以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
なお、以降の説明において便宜上、管理対象となる被管理装置について給水装置を例に挙げて述べるが、被管理装置は給水装置に限定されない。被管理装置は、例えば、揚水、排水、圧縮などの任意の用途のポンプを備えた装置であってもよいし、かかる装置とも異なる種々の電気または機械設備、例えば、空調機、給湯機、エレベータ、コンピュータ、OA(Office Automation)機器、家電機器、ロボット、産業機械、などであってもよい。また、以降の説明において、「給水装置」の用語は、より広義の用語である「被管理装置」や「対象設備」として、または他の設備の名称として適宜読み替え可能である。さらに、以降の説明において、「制御盤」は、給水装置の制御装置として典型的に用いられている用語であるが、より広義な「制御装置」として適宜読み替えることができる。同様に、「読み出しパラメータ」、「内部パラメータ」、「機能パラメータ」、「外部パラメータ」等の修飾語「読み出し」、「内部」、「機能」、「外部」の用語も、混乱を生じない限り、任意の他の修飾語に読み替えることができる。例えば、「読み出しパラメータ」、「内部パラメータ」、「機能パラメータ」、「外部パラメータ」は、「台数種別パラメータ」、「装置パラメータ」、「異常対策パラメータ」、「制御目標パラメータ」等として読み替えてもよい。あるいは、「読み出しパラメータ」、「内部パラメータ」、「機能パラメータ」、「外部パラメータ」は、それぞれパラメータの集合ということから、「読み出しパラメータ群」、「内部パラメータ群」、「機能パラメータ群」、「外部パラメータ群」等として読み替えてもよい。
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係る被管理装置としての給水装置の外観を例示する模式図である。給水装置10は、建物に給水するための装置である。係る給水装置10としては、直結給水方式又は受水槽方式などの任意の給水方式が適用可能である。例えば、給水装置10は、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。あるいは、給水装置10は、水道本管から受水槽に貯められた水を吸い込んで増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる加圧ポンプ型給水装置であり得る。
このような給水装置10は、ポンプ装置20と、制御装置30とを備えている。ポンプ装置20は、複数の対象装置としての4台の多段タービンポンプ21-1,21-2,21-3,21-4を有している。以下、「多段タービンポンプ」は、単に「ポンプ」ともいう。4台の多段タービンポンプ21-1,21-2,21-3,21-4は、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ装置20を接続する。吐出配管は、多段タービンポンプ21-1,21-2,21-3,21-4とその二次側の給水先とを接続する。詳しくは、多段タービンポンプ21-1,21-2,21-3,21-4は、各々の吐き出し側が連結管、逆止弁22-1,22-2,22-3,22-4、流量センサ23-1,23-2,23-3,23-4及びボール弁24-1,24-2,24-3,24-4を介して合流管25に接続され、合流管25が吐出配管を介して二次側の給水先に接続されている。吐き出し側の合流管25には、圧力センサ26及びアキュムレータ27が接続されている。また、4台の多段タービンポンプ21-1,21-2,21-3,21-4の各モータは、4台のインバータボックス31-1,31-2,31-3,31-4に各々収容されたインバータ及びインバータ制御基板を介して制御盤32に接続されている。補足すると、制御盤32は、熱対策のために4台のインバータを分離して配置し、4台のポンプに対応するために、4個の漏電しゃ断器と、2枚のノイズフィルター基板と、制御基板を有している。また、流量センサ23-1~23-4は、各ポンプの給水量を検出し、検出信号を制御盤32に出力する。圧力センサ26は、合流管25内の吐出し圧力を検出し、得られた検出信号を制御盤32に出力する。制御盤32は、圧力センサ26からの検出信号に基づいて、吐出し圧力が目標圧力になるよう、インバータからモータへの出力周波数を制御する。また、制御盤32は、流量センサ23-1~23-4からの検出信号に基づいて、ポンプの増台又は減台を含む並列運転を制御する。なお、図1における各装置の数は例示に過ぎない。例えば、多段タービンポンプの台数は任意の複数台であるので、4台に限定されず、2台以上であればよい。また、図1の例では、ポンプ装置20は給水用のポンプであるが、これに限らず、任意の種類のポンプに置き換えられてよい。すなわち、ポンプ装置20は、揚水、排水、圧縮、などいずれの用途のポンプであってもよい。4台の多段タービンポンプ21-1,21-2,21-3,21-4は、複数の対象装置の一例である。
制御装置30は、図2に示すように、インバータボックス31内のインバータ31a及びインバータ制御基板31bと、制御盤32とを備えている。制御装置30は、複数の対象装置の制御を行う制御装置の一例である。
インバータ31aは、プロセッサ39からインバータ制御基板31bを介してインバータ制御信号を受け取る。インバータ31aは、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ31aは、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じてインタフェース35を介してポンプ装置20の運転を停止または開始し得る。また、インバータ31aは、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じて、ポンプ装置20のモータの回転数(ポンプの回転速度)を制御し得る。なお、インバータ31a及び/又はインバータ制御基板31bは、インバータボックス31に代えて、制御盤32に収容されてもよい。
制御盤32は、ポンプ装置20(のモータ)と電気的に接続され、当該ポンプ装置20を制御する。具体的には、制御盤32は、各種センサからの検出信号に基づいて、インバータ制御基板31b及びインバータ31aを介してポンプ装置20のモータの駆動を制御する。
例えば、制御盤32は、給水装置10の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能な圧力センサ26からの検出信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば吐出し圧力一定制御又は推定末端圧力一定制御などの目標圧力一定制御を行い得る。また、制御盤32は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
さらに、制御盤32は、ポンプ装置20に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサ23からの検出信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、制御盤32は、圧力センサ26からの検出信号に基づいて給水装置10の二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再始動する。
さらに、制御盤32は、かかるポンプ装置20の制御に加えて、通信端末40と無線接続することにより、適宜、運転データを通信端末40に送信してもよい。このような通信端末40との通信を伴う形態は、制御装置30及び通信端末40を備えた管理システムや、給水装置10及び通信端末40を備えた管理システムを構成している。また、このような形態は、制御装置30と、通信端末40に実行されるプログラムとを備えた管理システムや、給水装置10と、通信端末40に実行されるプログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。あるいは、このような形態は、制御装置30に実行される第1プログラムと、通信端末40に実行される第2プログラムとを備えた管理システムや、給水装置10に実行される第1プログラムと、通信端末40に実行される第2プログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。ここで、「管理システム」の用語は、適宜、「システム」、「処理システム」又は「パラメータ処理システム」のように言い換えてもよい。同様に、「・・・に実行されるプログラム」の用語は、適宜、「・・・に搭載されるプログラム」又は「・・・に内蔵されるプログラム」のように言い換えてもよい。なお、運転データは、ある運転点での、周波数、電流、電圧、圧力、流量、振動値、モータの絶縁抵抗、及び受水槽の設定などといった、給水装置10の運転状態を示すデータである。補足すると、給水装置10の運転データは、例えば、給水装置10の最新の1つまたはロギングされた複数の時点におけるステータスであり得る。具体的には、運転データは、例えば給水装置10のインバータ31aから取得した各時点の電圧/電流値、圧力センサ26から取得した各時点の検出信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサ23から取得した各時点の検出信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの各時点の回転周波数値、各時点の積算運転データ(積算運転時間及び積算始動回数の少なくとも一方)、などを含み得る。
制御盤32は、図2乃至図4に例示するように、通信部33、入力部34、インタフェース35、表示部36、設定部37、メモリ38及びプロセッサ39を備えている。制御盤32は、例えば扉表面32aに、入力部34の一部である圧力操作・設定部34a及びポンプセット部34bと、表示部36を構成するデジタル表示部36a、運転故障表示部36b、受水槽警報表示部36c及び液晶表示部36dとが配置されている。また、制御盤32は、例えば扉裏面32bに取り付けられた制御基板上に、通信端末40に無線通信可能な通信部33としての通信モジュール33aと、入力部34の他の一部である流入弁操作部34c、受水槽選択部34d及び外部割り込み用コネクタ34eと、インタフェース35を構成する受水槽電極入力端子35a及び水位検出回路35bと、設定部37であるディップスイッチ37aと、外部メモリとしてのメモリ38と、処理回路としてのプロセッサ39とが配置されている。なお、制御盤32のインタフェース35は、ポンプ装置20に電気的に接続可能な端子又は回路である。なお、入力部34及び/又は表示部36は、図3及び図4に示した如き制御盤32に組み込まれた構成に限らず、制御盤32とは別体に設けてもよい。
通信部33は、プロセッサ39により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末40などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。通信部33は、図4に示した如き通信モジュール33a又は通信基板などとして実装してもよい。通信モジュール33aは、例えばコネクタを介して制御盤32の制御基板に着脱自在に設けられてもよい。具体的には、通信部33は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、通信端末40等の外部装置に接続可能となっている。本実施形態の通信部33は、BLE規格に基づいて、通信端末40と無線通信を行う。なお、BLE規格は、BLEのバージョン4.0以上の規格であればよく、BLEの通信方式と互換性があればよい。これに伴い、「BLE規格」は、「Bluetooth 4.0以上の規格」と呼んでもよい。また、通信部33は、通信モードに移行すると、制御盤32の識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。また、通信部33は、当該アドバタイズパケットを受信する通信端末40から接続要求を受けると、通信端末40との間の通信を接続してもよい。通信部33は、プロセッサ39に電気的に接続され、通信端末40との間の通信を接続可能な通信手段の一例である。
入力部34は、例えば、ボタンを含む操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、などのユーザ入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロホン、カメラなどのセンサとを含み得る。図3又は図4に示した圧力操作・設定部34a、ポンプセット部34b、流入弁操作部34c、受水槽選択部34d及び外部割り込み用コネクタ34eは、入力部34のうち、ユーザ入力を受け付ける装置の一例である。また、液晶表示部36dに設けられたタッチパネル(図示せず)は、ユーザ入力を受け付ける装置の他の例である。タッチパネルは、パラメータ設定や、自動運転モード、手動運転モード、停止モードの設定など、任意のユーザ入力を受け付け可能となっている。
表示部36は、典型的には液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを含み得るが、表示デバイスの代わりにまたは表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。図3に示したデジタル表示部36a、運転故障表示部36b及び受水槽警報表示部36cはLED点灯部の一例であり、液晶表示部36dは、液晶ディスプレイなどの表示デバイスの一例である。
設定部37は、制御に関するパラメータのうち、読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態が物理的に設定される。設定部37としては、例えば、ディップスイッチ又はジャンパーピンなどが適宜、使用可能となっている。本実施形態では、設定部37として、図4及び図5に示す如き、ディップスイッチ37aを用いている。このディップスイッチ37aは、例えば2~5台のポンプ台数、減台設定の有無、給水方式種別といった読み出しパラメータが割り付けられている。具体的には例えば、ディップスイッチ37aは、複数のスイッチDP1,DP2,DP3,DP4の各々において、読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態が物理的に設定される。例えば図6(a)に示すように、スイッチDP1,DP2の接続状態”0”,”1”の組合せに応じて、ポンプ台数”2台”、”3台”、”4台”又は”5台”が取得可能となっている。また例えば、図6(b)に示すように、スイッチDP3の接続状態”0”,”1”に応じて、減台設定”あり”又は”なし”が取得可能となっている。また例えば、図6(c)に示すように、スイッチDP4の接続状態”0”,”1”に応じて、給水方式種別”受水槽方式”又は”直結給水方式”が取得可能となっている。このような設定部37は、例えば、制御盤32又は給水装置10の出荷時に、作業員が制御基板上のディップスイッチ37aを操作することにより、ポンプ台数、最大並列運転台数を決定する減台設定の有無、受水槽又は直結給水を示す給水方式種別といった読み出しパラメータ(読み出し専用パラメータ)が設定される。なお、読み出しパラメータは、電源投入時に、設定部37の接続状態に基づいてプロセッサ39に取得されてEEPROM(登録商標)領域39aに格納されるデータであり、入力部34を操作しても変更できないデータ(変更不可のパラメータ)である。「EEPROM」は、「Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory」(電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)の略語である。作業員は、操作者の一例である。
メモリ38は、図7に示すように、プロセッサ39から読出/書込可能に設けられ、プロセッサ39によって使用されるデータや運転データなどを格納するEEPROM(登録商標)等の不揮発性メモリを有している。データとしては、例えば、制御盤32を識別する識別情報、コード、テーブルなどが適宜記憶される。運転データとしては、EEPROMの許容書き込み回数を超えない観点から、給水装置10の運転状態を示す運転データのうちの定期的に取得される積算値に関する積算運転データ(以下、運転データ(積算)ともいう)が記憶される。例えば、運転データ(積算)は、メモリ38を構成するEEPROM内に設けた専用レジスタに格納される。この専用レジスタには、運転データ(積算)を選択するための選択コード「D-B」も格納される。この専用レジスタは、例えば、許容書き込み回数が10万回の場合、6時間に1回、1日4回程度の定期的な運転データ(積算)の書き込みであれば、書き込み回数が1年間(365日)で1460回、10年間で1万4600回、30年間で4万3800回であることから、許容書き込み回数を超えずに使用できる。また、運転データ(積算)としては、例えば積算始動回数、積算運転時間、積算流量などがあり、いずれもEEPROM内に設けた専用レジスタに格納される。運転データ(積算)は、定期的に更新されるため、後述する最大/最小運転データよりは更新頻度が高いが、後述する逐次運転データよりは更新頻度が低い。なお、運転データ(積算)は、記憶する必要があり、更新頻度が高い運転データ(例、積算始動回数、積算運転時間、積算流量など)であることから、「記憶・表示データD-B」と呼んでもよい。
また、メモリ38は、不揮発性メモリに加え、電源遮断時に消去してもよいデータが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。メモリ38は、プロセッサ39の外部に設けられたメモリであることから、外部メモリと呼んでもよい。
プロセッサ39は、典型的にはマイコンであるが、CPU、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ39は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。
プロセッサ39は、消去・書き替え可能な不揮発性のEEPROM領域39aと、高速で読み書き可能であるが、停電時にデータが消失してしまう揮発性のDRAM領域39bとを含んでいる。また、プロセッサ39は、EEPROM領域39aに保存されたプログラムを実行することで、処理部39c及びポンプ制御部39d等として機能し得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、主にパラメータの処理に関する処理プログラム、ポンプ制御プログラム(例、自動運転プログラム)などが適宜、記憶される。なお、プロセッサ39内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
ここで、EEPROM領域39aは、プロセッサ39に内蔵された不揮発性メモリ領域であり、図8に示すように、プログラム領域PAと、データ領域DAとを含んでいる。プログラム領域PAは、ポンプの自動運転プログラム等のプログラムが格納されている。データ領域DAは、互いに離れた領域にある5つのレジスタと、各レジスタの間にある4つの領域とを含んでいる。ここで、5つのレジスタとしては、更新頻度が低い下層から上層への論理的な順に、第1不揮発性レジスタrg1、第2不揮発性レジスタrg2、第3不揮発性レジスタrg3、第4不揮発性レジスタrg4及び第5不揮発性レジスタrg5を備えている。但し、第2不揮発性レジスタrg2は、第2A不揮発性レジスタrg2a、第2B不揮発性レジスタrg2b、第2C不揮発性レジスタrg2c、第2D不揮発性レジスタrg2dという4つのレジスタを含んでいる。すなわち、データ領域DAは、計8個のレジスタを含んでいる。ここで、第1不揮発性レジスタrg1は、最下層のプログラム領域PAの次の下層に位置付けられ、5つ(8個)のレジスタのうち、最も更新頻度が低い層に位置する。なお、本実施形態では、各層の中で相対的に更新頻度の低い層を下層と呼び、更新頻度の高い層を上層と呼ぶ。但し、これに限らず、各層の中で相対的に更新頻度の低い層を上層と呼び、更新頻度の高い層を下層と呼んでもよく、この場合、第1不揮発性レジスタrg1は、最上層のプログラム領域PAの次の上層に位置付けられる。すなわち、更新頻度の低い層が第1不揮発性レジスタrg1であれば、上層、下層の呼び方を変えてもよい。また、「論理的な順」に述べた順序は、一例であり、これに限定されない。例えば、パラメータ調整作業の状況によっては、第2不揮発性レジスタrg2、第3不揮発性レジスタrg3及び第4不揮発性レジスタrg4の間で順序が前後してもよい。例えば、給水装置10の設置後に、騒音低減の観点から内部パラメータのキャリア周波数を調整した状況により、第2不揮発性レジスタrg2の更新頻度が、第3不揮発性レジスタrg3の更新頻度を超える場合があってもよい。4つの領域は、第1データ領域da1、第2データ領域da2、第3データ領域da3及び第4データ領域da4であり、これらは更新頻度の順とは無関係であって、5つのレジスタを互いに離して、明確に区分するために形成されている。但し、第2データ領域da2は、第2不揮発性レジスタrg2に格納された内部パラメータの選択コードに関連付けて、給水装置10の機種識別情報である「機種コード」を格納している。第2データ領域da2及び第2不揮発性レジスタrg2は、制御に関するパラメータのうち、対象装置のモータ又はインバータに関する複数の内部パラメータと、当該複数の内部パラメータを個別に選択するための複数の第1選択情報と、当該被管理装置の機種識別情報とを格納する第1格納手段の一例である。
「機種コード」は、例えば、ポンプの種類により、先頭記号A~Fに分類され、ポンプの口径と出力により、末尾数字001~015に分類され、先頭記号及び末尾数字の組み合わせにより、ポンプの種類、口径及び出力を識別するポンプ機種固有の識別情報である。機種コードと、当該機種コードにより識別されるポンプ機種固有の内部パラメータ名と、内部パラメータの初期値とが、プロセッサ39と、通信端末40のプログラムとの双方に記憶されている。8個のレジスタは、予め定められたアドレス又は識別名により識別可能となっている。なお、各レジスタのアドレス又は識別名は、前述した論理的な順とは無関係に、任意の順に定めて構わない。各レジスタのアドレスは、各レジスタ内のパラメータを選択するための「選択コード」からテーブル等を介して求めてもよい。各レジスタの識別名には、各レジスタ内のパラメータを選択するための「選択コード」を用いてもよい。あるいは、各レジスタは、「選択コード」を用いてEEPROM領域39aを検索することにより、求めてもよい。また、各レジスタは、複数パラメータを一括して閲覧/変更可能とするために、パラメータのグループ毎に専用に設けられることから、それぞれ専用レジスタと呼んでもよい。例えば、第1不揮発性レジスタrg1は、第1専用レジスタと呼んでもよい。他のレジスタも同様である。また、本明細書中の「専用レジスタ」の用語は、いわゆる「プログラムカウンタやスタックポインタ等の特殊レジスタとしての専用レジスタ」ではなく、プログラムによって任意に使用可能な汎用レジスタをパラメータのグループ毎に専用に割り当てたものを意味している。また、「レジスタ」の用語は、EEPROM領域39aがプロセッサ39に内蔵された不揮発性メモリ領域であることから、「メモリ領域」又は「内蔵メモリ領域」と読み替えてもよい。
なお、第1不揮発性レジスタrg1、第2不揮発性レジスタrg2、第3不揮発性レジスタrg3、第4不揮発性レジスタrg4及び第5不揮発性レジスタrg5は、読み出し、もしくは読み出し/書き込みする周期を、必要に応じて各レジスタ個別に設定してもよい。また、各レジスタの階層ごとに、各パラメータの表現形式、すなわち単精度もしくは倍精度、整数、固定小数点と浮動小数点、正負表示、ビット数、初期値と設定可能範囲など、単位以外の表現形式を整理してもよい。この場合、効率のよいソフトウエア開発が可能となる。
ここで、第1不揮発性レジスタrg1は、対象装置の台数又は種別に関する読み出しパラメータと、読み出しパラメータを選択するための選択コード「P-RE」(第3選択情報)とを格納する。読み出しパラメータとしては、例えば、ポンプ台数と、最大並列運転台数と、減台設定の有無と、受水槽方式または直結給水方式を示す給水方式種別とを含んでいる。「ポンプ台数」は、ポンプ装置20が備えた複数の多段タービンポンプ21の台数である。「減台設定」は、並列運転中のポンプの台数を減らす設定である。「最大並列運転台数」は、ポンプ台数のうち、同時に運転可能な最大の台数であり、ポンプ台数と減台の有無とに基づいて、プロセッサ39により算出及び格納される。なお、読み出しパラメータの「ポンプ台数」と「最大並列運転台数」は、ポンプ台数に対応したインバータ制御基板31bに接続される制御盤32の製造工程において自明であり、製造工程の完了後に、変更する余地が全くない定数である。第1不揮発性レジスタrg1は、第3格納手段の一例である。
第2不揮発性レジスタrg2は、対象装置のモータ又はインバータに関する複数の内部パラメータを4つのレジスタに分散して4つの選択コード(複数の第1選択情報)と共に格納する。4つのレジスタは、第2A不揮発性レジスタrg2a、第2B不揮発性レジスタrg2b、第2C不揮発性レジスタrg2c、第2D不揮発性レジスタrg2dである。
ここで、第2A不揮発性レジスタrg2aは、例えば、加速時間や減速時間、増台遅延時間や減台遅延時間などの自動運転時の時定数としての内部パラメータ(P-A)と、当該内部パラメータを選択するための選択コード「P-A」とを格納する。「加速時間」は、インバータの出力が始動から最高周波数まで達する時間である。「減速時間」は、インバータが最高周波数から停止するまでの時間である。「増台遅延時間」は、停止しているポンプを起動して増台するときの遅延時間である。「減台遅延時間」は、運転中のポンプを停止して減台するときの遅延時間である。
第2B不揮発性レジスタrg2bは、増台時の上下限周波数、減台時の上下限周波数など並列運転時の定数としての内部パラメータ(P-B)と、当該内部パラメータを選択するための選択コード「P-B」とを格納する。「上限周波数」は、増台時又は減台時の上限の周波数である。「下限周波数」は、増台時又は減台時の下限の周波数である。
また、これら内部パラメータの「加速時間」、「減速時間」、「増台遅延時間」、「減台遅延時間」、「上限周波数」及び「下限周波数」は、製造時や設置時の試運転などにおいて、並列起動時又は解列時に定速ポンプと変速ポンプの切り替えを実施して不具合現象が発生した場合に、初期値から修正される定数である。これらの内部パラメータは、ポンプの切り替え動作を規定することから、自動運転プログラム本体と同様の重要性があり、変更される頻度の低い定数となっている。
第2C不揮発性レジスタrg2cは、例えば、キャリア周波数、最低周波数、最高周波数、などの重要度の高い定数としての内部パラメータ(P-C)と、当該内部パラメータを選択するための選択コード「P-C」とを格納する。「キャリア周波数」は、インバータのパルス幅変調(PWM)制御に用いられるスイッチング制御信号を生成するための比較器に入力される一定周期のキャリア(三角波)と、変調波(所望の波形)とのうち、キャリアが持つ周波数である。「最低周波数」は、インバータが運転時に出力可能な最低の周波数である。「最高周波数」は、インバータが運転時に出力可能な最高の周波数である。このような「キャリア周波数」、「最低周波数」及び「最高周波数」は、給水装置10の設置後に、騒音レベルを低減して欲しい等の要望がなければ調整する必要がないため、変更する余地の少ない定数である。
第2D不揮発性レジスタrg2dは、例えば、インバータ種別、モータ定格電流、過電流保護レベルなどの装置仕様としての内部パラメータ(P-D)と、当該内部パラメータを選択するための選択コード「P-D」とを格納する。「インバータ種別」は、低騒音PWM方式の如き、インバータの種類又は形式である。「モータ定格電流」は、ポンプのモータの定格電流である。「過電流保護レベル」は、インバータのスイッチング素子の電流値に基づいて、当該スイッチング素子を過電流から保護する動作を開始する際の、当該電流値である。また、「インバータ種別」、「モータ定格電流」及び「過電流保護レベル」は、モータ定格やインバータメーカー及びインバータ定格などにより決定され、変更する余地の全くない定数である。このような第2不揮発性レジスタrg2は、重要度が高く、開発時以外に変更の必要のない「内部パラメータ(P-A)~(P-D)」を一括して管理し、アクセス可能な内部パラメータの個数を限定して、ソフトウェア開発時の内部パラメータの調整作業を容易としている。
第3不揮発性レジスタrg3は、外部環境の異常に対する機能に関する機能パラメータ(P-FC)と、当該機能パラメータを選択するための選択コード「P-FC」(第2選択情報)とを格納する。機能パラメータとしては、例えば、図8及び図9に示すように、外部渇水入力、感震器入力、自家発電運転入力などの項目毎に、有効又は無効を切り替える必要のある特殊機能の設定が使用可能となっている。「外部渇水入力」は、制御盤32自体の水位検出回路35bの水位検出機能を停止して、外部の受水槽水位検出装置から受水槽電極入力端子35aに入力される検出信号に従う機能である。「感震器入力」は、地震動の検知装置の信号が入力された場合に、運転中の全てのポンプを停止する機能である。「自家発電運転入力」は、停電により発電機が始動した場合に、消費電力を制限するために最大並列運転台数を制限する機能である。機能パラメータは、一般的なサービスマンではなく、専門知識を有する専門部署の社員により設定(切り替え)が行われるため、誤った設定がされる可能性が低く、変更する余地の少ない定数である。サービスマン及び社員の各々は、操作者の一例である。第3不揮発性レジスタrg3は、制御に関するパラメータのうち、外部環境の異常に対する機能に関する機能パラメータと、当該機能パラメータを選択するための第2選択情報とを格納する第2格納手段の一例である。
第4不揮発性レジスタrg4は、対象装置の制御目標に関する外部パラメータ(P-OT)と、当該外部パラメータを選択するための選択コード「P-OT」とを格納する。外部パラメータとしては、例えば、定格圧力、末端圧力、始動圧力、定格流量が使用可能となっている。「定格圧力」は、推定末端圧一定制御方式における定格流量時の目標圧力(制御目標)である。「末端圧力」は、蛇口やシャワーヘッド等の供給先の水圧であり、例えば、定格圧力の80~90%の値としてもよい。例えば90%の場合、「末端圧力」を定格圧力×0.9として算出してもよい。「始動圧力」は、ポンプを再始動する際の、給水装置10の二次側の基準圧力である。例えば、ポンプの二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下すると、ポンプが再始動される。「始動圧力」は、例えば、末端圧力より、所定の揚程を4mとして減算することにより、始動圧力=末端圧力-4として、算出してもよい。「定格流量」は、定格圧力を決める際の流量であり、使用可能な最大流量である。このように、外部パラメータの「定格圧力」、「末端圧力」、「始動圧力」及び「定格流量」は互いに制御目標に関連している。また、「定格圧力」、「末端圧力」、「始動圧力」は、給水装置10の発注時に、給水現場に合わせたいわゆる「一点仕様」として注文があった場合、専用設定する必要がある。このため、製造工程における給水装置10の試運転時に、作業員が、制御盤32の圧力操作・設定部34aを操作し、「定格圧力」、「末端圧力」、「始動圧力」の初期値を、手入力で設定している。また、出荷後、給水装置10の設置された場所で、サービスマンが圧力操作・設定部34aを操作し、「定格圧力」、「末端圧力」、「始動圧力」の初期値を変更する場合がある。このような外部パラメータは、前述した読み出しパラメータ、内部パラメータ及び機能パラメータに比べ、変更する余地が多い定数である。なお、「外部パラメータ」は、外部=ユーザが容易に閲覧・変更できるパラメータを意図した名称であるが、これに限らず、「ユーザパラメータ」や「目標関連パラメータ」など、他の名称に変更してもよい。
第5不揮発性レジスタrg5は、対象装置の運転状態を示す運転データのうちの不定期に取得される最大値又は最小値に関する最大/最小運転データ(以下、運転データ(最大、最小)ともいう)(D-A)と、当該運転データ(最大、最小)を選択するための選択コード「D-A」とを格納する。運転データ(最大、最小)としては、例えば、最多並列運転台数履歴、瞬時最大流量、最高吐出し圧力、最低吐出し圧力などが使用可能となっている。運転データ(最大、最小)は、不定期に更新されるため、他の運転データに比べ、更新頻度が低い。但し、運転データ(最大、最小)は、前述した読み出しパラメータ、内部パラメータ、機能パラメータ及び外部パラメータに比べ、更新される余地が多いデータである。なお、運転データ(最大、最小)は、記憶・更新する必要はあるが、更新頻度の低い運転データ(例、最多並列運転台数履歴、瞬時最大流量、最高吐出し圧力、最低吐出し圧力)であることから、「記憶・表示データD-A」と呼んでもよい。
DRAM領域39bは、プロセッサ39に設けられ、運転データのうちの逐次取得される逐次運転データ(以下、運転データ(逐次)ともいう)(D-C)と、当該運転データ(逐次)を選択するための選択コード「D-C」とを格納する揮発性メモリ領域である。なお、運転データ(逐次)は、DRAM領域39b内に設けた専用レジスタに格納してもよい。運転データ(逐次)としては、例えば、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、出力周波数、出力電圧、消費電力などが使用可能となっている。運転データ(逐次)は、逐次更新されるため、他の運転データに比べ、更新頻度が高い。なお、逐次とは、毎秒に限らず、例えば、1分に一回の如き、1時間より短い間隔毎であればよい。あるいは、逐次とは、運転データ(積算)の取得間隔よりも短い間隔毎であればよい。なお、運転データ(逐次)は、記憶する必要のない運転データ(例、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、出力周波数、出力電圧、消費電力など)であることから、「表示データD-C」と呼んでもよい。
処理部39cは、前述した各パラメータに関する処理を実行する。各パラメータに関する処理としては、例えば、以下の(a)、(b)の処理がある。また、適宜、(c)以降の処理を実行してもよい。また、各パラメータに関する処理としては、以下の(a)~(g)の処理以外にも適宜、入力部34の操作に基づく読出/書込処理や、通信部33を介した通信端末40からの要求に基づく読出/書込処理などが実行可能である。
(a)通信部33を介して通信端末40から機種識別情報の送信が要求されると、当該要求に基づいて、第2データ領域da2から機種識別情報を読み出し、当該機種識別情報を通信端末40に送信する機種送信処理。
(b)機種識別情報の送信の後、通信部33を介して通信端末40から第1選択情報を受信すると、当該受信した第1選択情報に基づいて、第2不揮発性レジスタrg2から内部パラメータを読み出し、当該内部パラメータを通信端末40に送信する内部送信処理。
(c)機種識別情報の送信の後、通信端末40から第2選択情報を受けると、第3不揮発性レジスタrg3内の機能パラメータを読み出して通信端末40に送信する機能送信処理。
(d)電源投入時に、設定部37の接続状態に基づいて読み出しパラメータを取得し、当該取得した読み出しパラメータと、当該取得した読み出しパラメータを選択するための第3選択情報とを第1不揮発性レジスタrg1に書き込む取得処理。
(e)機種識別情報の送信の後、通信端末40から第3選択情報を受けると、第1不揮発性レジスタrg1内の当該読み出しパラメータを読み出して通信端末40に送信する読み出し送信処理。
(f)操作者の第1操作に応じて、対象装置を停止状態にする停止処理。停止状態としては、例えば、外部割込みによる停止状態や、停止モードによる停止状態が使用可能となっている。
(g)機種送信処理よりも先行して実行され、当該停止状態のとき、操作者の第2操作に応じて、通信部33に対して通信端末40との間の通信の接続を許可する通信許可処理。
なお、処理部39cは、機種送信手段、内部送信手段、機能送信手段、取得手段、読み出し送信手段、停止手段及び通信許可手段の一例である。また、処理部39cは、外部パラメータや、運転データ(逐次)、運転データ(積算)、運転データ(最大、最小)についても同様に、EEPROM領域39a又はメモリ38への読出/書込処理や、通信端末40への送信処理が実行可能となっている。
ポンプ制御部39dは、各種センサからの検出信号に基づいて、給水装置10の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データをEEPROM領域39a、DRAM領域39b及び/又はメモリ38に保存する。なお、運転データの取得は、積算値のように、給水装置10の運転実態に応じて、運転データを算出することを含んでもよい。
また、ポンプ制御部39dは、EEPROM領域39aに保存されたポンプ制御プログラムによって決まる制御ポリシーと、各レジスタ内のパラメータとに基づき、最新の検出信号等に応じてインバータ制御信号を生成し、これをインバータ制御基板31bを介してインバータ31aへ送る。これにより、ポンプ制御部39dは、ポンプ装置20を制御する。
例えば、各ポンプのうち、先発ポンプの単独運転中に給水量が増加し、変速運転している先発ポンプの運転周波数が最高周波数fmax(例:60Hz)まで増加した時点で、増台直前流量をDRAM領域39bに記憶する。しかる後、ポンプ制御部39dは、待機していた追従ポンプを増台し、並列運転中の先発ポンプの流量と追従ポンプの流量を加算して、給水量が減少して、増台直前流量未満になった時点で、先発ポンプを減台停止するとともに、追従ポンプを、変速運転に切り替える。これにより、吐出し圧力が目標圧力になるよう、インバータ31aを介して追従ポンプの回転速度を制御する。
また例えば、給水装置10は、使用水量が規定値以上に増加し、流量センサが“オン状態”の条件で、先発ポンプが最高周波数となり、吐出圧力が目標圧力未満になると、待機ポンプを起動して並列運転に移行する。この際、並列起動した追従ポンプを最高周波数まで増速したのち、運転周波数を固定して定速運転に切り替えるとともに、先発ポンプを、変速運転に切り替えている。そして、並列運転中に、先発ポンプ側の流量センサが、一定時間“オフ状態”になると、減台動作に入り、先発ポンプを停止している。また、先発先停方式に従って定速ポンプと変速ポンプとを切り替えることにより、各ポンプの起動回数および運転時間を平準化して、部品交換や故障頻度を低減可能としている。
ここで、ポンプ制御部39dによる制御と前述した各パラメータとの関係を補足する。並列起動時に定速ポンプと変速ポンプとの切り替えを実施した場合、給水装置吐出し側の配管長が長い場合や、給水末端の制御弁の開閉速度の違いなどにより、変速運転する先発ポンプの減速が遅れて、吐出し圧力が上昇する不具合が生じる場合がある。また、解列時に定速ポンプと変速ポンプとの切り替えを実施した場合、変速運転する追従ポンプの増速が遅れて、吐出し圧力が低下する不具合が生じる可能性がある。
これら不具合現象が発生した場合、前述した内部パラメータのうち、「加速時間」や「減速時間」、「増台遅延時間」や「減台遅延時間」、「上限周波数」や「下限周波数」などを初期値より変更して、不具合現象を解消している。このような内部パラメータの変更は、ポンプ機種と現場固有の現象に対する局限された対処法であり、根絶できない作業である。また、他のポンプ機種や、他の現場において同様の不具合現象が発生する可能性もある。従って、低い頻度であるが、ポンプ制御の不具合現象が発生すると、サービスマンが内部パラメータを変更する。
なお、以上のようなプロセッサ39は、図8に例示した構成に限らず、例えば図10に例示するように変形してもよい。図10中、EEPROM領域39aのデータ領域DAは、図8に示す構成に比べ、第1不揮発性レジスタrg1、第1データ領域da1、第2不揮発性レジスタrg2、第2データ領域da2及び第3不揮発性レジスタrg3が省略されている。この場合、省略された第1不揮発性レジスタrg1、第1データ領域da1、第2不揮発性レジスタrg2、第2データ領域da2及び第3不揮発性レジスタrg3は、図11に例示するように、メモリ38のEEPROMに設けられている。これに伴い、メモリ38内の運転データ(積算)を記憶する領域は、第6不揮発性レジスタrg6とし、第5データ領域da5を介して、第3不揮発性レジスタrg3に並べられている。
補足すると、「第1不揮発性レジスタrg1」(第3格納手段)、「第1データ領域da1」、「第2不揮発性レジスタrg2及び第2データ領域da2」(第1格納手段)、「第3不揮発性レジスタrg3」(第2格納手段)は、それぞれプロセッサ39の内蔵メモリとして実装してもよく、メモリ38に実装してもよい。このような変形例は、3つのレジスタの組み合わせに対応して、以下の[1]~[7]の場合が実現可能である{(1,2,3), (1,2), (1,3), (2,3), 1, 2, 3、の場合}。
[1]前述した通り、図8に例示した構成に比べ、「第1不揮発性レジスタrg1」、「第1データ領域da1」、「第2不揮発性レジスタrg2及び第2データ領域da2」、「第3不揮発性レジスタrg3」をメモリ38に移動させた場合(図10及び図11)。
[2]図8に例示した構成に比べ、「第1不揮発性レジスタrg1」、「第1データ領域da1」、「第2不揮発性レジスタrg2及び第2データ領域da2」をメモリ38に移動させた場合。
[3]図8に例示した構成に比べ、「第1不揮発性レジスタrg1」、「第1データ領域da1」及び「第3不揮発性レジスタrg3」をメモリ38に移動させた場合。
[4]図8に例示した構成に比べ、「第2不揮発性レジスタrg2及び第2データ領域da2」並びに「第3不揮発性レジスタrg3」をメモリ38に移動させた場合。
[5]図8に例示した構成に比べ、「第1不揮発性レジスタrg1」及び「第1データ領域da1」のうちの少なくとも「第1不揮発性レジスタrg1」をメモリ38に移動させた場合。
[6]図8に例示した構成に比べ、「第2不揮発性レジスタrg2及び第2データ領域da2」をメモリ38に移動させた場合(図10及び図11)。
[7]図8に例示した構成に比べ、「第3不揮発性レジスタrg3」をメモリ38に移動させた場合。
一方、通信端末40は、図示しない管理サーバや、建物に給水する給水装置10に通信可能な情報処理装置である。通信端末40は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。
このような通信端末40は、図12に例示するように、通信部41、入力部42、表示部43、メモリ44及びプロセッサ45を備えている。プロセッサ45は、後述するように、通信制御部45a、処理部45b等の機能を実現可能となっている。なお、プロセッサ45内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
ここで、通信部41は、プロセッサ45により制御され、例えば、無線通信技術を用いて、給水装置10などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部41は、例えば、BLE規格、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、給水装置10等の外部装置に接続可能となっている。本実施形態の通信部41は、BLE規格に基づいて、給水装置10の制御盤32と無線通信を行う。なお、本実施形態には用いないが、通信部41は、前述したBLE規格の通信とは別に、基地局及びネットワークを介して管理サーバや他の通信端末に通信可能なモバイル端末の通常の通信インタフェースを含んでもよい。
入力部42は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末40に内蔵されてもよいし、通信端末40に外付けされてもよい。入力部42は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。
表示部43は、プロセッサ45の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示部43は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。表示部43は表示手段の一例である。
メモリ44は、プロセッサ45が各処理を実現するために当該プロセッサ45によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ45によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ44は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。なお、通信端末40のプログラムには、予め全ての内部パラメータに関する名称、単位、設定可能範囲などのデータが記憶されており、制御盤32に誤った数値が入力されることを阻止している。
プロセッサ45は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ45は、通信部41を介して給水装置10との間で無線通信を行い、給水装置10を管理する処理を実行するものである。プロセッサ45は、メモリ44に保存されたプログラムを実行することで、図12の通信制御部45a及び処理部45bとして通信端末40を機能し得る。なお、プロセッサ45内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。当該通信制御部45a及び処理部45bは、要求手段、比較手段、許可手段、第1送信要求手段及び表示制御手段の一例である。
通信制御部45aは、通信部41を制御して、給水装置10との無線通信を行う。例えば、通信制御部45aは、アドバタイズパケットを送信した制御盤32に接続要求を送信する。また、通信制御部45aは、通信部41を介して、給水装置10との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、給水装置10にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部45aは、通信端末40と給水装置10との接続を確立するための何らかのデータ、例えば給水装置10及び通信端末40がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての給水装置10からのリクエスト、を受信することもあり得る。以下の説明では、理解を容易にする観点から、給水装置10との通信に通信部41が介在する旨の記載を適宜、省略する。
また、通信制御部45aは、通信部41を介して、例えば、給水装置10の間で通信を接続し、機種識別情報の送信を要求する。また、通信制御部45aは、機種識別情報の送信の要求に応じて、給水装置10から機種識別情報を受けると、当該機種識別情報と、通信端末40に予め記憶した機種識別情報とを比較する。また、通信制御部45aは、比較した結果、両者が合致した場合、複数の内部パラメータに対する読出処理を許可する。また、通信制御部45aは、当該読出処理が許可されると、操作者の操作に応じて、通信端末40に予め記憶した第1選択情報を給水装置10に送信することにより、第1選択情報に対応する内部パラメータの送信を要求する。また、通信制御部45aは、内部パラメータの送信の要求に応じて、給水装置10から内部パラメータを受けると、処理部45bにより、当該内部パラメータを通信端末40の表示部43に表示させる。また、通信制御部45aは、当該読出処理が許可されると、操作者の操作に応じて、通信端末40に予め記憶した第2選択情報を給水装置10に送信することにより、第2選択情報に対応する機能パラメータの送信を要求する。また、通信制御部45aは、機能パラメータの送信の要求に応じて、給水装置10から機能パラメータを受けると、処理部45bにより、当該機能パラメータを通信端末40の表示部43に表示させる。また、通信制御部45aは、当該読出処理が許可されると、操作者の操作に応じて、通信端末40に予め記憶した第3選択情報を給水装置10に送信することにより、第3選択情報に対応する読み出しパラメータの送信を要求する。また、通信制御部45aは、読み出しパラメータの送信の要求に応じて、給水装置10から読み出しパラメータを受けると、処理部45bにより、当該読み出しパラメータを通信端末40の表示部43に表示させる。また、通信制御部45aは、当該読出処理が許可されると、操作者の操作に応じて、通信端末40に予め記憶した第4選択情報を給水装置10に送信することにより、第4選択情報に対応する外部パラメータの送信を要求する。また、通信制御部45aは、外部パラメータの送信の要求に応じて、給水装置10から外部パラメータを受けると、処理部45bにより、当該外部パラメータを通信端末40の表示部43に表示させる。また、通信制御部45aは、当該読出処理が許可されると、操作者の操作に応じて、運転データ(逐次)、運転データ(積算)、運転データ(最大、最小)の送信を要求する。運転データの送信要求は、運転データ(逐次)、運転データ(積算)及び運転データ(最大、最小)のうち、少なくとも1つの運転データを対象とする。また、通信制御部45aは、運転データの送信の要求に応じて、給水装置10から運転データを受けると、処理部45bにより、当該運転データを通信端末40の表示部43に表示させる。
処理部45bは、給水装置10の点検、メンテナンス、管理、パラメータ閲覧・変更など、作業員の作業に応じた情報処理を実行する。
処理部45bは、例えば、読み出しパラメータ、内部パラメータ、機能パラメータ、外部パラメータ、運転データ(最大、最小)、運転データ(積算)又は運転データ(逐次)を通信部41が受信すると、当該受信した内容を表示させる。この場合、必要があれば、処理部45bは、操作者のスクロール操作に応じて、当該表示させる一部分を変更してもよい。また、処理部45bは、当該内部パラメータ、機能パラメータ又は外部パラメータの表示中、当該パラメータを変更する操作に応じて、当該パラメータを変更する変更指示を、通信部41を介して制御装置30に送信する。
以下、図13乃至図16を参照しながら、図2の給水装置10及び図12の通信端末に関する動作例を説明する。この動作例は、製造工程での格納時の動作(図13)と、外部割込み停止時の動作(図14)と、機種コードを用いた読出許可時の動作(図15)と、読出/書込時の動作(図16)とを含んでいる。以下、各動作例を順に述べる。
(製造工程での格納時の動作:図11)
始めに、給水装置10の製造工程において、ポンプ装置20及び制御装置30を備えた給水装置10が組み立てられる。
続いて、制御装置30内の制御盤32では、各パラメータの格納工程がステップS1~S5の実行により行われる。なお、ステップS1,S2と、ステップS3と、ステップS4と、ステップS5とは、実行する順序を入れ替えてもよい。また、ステップS1,S2と、ステップS3と、ステップS4と、ステップS5とにおいて、互いに異なる作業員が制御盤32を操作してもよい。
制御盤32では、電源が遮断された状態において、作業員によりディップスイッチ37aが物理的に操作される。この操作により、ディップスイッチ37aでは、ポンプ台数、減台設定の有無、給水方式種別といった読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態が物理的に設定される(ステップS1)。
制御盤32のプロセッサ39は、電源投入時に、ディップスイッチ37aの接続状態に基づいて読み出しパラメータを取得し、当該取得した読み出しパラメータと、当該読み出しコードの選択コード「P-RE」とを第1不揮発性レジスタrg1に書き込む。これにより、第1不揮発性レジスタrg1は、多段タービンポンプ21の台数又は種別に関する読み出しパラメータと、その選択コード「P-RE」とを格納する(ステップS2)。
ステップS2の後、制御盤32では、作業員による入力部34の操作により、多段タービンポンプ21のモータ又はインバータに関する内部パラメータと、当該内部パラメータの選択コードとが第2不揮発性レジスタrg2に書き込まれる。これにより、第2不揮発性レジスタrg2は、内部パラメータ及び選択コードを格納する(ステップS3)。具体的には、第2A不揮発性レジスタrg2aが内部パラメータ及び選択コード「P-A」を格納し、第2B不揮発性レジスタrg2bが内部パラメータ及び選択コード「P-B」を格納する。第2C不揮発性レジスタrg2cが内部パラメータ及び選択コード「P-C」を格納し、第2D不揮発性レジスタrg2dが内部パラメータ及び選択コード「P-D」を格納する。また、制御盤32では、作業員による入力部34の操作により、給水装置10の機種コードが第2データ領域da2に書き込まれる。機種コードとしては、例えば、A,B,C,D,E,Fの6種類の先頭記号と、001~015の15種類の末尾数字とを組み合わせた90種類の記号のいずれかが用いられる。なお、末尾数字は01~15の15種類としてもよい。
ステップS3の後、制御盤32では、作業員による入力部34の操作により、外部環境の異常に対する機能に関する機能パラメータと、当該機能パラメータの選択コード「P-FC」とが第3不揮発性レジスタrg3に書き込まれる。これにより、第3不揮発性レジスタrg3は、機能パラメータ及び選択コード「P-FC」を格納する(ステップS4)。
ステップS4の後、制御盤32では、作業員による入力部34の操作により、多段タービンポンプ21の制御目標に関する外部パラメータと、当該外部パラメータの選択コード「P-OT」とが第4不揮発性レジスタrg4に書き込まれる。これにより、第4不揮発性レジスタrg4は、外部パラメータ及び選択コード「P-OT」を格納する(ステップS5)。以上のステップS1~S5の実行により、プロセッサ39内のパラメータの格納が終了する。これに伴い、給水装置10は、試運転が可能な状態となる。
ステップS5の後、製造工程において、給水装置10の試運転が行われる。プロセッサ39は、ポンプ制御部39dにより、インバータ制御基板31b及びインバータ31aを介してポンプ装置20を制御すると共に、給水装置10の運転データを取得する。
ここで、プロセッサ39は、運転データのうちの逐次取得される運転データ(逐次)をDRAM領域39bに書き込む。これにより、DRAM領域39bは、運転データ(逐次)を格納する(ステップS6)。
また、プロセッサ39は、運転データのうちの定期的に取得される積算値に関する運転データ(積算)をメモリ38に書き込む。これにより、メモリ38は、運転データ(積算)を格納する(ステップS7)。
また、プロセッサ39は、運転データのうちの不定期に取得される最大値又は最小値に関する運転データ(最大、最小)を第5不揮発性レジスタrg5に書き込む。これにより、第5不揮発性レジスタrg5は、運転データ(最大、最小)を格納する(ステップS8)。なお、運転データ(逐次)、運転データ(積算)及び運転データ(最大、最小)は、それぞれの選択コード「D-C」、「D-B」又は「D-A」と共に、書き込まれてもよい。以上のステップS6~S8の実行により、製造工程中の試運転時における運転データの格納が終了する。
(外部割込み停止時の動作:図14)
始めに、給水装置10の試運転時において、運転状態の確認のため、給水装置10が自動運転モードで運転される。なお、試運転時に代えて、給水現場での点検時やメンテナンス時でもよい。プロセッサ39は、前述同様に、運転データの取得及び書き込みを行う。これにより、前述したステップS6~S8と同様に、運転データ(逐次)、運転データ(積算)、運転データ(最大、最小)が適宜、格納される(ステップS11)。このステップS11は、外部割り込みによる停止状態になるまで、繰り返し実行される。なお、外部割り込みによる停止状態は、停止モードによる停止状態に比べ、完全な停止に近い状態である。例えば、外部割り込みによる停止状態は、外部割り込み用コネクタ34eを挿入しない限り、自動運転モードに復帰しないので、パラメータ調整中の誤った復帰による事故を防ぐことが可能である。これに対し、停止モードによる停止状態は、自動運転モードに戻る操作が誤って行われ、自動運転に復帰してしまう可能性がある。このため、パラメータ調整作業は、外部割り込みによる停止状態の下で行うことが好ましい。なお、外部割り込みによる停止状態は、自動運転モード及び停止モードのいずれのモードからも移行可能となっている。
ステップS11の後、プロセッサ39は、外部割り込みによる停止状態であるか否かを判定し(ステップS12)、否の場合には(S12;No)、ステップS11~S12を繰り返し実行する。なお、ステップS12としては、例えば、制御盤32から外部割り込み用コネクタ34eが引き抜かれている場合に停止状態である旨を判定してもよい。外部割り込み用コネクタ34eは、例えば、2つの端子を電気的に短絡状態にするものであり、引き抜かれると、当該2つの端子を電気的にオープン状態にして、当該引き抜きをプロセッサ39から検出可能としている。この場合、プロセッサ39は、設計者による外部割り込み用コネクタ34eの引き抜き操作(第1操作)に応じて、多段タービンポンプ21を外部割り込みによる停止状態にする。しかる後、プロセッサ39は、再度、ステップS12の判定を実行する。設計者は、操作者の一例である。但し、操作者は、設計者に限らず、点検やメンテナンスを行う作業員でもよい。
一方、ステップS12の判定の結果、外部割り込みによる停止状態である場合には(S12;Yes)、プロセッサ39は、所定の操作を受けたか否かを判定し(ステップS13)、否の場合には(S13;No)、ステップS13を繰り返し実行する。なお、所定の操作としては、例えば、設計者のみが知る所定の手順で、制御盤32のボタンが押される操作が使用可能となっている。
また、ステップS13の判定の結果、所定の操作を受けた場合には(S13;Yes)、プロセッサ39は、通信モードに移行する(ステップS14)。通信モードは、通信端末40との無線通信を行うモードである。
(機種コードを用いた読出許可時の動作:図15)
始めに、給水装置10は、通信モードにより運転されている(ステップS20)。このとき、給水装置10の制御装置30は、通信モジュール33aにより、アドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。アドバタイズパケットのブロードキャスト通信は、所定間隔毎に、繰り返し実行される。
通信端末40は、作業員に保持され、給水装置10の通信圏内でアドバタイズパケットを受信すると、当該アドバタイズパケットに基づいて制御装置30に接続要求を送信する。これにより、制御装置30と通信端末40との無線通信が確立される(ステップS21)。また、制御装置30は、ブロードキャスト通信を終了する。
ステップS21の後、通信端末40は、作業員による入力部42の操作により、機種コードを取得するためのリクエストを入力する(ステップS22)。
ステップS22の後、通信端末40は、入力されたリクエストを制御装置30に送信する(ステップS23)。
ステップS23の後、制御装置30内の通信モジュール33aは、当該リクエストを受信すると、当該リクエストに基づいて、機種コードの読出命令をプロセッサ39に送出する(ステップS24)。
ステップS24の後、プロセッサ39は、この読出命令に基づいて、DRAM領域39b内の機種コードを読み出す(ステップS25)。
ステップS25の後、プロセッサ39は、読出結果である機種コードを通信モジュール33aに送出する(ステップS26)。
ステップS26の後、通信モジュール33aは、当該機種コードを含むレスポンスを通信端末40に送信する(ステップS27)。
ステップS27の後、通信端末40は、当該レスポンスを受信する。通信端末40内のプロセッサ45は、当該レスポンスから取得した機種コードと、通信端末40に予め記憶した機種コードとを比較し、両者が合致するか否かを判定する(ステップS28)。この判定の結果、否の場合には、プロセッサ45は、エラーを出力して処理を終了する(ステップS29)。
一方、ステップS28の判定の結果、両者が合致した場合には、プロセッサ45は、複数の内部パラメータに対する読出処理を許可する(ステップS30)。
(読出/書込時の動作(図16)
始めに、給水装置10は、通信モードにおいて、ステップS30により読出処理が許可されている。
通信端末40は、作業員による入力部42の操作により、例えば、内部パラメータの送信を要求するため、当該内部パラメータを選択する選択コードを含むリクエストを入力する(ステップS31)。
ステップS31の後、通信端末40は、入力されたリクエストを制御装置30に送信する(ステップS32)。
ステップS32の後、制御装置30内の通信モジュール33aは、当該リクエストを受信すると、当該リクエストに基づいて、選択コードと、内部パラメータの読出命令とをプロセッサ39に送出する(ステップS33)。
ステップS33の後、プロセッサ39は、この選択コード及び読出命令に基づいて、第2不揮発性レジスタrg2内の内部パラメータを読み出す(ステップS34)。詳しくは、プロセッサ39は、選択コード「P-A」、「P-B」、「P-C」又は「P-D」に基づいて、第2A不揮発性レジスタrg2a、第2B不揮発性レジスタrg2b、第2C不揮発性レジスタrg2c、又は第2D不揮発性レジスタrg2dから、内部パラメータを読み出す。
ステップS34の後、プロセッサ39は、読出結果である内部パラメータを通信モジュール33aに送出する(ステップS35)。
ステップS35の後、通信モジュール33aは、当該内部パラメータを含むレスポンスを通信端末40に送信する(ステップS36)。
ステップS36の後、通信端末40は、当該レスポンスを受信する。通信端末40内のプロセッサ45は、当該レスポンスから取得した内部パラメータを表示部43に表示させる(ステップS37)。なお、以上のステップS31~S37は、内部パラメータに代えて、プロセッサ39内の読み出しパラメータ、機能パラメータ、外部パラメータについても、各々の選択コードを用いて同様に実行される。また、必ずしも選択コードは不要であるが、運転データ(逐次)、運転データ(積算)及び運転データ(最大、最小)についても同様に読出処理が実行される。但し、運転データ(積算)については、プロセッサ39内にないので、メモリ38に対し、同様の読出処理が実行される。
ステップS37の後、プロセッサ45は、作業員による入力部42の操作により、表示中の内部パラメータを変更するためのリクエストを入力する(ステップS38)。このリクエストは、例えば、変更対象のパラメータ名、変更後の値を含んでいる。なお、変更対象のパラメータ名は、例えば、内部パラメータP-Aのうちの「加速時間」の如き、少なくとも1つのパラメータを示す名称が用いられる。但し、これに限らず、変更対象のパラメータ名は、例えば、内部パラメータP-Aのように、複数のパラメータを含むグループの名称としてもよい。この場合、変更後の値としては、グループ内の各パラメータについて、実際の変更の有無にかかわらず、書込処理が行われる。また、変更対象のパラメータ名がグループ名の場合、このリクエストは、選択コードを更に含む。
ステップS38の後、通信端末40は、入力されたリクエストを制御装置30に送信する(ステップS39)。
ステップS39の後、制御装置30内の通信モジュール33aは、当該リクエストを受信すると、当該リクエストに基づいて、書込命令、変更対象のパラメータ名及び変更後の値をプロセッサ39に送出する(ステップS40)。なお、通信モジュール33aは、選択コードを受けた場合には、選択コードを更にプロセッサ39に送出する。但し、書込処理は、選択コードがなくても、変更対象のパラメータ名があれば、実行可能である。
ステップS40の後、プロセッサ39は、この書込命令、変更対象のパラメータ名及び変更後の値に基づいて、第2不揮発性レジスタrg2内の内部パラメータを変更する(ステップS41)。詳しくは、プロセッサ39は、第2A不揮発性レジスタrg2a内、第2B不揮発性レジスタrg2b内、第2C不揮発性レジスタrg2c内、又は第2D不揮発性レジスタrg2d内の、内部パラメータを変更する。
ステップS41の後、プロセッサ39は、書込結果である変更完了を通信モジュール33aに送出する(ステップS42)。書込結果は、変更対象の機能パラメータ名、切り替え前の設定、及び切り替え後の設定を含んでもよい。
ステップS42の後、通信モジュール33aは、書込結果である変更完了を含むレスポンスを通信端末40に送信する(ステップS43)。
ステップS43の後、通信端末40は、当該レスポンスを受信する。なお、以上のステップS38~S43は、内部パラメータに代えて、プロセッサ39内の機能パラメータ、外部パラメータについても同様に実行される。なお、読み出しパラメータP-REについては、変更不可のパラメータであるため、プロセッサ45は、リクエストの入力後にエラーを表示部43に表示させ、ステップS39を実行しない。
次に、図16に述べた動作例が適用される、内部パラメータ、機能パラメータ、読み出しパラメータの各々における実際の調整作業について補足的に述べる。
(内部パラメータの調整作業)
給水現場での調整作業にて、例えば、始動時にウォーターハンマーにより高圧が発生する場合には、加速時間を長くして、圧力上昇を抑制すればよい。また、並列運転からの2台連続停止時に、減速が遅れて高圧が発生する場合には、遅延時間を短くすればよい。
これらの場合、内部パラメータの選択コード「P-A」を、通信端末40から給水装置10に送信する。これにより、選択コード「P-A」に対応する内部パラメータである「加速時間・減速時間、増台遅延時間・減台遅延時間」のみを読出処理して通信端末40に返信する。通信端末40では、操作者の操作に応じて、受信した内部パラメータをその初期値から変更調整することができる。
また、給水端までの管路長が長いために、並列運転の増減台時に圧力変動が発生する場合には、現場対応として、増台時の下限周波数を高くして、減台時の上限周波数を低く抑えるなどの手法が考えられる。
この場合、内部パラメータの選択コード「P-B」を通信端末40から給水装置10に送信する。これにより、選択コード「P-B」に対応する内部パラメータである「増台時の上下限周波数、減台時の上下限周波数」のみを読出処理して通信端末40に返信する。通信端末40では、操作者の操作に応じて、受信した内部パラメータをその初期値から変更調整することができる。
また、マンションの住民から、夜間の騒音レベルを少しでも低減したいといった要望があった場合、キャリア周波数を最高値までアップし、最高周波数を低くして、騒音値を低減するといった提案を行うことができる。
この場合、内部パラメータの選択コード「P-C」を通信端末40から給水装置10に送信する。これにより、選択コード「P-C」に対応する内部パラメータである「キャリア周波数、最低周波数、最高周波数」のみを読出処理して通信端末40に返信する。通信端末40では、操作者の操作に応じて、受信した内部パラメータをその初期値から変更調整することができる。
また、ポンプ装置20のインペラマウスとライナリングとの摺動により過電流に至り、インバータトリップが発生して、交換用インペラが調達できるまで、一時的に、ポンプを運転したいといった臨時的な措置が必要になった場合、インバータのモータ過電流保護レベルをアップして、トリップを回避するといった手段がとられる。
この場合、内部パラメータの選択コード「P-D」を通信端末40から給水装置10に送信する。これにより、選択コード「P-D」に対応する内部パラメータである「インバータ種別、モータ定格電流、過電流保護レベル」のみを読出処理して通信端末40に返信する。通信端末40では、操作者の操作に応じて、受信した内部パラメータをその初期値から変更調整することができる。
従って、以上のように、様々な「内部パラメータ」群のうち、目的に合った内部パラメータP-A,P-B,P-C又はP-Dを選択することで、パラメータの個数を限定して作業できるため、パラメータ調整作業の効率化を図ることができる。
(機能パラメータの調整作業)
給水現場において、感震器の増設などといった周辺設備の変更により、給水装置10の特殊機能の有効/無効を変更したい場合がある。
この場合、機能パラメータの選択コード「P-FC」を通信端末40から給水装置10に送信する。これにより、選択コード「P-FC」に対応する機能パラメータである「外部渇水入力、感震器入力、自家発電運転入力」のみを読出処理して通信端末40に返信する。通信端末40では、操作者の操作に応じて、受信した機能パラメータをその初期値から変更調整(切り替え調整)することができる。このため、前述同様に、個数が限定された機能パラメータのみを閲覧・変更できるため、機能パラメータの切り替え作業の効率化を図ることができる。また、「機能パラメータ」の切り替え作業を行う人物は、一般的なサービスマンではなく、専門知識を有する専門部署の社員であるので、誤った切り替え作業をする可能性は低い。さらに、切り替え作業が有効/無効を切り替える作業のため、機能パラメータに対し、変更可能範囲を用いて切り替え作業を制限する必要はない。
(読み出しパラメータの確認作業)
給水現場において、例えば、内部パラメータ調整作業の際に、念のため、給水装置10の読み出しパラメータを確認したい場合がある。
この場合、読み出しパラメータの選択コード「P-RE」を通信端末40から給水装置10に送信する。これにより、選択コード「P-RE」に対応する読み出しパラメータである「ポンプ台数、最大並列運転台数、減台設定、給水方式種別」のみを読出処理して通信端末40に返信する。通信端末40では、操作者の操作に応じて、受信した読み出しパラメータを表示部43に表示させ、操作者の確認作業を支援することができる。このため、前述同様に、個数が限定された読み出しパラメータのみを閲覧できるため、読み出しパラメータの確認作業の効率化を図ることができる。
上述したように一実施形態によれば、管理システムは、複数の対象装置を有し、複数の対象装置の制御を行う被管理装置と、当該被管理装置に通信可能な通信端末に実行されるプログラムとを備える。被管理装置は、第1格納手段及び通信手段を備える。第1格納手段は、制御に関するパラメータのうち、対象装置のモータ又はインバータに関する複数の内部パラメータと、当該被管理装置の機種識別情報とを格納する。通信手段は、通信端末との間で無線通信可能な手段である。当該プログラムは、要求手段、比較手段、許可手段として通信端末を機能させる。要求手段は、通信手段との間で通信を接続し、機種識別情報の送信を要求する。比較手段は、当該要求手段による要求に応じて、被管理装置から機種識別情報を受けると、当該機種識別情報と、通信端末に予め記憶した機種識別情報とを比較する。許可手段は、当該比較した結果、両者が合致した場合、複数の内部パラメータに対する読出処理を許可する。従って、従来とは異なり、読出処理に際してパスワードの入力や各パラメータの指定のための入力操作を不要とするので、パラメータの読出処理の簡略化を図ることができる。
また、一実施形態によれば、当該第1格納手段は、複数の内部パラメータを個別に選択するための複数の第1選択情報を更に格納してもよい。当該プログラムは、第1送信要求手段、表示制御手段、として通信端末を更に機能させてもよい。第1送信要求手段は、読出処理が許可されると、操作者の操作に応じて、通信端末に予め記憶した第1選択情報を通信手段に送信することにより、第1選択情報に対応する内部パラメータの送信を要求する。表示制御手段は、内部パラメータの送信の要求に応じて、被管理装置から内部パラメータを受けると、当該内部パラメータを通信端末の表示手段に表示させる。この場合、全ての内部パラメータを一括して読出処理する場合に比べ、小さいグループ単位で内部パラメータを読出処理することができる。
また、一実施形態によれば、被管理装置は、第2格納手段及び機能送信手段を備えてもよい。第2格納手段は、制御に関するパラメータのうち、外部環境の異常に対する機能に関する機能パラメータと、機能パラメータを選択するための第2選択情報とを格納する。機能送信手段は、通信端末から第2選択情報を受けると、第2格納手段内の機能パラメータを読み出して通信端末に送信する。この場合、給水現場において、機能パラメータの切り替えを行いたいときには、個数が限定された機能パラメータのみを閲覧・変更できるため、切り替え作業の効率向上を図ることができる。
また、一実施形態によれば、被管理装置は、第3格納手段、設定手段、取得手段及び読み出し送信手段を備えてもよい。設定手段は、制御に関するパラメータのうち、対象装置の台数又は種別に関する読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態が物理的に設定される。取得手段は、電源投入時に、当該接続状態に基づいて読み出しパラメータを取得し、取得した読み出しパラメータと、当該読み出しパラメータを選択するための第3選択情報とを第3格納手段に書き込む。読み出し送信手段は、通信端末から第3選択情報を受けると、第3格納手段内の読み出しパラメータを読み出して通信端末に送信する。この場合、対象装置の台数又は種別に関する読み出しパラメータの如き、変更不可のパラメータに対して、誤入力による変更を防止することができる。
また、一実施形態によれば、被管理装置は、停止手段及び通信許可手段を備えてもよい。停止手段は、操作者の第1操作に応じて、対象装置を停止状態にする。通信許可手段は、当該停止状態のとき、操作者の第2操作に応じて、通信手段に対して通信端末との間の通信の接続を許可する。この場合、例えば、制御基板の割り込み入力のコネクタを抜いて、給水装置を外部割り込みによる停止状態にした上で、設計者のみが知る所定の手順で、制御装置を操作すると、対象装置の停止状態で制御装置が通信モードに移行することができる。
また、一実施形態によれば、被管理装置は、対象装置の運転状態を示す運転データのうちの不定期に取得される最大値又は最小値に関する最大/最小運転データを格納する第5不揮発性レジスタ、を更に備えてもよい。この場合、記憶・更新する必要はあるが、更新頻度の低い運転データ(例、最多並列運転台数履歴、瞬時最大流量、最高吐出し圧力、最低吐出し圧力)を、第5不揮発性レジスタを設けて格納している。このとき、第5不揮発性レジスタの書き込み回数を、運転データの最大値又は最小値が発生した回数に抑えることができる。従って、第5不揮発性レジスタを、許容書き込み回数をもつEEPROMで実装することができる。
また、一実施形態によれば、被管理装置は、運転データのうちの定期的に取得される積算値に関する積算運転データを格納する不揮発性メモリを更に備えてもよい。この場合、記憶する必要があり、更新頻度が高い運転データ(例、積算始動回数、積算運転時間、積算流量など)を、許容書き込み回数をもつEEPROM内に設けた専用レジスタに格納している。このとき、EEPROMの書き込み回数を、積算運転データの定期的な取得周期に対応する取得回数に抑えることができる
また、一実施形態によれば、プロセッサは、運転データのうちの逐次取得される値を示す逐次運転データを格納する揮発性メモリ領域、を更に備えてもよい。この場合、記憶する必要のない運転データ(例、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、出力周波数、出力電圧、消費電力など)を、プロセッサ内蔵のDRAM領域に専用レジスタを配置して、自動運転中に、データ更新して格納するようにしている。
よって、図8、図10又は図11に示すように、各パラメータを格納したレジスタを階層化して配置することにより、読出周期、又は読出/書込周期を、その必要に応じて各レジスタ個別に設定することができる。
また、階層ごとに、各パラメータの表現形式を整理することにより、ソフトウェア開発の効率向上を図ることができる。
また、一実施形態によれば、上述した管理システムに使用可能な被管理装置であってもよい。この場合、前述した作用効果を奏する被管理装置を実現することができる。
また、以上のような一実施形態の作用効果について、特許文献1を比較例として参照しながら述べる。比較例の請求項1には、「・・・外部装置と通信可能な通信部を備え、前記外部装置が所定条件を満たしているか否かを判定し、前記外部装置が前記所定条件を満たしていると判定したときに前記外部装置を認証し、前記通信部は、前記外部装置が認証されているときに前記給水装置の各種情報を前記外部装置と通信することができる」とある。比較例の第51段落及び図5のS110には、「・・・例えば所定のパスワードを受信したときに外部表示器80を認証すると判断する。・・・認証されないときに、・・・不正アクセスが確認されたと判断してもよい。」とある。
しかしながら、実際の給水装置の調整作業において、通信時における認証手順が必須とは言えない。例えば、本実施形態に述べたように、制御基板の割込入力のコネクタを抜いて、給水装置を外部割り込みによる停止状態にした上で、給水装置の設計者のみが知る所定の手順で、制御基板に接続された操作パネルのボタンを操作して、制御基板を通信モードに移行する場合、上記した認証手順は不要である。なお、外部割り込みによる停止状態の間、給水装置による水の供給先が断水状態に至るため、給水装置が設置されたマンションなどの管理組合を通じて、住民に断水措置の通知を事前に行う必要がある。従って、不正アクセスを試みる第三者は、事前に断水措置の通知をした上で、設計者のみが知る手順の操作を介して、不正アクセスを行う必要がある。しかしながら、このような不正アクセスを行うことは、実質的に不可能である。
また、比較例の請求項2には、上記の認証手順を伴う通信プロトコルに加え、「停止圧力、始動圧力、及び、その他制御に必要な設定情報を変更可能な設定部を更に備え、前記各種設定情報には、当該各種設定情報の少なくとも一部の情報について前記外部装置からの信号に基づく変更を制限するための変更制限情報が含まれ、前記給水装置は、前記外部装置からの信号と前記変更制限情報とに基づいて前記各種設定情報を変更可能である」とある。
しかしながら、比較例の如き変更制限を加えると、調整作業が煩雑になる恐れがある。
また、比較例の請求項10-11において、上記した所定条件については、「前記給水装置の個体識別情報が記憶されるメモリを更に有し、前記給水装置は、前記個体識別情報に対応する認証用情報を前記外部装置から受信したときに当該外部装置が前記所定条件を満たしていると判定して前記外部装置を認証する、・・・、前記給水装置の個体識別情報と前記認証用情報とを関連付けて記憶しており、且つ、前記外部装置と通信可能である、外部サーバと、を備え」るとしている。
しかしながら、比較例のように、外部サーバを設置し、個体識別番号とそれに対応する認証用情報を管理するデータベースを構築する場合、多額の経費と、一定人数のメンテナンス要員が必要であるので、費用対効果が低い。
さらに、比較例の請求項13には、上記した認証手順を省いた通信プロトコルにおいて、上記した変更制限情報に基づく各種設定情報を変更可能な方式が提案されている。
しかしながら、この場合も前述同様に、変更制限を加えるので、調整作業が煩雑になる恐れがある。
一方、本願の一実施形態によれば、認証手順や変更制限情報を用いる比較例とは異なり、例えば、自動運転におけるパラメータ全部を読出処理できるように、「内部パラメータ」というカテゴリーに集約して、その初期値を格納手段に格納している。従って、パラメータの確認作業や変更作業が容易になり、作業効率の向上を図ることができる。
また、一実施形態によれば、切り替える必要のある特殊機能に関する機能パラメータ(例、外部渇水入力、感震器入力、自家発電運転入力)を、専用レジスタに格納している。ここで、「機能パラメータ」の切換を行う人物は、一般的なサービスマンではなく、専門知識を有する専門部署の社員であり、誤った設定をする可能性は低く、さらに、有効/無効の切り替えであるため、比較例の如き変更可能範囲も存在しない。
このように、本実施形態によれば、パラメータのグループ毎に、個別のレジスタに格納し、各レジスタ内のパラメータを一括して閲覧/変更可能とするので、変更作業が容易になり、作業効率の向上を図ることができる。
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。[1] 複数の対象装置を有し、前記複数の対象装置の制御を行う被管理装置と、前記被管理装置に通信可能な通信端末に実行されるプログラムとを備えた管理システムであって、
前記被管理装置は、
前記制御に関するパラメータのうち、前記対象装置のモータ又はインバータに関する複数の内部パラメータと、当該被管理装置の機種識別情報とを格納する第1格納手段と、 前記通信端末との間で無線通信可能な通信手段と
を備え、
前記プログラムは、
前記通信手段との間で通信を接続し、前記機種識別情報の送信を要求する要求手段、 前記要求手段による要求に応じて、前記被管理装置から機種識別情報を受けると、当該機種識別情報と、前記通信端末に予め記憶した機種識別情報とを比較する比較手段、 前記比較した結果、両者が合致した場合、前記複数の内部パラメータに対する読出処理を許可する許可手段、
として前記通信端末を機能させる、
管理システム。
[2] 前記第1格納手段は、前記複数の内部パラメータを個別に選択するための複数の第1選択情報を更に格納しており、
前記プログラムは、
前記読出処理が許可されると、操作者の操作に応じて、前記通信端末に予め記憶した第1選択情報を前記通信手段に送信することにより、前記第1選択情報に対応する内部パラメータの送信を要求する第1送信要求手段、
前記第1送信要求手段による要求に応じて、前記被管理装置から内部パラメータを受けると、当該内部パラメータを前記通信端末の表示手段に表示させる表示制御手段、
として前記通信端末を更に機能させる、
[1]に記載の管理システム。
[3] 前記被管理装置は、
前記制御に関するパラメータのうち、外部環境の異常に対する機能に関する機能パラメータと、前記機能パラメータを選択するための第2選択情報とを格納する第2格納手段と、
前記通信端末から第2選択情報を受けると、前記第2格納手段内の前記機能パラメータを読み出して前記通信端末に送信する機能送信手段と
を更に備えた[1]又は[2]に記載の管理システム。
[4] 前記被管理装置は、
第3格納手段と、
前記制御に関するパラメータのうち、前記対象装置の台数又は種別に関する読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態が物理的に設定される設定手段と、
電源投入時に、前記接続状態に基づいて前記読み出しパラメータを取得し、前記取得した読み出しパラメータと、当該読み出しパラメータを選択するための第3選択情報とを前記第3格納手段に書き込む取得手段と、
前記通信端末から前記第3選択情報を受けると、前記第3格納手段内の前記読み出しパラメータを読み出して前記通信端末に送信する読み出し送信手段と
を更に備えた[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の管理システム。
[5] 前記被管理装置は、
操作者の第1操作に応じて、前記対象装置を停止状態にする停止手段と、
前記停止状態のとき、前記操作者の第2操作に応じて、前記通信手段に対して前記通信端末との間の通信の接続を許可する通信許可手段と
を更に備えた[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の管理システム。
[6] 複数の対象装置を有し、前記複数の対象装置の制御を行う被管理装置であって、
前記制御に関するパラメータのうち、前記対象装置のモータ又はインバータに関する複数の内部パラメータと、前記複数の内部パラメータを個別に選択するための複数の第1選択情報と、当該被管理装置の機種識別情報とを格納する第1格納手段と、
通信端末との間で無線通信可能な通信手段と、
前記通信手段を介して前記通信端末から前記機種識別情報の送信が要求されると、当該要求に基づいて、前記第1格納手段から機種識別情報を読み出し、当該機種識別情報を前記通信端末に送信する機種送信手段と、
前記機種識別情報の送信の後、前記通信手段を介して前記通信端末から第1選択情報を受信すると、前記受信した第1選択情報に基づいて、前記第1格納手段から内部パラメータを読み出し、当該内部パラメータを前記通信端末に送信する内部送信手段と
を備えた被管理装置。
[7] 前記制御に関するパラメータのうち、外部環境の異常に対する機能に関する機能パラメータと、前記機能パラメータを選択するための第2選択情報とを格納する第2格納手段と、
前記機種識別情報の送信の後、前記通信端末から第2選択情報を受けると、前記第2格納手段内の前記機能パラメータを読み出して前記通信端末に送信する機能送信手段と
を更に備えた[6]に記載の被管理装置。
[8] 第3格納手段と、
前記制御に関するパラメータのうち、前記対象装置の台数又は種別に関する読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態が物理的に設定される設定手段と、
電源投入時に、前記接続状態に基づいて前記読み出しパラメータを取得し、前記取得した読み出しパラメータと、当該読み出しパラメータを選択するための第3選択情報とを前記第3格納手段に書き込む取得手段と、
前記機種識別情報の送信の後、前記通信端末から第3選択情報を受けると、前記第3格納手段内の前記読み出しパラメータを読み出して前記通信端末に送信する読み出し送信手段と
を更に備えた[6]又は[7]に記載の被管理装置。
[9] 操作者の第1操作に応じて、前記対象装置を停止状態にする停止手段と、
前記機種送信手段よりも先行して実行され、前記停止状態のとき、前記操作者の第2操作に応じて、前記通信手段に対して前記通信端末との間の通信の接続を許可する通信許可手段と
を更に備えた[6]乃至[8]のいずれか一項に記載の被管理装置。