JP7012582B2 - 装飾材取付部材および建具 - Google Patents
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Description
このモール取付具では、前側部の一対の先部が板部材に設けられた孔に差し込まれると、一対の先部が弾性により互いに接近し、これと共に一対の係止片も弾性により互いに接近しながら孔に通される。一対の係止片が孔に通し終わると、一対の先部および一対の係止片は弾性により互いに離間し、一対の係止片が板部材に掛けられ、且つ、一対の保持部も弾性により互いに離間して孔の孔壁に当たる。このようにして、モール取付具は板部材の孔に取り付けられる。
ここで仮に、特許文献1に記載のモール取付具を、前述した芯材および板部材を備えた扉体に用いようとした場合、モール取付具の一対の先部が板部材の孔に差し込まれ、更に一対の係止片が互いに離間する方向に芯材を圧縮変形させることとなるが、圧縮変形された芯材の復元力によって一対の係止片が互いに接近する方向に押圧されると、一対の保持部が板部材の孔壁から離れてモール取付具にガタつきが生じたり、一対の係止片が板部材から外れてしまうおそれがある。
本発明の装飾材取付部材によれば、挿入軸部を表面材の取付孔に差し込んで芯材に挿入していくことで、一対の係合爪部を取付孔に通し、表面材に係合することができる。更に、一対の係合爪部を表面材に係合した後、差込規制部を穴部に差し込んで一対の係合爪部の間において掛け部に掛けて、一対の係合爪部が互いに接近する弾性変形を規制することで、芯材によって一対の係合爪部が押圧されても挿入軸部の穴部へ没入することを抑制でき、一対の係合爪部の表面材に対する係合状態を安定させることができる。加えて、弾性変形可能な一対の係合爪部に掛け部を形成することで、差込規制部を一対の係合爪部の間に配置する際に係合爪部が弾性変形するので容易に差し込むことができ、また、芯材から一対の係合爪部が接近する方向の力が加えられる場合には、一対の係合爪部の掛け部の差込規制部に対する掛け代を確保できて差込規制部が抜けにくい構成にできる。
このような構成によれば、連結片部のうち折曲可能部を折り曲げることで、差込規制部を穴部に対して位置ズレせずに簡単に差し込むことができる。
このような構成によれば、複数の掛け部に対する差込規制部の掛け位置を選択することができ、例えば差込規制部を一対の係合爪部の間の深い位置まで差し込んで掛け部に掛ける場合には、浅い位置の掛け部に掛ける場合よりも一対の係合爪部に対する規制力を大きくすることができる。
また、連結片部の一部でも溝部から突出した状態では、連結片部を容易に押すことができて差込規制部を穴部に差し込むことができる。一方、連結片部の全体が掛止め部に形成された溝部に収容された状態では、連結片部を押すことが困難となるので、差込規制部が最も深い位置にある掛け部に掛けられた状態で更に差し込まれることを抑制することができる。
このような構成によれば、掛止め部に対する差込深さ確認面の位置を目視したり触ったりすることで、差込規制部を穴部に差し込んだ差込深さ位置を簡単に確認でき、これにより、目視したり触ったりできない位置にある一対の係合爪部の表面材に対する係合状態を確認することができる。
本発明の建具によれば、前述した本発明の装飾材取付部材の作用効果と同様の作用効果を発揮可能な建具を構成できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2において、本実施形態に係る建具である玄関ドア1は、建物の壁開口部に取り付けられて屋内外を仕切るものであり、ドア枠2(枠体)と、ドア枠2内に開閉可能に取り付けられた扉体3とを備えている。扉体3は、EPS(発泡ビーズ法ポリスチレン)、発泡ウレタン等の圧縮変形可能な芯材4と、芯材4の表面、すなわち屋外面および屋内面に貼り付けられた金属製の一対の表面材5とを備えている。表面材5には四角形状の取付孔6が形成されており、取付孔6には樹脂製のモール取付部材10(装飾材取付部材)が差し込まれており、モール取付部材10にはモール7が取り付けられている。
以下の説明において、モール取付部材10の縦幅方向をX軸方向とし、モール取付部材10の横幅方向をY軸方向とし、モール取付部材10の軸方向をZ軸方向とする(図3、図4参照)。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
先端挿入部31は、本実施形態では四角錘状に形成されて中間挿入部32からZ軸方向に突出しており、その差込先端34はモール取付部材10の軸心O(図4(B)参照)上に位置している。
中間挿入部32は、掛止め部20の一対の側壁部23および底壁部24に連続しており、Y軸方向で対向する一対の側面には、穴部33に連通した側面開口がそれぞれ形成されており、各側面開口に係合爪部51,52が配置されている。
この係合爪部51は、中間挿入部32が取付孔6に差し込まれる際に表面材5に圧接しながら弾性変形し、中間挿入部32内に没入する一方、表面材5の裏面を越えて芯材4に挿入される際に元の形状に復元し、表面材5の裏面に係合する構成とされている。
なお、係合爪部52は、係合爪部51と同様に形成されて左右逆向きに配置されているので、係合爪部51と同符号を図に適宜付す。
係合爪部51,52の掛け部53同士は、Y軸方向に間隔を隔てて対向しており、差込先端34側の掛け部53同士の間隔は、掛止め部20側の掛け部53同士の間隔よりも狭くなっている。
差込規制部60は、連結片部70の先端部72から突出しており、図3,4に示すように連結片部70がZ軸方向に沿った状態では、本体部21のX軸方向における他方の端部側に突出している。差込規制部60のうちY軸方向で対向する一対の側面には、掛け部53に掛けられる掛け凹部61がそれぞれ形成されており、掛け凹部61から差込規制部60の先端までの領域が先窄まり形状とされている。
また、差込規制部60には、その穴部33に対する差込み深さ位置に対応して、掛止め部20に対するZ軸方向における位置が定められる差込み深さ確認面62が形成されている。差込深さ確認面62は、掛止め部20の本体部21の表面211に対する高さ位置を目視可能に構成されており、本実施形態では、図5(B)に示す差込規制部60の差込状態では表面211に対して面一に配置され、図5(C)に示す差込状態では表面211に対して溝部25に入り込んだ位置に配置される。
先ず、モール取付部材10の先端挿入部31を取付孔6に差し込み、芯材4に突き刺しながら挿入し、続いて、中間挿入部32を取付孔6から芯材4へ挿入していき、係合爪部51,52を取付孔6に入れる。このとき、係合爪部51,52は、表面材5に圧接しながら弾性変形して中間挿入部32内に没入する。掛止め部20の当接面26が表面材5の表面に当接すると、係合爪部51,52は表面材5の裏面を越えて芯材4内に配置される。このように挿入軸部30を取付孔6および芯材4に挿入して図5(A)に示す挿入状態とする。
次に、差込規制部60を掛け部53に掛ける。具体的には、図5(A)に示すように、折曲可能部71を折曲しながら連結片部70をR方向に回動させながら、差込規制部60を掛止め部20の底壁部24(図4(B)参照)における開口から穴部33へ差し込み、差込規制部60を掛け部53に当接させる。続いて、差込規制部60を更に穴部33へ差込みながら係合爪部51,52を押し広げ、図5(B)に示すように、掛け凹部61が掛け部53に掛けられる。これにより、係合爪部51,52は表面材5の裏面に係合すると共に、差込規制部60によって互いに接近する弾性変形が規制され、差込規制部60は掛け部53に掛けられることで抜け止めされる。また、差込み深さ確認面62は掛止め部20の表面211と面一に配置され、連結片部70は、その一部が溝部25に配置され、残部が溝部25から突出した状態とされる。
このようにして、モール取付部材10は扉体3へ取り付けられる。モール取付部材10のX軸方向は玄関ドア1の上下方向に沿った方向とされ、モール取付部材10のモール掛け片部22には図2に示すようにモール7が掛け止められる。
図5(B)に示す取付状態にあるモール取付部材10の連結片部70を掛止め部20に向けて押し込み、差込規制部60を穴部33に対して更に深く差し込み、差込規制部60の掛け凹部61を差込先端34側の掛け部53(最も深い位置にある掛け部)に掛ける。このとき、係合爪部51,52は更に押し広げられ、芯材4に圧接されると共に表面材5の裏面に対する係合代が大きくされる。また、掛止め部20側の掛け部53は、掛け凹部61よりも掛止め部20側に位置して差込規制部60の一対の側面に当接し、連結片部70は、その全体が溝部25に収容されて掛止め部20の表面211に沿って配置される。このようにして、図5(C)に示す取付状態とする。
(1)本実施形態では、モール取付部材10は、特に、挿入軸部30から突出した一対の係合爪部51,52が互いに接近する弾性変形を規制する差込規制部60を有しており、一対の係合爪部51,52には、Y軸方向において互いに対向する掛け部53が形成されており、差込規制部60は、穴部33に差し込み可能に構成されていると共に一対の係合爪部51,52の間において掛け部53に掛けられることを特徴とする。上記構成を有するため、挿入軸部30を表面材5の取付孔6に差し込んで芯材4に挿入していくことで、一対の係合爪部51,52を取付孔6に通し、表面材5に係合できるうえ、係合爪部51,52を表面材5に係合した後、差込規制部60を穴部33に差し込んで係合爪部51,52の間において掛け部53に掛けて、係合爪部51,52が互いに接近する弾性変形を規制することで、芯材4によって係合爪部51,52が押圧されても挿入軸部30の穴部33へ没入することを抑制でき、係合爪部51,52の表面材5に対する係合状態を安定させることができる。加えて、弾性変形可能な係合爪部51,52に掛け部53を形成することで、差込規制部60を係合爪部51,52の間に配置する際に係合爪部51,52が弾性変形するので容易に差し込むことができ、また、芯材4から係合爪部51,52が接近する方向の力が加えられる場合には、係合爪部51,52の掛け部53の差込規制部60に対する掛け代を確保できて差込規制部60が抜けにくい構成にできる。
(2)差込規制部60を掛止め部20に連結した連結片部70には、差込規制部60を穴部33に差し込み可能に折曲する折曲可能部71が形成されているので、連結片部70のうちの特定箇所である折曲可能部71を折り曲げることで、差込規制部60を穴部33に対して位置ズレせずに簡単に差し込むことができる。
(3)係合爪部51,52は、挿入軸部30の差込先端34側から掛止め部20側に延出して形成されており、係合爪部51,52の掛け部53は、Z軸方向に二つずつ形成されているので、各二つの掛け部53に対する差込規制部60の掛け位置を選択することができ、例えば差込規制部60を係合爪部51,52の間の深い位置まで差し込んで差込先端34側の掛け部53に掛ける場合には、掛止め部20側の掛け部53(浅い位置の掛け部)に掛ける場合よりも係合爪部51,52に対する規制力を大きくすることができる。
(4)連結片部70は、差込規制部60が二つの掛け部53のうちZ軸方向に最も深い位置にある掛け部53に掛けられた状態で、全体が溝部25に収容される構成とされているので、連結片部70の一部でも溝部25から突出した状態では、連結片部70を容易に押すことができて差込規制部60を穴部33に差し込むことができる。一方、連結片部70の全体が掛止め部20に形成された溝部25に収容された状態では、連結片部70を押すことが困難となるので、差込規制部60が最も深い位置にある掛け部53に掛けられた状態で更に差し込まれることを抑制することができる。
(5)係合爪部51,52にそれぞれ形成された各二つの掛け部53の間の間隔は、掛止め部20側よりも挿入軸部30の差込先端34側で狭くなっているので、差込規制部60を係合爪部51,52の間に深く差し込んでいくにつれて、係合爪部51,52の挿入軸部30に対する突出量が大きくなり、表面材5に対する係合代を大きくすることができる。これにより、モール取付部材10を扉体3に対して、更にガタつきをなくしてしっかりと取り付けることができる。
また、取付孔6の開口寸法が異なる種々の玄関ドア1などの建具に対しても、二つの掛け部53に対する差込規制部60の掛け位置を選択することで、係合爪部51,52の表面材5に対する係合代を調整することができ、モール取付部材10の汎用性を向上することができる。
(6)差込規制部60には、穴部33に対する差込規制部60の差込み深さ位置に対応して、掛止め部20に対するZ軸方向における位置が定められる差込み深さ確認面62が形成されているので、掛止め部20に対する差込深さ確認面62の位置を目視したり触ったりすることで、差込規制部60を穴部33に差し込んだ差込深さ位置を簡単に確認でき、これにより、目視したり触ったりできない位置にある係合爪部51,52の表面材5に対する係合状態を確認することができる。
前記実施形態では、モール取付部材10は樹脂製であるが、金属製等であってもよい。
前記実施形態では、先端挿入部31は、四角錘形状に形成されているが、この形状に限らず、多角錘形状であってもよく、円錐形状であってもよい。
前記実施形態では、連結片部70は折曲可能部71で折曲可能に構成されているが、これに限らず、例えば連結片部70の全体が可撓性を有して構成されていてもよい。また、差込規制部60は、連結片部70によって掛止め部20に連続されているが、連結片部70の構成を省略し、掛止め部20とは別部材として構成されていてもよい。
前記実施形態では、係合爪部51,52には、Z軸方向に沿った二つの掛け部53がそれぞれ形成されているが、Z軸方向に沿って三つ以上形成されていてもよく、また、差込規制部60の差込深さ位置を段階的に設定する必要がない場合には、係合爪部51,52には一つの掛け部53がそれぞれ形成されていてもよい。
前記実施形態では、係合爪部51,52にそれぞれ形成された二つの掛け部53の間の間隔は、掛止め部20側よりも挿入軸部30の差込先端34側で狭くなっているが、これに限らず、同じ間隔とされていてもよい。この場合でも、差込先端34側の掛け部53に差込規制部60が掛けられる場合には、掛止め部20側の掛け部53が差込規制部60の一対の側面に当接するので、係合爪部51,52はY軸方向に押し広げられることとなる。
前記実施形態では、穴部33に対する差込規制部60の差込み深さ位置に対応して、掛止め部20に対するZ軸方向における位置が定められる差込み深さ確認面62が形成されているが、差込規制部60の差込み深さ位置を確認する必要がなかったり、他の位置確認用の目印がある場合には、差込み深さ確認面62を省略してもよい。
前記実施形態では、連結片部70は、差込規制部60が二つの掛け部53のうち最も深い位置にある掛け部53に掛けられた状態で、全体が溝部25に収容される構成とされているが、その一部が突出して位置していてもよい。
前記実施形態では、一つの掛止め部20に対して一つの挿入軸部30が形成されているが、例えば、掛止め部20のX軸方向における長さ寸法は本実施形態のものよりも長い場合には、一つの掛止め部20に対して二つ以上の挿入軸部30が形成されていてもよく、この場合、各挿入軸部30の穴部33に対応した位置に差込規制部60が配置される。このようにモール取付部材10が構成される場合には、一つのモール取付部材10の取付作業で掛止め部20を長い範囲に設置できるので、作業性を向上できる。
前記実施形態では、玄関ドア1を建具として説明したが、芯材および表面材を有した建具であればよく、例えばバルコニーや腰パネルであってもよい。
Claims (5)
- 芯材と、取付孔が形成された表面材とを有する建具に対して装飾材を取り付ける装飾材取付部材であって、
前記装飾材を掛け止め可能な掛止め部と、
前記掛止め部から突出していると共に前記取付孔に挿入される挿入軸部と、
前記挿入軸部の軸方向に直交する方向に弾性変形可能に前記挿入軸部から突出していると共に前記表面材に係合可能な一対の係合爪部と、
前記一対の係合爪部が互いに接近する弾性変形を規制する差込規制部とを有しており、
前記掛止め部および前記挿入軸部には、前記掛止め部で開口した穴部が形成されており、
前記一対の係合爪部には、前記軸方向に直交する方向において互いに対向する掛け部が形成されており、
前記差込規制部は、前記穴部に差し込み可能に構成されていると共に前記一対の係合爪部の間において前記掛け部に掛けられる
ことを特徴とする装飾材取付部材。 - 請求項1に記載の装飾材取付部材において、
前記差込規制部を前記掛止め部に連結した連結片部を有しており、
前記連結片部には、前記差込規制部を前記穴部に差し込み可能に折曲する折曲可能部が形成されている
ことを特徴とする装飾材取付部材。 - 請求項2に記載の装飾材取付部材において、
前記一対の係合爪部は、前記挿入軸部の差込先端側から前記掛止め部側に延出して形成されており、
前記一対の係合爪部の掛け部は、前記軸方向に複数形成されており、
前記掛止め部には、前記差込規制部の前記穴部への差込状態で前記連結片部が配置される溝部が形成されており、
前記連結片部は、前記差込規制部が前記複数の掛け部のうち最も深い位置にある掛け部に掛けられた状態で、全体が前記溝部に収容される構成とされている
ことを特徴とする装飾材取付部材。 - 請求項3に記載の装飾材取付部材において、
前記差込規制部には、前記穴部に対する前記差込規制部の差込み深さ位置に対応して、前記掛止め部に対する前記軸方向における位置が定められる差込み深さ確認面が形成されている
ことを特徴とする装飾材取付部材。 - 芯材と、前記芯材の表面に配置されていると共に取付孔が形成された表面材と、前記取付孔に差し込まれる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装飾材取付部材と、前記装飾材取付部材に取り付けられる装飾材とを備えている
ことを特徴とする建具。
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