JP7476745B2 - 数値制御装置、制御方法、及び記憶媒体 - Google Patents

数値制御装置、制御方法、及び記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、数値制御装置、制御方法、及び記憶媒体に関する。
工作機械の主軸に工具を装着したか否かを判定可能な数値制御装置が公知である。特許文献1は、タレット式の工作機械の主軸に対して工具が装着したか否かを判定可能な数値制御装置を開示する。工作機械は、主軸、主軸ヘッド、Z軸モータ、ドローバ、及びアンクランプ操作部を備える。主軸は主軸ヘッドに回転可能に設ける。Z軸モータは、主軸ヘッドを上下方向に移動する。Z軸モータが主軸ヘッドを下方に移動した時、ドローバはクランプばねの付勢力により、工具ホルダを主軸にクランプする。Z軸モータが主軸ヘッドを上方に移動した時、ドローバはクランプばねの付勢力に抗し、工具ホルダのクランプ状態を解除する。Z軸モータの駆動電流値は、主軸に対する工具ホルダの装着状態に応じて変動する。故に、数値制御装置は、Z軸モータの駆動電流値と判定基準値とを比較することで、主軸に対する工具ホルダの装着状態を判断する。
特開2009-178795号
Z軸モータの駆動電流値の変動特性が、工作機械の個体差や経年変化等の要因でばらつく時がある。該時、上記方法では、主軸に対する工具ホルダの装着状態を精度良く判断できない。
本発明の目的は、工作機械の主軸に対する工具の装着状態を精度よく判定できる数値制御装置、制御方法、及び制御プログラムを記憶した記憶媒体を提供することである。
本発明の第一態様に係る数値制御装置は、主軸に装着した工具と作業台に固定した被削材を相対的に移動して前記被削材を加工する工作機械を制御する数値制御装置であって、前記主軸に対する前記工具の装着時に駆動する装着機構の駆動源であるモータのトルクを、時系列で取得する取得部と、前記取得部が取得する前記トルクを微分演算する微分演算部と、前記微分演算部が演算した微分値と、前記工具の装着時における前記装着機構の位置又は角度とを対応付けて記憶する第一記憶部と、前記第一記憶部が記憶する前記装着機構の位置又は角度の内前記微分値が最大を示す前記装着機構の位置又は角度をピーク位置又はピーク角度として決定する決定部と、前記決定部が決定する前記ピーク位置又は前記ピーク角度を前記工具毎に順次記憶する第二記憶部と、前記第二記憶部が記憶する前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理する統計処理部と、前記統計処理部が統計処理した統計値に基づき前記工具を前記主軸に装着しているが正常な装着状態ではない不完全装着状態を判定する状態判定部とを備えることを特徴とする。
数値制御装置は、装着機構を駆動するモータのトルクの微分値と装着機構の位置又は角度とに基づき決定するピーク位置又はピーク角度を統計処理し、演算した統計値に基づき主軸に対する工具の装着状態を判定する。該時の判定結果はモータの駆動電流値を閾値と比較することによる判断結果と比べ、工作機械の個体差や経年変化による影響を受け難い。故に、数値制御装置は主軸に対する工具の装着状態を精度よく判定できる。
第一態様は、前記工具の使用回数を記憶する第三記憶部と、前記統計処理部が統計処理した前記統計値を記憶する第四記憶部とを備え、前記統計処理部は、前記第三記憶部に基づき前記使用回数が所定使用回数に達する毎に、前記統計値として前記ピーク位置又は前記ピーク角度の平均値を演算し、前記状態判定部は、前記第四記憶部に記憶した前記平均値の内最新の前記平均値に基づき前記不完全装着状態を判定してもよい。該数値制御装置において、工具の使用回数が所定使用回数に達する毎に演算する平均値に基づき主軸に対する工具の装着状態を判定する。該時の判定結果はモータの駆動電流値を閾値と比較することによる判断結果と比べ、経年変化による影響を更に受け難い。故に、数値制御装置は主軸に対する工具の装着状態を更に精度よく判定できる。
第一態様において、前記不完全装着状態は、前記主軸が前記工具との間に異物を介した状態で前記工具を装着した異物付着状態を含み、前記状態判定部は、前記第二記憶部が記憶する最新の前記ピーク位置又は前記ピーク角度と、前記第四記憶部が記憶する前記最新の平均値に基づく所定の異物付着閾値とに基づき、前記異物付着状態と判定してもよい。該数値制御装置において、装着状態が異物付着状態である時、今回装着動作時のピーク位置又はピーク角度が統計値である最新の平均値に対して大きく変動する。数値制御装置は今回装着時のピーク位置又はピーク角度と、異物付着閾値とに基づき異物付着状態であると判定する。故に、数値制御装置は主軸に対する工具の装着状態を更に精度よく判定できる。
第一態様において、前記統計処理部は、前記第三記憶部に基づき前記使用回数が所定使用回数に達する毎に、前記統計値として前記ピーク位置又は前記ピーク角度の標準偏差を更に演算し、前記数値制御装置は、前記第四記憶部に記憶した前記最新の平均値と、前記標準偏差の内最新の前記標準偏差とに基づき前記異物付着閾値を算出する異物付着閾値算出部を備えてもよい。該数値制御装置は最新の平均値と最新の標準偏差とに基づき異物付着閾値を算出する。故に、数値制御装置は異物付着状態を更に精度よく判定できる。
第一態様は、前記最新の平均値が、前記第四記憶部に記憶した前記平均値の内最大の前記平均値であるか否かを判定する最大判定部と、前記最大判定部が前記最大の平均値であると判定した場合、前記最新の平均値を特定平均値として記憶する第五記憶部とを備え、前記不完全装着状態は、前記工具に対する前記工具の装着を繰り返すことで劣化した前記工具を前記主軸が保持した工具劣化状態を含み、前記状態判定部は、前記第四記憶部が記憶する前記平均値の内前記最新の平均値と、前記第五記憶部が記憶する前記特定平均値に基づく所定の工具劣化閾値とに基づき、前記工具劣化状態と判定してもよい。該数値制御装置において、工具の装着を繰り返すことに応じて最新の平均値が特定平均値から徐々に変動することで装着状態が工具劣化状態に至る。数値制御装置は最新の平均値と、特定平均値に基づく工具劣化閾値とに基づき工具劣化状態であると判定する。故に、数値制御装置は主軸に対する工具の装着状態を更に精度よく判定できる。
第一態様において、前記統計処理部は、前記第三記憶部に基づき前記使用回数が所定使用回数に達する毎に、前記統計値として前記ピーク位置又は前記ピーク角度の標準偏差を更に演算し、前記第五記憶部は、前記特定平均値を演算した時に併せて演算した前記標準偏差を特定標準偏差として記憶し、前記数値制御装置は、前記第五記憶部が記憶する前記特定平均値と、前記特定標準偏差とに基づき前記工具劣化閾値を算出する工具劣化閾値算出部を備えてもよい。該数値制御装置は特定平均値と特定標準偏差から工具劣化閾値を算出する。故に、数値制御装置は工具劣化状態を更に精度よく判定できる。
第一態様において、前記統計処理部は、前記第二記憶部が記憶する前記ピーク位置又は前記ピーク角度の内最新の前記ピーク位置又は前記ピーク角度から順に所定演算数の前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理してもよい。該数値制御装置において、統計処理するピーク位置又はピーク角度の数は所定演算数となる。故に、数値制御装置は主軸に対する工具の装着状態を効率よく判定できる。
第一態様は、前記工具の使用回数を記憶する第三記憶部と、前記工具を着脱可能に支持する支持部と、前記支持部を移動可能に保持する工具マガジンと、前記第三記憶部が記憶する前記使用回数に基づき前記支持部が支持する前記工具を付替えた否かを判定する付替判定部とを備え、前記主軸は、前記工具を保持する工具ホルダを介して前記工具を装着し、前記支持部が支持する前記工具を付替えたと前記付替判定部が判定した前記工具を前記主軸に対して装着する場合、前記第二記憶部は、前記工具毎に記憶する前記ピーク位置又は前記ピーク角度の内交換前の前記工具に係る前記ピーク位置又は前記ピーク角度を消去してもよい。該数値制御装置は支持部が支持する工具を他の工具に付替えた時、付替前の工具に係るピーク位置又はピーク角度を消去する。付替前の工具に係るピーク位置又はピーク角度に基づく統計値で工具の装着状態を判定しないので、数値制御装置は主軸に対する工具の装着状態を更に精度よく判定できる。
第一態様において、前記装着機構は、ばねの弾性力により前記主軸に対して前記工具を装着する装着部を駆動し、前記主軸に対する前記工具の装着と脱離を切替えるレバーを備えてもよい。該数値制御装置はタレット式及びアーム式の両方の工作機械について、主軸に対する工具の装着状態を精度よく判定できる。
第一態様において、前記装着機構は、前記モータの駆動で所定方向に往復移動可能であり、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを備え、前記モータは、前記主軸ヘッドを前記所定方向に移動することで前記主軸に対して前記工具を装着し、前記第一記憶部は、前記主軸ヘッドの前記所定方向における位置を前記装着機構の位置として記憶してもよい。該数値制御装置はタレット式の工作機械について、主軸に対する工具の装着状態を精度よく判定できる。
第一態様において、前記装着機構は、前記モータの駆動で回転する回転軸と、前記回転軸の回転と同期して回転し、前記主軸に装着する前記工具を支持可能なアームとを備え、前記モータは、前記回転軸を回転することで、前記アームと共に回転する前記工具を前記主軸に対して装着し、前記第一記憶部は、前記回転軸の回転角度を前記装着機構の角度として記憶してもよい。該数値制御装置はアーム式の工作機械について、主軸に対する工具の装着状態を精度よく判定できる。
本発明の第二態様に係る制御方法は、主軸に装着した工具と作業台に固定した被削材を相対的に移動して前記被削材を加工する工作機械を制御する制御方法であって、前記主軸に対する前記工具の装着時に駆動する装着機構の駆動源であるモータのトルクを、時系列で取得する取得工程と、前記取得工程で取得した前記トルクを微分演算する微分演算工程と、前記微分演算工程で演算した微分値と、前記工具の装着時における前記装着機構の位置又は角度とを対応付けて第一記憶装置に記憶する第一記憶工程と、前記第一記憶工程で記憶した前記装着機構の位置又は角度の内前記微分値が最大を示す前記装着機構の位置又は角度をピーク位置又はピーク角度として決定する決定工程と、前記決定工程で決定した前記ピーク位置又は前記ピーク角度を前記工具毎に第二記憶装置に順次記憶する第二記憶工程と、前記第二記憶工程で記憶した前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理する統計処理工程と、前記統計処理工程で統計処理した統計値に基づき前記被削材を加工できない状態で前記主軸に前記工具が装着した不完全装着状態と判定する状態判定工程とを備えたことを特徴とする。第二態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
本発明の第三態様に係る記憶媒体は、主軸に装着した工具と作業台に固定した被削材を相対的に移動して前記被削材を加工する工作機械を制御するプログラムであって、前記主軸に対する前記工具の装着時に駆動する装着機構の駆動源であるモータのトルクを、時系列で取得する取得工程と、前記取得工程で取得した前記トルクを微分演算する微分演算工程と、前記微分演算工程で演算した微分値と、前記工具の装着時における前記装着機構の位置又は角度とを対応付けて第一記憶装置に記憶する第一記憶工程と、前記第一記憶工程で記憶した前記装着機構の位置又は角度の内前記微分値が最大を示す前記装着機構の位置又は角度をピーク位置又はピーク角度として決定する決定工程と、前記決定工程で決定した前記ピーク位置又は前記ピーク角度を前記工具毎に第二記憶装置に順次記憶する第二記憶工程と、前記第二記憶工程で記憶した前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理する統計処理工程と、前記統計処理工程で統計処理した統計値に基づき前記被削材を加工できない状態で前記主軸に前記工具が装着した不完全装着状態と判定する状態判定工程とを、コンピュータに実行させる。第三態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
工作機械1Aの斜視図。 主軸ヘッド7A周囲の縦断面図。 主軸9A内部の縦断面図。 工作機械1Aと数値制御装置30Aの電気的構成を示すブロック図。 Z軸モータ51Aのトルクと微分値を示すグラフ。 異物付着状態と判定時のピーク位置の変動を示すグラフ。 工具劣化状態と判定時のピーク位置の変動を示すグラフ。 主処理の流れ図。 図8に続く主処理の流れ図。 状態監視処理の流れ図。 工作機械1Bの斜視図。 工作機械1Bの正面図。 工作機械1Bの右側面図。 図13に示すI-I線矢視方向断面図。 図11に示すW領域内の部分拡大図。 本体部401B内における旋回軸43BとATC駆動軸46B周囲の断面図。 数値制御装置50Bと工作機械1Bの電気的構成を示すブロック図。 工具交換処理の説明図。 工具交換動作のタイミング線図。 ATCモータ45Bのトルクと微分値を示すグラフ。 異物付着状態と判定時のピーク角度の変動を示すグラフ。 工具劣化状態と判定時のピーク角度の変動を示すグラフ。 主処理の流れ図。 状態監視処理の流れ図。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態を説明する。以下説明は図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。図1に示す工作機械1Aの左右方向、前後方向、上下方向は、夫々、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。工作機械1Aは主軸9Aに装着した工具体40A(図2参照)の工具4Aを回転し、テーブル13A上面に保持した被削材に切削加工を施す機械である。数値制御装置30Aは工作機械1Aの動作を制御する。
<工作機械1Aの概要>
図1、図2の如く、工作機械1Aは基台2A、コラム5A、主軸ヘッド7A、主軸9A、テーブル装置10A、工具交換装置20A、制御箱6A、操作盤15A(図4参照)等を備える。基台2Aは略直方体状の金属製土台である。コラム5Aは基台2A上部後方に固定する。
主軸ヘッド7Aはコラム5A前面に設けたZ軸移動機構(図示略)でZ軸方向に昇降する。Z軸移動機構はZ軸モータ51A(図4参照)等を備える。Z軸移動機構はZ軸モータ51Aの駆動に応じて主軸ヘッド7AをZ軸方向に移動する。主軸ヘッド7Aは上部に主軸モータ52Aを備える。主軸9Aは主軸ヘッド7Aの内部に回転可能に設ける。主軸9Aは下端部(先端部)に装着穴92Aを有する。主軸9Aは装着穴92Aに工具ホルダ17Aを装着し、主軸モータ52Aの駆動に応じて回転する。工具ホルダ17Aは工具4Aを保持する。工具4A及び工具ホルダ17Aは、工具体40Aを構成する。
テーブル装置10Aはテーブル13A、Y軸モータ54A(図4参照)、X軸モータ53A(図4参照)等を備える。テーブル13AはX軸モータ53AとY軸モータ54Aにより、基台2A上をX軸方向とY軸方向に移動可能である。
工具交換装置20Aは主軸ヘッド7A前側に設け、工具マガジン21Aを備える。工具マガジン21Aは円状に配列した複数のグリップアーム90Aを外周に備える。グリップアーム90Aは工具ホルダ17Aを把持する。工具交換装置20Aはマガジンモータ55A(図4参照)の駆動に応じて工具マガジン21Aを回転する。
制御箱6Aはコラム5Aの背面側に固定し、数値制御装置30A(図4参照)を格納する。数値制御装置30AはZ軸モータ51A、主軸モータ52A、X軸モータ53A、Y軸モータ54Aを夫々制御し、テーブル13A上に保持した被削材と主軸9Aに装着した工具4Aを相対移動することで各種加工を被削材に施す。各種加工とは、ドリル、タップ等を用いた穴空け加工、エンドミル、フライス等を用いた側面加工等である。
操作盤15Aは工作機械1Aを覆うカバー(図示略)の外壁等に設ける。操作盤15Aは入力部24A(図4参照)と表示部25A(図4参照)を備える。入力部24Aは各種情報、操作指示等の入力を受付け、数値制御装置30Aに入力情報を出力する。表示部25Aは数値制御装置30Aからの指令に基づき各種画面、異常情報等を表示する。
<主軸ヘッド7Aと主軸9Aの内部構造>
図2、図3の如く、主軸ヘッド7Aは前方下部の内側に主軸9Aを回転可能に支持する。主軸9Aは上下方向に回転軸を有する。主軸9Aは主軸モータ52Aの駆動軸に連結し、主軸モータ52Aの駆動で回転する。図3の如く、主軸9Aは軸穴91A、装着穴92A、空間93A、下部摺動穴94A、クランプ軸81A、ばね82Aを備える。軸穴91Aは主軸9Aの中心を通る。装着穴92Aは主軸9Aの先端部に設ける。工具ホルダ17Aは装着穴92Aに装着する。工具ホルダ17Aは一端側に工具4Aを保持し、他端側にテーパ装着部180Aとプルスタッド181Aを備える。テーパ装着部180Aは円錐状である。プルスタッド181Aは円柱部182Aと頂上部183Aを備える。円柱部182Aは円柱形状で、テーパ装着部180Aの上端部から上方に延びる。頂上部183Aは円柱部182Aの上端部に設け、径方向の大きさが円柱部182Aより大きい。テーパ装着部180Aは主軸9Aの装着穴92Aに密着して装着する。空間93Aは装着穴92A上部に連続して設ける。下部摺動穴94Aは軸穴91Aの下端部と空間93Aとの間に連続して設ける。
クランプ軸81Aは軸穴91A内に挿入し且つ上下方向に移動可能に設ける。クランプ軸81Aはピン支持部811A、軸部812A、ホルダ把持部813Aを備える。ピン支持部811Aは円柱形状でクランプ軸81Aの上端に位置し、後述するピン58Aを支持する。軸部812Aは円柱形状でありピン支持部811Aから下方に延びる。ホルダ把持部813Aは軸部812Aの下端に位置し、複数の鋼球(図示略)を有する。ばね82Aは軸穴91Aの中に挿入し、ばね82Aの上端はピン支持部811Aと係合し、クランプ軸81Aをばね力で上方に常時付勢する。クランプ軸81Aがばね82Aの弾性力に抗して下方向に移動し、ばね82Aが縮むことで、ホルダ把持部813Aは下部摺動穴94Aから空間93Aに出て、工具ホルダ17Aのプルスタッド181Aの固定を解除する。クランプ軸81Aが下方移動した状態からばね82Aの弾性力により上に移動すると、ホルダ把持部813Aは空間93Aから下部摺動穴94Aに移動し、プルスタッド181Aの頂上部183Aを保持して固定する。故にクランプ軸81Aは工具ホルダ17Aをばね82Aにより上方に引張り上げた状態で、工具体40Aを主軸9Aに固定する。
図2の如く、主軸ヘッド7Aは後方上部にレバー60Aを備える。レバー60Aは略L字型であり支軸61Aを中心に揺動する。支軸61Aは主軸ヘッド7A内に固定する。レバー60Aは縦方向レバー63Aと横方向レバー62Aを備える。縦方向レバー63Aは支軸61Aからコラム5A側に対して斜め上方に延びて中間部65Aで上方に折曲して更に上方に延びる。横方向レバー62Aは支軸61Aからコラム5A前方に略水平に延びる。横方向レバー62Aの先端部はクランプ軸81Aに直交して突設したピン58Aに上方から係合可能である。縦方向レバー63Aは上端部の背面に板カム体66Aを備える。板カム体66Aはコラム5A側にカム面を備える。板カム体66Aのカム面は上側軸受部27Aに固定したカムフォロア67Aと接離可能である。カムフォロア67Aは板カム体66Aのカム面を摺動する。引張コイルバネ(図示略)は縦方向レバー63Aと主軸ヘッド7Aとの間に設ける。レバー60Aを右側面から見た時、引張コイルバネはレバー60Aを時計回りに常時付勢する。故にレバー60Aは横方向レバー62Aによるピン58Aの下方向への押圧を常時解除する。
<工具体40Aの着脱、交換動作>
図2の如く、工具ホルダ17Aのテーパ装着部180Aを装着穴92Aに装着した状態で、Z軸モータ51Aの回転により主軸ヘッド7Aが上昇する。レバー60Aの板カム体66Aはカムフォロア67Aに接触して摺動する。板カム体66Aのカム形状に沿ってカムフォロア67Aが摺動すると、レバー60Aは右側方から見た時に支軸61Aを中心に反時計回りに回転する。横方向レバー62Aはピン58Aに上方から係合してクランプ軸81Aを下方に押圧する。クランプ軸81Aはばね82Aのばね力に抗してホルダ把持部813Aを下方に付勢する。ホルダ把持部813Aは工具ホルダ17Aのプルスタッド181Aの固定を解除する。工具ホルダ17Aが主軸9Aの装着穴92Aから外れ、工具体40Aは主軸9Aから脱離する。主軸9Aから脱離した工具体40Aを、第一工具体と称す。工具交換装置20Aの複数のグリップアーム90Aのうち、工具交換位置にある一のグリップアーム90A(以下、第一グリップアームと称す)は、主軸9Aから脱離した第一工具体を把持する。工具交換位置は工具マガジン21Aの最下部位置である。
工具交換装置20Aはマガジンモータ55Aにより工具マガジン21Aを回転し、NCプログラムの工具交換指令が指示する工具4Aを含む工具体40A(以下、第二工具体と称す)を、工具交換位置に位置決めする。該時、工具マガジン21Aは主軸9Aから脱離した工具体40Aである第一工具体が工具交換位置にある状態から、新たに主軸9Aに装着する工具体40Aである第二工具体が工具交換位置にある状態まで回転する。工具マガジン21Aは第二工具体を他のグリップアーム90A(以下、第二グリップアームと称す)に把持した状態で回転する。
工具交換位置に第二工具体が配置した状態で、Z軸モータ51Aの回転により主軸ヘッド7Aが下降する。第二工具体の工具ホルダ17Aのテーパ装着部180Aが装着穴92Aに挿入する。板カム体66Aはカムフォロア67Aに摺動すると、レバー60Aは右側方から見た時に支軸61Aを中心に時計回りに回転する。故に横方向レバー62Aはピン58Aから離れ、クランプ軸81Aの下方への押圧を解除する。クランプ軸81Aはホルダ把持部813Aの下方への付勢を解除し、ばね82Aのばね力で上方に移動する。ホルダ把持部813Aはプルスタッド181Aを上方に引張り、プルスタッド181Aを固定する。工具交換装置20Aの第二グリップアームから第二工具体が脱離する。主軸9Aの装着穴92Aに対して工具ホルダ17Aのテーパ装着部180Aの装着が完了し、主軸9Aに対する第二工具体の装着が完了する。
主軸9Aに工具体40Aを装着する時のクランプ軸81A、レバー60Aの動作を、装着動作と称す。装着動作時にZ軸モータ51Aの回転で駆動する主軸ヘッド7A、レバー60A等を、装着機構と称す。
<電気的構成>
図4を参照し、数値制御装置30Aと工作機械1Aの電気的構成を説明する。数値制御装置30AはCPU31A、ROM32A、RAM33A、記憶装置34A、入力インタフェイス351A、出力インタフェイス352A等を備える。CPU31Aは数値制御装置30Aを統括制御する。ROM32Aは各種プログラムを記憶する。RAM33Aは処理実行中の各種データを記憶する。記憶装置34Aは不揮発性メモリであり、NCプログラム等を記憶する。NCプログラムは複数のブロックで構成し、各ブロックは工具交換指令等の少なくとも一つの指令を含む。又、記憶装置34Aはグリップアーム90Aが把持する工具体40Aに取り付けられた工具4Aの種類(ドリル、タップ等)、該工具体40Aの工具4Aの使用回数、後述するピーク位置等を工具体40A毎に付された工具番号と対応付けて記憶する。工具4Aの使用回数は工具交換装置20Aによる工具体40Aの交換動作時に1加算し、グリップアーム90Aが把持する工具体40Aを、別の工具体40Aに付替えた時に0とする。なお、同一のグリップアームに付替える工具体40は、付替える前と同種の工具4A及び同種の工具ホルダ17Aから構成されるものとする。
操作盤15Aの入力部24Aは入力インタフェイス351Aに電気的に接続する。操作盤15Aの表示部25Aは出力インタフェイス352Aに電気的に接続する。Z軸モータ51A、主軸モータ52A、X軸モータ53A、Y軸モータ54A、マガジンモータ55Aは出力インタフェイス352Aに電気的に接続する。Z軸モータ51A、主軸モータ52A、X軸モータ53A、Y軸モータ54A、マガジンモータ55Aは、出力インタフェイス352Aが出力するパルス信号に応じて回転するサーボモータである。Z軸モータ51Aはエンコーダ511Aを備える。主軸モータ52Aはエンコーダ521Aを備える。X軸モータ53Aはエンコーダ531Aを備える。Y軸モータ54Aはエンコーダ541Aを備える。マガジンモータ55Aはエンコーダ551Aを備える。エンコーダ511A、521A、531A、541A、551Aは主軸モータ52A、X軸モータ53A、Y軸モータ54A、マガジンモータ55Aの回転角度を夫々検出する。エンコーダ511A、521A、531A、541A、551Aは入力インタフェイス351Aに電気的に接続する。
<装着状態の判定方法>
主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態として、未装着状態、完全装着状態、不完全装着状態を定義する。未装着状態は主軸9Aに工具体40Aが装着していない状態を示す。完全装着状態は工具4Aにより被削材を加工でき且つ切削精度に影響が出ない態様で主軸9Aに工具体40Aが装着した状態を示す。不完全装着状態は装着状態のうち工具4Aにより被削材を加工できない又は切削精度に影響が出る態様で主軸9Aに工具体40Aが装着した状態を示す。工具体40Aが不完全装着状態で切削加工を実行した時、工作機械1Aは切削精度が低下する可能性がある。
不完全装着状態の一例として、異物付着状態と工具劣化状態を示す。異物付着状態はテーパ装着部180Aと装着穴92Aの間に異物が付着したまま工具体40Aを装着した状態である。異物付着状態において、装着動作時でのホルダ把持部813Aがプルスタッド181Aを引張り上げて固定する位置は、付着した異物により完全装着状態より上方になる。工具劣化状態は工具体40Aを繰り返し装着して頂上部183Aの下部が上側に凹む等した状態である。異物付着状態において装着動作時でのホルダ把持部813Aがプルスタッド181Aを引張り上げて固定する位置は、頂上部183Aの下部が上側に凹んだことにより完全装着状態より下方になる。
着脱動作を行う為に主軸ヘッド7AをZ軸方向に移動する時、Z軸モータ51Aのトルクの経時変化は装着状態に応じて変動する。該理由は主軸ヘッド7Aの移動時にレバー60Aの板カム体66Aがカムフォロア67Aに接触または離れる時機が主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態に応じて変化する為である。
図5(A)は装着動作時における主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置(横軸)とZ軸モータ51Aのトルク(縦軸)との関係を示すグラフである。図5(A)は工作機械1Aの振動等による影響を除くため、工作機械1Aの固有振動を除去可能なローパスフィルタによる処理を施してある。以降のグラフも同様である。横軸の基準0[mm]は、工具装着動作完了時の主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置に対応する。横軸の正方向は上方向に対応し、工具装着動作時に主軸ヘッド7Aは上方から下方に移動する。
曲線C11は装着動作後の装着状態が完全装着状態であることを示す。該時、装着動作により未装着状態から完全装着状態に切替わる。曲線C12は装着動作後の装着状態が異物付着状態であることを示す。該時、装着動作により未装着状態から異物付着状態に切替わる。曲線C13は装着動作後の装着状態が工具劣化状態であることを示す。該時、装着動作により未装着状態から工具劣化状態に切替わる。
図5(B)は装着動作時における主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置(横軸)とZ軸モータ51Aのトルクの時間微分値(以下、微分値と称す)(縦軸)との関係を示すグラフである。曲線C21は装着動作後の装着状態が完全装着状態である場合の微分値の変動を示す。曲線C22は装着動作後の装着状態が異物付着状態である場合の微分値の変動を示す。曲線C23は装着動作後の装着状態が工具劣化状態である場合の微分値の変動を示す。
図5(B)おいて、一回の装着動作時における微分値が最大となる場合の主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置(以下、ピーク位置と称す)は、曲線C23、曲線C21、曲線C22の順に大きくなる。装着状態の違いによるピーク位置の変動はホルダ把持部813Aがプルスタッド181Aを引張り上げて固定する位置に起因する。
数値制御装置30AのCPU31Aは装着動作時にZ軸モータ51Aのトルクを時系列で取得する。CPU31Aは取得したZ軸モータ51Aのトルクを時間微分して微分値を算出する。CPU31Aは微分値とZ軸モータ51Aの駆動で下降する主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置とを対応付けてRAM33Aに記憶する。CPU31AはRAM33Aが記憶する微分値の変動からピーク位置を決定する。CPU31Aは装着動作を実行する度に、決定したピーク位置を工具体40A毎に記憶装置34Aに順次記憶する。
CPU31Aは記憶装置34Aが記憶する工具4Aの使用回数が所定回数(第一実施形態では、100の倍数)に到達する度に該工具体40Aのピーク位置を統計処理して統計値を算出する。第一実施形態では、CPU31Aは前回統計処理してから今回統計処理するまでに記憶装置34Aに記憶したピーク位置の平均値と標準偏差を統計処理する。以下、統計処理して算出した平均値、標準偏差を統計値と総称する。又、今回統計処理した平均値、標準偏差、統計値を、夫々最新平均値μ、最新標準偏差σという。CPU31Aは統計処理した統計値を記憶装置34Aに記憶する。
CPU31Aは最新平均値μが記憶装置34Aに記憶した平均値の内で最大であるか否かを判定する。CPU31Aは最新平均値μが最大であると判定時、最新平均値μと最新標準偏差σを夫々特定平均値Μと特定標準偏差Σとして記憶装置34Aに記憶する。
図5(B)、図6の如く、装着状態が異物付着状態におけるピーク位置は完全装着状態のピーク位置より大きくなる。CPU31Aは装着動作時のピーク位置が、最新平均値μと最新標準偏差σの3倍との和(μ+3σ)より大きい場合、装着動作後の装着状態が異物付着状態であると判定する。以下、異物付着状態と判定する為の閾値(第一実施形態では、μ+3σ)を、異物付着閾値という。即ち第一実施形態では、CPU31Aは工具体40Aの装着動作を行う度に、装着状態が工具劣化状態であるか否かを判定する。
図5(B)、図7の如く、装着状態が工具劣化状態におけるピーク位置は完全装着状態のピーク位置より小さくなる。工具体40Aの装着を繰り返し行うことで頂上部183Aの下部は徐々に上側に凹む。故に、ピーク位置は工具4Aの使用回数の増加に応じて徐々に小さくなる。CPU31Aは最新平均値μが、特定平均値Μから特定標準偏差Σを引いた差(Μ-Σ)より小さい場合、装着動作後の装着状態が工具劣化状態であると判定する。即ち第一実施形態では、CPU31Aは最新平均値μを算出する時である工具4Aの使用回数が100の倍数に到達した時、装着状態が工具劣化状態であるか否かを判定する。以下、異物付着状態と判定する為の閾値(第一実施形態では、Μ-Σ)を、工具劣化閾値という。
<主処理>
図8~図10を参照し、主処理を説明する。工作機械1Aの電源を投入した時、CPU31AはROM32Aに記憶したプログラムを読出して実行することにより、主処理を開始する。主処理の開始時、主軸ヘッド7Aは最下位にある。
図8の如く、主処理が開始すると、CPU31Aは工具交換指令を受信したか否かを判定する(S1)。主軸9Aに装着する工具体40Aを交換する時、作業者は入力部24Aを操作する。入力部24Aは作業者の操作に応じてCPU31Aに工具交換指令を送信する。
作業者が工具体40Aを交換する為の操作を行わず、入力部24Aから工具交換指令を受信しない時(S1:NO)、CPU31Aは回数変更指令を受信したか否かを判定する(S2)。グリップアーム90Aが把持する工具4Aの使用回数を変更する時、作業者は入力部24Aを操作する。入力部24Aは作業者の操作に応じてCPU31Aに回数変更指令を送信する。作業者が工具4Aの使用回数を変更する為の操作を行わず、入力部24Aから回数変更指令を受信しない時(S2:NO)、CPU31Aは入力部24Aから受信した各種指令に応じた処理を実行し(S3)、処理をS1に戻す。
作業者が工具4Aの使用回数を変更する為の操作を行い、入力部24Aから回数変更指令を受信した時(S2:YES)、回数変更処理を実行する(S4)。回数変更処理において、CPU31Aは作業者の操作結果に応じて記憶装置34Aが記憶する工具4Aの使用回数を変更する。CPU31Aは変更後の使用回数が0であるか否かを判定する(S5)。変更後の使用回数が0でないと判定時(S5:NO)、CPU31Aは処理をS1に戻す。変更後の使用回数が0であると判定時(S5:YES)、CPU31Aはグリップアーム90Aが把持する工具体40Aを別の工具体40Aに付替えたと判定し、ピーク消去処理を実行する(S6)。ピーク消去処理において、CPU31Aは記憶装置34Aに記憶した工具体40Aに対応するピーク位置、統計値(最新平均値μ、最新標準偏差σ、特定平均値Μ、特定標準偏差Σ)を消去する。CPU31Aは処理をS1に戻す。
作業者が工具体40Aを交換する為の操作を行い、入力部24Aから工具交換指令を受信した時(S1:YES)、図9の如く、CPU31Aは主軸ヘッド7Aが最上位に達するまで上昇処理を実行する(S11)。上昇処理において、CPU31AはZ軸モータ51Aを回転し、主軸ヘッド7Aが上昇する。CPU31Aは主軸ヘッド7Aが最上位に達したか否かを判定する(S12)。主軸ヘッド7Aが最上位に達していないと判定時(S12:NO)、CPU31Aは処理をS11に戻す。CPU31Aは主軸ヘッド7Aが最上位に達する迄、S12の判定を所定周期で繰り返す。主軸ヘッド7Aが最上位に達したか否かは、エンコーダ511Aから取得したZ軸モータ51Aの回転角度に基づく主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置で判断する。
主軸ヘッド7Aが最上位に達したと判定時(S12:YES)、CPU31Aはマガジン回転処理を実行する(S14)。マガジン回転処理において、CPU31Aはマガジンモータ55Aを駆動して工具マガジン21Aを回転し、工具体40A(第二工具体)を工具交換位置に位置決めする。
CPU31Aは主軸ヘッド7Aが最下位に達するまで下降処理を実行する(S15)。下降処理において、CPU31AはZ軸モータ51Aを回転する。下降処理におけるZ軸モータ51Aの回転方向は上昇処理と逆方向である。故に主軸ヘッド7Aは下降をする。CPU31AはZ軸モータ51Aのトルクの取得を開始する(S16)。以降、CPU31Aは所定周期でZ軸モータ51Aのトルクを取得する。
CPU31Aは主軸ヘッド7Aが最下位に達したか否かを判定する(S21)。主軸ヘッド7Aが最下位に達したか否かは、エンコーダ511Aから取得したZ軸モータ51Aの回転角度に基づく主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置で判断する。主軸ヘッド7Aが最下位に達していないと判定時(S21:NO)、CPU31Aは新規でトルクを取得したか否かを判定する(S22)。新規でトルクを取得していない時(S22:NO)、CPU31Aは処理をS21に戻す。新規でトルクを取得した時(S22:YES)、CPU31Aは微分演算処理を実行する(S23)。微分演算処理において、CPU31Aは取得したトルクを時間微分して微分値を算出する。CPU31Aは微分値記憶処理を実行し(S24)、処理をS21に戻す。微分値記憶処理において、CPU31Aは微分演算した微分値と、エンコーダ511Aから取得したZ軸モータ51Aの回転角度に基づく主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置とを対応付けてRAM33Aに記憶する。CPU31Aは主軸ヘッド7Aが最下位に達する迄、S22からS24の処理を所定周期で繰り返し、微分値の変動をRAM33Aに記憶する。
主軸ヘッド7Aが最下位に達したと判定時(S21:YES)、主軸9Aは工具体40A(第二工具体)を装着している。CPU31AはS16で開始したトルクの取得を停止する(S26)。CPU31Aは状態監視処理を実行し(S27)、処理をS1(図8参照)に戻す。
図10を参照し、主処理で実行する状態監視処理(S27、図9参照)を説明する。状態監視処理が開始すると、CPU31Aは回数更新処理を実行する(S31)。回数変更処理において、CPU31Aは工具交換指令に応じて装着した工具体40A(第二工具体)の使用回数に1加算して記憶装置34Aに記憶する。
CPU31Aはピーク位置決定処理を実行する(S32)。ピーク位置決定処理において、CPU31AはRAM33Aに記憶した微分値の変動からピーク位置を決定する。CPU31Aはピーク位置記憶処理を実行する(S33)。ピーク位置記憶処理において、CPU31Aは決定したピーク位置と工具4Aの使用回数とを対応付けて記憶装置34Aに記憶する。
CPU31AはS32で決定したピーク位置が後述の統計値記憶処理(S44)で記憶装置34Aに記憶する異物付着閾値(μ+3σ)より大きいか否かを判定する(S34)。決定したピーク位置が異物付着閾値より大きいと判定時(S34:YES)、CPU31Aは装着動作後の装着状態が異物付着状態であると判定し、異物付着状態報知処理を実行する(S35)。異物付着状態報知処理において、CPU31Aは表示部25Aにより装着動作後の装着状態が異物付着状態であることを報知する。CPU31Aは処理を主処理(図9参照)に戻す。
決定したピーク位置が異物付着閾値より大きくないと判定時(S34:NO)、CPU31AはS31で更新した工具4Aの使用回数が所定回数(100の倍数)に達したか否かを判定する(S41)。工具4Aの使用回数が所定回数に達していないと判定時(S41:NO)、CPU31Aは処理を主処理に戻す。
工具4Aの使用回数が所定回数に達したと判定時(S41:YES)、CPU31Aは統計処理を実行する(S42)。統計処理において、CPU31Aは前回統計処理してから今回統計処理するまでに記憶装置34Aに記憶したピーク位置に基づき最新平均値μ、最新標準偏差σを算出する。CPU31Aは最新平均値μ、最新標準偏差σに基づき異物付着閾値を算出する(S43)。CPU31Aは統計値記憶処理を実行する(S44)。統計値記憶処理において、CPU31AはS42、S43で算出した最新平均値μ、最新標準偏差σ、異物付着閾値を記憶装置34Aに記憶する。
CPU31Aは最新平均値μが特定平均値Μより大きいか否かを判定する(S45)。最新平均値μが特定平均値Μより大きいと判定時(S45:YES)、CPU31Aは最新平均値μが記憶装置34Aに記憶した平均値の内で最大であるとし、特定平均値Μの値を最新平均値μの値に、特定標準偏差Σの値を最新標準偏差σの値に夫々更新する。CPU31Aは特定平均値Μ、特定標準偏差Σに基づき工具劣化閾値(Μ-Σ)を算出する(S46)。CPU31Aは特定統計値記憶処理を実行し(S47)、処理を主処理に戻す。特定統計値記憶処理において、CPU31AはS42、S43で算出した特定平均値Μ、特定標準偏差Σ、工具劣化閾値を記憶装置34Aに記憶する。
最新平均値μが特定平均値Μより大きくないと判定時(S45:NO)、CPU31Aは最新平均値μが工具劣化閾値より小さいか否かを判定する(S48)。最新平均値μが工具劣化閾値より小さいと判定時(S48:YES)、CPU31Aは装着動作後の装着状態が工具劣化状態であると判定し、工具劣化状態報知処理を実行して(S49)、処理を主処理に戻す。工具劣化状態報知処理において、CPU31Aは表示部25Aにより装着動作後の装着状態が工具劣化状態であることを報知する。最新平均値μが工具劣化閾値より小さくないと判定時(S48:NO)、CPU31Aは処理を主処理に戻す。
<第一実施形態の作用、効果>
数値制御装置30Aは装着機構(主軸ヘッド7A、レバー60A等)の駆動源であるZ軸モータ51Aのトルクを時系列で取得する(S16)。数値制御装置30Aは取得したトルクを時間微分し、微分値を導出する(S23)。数値制御装置30Aは微分値と主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置とを対応付けて微分値の変動をRAM33Aに記憶する(S24)。数値制御装置30Aは微分値の変動からピーク位置を決定する(S32)。数値制御装置30Aはピーク位置を工具体40A毎に記憶装置34Aに記憶する(S33)。数値制御装置30Aはピーク位置を統計処理し、統計値(最新平均値μ、最新標準偏差σ等)を算出する(S42)。数値制御装置30Aは算出した統計値に基づき装着動作後の装着状態が不完全装着状態(異物付着状態、工具劣化状態)であるか否かを判定する(S34、S48)。該時の判断結果はモータの駆動電流値を閾値と比較することによる判断結果と比べ、工作機械の個体差や経年変化による影響を受け難い。故に、数値制御装置30Aは主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態を、従来よりも精度よく判定できる。
数値制御装置30Aは工具4Aの使用回数を記憶装置34Aに記憶する(S31)。数値制御装置30Aは算出した統計値を記憶装置34Aに記憶する(S44、S47)。数値制御装置30Aは工具4Aの使用回数が所定回数に達する毎に、最新平均値μを演算する(S42)。数値制御装置30Aは記憶装置34Aに記憶した最新平均値μに基づき不完全装着状態であるかを判定する。該時の判定結果はモータの駆動電流値を閾値と比較することによる判断結果と比べ、経年変化による影響を更に受け難い。故に、数値制御装置30Aは主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態を更に精度よく判定できる。
不完全装着状態は異物付着状態を含む。数値制御装置30Aは今回の装着動作時に決定した最新のピーク位置と、最新平均値μに基づく異物付着閾値とに基づき装着動作後の装着状態が異物付着状態と判定する(S34)。装着状態が異物付着状態である時、今回装着動作時のピーク位置が統計値である最新平均値μに対して大きく変動する。故に、数値制御装置30Aは主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態を更に精度よく判定できる。
数値制御装置30Aはピーク位置を統計処理し、最新平均値μと併せて最新標準偏差σを算出する。数値制御装置30Aは最新平均値μと最新標準偏差σとに基づき異物付着閾値(μ+3σ)を算出する(S43)。数値制御装置30Aは異物付着状態を更に精度よく判定できる。
不完全装着状態は工具劣化状態を含む。数値制御装置30Aは最新平均値μが記憶装置34Aに記憶した平均値の内で最大であるか否かを判定する(S45)。最新平均値μが記憶装置34Aに記憶した平均値の内で最大であると判定時、数値制御装置30Aは最新平均値μを特定平均値Μとして記憶装置34Aに記憶する(S47)。数値制御装置30Aは最新平均値μと、特定平均値Μに基づく工具劣化閾値とに基づき装着動作後の装着状態が工具劣化状態と判定する(S48)。工具体40Aの装着動作を繰り返すことに応じて最新平均値μが特定平均値Μから徐々に変動することで装着状態が工具劣化状態に至る。故に、数値制御装置30Aは主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態を更に精度よく判定できる。
数値制御装置30Aはピーク位置を統計処理し、最新平均値μと併せて最新標準偏差σを算出する。最新平均値μが記憶装置34Aに記憶した平均値の内で最大であると判定時、数値制御装置30Aは最新標準偏差σを特定標準偏差Σとして記憶する(S47)。数値制御装置30Aは特定平均値Μと特定標準偏差Σとに基づき工具劣化閾値(Μ-Σ)を算出する(S46)。数値制御装置30Aは工具劣化状態を更に精度よく判定できる。
数値制御装置30Aは前回統計処理した後記憶装置34Aに記憶した所定数(100個)のピーク位置を統計処理する。統計処理するピーク位置の数を限定するので、数値制御装置30Aは主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態を効率よく判定できる。
数値制御装置30Aは回数変更処理を行った結果、記憶装置34Aに記憶する工具4Aの使用回数が0回であるか否かを判定する(S5)。工具4Aの使用回数が0回と判定時、グリップアーム90Aが把持する工具体40Aを別の工具体40Aに付替えたとして、CPU31Aは記憶装置34Aに記憶した工具体40Aに対応するピーク位置を消去する(S6)。数値制御装置30Aは付替前の工具体40Aに係るピーク位置と、付替後の工具体40Aに係るピーク位置を混ぜて統計処理を行わないので、主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態を更に精度よく判定できる。
工作機械1Aは装着機構として、レバー60Aを備える。数値制御装置30Aは所謂タレット式の工作機械1Aについて、装着状態を精度よく判定できる。
工作機械1Aは装着機構として、主軸ヘッド7Aを備える。数値制御装置30AはZ軸モータ51Aの回転で主軸ヘッド7AをZ軸方向に移動して、主軸9Aに対して工具体40Aを装着する。数値制御装置30Aは微分値と主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置とを対応付けてRAM33Aに記憶する(S24)。数値制御装置30Aは所謂タレット式の工作機械1Aについて、装着状態を精度よく判定できる。
<第一実施形態の特記事項>
数値制御装置30Aは工具体40Aの交換動作時の装着動作以外の時機でトルクを取得してもよい。数値制御装置30Aは取得したトルクを例えば主軸ヘッド7AのZ軸方向の位置で微分してもよい。数値制御装置30Aがトルクを微分する階数は適宜変更してもよい。数値制御装置30Aは微分値の変動における極大値からピーク位置を決定してもよい。
数値制御装置30Aは装着動作後の装着状態が異物付着状態、工具劣化状態以外の不完全装着状態であるか否かを判定してもよい。数値制御装置30Aは主軸9Aから工具体40Aを脱離する時に主軸9Aに対する工具体40Aの装着状態を判定してもよい。
数値制御装置30Aは平均値、標準偏差以外の統計値を導出してもよい。例えば、数値制御装置30Aは所定数のピーク位置からピーク位置の中央値を導出し、今回装着動作時に決定したピーク位置がピーク位置の中央値を基準として所定の範囲内にあるか否かに基づき装着状態を判定してもよい。数値制御装置30Aは統計処理する工具4Aの使用回数を適宜変更してもよい。数値制御装置30Aは工具4Aの使用回数が所定回数に達した時に記憶装置34Aに記憶するピーク位置、統計値を適宜消去してもよい。数値制御装置30Aは工具4Aの使用回数に代わり、工具4Aの使用時間を記憶してもよい。数値制御装置30Aは標準偏差を用いずに、平均値と別途求めた所定の値を用いて異物付着閾値及び工具劣化閾値を求めても良い。
数値制御装置30AはZ軸モータ51Aのトルクの代わりに、外乱オブザーバが推定した推定外乱力を用いても良い。推定外乱力を用いることで、Z軸モータ51Aの加減速の影響を受けずに、工具体40Aの着脱動作に必要なZ軸モータ51Aのトルクを推定できる。
CPU31Aが主処理を実行する為の指令を含むプログラムはCPU31Aがプログラムを実行する迄に数値制御装置30Aの記憶機器に記憶すればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は適宜変更してもよい。CPU31Aが実行するプログラムはケーブル又は無線通信を介して他の装置から受信し、不揮発性メモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えばPC、ネットワーク網を介して数値制御装置30Aと接続するサーバを含む。
主処理の各ステップについて、CPU31Aが実行する例に限定せず、他の電子機器(例えば、ASIC)が一部又は全部を実行してもよい。複数の電子機器(例えば、複数のCPU)が主処理の各ステップを分散処理してもよい。主処理の各ステップは適宜順序の変更、ステップの省略、及び追加してもよい。実施形態で挙げた各種数値は単なる例示であり、適宜変更できる。
工作機械1Aの構成は適宜変更してもよい。例えば、工作機械1Aはテーブル13Aを基台2Aに固定して設け、主軸9Aがテーブル13Aに対してX軸方向又はY軸方向に移動可能な構成でもよい。
第一実施形態において、Z軸モータ51Aは本発明のモータの一例である。S16を実行するCPU31Aは本発明の取得部の一例である。S23を実行するCPU31Aは本発明の微分演算部の一例である。S24を実行するCPU31Aは本発明の第一記憶部の一例である。S32を実行するCPU31Aは本発明の決定部の一例である。S33を実行するCPU31Aは本発明の第二記憶部の一例である。S42を実行するCPU31Aは本発明の統計処理部の一例である。S34、S48を実行するCPU31Aは本発明の状態判定部の一例である。S31を実行するCPU31Aは本発明の第三記憶部の一例である。S44を実行するCPU31Aは本発明の第四記憶部の一例である。S45を実行するCPU31Aは本発明の最大判定部の一例である。S47を実行するCPU31Aは本発明の第五記憶部の一例である。グリップアーム90Aは本発明の支持部の一例である。S5を実行するCPU31Aは本発明の付替判定部の一例である。クランプ軸81Aは本発明の装着部の一例である。
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態を説明する。以下説明は図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。図11に示す工作機械1Bの左右方向、前後方向、上下方向は、夫々、工作機械1BのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。工作機械1Bは主軸7B(図14参照)に装着した工具体40A(図2参照)の工具4A(図2参照)を回転し、回転台11Bに固定した被削材に切削加工を施す機械である。数値制御装置50B(図17参照)は工作機械1Bの動作を制御する。
<工作機械1Bの概要>
図11~図16を参照し、工作機械1Bの構造を説明する。工作機械1Bは基台部2B、立柱5B、主軸ヘッド6B、主軸7B、工作台装置10B、工具交換装置40B(以下、ATC装置40Bと呼ぶ)等を備える。
基台部2Bは平面視略矩形状の鉄製部材であり、上面後部側に台座部20Bを備える。台座部20BはX軸モータ21B(図17参照)、Y軸モータ24B(図17参照)等を備える。台座部20Bは立柱5BをX軸方向とY軸方向に移動可能に支持する。X軸モータ21B、Y軸モータ24Bの駆動により、立柱5Bは基台部2Bに対してX軸方向とY軸方向に移動する。立柱5Bは前面にZ軸移動機構103Bを備える。Z軸移動機構103Bは主軸ヘッド6BをZ軸方向に移動可能に支持する。工作台装置10Bは基台部2Bの台座部20B前方に設ける。工作台装置10Bは上部に回転台11Bを備える。回転台11Bは回転台モータ(図示略)の駆動によりZ軸方向に平行な回転軸線を中心に回転可能に設ける。被削材は回転台11Bに固定する。
<主軸ヘッド6B>
図14の如く、主軸ヘッド6Bは内部に主軸7Bを回転可能に支持する。主軸7BはZ軸方向に延びる。主軸ヘッド6Bは上部に主軸モータ8Bを固定する。主軸モータ8Bの駆動軸は主軸7Bに連結する。主軸7Bは装着穴(図示略)、クランプ機構部(図示略)、ドローバ70B等を備える。装着穴は主軸7B下端部に設ける。主軸7B下端部は所定位置に凸状のキー(図示略)を有する。キーは工具4Aを保持する工具ホルダ17Aと係合可能である。クランプ機構部は主軸7Bの中心を通る軸穴(図示略)内で且つ装着穴上方に設ける。ドローバ70Bは主軸7Bの軸穴内に同軸上に挿入する。ドローバ70Bはバネ(図示略)で上方に常時付勢する。バネは弾性力により工具体40Aの工具ホルダ17Aを主軸7Bの装着穴に固定する。装着穴に工具ホルダ17Aを装着すると、クランプ機構部は工具ホルダ17Aを装着する。ドローバ70Bがクランプ機構部を下方に押圧すると、クランプ機構部は工具ホルダ17Aを主軸7Bから脱離する。
主軸ヘッド6Bは後方上部内側に揺動腕部材60Bを備える。揺動腕部材60Bは略L字型で支軸61Bを中心に揺動自在である。支軸61Bは主軸ヘッド6B内部を左右方向に延び、主軸ヘッド6Bの左右両側壁に固定する。揺動腕部材60Bは縦腕部63Bと横腕部62Bを備える。縦腕部63Bは支軸61Bから立柱5B側に対して斜め上方に延びる。横腕部62Bは支軸61Bから前方に略水平に延びる。ピン71Bはドローバ70Bに直交して突設する。横腕部62Bの先端部621は二股状に形成し、ドローバ70Bは先端部621の間に配置する。先端部621はピン71Bに上方から係合可能である。揺動腕部材60Bを左側方から見た時、引張バネ(図示略)は揺動腕部材60Bを反時計回りに常時付勢する。故に揺動腕部材60Bは横腕部62Bによるピン71Bの下方向への押圧を常時解除する。
図14、図15の如く、主軸ヘッド6Bは該上部且つATC装置40B側にロッド支持部91Bを備える。ロッド支持部91Bはプッシュロッド92Bを前後方向に移動可能に支持する。プッシュロッド92Bは前後方向に延びる。揺動腕部材60Bの縦腕部63Bは上端部右側面に当接部631を備える。当接部631はプッシュロッド92B前端部に当接し、引張バネで常時後方に付勢する。故にプッシュロッド92B後端部はロッド支持部91Bから後方に向けて所定距離だけ常時突出する。プッシュロッド92B後端部を前方に押圧すると、揺動腕部材60Bは支軸61Bを中心に時計回り(左側面視)に揺動し、引張バネの付勢力に抗してドローバ70Bを押し下げる。クランプ機構部は工具ホルダ17Aを脱離する。工具体40Aは主軸7Bの装着穴から脱離可能となる。
<ATC装置40B>
ATC装置40Bは所謂アーム式の交換装置である。図11の如く、ATC装置40Bは支柱31B、32Bで主軸ヘッド6Bの右側方に支持する。ATC装置40Bは数値制御装置50Bからの制御信号を受け、主軸7Bの装着穴に装着する工具体40A(第一工具体201)を後述するNCプログラムで指定した他の工具体40A(第二工具体202)と入替え交換する。ATC装置40Bは本体部401Bと工具マガジン41B等を備える。
図11~図16の如く、本体部401Bは略直方体状であり、支柱31B、32Bで支持する。本体部401Bは操作部材47B、旋回軸43B、工具交換アーム44B、ATCモータ45B、ATC駆動軸46B、揺動レバー22B、23B等を備える。操作部材47Bは本体部401B内部に設け、Z軸方向に対して略平行に延びる棒状部材である。操作部材47B上端部は本体部401B上面に設けた開口部(図示略)から上方に突出する。操作部材47B下端部は揺動軸49Bを中心に揺動可能に軸支する。揺動軸49Bは本体部401B内部を左右方向に延び、本体部401Bの左右両側壁に固定する。故に操作部材47B上端部は揺動軸49Bを中心に前後方向に移動可能である。操作部材47BがZ軸方向に平行に延びる姿勢は基本姿勢である。操作部材47Bは上端部左側面に当接部48Bを備える。当接部48Bは左側方に突出する略円筒形状である。工具交換を行う為、主軸ヘッド6Bが図12に示す位置(工具交換位置と称す)に移動した時、プッシュロッド92B後端部は当接部48B前方に位置する(図15参照)。
旋回軸43Bは本体部401B下部から下方に突出する円筒状に形成し、本体部401Bは旋回軸43Bを軸線回りに回転可能に支持する。旋回軸43BはZ軸方向に平行に延び且つ、上端部にスプライン15Bとスプライン副軸17Bを備える。スプライン15Bは段付孔16Bを備える。段付孔16Bはスプライン15Bの軸線に沿って所定深さを有する。支持部材39Bは長軸状に形成し、本体部401B上部に固定した上部機械フレーム38Bに固定する。支持部材39Bは段付孔16Bの上段に配設したブッシュ(図示略)を介して段付孔16Bに挿入する。
スプライン副軸17Bは円筒状に形成し、スプライン15Bの外側に装着する。スプライン15Bはスプライン副軸17Bの内側を上下方向に移動可能である。軸受75B、76Bは本体部401Bの上方に固定し、スプライン副軸17Bを回転可能に支持する。故に旋回軸43Bは本体部401Bに対して支持部材39Bを中心に回転する。スプライン副軸17Bは外周にフランジ部171を備える。フランジ部171は上下面に従動ローラ182、183の軸を固定する。旋回軸43Bは軸方向中央部に円筒部34Bを同軸上に備える。円筒部34Bは外周面に円周溝342を有する。円筒部34Bを上下方向に移動すると、旋回軸43Bは支持部材39Bに沿って上下方向に移動する。
本体部401B内部の下部は外軸ギヤ431Bを備える。外軸ギヤ431Bは中央に開口を有し、該開口に旋回軸43Bを挿入する。旋回軸43Bは外軸ギヤ431Bに対して上下に移動可能である。旋回軸43Bが後述する上死点に移動した時、外軸ギヤ431Bは工具交換アーム44Bに嵌合し、外軸ギヤ431Bの回転に伴い工具交換アーム44Bは回転する。旋回軸43Bが上死点から下方に移動した時、外軸ギヤ431Bは工具交換アーム44Bから離れ、外軸ギヤ431Bが回転しても工具交換アーム44Bは回転しない。外軸ギヤ431Bは上端部の外周に歯部432Bを備える。本体部401B内部の下部はセグメントギヤ66Bを回転可能に支持する。歯部432Bは、セグメントギヤ66Bに噛合する。セグメントギヤ66Bは揺動子571Bを支持する。揺動子571Bは円柱部37B下面に設けた平面溝カム33Bに従動する。
工具交換アーム44Bは旋回軸43B下端部に直交し且つ水平方向に延びる。工具交換アーム44Bは外軸ギヤ431Bの回転に応じて回転し、且つ旋回軸43Bの上下動に応じて上死点から下死点までの間を上下に移動する。工具交換アーム44Bは両端部に把持部441、442を備える。詳述しないが、把持部441、442は、例えば平面視C状に形成し、且つ工具体40Aの工具ホルダ17Aに嵌り工具ホルダ17Aを把持する。工具交換アーム44Bは把持部441、442が把持した工具ホルダ17Aを固定するロック機構(図示略)を備え、ATCモータ45Bの回転角度に応じて工具ホルダ17Aの固定及び固定の解除を行う。故に把持部441、442は工具体40Aを着脱可能に把持する。
本体部401Bは上面の前後方向略中央部に箱450を固定する。箱450は底壁が開口し、該開口周囲に軸受27Bを固定する。箱450上部はATCモータ45Bを固定し、上壁に設けた開口からATCモータ45Bの出力軸451Bが下方に突出する。ATC駆動軸46Bは旋回軸43Bの後方に設け、且つ旋回軸43Bと平行に上下方向に延びる。軸受27Bと軸受28BはATC駆動軸46Bを回転自在に支持する。軸受28Bは本体部401B底壁に固定する。ATC駆動軸46B上端部は箱450内部でカップリング45Cを介して出力軸451Bと連結する。ATC駆動軸46Bは軸方向中央部に円柱部37Bを同軸上に備える。円柱部37Bは外周面に溝カム371Bと溝カム372Bを備える。
本体部401Bは内部に揺動レバー22Bの一端部に設けた支持点221Bを揺動可能に支持する。揺動レバー22Bは長軸状に形成し、その中央部に設けた係合子222Bは溝カム372Bに係合する。揺動レバー22Bの他端部に設けた接触子223Bは、円筒部34Bに設けた円周溝342に係合する。故にATC駆動軸46Bが一回転すると、揺動レバー22Bは溝カム372Bに従動して揺動し、旋回軸43Bと工具交換アーム44Bは軸方向に一往復する。揺動レバー23Bは長軸状に形成し、長さ方向一端部は溝カム371Bに係合する。揺動レバー23Bの他端部は、操作部材47Bに回転可能に軸支する。故にATC駆動軸46Bが回転すると、揺動レバー23Bは溝カム371Bに従動して揺動することに依り、操作部材47Bを基本姿勢の状態から前方に揺動する。上記の通り、操作部材47Bがプッシュロッド92B後端部を前方に押圧すると、工具ホルダ17Aは主軸7Bの装着穴から脱離可能となる。
ATC駆動軸46Bは軸方向上部に円柱状のパラレルカム59Bを同軸上に備える。パラレルカム59Bは鍔状の板カム591B、592Bを有する複合カムである。板カム591B、592Bはスプライン副軸17Bの従動ローラ182、183に夫々当接する。故にATC駆動軸46Bが回転し、板カム591B,592Bと従動ローラ182,183が当接する時、工具交換アーム44Bは回転する。
工具マガジン41Bは本体部401B右側面に固定し、側面視Y軸方向に長い略楕円形状である。工具マガジン41Bは内側に略楕円形状の工具通路を有し、該工具通路内に沿って複数の工具ポット411を収納する。工具ポット411は工具ホルダ17Aを着脱可能に装着する。工具マガジン41Bは下部前側に工具交換部(図示略)を備える。工具交換部は下方へ開口する。マガジンモータ42Bは工具マガジン41B上部前側に固定する。複数の工具ポット411はマガジンモータ42Bの駆動で工具通路内を移動する。数値制御装置50Bはマガジンモータ42Bを駆動し、第二工具体202(図18参照)を装着する工具ポット411を工具交換部に搬送する。本実施形態にて、第一工具体201(図18参照)は主軸7Bに現在装着し且つATC装置40Bによる工具交換時に主軸7Bから脱離する工具体に対応する。第二工具体202はATC装置40Bによる工具交換後、第一工具体201の代わりに主軸7Bに装着する工具体に対応する。
<電気的構成>
図17を参照し、数値制御装置50Bと工作機械1Bの電気的構成を説明する。数値制御装置50BはCPU51B、ROM52B、RAM53B、記憶装置54B、入力インタフェイス55B、出力インタフェイス56B等を備える。CPU51Bは数値制御装置50Bを統括制御する。ROM52Bは各種プログラムを記憶する。RAM53Bは処理実行中の各種データを記憶する。記憶装置54Bは不揮発性メモリであり、NCプログラムの他、各種データを記憶する。NCプログラムは複数のブロックで構成し、各ブロックは工具交換指令等の少なくとも一つの指令を含む。又、記憶装置54Bは工具ポット411が装着する工具体40Aの種類(ドリル、タップ等)、該工具体40Aの工具4Aの使用回数、後述するピーク角度等を工具体40A毎に付された工具番号と対応付けて記憶する。工具4Aの使用回数はATC装置40Bによる工具体40Aの交換動作時に1加算し、工具体40Aを別の工具体40Aに付替えた時に0とする。なお、同一のグリップアーム90Aに付替える工具体40Aは、付替える前と同種の工具4A及び同種の工具ホルダ17Aから構成されるものとする。
工作機械1Bは入力部82B、表示部90B、エアシリンダ88B等を更に備える。入力部82Bと表示部90Bは操作パネル(図示略)に設ける。入力部82Bは各種入力を受付ける。表示部90Bは各種画面を表示する。エアシリンダ88BはATC装置40Bに設ける。エアシリンダ88Bは工具ポット411を後述の垂直姿勢と水平姿勢との間で昇降するポット昇降機構(図示略)の駆動源である。工具ポット41Aは垂直姿勢の時、主軸ヘッド6Bが工具交換位置にある時の主軸7Bに対して左方に位置する。入力部82Bは入力インタフェイス55Bに電気的に接続する。エアシリンダ88B、表示部90Bは出力インタフェイス56Bに電気的に接続する。
Z軸モータ19B、主軸モータ8B、X軸モータ21B、Y軸モータ24B、マガジンモータ42B、ATCモータ45Bは出力インタフェイス56Bに電気的に接続する。Z軸モータ19B、主軸モータ8B、X軸モータ21B、Y軸モータ24B、マガジンモータ42B、ATCモータ45Bは出力インタフェイス56Bが出力するパルス信号に応じて回転するサーボモータである。Z軸モータ19Bはエンコーダ19Cを備える。主軸モータ8Bはエンコーダ8Cを備える。X軸モータ21Bはエンコーダ21Cを備える。Y軸モータ24Bはエンコーダ24Cを備える。マガジンモータ42Bはエンコーダ42Cを備える。ATCモータ45Bはエンコーダ45Dを備える。エンコーダ19C、8C、21C、24C、42C、45DはZ軸モータ19B、主軸モータ8B、X軸モータ21B、Y軸モータ24B、マガジンモータ42B、ATCモータ45Bの回転角度を夫々検出する。エンコーダ19C、8C、21C、24C、42C、45Dは入力インタフェイス55Bに電気的に接続する。
<工具体40Aの着脱、工具交換動作>
図18、図19を参照し、工具交換動作を説明する。CPU51Bは主軸ヘッド6Bを工具交換位置(図12参照)に移動する。プッシュロッド92B後端部は当接部48B前方に離間して位置する。該時のATC駆動軸46Bの回転角度を0°と称す。工具交換アーム44Bは上下方向において上死点に位置し、回転方向において待機位置に位置する。待機位置は把持部441、442が主軸7Bと工具交換部の中間に配置する位置である。図18(1)(2)の如く、CPU51Bは第二工具体202を装着する工具ポット411を水平状態から垂直下方に90°倒すことに依り、第二工具体202を工具交換部の開口から下降する。工具ポット411は垂直状態となる。CPU51BはATCモータ45Bの駆動を開始する。
図19の如く、ATCモータ45Bは時機T0で駆動を開始し、ATC駆動軸46Bを正転する。平面溝カム33Bは正転し、揺動子571Bを介してセグメントギヤ66Bと外軸ギヤ431Bが回転する。旋回軸43Bは時機T1で第一方向(平面視反時計回り)に回転を開始する。旋回軸43Bの回転に依り、工具交換アーム44Bは待機位置から第一方向に回転する。以下、工具交換アーム44Bが待機位置から第一方向に回転した時の角度を、旋回角度と称す。
ATC駆動軸46Bの回転に伴い、揺動レバー23Bが揺動し、操作部材47Bは前方に揺動する。故に操作部材47Bの当接部48Bはプッシュロッド92B後端部に当接し前方に押圧する。プッシュロッド92Bは前方に移動し、揺動腕部材60Bの当接部631を前方に付勢する。揺動腕部材60Bは引張バネの付勢力に抗して支軸61Bを中心に右側面視時計回りに回転を開始する。揺動腕部材60Bの傾斜角度は3.7°から0°に向けて変化する(時機T2)。該時、横腕部62Bはピン71Bに対して上方から係合し、主軸7B内部に設けたバネの付勢力に抗してドローバ70Bを下方に押圧する。ドローバ70Bはクランプ機構部を下方に付勢する。
ATC駆動軸46Bの回転角度が60°に達した時(時機T3)、工具交換アーム44Bの旋回角度は70°に達する。図18(3)の如く、把持部441は主軸7Bに装着する第一工具体201を把持し、把持部442は工具交換部に位置する第二工具体202を把持する。図19の如く、時機T3~T6の間、板カム591B、592Bは従動ローラ18A、18Bから離れ、工具交換アーム44Bの旋回角度は70°で維持する。
ATC駆動軸46Bの回転角度が80°に達した時(時機T4)、図18(4)の如く、主軸7B内部のクランプ機構部から第一工具体201が抜ける。工具交換アーム44Bは上死点から下死点に向けて下降を開始する。ATC駆動軸46Bの回転角度が90°位置に達した時(時機T5)、揺動腕部材60Bの傾斜角度は0°となり、第一工具体201と第二工具体202は主軸7Bと工具ポット411から下方に脱離する。
時機T6で、板カム591B、592Bは従動ローラ18A、18Bに当接し、旋回軸43Bは旋回角度70°から再び第一方向に回転を開始する。工具交換アーム44Bは第一工具体201及び第二工具体202を把持した状態で、下死点に向けて下降しながら回転する。ATC駆動軸46Bの回転角度が130°の時(時機T7)、工具交換アーム44Bは下死点に達する。ATC駆動軸46Bの回転角度が230°の時(時機T8)、工具交換アーム44Bは下死点から上死点に向けて、回転しながら上昇を開始する。ATC駆動軸46Bの回転角度が260°の時(時機T9)、工具交換アーム44Bの旋回角度は250°となる。図18(5)の如く、第一工具体201と第二工具体202の夫々の位置は互いに入替わる。第二工具体202は主軸7Bの下方に配置し、第一工具体201は工具交換部の工具ポット411の下方に配置する。板カム591B、592Bは従動ローラ18A、18Bから離れ、工具交換アーム44Bの旋回角度は250°で維持する。工具交換アーム44Bは上死点に向けて上昇し続ける。該時、第二工具体202は主軸7Bの装着穴に挿入し、第一工具体201は工具ポット411に挿入する。
ATC駆動軸46Bの回転角度が270°に達した時(時機T10)、操作部材47Bは後方に揺動し始め、プッシュロッド92Bは後方に移動する。揺動腕部材60Bは引張バネの付勢力で支軸61Bを中心に右側面視反時計回りに回転を開始し、傾斜角度は0°から3.7°に向けて変化する。ATC駆動軸46Bの回転角度が280°位置に達した時(時機T11)、図18(6)の如く、工具交換アーム44Bは上死点に達する。第二工具体202は主軸7Bの装着穴に装着し、第一工具体201は工具ポット411に装着する。工具ホルダ17Aは主軸7B下端のキーに係合し、第二工具体202は主軸7Bの装着穴に装着する。
ATC駆動軸46Bの回転角度が300°に達した時(時機T12)、揺動子571Bが平面溝カム33Bに沿って所定方向に揺動する。揺動子571Bに従動するセグメントギヤ66Bは回転し、該セグメントギヤ66Bに歯部432Bを介して噛合する外軸ギヤ431Bは回転する。外軸ギヤ431Bの回転に伴い、工具交換アーム44Bは逆転して第二方向(平面視時計回り)に回転する。ATC駆動軸46Bの回転角度が330°に達した時(時機T13)、揺動腕部材60Bの傾斜角度は3.7°に戻る。ATC駆動軸46Bの回転角度が350°に到達した時(時機T14)、工具交換アーム44Bは旋回角度が180°の状態で回転を停止する。ATC駆動軸46Bの回転角度が360°に到達した時、CPU51BはATCモータ45Bを停止する。図18(8)の如く、CPU51Bは工具マガジン41Bの工具交換部に位置する工具ポット411を垂直姿勢から水平姿勢に戻して上昇する。以上により、工具交換動作は完了する。主軸7Bに工具体40Aを装着する時のATC駆動軸46B、揺動腕部材60B、ドローバ70B、クランプ機構部の動作を、装着動作と称す。
<装着状態の判定方法>
主軸7Bに対する工具体40Aの装着状態は、第一実施形態と同様、未装着状態、完全装着状態、不完全装着状態(異物付着状態、工具劣化状態)の何れかである。図20(A)は、ATC駆動軸46Bの回転角度(横軸)とATCモータ45Bのトルク(縦軸)との関係を示すグラフである。
図20(B)は装着動作時にATC駆動軸46Bを280°から320°迄回転した時のATC駆動軸46Bの回転角度(横軸)とATCモータ45Bのトルク(縦軸)との関係を示す。曲線C31は装着動作後の装着状態が完全装着状態であることを示す。曲線C32は装着動作後の装着状態が異物付着状態であることを示す。曲線C33は装着動作後の装着状態が工具劣化状態であることを示す。
図20(C)は装着動作時にATC駆動軸46Bを280°から320°迄回転した時のATC駆動軸46Bの回転角度(横軸)とATCモータ45Bのトルクの時間微分値(縦軸)との関係を示す。曲線C41は装着動作後の装着状態が完全装着状態である場合の微分値の変動を示す。曲線C42は装着動作後の装着状態が異物付着状態である場合の微分値の変動を示す。曲線C43は装着動作後の装着状態が工具劣化状態である場合の微分値の変動を示す。一回の装着動作時における微分値が最大となる場合のATC駆動軸46Bの回転角度(以下、ピーク角度と称す)は、曲線C42、曲線C41、曲線C43の順に大きくなる。装着状態の違いによるピーク角度の変動は装着動作に起因する。
第一実施形態と同様に、数値制御装置50BのCPU51Bは装着動作時にATCモータ45Bのトルクを時系列で取得する。CPU51BはATCモータ45Bのトルクを時間微分して微分値を算出する。CPU51Bは微分値とATC駆動軸46Bの回転角度とを対応付けてRAM53Bに記憶する。CPU51BはRAM53Bに記憶した微分値の変動から装着動作時に微分値が最大を示すピーク角度を決定する。CPU51Bは装着動作を実行する度に、決定したピーク角度を工具体40A毎に記憶装置54Bに順次記憶する。
CPU51Bは記憶装置54Bに記憶する工具4Aの使用回数が所定回数(第二実施形態では、100の倍数)に到達する度に該工具体40Aのピーク角度を統計処理して統計値を算出する。第一実施形態と同様に、CPU51Bは前回統計処理してから今回統計処理するまでに記憶装置54Bに記憶したピーク角度に基づき統計値(最新平均値ν、最新標準偏差τ)を算出する。CPU51Bは統計処理した統計値を記憶装置54Bに記憶する。CPU51Bは最新平均値νが記憶装置54Bに記憶した平均値の内で最大であるか否かを判定する。CPU51Bは最新平均値νが最大であると判定時、最新平均値νと最新標準偏差τを夫々特定平均値Νと特定標準偏差Τとして記憶装置54Bに記憶する。
図20(C)、図21の如く、装着状態が異物付着状態におけるピーク角度は完全装着状態のピーク角度より小さくなる。CPU51Bは装着動作時のピーク角度が、異物付着閾値(第二実施形態では、最新平均値νから最新標準偏差τの3倍を引いた差)より小さい場合、装着動作後の装着状態が異物付着状態であると判定する。即ち、CPU51Bは工具体40Aの装着動作を行う度に、装着状態が工具劣化状態であるか否かを判定する。
図20(C)、図22の如く、装着状態が工具劣化状態におけるピーク角度は完全装着状態のピーク角度より大きくなる。ピーク角度は工具4Aの使用回数の増加に応じて徐々に大きくなる。CPU51Bは最新平均値νが、工具劣化閾値(第二実施形態では、特定平均値Νと特定標準偏差Τの和)より大きい場合、装着動作後の装着状態が工具劣化状態であると判定する。即ち、CPU51Bは工具4Aの使用回数が100の倍数に到達した時、装着状態が劣化状態であるか否かを判定する。
<主処理>
図8、図23、図24を参照し、主処理を説明する。工作機械1Bの電源を投入した時、CPU51BはROM52Bに記憶したプログラムを読出して実行することにより、主処理を開始する。該時での装着状態は未装着状態又は完全装着状態の何れかであり、ATC駆動軸46Bの回転角度が0°であることを前提とする。以下説明では、第一実施形態の主処理と同様の処理は説明を省略し、第一実施形態と異なる処理について説明する。工具交換指令に応じて工具交換動作を行う迄の処理は第一実施形態の主処理と同様であるので、図8を参照し説明する。
図8の如く、主処理が開始すると、CPU51Bは工具交換指令を受信したか否かを判定する(S1)。主軸7Bに装着する工具体40Aを交換する時、作業者は入力部82Bを操作する。入力部82Bは作業者の操作に応じてCPU51Bに工具交換指令を送信する。
作業者が工具体40Aを交換する為の操作を行わず、入力部82Bから工具交換指令を受信しない時(S1:NO)、CPU51Bは回数変更指令を受信したか否かを判定する(S2)。グリップアーム90Aが把持する工具4Aの使用回数を変更する時、作業者は入力部82Bを操作する。入力部82Bは作業者の操作に応じてCPU51Bに回数変更指令を送信する。作業者が工具4Aの使用回数を変更する為の操作を行わず、入力部82Bから回数変更指令を受信しない時(S2:NO)、CPU51Bは入力部82Bから受信した各種指令に応じた処理を実行し(S3)、処理をS1に戻す。
作業者が工具4Aの使用回数を変更する為の操作を行い、入力部82Bから回数変更指令を受信した時(S2:YES)、回数変更処理を実行する(S4)。回数変更処理において、CPU51Bは記憶装置54Bが記憶する工具4Aの使用回数を変更する。CPU51Bは変更後の使用回数が0であるか否かを判定する(S5)。変更後の使用回数が0でないと判定時(S5:NO)、CPU51Bは処理をS1に戻す。変更後の使用回数が0であると判定時(S5:YES)、CPU51Bは工具ポット411が装着する工具体40Aを別の工具体40Aに付替えたと判定し、ピーク消去処理を実行する(S6)。ピーク消去処理において、CPU51Bは記憶装置54Bに記憶した工具体40Aに対応するピーク位置、統計値(最新平均値ν、最新標準偏差τ、特定平均値Ν、特定標準偏差Τ)を消去する。CPU51Bは処理をS1に戻す。
作業者が工具体40Aを交換する為の操作を行い、入力部82Bから工具交換指令を受信した時(S1:YES)、図23の如く、CPU51BはATC駆動軸46Bの回転角度が360°に達するまでATCモータ45Bの回転する(S111)。ATC駆動軸46Bの回転角度が360°に達したか否かは、エンコーダ45Dから取得したATCモータ45Bの回転角度に基づき判断する。CPU51BはATC駆動軸46Bの回転角度が230°(時機T8)に達したか否かを判定する(S112)。該時機は装着動作時に工具交換アーム44Bが上昇を開始する時機である。ATC駆動軸46Bの回転角度が230°に達していないと判定時(S112:NO)、CPU51Bは処理をS112に戻す。CPU51BはATC駆動軸46Bの回転角度が230°に達する迄、S112の判定を所定周期で繰り返す。ATC駆動軸46Bの回転角度が230°に達したと判定時(S112:YES)、CPU51BはATCモータ45Bのトルクの取得を開始する(S16)。以降、CPU51Bは所定周期でATCモータ45Bのトルクを取得する。
CPU51BはATC駆動軸46Bの回転角度が360°に達したか否かを判定する(S121)。ATC駆動軸46Bの回転角度が360°に達していないと判定時(S21:NO)、CPU51Bは新規でトルクを取得したか否かを判定する(S22)。新規でトルクを取得していない時(S22:NO)、CPU51Bは処理をS121に戻す。新規でトルクを取得した時(S22:YES)、CPU51Bは微分演算処理を実行する(S23)。CPU51Bは微分値記憶処理を実行し(S124)、処理をS121に戻す。第二実施形態の微分値記憶処理において、CPU51Bは微分演算した微分値と、エンコーダ45Dから取得したATCモータ45Bの回転角度に基づくATC駆動軸46Bの回転角度とを対応付けてRAM53Bに記憶する。CPU51BはATC駆動軸46Bの回転角度が360°に達する迄、S22、S23、S124の処理を所定周期で繰り返す。
ATC駆動軸46Bの回転角度が360°に達したと判定時(S121:YES)、主軸7Bは工具体40A(第二工具体202)を装着している。CPU51BはS16で開始したトルクの取得を停止する(S26)。CPU51Bは状態監視処理を実行し(S127)、処理をS1(図8参照)に戻す。
図24を参照し、主処理で実行する状態監視処理(S127、図23参照)を説明する。状態監視処理が開始すると、CPU51Bは回数更新処理を実行する(S31)。回数変更処理において、CPU51Bは工具交換指令に応じて装着した工具体40A(第二工具体202)の使用回数に1加算して記憶装置54Bに記憶する。
CPU51Bはピーク角度決定処理を実行する(S132)。ピーク角度決定処理において、CPU51BはRAM53Bに記憶した微分値の変動からピーク角度を決定する。CPU51Bはピーク角度記憶処理を実行する(S133)。ピーク角度記憶処理において、CPU51Bはピーク角度と工具4Aの使用回数とを対応付けて記憶装置54Bに記憶する。
CPU51Bは決定したピーク角度が後述の統計値記憶処理(S44)で記憶装置54Bに記憶する異物付着閾値(ν-3τ)より小さいか否かを判定する(S134)。決定したピーク角度が異物付着閾値より小さいと判定時(S134:YES)、CPU51Bは装着動作後の装着状態が異物付着状態であると判定し、異物付着状態報知処理を実行する(S35)。異物付着状態報知処理において、CPU51Bは表示部90Bにより装着動作後の装着状態が異物付着状態であることを報知する。CPU51Bは処理を主処理(図23参照)に戻す。
決定したピーク位置が異物付着閾値より小さくないと判定時(S134:NO)、CPU51BはS31で更新した工具4Aの使用回数が所定回数(100の倍数)に達したか否かを判定する(S41)。工具4Aの使用回数が所定回数に達していないと判定時(S41:NO)、CPU51Bは処理を主処理に戻す。
工具4Aの使用回数が所定回数に達したと判定時(S41:YES)、CPU51Bは統計処理を実行する(S42)。統計処理において、CPU51Bは前回統計処理してから今回統計処理するまでに記憶装置54Bに記憶したピーク角度に基づき最新平均値ν、最新標準偏差τを算出する。CPU51Bは最新平均値ν、最新標準偏差τに基づき異物付着閾値を算出する(S43)。CPU51Bは統計値記憶処理を実行し、最新平均値ν、最新標準偏差τ、異物付着閾値を記憶装置54Bに記憶する。
CPU51Bは最新平均値νが特定平均値Νより大きいか否かを判定する(S145)。最新平均値νが特定平均値Νより大きいと判定時(S145:YES)、CPU51Bは最新平均値νが記憶装置54Bに記憶した平均値の内で最大であるとし、特定平均値Νの値を最新平均値νの値に、特定標準偏差Τの値を最新標準偏差τの値に夫々更新する。CPU51Bは特定平均値Ν、特定標準偏差Τに基づき工具劣化閾値(Ν+Τ)を算出する(S46)。CPU51Bは特定統計値記憶処理を実行し、特定平均値Ν、特定標準偏差Τ、工具劣化閾値を記憶装置54Bに記憶し、処理をS148に移行する。
最新平均値νが特定平均値Νより大きくないと判定時(S145:NO)、CPU51Bは最新平均値νが工具劣化閾値より大きいか否かを判定する(S148)。最新平均値νが工具劣化閾値より大きいと判定時(S48:YES)、CPU51Bは装着動作後の装着状態が工具劣化状態であると判定し、工具劣化状態報知処理を実行して(S49)、処理を主処理に戻す。工具劣化状態報知処理において、CPU51Bは表示部90Bにより装着動作後の装着状態が工具劣化状態であることを報知する。最新平均値νが工具劣化閾値より大きくないと判定時(S148:NO)、CPU51Bは処理を主処理に戻す。
<第二実施形態の作用、効果>
以下説明では、第二実施形態における作用、効果のうち、第一実施形態における作用、効果と共通する部分については、記載を省略する。しかし、第一実施形態における作用、効果について、適宜、第二実施形態に適用可能である。
数値制御装置50Bは装着機構(ATC駆動軸46B、揺動腕部材60B等)の駆動源であるATCモータ45Bのトルクを時系列で取得する(S16)。数値制御装置50Bは取得したトルクを時間微分し、微分値を導出する(S23)。数値制御装置50Bは微分値とATC駆動軸46Bの回転角度とを対応付けて微分値の変動をRAM53Bに記憶する(S124)。数値制御装置50Bは微分値の変動からピーク角度を決定する(S132)。数値制御装置50Bはピーク角度を工具体40A毎に記憶装置54Bに記憶する(S133)。数値制御装置50Bはピーク角度を統計処理し、統計値(最新平均値ν、最新標準偏差τ等)を算出する(S42)。数値制御装置50Bは算出した統計値に基づき装着動作後の装着状態が不完全装着状態(異物付着状態、工具劣化状態)であるか否かを判定する(S134、S148)。該時の判断結果はモータの駆動電流値を閾値と比較することによる判断結果と比べ、工作機械の個体差や経年変化による影響を受け難い。故に、数値制御装置50Bは主軸7Bに対する工具体40Aの装着状態を、従来よりも精度よく判定できる。
工作機械1Bは装着機構としてATC駆動軸46B、工具交換アーム44Bを備える。数値制御装置50BはATCモータ45Bの回転でATC駆動軸46Bを回転し、工具交換アーム44BとATC駆動軸46Bと同期して回転することで、主軸7Bに対して工具体40Aを装着する。数値制御装置50Bは微分値とATC駆動軸46Bの回転角度とを対応付けてRAM53Bに記憶する(S24)。数値制御装置50Bは所謂アーム式の工作機械1Bについて、装着状態を精度よく判定できる。
<第二実施形態の特記事項>
第一実施形態の特記事項について、第二実施形態に適宜適用できる。数値制御装置50BはATCモータ45Bの回転角度を、先端部621のZ軸方向の位置に変換して算出してもよい。数値制御装置50BはATC駆動軸46Bの回転角度に代わり、算出した先端部621の位置を微分値と対応付けてRAM53Bに記憶してもよい。
第二実施形態において、ATC駆動軸46Bは本発明のモータの一例である。S16を実行するCPU51Bは本発明の取得部の一例である。S23を実行するCPU51Bは本発明の微分演算部の一例である。S124を実行するCPU51Bは本発明の第一記憶部の一例である。S132を実行するCPU51Bは本発明の決定部の一例である。S133を実行するCPU51Bは本発明の第二記憶部の一例である。S42を実行するCPU51Bは本発明の統計処理部の一例である。S134、S148を実行するCPU51Bは本発明の状態判定部の一例である。S31を実行するCPU51Bは本発明の第三記憶部の一例である。S44を実行するCPU51Bは本発明の第四記憶部の一例である。S145を実行するCPU51Bは本発明の最大判定部の一例である。S47を実行するCPU51Bは本発明の第五記憶部の一例である。工具ポット411は本発明の支持部の一例である。S5を実行するCPU51Bは本発明の付替判定部の一例である。ドローバ70Bは本発明の装着部の一例である。
1A、1B 工作機械
4A 工具
7A 主軸ヘッド
9A、7B 主軸
17A 工具ホルダ
30A、50B 数値制御装置
31A、51B CPU
33A、53B RAM
34A、54B 記憶装置
40A 工具体
45B ATCモータ
46B ATC駆動軸
51A Z軸モータ
60A レバー
60B 揺動腕部材
70B ドローバ
81A クランプ軸
90 グリップアーム
181A プルスタッド
411 工具ポット

Claims (13)

  1. 主軸に装着した工具と作業台に固定した被削材を相対的に移動して前記被削材を加工する工作機械を制御する数値制御装置であって、
    前記主軸に対する前記工具の装着時に駆動する装着機構の駆動源であるモータのトルクを、時系列で取得する取得部と、
    前記取得部が取得する前記トルクを微分演算する微分演算部と、
    前記微分演算部が演算した微分値と、前記工具の装着時における前記装着機構の位置又は角度とを対応付けて記憶する第一記憶部と、
    前記第一記憶部が記憶する前記装着機構の位置又は角度の内前記微分値が最大を示す前記装着機構の位置又は角度をピーク位置又はピーク角度として決定する決定部と、
    前記決定部が決定する前記ピーク位置又は前記ピーク角度を前記工具毎に順次記憶する第二記憶部と、
    前記第二記憶部が記憶する前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理する統計処理部と、
    前記統計処理部が統計処理した統計値に基づき前記工具を前記主軸に装着しているが正常な装着状態ではない不完全装着状態を判定する状態判定部と
    を備えることを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記工具の使用回数を記憶する第三記憶部と、
    前記統計処理部が統計処理した前記統計値を記憶する第四記憶部とを備え、
    前記統計処理部は、前記第三記憶部に基づき前記使用回数が所定使用回数に達する毎に、前記統計値として前記ピーク位置又は前記ピーク角度の平均値を演算し、
    前記状態判定部は、前記第四記憶部に記憶した前記平均値の内最新の前記平均値に基づき前記不完全装着状態を判定すること
    を特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. 前記不完全装着状態は、前記主軸が前記工具との間に異物を介した状態で前記工具を装着した異物付着状態を含み、
    前記状態判定部は、前記第二記憶部が記憶する最新の前記ピーク位置又は前記ピーク角度と、前記第四記憶部が記憶する前記最新の平均値に基づく所定の異物付着閾値とに基づき、前記異物付着状態と判定すること
    を特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。
  4. 前記統計処理部は、前記第三記憶部に基づき前記使用回数が所定使用回数に達する毎に、前記統計値として前記ピーク位置又は前記ピーク角度の標準偏差を更に演算し、
    前記数値制御装置は、前記第四記憶部に記憶した前記最新の平均値と、前記標準偏差の内最新の前記標準偏差とに基づき前記異物付着閾値を算出する異物付着閾値算出部を備えること
    を特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  5. 前記最新の平均値が、前記第四記憶部に記憶した前記平均値の内最大の前記平均値であるか否かを判定する最大判定部と、
    前記最大判定部が前記最大の平均値であると判定した場合、前記最新の平均値を特定平均値として記憶する第五記憶部とを備え、
    前記不完全装着状態は、前記工具に対する前記工具の装着を繰り返すことで劣化した前記工具を前記主軸が保持した工具劣化状態を含み、
    前記状態判定部は、前記第四記憶部が記憶する前記平均値の内前記最新の平均値と、前記第五記憶部が記憶する前記特定平均値に基づく所定の工具劣化閾値とに基づき、前記工具劣化状態と判定すること
    を特徴とする請求項2~4の何れかに記載の数値制御装置。
  6. 前記統計処理部は、前記第三記憶部に基づき前記使用回数が所定使用回数に達する毎に、前記統計値として前記ピーク位置又は前記ピーク角度の標準偏差を更に演算し、
    前記第五記憶部は、前記特定平均値を演算した時に併せて演算した前記標準偏差を特定標準偏差として記憶し、
    前記数値制御装置は、前記第五記憶部が記憶する前記特定平均値と、前記特定標準偏差とに基づき前記工具劣化閾値を算出する工具劣化閾値算出部を備えること
    を特徴とする請求項5に記載の数値制御装置。
  7. 前記統計処理部は、前記第二記憶部が記憶する前記ピーク位置又は前記ピーク角度の内最新の前記ピーク位置又は前記ピーク角度から順に所定演算数の前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理することを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の数値制御装置。
  8. 前記工具の使用回数を記憶する第三記憶部と、
    前記工具を着脱可能に支持する支持部と、前記支持部を移動可能に保持する工具マガジンと、
    前記第三記憶部が記憶する前記使用回数に基づき前記支持部が支持する前記工具を付替えた否かを判定する付替判定部とを備え、
    前記主軸は、前記工具を保持する工具ホルダを介して前記工具を装着し、
    前記支持部が支持する前記工具を付替えたと前記付替判定部が判定した前記工具を前記主軸に対して装着する場合、前記第二記憶部は、前記工具毎に記憶する前記ピーク位置又は前記ピーク角度の内交換前の前記工具に係る前記ピーク位置又は前記ピーク角度を消去すること
    を特徴とする請求項1~7の何れかに記載の数値制御装置。
  9. 前記装着機構は、ばねの弾性力により前記主軸に対して前記工具を装着する装着部を駆動し、前記主軸に対する前記工具の装着と脱離を切替えるレバーを備えることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の数値制御装置。
  10. 前記装着機構は、前記モータの駆動で所定方向に往復移動可能であり、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを備え、
    前記モータは、前記主軸ヘッドを前記所定方向に移動することで前記主軸に対して前記工具を装着し、
    前記第一記憶部は、前記主軸ヘッドの前記所定方向における位置を前記装着機構の位置として記憶すること
    を特徴とする請求項1~9の何れかに記載の数値制御装置。
  11. 前記装着機構は、
    前記モータの駆動で回転する回転軸と、
    前記回転軸の回転と同期して回転し、前記主軸に装着する前記工具を支持可能なアームとを備え、
    前記モータは、前記回転軸を回転することで、前記アームと共に回転する前記工具を前記主軸に対して装着し、
    前記第一記憶部は、前記回転軸の回転角度を前記装着機構の角度として記憶すること
    を特徴とする請求項1~9の何れかに記載の数値制御装置。
  12. 主軸に装着した工具と作業台に固定した被削材を相対的に移動して前記被削材を加工する工作機械を制御する制御方法であって、
    前記主軸に対する前記工具の装着時に駆動する装着機構の駆動源であるモータのトルクを、時系列で取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得した前記トルクを微分演算する微分演算工程と、
    前記微分演算工程で演算した微分値と、前記工具の装着時における前記装着機構の位置又は角度とを対応付けて第一記憶装置に記憶する第一記憶工程と、
    前記第一記憶工程で記憶した前記装着機構の位置又は角度の内前記微分値が最大を示す前記装着機構の位置又は角度をピーク位置又はピーク角度として決定する決定工程と、
    前記決定工程で決定した前記ピーク位置又は前記ピーク角度を前記工具毎に第二記憶装置に順次記憶する第二記憶工程と、
    前記第二記憶工程で記憶した前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理する統計処理工程と、
    前記統計処理工程で統計処理した統計値に基づき前記被削材を加工できない状態で前記主軸に前記工具が装着した不完全装着状態と判定する状態判定工程と
    を備えたことを特徴とする制御方法。
  13. 主軸に装着した工具と作業台に固定した被削材を相対的に移動して前記被削材を加工する工作機械を制御するプログラムであって、
    前記主軸に対する前記工具の装着時に駆動する装着機構の駆動源であるモータのトルクを、時系列で取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得した前記トルクを微分演算する微分演算工程と、
    前記微分演算工程で演算した微分値と、前記工具の装着時における前記装着機構の位置又は角度とを対応付けて第一記憶装置に記憶する第一記憶工程と、
    前記第一記憶工程で記憶した前記装着機構の位置又は角度の内前記微分値が最大を示す前記装着機構の位置又は角度をピーク位置又はピーク角度として決定する決定工程と、
    前記決定工程で決定した前記ピーク位置又は前記ピーク角度を前記工具毎に第二記憶装置に順次記憶する第二記憶工程と、
    前記第二記憶工程で記憶した前記ピーク位置又は前記ピーク角度に基づき統計処理する統計処理工程と、
    前記統計処理工程で統計処理した統計値に基づき前記被削材を加工できない状態で前記主軸に前記工具が装着した不完全装着状態と判定する状態判定工程と
    を、コンピュータに実行させるための制御プログラムを記憶した記憶媒体。
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