JP7019876B1 - プリント配線板用表面処理銅箔、並びにこれを用いたプリント配線板用銅張積層板及びプリント配線板 - Google Patents

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Abstract

本発明のプリント配線板用表面処理銅箔は、銅箔基体の少なくとも一方の面に、粗化粒子が形成されてなる粗化処理層を含む表面処理皮膜を有するプリント配線板用表面処理銅箔であって、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)が0.8%未満であり、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの60度鏡面光沢度Gs(60°)が0.4%以上であり、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))が0.1以上1.5以下である。

Description

本発明は、高周波帯域で、特に1~10GHzの高周波帯域で使用されるプリント配線板用表面処理銅箔に関する。また本発明は、当該プリント配線板用表面処理銅箔を用いたプリント配線板用銅張積層板及びプリント配線板に関する。
近年、高周波対応基板の多層化が進み、内層と外層で必要とされる特性に応じて種類の異なる銅箔が使用されるようになってきている。特に外層は高い密着性を求められることから、一般箔や汎用箔と呼称される凹凸の大きい電解銅箔のM(マット)面側に、粗化処理層(粗化粒子を形成させた層)を形成した銅箔が用いられる場合が多い。
しかしながら、近年は、外層であっても1~10GHzの周波数の高周波信号が流されるようになってきている。上記周波数となると、電流が流れる表皮深さは0.7~2.0μm程度となり、電流は導体のごく表層しか流れない。そのため、導体の表面凹凸が大きい場合には、導体の伝送経路(すなわち表皮部分の伝送経路)が長くなり、伝送損失が増加する。従って、高周波対応機器に用いる銅張積層板では、伝送損失の増加を抑制するため、銅箔の表面凹凸を小さくすることが望まれている。
そこで、凹凸がより小さい電解銅箔のS(シャイニー)面側に粗化処理を形成したRTF箔と呼称される銅箔を外層に使用することも多くなってきている。なお、M面とS面いずれも平滑な両面光沢箔と呼称される銅箔も存在するが、外層材としては過剰な伝送特性を持っており、かつコストが高く、さらに外層材として必要とされる密着性に劣るため、使われることは稀である。
また、通常、プリント配線板に使用される銅箔では、伝送特性に加えて、樹脂基材との高い接着性も求められる。一般に、樹脂基材と銅箔表面との間で接着力を高める手法としては、電気めっきやエッチング等により、その表面に粗化処理層を形成し、樹脂基材との物理的な接着効果(アンカー効果)を得る手法が挙げられる。しかし、銅箔表面と樹脂基材との接着性を効果的に高めるべく、銅箔表面に形成する粗化粒子の粒子サイズを大きくすると、上述の通り伝送損失が増加してしまう。
このように、銅張積層板において、伝送損失の抑制と、銅箔と樹脂基材との密着性(接着性)の向上(すなわち耐久性の向上)とは、互いにトレードオフの関係にある。そのため、従来から、銅張積層板に用いられる銅箔では、伝送損失の抑制と樹脂基材との密着性の両立が検討されている。
ところで、高周波対応のプリント配線板は、最近、さらに高い信頼性が要求される分野へも展開されてきている。例えば、車載用プリント配線基板等の移動体通信機器用プリント配線基板では、高温環境等の過酷な環境下にも耐え得る高度な信頼性が要求される。このような高度な信頼性の要求に応えるためには、銅箔と樹脂基材との密着性をさらに高める必要がある。例えば、最高温度260℃のリフロー試験を20回繰り返すといった過酷試験にも耐え得る密着性が必要である。そのため、上記のような従来の手法では、近年求められている過酷な高温環境下での密着性(耐熱密着性)を満足できなくなっている。
また、プリント配線板に使用される銅箔では、樹脂基材との接着力を高めるために、上記粗化処理層の形成に加え、銅箔表面をシランカップリング剤で処理することで、樹脂基材に対して化学的な接着性を得る手法が用いられる。しかし、シランカップリング剤と樹脂基材との間で、化学的接着性を高めるためには、樹脂基材が、ある程度極性の大きな置換基を有していることが必要である。しかし、誘電損失を抑えるべく、樹脂基材として、極性の大きな置換基の量を減少させた低誘電性基材を用いる場合には、シランカップリング剤で銅箔表面を処理しても化学的接着性を得難く、銅箔と樹脂基材との十分な接着性が担保し難くなる。
そこで、銅箔及び樹脂基材の間の高い密着性と伝導損失の抑制とを両立したプリント配線板用表面処理銅箔が検討されてきている(例えば、特許第6294862号公報(特許文献1)参照)。特許文献1に記載のプリント配線板用表面処理銅箔では、微細な凹凸を表面に形成して表面の比表面積を増加させることで、伝送損失の抑制と、銅箔及び樹脂基材の間の常態密着性及び耐熱密着性とを両立させている。
しかしながら、特許文献1に記載のプリント配線板用表面処理銅箔では、粗化粒子が過度に微細であり、特に高周波対応基板の外層に使用する場合には、銅箔と樹脂基材との間の常態密着性及び耐熱密着性が未だ十分ではなかった。また、特許文献1に記載のプリント配線板用表面処理銅箔の技術を用いて銅箔と樹脂基材との間の常態密着性及び耐熱密着性を改善するために、単に粗化粒子を粗大化させた場合は、粉落ちを招く恐れがあった。
本発明は、高周波帯域での優れた伝送特性(以下、単に「高周波特性」と言うことがある。)と、樹脂基材との優れた常態密着性及び耐熱密着性と、耐粉落ち性とを兼ね備えたプリント配線板用表面処理銅箔、並びにこれを用いたプリント配線板用銅張積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者らは上記従来の課題を解決すべく鋭意検討した結果、レーザー顕微鏡や非接触型干渉顕微鏡はもちろん、SEMでも定義不能な複雑な粗化形状が存在することを見出した。そして、その形状は、所定の角度から測定した光沢度、及び所定の2つの角度から測定した光沢度の間の光沢度比で評価可能であり、上記光沢度及び上記光沢度比が所定の数値範囲内であると、高周波帯域での優れた伝送特性と、樹脂基材との優れた常態密着性及び耐熱密着性と、優れた耐粉落ち性とを兼ね備えたプリント配線板用表面処理銅箔を得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 銅箔基体の少なくとも一方の面に、粗化粒子が形成されてなる粗化処理層を含む表面処理皮膜を有するプリント配線板用表面処理銅箔であって、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)が0.8%未満であり、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの60度鏡面光沢度Gs(60°)が0.4%以上であり、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))が0.1以上1.5以下である、プリント配線板用表面処理銅箔。
[2] 前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの85度鏡面光沢度Gs(85°)が4%以上、50%未満である、上記[1]に記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
[3] 前記銅箔基体の表面処理皮膜を有する面が光沢面である、上記[1]又は[2]に記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
[4] 前記表面処理皮膜の表面のJIS Z 8781に準拠して測定したTDのXYZ表色系におけるY値が10%以上45%以下である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
[5] 前記表面処理皮膜の表面におけるJIS B 0601に準拠して測定した十点平均粗さRzjis値が0.8μm以上4.5μm以下である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
[6] 上記[1]~[5]のいずれか1つに記載のプリント配線板用表面処理銅箔の前記表面処理皮膜が形成された面と樹脂基材とが接着されてなる、プリント配線板用銅張積層板。
[7] 上記[6]に記載のプリント配線板用銅張積層板を備える、プリント配線板。
本発明によれば、高周波帯域での優れた伝送特性と、樹脂基材との優れた常態密着性及び耐熱密着性と、優れた耐粉落ち性とを兼ね備えたプリント配線板用表面処理銅箔、並びにこれを用いたプリント配線板用銅張積層板及びプリント配線板を提供することができる。
図1は、本発明の表面処理銅箔の粗化粒子の様子を説明するための図である。 図2は、従来の表面処理銅箔の粗化粒子の様子を説明するための図である。 図3は、電解銅箔の製造装置の模式図である。 図4は、本発明の表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面の様子を加工断面から観察したSEM画像の一例である。
以下、本発明のプリント配線板用表面処理銅箔の好ましい実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中の「AA~BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。
本発明のプリント配線板用表面処理銅箔(以下、単に「表面処理銅箔」と言うことがある。)は、銅箔基体の少なくとも一方の面に、粗化粒子が形成されてなる粗化処理層を含む表面処理皮膜を有するプリント配線板用表面処理銅箔であって、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)が0.8%未満であり、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの60度鏡面光沢度Gs(60°)が0.4%以上であり、前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))が0.1以上1.5以下である。なお、TD(Transverse Direction)は、銅箔基体を製造するときに銅箔基体が流れる方向(MD(Machine Direction)、RD(Roll Direction)ともいわれることもある。) に対して直交の方向である。つまり、本発明における「鏡面光沢度」とは、TD方向(MD方向に直交する方向)から光を入射させた場合の光沢度を意味する。
本発明の表面処理銅箔は、銅箔基体の少なくとも一方の面に、粗化処理層を含む表面処理皮膜を有する。粗化処理層は、粗化粒子を形成してなる。表面処理皮膜の表面は、表面処理銅箔の最表面(表裏面)のうち少なくとも一方の面であり、また、銅箔基体の少なくとも一方の面に形成された粗化粒子の形成状態及び粒子形状等が反映された複雑な凹凸表面形状を持つ粗化面である。
このような表面処理皮膜の表面(以下、「粗化面」と言う。)は、例えば、銅箔基体上に形成された粗化処理層の表面であってもよいし、この粗化処理層上に直接形成されたシランカップリング剤層の表面、又は、この粗化処理層上に、Niを含有する下地層、Znを含有する耐熱処理層及びCrを含有する防錆処理層等の中間層を介して形成されたシランカップリング剤層の表面であってもよい。また、本発明の表面処理銅箔がプリント配線板の導体回路に用いられる場合には、上記粗化面が、樹脂基材を貼着積層するための表面(貼着面)となる。
ここで、本発明の表面処理銅箔の粗化面の断面模式図の一例を図1に示す。従来の表面処理銅箔の粗化面の断面模式図の一例を図2に示す。図1に示すように、本発明の表面処理銅箔の粗化面には、複雑な凹凸を有する表面を有する、樹枝状の析出である粗化粒子が形成されている。一方、図2に示すように、従来の表面処理銅箔の粗化粒子の表面には、本発明の表面処理銅箔の粗化粒子の表面のような複雑な凹凸がない。
本発明の表面処理銅箔のような特殊な粗化面における粗化粒子の形状評価は、従来の粗化面の観察手法、例えばレーザー顕微鏡や白色干渉顕微鏡等では粗化面の垂直方向からの観察となり、複雑な凹凸を有する表面を有する粗化粒子の特性を正確に表すことができない。また、SEMによる断面観察といった直接的な2次元の形状観察においても、複雑な凹凸を有する表面を有する粗化粒子の3次元的特性を正確に定義することは困難である。そのため、従来の手法では、技術的な面で、粗化面の厳密な評価に限界があった。そこで、本発明では、粗化面の評価方法の一手法として、粗化面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定する鏡面光沢度により粗化面の特徴を規定し、評価することとした。具体的には、以下の手法により行う。
通常、鏡面光沢度の測定は、単一の受光角で測定評価することが一般的である。しかしながら、本発明の表面処理銅箔の粗化面は、粗化粒子の形成により複雑な形状となっているため、単一の受光角ではその表面形状の特性を十分に評価することは困難であった。そのため、本発明の表面処理銅箔の粗化面においては、下記の各受光角を使って鏡面光沢度を測定することにより、粗化面の表面形状を評価することを可能にしている。
なお、当然ではあるが、上述の通り粗化面における鏡面光沢度の測定は、平滑な表面における測定ではないため、下記の各受光角における測定値は単純な比例関係にあるものではない。
表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)は、0.8%未満である。Gs(20°)が、0.8%以上であると、粗化粒子が微細となりすぎると考えられ、表面処理銅箔と樹脂基材との耐熱密着性が低下する傾向がある。更に表面処理銅箔と樹脂基材との常態密着性をも向上する観点から、Gs(20°)は、好ましくは0.7%未満であり、より好ましくは0.6%以下である。また、Gs(20°)は、好ましくは0.1%以上である。Gs(20°)が0.1%以上であると、特に高周波特性が向上する。このような観点から、Gs(20°)は、より好ましくは0.2%以上であり、更に好ましくは0.3%以上である。
表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの60度鏡面光沢度Gs(60°)は、0.4%以上である。Gs(60°)が0.4%未満であると、本発明の用途としては粗化粒子が大き過ぎると考えられ、高周波特性が低下する。このような観点から、Gs(60°)は、好ましくは0.5%以上である。また、Gs(60°)は、好ましくは10.0%以下である。Gs(60°)が10.0%以下であると、特に耐熱密着性が向上する。このような観点から、Gs(60°)は、より好ましくは6.0%以下であり、更に好ましくは1.8%以下であり、より更に好ましくは0.9%以下である。
表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))は、0.1以上1.5以下である。鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))の大きさは、銅箔基体に垂直な方向に対して角度が大きい方向に向かって斜めに伸びる樹枝状の析出の傾向を表していると考えられる。表面処理皮膜の表面に垂直な方向に対して角度が大きい方向に伸びる樹枝状の析出は、樹脂基材と表面処理銅箔とを接着する際に物理的密着効果(アンカー効果)を付与すると考えられる。鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))が1.5よりも大きいということは、粗化粒子の根元からの樹枝状の析出が過剰に形成されているということを意味していると考えられ、粗化粒子の根元部分の強度が十分で無くなることで表面処理銅箔において粉落ちが発生しやすくなり、耐粉落ち性が低下する傾向がある。このような観点から、鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))は、好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下である。一方、鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))は、0.1未満とすることは製造上困難である。また、鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))は、値が大きくなるほど、特にアンカー効果に強く影響を与える銅箔基体に垂直な方向に対して大きな角度方向に伸びる樹枝状の析出の比率が多くなることを意味していると考えられ、表面処理銅箔の樹脂基材との耐熱密着性が向上する傾向がある。このような観点から、鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))は、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上である。より具体的には、鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))は、耐粉落ち性及び表面処理銅箔の樹脂基材との耐熱密着性を向上させる観点から、好ましくは0.5以上1.5以下、より好ましくは0.7以上1.3以下、更に好ましくは0.7以上1.2以下であり、より更に好ましくは0.7以上1.0以下であり、より更に好ましくは0.8以上1.0以下である。
なお、Gs(45°)及びGs(75°)は、鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))として上記範囲を満たせばよいが、個別の値としては、例えば次の範囲とすることができる。Gs(45°)は、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは0.5以上3.0以下である。また、Gs(75°)は、好ましくは20.0以下であり、より好ましくは0.5以上10.0以下である。
Gs(20°)及びGs(60°)を上記範囲内とし、鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を上記範囲内とすることにより、粗化粒子を大きくしなくても物理的密着効果(アンカー効果)により、優れた常態密着性だけでなく、シランカップリング剤による化学的密着性では期待できない優れた耐熱密着性を得ることができるとともに、表面処理銅箔における高周波帯域での伝送特性(高周波特性)を良好にすることができる。また、粉落ちも効果的に抑制することができる。
さらに、表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの85度鏡面光沢度Gs(85°)は、好ましくは4%以上、50%未満である。Gs(85°)は、銅箔基体に垂直な方向に対して角度が大きい方向に向かって斜めに伸び、アンカー効果に影響を与える樹枝状の析出の状態を反映していると考えられる。Gs(85°)が50%未満であると、特にアンカー効果に強く影響を与える樹枝状の析出が十分に多くなると考えられ表面処理銅箔の樹脂基材との耐熱密着性が向上する。Gs(85°)が4%以上であると、粗化粒子の根元からの樹枝状の析出が過剰とはならないと考えられ、表面処理銅箔において粉落ちが発生しにくくなり、耐粉落ち性が向上する。このような観点から、Gs(85°)は、より好ましくは6%以上、40%未満、更に好ましくは6%以上、20%未満、より更に好ましくは8%以上18%以下であり、より更に好ましくは9.5%以上17%以下である。
本発明の表面処理銅箔における銅箔基体の表面処理皮膜を有する面は、光沢面であることが好ましい。光沢面のような平滑な面に粗化処理を施すことにより、所望の形状の粗化粒子を低コストで形成することが容易になる。なお、光沢面とは、電解銅箔のドラム状カソード側の面であり、電解銅箔のS面である。銅箔基体は電解銅箔であることが好ましく、電解銅箔の光沢面において表面処理皮膜が形成されることが好ましい。
図3を参照して、電解銅箔の製造方法を説明する。図3は、電解銅箔の製造装置の模式図である。電極は、ドラム状のチタンやステンレス鋼からなるカソード1と、同心円状に対向する貴金属酸化物を被覆した電極や鉛電極などの不溶性アノード2とで構成される。この両電極間に硫酸銅電解液3を装置下部から流し込み、電流を印加することで、ドラム状カソード表面に銅めっきが析出する。ドラム状カソード1は所定の速度で回転しており、析出した銅めっきは電解銅箔6として連続的にドラム状カソード表面から剥離して巻き取られる。電解銅箔のドラム状カソード面側は光沢面と称呼される他に、S(シャイニー)面5と称呼される。これはドラム状カソード面が平滑かつ光沢を持った表面となっており、該表面に析出させ剥離した電解銅箔表面は同様に平滑かつ光沢を持った表面となっているためである。S面の反対面はM(マット)面4と称呼される。なお、本発明の表面処理銅箔に用いる電解銅箔の厚さは、好ましくは6~210μmである。
本発明の表面処理銅箔における表面処理皮膜の表面のJIS Z 8781に準拠して測定したTDのXYZ表色系(CIE1931標準表色系)におけるY値は、好ましくは10%以上45%以下である。Y値が10%以上であると、粗化粒子が十分に小さくなると考えられ、粉落ちがさらに発生しにくくなるとともに、高周波帯域における伝送損失もさらに改善する。Y値が45%以下であると、銅箔基体に垂直な方向に対して角度が大きい方向に向かって斜めに伸び、アンカー効果に影響を与える樹枝状の析出が十分に多くなると考えられ、表面処理銅箔の樹脂基材との常態密着性及び耐熱密着性がさらに向上する。このような観点から、Y値は、より好ましくは12%以上40%以下、更に好ましくは18%以上28%以下、より更に好ましくは19%以上26%以下である。
本発明の表面処理銅箔における表面処理皮膜の表面のJIS Z 8781に準拠して測定したTDのXYZ表色系(CIE1931標準表色系)におけるX値の混色比(x値)は、好ましくは0.38~0.50である。X値の混色比(x値)が0.38以上であると、銅箔基体に垂直な方向に対して角度が大きい方向に向かって斜めに伸び、アンカー効果に影響を与える樹枝状の析出が十分に多くなると考えられ、表面処理銅箔の樹脂基材との耐熱密着性がさらに向上する。X値の混色比(x値)が0.50以下であると、粗化粒子の根元からの樹枝状の析出が適度であると考えられ、粉落ちがさらに発生しにくくなるとともに、高周波帯域における伝送損失もさらに改善する。このような観点から、X値の混色比(x値)は、より好ましくは0.40~0.48であり、さらに好ましくは0.41~0.47である。
本発明の表面処理銅箔における表面処理皮膜の表面のJIS Z 8781に準拠して測定したTDのXYZ表色系(CIE1931標準表色系)におけるY値の混色比(y値)は、好ましくは0.32~0.36である。Y値の混色比(y値)が0.32以上であると、粗化粒子の根元からの樹枝状の析出が適度であると考えられ、粉落ちがさらに発生しにくくなるとともに、高周波帯域における伝送損失もさらに改善する。Y値の混色比(y値)が0.36以下であると、銅箔基体に垂直な方向に対して角度が大きい方向に向かって斜めに伸び、アンカー効果に影響を与える樹枝状の析出が十分に多くなると考えられ、表面処理銅箔の樹脂基材との耐熱密着性がさらに向上する。このような観点から、Y値の混色比(y値)は、より好ましくは0.33~0.35であり、更に好ましくは0.34~0.35である。
本発明の表面処理銅箔における表面処理皮膜の表面におけるJIS B 0601に準拠して測定した十点平均粗さRzjis値は、好ましくは0.8μm以上4.5μm以下である。十点平均粗さRzjis値が0.8μm以上であると、表面処理銅箔の生産性が向上する。十点平均粗さRzjis値が4.5μm以下であると、粗化粒子よりもマクロな表面の過度な凹凸が抑制されるので、耐粉落ち性が向上するとともに、高周波特性も向上する。このような観点から、十点平均粗さRzjis値は、より好ましくは1.0μm以上4.3μm以下、更に好ましくは1.5μm以上4.0μm以下、より更に好ましくは1.8μm以上3.8μm以下であり、より更に好ましくは2.0μm以上3.5μm以下である。
本発明の表面処理銅箔によれば、粉落ちが抑制されておりユーザーハンドリング性に優れている。また、該表面処理銅箔をプリント配線板の特に外層の導体回路に用いることにより、高い密着性と、1~10GHzの高周波信号を伝送した際の低伝送損失とを両立可能であり、かつ、高温下(260℃×20分)においても銅箔と樹脂基材(樹脂層)との密着性が保たれた、優れたプリント配線板を得ることができる。
<表面処理銅箔の製造方法>
次に、本発明の表面処理銅箔の好ましい製造方法について、その一例を説明する。本発明では、銅箔基体の表面に、粗化粒子を形成する粗化処理を行うことが好ましい。
(銅箔基体)
銅箔基体としては、粗大な凹凸が存在しない平滑で光沢のある表面を持つ、電解銅箔や圧延銅箔を用いることが好ましい。中でも、生産性やコストの観点で電解銅箔のS(シャイニー)面を用いることが好ましく、そのS面に後述する粗化処理を施すことが好ましい。粗化粒子を形成するのに適したS面形状を得るためには、電解銅箔製造に使用するドラム状カソード表面を1500番~2500番のバフで研磨することが好ましい。
(粗化処理)
粗化処理により、粗化処理層を形成する。粗化処理は、下記に示すような粗化めっき処理(1)と固定めっき処理(2)を行う。
・粗化めっき処理(1)
粗化めっき処理(1)は、銅箔基体の少なくとも一方の面上に粗化粒子を形成する処理である。具体的には硫酸銅浴でめっき処理を行う。硫酸銅浴(粗化めっき液基本浴)には、粗化粒子の脱落、即ち「粉落ち」の防止を目的としたモリブデン(Mo)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、セレン(Se)、テルル(Te)、タングステン(W)等の従来から知られている添加剤の添加が可能であり、特にモリブデン(Mo)を添加することが好ましい。本発明者は、鋭意研究を行った結果、下記の要因が表面処理銅箔の表面性状に影響を及ぼすことを見出し、精妙にそれらの条件を設定することで、本発明の効果である高周波特性、密着性(常態密着性及び耐熱密着性)及び耐粉落ち性の要求特性を高い水準で満足させることができることを発見した。
粗化めっき処理(1)の硫酸銅浴の銅濃度は10~30g/Lとすることが好ましい。硫酸銅浴の銅濃度は10~30g/Lであると、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。
硫酸銅浴に添加される添加剤について、例えばモリブデン(Mo)を例に挙げて説明する。モリブデン(Mo)濃度は、50~300mg/Lとすることが好ましい。モリブデン(Mo)濃度が50~300mg/Lであると、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。
次に、粗化めっき処理(1)の電解条件等を説明する。
本発明において、めっき処理の方式は、例えば大量生産及び生産コストの観点で、ロール・ツー・ロール方式でのめっき処理が好ましい。
ロール・ツー・ロール方式における処理速度は、形成される粗化処理層の表面形状に関係しており、10~20m/分とすることが好ましい。処理速度が10~20m/分であると、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。また、TDの85度鏡面光沢度Gs(85°)との関係においては、例えば、処理速度を10~18m/分とすることでTDの85度鏡面光沢度Gs(85°)を4%以上50%未満とすることができ、更に処理速度を12~17m/分とすることでGs(85°)を6%以上40%未満とすることができる。
めっき処理の条件は、処理方式に応じて適宜調節すればよいが、特に銅イオンの拡散を抑制する観点で、めっき液の攪拌が起こり難い条件とすることが好ましい。そのため、ロール・ツー・ロール方式では、処理方向(処理速度の方向)と、極間のめっき液の流れの向き(極間流速の方向)とを一致させることが好ましい。また、ロール・ツー・ロール方式以外の方式では、静止浴の状態で処理することが望ましく、めっき処理中の攪拌は行わないことが好ましい。
ところで、ロール・ツー・ロール方式及びその他の方式のいずれの場合も、めっき処理中に、ガスが発生する傾向があり、発生したガスの浮上に伴い攪拌が生じる可能性がある。
例えば、バッチ式のようなロール・ツー・ロール方式以外のめっき処理の場合、本発明の処理は長くとも数秒程度という非常に短時間で終了するため、このようなガス発生による攪拌は特に考慮する必要は無い。
しかし、ロール・ツー・ロール方式の場合には、連続処理となるため、処理槽中でガスは発生し続け、連続的に発生するガスは次々浮上するため、浮上方向にめっき液の流れが生じる。また、ロール・ツー・ロール方式の場合、銅箔基体がめっき液中に連続的に供給されるため、銅箔基体の搬送方向にめっき液の流れが生じる。この二つの流れが一致している場合には、上述のガスの発生はほぼ考慮する必要はない。しかし、この二つの流れが互いに逆向きである場合、処理表面に不要な攪拌力が生じ、銅イオンの拡散が促進されるおそれがある。そのため、ロール・ツー・ロール方式によりめっき処理を行う場合には、ガスの浮上方向と、銅箔基体の搬送方向(めっき処理の処理方向)とが一致するように、めっき処理を行う反応槽を選択することが好ましい。
粗化めっき処理(1)において、ロール・ツー・ロール方式のめっき処理を行う場合、処理速度と、処理方向に沿って流れるめっき液の極間流速(以下「処理方向極間流速」とする)との差分の絶対値は、1m/分未満とすることが好ましい。処理速度と処理方向極間流速との差分の絶対値が1m/分未満であると、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることが容易になる。
粗化めっき処理(1)では、高電流密度から低電流密度へ段階的に低下させながらめっき処理を行うことが好ましい。特に、高電流密度から中電流密度、低電流密度へ電流密度を3段階に低下させながら、めっき処理を行うことが好ましい。上記高電流密度は50~80A/dmであることが好ましく、上記中電流密度は45~65A/dmであることが好ましく、上記低電流密度は20~50A/dmであることが好ましい。また、上記めっき処理の前に、4~10A/dmの電流密度で3秒未満の予備めっきを行うことが好ましい。予備めっきで予め表面を覆うことで、所望の粗化粒子形状を得ることが容易になる。これらの電流密度でめっき処理を行うことにより、粗化粒子の根元で過剰に樹枝状の析出が成長してしまって粉落ち等を起こす様なことや、樹枝状の析出が乏しくなって特に耐熱密着性が劣ってしまう様なことも無く、粗化粒子根元から頂点までバランス良く樹枝状の析出が成長する。すなわち、上記のように電流密度を段階的に低減させながら粗化めっき処理を行うことにより、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。
電流密度(A/dm)と処理時間(秒)の積は、高電流密度処理(=S)で20~200{(A/dm)・秒}、中電流密度処理(=S)で20~200{(A/dm)・秒}、低電流密度処理(=S)で20~200{(A/dm)・秒}、さらに3段階全ての処理合計(=S)で170~270{(A/dm)・秒}とすることが好ましい。上記積を所定の範囲内とすれば、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。
・固定めっき処理(2)
固定めっき処理(2)は、上記粗化めっき処理(1)で表面処理をした銅箔基体にかぶせめっきを行う処理である。これにより、粗化めっき処理(1)で形成した粗化粒子の形状を維持させることができる。
本発明における固定めっき処理は、粗化めっき処理と同じ組成の硫酸銅浴を使用して、同等の浴温でめっき処理する。硫酸銅浴の組成及び浴温は、後段で詳細に説明する。
通常、粗化めっき処理と固定めっき処理とで異なる組成のめっき液を用いる。固定めっき処理では、粗化めっき処理の様なヤケめっきではなく、平滑なめっきを行うために粗化めっき処理よりも銅濃度が高く浴温も高いめっき液を用いる。
一方、本発明では、固定めっき処理においても粗化めっき処理と同じ硫酸銅浴を使用して、同等の浴温でめっき処理を行う。こうすることにより、粉落ちを防ぐための十分な粗化粒子の固定をしつつも粗化粒子の表面形状が過度に平滑化されないので複雑な凹凸表面形状を持つ粗化面となる。すなわち、粗化めっき処理と同じ組成の硫酸銅浴を使用し、同等の浴温で固定めっき処理を行うことにより、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。
固定めっき処理(2)の電解条件等を説明する。
めっき処理の方式は、例えば大量生産及び生産コストの観点で、ロール・ツー・ロール方式でのめっき処理が好ましい。固定めっき処理をロール・ツー・ロール方式で行う場合に、処理速度と、極間流速との差分の絶対値は、6~15m/分とすることが好ましい。処理速度と極間流速との差分の絶対値が6~15m/分であると、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。なお、固定めっき処理では、処理速度の流の方向(処理方向)と極間流速の流の方向とは一致していなくてもよく、互いに逆向きになる場合は、一方の流速は他方の流速に対してマイナスの流速として計算する。
固定めっき処理(2)では、電流密度は3~25A/dmであることが好ましい。上記電流密度でめっき処理を行うことにより、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。
また、粗化めっき処理(1)の電流密度と処理時間の積Sに対する固定めっき処理(2)の電流密度と処理時間の積Kの比率[(K/S)×100](%)は、20~150%とすることが好ましい。上記比率[(K/S)×100]が、20~150%であると、表面処理銅箔の表面処理皮膜の表面におけるTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)を0.8%未満とし、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)を0.4%以上とし、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))を0.1以上1.5以下とすることができる。
以下、粗化めっき処理用めっき液及び固定めっき処理用めっき液の組成及び電解条件の一例を示す。なお、下記条件は好ましい一例であり、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて添加剤の種類や量、電解条件を適宜変更、調整することができる。
<粗化めっき処理(1)の条件>
めっき液の組成
硫酸銅五水和物・・・銅(原子)換算で、10~30g/L
硫酸・・・100~250g/L
モリブデン酸ナトリウム・・・モリブデン(原子)換算で、50~300mg/L
処理速度・・・10~20m/分
処理方向極間流速・・・5~20.5m/分
予備めっき電流密度・・・4~10A/dm
高電流密度・・・50~80A/dm
中電流密度・・・45~65A/dm
低電流密度・・・20~50A/dm
予備めっき処理時間・・・1.0~3.0秒
高電流密度処理時間・・・1.2~3.0秒
中電流密度処理時間・・・0.8~4.0秒
低電流密度処理時間・・・0.5~2.0秒
浴温・・・20~30℃
<固定めっき処理(2)の条件>
めっき液の組成・・・粗化めっき処理用めっき液と同じ
硫酸銅五水和物・・・銅(原子)換算で、10~30g/L
硫酸・・・100~250g/L
モリブデン酸ナトリウム・・・モリブデン(原子)換算で、50~300mg/L
処理速度・・・5~20m/分
処理方向極間流速・・・1~30m/分
電流密度・・・3~25A/dm
処理時間・・・1~15秒
浴温・・・粗化めっき処理用めっき液の浴温と同じ、20~30℃
さらに、本発明の表面処理銅箔は、さらに、該粗化処理層上に、直接又は、ニッケル(Ni)を含有する下地層、亜鉛(Zn)を含有する耐熱処理層及びクロム(Cr)を含有する防錆処理層等の中間層を介して、シランカップリング剤層がさらに形成されていてもよい。なお、上記中間層及びシランカップリング剤層はその厚みが非常に薄いため、表面処理銅箔の粗化面における粗化粒子の粒子形状に影響を与えるものではない。表面処理銅箔の粗化面における粗化粒子の粒子形状は、該粗化面に対応する粗化処理層の表面における粗化粒子の粒子形状で実質的に決定される。
また、シランカップリング剤層の形成方法としては、例えば、表面処理銅箔の前記粗化処理層の凹凸表面上に、直接又は中間層を介してシランカップリング剤溶液を塗布した後、風乾(自然乾燥)又は加熱乾燥して形成する方法が挙げられる。塗布されたカップリング剤溶液は、溶液中の水が蒸発すれば、シランカップリング剤層が形成されることで本発明の効果が十分に発揮される。50~180℃で加熱乾燥すると、シランカップリング剤と銅箔の反応が促進される点で好適である。
シランカップリング剤層は、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニル系シラン、メタクリル系シラン、アクリル系シラン、スチリル系シラン、ウレイド系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シランのいずれか1種以上を含有することが好ましい。
その他の実施形態として、粗化処理層とシランカップリング剤層との間に、Niを含有する下地層、Znを含有する耐熱処理層及びCrを含有する防錆処理層の中から選択される少なくとも1層の中間層を有することが好ましい。
Niを含有する下地層は、例えば銅箔基体や粗化処理層中の銅(Cu)が樹脂基材側に拡散し、銅害が発生して密着性が低下することがある場合には、粗化処理層とシランカップリング剤層との間に形成することが好ましい。Niを含有する下地層は、ニッケル(Ni)、ニッケル(Ni)-リン(P)、ニッケル(Ni)-亜鉛(Zn)の中から選択される少なくとも1種で形成することが好ましい。
Znを含有する耐熱処理層は、耐熱性をさらに向上させる必要がある場合に形成することが好ましい。Znを含有する耐熱処理層は、例えば亜鉛、又は亜鉛を含有する合金、即ち、亜鉛(Zn)-錫(Sn)、亜鉛(Zn)-ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)-コバルト(Co)、亜鉛(Zn)-銅(Cu)、亜鉛(Zn)-クロム(Cr)及び亜鉛(Zn)-バナジウム(V)の中から選択される少なくとも1種の亜鉛を含有する合金で形成することが好ましい。
Crを含有する防錆処理層は、耐食性をさらに向上させる必要がある場合に形成することが好ましい。防錆処理層としては、例えばクロムめっきにより形成されるクロム層、クロメート処理により形成されるクロメート層が挙げられる。
上記の下地層、耐熱処理層及び防錆処理層は、これらの三層の全てを形成する場合には、粗化処理層上に、この順序で形成するのが好ましく、また、用途や目的とする特性に応じて、いずれか一層又は二層のみを形成してもよい。
〔表面処理銅箔の作製〕
以下に、本発明の表面処理銅箔の作製方法をまとめる。
本発明では、以下の形成工程(S1)~(S5)に従い、表面処理銅箔を作製することが好ましい。
(S1)粗化処理層の形成工程
銅箔基体上に、電析により微細な凹凸表面を持つ粗化粒子から成る粗化処理層を形成する。
(S2)下地層の形成工程
粗化処理層上に、必要によりNiを含有する下地層を形成する。
(S3)耐熱処理層の形成工程
粗化処理層上又は下地層上に、必要によりZnを含有する耐熱処理層を形成する。
(S4)防錆処理層の形成工程
粗化処理層上、又は必要により粗化処理層上に形成した下地層及び/又は耐熱処理層上に、必要によりCrを含有する防錆処理層を形成する。
(S5)シランカップリング剤層の形成工程
粗化処理層上に、直接シランカップリング剤層を形成するか、又は下地層、耐熱処理層及び防錆処理層の少なくとも1層を形成した中間層を介してシランカップリング剤層を形成する。
また、本発明の表面処理銅箔は、プリント配線板用銅張積層板の製造に好適に用いられる。このような銅張積層板は、高密着性及び高周波帯域での伝送特性に優れるプリント配線板の製造に好適に用いられ、優れた効果を発揮する。本発明の表面処理銅箔は、高周波帯域(特に1~10GHzの高周波帯域)で使用される高周波帯域用プリント配線板として使用される場合に好適である。
また、プリント配線板用銅張積層板は、本発明の表面処理銅箔を用いて、公知の方法により形成することができる。例えば、プリント配線板用銅張積層板は、表面処理銅箔と樹脂基材(絶縁基板)とを、表面処理銅箔の粗化面(貼着面)と樹脂基材とが向かい合うように、積層貼着することにより製造される。このようなプリント配線板用銅張積層板は、上記表面処理銅箔の表面処理皮膜が形成された面(粗化面)と樹脂基材とが接着されてなる。なお、絶縁基板としては、例えば、フレキシブル樹脂基板又はリジット樹脂基板等が挙げられるが、本発明の表面処理銅箔は、外層に高周波帯域での伝送特性および高い密着性が要求されるリジット樹脂基板との組み合わせにおいて特に好適である。
また、プリント配線板用銅張積層板を製造する場合には、シランカップリング剤層を有する表面処理銅箔と、絶縁基板とを加熱プレスによって貼り合わせることにより製造すればよい。なお、絶縁基板上にシランカップリング剤を塗布し、シランカップリング剤が塗布された絶縁基板と、最表面に防錆処理層を有する表面処理銅箔とを加熱プレスによって貼り合わせることにより作製されたプリント配線板用銅張積層板も、本発明と同等の効果を有する。
また、プリント配線板は、上記プリント配線板用銅張積層板を用いて、公知の方法により形成することができる。このようなプリント配線板は、上記プリント配線板用銅張積層板を備える。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の一例に過ぎない。本発明は、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、以下は本発明の一例である。
(製造例:銅箔基体の準備)
粗化処理を施すための基材となる銅箔基体として、下記カソード及びアノードを用い、下記組成の硫酸銅電解液を使用して、下記電解条件により、厚さ18μmである、ロール状の電解銅箔を作製した。
<カソード及びアノード>
カソード:#2000のバフ研磨により調整されたチタン製の回転ドラム
アノード:寸法安定性陽極DSA(登録商標)
<硫酸銅電解液組成>
硫酸銅五水和物:Cu換算で、80g/L
SO :70g/L
塩素濃度 :30mg/L
(添加剤)
ヒドロキシエチルセルロース :5mg/L
<電解条件>
浴温 :58℃
電流密度 :50A/dm
(実施例1)
実施例1では、以下の工程[1]~[3]を行い、表面処理銅箔を得た。
[1]粗化処理層の形成
電気めっき処理により、上記銅箔のS面に粗化めっき処理面を形成した。この粗化めっき処理面は、下記の粗化めっき液、固定めっき液共通基本浴組成を用いて、極間流速、電流密度、処理時間を下記表1及び表2記載の通りとして形成した。モリブデン濃度は、モリブデン酸ナトリウム二水和物を純水に溶解した水溶液を基本浴に加えることで調整した。
<粗化めっき液、固定めっき液共通基本浴組成、浴温>
硫酸銅五水和物 :Cu換算で、25g/L
SO :160g/L
モリブデン酸ナトリウム二水和物 :Mo換算で、150mg/L
浴温 :26℃
Figure 0007019876000001
Figure 0007019876000002
[2]金属処理層の形成
続いて、上記[1]で形成した粗化処理層の表面に、下記の条件で、Ni、Zn、Crの順に金属めっきを施して金属処理層(中間層)を形成した。
<Niめっき条件>
Ni :40g/L
BO :5g/L
浴温 :20℃
pH :3.6
電流密度 :0.2A/dm
処理時間 :10秒
<Znめっき条件>
Zn :2.5g/L
NaOH :40g/L
浴温 :20℃
電流密度 :0.3A/dm
処理時間 :5秒
<Crめっき条件>
Cr :5g/L
浴温 :30℃
pH :2.2
電流密度 :5A/dm
処理時間 :5秒
[3]シランカップリング剤層の形成
最後に、上記[2]にて形成した金属処理層(特に、最表面のCrめっき層)の上に、濃度0.2質量%の3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液を塗布し、100℃で乾燥させ、シランカップリング剤層を形成した。
(実施例2~12及び比較例1~5)
実施例2~12及び比較例1~5は、粗化処理層の形成工程[1]において、上記表1及び表2記載の通りとした以外は、実施例1と同様の方法にて、表面処理銅箔を得た。
[評価]
上記実施例及び比較例に係る表面処理銅箔について、下記に示す特性評価を行った。
各特性の評価条件は下記の通りであり、特に断らない限り、各測定は常温(20℃±5℃)にて行ったものである。結果を表3に示す。
[鏡面光沢度]
表面処理銅箔の粗化面について、光沢度計(日本電色工業株式会社製、VG7000)を使用し、JIS Z 8741:1997に基づき、TDの20度鏡面光沢度Gs(20°)、TDの45度鏡面光沢度Gs(45°)、TDの60度鏡面光沢度Gs(60°)、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)及びTDの85度鏡面光沢度Gs(85°)をそれぞれ測定した。なお、測定は、受光角毎に、表面処理銅箔の長手方向(搬送方向、MD方向)に対して直交方向(TD方向)で3回実施し、測定値の全て(N=3)を平均して、各受光角に対応する鏡面光沢度とした。
[XYZ表色系のY値、x値及びy値]
表面処理銅箔の粗化面について、明度計(スガ試験機株式会社製、機種名:SMカラーコンピューター、型番:SM-T45)を使用して、JIS Z 8781に基づき、CIEで規定するXYZ表色系のX値、Y値及びZ値を測定した。そして、これらの値を用いて、反射率Y値及び混色比x値とy値を算出した。
[十点平均粗さ]
表面処理銅箔の粗化面において、接触式表面粗さ測定機(株式会社小坂研究所製、「サーフコーダーSE1700」)用いて、JIS B 0601:2001で定義される十点平均粗さRzjis(μm)を表面処理銅箔の長手方向(搬送方向、MD方向)に対して直交方向(TD方向)で、すなわち、TDの十点平均粗さRzjis(μm)を測定した。
[高周波特性の評価]
高周波特性の評価として高周波帯域での伝送損失を測定した。詳細を以下に説明する。
表面処理銅箔の粗化面を、パナソニック株式会社製のポリフェニレンエーテル系低誘電率樹脂基材であるMEGTRON6(厚さ80μm)を2枚重ねた両面に、面圧3.5MPa、200℃の条件で2時間プレスすることにより貼り合わせて、両面銅張積層板を作製した。得られた銅張積層板に回路加工を行い、伝送路幅300μm、長さ70mmのマイクロストリップラインを形成した回路基板を作製した。この回路基板の伝送路に、ネットワークアナライザ(Keysight Technologies社製、「N5247A」)を用いて高周波信号を伝送し、伝送損失を測定した。特性インピーダンスは50Ωとした。
伝送損失の測定値は、絶対値が小さいほど伝送損失が少なく、高周波特性が良好であることを意味する。得られた測定値を指標にして、下記評価基準に基づき高周波特性を評価した。
a:10GHzにおける伝送損失の絶対値が1.8dB未満
b:10GHzにおける伝送損失の絶対値が1.8~2.0dB
c:10GHzにおける伝送損失の絶対値が2.0dB以上
[常態密着性の評価]
常態密着性の評価として、JIS C 6481:1996に基づき、剥離試験を行った。詳細を以下に説明する。
上記[高周波特性の評価]に記載の方法と同様の方法で銅張積層板を作製し、得られた銅張積層板の銅箔部分(表面処理銅箔)を10mm巾テープでマスキングした。この銅張積層板に対して塩化銅エッチングを行った後テープを除去し、10mm巾の回路配線板を作製した。株式会社東洋精機製作所製のテンシロンテスターを用いて、この回路配線板の10mm巾の回路配線部分(銅箔部分)を90度方向に50mm/分の速度で樹脂基材から剥離した際の剥離強度を測定した。得られた測定値を指標にして、下記評価基準に基づき密着性を評価した。
<常態密着性の評価基準>
a:剥離強度が0.61kN/m以上
b:剥離強度が0.52kN/m以上0.61kN/m未満
c:剥離強度が0.52kN/m未満
[耐熱密着性の評価]
耐熱密着性の評価として、JIS C 6481:1996に基づき、加熱処理後の剥離試験を行った。詳細を以下に説明する。
上記[高周波特性の評価]に記載の方法と同様の方法で銅張積層板を作製し、得られた銅張積層板の銅箔部分を10mm巾テープでマスキングした。この銅張積層板に対して塩化銅エッチングを行った後テープを除去し、10mm巾の回路配線板を作製した。この回路配線板を、260℃の加熱オーブンにて20分間加熱した後、常温まで自然空冷した。その後、株式会社東洋精機製作所製のテンシロンテスターを用いて、この回路配線板の10mm巾の回路配線部分(銅箔部分)を90度方向に50mm/分の速度で樹脂基材から剥離した際の剥離強度を測定した。得られた測定値を指標にして、下記評価基準に基づき耐熱密着性を評価した。
<耐熱密着性の評価基準>
a:剥離強度が0.52kN/m以上
b:剥離強度が0.43kN/m以上0.52kN/m未満
c:剥離強度が0.43kN/m未満
[耐粉落ち性の評価]
表面処理銅箔の粗化面において、アドバンテック東洋株式会社製定性濾紙No.2(φ55mm)(JIS P 3801の2種に相当)の裏面側を粗化面側にして置き、さらにその中心上に接地面がφ20mmである250gの重りを置いた。その状態のまま、濾紙端部をピンセットでつまんで表面処理銅箔の短手方向(TD方向)に30mm/秒程度の速度で150mm引きずった後、濾紙に付着した銅粉を目視観察し、下記評価基準に基づき耐粉落ち性を評価した。
<耐粉落ち性の評価基準>
a:濾紙に銅粉の付着が確認されなかった。
b:濾紙に銅粉の付着が確認されたが、銅粉の付着面積は重りの接地面(φ20mm)の1割未満であった。
c:濾紙に銅粉の付着が確認されたが、銅粉の付着面積は重りの接地面(φ20mm)の1割以上であった。
[総合評価]
上記の高周波特性、常態密着性、耐熱密着性及び耐粉落ち性のすべてを総合し、下記評価基準に基づき総合評価を行った。なお、本実施例では、総合評価でA及びBを合格レベルとした。
<総合評価の評価基準>
A(優):全ての評価がa評価である。
B(合格):全ての評価でc評価がない。
C(不合格):少なくとも1つの評価がc評価である。
Figure 0007019876000003
表3に示されるように、実施例1~12の表面処理銅箔は、表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)が0.8%未満であり、表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの60度鏡面光沢度Gs(60°)が0.4%以上であり、表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDにおける75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))が0.1~1.5となるように制御されているため、高周波特性に優れ、高い密着性(常態密着性及び耐熱密着性)及び高い耐粉落ち性を発揮することが確認された。
これに対し、比較例1及び比較例4の表面処理銅箔は、Gs(20°)が0.8以上と高く、耐熱密着性が悪いとの結果となった。比較例2は、Gs(60°)が0.3%と低いため、高周波特性が悪いとの結果となった。比較例3は、Gs(45°)/Gs(75°)が1.8と大きいため、耐粉落ち性が悪いとの結果となった。比較例5は、Gs(60°)が0.3%と低いく、Gs(45°)/Gs(75°)も1.8と大きいため、高周波特性及び耐粉落ち性が悪いとの結果となった。
1 カソード
2 不溶性アノード
3 硫酸銅電解液
4 M面
5 S面
6 電解銅箔

Claims (7)

  1. 銅箔基体の少なくとも一方の面に、粗化粒子が形成されてなる粗化処理層を含む表面処理皮膜を有するプリント配線板用表面処理銅箔であって、
    前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの20度鏡面光沢度Gs(20°)が0.8%未満であり、
    前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの60度鏡面光沢度Gs(60°)が0.4%以上であり、
    前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度Gs(75°)に対する45度鏡面光沢度Gs(45°)の鏡面光沢度比(Gs(45°)/Gs(75°))が0.1以上1.5以下である、プリント配線板用表面処理銅箔。
  2. 前記表面処理皮膜の表面におけるJIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの85度鏡面光沢度Gs(85°)が4%以上、50%未満である、請求項1に記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
  3. 前記銅箔基体の表面処理皮膜を有する面が光沢面である、請求項1又は2に記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
  4. 前記表面処理皮膜の表面のJIS Z 8781に準拠して測定したTDのXYZ表色系におけるY値が10%以上45%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
  5. 前記表面処理皮膜の表面におけるJIS B 0601に準拠して測定した十点平均粗さRzjis値が0.8μm以上4.5μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のプリント配線板用表面処理銅箔。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のプリント配線板用表面処理銅箔の前記表面処理皮膜が形成された面と樹脂基材とが接着されてなる、プリント配線板用銅張積層板。
  7. 請求項6に記載のプリント配線板用銅張積層板を備える、プリント配線板。
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