以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のロールプレス装置20の概略正面図であり、図2は、図1のロールプレス装置20のII-II断面図であり、図3は、図1のロールプレス装置のIII-III断面図であり、図4は、図1のロールプレス装置のIV-IV断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態のロールプレス装置20は、一対の電動リフト装置10を備えている。まず、図1を参照しながら、電動リフト装置10について説明する。
[電動リフト装置10の構成]
本実施形態の電動リフト装置10は、ボールネジ11を有している。ボールネジ11は、軸線xを有するネジ軸11aと、ネジ軸11aの両端部に設けられネジ軸11aを軸線x回りに回転可能に支持する一対の軸受11b、11cと、ネジ軸11aに対して複数の転動体(不図示)を介して螺合していてネジ軸11aの回転によって軸線x方向に直線移動するナット11dと、を有している。
ネジ軸11aの軸線xは、後述する下ロール23(一側ロール)及び上ロール24(他側ロール)の軸線と平行になっており、ロール側(内側)の軸受11bは、内側フレーム壁12bに内蔵(支持)されており、反対側(外側)の軸受11cは、中央フレーム壁12cに内蔵(支持)されている。内側フレーム壁12b及び中央フレーム壁12cは、板状のフレーム底板12aの上面に立設されている。また、内側フレーム壁12bに対向するように外側フレーム壁12dが設けられており、外側フレーム壁12dも、フレーム底板12aの上面に立設されている。内側フレーム壁12bと外側フレーム壁12dの上面には、ロードセル貫通用の開口12hが設けられたフレーム天板12gが渡されている。
フレーム底板12aの下面の略中央が、後述するロールフレーム26の下部26aによって支持されている(図2参照)。また、フレーム底板12aの下面の外側が、土台40から立設された角柱12eに固定されている。これにより、フレーム底板12aは土台40に固定されている。また、内側フレーム壁12bの真下に対応するフレーム底板12aの下面に、断面L字状の電動モータ取付板12fが固定されている。
フレーム底板12aと、内側フレーム壁12bと、中央フレーム壁12cと、外側フレーム壁12dと、角柱12eと、電動モータ取付板12fと、フレーム天板12gとが、フレーム12を構成している。フレーム12のこれらの要素は、一体的に形成されてもよいし、別体に形成されてから互いに固定されてもよい。
一例として、電動リフト装置10のリフト力(加圧力)が300kN仕様(左右一対で600kN)であってロール径がφ450mmである場合、フレーム底板12a及びフレーム天板12gのサイズは、平面視で50cm(図1で見える長さ)×40cm(図2で見える長さ)で、厚みは6cm程度である。角柱12eのサイズは、平面視で10cm×40cmで、フレーム26の下部26aと同じ高さである。内側フレーム壁12b及び外側フレーム壁12dの壁厚は6cm程度であり、高さは30cm程度である。中央フレーム壁12cの壁厚は5cm程度であり、高さは15cm程度である。
図1に示すように、回転する出力軸13sを有する電動モータ13(好ましくはサーボモータ)が、電動モータ取付板12fに固定されている。電動モータ13の出力軸13sは、ボールネジ11のネジ軸11aの軸線xに対して、平行であって且つ平面視で互いに重複する位置関係となっている。このことによって、電動リフト装置10は、有意な小型化が実現されている。
もっとも、本件出願の時点では、電動モータ13の出力軸13sとボールネジ11のネジ軸11aの軸線xとが平面視で完全に重複する態様に限定されず、電動モータ13の出力軸13sとボールネジ11のネジ軸11aの軸線xとが平面視で部分的に重複する態様も本発明に含まれる。当該重複の程度に応じて、小型化の程度が変動する。
再び図1に戻って、電動モータ13の出力軸13sは、電動モータ取付板12fの垂下部を貫通して、フレーム12の内側に突出し、モータ側プーリ13pに固定されている。一方、ボールネジ11のネジ軸11aも、ロール側(内側)の軸受11bの外側に突出した突出部において、ネジ軸側プーリ11pに固定されている。そして、モータ側プーリ13pとネジ軸側プーリ11pとに、ベルト14が掛け渡されている。
一例として、モータ側プーリ13p及びネジ軸側プーリ11pは、共に直径8~12cm程度である。また、モータ側プーリ13p及びネジ軸側プーリ11pの幅(厚み)は、共に4cm程度であり、ベルト14の幅は、これより僅かに狭く、3.5cm程度である。また、ベルト14の長さは、ネジ軸11aの軸線xと電動モータ13の出力軸13sとの間の距離に依存し、例えば70~80cm程度である。場合によって、モータ側プーリ13pの歯数に対してネジ軸側プーリ11pの歯数を増やして、減速機構を構成することもある。
以上のようなモータ側プーリ13p、ネジ軸側プーリ11p及びベルト14は、出力軸13sの回転力をネジ軸11aの回転力として伝達する回転力伝達機構として機能するようになっている。具体的には、歯付プーリ及び歯付ベルト、あるいは、タイミングプーリ及びタイミングベルト、等の組合せから構成され得る。また、図1から明らかなように、ベルト14は、出力軸13s及びネジ軸11aの軸線xに対して垂直な面内に延在する周回軌道上を周回するようになっている。
そして、ボールネジ11のナット11dには、当該ナット11dと一体的に移動する第1移動体15が固定されている。第1移動体15は、ネジ軸11aの軸線x方向を含む平面に対して所定の角度で傾斜した第1摺動面15tを有している。
本実施形態では、図2に示すように、第1摺動面15tは、軸線x方向と鉛直方向との両方に垂直な水平方向において、ネジ軸11aを挟むように、且つ、ネジ軸11aから所定距離だけ離れて、2箇所が設けられている。2箇所の第1摺動面15tの各々は、平面視でネジ軸11aの軸線x方向と平行に延在している。
また、本実施形態では、図1から明らかなように、ネジ軸11aが、第1移動体15を軸線方向に貫通している。そして、一対の軸受11b、11cは、第1移動体15の両側に設けられている。
一方、フレーム底板12aの上面には、軸線x方向に平行に延在する第1摺動ガイド16が設けられており、第1移動体15には、第1摺動ガイド16に対して互いに摺動移動可能である第1摺動部15sが設けられている。
本実施形態では、図2及び図4に示すように、第1摺動ガイド16と第1摺動部15sとの対が、軸線x方向と鉛直方向との両方に垂直な水平方向において、ネジ軸11aを挟むように、且つ、ネジ軸11aから所定距離だけ離れて、2対設けられている。第1摺動ガイド16と第1摺動部15sとの摺動面は、平面視でネジ軸11aの軸線x方向と平行に延在している。
また、本実施形態の電動リフト装置10は、フレーム12に対して軸線x方向に対して垂直な方向に直線移動可能な第2移動体18を有している。第2移動体18は、2箇所の第1摺動面15tに対して互いに摺動移動可能である第2摺動面18tを有している。これにより、第2移動体18は、ナット11d及び第1移動体15が軸線x方向に直線移動する時に、2箇所の第1摺動面15tと第2摺動面18tとの摺動移動によって、前記垂直な方向に直線移動するようになっている。なお、本実施形態では、図2に示すように、第1摺動面15tと第2摺動面18tとの対が、軸線x方向と鉛直方向との両方に垂直な水平方向において、ネジ軸11aを挟むように、且つ、ネジ軸11aから所定距離だけ離れて、2対設けられていると言える。
第1摺動面15tと第2摺動面18tとの対は、ネジ軸11aに関して対称に配置されていることが好ましい。この場合、第1移動体15の直線移動(水平移動)をバランス良く第2移動体18の直線移動(昇降移動)に変換することができ、また、第2移動体18が受ける負荷(反力)についても、第1移動体15等を介してバランス良く土台40に支持させることができる。
具体的な構成例として、第1摺動面15tと第2摺動面18tとの対は、一般的なリニアガイドによって提供され得る。すなわち、図2を参照して、第1摺動面15tは、リニアガイドの「ブロック」と呼ばれる断面凹状の部材の凹面として提供され、第2摺動面18tは、リニアガイドの「レール」と呼ばれる断面矩形状の部材の下面として提供され得る。これらは、例えば市販の2本のリニアガイドを分解して、2本の「ブロック」を第1摺動体15の本体部材の上面に固定し、2本の「レール」を第2摺動体18の本体部材の下面に固定することによって、配置され得る。
外側フレーム壁12dの内面には、前記垂直な方向(軸線x方向に垂直な方向)に延在する第2摺動ガイド19が設けられており、第2移動体18には、第2摺動ガイド19に対して互いに摺動移動可能である第2摺動部18sが設けられている。
本実施形態では、図3及び図4に示すように、第2摺動ガイド19と第2摺動部18sとの対も、軸線x方向と鉛直方向との両方に垂直な水平方向において、ネジ軸11aを挟むように、且つ、ネジ軸11aから所定距離だけ離れて、2対設けられている。
また、本実施形態では、第2移動体18の上面にロードセル21が設けられており、当該ロードセル21がフレーム天板12gの開口12hを貫通しながら上下方向に移動するようになっている。
また、ロードセル21の内外に隣接する位置において、第2移動体18の上面とフレーム天板12gの下面との間に、常時圧縮状態(10kN程度の負荷相当)のコイルスプリング28が挿入されている(図3参照)。
ここで、前記所定の角度は、5.7°~11.3°の範囲から選択される。5.7°とは、tanθ=1/10を解いた値であり、11.3°とは、tanθ=1/5を解いた値である。これにより、5~10倍の倍力比を実現することができる。
本実施形態の電動リフト装置10が、これらの角度範囲で有効に動作することが、本件発明者による実際の検証実験によって確認されている。
第2移動体18の移動ストロークは、後述する用途(金属箔上に複数の電極層が焼成された材料をワークWとする用途)においては、1mm程度で十分である。
第2移動体18の移動速度は、例えば10mm/secである。この速度は、倍力比が5倍である場合、50mm/secの第1移動体15(すなわちナット11d)の移動速度に対応し、倍力比が10倍である場合、100mm/secの第1移動体15(すなわちナット11d)の移動速度に対応する。このようなナット11dの移動速度は、市販の一般的な電動モータ13及びボールネジ11によって実現することができる。特に、電動モータ13がサーボモータである場合、より高精度でより応答性が高い制御を実現可能である。
[電動リフト装置10の作用]
次に、本実施形態の電動リフト装置10の作用について説明する。
電動モータ13が所望に駆動される(例えば後述する制御装置35によって制御され得る)ことにより、電動モータ13の出力軸13sが回転する。次いで、モータ側プーリ13p、ネジ軸側プーリ11p及びベルト14が回転力伝達機構として機能して、出力軸13sの回転力がネジ軸11aの回転力として伝達される。そして、ネジ軸11aの回転が、ボールネジ11の回転運動/直線運動変換機能によって、ナット11dの軸線x方向の直線移動に変換される。
これにより、ナット11dに固定された第1移動体15が、軸線x方向に直線移動する。この時、第1摺動ガイド16と第1摺動部15sとの相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第1移動体15の軸線方向の移動がより円滑に実施される。
そして、ナット11d及び第1移動体15が軸線x方向に直線移動する時に、第1摺動面15tと第2摺動面18tとの摺動移動によって、第2移動体18が軸線x方向と垂直な方向に直線移動する。この時、第2摺動ガイド19と第2摺動部18sとの相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第2移動体18の移動がより円滑に実施される。
ここで、第1摺動面15tと第2摺動面18tとの対がネジ軸11aに関して対称に配置されていれば、第1移動体15の直線移動(水平移動)をバランス良く第2移動体18の直線移動(昇降移動)に変換することができ、また、第2移動体18が受ける負荷(反力)についても、第1移動体15等を介してバランス良く土台40に支持させることができる。
すなわち、電動モータ13が所望に駆動されることにより、第2移動体18の移動が高精度に所望に制御される。特に、電動モータ13がサーボモータである場合、より高精度でより応答性が高い制御を実現可能である。
特に、圧縮状態のコイルスプリング28が、ボールネジ11を軸受11b側に常時押し付けているため、ボールネジ11において生じ得るバックラッシュの影響を排除することができ、より高精度な昇降制御を実現することができる。
更に、ベルト14のクッション作用によって、ネジ軸11aを介して電動モータ13に伝達される衝撃を緩和することができる。
[電動リフト装置10の効果]
以上の通り、本実施形態の電動リフト装置10によれば、電動モータ13の出力軸13sの回転力をボールネジ11のネジ軸11aの回転力として利用し、当該ボールネジ11のナット11dに固定された第1移動体15が軸線x方向に直線移動する時に第2移動体18が軸線x方向に対して垂直な方向に直線移動することにより、当該第2移動体18の移動を電動モータ13によって高精度に制御することが可能である。
また、本実施形態の電動リフト装置10によれば、ネジ軸11aが第1移動体15を軸線方向に貫通し、一対の軸受11b、11cが第1移動体15の両側に設けられているため、装置全体がコンパクトである。また、本実施形態の電動リフト装置10によれば、第2移動体18の直線移動方向に見て、電動モータ13とネジ軸11aとが軸線x方向に完全に重複する位置関係となっていることによっても、装置全体がコンパクトである。そして、油圧装置を採用しておらず、すなわち油分によって周囲を汚染する懸念がないため、本実施形態の電動リフト装置10は、グローブボックス内に設置することに適している。
また、本実施形態の電動リフト装置10によれば、出力軸13sの回転力をネジ軸11aの回転力として伝達する回転力伝達機構が、出力軸13s及びネジ軸11aの軸線xに対して垂直な面内に延在する周回軌道上を周回するように出力軸13sのモータ側プーリ13pとネジ軸11aのネジ軸側プーリ11pとに掛け渡されたベルト14を有している。このような構成が採用されていることにより、回転力伝達機構がコンパクトであり、装置全体がより一層コンパクトである。従って、本実施形態の電動リフト装置10は、グローブボックス内に設置することにより一層適している。
また、本実施形態の電動リフト装置10によれば、ネジ軸11aの軸受11b、11cは、ネジ軸11aの両端部に対して一対が設けられており、ベルト14は、一方の軸受11bの外側に突出したネジ軸11aの突出部において掛け渡されている。このような構成が採用されていることにより、装置全体が更に一層コンパクトであり、本実施形態の電動リフト装置10は、グローブボックス内に設置することに更に一層適している。
また、本実施形態の電動リフト装置10によれば、フレーム12に軸線x方向に平行に延在する第1摺動ガイド16が設けられ、第1移動体15に第1摺動ガイド16に対して互いに摺動移動可能である第1摺動部15sが設けられていることにより、両者の相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第1移動体15の軸線方向の移動がより円滑に実施される。
また、本実施形態の電動リフト装置10によれば、第1摺動面15tと第2摺動面18tとの対が、軸線x方向と鉛直方向との両方に垂直な水平方向において、ネジ軸11aを挟むように、且つ、ネジ軸11aから所定距離だけ離れて、2対設けられている。これにより、第2移動体18に作用するロールプレス時の反力等が、第1摺動面15tと第2摺動面18tとの対を介して第1移動体15に伝達される際において、ボールネジ11が直接的に受ける負荷を低減することができる。これにより、ボールネジ11において不具合が発生する可能性を顕著に低減することができる。
更に、本実施形態の電動リフト装置10によれば、第1摺動ガイド16と第1摺動部15sとの対も、軸線x方向と鉛直方向との両方に垂直な水平方向において、ネジ軸11aを挟むように、且つ、ネジ軸11aから所定距離だけ離れて、2対設けられている。これによっても、第2移動体18に作用するロールプレス時の反力等が、第1摺動面15tと第2摺動面18tとの対を介して第1移動体15に伝達される際において、ボールネジ11が直接的に受ける負荷を低減することができる。これにより、ボールネジ11において不具合が発生する可能性を顕著に低減することができる。
また、本実施形態の電動リフト装置10によれば、フレーム12に軸線x方向に垂直に延在する第2摺動ガイド19が設けられ、第2移動体18に第2摺動ガイド19に対して互いに摺動移動可能である第2摺動部18sが設けられていることにより、両者の相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第2移動体18の軸線方向に垂直な方向の移動がより円滑に実施される。
[ロールプレス装置20の構成]
図1及び図2を参照して、本実施形態のロールプレス装置20の構成について説明する。
本実施形態のロールプレス装置20は、一対の前述した電動リフト装置10を備えている。一対の電動リフト装置10の一対の第2移動体18によって、一対の下ロール支持体22の各々(一側ロール支持部)が支持されている。一対の下ロール支持体22の各々は、ロードセル21を介して、対応する第2移動体18上に載置されている。一対の下ロール支持体22は、軸受を有していて、下ロール23を回転可能に支持している。
下ロール23に対向するように、上ロール24が配置されている。下ロール23と上ロール24との間に形成される間隙を利用して、ワークWのプレス成形(圧密)が実施されるようになっている。
上ロール24は、一対の上ロール支持体25(他側ロール支持部)によって、回転可能に支持されている。一対の上ロール支持体25の各々は、土台40に設けられた一対のロールフレーム26の各々に、例えば不図示のボルトネジ等を介して外側から固定されている。
また、図2に示すように、各ロールフレーム26の対向する内面に、軸線x方向に垂直に延在する対向する第3摺動ガイド27が設けられていて、一対の下ロール支持体22の各々には、対向する第3摺動ガイド27の各々に対して互いに摺動移動可能である第3摺動部22sが設けられている。また、ロールフレーム26の下部26aが、電動リフト装置10のフレーム底板12aを土台40に対して固定している。これによって、ロールフレーム26の内部に電動リフト装置10の一部が入り込むようなレイアウトとなっており、装置全体がコンパクトになっている。
以上のような構成により、一対の電動リフト装置10は、電動モータ13を用いて下ロール支持体22と上ロール支持体25とを相対移動させて下ロール23と上ロール24との間の間隙を制御する移動装置として機能するようになっている。
また、図1に戻って、下ロール23及び上ロール24の所定位置、例えば左右端の各々から30mmの位置、における局所的な変位量を計測する4つの変位量センサ30が設けられている(図1では3つのみ図示されている)。当該変位量センサ30は、ロールフレーム26とは異なる変位量センサフレーム31を介して、土台40に対して固定されている。また、変位量センサ30は、電動モータ13を制御するための制御装置35に接続されている。本実施形態の変位量センサ30は、具体的には、非接触式の距離計である。
一例として、下ロール23及び上ロール24は、共に直径30~50cm程度であり、共に軸線方向長さ(幅)が15~50cm程度である。ロールプレス装置20の全体としては、縦180cm×横150cm(×奥行90cm)に収まるサイズとなっている。
[ロールプレス装置20の基本動作]
次に、本実施形態のロールプレス装置20の基本動作について説明する。
基本動作としては、一対の電動リフト装置10のそれぞれの電動モータ13を所望に駆動することによって、第2移動体18の位置を所望に高精度に制御して、一対の下ロール支持体22の各々の位置を所望に高精度に制御する。
これによって、下ロール23と上ロール24との間に形成される間隙の寸法を、所望に高精度に制御することができ、ひいては、プレス成形後のワークWの板厚精度を高精度に均一に維持することができる。
[ワークWの具体例]
ここで、ワークWとしては、金属箔上に複数の電極層(固体電解質層を含む広い概念)が焼成された材料が想定されている。具体的には、例えば図5に示すように、負極としての機能が意図された銅箔81をベース材として、下から順に負極層82、固体電解質層83、正極層84の3層が形成された材料である。あるいは、正極としての機能が意図されたアルミニウム箔をベース材として、下から順に正極層、固体電解質層、負極層の3層が形成された材料であってもよい。複数の電極層は、連続する金属箔上に間欠的に塗工・焼成されて、個々のワークWが形成されている(図5及び図7参照)。
当該材料の厚みは、例えばプレス成形(圧密)前に0.38mmであり、これをプレス成形(圧密)によって0.34mmとすることによって、電極層間及び各電極層内の空間を除去ないし低減することが意図されている。この場合、プレス成形(圧密)時に下ロール23と上ロール24との間に形成される間隙の寸法は、材料のスプリングバックを考慮して、0.25~0.3mmに設定されることが好ましい。
本件発明者による検証結果によれば、金属箔上に複数の電極層が焼成された材料をプレス成形(圧密)して電極層間及び各電極層内の空間を除去ないし低減することを目的とする場合、プレス成形(圧密)時に下ロール23と上ロール24との間に形成される間隙(本明細書では「圧密用間隙」とも呼ばれる)は、ワークWの圧密前の厚みの70~90%の範囲の一定値に設定されることが有効である。
また、本件発明者による更なる検証結果によれば、金属箔上に複数の電極層が焼成された材料をプレス成形(圧密)して電極層間及び各電極層内の空間を除去ないし低減することを目的とする場合、ワークWの送り速度を1~100mm/秒として、前記圧密用間隙は、ワークWの圧密前の厚みの70~110%の範囲で1~10Hz(1秒間に1~10回)のサイクルで断続加圧を行って衝撃荷重を発生させることも有効である。この場合、圧縮率に対する消費電力を低減させることができ、省エネ効果を得ることができる。
具体的な一例を挙げれば、前記材料の厚みがプレス成形(圧密)前に0.38mmであり、これをプレス成形(圧密)によって0.34mmとすることによって、電極層間及び各電極層内の空間を除去ないし低減することが意図されている場合、プレス成形(圧密)時に下ロール23と上ロール24との間に形成される間隙の寸法は、0.27mm~0.42mmの範囲で、1~10Hz(1秒間に1~10回)で変動されることが有効である(ワークWの送り速度が1~100mm/秒である場合)。
時間経過に対する前記間隙の寸法の変化の詳細は、矩形パルス状であってもよいし、鋸波形状であってもよいし、正弦波形状であってもよい。
本件発明者による検証結果によれば、圧密用間隙として前記のような変動値を採用する場合(断続加圧する場合)、一定値を採用する場合と比較して、当該材料がプレス成形(圧密)によって圧縮される圧縮率に対する電力消費量を10%程度低減できることが確認されている。
[ロールプレス装置20の変位補償]
プレス成形(圧密)時に、ワークWからの反力によって、上ロール24(当該上ロール24を支持する上ロール支持体25をも伴う)は上向きに逃げようとし、下ロール23(当該下ロール23を支持する下ロール支持体22をも伴う)は下向きに逃げようとする。この様子が、図6に一点鎖線で図示されている。
本実施形態のロールプレス装置20は、このような逃げ(変位)の発生に対する対処(補償)を可能にするべく、図1及び図6に示すように4つの変位量センサ30が設けられている。すなわち、制御装置35が、4つの変位量センサ30の各々の計測結果に基づいて、上ロール24及び下ロール23の変位を考慮した制御を実施する。具体的には、例えば、上ロール24及び下ロール23の変位量に応じた更なる「押し込み制御」を実施することが可能である。
本実施形態のロールプレス装置20においては、変位量センサ30を支持する変位量センサフレーム31がロールフレーム26とは異なっているため、変位量センサ30の搭載位置がプレス成形(圧密)中の各種要素(下ロール23、上ロール24、下ロール支持体22、上ロール支持体25)の撓みによって影響されない。このため、変位量センサ30の計測及びその結果に基づくフィードバック制御を高精度に実施することができる。
[ロールプレス装置20の荷重監視/荷重制御]
本実施形態のロールプレス装置20は、電動リフト装置10の第2移動体18上に、ロードセル21を介して下ロール支持体22が載置されている。このロードセル21の値を監視することで、例えば下ロール23及び/または上ロール24の荷重異常の発生を監視することができる。
更に、ロードセル21を制御装置35に接続することによって、ロードセル21の計測結果を利用した荷重制御を実施することも可能である。例えば、予め目標荷重値ないし目標荷重範囲を設定しておいて、当該目標荷重値ないし目標荷重範囲に基づくフィードバック制御を実施することが可能である。
[ロールプレス装置50の構成]
次に、図7は、本発明の第2実施形態のロールプレス装置50の概略図である。本実施形態のロールプレス装置50は、第1実施形態のロールプレス装置20に対して後述する構成要素が付加されたものである。図7においては、下ロール23及び上ロール24を除いて、第1実施形態のロールプレス装置20の構成要素の図示は省略されている。また、本実施形態では、下ロール23と上ロール24とは、それぞれサーボモータによって回転駆動されるようになっている。
本実施形態において付加された構成要素は、図7に示すように、下ロール23及び上ロール24の間の間隙内を通過するようにワークWを供給するワーク供給装置としての送りロール51と、当該送りロール51によって前記間隙内へと供給されるワークWの先端位置を検出する位置センサ52と、である。位置センサ52は、制御装置35に接続されている。送りロール51も、サーボモータによって回転駆動されるようになっている。
本実施形態の位置センサ52は、具体的には、前記間隙の最狭部(下ロール23及び上ロール24の軸線位置に対応する)から基本所定距離Cの位置に設置された非接触式の距離計である。例えば位置センサ52は、レーザ式位置センサであり、位置センサ52の被検出位置をワークWの先端F(図7参照)が通過する時、当該ワークWの厚みの変化分だけ、位置センサ52の出力が変化する。この変化を検出することで、ワークWの先端Fが位置センサ52の被検出位置に到達したことを検出することができ、すなわち、ワークWの先端位置を検出することができる。あるいは、位置センサ52は、ワークWの色を判別するセンサであってもよい。ワークWの上面の電極等の色を判別することによっても、ワークWの先端Fが位置センサ52の被検出位置に到達したことを検出することができ、すなわち、ワークWの先端位置を検出することができる。
一方、送りロール51によるワークWの供給速度を把握しておけば、ワークWの先端Fが位置センサ52の被検出位置に到達した時点から、基本所定距離Cを当該供給速度で除算した時間の経過後に、ワークWの先端位置が前記間隙の最狭部に到達することになる。ワークWの供給速度は、送りロール51の駆動系の情報から取得してもよいし、送りロール51にエンコーダ53を設けておいて実測してもよい。
本件発明者は、金属箔上に複数の電極層が焼成された材料をプレス成形する際において、圧密用の下ロール及び上ロールの間の間隙に当該材料をワークWとして投入する時にワーク端部に集中荷重が発生することがあり、その場合には当該材料(の縁部)に欠けや割れが生じてしまうことを知見した。
そして更に、本件発明者は、ワークWの先端位置が前記間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過した時点で、前記間隙を圧密用間隙とすること、すなわち、ワークWの先端位置が前記間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過するまでは、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)維持させることが、材料(の縁部)に欠けや割れが生じることを防止する上で極めて有効であることを知見した。第1所定距離は、材料の種類や厚みにもよるが、0.001~3.000mmの範囲内、好ましくは1~3mmの範囲内、で選択されることが好適である。
これらの知見に基づいて、本実施形態の制御装置35は、位置センサ52による検出結果と予め取得しておいた送りロール51によるワークWの供給速度とに基づいて、電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過した時点で、前記間隙を圧密用間隙とするようになっており、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過するまでは、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)維持させるようになっている。
また、本件発明者は、金属箔上に複数の電極層が焼成された材料をプレス成形する際において、圧密用の下ロール及び上ロールの間の間隙から当該材料が抜け出る時にも集中荷重が発生することがあり、その場合にも当該材料(の縁部)に欠けや割れが生じてしまうことを知見した。
そして更に、本件発明者は、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となるまでは、前記間隙を圧密用間隙に維持させ、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となった時点で、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)することが、材料(の縁部)に欠けや割れが生じることを防止する上で極めて有効であることを知見した。第2所定距離も、材料の種類や厚みにもよるが、0.001~3.000mmの範囲内、好ましくは1~3mmの範囲内、で選択されることが好適である。
本実施形態においては、位置センサ52の被検出位置をワークWの後端R(図7参照)が通過する時も、当該ワークWの厚みの変化分だけ、位置センサ52の出力が変化する。この変化を検出することで、ワークWの後端位置が位置センサ52の被検出位置に到達したことをも検出することができ、すなわち、ワークWの後端位置をも検出することができる。
これらの知見に基づいて、本実施形態の制御装置35は、位置センサ52による検出結果と予め取得しておいた送りロール51によるワークWの供給速度とに基づいて、電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となるまでは、前記間隙を圧密用間隙に維持させ、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となった時点で、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)するようになっている。
また、本実施形態においては、下ロール23と上ロール24とがサーボモータによって回転駆動されるため、送りロール51と高精度に同期させることが可能であり、それによって高精度のワークWの送り制御を実現することができる。更に、下ロール23及び上ロール24に対して加熱処理が付加される場合、下ロール23及び上ロール24に熱変形(特には直径変化)が生じる場合があるが、例えば温度センサによる温度検出を利用することによって、適切な補償制御を実施することも可能である。
[ロールプレス装置50の作用]
本実施形態のロールプレス装置50によれば、位置センサ52によって、ワークWの先端位置が位置センサ52の被検出位置に到達したことが検出される。そして、基本所定距離Cと第1所定距離とワークWの供給速度とに基づいて、制御装置35によって電動リフト装置10の電動モータ13が制御されて、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過した時点で、当該間隙が圧密用間隙に高精度に調整される。そして、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過するまでは、当該間隙が圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)維持される。
これにより、前記間隙にワークWを投入する際の集中荷重の発生を効果的に防止することができ、ワークWの前縁部に欠けや割れが生じることを効果的に防止することができる。
また、本実施形態のロールプレス装置50によれば、位置センサ52によって、ワークWの後端位置が位置センサ52の被検出位置に到達したことが検出される。そして、基本所定距離Cと第2所定距離とワークWの供給速度とに基づいて、制御装置35によって電動リフト装置10の電動モータ13が制御されて、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となるまでは、前記間隙が圧密用間隙に維持され、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となった時点で、前記間隙が圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)される。
これにより、前記間隙からワークWが抜け出る際の集中荷重の発生を効果的に防止することができ、ワークWの後縁部に欠けや割れが生じることを効果的に防止することができる。
本実施形態のロールプレス装置50を用いる場合でも、圧密用間隙は、ワークWの圧密前の厚みの70~90%の範囲の一定値に設定されることが有効である。あるいは、圧密用間隙は、ワークWの送り速度を1~100mm/秒として、ワークWの圧密前の厚みの70~110%の範囲で1~10Hz(1秒間に1~10回)のサイクルで常時周期動作を行うことが有効である。後者の場合に、当該材料がプレス成形(圧密)によって圧縮される圧縮率に対する電力消費量を10%程度低減できることは、前述した通りである。
[ロールプレス装置150の構成]
次に、図8は、本発明の第2実施形態のロールプレス装置50の変形例であるロールプレス装置150の概略図である。当該ロールプレス装置150も、第1実施形態のロールプレス装置20に対して後述する構成要素が付加されたものである。図8においても、下ロール23及び上ロール24を除いて、第1実施形態のロールプレス装置20の構成要素の図示は省略されている。また、当該変形例においても、下ロール23と上ロール24とは、それぞれサーボモータによって回転駆動されるようになっている。
当該変形例において付加された構成要素は、図8に示すように、下ロール23及び上ロール24の間の間隙内を通過するようにワークWを供給するワーク供給装置としての送りロール151と、当該送りロール151によって前記間隙内へと供給されるワークWの先端位置を検出する位置センサ152と、である。位置センサ152は、制御装置35に接続されている。送りロール151も、サーボモータによって回転駆動されるようになっている。
図7のロールプレス装置50では、ワークの供給方向に見て、送りロール51が下ロール23及び上ロール24の上流側に配置されているが、当該変形例のロールプレス装置150では、送りロール151が下ロール23及び上ロール24の下流側に配置されている。
当該変形例の位置センサ152も、図7の位置センサ52と同様、具体的には、前記間隙の最狭部(下ロール23及び上ロール24の軸線位置に対応する)から基本所定距離Cの位置に設置された非接触式の距離計である。位置センサ152の被検出位置をワークWの先端F(図8参照)が通過する時、当該ワークWの厚みの変化分だけ、位置センサ152の出力が変化する。この変化を検出することで、ワークWの先端Fが位置センサ152の被検出位置に到達したことを検出することができ、すなわち、ワークWの先端位置を検出することができる。
一方、送りロール151によるワークWの供給速度を把握しておけば、ワークWの先端Fが位置センサ152の被検出位置に到達した時点から、基本所定距離Cを当該供給速度で除算した時間の経過後に、ワークWの先端位置が前記間隙の最狭部に到達することになる。ワークWの供給速度は、送りロール151の駆動系の情報から取得してもよいし、送りロール151にエンコーダ153を設けておいて実測してもよい。
第2実施形態のロールプレス装置50について前述したように、本件発明者は、金属箔上に複数の電極層が塗工された材料をプレス成形する際において、圧密用の下ロール及び上ロールの間の間隙に当該材料をワークWとして投入する時にワーク端部に集中荷重が発生することがあり、その場合には当該材料(の縁部)に欠けや割れが生じてしまうことを知見した。そして更に、本件発明者は、ワークWの先端位置が前記間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過した時点で、前記間隙を圧密用間隙とすること、すなわち、ワークWの先端位置が前記間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過するまでは、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)維持させることが、材料(の縁部)に欠けや割れが生じることを防止する上で極めて有効であることを知見した。第1所定距離は、材料の種類や厚みにもよるが、0.001~3.000mmの範囲内、好ましくは1~3mmの範囲内、で選択されることが好適である。
これらの知見に基づいて、当該変形例の制御装置35は、位置センサ152による検出結果と予め取得しておいた送りロール151によるワークWの供給速度とに基づいて、電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過した時点で、前記間隙を圧密用間隙とするようになっており、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過するまでは、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)維持させるようになっている。
また、第2実施形態のロールプレス装置50について前述したように、本件発明者は、金属箔上に複数の電極層が塗工された材料をプレス成形する際において、圧密用の下ロール及び上ロールの間の間隙から当該材料が抜け出る時にも集中荷重が発生することがあり、その場合にも当該材料(の縁部)に欠けや割れが生じてしまうことを知見した。そして更に、本件発明者は、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となるまでは、前記間隙を圧密用間隙に維持させ、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となった時点で、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)することが、材料(の縁部)に欠けや割れが生じることを防止する上で極めて有効であることを知見した。第2所定距離も、材料の種類や厚みにもよるが、0.001~3.000mmの範囲内、好ましくは1~3mmの範囲内、で選択されることが好適である。
当該変形例においては、位置センサ152の被検出位置をワークWの後端R(図8参照)が通過する時も、当該ワークWの厚みの変化分だけ、位置センサ152の出力が変化する。この変化を検出することで、ワークWの後端位置が位置センサ152の被検出位置に到達したことをも検出することができ、すなわち、ワークWの後端位置をも検出することができる。
これらの知見に基づいて、当該変形例の制御装置35は、位置センサ152による検出結果と予め取得しておいた送りロール151によるワークWの供給速度とに基づいて、電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となるまでは、前記間隙を圧密用間隙に維持させ、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となった時点で、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)するようになっている。
また、当該変形例においても、下ロール23と上ロール24とがサーボモータによって回転駆動されるため、送りロール151と高精度に同期させることが可能であり、それによって高精度のワークWの送り制御を実現することができる。
特に、当該変形例によれば、送りロール151が下ロール23及び上ロール24の下流側に配置されているため、圧密されて硬度が増した状態のワークWが送りロール151に接触して繰り出されることで、ワークWには十分なニップ圧を付与できる。このため、送りロール151とワークWとの間にスリップが生じることが顕著に抑制され、より高精度のワークWの送り制御を実現することができる。
更に、図7のロールプレス装置50の場合には、圧密される前の硬度が比較的低い状態のワークWが送りロール51によって不所望に傷付けられ得るという懸念があったが、当該変形例によれば、そのような懸念から解放される。
その他、当該変形例においても、下ロール23及び上ロール24に対して加熱処理が付加される場合、下ロール23及び上ロール24に熱変形(特には直径変化)が生じる場合があるが、例えば温度センサによる温度検出を利用することによって、適切な補償制御を実施することが可能である。
[ロールプレス装置150の作用]
第2実施形態のロールプレス装置50と同様、当該変形例のロールプレス装置150によっても、位置センサ152によって、ワークWの先端位置が位置センサ152の被検出位置に到達したことが検出される。そして、基本所定距離Cと第1所定距離とワークWの供給速度とに基づいて、制御装置35によって電動リフト装置10の電動モータ13が制御されて、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過した時点で、当該間隙が圧密用間隙に高精度に調整される。そして、ワークWの先端位置が間隙内の最狭部を第1所定距離だけ通過するまでは、当該間隙が圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)維持される。
これにより、前記間隙にワークWを投入する際の集中荷重の発生を効果的に防止することができ、ワークWの前縁部に欠けや割れが生じることを効果的に防止することができる。
また、第2実施形態のロールプレス装置50と同様、当該変形例のロールプレス装置150によっても、位置センサ152によって、ワークWの後端位置が位置センサ152の被検出位置に到達したことが検出される。そして、基本所定距離Cと第2所定距離とワークWの供給速度とに基づいて、制御装置35によって電動リフト装置10の電動モータ13が制御されて、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となるまでは、前記間隙が圧密用間隙に維持され、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部まで残り第2所定距離となった時点で、前記間隙が圧密用間隙よりも広く(更にはワークWの厚みよりも広く)される。
これにより、前記間隙からワークWが抜け出る際の集中荷重の発生を効果的に防止することができ、ワークWの後縁部に欠けや割れが生じることを効果的に防止することができる。
そして、当該変形例のロールプレス装置150を用いる場合でも、圧密用間隙は、ワークWの圧密前の厚みの70~90%の範囲の一定値に設定されることが有効である。あるいは、圧密用間隙は、ワークWの送り速度を1~100mm/秒として、ワークWの圧密前の厚みの70~110%の範囲で1~10Hz(1秒間に1~10回)のサイクルで常時周期動作を行うことが有効である。後者の場合に、当該材料がプレス成形(圧密)によって圧縮される圧縮率に対する電力消費量を10%程度低減できることは、前述した通りである。
[ロールプレス装置50、150の荷重制御]
前述のように、ロールプレス装置50、150は、いずれもロールプレス装置20と同様、電動リフト装置10の第2移動体18上に、ロードセル21を介して下ロール支持体22が載置されている。このロードセル21によって検出される荷重値の変化を利用して、電動リフト装置10の電動モータ13を制御することも可能である。
図7及び図8を用いて前述された電動リフト装置10の電動モータ13の制御方法は、位置センサ52、152によってワークWの先端位置及び後端位置を検出することを利用する方法である。従って、原理的に、ワークWの先端部や後端部に歪みや塗工ムラ等が存在している場合には、位置センサ52、152による位置検出の誤差が大きくなって、電動リフト装置10の電動モータ13を適切に制御できない可能性がある。
これに対して、ロードセル21によって検出される荷重値の変化は、ワークWが実際に下ロール23及び/または上ロール24に当接することによって生じるものであるため、これを利用して電動リフト装置10の電動モータ13を制御する方法によれば、ワークWの先端部や後端部に歪みや塗工ムラ等が存在している場合であっても、そのことによる悪影響の程度は小さい。
より具体的には、本件発明者は、金属箔上に複数の電極層が塗工された材料をプレス成形する際において、圧密用の下ロール及び上ロールの間の間隙に当該材料をワークWとして投入する時にワーク端部に集中荷重が発生することがあり、その場合には当該材料(の縁部)に欠けや割れが生じてしまうことを知見した。そして更に、本件発明者は、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重増大量を検出した時点で、前記間隙を圧密用間隙まで低減させ始めること、すなわち、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重増大量を検出するまでは、前記間隙を圧密用間隙よりも広く(但しワークWの厚み(圧密される前の状態)よりは狭く)維持させることが、材料(の縁部)に欠けや割れが生じることを防止する上で極めて有効であることを知見した。
本件発明者による実験結果によれば、金属箔上に複数の電極層が塗工された材料をワークWとした場合、前記単位時間当たり荷重増大量は、100~1000N/msec、好ましくは100~200N/msecの範囲で設定されることが有効である。
これらの知見に基づいて、ロールプレス装置50、150の制御装置35は、図9に示すように、送りロール51、151(ワーク供給装置の一例)の作動中において、電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重増大量を検出した時点(図9(b)参照)で前記間隙を圧密用間隙まで低減させ始める(送りロール51、151は動作を継続する)ようになっており(低減し終えた状態が、図9(c)に図示されている)、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重増大量を検出するまでは前記間隙を圧密用間隙よりも広く(但しワークWの厚み(圧密される前の状態)よりは狭く)維持させるようになっている(図9(a)参照)。
また、本件発明者は、金属箔上に複数の電極層が塗工された材料をプレス成形する際において、圧密用の下ロール及び上ロールの間の間隙から当該材料が抜け出る時にも集中荷重が発生することがあり、その場合にも当該材料(の縁部)に欠けや割れが生じてしまうことを知見した。そして更に、本件発明者は、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重減少量を検出するまでは前記間隙を前記圧密用間隙に維持させ、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重減少量を検出した時点で、前記間隙を前記圧密用間隙よりも広い(但しワークWの厚み(圧密される前の状態)よりは狭い)状態に戻し始めることが、材料(の縁部)に欠けや割れが生じることを防止する上で極めて有効であることを知見した。
本件発明者による実験結果によれば、金属箔上に複数の電極層が焼成された材料をワークWとした場合、前記荷重減少量は、100~1000N/msec、好ましくは100~200N/msec の範囲で設定されることが有効である。
これらの知見に基づいて、ロールプレス装置50、150の制御装置35は、図9に示すように、送りロール51、151(ワーク供給装置の一例)の作動中において、電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重減少量を検出するまでは前記間隙を前記圧密用間隙に維持させるようになっており(図9(d)参照)、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重減少量を検出した時点(図9(e)参照)で、前記間隙を前記圧密用間隙よりも広い(但しワークWの厚み(圧密される前の状態)よりは狭い)状態に戻し始める(送りロール51、151は動作を継続する)ようになっている(戻し終えた状態が、図9(f)に図示されている)。
[ロールプレス装置50、150の荷重制御による作用]
ロールプレス装置50、150によれば、送りロール51、151の作動中、ワークWの先端位置が下ロール23と上ロール24との間の間隙に到達すると、ロードセル21が検出する荷重値が増大する。そして、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重増大量を検出した時点で、ロールプレス装置50、150の制御装置35が電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、前記間隙が圧密用間隙まで低減され始める。ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重増大量を検出するまでは、前記間隙が圧密用間隙よりも広く(但しワークWの厚み(圧密される前の状態)よりは狭く)維持される。
このように、ワークWが前記間隙内に投入されることによってロードセル21が所定の単位時間当たり荷重増大量を検出した時点で(検出した後で)前記間隙を圧密用間隙まで低減させ始める制御を実施することで、いわゆるワークWの噛み込みを当該制御に先行させることができ、ワーク投入時の集中荷重の発生を効果的に回避して、ワークWの前縁部に欠けや割れが生じることを効果的に防止することができる。
また、ロールプレス装置50、150によれば、送りロール51、151の作動中、ワークWの後端位置が下ロール23と上ロール24との間の最狭部に近づく(未だ通過はしていない)と、ロードセル21が検出する荷重値が減少する。そして、ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重減少量を検出した時点で、ロールプレス装置50、150の制御装置35が電動リフト装置10の電動モータ13を制御することによって、前記間隙が圧密用間隙よりも広い(但しワークWの厚み(圧密される前の状態)よりは狭い)状態に戻され始める。ロードセル21が所定の単位時間当たり荷重減少量を検出するまでは、前記間隙が圧密用間隙に維持される。
このように、ワークWの後端位置が前記間隙内の最狭部に近づく(未だ通過はしていない)ことによってロードセル21が所定の単位時間当たり荷重減少量を検出した時点で前記間隙を圧密用間隙よりも広い状態に戻し始める制御を実施することで、当該制御をいわゆるワークの抜け出しに対して先行させることができ、ワーク抜け出し時の集中荷重の発生を効果的に回避して、ワークWの後縁部に欠けや割れが生じることを効果的に防止することができる。
以上のような荷重制御が用いられる場合でも、圧密用間隙は、ワークWの圧密前の厚みの70~90%の範囲の一定値に設定されることが有効である。あるいは、圧密用間隙は、ワークWの送り速度を1~100mm/秒として、ワークWの圧密前の厚みの70~110%の範囲で1~10Hz(1秒間に1~10回)のサイクルで常時周期動作を行うことが有効である。後者の場合に、当該材料がプレス成形(圧密)によって圧縮される圧縮率に対する電力消費量を10%程度低減できることは、前述した通りである。
なお、下ロール23及び/または上ロール24の荷重を検出する荷重センサとしては、ロードセル21に限定されないで、他の公知の荷重センサが適宜の場所に配置されて利用され得る。
[ロールプレス装置60の構成]
次に、図10は、本発明の第3実施形態のロールプレス装置60の概略図であり、図11は、本実施形態のロールプレス装置60の概略側面図であり、図12は、図11のXII-XII線断面図である。本実施形態のロールプレス装置60は、第2実施形態のロールプレス装置50の一部の構成要素(下ロール支持体22、上ロール支持体25及びロールフレーム26等:図2及び図9参照)の寸法を変更し、上ロール支持体25の支持態様を変更し、更に後述するバックアップロール等が付加されたものである。
図10乃至図12においては、下ロール支持体22、下ロール23、上ロール24、上ロール支持体25、ロールフレーム26、第3摺動ガイド27、送りロール51、及び、エンコーダ53を除いて、第2実施形態のロールプレス装置50の構成要素の図示は省略されている。
図10乃至図12に示すように、本実施形態において付加された主な構成要素は、上方に3対、下方に3対、合計で6対のバックアップロールである。
本件発明者は、プレス成形時のワークWからの反力によって上ロール24(当該上ロール24を支持する上ロール支持体25及びロールフレーム26をも伴う)が上向きに逃げようとする力に対抗するべく、上ロール24の上面側に上ロールバックアップロールを設けると共に、プレス成形時のワークWからの反力によって下ロール23(当該下ロール23を支持する下ロール支持体22をも伴う)が下向きに逃げようとする力に対抗するべく、下ロール23の下面側に下ロールバックアップロールを設けることが、プレス成形後の板厚精度を高精度に均一に維持する制御にとって効果的であることを知見した。
また、本件発明者は、上ロール24が上向きに逃げようとする力、及び、当該力によって上ロール24に生じ得る変位が、当該上ロール24の軸線方向に見て一側領域と中央領域と他側領域とで異なり得ることを知見した。同様に、下ロール23が下向きに逃げようとする力、及び、当該力によって下ロール23に生じ得る変位が、当該下ロール23の軸線方向に見て一側領域と中央領域と他側領域とで異なり得ることを知見した。これにより、上ロール24及び下ロール23の軸線方向に見て一側領域と中央領域と他側領域とで、それぞれ別個に上バックアップロール及び下バックアップロールの組を設けて、各組における上バックアップロールと下バックアップロールとの間隔を独立に制御することが効果的であることが更に知見された。
更に、本件発明者は、上ロール24の上面側の上バックアップロールは、平面視で当該上ロール24の軸線を挟む両側に一対になって設けられることが、上ロール24の上向きに逃げようとする力にバランス良く対抗するために効果的であることが知見された。同様に、下ロール23の下面側の下バックアップロールは、平面視で当該下ロール23の軸線を挟む両側に一対になって設けられることが、下ロール23の下向きに逃げようとする力にバランス良く対抗するために効果的であることが知見された。
以上の知見に基づいて、本実施形態のロールプレス装置60においては、上ロール24の軸線方向に見て一側領域と中央領域と他側領域とで別個に上バックアップロールの対を設け、且つ、下ロール23の軸線方向に見て一側領域と中央領域と他側領域とで別個に下バックアップロールの対を設けている。
具体的には、本実施形態のロールプレス装置60は、下ロール23の軸線方向に見て一側領域(図12の左側領域)の下面側に配置され、当該下ロール23と互いに転動し合う一対の下ロール一側バックアップロール61a、61bと、下ロール23の軸線方向に見て中央領域(図12の中央領域)の下面側に配置され、当該下ロール23と互いに転動し合う一対の下ロール中央バックアップロール62a、62bと、下ロール23の軸線方向に見て他側領域(図12の右側領域)の下面側に配置され、当該下ロール23と互いに転動し合う一対の下ロール他側バックアップロール63a、63bと、を備えている。
また、本実施形態のロールプレス装置60は、上ロール24の軸線方向に見て一側領域(図12の左側領域)の上面側に配置され、当該上ロール24と互いに転動し合う一対の上ロール一側バックアップロール64a、64bと、上ロール24の軸線方向に見て中央領域(図12の中央領域)の上面側に配置され、当該上ロール24と互いに転動し合う一対の上ロール中央バックアップロール65a、65bと、上ロール24の軸線方向に見て他側領域(図12の右側領域)の上面側に配置され、当該上ロール24と互いに転動し合う一対の上ロール他側バックアップロール66a、66bと、を備えている。
一対の下ロール一側バックアップロール61a、61bは、下ロール一側バックアップロール支持筐体61hによって、各々回転可能に共通に支持されており、一対の下ロール中央バックアップロール62a、62bは、下ロール中央バックアップロール支持筐体62hによって、各々回転可能に共通に支持されており、一対の下ロール他側バックアップロール63a、63bは、下ロール他側バックアップロール支持筐体63hによって、各々回転可能に共通に支持されている。
一対の上ロール一側バックアップロール64a、64bは、上ロール一側バックアップロール支持筐体64hによって、各々回転可能に共通に支持されており、一対の上ロール中央バックアップロール65a、65bは、上ロール中央バックアップロール支持筐体65hによって、各々回転可能に共通に支持されており、一対の上ロール他側バックアップロール66a、66bは、上ロール他側バックアップロール支持筐体66hによって、各々回転可能に共通に支持されている。
また、本実施形態のロールプレス装置60においては、下ロール一側バックアップロール支持筐体61hと上ロール一側バックアップロール支持筐体64hとを相対移動させて下ロール一側バックアップロール61a、61bと上ロール一側バックアップロール64a、64bとの間の間隙を制御する一側バックアップロール調整装置として、電動リフト装置70が設けられている。
同様に、本実施形態のロールプレス装置60においては、下ロール中央バックアップロール支持筐体62hと上ロール中央バックアップロール支持筐体65hとを相対移動させて下ロール中央バックアップロール62a、62bと上ロール中央バックアップロール65a、65bとの間の間隙を制御する中央バックアップロール調整装置として、同一の電動リフト装置70が設けられている。
更に、本実施形態のロールプレス装置60においては、下ロール他側バックアップロール支持筐体63hと上ロール他側バックアップロール支持筐体66hとを相対移動させて下ロール他側バックアップロール63a、63bと上ロール他側バックアップロール66a、66bとの間の間隙を制御する他側バックアップロール調整装置として、同一の電動リフト装置70が設けられている。
本実施形態では、図11に示すように、上ロール一側バックアップロール支持筐体64h、上ロール中央バックアップロール支持筐体65h及び上ロール他側バックアップロール支持筐体66hは、ロールフレーム26に固定されている。一方、上ロール支持体25は、ロールフレーム26によって、落下防止ブロック26cの上方において1mm程度昇降自在に支持されている。具体的には、一対の上ロール支持体25の各々に、対向する第3摺動ガイド27の各々に対して互いに摺動移動可能である第4摺動部25sが設けられている。
そして、これらの上ロール一側バックアップロール支持筐体64h、上ロール中央バックアップロール支持筐体65h及び上ロール他側バックアップロール支持筐体66hに対して、下ロール一側バックアップロール支持筐体61h、下ロール中央バックアップロール支持筐体62h及び下ロール他側バックアップロール支持筐体63hの各々が、対応する電動リフト装置70によって、個別的に上下移動されるようになっている。
また、下ロール一側バックアップロール支持筐体61h、下ロール中央バックアップロール支持筐体62h及び下ロール他側バックアップロール支持筐体63hの各々には、図9に示すように、ロールフレーム26に設けられた第3摺動ガイド27に対して互いに摺動移動可能である第4摺動部61s、62s、63sが設けられている。
一方、本実施形態のロールプレス装置60では、図10に示すように、ワークWの圧密後の一側領域における寸法が、当該領域の上面までの距離を測定する非接触式の距離計67aと当該領域の下面までの距離を測定する非接触式の距離計67bとによって測定されるようになっている。
同様に、ワークWの圧密後の中央領域における寸法が、当該領域の上面までの距離を測定する非接触式の距離計68aと当該領域の下面までの距離を測定する非接触式の距離計68bとによって測定されるようになっている。
更に、ワークWの圧密後の他側領域における寸法が、当該領域の上面までの距離を測定する非接触式の距離計69aと当該領域の下面までの距離を測定する非接触式の距離計69bとによって測定されるようになっている。
そして、前記の各測定結果に基づいて、制御装置35によって、一側バックアップロール調整装置としての電動リフト装置70、中央バックアップロール調整装置としての電動リフト装置70及び他側バックアップロール調整装置としての電動リフト装置70の各々が、独立に制御されるようになっている。
なお、本実施形態の電動リフト装置70は、下ロール支持体22を上下移動させるための電動リフト装置10と類似の構成を有している。
両者間の相違点は、電動リフト装置70が角柱12e及びフレーム天板12gを有しておらず、電動リフト装置70の内側フレーム壁12bと外側フレーム壁12dの上面がロールフレーム26の下面に固定されている点である。
電動リフト装置70において、その他の構成は電動リフト装置10と略同様である。電動リフト装置70において、電動リフト装置10と同様の構成要素には、同様の参照符号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
但し、電動リフト装置70の各構成要素のサイズ(寸法)に関しては、電動リフト装置10の対応する構成要素のサイズ(寸法)と異なっていてもよい。電動リフト装置70のリフト力(加圧力)が200kN仕様(左右及び中央の3つの電動リフト装置で600kN)であってロール径がφ450mm、ロール幅が500mmである場合、一例として、フレーム底板12aのサイズは、平面視で15cm×90cmで、厚みは10cm程度であり、内側フレーム壁12b及び外側フレーム壁12dの壁厚は6cm程度であり、高さは30cm程度であり、中央フレーム壁12cの壁厚は6cm程度であり、高さは15cm程度である。更に、電動リフト装置70において、一例として、モータ側プーリ13p及びネジ軸側プーリ11pは、共に直径8~12cm程度であり、モータ側プーリ13p及びネジ軸側プーリ11pの幅(厚み)は、共に4cm程度であり、ベルト14の幅は、これより僅かに狭く、3.5cm程度であり、ベルト14の長さは、ネジ軸11aの軸線xと電動モータ13の出力軸13sとの間の距離に依存し、例えば70~80cm程度である。場合によって、モータ側プーリ13pの歯数に対してネジ軸側プーリ11pの歯数を増やして、減速機構を構成することもある。
前記の寸法例によれば、ロールプレス装置60が全体として縦180cm×横150cm(×奥行90cm)に収まるサイズとなっている。
[ロールプレス装置60の作用]
本実施形態のロールプレス装置60によれば、バックアップロール調整装置として機能する電動リフト装置70がコンパクトであるため、一側領域、中央領域及び他側領域の3箇所に独立のバックアップロール調整装置(電動リフト装置70)を設ける構成(レイアウト)が実現できている。
そして、各電動リフト装置70を独立に制御することによって、上ロール24及び下ロール23の軸線方向に見て一側領域(図12の左側領域)と中央領域(図12の中央領域)と他側領域(図12の右側領域)とで異なり得る上ロール24及び下ロール23の変位発生力に対して、きめ細かな補償を実施することができる。
具体的には、本実施形態のロールプレス装置60においては、3組の非接触式の距離計67a、67b、68a、68b、69a、69bによって、ワークWの圧密後の一側領域における寸法、ワークWの圧密後の中央領域における寸法、及び、ワークWの圧密後の他側領域における寸法が実際に測定される。そして、これらの測定結果に基づいて、これらの寸法が許容誤差範囲内に収まるように、一側バックアップロール調整装置としての電動リフト装置70、中央バックアップロール調整装置としての電動リフト装置70、及び、他側バックアップロール調整装置としての電動リフト装置70の各々が、制御装置35によって互いに独立に制御される。
また、本実施形態のロールプレス装置60においては、各バックアップロール調整装置(電動リフト装置70)において、電動モータ13の出力軸13sの回転力をボールネジ11のネジ軸11aの回転力として利用し、当該ボールネジ11のナット11dに固定された第1移動体15が軸線方向に直線移動する時に第2移動体18が軸線方向に対して垂直な方向に直線移動することにより、当該第2移動体18の移動を電動モータ13によって高精度に制御することが可能である。すなわち、各バックアップロール調整装置(電動リフト装置70)を高精度に制御することができる。
[ロールプレス装置60の変形例]
なお、少なくとも本件出願の時点においては、下ロール中央バックアップロール62a、62b及び上ロール中央バックアップロール65a、65b、下ロール中央バックアップロール支持筐体62h及び上ロール中央バックアップロール支持筐体65h、並びに、中央バックアップロール調整装置(中央の電動リフト装置70)を採用しない態様についても、本願の保護対象である。
逆に、上ロール24及び下ロール23が軸線方向に長い場合には、下ロール中央バックアップロール62a、62b及び上ロール中央バックアップロール65a、65b、下ロール中央バックアップロール支持筐体62h及び上ロール中央バックアップロール支持筐体65h、並びに、中央バックアップロール調整装置(1つの電動リフト装置70)のセットを、2セット以上採用してもよく、そのような態様についても、本願の保護対象である。
[電動リフト装置の第1変形例]
以上の各実施形態において、電動モータ13の出力軸13sの回転力は、モータ側プーリ13pとネジ軸側プーリ11pとベルト14とを介してネジ軸11aに伝達されるようになっている。
しかしながら、ロールの幅が大きい場合等、電動リフト装置のサイズが多少大きくても良い場合には、電動モータ13の出力軸13sとネジ軸11aとを一直線上に配置する態様の採用も可能である。このような変形例を、図13に示す。本例では、電動モータ13の出力軸13sとネジ軸11aとが、カップリング13cを介して結合されている。
当該第1変形例では、電動リフト装置のサイズは前述の電動リフト装置10、70と比較して大きくなるが、メンテナンス性は良くなる。
なお、少なくとも本願出願の時点においては、モータ側プーリ13pとネジ軸側プーリ11pとベルト14とを利用する場合に関しても、電動モータ13の出力軸13sとネジ軸11aとを上下方向に並べた態様に限定されず、電動モータ13の出力軸13sとネジ軸11aとを水平方向(左右方向)に並べた態様を採用することを排除しない。
また、ボールネジ11のネジ軸11aを支持する外側の軸受11cは、中央フレーム壁12cに内蔵させる代わりに、外側フレーム壁12dに内蔵させてもよい。この場合、中央フレーム壁12cを省略することができ、電動リフト装置の更なるコンパクト化を図ることができる。
[電動リフト装置の第2変形例の構成]
図14は、電動リフト装置の第2変形例を備えたロールプレス装置の概略正面図であり、図15は、図14のロールプレス装置の側面図であり、図16は、図14のロールプレス装置のXVI-XVI断面図である。
図14に示すように、第2変形例の電動リフト装置110は、ボールネジ111を有している。ボールネジ111は、軸線xを有するネジ軸111aと、ネジ軸111aの両端部に設けられネジ軸111aを軸線x回りに回転可能に支持する一対の軸受111b、111cと、ネジ軸111aに対して複数の転動体(不図示)を介して螺合していてネジ軸111aの回転によって軸線x方向に直線移動するナット111dと、を有している。
ネジ軸111aの軸線xも、電動リフト装置10のネジ軸11aの軸線xと同様、下ロール23(一側ロール)及び上ロール24(他側ロール)の軸線と平行になっており、ロール側(内側)の軸受111c(2個並置されている)は、内側フレーム壁112cに内蔵(支持)されており、反対側(外側)の軸受111bは、外側フレーム壁112bに内蔵(支持)されている。内側フレーム壁112c及び外側フレーム壁112bは、板状のフレーム底板112aの上面に立設されている。
図14及び図15を参照して(更には図2をも参照して)、フレーム底板112aの下面が、ロールフレーム26の下部26aによって支持されている。また、内側フレーム壁112cの更に内側に対応するフレーム底板112aの上面に、断面L字状の電動モータ取付板112fが固定されている。
フレーム底板112aと、外側フレーム壁112bと、内側フレーム壁112cと、後述する中央フレーム壁112dと、電動モータ取付板112fとが、フレーム112を構成している。フレーム112のこれらの要素は、一体的に形成されてもよいし、別体に形成されてから互いに固定されてもよい。
図14に示すように、回転する出力軸113sを有する電動モータ113(好ましくはサーボモータ)が、電動モータ取付板112fに固定されている。電動モータ113の出力軸113sは、ボールネジ111のネジ軸111aの軸線xに対して、一直線上に配置されている。本例では、電動モータ113の出力軸113sとネジ軸111aとが、カップリング113cを介して結合されている。
そして、ボールネジ111のナット111dには、当該ナット111dと一体的に移動する第1移動体115が固定されている。第1移動体115は、ネジ軸111aの軸線x方向を含む平面(本例では水平面)に対して所定の角度で傾斜した第1摺動面115tを有している。
また、図14から明らかなように、ネジ軸111aが、第1移動体115を軸線方向に貫通している。そして、一対の軸受111b、111cは、第1移動体115の両側に設けられている。
一方、フレーム底板112aの上面には、軸線x方向に平行に延在する第1摺動ガイド116が設けられており、第1移動体115には、第1摺動ガイド116に対して互いに摺動移動可能である第1摺動部115sが設けられている。第1摺動ガイド116と第1摺動部115sとの摺動面は、平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行に延在している。
本例では、図15に示すように、第1摺動部115sは、平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行にオフセットされた位置に延在している。また、図15に示すように、第1摺動面115tも、平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行にオフセットされた位置に延在しており、平面視で第1摺動面115tと第1摺動部115sとは概ね重なるような位置関係で配置されている。
また、電動リフト装置110は、フレーム112に対して軸線x方向に対して垂直な方向(本例では鉛直方向)に直線移動可能な第2移動体118を有している。第2移動体118は、第1摺動面115tに対して互いに摺動移動可能である第2摺動面118tを有している。これにより、第2移動体118は、ナット111d及び第1移動体115が軸線x方向に直線移動する時に、第1摺動面115tと第2摺動面118tとの摺動移動によって、前記垂直な方向に直線移動するようになっている。
なお、本例では、図15に示すように、第1摺動面115tと第2摺動面118tとの摺動面が、第1摺動ガイド116と第1摺動部115sとの摺動面に対して、平面視で概ね重なるような位置関係で配置されている。すなわち、第2摺動面118tは、平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行にオフセットされた位置に延在している。更に、本例では、図16に示すように、第2移動体118の全体が、平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行にオフセットされた位置に延在している。
具体的な構成例として、第1摺動面115tと第2摺動面118tとの対は、一般的なリニアガイドによって提供され得る。すなわち、図15を参照して、第1摺動面115tは、リニアガイドの「ブロック」と呼ばれる断面凹状の部材の凹面として提供され、第2摺動面118tは、リニアガイドの「レール」と呼ばれる断面矩形状の部材の下面として提供され得る。これらは、例えば市販のリニアガイドを分解して、「ブロック」を第1摺動体115の本体部材の上面に固定し、「レール」を第2摺動体118の本体部材の下面に固定することによって、配置され得る。
図14及び図16に示すように、第2移動体118には、前記垂直な方向(軸線x方向に垂直な方向、本例では鉛直方向)に延在する第2摺動部118sが設けられており、当該第2摺動部118sは、同じ方向に延在する第2摺動ガイド119に対して摺動移動可能となっている。第2摺動ガイド119は、フレーム底板112aの上面に固定された中央フレーム壁112dに固定されている。また、本例では、第2移動体118の上面にロードセル21が設けられている。
図14乃至図16に示されたロールプレス装置は、一対の前述した電動リフト装置110を備えている。図16に示すように、一対の電動リフト装置110において、フレーム底板112a及び中央フレーム壁112dは共通の部材として配置されており、第2摺動ガイド119は、中央フレーム壁112dの左右両面の各々に固定されている。
図14乃至図16に示されたロールプレス装置においても、図1及び図2に示されたロールプレス装置20と同様に、一対の電動リフト装置110の一対の第2移動体118によって、一対の下ロール支持体22の各々(一側ロール支持部)が支持されている。一対の下ロール支持体22の各々は、ロードセル21を介して、対応する第2移動体118上に載置されている。一対の下ロール支持体22は、軸受を有していて、下ロール23を回転可能に支持している。
下ロール23に対向するように、上ロール24が配置されている。下ロール23と上ロール24との間に形成される間隙を利用して、ワークWのプレス成形(圧密)が実施されるようになっている。
上ロール24は、一対の上ロール支持体25(他側ロール支持部)によって、回転可能に支持されている。一対の上ロール支持体25の各々は、土台140に設けられた一対のロールフレーム26の各々に、例えば不図示のボルトネジ等を介して外側から固定されている。
各要素の寸法の一例として、電動リフト装置110のリフト力(加圧力)が300kN仕様(左右一対で600kN)であってロール径がφ450mmである場合、フレーム底板112aのサイズは、平面視で110cm(図14で見える長さ)×50cm(図15で見える長さ)で、厚みは5cm程度である。
また、電動リフト装置10におけるのと同様、第2変形例の電動リフト装置110においても、第1摺動面115tの所定の角度は、5.7°~11.3°の範囲から選択される。5.7°とは、tanθ=1/10を解いた値であり、11.3°とは、tanθ=1/5を解いた値である。これにより、5~10倍の倍力比を実現することができる。
第2変形例の電動リフト装置110が、これらの角度範囲で有効に動作することが、本件発明者による実際の検証実験によって確認されている。
第2移動体118の移動ストロークは、後述する用途(金属箔上に複数の電極層が焼成された材料をワークWとする用途)においては、1mm程度で十分である。
第2移動体118の移動速度は、例えば10mm/secである。この速度は、倍力比が5倍である場合、50mm/secの第1移動体115(すなわちナット111d)の移動速度に対応し、倍力比が10倍である場合、100mm/secの第1移動体115(すなわちナット111d)の移動速度に対応する。このようなナット111dの移動速度は、市販の一般的な電動モータ113及びボールネジ111によって実現することができる。特に、電動モータ113がサーボモータである場合、より高精度でより応答性が高い制御を実現可能である。
[電動リフト装置110の作用]
次に、第2変形例の電動リフト装置110の作用について説明する。
電動モータ113が所望に駆動される(例えば前述の制御装置35によって制御され得る)ことにより、電動モータ113の出力軸113sが回転する。次いで、カップリング113cを介して、出力軸113sの回転力がネジ軸111aの回転力として伝達される。そして、ネジ軸111aの回転が、ボールネジ111の回転運動/直線運動変換機能によって、ナット111dの軸線x方向の直線移動に変換される。
これにより、ナット111dに固定された第1移動体115が、軸線x方向に直線移動する。この時、第1摺動ガイド116と第1摺動部115sとの相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第1移動体115の軸線方向の移動がより円滑に実施される。
そして、ナット111d及び第1移動体115が軸線x方向に直線移動する時に、第1摺動面115tと第2摺動面118tとの摺動移動によって、第2移動体118が軸線x方向と垂直な方向に直線移動する。この時、第2摺動ガイド119と第2摺動部118sとの相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第2移動体118の移動がより円滑に実施される。
ここで、図16に示すように、一対の第2移動体118が一対のネジ軸111aに関してバランス良く配置されているため、一対の第1移動体115の直線移動(水平移動)をバランス良く一対の第2移動体118の直線移動(昇降移動)に変換することができ、また、第2移動体118が受ける負荷(反力)についても、第1移動体115等を介してバランス良く土台140に支持させることができる。
また、電動モータ113が所望に駆動されることにより、第2移動体118の移動が高精度に所望に制御される。特に、電動モータ113がサーボモータである場合、より高精度でより応答性が高い制御を実現可能である。
[電動リフト装置110の効果]
以上の通り、第2変形例の電動リフト装置110によっても、電動モータ113の出力軸113sの回転力をボールネジ111のネジ軸111aの回転力として利用し、当該ボールネジ111のナット111dに固定された第1移動体115が軸線x方向に直線移動する時に第2移動体118が軸線x方向に対して垂直な方向に直線移動することにより、当該第2移動体118の移動を電動モータ113によって高精度に制御することが可能である。
また、第2変形例の電動リフト装置110によっても、ネジ軸111aが第1移動体115を軸線方向に貫通し、一対の軸受111b、111cが第1移動体115の両側に設けられているため、装置全体がコンパクトである。
また、第2変形例の電動リフト装置110によれば、電動モータ113の出力軸113sとネジ軸111aとがカップリング113cを介して簡潔に結合されているため、メンテナンス性において優れる。
そして、油圧装置を採用しておらず、すなわち油分によって周囲を汚染する懸念がないため、第2変形例の電動リフト装置110も、グローブボックス内に設置することに適している。
また、第2変形例の電動リフト装置110によっても、フレーム112に軸線x方向に平行に延在する第1摺動ガイド116が設けられ、第1移動体115に第1摺動ガイド116に対して互いに摺動移動可能である第1摺動部115sが設けられていることにより、両者の相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第1移動体115の軸線方向の移動がより円滑に実施される。
また、第2変形例の電動リフト装置110によっても、フレーム112に軸線x方向に垂直に延在する第2摺動ガイド119が設けられ、第2移動体118に第2摺動ガイド119に対して互いに摺動移動可能である第2摺動部118sが設けられていることにより、両者の相互作用(円滑な摺動移動を促す作用)によって、第2移動体118の軸線方向に垂直な方向の移動がより円滑に実施される。
そして、第2変形例の電動リフト装置110によれば、第1摺動部115sが平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行にオフセットされた位置に延在しており、第1摺動面115tも平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行にオフセットされた位置に延在しており、平面視で第1摺動面115tと第1摺動部115sとは概ね重なるような位置関係で配置され、第2移動体118の全体が、平面視でネジ軸111aの軸線x方向と平行にオフセットされた位置に延在している。これにより、第1摺動面115tと第1摺動部115sと第2移動体118の全体とが、電動モータ113に対してオフセットされた位置に配置され得るため、よりコンパクトな装置レイアウトを実現することができる。
また、図14乃至図16に示すロールプレス装置においては、一対の電動リフト装置110の一対の第2摺動ガイド119が、共通のフレーム壁112dによって支持されているため、よりコンパクトな装置レイアウトが実現されている。
[電動リフト装置の第3変形例]
図17は、電動リフト装置の第3変形例の概略側面図である。
当該第3変形例では、図17に示すように、第2変形例において1本であった第1摺動面115tの代わりに、2本の第1摺動面215tが設けられている。2本の第1摺動面215tの各々は、第1摺動面115tと同様に、ネジ軸111aの軸線x方向に延在している。
これに対応するように、当該第3変形例では、図17に示すように、第2変形例において1本であった第2摺動面118tの代わりに、2本の第2摺動面218tが設けられている。2本の第2摺動面218tの各々も、第2摺動面118tと同様に、ネジ軸111aの軸線x方向に延在している。
更に、当該第3変形例では、図17に示すように、第2変形例において1本であった第1摺動部115sの代わりに、2本の第1摺動部215sが設けられている。2本の第1摺動部215sの各々も、第1摺動部115sと同様に、ネジ軸111aの軸線x方向に延在している。
これに対応するように、当該第3変形例では、図17に示すように、第2変形例において1本であった第1摺動ガイド116の代わりに、2本の第1摺動ガイド216が設けられている。2本の第1摺動ガイド216の各々も、第1摺動ガイド216と同様に、ネジ軸111aの軸線x方向に延在している。