以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る給水装置及び管理システムを例示するブロック図であり、図2乃至図4は、図1の各メモリを説明するための模式図である。給水装置10は、建物に給水するための装置である。係る給水装置10としては、直結給水方式又は受水槽方式などの任意の給水方式が適用可能である。例えば、給水装置10は、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。あるいは、給水装置10は、水道本管から受水槽に貯められた水を吸い込んで増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる加圧ポンプ型給水装置であり得る。なお、加圧ポンプ型給水装置は、受水槽に限らず、浅井戸に貯められた水についても同様に使用可能である。
このような給水装置10は、一次側の吸込配管から水を吸い込んで二次側の吐出配管に吐出するようにケーシング内の羽根車を回転させるポンプ装置20と、当該ポンプ装置20を制御する制御装置30とを備えている。ポンプ装置20は、1台としてもよく、複数台としてもよい。ポンプ装置20の図示しないモータは、インバータ31及びインバータ制御基板(図示せず)を介して制御盤32に接続されている。補足すると、制御盤32は、圧力センサの検出信号に基づいて、ポンプ装置20の吐出し圧力が目標圧力になるよう、インバータ31からモータへの出力周波数を制御する。また、制御盤32は、流量センサの検出信号に基づいて、ポンプの増台又は減台を含む並列運転を制御する。
なお、給水装置10としては、インバータ搭載品に限らず、インバータ非搭載品を用いてもよい。給水装置がインバータ非搭載品の場合、インバータの制御に代えて、例えば、センサからの検出信号に基づく定圧給水制御や、手動スイッチによる制御などが適宜、使用可能となっている。このようなインバータ非搭載品としては、例えば、浅井戸用や受水槽用のカスケードポンプなどの様々な種類が適宜、使用可能となっている。すなわち、給水装置10としては、インバータを備えた構成と備えない構成のいずれにも全く限定されないものの、本明細書中ではインバータを搭載した構成を例に挙げて述べる。
制御装置30は、インバータ31と、制御盤32とを備えている。但し、インバータ31は、制御装置30ではなく、ポンプ装置20に配置してもよく、制御盤32に配置してもよい。また、制御盤32内の各部も適宜、ポンプ装置20に配置してもよく、制御装置30の一部として制御盤32の外部に配置してもよい。例えば、制御盤32内の通信部33は、ポンプ装置20に配置してもよく、制御盤32の外部に配置してもよい。
インバータ31は、プロセッサ39からインバータ制御基板を介してインバータ制御信号を受け取る。インバータ31は、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ31は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じてポンプ装置20の運転を停止または開始し得る。また、インバータ31は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じて、ポンプ装置20のモータの回転数(ポンプの回転速度)を制御し得る。
制御盤32は、ポンプ装置20(のモータ)と電気的に接続され、当該ポンプ装置20を制御する。具体的には、制御盤32は、各種センサからの検出信号に基づいて、インバータ制御基板及びインバータ31を介してポンプ装置20のモータの駆動を制御する。
例えば、制御盤32は、給水装置10の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能な圧力センサからの検出信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば吐出し圧力一定制御又は推定末端圧力一定制御などの目標圧力一定制御を行い得る。また、制御盤32は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
さらに、制御盤32は、ポンプ装置20に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサからの検出信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、制御盤32は、圧力センサからの検出信号に基づいて給水装置10の二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再始動する。
さらに、制御盤32は、かかるポンプ装置20の制御に加えて、通信端末40と無線接続することにより、適宜、運転データやイベントログといった各種データを通信端末40に送信してもよい。このような通信端末40との通信を伴う形態は、制御装置30及び通信端末40を備えた管理システムや、給水装置10及び通信端末40を備えた管理システムを構成している。また、このような形態は、制御装置30と、通信端末40に実行されるプログラムとを備えた管理システムや、給水装置10と、通信端末40に実行されるプログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。あるいは、このような形態は、制御装置30に実行される第1プログラムと、通信端末40に実行される第2プログラムとを備えた管理システムや、給水装置10に実行される第1プログラムと、通信端末40に実行される第2プログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。ここで、「管理システム」の用語は、適宜、「システム」、「処理システム」又は「イベント管理システム」のように言い換えてもよい。同様に、「・・・に実行されるプログラム」の用語は、適宜、「・・・に搭載されるプログラム」又は「・・・に内蔵されるプログラム」のように言い換えてもよい。なお、運転データは、ある運転点での、周波数、電流、電圧、圧力、流量、振動値、モータの絶縁抵抗、及び受水槽の設定などといった、給水装置10の運転状態を示すデータである。補足すると、給水装置10の運転データは、例えば、給水装置10の最新の1つまたはロギングされた複数の時点におけるステータスであり得る。具体的には、運転データは、例えば給水装置10のインバータ31から取得した各時点の電圧/電流値、圧力センサから取得した各時点の検出信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサから取得した各時点の検出信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの各時点の回転周波数値、各時点の積算運転データ(積算運転時間及び積算始動回数の少なくとも一方)、などを含み得る。
制御盤32は、通信部33、入力部34、表示部35、メモリ38及びプロセッサ39を備えている。
通信部33は、プロセッサ39により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末40などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部33は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、通信端末40等の外部装置に接続可能となっている。本実施形態の通信部33は、BLE規格に基づいて、通信端末40と無線通信を行う。なお、BLE規格は、BLEのバージョン4.0以上の規格であればよく、BLEの通信方式と互換性があればよい。これに伴い、「BLE規格」は、「Bluetooth 4.0以上の規格」と呼んでもよい。また、通信部33は、通信端末40と制御盤32との接続を確立するための何らかのデータ、例えば通信端末40及び制御盤32がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、スキャナとしての通信端末からのリクエスト、を受信することもあり得る。例えば、通信部33は、制御盤32の識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。また、通信部33は、当該アドバタイズパケットを受信する通信端末40から接続要求を受けると、通信端末40との間の通信を接続してペアリングを行ってもよい。通信部33は、通信端末40に無線通信可能な通信手段の一例である。
入力部34は、例えば、ボタンを含む操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、などのユーザ入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロホン、カメラなどのセンサとを含み得る。
表示部35は、典型的には液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを含み得るが、表示デバイスの代わりにまたは表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。
メモリA_36は、図2に示すように、プロセッサ39から読出/書込可能に設けられ、通信端末40との間の無線通信の通信中の日時が書きこまれるEEPROM(登録商標)等の不揮発性メモリを有している。通信中の日時としては、通信開始から通信終了までの任意の日時が使用可能となっている。例えば、通信中の日時としては、通信端末40側の現在日時を、通信端末40からの送信毎に含めてもよく、通信端末40からの任意の送信時に含めてもよい。任意の送信時としては、例えば、データ送信要求の送信時や、無線通信の切断指示の送信時などが適宜、使用可能となっている。データ送信要求の送信時の日時は、データ要求の日時と呼んでもよい。データ要求の日時は、通信中の日時の一例である。また、無線通信の切断指示の送信時の日時は、切断直前の日時と呼んでもよい。切断直前の日時は、通信中の日時の他の例である。また、切断指示の送信時の日時としては、現在日時に所定時間を加えた日時を用いる場合、切断直後の日時と呼んでもよい。切断直後の日時は、通信中の日時の更に他の例である。なお、「通信中の日時」は、「通信日時」と呼んでもよい。メモリA_36の初期値としては、例えば、ゼロ値又は空欄が適宜、使用可能となっている。また、メモリA_36は、メモリ38の一部として設けてもよい。メモリA_36は、日時記憶部の一例である。日時記憶部は、記憶する日時に応じて、切断日時記憶部や要求日時記憶部といった名称で呼んでもよい。
メモリB_37は、図3に示すように、タイムカウンタ37a及びRAM領域37bを有している。メモリB_37は、「カウントアップタイマ」又は「カウンタ」と呼んでもよい。
タイムカウンタ37aは、プロセッサ39により起動され、電源から電力が供給されている場合に、所定時点からの経過時間を計数する。また、タイムカウンタ37aは、計数した経過時間をRAM領域37bに更新記憶させる。ここで、所定時点としては、電源を投入した時点としてもよい。この場合、タイムカウンタ37aは、電源が投入されている間、経過時間を計数する。また、所定時点としては、無線通信の切断直前の日時をメモリA_36に書き込む直前又は直後の時点としてもよい。また、経過時間を計数する間隔としては、例えば、図示しない水晶振動子から出力されるパルス信号を計数してその計数結果を時間換算して得られる経過時間の更新間隔であって、1秒毎、1分毎又は5分毎などの任意の間隔が使用可能となっている。また、経過時間は、日数、時間、分、秒、の単位に整理して計数してもよく、秒単位のみで計数してもよい。あるいは、経過時間は、通信端末40にて時間換算可能であれば、任意の端数の単位(例、1.5秒毎)で計数してもよい。
RAM領域37bは、プロセッサ39から読出可能に設けられ、タイムカウンタ37aが経過時間を計数する毎に、タイムカウンタ37aから書き込まれる経過時間を更新記憶する。なお、RAM領域37bは、経過時間を計数する間隔が長い場合、経過時間の更新記憶の回数が減るので、EEPROM領域に変更可能となる。例えば、EEPROM領域の許容書き込み回数が10万回の場合、1時間に1回、1日24回程度の定期的な書き込みであれば、書き込み回数が1年間(365日)で8760回、10年間で8万7600回、11年間で9万6360回であることから、許容書き込み回数を超えずに使用できる。但し、経過時間を計数する間隔が1時間のように長い場合、後述するイベント発生日時の誤差が1時間近くになる可能性がある。このため、イベント発生日時の誤差を抑える観点から、経過時間は、1秒毎又は1分毎といった短い間隔で計数されることが好ましい。本実施形態では、1秒毎に経過時間を計数して更新記憶するため、EEPROM領域ではなく、RAM領域37bが用いられる。RAM領域37bの初期値としては、例えば、ゼロ値又は空欄が適宜、使用可能となっている。また、RAM領域37bは、メモリ38の一部として設けてもよい。メモリB_37は、計数部の一例である。
メモリ38は、プロセッサ39から読出/書込可能に設けられ、プロセッサ39によって使用されるデータ、運転データ及びイベントログなどを格納するEEPROM等の不揮発性メモリを有している。データとしては、例えば、制御盤32を識別する識別情報、コード、テーブルなどが適宜記憶される。運転データは、前述した通りである。メモリ38は、ログ記憶部の一例である。
イベントログとしては、例えば、イベントの内容、イベント発生時の運転状態(オン状態、オフ状態、制限運転状態)、メモリB_37に記憶された値(タイムカウンタ37aにより計数されてRAM領域37bに記憶された経過時間)などを含んでいる。制限運転状態は、長時間の過負荷運転時などで行われ、インバータやモータ等の加熱保護のため、ポンプ装置20の回転数を制限して運転している状態である。なお、イベントログは、これに限らず、例えば、メモリA_36に記憶された値(切断直前の日時)を更に含んでもよい。ここで、イベントの内容としては、例えば、故障警報のコード(以下、故障コードともいう)と、当該コードの内容と、運転状態と、運転異常時のパラメータとのうちの少なくとも一つを含んでもよい。故障警報のコードとしては、例えば、7セグメント表示可能な英数字の組み合わせが適宜、使用可能となっている。当該コードの内容としては、例えば、圧力異常、流量異常、温度異常、液面異常、漏水異常、漏電異常、電圧異常、電流異常、その他の異常、などのように、各種センサなどで検出可能な異常内容が適宜、使用可能となっている。これに伴い、「イベントが発生したとき」は、「イベントが検出されたとき」等と表現してもよい。運転状態としては、稼働状態、停止状態、並列運転状態(複数台のポンプの場合)などが適宜、使用可能となっている。運転異常時のパラメータとしては、例えば、圧力異常時の圧力値、流量異常時の流量値、温度異常時の温度、液面異常時の液面高さ、電圧異常時の電圧値、電流異常時の電流値、周波数異常時の周波数、というように、当該コードの内容に対応するパラメータが適宜、使用可能となっている。本実施形態のイベントログは、図4に一例を示すように、故障コード、故障時の運転状態、故障時のメモリBの値(経過時間)を含んでいる。イベントログは、「故障来歴」又は「警報来歴」と呼んでもよい。
また、メモリ38は、不揮発性メモリに加え、電源遮断時に消去してもよいデータが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。メモリ38は、不揮発性メモリの一部にメモリA_36を含んでもよい。この場合、メモリ38は、日時記憶部の他の一例となる。また、メモリ38は、RAMの一部にメモリB_37のRAM領域37bを含んでもよい。メモリ38は、プロセッサ39の外部に設けられたメモリであることから、外部メモリと呼んでもよい。
プロセッサ39は、典型的にはマイコンであるが、CPU、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ39は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。
プロセッサ39は、消去・書き替え可能な不揮発性のEEPROM領域と、高速で読み書き可能であるが、停電時にデータが消失してしまう揮発性のDRAM領域とを含んでいる。また、プロセッサ39は、EEPROM領域に保存されたプログラムを実行することで、処理部39a及びポンプ制御部39b等として機能し得る。また、プロセッサ39は、プログラムの実行中、適宜、EEPROM領域又はDRAM領域に対してデータの読出/書込処理を実行する。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、主にパラメータの処理に関する処理プログラム、ポンプ制御プログラム(例、自動運転プログラム)などが適宜、記憶される。なお、プロセッサ39内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
処理部39aは、例えば、以下の各処理を実行する。
(a)無線通信の通信中の日時を通信端末40から受けると、当該通信中の日時をメモリA_36(日時記憶部)に書き込む書込処理。(a1)書込処理は、メモリA_36に日時が書き込まれているとき、当該日時を通信中の日時に更新すると共に、メモリB_37内の経過時間をクリアしてから当該メモリB_37に新たな経過時間の計数を開始させてもよい。
(b)給水装置10にイベントが発生したとき、イベントの内容と経過時間とをメモリ38(ログ記憶部)に記録する記録処理。
(c)経過時間の計数中に新たな無線通信によりイベントに関するデータの送信要求を受けると、当該送信要求に基づいてメモリ38内のイベントの内容と経過時間及びメモリA_36内の通信中の日時を送信する送信処理。なお、送信処理は、イベントの内容、経過時間及び通信中の日時といったデータの他に、故障時の運転状態といった任意のデータを送信してもよい。また、送信処理は、送信するデータの少なくとも一部をイベントログとして送信してもよい。例えば、イベントの内容及び経過時間を含むイベントログと、残りのデータ(通信中の日時など)とを送信してもよく、イベントの内容、経過時間及び通信中の日時を含むイベントログを送信してもよい。あるいは、イベントの内容、故障時の運転状態及び経過時間を含むイベントログと、残りのデータ(通信中の日時など)とを送信してもよい。
なお、上記(a)及び(c)のうち、通信端末40との間の送受信は、通信部33を介して実行される。処理部39aは、書込部、記録部及び送信部の一例である。
ポンプ制御部39bは、図示しない各種センサからの検出信号に基づいて、給水装置10の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データをEEPROM領域、DRAM領域及び/又はメモリ38に保存する。なお、運転データの取得は、積算値のように、給水装置10の運転実態に応じて、運転データを算出することを含んでもよい。
また、ポンプ制御部39bは、各種センサからの検出信号等に応じて制御信号を生成し、当該制御信号をインバータ制御基板(図示せず)からインバータ31へ送る。これにより、ポンプ制御部39bは、ポンプ装置20を制御する。
一方、通信端末40は、図示しない管理サーバや、建物に給水する給水装置10に通信可能な情報処理装置である。通信端末40は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。
このような通信端末40は、図5に例示するように、通信部41、入力部42、表示部43、メモリ44及びプロセッサ45を備えている。プロセッサ45は、後述するように、通信制御部45a、処理部45b等の機能を実現可能となっている。なお、プロセッサ45内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
ここで、通信部41は、プロセッサ45により制御され、例えば、無線通信技術を用いて、給水装置10などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部41は、例えば、BLE規格、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、給水装置10等の外部装置に接続可能となっている。本実施形態の通信部41は、BLE規格に基づいて、給水装置10の制御盤32と無線通信を行う。なお、本実施形態には用いないが、通信部41は、前述したBLE規格の通信とは別に、基地局及びネットワークを介して管理サーバや他の通信端末に通信可能なモバイル端末の通常の通信インタフェースを含んでもよい。
入力部42は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末40に内蔵されてもよいし、通信端末40に外付けされてもよい。入力部42は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。
表示部43は、プロセッサ45の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示部43は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。表示部43は表示手段の一例である。
メモリ44は、プロセッサ45が各処理を実現するために当該プロセッサ45によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ45によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ44は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。
プロセッサ45は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ45は、通信部41を介して給水装置10との間で無線通信を行い、給水装置10を管理する処理を実行するものである。プロセッサ45は、メモリ44に保存されたプログラムを実行することで、図5の通信制御部45a及び処理部45bとして通信端末40を機能し得る。なお、プロセッサ45内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。当該通信制御部45a及び処理部45bは、作成手段及び表示制御手段の一例である。
通信制御部45aは、通信部41を制御して、給水装置10との無線通信を行う。例えば、通信制御部45aは、アドバタイズパケットを送信した給水装置10に接続要求を送信することにより、通信端末40との間の通信を接続してペアリングを行ってもよい。また、通信制御部45aは、通信部41を介して、給水装置10との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、給水装置10にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部45aは、通信端末40と給水装置10との接続を確立するための何らかのデータ、例えば給水装置10及び通信端末40がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての給水装置10からのリクエスト、を受信することもあり得る。
また、通信制御部45aは、通信部41を介して、例えば、給水装置10との無線通信中に、給水装置10から受けた何らかの指示と、当該通信中の日時とを制御盤32に送信する。なお、何らかの指示が無線通信の切断指示の場合、通信中の日時は、当該無線通信の切断直前の日時に相当する。また、何らかの指示がデータの送信要求の場合、通信中の日時は、当該データの送信直前の日時に相当する。すなわち、通信中の日時は、指示内容の直前の日時、又は指示応答の直前の日時に相当する。また、通信制御部45aは、通信部41を介して、例えば、この指示の送信後、給水装置10から送信された応答内容、経過時間及び通信中の日時を受信する。
具体的には、通信制御部45aは、通信部41を介して、例えば、給水装置10との無線通信を切断する直前に、無線通信の切断指示と、無線通信の切断直前の日時とを制御盤32に送信する。また、通信制御部45aは、通信部41を介して、例えば、給水装置10に発生したイベントに関するデータの送信要求を給水装置10に送信する。また、通信制御部45aは、通信部41を介して、例えば、この送信要求の送信後、給水装置10から送信されたイベントの内容、経過時間及び切断直前の日時を受信する。
処理部45bは、給水装置10の設置、点検、メンテナンス、管理、パラメータ閲覧・変更など、作業員の作業に応じた情報処理を実行する。例えば、処理部45bは、家庭用ポンプなどの給水装置10を設置した際、給水装置10と無線通信を接続し、制御装置30の初期設定を行った後、無線通信を切断する直前にメモリA_36に当該通信端末40の現在日時を書き込む。なお、制御装置30のプロセッサ39はメモリA_36に数値が書き込まれると、メモリB_37のタイムカウンタ37aを起動し、経過時間の計数を開始させる。
処理部45bは、例えばメンテナンスの際に、給水装置10から送信されたイベントの内容、経過時間及び切断直前の日時を受信すると、当該受信した切断直前の日時と経過時間とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時を作成する。また、処理部45bは、作成されたイベント発生日時と当該受信されたイベントの内容とを表示部43に表示させる。
次に、以上のように構成された給水装置及び管理システムの動作例について図6を参照しながら説明する。この動作例は、ペアリング切断の際の動作を示すステップST10と、イベント発生時の動作を示すステップST20と、イベント日時の作成に関する動作を示すステップST30とに分けて述べる。また、この動作例の説明は、無線通信が当該無線通信の切断指示を含んでおり、無線通信の切断直前の日時を通信中の日時として用い、通信中の日時をメモリA_36に書き込む直前又は直後の時点を、所定時点として用いる場合について述べる。但し、給水装置及び管理システムの動作は、係る場合に限定されない。
(ペアリング切断の際の動作:ステップST10)
始めに、給水装置10と通信端末40との間では、無線通信の接続が確立しており、ペアリングが行われているとする(ステップST11)。ペアリングの期間中、例えば、通信端末40は、操作者の操作に応じて、各種データのリクエストを給水装置10に送信し、給水装置10からデータを含むレスポンスを受信する。
続いて、通信端末40のプロセッサ45は、操作者の操作により、通信部41を介して、ペアリング切断指示と、ペアリングの切断直前の日時(現在日時)とを給水装置10に送信する(ステップST12)。なお、切断直前の日時は、通信端末40の時計機能により作成された現在日時(ステップST12の送信直前の日時又は送信日時)であり、後述のペアリングを切断するステップST16の直前の日時に相当する。このため、ステップST12において、通信端末40の時計機能が作成した現在日時は、無線通信の切断直前の日時の一例となっている。
給水装置10のプロセッサ39は、ペアリング切断指示と、切断直前の日時とを受けると、この切断直前の日時をメモリA_36に書き込む。例えば、メモリA_36に過去の日時が書き込まれていると、当該過去の日時を切断直前の日時に更新する(ステップST13)。
ステップST13の後、給水装置10のプロセッサ39は、メモリB_37のRAM領域37bの経過時間をクリアし(ステップST14)、当該メモリB_37のタイムカウンタ37aに新たな経過時間の計数を開始させる(ステップST15)。これにより、メモリB_37のタイムカウンタ37aは、プロセッサ39がメモリA_36に切断直前の日時を書き込む直前又は直後からの経過時間を計数する。本実施形態の例では、ステップST13で書き込んだ直後からの経過時間が計数される。なお、前述したステップST13の後半(受信後の書込処理)は、ステップST14とST15との間に実行してもよく、ステップST15の後に実行してもよい。
いずれにしてもステップST13~ST15の後、給水装置10のプロセッサ39は、ペアリング切断指示に従い、ペアリングを切断する(ステップST16)。
以上のステップST11~ST16により、ステップST10が完了する。
(イベント発生時の動作:ステップST20)
給水装置10の運転中、例えば、ポンプ装置20に故障等のイベントが発生したとする(ステップST21)。
給水装置10のプロセッサ39は、イベントが発生したとき、イベントの内容と経過時間とをメモリ38に記録する。具体的には例えば、プロセッサ39は、図4に示したように、イベントの内容としての故障コードと、故障時の運転状態と、故障時のメモリB_37の値(経過時間)とを含むイベントログをメモリ38に書き込む(ステップST22)。なお、イベントが停電でない限り、メモリB_37のタイムカウンタ37aは、経過時間の計数を継続する。
以上のステップST21~ST22により、ステップST20が完了する。なお、ステップST20の後、故障等のイベントは、適宜、作業員の作業などにより、復旧する。
(イベント日時の作成に関する動作:ステップST30)
給水装置10と通信端末40との間では、新たな無線通信の接続が確立しており、ペアリングが行われているとする(ステップST31)。ペアリングの期間中、例えば、通信端末40は、操作者の操作に応じて、給水装置10に発生したイベントに関するデータの送信要求を給水装置10に送信する。
給水装置10のプロセッサ39は、経過時間の計数中に当該送信要求を受けると、この送信要求に基づいてメモリ38内のイベントの内容と経過時間などを含むイベントログ及びメモリA_36内の切断直前の日時を通信端末40に送信する(ステップST32)。
通信端末40のプロセッサ45は、送信されたイベントログ及び切断直前の日時を受信すると、当該受信した切断直前の日時と経過時間とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時を作成する(ステップST33)。すなわち、ステップST12で通信端末40から送信された切断直前の日時と、ステップST15での計数開始からステップST21のイベント発生に至るまでの経過時間とを演算することで、給水装置10に時計機能が無くても、イベント発生日時を作成できる。作成したイベント発生日時は、仮に給水装置10に時計機能があった場合のイベント発生日時に比べても、数秒~十数秒程度の誤差に収まることが期待できる。
ステップST33の後、通信端末40のプロセッサ45は、作成したイベント発生日時と受信したイベントの内容とを表示部43に表示させる(ステップST34)。これにより、通信端末40の操作者は、イベント発生日時とイベントの内容とを把握することができる。
以下、前述同様に、通信端末40のプロセッサ45は、操作者の操作により、通信部41を介して、ペアリング切断指示と、ペアリングの切断直前の日時(現在日時)とを給水装置10に送信する(ステップST35)。
ステップST35の後、給水装置10のプロセッサ39は、前述したステップST13~ST16と同様の処理を実行し(ステップST36)、ペアリングを切断する。
以上のステップST31~ST36により、ステップST30が完了する。
上述したように第1の実施形態によれば、給水装置は、通信部、書込部、計数部、記録部及び送信部を備えている。通信部は、通信端末に無線通信可能な通信インタフェースである。書込部は、無線通信の通信中に日時を通信端末から受けると、当該通信中の日時を日時記憶部に書き込む。計数部は、電源から電力が供給されている場合に、所定時点からの経過時間を計数する。記録部は、イベントが発生したとき、イベントの内容と経過時間とをログ記憶部に記録する。送信部は、経過時間の計数中に新たな無線通信によりイベントに関するデータの送信要求を受けると、当該送信要求に基づいてログ記憶部内のイベントの内容と経過時間及び日時記憶部内の通信中の日時を送信する。
ここで、送信された通信中の日時と経過時間とを互いに演算すると、イベント発生日時を作成できる。従って、第1の実施形態の給水装置によれば、現在時刻を計数する時計機能をもたない給水装置についてイベント発生日時を作成可能とすることができる。また、時計機能をもたない給水装置についてもイベント発生の時間管理を行うことができる。また、時計ICの如き、時計機能がない制御盤32であっても、時間の概念を取り入れることができる。
また、第1の実施形態によれば、当該イベントの内容は、故障警報のコードと、当該コードの内容と、運転状態と、運転異常時のパラメータとのうちの少なくとも一つを含むようにしてもよい。この場合、故障警報の対象となるイベントについて、前述した作用効果を得ることができる。
また、第1の実施形態によれば、所定時点としては通信中の日時を日時記憶部に書き込む直前又は直後の時点であり、当該書込部は、日時記憶部に日時が書き込まれているとき、当該日時を通信中の日時に更新すると共に、計数部の経過時間をクリアしてから当該計数部に新たな経過時間の計数を開始させるようにしてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、無線通信の通信中に日時を受信する毎に、通信中の日時からの経過時間の計数が開始されるので、停電があったときの経過時間(及びイベント発生日時)への影響を抑えることができる。補足すると、計数部は、電源から電力が供給されている場合に経過時間を計数するので、停電から復旧までの間、経過時間を計数しない。また、停電により、RAM領域37b内の経過時間は消去される。このため、停電からの復旧後の経過時間は、誤差が多く、信頼性が低いものとなる。このような停電による経過時間の誤差をリセットするため、無線通信の通信中に日時を受信する毎に、通信中の日時からの経過時間の計数を開始している。この場合、停電があったときの経過時間への影響を、次の無線通信における通信中の日時を受信するまでの期間に限定することができ、信頼性の向上を図ることができる。
また、第1の実施形態によれば、給水装置と、当該通信手段を介して給水装置に通信可能な当該通信端末に実行されるプログラムとを備えた管理システムであってもよい。ここで、当該プログラムは、作成手段、表示制御手段、として当該通信端末を機能させる、ようにしてもよい。作成手段は、送信されたイベントの内容、経過時間及び通信中の日時を受信すると、当該受信した通信中の日時と経過時間とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時を作成する。表示制御手段は、作成されたイベント発生日時と受信されたイベントの内容とを表示部に表示させる。
従って、現在時刻を計数する時計機能をもたない給水装置についてイベント発生日時を作成し、表示することができる。
また、第1の実施形態によれば、無線通信は、当該無線通信の切断指示を含んでいてもよく、通信中の日時は、当該無線通信の切断直前の日時であってもよい。この場合、1回のペアリング中に、何度も通信中の日時を受信したとしても、無線通信が切断指示を含まなければ、通信中の日時を日時記憶部に書き込まない。従って、1回のペアリング中に、通信中の日時を何回も日時記憶部に上書きすることを防止することができる。また、1回のペアリング中に、計数部を何回もクリアすることを防止することができる。
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る給水装置及び管理システムを例示するブロック図であり、図1と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは、主に、異なる部分について述べる。なお、以下の実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、電源投入回数を記録する構成により、メモリB_37の値(経過時間)が確からしいこと(信憑性)の確認を行う形態である。あるいは、第2の実施形態は、電源投入回数を記録する構成により、停電とその復旧に伴う(経過時間の異常に基づく)イベント発生日時の異常状態を識別可能とする形態である。
具体的には例えば、制御装置30は、図1に示した構成に比べ、図7に示すように、メモリC_37-1を更に備えている。
メモリC_37-1は、図8に一例を示すように、プロセッサ39から読出/書込制御され、電源(図示せず)を投入した回数である電源投入回数を記憶する。ここで、電源投入回数は、1回が正常状態を表し、0回又は2回以上が異常状態を表す。なお、0回とは、工場出荷時の値であるが、電源投入後の電源投入回数が0回にならないことから、主に、メモリC_37-1の読出/書込エラーに関する異常状態を表している。例えば、0回が表す異常状態としては、例えば、電源投入回数の書込みミスや、メモリデータの誤消去などといった場合がある。メモリC_37は、メモリ38の不揮発性領域の一部として実装してもよい。メモリC_37-1は、投入回数記憶部の一例である。
これに伴い、プロセッサ39の処理部39aは、前述した各処理(a)~(c)等に加え、以下の各処理を実行する。
(d)電源の投入毎に、メモリC_37-1(投入回数記憶部)内の電源投入回数を1回分だけ増加させる回数増加処理。
(e)切断直前の日時を通信端末40から受けると、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回にリセットするリセット処理。
また、処理部39aは、前述した(b)の記録処理において、イベントが発生したとき、イベントの内容と経過時間と電源投入回数とをメモリ38(ログ記憶部)に記録する。すなわち、処理部39aは、前述した記録処理において、電源投入回数を更に記録する。これに伴い、処理部39aは、図9に例示するように、前述したシステムログにおいて、メモリC_の値(電源投入回数)を更に記録してもよい。
また、処理部39aは、前述した(c)の送信処理において、通信端末40からの送信要求に基づいてメモリ38内のイベントの内容、経過時間及び電源投入回数、並びにメモリA_36(切断日時記憶部)内の切断直前の日時を通信端末40に送信する。処理部39aは、回数増加部及びリセット部の一例である。
一方、通信端末40のプロセッサ45の処理部45bは、前述した処理において、電源投入回数が付加されている。すなわち、処理部45bは、給水装置10から送信されたイベントの内容、経過時間、電源投入回数及び切断直前の日時を受信すると、当該受信した切断直前の日時と経過時間とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時を作成する。また、処理部45bは、作成されたイベント発生日時と当該受信されたイベントの内容及び電源投入回数とを表示部43に表示させる。ここで、処理部45bは、受信された電源投入回数が正常状態を表すか否かを判定し、当該判定した結果を、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数と共に、表示部43に表示させるようにしてもよい。判定した結果は、文字列及び/又は絵柄などで直接的に表示してもよく、色変え表示及び/又は点滅表示などのように間接的に表示してもよい。なお、前述した通り、電源投入回数は、1回が正常状態を表し、2回以上が異常状態を表す。これに伴い、処理部45bは、電源投入回数が1回の場合に正常状態を表す旨を判定し、他の場合に異常状態を表す旨を判定する。但し、これに限らず、処理部45bは、電源投入回数が0回又は2回以上の場合に異常状態を表す旨を判定し、他の場合に正常状態を表す旨を判定してもよい。処理部45bは、作成手段及び表示制御手段の一例である。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された給水装置及び管理システムの動作例について図10及び図11を参照しながら説明する。この動作例は、停電がないときの電源投入回数に関する動作(図10)と、停電とその復旧があるときの電源投入回数に関する動作(図11)とに分けて述べる。
(停電がないときの電源投入回数に関する動作:図10)
いま、メモリC_37-1(投入回数記憶部)は不揮発性メモリであり、メモリC_37-1内の電源投入回数は、初期値の0回であるとする。また、電源投入時の動作として、ステップST0(ステップST1~ST2)が実行される。すなわち、給水装置10では、操作者の操作により、図示しない電源が投入される(ステップST1)。
給水装置10のプロセッサ39は、電源の投入毎に、メモリC_37-1(投入回数記憶部)内の電源投入回数を1回分だけ増加させる(ステップST2)。このとき、メモリC_37-1内の電源投入回数は、0回に1回分を加えた結果、1回を表す。
以上により、ステップST0が完了する。
続いて、前述同様に、ステップST11~ST16を含むステップST10が実行される。但し、本実施形態では、給水装置10のプロセッサ39は、ステップST12により、切断直前の日時を通信端末40から受けると、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回にリセットする(ステップST15a)。図10に示す例の場合、メモリC_37-1内の電源投入回数は、1回を表す値からステップST15aの前後で変化がない。なお、ステップST15aは、ステップST12とステップST16との間の任意のタイミングで実行可能である。すなわち、ステップST15aは、ステップST15とST16との間に限らず、ステップST12とST13の間、ステップST13とST14の間、又はステップST14とST15の間に実行してもよい。いずれにしても、ステップST11~ST15及びST15aの後、前述同様にステップST16が実行され、ペアリングが切断される。これにより、ステップST10が完了する。
ステップST10の後、前述同様に、ステップST20が実行される。但し、ステップST22aでは、第1の実施形態とは若干異なり、電源投入回数を更に含むイベントログをメモリ38に記録する。具体的には例えば、プロセッサ39は、図9に示したように、イベントの内容としての故障コードと、故障時の運転状態と、故障時のメモリB_37の値(経過時間)と、電源投入回数(1回)とを含むイベントログをメモリ38に書き込む(ステップST22a)。なお、イベントが停電でない限り、メモリB_37のタイムカウンタ37aは、経過時間の計数を継続する。これにより、ステップST20が完了する。
ステップST20の後、ステップST31~ST36を含むステップST30が実行される。本実施形態のステップST30は、第1の実施形態に比べ、電源投入回数に関するステップST32a、ST34aが異なる。
すなわち、給水装置10のプロセッサ39は、経過時間の計数中に受けた送信要求に基づいてメモリ38内のイベントの内容と経過時間と電源投入回数(1回)などを含むイベントログ及びメモリA_36内の切断直前の日時を送信する(ステップST32a)。
通信端末40のプロセッサ45は、当該イベントログ及び切断直前の日時を受信すると、当該受信した切断直前の日時と経過時間とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時を作成する(ステップST33)。
ステップST33の後、通信端末40のプロセッサ45は、作成したイベント発生日時と受信したイベントの内容及び電源投入回数(1回)とを表示部43に表示させる(ステップST34a)。これにより、通信端末40の操作者は、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数(1回)を把握することができる。また、通信端末40の操作者は、電源投入回数が1回の場合にはイベント発生日時が正常状態であることを判定でき、電源投入回数が0回又は2回以上の場合にはイベント発生日時が異常状態であることを判定できる。なお、操作者が判定する場合に代えて、通信端末40のプロセッサ45が判定してもよい。この場合、通信端末40のプロセッサ45は、受信された電源投入回数が正常状態を表すか否かを判定し、当該判定した結果を、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数と共に、表示部43に表示させる(ステップST34aの変形例)。
いずれにしても、以下、前述同様に、通信端末40のプロセッサ45は、操作者の操作により、通信部41を介して、ペアリング切断指示と、ペアリングの切断直前の日時(現在日時)とを給水装置10に送信する(ステップST35)。
ステップST35の後、給水装置10のプロセッサ39は、前述したステップST13~ST16と同様の処理を実行し(ステップST36)、ペアリングを切断する。
以上のステップST31~ST36により、ステップST30が完了する。
(停電とその復旧があるときの電源投入回数に関する動作:図11)
いま、図10と同様にステップST0が実行され、給水装置10が電源投入状態となり、メモリC_37-1内の電源投入回数が1回となる。
続いて、図10と同様にステップST10が実行され、メモリC_37-1内の電源投入回数が1回にリセットされ、ペアリングが切断される。
ステップST10の後、前述とは異なり、停電とその復旧に関するステップST17-1~ST17-5を含むステップST17が実行される。
例えば停電が発生し、給水装置10の電源がオフ状態となる(ステップST17-1)。
ステップST17-1の後、メモリB_36では、停電により、タイムカウンタ37aが経過時間の計数を停止し、RAM領域37b内の経過時間が消去される(ステップST17-2)。
しかる後、停電が復旧したとする。給水装置10では、操作者の操作により、図示しない電源が投入される(ステップST17-3)。
ステップST17-3の後、給水装置10のプロセッサ39は、電源の投入毎に、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回分だけ増加させる(ステップST17-4)。このとき、メモリC_37-1内の電源投入回数は、記憶している1回に1回分を加えた結果、2回を表すことになる。
また、ステップST17-4に前後して、給水装置10のプロセッサ39は、メモリB_37のタイムカウンタ37aに経過時間の計数を開始させる(ステップST17-5)。これにより、メモリB_37のタイムカウンタ37aは、ステップST17-2での消去後の経過時間の値(ゼロ値)から経過時間の計数を実行する。これにより、ステップST17-1~ST17-5を含むステップST17が終了する。なお、停電と復旧の組が複数回発生した場合には、発生回数だけステップST17が実行され、電源投入回数が1回に発生回数分を加えた値となる。また、停電と復旧の組が複数回発生した場合とは、チャタリング等の如き、電源オンと電源オフの組が複数回発生した場合の一例である。すなわち、ステップST17の動作は、停電と復旧に限らず、電源オンと電源オフであれば、同様に実行される。この例では、停電と復旧の組が1回だけ発生したとする。
ステップST17の後、図10と同様に、ステップST20が実行される。但し、ステップST22aでは、記録される電源投入回数の値(2回)が異なる。
ステップST20の後、ステップST31~ST36を含むステップST30が実行される。図11に示すステップST30は、図10と同様であるが、電源投入回数に関するステップST32a、ST34aにおいて、電源投入回数の値(2回)が異なる。
すなわち、給水装置10のプロセッサ39は、経過時間の計数中に受けた送信要求に基づいてメモリ38内のイベントの内容と経過時間と電源投入回数(2回)などを含むイベントログ及びメモリA_36内の切断直前の日時を送信する(ステップST32a)。
通信端末40のプロセッサ45は、当該イベントログ及び切断直前の日時を受信すると、当該受信した切断直前の日時と経過時間とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時を作成する(ステップST33)。
ステップST33の後、通信端末40のプロセッサ45は、作成したイベント発生日時と受信したイベントの内容及び電源投入回数(2回)とを表示部43に表示させる(ステップST34a)。これにより、通信端末40の操作者は、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数(2回)を把握することができる。また、通信端末40の操作者は、電源投入回数が2回であることからイベント発生日時が異常状態であることを判定できる。なお、操作者が判定する場合に代えて、通信端末40のプロセッサ45が判定してもよい。この場合、通信端末40のプロセッサ45は、受信された電源投入回数(2回)が正常状態を表すか否かを判定する。この場合、通信端末40のプロセッサ45は、電源投入回数が2回のため、否(異常状態)と判定する。しかる後、通信端末40のプロセッサ45は、当該判定した結果(異常状態)を、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数と共に、表示部43に表示させる(ステップST34aの変形例)。
いずれにしても、以下、前述同様に、ステップST35が実行され、ペアリング切断指示と、ペアリングの切断直前の日時(現在日時)とが給水装置10に送信される。
ステップST35の後、給水装置10のプロセッサ39は、前述したステップST13~ST16と同様の処理を実行し(ステップST36)、ペアリングを切断する。
以上のステップST31~ST36により、ステップST30が完了する。
上述したように第2の実施形態によれば、給水装置は、投入回数記憶部と、回数増加部と、リセット部とを更に備える。投入回数記憶部は、電源を投入した回数である電源投入回数を記憶する。回数増加部は、電源の投入毎に、投入回数記憶部内の電源投入回数を1回分だけ増加させる。リセット部は、通信中の日時を通信端末から受けると、投入回数記憶部内の電源投入回数を1回にリセットする。これに伴い、記録部は、イベントが発生したとき、イベントの内容と通信中の日時と経過時間と電源投入回数とをログ記憶部に記録する。送信部は、送信要求に基づいてログ記憶部内のイベントの内容、経過時間及び電源投入回数、並びに日時記憶部内の通信中の日時を送信する。電源投入回数は、1回が正常状態を表し、2回以上が異常状態を表す。
従って、第2の実施形態の給水装置によれば、1回が正常状態を表し、2回以上が異常状態を表す電源投入回数を送信するので、前述した作用効果に加え、電源投入回数が正常状態か否かを判定可能とし、もって、信頼性を向上させることができる。
また、第2の実施形態によれば、給水装置と、当該通信手段を介して給水装置に通信可能な当該通信端末に実行されるプログラムとを備えた管理システムであってもよい。ここで、当該プログラムは、作成手段、表示制御手段、として当該通信端末を機能させる、ようにしてもよい。作成手段は、送信されたイベントの内容、経過時間、電源投入回数及び通信中の日時を受信すると、当該受信した通信中の日時と経過時間とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時を作成する。表示制御手段は、作成されたイベント発生日時と、受信されたイベントの内容及び電源投入回数とを表示部に表示させる。
従って、第2の実施形態の管理システムによれば、1回が正常状態を表し、2回以上が異常状態を表す電源投入回数を表示するので、前述した作用効果に加え、電源投入回数が正常状態か否かを判定可能とし、信頼性を向上させることができる。
また、第2の実施形態によれば、当該表示制御手段は、受信された電源投入回数が正常状態を表すか否かを判定し、当該判定した結果を、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数と共に、表示部に表示させるようにしてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、電源投入回数が正常状態か否かを判定でき、一層、信頼性を向上させることができる。
<第3の実施形態>
図12は、第3の実施形態に係る給水装置及び管理システムを例示するブロック図である。
第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、バックアップ電源37-2を備えた構成により、停電に伴う経過時間(及びイベント発生日時)の異常状態の発生を阻止する形態である。
具体的には例えば、制御装置30は、図1に示した構成に比べ、図12に示すように、バックアップ電源37-2を更に備えている。
バックアップ電源37-2は、電源から電力が供給されない場合に、メモリB_37(計数部)に電力を供給する補助電源である。バックアップ電源37-2としては、例えば、小型の蓄電池又は電池などが適宜、使用可能となっている。なお、バックアップ電源37-2としては、メモリB_37への電力供給に限らず、制御装置30やポンプ装置20にも電力を供給可能な大型の蓄電池を設けてもよい。但し、本実施形態では、コスト低減の観点から、メモリB_37(計数部)を対象としたバックアップ電源を設けている。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、図6に示す動作例において、ステップST10の後に停電が発生した場合、バックアップ電源37-2からメモリB_37に電力が供給される。このため、メモリB_37のRAM領域37b内の経過時間は消去されず、当該メモリB_37のタイムカウンタ37aは経過時間の計数を継続する。従って、停電とその復旧が発生した場合でも、第1の実施形態と同様の動作を実行することができる。また、停電に伴う経過時間(及びイベント発生日時)の異常状態の発生を阻止することができる。
上述したように第3の実施形態によれば、電源から電力が供給されない場合に、計数部に電力を供給するバックアップ電源を更に備えている。従って、第1の実施形態の作用効果に加え、停電とその復旧が発生した場合でも、計数部による計数動作を維持できることから、経過時間(及びイベント発生日時)の異常状態の発生を阻止することができる。
また、第3の実施形態によれば、停電に伴う異常状態を判定できる第2の実施形態に比べ、そもそも停電に伴う異常状態の発生を阻止できるため、より一層、信頼性を向上させることができる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、電源を投入した時点からの経過時間を計数すると共に、通信中の日時を受けても経過時間をクリアせずに経過時間の計数を続ける形態となっている。
これに伴い、メモリA_36は、図13に示すように、通信中の日時と経過時間とを関連付けて記憶する。
タイムカウンタ37aは、電源から電力が供給されている場合に、電源を投入した時点からの経過時間を計数する。すなわち、計数を開始する所定時点は、電源を投入した時点である。経過時間としては、例えば、60進法(時:分:秒)や24進法(日)などを用いた日時の値を計数してもよく、10進法を用いた秒の値を計数してもよい。本実施形態では、10進法を用いた秒の値の例を用い、59秒を超えても60、61、・・・、と値を更新して計数を行う。
プロセッサ39の処理部39aは、前述した(a1)書込処理に代えて、次の(a2)書込処理を実行する。(a2)書込処理は、メモリA_36に日時が書き込まれているとき、当該日時を当該通信中の日時に更新すると共に、当該更新した日時に関連付けてタイムカウンタ37aの経過時間を当該メモリA_36に書き込む。なお、無線通信は、当該無線通信の切断指示を含んでもよく、当該通信中の日時は、当該無線通信の切断直前の日時でもよい。
また、処理部39aは、前述した(c)送信処理において、次の(c1)送信処理を実行する。(c1)送信処理は、送信要求に基づいて、メモリ38内のイベントの内容と経過時間及びメモリA_36内の当該通信中の日時と共に、当該日時に関連付けてメモリA_36に書き込まれた経過時間を送信する。
一方、通信端末40のプロセッサ45は、受信する経過時間が複数になることから、イベント発生日時の演算過程が若干異なる。例えば、プロセッサ45は、複数の経過時間の差分を演算し、得られた差分を通信中の日時に加算することにより、イベント発生日時を演算する。なお、複数の経過時間が10進法を用いた秒の場合には、経過時間の差分を時間換算した後、通信中の日時に加算する。なお、2つの経過時間を時間換算した後に、両者の換算結果の差分を演算しても構わない。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された給水装置及び管理システムの動作例について図14を参照しながら説明する。
給水装置10のプロセッサ39は、電源が投入されると、当該メモリB_37のタイムカウンタ37aに新たな経過時間の計数を開始させる(ステップST41)。これにより、メモリB_37のタイムカウンタ37aは、電源から電力が供給されている場合に、電源が投入された時点からの経過時間を計数し、RAM領域37bに保存する。
続いて、給水装置10と通信端末40との間では、無線通信の接続が確立され、ペアリングが行われるとする(ステップST42)。ペアリングの期間中、例えば、通信端末40は、操作者の操作に応じて、各種データのリクエストや通信中の日時を給水装置10に送信し、給水装置10からデータを含むレスポンスを受信する(ステップST43)。なお、通信中の日時は、通信端末40の時計機能により作成された現在日時である。
給水装置10のプロセッサ39は、リクエストと、通信中の日時(d)とを受けると、この通信中の日時(d)及び経過時間(t1)をメモリA_36に書き込む。例えば、メモリA_36に日時が書き込まれているとき、当該日時を当該通信中の日時(d)に更新すると共に、当該更新した日時(d)に関連付けてメモリB_37内の経過時間(t1)を当該メモリA_36に書き込む(ステップST44)。なお、メモリA_36内で関連付けて記憶された通信中の日時(d)及び経過時間(t1)をタイムスタンプと呼んでもよい。この無線通信は、適宜、通信端末40からの切断指示により切断される。
給水装置10の運転中、例えば、ポンプ装置20に故障等のイベントが発生したとする(ステップST45)。
給水装置10のプロセッサ39は、イベントが発生したとき、前述同様に、イベントの内容と経過時間(t2)とを含むイベントログをメモリ38に記録する(ステップST46)。なお、ステップST46の後、故障等のイベントは、適宜、作業員の作業などにより、復旧する。
給水装置10と通信端末40との間では、新たな無線通信の接続が確立しており、ペアリングが行われているとする(ステップST47)。ペアリングの期間中、例えば、通信端末40は、操作者の操作に応じて、給水装置10に発生したイベントに関するデータの送信要求を給水装置10に送信する。
給水装置10のプロセッサ39は、経過時間の計数中に当該送信要求を受けると、この送信要求に基づいてメモリ38内のイベントの内容と経過時間(t2)などを含むイベントログ及びメモリA_36内の通信中の日時(d)及び経過時間(t1)を通信端末40に送信する(ステップST48)。
通信端末40のプロセッサ45は、送信されたイベントログ及び通信中の日時(d)を受信すると、当該受信した通信中の日時(d)と経過時間(t2),(t1)とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時(de)を作成する(ステップST49~ST50)。
例えば、通信端末40のプロセッサ45は、経過時間の差分(t2-t1)を演算し、得られた差分を日時に換算する。すなわち、通信中の日時(d)に関連する経過時間(t1)が“53”であり、イベント発生時の経過時間(t2)が“1003”である場合、差分は1003-53=950[秒]となる。差分の950[秒]を日時換算すると、換算結果Δdは0:15:50となる(ステップST49)。
また、通信中の日時(d)を2020/10/1 11:34:00とすると、イベント日時(de)は、de=d+Δdとして、2020/10/1 11:49:50と演算される(ステップST50)。すなわち、給水装置10に時計機能が無くても、イベント発生日時を作成できる。作成したイベント発生日時は、仮に給水装置10に時計機能があった場合のイベント発生日時に比べても、数秒~十数秒程度の誤差に収まることが期待できる。
ステップST50の後、前述同様に、通信端末40のプロセッサ45は、演算したイベント発生日時と受信したイベントの内容とを表示部43に表示させる。これにより、通信端末40の操作者は、イベント発生日時とイベントの内容とを把握することができる。
以下、前述同様に、通信端末40のプロセッサ45は、操作者の操作により、給水装置10とのペアリングを切断させる。
上述したように第4の実施形態によれば、日時記憶部は、通信中の日時と経過時間とを関連付けて記憶する。所定時点は、電源を投入した時点である。日時記憶部に日時が書き込まれているとき、当該日時を通信中の日時に更新すると共に、更新した日時に関連付けて計数部の経過時間を当該日時記憶部に書き込む。送信要求に基づいて、ログ記憶部内のイベントの内容と経過時間及び日時記憶部内の通信中の日時と共に、当該日時に関連付けて日時記憶部に書き込まれた経過時間を送信する。
ここで、送信された通信中の日時と2つの経過時間とを互いに演算すると、イベント発生日時を作成できる。従って、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第4の実施形態によれば、ペアリングの切断指示を受けた場合でも、計数部の経過時間をクリアせずに計数を続けるので、当該クリアのための構成を省略できる。すなわち、第4の実施形態は、簡素化した構成にも関わらず、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、第4の実施形態を第2の実施形態に組み合わせた変形例である。
すなわち、第5の実施形態は、図7に示した構成において、電源投入されると、電源投入時点からの経過時間を計数すると共に、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回分だけ増加させる。また、通信中の日時を受けると、経過時間をクリアせずに経過時間の計数を続けると共に、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回にリセットする。
他の構成は、第4の実施形態及び第2の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された給水装置及び管理システムの動作例について図15及び図16を参照しながら説明する。この動作例は、停電がないときの電源投入回数に関する動作(図15)と、停電とその復旧があるときの電源投入回数に関する動作(図16)とに分けて述べる。
(停電がないときの電源投入回数に関する動作:図15)
いま、メモリC_37-1は不揮発性メモリであり、メモリC_37-1内の電源投入回数は、初期値の0回であるとする。ここで、給水装置10のプロセッサ39は、操作者の操作により、電源が投入されると、メモリB_37のタイムカウンタ37aに新たな経過時間の計数を開始させる(ステップST41)。これにより、メモリB_37のタイムカウンタ37aは、電源から電力が供給されている場合に、電源が投入された時点からの経過時間を計数し、RAM領域37bに保存する。また、給水装置10のプロセッサ39は、電源の投入毎に、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回分だけ増加させる(ステップST41-1)。このとき、メモリC_37-1内の電源投入回数は、0回に1回分を加えた結果、1回を表す。
続いて、前述同様にステップST42~ST44が実行され、通信端末40との通信中の日時(d)及び経過時間(t1)がメモリA_36に書き込まれる。また、給水装置10のプロセッサ39は、ステップST43により、通信中の日時を通信端末40から受けると、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回にリセットする(ステップST44-1)。図15に示す例の場合、メモリC_37-1内の電源投入回数は、1回を表す値からステップST14-1の前後で変化がない。
給水装置10の運転中、例えば、ポンプ装置20に故障等のイベントが発生したとする(ステップST45)。
給水装置10のプロセッサ39は、イベントが発生したとき、イベントの内容と経過時間(t2)と電源投入回数とを含むイベントログをメモリ38に記録する(ステップST46*)。ステップST46*は、イベントログが電源投入回数を含む点で、前述したステップ46とは異なる。ステップST46*の後、前述同様に、イベントは復旧する。
ステップST46*の後、前述同様に、ステップST47以降の処理が実行される。但し、ステップST47以降の処理は、第4の実施形態に比べ、電源投入回数に関するステップST48*、ST50-1が異なる。
すなわち、給水装置10のプロセッサ39は、経過時間の計数中に当該送信要求を受けると、この送信要求に基づいてメモリ38内のイベントの内容と経過時間(t2)と電源投入回数などを含むイベントログ及びメモリA_36内の通信中の日時(d)及び経過時間(t1)を通信端末40に送信する(ステップST48*)。
通信端末40のプロセッサ45は、前述同様に、受信した通信中の日時(d)と経過時間(t2),(t1)とを互いに演算することにより、イベントが発生したときのイベント発生日時(de)を作成する(ステップST49~ST50)。
ステップST50の後、前述同様に、通信端末40のプロセッサ45は、演算したイベント発生日時と受信したイベントの内容及び電源投入回数を表示部43に表示させる(ステップST50-1)。これにより、通信端末40の操作者は、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数(1回)を把握することができる。前述同様に、電源投入回数が1回の場合にはイベント発生日時が正常状態である。
以下、前述同様に、通信端末40のプロセッサ45は、操作者の操作により、給水装置10とのペアリングを切断させる。
(停電とその復旧があるときの電源投入回数に関する動作:図16)
いま、図15と同様にステップST41~ST44-1が実行され、給水装置10が電源投入状態となり、メモリC_37-1内の電源投入回数が1回にリセットされ、ペアリングが切断される。
ステップST44-1の後、前述とは異なり、停電とその復旧に関するステップST61~ST65を含むステップST60が実行される。
例えば停電が発生し、給水装置10の電源がオフ状態となる(ステップST61)。
ステップST61の後、メモリB_36では、停電により、タイムカウンタ37aが経過時間の計数を停止し、RAM領域37b内の経過時間が消去される(ステップST62)。
しかる後、停電が復旧したとする。給水装置10では、操作者の操作により、図示しない電源が投入される(ステップST63)。
ステップST63の後、給水装置10のプロセッサ39は、電源の投入毎に、メモリC_37-1内の電源投入回数を1回分だけ増加させる(ステップST64)。このとき、メモリC_37-1内の電源投入回数は、記憶している1回に1回分を加えた結果、2回を表すことになる。
また、ステップST64に前後して、給水装置10のプロセッサ39は、メモリB_37のタイムカウンタ37aに経過時間の計数を開始させる(ステップST65)。これにより、メモリB_37のタイムカウンタ37aは、ステップST62での消去後の経過時間の値(ゼロ値)から経過時間の計数を実行する。これにより、ステップST61~ST65を含むステップST60が終了する。
ステップST60の後、図15と同様に、ステップST45~ST46*が実行される。但し、ステップST46*では、記録される電源投入回数の値(2回)が異なる。
ステップST46*の後、図15と同様に、ステップST47以降の処理が実行される。但し、ステップST47以降の処理は、電源投入回数の値(2回)が異なっている。
従って、ステップST47~ST50が前述同様に実行された後、通信端末40のプロセッサ45は、演算したイベント発生日時と受信したイベントの内容及び電源投入回数を表示部43に表示させる(ステップST50-1)。これにより、通信端末40の操作者は、イベント発生日時、イベントの内容及び電源投入回数(2回)を把握することができる。前述同様に、電源投入回数が0回又は2回以上の場合にはイベント発生日時が異常状態である。また、図16に示すように、メモリB_37内の経過時間(t1)が「53」であり、経過時間(t2)が「603」であるので、差分(t2-t1)が603-53=550[秒]となる。差分の550[秒]を日時換算すると、換算結果Δdは、0:09:10となる。イベント日時(de)は、通信中の日時が2020/10/1 11:34:00の場合、2020/10/1 11:43:10と演算される。このようなイベント日時(de)が異常状態か否かは、一見して分からない。しかしながら、本実施形態では、電源投入回数(2回)を表示するので、異常状態と分かる。
以下、前述同様に、通信端末40のプロセッサ45は、操作者の操作により、給水装置10とのペアリングを切断させる。
上述したように第5の実施形態によれば、第4の実施形態と、第2の実施形態とを組み合わせたことにより、両実施形態の効果を得ることができる。
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
また、以上のような給水装置及び管理システムは、以下の[1]~[7]の変形例の記載を適宜用いて、表現を変更してもよい。
[1]ポンプと制御盤で構成される給水装置であって、制御盤は、外部装置に無線通信可能な通信部と、外部装置との無線通信切断直前の日時を記憶する切断日時記憶部と、1秒ごとに第1カウント値をカウントする第1カウンタと、を備え、通信部と外部装置が無線通信を切断する直前に、外部装置は、現在日時を切断日時記憶部に書き込み、現在日時が書き込まれると、第1カウンタはカウントを開始し、制御盤は、発生するイベント毎に、イベントログとしてイベントの内容と切断直前の日時と第1カウント値とを合わせて記憶し、外部装置は、制御盤からイベントログを取得したとき、第1カウント値を切断直前の日時に基づいてイベントログの発生日時に変換する、給水装置。
[2]イベントログは、警報来歴である、上記[1]記載の給水装置。
[3]切断日時記憶部に日時が書き込まれているとき、外部装置と制御盤との無線接続が切断する直前に、切断日時記憶部内の切断直前の日時を更新し、第1カウント値をリセットする、上記[1]又は[2]記載の給水装置。
[4]電源投入ごとに第2カウント値をカウントする第2カウンタを更に備え、イベントログは、更に第2カウント値を記憶し、外部装置は、制御盤からイベントログを取得したとき、イベントログ内の第2カウント値が1の時のみ、イベントログを信憑性があると判断し、イベントログ内の第2カウント値が2以上の時には、イベントログを信憑性がないと判断して、管理する上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の給水装置及び管理システム。
[5]停電中に第1カウンタのカウントを止めないよう、非常時のバックアップ電源を備える、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の給水装置。
[6]外部装置と制御盤とが近距離無線通信をしているとき、外部装置は、通信終了する直前の日時を制御盤に記録し、制御盤のカウントアップタイマは、外部装置との通信が終了したとき、カウントを開始し、カウント値を故障来歴と合わせて保存することで、外部装置は、故障来歴とカウント値と通信終了する直前の日時とから故障発生時間を算出する、管理システム。
[7]時計機能をもたない制御盤にカウントアップタイマを設け、外部装置と通信し、外部装置から通信された日時を記憶することで、安価に時計代替機能を提供する給水装置及び管理システム。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。