JP7011769B2 - 半導電性ローラおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導電性ローラと、その製造方法に関するものである。
電子写真法を利用した画像形成装置においては、コロナ放電に比べて低い電圧で感光体の表面を帯電できることから、帯電方式として、感光体の表面に、帯電ローラを直接に接触させて帯電させる接触帯電方式が普及しつつある。
また、電子写真法を利用した画像形成装置においては、現像方式として非磁性1成分現像方式が主流になりつつある。
非磁性1成分現像方式では、トナーを、現像ローラとトナー量規制ブレードとの間を通過させて摩擦帯電させながら現像ローラの表面に担持させることで、当該表面にトナー層を形成する。次いで、形成したトナー層を、静電潜像を形成した感光体の表面に直接に接触させることで、トナーを、トナー層から静電潜像に選択的に移行させてトナー像に現像する。あるいはトナー層と感光体の表面とを、非接触の状態を維持しながら近接させることで、トナーを、トナー層から静電潜像に選択的に移行(飛翔)させて、トナー像に現像する場合もある。
上記帯電ローラや現像ローラとしては、特に、感光体の表面との当接のニップを十分に確保して、それぞれのローラとしての機能を良好に発現させるために、半導電性のゴム組成物を筒状に成形して架橋させたローラ本体を備えた、半導電性ローラが好適に用いられる。
ところが、ゴム組成物からなるローラ本体の外周面は摩擦係数が大きいため、当該ローラ本体を備えた半導電性ローラを、例えば帯電ローラとして使用した場合には、感光体の表面に残留したトナーや、あるいはトナーの流動性、帯電性等を改善するべくトナーに外添されるシリカや酸化チタン等の外添剤が、ローラ本体の外周面に付着し、蓄積されて、形成画像に、帯電の不均一による縦スジ状や点状の濃度ムラを生じる場合がある。また、直接に接触する感光体の表面に影響を及ぼすおそれもある。
そのため、帯電ローラにおいては、ローラ本体の外周面の低摩擦化を図るべく、当該外周面を、コーティング膜で被覆することが検討されている(例えば特許文献1等参照)。
一方、ゴム組成物からなり、外周面の摩擦係数が大きいローラ本体を備えた半導電性ローラを、例えば現像ローラとして、トナー量規制ブレードと組み合わせてトナーを摩擦帯電させると、摩擦によってトナーが粉砕されて、形成画像がガサつくおそれがある。
また外添剤の微小粒子が、摩擦によってトナー粒子中に埋没し、トナーの流動性が損なわれて、形成画像に濃度ムラを生じたり、トナー量規制ブレードが、いわゆるスリップスティックを起こして、形成画像に縦スジ状の濃度ムラを生じたりする場合がある。
また、ローラ本体の外周面の両端部は、当該外周面に担持させたトナーが、現像ローラを組み込んだ現像装置の外へ漏出するのを防止するべく、シール部材によってシールされる場合がある。シール部材は、例えばフェルト等によって形成され、現像装置の筐体等に固定された状態で、回転する現像ローラの、ローラ本体の外周面の両端部に摺接される。
ところが、画像形成を繰り返すと、シール部材によってシールされたはずの両端部からトナーが漏れやすくなる。この原因は、ローラ本体の外周面の両端部の付近が、シール部材との摺接によって摩耗して、当該シール部材との間に隙間を生じることにある。
そこで、現像ローラにおいても、ローラ本体の外周面の低摩擦化を図って、これらの不具合が生じるのを抑制するべく、当該外周面を、コーティング膜で被覆することが検討されている(例えば特許文献2等参照)。
しかし、コーティング膜は、そのもとになるバインダ樹脂を含む液状のコーティング剤を、スプレー法、ディッピング法等の塗布方法によってローラ本体の外周面に塗布したのち、乾燥させて形成されるため、上記形成過程においてホコリ等の異物の混入、厚みムラの発生等の様々な不具合を生じやすいという課題がある。
また、コーティング剤を調製するには、バインダ樹脂を溶解する有機溶剤が必要であるが、有機溶剤の使用は環境に対する負荷が大きく、近年の低VOC(揮発性有機化合物)化の流れに逆行することになるという課題もある。
特許文献3には、イソシアネート化合物および有機溶媒を含む処理液を、ゴム製のローラ本体に含浸させたのちイソシアネート化合物を硬化反応させて、ローラ本体の外周面を、当該イソシアネート化合物の硬化物からなるコーティング膜で被覆することが記載されている。
しかし、処理液が有機溶剤を含むことから、依然として、有機溶剤を使用することによる課題は解消されない上、イソシアネート化合物の硬化物からなるコーティング膜は硬すぎて、感光体の表面を傷つけたりしやすいという課題もある。
特開2000-267394号公報 特開2001-222163号公報 特開2011-53659号公報
本発明の目的は、コーティング膜を省略した簡単な構造を維持しながら、なおかつ現状よりも外周面が低摩擦化されたローラ本体を備えた半導電性ローラと、その製造方法を提供することにある。
本発明は、ゴム、および前記ゴムを架橋させるための架橋成分を含み、かつ前記ゴムは、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の極性ゴムであるゴム組成物の架橋物からなり、外周面が露出された筒状のローラ本体を備え、前記ローラ本体の、前記外周面より径方向内方で、かつ当該外周面の近傍には、前記ゴム組成物の架橋物および室温で液状を呈するジイソシアネート化合物の硬化物を含み、前記外周面において露出された、略筒状の硬化領域を有する半導電性ローラである。
また本発明は、かかる半導電性ローラの製造方法であって、前記ゴム組成物を筒状に成形し、架橋させて前記ローラ本体を形成する工程、当該ローラ本体を、室温で液状を呈するジイソシアネート化合物に、前記室温環境下で浸漬して、当該ジイソシアネート化合物を、前記外周面から前記ローラ本体内に含浸させる工程、および前記外周面上に付着した前記ジイソシアネート化合物を除去するとともに、前記ローラ本体内に含浸させた前記ジイソシアネート化合物を硬化反応させることにより、前記ローラ本体の、前記外周面より径方向内方で、かつ当該外周面の近傍に、前記外周面において露出された前記硬化領域を形成する工程を含む半導電性ローラの製造方法である。
本発明によれば、コーティング膜を省略した簡単な構造を維持しながら、なおかつ現状よりも外周面が低摩擦化されたローラ本体を備えた半導電性ローラと、その製造方法を提供できる。
図(a)は、本発明の半導電性ローラの、実施の形態の一例の外観を示す斜視図、図(b)は、図(a)の例の半導電性ローラのうちローラ本体の内部構造を模式的に示す断面図である。
《半導電性ローラおよびその製造方法》
図1(a)は、本発明の半導電性ローラの、実施の形態の一例の外観を示す斜視図、図1(b)は、図1(a)の例の半導電性ローラのうちローラ本体の内部構造を模式的に示す断面図である。
両図を参照して、この例の半導電性ローラ1は、ゴムと、当該ゴムを架橋させるための架橋成分とを含み、かつゴムは、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、およびブタジエンゴム(BR)からなる群より選ばれた少なくとも1種の極性ゴムであるゴム組成物の架橋物によって、非多孔質でかつ単層構造の筒状に形成されたローラ本体2を備えるとともに、当該ローラ本体2の中心の通孔3にシャフト4が挿通されて固定されたものである。
シャフト4は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されている。
シャフト4は、例えば導電性を有する接着剤を介して、ローラ本体2と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、または通孔3の内径よりも外径の大きいものを通孔3に圧入することで、ローラ本体2と電気的に接合されるとともに機械的に固定される。あるいは、この両方を併用して、シャフト4をローラ本体2に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
ローラ本体2は、外周面5が露出されているとともに、当該外周面5より径方向内方で、かつ外周面5の近傍の領域(以下「表層部」と略記する場合がある。)には、ローラ本体2を形成するゴム組成物の架橋物と、ジイソシアネート化合物の硬化物とを含み、上記外周面5において露出された、ごく薄い略筒状の硬化領域2aが設けられている。硬化領域2aは、後述するように、例えば室温(15~35℃)で液状を呈し、かつ水分等によって硬化反応するジイソシアネート化合物を、室温環境下、ローラ本体2の外周面5から当該ローラ本体2内に含浸させたのち、空気中の水分等によって硬化反応させるなどして形成される。
ローラ本体2を、ゴムが、前述した4種のうち少なくとも1種の極性ゴムであるゴム組成物によって形成するのは、極性ゴムの方が、非極性ゴムよりもジイソシアネート化合物および空気中の水分を取り込みやすいためである。すなわち、ゴムが上記極性ゴムであるゴム組成物によってローラ本体2を形成することにより、当該ローラ本体2内の表層部に、適量のジイソシアネート化合物を含浸させて、硬化反応させることができる。そのため、ローラ本体2内の表層部に、適度の厚みを有し、外周面5を良好に低摩擦化しうる、連続した硬化領域2aを形成することができる。
ローラ本体2の、硬化領域2aより径方向内方には、ジイソシアネート化合物が含浸されていない未含浸領域2bが設けられている。未含浸領域2bは、ゴム組成物の架橋物からなり、ゴムとしての良好な特性を維持している。
さらに硬化領域2aは、ローラ本体2の外周面5の略全面で、コーティング膜等によって被覆されずに露出されている。
ローラ本体2を、上記の構成とすると、硬化領域2aに含まれるジイソシアネート化合物の硬化物によって、当該ローラ本体2の、露出した外周面5の硬度を高めて、当該外周面5の摩擦係数を低減できる。しかも、硬化領域2aは、ローラ本体2内の表層部にごく薄く形成される上、ローラ本体2を形成するゴム組成物の架橋物中に、当該ゴム組成物中に含浸されたジイソシアネート化合物の硬化物が混在した状態とされる。そのため硬化領域2aは、従来の、外周面5上に形成されるコーティング膜のように、ローラ本体2の、ゴムとしての良好な特性を損なったり、特に、ジイソシアネート化合物の硬化物のみからなるコーティング膜のように硬くなって、感光体の表面を傷つけたりすることがない。
よって、ローラ本体2の大部分が、ジイソシアネート化合物が含浸されていないゴム組成物の架橋物からなる未含浸領域2bであって、ゴムとしての良好な特性を維持していることと相まって、当該ローラ本体2の、ゴムとしての良好な特性を損なうことなしに、その外周面5を、現状に比べて低摩擦化することができる。
したがって、本発明によれば、前述した種々の課題を生じるおそれのあるコーティング膜を省略した簡単な構造を維持しながら、なおかつ現状よりも外周面5が低摩擦化されたローラ本体2を備えた半導電性ローラ1を提供できる。
そして、本発明の半導電性ローラ1を、例えば帯電ローラとして使用して画像を形成した場合には、感光体の表面に残留したトナーや外添剤がローラ本体の外周面に付着し、蓄積されて、形成画像に、帯電の不均一による縦スジ状や点状の濃度ムラを生じたり、直接に接触する感光体の表面に影響を及ぼしたりするのを抑制して、良好な画像を形成することが可能となる。
また、本発明の半導電性ローラ1を、例えば現像ローラとして使用して画像を形成した場合には、摩擦によってトナーが粉砕されて形成画像がガサついたり、外添剤の微小粒子がトナー粒子中に埋没し、トナーの流動性が損なわれて形成画像の濃度ムラを生じたり、トナー量規制ブレードがスリップスティックを起こして形成画像に縦スジ状の濃度ムラを生じたり、画像形成を繰り返した際に、シール部材によってシールされた両端部が摩耗してトナーの漏れが発生したりするのを抑制して、良好な画像を形成することが可能となる。
なお、ローラ本体2の外周面5から当該ローラ本体2内にジイソシアネート化合物が含浸され、硬化されて形成される硬化領域の、ローラ本体2の径方向の厚み(ジイソシアネート化合物の含浸深さ)は、これに限定されるものではないが、500μm以下であるのが好ましい。
この範囲より硬化領域の厚みが大きい場合には、外周面5が硬くなりすぎて、例えば帯電ローラの場合は、感光体の表面が摩耗したり傷ついたりしやすくなるおそれがある。また現像ローラの場合には、摩擦によってトナーが粉砕されたり、劣化したりしやすくなるおそれがある。
これに対し、硬化領域の厚みを500μm以下とすることにより、外周面5に、上記の問題を生じるほど硬すぎない適度の硬さを付与して、前述した本発明の効果をより一層向上することができる。
半導電性ローラ1を製造するには、まずゴム組成物を、押出成形機を用いて筒状に押出成形し、次いで所定の長さにカットして加硫缶内で加圧、加熱して架橋させる。
次いで架橋させた筒状体を、オーブン等を用いて加熱して二次架橋させ、冷却したのち、所定の外径となるように研磨してローラ本体2を形成する。
研磨方法としては、例えば乾式トラバース研削等の種々の研磨方法が採用可能である。
また、研磨工程の最後に鏡面研磨をして仕上げてもよい。その場合は、外周面5の離型性をさらに向上して、硬化領域2aを形成することとの相乗効果によって、トナー等の付着をより一層良好に抑制できる。また感光体等の汚染を有効に防止できる。
シャフト4は、筒状体のカット後から研磨後までの任意の時点で、通孔3に挿通して固定できる。
ただし、カット後、まず通孔3にシャフト4を挿通した状態で、二次架橋と研磨をするのが好ましい。これにより、二次架橋時の膨張収縮によるローラ本体2の反りや変形を抑制できる。また、シャフト4を中心として回転させながら研磨することで、当該研磨の作業性を向上し、なおかつ外周面5のフレを抑制できる。
シャフト4は、先に説明したように、通孔3の内径よりも外径の大きいものを通孔3に圧入するか、あるいは導電性を有する熱硬化性接着剤を介して、二次架橋前の筒状体の通孔3に挿通すればよい。
前者の場合は、シャフト4の圧入と同時に電気的な接合と機械的な固定が完了する。また後者の場合は、オーブン中での加熱によって筒状体が二次架橋されるのと同時に熱硬化性接着剤が硬化して、当該シャフト4がローラ本体2に電気的に接合されるとともに、機械的に固定される。また、この両方を併用して、シャフト4をローラ本体に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
次いで、ローラ本体2を、前述したように室温(15~35℃)で液状を呈し、かつ水分等によって硬化反応するジイソシアネート化合物に浸漬して、当該ジイソシアネート化合物を、外周面5から、ローラ本体2内に含浸させる。
浸漬の条件は、特に限定されないが、浸漬の温度(環境温度およびジイソシアネート化合物の液温)は室温、すなわち15℃以上であるのが好ましく、35℃以下であるのが好ましい。これにより、ジイソシアネート化合物の急速な硬化反応の進行を抑制しながら、ローラ本体2内に、ジイソシアネート化合物をできるだけ速やかに含浸させることができる。
また、ジイソシアネート化合物とゴムの組み合わせ等にもよるが、温度が室温である場合、ローラ本体2の浸漬時間は、1分間以上であるのが好ましく、10分間以下、特に5分間以下であるのが好ましい。浸漬の時間がこの範囲未満では、適量のジイソシアネート化合物をローラ本体2内に含浸させて、適度の厚みを有し、外周面5を良好に低摩擦化しうる、連続した硬化領域2aを形成できないおそれがある。一方、浸漬の時間が上記の範囲を超える場合には、硬化領域2aの厚みが大きくなりすぎて、ローラ本体2の、ゴムとしての良好な特性を維持できなくなるおそれがある。
これに対し、浸漬の時間を上記の範囲とすることにより、ローラ本体2の、ゴムとしての良好な特性を維持しながら、適量のジイソシアネート化合物をローラ本体2内に含浸させて、適度の厚みを有し、外周面5を良好に低摩擦化しうる、連続した硬化領域2aを形成することができる。
次いで、所定の浸漬時間が経過した時点で、ローラ本体2を、ジイソシアネート化合物中から引き上げたのち、外周面5に付着したジイソシアネート化合物を除去する。
外周面5に付着したジイソシアネート化合物を除去しない場合には、当該外周面5上に、連続した、または不連続の状態でジイソシアネート化合物が残り、当該ジイソシアネート化合物が硬化反応して硬化物が形成されて、外周面5が局部的に硬くなったり、当該外周面5に、硬化物からなる硬い突起が形成されたりする。
そのため、例えば半導電性ローラ1を帯電ローラとして使用する場合には、当該帯電ローラと直接に接触する感光体の表面が、上記突起などによって傷つけられる場合がある。また、突起の下流側にトナー等が付着したり、形成画像に濃度ムラを生じたりしやすくなる場合もある。
また半導電性ローラ1を、現像ローラとして使用する場合には、当該現像ローラとトナー量規制ブレードとの間を通過させて摩擦帯電されるトナーが、上記外周面5の、局部的に硬くなった部分によって圧接されてトナー量規制ブレードに融着する結果、形成画像に縦スジ状の濃度ムラを生じたりしやすくなる場合がある。
これに対し、前述したように、外周面5に付着したジイソシアネート化合物を除去することで、これらの問題が生じるのを抑制することができる。
外周面5に付着したジイソシアネート化合物を除去するためには、ジイソシアネート化合物中から引き上げたローラ本体2の外周面5を、例えば不織布製のワイパー等を用いて拭き取るなどすればよい。
そして、外周面5に付着したジイソシアネート化合物を除去したローラ本体2を、例えば所定の温度、湿度環境下で静置して、ローラ本体2内に含浸させたジイソシアネート化合物を、前述したように空気中の水分等によって硬化反応させる。
そうすると、図1(a)(b)に示すように、ローラ本体2内の表層部に、ゴム組成物の架橋物およびジイソシアネート化合物の硬化物を含み、外周面5において露出された略筒状の硬化領域2bが設けられた半導電性ローラ1が製造される。
《ジイソシアネート化合物》
ジイソシアネート化合物としては、室温で液状を呈するとともに、空気中の水分等によって硬化反応する種々のジイソシアネート化合物が挙げられる。
例えば、無変性のジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)等の、室温で固体であるジイソシアネート化合物をローラ本体2に含浸させるには、融点以上に加熱して融液としたり、任意の溶剤に溶解して溶液としたりする必要がある。
しかし、例えばジイソシアネート化合物の融液にローラ本体2を浸漬したのち引き上げると、その外周面5に残ったジイソシアネートは、急速に冷却されて固形化する。同様に、ジイソシアネート化合物の溶液にローラ本体2を浸漬したのち引き上げると、その外周面5に残ったジイソシアネートは、溶液が急速に乾燥されることで析出して固形化する。
そして、固形化したジイソシアネート化合物は、液状のものと比べて外周面5から除去するのが容易でないため、除去しきれずに残ったジイソシアネート化合物が空気中の水分等によって硬化反応すると、外周面5が局部的に硬くなったり、当該外周面5に、硬化物からなる硬い突起が形成されたりして、感光体の表面を傷つけたり、突起の下流側にトナー等が付着したり、形成画像に濃度ムラを生じたりしやすくなる。
これに対し、室温で液状のジイソシアネート化合物は、前述したように、例えば不織布製のワイパー等を用いて拭き取ることで、ローラ本体2の外周面5から容易に除去することができ、当該外周面5に硬化物が残って上述した課題を生じるおそれがない。
室温で液状のジイソシアネート化合物としては、例えばピュアMDIを、室温で液状を呈するように変性したカルボジイミド変性MDI、ウレタン変性MDI等の変性MDIや、あるいはトリレンジイソシアネート(TDI)等の1種または2種以上が挙げられる。
中でも、より少量の含浸で、ローラ本体2の外周面5の硬度を高めて、当該外周面5の摩擦係数を低減できる点で、分子構造の対称性が高いため結晶性の高い変性MDI、特にカルボジイミド変性MDIが好ましい。
《ゴム組成物》
〈ゴム〉
ゴム組成物を形成するゴム、前述したようにエピクロルヒドリンゴム、CR、NBR、およびBRからなる群より選ばれた少なくとも1種の、架橋性を有する極性ゴムである必要がある。極性ゴムは、前述したように、ジイソシアネート化合物や空気中の水分を取り込みやすい上、半導電性ローラにイオン導電性を付与して、当該半導電性ローラのローラ抵抗値を、例えば帯電ローラまたは現像ローラとしての使用に適した範囲まで低下させるために機能する。
特に、エピクロルヒドリンゴム、CR、NBRおよびBRのうちのいずれか1種を単独で使用するか、あるいは2種以上を併用するのが好ましい。
中でも、イオン導電性に優れたエピクロルヒドリンゴムまたはNBRを単独で使用したり、エピクロルヒドリンゴムと、ローラ本体にゴムとしての良好な特性、すなわち柔軟で、しかも圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくい特性を付与したりするためにも機能する、CR、NBRおよびBRのうちの少なくとも1種のジエン系ゴムとを併用したりするのが好ましい。
(エピクロルヒドリンゴム)
エピクロルヒドリンゴムとしては、繰り返し単位としてエピクロルヒドリンを含み、イオン導電性を有する種々の重合体が使用可能である。
エピクロルヒドリンゴムとしては、例えばエピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン-アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。
中でも、帯電ローラや現像ローラとしての使用に適した範囲まで半導電性ローラのローラ抵抗値を低下させる効果の点で、エチレンオキサイドを含む共重合体、特にECOおよび/またはGECOが好ましい。
上記両共重合体におけるエチレンオキサイド含量は、いずれも30モル%以上、特に50モル%以上であるのが好ましく、80モル%以下であるのが好ましい。
エチレンオキサイドは、半導電性ローラのローラ抵抗値を下げる働きをする。しかしエチレンオキサイド含量がこの範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、ローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
一方、エチレンオキサイド含量が上記範囲を超える場合には、エチレンオキサイドの結晶化が起こり、分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に半導電性ローラのローラ抵抗値が上昇する傾向がある。また架橋後のローラ本体が硬くなりすぎたり、架橋前のゴム組成物の、加熱溶融時の粘度が上昇して、ゴム組成物の加工性が低下したりするおそれもある。
ECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量の残量である。すなわち、エピクロルヒドリン含量は、20モル%以上であるのが好ましく、70モル%以下、特に50モル%以下であるのが好ましい。
また、GECOにおけるアリルグリシジルエーテル含量は、0.5モル%以上、特に2モル%以上であるのが好ましく、10モル%以下、特に5モル%以下であるのが好ましい。
アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、半導電性ローラのローラ抵抗値を低下させる働きをする。しかし、アリルグリシジルエーテル含量がこの範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、ローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
一方、アリルグリシジルエーテルはGECOの架橋時に架橋点として機能するため、アリルグリシジルエーテル含量が上記の範囲を超える場合には、GECOの架橋密度が高くなりすぎることによって分子鎖のセグメント運動が妨げられて、却ってローラ抵抗値が上昇する傾向がある。
GECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量、およびアリルグリシジルエーテル含量の残量である。すなわち、エピクロルヒドリン含量は、10モル%以上、特に19.5モル%以上であるのが好ましく、69.5モル%以下、特に60モル%以下であるのが好ましい。
なおGECOとしては、先に説明した3種の単量体を共重合させた、狭義の意味での共重合体が挙げられる他、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られている。本発明では、このいずれのGECOも使用可能である。
これらエピクロルヒドリンゴムの1種または2種以上を使用できる。
(CR)
CRとしては、クロロプレンを乳化重合させて合成され、架橋性を有する種々のCRが、いずれも使用可能である。
CRは、クロロプレンを乳化重合させる際に用いる分子量調整剤の種類によって、硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプとに分類される。
このうち硫黄変性タイプのCRは、クロロプレンと、分子量調整剤としての硫黄とを共重合させたポリマを、チウラムジスルフィド等で可塑化して所定の粘度に調整することで合成される。
また非硫黄変性タイプのCRは、例えばメルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプ等に分類される。
このうちメルカプタン変性タイプのCRは、例えばn-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調整剤として使用すること以外は、硫黄変性タイプのCRと同様にして合成される。
またキサントゲン変性タイプのCRは、アルキルキサントゲン化合物を分子量調整剤として使用すること以外は、やはり硫黄変性タイプのCRと同様にして合成される。
またCRは、その結晶化速度に基づいて、当該結晶化速度が遅いタイプ、中庸であるタイプ、および速いタイプに分類される。
本発明では、いずれのタイプのCRを用いてもよいが、中でも非硫黄変性タイプで、かつ結晶化速度が遅いタイプのCRが好ましい。
またCRとしては、クロロプレンと他の共重合成分との共重合体を用いてもよい。他の共重合成分としては、例えば2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。
さらにCRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、半導電性ローラを帯電ローラや現像ローラとして使用する場合は、トナーや感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない、非油展タイプのCRを用いるのが好ましい。
これらCRの1種または2種以上を使用できる。
(NBR)
NBRとしては、アクリロニトリルとブタジエンとを、乳化重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成され、なおかつ架橋性を有する種々のNBRが、いずれも使用可能である。
またNBRとしては、アクリロニトリル含量が24%以下である低ニトリルNBR、25~30%である中ニトリルNBR、31~35%である中高ニトリルNBR、36~42%である高ニトリルNBR、43%以上である極高ニトリルNBRが、いずれも使用可能である。
さらにNBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、半導電性ローラを帯電ローラや現像ローラとして使用する場合は、やはりトナーや感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない、非油展タイプのNBRを用いるのが好ましい。
これらNBRの1種または2種以上を使用できる。
(BR)
BRとしては、分子中にポリブタジエン構造を備え、架橋性を有する種々のBRが、いずれも使用可能である。
特に、高温から低温まで広い温度範囲でゴムとしての良好な特性を発現しうる、シス-1,4結合の含量が95質量%以上である高シスBRが好ましい。
またBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、半導電性ローラを帯電ローラや現像ローラとして使用する場合は、やはりトナーや感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない、非油展タイプのBRを用いるのが好ましい。
これらBRの1種または2種以上を使用できる。
〈架橋成分〉
ゴム組成物には、ゴムを架橋させるための架橋成分を含有させる。架橋成分としては、チオウレア系架橋剤、および硫黄系架橋剤を併用するのが好ましい。
(チオウレア系架橋剤)
チオウレア系架橋剤としては、分子中にチオウレア構造を有し、主にECOおよび/またはGECOの架橋剤として機能しうる種々のチオウレア化合物が使用可能である。
チオウレア系架橋剤としては、例えばエチレンチオウレア、N,N′-ジフェニルチオウレア、トリメチルチオウレア、式(1):
(C2n+1NH)C=S (1)
〔式中、nは1~12の整数を示す。〕で表されるチオウレア、テトラメチルチオウレア等の1種または2種以上が挙げられる。特にエチレンチオウレアが好ましい。
チオウレア系架橋剤の配合割合は、ローラ本体に、前述したゴムとしての良好な特性を付与すること等を考慮すると、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
(架橋促進剤)
チオウレア系架橋剤には、当該チオウレア系架橋剤によるECOおよび/またはGECOの架橋反応を促進する種々の架橋促進剤を併用してもよい。
かかる架橋促進剤としては、例えば1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド等のグアニジン系促進剤などの1種または2種以上が挙げられる。特に1,3-ジ-o-トリルグアニジンが好ましい。
架橋促進剤の配合割合は、架橋反応を促進する効果を十分に発現させることを考慮すると、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
(硫黄系架橋剤)
主にジエン系ゴムやGECOを架橋させるための硫黄系架橋剤としては、例えば粉末硫黄、オイル処理粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等の硫黄や、あるいはテトラメチルチウラムジスルフィド、N,N-ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物などが挙げられ、特に硫黄が好ましい。
硫黄の配合割合は、ローラ本体に、前述したゴムとしての良好な特性を付与すること等を考慮すると、ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下であるのが好ましい。
なお、例えば硫黄としてオイル処理粉末硫黄、分散性硫黄等を使用する場合、上記配合割合は、それぞれの中に含まれる有効成分としての硫黄自体の割合とする。
また、架橋剤として有機含硫黄化合物を使用する場合、その配合割合は、分子中に含まれる硫黄の、ゴムの総量100質量部あたりの割合が上記の範囲となるように調整するのが好ましい。
(架橋促進剤)
硫黄系架橋剤には、当該硫黄系架橋剤によるジエン系ゴム等の架橋反応を促進する種々の架橋促進剤を併用してもよい。
かかる架橋促進剤としては、例えばチアゾール系促進剤、チウラム系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。中でも、チアゾール系促進剤とチウラム系促進剤を併用するのが好ましい。
チアゾール系促進剤としては、例えば2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2-(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(4′-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の1種または2種以上が挙げられる。特にジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
またチウラム系促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の1種または2種以上が挙げられる。特にテトラメチルチウラムモノスルフィドが好ましい。
上記2種の架橋促進剤の併用系において、架橋反応を促進する効果を十分に発現させることを考慮すると、チアゾール系促進剤の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上、1質量部以下であるのが好ましい。またチウラム系促進剤の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上、1質量部以下であるのが好ましい。
〈導電剤〉
特に帯電ローラを形成するゴム組成物には、さらに導電剤としての、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンと、陽イオンとの塩(イオン塩)を配合してもよい。
導電剤としてイオン塩を配合することにより、ゴム組成物のイオン導電性をさらに向上して、帯電ローラのローラ抵抗値をより一層低下できる。
イオン塩を構成する、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとしては、例えばフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン等の1種または2種以上が挙げられる。
このうちフルオロアルキルスルホン酸イオンとしては、例えばCFSO 、CSO 等の1種または2種以上が挙げられる。
またビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオンとしては、例えば(CFSO)、(CSO)、(CSO)(CFSO)N、(FSO)(CFSO)N、(C17SO)(CFSO)N、(CFCHOSO)、(CFCFCHOSO)、(HCFCFCHOSO)、[(CF)CHOSO]等の1種または2種以上が挙げられる。
さらにトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオンとしては、例えば(CFSO)、(CFCHOSO)等の1種または2種以上が挙げられる。
また陽イオンとしては、例えばナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族元素のイオン、遷移元素のイオン、両性元素の陽イオン、第4級アンモニウムイオン、イミダゾリウム陽イオン等の1種または2種以上が挙げられる。
イオン塩としては、特に陽イオンとしてリチウムイオンを用いたリチウム塩、またはカリウムイオンを用いたカリウム塩が好ましい。
中でも、ゴム組成物のイオン導電性を向上して帯電ローラのローラ抵抗値を低下させる効果の点で、(CFSO)NLi〔リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドLi-TFSI〕、および/または(CFSO)NK〔カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、K-TFSI〕が好ましい。
イオン塩の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
また、イオン塩の配合割合は、組み合わせるゴムの種類等に応じて、上記の範囲で調整できる。特に、イオン導電性に優れたエピクロルヒドリンゴムを含む場合は、当該エピクロルヒドリンゴムが多いほど、イオン塩の配合割合を少なくし、逆にエピクロルヒドリンゴムが少ないほど、イオン塩の配合割合を多くすればよい。
〈その他〉
ゴム組成物には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば架橋促進助剤、受酸剤、充填剤、可塑剤、加工助剤、劣化防止剤等が挙げられる。
このうち架橋促進助剤としては、例えば酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
架橋促進助剤の配合割合は、個別に、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
受酸剤は、架橋時にエピクロルヒドリンゴムやCRから発生する塩素系ガスの、ローラ本体内への残留と、それによる架橋阻害や感光体の汚染等を防止するために機能する。
受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、中でも分散性に優れたハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。
また、ハイドロタルサイト類等を酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用すると、より高い受酸効果を得ることができ、感光体の汚染をさらに良好に防止できる。
受酸剤の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
充填剤としては、例えば酸化亜鉛、シリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。
充填剤を配合することにより、帯電ローラや現像ローラの機械的強度等を向上できる。
また、充填剤として導電性カーボンブラックを用いると、ローラ本体に電子導電性を付与できる。
導電性カーボンブラックとしては、例えばケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、カーボンブラックHAF、SAF、ISAF等の1種または2種以上が挙げられる。
導電性カーボンブラックの配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下であるのが好ましい。
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤や、極性ワックス等の各種ワックス等が挙げられる。また加工助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。
可塑剤および/または加工助剤の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり3質量部以下であるのが好ましい。
劣化防止剤としては、各種の老化防止剤や酸化防止剤等が挙げられる。
このうち老化防止剤は、帯電ローラや現像ローラのローラ抵抗値の環境依存性を低減するとともに、連続通電時のローラ抵抗値の上昇を抑制する働きをする。老化防止剤としては、例えばジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
老化防止剤の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
また添加剤としては、さらにスコーチ防止剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等の各種添加剤を、任意の割合で配合してもよい。
本発明の半導電性ローラ1は、例えばレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置において、帯電ローラや現像ローラとして好適に使用できるほか、例えば転写ローラ、クリーニングローラ等として用いることもできる。
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、これら実施例、比較例によって限定されるものではない。
《帯電ローラ》
〈実施例1-1〉
(ゴム組成物の調製)
ゴムとしては、GECO〔(株)大阪ソーダ製のエピオン(登録商標)301、EO/EP/AGE=73/23/4(モル比)〕40質量部、CR〔昭和電工(株)製のショウプレン(登録商標)WRT、非油展〕10質量部、NBR〔日本ゼオン(株)製のNipol(登録商標)DN401LL、低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量:18%、非油展〕10質量部、およびBR〔JSR(株)製のBR01、非油展〕40質量部を配合した。
そして4種のゴムの総量100質量部を、バンバリミキサを用いて素練りしながら、下記の各成分を配合して混練した。
Figure 0007011769000001
表1中の各成分は下記のとおり。また表中の質量部は、ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
イオン塩:カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔三菱マテリアル電子化成(株)製のEF-N112、K-TFSI〕
架橋促進助剤:酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕
受酸剤:ハイドロタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT-4A(登録商標)-2〕
加工助剤:ステアリン酸亜鉛〔日油(株)製のジンクステアレート〕
次いで混練を続けながら、下記の架橋成分を配合してさらに混練してゴム組成物を調製した。
Figure 0007011769000002
表2中の各成分は下記のとおり。また表中の質量部は、ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
チオウレア系架橋剤:エチレンチオウレア〔川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22-S、2-メルカプトイミダゾリン〕
促進剤DT:1,3-ジ-o-トリルグアニジン〔三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)DT、グアニジン系促進剤〕
硫黄系架橋剤:分散性硫黄〔鶴見化学工業(株)製のサルファックス(登録商標)PS、硫黄分:99.5質量%〕
促進剤DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド〔Shandong Shanxian Chemical社製のSUNSINE MBTS、チアゾール系促進剤〕
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド〔三新化学工業(株)製のサンセラーTS、チウラム系促進剤〕
(帯電ローラの製造)
調製したゴム組成物を押出機に供給して、外径φ13.0mm、内径φ5.5mmの筒状に押出成形し、架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋させた。
次いで、架橋させた筒状体を、外周面に導電性の熱硬化性接着剤(ポリアミド系)を塗布した外径φ6.0mmの金属シャフトに装着し直して、オーブン中で160℃に加熱して当該金属シャフトに接着させた。
次いで、両端を整形し、外周面を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨したのち、鏡面研磨により外径がφ12mm(公差0.05)になるように仕上げた。鏡面研磨には、#400のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム〕を用いた。
研磨後のローラ本体を水洗いして乾燥させ、次いでカルボジイミド変性MDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネート(登録商標)MM-103〕に3分間浸漬したのち引き上げて、外周面に付着した余剰のカルボジイミド変性MDIを、ワイパー〔キュプラ(登録商標)連続長繊維不織布を基布としたもの。旭化成(株)製のベンコット(登録商標)〕を用いて拭き取ったのち、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下で24時間静置して、外周面からローラ本体内に含浸させたカルボジイミド変性MDIを硬化反応させて、帯電ローラを製造した。
〈実施例1-2〉
ゴムとして、GECO80質量部とNBR20質量部とを用いるとともに、イオン塩の量を2質量部としたこと以外は実施例1-1と同様にしてゴム組成物を調製し、帯電ローラを製造した。
〈実施例1-3〉
ゴムとして、GECO100質量部を用いるとともに、イオン塩の量を2質量部としたこと以外は実施例1-1と同様にしてゴム組成物を調製し、帯電ローラを製造した。
〈実施例1-4〉
ゴムとして、NBR100質量部を用いるとともに、イオン塩の量を5質量部としたこと以外は実施例1-1と同様にしてゴム組成物を調製し、帯電ローラを製造した。
〈実施例1-5~1-8〉
ローラ本体を、ウレタン変性MDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネートMP-102〕に3分間浸漬したこと以外は実施例1-1~1-4と同様にして帯電ローラを製造した。
〈比較例1-1~1-4〉
ローラ本体を、変性MDIに浸漬しなかったこと以外は実施例1-1~1-4と同様にして帯電ローラを製造した。
〈比較例1-5〉
ゴムとして、非極性ゴムであるEPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM 505A〕100質量部を用いるとともに、高導電性カーボンブラック〔ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のケッチェンブラックEC600JD〕10質量部を配合し、イオン塩および受酸剤を配合しなかったこと以外は実施例1-1と同様にしてゴム組成物を調製し、帯電ローラを製造した。
〈比較例1-6〉
ローラ本体を、60℃に加熱して溶融させたピュアMDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネートMS〕に3分間浸漬したこと以外は比較例1-5と同様にして帯電ローラを製造した。
〈比較例1-7〉
ローラ本体を、変性MDIに浸漬しなかったこと以外は比較例1-5と同様にして帯電ローラを製造した。
〈比較例1-8~1-11〉
ローラ本体を、60℃に加熱して溶融させたピュアMDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネートMS〕に3分間浸漬したこと以外は実施例1-1~1-4と同様にして帯電ローラを製造した。
〈動摩擦係数測定〉
実施例、比較例で製造した帯電ローラの動摩擦係数を、(株)トリニティーラボ製のトライボマスターTL201Tsを用いて、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下、接触子:ボール接触子、荷重:10g、計測距離:10mm、移動速度:10mm/秒の条件で測定した。
〈実機試験〉
感光体と、当該感光体の表面に常時接触させて配設された帯電ローラとを備え、レーザープリンタの本体に着脱自在とされた新品のイメージドラムユニット〔(株)沖データ製〕の、純正の帯電ローラに代えて、実施例、比較例で製造した帯電ローラを組み込んだ。
そして組み立てたイメージドラムユニットを、カラーLEDプリンタ〔(株)沖データ製のC711dn2〕に装填して、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下、普通紙に5%濃度の画像を20000枚に亘って連続形成し、その途中で縦スジ状や点状の濃度ムラが生じた場合には画像形成を中断して不良(×)と評価し、形成した20000枚の画像に、縦スジ状や点状の濃度ムラが全く生じなかったものを良好(○)と評価した。
また連続画像形成後に帯電ローラを取り出し、外周面を目視によって観察して、トナーや外添剤の付着による白化が生じていたものを不良(×)、白化が生じていなかったものを良好(○)と評価した。
以上の結果を表3~表7に示す。
Figure 0007011769000003
Figure 0007011769000004
Figure 0007011769000005
Figure 0007011769000006
Figure 0007011769000007
変性MDIを含浸させなかった比較例1-1~1-4、比較例1-7は、いずれもローラ本体内に硬化領域を有しないため、外周面の硬度を高めて、当該外周面を低摩擦化する効果が得られなかった。そのため、形成画像には、帯電の不均一による濃度ムラを生じ、またローラ本体の外周面は、トナー等が付着して白化しているのが確認された。
比較例1-5は、ゴムとして非極性ゴムを用いたため、変性MDIを含浸させているにも拘らず、ローラ本体内に、十分な硬化領域を形成できず、外周面の硬度を高めて、当該外周面を低摩擦化する効果が十分に得られなかった。そのため、形成画像には、依然として帯電の不均一による濃度ムラを生じ、また比較例1-1~1-4、比較例1-7ほどではないものの、ローラ本体の外周面は、トナー等が付着して白化しているのが確認された。
非極性ゴムとピュアMDIとを組み合わせた比較例1-6は、ローラ本体内に十分な硬化領域を形成できないため、やはり外周面の硬度を高めて、当該外周面を低摩擦化する効果が不十分であった。また外周面には、除去しきれなかったピュアMDIの硬化物による突起が形成されて、その下流側にトナー等が付着しているのも見られた。そして形成画像には、帯電の不均一と突起による濃度ムラを生じるとともに、感光体の表面には、ローラ本体の外周面が局部的に硬くなったり、突起が形成されたりしたことが原因と考えられる傷が確認された。
極性ゴムとピュアMDIとを組み合わせた比較例1-8~1-11は、ローラ本体内に十分な硬化領域が形成されており、外周面の硬度を高めて、当該外周面を十分に低摩擦化することはできた。しかし外周面には、除去しきれなかったピュアMDIの硬化物による突起が形成されて、その下流側にトナー等が付着し、それに伴って形成画像に濃度ムラが生じるとともに、感光体の表面には、ローラ本体の外周面が局部的に硬くなったり、突起が形成されたりしたことが原因と考えられる傷が確認された。
これに対し、極性ゴムと変性MDIとを組み合わせた実施例1-1~1-8は、いずれも、ローラ本体内に十分な硬化領域が形成されており、外周面の硬度を高めて、当該外周面を十分に低摩擦化することができた。また、液状の変性MDIは外周面からきれいに除去されており、当該外周面に、除去しきれなかった変性MDIの硬化物は見られなかった。そのため、形成画像には、帯電の不均一や突起による濃度ムラは見られず、また、ローラ本体の外周面には、トナー等の付着による白化は見られなかった。さらに、感光体の表面には、ローラ本体の外周面が局部的に硬くなったり、突起が形成されたりしたことが原因と考えられる傷は見られなかった。
また、実施例1-1~1-4と、実施例1-5~1-8を比較すると、ローラ本体の外周面の硬度を高めて、当該外周面の摩擦係数を低減する効果の点で、変性MDIとしては、カルボジイミド変性MDIが好ましいことが確認された。
《現像ローラ》
〈実施例2-1〉
(ゴム組成物の調製)
ゴムとしては、GECO〔(株)大阪ソーダ製のエピオン301、EO/EP/AGE=73/23/4(モル比)〕40質量部、CR〔昭和電工(株)製のショウプレンWRT、非油展〕10質量部、NBR〔日本ゼオン(株)製のNipol DN401LL、低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量:18%、非油展〕10質量部、およびBR〔JSR(株)製のBR01、非油展〕40質量部を配合した。
そして4種のゴムの総量100質量部を、バンバリミキサを用いて素練りしながら、下記の各成分を配合して混練した。
Figure 0007011769000008
表8中の各成分は下記のとおり。また表中の質量部は、ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
架橋促進助剤:酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕
受酸剤:ハイドロタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT-4A-2〕
加工助剤:ステアリン酸亜鉛〔日油(株)製のジンクステアレート〕
次いで混練を続けながら、下記の架橋成分を配合してさらに混練してゴム組成物を調製した。
Figure 0007011769000009
表9中の各成分は下記のとおり。また表中の質量部は、ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
チオウレア系架橋剤:エチレンチオウレア〔川口化学工業(株)製のアクセル22-S、2-メルカプトイミダゾリン〕
促進剤DT:1,3-ジ-o-トリルグアニジン〔三新化学工業(株)製のサンセラーDT、グアニジン系促進剤〕
硫黄系架橋剤:分散性硫黄〔鶴見化学工業(株)製のサルファックスPS、硫黄分:99.5質量%〕
促進剤DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド〔Shandong Shanxian Chemical社製のSUNSINE MBTS、チアゾール系促進剤〕
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド〔三新化学工業(株)製のサンセラーTS、チウラム系促進剤〕
(現像ローラの製造)
調製したゴム組成物を押出機に供給して、外径φ21mm、内径φ7.0mmの筒状に押出成形し、架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋させた。
次いで、架橋させた筒状体を、外周面に導電性の熱硬化性接着剤(ポリアミド系)を塗布した外径φ7.5mmの金属シャフトに装着し直して、オーブン中で160℃に加熱して当該金属シャフトに接着させた。
次いで、両端を整形し、外周面を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨したのち、鏡面研磨により外径がφ20.00mm(公差0.05)になるように仕上げた。鏡面研磨には、#2000のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム〕を用いた。
研磨後のローラ本体を水洗いして乾燥させ、次いでカルボジイミド変性MDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネートMM-103〕に3分間浸漬したのち引き上げて、外周面に付着した余剰のカルボジイミド変性MDIを、ワイパー〔キュプラ連続長繊維不織布を基布としたもの。旭化成(株)製のベンコット〕を用いて拭き取ったのち、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下で24時間静置して、ローラ本体内に含浸させたカルボジイミド変性MDIを硬化反応させて、現像ローラを製造した。
〈実施例2-2〉
ゴムとして、GECO80質量部とNBR20質量部とを用いるとともに、イオン塩の量を2質量部としたこと以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例2-3〉
ゴムとして、GECO100質量部を用いるとともに、イオン塩の量を2質量部としたこと以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例2-4〉
ゴムとして、NBR100質量部を用いるとともに、イオン塩の量を5質量部としたこと以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈実施例2-5~2-8〉
ローラ本体を、ウレタン変性MDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネートMP-102〕に3分間浸漬したこと以外は実施例2-1~2-4と同様にして現像ローラを製造した。
〈比較例2-1~12-4〉
ローラ本体を、変性MDIに浸漬しなかったこと以外は実施例2-1~2-4と同様にして現像ローラを製造した。
〈比較例2-5〉
ゴムとして、非極性ゴムであるEPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM 505A〕100質量部を用いるとともに、高導電性カーボンブラック〔ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のケッチェンブラックEC600JD〕10質量部を配合し、イオン塩および受酸剤を配合しなかったこと以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物を調製し、現像ローラを製造した。
〈比較例2-6〉
ローラ本体を、60℃に加熱して溶融させたピュアMDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネートMS〕に3分間浸漬したこと以外は比較例2-5と同様にして現像ローラを製造した。
〈比較例2-7〉
ローラ本体を、変性MDIに浸漬しなかったこと以外は比較例2-5と同様にして現像ローラを製造した。
〈比較例2-8~2-11〉
ローラ本体を、60℃に加熱して溶融させたピュアMDI〔BASF INOACポリウレタン(株)製のルプラネートMS〕に3分間浸漬したこと以外は実施例2-1~2-4と同様にして現像ローラを製造した。
〈動摩擦係数測定〉
実施例、比較例で製造した現像ローラの動摩擦係数を、(株)トリニティーラボ製のトライボマスターTL201Tsを用いて、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下、接触子:ボール接触子、荷重:10g、計測距離:10mm、移動速度:10mm/秒の条件で測定した。
〈実機試験〉
トナーを収容したトナー容器、感光体、および感光体と接触させた現像ローラを備え、レーザープリンタの本体に着脱自在とされた新品のカートリッジ〔ブラザー工業(株)製〕の、純正の現像ローラに代えて、実施例、比較例で製造した現像ローラを組み込んだ。
そして組み立てたカートリッジをレーザープリンタ〔ブラザー工業(株)製のHL-L6400DW〕に装填して、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下、普通紙に5%濃度の画像を8000枚連続して形成し、形成した8000枚の画像に、1枚でもガサつき、濃度ムラ、または縦スジ状の濃度ムラの不良が見られたものを不良(×)、全く見られなかったものを良好(○)と評価した。
以上の結果を表10~表14に示す。
Figure 0007011769000010
Figure 0007011769000011
Figure 0007011769000012
Figure 0007011769000013
Figure 0007011769000014
変性MDIを含浸させなかった比較例2-1~2-4、比較例2-7は、いずれもローラ本体内に硬化領域を有しないため、外周面の硬度を高めて、当該外周面を低摩擦化する効果が得られなかった。そのため、形成画像には、摩擦によってトナーが粉砕されたことによるガサつきや、外添剤の微小粒子が、摩擦によってトナー粒子中に埋没して、トナーの流動性が損なわれたことによる濃度ムラ、あるいはトナー量規制ブレードがスリップスティックを起こしたことによる縦スジ状の濃度ムラが確認された。
比較例2-5は、ゴムとして非極性ゴムを用いたため、変性MDIを含浸させているにも拘らず、ローラ本体内に、十分な硬化領域を形成できず、外周面の硬度を高めて、当該外周面を低摩擦化する効果が十分に得られなかった。そのため、形成画像には、依然としてガサつき、濃度ムラ、縦スジ状の濃度ムラが確認された。
非極性ゴムとピュアMDIとを組み合わせた比較例2-6は、ローラ本体内に十分な硬化領域を形成できないため、やはり外周面の硬度を高めて、当該外周面を低摩擦化する効果が不十分であった。そのため、形成画像には、依然としてガサつき、濃度ムラ、縦スジ状の濃度ムラが確認された。また外周面には、除去しきれなかったピュアMDIの硬化物によって局部的に硬くなった部分が生じ、当該部分によって圧接されてトナーがトナー量規制ブレードに融着して、形成画像に、縦スジ状の濃度ムラが確認された。
極性ゴムとピュアMDIとを組み合わせた比較例2-8~2-11は、ローラ本体内に十分な硬化領域が形成されており、外周面の硬度を高めて、当該外周面を十分に低摩擦化することはできた。しかし、外周面には、除去しきれなかったピュアMDIの硬化物によって局部的に硬くなった部分が生じ、当該部分によって圧接されてトナーがトナー量規制ブレードに融着して、形成画像に、縦スジ状の濃度ムラが確認された。
これに対し、極性ゴムと変性MDIとを組み合わせた実施例2-1~2-8は、いずれも、ローラ本体内に十分な硬化領域が形成されており、外周面の硬度を高めて、当該外周面を十分に低摩擦化することができた。また、液状の変性MDIは外周面からきれいに除去されており、当該外周面に、除去しきれなかった変性MDIの硬化物は見られなかった。そのため、形成画像には、帯電の不均一によるガサつき、濃度ムラ、縦スジ状の濃度ムラや、あるいはトナー量規制ブレードへのトナーの融着による縦スジ状の濃度ムラは見られなかった。
また、実施例2-1~2-4と、実施例2-5~2-8を比較すると、ローラ本体の外周面の硬度を高めて、当該外周面の摩擦係数を低減する効果の点で、変性MDIとしては、カルボジイミド変性MDIが好ましいことが確認された。
1 半導電性ローラ
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面

Claims (6)

  1. ゴム、および前記ゴムを架橋させるための架橋成分を含み、かつ前記ゴムは、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の極性ゴムであるゴム組成物の架橋物からなり、外周面が露出された筒状のローラ本体を備え、前記ローラ本体の、前記外周面より径方向内方で、かつ当該外周面の近傍には、前記ゴム組成物の架橋物および室温で液状を呈するジイソシアネート化合物の硬化物を含み、前記外周面において露出された、略筒状の硬化領域を有する半導電性ローラ。
  2. 前記ローラ本体は、前記ゴム組成物の架橋物によって、非多孔質でかつ単層構造に形成されている請求項に記載の半導電性ローラ。
  3. 前記硬化領域の、前記ローラ本体の径方向の厚みは500μm以下である請求項1または2に記載の半導電性ローラ。
  4. 電子写真法を利用した画像形成装置に組み込んで、現像ローラまたは帯電ローラとして用いる請求項1ないしのいずれか1項に記載の半導電性ローラ。
  5. 前記請求項1ないしのいずれか1項に記載の半導電性ローラの製造方法であって、前記ゴム組成物を筒状に成形し、架橋させて前記ローラ本体を形成する工程、当該ローラ本体を、室温で液状を呈するジイソシアネート化合物に、前記室温環境下で浸漬して、当該ジイソシアネート化合物を、前記外周面から前記ローラ本体内に含浸させる工程、および前記外周面上に付着した前記ジイソシアネート化合物を除去するとともに、前記ローラ本体内に含浸させた前記ジイソシアネート化合物を硬化反応させることにより、前記ローラ本体の、前記外周面より径方向内方で、かつ当該外周面の近傍に、前記外周面において露出された前記硬化領域を形成する工程を含む半導電性ローラの製造方法。
  6. 前記ジイソシアネート化合物は、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート化合物である請求項に記載の半導電性ローラの製造方法。
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