JP7012237B2 - リチウム空気電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、
空気中の酸素を正極活物質として用いるように構成された正極と、
前記負極と前記正極との間に配置された非水系リチウムイオン伝導体と、
を備え、
前記非水系リチウムイオン伝導体は、9-アザノルアダマンタン-N-オキシル及び9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-N-オキシルから選ばれる少なくとも1つのニトロキシラジカル化合物を含む。
先行技術文献に記載された酸素発生触媒は、一電子酸化されてオキソアンモニウムカチオンに変化する化合物であり、ニトロキシルラジカル化合物と呼ばれる。ニトロキシラジカル化合物は、過酸化リチウムを酸化分解すると同時に還元される。これにより、ニトロキシルラジカルが再生成される。再生成されたニトロキシルラジカルが正極の表面上で再びカチオン体に変化し、過酸化リチウムと反応する。このように、ニトロキシラジカル化合物は、酸化と還元を繰り返しながら過酸化リチウムを分解する。
リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、
空気中の酸素を正極活物質として用いるように構成された正極と、
前記負極と前記正極との間に配置された非水系リチウムイオン伝導体と、
を備え、
前記非水系リチウムイオン伝導体は、9-アザノルアダマンタン-N-オキシル(nor-AZADO)及び9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-N-オキシル(ABNO)から選ばれる少なくとも1つのニトロキシラジカル化合物を含む。
負極:2Li → 2Li++2e- (A1)
正極:2Li++2e-+O2 → Li2O2 (A2)
負極:2Li++2e- → 2Li (A3)
正極:Li2O2 → 2Li++2e-+O2 (A4)
前述のとおり、正極13は、正極層13aを含んでおり、さらに正極集電体13bを含んでいてもよい。以下に、正極層13a及び正極集電体13bについてそれぞれ説明する。
正極層13aは、空気中の酸素を正極活物質として該酸素を酸化還元可能とする材料を含んでいる。そのような材料として、本実施形態における正極層13aは、炭素を含む導電性多孔質体を含んでいる。炭素を含む導電性多孔質体として用いられる炭素材料は、高い電子伝導性を有していてもよい。具体的には、アセチレンブラック及びケッチェンブラックなどの、一般的に導電助剤として用いられている炭素材料を用いることができる。比表面積及び一次粒子のサイズの観点から、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを用いてもよい。炭素材料は、通常、粉末である。炭素材料の比表面積は、例えば800~2000m2/gであり、1200~1600m2/gであってもよい。炭素材料の比表面積がこのような範囲にあると、細孔構造を有する正極層13aを形成しやすい。比表面積は、BET法により測定される値である。
正極集電体13bは、正極層13aの集電を行う部材である。正極集電体13bの材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されない。正極集電体13bの材料として、例えばステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン及びカーボンなどが挙げられる。正極集電体13bの形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(例えば、グリッド)状などが挙げられる。これらの中でも、本実施形態においては、正極集電体13bの形状がメッシュ状であってもよい。メッシュ状の正極集電体13bは、集電効率に優れているからである。この場合、正極層13aの内部にメッシュ状の正極集電体13bが配置されうる。さらに、本実施形態のリチウム空気電池1は、メッシュ状の正極集電体13bによって集電された電荷を集電する別の正極集電体13b(例えば箔状の集電体)をさらに有していてもよい。本実施形態においては、後述する電池ケース11が正極集電体13bの機能を兼ね備えていてもよい。正極集電体13bの厚さは、例えば10μm~1000μmの範囲にあり、20μm~400μmの範囲にあってもよい。
前述のとおり、負極12は、負極集電体を含んでおり、さらに負極層12aを含んでいてもよい。以下に、負極層12a及び負極集電体についてそれぞれ説明する。
本実施形態における負極層12aは、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含有していてもよい。このような負極活物質としては、リチウム元素を含有する物質であれば特に限定されず、例えば金属単体(例えば、金属リチウム)、リチウム元素を含有する合金、リチウム元素を含有する酸化物及びリチウム元素を含有する窒化物などが挙げられる。リチウム元素を含有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金及びリチウムケイ素合金などが挙げられる。リチウム元素を含有する金属酸化物としては、例えばリチウムチタン酸化物などが挙げられる。リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物及びリチウムマンガン窒化物などが挙げられる。
負極集電体は、負極層12aの集電を行う部材である。負極集電体の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されない。リチウム空気電池1の負極集電体として公知の材料を用いることができる。負極集電体の材料として、例えば銅、ステンレス、ニッケル及びカーボンなどが挙げられる。負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(例えば、グリッド)状などが挙げられる。負極集電体は、表面に凹凸を有する多孔質体であってもよい。後述する電池ケース11が負極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
本実施形態のリチウム空気電池1は、正極13(又は正極層13a)と負極12(又は負極層12a)との間に配置されたセパレータを備えていてもよい。正極13と負極12との間にセパレータが配置されることにより、安全性の高い電池を得ることができる。セパレータは、正極層13aと負極層12aとを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されない。セパレータとして、例えばポリエチレン(PE)多孔膜及びポリプロピレン(PP)多孔膜などの多孔膜、PE不織布及びPP不織布などの樹脂不織布、ガラス繊維不織布、並びに、紙製の不織布などの多孔質絶縁材料などが挙げられる。
電解質層14は、正極13(又は正極層13a)と負極12(又は負極層12a)との間に配置され、リチウムイオンの伝導を行う層である。電解質層14は、リチウムイオン伝導性を有するもの(リチウムイオン伝導体)であればその形態は特に限定されず、電解質としてのリチウムの塩を含む有機溶媒系に代表される溶液系、及び、リチウムの塩を含む高分子固体電解質の系に代表される固体膜系のいずれの形態であってもよい。電解質が固体状又はゲル状であっても、電解質に含まれたメディエータは、正極13の表面上で電気化学反応を起こすことができる。
本実施形態のリチウム空気電池1の電池ケース11は、前述したような正極13、負極12及び電解質層14を収納できれば、形状などは特に限定されない。本実施形態のリチウム空気電池1の電池ケース11は、図1に示す形状には限定されず、コイン型、平板型、円筒型及びラミネート型などの様々な電池ケース11を用いることができる。電池ケース11は、大気開放型の電池ケースであってもよく、密閉型の電池ケースであってもよい。大気開放型の電池ケースとは、大気が出入りできる通風口を有しており、大気が正極と接触可能なケースである。密閉型電池ケースの場合、密閉型電池ケースに、気体(例えば、空気)の供給管及び排出管が設けられていてもよい。この場合、供給及び排出される気体は、乾燥気体であってもよい。供給及び排出される気体は、高い酸素濃度を有していてもよく、純酸素(酸素濃度99.99%)であってもよい。放電時には酸素濃度が高く、充電時には酸素濃度が低くてもよい。
炭素材料としてケッチェンブラック(ライオン株式会社製)の粉末を用いた。バインダとしてPTFE(ダイキン工業株式会社製)の粉末を用いた。炭素材料及びバインダを質量比90:10でエタノール溶媒を用いて混練し、混合物を得た。混合物をロールプレスによって圧延し、電極シートを作製した。得られた電極シートを切断して正極(正極層)を得た。
nor-AZADOに代えてABNOを使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって実施例2のリチウム空気電池を作製した。
ニトロキシルラジカル化合物を使用しなかったことを除き、実施例1と同じ方法によって比較例1のリチウム空気電池を作製した。
nor-AZADOに代えてTEMPOを使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって比較例2のリチウム空気電池を作製した。
実施例及び比較例のリチウム空気電池を酸素雰囲気下で20分以上保持した後、充放電試験を行った。放電時における電流密度は0.4mA/cm2であり、カットオフ電圧は2.0Vであった。充電時における電流密度は0.1mA/cm2であり、カットオフ電圧は4.5Vであった。放電を行ったのち、充電を行った。得られた充電曲線を図2~4に示す。図2は、実施例1及び比較例1のリチウム空気電池の充電曲線を示すグラフである。図3は、実施例2及び比較例1のリチウム空気電池の充電曲線を示すグラフである。図4は、比較例1及び比較例2のリチウム空気電池の充電曲線を示すグラフである。図2~4の横軸のSOC(State Of Charge)は、充電率を表し、縦軸のVoltageは負極リチウムの酸化還元電位に対する電池電圧を表す。
先に説明した充放電試験と同じ条件にて、実施例及び比較例のリチウム空気電池の充放電サイクル試験を行った。具体的には、放電及び充電をそれぞれ5回繰り返した。この充放電サイクル試験の結果を表1に示す。充放電効率は、初回の放電容量に対する各回の放電容量の比率を表している。
非水電解液に10mmol/リットルの濃度でDBBQ(2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン)を追加で溶解させたことを除き、実施例1と同じ方法によって実施例3のリチウム空気電池を作製した。
実施例1と同じ方法によって、実施例4のリチウム空気電池を作製した。実施例4のリチウム空気電池は、実施例1のリチウム空気電池と同一のものである。
nor-AZADOに代えてABNOを使用したこと、及び、非水電解液に10mmol/リットルの濃度でDBBQ(2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン)を追加で溶解させたことを除き、実施例1と同じ方法によって実施例5のリチウム空気電池を作製した。
nor-AZADOに代えてABNOを使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって実施例6のリチウム空気電池を作製した。実施例6のリチウム空気電池は、実施例2のリチウム空気電池と同一のものである。
触媒としてDBBQ(2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン)のみを使用したことを除き、実施例1と同じ方法によって比較例3のリチウム空気電池を作製した。
触媒を使用しなかったことを除き、実施例1と同じ方法によって比較例4のリチウム空気電池を作製した。比較例4のリチウム空気電池は、比較例1のリチウム空気電池と同一のものである。
実施例3~6、比較例3及び比較例4のリチウム空気電池を酸素雰囲気下で20分以上保持した後、充放電試験を行った。放電時における電流密度は0.4mA/cm2であり、カットオフ電圧は2.0Vであった。充電時における電流密度は0.1mA/cm2であり、カットオフ電圧は3.9Vであった。放電を行ったのち、充電を行った。充放電効率を表2に示す。
11 電池ケース
11a 筒状部
11b 底部
11c 蓋部
12 負極
12a 負極層
13 正極
13a 正極層
13b 正極集電体
14 電解質層
15 空気取り込み孔
Claims (4)
- リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、
空気中の酸素を正極活物質として用いるように構成された正極と、
前記負極と前記正極との間に配置された非水系リチウムイオン伝導体と、
を備え、
前記非水系リチウムイオン伝導体は、9-アザノルアダマンタン-N-オキシル及び9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-N-オキシルから選ばれる少なくとも1つのニトロキシルラジカル化合物と、2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン及び2,6-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノンから選ばれる少なくとも1つとを含む、リチウム空気電池。 - 前記非水系リチウムイオン伝導体における2,5-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン及び2,6-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノンから選ばれる少なくとも1つの濃度が0.01mmol/リットル以上である、請求項1に記載のリチウム空気電池。
- 前記非水系リチウムイオン伝導体における前記ニトロキシルラジカル化合物の濃度が0.01mmol/リットル以上である、請求項1又は2に記載のリチウム空気電池。
- 前記非水系リチウムイオン伝導体は、テトラエチレングリコールジメチルエーテルをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウム空気電池。
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---|---|---|---|
US16/112,769 US10741895B2 (en) | 2017-09-28 | 2018-08-27 | Lithium air battery that includes nonaqueous lithium ion conductor |
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KR101863540B1 (ko) * | 2016-06-09 | 2018-06-01 | 부전전자 주식회사 | 고막 보호 진동판 |
Citations (3)
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---|---|---|---|---|
JP2015069960A (ja) | 2013-10-01 | 2015-04-13 | 日本電信電話株式会社 | リチウム空気二次電池 |
JP2016162686A (ja) | 2015-03-04 | 2016-09-05 | 株式会社豊田中央研究所 | 非水電解液空気電池及びその使用方法 |
JP2016219424A (ja) | 2015-05-22 | 2016-12-22 | トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド | 再充電可能な電池のための有機活物質 |
-
2018
- 2018-05-16 JP JP2018094343A patent/JP7012237B2/ja active Active
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KR101863540B1 (ko) * | 2016-06-09 | 2018-06-01 | 부전전자 주식회사 | 고막 보호 진동판 |
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