JP7012368B2 - 熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物 - Google Patents
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JIS K7136:2000に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機株式会社製ヘーズメーター、HZ-1)を用いて各試験片のヘイズ測定を行った。試験片としては、実施例及び比較例における各熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を縦50mm×横50mm×厚み3mmにそれぞれ成形したものを用いた。ヘイズ値が15%以下の場合を優良(○)、15%を超える場合を不可(×)とした。
JIS K6253に準拠するアスカー Cデュロメータ(SRIS 0101規格)を用いて、各試験片の硬度測定を行った。試験片としては、実施例及び比較例における各熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を縦60mm×横60mm×厚み12mmにそれぞれ成形したものを用いた。アスカーC50以下を良好「○」、50を超えた場合を不適「×」と判定した。
JIS K6252-1 B法に準拠し、実施例及び比較例における各熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を切り込み無しアングル形状(ダンベルB型)に形成した試験片5枚について、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ(登録商標)、AT-100N)で引っ張り速度500mm/minにて破断に至る最大荷重値F[N]を測定し、試験片の厚さt[m]で除して引裂強さを算出した。試験片5枚の引裂強さの中央値を挟む2つの値の平均値を引裂強さ(kN/m)とした。引裂強さの値が6kN/m以上の場合を優良「○」、6kN/m未満の場合を不可「×」と判定した。
JIS K6854-3に準拠して、各試験片の剥離接着強さの測定を行った。図1及び図2を用いて剥離接着強さの試験方法について具体的に説明する。図2は試料片50の構成を概略的に示しており、図2は試料片の剥離接着強さ試験方法を図示している。図2に示す試料片50は次のようにして作製した。実施例及び比較例における各熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物をストリップ状(幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)にそれぞれ成形し、ストリップ表面をウレタン系コート剤で処理して試験片51とした。この試験片51を同じくストリップ状に作製したウレタン片52(株式会社クラレ製 クラミロンU2195、幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)と接着剤53によって接着し、試料片50を得た。より詳しくは、試験片51及びウレタン片52の表面をメチルエチルケトン(MEK)に浸したキムワイプ(登録商標)で拭いた後、60℃で3分間乾燥させた。試験片51のウレタン系コート剤で処理された面及びウレタン片52の片面にプライマー(ノーテープ工業株式会社製、G-6626)を塗布し、60℃で5分間乾燥させた。その上に接着剤(ノーテープ工業株式会社製、No.4950)を塗布し、60℃で5分間乾燥した後、速やかに試験片51及びウレタン片52を貼り合わせた。試験片51側を上にした状態で載置し、ハンドローラにて2~3kgf/cm2の力を加えて圧着させることによって、試料片50を得た。この試料片50を12時間養生した後、図2(A)及び(B)に示すように、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ(登録商標)、AT-100N)により、試料片50の試験片51とウレタン片52とを剥離させ、剥離接着強さを測定した。なお、図3において、54は固定側引張り治具、55は可動側引張り治具である。ロードセルは1kN(100kgf)であり、試験スピードは50mm/分、固定側引張り治具54及び可動側引張り治具55間の初期間隙は20mmであった。
剥離接着強さ試験を行った後の各試料片の剥離状態について、目視または顕微鏡観察により、各試験片の接着状態を評価した。材料破壊(被着体破壊)が生じていた場合を「AF」とし、溶解積層型3次元プリンタ用組成物の成形体とウレタン系コート剤による保護層との界面で界面剥離が生じた場合を「IP1」とし、ウレタン系コート剤による保護層とウレタン片52(被着材)との界面で界面剥離が生じた場合を「IP2」とした。
図3を用いて耐熱性の試験方法について説明する。実施例及び比較例における各熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を35mm×10mm×厚さ3mmの短冊状に成形し、耐熱性試験用の試験片を得た。図3(A)に示すように、試験片60を鉛直方向から30°傾斜させて、試験片60の片端30mm部分を露出させた状態で片梁状に試験片把持具61に取り付けた。この状態で試験片を治具と共にオーブン(ヤマト科学製 DKN602)内に入れ、温度85℃で10分間加熱した。加熱後、オーブンから治具ごと試験片60を取り出して室温まで冷却した。冷却後、図3(B)に示すように、側面視における試験片60の表面側の稜線について、試験片把持具61に固定されていた部分Pの直線状の稜線を延長した線と、試験片60が熱変形して湾曲した外側の自由端Qの接線との交差角度θt1を測定顕微鏡(ニコン社製MM-800/LFA)を用いて測定した。同様に、側面視における試験片60のもう一方の面(裏面)側の稜線について、試験片把持具61に固定されていた部分Pの直線状の稜線を延長した線と、試験片60が熱変形して湾曲した内側の自由端Qの接線との交差角度θt2を測定した。測定された交差角度θtのうち、測定値が大きい方を熱変形角度θtとした。熱変形角度θtが90°以下の場合を優良「○」、90°超~125°の場合を良「△」、125°を超えた場合を不適「×」と判定した。
JIS K7210-1B法に準拠して、2.16kgの荷重で温度150℃、170℃及び190℃におけるメルトマスフローレートをそれぞれ測定した。測定装置は、Tinius Olsen社製メルトインデクサーMP600を用いた。
JIS K7136:2000に準拠して、ヘーズメーター(スガ試験機株式会社製ヘーズメーター、HZ-1)を用いて各試験片のヘイズ測定を行った。試験片としては、実施例及び比較例における各熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を縦50mm×横50mm×厚み3mmとなるように熱溶解積層型3次元プリンタ(自社試作装置、ノズル径0.8m)を用いて、それぞれ造形したものを用いた。具体的には、プリンタノズルの吐出温度190℃、描画速度(ヘッド移動速度)10mm/秒、吐出速度5mg/秒、描画幅(隣接するライン描画に移行する時にヘッドがシフトするピッチ)1.2mm及びノズルと被描画面との隙間(積層ピッチ)0.5mmの条件で、一方向に直線折返しを繰り返して縦50mm×横50mmの正方形を塗りつぶすように描画層を形成した。この後、同条件でヘッドを積層ピッチ分上昇させ、方向を90度変えて、先の描画層の描画方向と直交する方向に直線折返しを繰り返し、縦50mm×横50mmの正方形を塗りつぶすように新たな描画層を形成して積層させる工程を繰り返した。このように、隣接する層どうしの描画方向が直交方向になるように描画層を積層させて厚みが3mmになるまで造形し、試験片を得た。試験片のヘイズ値が60%以下の場合を優良(○)、60%を超える場合を不可(×)とした。
JIS K6253に準拠するアスカー Cデュロメータ(SRIS 0101規格)を用いて、各試験片の硬度測定を行った。試験片としては、実施例及び比較例における各熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を縦60mm×横60mm×厚み12mmとなるように、熱溶解積層型3次元プリンタ(自社試作装置、ノズル径0.8mm)を用いて、それぞれ造形したものを用いた。具体的には、プリンタノズルの吐出温度190℃、描画速度(ヘッド移動速度)10mm/秒、吐出速度5mg/秒、描画幅(隣接するライン描画に移行する時にヘッドがシフトするピッチ)1.2mm及びノズルと被描画面との隙間(積層ピッチ)0.5mmの条件で、一方向に直線折返しを繰り返して縦60mm×横60mmの正方形を塗りつぶすように描画層を形成した。この後、同条件でヘッドを積層ピッチ分上昇させ、方向を90度変えて、先の描画層の描画方向と直交する方向に直線折返しを繰り返し、縦60mm×横60mmの正方形を塗りつぶすように新たな描画層を形成して積層させる工程を繰り返した。このように、隣接する層どうしの描画方向が直交方向になるように描画層を積層させて厚みが12mmになるまで造形し、試験片を得た。試験片の試験片の硬度がアスカーC50以下を良好「○」、50を超えた場合を不適「×」と判定した。
上記(2)硬度の試験に用いた試験片について、縦または横方向の両端を引張試験用治具でクランプし、引張速度500mm/minで元寸法に対して150%になるまで引張変形させたときの層間の状態を目視または顕微鏡で確認し、層間での剥離無し又は層間が材料破壊している場合を良「○」、層間での剥離が生じていた場合を不可「×」と判断した。
以下の手順で本実施例の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を製造し、その効果の評価を行った。表1に示すスチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)のうち、SEBS(a1)として、スチレン含有量42%、重量平均分子量150000のSEBS(A104)を615g(20.5重量%)、アミン変性SEBS(a2)として、スチレン含有量30%、重量平均分子量67000のアミン変性SEBS(A201)を210g(7重量%)、SEEPS(a3)として、スチレン含有量30%、重量平均分子量85000のSEEPS(A301)を330g(11重量%)それぞれ個別に秤量した。次に、表1に示す軟化剤(B成分)のうち、重量平均分子量1200のパラフィンオイル(B103)を1845g(61.5重量%)秤量した。このパラフィンオイルのうち、1020g(34重量%)をa1成分に、210g(7重量%)をa2成分に、615g(20.5重量%)をa3成分に、それぞれ添加した。各ブロック共重合体とパラフィンオイルとを室温でそれぞれ混合した後、100℃で12時間加熱し、a1~a3の各成分にパラフィンオイルをそれぞれ分散させた(予備分散工程)。パラフィンオイルを吸収させたa1~a3のブロック共重合体を手攪拌でドライブレンドした後、バッチ式の二軸混練機(株式会社トーシン製 TD3‐10MDX型)で160~180℃、回転数40rpmで15分間混練し(混練工程)、3kgの熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を得た。この組成物を上述した熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物の各評価方法で用いる所定の試験片形状に150~170℃の条件下で射出成形し、得られた試験片を用いて物性等の評価を行った。
熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物の構成成分である、スチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)と軟化剤(B成分)及びその配合比を以下表2に示すように夫々変更した以外は、実施例1と同様にして、各実施例の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を得た。実施例1と同様に、得られた熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を用いて物性評価用の試験片を成形し、物性等の評価を行った。さらに、実施例1と同様にして、各実施例の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物でペレットを作成し、このペレットを用いて熱溶解積層式3次元プリンタで所定の試験片を3次元プリンタ造形物として作製し、物性等の評価を行った。
熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物の構成成分である、スチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)と軟化剤(B成分)及びその配合比を以下表3に示すように夫々変更した以外は、実施例1と同様にして、各実施例の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を得た。実施例1と同様に、得られた熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を用いて物性評価用の試験片を成形し、物性等の評価を行った。さらに、実施例1と同様にして、各実施例の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物でペレットを作成し、このペレットを用いて熱溶解積層式3次元プリンタで所定の試験片を3次元プリンタ造形物として作製し、物性等の評価を行った。実施例9~16の結果を表3に示す。
熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物の構成成分である、スチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)と軟化剤(B成分)及びその配合比を以下表4に示すように夫々変更した以外は、実施例1と同様にして、各実施例の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を得た。実施例1と同様に、得られた熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を用いて物性評価用の試験片を成形し、物性等の評価を行った。さらに、実施例1と同様にして、各実施例の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物でペレットを作成し、このペレットを用いて熱溶解積層式3次元プリンタで所定の試験片を3次元プリンタ造形物として作製し、物性等の評価を行った。実施例17~24の結果を表4に示す。
スチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)と軟化剤(B成分)及びその配合比を以下表5に示すように夫々変更した以外は、実施例1と同様にして、各比較例の組成物を得た。実施例1と同様に、得られた組成物を用いて物性評価用の試験片を成形し、物性等の評価を行った。さらに、実施例1と同様にして、各比較例で得た組成物でペレットを作成し、このペレットを用いて熱溶解積層式3次元プリンタで所定の試験片を3次元プリンタ造形物として作製し、物性等の評価を行った。比較例1~4の結果を表5に示す。
スチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)と軟化剤(B成分)及びその配合比を以下表6に示すように夫々変更した以外は、実施例1と同様にして、各比較例の組成物を得た。実施例1と同様に、各比較例で得た組成物でペレットを作成し、このペレットを用いて熱溶解積層式3次元プリンタで所定の試験片を3次元プリンタ造形物として作製し、物性等の評価を行った。比較例5~10の結果を表6に示す。
51 試験片(実施例又は比較例の組成物による成形物)
52 ウレタン片
53 接着剤
54 固定側引張り治具
55 可動側引張り治具
60 試験片(耐熱性試験用)
61 試験片把持具
62 治具(支持アーム)
θt 交差角度(熱変形角度)
P 試験片60の試験片把持具61に固定されている部分
Q 熱変形した試験片60の自由端部分
Claims (6)
- スチレン系熱可塑性エラストマー(A)及び軟化剤(B)を含有する組成物であって、
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、少なくとも、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(a1)、アミン変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(a2)及びスチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(a3)を含有してなり、
前記a1~a3のブロック共重合体の重量平均分子量Mwは、それぞれ50000~200000であり、
前記スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(a1)及び前記アミン変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(a2)のスチレン含有量が、20~55重量%であり、
前記a1~a3のブロック共重合体の配合割合が、重量比で、a2/(a1+a2+a3)=0.08~0.8かつ、a3/a1=0.35~3.5であり、
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合が、重量比で、B/(A+B)=0.5~0.7であることを特徴とする熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物。
- 前記軟化剤(B)は、分子量が400~1200のパラフィン系オイルであることを特徴とする請求項1に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物。
- 温度150~200℃、荷重2.16kgの範囲で測定したメルトマスフローレート(JIS K7210-1B法準拠)が15~3000g/10minであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を主成分とし、ヘイズ値(JIS K7136:2000準拠)が15%以下であり、硬度がアスカーC50以下(SRIS 0101規格)であることを特徴とする熱溶解積層型3次元プリンタ用樹脂材料。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を主成分とする熱溶解積層型3次元プリンタ用フィラメント。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の熱溶解積層型3次元プリンタ用組成物を主成分とする熱溶解積層型3次元プリンタ用ペレット。
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