素子123、124の中間電圧、制御部150から出力されるリレー駆動信号、または、電源リレー122とインバータ部120との間のリレー後電圧を用いてもよい。第1制御部150における第2系統L2の監視についても同様である。
図6および図7に示すように、第1制御部150は通信部170を有し、第2制御部250は通信部270を有する。制御部150、250は、通信部170、270により、マイコン間通信にて相互に情報を送受信可能である。本実施形態では、マイコン間通信により、電流指令値、電流検出値および電流制限値を系統間で共有する。以下、第2制御部250における各処理は、第1系統L1に係る値に替えて第2系統L2に係る値を用い、第2系統L2に係る値に替えて第1系統L1に係る値を用いれば、第1制御部150と同様であるので、以下、第1制御部150における処理を中心に説明し、第2制御部250の説明は適宜省略する。
本実施形態の駆動モードには、協調駆動モード、独立駆動モード、および、片系統駆動モードが含まれ、通常時、協調駆動モードによりモータ80の駆動を制御する。協調駆動モードでは、制御部150、250が共に正常であって、マイコン間通信が正常であるとき、少なくとも1つの値を系統間にて共有して、各系統を協調させてモータ80の駆動を制御する。独立駆動モードでは、他系統の値を用いず、各系統が独立して、2系統にてモータ80の駆動を制御する。片系統駆動モードでは、一方の系統を停止し、1系統にてモータ80の駆動を制御する。
図6に示すように、個別電流制限値演算部531は、第1個別電流制限値Ilim_k1を演算する。個別電流制限値演算部531は、例えば、過熱保護電流制限値、電源電圧基準電流制限値、操舵速度基準電流制限値、および、電流差低減電流制限値を演算し、演算された値のうち、最も小さい値を第1個別電流制限値Ilim_k1とする。過熱保護電流制限値は、相電流Iu1、Iv1、Iw1、およびベース温度H1等に基づいて演算される。ベース温度H1は、例えば第1インバータ部120が設けられる領域のヒートシンク温度である。電源電圧基準電流制限値は、第1バッテリ101の電圧であるバッテリ電圧Vb1に基づいて演算される。操舵速度基準電流制限値は、操舵角速度ωに応じて演算される。電流差低減電流制限値は、第1系統L1の巻線電流I1および第2系統L2の巻線電流I2に基づいて演算される。
個別電流制限値演算部631は、第2個別電流制限値Ilim_k2を演算する。個別電流制限値演算部631は、例えば、過熱保護電流制限値、電源電圧基準電流制限値、操舵速度基準電流制限値、および、電流差低減電流制限値を演算し、演算された値のうち、最も小さい値を第2個別電流制限値Ilim_k2とする。過熱保護電流制限値は、相電流Iu2、Iv2、Iw2、およびベース温度H2等に基づいて演算される。ベース温度H2は、例えば第2インバータ部220が設けられる領域のヒートシンク温度である。電源電圧基準電流制限値は、第2バッテリ201の電圧であるバッテリ電圧Vb2に基づいて演算される。操舵速度基準電流制限値は、操舵角速度ωに応じて演算される。電流差低減電流制限値は、第1系統L1の巻線電流I1および第2系統L2の巻線電流I2に基づいて演算される。
協調駆動モードにおいて、電流制限値を共有する場合、制御部150、250は、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2を相互に送り合い、電流制限部535、635は、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2のうち、小さい方の値を選択するミニマムセレクトにて、電流制限値Ilim1、Ilim2を演算する。電流制限値を共有しない場合、電流制限部535は個別電流制限値Ilim_k1をそのまま電流制限値Ilim1とし、電流制限部635は個別電流制限値Ilim_k2をそのまま電流制限値Ilim2とする。電流制限部535は、トルク指令値に基づいて演算される基本電流指令値Ib1*が電流制限値Ilim1より大きい場合、電流指令値I1*を電流制限値Ilim1に制限し、基本電流指令値Ib1*が電流制限値Ilim1以下の場合、基本電流指令値Ib1*をそのまま電流指令値I1*とする。
また、本実施形態では第1制御部150をマスター制御部、第2制御部250をスレーブ制御部とし、協調駆動モードにおいて電流指令値を共有する場合、第1制御部150は、基本電流指令値Ib1*を第2制御部250に送信する。第2制御部250は、切替部636を有し、第1制御部150から取得した基本電流指令値Ib1*を用いるか、自系統で演算した基本電流指令値Ib2*を用いるかを切替可能である。電流指令値を共有する場合、基本電流指令値Ib1*を用い、電流指令値を共有しない場合、基本電流指令値Ib2*を用いる。ここでは、基本電流指令値Ib1*を用いるものとして説明する。電流制限部635は、基本電流指令値Ib1*が電流制限値Ilim2より大きい場合、電流指令値I2*を電流制限値Ilim2に制限し、基本電流指令値Ib2*が電流制限値Ilim2以下の場合、基本電流指令値Ib1*をそのまま電流指令値I2*とする。電流指令値I1*、I2*は、モータ巻線180、280の電流和に係る値とし、図6および図7では、q軸に係る値を示す。
制御信号演算部540は、電流指令値I1*に基づき、電流フィードバック制御により制御信号を生成し、インバータ部120に出力する。以下適宜、フィードバックを「FB」と記載する。制御信号演算部540は、和と差のFB制御(図6参照)と、独立FB制御(図7参照)とを切替可能である。以下、q軸に係る演算を中心に説明し、d軸に関する演算に係る説明を省略する。d軸に係る制御は、q軸と同様であってもよいし、例えば弱め界磁制御等、q軸と異なる制御としてもよい。図6では、便宜上、通信部170、270を2つに分けて記載した。図7では、演算が行われない構成の記載を省略した。なお、図6および図7は、協調駆動モードおよび独立駆動モードにおける電流制御の一例であって、実現手法の詳細は異なっていてもよい。
図6に示すように、駆動制御部151は、dq軸電流演算部541、加算器542、減算器543、切替部545、電流FB演算部550、系統電圧指令値演算部557、および、PWM信号生成部558等を有する。また、駆動制御部251は、dq軸電流演算部641、加算器642、減算器643、切替部645、電流FB演算部650、系統電圧指令値演算部657、および、PWM信号生成部658等を有する。
dq軸電流演算部541は、電流センサ127の検出値、および、電気角に基づき、dq変換により、第1d軸電流検出値Id1および第1q軸電流検出値Iq1を演算する。以下、d軸電流およびq軸電流を、適宜まとめて「dq軸電流」とする。電圧についても同様である。第1dq軸電流検出値Id1、Iq1は、マイコン間通信にて、第2制御部250に送信される。また、第2制御部250にて演算される第2dq軸電流検出値Id2、Iq2は、マイコン間通信にて、第1制御部150に送信される。切替部545は、取得された第2q軸電流検出値Iq2は、加算器542および減算器543に入力されるように制御される。
加算器542は、第1q軸電流検出値Iq1と第2q軸電流検出値Iq2とを加算する。減算器543は、第1q軸電流検出値Iq1から第2q軸電流検出値Iq2を減算する。
電流FB演算部550は、減算器551、552、制御器553、554、切替部555、および、加算器556を有する。電流FB演算部650は、減算器651、652、制御器653、654、切替部655、および、加算器656を有する。
減算器551は、電流指令値I1*からq軸電流和Iq1+Iq2を減算し、電流和偏差ΔIq_a1を演算する。減算器552は、q軸電流差指令値Iq_d2*からq軸電流差Iq1-Iq2を減算し、電流差偏差ΔIq_d1を演算する。本実施形態では、q軸電流差指令値Iq_d1*を0とするが、0以外の値として差を持たせるようにしてもよい。
制御器553は、電流和偏差ΔIq_a1が0となるように、PI演算等により、基本電圧指令値を演算する、制御器554は、電流差偏差ΔIq_d1が0となるように、PI演算等により差分電圧指令値を演算する。和と差のFB制御では、差分電圧指令値が加算器556に入力されるように、切替部555が制御される。加算器556は、基本電圧指令値と差分電圧指令値を加算し、2系統電圧指令値を演算する。
系統電圧指令値演算部557は、2系統電圧指令値に0.5を乗じ、第1系統電圧指令値Vq1*を演算する。PWM信号生成部558は、dq軸電圧指令値Vd1*、Vq2*、および、電気角に基づき、逆dq変換により、3相電圧指令値を演算する。PWM信号生成部558は、3相電圧指令値に基づき、PWM演算による、PWM信号を生成する。生成されたPWM信号に基づいてインバータ部120のスイッチング素子121のオンオフ作動を制御する。
図7に示すように、独立FB制御では、和と差の制御を行わず、系統ごとに電流FB制御を行う。詳細には、切替部545は、第2q軸電流検出値Iq2に変えて、第1q軸電流検出値Iq1が加算器542に入力されるように制御される。また、減算器551には、第1q軸電流検出値Iq1の2倍の値が減算側に入力される。また、差の制御に係る演算も中止する。第2制御部250では、第1制御部150と同様の制御の加え、電流制限部635に基本電流指令値Ib2*が入力されるように、切替部636を制御する。
本実施形態では、通常時、協調駆動にてモータ80の駆動を制御し、異常発生時に協調駆動から独立駆動に切り替える。また、異常が解消した場合、独立駆動から協調駆動に復帰させる。ここでいう「異常」とは、系統間の指令値乖離や電流制限値の低下等、回復可能な一時的なものを含む。異常発生時には、速やかに協調駆動から独立駆動に遷移する。一方、異常解消時に独立駆動から協調駆動に切り替える際、切り替えタイミングによっては、トルク変動が発生する虞がある。そこで本実施形態では、協調駆動から独立駆動に遷移させる遷移条件と、独立駆動から協調駆動に復帰させる復帰条件とを異ならせている。
協調駆動から独立駆動へ遷移させる独立遷移処理を図8のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、駆動モードが協調駆動モードのときに制御部150、250にて所定の周期で実行される。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップも同様である。S101~S104の処理順は適宜入れ替えてもよい。図9および図11も同様である。
S101では、制御部150、250は、電流指令値I1*、I2*の差の絶対値である指令偏差ΔI*が、指令偏差遷移判定値I_th_a以下か否か判断する。指令偏差ΔI*が指令偏差遷移判定値I_th_aより大きいと判断された場合(S101:NO)、S106へ移行し、独立駆動モードに遷移する。指令偏差ΔI*が指令偏差遷移判定値I_th_a以下であると判断された場合(S101:YES)、S102へ移行する。
S102では、制御部150、250は、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が、共に電流制限遷移判定値Ilim_th_a以上か否か判断する。個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2の少なくとも一方が電流制限遷移判定値Ilim_th_aより小さいと判断された場合(S102:NO)、S106へ移行し、独立駆動モードに遷移する。個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が共に電流制限遷移判定値Ilim_th_a以上であると判断された場合(S102:YES)、S103へ移行する。
S103では、制御部150、250は、マイコン間通信が正常か否か判断する。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S103:NO)、S106へ移行し、独立駆動モードに遷移する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S103:YES)、S104へ移行する。
S104では、制御部150、250は、走行中にIGキーオフ状態になったか否か判断する。ここで、IGキーオフ状態には、IGキーがオフされた場合に限らず、配線の断線等によるIGからの電力供給の停止または低下を含む。なお、回路電源137、237には、バッテリ101、201から電源端子105、205を経由して電力が供給されるので、IGがオフされても、制御部150、250は演算を継続可能である。走行中IGキーオフ状態になったと判断された場合(S104:YES)、S106へ移行し、独立駆動に遷移する。なお、走行中IGキーオフ状態になった場合の制御を「走行中IGキーオフ制御」する。また、走行中にIGキーがオフ状態となってからの時間であるキーオフ時間Xoffを計時する。走行中IGキーオフ状態になっていないと判断された場合(S104:NO)、S105へ移行し、協調駆動を継続する。
独立駆動から協調駆動へ復帰させる協調復帰処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、駆動モードが独立駆動モードのときに制御部150、250にて所定の周期で実行される。
S201では、制御部150、250は、指令偏差ΔI*が、指令偏差復帰判定値I_th_b以下か否か判断する。指令偏差復帰判定値I_th_bは、指令偏差遷移判定値I_th_a以下とする。指令偏差ΔI*が指令偏差復帰判定値I_th_bより大きいと判断された場合(S201:NO)、S209へ移行し、独立駆動を継続する。指令偏差ΔI*が指令偏差復帰判定値I_th_b以下であると判断された場合(S201:YES)、S202へ移行する。
S202では、制御部150、250は、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が、共に電流制限復帰判定値Ilim_th_b以上か否か判断する。電流制限復帰判定値Ilim_th_bは、電流制限遷移判定値Ilim_th_a以上とする。個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2の少なくとも一方が電流制限復帰判定値Ilim_th_bより小さいと判断された場合(S202:NO)、S209へ移行し、独立駆動を継続する。個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が共に電流制限復帰判定値Ilim_th_b以上であると判断された場合(S202:YES)、S203へ移行する。
S203では、制御部150、250は、マイコン間通信が正常か否か判断する。マイコン間通信が正常ではないと判断された場合(S203:NO)、S209へ移行し、独立駆動を継続する。マイコン間通信が正常であると判断された場合(S203:YES)、S204へ移行する。
S204では、制御部150、250は、走行中IGキーオフ制御中か否か判断する。走行中IGキーオフ制御中ではないと判断された場合(S204:NO)、S207へ移行する。走行中IGキーオフ制御中であると判断された場合(S204:YES)、S205へ移行する。なお、本実施形態では、走行中にIGオフ状態になると、IGキーオフ制御としてS205およびS206の処理を行うが、一時的なIGキーオフ状態が解消されるとIGキーオフ制御から抜け、他の復帰条件を満たせば、独立駆動から協調駆動への復帰も可能である。
S205では、制御部150、250は、キーオフ時間Xoffが推定停車時間Xstpより大きいか否か判断する。キーオフ時間Xoffが推定停車時間Xstpより大きいと判断された場合(S205:YES)、S206へ移行し、電流指令値I1*、I2*を漸減停止する。漸減停止後は、再度、IGがオンされるまで、モータ80の駆動制御を行わない。キーオフ時間Xoffが推定停車時間Xstp以下であると判断された場合(S205:NO)、S209へ移行し、独立駆動を継続する。
S207では、制御部150、250は、操舵トルクTsが非操舵判定閾値Ts_th以下か否かを判断する。非操舵判定閾値Ts_thは、駆動モードを独立駆動から協調駆動に復帰させてもトルク変動が生じない程度の値に設定される。操舵トルクTsが非操舵判定閾値Ts_thより大きいと判断された場合(S207:NO)、S209へ移行し、独立駆動を継続する。操舵トルクTsが非操舵判定閾値Ts_th以下であると判断された場合(S207:YES)、S208へ移行する。
S208では、車速Vが車速判定閾値V_th以下か否かを判断する。車速判定閾値V_thは、安全に駆動モードを独立駆動から協調駆動に復帰可能な程度の値に設定される。車速Vが車速判定閾値V_thより大きいと判断された場合(S208:NO)、S209へ移行し、独立駆動を継続する。車速Vが車速判定閾値V_th以下であると判断された場合(S208:YES)、S210へ移行し、協調駆動に復帰する。
独立駆動から協調駆動への復帰を説明するタイムチャートを図10に示す。図10では、共通時間軸を横軸とし、上から、指令偏差ΔI*、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2、マイコン間通信、走行中IGキーオフ制御、操舵トルクTs、車速V、および、駆動モードを示す。個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2は、異なる値となる場合もあるが、ここでは簡略化のため、同じ値であるものとして記載した。また、マイコン間通信は正常であり、走行中IGキーオフ制御は行われていないものとする。
時刻x1以前において、指令偏差ΔI*が指令偏差遷移判定値I_th_aより大きく、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が電流制限遷移判定値Ilim_th_aより小さいものとし、独立駆動にてモータ80が駆動されている。本実施形態では、指令偏差ΔI*が指令偏差遷移判定値I_th_aより大きい、または、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2の少なくとも一方が電流制限遷移判定値Ilim_th_aより小さい場合、操舵トルクTsや車速Vによらず、協調駆動から独立駆動に遷移する。
時刻x1にて、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が電流制限復帰判定値Ilim_th_b以上となり、時刻x2にて、指令偏差ΔI*が指令偏差復帰判定値I_th_b以下となるが、時刻x2時点での操舵トルクTsが非操舵判定閾値Ts_thより大きく、車速Vが車速判定閾値V_thより大きいため、この段階では協調駆動に復帰せず、独立駆動を継続する。
時刻x3にて、操舵トルクTsが非操舵判定閾値Ts_th以下となり、時刻x4にて、車速Vが車速判定閾値V_th以下となるので、時刻x4にて、駆動モードを独立駆動から協調駆動に復帰させる。
以上説明したように、本実施形態のECU10は、モータ巻線180、280を有するモータ80の駆動を制御するものであって、複数のインバータ部120、220と、複数の制御部150、250と、を備える。インバータ部120、220は、モータ巻線の通電を切り替える。
制御部150、250は、相互に通信可能であって、モード選択部152、252、および、駆動制御部151、251を有する。モード選択部152、252は、協調駆動モードおよび独立駆動モードを含む駆動モードを選択する。駆動制御部151、251は、選択された駆動モードにて、対応して設けられるインバータ部120、220を制御する。
協調駆動モードは、他の制御部から取得された値、および、自身の制御部にて演算した値を共有して用いる。独立駆動モードは、他の制御部から取得された値を用いない。なお、マイコン間通信異常などで、他の制御部からの値を取得できない場合についても、「他の制御部から取得された値を用いない」の概念に含まれるものとする。
モード選択部152、252は、少なくとも1つの遷移判定項目が独立遷移条件を満たしたとき、駆動モードを協調駆動モードから独立駆動モードに移行させる。また、モード選択部152、252は、遷移判定項目が復帰許可条件を満たし、かつ、遷移判定項目とは異なる復帰許可判定項目が復帰許可条件を満たしたとき、駆動モードを独立駆動モードから協調駆動モードに復帰させる。
本実施形態では、遷移判定項目には、指令偏差ΔI*、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2、マイコン間通信、および、走行中IGキーオフ状態が含まれる。復帰許可判定項目には、操舵トルクTsおよび車速Vが含まれる。復帰許可判定項目は、車両挙動に係る判定項目と捉えることもできる。
本実施形態では、通常時に協調駆動モードにてモータ80を制御しており、異常の発生等により、遷移判定項目が独立遷移条件を満たした場合には、独立駆動モードに移行する。また遷移判定項目が協調復帰条件を満たし、かつ、復帰許可判定項目が復帰許可条件を満たしたときに協調駆動モードに復帰させる。換言すると、遷移判定項目が協調復帰条件を満たしたとしても、復帰許可判定項目が復帰許可条件を満たしていなければ、協調駆動モードに復帰させず、独立駆動モードを継続する。また、復帰許可判定項目については、協調駆動モードから独立駆動モードへ遷移させる場合には考慮しておらず、復帰許可判定項目の如何によらず、遷移判定項目が独立遷移条件を満たせば、独立駆動モードに遷移させる。これにより、独立駆動モードから協調駆動モードに適切に復帰させることができる。
遷移判定項目には、それぞれの制御部150、250にて演算された電流指令値I1*、I2*の偏差である指令偏差ΔI*が含まれる。モード選択部152、252は、協調駆動モードにて、指令偏差ΔI*が指令偏差遷移判定値I_th_aより大きくなった場合、協調駆動モードから独立駆動モードに遷移させる。また、モード選択部152、252は、独立駆動モードにて、指令偏差ΔI*が指令偏差復帰判定値I_th_b以下になった場合、電流指令値I1*、I2*に係る協調復帰条件を満たしていると判定する。これにより、電流指令値I1*、I2*が乖離したときに独立駆動モードに遷移するので、指令乖離による制御の不整合を防ぐことができる。
遷移判定項目には、電流指令値I1*、I2*の制限に係る値であって、それぞれの制御部150、250にて演算される個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が含まれる。モード選択部152、252は、協調駆動モードにて、少なくとも1つの個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が電流制限遷移判定値Ilim_th_aより小さくなった場合、協調駆動モードから独立駆動モードに遷移させる。また、モード選択部152、252は、独立駆動モードにて、全ての個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が電流制限復帰判定値Ilim_th_b以上になった場合、電流制限に係る協調復帰条件を満たしていると判定する。すなわち本実施形態では、電流制限値が低下した場合、独立駆動に移行している。これにより、電流制限値が低下した状態にて協調駆動が継続されることでのトルク不足を抑制することができる。
ECU10は、電動パワーステアリング装置8に適用される。遷移判定項目には、車両の始動スイッチのオンオフ状態であるIGキーオフ状態が含まれる。モード選択部152、252は、走行中に始動スイッチがオフされた場合、協調駆動モードから独立駆動モードに遷移させる。これにより、走行中IGキーオフが生じた場合であっても、適切にモータ80の駆動を継続することができる。
復帰許可判定項目には、ステアリングホイール91の操舵状態が含まれる。モード選択部152、252は、ステアリングホイール91が非操舵状態である場合、操舵状態に係る復帰許可条件を満たしていると判定する。換言すると、ステアリングホイール91が操舵状態の場合、独立駆動モードから協調駆動モードへの復帰を許可しない。本実施形態では、操舵トルクTsが非操舵判定閾値Ts_th以下の場合、非操舵状態であるとする。これにより、操舵中に駆動モードが切り替わることでのトルク変動を抑制することができるので。運転者の違和感を低減することができる。
復帰許可判定項目には、車速Vが含まれる。モード選択部152、252は、車速Vが車速判定閾値V_th以下のとき、車速Vに係る復帰許可条件を満たしていると判定する。換言すると、車速が車速判定閾値V_thより大きい場合、独立駆動モードから協調駆動モードへの復帰を許可しない。これにより、駆動モードの切り替えに伴う運転者の違和感を低減することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図11に示す。本実施形態では、独立遷移処理が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。本実施形態では、操舵トルクTsに応じてモータ80を制御する操舵アシストモード、および、操舵トルクTsによらず舵角θsを自動制御する自動運転モードを切替可能である。以下、操舵アシストモードを「EPSモード」、自動運転モードを「ADSモード」とする。
本実施形態の独立遷移処理を図11のフローチャートに基づいて説明する。S301およびS302の処理は、図8中のS101およびS102の処理と同様であって、S301またはS302にて否定判断された場合、S303へ移行する。S303では、制御部150、250は、ADS中か否かを判断する。ADS中ではないと判断された場合(S303:NO)、S307へ移行し、独立駆動に遷移する。ADS中であると判断された場合(S303:YES)、S304へ移行する。S304~S307の処理は、図8中のS103~S106の処理と同様である。
すなわち本実施形態では、指令偏差ΔI*が指令偏差遷移判定値I_th_aより小さい場合、EPSモードの場合は独立駆動に遷移する。一方、ADSモードの場合、指令偏差ΔI*が指令偏差遷移判定値I_th_aより小さくても、マイコン間通信等が正常であれば、独立駆動に移行しない。また、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2の少なくとも一方が電流制限遷移判定値Ilim_th_aより小さい場合、EPSモードでは独立駆動に遷移する。一方、ADSモードの場合、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2の少なくとも一方が電流制限遷移判定値Ilim_th_aより小さくても、マイコン間通信等が正常であれば、独立駆動に移行しない。換言すると、ADSモードでは、指令偏差ΔI*および個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2を、協調駆動から独立駆動への遷移判定項目から除外している。協調復帰処理は、上記実施形態と同様であり、運転モードがADSモードかEPSモードかによらず、指令偏差ΔI*および個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2を協調復帰判定に用いる。
本実施形態では、制御部150、250は、舵角θsを自動制御する自動運転制御であるADSモードと、操舵トルクTsに応じたアシスト制御を行う操舵アシスト制御であるEPSモードと、を切替可能である。モード選択部152、252は、操舵アシスト制御での協調駆動モードにおいて、指令判定項目が独立遷移条件を満たしたとき、駆動モードを独立駆動モードに遷移させる。一方、モード選択部152、252は、自動運転制御での協調駆動モードにおいて、指令判定項目を独立駆動モードへの遷移判定対象から除外する。また、独立駆動モードにおいて、操舵アシスト制御か自動運転制御かによらず、指令判定項目が協調復帰条件を満たしていない場合、独立駆動モードを継続する。
遷移判定項目には、電流指令値に係る指令判定項目が含まれる。本実施形態の指令判定項目は、指令偏差ΔI*および個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2である。補足として、個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2は、電流指令値I1*、I2*の制限に係る値であるので、「電流指令値に係る指令判定項目」の概念に含めるものとする。
本実施形態では、自動運転制御中の協調駆動モードにおいて、指令判定項目を独立駆動モードへの遷移判定対象から除外する。換言すると、自動運転制御中の協調駆動モードでは、指令判定項目である指令偏差ΔI*および個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が独立遷移条件を満たしたとしても、独立駆動へ移行せず、協調駆動を継続する。また、一旦独立駆動モードに移行した場合には、自動運転制御中であっても、指令偏差ΔI*および個別電流制限値Ilim_k1、Ilim_k2が協調復帰条件を満たしていなければ、協調駆動へは復帰させず、独立駆動モードを継続する。これにより、自動運転制御か操舵アシスト制御かに応じ、駆動モードを適切に切り替えることができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
上記実施形態では、操舵トルクに基づいて操舵状態を判定した。他の実施形態では、操舵トルクに限らず、ハンドル速度、モータ速度、または、ラック速度に基づいて操舵状態を判定してもよい。
また、他の実施形態では、電流指令値および電流検出値に基づいて操舵状態を判定してもよい。電流指令値の値が大きい場合、操舵中である蓋然性が高いため、電流指令値が判定閾値より大きい場合、操舵中、判定閾値より小さい場合、非操舵状態と判定する、といった具合である。電流検出値についても同様である。また、操舵トルク、ハンドル速度、モータ速度、ラック速度、電流指令値および電流検出値の2つ以上を用いて操舵状態を判定してもよい。
上記実施形態では、遷移判定項目には、指令偏差、個別電流制限値、マイコン間通信、および、始動スイッチのオンオフ状態が含まれ、復帰許可判定項目には、操舵状態、および、車速が含まれる。他の実施形態では、遷移判定項目として例示した上記4つ項目のうちの一部を省略してもよいし、他の項目を遷移判定項目に追加してもよい。また、復帰許可判定項目の一部を省略してもよいし、復帰許可判定項目に、車両の挙動状態に係る項目として、車両の横Gやヨーレート等、他の項目を追加してもよい。
上記実施形態では、協調駆動モードにおいて、電流指令値、電流検出値および電流制限値を系統間で共有する。他の実施形態では、協調駆動モードにおいて、電流制限値を共有しなくてもよい。上記実施形態では、第1制御部150をマスター制御部、第2制御部250をスレーブ制御部とし、協調駆動モードにおいて、電流指令値I1*を制御部150、250で用いる。他の実施形態では、電流指令値を共有せず、協調駆動モードにおいても、自系統の電流指令値を用いてもよい。また、電流指令値、電流検出値および電流制限値以外の値を共有してもよい。
上記実施形態では、モータ巻線、インバータ部および制御部が2つずつ設けられる。他の実施形態では、モータ巻線は、1つまたは3つ以上であってもよい。また、インバータ部および制御部が3つ以上であってもよい。また、例えば複数のモータ巻線およびインバータ部に対して1つの制御部を設ける、或いは、1つの制御部に対して複数のインバータ部およびモータ巻線を設ける、といった具合に、モータ巻線、インバータ部および制御部の数が異なっていてもよい。上記実施形態では、系統ごとに電源が設けられており、グランドが分離されている。他の実施形態では、1つの電源を複数系統にて共用してもよい。また、複数の系統が共通のグランドに接続されていてもよい。
上記実施形態では、回転電機は、3相のブラシレスモータである。他の実施形態では、回転電機は、ブラシレスモータに限らない。また、発電機の機能を併せ持つ、所謂モータジェネレータであってもよい。上記実施形態では、回転電機制御装置は、電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、回転電機制御装置を、ステアバイワイヤ装置等、操舵を司る電動パワーステアリング装置以外の操舵装置に適用してもよい。また、操舵装置以外の車載装置、または、車載以外の装置に適用してもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
8・・・電動パワーステアリング装置(操舵装置)
10・・・ECU(回転電機制御装置)
80・・・モータ(回転電機)
91・・・ステアリングホイール(操舵部材)
120、220・・・インバータ部
150、250・・・制御部
151、251・・・駆動制御部
152、252・・・モード選択部
180、280・・・モータ巻線

Claims (7)

  1. モータ巻線(180、280)を有する回転電機(80)の駆動を制御する回転電機制御装置であって、
    前記モータ巻線の通電を切り替える複数のインバータ部(120、220)と、
    協調駆動モードおよび独立駆動モードを含む駆動モードを選択するモード選択部(152、252)、ならびに、選択された前記駆動モードにて対応して設けられる前記インバータ部を制御する駆動制御部(151、251)を有し、相互に通信可能な複数の制御部(150、250)と、
    を備え、
    前記協調駆動モードは、他の前記制御部から取得された値および自身の前記制御部にて演算した値を用い、
    前記独立駆動モードは、他の前記制御部から取得された値を用いず、
    前記モード選択部は、
    少なくとも1つの遷移判定項目が独立遷移条件を満たしたとき、前記駆動モードを前記協調駆動モードから前記独立駆動モードに遷移させ、
    前記遷移判定項目が協調復帰条件を満たし、かつ、前記遷移判定項目とは異なる復帰許可判定項目が復帰許可条件を満たしたとき、前記駆動モードを前記独立駆動モードから前記協調駆動モードに復帰させる回転電機制御装置。
  2. 前記遷移判定項目には、それぞれの前記制御部にて演算された電流指令値の偏差である指令偏差が含まれ、
    前記モード選択部は、
    前記協調駆動モードにて、前記指令偏差が指令偏差遷移判定値より大きくなった場合、前記協調駆動モードから前記独立駆動モードに遷移させ、
    前記独立駆動モードにて、前記指令偏差が指令偏差復帰判定値以下になった場合、前記電流指令値に係る前記協調復帰条件を満たしていると判定する請求項1に記載の回転電機制御装置。
  3. 前記遷移判定項目には、前記電流指令値の制限に係る値であって、それぞれの前記制御部にて演算される個別電流制限値が含まれ、
    前記モード選択部は、
    前記協調駆動モードにて、少なくとも1つの前記個別電流制限値が、電流制限遷移判定値より小さくなった場合、前記協調駆動モードから前記独立駆動モードに遷移させ、
    前記独立駆動モードにて、全ての前記個別電流制限値が電流制限復帰判定値以上になった場合、電流制限に係る前記協調復帰条件を満たしていると判定する請求項2に記載の回転電機制御装置。
  4. 操舵装置(8)に適用され、
    前記制御部は、舵角を自動制御する自動運転制御と、操舵トルクに応じたアシスト制御を行う操舵アシスト制御とを切替可能であって、
    前記遷移判定項目には、電流指令値に係る指令判定項目が含まれ、
    前記モード選択部は、
    前記操舵アシスト制御での前記協調駆動モードにおいて、前記指令判定項目が前記独立遷移条件を満たしたとき、駆動モードを前記独立駆動モードに遷移させ、
    前記自動運転制御での前記協調駆動モードにおいて、前記指令判定項目を前記独立駆動モードへの遷移判定対象から除外し、
    前記独立駆動モードにおいて、前記操舵アシスト制御か前記自動運転制御かによらず、前記指令判定項目が協調復帰条件を満たしていない場合、前記独立駆動モードを継続する請求項1に記載の回転電機制御装置。
  5. 操舵装置(8)に適用され、
    前記遷移判定項目には、車両の始動スイッチのオンオフ状態が含まれ、
    走行中に前記始動スイッチがオフされた場合、前記協調駆動モードから前記独立駆動モードに遷移させる請求項1~4のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  6. 操舵装置(8)に適用され、
    前記復帰許可判定項目には、操舵部材(91)の操舵状態が含まれ、
    前記モード選択部は、前記操舵部材が非操舵状態である場合、前記操舵状態に係る前記復帰許可条件を満たしていると判定する請求項1~5のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  7. 前記復帰許可判定項目には、車速が含まれ、
    前記モード選択部は、前記車速が車速判定閾値以下の場合、前記車速に係る前記復帰許可条件を満たしていると判定する請求項6に記載の回転電機制御装置。
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