JP7020184B2 - 金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材及び自動車用部品。 - Google Patents

金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材及び自動車用部品。 Download PDF

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Description

本発明は、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材及び自動車用部品に関する。
強化繊維(例えば、ガラス繊維、強化繊維など)をマトリクス樹脂に含有させて複合化した繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)は、軽量で引張強度や加工性等に優れる。そのため、民生分野から産業用途まで広く利用されている。自動車産業においても、燃費、その他の性能の向上につながる車体軽量化のニーズを満たすため、FRPの軽量性、引張強度、加工性等に着目し、自動車部材へのFRPの適用が検討されている。
FRP自体を自動車部材として用いる場合、例えば以下のような様々な問題点がある。第1に、FRPは圧縮強度が低いため、高い圧縮強度が要求される自動車部材にそのまま用いることは難しい。第2に、FRPのマトリクス樹脂は、一般に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であるため脆性を有していることから、変形すると脆性破壊する可能性がある。第3に、FRP(特に、強化繊維に強化繊維を用いた強化繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics))は価格が高いため、自動車部材のコストアップの要因となる。第4に、上述したように、マトリクス樹脂として熱硬化性樹脂を用いることから硬化時間が長くかかり、タクトタイムが長いため、短いタクトタイムが要求される自動車部材の製造には適さない。第5に、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂として用いるFRPは、塑性変形しないことから、一度硬化させてしまうと曲げ加工ができない。
これらの問題点を解決するため、最近では、金属部材とFRPとを積層して一体化(複合化)させた金属部材-FRP複合材料が検討されている。上記第1の問題点については、圧縮強度の高い金属部材とFRPとを複合化させることで、複合材料の圧縮強度も高めることができる。上記第2の問題点については、延性を有する鋼材等の金属部材と複合化することで、脆性が低下し、複合材料を変形できるようになる。上記第3の問題点については、低価格の金属部材とFRPを複合化することで、FRPの使用量を減らすことができるため、自動車部材のコストを低下できる。
金属部材とFRPとを複合化するためには、金属部材とFRPとを接合又は接着することが必要であり、接合方法としては、一般に、エポキシ樹脂系の熱硬化性接着剤を使用する方法が知られている。
例えば、以下の特許文献1では、接着剤により軽金属材とCFRPとが接着された構造材が提案されている。
また、金属部材-FRP複合体の製造にあたり、低消費エネルギー、低コストで製造可能な方法の開発が進められている。
以下の特許文献2では、熱間プレス加工された金属材料に表面に、強化繊維材料及び熱硬化性樹脂材料からなるCFRPプリプレグをプレス成型して金属-CFRP複合構造体を製造する方法が提案されている。
国際公開第1999/10168号 特開2014-100829号公報
上記特許文献1には、予め所定の形状に加工された金属材に、接着剤でCFRPが接着された金属-CFRP構造材は記載されているものの、金属-CFRP構造材を一体加工する方法については記載されていない。
また、上記特許文献2に開示されている技術では、金属部材とCFRPの接合前に、金属材の熱間プレス等の曲げ加工工程が必要であるため、製造コストが依然として高いという問題がある。さらに、CFRPのマトリクス樹脂に熱硬化性樹脂を使用した金属-CFRP複合構造体は、金属とCFRPとの接合界面で剥離が生じやすいという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、金属部材と繊維強化樹脂材料とが強固に接合された、低コストで一体加工が可能な、金属-熱可塑性繊維強化樹脂材料複合体の加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂及び強化繊維材料を有する繊維強化樹脂材料が少なくとも一方の面に配置された金属板を、前記繊維強化樹脂材料単独では形状を保持できない所定の温度に加熱した後、所定の形状を有する金型を介して所定の圧力を印加して前記金型の前記所定の形状に倣った形状に一体加工する一体加工工程と、一体加工された前記金属板及び前記繊維強化樹脂材料を、前記繊維強化樹脂材料の形状が定まりきっていない所定の温度で前記金型から離型する離型工程と、を含み、前記熱可塑性樹脂は、融点Tmを有する結晶性樹脂であり、前記一体加工工程における加熱温度は、(Tm-20)~(Tm+10)℃の温度範囲の温度であり、前記離型工程における離型温度は、(Tm-30)~(Tm+10)℃の温度範囲の温度である、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法が提供される。
前記熱可塑性樹脂は、前記繊維強化樹脂材料の全体積に対して、20~80体積%含まれ、前記強化繊維材料と前記マトリクス樹脂との合計が100体積%となることが好ましい。
前記強化繊維材料は、前記繊維強化樹脂材料の全体積に対して、20~70体積%含まれ、前記強化繊維材料と前記マトリクス樹脂との合計が100体積%となるように含有されることが好ましい。
前記金属板の厚みが0.1~6.0mmであり、前記金属板の降伏応力とヤング率の比が0.8×10-3以上であることが好ましい。
前記金属板の材質は、鉄鋼材料であることが好ましい。
前記強化繊維材料は、炭素繊維材料であることが好ましい。
前記金型の表面には、所定の離型処理が施されていることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、さらに本発明の別の観点によれば、厚みが0.1~6mmであり、降伏応力とヤング率の比が0.8×10-3以上である金属板と、前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、フェノキシ樹脂を含有するマトリクス樹脂及び強化繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、前記繊維強化樹脂材料は、前記フェノキシ樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、一体となって所定の形状を有する、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材が提供される。
本発明に係る金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材は、JIS K 6854-3に記載のT形剥離試験で規定された90°剥離接着強さ試験により測定される、幅15mmの試験片の剥離強度が20N以上であることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、さらに本発明の別の観点によれば、厚みが0.1~6.0mmであり、降伏応力とヤング率の比が0.8×10-3以上である金属板と、前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、フェノキシ樹脂を含有するマトリクス樹脂及び強化繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、前記繊維強化樹脂材料は、前記フェノキシ樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、一体となって所定の形状を有する、自動車用部品が提供される。
また、上記課題を解決するために、さらに本発明の別の観点によれば、厚みが0.1~6.0mmであり、降伏応力とヤング率との比が0.8×10 ―3 以上である金属板と、前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、結晶性の熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂及び炭素繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、前記繊維強化樹脂材料は、前記熱可塑性樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、所定の形状を一体となって有する、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材が提供される。
本発明に係る金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材は、JIS K 6854-3に記載のT形剥離試験で規定された90°剥離接着強さ試験により測定される、幅15mmの試験片の剥離強度が20N以上であることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、さらに本発明の別の観点によれば、厚みが0.1~6.0mmであり、ヤング率と降伏応力の比が0.8×10 ―3 以上である金属板と、前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、結晶性の熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂及び炭素繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、前記繊維強化樹脂材料は、前記熱可塑性樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、一体となって所定の形状を有する、自動車用部品が提供される。
以上説明したように、本発明によれば、金属部材と繊維強化樹脂材料とが高い接着性を有し、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の一体加工が可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る金属-FRP複合部材の断面構造を示す模式図である。 同実施形態に係る金属-FRP複合部材の別の態様の断面構造を示す模式図である。 同実施形態に係る金属-FRP複合部材の加工方法の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る金属-FRP複合部材の剥離強度試験に使用する試験片を示す模式図である。 同実施形態に係る金属-FRP複合部材の別の態様の加工方法の一例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る金属-FRP複合部材の断面構造を示す模式図である。 同実施形態に係る金属-FRP複合部材の別の態様の断面構造を示す模式図である。 同実施形態に係る金属-FRP複合部材の加工方法の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る金属-FRP複合部材の別の態様の加工方法の一例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.背景>
先だって説明したように、自動車産業において、車体軽量化のニーズを満たすため、FRPの軽量性、引張強度、加工性等に着目し、例えば、サイドシルやピラー、バックドアなどの骨格部材を含む自動車部材へのFRPの適用が検討されている。例えば、自動車が衝突等の衝撃を受けた場合に、圧縮応力を受ける部分の一部にFRPを貼付して、FRPが優先的に破壊することにより衝撃エネルギーを吸収する等の利用方法が検討されている。また、自動車が衝撃を受けた場合に、引張り応力を受ける部分に引張強度の高いFRPを使用することで、部材強度を向上させることが検討されている。
上記自動車用部材へのFRPとして、強度と軽量性を兼ね備えた炭素繊維とマトリクス樹脂には一般的に熱硬化性樹脂で形成されたCFRPが使用されている。本発明者らは、金属部材と、熱硬化性樹脂が使用されたFRPが一体となった部材を曲げなどの加工を加えることで、FRPが破壊するとともに金属部材から剥離する知見を得た。また、金属部材と熱硬化性CFRPをホットプレスして複合化させた場合、加工後、複合体が常温に戻る際に、金属部材の線膨張係数とCFRPの線膨張係数の差により、CFRPに圧縮応力が生じる結果、金属部材とCFRPとの接着面で剥離するという問題が生じることを発見した。プレス荷重によるCFRPの破壊は、CFRPの低圧縮強度による低曲げ強度が原因であり、接着面での剥離は、金属部材の線膨張率とCFRPの線膨張率の違いにより、ホットプレスからの冷却時にFRPと鋼板の界面の樹脂が鋼板の収縮に追随せず、金属部材から剥離してしまうことが原因であると考えられる。上記問題に対し、金属部材及びCFRPを個別に賦形して、接着剤を用いて賦形された金属部材にCFRPを貼付する方法で解決することは可能であるものの、かかる方法では、工程が増加し、また、接着剤の使用により、製造コストが増大してしまう。
また、上記のような自動車部材には、車体の軽量化を目的に、高張力鋼が使用されることが多い。高張力鋼とFRPとの複合体をプレス加工した場合、荷重除荷後に高張力鋼は、加工前の形状に戻ろうとする変形(スプリングバック)が生じる。本発明者らは、このスプリングバックにより、高張力鋼とFRPとの界面で剥離が生じるという知見を得た。
そこで、本発明者らは、金属部材とFRPとを一体加工し、製品安定性の高い金属-FRP複合部材とするために、FRPのマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に替えて、主成分に熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性FRP(Fiber Reinforced Thermo Plastics:FRTP)を用いることに着想した。本発明者らは、マトリクス樹脂の主成分として熱可塑性樹脂を用いることから、高温でFRTPを塑性変形させることが可能になることで脆性を低下でき、一体加工も容易となると考えた。本発明者らは、この考えを基に研究を進めた結果、金属部材とFRTPを積層し、FRTP単体では形状を維持できないような温度まで金属部材とFRTPとの積層体を加熱することで、金型を用いた一体加工が可能であるという知見を得た。さらに、本発明者らは、積層体を一体加工した後においても、FRTPを構成するマトリクス樹脂が容易に変形可能な温度で、一体加工した金属部材とFRTPとの複合材を金型から離型することで、スプリングバックにより生じる金属部材とFRTPとの界面剥離を抑制できることを発見した。
そして、本発明者らは、鋭意研究を重ね、熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂及び強化繊維材料を有する繊維強化樹脂材料が少なくとも一方の面に配置された金属板を、所定の温度に加熱した後、所定の形状を有する金型を介して所定の圧力を印加して一体加工する一体加工工程と、一体加工された前記金属板及び前記繊維強化樹脂材料を、所定の温度で前記金型から離型する離型工程とを含む、金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法を発明した。本願発明は、金属部材とFRTPとを積層し、FRTP単独では形状を保持できない温度でFRTPを加工した後、FRTPの形状が定まりきっていない温度で離型することで、金属部材とFRTPを一体加工し、金属部材のスプリングバックに追随させて、金属部材とFRTPとが強固に接合された複合体を加工可能とするものである。
本実施形態において、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂又は非晶性樹脂のいずれであるかに応じて、加工時における加熱温度及び離型温度が異なる。従って、以下では、本実施形態に係る熱可塑性樹脂が、結晶性樹脂である場合、及び、非晶性樹脂である場合に分けて実施形態を説明する。
<2.第1の実施形態>
<2.1.金属-繊維強化樹脂材料複合体の構成>
まず、図1、2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体の構成について説明する。図1、2は、本実施形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体としての金属-FRTP複合部材1の積層方向における断面構造を示す模式図である。
金属-FRTP複合部材1は、FRTP12の結晶性の熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂101により複合化されたものである。金属-FRTP複合部材1は、図1に示すように、金属部材11と、FRTP12と、を備える。金属部材11とFRTP12とは、FRTP12に含まれるマトリクス樹脂101によって複合化されている。ここで、「複合化」とは、金属部材11とFRTP12とが接合されて、一体化していることを意味する。また、「一体化」とは、金属部材11及びFRTP12が、加工や変形の際、一体として動くことを意味する。
本実施形態では、FRTP12は、金属部材11の少なくとも片側の面に接するように設けられている。ただし、FRTP12は、金属部材11の片面のみに設けられている場合のみならず、両面にそれぞれ設けられていてもよい。また、2つの金属部材11の間にFRTP12を含む積層体が挟み込まれるような構造にしてもよい。
以下、金属-FRTP複合部材1の各構成要素及びその他の構成について詳述する。
<2.1.1.金属部材11>
金属部材11の材質は、特段制限されるものではなく、例えば、鉄、チタン、アルミニウム、マグネシウム及びこれらの合金等が挙げられる。ここで、合金の例としては、例えば、鉄系合金(ステンレス鋼含む)、Ti系合金、Al系合金、Mg合金などが挙げられる。本実施形態に係る金属部材として、高張力鋼等のスプリングバック量が大きい金属材を使用することも可能であり、このようなスプリングバック量の大きな金属部材11を用いるときに、本発明は特に優れた効果を発揮する。金属部材11の厚みは、プレス等による成形加工が可能であれば特に限定されるものではないが、0.1~6.0mmであると好ましい。金属部材11の厚みが0.1mmより薄い場合、自動車用の骨格部材に使用したときに十分な材料強度とすることが難しい。また、金属部材11の厚みが6.0mmよりも厚い場合は、自動車の車体軽量化の効果が減少する。また、金属部材11の形状は薄板状が好ましい。
一般に、降伏応力が高く、ヤング率が小さい材料ほどスプリングバック量は大きくなる。本実施形態に係る加工方法は、降伏応力とヤング率の比が0.8×10-3以上である金属部材11に対して、高い接着性を維持したまま、一体加工された複合材を得ることができる。上述したように、スプリングバック量の大きな金属部材11を用いるときに、本発明は特に優れた効果を発揮することから、金属部材11の降伏応力とヤング率の比は、より好ましくは1.0×10-3以上であり、さらにより好ましくは2.0×10-3以上である。
金属部材11の材料となる鉄鋼材料には、任意の表面処理が施されていてもよい。ここで、表面処理とは、例えば、亜鉛めっき及びアルミニウムめっきなどの各種めっき処理、クロメート処理及びノンクロメート処理などの化成処理、並びに、サンドブラストのような物理的もしくはケミカルエッチングのような化学的な表面粗化処理が挙げられるが、これらに限られるものではない。また、複数種の表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、少なくとも防錆性の付与を目的とした処理が行われていることが好ましい。
金属部材11の表面は、FRTP12との接着性を高めるために、プライマーにより処理されたものであってもよい。この処理で用いるプライマーとしては、例えば、シランカップリング剤やトリアジンチオール誘導体が好ましい。シランカップリング剤としては、エポキシ系シランカップリング剤やアミノ系シランカップリング剤、イミダゾールシラン化合物が例示される。トリアジンチオール誘導体としては、6-ジアリルアミノ-2,4-ジチオール-1,3,5-トリアジン、6-メトキシ-2,4-ジチオール-1,3,5-トリアジンモノナトリウム、6-プロピル-2,4-ジチオールアミノ-1,3,5-トリアジンモノナトリウム及び2,4,6-トリチオール-1,3,5-トリアジンなどが例示される。
<2.1.2.FRTP12>
FRTP12は、結晶性の熱可塑性樹脂を主成分として含有するマトリクス樹脂101と、当該マトリクス樹脂101中に含有され、複合化された強化繊維102と、を有する。FRTP12としては、例えば、FRP成形用プリプレグを用いて形成されたものや、強化繊維102を含有するマトリクス樹脂101が固化したコンポジットを使用することができる。FRTP12は、1層に限らず、例えば図2に示すように、2層以上であってもよい。FRTP12の厚みや、FRTP12を複数層とする場合のFRTP12の層数nは、使用目的に応じて適宜設定すればよい。FRTP12が複数層ある場合、各層は、同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。また、FRTP12を構成する強化繊維102の種類や含有比率なども、層ごとに異なっていてもよい。
(マトリクス樹脂101)
主成分として結晶性樹脂の熱可塑性樹脂を含むマトリクス樹脂101により、金属部材11とFRTP12とが強固に接着され、本実施形態に係る加工方法が実施されることで、強固に接着された状態を保持したまま、金属部材11とFRTP12とを一体加工することができる。
結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry:DSC)又は、示唆熱分析(Differential Thermal Analysis:DTA)を用いて融点測定を行ったときに、融点Tmが観測される樹脂である。マトリクス樹脂101に含有される結晶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエステル(PEs)、ナイロン類、芳香族ポリエーテルケトン(PAEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアセタール(POM)、変性ポリイミド等が挙げられる。例えば、ポリエチレン(PE)には、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子ポリエチレン(UHPE)などが挙げられ、ポリエステル(PEs)としては、ポリエチレンテレフラタレート(PET)、ポリブチレンテレフラタレート(PBT)などが挙げられ、ナイロン類としては、6ナイロン(PA6)、6,6-ナイロン(PA66)などが挙げられ、芳香族ポリエーテルケトン(PAEK)としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトン(PEK)などが挙げられる。マトリクス樹脂101に結晶性の熱可塑性樹脂が含有されることで、熱硬化性樹脂を使用した場合に生じる、FRPが脆性を有するため曲げ加工ができないことを解消することが可能となる。
また、金属部材11とFRTP12の接着性を高めるために、骨格や末端基が変性された結晶性の熱可塑性樹脂がマトリクス樹脂101に含有されてもよい。結晶性の熱可塑性樹脂の変性には、無水マレイン酸や無水カルボン酸等の酸を使用することが可能である。
マトリクス樹脂101には、その接着性や物性を損なわない範囲において、例えば、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー等や、種々の無機フィラー、溶剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、難燃助剤等その他添加物を配合してもよい。エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、アルケン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー等が使用可能である。添加物の含有率は、熱可塑性樹脂の含有率と、強化繊維102の含有率と添加物の含有率との合計で100体積%となるように配合されることが好ましい。
マトリクス樹脂101に含有される熱可塑性樹脂の含有率は、FRTP12の全体積に対して、20体積%以上80体積%以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が20体積%未満であると、金属部材11とFRTP12との加熱圧着が不十分となり、圧着面で剥離する可能性がある。一方、熱可塑性樹脂の含有率が80体積%超であると、プレス加工時に軟化溶融した樹脂が金型に流れ出し、熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)中のボイドや欠陥が入るのを促し、複合材の強度が低下するという問題が発生する可能性がある。より好ましくは、マトリクス樹脂101に含有される熱可塑性樹脂の含有率は、35体積%以上75体積%以下である。マトリクス樹脂101は、マトリクス樹脂101の含有率と強化繊維102との含有率の合計が100体積%となるように含有されることが好ましい。
(強化繊維102)
強化繊維102としては、特に制限はないが、例えば、炭素繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが好ましく、軽量化の観点から、炭素繊維がより好ましい。炭素繊維の種類については、例えば、PAN系、ピッチ系のいずれも使用でき、目的や用途に応じて選択すればよい。また、強化繊維102として、上述した繊維を1種類単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。
FRTP12に用いられるFRPにおいて、強化繊維102の基材となる強化繊維基材としては、例えば、チョップドファイバーを使用した不織布基材や連続繊維を使用したクロス材、一方向強化繊維基材(UD材)、短繊維基材などを使用することができる。補強効果の面からは、強化繊維基材としてクロス材やUD材を使用することが好ましい。
(繊維密度)
FRTP12の繊維密度(VF:Volume Fraction)は、強度に影響する因子であり、一般には、VFが高いほどFRTP12の強度は高くなる。本実施形態において、強化繊維102はFRTP12の全体積に対して20~70体積%含まれることが好ましい。強化繊維102として連続繊維を用いた場合、FRTP12のVFは、40体積%以上70体積%以下であることが好ましい。連続繊維を用いたときの強化繊維102のVFが70体積%超となると、高い配向性を有するFRTP12を製造することが難しくなる。また、連続繊維を用いたときの強化繊維102のVFが40体積%未満となると、加熱硬化の過程において、強化繊維102が樹脂中で配向しづらいため、連続繊維特有の強度が得られないことがある。VFが大きすぎる場合、FRTP12にボイドや欠陥が生じやすくなり、高い強度を得ることが困難になるため、強化繊維102として連続繊維を用いた場合のFRTP12のVFは、55体積%以上65体積%以下であることがより好ましい。
また、強化繊維102として使用する繊維が短繊維の場合は、20体積%以上50体積%以下であることが好ましい。短繊維を用いたときの強化繊維102のVFが50体積%超となると、高い配向性を有するFRTP12を製造することが難しくなる。また、短繊維を用いたときの強化繊維102のVFが20体積%未満となると、強度部材としての十分な強度が得られないことがある。強化繊維102として短繊維を用いた場合のFRTP12のVFは、25体積%以上45%体積%以下であることがより好ましい。なお、短繊維とは、長さが0.1mm~12mmの繊維を言う。
本実施形態に係る金属-FRTP複合部材1において、FRTP12は、少なくとも1枚以上のCFRTP成形用プリプレグを用いて形成されたものである。FRTP12は、1層に限らず、例えば図3に示すように、2層以上であってもよい。FRTP12の厚みや、FRTP12を複数層とする場合のFRTP12の層数nは、使用目的に応じて適宜設定すればよい。FRTP12が複数層ある場合、各層は、同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。また、FRTP12を構成する強化繊維102の種類や含有比率なども、層ごとに異なっていてもよい。
<2.2.金属-FRTP複合部材1の加工方法>
以上、本実施形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体としての金属-FRTP複合部材1の構成を詳細に説明した。続いて、図3、4を参照しながら、本実施形態に係る金属-FRTP複合部材1の加工方法について説明する。図3、4は、金属-FRTP複合部材1の加工工程例を示す説明図である。
金属-FRTP複合部材1は、所定の形状を有する、FRTP12と金属部材11とを、所定の加熱温度に加熱した後、所定の形状を有する金型を介して所定の圧力を印加して一体加工する一体加工工程と、一体加工された金属部材11及びFRTP12を、所定の温度で金型から離型する離型工程とを経ることにより得られる。本発明における一体加工とは、FRTP12と金属部材11をマトリクス樹脂101により接着し、金属部材11とFRTP12が剥離することなく加工することである。以下に、金属部材11とFRTP12とを加熱圧着することによって複合化(一体化)する方法について説明する。
<2.2.1.方法1>
まず、図3(a)に示すように、金属部材11の少なくとも片側の面にFRTP12を配置して積層し、積層体とする。図3では、凸状形状を有する金型を上部金型m1、凹状形状を有する金型を下部金型m2とし、金属部材11の上部、すなわち上部金型m1側にFRTP12が配置される場合を示している。このとき、FRTP12の、金属部材と接着する接着面は、例えば、ブラスト処理等による粗化や、プラズマ処理、コロナ処理などによる活性化がなされていることが好ましい。また、金属部材11に対して、予め表面の付着物の除去や脱脂を行うことが好ましい。かかる付着物の除去や脱脂は、公知の技術で行うことができる。
なお、図3(a)において、FRTP12に代えて、FRP成形用プリプレグを積層した積層体を後述する一体加工時に、FRP成形用プリプレグと金属部材11とを複合化しながら一体加工することも可能である。また、予め金属部材11とFRTP12とが複合化したものを、後述する方法で一体加工することも可能である。また、FRTP12は、図2に示したように、1層に限らず、複数層であってもよい。
次に、この金属部材11とFRTP12の積層体を所定の加熱温度Tまで加熱する(図2(b))。上記、加熱温度Tは、FRTP単体が、長時間、例えば1時間以上その温度に保持されるとFRTPの自重により変形が生じてしまう、すなわち単独では形状を保持できない温度である。具体的には、加熱温度Tは、FRPのマトリクス樹脂101に含有される熱可塑性樹脂の融点をTmとしたとき、(Tm-20)℃以上(Tm+10)℃以下の範囲内の温度であることが好ましい。加熱温度Tが(Tm-20)℃未満であると、金属部材11とFRTP12との界面で剥離が生じる可能性が高くなる。また、加熱温度Tが(Tm-20)℃未満であると、マトリクス樹脂101の流動性が低いため、複数層のFRTP12が積層されているときに、曲げ加工時にFRTP12の層の間でせん断ずれが生じる可能性が高くなる。加熱温度Tが(Tm+10)℃超であると、マトリクス樹脂101の流動性が高くなり過ぎることで、マトリクス樹脂101が金型mから流出し、FRTP12の全体積に対するマトリクス樹脂101の含有率が減少し、複合体の強度が低下する可能性が高くなる。マトリクス樹脂101の含有率が減少することで、FRTP12中でボイドが発生しやすくなり、FRTP12の強度が低下する可能性がある。また、FRTP12の全体積に対するマトリクス樹脂101に含まれる熱可塑性樹脂の含有率が減少することで、金属部材11とFRTP12の接着強度が低下して剥離が促進される結果、強度が低下する可能性がある。加熱温度Tは、より好ましくは、(Tm-10)℃以上(Tm+0)℃以下である。
金属-FRTP複合部材1の離型性を向上するために、金型mの表面には、離型処理が施されることが好ましい。離型処理方法としては、特段制限されず、例えば、離型剤塗布、金型mの表面改質、皮膜形成等が挙げられる。離型剤には、シリコーン、鉱物湯、エステル等を主成分としたものを適宜使用することができ、オイル型、溶液型、エマルジョン型、オイルコンパウンド型、焼き付け型の離型剤を適宜選択して使用することができる。
また、金型mは予熱されておくことが好ましい。金型mの予熱としては、特段制限されず、例えば、ガスバーナによる燃焼加熱や、赤外線加熱、高周波誘電加熱等により実施することができる。金型mを予熱しておくことで、この金属部材11とFRTP12の積層体が所定の温度に到達するまでの時間を短縮し、生産効率を向上させることができる。
次いで、図3(c)に示すように、金型mを用いて、金属部材11とFRTP12に所定の圧力を印加し、上記の加熱温度Tで一体化して所定の形状に加工する一体加工を行う。
加工時のプレス荷重は、0.1kN以上100kN以下であることが好ましい。0.1kN未満であると、厚みが12mm未満のFRTP12と、厚みが0.1mm以上の鋼板の複合材とを所定の形状に加工することができない場合がある。一方、プレス荷重が100kNであると、繊維が破壊する可能性の場合があり好ましくない。
金属部材11とFRPとの積層体の加工速度は、材料のひずみ速度で定義し、その範囲は0.05~10s-1であることが好ましい。材料のひずみ速度は、金型mの速度を材料の厚みで除した値である。このひずみ速度が0.05s-1未満であると一体成型は可能であるが、生産性が著しく低下する。10s-1超であるとFRTP12中の樹脂が鋼板の加工に追随できず、FRTP12の層間でずれが生じる可能性がある。より好ましくは、加工速度は、金属部材11とFRPとの積層体のひずみ速度が0.5s-1以上5s-1以下となる範囲の加工速度である。
プレス時間は、少なくとも1分以上であれば、FRTP中の樹脂が鋼板に移動し、接着性が担保されるため一体化した金属-FRTP複合部材1の加工が可能であり、5分以上であると好ましい。特に上限はないが、生産性の観点から10分以下であると好ましい。
その後、図3(d)に示すように、離型温度Tで金型mによる圧力を除去し、金型mから取り外して金属-FRTP複合部材1を得る。
このときの離型温度Tは、FRTP単体が上記温度で保持された際に、微小な力、例えば、1N以上の力が加えられた時にFRTP内の炭素繊維や樹脂に亀裂などが入らず簡単に変形してしまう温度、すなわち形状が定まりきっていない温度である。具体的には、加熱温度Tは、(Tm-30)℃以上(Tm+10)℃以下の範囲内の温度であることが好ましい。離型温度Tが(Tm-30)℃未満であると、金属部材11のスプリングバックにFRTP12が追随できず、金属部材11とFRTP12との界面で剥離が生じる場合がある。また、離型温度Tが(Tm+10)℃超であると、マトリクス樹脂101の流動性が高くなり過ぎることで、マトリクス樹脂101が金型mから流出しすることがある。その結果、FRTP12中のマトリクス樹脂が減少し、複合体の強度が低下する可能性がある。離型温度Tは、より好ましくは、(Tm-20)℃以上(Tm+0)℃以下である。
離型温度Tが上記温度範囲であれば、FRTP12中の樹脂が金属部材11のスプリングバックに追随できるような流動性を有しているため、金属-FRTP複合部材1からの圧力除去速度は特段制限されない。
金属部材11とFRTP12との間の剥離強度は、「JIS K 6854-3 接着剤-剥離接着強さ試験方法―第3部:T形はく離」で規定された方法により測定することができる。図4は、剥離強度試験に使用する試験片2を示す図である。詳細には、FRTP12の両方の面に金属部材11を接合させた幅15mm、長さ90mmの試験片を加工後の金属-FRTP複合部材1から切り出す。切り出した試験片の金属部材11をFRTP12から30mm引きはがし、金属部のみを90度に曲げ加工する。90度に曲げ加工された金属部をチャックでつかみ剥離試験機にセットし、剥離試験機のクロスヘッドスピードを300mm/分として、剥離強度試験を行い、得られる最大荷重を剥離強度とする。また、FRTP12の片方の面のみに金属部材11を接合し一体加工した金属-FRTP複合部材については、以下の方法によって試験片を作製し、剥離強度試験を行うことができる。金属―FRTP複合部材から幅15mm、長さ90mmの複合部材を切り出し、切り出した複合部材の金属部材11をFRTP12から30mm引きはがし、引きはがされた金属部を90度に曲げ加工する。金属部材11が接合した面とは反対側のFRTP12の面には、室温硬化型接着剤を用いて90度に曲げ加工した金属部材を接着する。上記のようにして作製された試験片を上記と同様に剥離試験機にセットし、剥離強度試験に用いることが可能である。なお、使用する室温硬化型接着剤と、FRTP12との接着強度を別途検討したところ、200N以上であったため、本剥離強度試験結果は、金属部材11とFRTP12との間の剥離強度を反映したものとなる。
上記では、金属部材11の上部にFRTP12を積層した場合について説明したが、図5に示すように、FRTP12の上部に金属部材11を積層して加工することも可能である。以下に、図5を参照しながら、FRTP12の上部に金属部材11を積層して一体加工する方法について説明する。
<2.2.2.方法2>
FRTP12の上部に金属部材11を積層して一体加工する場合、図5(a)に示すように、FRTP12の上部に金属部材11を積層した積層体を、図5(b)に示すように、支持板bに載せ、金型mを介して圧力を印加して加熱圧着する。
FRTP12の、金属部材11と接着する接着面は、方法1と同様に、例えば、ブラスト処理等による粗化や、プラズマ処理、コロナ処理などによる活性化がなされていることが好ましい。なお、図5(a)において、FRTP12に代えて、FRP成形用プリプレグを積層することもできる。また、FRTP12は、図2に示したように、1層に限らず、複数層であってもよい。
次に、図5(b)に示すように、FRTP12と金属部材11の積層体を支持板bに載せ、所定の加熱温度Tまで加熱する。このときの加熱温度Tは、方法1の加熱温度Tと同様である。
金属-FRTP複合部材1の離型性を向上するために、金型mの表面には、方法1と同様の離型処理が施されることが好ましい。また、支持板bの表面にも、方法1と同様の離型処理が施されることが好ましい。また、積層体加熱時は、方法1と同様の方法で金型mを予熱しておくことが好ましい。
次いで、図5(c)に示すように、金型mを用いて、金属部材11とFRTP12の成形体及び支持板bに圧力を印加し、上記の加熱温度Tで、所定の形状に加工する。このとき、金型mの形状は、金属部材11とFRTP12の積層体が所望の形状の金属-FRTP複合部材1となるように、支持板bの厚み等を考慮したものであることが好ましい。
プレス荷重、加工速度、圧力印加時間等は、方法1と同様の条件に設定することができる。
その後、図5(d)に示すように、離型温度Tで金型mによる圧力を除去し、金型mから取り外して金属-FRTP複合部材1を得る。このときの、離型温度Tは、方法1の離型温度Tと同様である。
本実施形態では、FRTP12は、金属部材11の少なくとも片側の面に接するように設けられている場合について説明したが、FRTP12は、金属部材11の片面のみに設けられている場合のみならず、両面にそれぞれ設けられていてもよい。FRTP12が金属部材11の両面に設けられる場合は、上記方法2を適用して加工することが可能である。また、2つの金属部材11の間にFRTP12を含む積層体が挟み込まれるような構造にしてもよい。
上述した本実施形態によれば、予め金属部材11とFRTP12とを貼り合わせる工程や、賦形する工程を要することなく、金属部材11とFRTP12とが強固に接合された金属-FRTP複合部材1の一体加工が可能となる。なお、本方法では、金属部材11とFRTP12とが予め接合されたものを用いて次工程で一体加工してもよい。
<3.第2の実施形態>
<3.1.金属-繊維強化樹脂材料複合体の構成>
本発明の第2の実施形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体は、マトリクス樹脂101Aとして非晶性の熱可塑性樹脂を含有し、複合化されたものである。図6、7を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体の構成について説明する。
金属-FRTP複合部材1Aは、FRTP12Aの非晶性の熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂101Aにより複合化されたものである。金属-FRTP複合部材1Aは、図6に示すように、金属部材11と、FRTP12Aと、を備える。金属部材11とFRTP12Aとは、FRTP12Aに含まれるマトリクス樹脂101Aによって複合化されている。
本実施形態では、FRTP12Aは、金属部材11の少なくとも片側の面に接するように設けられている。ただし、FRTP12Aは、金属部材11の片面のみに設けられている場合のみならず、両面にそれぞれ設けられていてもよい。また、2つの金属部材11の間にFRTP12Aを含む積層体が挟み込まれるような構造にしてもよい。
以下、金属-FRTP複合部材1Aの各構成要素及びその他の構成について詳述する。本実施形態に係る金属部材11については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
<3.1.1.FRTP12A>
FRTP12Aは、非晶性の熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂101Aと、当該マトリクス樹脂101A中に含有され、複合化された強化繊維102と、を有する。FRTP12Aとしては、方法1と同様に、例えば、FRP成形用プリプレグを用いて形成されたものや、強化繊維102を含有するマトリクス樹脂101Aが固化したコンポジットを使用することができ、1層に限らず、例えば図7に示すように、2層以上であってもよい。
(マトリクス樹脂101A)
主成分として結晶性樹脂の熱可塑性樹脂を含むマトリクス樹脂101Aにより、金属部材11とFRTP12Aとが強固に接着され、本実施形態に係る加工方法が実施されることで、強固に接着された状態を保持したまま、金属部材11とFRTP12Aとを一体加工することができる。
非晶性樹脂とは、示差走査熱量計、又は、示唆熱分析を用いて融点測定を行ったときに、結晶化に伴う発熱ピークが観測されず、ガラス転移点Tgのみが観測される樹脂である。マトリクス樹脂101Aに含有される非晶性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSU)等が挙げられる。マトリクス樹脂101に結晶性の熱可塑性樹脂が含有されることで、熱硬化性樹脂を使用した場合に生じる、FRPが脆性を有するため曲げ加工ができないことを解消することが可能となる。
また、マトリクス樹脂101Aとしては、強化繊維102Aとして炭素繊維を使用した場合、金属部材11との接着性、炭素繊維表面との親和性の観点から、フェノキシ樹脂を含有することが好ましい。フェノキシ樹脂を使用することが好ましい。「フェノキシ樹脂」とは、2価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応、又は2価フェノール化合物と2官能エポキシ樹脂との重付加反応から得られる線形の高分子であり、非晶質の熱可塑性樹脂である。フェノキシ樹脂は、溶液中又は無溶媒下で従来公知の方法で得ることができ、粉体、ワニス及びフィルムのいずれの形態でも使用することができる。
フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と分子構造が酷似しているため、エポキシ樹脂と同程度の耐熱性を有し、また、金属部材11との接着性が良好となる。さらに、フェノキシ樹脂に、エポキシ樹脂のような硬化成分を添加して共重合させることで、いわゆる部分硬化型樹脂とすることができる。このような部分硬化型樹脂をマトリクス樹脂101Aとして使用することにより、強化繊維102への含浸性に優れるマトリクス樹脂とすることができる。さらには、この部分硬化型樹脂中の硬化成分を熱硬化させることで、通常の熱可塑性樹脂のようにFRTP12A中のマトリクス樹脂101Aが高温に曝された際に溶融又は軟化することを抑制できる。フェノキシ樹脂への硬化成分の添加量は、強化繊維102への含浸性と、FRTP12Aの脆性、タクトタイム及び加工性等とを考慮し、適宜決めればよい。このように、フェノキシ樹脂をマトリクス樹脂101Aとして使用することで、自由度の高い硬化成分の添加と制御を行うことが可能となる。
なお、例えば、強化繊維102の表面には、エポキシ樹脂と馴染みのよいサイジング剤が施されていることが多い。フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂の構造と酷似していることから、マトリクス樹脂101Aとしてフェノキシ樹脂を使用することにより、エポキシ樹脂用のサイジング剤をそのまま使用することができる。そのため、コスト競争力を高めることができる。
また、熱可塑性樹脂の中でもフェノキシ樹脂は、良成形性を備え、強化繊維102との接着性に優れる他、酸無水物やイソシアネート化合物、カプロラクタム等を架橋剤として使用することで、成形後に高耐熱性の熱硬化性樹脂と同様の性質を持たせることもできる。よって、本実施形態では、マトリクス樹脂101Aの樹脂成分として、樹脂成分100質量部に対してフェノキシ樹脂を50質量部以上含む樹脂組成物の固化物又は硬化物を用いることが好ましい。このような樹脂組成物を使用することによって、金属部材11とFRTP12Aとを強固に接合することが可能になる。樹脂組成物は、樹脂成分100質量部のうちフェノキシ樹脂を55質量部以上含むことがより好ましい。接着樹脂組成物の形態は、例えば、粉体、ワニスなどの液体、フィルムなどの固体とすることができる。なお、単に「固化物」というときは、樹脂成分自体が固化したものを意味し、「硬化物」というときは、樹脂成分に対して各種の硬化剤を含有させて硬化させたものを意味する。なお、硬化物に含有されうる硬化剤には、後述するような架橋剤も含まれ、上記の「硬化物」は、架橋硬化物を含むものとする。
なお、フェノキシ樹脂の含有量は、以下のように、赤外分光法(IR:InfraRed spectroscopy)を用いて測定可能であり、赤外分光法で対象とする樹脂組成物からフェノキシ樹脂の含有割合を分析する場合、透過法やATR反射法など、赤外分光分析の一般的な方法を使うことで、測定することができる。
鋭利な刃物等でFRTP12Aを削り出し、可能な限り繊維をピンセットなどで除去して、FRTP12Aから分析対象となる樹脂組成物をサンプリングする。透過法の場合は、KBr粉末と分析対象となる樹脂組成物の粉末とを乳鉢などで均一に混合しながら潰すことで薄膜を作製して、試料とする。ATR反射法の場合は、透過法同様に粉末を乳鉢で均一に混合しながら潰すことで錠剤を作製して、試料を作製しても良いし、単結晶KBr錠剤(例えば直径2mm×厚み1.8mm)の表面にヤスリなどで傷をつけ、分析対象となる樹脂組成物の粉末をまぶして付着させて試料としても良い。いずれの方法においても、分析対象となる樹脂と混合する前のKBr単体におけるバックグラウンドを測定しておくことが重要である。IR測定装置は、市販されている一般的なものを用いることができるが、精度としては吸収(Absorbance)は1%単位で、波数(Wavenumber)は1cm-1単位で区別が出来る分析精度をもつ装置が好ましく、例えば、日本分光株式会社製のFT/IR-6300などが挙げられる。
フェノキシ樹脂の含有量を調査する場合、フェノキシ樹脂の吸収ピークは、例えば1450~1480cm-1、1500cm-1近傍、1600cm-1近傍などに存在する。そのため、予め作成しておいた、上記吸収ピークの強度とフェノキシ樹脂の含有量との関係を示した検量線と、測定された吸収ピークの強度と、に基づいて、フェノキシ樹脂の含有量を計算することが可能である。
フェノキシ樹脂の平均分子量は、質量平均分子量(Mw)として、例えば、10,000以上200,000以下の範囲内であるが、好ましくは20,000以上100,000以下の範囲内であり、より好ましくは30,000以上80,000以下の範囲内である。フェノキシ樹脂のMwを10,000以上の範囲内とすることで、成形体の強度を高めることができ、この効果は、Mwを20,000以上、さらには30,000以上とすることで、さらに高まる。一方、フェノキシ樹脂のMwを200,000以下とすることで、作業性や加工性に優れるものとすることができ、この効果は、Mwを100,000以下、さらには80,000以下とすることで、さらに高まる。
本実施形態で用いるフェノキシ樹脂の水酸基当量(g/eq)は、例えば、50以上1000以下の範囲内であるが、好ましくは50以上750以下の範囲内であり、より好ましくは50以上500以下の範囲内である。フェノキシ樹脂の水酸基当量を50以上とすることで、水酸基が減ることで吸水率が下がるため、硬化物の機械物性を向上させることができる。一方、フェノキシ樹脂の水酸基当量を1000以下とすることで、水酸基が少なくなるのを抑制できるので、金属-FRTP複合部材1Aの機械物性を向上させることができる。この効果は、水酸基当量を750以下、さらには500以下とすることでさらに高まる。
フェノキシ樹脂としては、上記の物性を満足するものであれば特に限定されないが、好ましいものとして、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製フェノトートYP-50、フェノトートYP-50S、フェノトートYP-55Uとして入手可能)、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製フェノトートFX-316として入手可能)、ビスフェノールAとビスフェノールFの共重合型フェノキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YP-70として入手可能)、上記に挙げたフェノキシ樹脂以外の臭素化フェノキシ樹脂やリン含有フェノキシ樹脂、スルホン基含有フェノキシ樹脂などの特殊フェノキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製フェノトートYPB-43C、フェノトートFX293、YPS-007等として入手可能)などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
◇架橋性樹脂組成物
フェノキシ樹脂(以下、「フェノキシ樹脂(A)」ともいう。)を含有する樹脂組成物に、例えば、酸無水物、イソシアネート、カプロラクタムなどを架橋剤として配合することにより、架橋性樹脂組成物(すなわち、樹脂組成物の硬化物)とすることもできる。架橋性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂(A)に含まれる2級水酸基を利用して架橋反応させることにより、樹脂組成物の耐熱性が向上するため、より高温環境下で使用される部材への適用に有利となる。フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基を利用した架橋形成には、架橋硬化性樹脂(B)と架橋剤(C)を配合した架橋性樹脂組成物を用いることが好ましい。架橋硬化性樹脂(B)としては、例えばエポキシ樹脂等を使用できるが、特に限定するものではない。このような架橋性樹脂組成物を用いることによって、樹脂組成物のガラス転移点Tgがフェノキシ樹脂(A)単独の場合よりも大きく向上した第2の硬化状態の硬化物(架橋硬化物)が得られる。架橋性樹脂組成物の架橋硬化物のガラス転移点Tgは、例えば、160℃以上であり、170℃以上220℃以下の範囲内であることが好ましい。
架橋性樹脂組成物において、フェノキシ樹脂(A)に配合する架橋硬化性樹脂(B)としては、2官能性以上のエポキシ樹脂が好ましい。2官能性以上のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYD-011、エポトートYD-7011、エポトートYD-900として入手可能)、ビスフェノールFタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDF-2001として入手可能)、ジフェニルエーテルタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YSLV-80DEとして入手可能)、テトラメチルビスフェノールFタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YSLV-80XYとして入手可能)、ビスフェノールスルフィドタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YSLV-120TEとして入手可能)、ハイドロキノンタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDC-1312として入手可能)、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂、(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDPN-638として入手可能)、オルソクレゾールノボラックタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYDCN-701、エポトートYDCN-702、エポトートYDCN-703、エポトートYDCN-704として入手可能)、アラルキルナフタレンジオールノボラックタイプエポキシ樹脂(例えば、新日鉄住金化学株式会社製ESN-355として入手可能)、トリフェニルメタンタイプエポキシ樹脂(例えば、日本化薬株式会社製EPPN-502Hとして入手可能)等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、架橋硬化性樹脂(B)としては、特に限定する意味ではないが、結晶性エポキシ樹脂が好ましく、融点が70℃以上145℃以下の範囲内で、150℃における溶融粘度が2.0Pa・s以下である結晶性エポキシ樹脂がより好ましい。このような溶融特性を示す結晶性エポキシ樹脂を使用することにより、樹脂組成物としての架橋性樹脂組成物の溶融粘度を低下させることができ、FRTP12Aの接着性を向上させることができる。溶融粘度が2.0Pa・sを超えると、架橋性樹脂組成物の成形性が低下し、金属-FRTP複合部材1Aの均質性が低下することがある。
架橋硬化性樹脂(B)として好適な結晶性エポキシ樹脂としては、例えば、新日鉄住金化学株式会社製エポトートYSLV-80XY、YSLV-70XY、YSLV-120TE、YDC-1312、三菱化学株式会社製YX-4000、YX-4000H、YX-8800、YL-6121H、YL-6640等、DIC株式会社製HP-4032、HP-4032D、HP-4700等、日本化薬株式会社製NC-3000等が挙げられる。
架橋剤(C)は、フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基とエステル結合を形成することにより、フェノキシ樹脂(A)を3次元的に架橋させる。そのため、熱硬化性樹脂の硬化のような強固な架橋とは異なり、加水分解反応により架橋を解くことができるので、金属部材11とFRTP12Aとを容易に剥離することが可能となる。
架橋剤(C)としては、酸無水物が好ましい。酸無水物は、常温で固体であり、昇華性があまり無いものであれば特に限定されるものではないが、金属-FRTP複合部材1Aへの耐熱性付与や反応性の点から、フェノキシ樹脂(A)の水酸基と反応する酸無水物を2つ以上有する芳香族酸無水物が好ましい。特に、ピロメリット酸無水物のように2つの酸無水物基を有する芳香族化合物は、トリメリット酸無水物と水酸基の組み合わせと比べて架橋密度が高くなり、耐熱性が向上するので好適に使用される。芳香族酸二無水物でも、例えば、4,4’―オキシジフタル酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物といったフェノキシ樹脂及びエポキシ樹脂に対して相溶性を有する芳香族酸二無水物は、ガラス転移点Tgを向上させる効果が大きくより好ましい。特に、ピロメリット酸無水物のように2つの酸無水物基を有する芳香族酸二無水物は、例えば、酸無水物基を1つしか有しない無水フタル酸に比べて架橋密度が向上し、耐熱性が向上するので好適に使用される。すなわち、芳香族酸二無水物は、酸無水物基を2つ有するために反応性が良好で、短い成形時間で脱型に十分な強度の架橋硬化物が得られるとともに、フェノキシ樹脂(A)中の2級水酸基とのエステル化反応により、4つのカルボキシル基を生成させるため、最終的な架橋密度を高くできる。
フェノキシ樹脂(A)、架橋硬化性樹脂(B)としてのエポキシ樹脂、及び架橋剤(C)の反応は、フェノキシ樹脂(A)中の2級水酸基と架橋剤(C)の酸無水物基とのエステル化反応、更にはこのエステル化反応により生成したカルボキシル基とエポキシ樹脂のエポキシ基との反応によって架橋及び硬化される。フェノキシ樹脂(A)と架橋剤(C)との反応によってフェノキシ樹脂架橋体を得ることができるが、エポキシ樹脂が共存することで樹脂組成物の溶融粘度を低下させられるため、被着体との含浸性の向上、架橋反応の促進、架橋密度の向上、及び機械強度の向上などの優れた特性を示す。
なお、架橋性樹脂組成物においては、架橋硬化性樹脂(B)としてのエポキシ樹脂が共存してはいるが、熱可塑性樹脂であるフェノキシ樹脂(A)を主成分としており、その2級水酸基と架橋剤(C)の酸無水物基とのエステル化反応が優先していると考えられる。すなわち、架橋剤(C)として使用される酸無水物と、架橋硬化性樹脂(B)として使用されるエポキシ樹脂との反応は時間がかかる(反応速度が遅い)ため、架橋剤(C)とフェノキシ樹脂(A)の2級水酸基との反応が先に起こり、次いで、先の反応で残留した架橋剤(C)や、架橋剤(C)に由来する残存カルボキシル基とエポキシ樹脂とが反応することで更に架橋密度が高まる。そのため、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とする樹脂組成物とは異なり、架橋性樹脂組成物によって得られる架橋硬化物は熱可塑性樹脂であり、貯蔵安定性にも優れる。
フェノキシ樹脂(A)の架橋を利用する架橋性樹脂組成物においては、フェノキシ樹脂(A)100質量部に対して、架橋硬化性樹脂(B)が5質量部以上85質量部以下の範囲内となるように含有されることが好ましい。フェノキシ樹脂(A)100質量部に対する架橋硬化性樹脂(B)の含有量は、より好ましくは9質量部以上83質量部以下の範囲内であり、さらに好ましくは10質量部以上80質量部以下の範囲内である。架橋硬化性樹脂(B)の含有量を85質量部以下とすることにより、架橋硬化性樹脂(B)の硬化時間を短縮できるため、脱型に必要な強度を短時間で得やすくなる他、FRTP12Aのリサイクル性が向上する。この効果は、架橋硬化性樹脂(B)の含有量を83質量部以下、更には80質量部以下とすることにより、さらに高まる。一方、架橋硬化性樹脂(B)の含有量を5質量部以上とすることにより、架橋硬化性樹脂(B)の添加による架橋密度の向上効果を得やすくなり、架橋性樹脂組成物の架橋硬化物が160℃以上のガラス転移点Tgを発現しやすくなり、また、流動性が良好になる。ここで、架橋性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂(A)がFRTP12Aの全体積に対して、20~80体積%含まれ、FRTP12Aの全体積に対して強化繊維102が20~70体積%含まれる範囲において、上記に記載した、フェノキシ樹脂(A)と架橋性樹脂組成物との割合を満たすように含有されることが好ましい。なお、架橋硬化性樹脂(B)の含有量は、上述したような赤外分光法を用いた方法によって、エポキシ樹脂由来のピークについて同様に測定することで、架橋硬化性樹脂(B)の含有量を測定できる。
架橋剤(C)の配合量は、通常、フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基1モルに対して酸無水物基0.6モル以上1.3モル以下の範囲内の量であり、好ましくは0.7モル以上1.3モル以下の範囲内の量であり、より好ましくは1.1モル以上1.3モル以下の範囲内である。酸無水物基の量が0.6モル以上であると、架橋密度が高くなるため、機械物性や耐熱性に優れる。この効果は、酸無水物基の量を0.7モル以上、更には1.1モル以上とすることにより、さらに高まる。酸無水物基の量が1.3モル以下であると、未反応の酸無水物やカルボキシル基が硬化特性や架橋密度に悪影響を与えることを抑制できる。このため、架橋剤(C)の配合量に応じて、架橋硬化性樹脂(B)の配合量を調整することが好ましい。具体的には、例えば、架橋硬化性樹脂(B)として用いるエポキシ樹脂により、フェノキシ樹脂(A)の2級水酸基と架橋剤(C)の酸無水物基との反応により生じるカルボキシル基を反応させることを目的に、エポキシ樹脂の配合量を架橋剤(C)との当量比で0.5モル以上1.2モル以下の範囲内となるようにするとよい。好ましくは、架橋剤(C)とエポキシ樹脂の当量比が、0.7モル以上1.0モル以下の範囲内である。
架橋剤(C)をフェノキシ樹脂(A)、架橋硬化性樹脂(B)と共に配合すれば、架橋性樹脂組成物を得ることができるが、架橋反応が確実に行われるように触媒としての促進剤(D)を更に含有させてもよい。促進剤(D)は、常温で固体であり、昇華性が無いものであれば特に限定はされるものではなく、例えば、トリエチレンジアミン等の3級アミン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニルー4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等の有機フォスフィン類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらの促進剤(D)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、架橋性樹脂組成物を微粉末とし、静電場による粉体塗装法を用いて強化繊維基材に付着させてマトリクス樹脂101Aを形成する場合は、促進剤(D)として、触媒活性温度が130℃以上である常温で固体のイミダゾール系の潜在性触媒を用いることが好ましい。促進剤(D)を使用する場合、促進剤(D)の配合量は、フェノキシ樹脂(A)、架橋硬化性樹脂(B)及び架橋剤(C)の合計量100質量部に対して、0.1質量部以上5重量部以下の範囲内とすることが好ましい。
架橋性樹脂組成物は、常温で固形であり、その溶融粘度は、160~250℃の範囲内の温度域における溶融粘度の下限値である最低溶融粘度が3,000Pa・s以下であることが好ましく、2,900Pa・s以下であることがより好ましく、2,800Pa・s以下であることが更に好ましい。160~250℃の範囲内の温度域における最低溶融粘度が3,000Pa・s以下とすることにより、熱プレスなどによる加熱圧着時に架橋性樹脂組成物を被着体へ十分に含浸させることができ、FRTP12Aにボイド等の欠陥を生じることを抑制できるため、金属-FRTP複合部材1Aの機械物性が向上する。この効果は、160~250℃の範囲内の温度域における最低溶融粘度を2,900Pa・s以下、更には2,800Pa・s以下とすることにより、更に高まる。
マトリクス樹脂101には、その接着性や物性を損なわない範囲において、例えば、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー等や、種々の無機フィラー、溶剤、顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、難燃助剤等その他添加物を配合してもよい。エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、アルケン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー等が使用可能である。添加物は、熱可塑性樹脂と、強化繊維102とを含む合計が100体積%となるように配合されることが好ましい。
マトリクス樹脂101Aに含有される熱可塑性樹脂の含有率は、FRTP12の全体積に対して、20体積%以上80体積%以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が20体積%未満であると、金属部材11とFRTP12との加熱圧着が不十分となり、圧着面で剥離する可能性がある。一方、熱可塑性樹脂の含有率が80体積%超であると、プレス加工時に軟化溶融した樹脂が金型に流れ出し、CFRTP中にボイドや欠陥が入るのを促し、複合材の強度が低下するという問題が発生する可能性がある。より好ましくは、マトリクス樹脂101に含有される熱可塑性樹脂の含有率は、35体積%以上75体積%以下である。マトリクス樹脂101Aは、マトリクス樹脂101Aの含有率と強化繊維102との含有率の合計が100体積%となるように含有されることが好ましい。
(強化繊維102)
本実施形態に用いられる強化繊維102の材質及び強化繊維基材は、第1の実施形態に用いられる強化繊維102と同様のものが用いられることが好ましい
(繊維密度)
FRTP12Aの繊維密度(VF:Volume Fraction)は、第1の実施形態と同様に、強化繊維102はFRTP12の全体積に対して20~70体積%含まれることが好ましい。強化繊維102として連続繊維を用いた場合、FRTP12のVFは、40体積%以上70体積%以下であることが好ましく、55体積%以上65体積%以下であることがより好ましい。また、強化繊維102として短繊維を用いた場合、FRTP12のVFは、20体積%以上50体積%以下であることが好ましく、25体積%以上45%体積%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る金属-FRTP複合部材1Aにおいて、FRTP12Aは、少なくとも1枚以上のCFRTP成形用プリプレグを用いて形成されたものである。FRTP12Aは、1層に限らず、例えば図7に示すように、2層以上であってもよい。FRTP12Aの厚みや、FRTP12Aを複数層とする場合のFRTP12Aの層数nは、使用目的に応じて適宜設定すればよい。FRTP12Aが複数層ある場合、各層は、同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。また、FRTP12Aを構成する強化繊維102の種類や含有比率なども、層ごとに異なっていてもよい。
<3.2.金属-FRTP複合部材1Aの加工方法>
以上、本実施形態に係る金属-繊維強化樹脂材料複合体としての金属-FRTP複合部材1Aの構成を詳細に説明したが、続いて、図8、9を参照しながら、本実施形態に係る金属-FRTP複合部材1Aの加工方法について説明する。図8、9は、金属-FRTP複合部材1Aの加工工程例を示す説明図である。
金属-FRTP複合部材1Aは、所望の形状に加工されたFRTP12Aと金属部材11とを、所定の加熱温度に加熱した後、所定の形状を有する金型を介して所定の圧力を印加して一体加工する一体加工工程と、一体加工された金属部材11及びFRTP12Aを、所定の温度で金型から離型する離型工程とを経ることにより一体加工される。本発明における一体加工とは、FRTP12Aと金属部材11がマトリクス樹脂101Aにより接着し、金属部材11とFRTP12Aが剥離することなく加工することである。以下に、金属部材11とFRTP12Aとを加熱圧着することによって複合化(一体化)する方法について説明する。
<3.2.1.方法1>
まず、図8(a)に示すように、金属部材11の少なくとも片側の面にFRTP12Aを配置して積層し、積層体とする。図8では、第1の実施形態と同様に、凸状形状を有する金型を上部金型m1、凹状形状を有する金型を下部金型m2とし、金属部材11の上部、すなわち上部金型m1側にFRTP12が配置される場合を示している。金属部材11の上部にFRTP12Aが配置される場合を示している。このとき、FRTP12Aの、金属部材と接着する接着面は、第1の実施形態と同様の方法で活性化がなされていることが好ましい。また、金属部材11に対しても、第1の実施形態と同様の方法により、予め表面の付着物の除去や脱脂を行うことが好ましい。なお、図8(a)において、FRTP12Aに代えて、FRP成形用プリプレグを積層することもできる。
なお、図8(a)において、FRTP12Aに代えて、FRP成形用プリプレグを積層した積層体を後述する一体加工時に、FRP成形用プリプレグと金属部材11Aとを複合化しながら一体加工することも可能である。また、予め金属部材11AとFRTP12Aとが複合化したものを、後述する方法で一体加工することも可能である。また、FRTP12Aは、図7に示したように、1層に限らず、複数層であってもよい。
次に、図8(b)に示すように、この金属部材11とFRTP12Aの積層体を所定の加熱温度Tまで加熱する。上記加熱温度Tは、FRTP単体が長時間、例えば1時間以上その温度に保持されるとFRTPの自重により変形が生じてしまう温度、すなわち単独では形状を保持できない温度である。具体的には、加熱温度Tは、FRPのマトリクス樹脂101Aに含有される熱可塑性樹脂のガラス転移点をTgとしたとき、熱可塑性樹脂の分解温度よりも低温、かつ、(Tg+50)℃以上(Tg+200)℃以下の範囲内の温度であることが好ましい。加熱温度Tが熱可塑性樹脂の分解温度以上であると、熱可塑性樹脂が分解して金属部材11との接着性が低下し、その結果、金属-FRTP複合部材1Aの強度が低下する可能性がある。本実施形態における分解温度とは、空気雰囲気下でFRTP12に含有される樹脂の熱重量測定を行ったときに、重量減少が1%となる温度をいうものとする。加熱温度Tが(Tg+50)℃未満であると、金属部材11とFRTP12Aとの界面で剥離が生じる場合がある。また、加熱温度Tが(Tg+50)℃未満であると、マトリクス樹脂101Aの流動性が低いため、複数層のFRTP12Aが積層されているときに、曲げ加工時にFRTP12Aの層の間でせん断ずれが生じる場合がある。加熱温度Tが(Tg+200)℃超であると、マトリクス樹脂101Aの流動性が高くなり過ぎることで、マトリクス樹脂101Aが金型mから流出することがある。その結果、FRTP12A中のマトリクス樹脂が減少し、複合体の強度が低下する可能性がある。加熱温度Tは、より好ましくは、(Tg+90)℃以上(Tg+150)℃以下である。
金属-FRTP複合部材1Aの離型性を向上するために、金型mの表面には、第1の実施形態と同様の方法で、離型処理及び金型mの予熱が施されることが好ましい。
次いで、図8(c)に示すように、金型mを用いて、金属部材11とFRTP12Aに圧力を印加し、上記の加熱温度Tで、所定の形状に加工する。
加工時のプレス荷重は、0.1kN以上100kN以下であるであることが好ましい。0.1kN未満であると、厚みが12mm未満のFRTP12と厚みが0.1mm以上の鋼板の複合材とを所定の形状に加工することができない場合がある。一方、プレス荷重が100kNであると、繊維が破壊する可能性の場合があり好ましくない。
金属部材11とFRPとの積層体の加工速度は、材料のひずみ速度で定義し、その範囲は0.05~10s-1であることが好ましい。材料のひずみ速度は、金型mの速度を材料の厚みで除した値である。このひずみ速度が0.05s-1未満であると一体成型は可能であるが、生産性が著しく低下する。10s-1超であるとFRTP12中の樹脂が鋼板の加工に追随できず、FRTP12の層間でずれが生じる可能性がある。より好ましくは、加工速度は、金属部材11とFRPとの積層体のひずみ速度が0.5s-1以上5s-1以下となる範囲の加工速度である。
プレス時間は、少なくとも1分以上であれば、FRTP中の樹脂が鋼板に移動し、接着性が担保されるため一体化した金属-FRTP複合部材1の加工が可能であり、5分以上であると好ましい。特に上限はないが、生産性の観点から10分以下であると好ましい。
その後、図8(d)に示すように、離型温度Tで金型mによる圧力を除去し、金型mから取り外して金属-FRTP複合部材1Aを得る。
このときの離型温度Tは、FRTP単体が上記温度で保持された際に、微小な力、例えば、1N以上の力が加えられた時にFRTP内の炭素繊維や樹脂に亀裂などが入らず簡単に変形してしまう温度、すなわち形状が定まりきっていない所定の温度である。具体的には、加熱温度Tは、(Tg+20)℃以上(Tg+200)℃以下の範囲内の温度であることが好ましい。離型温度Tが(Tg+20)℃未満であると、金属部材11のスプリングバックにFRTP12Aが追随できず、金属部材11とFRTP12Aとの界面で剥離が生じる場合がある。また、離型温度Tが(Tg+200)℃超であると、マトリクス樹脂101Aの流動性が高くなり過ぎることで、マトリクス樹脂101Aが金型mから流出しすることがある。その結果、FRTP12A中のマトリクス樹脂が減少し、複合体の強度が低下する可能性がある。離型温度Tは、より好ましくは、(Tg+50)℃以上(Tg+150)℃以下である。
離型温度Tが上記温度範囲であれば、FRTP12A中の樹脂が金属部材11のスプリングバックに追随できるような流動性を有しているため、金属-FRTP複合部材1Aからの圧力除去速度は特段制限されない。
金属部材11とFRTP12との間の剥離強度は、第1の実施形態と同様に、「JIS K 6854-3 接着剤-剥離接着強さ試験方法―第3部:T形はく離」で規定された方法により測定することができる。
上記では、金属部材11の上部にFRTP12Aを積層した場合について、説明したが、図9に示すように、FRTP12Aの上部に金属部材11を積層して加工することも可能である。以下に、図9を参照しながら、FRTP12Aの上部に金属部材11を積層して一体加工する方法について説明する。
<3.2.2.方法2>
FRTP12Aの上部に金属部材11を積層して一体加工する場合、図9(a)に示すように、FRTP12Aの上部に金属部材11を積層した積層体を、図9(b)に示すように、支持板bに載せ、金型mを介して圧力を印加して加熱圧着する。
FRTP12Aの、金属部材11と接着する接着面は、第1の実施例と同様に、例えば、ブラスト処理等による粗化や、プラズマ処理、コロナ処理などによる活性化がなされていることが好ましい。なお、図9(a)において、FRTP12Aに代えて、FRP成形用プリプレグを積層することもできる。また、FRTP12Aは、図7に示したように、1層に限らず、複数層であってもよい。
次に、図9(b)に示すように、FRTP12Aと金属部材11の積層体を支持板bに載せ、所定の加熱温度Tまで加熱する。このときの加熱温度Tは、方法1の加熱温度Tと同様である。
金属-FRTP複合部材1Aの離型性を向上するために、金型mの表面には、方法1と同様の離型処理が施されることが好ましい。また、支持板bの表面にも、方法1と同様の離型処理が施されることが好ましい。また、積層体加熱時は、方法1と同様の方法で金型mを予熱しておくことが好ましい。
次いで、図9(c)に示すように、金型mを用いて、金属部材11とFRTP12Aの成形体及び支持板bに成型圧力を印加し、上記の加熱温度Tで、所定の形状に加工する。このとき、金型mの形状は、金属部材11とFRTP12Aの積層体が所望の形状の金属-FRTP複合部材1となるように、支持板bの厚み等を考慮したものであることが好ましい。プレス荷重、加工速度、圧力印加時間等は、方法1と同様の条件に設定することができる。
その後、図9(d)に示すように、離型温度Tで金型mによる圧力を除去し、金型mから取り外して金属-FRTP複合部材1Aを得る。このときの、離型温度Tは、方法1の離型温度Tと同様である。
上述した本実施形態によれば、予め金属部材11とFRTP12Aとを貼り合わせる工程や、賦形する工程を要することなく、金属部材11とFRTP12Aとが強固に接合された金属-FRTP複合部材1Aの一体加工が可能となる。なお、本方法では、金属部材11とFRTP12Aとが予め接合されたものを用いて次工程で一体加工してもよい。
以下に実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例における各種物性の試験及び測定方法は以下の通りである。
<4.第1の実施例>
FRTP12のマトリクス樹脂101に含有される熱可塑性樹脂に結晶性樹脂を用い、先だって説明した方法1により金属部材11とFRTP12を一体加工して供試体を作製した。表1-1及び表1-2に、各供試体の製造条件を示す。
Figure 0007020184000001
Figure 0007020184000002
金属部材11には、鋼板及びアルミニウム合金板(A5052)を使用した。使用した鋼板の降伏応力とヤング率の比は5.5×10-3であり、当該鋼板の厚みは、1.5mmであった。使用したアルミニウム合金の降伏応力とヤング率の比は3.56×10-3であり、当該アルミニウム合金の厚みは0.6mmであった。FRTP12に含有される強化繊維102として、炭素繊維クロス(東邦テナックス社製PAN系炭素繊維STS60)、及び、一方向性ガラス繊維を使用した。マトリクス樹脂101に含有される結晶性の熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン及びナイロンを使用した。また、マトリクス樹脂101中の添加物として、オレフィン系エラストマー(住友化学社製、エスポレックスTPEシリーズ)を使用した。一方向性ガラス繊維を含むFRTP12としては、ナイロンをマトリクス樹脂101とするTENCATE社製ガラス繊維プリプレグ:CETEX TC960を使用した。上記の金属部材11の上部にFRTP12を積層した積層体を、表1-1及び表1-2に記載の加熱温度Tで加熱し、ひずみ速度1s-1、プレス荷重を50kNに設定し、プレス時間5分として、この積層体を加工した。その後、表1-1及び表1-2に記載の離型温度Tで金型mから離型し、複合体を得た。このとき、離型剤として、ダイキン工業社製ダイフリーを金型にスプレー塗布した。
上記方法で得られた試料について、金属部材11とFRTP12との界面剥離の有無及びFRTP12のせん断ずれの確認を行った。金属部材11とFRTP12との界面剥離について、金属部材11とFRTP12との界面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、VH-5500)を使用して観察し、50μm以上の界面剥離が観察されなかったものを極めて良好(◎)とし、100μm以上の剥離が確認されなかったものを良好(○)とし、100μm以上の剥離が確認された場合を不合格(×)とした。
FRTP12のせん断ずれについて、加工して得られた試料のFRTP12の表面を観察し、100μm以上の突起が観察されないものを極めて良好(◎)とし、500μm以上の突起が確認されなかったものを良好(○)とし、500μm以上の突起が確認されたものを不合格(×)とした。
また、剥離強度試験は以下の方法で行った。作成された試料から幅15mm、長さ90mmの試験片を切り出し、試験片の金属部材11をFRTP12から30mm引きはがし、金属部のみを90度に曲げ加工する。金属部材11が接合した面とは反対側のFRTP12の面には、室温硬化型接着剤を用いて90度に曲げ加工した金属部材を接着する。上記のようにして作製された試験片を剥離強度試験に用いることが可能である。なお、使用した室温硬化型接着剤と、FRTP12との接着強度を別途検討したところ、200N以上であったため、本剥離強度試験結果は、金属部材11とFRTP12との間の剥離強度を反映したものとなる。
表1-1及び表1-2に示したように、加熱温度Tを(Tm-20)℃以上(Tm+10)℃以下の温度範囲内に設定して、金属部材11及びFRTP12を一体加工した後、離型温度Tを(Tm-30)℃以上(Tm+10)℃以下の温度範囲内に設定して金属-FRTP複合部材1を金型から離型することで、成形性及び加工性に優れた金属-FRTP複合部材1が得られることが分かった。また、本実施形態に係る加工方法により得られた金属-FRTP複合部材1は、剥離強度20N以上を示すことが分かった。
<5.第2の実施例>
FRTP12Aのマトリクス樹脂101Aに含有される熱可塑性樹脂に非晶性樹脂を用い、先だって説明した第2の実施形態の方法1を適用して、金属部材11とFRTP12Aを一体加工して供試体を作製した。表2-1~2-3に、各供試体の製造条件を示す。
Figure 0007020184000003
Figure 0007020184000004
Figure 0007020184000005
金属部材11には、鋼板、アルミニウム板及びアルミニウム合金板(A5052)を使用した。使用した鋼板の降伏応力とヤング率の比は5.5×10-3であり、当該鋼板の厚みは、1.5mmであった。使用したアルミニウム板の降伏応力とヤング率の比は1.0×10-3であり、当該アルミニウム板の厚みは0.5mmであった。使用したアルミニウム合金の降伏応力とヤング率の比は3.56×10-3であり、当該アルミニウム合金の厚みは0.6mmであった。FRTP12に含有される強化繊維102として、炭素繊維クロス(東邦テナックス社製PAN系炭素繊維STS60)、及び、一方向性ガラス繊維を使用した。マトリクス樹脂101に含有される結晶性の熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン及びナイロンを使用した。また、マトリクス樹脂101中の添加物として、オレフィン系エラストマー(住友化学社製、エスポレックスTPEシリーズ)を使用した。一方向性ガラス繊維を含むFRTP12としては、ポリカーボネートをマトリクス樹脂101とするTENCATE社製ガラス繊維プリプレグ:CETEX TC920を使用した。上記の金属部材11の上部にFRTP12Aを積層した積層体を、表2-1~表2-3に記載の加熱温度Tで加熱し、ひずみ速度1s-1、プレス荷重を50kNに設定し、プレス時間5分として、この積層体を加工した。その後、表2-1~表2-3に記載の離型温度Tで金型mから離型し、複合体を得た。このとき、離型剤として、ダイキン工業社製ダイフリーを金型にスプレー塗布した。
上記方法で得られた試料について、金属部材11とFRTP12Aとの界面剥離の有無及びFRTP12Aのせん断ずれの確認を行った。金属部材11とFRTP12Aとの界面剥離について、金属部材11とFRTP12Aとの界面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、VH-5500)を使用して観察し、50μm以上の界面剥離が観察されなかったものを極めて良好(◎)とし、100μm以上の剥離が確認されなかったものを良好(○)とし、100μm以上の剥離が確認されたものを不合格(×)とした。
FRTP12Aのせん断ずれについて、加工して得られた試料のFRTP12Aの表面を観察し、100μm以上の突起が観察されないものを極めて良好(◎)とし、500μm以上の突起が確認されなかったものを良好(○)とし、500μm以上の突起が確認されたものを不合格(×)とした。
また、剥離強度試験は以下の方法で行った。作成された試料から幅15mm、長さ90mmの試験片を切り出し、試験片の金属部材11をFRTP12Aから30mm引きはがし、金属部のみを90度に曲げ加工する。金属部材11が接合した面とは反対側のFRTP12Aの面には、室温硬化型接着剤を用いて90度に曲げ加工した金属部材を接着する。上記のようにして作製された試験片を剥離強度試験に用いることが可能である。なお、使用した室温硬化型接着剤と、FRTP12との接着強度を別途検討したところ、200N以上であったため、本剥離強度試験結果は、金属部材11とFRTP12との間の剥離強度を反映したものとなる。
表2-1~表2-3に示したように、加熱温度Tを、400℃未満、かつ、(Tg+50)℃以上(Tg+200)℃以下の温度範囲内に設定して、金属部材11及びFRTP12Aを一体加工した後、離型温度Tを、400℃未満、かつ、(Tg+20)℃以上(Tg+200)℃以下の温度範囲内に設定して金属-FRTP複合部材1Aを金型から離型することで、成形性及び加工性に優れた金属-FRTP複合部材1Aが得られることが分かった。また、本実施形態に係る加工方法により得られた金属-FRTP複合部材1Aは、剥離強度20N以上を示すことが分かった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1A 金属-FRTP複合部材
11 金属部材
12、12A FRTP
101、101A マトリクス樹脂
102 強化繊維

Claims (13)

  1. 熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂及び強化繊維材料を有する繊維強化樹脂材料が少なくとも一方の面に配置された金属板を、前記繊維強化樹脂材料単独では形状を保持できない所定の温度に加熱した後、所定の形状を有する金型を介して所定の圧力を印加して前記金型の前記所定の形状に倣った形状に一体加工する一体加工工程と、
    一体加工された前記金属板及び前記繊維強化樹脂材料を、前記繊維強化樹脂材料の形状が定まりきっていない所定の温度で前記金型から離型する離型工程と、を含み、
    前記熱可塑性樹脂は、融点Tmを有する結晶性樹脂であり、
    前記一体加工工程における加熱温度は、(Tm-20)~(Tm+10)℃の温度範囲の温度であり、
    前記離型工程における離型温度は、(Tm-30)~(Tm+10)℃の温度範囲の温度である
    金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、前記繊維強化樹脂材料の全体積に対して、20~80体積%含まれ、前記強化繊維材料と前記マトリクス樹脂との合計が100体積%となる、
    請求項1に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法。
  3. 前記強化繊維材料は、前記繊維強化樹脂材料の全体積に対して、20~70体積%含まれ、前記強化繊維材料と前記マトリクス樹脂との合計が100体積%となるように含有される、
    請求項1又は2に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法。
  4. 前記金属板の厚みが0.1~6.0mmであり、前記金属板の降伏応力とヤング率の比が0.8×10 -3 以上である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法。
  5. 前記金属板の材質は、鉄鋼材料である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法。
  6. 前記強化繊維材料は、炭素繊維材料である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法。
  7. 前記金型の表面には、所定の離型処理が施されている、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材の加工方法。
  8. 厚みが0.1~6.0mmであり、降伏応力とヤング率との比が0.8×10 ―3 以上である金属板と、
    前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、フェノキシ樹脂を含有するマトリクス樹脂及び強化繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、
    前記繊維強化樹脂材料は、前記フェノキシ樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、
    前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、所定の形状を一体となって有する、
    金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材。
  9. JIS K 6854-3に記載のT形剥離試験で規定された90°剥離接着強さ試験により測定される、幅15mmの試験片の剥離強度が20N以上である、
    請求項8に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材。
  10. 厚みが0.1~6.0mmであり、ヤング率と降伏応力の比が0.8×10 ―3 以上である金属板と、
    前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、フェノキシ樹脂を含有するマトリクス樹脂及び強化繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、
    前記繊維強化樹脂材料は、前記フェノキシ樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、
    前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、一体となって所定の形状を有する、
    自動車用部品。
  11. 厚みが0.1~6.0mmであり、降伏応力とヤング率との比が0.8×10 ―3 以上である金属板と、
    前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、結晶性の熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂及び炭素繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、
    前記繊維強化樹脂材料は、前記熱可塑性樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、
    前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、所定の形状を一体となって有する、
    金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材。
  12. JIS K 6854-3に記載のT形剥離試験で規定された90°剥離接着強さ試験により測定される、幅15mmの試験片の剥離強度が20N以上である、
    請求項11に記載の金属―熱可塑性繊維強化樹脂材料複合部材。
  13. 厚みが0.1~6.0mmであり、ヤング率と降伏応力の比が0.8×10 ―3 以上である金属板と、
    前記金属板の少なくとも一方の面に配置され、厚みが2~12mmであり、結晶性の熱可塑性樹脂を含有するマトリクス樹脂及び炭素繊維材料を有する繊維強化樹脂材料と、を備え、
    前記繊維強化樹脂材料は、前記熱可塑性樹脂を少なくとも20~80体積%含有し、
    前記金属板と前記繊維強化樹脂材料とが、一体となって所定の形状を有する、
    自動車用部品。
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