本発明の実施形態を説明する。以下説明は図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。図1に示す工作機械1の左右方向、前後方向、上下方向は、夫々、工作機械1のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。工作機械1は主軸7(図5参照)がZ軸方向に延びる縦型工作機械である。工作機械1は工具を装着した主軸7を回転する。被削材は回転台11に固定する。工作機械1は主軸ヘッド6をX、Y、Z軸方向に相対移動することで、被削材を加工する。工作機械1の動作は数値制御装置50(図8参照)で制御する。
図1~図4を参照し、工作機械1の構造を説明する。工作機械1は基台部2、立柱5、主軸ヘッド6、主軸7、工作台装置10、工具交換装置40(以下、ATC装置40と呼ぶ)等を備える。
基台部2は平面視略矩形状の鉄製部材であり、上面後部側に台座部20(図4参照)を備える。台座部20は略直方体状であり、上面にX軸移動機構101を備える。X軸移動機構101は運搬体12(図1,図4参照)をX軸方向に移動可能に支持する。X軸移動機構101は一対のX軸軌道(図示略)、X軸ボールネジ(図示略)、X軸モータ21等を備える。一対のX軸軌道はX軸方向に延び、台座部20上面に設ける。X軸ボールネジはX軸方向に延び、一対のX軸軌道間に設ける。運搬体12はX軸軌道に沿って移動する。運搬体12は底部にナット(図示略)を備え、ナットはX軸ボールネジに螺合する。X軸モータ21はX軸ボールネジを回転し、運搬体12はナットと共にX軸方向に移動する。
運搬体12は上面にY軸移動機構(図示略)を備える。Y軸移動機構は立柱5をY軸方向に移動可能に支持する。Y軸移動機構は一対のY軸軌道、Y軸ボールネジ、Y軸モータ24(図8参照)等を備える。Y軸ボールネジはY軸方向に延び、一対のY軸軌道間に設ける。立柱5は一対のY軸軌道に沿って移動する。立柱5は下部にナット(図示略)を備え、ナットはY軸ボールネジに螺合する。Y軸モータ24はY軸ボールネジを回転し、立柱5はナットと共にY軸方向に移動する。立柱5は運搬体12を介してX軸方向に移動する。立柱5はX軸移動機構101、運搬体12、Y軸移動機構等に依りX軸方向とY軸方向に移動する。
立柱5は前面にZ軸移動機構103(図2,図3,図5参照)を備える。Z軸移動機構103は主軸ヘッド6をZ軸方向に移動可能に支持する。Z軸移動機構103は一対のZ軸軌道35、Z軸ボールネジ36(図5参照)、Z軸モータ19等を備える。Z軸軌道35はZ軸方向に延びる。Z軸ボールネジ36はZ軸方向に延び、Z軸軌道35間に配置する。主軸ヘッド6はZ軸軌道35に沿って移動可能である。主軸ヘッド6は背面にナット68(図5参照)を備え、ナット68はZ軸ボールネジ36に螺合する。Z軸モータ19は立柱5前面上部に支持する。Z軸モータ19はZ軸ボールネジ36を回転し、主軸ヘッド6はナット68と共にZ軸方向に移動する。
主軸ヘッド6の内部構造を説明する。図5に示す如く、主軸ヘッド6は内部に主軸7を回転可能に支持する。主軸7はZ軸方向に延びる。主軸ヘッド6は上部に主軸モータ8を固定する。主軸7と主軸モータ8の駆動軸81は連結器25で連結する。駆動軸81は下方に延びる。主軸7は装着穴(図示略)、クランプ機構部(図示略)、ドローバ70等を備える。装着穴は主軸7下端部に設ける。主軸7下端部は所定位置に凸状のキー(図示略)を有する。キーは、工具ホルダに設けたキー溝(図示略)と係合可能である。クランプ機構部は主軸7の中心を通る軸穴(図示略)内で且つ装着穴上方に設ける。ドローバ70は主軸7の軸孔内に同軸上に挿入する。ドローバ70はバネで上方に常時付勢する。工具を保持する工具ホルダは主軸7の装着穴に装着する。装着穴に工具ホルダを装着すると、後述する仕組みで、クランプ機構部は工具ホルダをクランプする。ドローバ70がクランプ機構部を下方に押圧すると、クランプ機構部は工具ホルダのクランプを解除する。本実施形態は説明の便宜上、「工具ホルダ」を「工具」と略して呼ぶ時がある。
主軸ヘッド6は後方上部内側に揺動腕部材60を備える。揺動腕部材60は略L字型で支軸61を中心に揺動自在である。支軸61は主軸ヘッド6内部を左右方向に延び、主軸ヘッド6の左右両側壁に固定する。揺動腕部材60は縦腕部63と横腕部62を備える。縦腕部63は支軸61から立柱5側に対して斜め上方に延びる。横腕部62は支軸61から前方に略水平に延びる。ピン71はドローバ70に直交して突設する。横腕部62の先端部62Aは二股状に形成し、ドローバ70を左右両側から挟み込むように配置する。先端部62Aは、ピン71に上方から係合可能である。揺動腕部材60を左側方から見た時、引張バネ(図示略)は揺動腕部材60を反時計回りに常時付勢する。故に揺動腕部材60は横腕部62によるピン71の下方向への押圧を常時解除する。
図5,図6に示す如く、主軸ヘッド6は該上部且つATC装置40側にロッド支持部91を備える。ロッド支持部91はプッシュロッド92を前後方向に移動可能に支持する。プッシュロッド92は前後方向に延びる。揺動腕部材60の縦腕部63は上端部(先端部)右側面に当接部63Aを備える。当接部63Aはプッシュロッド92前端部に当接し、引張バネで常時後方に付勢する。故にプッシュロッド92後端部は、ロッド支持部91から後方に向けて所定距離だけ常時突出する。プッシュロッド92後端部を前方に押圧すると、揺動腕部材60は支軸61を中心に時計回りに揺動し、バネ力に抗してドローバ70を押し下げる。クランプ機構部は工具ホルダのクランプを解除(以下、アンクランプと呼ぶ)する。工具ホルダは主軸7の装着穴から取り外し可能となる。例えば、クランプ機構部がアンクランプを完了したときの揺動腕部材60の傾斜角度を0°としたとき、クランプ機構部がクランプしたときの揺動腕部材60の傾斜角度は3.7°である。
図1,図2に示す如く、工作台装置10は基台部2の台座部20前方に設ける。工作台装置10は上部に回転台11を備える。回転台11は回転台モータ(図示略)で、Z軸方向に平行な回転軸線を中心に回転可能に設ける。回転台11は上面にパレットP1,P2を備える。被削材はパレットP1,P2の一方又は両方に冶具(図示略)等を用いて固定する。
ATC装置40の構造を説明する。図1,図4に示す如く、ATC装置40は一対の支柱31,32で主軸ヘッド6の右側方に支持する。支柱31,32は基台部2上面右側に設ける。支柱31,32は前後方向に互いに離間し、基台部2上面から上方に延びる。ATC装置40は数値制御装置50からの制御信号を受け、主軸7の装着穴に装着する工具を、NCプログラムで指定した他の工具と入れ替え交換する。ATC装置40は本体部401と工具マガジン41等を備える。
図1~図3に示す如く、本体部401は略直方体状金属製箱体であり、支柱31,32で支持する。図1~図7に示す如く、本体部401は、操作部材47、旋回軸43、工具交換アーム44、ATCモータ45、ATC駆動軸46(図7参照)、揺動レバー22(図7参照)、揺動レバー23(図7参照)等を備える。図1,図2,図4~図6に示す如く、操作部材47は本体部401内部に設け、Z軸方向に対して平行に延びる棒状部材である。操作部材47の上端部は、本体部401上面に設けた開口部(図示略)から上方に突出する。操作部材47下端部は揺動軸49(図4参照)を中心に揺動可能に軸支する。揺動軸49は本体部401内部を左右方向に延び、本体部401の左右両側壁に固定する。故に操作部材47上端部は揺動軸49を中心に前後方向に移動可能である。操作部材47がZ軸方向に平行に延びる姿勢は基本姿勢である。操作部材47は上端部左側面に当接部48(図2参照)を備える。当接部48は左側方に突出する略円筒形状である。図6に示す如く、工具交換を行う為、主軸ヘッド6が工具交換位置K(図2,図3参照)に移動した時、プッシュロッド92後端部は、操作部材47の当接部48前方に位置する。
図7に示す如く、旋回軸43は本体部401下部から下方に突出する円筒状に形成し、軸線回りに回転可能に支持する。旋回軸43はZ軸方向に平行に延び、上端部にスプライン15とスプライン副軸17を備える。スプライン15は段付孔16を備える。段付孔16はスプライン15の軸線に沿って所定深さを有する。支持部材39は長軸状に形成し、本体部401上部に固定した上部機械フレーム38の透孔38Aに挿通する。支持部材39は段付孔16の内径よりも小さい外径を有し、上部機械フレーム38に固定する。支持部材39は、段付孔16の上段に配設したブッシュ(図示略)を介して段付孔16に挿入する。
スプライン副軸17は円筒状に形成し、スプライン15の外側に装着する。スプライン15はスプライン副軸17の内側を上下方向に移動可能である。スプライン副軸17は、本体部401内部に固定する一対の軸受75,76を介して回転可能に支持する。故に旋回軸43は本体部401に対して支持部材39を中心に回転可能に支持する。スプライン副軸17は外周にフランジ部17Aを備える。フランジ部17Aは上下面に従動ローラ18A,18Bの軸を固定する。旋回軸43は軸方向中央部に円筒部34を同軸上に備える。円筒部34は外周面に円周溝34Aを有する。円筒部34を上下方向に移動すると、旋回軸43は支持部材39に沿って上下方向に移動する。
旋回軸43は下端部に外軸ギヤ431を備える。外軸ギヤ431に対して、工具交換アーム44が嵌合することによって、外軸ギヤ431の回動に伴って工具交換アーム44のみを旋回させることができる。旋回軸43は外軸ギヤ431と一体して回動する。外軸ギヤ431は上端部の外周に歯部432を備える。歯部432は、本体部401内部の下部に回転自在に支持さしたセグメントギヤ66に噛合する。セグメントギヤ66は揺動子571を支持する。揺動子571は円柱部37下面に設けた平面溝カム33に従動する。
工具交換アーム44は、旋回軸43下端部に直交し且つ水平方向に延びる。工具交換アーム44は両端部に一対の把持部44A,44Bを備える。詳述しないが、把持部44A,44Bは、例えば平面視C状であるフック状に形成し、工具ホルダに形成した溝部(図示略)に係合可能である。工具交換アーム44は、把持部44A,44Bに係合した工具ホルダを固定するロック機構(図示略)を備え、後述するATCモータ45の回転角度に応じて工具ホルダの固定及び固定の解除を行う。故に把持部44A,44Bは工具ホルダを着脱可能に把持する。
ATCモータ45は、本体部401上面における前後方向略中央部に支持する(図1,図2参照)。図7に示す如く、ATCモータ45の出力軸451は下方に突出する。ATC駆動軸46は旋回軸43の後方且つ旋回軸43と平行に上下方向に延び、本体部401内部に固定する軸受27,28で回転自在に軸支する。ATC駆動軸46の上端部は、ATCモータ45の出力軸451と連結する。ATC駆動軸46は、軸方向中央部に円柱部37を同軸上に備える。円柱部37は外周面に溝カム371と溝カム372を備える。
揺動レバー22は長軸状に形成し、長さ方向一端部に設けた支持点221を中心に揺動する。支持点221は本体部401内部に支持する。揺動レバー22の中央部に設けた係合子222は溝カム372に係合する。揺動レバー22の他端部に設けた接触子223は、旋回軸43の円筒部34に設けた円周溝34Aに係合する。故にATC駆動軸46が一回転すると、揺動レバー22が回転する溝カム372に従動して揺動することに依り、旋回軸43と工具交換アーム44は軸方向に一往復する。揺動レバー23は長軸状に形成し、長さ方向一端部は溝カム371に係合する。揺動レバー23の他端部は、操作部材47に回動可能に軸支する。故にATC駆動軸46が回転すると、揺動レバー23は回転する溝カム371に従動して揺動することに依り、操作部材47を基本姿勢の状態から前方に揺動駆動する。上記の通り、操作部材47がプッシュロッド92後端部を前方に押圧すると、工具ホルダは主軸7の装着穴から取り外し可能となる。
ATC駆動軸46は軸方向上部に円柱状のパラレルカム59を同軸上に備える。パラレルカム59は鍔状の板カム591,592を有する複合カムである。板カム591,592は、旋回軸43のスプライン副軸17のフランジ部17Aに軸支した従動ローラ18A,18Bに夫々当接する。故にATC駆動軸46が回転し、板カム591,592と一対の従動ローラ18A,18Bが当接するとき、スプライン副軸17、旋回軸43、工具交換アーム44は回転する。
図1,図4に示す如く、工具マガジン41は本体部401右側面に固定し、側面視Y軸方向に長い略楕円形状である。工具マガジン41は内側に略楕円形状の工具通路を有し、該工具通路内に沿って複数の工具ポット41Aを収納する。工具ポット41Aは工具ホルダを着脱可能に装着する。工具マガジン41は下部前側に工具交換部(図示略)を備える。工具交換部は下方へ開口する。工具交換部はシャッタ(図示略)を備える。シャッタは、シャッタシリンダ89(図8参照)を駆動源とし、工具交換部を開閉駆動する。マガジンモータ42は工具マガジン41上部前側に支持する。複数の工具ポット41Aはマガジンモータ42の駆動で工具通路内を移動する。数値制御装置50はマガジンモータ42を駆動し、次工具を支持する工具ポット41Aを工具交換部に搬送して位置決めする。本実施形態にて、現工具は主軸7に現在装着する工具を意味し、次工具は工具交換で次に主軸7に装着する工具を意味する。
図2,図3を参照し、主軸ヘッド6の工具交換位置Kと、XYZ軸夫々の移動範囲との位置関係を説明する。本実施形態の主軸ヘッド6の座標位置は主軸ヘッド6下端部の中心の座標位置とする。工作機械1は、主軸ヘッド6の移動軸であるXYZ軸において、移動範囲を夫々設定する。移動範囲とは、被削材加工時に主軸ヘッド6が移動可能な範囲である。XYZ軸の各移動範囲によって囲まれた領域は、主軸ヘッド6の移動範囲である。X軸の移動範囲はX軸移動範囲、Y軸の移動範囲はY軸移動範囲、Z軸の移動範囲はZ軸移動範囲である。
工作機械1は回転台11のパレットP1,P2のうち、主軸ヘッド6側のパレット(図2ではパレットP1)に固定する被削材を加工する。故にX軸移動範囲とY軸移動範囲は、回転台11の主軸ヘッド6側のパレットP1上面に位置するように設定するとよい。X軸移動範囲のATC装置40側である右端部の座標位置はX0、その反対側の左端部の座標位置はXmaxである。Y軸移動範囲の主軸ヘッド6側である後端部の座標位置はY0、その反対側である前端部の座標位置はYmaxである。
Z軸移動範囲は回転台11上に固定する被削材や冶具の高さを考慮して設定するとよい。Z軸移動範囲上端部は、例えばATC装置40の工具交換部の位置に設定するとよい。Z軸移動範囲下端部は回転台11上面の上方に設定するとよい。Z軸移動範囲上端部の座標位置はZ0、回転台11側である下端部の座標位置はZmaxである。
上記のようなXYZ軸の各移動範囲を有する工作機械1において、工具交換位置Kの座標位置は、XYZ軸の各移動範囲の端部のうちATC装置40側に位置する端部に設定する。即ち工具交換位置K(x、y、z)=(X0、Y0、Z0)に設定する。工具交換時、主軸ヘッド6が工具交換位置Kに移動した状態では、プッシュロッド92後端部は、操作部材47の当接部48前方に離間して位置する。故に操作部材47とプッシュロッド92は互いに最も近接した位置で干渉しない。故に主軸ヘッド6が移動範囲内の何れの位置に移動しても、操作部材47とプッシュロッド92は常に離れた位置にあるので互いに干渉しない。工作機械1は基本姿勢の操作部材47を前方に揺動することで、プッシュロッド92を押下でき、主軸7に装着する工具のクランプを解除できる。
図8を参照し、数値制御装置50と工作機械1の電気的構成を説明する。数値制御装置50は、CPU51、ROM52、RAM53、記憶装置54、入力インタフェイス55、出力インタフェイス56等を備える。CPU51は数値制御装置50を統括制御する。ROM52は、工具交換制御プログラム、アーム位置復旧プログラム等の各種プログラムを記憶する。工具交換制御プログラムは、後述する工具交換制御処理(図9参照)を実行する為のプログラムである。アーム位置復旧プログラムは、後述するアーム位置復旧処理(図12~図15参照)を実行する為のものである。RAM53は、各種処理実行中の各種データを記憶する。記憶装置54は不揮発性メモリであり、NCプログラムの他、各種データを記憶する。
工作機械1は、入力部82、原点センサ83、ポット上昇センサ84、ポット下降センサ85、シャッタ開センサ86、シャッタ閉センサ87、エアシリンダ88、シャッタシリンダ89、表示部90、識別センサ58等を更に備える。ポット上昇センサ84、ポット下降センサ85、シャッタ開センサ86、シャッタ閉センサ87、エアシリンダ88、シャッタシリンダ89、識別センサ58はATC装置40に設ける。入力部82と表示部90は操作パネル(図示略)に設ける。入力部82は各種入力を受け付ける。表示部90は各種画面を表示する。原点センサ83は、主軸7のX軸、Y軸、Z軸方向の夫々の原点を夫々検出する。ポット上昇センサ84は、工具交換部に位置する工具ポット41Aの上昇を検出する。ポット下降センサ85は、工具交換部に位置する工具ポット41Aの下降を検出する。シャッタ開センサ86は、シャッタの開状態を検出する。シャッタ閉センサ87は、シャッタの閉状態を検出する。
エアシリンダ88は、工具交換位置の工具ポット41Aを昇降するポット昇降機構(図示略)の駆動源である。シャッタシリンダ89は、シャッタを開閉するシャッタ開閉機構(図示略)の駆動源である。入力部82、原点センサ83、ポット上昇センサ84、ポット下降センサ85、シャッタ開センサ86、シャッタ閉センサ87は、入力インタフェイス55に電気的に接続する。エアシリンダ88、シャッタシリンダ89、表示部90は出力インタフェイス56に電気的に接続する。
Z軸モータ19、主軸モータ8、X軸モータ21、Y軸モータ24、マガジンモータ42、ATCモータ45は、出力インタフェイス56に電気的に接続する。Z軸モータ19はエンコーダ19Aを備える。エンコーダ19AはZ軸モータ19の回転角度を検出する。主軸モータ8はエンコーダ8Aを備える。エンコーダ8Aは主軸モータ8の回転角度を検出する。X軸モータ21はエンコーダ21Aを備える。エンコーダ21AはX軸モータ21の回転角度を検出する。Y軸モータ24はエンコーダ24Aを備える。エンコーダ24AはY軸モータ24の回転角度を検出する。マガジンモータ42はエンコーダ42Aを備える。エンコーダ42Aはマガジンモータ42の回転角度を検出する。ATCモータ45はエンコーダ45Aを備える。エンコーダ45AはATCモータ45の回転角度を検出する。エンコーダ19A、8A、21A、24A、42A、45Aは、入力インタフェイス55に電気的に接続する。
識別センサ58は、ポット識別板57、投光素子58A、受光素子58Bを備える。ポット識別板57は工具ポット41Aに取り付け、該工具ポット41Aと一体的に移動する。ポット識別板57は、工具ポット41A毎に異なるパターンの光透過部(図示外)を備える。投光素子58Aと受光素子58Bは工具交換部に設け、工具交換部に搬送した工具ポット41Aのポット識別板57を挟んで対向して配置する。投光素子58Aは、出力インタフェイス56に電気的に接続する。受光素子58Bは入力インタフェイス55に電気的に接続する。投光素子58Aから出射した光はポット識別板57の光透過部を透過し、受光素子58Bに入力する。CPU51は受光素子58Bからの信号に基づき、工具マガジン41の工具交換部に何れの工具ポット41Aが搬送したかを検出する。次工具の工具ポット41Aが搬送したことを検出すると、CPU51はマガジンモータ42の駆動を停止し、次工具を工具交換部に位置決めする。
図9~図11を参照し、工具交換制御処理を説明する。CPU51はNCプログラムを1ブロック毎に解釈し工具交換指令を生成すると、ROM52から工具交換制御プログラムを読出し、本処理を実行する。図9に示す如く、CPU51は主軸7のオリエントを実行した後で、主軸ヘッド6を工具交換位置Kに移動する(S1)。主軸7のオリエントは、主軸モータ8を制御し、主軸7を原点であるオリエント位置に位置決めする処理である。プッシュロッド92後端部は、操作部材47の当接部48前方に離間して位置する(図5参照)。工具交換アーム44は上死点に位置する。上死点は例えば下死点から100mmの高さ位置である。
CPU51はマガジンモータ42を駆動し、次工具202を工具交換部に搬送して位置決めする(S2)。図10(1)と(2)に示す如く、CPU51はシャッタを開き(S3)、次工具202を装着する工具ポット41Aを水平状態から垂直下方に90°倒すことに依り、次工具202を工具交換部の開口から下降する(S4)。工具ポット41Aは垂直状態となる。工具交換アーム44は待機位置である。待機位置は、一対の把持部44Aと44Bが、主軸7と工具交換部の中間に配置する位置である。工具交換アーム44が待機位置の時のATC駆動軸46は0°である。
CPU51はT0でATCモータ45の駆動を開始する(S5)。ATCモータ45の駆動に依り、ATC駆動軸46が正転を開始すると、平面溝カム33が正転し、揺動子571を介してセグメントギヤ66と外軸ギヤ431が回転し、T1で、旋回軸43は第一方向(平面視反時計回り)に回転を開始する。工具交換アーム44は待機位置から旋回軸43と一体して第一方向に旋回する。一方、ATC駆動軸46の回転に伴い、揺動レバー23が揺動することにより、操作部材47は前方に揺動する。操作部材47の当接部48はプッシュロッド92後端部に当接し前方に押圧する。プッシュロッド92は前方に移動し、揺動腕部材60の縦腕部63の当接部63Aを前方に付勢する。揺動腕部材60は3.7°の傾斜角度から引張バネの付勢力に抗して支軸61を中心に右側面視時計回りに回転を開始する(T2)。T2を経過後、横腕部62はピン71に対して上方から係合し、主軸7内部に設けたバネの付勢力に抗してドローバ70を下方に押圧する。ドローバ70はクランプ機構部を下方に付勢する。クランプ機構部はクランプからアンクランプへの動作を開始する。
T3で、ATC駆動軸46は60°位置に到達する。工具交換アーム44の旋回角度は70°に到達する。図10(3)に示す如く、把持部44Aは主軸7に装着する現工具201を把持し、把持部44Bは工具交換部に位置する次工具202を把持する。T3~T6の間、パラレルカム59の板カム591,592は一対の従動ローラ18A,18Bから離れるので、工具交換アーム44は旋回角度70°を保持する。図10(4)に示す如く、T4で、ATC駆動軸46が80°位置に到達すると、主軸7内部のクランプ機構部から現工具201が抜ける状態になる。工具交換アーム44は上死点から下降を開始する。T5で、ATC駆動軸46が90°位置に到達すると、揺動腕部材60は0°まで傾斜するので、クランプ機構部はアンクランプを完了する。現工具201と次工具202は、主軸7と工具ポット41Aから下方に抜脱する。
T6で、パラレルカム59の板カム591,592は一対の従動ローラ18A,18Bに当接するので、工具交換アーム44は旋回軸43が70°の角度から再び第一方向に旋回を開始する。工具交換アーム44は下降しながら旋回する。T7で、ATC駆動軸46が130°位置に到達すると、工具交換アーム44は下死点に到達し、引き続き旋回を継続する。T8で、ATC駆動軸46が230°位置に到達すると、旋回軸43と工具交換アーム44は下死点から上昇を開始する。工具交換アーム44は旋回しながら上昇する。T9で、ATC駆動軸が260°位置に到達すると、現工具201と次工具202の夫々の位置が互いに入れ替わる(図10(5)参照)。パラレルカム59の板カム591,592は一対の従動ローラ18A,18Bから離れるので、工具交換アーム44の旋回は250°の位置で停止する。次工具202は主軸7の下方に配置し、現工具201は工具交換部の工具ポット41Aの下方に配置する。工具交換アーム44は上昇し続け、次工具202は主軸7の装着穴に挿入し、現工具201は工具ポット41Aに挿入する。
T10で、ATC駆動軸46が270°位置に到達すると、操作部材47は後方に揺動し始めるので、プッシュロッド92は後方に移動する。揺動腕部材60は引張バネの付勢力で0°から支軸61を中心に右側面視反時計回りに回転を開始する。クランプ機構はアンクランプからクランプへの動作を開始する。図10(6)に示す如く、T11で、ATC駆動軸46が280°位置に到達すると、工具交換アーム44は上死点に到達する。次工具202は主軸7の装着穴に装着し、現工具201は工具ポット41Aに装着する。主軸7はオリエント位置に既に位置決めしたので、工具ホルダのキー溝は主軸7下端のキーに係合する。故に次工具202は、主軸7の装着穴に良好に装着する。
T12で、ATC駆動軸46が300°位置に到達すると、揺動子571が平面溝カム33に沿って所定方向に揺動する。揺動子571に従動するセグメントギヤ66は回動し、該セグメントギヤ66に歯部432を介して噛合する外軸ギヤ431は回動する。外軸ギヤ431の回動に伴い、旋回軸43と一体して工具交換アーム44は逆転して第二方向(平面視時計回り)に旋回する。T13で、ATC駆動軸46が330°位置に到達すると、揺動腕部材60は3.7°の傾斜角度に戻り、クランプ機構のクランプは完了する。T14で、ATC駆動軸46が350°位置に到達すると、工具交換アーム44は、旋回角度が180°となる待機位置で旋回を停止する。一対の把持部44Aと44Bは、主軸7と工具交換部の間に配置する。
図9に戻り、CPU51はATC駆動軸46が360°位置に到達したか否か判断する(S5)。ATC駆動軸46が360°に到達するまで(S5:NO)、CPU51はS5に戻って待機する。ATC駆動軸46が360°に到達した場合(S5:YES)、CPU51はATCモータ45を停止する(S6)。図10(8)に示す如く、CPU51は工具マガジン41の工具交換部に位置する工具ポット41Aを垂直姿勢から水平姿勢に戻して上昇する(S7)。CPU51はシャッタを閉じることにより(S8)、工具交換動作は終了し、本処理を終了する。
図10~図15を参照し、アーム位置復旧処理を説明する。本実施形態は、上記工具交換動作が停電等に依り途中で停止することを想定する。例えば工具交換アーム44が工具を把持した状態で、待機位置以外の位置で停止することがある。工具交換アーム44が待機位置以外の位置で停止した場合、数値制御装置50は工具交換アーム44を待機位置に復旧する必要がある。作業者は工具交換アーム44を待機位置に復旧する為、操作パネルの入力部82で電源をオンする。CPU51はROM52からアーム位置復旧プログラムを読出し、本処理を実行する。本実施形態は、工具交換動作の途中停止の要因として、非常停止ボタンの押下と停電の二例を想定する。
図12に示す如く、CPU51はATCモータ45のエンコーダ45Aで、ATC駆動軸46の位置(回転角度)を確認する(S21)。CPU51はATC駆動軸46が原点(0°)にいるか否か判断する(S22)。ATC駆動軸46が原点にいる場合(S22:YES)、工具交換動作は途中で停止していないので、CPU51は通常モードに設定する(S35)。通常モードは工作機械1を動作できるモードである。CPU51は本処理を終了する。
ATC駆動軸46が原点にいない場合(S22:NO)、工具交換動作が途中で停止した可能性がある。工具交換動作がどの時点で停止したかに依り、主軸7の状態、工具交換アーム44の旋回位置、一対の把持部44A,44Bにおける工具の把持、工具ポット41Aの状態は夫々異なる。故に工具交換アーム44を現状のままで待機位置に旋回して復旧することができない。故にCPU51は復旧モードを設定し(S23)、表示部90に復旧画面を表示し且つアラームを出力する(S24)。作業者は表示部90に表示した復旧画面を確認することで、工具交換動作が何等かの原因で途中停止し、工具交換アーム44の位置を復旧しなければならないことを速やかに認識できる。
作業者は、工具交換アーム44の位置を復旧する為、復旧画面に表示した復旧開始操作ボタン(図示略)を押下する。CPU51は復旧開始操作ボタンの押下を受け付ける(S25)。復旧開始操作ボタンの押下を受け付けるまで(S25:NO)、CPU51はS25に戻って待機する。復旧開始操作ボタンの押下を受け付けた場合(S25:YES)、CPU51は原点センサ83の検出信号に基づき、主軸ヘッド6のX軸とZ軸の夫々の位置はATC位置(原点位置)か否か判断する(S26)。X軸とZ軸がATC位置にいない場合(S26:NO)、工具交換アーム44を待機位置に復旧できない。故にCPU51は復旧エラーを出力し(S36)、例えば表示部90に工具交換アーム44の位置を復旧できない旨の警告を表示するとよい。CPU51は本処理を終了する。
主軸ヘッド6のX軸とZ軸がATC位置にいる場合(S26:YES)、CPU51はアラームを消去し(S27)、工具装着状態の入力ガイダンスを表示部90に表示する(S28)。工具装着状態の入力ガイダンスは、例えば、工具交換アーム44の現在の状態について、作業者が以下の質問に順番に回答する形式にするとよい。CPU51は先ず主軸7、工具交換位置にあるポット、把持部44A,44Bの何れかが工具を装着又は把持しているかの質問「工具が装着把持状態か」を表示部90に表示する。作業者は質問に対する回答を入力部82で入力する。CPU51は入力した回答に基づいて判断する(S29)。
(1)工具が装着把持状態
工具が装着把持状態の場合(S29:YES)、続いてCPU51は「工具交換アーム、主軸、工具ポットの何れかに工具が正常に装着しているか?」の質問文を表示部90に表示する。例えば工具のキーが主軸7の装着溝のキー溝を乗り上げて正常に装着していない場合、作業者は正常に装着していない旨の回答を入力する。CPU51は入力した回答に基づき、工具が正常に装着しているか否か判断する(S30)。工具が正常に装着していない場合(S30:NO)、工具交換アーム44の位置を復旧できないので、CPU51は復旧エラーを出力し(S36)、本処理を終了する。工具が正常に装着している場合(S30:YES)、CPU51はATC駆動軸46の停止位置は180°位置か否か判断する(S31)。
(A)停止位置が180°の場合
図11に示す如く、ATC駆動軸46が180°に位置する時(S31:YES)、旋回軸43の旋回角度も180°付近に位置するので、一対の把持部44A,44Bは、現工具201と次工具202を把持した状態で、主軸7と工具交換部に位置する工具ポット41Aとの中間位置に配置する。即ち工具交換アーム44は待機位置に在る。故に途中で停止した工具交換動作を完了する為、CPU51は工具マガジン41において工具ポット41Aとシャッタの夫々の位置を確認し正常か否か判断する(S32)。工具ポット41Aが下降位置で且つシャッタが開いていれば正常である。工具ポット41Aの位置とシャッタの位置の少なくとも一方が正常でない場合(S32:NO)、工具交換動作を続行できないので、CPU51は復旧エラーを出力し(S36)、本処理を終了する。
工具ポット41Aとシャッタの夫々の位置が正常である場合(S32:YES)、図13に示す如く、CPU51は主軸7の位置が不明、又は主軸7の位置が予め設定した許容誤差以上か判断する(S40)。例えば停電による非常停止の場合、それまで記憶していた主軸7の位置が消失するので、主軸7の位置は不明である。主軸7の位置が不明の場合(S40:YES)、工具ホルダのキー溝と主軸7のキーが嵌合できない可能性があるので、CPU51は主軸7のオリエント制御処理を実行する(S41)。非常停止ボタンの押下による非常停止の場合、主軸7の位置は認識できるが、その位置が予め設定した許容誤差以上の場合(S40:YES)がある。その場合、工具ホルダのキー溝と主軸7のキーが嵌合できない可能性があるので、CPU51は主軸7のオリエント制御処理を実行する(S41)。
図15を参照し、主軸7のオリエント制御処理を説明する。CPU51はオリエント操作ガイダンスを表示部90に表示する(S73)。オリエント操作ガイダンスは、例えば以下の第一、第二、第三操作の各入力を指示する内容を含む。
・第一操作:主軸ヘッド6のY軸位置を工具交換位置Kから主軸7のオリエント可能位置まで移動。
・第二操作:主軸モータ8をオン。
・第三操作:主軸ヘッドのY軸位置を工具交換位置Kまで移動。
作業者は、オリエント操作ガイダンスの指示に従い、工作機械1の動作を確認しながら操作パネルの入力部82で上記第一~第三操作を順番に入力する。
主軸ヘッド6のY軸位置は工具交換位置Kに在る。主軸7は現工具201が脱抜した状態であるので、クランプ機構部はアンクランプ状態である。操作部材47の当接部48はプッシュロッド92に当接して前方に押圧し、揺動腕部材60は揺動して主軸7のドローバ70を押し下げた状態である。該状態は、主軸7がドローバ70、揺動腕部材60、プッシュロッド92、操作部材47等を介して、ATC装置40と接続した状態である。故に主軸モータ8は回転できずオリエントできないので、主軸ヘッド6は主軸7のオリエント可能位置まで移動する必要がある。主軸7のオリエント可能位置とは、工具交換位置KからY軸方向において操作部材47の当接部48がプッシュロッド92後端部から離間する位置であり、主軸7とATC装置40の上記接続が切れた状態である。
CPU51は第一操作を受け付けたか否か判断する(S74)。第一操作を受け付けるまで(S74:NO)、CPU51はS74に戻って待機する。第一操作を受け付けた場合(S74:YES)、CPU51は主軸ヘッド6のY軸を主軸7のオリエント可能位置に移動する(S75)。主軸7はオリエント可能な状態となる。クランプ機構部はアンクランプからクランプ状態になる。CPU51は第二操作を受け付けたか否か判断する(S76)。第二操作を受け付けるまで(S76:NO)、CPU51はS76に戻って待機する。第二操作を受け付けた場合(S76:YES)、CPU51は主軸モータ8をオンし(S77)、主軸7のオリエントを実行する(S78)。主軸7はオリエント位置に位置決めする。
CPU51は第三操作を受け付けたか否か判断する(S79)。第三操作を受け付けるまで(S79:NO)、CPU51はS79に戻って待機する。第三操作を受け付けた場合(S79:YES)、主軸ヘッド6のY軸を工具交換位置Kに戻す(S80)。故に操作部材47の当接部48はプッシュロッド92に当接して前方に押圧し、揺動腕部材60は揺動して、主軸7のドローバ70を押し下げた状態となる。クランプ機構部は再びアンクランプ状態になる。CPU51は主軸モータ8をオフし(S81)、本処理を終了する。CPU51は図13のS42に戻る。
図13に示す如く、主軸7のオリエントが完了したので、工具交換動作を完了する為、CPU51はATCモータ45を駆動し、ATC駆動軸46をそのまま正転で360°まで回転する(S42)。図11に示す如く、ATC駆動軸46が180°から360°まで回転する間、上述したように、工具交換アーム44は第一方向に旋回しながら上昇し、現工具201と次工具202の夫々の位置が入れ替わった状態で、次工具202を主軸7の装着穴に、現工具201を工具ポット41Aに夫々装着する(図10(5),(6)参照)。クランプ機構部はクランプ状態となり、工具交換アーム44は逆転して待機位置に戻る(図10(7)参照)。工具交換部の工具ポット41Aは上昇し、途中停止した工具交換動作は正常に完了する。
CPU51は記憶装置54に記憶するATC工具情報を更新する(S43)。ATC工具情報とは、主軸7に現在装着する工具情報、工具マガジン41の各種工具ポット41Aに装着する工具の情報等を含む。工具情報とは、例えば工具の種類、工具径、工具長、工具番号等の情報である。作業者は操作パネルの操作で、表示部90にATC工具画面を表示できる。ATC工具画面はATC工具情報を表示する。作業者はATC工具画面を確認することで、主軸7に現在装着する工具等を認識できる。主軸7には次工具202が装着したので、CPU51はATC工具情報を更新することで、ATC工具情報に現在の状態を正確に反映できる。
CPU51は復旧完了操作ガイダンスを表示部90に表示する(S44)。復旧完了操作ガイダンスは、復旧完了操作の入力を指示する内容である。作業者は工作機械1の状態を見て、工具交換アーム44の位置の復旧が完了したことを確認した場合、操作パネルの入力部82で復旧完了操作を入力する。仮に工具交換アーム44の位置が待機位置にいない、主軸7に工具が正常に装着していない等の異常が生じている場合、作業者は該異常に対処してから復旧完了操作を入力すればよい。CPU51は復旧完了操作を受け付けたか否か判断する(S45)。復旧完了操作を受け付けるまで(S45:NO)、CPU51はS45に戻って待機する。復旧完了操作を受け付けた場合(S45:YES)、CPU51は復旧モードを無効とし、ATC工具確認ガイダンスを表示部90に表示する(S46)。ATC工具確認ガイダンスは、主軸7に装着した工具に間違いがないか確認を促す指示であり、例えば「ATC工具を確認してください」というガイダンスを表示するとよい。CPU51は通常モードを設定し(S47)、本処理を終了する。
図13のS40の判断処理で、主軸7の位置を認識可能で且つ予め設定した許容誤差未満の場合(S40:NO)、主軸7は既にオリエント位置にいるので、オリエントを実行する必要はない。故にCPU51は主軸7のオリエント不要操作ガイダンスを表示部90に表示する(S51)。主軸7のオリエント不要操作ガイダンスは、主軸7のオリエント不要操作を指示する内容である。作業者は、操作パネルの入力部82で主軸7のオリエント不要操作を入力する。CPU51は主軸7のオリエント不要操作を受け付けたか否か判断する(S52)。主軸不要操作を受け付けるまで(S52:NO)、CPU51はS52に戻り待機する。主軸7のオリエント不要操作を受け付けた場合(S52:YES)、CPU51は図13のS42に戻り、上記と同様に処理を実行し、工具交換動作を完了してから本処理を終了する。
(B)停止位置が180°以外の場合
図12に示す如く、ATC駆動軸46の停止位置が180°以外の時(S31:NO)、ATC駆動軸46の回転角度に応じて、工具交換アーム44の復旧動作は異なる。上記の通り、ATC駆動軸46が一回転する間に工具交換動作は完了する。故にATC駆動軸46の回転角度を検出すれば、CPU51は工具交換アーム44の現在の状態を特定できる。図11に示す如く、本実施形態はATC駆動軸46の0~360°の角度範囲を三つの領域に分割する。A区間は0~80°の区間、B区間は81°~280°の区間、C区間は281°~360°の区間である。A区間は、主軸7に現工具201が装着し、工具ポット41Aに次工具202が装着した状態である。B区間は、主軸7と工具ポット41Aに工具が装着していない状態である。C区間は、主軸7に次工具202が装着、工具ポット41Aに現工具201が装着した状態である。
CPU51はATC駆動軸46の停止位置はB区間か判断する(S61)。B区間の場合(S61:YES)、一対の把持部44A,44Bは現工具201と次工具202を把持した状態である。工具交換動作を完了する為、CPU51は主軸ヘッド6のY軸位置、工具ポット41Aの位置、シャッタの位置が夫々正常か否か判断する(S66)。Y軸位置は工具交換位置Kで、工具ポット41Aは下降位置で、シャッタが開いていれば正常である。主軸ヘッド6のY軸位置、工具ポット41Aの位置、シャッタの位置の少なくとも何れかが正常でない場合(S66:NO)、工具交換動作を続行できないので、CPU51は復旧エラーを出力し(S36)、本処理を終了する。
主軸ヘッド6のY軸位置、工具ポット41Aの位置、シャッタの位置の何れも正常である場合(S66:YES)、CPU51は近回りでATC駆動軸46を180°位置に回転する(S67)。近回りとは、ATC駆動軸46を現在位置から正転又は逆転して180°位置に早く到達できる方向に回転することを意味する。ATC駆動軸46が180°位置に到達した時、工具交換アーム44は待機位置に位置する。CPU51は例えばATC駆動軸46の現在の角度位置に基づき、近回りする方向を決定するとよい。例えばATC駆動軸46が180°未満の場合は正転、180°以上の場合は逆転すれば近回りできる。ATC駆動軸46を180°に回転した後、CPU51は上述した図13のS40に戻り、上記と同様に処理を実行し、工具交換動作を完了してから本処理を終了する。
ATC駆動軸46の停止位置がB区間でない場合(S61:NO)、CPU51はA区間かC区間か判断する(S62)。A区間であった場合(S62:YES)、ATC駆動軸46は0°~80°であるから、工具交換動作は初期段階であり、主軸7は現工具201を装着した状態であり、工具ポット41Aは次工具202を装着した状態である。故にCPU51は工具交換動作を開始状態に戻す為、ATC駆動軸46を逆転して0°の位置に戻す(S63)。工具交換アーム44は待機位置に戻る。CPU51は上述した図13のS44に戻り、上記と同様に処理を実行し、本処理を終了する。なお、工作機械1は工具交換動作を実行する前に戻ったので、現工具201と次工具202の位置は入れ替わらない。故にCPU51はATC工具情報を更新しない。
ATC駆動軸46の停止位置がC区間であった場合(S62:NO)、ATC駆動軸46は281°~360°であるから、工具交換動作は終期段階であり、主軸7は次工具202を装着した状態であり、工具ポット41Aは現工具201を装着した状態である。故にCPU51は工具交換動作を完了する為、ATC駆動軸46をそのまま正転して360°の位置に移動する(S64)。工具交換アーム44は待機位置に戻る。現工具201と次工具202の位置は入れ替わったので、CPU51はATC工具情報を更新する(S65)。CPU51は上述した図13のS44に戻り、上記と同様に処理を実行し、本処理を終了する。
(2)工具が装着把持状態ではない場合
図12のS29の判断処理で、工具が装着把持状態ではない場合(S29:NO)、主軸7、工具ポット41A、工具交換アーム44の一対の把持部44A,44Bの何れにも工具が装着していない状態である。CPU51は主軸ヘッド6のY軸位置が正常か否か判断する(S37)。Y軸位置が工具交換位置Kであれば正常である。Y軸位置が正常でなければ(S37:NO)、工具交換動作を続行できないので、CPU51は復旧エラーを出力し(S36)、本処理を終了する。Y軸位置が正常である場合(S37:YES)、主軸7に工具を装着しないので、主軸7のオリエントは不要である。故にCPU51は図13のS51に移行し、上記と同様に処理を実行し、本処理を終了する。
以上説明の如く、本実施形態の数値制御装置50は工作機械1の動作を制御するものである。工作機械1は、主軸ヘッド6、主軸7、クランプ機構部、ドローバ70、揺動腕部材60、プッシュロッド92、ATC装置40等を備える。主軸7は工具を着脱可能に装着する。主軸ヘッド6は、互いに直交するXYZ軸方向に移動可能に設け、Z軸方向に向けて主軸7を回転可能に支持する。クランプ機構部は主軸7に設け、主軸7に装着する工具のクランプ及びアンクランプを行う。ドローバ70は主軸7に設け、クランプ機構部に接続する。揺動腕部材60は主軸ヘッド6内部に揺動可能に軸支する。プッシュロッド92は外力を受けると、揺動腕部材60は揺動し、ドローバ70は押し下がる。ドローバ70が押し下がると、クランプ機構部はアンクランプする。ドローバ70を上方に移動すると、クランプ機構部はクランプする。
ATC装置40は、工具マガジン41、工具交換アーム44、ATCモータ45、ATC駆動軸46、揺動レバー23、操作部材47等を備える。工具マガジン41は、複数の工具ポット41Aを有し、次工具202を収納する工具ポット41Aを工具交換部に搬送可能である。工具交換アーム44は両端部に一対の把持部44A,44Bを備える。工具交換アーム44は、旋回軸43を中心に、一対の把持部44A,44Bが主軸7に装着した現工具201と工具交換部に位置する次工具202との間を第一方向に旋回可能で、旋回軸43が延びる方向において移動可能である。ATCモータ45はATC駆動軸46を回転することに依り、工具交換アーム44の旋回動作と昇降動作を行う。揺動レバー23は、ATC駆動軸46の回転に伴って揺動する。操作部材47は揺動レバー23の揺動に依り、工具交換位置に移動した主軸ヘッド6のプッシュロッド92を押圧する。揺動腕部材60は揺動し、ドローバ70は押し下がる。主軸7のクランプ機構部はアンクランプする。
数値制御装置50のCPU51は、主軸7をオリエント位置に移動した状態で、主軸ヘッド6を工具交換位置に移動する。CPU51はATCモータ45の駆動を制御することに依り、主軸7のクランプ機構をアンクランプ状態に切り替えると共に、工具交換アーム44の旋回動作及び昇降動作を行うことで工具交換動作を実行する。工具交換動作は、主軸7に装着する現工具201と、工具ポット41Aに装着する次工具202を入れ替え交換する動作である。
CPU51はATC駆動軸46が原点位置か否かを判断することで、工具交換動作が途中で停止したことを検出する。ATC駆動軸46が原点位置にいない場合、工具交換動作は途中で停止したので、CPU51は、主軸7は工具が抜脱した状態か判断する。工具が抜脱した状態の場合、CPU51は主軸ヘッド6を主軸7のオリエント可能位置に移動する。主軸7のオリエント可能位置とは、工具交換位置からY軸方向に離間する位置であって、プッシュロッド92が操作部材47から離れて押圧されないことにより、主軸7がオリエント位置に移動可能となる位置である。CPU51は主軸7のオリエントを実行する。主軸7のオリエント実行後、CPU51は主軸ヘッド6を工具交換位置に戻す。CPU51は工具交換アーム44を駆動することに依り、主軸7に次工具202を装着し、工具ポット41Aに現工具201を装着する。
数値制御装置50は、仮に停電で工具交換アーム44が現工具201と次工具202を把持したまま停止したとしても、主軸7をオリエント位置に確実に移動してから主軸7に次工具202を装着できる。故に数値制御装置50は、作業者が停止した工具交換アーム44から現工具201と次工具202を取り外す手間を省略できる。数値制御装置50は、主軸7がオリエント位置にいない状態で次工具202を装着することが無いので、主軸7及び工具の破損を防止できる。
上記実施形態のATC駆動軸46は、ATCモータ45の動力で、工具交換動作の進行に応じて0°~360°の範囲内で回転する。当該ATC駆動軸46の駆動力で工具交換アーム44は旋回と昇降を行い、主軸7のクランプ機構部はクランプ及びアンクランプする。CPU51は工具交換動作が途中で停止したときのATC駆動軸46の回転角度を検出することで、主軸7は工具が抜脱した状態か正確に判断できる。
上記実施形態の主軸7のオリエント可能位置とは、操作部材47がプッシュロッド92から離間した位置であって、主軸ヘッド6を工具交換位置から移動したときに、主軸ヘッド6が一対の把持部44A,44Bに干渉しない位置である。工具交換動作が途中で停止し、工具交換アーム44が工具を把持しない状態で待機位置にいない場合、CPU51は工具交換アーム44を待機位置まで旋回してから、主軸ヘッド6を主軸7のオリエント可能位置に移動し、主軸7をオリエント位置に移動する。故に数値制御装置50は、主軸ヘッド6を工具交換位置から主軸7のオリエント可能位置に移動するとき、主軸7に対して一対の把持部44A,44Bが干渉するのを防止できる。
上記実施形態のCPU51は、工具交換アーム44を待機位置に旋回するまでの旋回角度が小さい方向に旋回する。故に数値制御装置50は、工具交換アーム44を速やかに待機位置に旋回できる。故に数値制御装置50は工具交換アーム44の位置を速やかに復旧できる。
上記実施形態のCPU51は、工具交換動作が途中で停止し、主軸7と工具ポット41Aに現工具201と次工具202が装着した状態の場合、現工具201と次工具202を把持せずに、工具交換アーム44を逆転して待機位置に戻す。一方、主軸7と工具ポット41Aに現工具201と次工具202が入れ替わって装着した状態の場合、CPU51は現工具201と次工具202を把持せずに、工具交換アーム44を逆転して待機位置に戻す。故に数値制御装置50は主軸7と工具ポット41Aの状態を維持したまま工具交換アーム44を待機位置に戻せる。
上記実施形態は、ATC工具情報を記憶装置54に記憶する。ATC工具情報は、主軸7に装着する工具の情報である。CPU51はATC工具情報を表示部90に出力できる。CPU51は工具交換動作が完了した場合、若しくは工具交換動作が途中で停止し、主軸7に次工具202を装着した場合、ATC工具情報を現工具201の情報から次工具202の情報に更新する。故に表示部90に出力したATC工具情報も更新できるので、作業者は常に現在の主軸7に装着する現工具の情報を認識できる。
上記説明にて、ドローバ70、揺動腕部材60、プッシュロッド92は本発明の可動部の一例である。ATCモータ45とATC駆動軸46は、本発明の駆動部の一例である。ATCモータ45は本発明のモータの一例である。揺動レバー23と操作部材47は本発明の外力付与部の一例である。図9の工具交換制御処理を実行するCPU51は本発明のATC制御部の一例である。
図12のS22の処理を実行するCPU51は本発明の停止検出部の一例である。S31とS61の処理を実行するCPU51は本発明の角度検出部と工具抜脱判断部の一例である。S75の処理を実行するCPU51は本発明のオリエント可能位置判断部の一例である。S77とS78の処理を実行するCPU51は本発明のオリエント実行部の一例である。S80の処理を実行するCPU51は本発明の位置戻し部の一例である。S42の処理を実行するCPU51は本発明の工具装着部の一例である。S31の処理を実行するCPU51は本発明の待機位置判断部の一例である。S67の処理を実行するCPU51は本発明の待機位置旋回部の一例である。S62の処理を実行するCPU51は本発明の工具装着判断部の一例である。S63の処理を実行するCPU51は本発明の第一戻し制御部の一例である。S64の処理を実行するCPU51は本発明の第二戻し制御部の一例である。記憶装置54は本発明の記憶部の一例である。ATC工具情報を表示部90に表示するCPU51は本発明の表示制御部の一例である。S43とS65の処理を実行するCPU51は本発明の更新部の一例である。
本発明は上記実施形態に限らず各種変形が可能なことはいうまでもない。上記実施形態のCPU51は、図12~図15に示すアーム位置復旧処理において、工具交換動作が停止したときのATC駆動軸46の回転角度を検出し、工具交換動作がどの時点で停止したかを判断するが、これ以外の方法で判断してもよく、例えば、旋回軸43の旋回角度を検出して判断してもよい。ATC駆動軸46の回転角度はATCモータ45のエンコーダ45Aで検出したが、例えばセンサ等を用いて検出してもよい。
上記実施形態は、アーム位置復旧処理において、S25の復旧開始操作の受け付け、S45の復旧完了操作の受け付け、S74の第一操作の受け付け、S76の第二操作の受け付けの各判断処理は省略してもよい。
上記実施形態は、アーム位置復旧処理のS67の処理において、ATC駆動軸46を近回りで180°へ移動するが、近回りではなく、単に正転又は逆転して移動するようにしてもよい。
上記実施形態では、ATC工具画面は、作業者は操作パネルの操作で、表示部90にATC工具画面を表示できるが、例えば表示部90に常時表示するようにしてもよく、特定の状態になったときに表示するようにしてもよい。
図11の工具交換動作のタイミング線図において、ATC駆動軸46の回転角度、アーム位置、旋回軸43の旋回角度、揺動腕部材60の傾斜角度の夫々の数値は一例であり、変更可能である。
上記実施形態の工作機械1は、主軸7がZ軸方向に延びる縦型工作機械であるが、本発明は主軸が水平方向に延びる横型工作機械にも適用できる。
工作台装置10は回転台11を備えるが、回転しない固定台でもよい。ATC装置40は主軸ヘッド6右側に支持するが、主軸ヘッド6左側に支持してもよい。該時、工具交換位置Kは例えば図2,図3とは左右対称の位置に設定するとよい。
プッシュロッド92は揺動腕部材60とは別体であるが、揺動腕部材60の縦腕部63と一体化してもよい。
操作部材47の形状は上記実施形態のように上方に延びる棒状でなくてもよい。操作部材47は、下端側に設けた揺動軸49を中心に前方に揺動駆動するが、操作部材47は前方に平行移動し、プッシュロッド92を押下する構成でもよい。