JP7010711B2 - 軽水炉の運転計画方法、軽水炉燃料の運用方法、軽水炉燃料集合体、および軽水炉炉心 - Google Patents

軽水炉の運転計画方法、軽水炉燃料の運用方法、軽水炉燃料集合体、および軽水炉炉心 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、軽水炉の運転計画方法、軽水炉燃料の運用方法、軽水炉燃料集合体、および軽水炉炉心に関する。
一般に、軽水炉燃料および軽水炉の炉心においては1運転サイクルの最後(以後 EOC:End of Cycle)に炉心の余剰反応度がゼロになるように燃料が設計され原子炉が運転される。
沸騰水型軽水炉(以後BWR)では、例えば酸化ガドリニウムなどの可燃性毒物の中性子吸収能力がEOCでちょうど無くなるように濃度調整がされる。
BWRのプラント第一サイクルの炉心である初装荷炉心の場合に、一部の少数割合の燃料の可燃性毒物を意図的に燃え残し、残りの燃料で余剰反応度不足を補いつつ炉心の熱的特性を改善する例もある。
加圧水型軽水炉(以後PWR)ではケミカルシム中のホウ酸濃度がEOCでゼロになるように濃度調整がされる。
このように、可燃性毒物は強い中性子吸収体であり、反応度の制御に用いられる。
再処理工場で使用済み燃料から取り出されたプルトニウム(Pu)は、混合酸化物燃料(MOX燃料:Mixed Oxide Fuel)として軽水炉で再利用される。余剰なPuを持つことは、核不拡散上好ましくない。
また、軽水炉の使用済み燃料中にはウラン(U)同位体、Pu同位体および、ネプツニウム(Np)やアメリシウム(Am)やキュリウム(Cm)などのマイナーアクチニド(MA:Minor Actinide)が含まれており、それらの多くは長半減期のα線源である。そのため、MAが体内に取り込まれると内部被ばくにより人体に有害な影響を与える。その有害の程度を潜在的放射性毒性という指標としている例がある。またMAの中では244Cmが停止後10年程度まで最も有害度が大きくなっている。
高速炉はPuやMAを低減できる最良の方法であるが、その建設計画は大幅に遅れると予想される。MOX燃料の軽水炉での再利用は、潜在的放射性毒性の高いPuやMAの量を適正に抑えるために、最も現実的な方法の一つである。
一方、Pu同位体の中でも239Puや241Puは核分裂を起こしやすく、240Puや242Puは核分裂を起こしにくい。
図12は、ウランおよび超ウラン元素の燃焼チェインを示す概念図である。核種としては、図12の左側から右側に、U、Np、Pu、Am、およびCmの同位体を順次示している。図12の上から下にかけて質量数が1ずつ増加、異なる核種間は、隣接する右側の核種を左側の核種より、質量数を1だけ増やして表示している。(n、γ)の表示は、中性子捕獲反応により同一核種内で、質量数が1増加することを示す。βの表示は、β崩壊により同一質量数で右側に表示された核種に移行(原子番号が1つ増加)することを示す。また、αの表示は、α崩壊により質量数が4だけ減少し、原子番号が2だけ減少する、すなわち、図12で2つ左側に表示された系列で、2つ上の位置に表示された同位体に移行することを示す。
239Puは238Uの中性子捕獲により、240Puや242Puは239Puがさらに中性子を捕獲することで生成する。MOX燃料を軽水炉で再利用する場合は、239Puや241Puといった核分裂を起こしやすい核種の割合が高いことが必要であるが、リサイクルを繰り返すと、図12に示すように、240Puや242Puといった核分裂を起こしにくい核種の生成が増える。Pu中の239Puや241Puの核分裂性核種の割合が減少すると、リサイクルが困難となる。これをPuの質が劣化するという。
特許第5743518号公報 特許第2804205号公報 特許第3960572号公報 特開平10-26682号公報 特開平5-65834号公報
「使用済核燃料の潜在的放射性毒性評価のためのデータベース」, JAEA-Data-Code-2010-012,P16,図2
Puの質を劣化させないためには、従来、高速炉や低減速炉といった中性子スペクトルの硬い原子炉が必要であった。中性子スペクトルが硬いとは、中性子エネルギースペクトルが高エネルギー側に重みをもつことを示し、逆に中性子スペクトルが軟らかいとは、中性子エネルギースペクトルが低エネルギー側に重みをもつことをいう。
これは、図12に示した燃焼チェインで、238Uから239Puの生成が、エネルギーのやや高い領域(共鳴エネルギー領域)で生じるのに対し、239Puから240Puやそれ以降のPu同位体の生成が低エネルギー(熱エネルギー領域)で生じるためである。したがって、低エネルギーの中性子の重みを減らす方が、Puの質を高められるが、軽水炉では低エネルギーの中性子が核分裂を起こすために、中性子スペクトルを硬くすることは困難であった。
高速炉の開発、実用化には、相当な期間を必要とする。このため、MOX燃料の軽水炉での再利用を効率良く進めることが、潜在的放射性毒性の高いPuやMAの量を適正に抑えるためにますます重要となっている。
そこで、本発明の実施形態は、取り出し燃料中に残存するプルトニウムの質を高めリサイクルをより可能とすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本実施形態に係る軽水炉の運転計画方法は、軽水炉燃料集合体の軽水炉炉心における燃焼サイクルのサイクル回数を設定するサイクル回数設定ステップと、前記軽水炉燃料集合体中の核燃料物質中のプルトニウムの核分裂性核種の濃度および可燃性毒物の濃度のそれぞれの初期の値を設定する初期値設定ステップと、前記サイクル回数設定ステップおよび前記初期値設定ステップで設定した条件のもとに前記軽水炉炉心における前記軽水炉燃料集合体の燃焼計算を行う燃焼計算ステップと、前記サイクル回数分の最後の燃焼サイクル終了時の核燃料物質における全プルトニウムに対する前記プルトニウムの核分裂性核種の濃度が前記初期の値以上であるとの条件を満たすか否かを判定し、前記初期の値以上であるとの条件が満たされないと判定された場合は、前記初期値設定ステップ以下を繰り返す判定ステップと、を有し、前記軽水炉炉心の中性子スペクトルは、熱中性子領域におけるピークはなく、1eV以上の領域である共鳴領域および高エネルギー領域において重みをもつ分布を有しており、前記初期値設定ステップは、前記可燃性毒物の濃度の前記初期の値を、前記サイクル回数最後の燃焼サイクル終了時において前記可燃性毒物が消滅せずに存在するように設定することを特徴とする。
また、本実施形態に係る軽水炉燃料の運用方法は、上記の軽水炉の運転計画方法により得られた前記サイクル回数の燃焼サイクルにわたり前記軽水炉炉心で前記軽水炉燃料集合体を炉内燃焼させる燃焼ステップと、前記燃焼ステップで燃焼させた前記軽水炉燃料集合体を取り出し、再処理により核燃料物質を取り出して混合酸化物燃料を製造する燃料製造ステップと、を有することを特徴とする。
また、本実施形態に係る軽水炉燃料集合体は、長手方向に延びてプルトニウムの核分裂性核種を含む第1の核燃料物質を内蔵し、互いに並列に配された複数の可燃性毒物無し燃料棒と、長手方向に延びて、前記プルトニウムの核分裂性核種を含む第2の核燃料物質および可燃性毒物を内蔵し、前記可燃性毒物無し燃料棒とともに格子状に配列された複数の可燃性毒物入り燃料棒と、を有し、互いに並列に格子状に配列され、中性子スペクトルを、熱中性子領域におけるピークはなく、1eV以上の領域である共鳴領域および高エネルギー領域において重みをもつ分布を有している軽水炉炉心に使用される複数の軽水炉燃料集合体であって、サイクル回数分の最後の燃焼サイクル終了時の当該軽水炉燃料集合体中の前記プルトニウムの核分裂性核種の濃度が初期の値以上となるように、さらに前記サイクル回数分の最後の燃焼サイクル終了時において前記可燃性毒物が消滅せずに存在するように、当該軽水炉燃料集合体における全プルトニウム中の前記プルトニウムの核分裂性核種の濃度および前記可燃性毒物の濃度のそれぞれの前記初期の値が設定されていることを特徴とする。
また、本実施形態に係る軽水炉炉心は、互いに並列に配された上記の複数の軽水炉燃料集合体と、前記複数の軽水炉燃料集合体の配列内に互いに間隔をおいて配された複数の制御棒と、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、取り出し燃料中に残存するプルトニウムの質を高めリサイクルをより可能とすることができる。
本実施形態に係る軽水炉燃料集合体の構成を示す水平断面図である。 本実施形態に係る軽水炉燃料集合体の可燃性毒物入り燃料棒の構成を示す部分断面立面図である。 本実施形態に係る軽水炉燃料集合体の可燃性毒物無し燃料棒の構成を示す部分断面立面図である。 本実施形態に係る軽水炉炉心の構成を示す水平断面図である。 本実施形態に係る軽水炉の運転計画方法を含む軽水炉燃料の運用方法の手順を示すフロー図である。 本実施形態に係る軽水炉の運転方法による軽水炉燃料集合体の無限増倍率の時間変化を示すグラフである。 本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する155Gdの反応断面積の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。 本実施形態に係る軽水炉炉心と従来の炉心との中性子スペクトルの比較を示すグラフである。 本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する238Uの反応断面積の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。 本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する239Puの反応断面積の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。 本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する核分裂性核種のη値の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。 ウランおよび超ウラン元素の燃焼チェインを示す概念図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る軽水炉燃料集合体および軽水炉炉心について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。なお、以下、便宜上、方向の説明の際に、軽水炉炉心100(図4)中に設置されている状態においての方向で示す場合がある。
図1は、本実施形態に係る軽水炉燃料集合体の構成を示す水平断面図である。図1では、軽水炉燃料集合体10として、沸騰水型軽水炉の燃料集合体の場合を例にとって示している。
軽水炉燃料集合体10は、可燃性毒物入り燃料棒20、可燃性毒物無し燃料棒30、ウォータロッド40、およびチャンネルボックス11を有する。
可燃性毒物入り燃料棒20および可燃性毒物無し燃料棒30は、それぞれ同一の形状、寸法であり、互いに並列に長手方向(軸方向)に延びている。可燃性毒物入り燃料棒20および可燃性毒物無し燃料棒30は、全体で、10行10列で配列されている。
なお、配列数は例示であり、たとえば9行9列などでもよい。また、配列内での可燃性毒物入り燃料棒20の配置についても例示であり、制御棒5(図4)、減速材でもある冷却材の分布、ウォータロッド40などとの位置関係を含めた条件のもとに設定される。
中央には、2本のウォータロッド40が、それぞれ2行2列分の可燃性毒物入り燃料棒20および可燃性毒物無し燃料棒30に代えて1つずつ配されている。ウォータロッド40は、中空円筒状であり、内部を冷却材が流れる。なお、ウォータロッド40は円筒形状に限定されず、例えば断面が矩形等でもよい。
チャンネルボックス11は、断面がほぼ正方形の筒状で、可燃性毒物入り燃料棒20、可燃性毒物無し燃料棒30、およびウォータロッド40を収納するように、これらの径方向外側に配されている。
図2は、本実施形態に係る軽水炉燃料集合体の可燃性毒物入り燃料棒の構成を示す部分断面立面図である。可燃性毒物入り燃料棒20は、被覆管21、上部端栓22、下部端栓23、バネ25、および複数の燃料ペレット26を有する。
被覆管21は、断面が円形で、上下方向に延びた管である。被覆管21の上端は上部端栓22で閉止され、下端は下部端栓23で閉止されており、密閉空間が形成されている。
密閉空間内には、複数の燃料ペレット26が収納されている。それぞれの燃料ペレット26は、被覆管21の内径より僅かに小さい外径を有する。複数の燃料ペレット26は、互いに上下に積層されている。密閉空間のうち、積層された燃料ペレット26により占有されない上方の空間部分は、上部プレナム24を形成する。上部プレナム24は、軽水炉炉心100中での照射により生ずる核分裂生成物のうちの希ガス等の蓄積による密閉空間の圧力上昇を緩和するための空間である。積層された燃料ペレット26の上端は上部プレナム24中に設けられたバネ25により下方に向けて押さえられ、燃料ペレット26の上下方向の振動が抑制されている。
燃料ペレット26は、第1の核燃料物質および可燃性毒物を含む。第1の核燃料物質は、たとえば、ウランとプルトニウムの混合酸化物であり、235U、239Puおよび241Puなどの核分裂性核種を含む。なお、第1の核燃料物質の形態は酸化物の他に、たとえば、窒化物あるいは炭化物などでもよい。可燃性毒物は、たとえばガドリニウム、カドミウム、あるいはユーロピウムなどである。可燃性毒物は、たとえば、金属あるいは酸化物などである。
以下、ウラン中における235Uなどの核分裂性核種の濃縮度と、プルトニウム中における239Puあるいは241Puなどの核分裂性核種の富化度とを総称して、核分裂性核種濃度と呼ぶこととする。
図3は、本実施形態に係る軽水炉燃料集合体の可燃性毒物無し燃料棒の構成を示す部分断面立面図である。可燃性毒物無し燃料棒30は、可燃性毒物入り燃料棒20における燃料ペレット26に代えて、燃料ペレット36を有する。燃料ペレット36は、第2の核燃料物質を有するが、可燃性毒物を有しない。第2の核燃料物質は、たとえば、235U、239Pu、あるいは241Puなどの核分裂性核種を含む。
可燃性毒物無し燃料棒30の燃料ペレット36における第2の核燃料物質の核分裂性核種濃度は、可燃性毒物入り燃料棒20の燃料ペレット26における第1の核燃料物質の核分裂性核種濃度とは、異なる値で良いし、同じ値でもよい。後述する最終燃焼サイクルの末期における条件が成立するようにそれぞれが設定される。
図4は、本実施形態に係る軽水炉炉心の構成を示す水平断面図である。軽水炉炉心100は、複数の従来型燃料集合体8、少なくとも一つの軽水炉燃料集合体10、および複数の制御棒5を有する。複数の従来型燃料集合体8、複数の軽水炉燃料集合体10、および複数の制御棒5は、上下方向に延びて、互いに水平方向に並列に配されている。以下、従来型燃料集合体8と軽水炉燃料集合体10を総称して炉心燃料集合体7と呼ぶ。
炉心燃料集合体7は、正方格子状に配列され、全体として、径方向にほぼ円形な軽水炉炉心100の形状を形成している。径方向の最外周に配された一部の炉心燃料集合体7を除いて、ほとんどの炉心燃料集合体7は、縦横2列、合計4体で1つのセルを構成する。それぞれのセルの中央には、制御棒5が配されている。
図4では、軽水炉燃料集合体10は、軽水炉炉心100の中央に4体配されており、他の箇所に表示をしていないが、軽水炉燃料集合体10の体数が1体以上であれば、軽水炉燃料集合体10の体数および配置については、特に限定しない。また、炉心燃料集合体7の全数が軽水炉燃料集合体10であり、従来型燃料集合体8が0体の場合であってもよい。
図5は、本実施形態に係る軽水炉の運転計画方法を含む軽水炉燃料の運用方法の手順を示すフロー図である。軽水炉の運転方法は、運転計画ステップS10、リサイクル実行ステップS20、および処理・処分ステップS30を有する。
運転計画ステップS10においては、まず、軽水炉燃料集合体10についての燃焼サイクル回数を設定する(ステップS11)。ここで、燃焼サイクルとは、軽水炉炉心100の各運転サイクルにおいて、注目する軽水炉燃料集合体10が軽水炉炉心100に装荷されている間の運転サイクルを意味するものとする。すなわち、ある軽水炉燃料集合体10が装荷される時点の運転サイクルを、当該軽水炉燃料集合体10についての第1燃焼サイクルと呼ぶ。その次の運転サイクルを第2燃焼サイクルと呼ぶ。たとえば、燃焼サイクル回数が3サイクルの場合は、さらに次の運転サイクルである第3燃焼サイクルを最終燃焼サイクルと呼ぶこととする。
次に、核分裂性核種の濃度および可燃性毒物の濃度のそれぞれの初期の値を設定する(ステップS12)。ここで、初期の値とは、軽水炉燃料集合体10を第1燃焼サイクル開始時に装荷する際の値を意味する。
可燃性毒物については、後述するようにその存在が、軽水炉炉心100の中性子スペクトルを高エネルギー側にシフトさせる効果を有する。これは、後述するステップS14での判定条件を満たすために有利な効果である。したがって、可燃性毒物の濃度の設定は、たとえば、最終燃焼サイクル終了時においての可燃性毒物の濃度が正の所定値となるように設定することが考えられる。ここで、正の所定値とは、たとえば、0.1%などの、正の値で、初期の濃度に比べて十分に小さな値である。
ただし、最終燃焼サイクルの末期まで存在しなくとも後述するステップS14での判定条件を満たすならば、最終燃焼サイクルの途中で可燃性毒物が消滅するような初期の可燃性毒物濃度の場合であってもよい。
可燃性毒物の濃度と核分裂性核種の濃度が、初期における炉心の余剰反応度を適正な値とするように、核分裂性核種の濃度が設定される。
図6は、本実施形態に係る軽水炉の運転方法による軽水炉燃料集合体の無限増倍率の時間変化を示すグラフである。横軸は燃料集合体の燃焼度(GWd/t)、縦軸は無限増倍率k∞を示す。破線B1、破線B3は、従来例による燃料集合体の場合の無限増倍率k∞の時間変化を示す。実線A1は、本実施形態による軽水炉燃料集合体10の無限増倍率k∞の変化を示す。
図6は、燃焼サイクル回数を3回とし、最終燃焼サイクル末期まで可燃性毒物が存在するように設定した場合の例を示す。なお、燃焼サイクル数は、図6で示した3回には限らない。燃焼サイクル数は、1回でもよいし、それより大きく、たとえば、従来の4回程度の回数でもよい。あるいは、製造等の条件が整えば、5回以上の場合であってもよい。また、前述のように、後述するステップS14での判定条件を満たすならば、最終燃焼サイクル末期に至る以前に可燃性毒物が消滅する場合であってもよい。
軽水炉炉心100を一定の出力で運転する場合、燃焼度は、時間に比例する。一方、無限増倍率k∞は、核分裂性核種の核分裂および中性子捕獲などによる減少等と、非核分裂性の核種からの核転移による核分裂性核種の増加等との差し引きで決まる。
今、可燃性毒物を含有しない場合を想定すると、従来例における燃料集合体の場合は、無限増倍率k∞は、初期がkB0であり、燃焼度が進むにつれて、ほぼ直線的に減少する。この場合、初期、すなわち、燃焼度がゼロの時点の無限増倍率k∞の値がkB0と最大となる。このように、可燃性毒物を含有しない場合は、燃焼度がゼロの時点の無限増倍率k∞の値が大きくなる。これに伴い炉心の余剰反応度が大きくなり、制御棒の反応度価値を高める必要が生ずる。
制御棒の反応度価値を高めることは、反応度価値の最も大きい制御棒1本が完全に引き抜かれても残りの制御棒で炉心を未臨界に維持できることを要求するワンロッドスタックマージンの確保等の安全上の条件を満たす上では不利となり、あるいは安全上の条件を満たすことができなくなる。このため、燃料集合体内に可燃性毒物を含有させ、初期の無限増倍率k∞を低下させている。
従来例における燃料集合体の場合は、可燃性毒物を含有させることにより、初期の無限増倍率k∞をkB0に比べて十分に小さなkB1としている。可燃性毒物を含有する燃料集合体においては、燃焼が進むにつれて、核分裂性核種の核分裂による減少、核転移による核分裂性核種の生成、および可燃性毒物の中性子吸収による減少により通常、破線の曲線B1で示すように無限増倍率k∞が増加する。すなわち、可燃性毒物を有しない場合の二点鎖線B2で示す無限増倍率k∞の値と可燃性毒物を有する場合の破線B1で示す無限増倍率k∞の値との差分ΔkBが減少する。
従来例においては、第1燃焼サイクル終了時点で、可燃性毒物はほぼ消滅し、差分ΔkBがほぼゼロとなっている。この結果、第2燃焼サイクル以降は、可燃性毒物の影響がなく核分裂性核種の減少と増加の差により、無限増倍率k∞の最大値kmaxをピークとして無限増倍率k∞は単調に減少する。
一方、本実施形態による軽水炉燃料集合体10の場合は、取り出し燃焼度BUoutに到達する時点まで可燃性毒物が存在している。すなわち、可燃性毒物を有しない場合の二点鎖線A2で示す無限増倍率k∞の値と可燃性毒物を有する場合の実線A1で示す無限増倍率k∞の値との差分ΔkAが減少はするものの、正の値を維持している。
この結果、軽水炉燃料集合体10の無限増倍率k∞は、取り出し燃焼度BUoutにおいて最大となる。取り出し燃焼度BUoutの直後に最大値kmaxとなるように設定すると、この最大到達点PAから、単調減少の二点鎖線A2を逆に遡って、初期の無限増倍率k∞が従来例の初期の値kB0より大きなkA0となる。また、最大到達点PAに至るように可燃性毒物の濃度を設定し、初期の無限増倍率k∞はkA1となる。可燃性毒物を有しない場合の二点鎖線A2で示す無限増倍率k∞の値と可燃性毒物を有する場合の実線A1で示す無限増倍率k∞の値との差分ΔkAは、従来例の場合のΔkBよりも大きな値となる。
軽水炉の運転方法の手順の次のステップでは、ステップS11で設定した条件に基づいて、軽水炉炉心100における対象とする運転サイクルにわたる燃焼計算を行う(ステップS13)。対象とする運転サイクルは、軽水炉炉心100の寿命にわたる全運転サイクルでもよいし、あるいは、注目する軽水炉燃料集合体10の燃焼サイクルを含む特定の運転サイクルでもよい。
次に、燃焼計算の結果に基づいて、軽水炉燃料集合体10についての最終燃焼サイクルの末期における条件が満たされているか否かの判定を行う(ステップS14)。具体的には、Pu中の239Puおよび241Pu等の核分裂性核種の割合が初期値以上すなわち第1回の燃焼サイクルの初期における値以上、および、運転サイクルにわたって余剰反応度が正、という条件が満たされているか否かを判定する。
この2つの判定項目に関連して、本実施形態に係る軽水炉炉心100および軽水炉燃料集合体10の特性について、以下、図7ないし図14を引用しながら説明する。
図7は、本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する155Gdの反応断面積の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。横軸は、中性子エネルギー(eV)、縦軸は、反応断面積(barns)である。なお、反応断面積の単位である1barnは、10-24cm、すなわち10-28である。図7は、155Gdの反応断面積のうちの中性子捕獲反応断面積のエネルギー依存性を示している。
なお、図7は、「JENDL-4.0 中性子反応サブライブラリ」日本原子力研究開発機構、原子力基礎工学研究センター基礎工学グループ、2015/01/23に収納の図に基づいて、概念的に表示したものである。図9および図10も同様である。
図に示すエネルギー領域Eは、中性子エネルギーが約3eV以下の低エネルギー領域を示しており、ほぼ、熱中性子エネルギー領域(通常、1eV程度以下)に対応する。この領域においては、155Gdは、約20barnsないし約10barnsと、きわめて大きな中性子捕獲反応断面積を有している。また、1keV以上すなわち10eV以上の中性子領域における中性子捕獲反応断面積に比べれば、これらの数倍ないし5桁程度大きな値である。
なお、図示しないが、たとえば、ユーロピウムの場合は、141Euが低エネルギー領域において大きな中性子捕獲反応断面積を有する。また、たとえば、カドミウムの場合は113Cdが同様に低エネルギー領域において大きな中性子捕獲反応断面積を有する。すなわち、中性子の捕獲反応について、155Gdと同様の効果を有する。
図8は、本実施形態に係る軽水炉炉心と従来の炉心との中性子スペクトルの比較を示すグラフである。横軸は、中性子のエネルギー(MeV)の対数表示である。縦軸は、核エネルギーにおける中性子束の相対値である。破線は従来例における燃料の炉心の場合、実線は本実施形態における軽水炉炉心100の場合を示している。
従来例は、核燃料がウランで、核分裂性核種が235Uの場合を例にとって示している。1MeV(10eV)前後の高エネルギー領域は、核分裂直後の核分裂中性子のエネルギー分布の影響が強い。低エネルギー領域に関しては、従来例の軽水炉においては、軽水による減速の結果、約10-2eVないし約1eV程度にわたる熱中性子領域において大きなピークが生じている。
一方、本実施形態と表示した実線は、プルトニウムとウランの混合酸化物燃料に可燃性毒物としてガドリニウムを添加した場合を示している。本実施形態に係る軽水炉炉心100の中性子スペクトルでは、従来例の場合に生じていた熱中性子領域におけるピークはなく、さらに、この領域の中性子束はほとんど存在しない。また、約1eV以上の領域、すなわち、いわゆる共鳴領域および高エネルギー領域においては、従来例とほぼ同様の分布を有している。したがって、全中性子束における共鳴領域および高エネルギー領域の中性子束の割合が、従来例よりも大きくなっている。言い換えれば、本実施形態に係る軽水炉炉心100の中性子スペクトルは、従来の炉心に比較して、高エネルギー側にシフトしている。すなわち、本実施形態に係る軽水炉炉心100の中性子スペクトルは、従来の炉心に比較して、中性子スペクトルが硬くなっている。
図8は、可燃性毒物としてガドリニウムを添加した場合を示しているが、ガドリニウムに限定されない。すなわち、前述のように、ユーロピウムあるいはカドミウムなどもガドリニウムと同様の効果を有する。すなわち、これらも、低エネルギー領域での中性子捕獲反応断面積が大きく、ガドリニウムと同様に、低エネルギー領域の中性子を捕獲することにより、中性子スペクトルを硬くする効果を有する。
図9は、本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する238Uの反応断面積の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。横軸は、中性子エネルギー(eV)、縦軸は、反応断面積(barns)である。実線A8は、238Uの中性子捕獲反応の捕獲反応断面積である。また、破線B8は、238Uの核分裂反応の核分裂反応断面積である。
高エネルギー領域を除いて、捕獲反応断面積が核分裂反応断面積より数桁程度大きく、中性子捕獲反応が圧倒的である。数百keV程度より大きくなると、核分裂反応断面積が大きくなる。
中性子捕獲反応断面積は、特に、数eVないし数十keVの共鳴領域で大きな値を示す。この共鳴領域は、エネルギー領域Eより高いエネルギー領域である。このため、ガドリニウムの添加によっても、共鳴領域での捕獲反応の低下はほとんどない。
以上の結果、238Uの中性子捕獲による239U、239Npを経由した239Puの生成については、主に共鳴領域での中性子捕獲反応により確保することができる。
図10は、本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する239Puの反応断面積の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。横軸は、中性子エネルギー(eV)、縦軸は、反応断面積(barns)である。実線A9は、239Puの中性子捕獲反応の捕獲反応断面積である。また、破線B9は、239Puの核分裂断反応の核分裂反応断面積である。
239Puの捕獲反応断面積は、エネルギーの増加に対してマクロには減少する傾向を示し、エネルギー領域Eに大きなピークを有する。また、捕獲反応断面積は共鳴領域を有する。
一方、239Puの核分裂反応断面積は、捕獲反応断面積と類似の傾向を示すが、いずれのエネルギー領域においても、捕獲反応断面積より大きく、また、1keV程度以上のエネルギー領域においては、エネルギーの変化に対しほぼ一定の値をとる。
以上のことより、ガドリニウムの添加による軽水炉炉心100の中性子スペクトルにおいて、エネルギー領域Eでの中性子束が従来例に比べて大幅に減少することは、239Puの核分裂反応よりも中性子捕獲反応に対してより大きな影響を与えることが分かる。すなわち、軽水炉炉心100の中性子スペクトルにおいては、239Puによる中性捕獲の反応の割合が従来例に比べて減少する。この結果、239Puの中性子捕獲によるMAの生成量が減少する。
図11は、本実施形態に係る軽水炉炉心の効果を説明する核分裂性核種のη値の中性子エネルギー依存性を示すグラフである。横軸は中性子エネルギー(eV)、縦軸は、再生率ηの値である。なお、図11の出典は、J.J.Duderstad,L.J.Hamilton:Nuclear Reactor Analysis,John Wiley & Sons (1970),p69であり、同図を概念的に表示したものである。
ここで、再生率ηとは、燃料が中性子1個を吸収した時に核分裂で生まれる次の世代の中性子の平均個数であり、次の式で与えられる。
η=ν×σXf/(σXf+σXC) …(1)
ただし、νは1回の核分裂で発生する中性子の平均数、σXfは核種Xの核分裂反応断面積、σXCは核種Xの中性子捕獲反応断面積である。
核種Xとして、235Uを破線、239Puを実線、および241Puを破線で示している。いずれの核分裂性核種においても、約10keV(10eV)程度以上の高エネルギー領域においては、再生率ηが増加している。
前述のように、本実施形態に係る軽水炉炉心100の中性子スペクトルは、従来の炉心に比較して、高エネルギー側にシフトしている。したがって、全エネルギー領域にわたり中性子束の重みを付けた再生率ηを、平均再生率ηaveとすれば、本実施形態に係る軽水炉炉心100においては、平均再生率ηaveは、従来例の炉心に比べて大きくなっている。この点は、炉心の中性子経済を向上させ、炉心の臨界維持にとってはプラスの効果となる。
軽水炉の運転方法の手順の次のステップでは、ステップS13で実施した軽水炉炉心100における対象とする運転サイクルにわたる燃焼計算の結果について、第1に全プルトニウムに対するプルトニウムの核分裂性核種の濃度が初期の値以上であるか否か、第2に運転サイクルにわたり余剰反応度が正か否かの判定を行う(ステップS14)。
第1の点は、各燃焼サイクルの末期において、全Pu中の239Puと241Puなどの核分裂性核種の割合が第1回の燃焼サイクル初期、すなわち軽水炉炉心100への装荷時点での割合以上となっているか否かの判定である。
以上の2つの判定条件を満足すると言えない場合(ステップS14 NO)は、ステップS12の初期の燃料濃度および可燃性毒物の濃度の再設定、ステップS13、およびステップS14を繰り返す。
2つの判定条件を満足すると判定された場合(ステップS14 YES)には、燃焼サイクル回数を判定する(ステップS15)。燃焼サイクル回数の判定については、図5においては、詳細を表示していないが、具体的には、ステップS11で順次燃焼サイクル回数を増やし、ステップS14での判定条件を満たす初期条件(ステップS12で設定)が無い場合は、その1つ少ない回数が、最大の燃焼サイクル回数であると判定する。
運転計画ステップS10で、最大の燃焼サイクル回数と、初期の核分裂性核種の濃度および可燃性毒物の濃度が得られたら、その後に、リサイクル実行ステップS20の手順を行う。
まず、得られた条件に基づいて、軽水炉燃料集合体10を製造し、軽水炉炉心100に装荷し燃焼させる(ステップS21)。次に、最終燃焼サイクル終了時に、軽水炉燃料集合体10を軽水炉炉心100から取り出す(ステップS22)。
次に、取出した軽水炉燃料集合体10は、最終リサイクルか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、運転計画ステップS10で得られた条件に基づいて燃焼した軽水炉燃料集合体10は、取り出し時に、核分裂性核種の濃度が、初期の濃度より高いので、再処理して、核燃料物質として再使用可能、すなわちリサイクル可能である。本ステップS23では、取出した軽水炉燃料集合体10が、すでにこのリサイクル段階を終えたものか否か、すなわち最終リサイクルのものか否かを判定する。
この際、リサイクル回数は、1回とは限らない。2回以上でもよい。今、最初に製造した軽水炉燃料集合体10の最終燃焼サイクルまでの軽水炉炉心100内での燃焼を、第1回炉内燃焼と呼ぶ。また、第1回炉内燃焼で燃焼した軽水炉燃料集合体10の再処理後に製造したリサイクル用の軽水炉燃料集合体10の最終燃焼サイクルまでの軽水炉炉心100内での燃焼を、第2回炉内燃焼と呼ぶ。さらに、第2回炉内燃焼で燃焼した軽水炉燃料集合体10中の核燃料物質が再使用可能な場合、その再処理後に製造したリサイクル用の軽水炉燃料集合体10の最終燃焼サイクルまでの軽水炉炉心100内での燃焼を、第3回炉内燃焼と呼ぶ。
この場合、第1回、第2回および第3回それぞれの炉内燃焼における燃焼サイクルの回数は、互いに異なっていてもよい。たとえば第2回炉内燃焼における燃焼サイクルの回数は、第1回炉内燃焼におけるサイクル回数よりも少なくてもよい。第3回についても同様である。各炉内燃焼におけるサイクル回数は、ステップS10の運転計画において、燃焼サイクル回数とともに算出する。
なお、第2回燃焼サイクルにおける軽水炉燃料集合体10における第1の核燃料物質は、第1回燃焼サイクルにおける軽水炉燃料集合体10における第1の核燃料物質とは、一対一に対応していなくともよい。すなわち、複数の軽水炉燃料集合体10に関してのリサイクル計画でもよい。
最終リサイクルのものではないと判定された場合(ステップS23 NO)、再処理を実施(ステップS24)して、ステップS21以降を繰り返す。
最終リサイクルのものと判定された場合(ステップS23 YES)、最後に、これ以上リサイクルできないリサイクル照射後の軽水炉燃料集合体10を、処理、処分工程に移行する(ステップS30)。
以上のように、本実施形態に係る軽水炉燃料集合体10を有する軽水炉炉心100およびその運転方法は、以下のような特徴、効果を有する。
軽水炉燃料集合体10は、その燃焼サイクルを通じて、あるいは、その燃焼サイクルのほとんどにおいて、可燃性毒物が存在するように、第1の核燃料物質中の核分裂性核種の初期の濃度および可燃性毒物の初期の濃度が設定されている。この可燃性毒物の存在により、軽水炉炉心100の中性子スペクトルは、従来例による炉心と比較して、低エネルギー側の中性子束が減少し、高エネルギー側にシフトしている。
この結果、239Puの中性子吸収が大幅に減少し、MAの生成量が低減される。一方、238Uの中性子吸収による239Puの生成反応の低下はなく、239Puは従来通り生成される。この結果、プルトニウムに占める核分裂性核種の割合が確保され、プルトニウムの質が維持される。すなわち、最終燃焼サイクルまでの燃焼後も、再処理することにより核燃料物質として再使用が可能である。
さらに、中性子スペクトルが高エネルギー側にシフトする結果、再生率η、すなわち核燃料物質に吸収される1中性子あたりの次世代の中性子数が従来例よりも増加し、臨界維持上、有利となる。
以上の結果、ウラン、プルトニウムについて、潜在的放射性毒性の高いMAに変換される量が減少し、核分裂により核分裂性核種に変換される量の方が増加する。この結果、取り出し燃料中に残存するプルトニウムの質を高めリサイクルがより可能となる。
このように、核燃料物質をリサイクルして再使用することにより、長半減期の潜在的放射性毒性の高いMAの発生量を低減することができ、高レベル廃棄物による長期の環境負荷の低減に寄与することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態では、沸騰水型原子炉に用いる軽水炉燃料集合体の場合を例にとって示したが、これに限らない。加圧水型原子炉に適用する軽水炉燃料集合体の場合であってもよい。
また、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
5…制御棒、7…炉心燃料集合体、8…従来型燃料集合体、10…軽水炉燃料集合体、11…チャンネルボックス、20…可燃性毒物入り燃料棒、21…被覆管、22…上部端栓、23…下部端栓、24…上部プレナム、25…バネ、26…燃料ペレット、30…可燃性毒物無し燃料棒、36…燃料ペレット、40…ウォータロッド、100…軽水炉炉心

Claims (4)

  1. 軽水炉燃料集合体の軽水炉炉心における燃焼サイクルのサイクル回数を設定するサイクル回数設定ステップと、
    前記軽水炉燃料集合体中の核燃料物質中のプルトニウムの核分裂性核種の濃度および可燃性毒物の濃度のそれぞれの初期の値を設定する初期値設定ステップと、
    前記サイクル回数設定ステップおよび前記初期値設定ステップで設定した条件のもとに前記軽水炉炉心における前記軽水炉燃料集合体の燃焼計算を行う燃焼計算ステップと、
    前記サイクル回数分の最後の燃焼サイクル終了時の核燃料物質における全プルトニウムに対する前記プルトニウムの核分裂性核種の濃度が前記初期の値以上であるとの条件を満たすか否かを判定し、前記初期の値以上であるとの条件が満たされないと判定された場合は、前記初期値設定ステップ以下を繰り返す判定ステップと、
    を有し、
    前記軽水炉炉心の中性子スペクトルは、熱中性子領域におけるピークはなく、1eV以上の領域である共鳴領域および高エネルギー領域において重みをもつ分布を有しており、
    前記初期値設定ステップは、前記可燃性毒物の濃度の前記初期の値を、前記サイクル回数最後の燃焼サイクル終了時において前記可燃性毒物が消滅せずに存在するように設定することを特徴とする軽水炉の運転計画方法。
  2. 請求項1に記載の軽水炉の運転計画方法により得られた前記サイクル回数の燃焼サイクルにわたり前記軽水炉炉心で前記軽水炉燃料集合体を炉内燃焼させる燃焼ステップと、
    前記燃焼ステップで燃焼させた前記軽水炉燃料集合体を取り出し、再処理により核燃料物質を取り出して混合酸化物燃料を製造する燃料製造ステップと、
    を有する軽水炉燃料の運用方法。
  3. 長手方向に延びてプルトニウムの核分裂性核種を含む第1の核燃料物質を内蔵し、互いに並列に配された複数の可燃性毒物無し燃料棒と、
    長手方向に延びて、前記プルトニウムの核分裂性核種を含む第2の核燃料物質および可燃性毒物を内蔵し、前記可燃性毒物無し燃料棒とともに格子状に配列された複数の可燃性毒物入り燃料棒と、
    を有し、
    互いに並列に格子状に配列され、中性子スペクトルを、熱中性子領域におけるピークはなく、1eV以上の領域である共鳴領域および高エネルギー領域において重みをもつ分布を有している軽水炉炉心に使用される複数の軽水炉燃料集合体であって、
    サイクル回数分の最後の燃焼サイクル終了時の当該軽水炉燃料集合体中の前記プルトニウムの核分裂性核種の濃度が初期の値以上となるように、さらに前記サイクル回数分の最後の燃焼サイクル終了時において前記可燃性毒物が消滅せずに存在するように、当該軽水炉燃料集合体における全プルトニウム中の前記プルトニウムの核分裂性核種の濃度および前記可燃性毒物の濃度のそれぞれの前記初期の値が設定されていることを特徴とする軽水炉燃料集合体。
  4. 互いに並列に配された請求項3に記載の複数の軽水炉燃料集合体と、
    前記複数の軽水炉燃料集合体の配列内に互いに間隔をおいて配された複数の制御棒と、
    を備えることを特徴とする軽水炉炉心。
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