JP7009875B2 - 高分子電解質不織布及び高分子電解質膜、並びに、高分子電解質構造体の製造方法 - Google Patents

高分子電解質不織布及び高分子電解質膜、並びに、高分子電解質構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子電解質不織布及び高分子電解質膜、並びに、高分子電解質構造体の製造方法に関し、さらに詳しくは、プロトン伝導度及び/又は結晶化度が相対的に高い高分子電解質不織布及び高分子電解質膜、並びに、高分子電解質構造体の製造方法に関する。
高分子電解質は、燃料電池の電解質膜や触媒層アイオノマなどに利用されている。高分子電解質は、イオン交換基を持つ親水部と、イオン交換基を持たない疎水部とを備えている。このような高分子電解質を用いて電解質膜などの構造体を作製した場合、構造体内において親水部と疎水部とが分離し、数nm~数十nm程度の相分離構造を形成することが知られている。親水部の一部は、構造体内においてクラスターを形成しており、親水クラスター内をプロトンが伝導すると考えられている。高いプロトン伝導度を得るためには、親水クラスターの形状や大きさなどを制御することが重要である。
一方、疎水部の一部は、結晶化しているが、残りの疎水部は、親水クラスターを形成していない親水部と共にアモルファス領域を形成している。高プロトン伝導度を維持したまま構造体の強度、溶媒に対する溶解性などを向上させるためには、親水クラスターの構造を最適な構造に維持したまま、アモルファス領域の相分離及び疎水部の結晶化を促進させるのが好ましい。
さらに、触媒層において電極反応を進行させるためには、電解質、触媒、及び反応ガスが共存する三相界面が必要となる。三相界面の量を増大させるためには、高分子電解質による触媒粒子の被覆率は高いほど良い。
そこで上記の問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、触媒層塗布シート及び電解質膜をそれぞれ加湿雰囲気中で加熱し、シート上の触媒層を電解質膜に転写する方法が開示されている。
同文献には、
(a)触媒層塗布シートを加湿雰囲気中で加熱すると、高分子電解質による触媒粒子の被覆率が向上する点、並びに、
(b)触媒層塗布シート及び電解質膜を加湿雰囲気中で加熱すると、接合面にイオン交換基が配向するために、触媒層と電解質膜との接合性が向上する点
が記載されている。
特許文献2には、
(A)ポリエーテルケトン前駆体電解質材料を溶媒に溶解した溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、170℃で10分間予備乾燥して膜状に加工し、
(B)PETフィルムから膜を剥がしとりながら、膜状の電解質のみを過熱水蒸気雰囲気下で連続的に加熱する
電解質膜の製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、電解質膜のカール、着色、プロトン伝導度の低下等を生じさせることなく連続的な脱溶媒が可能となる点が記載されている。
特許文献3には、イオン導電性成分、有機溶媒、及び触媒を含む電極ペーストをカーボンペーパ又は電解質膜の表面にスクリーン印刷し、塗膜をスチーム乾燥処理する方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、イオン導電性成分の含水率を維持したまま、塗膜中の有機溶媒を除去できる点が記載されている。
特許文献4には、固体高分子電解質膜に水を湿潤させた状態で、固体高分子電解質膜をヒートプレスする方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、固体高分子電解質膜の3次元構造が変化し、膜が緻密化し、膜のイオン伝導度および含水率を制御することができる点が記載されている。
特許文献5には、イオン交換膜を有機溶媒で膨潤処理し、イオン交換膜とガス拡散電極とを飽和水蒸気下又は水中にて熱プレスして接合する方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、含水率が高く電気伝導度も大幅に向上した接合体が得られる点が記載されている。
特許文献6には、高分子電解質溶液をガラス表面に塗布・乾燥させて電解質膜を作製し、電解質膜を飽和水蒸気下でホットプレスする方法が開示されている。
同文献には、
(a)飽和水蒸気下でホットプレスすると、親水性部分が水を含んで大きくなり、親水性部分が連通し、その周囲を疎水性部分が固めた状態となる点、及び
(b)このようにして得られた電解質膜は、疎水性部分同士の相互作用が強くなるために、メタノールに不溶となる点、
が記載されている。
特許文献7には、酸性ポリマーに塩基性分子を添加した後、塩基性分子を酸性ポリマーから除去する電解質膜の製造方法が開示されている。
同文献には、
(a)酸性ポリマーに塩基性分子を導入することにより酸-塩基結合が形成され、これによって良好なプロトン伝導性を有する伝導パスが形成される点、及び、
(b)このような方法により、パーフルオロスルホン酸ポリマーよりもプロトン伝導度が高く、かつ、低加湿でも高いプロトン伝導度を示す電解質膜が得られる点、
が記載されている。
また、電解質膜のプロトン伝導度や結晶化度を向上させる別の方法として、
(a)電解質膜にポリビニルアルコール(PVA)を添加する方法(非特許文献1)、
(b)電解質膜に金属酸化物やリン酸化物を添加する方法(非特許文献2)、
(c)電解質膜にシリカやリンモリブデン酸のナノ粒子を添加する方法(非特許文献3)
などが知られている。
さらに、高分子電解質からなる繊維及びその不織布は、その高い空隙率や、プロトン伝導度から、燃料電池の触媒層、電解質膜への応用が検討されている(非特許文献4)。しかし、フッ素系高分子電解質は、溶媒には溶解せず分散液となるため、紡糸に不可欠な曳糸性がない。そのため、フッ素系高分子電解質と曳糸性の高分子とを混合し、紡糸することが行われている(非特許文献5)。
特許文献1~3には、電解質膜又は触媒層を加湿雰囲気下で加熱すると、高分子電解質による触媒の被覆率が向上し、あるいは、脱溶媒が容易になる点が記載されている。しかし、これらの方法は、プロトン伝導度や結晶化度を向上させているわけではない。
特許文献4~6には、含水状態又は飽和水蒸気下で電解質膜をホットプレスすると、プロトン伝導度や結晶化度がある程度向上する点が記載されている。これは、含水状態でホットプレスすることで高分子が大きく流動し、親水クラスターが拡大するためと考えられる。しかし、これらの方法はプレスを行う必要があるため、膜以外の構造体には適用できない。また、一度膜にした状態からでは、高分子を大きく流動させることはできない。
特許文献7には、高分子電解質に塩基性分子を添加すると、塩基性分子が酸-塩基結合により高分子電解質のスルホン酸基と結合する点が記載されている。また、非特許文献1には、高分子電解質にPVAを添加すると、PVAが水素結合により高分子電解質のスルホン酸基と結合する点が記載されている。これらの方法を用いると、結晶構造が変化し、高分子電解質の結晶性が向上する。また、PVAの場合には、メタノールのクロスオーバーが低減している。しかし、プロトン伝導度はさほど向上せず、水浸や100%RH近くでも10-2Scm-1オーダーである。
非特許文献2~3には、高分子電解質に金属含有ナノ粒子を添加すると、結晶化度が大幅に向上する点が記載されている。しかし、この方法では、膜内にナノ粒子が残留する。特に、燃料電池などの電気化学デバイスに適用した場合、強酸性で腐食性の高いこれらのデバイス内では、ナノ粒子は、容易に腐食、溶解する。その結果、溶出した成分が触媒の汚染源となり、電気化学デバイスの性能を阻害する。
さらに、非特許文献4~5には、フッ素系高分子電解質と曳糸性の高分子とを混合すると、曳糸性の高分子がスルホン酸基と水素結合するために、紡糸が可能となる点が記載されている。しかし、このようにして得られた繊維の結晶化度を向上させるために、単に繊維を加熱すると、繊維が溶融する。また、このような繊維からなる不織布において、繊維から曳糸性の高分子を硫酸などで除去することも可能であるが、酸処理によって繊維形状と不織布内の空隙が失われる。
特開2007-095582号公報 特開2009-245934号公報 特開平9-274924号公報 特開2008-311233号公報 特開平06-251782号公報 特開平09-199144号公報 特開2017-036360号公報
Journal of Membrane Science 282(2006)217-224 Prog. Polym. Sci. 36(2011)945-979 Solid State Ionics 150(2002)115-112 Prog. Polym. Sci. 36(2011)945-979 J. Mater. Chem. 2010, 20, 6282-6290
本発明が解決しようとする課題は、プロトン伝導度及び/又は結晶化度が相対的に高い高分子電解質不織布を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、プロトン伝導度及び/又は結晶化度が相対的に高い高分子電解質膜を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、このような高分子電解質不織布又は高分子電解質膜を製造することが可能な高分子電解質構造体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る高分子電解質不織布は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記高分子電解質不織布は、高分子繊維の集合体からなり、
前記高分子繊維は、フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、第2の高分子との混合物からなる。
(2)前記第2の高分子は、前記第1の高分子よりもガラス転位温度が低く、かつ、第1の高分子と水素結合を形成することが可能なものからなる。
(3)前記高分子繊維中の前記第2の高分子の含有量は、0.05wt%以上10wt%未満である。
本発明に係る高分子電解質膜は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子を含む。
(2)前記高分子電解質膜は、前記第1の高分子よりもガラス転位点が低く、かつ、前記第1の高分子と水素結合を形成することが可能である高分子化合物からなる第2の高分子の含有量が0.1wt%以下である。
(3)前記高分子電解質膜は、結晶化度が0.20以上である。
本発明に係る高分子電解質構造体の製造方法は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記高分子電解質構造体の製造方法は、
フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、前記第1の高分子よりもガラス転位点が低く、かつ、前記第1の高分子と水素結合を形成する第2の高分子とを含む溶液又は融液から前駆体を作製する前駆体作製工程と、
前記前駆体を、水蒸気を含む雰囲気下において、前記第1の高分子のガラス転位点以上融点未満の温度で加熱し、前記高分子電解質構造体を得る水蒸気処理工程と
を備えている。
(2)前記水蒸気処理工程は、相対湿度が0.5%RH以上100%RH以下の雰囲気下において前記前駆体を加熱するものからなる。
前記高分子電解質構造体の製造方法は、
前記水蒸気処理工程の後に、前記第2の高分子を酸化分解させる酸化剤を用いて、前記高分子電解質構造体から前記第2の高分子の全部又は一部を除去する除去工程
をさらに備えていても良い。
所定の条件を満たす第1の高分子と第2の高分子から前駆体を作製し、前駆体を水蒸気を含む雰囲気下において所定の条件下で加熱すると、プロトン伝導度と結晶化度が相対的に高い次元で両立している構造体が得られる。これは、
(a)前駆体作製時に第1の高分子に備えられるイオン交換基と第2の高分子とが水素結合し、前駆体内に、大きく、かつ、連続した親水クラスターが形成されるため、並びに、
(b)水蒸気を含む雰囲気下において前駆体を加熱すると、アモルファス領域内においてイオン交換基同士の水素結合が弱められるため、及び、これによって成長した親水クラスターを維持したまま、アモルファス部の結晶化が促進されるため、
と考えられる。
電解質膜前駆体作製時のポリエチレングリコール(PEO)の配合量とプロトン伝導度(25℃、100%RH)との関係を示す図である。 電解質膜前駆体作製時のポリエチレングリコール(PEO)の配合量とプロトン伝導度(25℃、20%RH)との関係を示す図である。 高分子電解質不織布に含まれるポリエチレングリコール(PEO)の含有量と結晶化度(D)との関係を示す図である。
実施例11~13及び比較例11で得られた高分子電解質不織布のSEM像(左欄:製造直後、中欄;100℃のH2Oに浸漬後、右欄:H2O/EtOHに浸漬後)である。 実施例15及び比較例12~14で得られた高分子電解質不織布のSEM像(左欄:製造直後、中欄;100℃のH2Oに浸漬後、右欄:H2O/EtOHに浸漬後)である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 高分子電解質不織布]
本発明に係る高分子電解質不織布は、以下の構成を備えている。
(1)前記高分子電解質不織布は、高分子繊維の集合体からなり、
前記高分子繊維は、フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、第2の高分子との混合物からなる。
(2)前記第2の高分子は、前記第1の高分子よりもガラス転位温度が低く、かつ、第1の高分子と水素結合を形成することが可能なものからなる。
(3)前記高分子繊維中の前記第2の高分子の含有量は、0.05wt%以上10wt%未満である。
[1.1. 第1の高分子]
第1の高分子は、フッ素系高分子電解質からなる。「フッ素系高分子電解質」とは、分子内にC-F結合と、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基などのイオン交換基とを備えている高分子化合物をいう。本発明において、フッ素系高分子電解質の種類は特に限定されない。
フッ素系高分子電解質としては、例えば、ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)、アシプレックス(登録商標)、アクイヴィオン(登録商標)などのパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂などがある。
[1.2. 第2の高分子]
[1.2.1. 機能]
本発明に係る高分子電解質不織布は、後述するように、第1の高分子と第2の高分子の混合物から不織布前駆体を作製し、不織布前駆体を水蒸気処理することにより得られる。第2の高分子は、親水クラスターを発達させるために添加される。また、水蒸気処理は、高分子繊維を溶融させることなく、第1の高分子の結晶化を促進させるために行われる。
さらに、高分子電解質不織布の場合、水蒸気処理後の不織布から第2の高分子を完全に取り除くと、繊維形状を維持できなくなる場合がある。そのため、高分子電解質不織布は、適量の第2の高分子を含んでいるのが好ましい。
すなわち、高分子電解質不織布において、第2の高分子は、
(a)第1の高分子内において、親水クラスターを成長させるため、
(b)単独では曳糸性を持たない第1の高分子に曳糸性を付与するため、及び、
(c)高分子繊維を溶融させることなく、第1の高分子の結晶化を促進するため、
に用いられる。
[1.2.2. 組成]
上述した機能を奏するためには、第2の高分子は、少なくとも、第1の高分子よりもガラス転位温度が低く、かつ、第1の高分子と水素結合を形成することが可能なものである必要がある。
第1の高分子と第2の高分子との間で水素結合を形成するためには、第2の高分子は、水素結合可能な部位を備えている必要がある。このような部位としては、例えば、エーテル結合(-O-)、水素や炭素よりも電気陰性度が高い原子を有する結合又は官能基群(例えば、エステル結合、アミド結合、チオエーテル結合、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、スルホ基、アミノ基、シアノ基、チオール基)などがある。
また、第2の高分子は、中性付近の高分子が好ましい。具体的には、第2の高分子は、酸解離定数pKaが7.0以上4.0以下であるものが好ましい。これは、強酸のように強く分極した官能基を有するポリマーと、同じく強く分極したスルホン酸基を持つ第1の高分子を混合すると、分極した官能基同士の相互作用が大きくなり、結着してしまうおそれがあるためである。このことで、たとえ水蒸気中で加熱しても結着を剥がすことが困難となり、親水クラスターを成長させることができないと考えられる。
このような条件を満たす第2の高分子としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルピロリドン(PVP)などがある。
[1.2.3. 分子量]
第2の高分子の分子量は、曳糸性に影響を与える。好適な分子量は、第2の高分子の種類により異なる。例えば、第2の高分子がPEOである場合、第2の高分子の重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、十分な曳糸性が得られない。従って、Mwは、10万以上が好ましい。Mwは、好ましくは、100万以上、さらに好ましくは、500万以上である。
[1.3. 高分子繊維]
[1.3.1. 第2の高分子の含有量]
「第2の高分子の含有量」とは、高分子繊維(すなわち、高分子電解質不織布)に含まれる第1の高分子の重量(W1)及び第2の高分子の重量(W2)の和に対する第2の高分子の重量の割合(=W2×100/(W1+W2))をいう。
高分子電解質不織布は、高分子繊維の集合体からなる。また、高分子繊維は、第1の高分子と、第2の高分子との混合物からなる。高分子繊維中(すなわち、高分子電解質不織布中)の第2の高分子の含有量は、曳糸性、溶媒に対する耐性、プロトン伝導度などに影響を与える。
第2の高分子の含有量が少なすぎると、前駆体作製時において曳糸性が不十分となり、不織布を作製することができない。また、親水クラスターが十分に発達しないため、高いプロトン伝導度は得られない。従って、第2の高分子の含有量は、0.05wt%以上が好ましい。第2の高分子の含有量は、好ましくは、0.1wt%以上、さらに好ましくは、0.5wt%以上である。
一方、第2の高分子の含有量が過剰になると、溶媒に対する耐性が低下する。従って、第2の高分子の含有量は、10wt%未満である必要がある。第2の高分子の含有量は、好ましくは、5wt%以下、さらに好ましくは、3wt%以下である。
[1.3.2. 直径]
高分子繊維の直径は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な直径を選択することができる。後述する方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、直径が50nm~3000nmである高分子繊維の集合体からなる不織布が得られる。
[1.3.3. 直径変化率(溶媒に対する耐性)]
高分子繊維の溶媒に対する耐性は、直径変化率で表すことができる。ここで、「直径変化率(Δd)」とは、次の式(1)で表される値をいう。
Δd=(d-di)×100/di ・・・(1)
但し、
iは、製造直後の高分子繊維の直径の平均値、
dは、所定の条件下で溶媒に浸漬した後の高分子繊維の直径の平均値。
直径変化率を評価する際の溶媒の種類は、目的に応じて最適なものを選択することができる。溶媒としては、水、水/エタノール混合溶媒(水/エタノール重量比=7/3)などがある。
作製された不織布をある種の溶媒に浸漬すると、溶解又は膨潤によって高分子繊維の直径が増加又は減少する。高分子繊維は、通常、水よりも水/エタノール混合溶媒に溶解又は膨潤しやすい。そのため、水/エタノール混合溶媒に浸漬した時の直径変化率が小さいことは、高分子繊維の溶媒に対する耐性がより高いことを表す。
後述する方法を用いて不織布を作製する場合において、製造条件を最適化すると、溶媒に対する耐性の高い高分子繊維が得られる。
具体的には、後述する方法を用いると、100℃の水に1分間浸漬した時の高分子繊維の直径変化率は、-15%以上+15%以下となる。製造条件をさらに最適化すると、水浸漬時の直径変化率は、-10%以上+10%以下、あるいは、-5%以上+5%以下となる。
また、後述する方法を用いると、室温の水/エタノール混合溶媒(水/エタノール重量比=7/3)に1分間浸漬したときの高分子繊維の直径変化率は、-6%以上+6%以下となる。製造条件をさらに最適化すると、水/エタノール浸漬時の直径変化率は、-5%%以上+5%以下、あるいは、-1%以上+1%以下となる。
[1.4. 特性]
[1.4.1. 空孔度]
「空孔度」とは、不織布の見かけの体積に対する空孔の体積の割合をいう。
高分子電解質不織布は、相対的に高い空孔度を持つため、ガス拡散性が求められる触媒層の材料として好適である。不織布の空孔度は、製造条件を最適化することにより、ある程度制御することができる。後述する方法を用いると、空孔度が80%以上100%未満である不織布が得られる。
[1.4.2. 結晶化度]
「結晶化度」とは、XRDスペクトルを用いて、以下の方法により算出される値をいう(参考文献1参照)。
(a)2θ=10°~20°付近のピークを2θ=16.1°(非晶質部)、2θ=17.7°(結晶部)の2つのピークに分離する。
(b)非晶質部のピーク面積(Aam)、及び結晶部のピーク面積(Acr)を求め、次の式(2)から結晶化度(Wcr)を算出する。
cr=Acr/(Aam+Acr) ・・・(2)
[参考文献1]Macromolecules(14), 1309-1315
本発明に係る高分子電解質不織布は、後述する方法により製造されるため、プロトン伝導度を低下させることなく、結晶化度を向上させることができる。具体的には、後述する方法を用いると、結晶化度が0.15以上である高分子電解質不織布が得られる。製造条件をさらに最適化すると、結晶化度は、0.18以上、0.20以上、あるいは、0.24以上となる。
[1.4.3. 貯蔵弾性率]
高分子電解質不織布は、理想的には高分子繊維間が点接触している状態にある。しかし、製造時、あるいは、使用時に高分子繊維の一部が溶融すると、繊維間が融着する。高分子繊維の溶融がさらに進行すると、やがて繊維が消失し、不織布の空隙が閉塞する。
繊維間の融着の程度は、不織布の貯蔵弾性率で間接的に評価することができる。一般に、繊維間の融着が進行するほど、貯蔵弾性率が高くなる。
後述する方法を用いると、貯蔵弾性率が50MPa以下である不織布が得られる。製造条件をさらに最適化すると、貯蔵弾性率は、40MPa以下、30MPa以下、20MPa以下、あるいは、10MPa以下となる。
[1.4.4. プロトン伝導度]
本発明に係る高分子電解質不織布は、後述する方法により製造されるため、結晶化度を低下させることなく、プロトン伝導度を向上させることができる。具体的には、後述する方法を用いると、25℃、100%RHにおけるプロトン伝導度が0.1mScm-1以上である不織布が得られる。製造条件をさらに最適化すると、25℃、100%RHにおけるプロトン伝導度は、0.2mScm-1以上、あるいは、0.3mScm-1以上となる。
[2. 高分子電解質膜]
本発明に係る高分子電解質膜は、以下の構成を備えている。
(1)前記高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子を含む。
(2)前記高分子電解質膜は、前記第1の高分子よりもガラス転位点が低く、かつ、前記第1の高分子と水素結合を形成することが可能である高分子化合物からなる第2の高分子の含有量が0.1wt%以下である。
(3)前記高分子電解質膜は、結晶化度が0.20以上である。
[2.1. 第1の高分子]
第1の高分子の詳細については、上述した高分子電解質不織布と同様であるので、説明を省略する。
[2.2. 第2の高分子]
[2.2.1. 機能]
本発明に係る高分子電解質膜は、後述するように、第1の高分子と第2の高分子の混合物から電解質膜前駆体を作製し、電解質膜前駆体を水蒸気処理することにより得られる。第2の高分子は、親水クラスターを発達させるために添加させる。また、水蒸気処理は、第1の高分子の結晶化を促進させるために行われる。
なお、高分子電解質膜の場合、水蒸気処理後の電解質膜から第2の高分子を完全に取り除いても、膜形状は維持される。すなわち、高分子電解質膜は、第2の高分子を含んでいても良く、あるいは、含んでいなくても良い。
すなわち、高分子電解質膜において、第2の高分子は、
(a)第1の高分子内において、親水クラスターを成長させるため、及び
(b)第1の高分子の結晶化を促進するため、
に用いられる。
[2.2.2. 組成]
上述した機能を奏するためには、第2の高分子は、少なくとも第1の高分子よりもガラス転位温度が低く、かつ、第1の高分子と水素結合を形成することが可能なものである必要がある。
第2の高分子の組成に関するその他の点ついては、高分子電解質不織布と同様であるので、説明を省略する。
[2.2.3. 分子量]
第2の高分子の分子量は、成膜性に影響を与える。好適な分子量は、第2の高分子の種類により異なる。例えば、第2の高分子がPEOである場合、第2の高分子の重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、親水クラスターを連続させることができない。従って、Mwは、10万以上が好ましい。Mwは、好ましくは、30万以上、さらに好ましくは、100万以上である。
[2.3. 第2の高分子の含有量]
「第2の高分子の含有量」とは、高分子電解質に含まれる第1の高分子の重量(W1)及び第2の高分子の重量(W2)の和に対する第2の高分子の重量の割合(=W2×100/(W1+W2))をいう。
上述したように、高分子電解質膜は、第2の高分子を含んでいても良く、あるいは、含んでいなくても良い。しかし、第2の高分子は、高分子電解質膜のプロトン伝導には寄与しない。また、高分子電解質膜は、高分子電解質不織布と異なり、第2の高分子を完全に除去しても、膜形状が壊れることはない。そのため、高分子電解質膜中の第2の高分子の含有量は、少ないほど良い。高いプロトン伝導度を得るためには、第2の高分子の含有量は、0.1wt%以下が好ましい。
[2.4. 特性]
[2.4.1. 結晶化度]
本発明に係る高分子電解質膜は、後述する方法により製造されるため、プロトン伝導度を低下させることなく、結晶化度を向上させることができる。具体的には、後述する方法を用いると、結晶化度が0.20以上である高分子電解質膜が得られる。製造条件をさらに最適化すると、結晶化度は、0.25以上、0.27以上、あるいは、0.30以上となる。
なお、「結晶化度」の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[2.4.2. プロトン伝導度]
本発明に係る高分子電解質膜は、後述する方法により製造されるため、結晶化度を低下させることなく、プロトン伝導度を向上させることができる。具体的には、後述する方法を用いると、25℃、100%RHにおけるプロトン伝導度が75mScm-1以上である電解質膜が得られる。製造条件をさらに最適化すると、25℃、100%RHにおけるプロトン伝導度は、80mScm-1以上、90mScm-1以上、あるいは、100mScm-1以上となる。
[3. 高分子電解質構造体の製造方法]
本発明に係る高分子電解質構造体の製造方法は、以下の構成を備えている。
(1)前記高分子電解質構造体の製造方法は、
フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、前記第1の高分子よりもガラス転位点が低く、かつ、第1の高分子と水素結合を形成する第2の高分子とを含む溶液又は融液から前駆体を作製する前駆体作製工程と、
前記前駆体を、水蒸気を含む雰囲気下において、前記第1の高分子のガラス転位点以上融点未満の温度で加熱し、前記高分子電解質構造体を得る水蒸気処理工程と
を備えている。
(2)前記水蒸気処理工程は、相対湿度が0.5%RH以上100%以下RHの雰囲気下において前記前駆体を加熱処理するものからなる。
本発明に係る高分子電解質構造体の製造方法は、前記水蒸気処理工程の後に、前記第2の高分子を酸化分解させる酸化剤を用いて、前記高分子電解質構造体から前記第2の高分子の全部又は一部を除去する除去工程をさらに備えていても良い。
[3.1. 前駆体作製工程]
まず、フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、前記第1の高分子よりもガラス転位点が低く、かつ、第1の高分子と水素結合を形成する第2の高分子とを含む溶液又は融液から前駆体を作製する(前駆体作製工程)。
[3.1.1. 前駆体の形状]
本発明において、前駆体(及び、前駆体を水蒸気処理することにより得られる高分子電解質構造体)の形状は、特に限定されない。前駆体の形状としては、例えば、不織布、膜、長繊維、チューブ、球、短繊維、撚糸、多孔体、針状体など、あるいは、これらの集合体などがある。これらのスケールは、問わない。
[3.1.2. 溶液又は融液]
第1の高分子と第2の高分子の混合物を溶融させることが可能である場合、前駆体の作製には融液を用いることができる。一方、第1の高分子と第2の高分子の混合物を溶解又は分散させることが可能な溶媒がある場合、前駆体の作製には溶液を用いることができる。
溶液を用いて前駆体を作製する場合、溶媒は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な溶媒を選択することができる。本発明においては、前駆体の水蒸気処理が行われるため、溶媒は、水と混和するものが好ましい。このような溶媒としては、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)などがある。
溶媒としては、特に、沸点が200℃以下のアルコールが好ましい。その中でも、溶媒は、エタノールが好ましい。これは、環境負荷が小さく、工業的な大量生産に適しているためである。
また、溶液を用いて前駆体を作製する場合、溶液の固形分濃度は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な濃度を選択することができる。一般に、固形分濃度が高くなるほど、乾燥にかかる時間を短縮でき、溶媒の使用量を減らすことができる。一方、固形分濃度が高くなりすぎると、粘度が高くなるため成形しにくくなる。また、泡の混入が問題となる。
最適な固形分濃度は、第1の高分子及び第2の高分子の種類、配合量などにより異なるが、通常は、1wt%~40wt%程度である。
[3.1.3. 配合量]
「第2の高分子の配合量」とは、融液又は溶液に含まれる第1の高分子の重量(W1)及び第2の高分子の重量(W2)の和に対する第2の高分子の重量の割合(=W2×100/(W1+W2))をいう。
第2の高分子の配合量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な配合量を選択するのが好ましい。
例えば、高分子電解質構造体が高分子電解質不織布である場合、第2の高分子の配合量が少なすぎると、親水クラスターが十分に発達せず、融液又は溶液の曳糸性も不十分となる。従って、第2の高分子の配合量は、0.05wt%以上が好ましい。第2の高分子の配合量は、好ましくは、0.1wt%以上、さらに好ましくは、0.5wt%以上である。
一方、第2の高分子の配合量が過剰になると、高分子繊維の溶媒に対する耐性が低下する。従って、第2の高分子の配合量は、10wt%未満が好ましい。第2の高分子の配合量は、好ましくは、5wt%以下、さらに好ましくは、3wt%以下である。
また、例えば、高分子電解質構造体が高分子電解質膜である場合、第2の高分子の配合量が少なすぎると、親水クラスターが十分に発達しない。従って、第2の高分子の配合量は、0.05wt%以上が好ましい。第2の高分子の配合量は、好ましくは、0.5wt%以上、さらに好ましくは、1wt%以上である。
一方、第2の高分子の配合量が過剰になると、プロトン伝導度がかえって低下する。これは、第2の高分子が過剰になると、両者が相溶せずに分離するため、単に第1の高分子の体積分率をいたずらに下げるだけとなり、見かけの伝導度が低下するためと考えられる。従って、第2の高分子の配合量は、50wt%以下が好ましい。第2の高分子の配合量は、好ましくは、30wt%以下、さらに好ましくは、25wt%以下である。
[3.1.4. 前駆体の作製方法]
前駆体の作製方法は、特に限定されるものではなく、前駆体の形状に応じて最適な方法を選択することができる。
例えば、前駆体(及び、高分子電解質構造体)が不織布である場合、前駆体の作製方法としては、電界紡糸法、メルトブロー法などがある。
また、前駆体(及び、高分子電解質構造体)が膜である場合、前駆体の作製方法としては、キャスト法、スピンコート法などがある。
溶液を用いて前駆体を作製した場合、前駆体に含まれる溶媒を除去するために、乾燥させる。乾燥条件は、特に限定されない。
[3.2. 水蒸気処理工程]
次に、前駆体を、水蒸気を含む雰囲気下において、第1の高分子のガラス転位点以上融点未満の温度で加熱する(水蒸気処理工程)。これにより、本発明に係る高分子電解質構造体が得られる。
[3.2.1. 相対湿度]
前駆体の水蒸気処理は、第1の高分子の結晶化度を向上させる作用がある。また、高分子電解質不織布を製造する際には、前駆体の水蒸気処理は、高分子繊維を溶融させることなく、第1の高分子の結晶化度を向上させる作用がある。
第1の高分子及び第2の高分子を含む不織布前駆体を乾燥雰囲気下において加熱すると、高分子繊維が溶融する。これは、長鎖であり、熱運動しにくい第2の高分子が第1の高分子のアモルファス部の熱運動を阻害し、結晶化の進行が遅れるためであると考えられる。
これに対し、不織布前駆体を水蒸気雰囲気下で加熱すると、高分子繊維の溶融が抑制され、かつ、高分子繊維の結晶化度が向上する。これは、加熱時に水蒸気を共存させることにより、PEOが加水分解を受けて短鎖化するため、及び、分解された第2の高分子は熱運動を阻害しないために第1の高分子のアモルファス部が速やかに結晶化するため、と考えられる。
水蒸気処理時の相対湿度が高くなるほど、結晶化度が向上し、あるいは、高分子繊維の溶融が抑制される。このような効果を得るためには、水蒸気処理時の相対湿度は、0.5%RH以上である必要がある。相対湿度は、好ましくは、1.0%RH以上、さらに好ましくは、2.0%RH以上である。
相対湿度の上限は、特に限定されるものではなく、100%RH以下であれば良い。
[3.2.2. 加熱温度]
加熱温度が低すぎると、第1の高分子の結晶化が不十分となる。従って、加熱温度は、第1の高分子のガラス転位点(Tg)以上である必要がある。加熱温度は、好ましくは、Tg+5℃以上である。
一方、加熱温度が高すぎると、第1の高分子が溶融する。従って、加熱温度は、第1の高分子の融点(Tm)未満である必要がある。加熱温度は、好ましくは、Tm-10℃以下、さらに好ましくは、Tm-20℃以下である。
最適な加熱温度は、第1の高分子及び第2の高分子の組成、配合量などにより異なる。例えば、第1の高分子がナフィオン(登録商標)からなり、第2の高分子がPEOからなる場合、加熱温度は、120℃以上200℃未満が好ましい。
[3.2.3. 加熱時間]
加熱時間は、加熱温度に応じて最適な時間を選択する。一般に、加熱温度が高くなるほど、短時間で第1の高分子の結晶化が進行する。最適な加熱時間は、加熱温度などにより異なるが、通常は、1時間~2時間程度である。
[3.3. 除去工程]
水蒸気処理工程が終了した後、必要に応じて、前記第2の高分子を酸化分解させる酸化剤を用いて、前記高分子電解質構造体から前記第2の高分子の全部又は一部を除去する(除去工程)。
[3.3.1. 除去量]
第2の高分子の除去量は、目的に応じて最適なものを選択する。
例えば、高分子電解質構造体が高分子電解質不織布である場合、高分子繊維から第2の高分子を完全に除去すると、繊維形状を維持できない場合がある。このような場合には、除去工程を省略し、あるいは、第2の高分子の一部を除去し、適量の第2の高分子を含んだ状態のまま、高分子電解質不織布を各種の用途に用いるのが好ましい。
一方、高分子電解質構造体が高分子電解質膜である場合、電解質膜から第2の高分子を完全に除去しても、膜形状を維持することができる。また、電解質膜中の第2の高分子は、プロトン伝導度には寄与しない。そのため、このような場合には、高分子電解質構造体から第2の高分子をほぼ完全に除去するのが好ましい。
高分子電解質構造体が高分子電解質膜である場合において、高いプロトン伝導度を得るためには、前記除去工程は、前記第2の高分子の含有量が0.1wt%以下となるように、前記第2の高分子を除去するものが好ましい。
[3.3.2. 酸化剤]
酸化剤は、第1の高分子の構造を変質させることなく、第2の高分子を酸化分解させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
酸化剤は、特に、水溶性であり、標準酸化電位が1V以上であり、かつ、金属イオンを含まないものが好ましい。これは、第1の高分子の親水クラスターへ酸化剤を浸透させるのに水溶性であるのが望ましく、また、金属イオンはスルホン酸基に結合し、イオン伝導度を下げてしまうためである。このような条件を満たす酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過塩素酸などがある。
また、酸化剤は、強酸(酸解離定数pKa≦1)であっても良い。これは、強酸は加水分解の触媒としても使えるためである。酸化剤として使用可能な強酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸などがある。
[3.3.3. 処理条件]
処理条件は、第1の高分子を変質させることなく、第2の高分子を酸化分解させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
最適な処理条件は、第2の高分子の組成、酸化剤の組成、膜厚等により異なる。通常、室温~100℃で、1時間~2時間程度処理すれば、第2の高分子をほぼ完全に除去することができる。
[4. 作用]
高分子電解質のプロトン伝導度や結晶化度を向上させる方法として、
(a)含水状態又は水蒸気雰囲気下でホットプレスする方法、
(b)電解質に塩基性高分子やPVAを添加する方法、
(c)電解質に無機ナノ粒子を添加する方法、
などが提案されている。
これらの内、ホットプレス法は、親水クラスターの拡大にはある程度の効果はあるが、膜以外の構造体には適用できない。
また、電解質の酸基と相互作用するポリマーや無機ナノ粒子を添加する方法では、プロトン伝導度が変わらないことが多い。この理由は、親水クラスターは、溶液中では相互作用によって大きく成長するが、溶媒の乾燥処理又はその後の加熱処理で電解質が再び溶融し、クラスターを維持できないためと考えられる。電解質膜は、通常、アモルファス部が流動する温度で保持し、結晶性を向上させている。しかし、親水クラスターの溶融温度がアモルファス部よりも低いため、このような現象が起こると考えられる。
さらに、フッ素系電解質は、単独では曳糸性を持たない。そのため、電解質不織布を作製する場合、フッ素系電解質に曳糸性を持つ第2の高分子を添加することが行われる。しかし、高分子繊維の結晶性を向上させるために不織布の熱処理を行うと、高分子繊維全体が溶融し、不織布内の空隙が閉塞する。そのため、従来の方法では、プロトン伝導度と結晶化度を高い次元で両立させることはできない。
これに対し、所定の条件を満たす第1の高分子と第2の高分子から前駆体を作製し、前駆体を水蒸気を含む雰囲気下において所定の条件下で加熱すると、プロトン伝導度と結晶化度が相対的に高い次元で両立している構造体が得られる。このようにして得られた構造体は、結晶性が向上しているので、例えば、触媒インクの主要な溶媒である水とエタノールの混合溶媒にも溶解しにくい。これは、以下の理由によると考えられる。
[4.1. 第2の高分子による効果]
フッ素系高分子電解質は、疎水性の主鎖と、親水性であるイオン交換基を持つ側鎖とを備えている。このようなフッ素系高分子電解質は、溶媒中でミセル構造を取り、分散している。第2の高分子は、溶媒に接している親水部と水素結合を形成する。その結果、前駆体内に大きく、かつ、連続した親水クラスターが生成する。
[4.2. 高湿度環境下における加熱の効果]
フッ素系高分子電解質は、アモルファス領域内に、相分離が進み結晶化した部位と、親水部を集合させるように集まった親水クラスターとが点在する構造を有している。すなわち、フッ素系高分子電解質内には、以下の3種の構造があると考えられる。
(a)イオン交換基と固着水が主体の親水クラスター。
(b)アモルファス領域。
(c)疎水部が結晶化した部位。
ガラス転位点付近で加熱すると、アモルファス領域(以下、これを「b部」ともいう)は熱運動する。その結果、相分離が促進され、結晶化した部位を増加させることができる。また、結晶化した部位が増えることにより、化学的耐久性や強度も上昇する。
第2の高分子は、親水性クラスターと水素結合で相互作用し、親水クラスターを大きく成長させるが、同時にb部にも入り込む。長鎖である第2の高分子は、熱運動しにくいため、b部の熱運動を阻害する。そのため、結晶化の進行が遅くなり、結晶化の前に繊維が溶融する。溶融の後、結晶化が進行すると考えられる。
他方、加湿雰囲気での加熱では、PEOが加水分解を受けて短鎖化する。これは、加湿下で電離した第1の高分子が酸触媒として加水分解を促進するためと考えられる。分解された第2の高分子は、熱運動を阻害しないため、b部が速やかに結晶化する。結晶化によって繊維が強化されるため、溶融しにくくなる。従って、繊維形状を保持したまま、繊維を結晶化することが可能となる。加水分解により第2の高分子が短くなるため、加熱下での熱処理を施したものは、施す前のものよりもガラス転位点が低くなる。
加えて、特に高湿度下での加熱では、短いPEOと水との組み合わせが第1の高分子の熱運動を促進するため、さらに結晶化する。これは、強く分極しているイオン交換基同士の水素結合による結着を緩め、アモルファス領域の熱運動をさらに促進できるためと考えられる。また、第2の高分子によって大きく成長したb部の周辺が結晶化するので、b部の構造が保存される。従って、プロトン伝導度が向上する。第2の高分子は、b部の成長と、結晶化の促進の2つの効果を持つことがわかる。
(実施例1~5、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1]
ナフィオン(登録商標)(D2020)、及びポリエチレンオキサイド(PEO、Mw~300,000)を溶解させた前駆体溶液を作製した。前駆体溶液中のナフィオン(登録商標)の配合量は99wt%、PEOの配合量は1wt%とした。溶媒には、30vol%水/70vol%メタノールの混合溶媒を用いた。前駆体溶液中の固形分濃度は、10wt%とした。この前駆体溶液を基板表面に塗布し、室温で2日間乾燥させ、電解質膜前駆体を得た。
次に、電解質膜前駆体の水蒸気処理を行った。処理温度は130℃、処理時間は1h、処理時の相対湿度は37.2%RHとした。
水蒸気処理後、酸化剤を用いて電解質膜からPEOを除去した。酸化剤には、10wt%の過酸化水素水を用いた。また、処理温度は80℃、処理時間は6hとした。
[1.2. 実施例2]
ナフィオン(登録商標)の配合量を90wt%とし、PEOの配合量を10wt%とした以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。
[1.3. 実施例3]
ナフィオン(登録商標)の配合量を75wt%とし、PEOの配合量を25wt%とした以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。
[1.4. 実施例4]
ナフィオン(登録商標)の配合量を50wt%とし、PEOの配合量を50wt%とした以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。
[1.5. 実施例5]
水蒸気処理時の相対湿度を0.6%RHとした以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。
[1.6. 比較例1]
ナフィオン(登録商標)の配合量を100wt%とし、PEOの配合量を0wt%とした以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。
[2. 評価]
得られた電解質膜の結晶化度、及びプロトン伝導度(25℃、100%RH又は20%RH)を評価した。表1に結果を示す。また、図1に、電解質膜前駆体作製時のポリエチレングリコール(PEO)の配合量とプロトン伝導度(25℃、100%RH)との関係を示す。さらに、図2に、電解質膜前駆体作製時のポリエチレングリコール(PEO)の配合量とプロトン伝導度(25℃、20%RH)との関係を示す。表1、並びに、図1及び図2より、以下のことがわかる。
(1)比較例1は、PEOを添加していないために、水蒸気処理を行っても結晶化度は0.19であった。これに対し、PEOの添加及び水蒸気処理を行った実施例1~5は、いずれも、結晶化度が0.20を超えていた。
(2)水蒸気処理時の相対湿度が37.2%である場合、プロトン伝導度は、PEOの配合量に依存した。高いプロトン伝導度を得るためには、前駆体作製時のPEOの配合量は、1wt%~25wt%が好ましいことがわかった。
(3)実施例4は、結晶化度は高いが、プロトン伝導度が低い。これは、PEOの添加量が50%と多いため、ナフィオン(登録商標)とPEOが相溶せず、分離したためと考えられる。そのため、ナフィオン(登録商標)の連続性が失われてプロトン伝導度が低下したと考えられる。体積分率を考慮しても、伝導度が低すぎるため、このように考えられる。
Figure 0007009875000001
(実施例11~15、比較例11~14)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例11]
ナフィオン(登録商標)(D2020)、及びポリエチレンオキサイド(PEO、Mw~7,000,000)を溶解させた前駆体溶液を作製した。前駆体溶液中のナフィオン(登録商標)の配合量は99.01wt%、PEOの配合量は0.99wt%とした。溶媒には、30vol%水/70vol%メタノールの混合溶媒を用いた。前駆体溶液中の固形分濃度は、10wt%とした。この前駆体溶液を用いて電界紡糸を行い、室温で2日間乾燥させ、不織布前駆体を得た。
次に、不織布前駆体の水蒸気処理を行った。処理温度は130℃、処理時間は1h、処理時の相対湿度は37.2%RHとした。
[1.2. 実施例12]
水蒸気処理時の相対湿度を20.0%RHとした以外は、実施例11と同様にして不織布を得た。
[1.3. 実施例13]
水蒸気処理時の相対湿度を2.1%RHとした以外は、実施例11と同様にして不織布を得た。
[1.4. 比較例11]
ナフィオン(登録商標)の配合量を90wt%、PEOの配合量を10wt%とした以外は、実施例11と同様にして不織布を得た。
[1.5. 実施例14]
ナフィオン(登録商標)の配合量を99.9wt%、PEOの配合量を0.1wt%とした以外は、実施例11と同様にして不織布を得た。
[1.6. 比較例12]
実施例11で得られた不織布前駆体(PEO:0.99wt%)をそのまま試験に供した。
[1.7. 実施例15]
水蒸気処理時の相対湿度を0.6%RHとした以外は、実施例11と同様にして不織布を得た。
[1.8. 比較例13]
比較例11で得られた不織布前駆体(PEO:10wt%)をそのまま試験に供した。
[1.9. 比較例14]
水蒸気処理時の相対湿度を0.6%RHとした以外は、比較例11と同様にして不織布を得た。
[2. 評価]
得られた不織布の結晶化度、プロトン伝導度σ(25℃、100%RH)、ガラス転位温度Tg、及び貯蔵弾性率G'(30℃)を評価した。
また、各種溶媒に不織布を1分間浸漬し、高分子繊維の直径を測定した。溶媒への浸漬前後の直径を用いて、直径変化率を算出した。溶媒には、100℃の水、又は、室温の水/エタノール混合溶媒(重量比7/3)を用いた。
表2に結果を示す。なお、表2中、繊維直径d及び直径変化率Δdの添え字「i」は溶媒浸漬前の値を表し、「W」は水浸漬後の値を表し、「W/Et」は水/エタノール浸漬後の値を表す。また、図3に、高分子電解質不織布に含まれるポリエチレングリコール(PEO)の含有量と結晶化度(D)との関係を示す。なお、図3には、比較例1で得られた電解質膜の値も併せて示した。
さらに、図4に、実施例11~13及び比較例11で得られた高分子電解質不織布のSEM像(左欄:製造直後、中欄;100℃のH2Oに浸漬後、右欄:H2O/EtOHに浸漬後)を示す。また、図5に、実施例15及び比較例12~14で得られた高分子電解質不織布のSEM像(左欄:製造直後、中欄;100℃のH2Oに浸漬後、右欄:H2O/EtOHに浸漬後)を示す。表2、並びに、図3~図5より、以下のことがわかる。
(1)PEO量が10wt%である場合、不織布前駆体には、高分子繊維が認められた(比較例13)。しかし、水蒸気処理を行わない場合、溶媒に対する耐性は低い。
(2)PEO量が10wt%である不織布前駆体を相対湿度0.6%RHで水蒸気処理すると、高分子繊維が消失した(比較例14)。相対湿度を37.2%RHとすると、繊維形状は維持していたが、溶媒に対する耐性が低い(比較例11)。
(3)PEO量が0.1wt%であっても、水蒸気処理することにより、結晶化度が向上した(実施例14)。また、これによって、溶媒に対する耐性も向上した。
(4)PEO量が0.99wt%である場合、水蒸気処理することにより、結晶化度及び溶媒に対する耐性が向上した。但し、相対湿度が0.6%RHである場合(実施例15)、繊維間の融着が認められ、貯蔵弾性率も高くなった。繊維間の融着を抑制するためには、水蒸気処理時の相対湿度は1.0%RH以上が好ましいことがわかった。
(5)水蒸気処理時の相対湿度が高くなるほど、結晶化度が高くなる傾向が認められた。これは、相対湿度が高くなるほど、アモルファス部においてスルホン酸基同士の水素結合が弱くなり、アモルファス部が流動しやすくなるためと考えられる。
(6)水蒸気処理時の相対湿度が37.2%である場合、結晶化度は、PEOの含有量に依存した。高い結晶化度を得るためには、前駆体作製時のPEOの配合量は、0.1wt%~5wt%が好ましいことがわかった。
Figure 0007009875000002
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る高分子電解質不織布及び高分子電解質膜は、燃料電池などの各種電気化学デバイスの電解質膜、触媒層などに用いることができる。

Claims (10)

  1. 以下の構成を備えた高分子電解質不織布。
    (1)前記高分子電解質不織布は、高分子繊維の集合体からなり、
    前記高分子繊維は、フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、第2の高分子との混合物からなる。
    (2)前記第2の高分子は、前記第1の高分子よりもガラス転位温度が低く、かつ、第1の高分子と水素結合を形成することが可能なものからなる。
    (3)前記高分子繊維中の前記第2の高分子の含有量は、0.05wt%以上10wt%未満である。
    (4)前記高分子繊維は、室温の水/エタノール混合溶媒(水/エタノール重量比=7/3)に1分間浸漬したときの直径変化率が-6%以上+6%以下である。
  2. 前記高分子繊維は、100℃の水に1分間浸漬した時の直径変化率が-15%以上+15%以下である請求項1に記載の高分子電解質不織布。
  3. 前記高分子繊維は、結晶化度が0.15以上である請求項1又は2に記載の高分子電解質不織布。
  4. 貯蔵弾性率が50MPa以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の高分子電解質不織布。
  5. 25℃、100%RHにおけるプロトン伝導度が0.1mScm-1以上である請求項1から4までのいずれか1項に記載の高分子電解質不織布。
  6. 以下の構成を備えた高分子電解質構造体の製造方法。
    (1)前記高分子電解質構造体の製造方法は、
    フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、前記第1の高分子よりもガラス転位点が低く、かつ、前記第1の高分子と水素結合を形成する第2の高分子とを含む溶液又は融液から前駆体を作製する前駆体作製工程と、
    前記前駆体を、水蒸気を含む雰囲気下において、前記第1の高分子のガラス転位点以上融点未満の温度で加熱し、前記高分子電解質構造体を得る水蒸気処理工程と
    を備えている。
    (2)前記水蒸気処理工程は、相対湿度が0.5%RH以上100%RH以下の雰囲気下において前記前駆体を加熱するものからなる。
    (3)前記高分子電解質構造体は、高分子電解質不織布からなり、
    前記前駆体作製工程は、前記第2の高分子の配合量が0.05wt%以上10wt%未満である不織布前駆体を作製するものからなる。
  7. 前記水蒸気処理工程の後に、前記第2の高分子を酸化分解させる酸化剤を用いて、前記高分子電解質構造体から前記第2の高分子の一部を除去する除去工程をさらに備えた請求項6に記載の高分子電解質構造体の製造方法。
  8. 以下の構成を備えた高分子電解質構造体の製造方法。
    (1)前記高分子電解質構造体の製造方法は、
    フッ素系高分子電解質からなる第1の高分子と、前記第1の高分子よりもガラス転位点が低く、かつ、前記第1の高分子と水素結合を形成する第2の高分子とを含む溶液又は融液から前駆体を作製する前駆体作製工程と、
    前記前駆体を、水蒸気を含む雰囲気下において、前記第1の高分子のガラス転位点以上融点未満の温度で加熱し、前記高分子電解質構造体を得る水蒸気処理工程と
    を備えている。
    (2)前記水蒸気処理工程は、相対湿度が0.5%RH以上100%RH以下の雰囲気下において前記前駆体を加熱するものからなる。
    (3)前記高分子電解質構造体は、高分子電解質膜からなり、
    前記前駆体作製工程は、前記第2の高分子の配合量が0.05wt%以上50wt%以下である電解質膜前駆体を作製するものからなる。
  9. 前記水蒸気処理工程の後に、前記第2の高分子を酸化分解させる酸化剤を用いて、前記高分子電解質構造体から前記第2の高分子の全部又は一部を除去する除去工程をさらに備えた請求項8に記載の高分子電解質構造体の製造方法。
  10. 前記除去工程は、前記電解質構造体に含まれる前記第2の高分子の含有量が0.1wt%以下となるように、前記第2の高分子を除去するものからなる請求項9に記載の高分子電解質構造体の製造方法。
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