JP6668269B2 - 核燃料サイクルの運用方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、核燃料サイクルの運用方法に関する。
原子力の利用に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の潜在的放射性毒性は、ワンススルーサイクルの場合、10万年以上に亘って自然界より高いレベルにあるが、最初の500年程度の期間が経過した後は、超ウラン(TRU:TRans−Uranum)核種、すなわち、ウランより原子番号の大きなネプツニウム(Np)以降の元素の同位体(核種)に起因する潜在的放射性毒性が支配的である。TRU核種の潜在的放射性毒性が長期に亘るのは、その半減期の長さに起因している。したがって、放射性廃棄物の管理期間を短縮させ環境負荷を低減するには、TRU核種を核変換によって短寿命核種に変換することが有効である。
TRU核種の核変換では、一般に、エネルギーの高い高速中性子を用いる方法、ウランを用いずたとえばトリウムなどの燃料を用いる方法、あるいは両者を組みあわせた方法などが用いられる。
しかしながら,今後の原子力発電所に用いられる炉型としては依然軽水炉が主力であろうと考えられる。したがって、高速炉によるTRU核種の核変換を開始するまでには、相当量のTRU核種が蓄積し、必要となる高速炉の基数が現実的に導入出来ない基数にまで増大する可能性がある。そこで、このような事態を回避するためには、軽水炉におけるTRU核種の核変換効率を向上させ、軽水炉での正味のTRU核種生成量を抑制する必要がある。
米国特許出願公開第2002/0025016号明細書 特開2006−64678号公報 特許第5524582号明細書 特許第5524581号明細書 特許第5524573号明細書
「JENDL−4.0データ」2016年2月2日、日本原子力研究開発機構、核データ研究グループ
TRU核種の核変換効率の向上については、軽水炉、高速炉、加速器駆動系(ADS:Accelerator Driven System)などをそれぞれ用いる方法がこれまでに検討されている。これらが想定しているのは使用済み軽水炉燃料や、それを再度燃焼させた場合についてであり、かつ使用済燃料の冷却期間は固定されている。しかしながら、使用済燃料は現在までに逐次発生しており、様々な冷却期間の燃料が存在する。使用済燃料中のプルトニウム(Pu)やマイナアクチニド(MA:Minor Actinide)は冷却期間によってその組成が変化するため、その時々によって適した核変換方法が存在すると考えられるが、この際に、各冷却期間のTRU核種を燃焼させるに適した核燃料サイクル概念が不明確であることが課題として挙げられる。
本発明の実施形態は上述した課題を解決するためになされたものであり、TRU核種の潜在的放射性毒性の低減に適した核燃料サイクルの運用方法を得ることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態は、軽水炉における超ウラン核種の生成を抑制する核燃料サイクルの運用方法であって、使用済燃料の冷却期間の見通しが所定の期間以内であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで、前記冷却期間の見通しが所定の期間以内であると判定された場合に、短期冷却燃料を対象とする取り扱いを行う短期冷却燃料取り扱いステップと、前記判定ステップで、前記冷却期間の見通しが所定の期間以内であると判定されなかった場合に、長期冷却燃料を対象とする取り扱いを行う長期冷却燃料取り扱いステップと、を有し、前記短期冷却燃料取り扱いステップは、燃料貯蔵、再処理および燃料加工のステップと、その後の燃料照射のステップを含み、前記長期冷却燃料取り扱いステップは、燃料貯蔵、再処理および燃料加工のステップの後であって、前記燃料照射のステップの前に、高減速炉での燃料照射およびその後の再処理、燃料加工のステップを含む、ことを特徴とする。
本発明の実施形態明によれば、TRU核種の潜在的放射性毒性の低減に適した核燃料サイクルの運用方法を得ることができる。
本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法の全体の手順を示すフロー図である。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法の判定ステップの考え方を説明するための使用済燃料中のTRU核種の数密度の時間変化を示すグラフである。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法の判定ステップの考え方を説明するための使用済燃料中のTRU核種における核分裂性核種と吸収性核種それぞれの合計数密度の時間変化を示すグラフである。 使用済燃料中の注目するTRU核種の潜在的放射性毒性の変化を示すグラフである。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法のうち短期冷却燃料取り扱いステップの手順を示すフロー図である。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法の効果を説明するTRU核種消費量の比較を示すグラフである。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる中空燃料集合体の構成を示す水平断面図である。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる中空燃料集合体の中空燃料棒の構成を示す水平断面図である。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる細径燃料集合体の構成を示す水平断面図である。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる細径燃料集合体の細径燃料棒の構成を示す水平断面図である。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法におけるネプツニウム分離効果を示すグラフである。 本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法のうち長期冷却燃料取り扱いステップの手順を示すフロー図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法の全体の手順を示すフロー図である。
まずは、取り扱い対象とする使用済燃料あるいは取り出し予定の燃料について、その炉内での照射などの履歴、再処理の予定あるいは処理の計画等を調査、確認し、冷却期間の見通しを確認する(ステップS01)。
次に、見通しが確認された冷却期間は、短期の冷却期間に相当するか、あるいは、長期の冷却期間に相当するかを判定する(ステップS02)。ここで、冷却期間とは、対象とする燃料が装荷されていた原子炉が停止した時点、すなわち、対象とする燃料の炉内の照射が終了した時点から、その燃料が再処理されて、燃料加工された後に、再び、炉内で照射が開始される時点までの期間を言うものとする。
また、冷却期間が短期であるか否かの判定は、冷却期間が所定の期間を超えていないかすなわち所定の冷却期間以内であるか、あるいは所定の冷却期間を超えているかの判定により行う。この所定の期間については、以下、図2および図3の説明において述べる。
図2は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法の判定ステップの考え方を説明するための使用済燃料中のTRU核種の数密度の時間変化を示すグラフである。横軸は冷却期間(年)を、縦軸は核種ごとの数密度(n/m)を示す。
炉停止直後の使用済燃料中の超ウラン(TRU:TRans−Uranic Element)核種の主たる構成は、Pu239が31.9%、Pu240が25.6%、Pu242が14.1%、Pu241が10.8%、Np237が5.8%、Am243が4.1%、Pu238が3.6%、Cm244が2.8%などである。
時間の経過に従って、Pu241のベータ崩壊により、Am241が生成される。Am241は、Cm244等の生成源となる。Pu241の半減期は14年である。したがって、図2に示すように、冷却期間14年で、Am241の数密度はPu241の数密度と等しくなるまでに増加する。一方、Cm244は、アルファ崩壊の半減期が18.1年であり、数年のオーダーでも相当量の減衰がある。
図3は、TRU核種における核分裂性核種と吸収性核種それぞれの合計数密度の時間変化を示すグラフである。横軸は、冷却期間(年)である。縦軸は、核分裂性核種および吸収性核種それぞれの合計数密度(n/m)である。ここで、核分裂性核種および吸収性核種は、便宜的に用いた総称である。具体的には、NpおよびAmの偶数核、PuおよびCmの奇数核を、核核分裂性核種と呼び、NpおよびAmの奇数核、PuおよびCmの偶数核を、吸収性核種と呼ぶこととした。縦軸は、それぞれに属する核種の数密度の合計値である。また、図3では、吸収性核種の割合、すなわち、核分裂性核種の合計数密度と吸収性核種の合計数密度の合計値に対する吸収性核種の合計数密度の割合も併せて表示している。
原子炉停止直後は、核分裂性核種の数密度は約1.2×10(n/m)、吸収性核種の数密度は約1.6×10(n/m)であり、吸収性核種割合は約57%である。
その後時間とともに、核分裂性核種の数密度は減少し、吸収性核種の数密度は増加する。原子炉停止後の冷却期間約40年の時点では、核分裂性核種の数密度は約1.0×10(n/m)、吸収性核種の数密度は約1.8×10(n/m)であり、吸収性核種割合は約65%に増加する。
このように、冷却期間の増加とともに、吸収性核種の占める割合が増加する。ここで、吸収性核種割合をたとえば60%以内に抑えようとすると、冷却期間は8年以内となる。
図4は、使用済燃料中の注目するTRU核種の潜在的放射性毒性の変化を示すグラフである。横軸は冷却期間(年)、縦軸は潜在的放射性毒性(Sv/m)であり、冷却期間約40年までの時間的な変化を示している。ここで、注目する核種とは、図2に示される使用済燃料中のTRU核種の中で、長期的に潜在的放射性毒性を有するもので、相対的に数密度の大きいものとしている。
それぞれの核種に関しての放射性毒性P(Sv/m)は、次の式(1)により与えられる。
P=C・λN ・・・(1)
ここで、λは対象とする核種の崩壊定数(1/sec)、Nは対象とする核種の数密度(n/m)、C(Sv/Bq)は対象とする核種についての崩壊数すなわちλ×N(n/m/sec)を潜在的放射性毒性(Sv/m)に変換する換算係数である。
核分裂性核種は、再処理後に核分裂反応によりエネルギー生成をもたらしかつ核分裂により減少することから、注目する核種から除外している。この結果、注目する核種としては、吸収性核種であって数密度が大きいもの、すなわち、NpおよびAmの奇数核、PuおよびCmの偶数核のうち数密度が大きいものとなる。具体的には図3に示すように、Pu238、Pu240、Am241およびCm244が対象となる。
Cm244は、減衰が早く、約40年後には、潜在的放射性毒性は原子炉停止直後の潜在的放射性毒性の約4分の1まで減少する。一方、Pu241のベータ崩壊により生成されるAm241の潜在的放射性毒性は、約40年後には、Cm244の潜在的放射性毒性と同程度にまで増加する。Pu240の潜在的放射性毒性は、ほぼ一定であり、冷却期間が約40年の時点では、Cm244およびAm241それぞれの約4分の1程度である。
Pu238は、冷却期間が約40年時点では最も潜在的放射性毒性が高く、Cm244およびAm241それぞれの約1.5倍程度である。ただし、Pu238も、Cm244ほどではないが比較的早く減衰する。また、Pu238に関しては、後述するように、Np237を分離除去することによって、Np237の中性子吸収によるPu238の生成の源を絶つことができる。
原子炉停止後の約40年の冷却期間の推移をみると、最も変化が大きく、かつ増大特性を有するのはAm241であり、その潜在的放射性毒性は、冷却期間が約40年時点で、注目する4種類の核種全体の潜在的放射性毒性の約26%であり、Am241の潜在的放射性毒性の全体に与える影響が大きいことが分かる。
Pu241は核分裂性物質であるために、冷却期間が長くなるTRU核種を含む燃料(TRU燃料)の反応度が低下する。加えてAm241は毒物として作用するために、冷却期間が長くなると更にTRU燃料の反応度を低下させる。
また、Pu241は核分裂しやすいため、潜在的放射性毒性の高いAm241を生成する前に出来る限り早い段階で核分裂させると、サイクル全体の潜在的放射性毒性を抑制することが出来る。たとえば、半減期14年の半分の7年以下の冷却期間で炉内へ装荷する場合は、Pu241の全量がAm241に転換した場合のAm241毒性に比べて、Am241の毒性を約30%低減することが出来る。
TRU核種の量が大きくなると、通常の軽水炉では、変換処理を仕切れなくなる。したがって、通常の軽水炉で変換処理ができるためには、冷却期間ができる限り短いことが好ましい。特に、Am241の生成を考慮すると、長くとも、Pu241の半減期である14年よりは短い期間とすべきである。
一方、原子炉からの取り出し、その直後からの使用済燃料彫像プールでの冷却、再処理工場への移送、再処理、および燃料加工に最小限必要な期間を考慮すれば、少なくとも、5年程度の期間は必要であると考えられる。
したがって、ステップS02における判定に使用する所定の冷却期間は、5年ないし10年の範囲、たとえば、Pu241の半減期である約14年の半分の期間である7年程度に設定するのが妥当と考えられる。
冷却期間が短期と判定された場合(ステップS02 YES)には、短期冷却燃料を対象とする短期冷却燃料取り扱いステップに移行する(ステップS10)。ここで、短期冷却燃料とは、TRU核種の生成程度が小さく、通常の軽水炉で変換処理が可能な生成程度の範囲のTRU核種を含む燃料を言うものとする。
図5は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法のうち短期冷却燃料取り扱いステップの手順を示すフロー図である。図4に示す冷却期間が、前記の所定の冷却期間以下である場合であり、短期冷却燃料取り扱いステップS10の詳細は、以下のとおりである。
まず、軽水炉の停止(ステップS11)の後、炉内から使用済燃料を取り出し燃料貯蔵を行う(ステップS12)。その後、再処理および燃料加工ステップ(ステップS13)において、分離したウラン、プルトニウムあるいは劣化ウラン等に、再処理で分離したTRU核種を添加し、新たな燃料を製造する。
この後、燃料照射を行う(ステップS14)。ここで、燃料照射は、軽水炉、高速炉、加速器駆動炉、あるいは溶融塩炉等において実施することができる。
すなわち、核変換に用いる原子炉は、どの様なタイプの発電用または核変換用原子炉を用いてもよい。しかしながら、2050年代ごろまでは軽水炉が主流であると予想されることから、燃料の水対重金属比(H/HM)を高めた軽水炉を用いることによって、より効率よく潜在的放射性毒性の低減を行うことが出来る。
図6は、TRU核種消費量の比較を示すグラフである。横軸は、通常の燃焼度45GWd/tの燃焼度の全MOX参照炉心のからの使用済燃料の例の場合と、燃料棒を細径化することにより水対重金属比H/HMを高めた細径化全MOX参照炉心からの使用済燃料の場合を示している。通常の全MOX参照炉心に用いる核燃料の例では、水対重金属比H/HMは4.69である。また、細径化全MOX参照炉心の核燃料の例では、水対重金属比H/HMは5.43である。
縦軸は、TRU核種消費量(t/GWe/年)の相対値であり、全MOX参照炉心の燃料(水対重金属比H/HMは4.69)を基準とし、この場合が相対値は1としている。図6に示す様に、軽水炉で照射する場合であれば、水対重金属比H/HMは5.43で、通常の燃料の例の場合に比べて10%程度のTRU核種消費量の増加が見込める。
TRU核種消費量の増加は、通常の燃料の例の場合に比べて有意な効果を得るためには、5%程度以上は確保できることが望ましい。水対重金属比H/HMが4.69と5.43の違いの範囲では、水対重金属比H/HMの変化に対するTRU核種消費量の変化はほぼ線形と考えられるので、TRU核種消費量は5%程度以上の増加となるためには、水対重金属比H/HMを5程度以上とする必要がある。
図7は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる中空燃料集合体の構成を示す水平断面図である。中空燃料集合体10は、正方格子状に配列された中空燃料棒11、中空燃料棒11の配列の中心部に配された2本のウォータロッド15、およびこれらの径方向外側にあってこれらを収納するチャンネルボックス16を有する。
図8は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる中空燃料集合体の中空燃料棒の構成を示す水平断面図である。中空燃料棒11は、軸方向に積まれた複数の中空燃料ペレット12と、これらを収納する被覆管13を有する。それぞれの中空ペレット12は、円筒形状であって、軸中心周りに貫通孔12aが形成されている。
以上のように、燃料ペレットに中空ペレット12を用いることによって、水対重金属比H/HMを大きくしている。
図9は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる細径燃料集合体の構成を示す水平断面図である。細径燃料集合体20は、正方格子状に配列された細径燃料棒21、細径燃料棒21の配列の中心部に配された2本のウォータロッド15、およびこれらの径方向外側にあってこれらを収納するチャンネルボックス16を有する。
図10は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法に用いる細径燃料集合体の細径燃料棒の構成を示す水平断面図である。細径燃料棒21は、軸方向に積まれた複数の細径燃料ペレット22と、これらを収納する被覆管23を有する。燃料ペレットに細径燃料ペレット22を用いることによって、水対重金属比H/HMを大きくしている。
なお、図9および図10に示した細径燃料集合体20および細径燃料棒21は、中実燃料ペレットの場合であるが、図7および図8に示した中空燃料集合体10および中空燃料棒11と組み合わせて、中空燃料ペレットを用いた細径燃料集合体および細径燃料棒の場合であってもよい。この場合、水対重金属比H/HMがさらに大きくなり、中性子エネルギースペクトルに占める低エネルギー領域の割合が大きくなる。
なお、燃料として、MAを含めたTRU核種を装荷してもよい。あるいは、MAを除去したPuを用いてもよい。ただし、MAを燃料として用いる場合には、後述するように、Pu238の生成を抑制するために、Npを除去しておくことが望ましい。
図11は、ネプツニウム分離効果を示すグラフである。横軸は、水対重金属比H/HMであり、縦軸は、潜在的放射性毒性変化量(10Sv/GWd)である。
図11に示すように、それぞれの水対重金属比H/HMについて、Np除去をしない場合に比べて、Np除去をした場合は、約2.7×10Sv/GWdないし2.8×10Sv/GWd程度、潜在的放射性毒性が減少する。
冷却期間が短期と判定されなかった場合(ステップS02 NO)には、長期冷却燃料を対象とする長期冷却燃料取り扱いステップに移行する(ステップS20)。ここで、長期冷却燃料とは、短期冷却燃料に該当しない燃料、すなわち、TRU核種の生成程度が大きく、通常の軽水炉では変換処理が難しい生成程度の範囲のTRU核種を含む燃料を言うものとする。
図12は、本実施形態に係る核燃料サイクルの運用方法のうち長期冷却燃料取り扱いステップの手順を示すフロー図である。図1に示す冷却期間が、前記の所定の冷却期間を超える場合であり、長期冷却燃料取り扱いステップS20の詳細は、以下のとおりである。
まず、軽水炉の停止(ステップS21)の後、炉内から使用済燃料を取り出し燃料貯蔵を行う(ステップS22)。その後、再処理および燃料加工ステップ(ステップS23)において、分離したウラン、プルトニウムあるいは劣化ウラン等に、再処理で分離したTRU核種を添加し、新たな燃料を製造する。
この後、高減速炉において燃料照射を行う(ステップS24)。ここで、高減速炉は、通常の全MOX燃料を装荷した軽水炉の炉心(全MOX参照炉心)に比べて、中性子エネルギースペクトルが柔らかい、すなわち中性子エネルギースペクトルが低エネルギー側にシフトしている、あるいは低エネルギー側の割合が大きな炉心を有する原子炉をいうものとする。
高減速炉としては、中空燃料集合体および細径燃料集合体などの燃料の水対重金属比H/HMを高めた高減速軽水炉あるいは高減速ガス炉等を用いることができる。まず、これらの高減速炉において燃料照射を行うことにより、TRU核種の核変換を行う。
高減速炉での照射の後に、使用済燃料を取り出し、再処理および燃料加工を行う(ステップS25)。次に、このようにして製造した燃料を原子炉内で照射する(ステップS26)。この段階で核変換に用いる原子炉は、軽水炉、高速炉、加速器駆動炉、あるいは溶融塩炉など、各種の原子炉を使用してよい。
以上のように、本発明の実施形態明によれば、TRU核種の潜在的放射性毒性の低減に適した核燃料サイクルの運用方法を得ることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…中空燃料集合体、11…中空燃料棒、12…中空燃料ペレット、12a…貫通孔、13…被覆管、15…ウォータロッド、16…チャンネルボックス、20…細径燃料集合体、21…細径燃料棒、22…細径燃料ペレット、23…被覆管

Claims (8)

  1. 軽水炉における超ウラン核種の生成を抑制する核燃料サイクルの運用方法であって、
    使用済燃料の冷却期間の見通しが所定の期間以内であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップで、前記冷却期間の見通しが前記所定の期間以内であると判定された場合に、短期冷却燃料を対象とする取り扱いを行う短期冷却燃料取り扱いステップと、
    前記判定ステップで、前記冷却期間の見通しが前記所定の期間以内であると判定されなかった場合に、長期冷却燃料を対象とする取り扱いを行う長期冷却燃料取り扱いステップと、
    を有し、
    前記短期冷却燃料取り扱いステップは、燃料貯蔵、再処理および燃料加工のステップと、その後の燃料照射のステップを含み、
    前記長期冷却燃料取り扱いステップは、前記燃料貯蔵、再処理および燃料加工のステップの後であって、前記燃料照射のステップの前に、高減速炉での燃料照射およびその後の再処理、燃料加工のステップを含む、
    ことを特徴とする核燃料サイクルの運用方法。
  2. 前記所定の期間は、プルトニウム241のベータ崩壊によるアメリシウム241への転換程度に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の核燃料サイクルの運用方法。
  3. 前記所定の期間は、TRU核種の生成程度が小さく、通常の軽水炉で変換処理が可能な生成程度であるか否かに基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の核燃料サイクルの運用方法。
  4. 前記TRU核種はプルトニウム241のベータ崩壊により生成されるアメリシウム241であることを特徴とする請求項3に記載の核燃料サイクルの運用方法。
  5. 前記高減速炉は、水対重金属比H/HMを高めた燃料集合体を用いた原子炉であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の核燃料サイクルの運用方法。
  6. 前記水対重金属比H/HMを高めた前記燃料集合体は、前記水対重金属比H/HMの値が5以上の燃料集合体であることを特徴とする請求項5に記載の核燃料サイクルの運用方法。
  7. 前記水対重金属比H/HMを高めた前記燃料集合体は、中空燃料棒を含む燃料集合体であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の核燃料サイクルの運用方法。
  8. 前記水対重金属比H/HMを高めた前記燃料集合体は、細径燃料棒を含む燃料集合体であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の核燃料サイクルの運用方法。
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