以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の第1の実施の形態における印刷システム1の全体概要の一例を示す図である。図1を参照して、印刷システム1は、複合機であるMFP(Multi Function Peripheral)100,100A,100Bと、サーバー300と、パーソナルコンピューター(PC)200,200A,200Bを含む。
MFP100,100A,100B、PC200,200A,200Bおよびサーバー300それぞれは、ネットワーク3に接続される。ネットワーク3は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワーク3は、LANに限らず、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Networks)を用いたネットワーク等であってもよい。さらに、ネットワーク3は、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)であってもよい。
MFP100,100A,100Bは、部署D1,D2,D3に対応して設けられる。部署D1~D3は、例えば同じ企業に属してもよいし、または異なる企業に属してもよい。MFP100は、部署D1に所属する複数のユーザーが共用し、MFP100Aは、部署D2に所属する複数のユーザーが共用し、MFP100Bは、部署D3に所属する複数のユーザーが共用する。ここでは、部署は、MFP100,100A,100Bそれぞれを共有する複数のユーザーの集合である。
MFP100,100A,100Bそれぞれには、印刷条件を制限する制限情報が設定される。印刷条件は、カラー/モノクロ種別、印刷面、用紙サイズ、用紙種類およびページレイアウト等の複数の項目を含み、複数の項目それぞれに設定値が定められる。例えば、カラー/モノクロ種別の項目に対する設定値は、カラー/モノクロを含み、印刷面の項目に対する設定値は、両面/片面を含み、用紙種類の項目に対する設定値は、普通紙/裏紙(裏面に画像が形成された用紙)を含み、ページレイアウトの項目に対する設定値は、1枚の用紙にNページ(Nは正の整数)分配置されていることを表すNin1を含む。制限情報は、印刷条件として禁止すべき条件(以下「禁止条件」という)、あるいは実行すべき条件(以下「推奨条件」という)を定める。具体的には、禁止条件は、印刷条件の複数の項目のうち一部の項目に設定されることが禁止される設定値を示し、推奨条件は、印刷条件の複数の項目のうち、一部の項目に設定されることが推奨される設定値を示す。
例えば、制限情報が、カラー/モノクロ種別の項目の設定値にカラーを禁止条件として設定している場合、カラー印刷が指示されても、カラー印刷が有効とならず、モノクロ印刷が有効となる。また、制限情報が、印刷面の項目の設定値に両面印刷を推奨条件として設定している場合、片面印刷が指示されても、片面印刷は有効とならず、両面印刷が有効となる。
以下の説明において、印刷条件が制限情報により許容されるとは、制限情報で定められた項目について、印刷条件の設定値が、禁止条件の設定値に該当せず、かつ推奨条件の設定値と相反しないことをいう。また、印刷条件が制限情報により許容されないとは、制限情報で定められた項目について、印刷条件の設定値が、禁止条件の設定値に該当する、あるいは推奨条件の設定値と相反することをいう。
なお、印刷条件の設定値で定まる印刷料金と、制限情報の設定値で定まる印刷料金との比較に基づいて、印刷条件の許容の是非が決定されてもよい。例えば、制限情報で定められた項目について、印刷条件の設定値が、禁止条件の設定値に該当しない場合であっても、印刷条件の設定値で定まる料金が、禁止条件の設定値で定まる料金よりも高い場合には、その印刷条件が許容されなくてもよい。また、制限情報で定められた項目について、印刷条件の設定値が、推奨条件の設定値と相反する場合であっても、印刷条件の設定値で定まる料金が、推奨条件の設定値で定まる料金よりも安い場合には、その印刷条件が許容されてもよい。
本例では、部署毎に制限情報が定められる。以下、部署毎に定められた制限情報をグループ制限情報という。また、各部署に対して定められたグループ制限情報が、当該部署に対応するMFPに設定される。すなわち、部署D1に対して定められたグループ制限情報がMFP100に設定され、部署D2に対して定められたグループ制限情報がMFP100Aに設定され、部署D3に対して定められたグループ制限情報がMFP100Bに設定される。MFP100,100A,100Bそれぞれは、少なくとも自装置に設定されたグループ制限情報で許容されている印刷条件で印刷を実行可能である。すなわち、MFP100は、部署D1のグループ制限情報で許容される印刷条件で印刷を実行可能であり、MFP100Aは、部署D2のグループ制限情報で許容される印刷条件で印刷を実行可能であり、MFP100Bは、部署D3のグループ制限情報で許容される印刷条件で印刷を実行可能である。
本例において、いずれかのユーザーが、他のユーザーに対する印刷を、MFP100,100A,100Bのいずれかに指示した場合MFP100,100A,100Bのうち指示された装置は、他のユーザーに対応する制限情報に基づいて印刷を実行する。例えば、部署D1に所属するユーザーが、部署D2に所属するユーザーに対する印刷を部署D1に配置されたMFP100に指示した場合、MFP100は、部署D2に対して定められたグループ制限情報に基づいて印刷を実行する。
サーバー300は、一般的なコンピューターであり、そのハードウェア構成は周知なのでここでは説明を繰り返さない。サーバー300には、会議情報が記憶される。会議情報は、開催予定の1以上の会議それぞれについて、開催日時を定めたスケジュール情報、および参加者を定めた参加者情報を含む。参加者情報は、会議に参加する予定の参加者の氏名および所属部署、ならびに各参加者の所属部署に対応するMFPを識別するための識別情報(以下、「装置識別情報」という)を含む。装置識別情報は、例えばMFPに割り当てられたネットワークアドレスである。ネットワークアドレスは、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスである。また、サーバー300には、部署D1~D3それぞれに対応する課金情報および上限値情報が記憶される。課金情報は、印刷の実行に対して課される金額(課金額)の一定期間単位(例えば月単位)の合計を表す。上限値情報は、一定期間単位(例えば月単位)の課金額の上限値を表す。
ネットワーク3には、部署D1,D2,D3それぞれに所属する複数のユーザーが使用する複数のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)が接続されている。図1においては、部署D1で使用されるPCとして、代表的に1つのPC200が示され、部署D2で使用されるPCとして、代表的に1つのPC200Aが示され、部署D3で使用されるPCとして、代表的に1つのPC200Bが示される。PC200,200A,200Bは、一般的なコンピューターであり、そのハードウェア構成は周知なのでここでは説明を繰り返さない。PC200,200A,200Bは、MFP100,100A,100Bおよびサーバー300と通信可能である。例えば、部署D1のユーザーが会議の主催者である場合、そのユーザーがPC200を操作して、サーバー300に会議情報を記憶させる。また、部署D1のユーザーが印刷を指示する場合、そのユーザーがPC200を操作して、MFP100に印刷指示を入力する。
MFP100,100A,100Bのハードウェア構成および機能は、基本的に同じである。したがって、以下の説明では特に言及しない限りMFP100を例に説明する。図2は、本実施の形態におけるMFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成装置として機能するMFP100は、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データに基づいて用紙等に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ125上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部130のプラテンガラス上に設定された所定の原稿読み取り位置まで搬送し、原稿読取部130により原稿に形成された画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ127上に排出する。原稿読取部130は、原稿読取位置に搬送されてきた原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を受光する光電変換素子とを含み、原稿のサイズに応じた原稿画像を走査する。光電変換素子は、受光した光を電気信号である画像データに変換して、画像形成部140に出力する。給紙部150は、給紙トレイに収納された用紙を画像形成部140に搬送する。
画像形成部140は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、原稿読取部130から入力される画像データにシェーディング補正などの各種のデータ処理を施した、データ処理後の画像データまたは、外部から受信された画像データに基づいて、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成し、画像を形成した用紙を排紙トレイ155に排出する。
メイン回路110は、MFP100の全体を制御するCPU(中央演算処理装置)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM113と、RAM114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、外部記憶装置117と、を含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
HDD115は、MFP100に対応する部署を識別するための識別情報としての部署識別情報と、MFP100に対応する部署のグループ制限情報とを関連付けて記憶する。本例では、MFP100のHDD115に部署D1の部署識別情報とグループ制限情報とが関連付けて記憶され、MFP100AのHDD115に部署D2の部署識別情報とグループ制限情報とが関連付けて記憶され、MFP100BのHDD115に部署D3の部署識別情報とグループ制限情報とが関連付けて記憶される。
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶するとともに、画像形成部140で印刷可能な印刷データに変換して、画像形成部140に出力する。これにより、画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータを用紙に画像を形成する。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
通信I/F部112は、ネットワーク3にMFP100を接続するためのインターフェースである。通信I/F部112は、TCP(Transmission Control Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワーク3に接続されたサーバー300,PC200,200A,200Bまたは他のMFP100A,100Bと通信する。
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる読取画像を一時的に記憶する。
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられる。操作パネル160は、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。なお、LCDに代えて、画像を表示する装置であれば、例えば、有機EL(electroluminescence)ディスプレイを用いることができる。
操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。タッチパネル165は、静電容量方式である。なお、タッチパネル165は、静電容量方式に限らず、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等の他の方式を用いることができる。
タッチパネル165は、その検出面が表示部161の上面または下面に表示部161に重畳して設けられる。ここでは、タッチパネル165の検出面のサイズと、表示部161の表示面のサイズとを同じにしている。このため、表示面の座標系と検出面の座標系は同じである。タッチパネル165は、ユーザーが、表示部161の表示面を指示する位置を検出面で検出し、検出した位置の座標をCPU111に出力する。表示面の座標系と検出面の座標系は同じなので、タッチパネル165が出力する座標を、表示面の座標に置き換えることができる。
ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。タッチパネル165は、表示部161の表示面中でユーザーにより指示された位置を検出する。ユーザーがMFP100を操作する場合は直立した姿勢となる場合が多いので、表示部161の表示面、タッチパネル165の操作面およびハードキー部167は、上方を向いて配置される。ユーザーが表示部161の表示面を容易に視認することができ、ユーザーが指で操作部163を容易に指示することができるようにするためである。
外部記憶装置117は、CPU111により制御され、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)118、または半導体メモリが装着される。本実施の形態においては、CPU111は、ROM113に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU111は、外部記憶装置117を制御して、CD-ROM118からCPU111が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM102に記憶し、実行するようにしてもよい。
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM118に限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がネットワーク3に接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD115に記憶する、または、ネットワーク3に接続されたコンピューターがプログラムをHDD115に書込みするようにして、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
以下、部署D1に所属するユーザーをユーザーAと呼び、部署D2に所属するユーザーをユーザーBと呼び、部署D3に所属するユーザーをユーザーCと呼ぶ。また、印刷指示が入力されるMFPを指示MFPと呼び、印刷を実行するMFPを実行MFPと呼ぶ。ここでは、ユーザーAが、印刷を指示する印刷指示者であり、MFP100が指示MFPである場合を例に説明する。具体的には、ユーザーAが原稿をMFP100にセットし、操作パネル160で、会議を指定し、かつ印刷条件を入力する。MFP100は、サーバー300から会議情報を取得し、操作パネル160にユーザーが入力する印刷条件と、印刷データとを印刷指示として受け付ける。この場合、印刷データは、原稿読取部130が原稿を読み取って得られる画像データである。
なお、ユーザーAがPC200を操作して、会議の指定と、印刷データの指定と、印刷条件の入力とをするようにしてもよい。この場合、PC200が、参加者情報と、印刷データおよび印刷条件を含む印刷指示とをMFP100に送信する。
図3は、第1の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図3が示す機能は、指示MFPとして機能する場合におけるMFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118に記憶された印刷プログラムを実行することにより、CPU111に形成される機能である。図3を参照して、CPU111は、参加者情報取得部51と、印刷指示受付部52と、制限情報取得部53と、印刷条件決定部54と、印刷部55と、課金情報更新部56と、上限値取得部57と、閲覧情報通知部58と、送信部59と、案内情報通知部60と、を含む。
参加者情報取得部51は、会議の参加者を定めた参加者情報を取得する。例えば、ユーザーAが、操作パネル160を操作して会議を指定すると、参加者情報取得部51は、通信I/F部112を制御して、指定された会議の会議情報の送信要求をサーバー300に送信する。サーバー300は、MFP100から送信された送信要求に応答して、指定された会議の会議情報をMFP100に送信するので、通信I/F部112は、サーバー300から送信された会議情報を受信する。参加者情報取得部51は、通信部I/F部112によって受信された会議情報から参加者情報を取得し、制限情報取得部53に出力する。
印刷指示受付部52は、原稿読取部130が原稿を読み取って得られた印刷データおよび操作パネル160にユーザーが入力した印刷条件を受け付ける。印刷指示受付部52は、受け付けた印刷条件を印刷条件決定部54に出力し、受け付けた印刷データを印刷部55および送信部59に出力する。以下、印刷指示受付部52が受け付けた印刷条件を指示印刷条件と呼ぶ。
印刷指示者は、指示印刷条件の少なくとも一部を特定印刷条件に指定することができる。特定印刷条件は、印刷条件の複数の項目の一部の項目の設定値を定めた項目制限情報を含む。項目制限情報が定める設定値は、制限情報によって制限されない。例えば、項目制限情報がカラー/モノクロ種別の項目に設定値としてカラーを設定している場合、制限情報がカラー/モノクロ種別の項目に禁止条件の設定値としてカラーを設定していても、カラー印刷が有効となる。また、特定印刷条件は、項目制限情報に加えて、処理対象である複数ページの一部に適用されることを定めた範囲指定情報を含んでもよい。例えば、項目制限情報がカラー/モノクロ種別の項目に設定値としてカラーを設定し、範囲指定情報が一部のページを指定し、制限情報がカラー/モノクロ種別の項目に禁止条件の設定値としてカラーを設定している場合、範囲指定情報が指定する一部の頁は項目制限情報で定められるカラー印刷が有効となり、他の頁は制限情報で許容されるモノクロ印刷が有効となる。
制限情報取得部53は、参加者情報取得部51から参加者情報が入力される。制限情報取得部53は、入力された参加者情報により特定される参加者に対して定められた制限情報を取得し、参加者を識別するための参加者識別情報と制限情報との組を印刷条件決定部54に出力する。本例では、制限情報取得部53は、参加者に対して定められた制限情報として、参加者の所属部署に対して定められたグループ制限情報を取得する。
上記のように、参加者情報は、参加者の所属部署と、その所属部署に対応するMFPの装置識別情報とを含む。また、参加者の所属部署のグループ制限情報は、装置識別情報によって特定されるMFPのHDD115に記憶されている。そこで、制限情報取得部53は、装置識別情報によって特定されるMFPからグループ制限情報を取得する。
具体的には、参加者の所属部署が、自装置(指示MFP)に対応する部署と異なる場合、制限情報取得部53は、通信I/F部112を制御して、装置識別情報によって特定されるMFPにグループ制限情報の送信要求を送信し、そのMFPから送信されたグループ制限情報を取得する。一方、参加者の所属部署が、自装置(指示MFP)に対応する部署である場合、制限情報取得部53は、自装置のHDD115からグループ制限情報を読み出して取得する。
例えば、参加者が、部署D2に所属するユーザーBと部署D3に所属するユーザーCとを含む場合、制限情報取得部53は、ユーザーB,Cとそれぞれ対応付けられた装置識別情報により特定されるMFP100A,100Bに、グループ制限情報の送信要求を送信する。MFP100A,100Bそれぞれは、送信要求に応答して、HDD115からグループ制限情報を読み出し、MFP100に送信するので、MFP100は、通信I/F部112を制御して、MFP100A,100Bそれぞれから送信されるグループ制限情報を受信する。制限情報取得部53は、MFP100Aから受信されるグループ制限情報を参加者であるユーザーBの制限情報として取得し、MFP100Bから受信されるグループ制限情報を参加者であるユーザーCの制限情報として取得する。一方、参加者が、ユーザーAを含む場合、制限情報取得部53は、自装置(MFP100)のHDD115からグループ制限情報を読み出し、読み出されたグループ制限情報を参加者であるユーザーAの制限情報として取得する。
なお、各部署のグループ制限情報が、サーバー300に記憶されていてもよい。その場合、制限情報取得部53は、参加者情報から各参加者が所属する部署を特定し、通信I/F部112を制御して、特定した部署を識別するための部署識別情報を含む送信要求をサーバー300に送信する。サーバー300は、送信要求に応答して、送信要求に含まれる部署識別情報で特定される部署のグループ制限情報をMFP100に送信するので、制限情報取得部53は、通信I/F部112を制御して、サーバー300から送信されるグループ制限情報を参加者の制限情報として受信する。
グループ制限情報の代わりに、またはグループ制限情報に加えて、ユーザー個人の制限情報として個人制限情報が設定されてもよい。個人制限情報は、例えば、そのユーザーの所属部署に対応するMFPまたはサーバー300に記憶される。制限情報取得部53は、参加者情報により特定される参加者に個人制限情報が設定されている場合に、参加者に対して定められた制限情報として、個人制限情報を取得する。具体的には、参加者が、自装置(指示MFP)に対応する部署と異なる部署に所属している場合、制限情報取得部53は、通信I/F部112を制御して、装置識別情報によって特定されるMFPに参加者の個人制限情報の送信要求を送信し、そのMFPから送信された個人制限情報を取得する。一方、参加者が、自装置(指示MFP)に対応する部署に所属している場合、制限情報取得部53は、自装置のHDD115から参加者の個人制限情報を読み出して取得する。個人制限情報により許容される条件は、そのユーザーが所属するグループのグループ制限情報でも許容されることが好ましい。すなわち、グループ制限情報により許容される条件のうちの一部が、個人制限情報により許容されることが好ましい。
上限値取得部57は、印刷指示者に対応する課金額の上限値を取得する。具体的には、上限値取得部57は、通信I/F部112を制御して、印刷指示者が所属する部署の部署識別情報を含む送信要求をサーバー300に送信する。サーバー300は、指示MFPから送信された送信要求に応答して、送信要求に含まれる部署識別情報で特定される部署に対して設定された上限値情報を指示MFPに送信するので、上限値取得部57は、通信I/F部112を制御してサーバー300から送信された上限値情報を受信する。上限値取得部57は、受信された上限値情報により定められる課金額の上限値(以下、「課金上限値」という)を、印刷条件決定部54に出力する。なお、上限値情報が月単位の課金額の上限値を表す場合に、上限値取得部57は、受信された上限値情報が表す上限値を1ヶ月の日数で除することによって得られる日割りの上限値を課金上限値としてもよい。
印刷条件決定部54は、印刷指示受付部52から指示印刷条件が入力され、制限情報取得部53から参加者識別情報と制限情報との組が入力され、上限値取得部57から課金上限値が入力される。印刷条件決定部54は、参加者それぞれについて、制限情報が印刷を禁止する制限を含むか否かを判断する。制限情報が印刷を禁止する制限を含む場合、印刷条件決定部54は、その参加者を識別するための参加者識別情報を閲覧情報通知部58に出力する。制限情報が印刷を禁止する制限を含まない場合、印刷条件決定部54は、入力された指示印刷条件および制限情報に基づいて、その参加者に対して実際に実行すべき実行印刷条件を決定する。
印刷条件決定部54は、指示印刷条件が参加者の制限情報、ここでは参加者の所属部署のグループ制限情報により許容されている場合、その参加者に対して、指示印刷条件を実行印刷条件に決定する。一方、印刷条件決定部54は、指示印刷条件の少なくとも一部が参加者の制限情報により許容されていない場合、その参加者に対して、指示印刷条件を制限情報によって許容されるように変更し、変更後の印刷条件を実行印刷条件に決定する。例えば、指示印刷条件のカラー/モノクロ種別の項目の設定値にカラーが設定されている場合であって、参加者の制限情報がカラー/モノクロ種別の項目の設定値にモノクロを推奨条件として設定している場合には、印刷条件決定部54は、実行印刷条件のカラー/モノクロ種別の項目の設定値としてカラーではなくモノクロを設定する。
ただし、印刷条件決定部54は、指示印刷条件が特定印刷条件を含む場合であって、参加者の制限情報で特定印刷条件が許容されていない場合、特定印刷条件を含む実行印刷条件と特定印刷条件を含まない仮実行印刷条件とを決定する。具体的には、印刷条件決定部54は、指示印刷条件の特定印刷条件で定められる項目に特定印刷条件で定められる設定値を設定し、特定印刷条件で定められる項目以外の項目であって、制限情報で定められる項目に制限情報で禁止されていない設定値、または、推奨される設定値を設定することにより実行印刷条件を決定する。印刷条件決定部54は、指示印刷条件の制限情報によって定められた項目に制限情報によって禁止されていない設定値、または、推奨される設定値に変更した印刷条件を仮実行印刷条件に決定する。
例えば、指示印刷条件のカラー/モノクロ種別の項目に設定値としてカラーが設定されており、かつ、印刷面の項目に設定値として片面が設定されており、参加者の制限情報がカラー/モノクロ種別の項目の設定値に推奨条件としてカラーを設定しており、かつ、印刷面の項目の設定値に推奨条件として両面を設定しており、特定印刷条件がカラー/モノクロ種別の項目の設定値にカラーを設定している場合を例に説明する。印刷条件決定部54は、カラー/モノクロ種別の項目については特定印刷条件で定められる設定値であるカラーを設定し、印刷面の項目については制限情報により定められる設定値である両面を設定した実行印刷条件を決定するとともに、カラー/モノクロ種別の項目については制限情報で定められる設定値であるモノクロを設定し、印刷面の項目については制限情報により定められる設定値である両面を設定した仮印刷条件を決定する。
特定印刷条件が範囲指定情報を含む場合、印刷条件決定部54は、処理対象の複数のページのうち特定印刷条件の範囲指定情報で指定されるページについては、特定印刷条件で定められる項目に特定印刷条件で定められる設定値を設定し、他のページについては、参加者の制限情報によって定められる項目に制限情報により定められる設定値を決定した印刷条件を実行印刷条件に決定する。
印刷条件決定部54は、参加者それぞれについて、自装置が実行印刷条件で印刷を実行可能であるか否かを判断し、実行可能である場合には、その参加者を識別するための参加者識別情報と、その参加者に対して決定した実行印刷条件との組を、印刷部55に出力し、実行できない場合には参加者識別情報と実行印刷条件との組を送信部59に出力する。例えば、実行印刷条件のカラー印刷を含む場合に、画像形成部140がカラー印刷機能を備えていれば、実行可能であると判断し、画像形成部140がモノクロ印刷機能のみを備えていれば、実行できないと判断する。あるいは、実行印刷条件が裏紙印刷を含む場合に、自装置の給紙部150に裏紙が収容されていれば、実行可能であると判断し、自装置の給紙部150に裏紙が収容されてなければ、実行できないと判断する。印刷条件決定部54は、参加者それぞれについて、参加者識別情報と実行印刷条件との組を、課金情報更新部56に出力する。指示印刷条件が特定印刷条件を含み、かつ特定印刷条件が参加者の制限情報により許容されていない場合、印刷条件決定部54は、実行印刷条件に加えて、その参加者に対して決定した仮実行印刷条件を、課金情報更新部56に出力する。
印刷部55は、印刷指示受付部52から印刷データが入力され、印刷条件決定部54から参加者識別情報と実行印刷条件との組が入力される。印刷条件決定部54から印刷部55に実行印刷条件が入力されるのは、印刷部55がその実行印刷条件で印刷を実行可能である場合に限られる。印刷部55は、画像形成部140を制御し、入力された参加者識別情報によって特定される参加者に対して、入力された実行印刷条件で印刷データの印刷を実行する。この場合、指示MFPであるMFP100が実行MFPとなる。なお、実行MFPが出力した印刷物がいずれの参加者に対するものであるか容易に判断するために、印刷部55は、例えば用紙の空白部分に、該当の参加者を識別するための参加者識別情報(例えば氏名)、あるいは該当の参加者の部署を識別するための部署識別情報を印刷してもよい。
参加者の制限情報が印刷の禁止を含む場合、その参加者については、参加者識別情報と実行印刷条件との組が印刷部55に入力されないので、印刷部55は印刷を実行しない。また、参加者の実行印刷条件で印刷を実行できない場合、その参加者については、参加者識別情報と実行印刷条件との組が印刷部55に入力されないので、印刷部55は印刷を実行しない。
課金情報更新部56は、参加者の制限情報が印刷の禁止を含む場合を除いて、印刷条件決定部54から参加者識別情報と実行印刷条件との組、または参加者識別情報と実行印刷条件と仮実行印刷条件との組が入力される。参加者識別情報と実行印刷条件との組が入力された場合、課金情報更新部56は、入力された実行印刷条件により定まる印刷料金で、入力された参加者識別情報により特定される参加者に対応する課金情報を更新する。本例では、課金情報更新部56は、各参加者の所属部署の課金情報を更新する。例えば、HDD115に、印刷条件と印刷料金とを関連付けた料金テーブルを記憶しておき、課金情報更新部56は、料金テーブルを参照して、参加者毎に実行印刷条件に応じた印刷料金を決定する。課金情報更新部56は、通信I/F部112を制御して、決定した各参加者の印刷料金をサーバー300に送信する。サーバー300は、指示MFPから送信された各参加者の印刷料金で、各参加者の所属部署の課金情報を更新する。
指示印刷条件が特定印刷条件を含み、かつ特定印刷条件が参加者の制限情報により許容されていない場合、参加者識別情報と実行印刷条件と仮実行印刷条件との組が課金情報更新部56に入力される。この場合、課金情報更新部56は、入力された実行印刷条件で定まる印刷料金を特別料金として決定し、入力された仮実行印刷条件で定まる印刷料金を通常料金として決定する。課金情報更新部56は、通常料金で、その参加者に対応する課金情報を更新し、特別料金と通常料金との差額(以下、「差分料金」という)で、印刷指示者に対応する課金情報を更新する。
なお、特定印刷条件が参加者の制限情報により許容されていない場合であって、範囲指定情報を含む場合、範囲指定情報で印刷指示者によって指定された指定部分の実行印刷条件は、特定印刷条件を含み、他の部分の実行印刷条件は、参加者の制限情報で許容される。この場合、課金情報更新部56は、他の部分の実行印刷条件で定まる印刷料金で参加者に対応する課金情報を更新し、指定部分の実行印刷条件で定まる印刷料金で印刷指示者に対応する課金情報を更新してもよい。また、指定部分について特別料金と通常料金とを算出することにより差分料金を決定し、差分料金を印刷指示者に対応する課金料金とし、指定部分および他の部分それぞれで算出された通常料金の和を参加者に対応する課金料金としてもよい。
特定印刷条件での印刷を実行することによって印刷指示者に対応する課金額が課金上限値を超える場合、印刷条件決定部54は、参加者それぞれの実行印刷条件のうち、特定印刷条件を含む実行印刷条件を、制限情報で許容されるように変更してもよい。この場合、差分料金が発生しないので、印刷指示者に対する課金額を抑えることができる。上限値取得部57が日割りの上限値を課金上限値として取得する場合には、印刷条件決定部54は、印刷指示者に対する1日単位の課金額が課金上限値を超える場合に、特定印刷条件を含む実行印刷条件を、制限情報で許容されるように変更してもよい。
参加者の制限情報が印刷の禁止を含む場合、その参加者については、参加者識別情報および実行印刷条件が課金情報更新部56に入力されない。そのため、その参加者に対して、課金情報更新部56は、課金情報を更新しない。
なお、各部署の課金情報が、その部署に対応するMFPのHDD115に記憶されていてもよい。その場合、課金情報更新部56は、各参加者の所属部署が自装置に対応する部署であるか否かを判断する。参加者の所属部署が自装置に対応する部署でない場合、その参加者に対する印刷料金を参加者の所属部署に対応するMFPに送信する。一方、参加者の所属部署が自装置に対応する部署である場合、その参加者に対する印刷料金で自装置に記憶される課金情報を更新する。
例えば、参加者が、部署D2に所属するユーザーBと、部署D3に所属するユーザーCとを含む場合、課金情報更新部56は、ユーザーBに対する印刷料金を部署D2に対応するMFP100Aに送信し、ユーザーCに対する印刷料金を部署D3に対応するMFP100Bに送信する。MFP100Aは、送信された印刷料金で、HDD115に記憶される部署D2の課金情報を更新し、MFP100Bは、送信された印刷料金で、HDD115に記憶される部署D3の課金情報を更新する。一方、参加者が、ユーザーAを含む場合、課金情報更新部56は、ユーザーAに対する印刷料金で、自装置のHDD115に記憶される部署D1の課金情報を更新する。
閲覧情報通知部58は、印刷条件決定部54から参加者識別情報が入力される。閲覧情報通知部58は、印刷指示受付部52が受け付けた印刷データを閲覧するための閲覧情報を参加者に通知する。例えば、印刷指示受付部52が受け付けた印刷データは、HDD115に記憶される。閲覧情報通知部58は、HDD115に記憶された印刷データのネットワークアドレス(例えば、URL(Uniform Resource Locator))を、入力された参加者識別情報で特定される参加者に閲覧情報として通知する。この場合、参加者情報取得部51が取得した参加者情報が、参加者それぞれのメールアドレスを含んでおり、閲覧情報通知部58は、入力された参加者識別情報によって特定される参加者のメールアドレスを参加者情報から取得し、通信I/F部112を制御して、取得したアドレスに閲覧情報を送信する。
例えば、参加者であるユーザーBの制限情報が禁止条件として印刷の禁止を含む場合、指示MFPであるMFP100は、ユーザーBのメールアドレスに、MFP100のネットワークアドレスを含む閲覧情報を送信する。ユーザーBは、例えば、PC200Aに閲覧情報を受信させる場合、PC200を操作して受信された閲覧情報により示されるネットワークアドレスにアクセスすることにより、MFP100のHDD115に記憶された印刷データを閲覧することができる。
なお、印刷データがサーバー300に記憶され、閲覧情報通知部58が、閲覧情報としてサーバー300に記憶された印刷データのネットワークアドレスを参加者に通知してもよい。あるいは、閲覧情報通知部58が、印刷データのネットワークアドレスを参加者に送信する代わりに、印刷データ自体を閲覧情報として参加者に送信してもよい。
送信部59は、印刷指示受付部52から印刷データが入力され、印刷条件決定部54から参加者識別情報と実行印刷条件との組が入力される。印刷条件決定部54から送信部59に参加者識別情報と実行印刷条件との組が入力されるのは、自装置がその実行印刷条件で印刷を実行できない場合に限られる。そこで、送信部59は、印刷データと実行印刷条件との組を、参加者識別情報によって特定される参加者に対応するMFPに送信する。
本例において、参加者に対応するMFPは、参加者が所属する部署に対応するMFPである。送信部59は、参加者情報取得部51が取得した参加者情報から、参加者識別情報によって特定される参加者に対応する装置識別情報を取得し、通信I/F部112を制御して、取得した装置識別情報によって特定されるMFPに、印刷データおよび実行印刷条件を送信する。また、送信部59は、入力された参加者識別情報と取得した装置識別情報との組を案内情報通知部60に出力する。
例えば、指示MFPであるMFP100は、参加者であるユーザーBの実行印刷条件で印刷を実行することができない場合、MFP100Aに印刷データとユーザーBの実行印刷条件との組を送信する。実行MFPであるMFP100Aは、MFP100から送信された印刷データおよび実行印刷条件を受信し、HDD115に記憶する。
案内情報通知部60は、送信部59から参加者識別情報と装置識別情報との組が入力される。入力される参加者識別情報は、印刷部55が実行できない実行印刷条件に対応する参加者を表し、入力される装置識別情報は、その参加者に対応するMPFであって印刷データおよび実行印刷条件の送信先である実行MFPを表す。案内情報通知部60は、いずれかの参加者に対して自装置では印刷を実行できない場合、その参加者に、他のMPFによる印刷の実行を案内する案内情報を通知する。具体的には、案内情報通知部60は、入力された参加者識別情報によって特定される参加者に、入力された装置識別情報で特定されるMFPによる印刷の実行を案内する案内情報を通知する。例えば、参加者情報取得部51が取得した参加者情報が、参加者それぞれのメールアドレスを含む場合、案内情報通知部60は、入力された参加者識別情報によって特定される参加者のメールアドレスを参加者情報から取得し、通信I/F部112を制御して、取得したアドレスに案内情報を送信する。なお、案内情報が、実行印刷条件で印刷データを印刷するためのMFPの操作手順を含んでいてもよい。
例えば、指示MFPであるMFP100が、参加者であるユーザーBの実行印刷条件で印刷を実行することができない場合、MFP100は、ユーザーBのメールアドレスに、MFP100Aで印刷を実行することを案内する案内情報を送信する。ユーザーBは、PC200Aにより案内情報を受信し、受信した案内情報に基づいて、MFP100Aで印刷を実行する。この場合、MFP100AのHDD115には、MFP100から送信された印刷データおよび実行印刷条件が記憶されているので、MFP100Aは、記憶されている実行印刷条件で印刷データの印刷を実行する。この場合、参加者に対応するMFPが実行MFPとなる。
本例において、ユーザーBの実行印刷条件は、ユーザーBの制限情報(部署D2のグループ制限情報)で許容されるように決定されており、MFP100Aは、ユーザーBの制限情報により許容される印刷条件で印刷を実行可能である。したがって、MFP100がユーザーBの実行印刷条件で印刷を実行できない場合であっても、MFP100Aは、MFP100から送信されるユーザーBの実行印刷条件で印刷を実行することができる。同様に、MFP100がユーザーCの実行印刷条件で印刷を実行できない場合であっても、MFP100Bは、MFP100から送信されるユーザーCの実行印刷条件で印刷を実行することができる。なお、参加者が実行MFPに印刷を実行させる代わりに、指示MFPが印刷の実行指示を実行MFPに送信し、実行MFPが指示MFPから送信された実行指示に応答して自動的に印刷を実行してもよい。その場合、案内情報として、対応するMFPにより印刷が実行されたことが該当の参加者に通知される。
指示MFPから送信された印刷データの印刷を参加者に対応するMFPが実行する場合、すなわち、実行MFPが指示MFPと異なる場合、該当の参加者に対して、指示MPFが課金情報を更新する代わりに、実行MFPが課金情報を更新してもよい。その場合、実行MFPは、指示MFPから送信された実行印刷条件により定まる印刷料金で、対応部署の課金情報を更新する。例えば、指示MFPであるMFP100から実行MFPであるMFP100Aに印刷データと実行印刷条件との組が送信された場合、MFP100Aが、送信された実行印刷条件で定まる印刷料金で、部署D2に対応する課金情報を更新する。
図4は、グループ制限情報、実行印刷条件および印刷料金の第1の例を示す図である。ここでは、印刷指示者がユーザーAであり、指示MFPがMFP100であり、かつ指示印刷条件がカラー印刷および片面印刷を含む場合の例を説明する。なお、MFP100は、カラー印刷、モノクロ印刷、片面印刷および両面印刷をそれぞれ実行可能であるとする。また、指示印刷条件は特定印刷条件を含まないとする。
図4を参照して、ユーザーAが所属する部署D1のグループ制限情報は、禁止条件としてカラー印刷を含み、推奨条件として片面印刷を含む。この場合、指示印刷条件のうちのカラー印刷が、部署D1のグループ制限情報の禁止条件に該当する。そのため、印刷条件決定部54は、指示印刷条件のカラー印刷をモノクロ印刷に変更し、変更後の印刷条件をユーザーAの実行印刷条件に決定する。ユーザーAの実行印刷条件により定まる印刷料金は、150円である。MFP100は、モノクロ印刷および片面印刷を実行可能であるので、印刷部55が、決定された実行印刷条件で印刷を実行する。
ユーザーBが所属する部署D2のグループ制限情報は、推奨条件としてカラー印刷および片面印刷を含む。この場合、指示印刷条件が、部署D2のグループ制限情報によって許容されている。そのため、印刷条件決定部54は、指示印刷条件をユーザーBの実行印刷条件に決定する。ユーザーBの実行印刷条件により定まる印刷料金は、300円である。MFP100は、カラー印刷および片面印刷を実行可能であるので、印刷部55が、決定された実行印刷条件で印刷を実行する。
ユーザーCが所属する部署D3のグループ制限情報は、推奨条件としてモノクロ印刷を含み、禁止条件として片面印刷を含む。この場合、指示印刷条件のうちのカラー印刷が、部署D3のグループ制限情報の推奨条件と相反し、指示印刷条件のうちの片面印刷が、部署D3のグループ制限情報の禁止条件に該当する。そのため印刷条件決定部54は、指示印刷条件のカラー印刷をモノクロ印刷に変更するとともに、片面印刷を両面印刷に変更し、変更後の印刷条件を、ユーザーCの実行印刷条件に決定する。ユーザーCの実行印刷条件により定まる印刷料金は、100円である。MFP100は、モノクロ印刷および両面印刷を実行可能であるので、印刷部55が、決定された実行印刷条件で印刷を実行する。
図5は、図4の実行印刷条件で印刷が実行された場合の部署D1~D3それぞれに対応する課金情報の更新例を示す図である。本例において、課金情報は、1ヶ月単位の累計課金額を示す。図5を参照して、部署D1~D3それぞれの更新前の累計課金額は、3000円、1000円および2000円である。図4の実行印刷条件で印刷が実行されると、課金情報更新部56は、部署D1~D3それぞれに対応する累計課金額に、150円、300円および100円がそれぞれ加算されるように、部署D1~D3それぞれに対応する課金情報を更新する。それにより、部署D1~D3それぞれの更新後の累計課金額は、3150円、1300円および2100円となる。
図6は、グループ制限情報、実行印刷条件および印刷料金の第2の例を示す図である。図6の例が図4の例と異なる点は、部署D3の制限情報が、印刷の禁止を含む点である。この場合、印刷条件決定部54は、ユーザーCの実行印刷条件を決定せず、印刷部55は、ユーザーCに対して印刷を実行しない。また、ユーザーCに対する印刷料金は発生せず、課金情報更新部56は、部署D3に対応する課金情報を更新しない。
図7は、グループ制限情報、実行印刷条件および印刷料金の第3の例を示す図である。図7の例が図4の例と異なる点は、指示MFPであるMFP100が、カラー印刷を実行することができない点である。この場合、ユーザーBの実行印刷条件は、カラー印刷を含むので、印刷部55は、ユーザーBの実行印刷条件で印刷を実行することができない。そのため、送信部59が、印刷データおよびユーザーBの実行印刷条件をMFP100Aに送信し、案内情報通知部60が、ユーザーBに案内情報を通知する。ユーザーBは、MFP100Aに印刷を実行させる。すなわち、MFP100Aが実行MFPとなる。
図8は、グループ制限情報、実行印刷条件および印刷料金の第4の例を示す図である。図8の例が図4の例と異なる点は、指示印刷条件のカラー印刷が、特定印刷条件である点である。この場合、印刷条件決定部54は、カラー印刷を含むようにユーザーA~Cそれぞれの実行印刷条件を決定する。また、カラー印刷は、ユーザーA,Cの制限情報で許容されていないので、印刷条件決定部54は、ユーザーA,Cそれぞれの制限情報で許容されるようにユーザーA,Cそれぞれの仮実行印刷条件を決定する。また、課金情報更新部56は、ユーザーA,Cに対して、実行印刷条件で定まる特別料金を決定するとともに仮実行印刷条件で定まる通常料金を決定し、さらに特別料金と通常料金との差額である差分料金を決定する。具体的には、ユーザーAの特別料金は300円であり、通常料金は150円である。そのため、ユーザーAの差分料金は150円である。また、ユーザーCの特別料金は250円であり、通常料金は100円である。そのため、ユーザーCの差分料金は150円である。
図9は、図8の実行印刷条件で印刷が実行された場合の部署D1~D3それぞれに対応する課金情報の更新例を示す図である。図9の例が図5の例と異なる点は、印刷指示者であるユーザーAの所属部署D1に対応する累計課金額に、ユーザーAの通常料金(150円)に加えて、ユーザーAの特別料金(150円)およびユーザーCの特別料金(150円)が加算される点である。このように、印刷指示者が、特定印刷条件を含む指示印刷条件を指示MFPに入力した場合、参加者それぞれに対して、特定印刷条件を含む実行印刷条件で印刷を実行することができる。参加者の制限情報で特定印刷条件が許容されていない場合には、特定印刷条件を含む実行印刷条件で印刷を実行する場合の特別料金と、制限情報により許容される仮実行印刷条件で印刷を実行する場合の通常料金との差額(差分料金)を、印刷指示者(本例では、印刷指示者の所属部署)が負担する。
なお、差分料金が印刷指示者の累計課金額に加算されることによって印刷指示者の累計課金額が課金上限値を超える場合には、参加者の実行印刷条件が制限情報で許容されるように変更されてもよい。例えば、図9の例において、印刷指示者の課金上限値が3450円である場合、ユーザーA,Cの特別料金が加算されることによって部署D1の累計課金額が課金上限値を超える。この場合、ユーザーA,Cに対して、特定印刷条件のカラー印刷ではなく、制限情報により許容されるモノクロ印刷を含むようにユーザーA,Cの実行印刷条件が変更される。これにより、印刷指示者の累計課金額に差分料金が加算されないので、部署D1の累計課金額が課金上限値以下に抑えられる。
また、特定印刷条件が複数であり、その複数の特定印刷条件に優先順位が付されていてもよい。その場合、印刷条件決定部54が、印刷指示者の累計課金額が課金上限値を超えないように、優先順位に従って複数の特定印刷条件から1以上の特定印刷条件を選択し、選択した特定印刷条件を実行印刷条件に決定する。例えば、指示印刷条件が、特定印刷条件としてカラー印刷およびフルページ印刷(1in1)を含み、カラー印刷の優先順位が1位であり、フルページ印刷の優先順位が2位であるとする。印刷指示者の累計課金額が課金上限値に達するまでの余裕が比較的大きい場合には、参加者それぞれに対して、カラー印刷およびフルページ印刷の両方を実行印刷条件に決定する。一方、印刷指示者の累計課金額が課金上限値に達するまでの余裕が比較的小さい場合には、参加者それぞれに対して、優先順位が高いカラー印刷のみを実行印刷条件に決定する。このように、複数の特定印刷条件のうち優先順位が高い条件を優先的に実行印刷条件に決定することにより、印刷指示者に対応する課金額が上限値を超えることを防止しつつ、優先順位に従って選択された特定印刷条件で参加者に印刷を実行することができる。また、印刷指示者が複数の参加者から1以上の参加者を指定し、指定された参加者に対してのみ特定印刷条件が反映されるようにしてもよい。
また、差分料金が印刷指示者の累計課金額に加算されることによって印刷指示者の累計課金額が課金上限値を超える場合、印刷条件決定部54は、印刷指示者に対して決定される実行印刷条件のうち特定印刷条件以外の部分を印刷料金が安くなるように変更してもよい。例えば図8の例において、印刷指示者であるユーザーAに対して決定される実行印刷条件が、特定印刷条件以外の部分としてフルページ印刷を含む場合、印刷条件決定部54は、ユーザーAに対する印刷料金が安くなるように、実行印刷条件のフルページ印刷を2in1による印刷に変更する。これにより、印刷指示者が指定した特定印刷条件で参加者に印刷を実行することができ、かつ印刷指示者に対する実行印刷条件を変更することにより、印刷指示者に対応する課金額が上限値を超えることを防止することができる。また、特定印刷条件が範囲指定情報を含む場合には、範囲指定情報が指定する頁以外の頁について、印刷料金が安くなるように実行印刷条件が変更されてもよい。
図10は、第1の実施の形態における印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。印刷処理は、指示MFPとして機能するMFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118に記憶された印刷プログラムを実行することにより、CPU11により実行される処理である。以下、印刷指示者が所属する部署を自部署と呼び、印刷指示者が所属する部署と異なる部署を他部署と呼ぶ。
図10を参照して、CPU111は、印刷指示者による印刷指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。例えば、ユーザーAが印刷指示者であり、MFP100が指示MFPである場合、ユーザーAがMFP100に原稿をセットし、操作パネル160で、会議を指定し印刷条件を入力することにより、MFP100が、原稿読取部130が原稿を読み取って得られる印刷データおよび操作パネル160にユーザーAが入力した印刷条件を印刷指示として受け付ける。印刷指示を受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、印刷指示を受け付けたならば(ステップS01でYES)、処理をステップS02に進める。
ステップS02においては、指定された会議の会議情報の送信要求をサーバー300に送信し、処理をステップS03に進める。
ステップS03においては、サーバー300から送信された参加者情報を取得し、処理をステップS04に進める。ステップS04においては、参加者情報に基づいて、1以上の参加者を特定し、処理をステップS05に進める。ステップS05においては、特定した参加者から一の参加者を選択し、処理をステップS06に進める。
ステップS06においては、該当の参加者(ステップS5で選択した参加者)が他部署に所属しているか否かを判断する。具体的には、参加者情報から該当の参加者の所属部署を特定し、特定した部署が、HDD115に記憶される部署識別情報によって特定される部署と一致するか否かを判断する。この場合、部署識別情報によって特定される部署が自部署に該当するので、参加者の所属部署が部署識別情報によって特定される部署と一致していれば、その参加者は自部署に所属しており、そうでなければその参加者は他部署に所属している。該当の参加者が他部署に所属しているならば、処理をステップS07に進めるが、そうでなければ処理をステップS09に進める。
ステップS07においては、通信I/F部112を制御して、該当の参加者が所属する他部署に対応するMFPにグループ制限情報の送信要求を送信し、処理をステップS08に進める。具体的には、参加者情報から該当の参加者が所属する他部署の装置識別情報を取得し、取得した装置識別情報によって特定されるMFPに、グループ制限情報の送信要求を送信する。ステップS08においては、他部署に対応するMFPから送信されたグループ制限情報を該当の参加者の制限情報として取得し、処理をステップS10に進める。なお、該当の参加者に個人制限情報が設定されている場合には、グループ制限情報に代えて、該当の参加者の個人情報を他部署に対応するMFPから取得する。
ステップS09においては、HDD115に記憶される自部署のグループ制限情報を読み出し、読み出したグループ制限情報を該当の参加者の制限情報として取得し、処理をステップS10に進める。なお、該当の参加者に個人制限情報が設定されている場合には、グループ制限情報に代えて、該当の参加者の個人情報をHDD115から読み出す。ステップS10においては、該当の参加者の制限情報が印刷の禁止を含むか否かを判断する。該当の参加者の制限情報が印刷の禁止を含むならば、処理をステップS11に進めるが、そうでなければ処理をステップS12に進める。ステップS11においては、実行印刷条件決定処理を行い、処理をステップS13に進める。実行印刷条件決定処理の詳細については後述するが、該当の参加者の実行印刷条件および印刷料金を決定する処理である。ステップS12においては、閲覧通知設定を行い、処理をステップS13に進める。閲覧通知設定が行われる場合の処理については後述するが、該当の参加者に閲覧情報が通知される。
ステップS13においては、ステップS04で特定した参加者のうち、ステップS05で選択していない他の参加者がいるか否かを判断する。他の参加者がいるならば処理をステップS05に戻し、そうでなければ処理をステップS14に進める。
ステップS14においては、ステップS11で決定した参加者それぞれの実行印刷条件で印刷が実行された場合の印刷指示者の累計課金額を暫定累計課金額として算出し、処理をステップS15に進める。具体的には、通信I/F部112を制御して、印刷指示者が所属する部署の課金情報の送信要求をサーバー300に送信し、サーバー300から送信された課金情報が表す印刷指示者の現在の累計課金額を取得する。印刷指示者が参加者である場合には、印刷指示者に対して決定された実行印刷条件で定まる印刷料金を、印刷指示者の現在の累計課金額に加算する。また、指示印刷条件が特定印刷条件を含み、かつ特定印刷条件が参加者の制限情報で許容されていない場合、参加者の特別料金と通常料金との差額である差分料金を、印刷指示者の現在の累計課金額に加算する。このようにして、印刷指示者の現在の累計課金額、およびステップS11で決定した参加者それぞれの実行印刷条件に基づいて、暫定累計課金額が算出される。
ステップS15においては、印刷指示者の課金上限値を取得し、処理をステップS16に進める。具体的には、通信I/F部112を制御して、印刷指示者が所属する部署の上限値情報の送信要求をサーバー300に送信し、サーバー300から送信された上限値情報により定められる課金上限値を取得する。
ステップS16においては、ステップS14で算出した印刷指示者の暫定累計課金額が、ステップS15で取得した課金上限値を超えるか否かを判断する。暫定累計課金額が課金上限値を超えるならば、処理をステップS17に進めるが、そうでなければ処理をステップS18に進める。ステップS17においては、実行印刷条件変更処理を行い、処理をステップS18に進める。実行印刷条件変更処理の詳細については後述するが、印刷指示者の累計課金額が課金上限値を超えないように、ステップS11で決定した実行印刷条件を変更する処理である。ステップS18においては、印刷実行処理を行い、処理をステップS19に進める。印刷実行処理の詳細については後述するが、参加者それぞれの実行印刷条件に基づいて印刷を実行する処理である。なお、ステップS10でYESの場合、その印刷者に対して印刷は実行されない。ステップS19においては、参加者それぞれの実行印刷条件で定まる印刷料金で課金情報を更新し、処理を終了する。
図11は、実行印刷条件決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。実行印刷条件決定処理は、図10に示した印刷処理のステップS11において実行される処理である。図11を参照して、CPU111は、該当の参加者(図10のステップS5で選択した参加者)の制限情報で許容されるようにその参加者の実行印刷条件を決定する(ステップS21)。決定した実行印刷条件を、該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理をステップS22に進める。ステップS22においては、図10のステップS01で受け付けた指示印刷条件が特定印刷条件を含むか否かを判断する。指示印刷条件が特定印刷条件を含むならば、処理をステップS23に進めるが、そうでなければ処理をステップS29に進める。
ステップS23においては、ステップS21で決定した実行印刷条件を仮実行印刷条件に決定し、処理をステップS24に進める。ステップS24においては、特定印刷条件を含むようにステップS21で決定した実行印刷条件を変更し、処理をステップS25に進める。具体的には、RAM114またはHDD115に該当の参加者と対応付けて記憶される実行印刷条件のうち、特定印刷条件で定められる項目を特定印刷条件で定められる設定値に書き換える。
ステップS25においては、特定印刷条件が該当の参加者の制限情報で許容されているか否かを判断する。特定印刷条件が制限情報で許容されているならば、処理をステップS29に進めるが、そうでなければ処理をステップS26に進める。ステップS26においては、予め記憶された料金テーブルを参照して、ステップS24における変更後の実行印刷条件に対応する印刷料金を特別料金として決定する。決定した特別料金を該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理をステップS27に進める。
ステップS27においては、予め記憶された料金テーブルを参照して、ステップS23で決定した仮実行印刷条件に対応する印刷料金を通常料金として決定する。決定した通常料金を該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理をステップS28に進める。ステップS28においては、ステップS25で決定した特別料金とステップS27で決定した通常料金との差額を差分料金として決定する。決定した差分料金を該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理を終了する。
ステップS29においては、予め記憶された料金テーブルを参照して、ステップS21で決定した実行印刷条件またはステップS24における変更後の実行印刷条件で定まる印刷料金を決定する。すなわち、RAM114またはHDD115に該当の参加者と対応付けて記憶されている実行印刷条件で定まる印刷料金を決定する。決定した印刷料金を該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理を終了する。
図11の実行印刷条件決定処理では、参加者それぞれについて、実行印刷条件および印刷料金が決定され、決定された実行印刷条件および印刷料金が参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶される。記憶された実行印刷条件に基づいて、図10のステップS18の印刷実行処理が行われる。また、記憶された印刷料金に基づいて、図10のステップS19において、参加者それぞれに対応する課金情報が更新される。
図12は、実行印刷条件変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。実行印刷条件変更処理は、図10に示した印刷処理のステップS17において実行される処理である。図12を参照して、CPU111は、図10のステップS04で特定した1以上の参加者から一の参加者を選択し、処理をステップS32に進める(ステップS31)。ステップS32においては、該当の参加者(ステップS31で選択した参加者)の実行印刷条件が、その参加者の制限情報で許容されていない特定印刷条件(以下、「制限外条件」という)を含むか否かを判断する。具体的には、図11のステップS24でNOの場合、その参加者の実行印刷条件が制限外条件を含む。該当の参加者の実行印刷条件が制限外条件を含むならば、処理をステップS33に進めるが、そうでなければ処理をステップS35に進める。
ステップS33においては、該当の参加者の実行印刷条件を制限情報で許容されるように変更し、処理をステップS34に進める。具体的には、該当の参加者と対応付けて記憶される実行印刷条件を、該当の参加者の制限情報で許容されるように書き換える。この場合、変更後の実行印刷条件は、図11のステップS26で決定した仮実行印刷条件と同じになる。ステップS34においては、変更後の実行印刷条件と対応するように、該当の参加者の印刷料金を変更し、処理をステップS35に進める。具体的には、該当の参加者と対応付けて記憶される特別料金、通常料金および差分料金を、変更後の実行印刷条件に対応する印刷料金に書き換える。
ステップS35においては、ステップS31で選択していない他の参加者がいるか否かを判断する。他の参加者がいるならば処理をステップS31に戻し、そうでなければ処理を終了する。これにより、参加者それぞれについて、実行印刷条件から制限外条件から除かれ、印刷指示者への課金額が低減される。したがって、印刷指示者の累計課金額が課金上限値を超えることが防止される。
図13は、印刷実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。印刷実行処理は、図10に示した印刷処理のステップS18において実行される処理である。図13を参照して、CPU111は、図10のステップS04で特定した1以上の参加者から一の参加者を選択し、処理をステップS42に進める(ステップS41)。ステップS42においては、該当の参加者(ステップS41で選択した参加者)に対して閲覧通知設定が行われているか否かを判断する。上記のように、参加者の制限情報が印刷の禁止を含む場合、その参加者に対して閲覧通知設定が行われる(図10のステップS12)。該当の参加者に対して閲覧通知設定が行われているならば、処理をステップS43に進めるが、そうでなければ処理をステップS44に進める。
ステップS43においては、該当の参加者に閲覧情報を通知し、処理をステップS44に進める。例えば、通信I/F部112を制御して、該当の参加者のメールアドレスに、HDD115に記憶された印刷データのネットワークアドレスを含む閲覧情報を送信する。ステップS44においては、該当の参加者の実行印刷条件で自装置が印刷を実行可能であるか否かを判断する。ここで、該当の参加者の実行印刷条件とは、RAM114またはHDD115に該当の参加者と対応付けて記憶されている実行印刷条件をいう。
該当の参加者の実行印刷条件で印刷を実行可能であるならば、処理をステップS45に進めるが、そうでなければ処理をステップS46に進める。ステップS45においては、画像形成部140を制御して、該当の参加者の実行印刷条件で印刷を実行し、処理をステップS48に進める。ステップS46においては、通信I/F部112を制御して、図10のステップS01で受け付けた印刷データおよび該当の参加者の実行印刷条件を、該当の参加者に対応するMPFに送信し、処理をステップS47に進める。この場合、図10のステップS03で取得した参加者情報から、該当の参加者に対応付けられた装置識別情報を取得し、取得した装置識別情報で特定されるMFPに、印刷データおよび実行印刷条件を送信する。
ステップS47においては、ステップS47で印刷データおよび実行印刷条件を送信した先のMFPによって印刷を実行することを案内する案内情報を、該当の参加者に通知し、処理をステップS48に進める。ステップS48においては、ステップS41で選択していない他の参加者がいるか否かを判断する。他の参加者がいるならば処理をステップS41に戻し、そうでなければ処理を終了する。
以上説明したように第1の実施の形態に係るMFP100,100A,100Bは、参加者の制限情報に基づいて実行印刷条件を決定し、決定した実行印刷条件で印刷データの印刷を実行し、実行印刷条件により定まる印刷料金で参加者に対応する課金情報を更新する。これにより、参加者に適した印刷条件で印刷を実行することができ、かつ参加者の制限情報に適合した印刷料金をその参加者に課金することができる。
また、MFP100,100A,100Bは、参加者の実行印刷条件での印刷を自装置で実行不可能な場合に、印刷データおよび実行印刷条件をその参加者に対応する他のMFPに送信し、他のMFPで印刷を実行させることができる。これにより、他の参加者に対する印刷を確実に実行することができる。
また、MFP100,100A,100Bは、制限情報が印刷を禁止することを含む場合、印刷データを閲覧するための閲覧情報を参加者に通知する。これにより、参加者が閲覧情報に基づいて印刷データを閲覧することができるので、参加者の制限情報に従って参加者への印刷を禁止し、かつ参加者の制限情報に適合して参加者への課金をなくすことができる。
また、MFP100,100A,100Bは、印刷条件が特定印刷条件を含む場合、特定印刷条件を含むように実行印刷条件を決定し、特定印刷条件が制限情報で許容されていない場合、制限情報で許容される仮実行印刷条件により定まる通常料金で参加者の課金情報を更新し、実行印刷条件により定まる特別料金と通常料金との差額で、印刷指示者の課金情報を更新する。これにより、印刷指示者が指定した特定印刷条件が制限情報によって許容されていない場合でも、特定印刷条件を含む実行印刷条件で参加者に印刷を実行することができる。それにより、印刷指示者が要求する印刷条件を参加者への印刷に反映させることができる。また、実行印刷条件が制限情報によって許容されていない場合には、実行印刷条件で定まる印刷料金のうち、制限情報で許容される仮実行印刷条件により定まる印刷料金のみが参加者に課され、超過分の料金は印刷指示者に課される。それにより、参加者の制限情報に適合した印刷料金を維持しつつ印刷指示者の要求する印刷条件で画像を形成することができる。
また、MFP100,100A,100Bは、特別料金と通常料金との差額で印刷指示者の課金情報を更新しても印刷指示者の課金額が予め定められた上限値を超えない場合、特定印刷条件を含むように実行印刷条件を決定し、特別料金と通常料金との差額で印刷指示者の課金情報が更新されると印刷指示者の課金額が上限値を超える場合、制限情報で許容されるように実行印刷条件を決定する。これにより、印刷指示者の課金額が上限値を超えることが防止される。
また、MFP100,100A,100Bは、参加者の制限情報として、参加者が所属する部署のグループ制限情報を取得する。これにより、参加者それぞれの印刷条件をグループ単位で管理することができる。また、参加者に対して個人制限情報が設定されている場合には、グループ制限情報に代えて参加者の個人制限情報を取得する。これにより、グループ単位で印刷条件を管理しつつ、個人単位でも印刷条件を管理することができる。
また、印刷システムはMFP100,100A,100Bを含み、MFP100,100A,100Bそれぞれは、印刷条件を制限する制限情報を登録する登録装置である。MFP100,100A,100Bそれぞれは、複数の部署のいずれかに配置されている。ユーザーは、複数の部署のいずれかに所属する。したがって、ユーザーと登録装置とは、関連付けられている。MFP100,100A,100Bそれぞれは、指示装置、実行装置、更新装置になり得る。MFP100,100A,100Bのうち指示装置が、会議の参加者を定めた参加者情報を取得し、印刷指示者により入力された印刷データおよび印刷条件を受け付けると、参加者に対応する登録装置から制限情報を取得し、印刷条件および制限情報に基づいて、参加者に対して実際に実行すべき実行印刷条件を決定する。そして、MFP100,100A,100Bのうち実行装置が、指示装置により決定された実行印刷条件で印刷データの印刷を実行する。さらに、MFP100,100A,100Bのうち更新装置が、指示装置であるMFP100により決定された実行印刷条件により定まる印刷料金で、参加者に対応する課金額を示す課金情報を更新する。このように、印刷システムのMFP100,100A,100Bが相互に連携して動作することにより、参加者に対応する制限情報に基づいて決定された実行印刷条件で、印刷データの印刷が実行され、かつその実行印刷条件により定まる印刷料金で参加者に対応する課金情報が更新される。これにより、参加者の制限情報に適合した印刷条件で印刷を実行することができ、かつ参加者の制限情報に適合した料金を参加者に課金することができる。
<第1の実施の形態の第1の変形例>
図14は、第1の実施の形態の第1の変形例におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図14が示す機能は、図3に示した機能と同様に、指示MFPとして機能する場合におけるMFP100が備えるCPU111に形成される機能である。図14を参照して、第1の実施の形態の第1の変形例におけるCPU111が有する機能が図3に示した機能と異なる点は、印刷条件決定部54が印刷条件決定部54Aに変更された点、送信部59および案内情報通知部60が削除された点である。
印刷条件決定部54Aは、自装置が印刷を実行可能な範囲内で、参加者毎に実行印刷条件を決定する。具体的には、印刷条件決定部54Aは、第1の実施の形態における印刷条件決定部54と同様にして、参加者それぞれについて実行印刷条件を決定するが、自装置がその実行印刷条件で印刷を実行できない場合に、決定した実行印刷条件を自装置が実行可能な範囲内に変更する。例えば、決定した実行印刷条件のカラー/モノクロ種別の項目の設定値にカラーが設定されている場合において、画像形成部140がモノクロ印刷のみを実行可能であれば、実行印刷条件のカラー/モノクロ種別の項目の設定値をモノクロに変更する。
図15は、第1の実施の形態の第1の変形例における印刷実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。図15を参照して、第1の実施の形態の第1の変形例における印刷実行処理が図13に示した処理と異なる点は、ステップS46、S47がステップS51,S52に変更された点である。その他の処理は、図13に示した処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
CPU111は、ステップS44において、該当の参加者(ステップS41で選択した参加者)の実行印刷条件で自装置が印刷を実行できない場合、処理をステップS51に進める。ステップS51においては、該当の参加者の実行印刷条件を自装置が実行可能なように変更し、処理をステップS52に進める。具体的には、該当の参加者と対応付けて記憶されている実行印刷条件を、自装置で実行可能な印刷条件に書き換える。なお、上記のように、MFPそれぞれは、少なくとも自装置に設定されたグループ制限情報で許容されている印刷条件で印刷を実行可能であるので、ステップS51において、例えば、自装置に設定されているグループ制限情報で許容されるように該当の参加者の実行印刷条件を変更してもよい。
ステップS52においては、変更後の実行印刷条件と対応するように、該当の参加者の印刷料金を変更し、処理をステップS45に進める。具体的には、該当の参加者と対応付けて記憶されている印刷料金を、変更後の実行印刷条件に対応する印刷料金に書き換える。ステップS45においては、変更後の実行印刷条件で印刷を実行する。これにより、図10のステップS19において、変更後の印刷料金で、該当の参加者の課金情報が更新される。
このように第1の実施の形態の第1の変形例におけるMFP100,100A,100Bは、自装置で実行可能な範囲内で実行印刷条件を決定するので、参加者に対する印刷を自装置で確実に実行することができる。
<第1の実施の形態の第2の変形例>
第1の実施の形態の第2の変形例におけるMFPは、CPU111が有する印刷条件決定部54、印刷部55、送信部59および案内情報通知部60それぞれを変更したものである。
第2の変形例における印刷条件決定部54は、参加者それぞれについて、実行印刷条件が裏紙印刷を含むか否かを判断し、実行印刷条件が裏紙印刷を含む場合、その参加者を識別するための参加者識別情報と、その参加者に対して決定した実行印刷条件との組を、送信部59に出力する。送信部59は、印刷指示受付部52から入力された印刷データと印刷条件決定部54から入力された実行印刷条件との組を、参加者識別情報によって識別される参加者に対応するMFPに送信する。また、送信部59は、参加者識別情報を案内情報通知部60に出力する。案内情報通知部60は、入力された参加者識別情報によって特定される参加者に対して、その参加者に対応するMPFによる印刷の実行を案内する案内情報を通知する。一方、参加者の実行印刷条件が裏紙印刷を含まない場合、印刷条件決定部54が、参加者識別情報と実行印刷条件との組を印刷部55に出力する。印刷部55は、入力された参加者識別情報によって特定される参加者に対して、入力された実行印刷条件で印刷を実行する。
例えば、指示MFPであるMFP100は、参加者であるユーザーBの実行印刷条件の用紙種類の項目に設定値として裏紙が設定されている場合、MFP100Aに印刷データとユーザーBの実行印刷条件との組を送信し、かつユーザーBに案内情報を通知する。実行MFPであるMFP100Aは、MFP100から送信された印刷データおよび実行印刷条件を受信し、HDD115に記憶する。ユーザーBは、MFP100から通知された案内情報に基づいて、MFP100Aに印刷を実行させる。これにより、MFP100Aは、MFP100から送信された印刷データの裏紙印刷を実行する。
図16は、第1の実施の形態の第2の変形例における印刷実行処理の流れの一例を示すフローチャートである。図16を参照して、第1の実施の形態の第2の変形例における印刷処理が図13に示した処理と異なる点は、ステップS44とステップS45との間にステップS61が追加された点である。その他の処理は、図13に示した処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
CPU111は、ステップS44において、該当の参加者(ステップS41で選択した参加者)の実行印刷条件で自装置が印刷を実行可能な場合、処理をステップS61に進める。ステップS61においては、該当の参加者の実行印刷条件が裏紙印刷を含むか否かを判断する。該当の参加者の実行印刷条件が裏紙印刷を含むならば、処理をステップS46に進めるが、そうでなければ処理をステップS45に進める。
このように第1の実施の形態の第2の変形例におけるMFP100,100A,100Bは、参加者の制限情報が裏紙で印刷することを含み、かつ参加者の実行印刷条件が裏紙での印刷を含む場合、印刷データおよび決定された実行印刷条件をその参加者に対応する他のMFPに送信する。これにより、自装置が参加者に対して裏紙での印刷を実行することがないので、自装置で使用される裏紙の裏面に機密の情報が記されている場合であっても、その情報が外部に漏洩することが防止される。
<第2の実施の形態>
図17は、第2の実施の形態におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図17が示す機能は、図3に示した機能と同様に、指示MFPとして機能する場合におけるMFP100が備えるCPU111に形成される機能である。図17を参照して、第2の実施の形態におけるCPU111が有する機能が図3に示した機能と異なる点は、制限情報取得部53が制限情報取得部53Aに変更された点、印刷条件決定部54が印刷条件決定部54Bに変更された点、課金情報更新部56が課金情報更新部56Aに変更された点、上限値取得部57が削除された点、登録受付部61および選択部62が追加された点である。
登録受付部61は、自装置に登録されるべき制限情報を受け付け、受け付けた制限情報を選択部62に出力する。以下、登録受付部61が受け付ける制限情報を第1の制限情報と呼ぶ。例えば、ユーザーが操作パネル160を操作して制限情報を入力すると、登録受付部61は、ユーザーが操作パネル160に入力する制限情報を第1の制限情報として受け付ける。制限情報取得部53Aは、参加者情報取得部51から入力された参加者情報により特定される参加者に対して定められた制限情報を取得し、参加者を識別するための参加者識別情報と制限情報との組を選択部62に出力する。以下、制限情報取得部53Aが取得する参加者それぞれの制限情報を第2の制限情報と呼ぶ。
選択部62は、登録受付部61から第1の制限情報が入力され、制限情報取得部53Aから参加者識別情報と第2の制限情報との組が入力される。選択部62は、参加者識別情報によって特定される参加者に対して、第1の制限情報と第2の制限情報とのうち一方を対象制限情報として選択し、参加者識別情報と選択した対象制限情報との組を印刷条件決定部54Bに出力する。例えば、印刷指示者が、操作パネル160を操作して、参加者それぞれについて第1および第2の制限情報のうちの一方を指定すると、選択部62は、指定された制限情報を対象制限情報として選択する。あるいは、選択部62は、参加者それぞれについて、第1および第2の制限情報のうち、自装置の機能に適した一方の制限情報を自動的に選択してもよい。選択部62は、第1の制限情報、参加者それぞれの第2の制限情報、ならびに参加者それぞれの対象制限情報を示す選択情報を課金情報更新部56Aに出力する。
印刷条件決定部54Bは、選択部62から対象制限情報が入力される。印刷条件決定部54Bは、参加者の対象制限情報が印刷を禁止する制限を含まない場合、指示印刷条件および対象制限情報に基づいて、その参加者に対して実行印刷条件を決定し、参加者識別情報と実行印刷条件との組を課金情報更新部56Aに出力する。具体的には、印刷条件決定部54Bは、指示印刷条件が参加者の対象制限情報により許容されている場合、その参加者に対して、指示印刷条件を実行印刷条件に決定する。一方、印刷条件決定部54は、指示印刷条件の少なくとも一部が参加者の対象制限情報により許容されていない場合、その参加者に対して、指示印刷条件を対象制限情報によって許容されるように変更し、変更後の印刷条件を実行印刷条件に決定する。
印刷条件決定部54Bは、参加者それぞれについて、自装置が実行印刷条件で印刷を実行可能であるか否かを判断し、実行可能である場合には、その参加者を識別するための参加者識別情報と、その参加者に対して決定した実行印刷条件との組を、印刷部55に出力し、実行できない場合には参加者識別情報と実行印刷条件との組を送信部59に出力する。また、印刷条件決定部54は、参加者それぞれについて、参加者識別情報と実行印刷条件との組を、課金情報更新部56に出力する。
課金情報更新部56Aは、印刷指示受付部52から指示印刷条件が入力され、選択部62から選択情報が入力され、印刷条件決定部54Bから参加者識別情報と実行印刷条件との組が入力される。課金情報更新部56Aは、入力された選択情報に基づいて、参加者それぞれについて、第1および第2の制限情報のいずれが対象制限情報に選択されているか判断する。第1の制限情報が対象制限情報に選択されている場合、課金情報更新部56Aは、その参加者の実行印刷条件により定まる印刷料金で印刷指示者に対応する課金情報を更新する。一方、第2の制限情報が対象制限情報に選択されている場合、課金情報更新部56Aは、その参加者について、第1の制限情報が対象制限情報に選択されたと仮定した場合の実行印刷条件を仮定条件として決定し、仮定条件により定まる印刷料金を第1の料金として取得し、取得した第1の料金で、印刷指示者に対応する課金情報を更新する。また、課金情報更新部56Aは、その参加者の第2の制限情報が対象制限情報に選択された場合の実行印刷条件、すなわち実際に入力された実行印刷条件により定まる印刷料金を第2の料金として取得し、第1の印刷料金と第2の印刷料金とを比較する。第2の印刷料金が第1の印刷料金よりも高い場合、課金情報更新部56Aは、第2の印刷料金と第1の印刷料金との差額(以下、追加料金と呼ぶ。)で、その参加者に対応する課金情報を更新する。
図18は、第2の実施の形態における第1の制限情報、第2の制限情報、対象制限情報、実行印刷条件および印刷料金の例を示す図である。ここでは、印刷指示者がユーザーAであり、指示MFPがMFP100であり、かつ指示印刷条件がカラー印刷および片面印刷を含む場合の例を説明する。なお、MFP100は、カラー印刷、モノクロ印刷、片面印刷および両面印刷をそれぞれ実行可能であるとする。また、MFP100に登録される第1の制限情報は、禁止条件としてカラー印刷を含み、推奨条件として片面印刷を含む。
本例では、ユーザーAの第2の制限情報、ここでは部署D1のグループ制限情報が、MFP100に登録されているため、ユーザーAの第2の制限情報は、MFP100に登録される第1の制限情報と同じである。それにより、ユーザーAについては、選択部62が第1の制限情報および第2の制限情報のいずれを選択しても対象制限情報は同じである。ここでは、選択部62が第1の制限情報を対象制限情報に選択する。この場合、指示印刷条件のうちのカラー印刷が、対象制限情報の禁止条件に該当する。そのため、印刷条件決定部54Bは、指示印刷条件のカラー印刷をモノクロ印刷に変更し、変更後の印刷条件をユーザーAの実行印刷条件に決定する。ユーザーAの実行印刷条件により定まる印刷料金は、150円である。
ユーザーBの第2の制限情報、ここでは部署D2のグループ制限情報は、推奨条件としてカラー印刷および片面印刷を含む。ユーザーBについて、選択部62は第2の制限情報を対象制限情報に選択する。この場合、指示印刷条件が、対象制限情報によって許容されている。そのため、印刷条件決定部54Bは、指示印刷条件をユーザーBの実行印刷条件に決定する。ユーザーBの実行印刷条件により定まる印刷料金、すなわち第2の料金は、200円である。一方、第1の制限情報が対象制限情報に選択されたと仮定される場合の仮定条件で定まる印刷料金、すなわち第1の料金は、150円である。
ユーザーCの第2の制限情報、ここでは部署D3のグループ制限情報は、ユーザーBの第2の制限情報と同じであり、推奨条件としてカラー印刷および片面印刷を含む。ユーザーCについて、選択部62は第1の制限情報を対象制限情報に選択する。この場合、ユーザーCの対象制限情報はユーザーAの対象制限情報と同じになるので、印刷条件決定部54Bは、ユーザーAの実行印刷条件と同じように、モノクロ印刷および片面印刷をユーザーCの実行印刷条件を決定する。ユーザーCの実行印刷条件により定まる印刷料金は、150円である。
本例では、ユーザーA~Cそれぞれについて、第1の制限情報が対象制限情報に選択された場合の実行印刷条件で定まる印刷料金が同一である。しかしながら、実際には、印刷料金の契約内容が異なると、印刷条件が同じであっても印刷料金が異なる場合もある。そこで、ユーザー毎に印刷条件と印刷料金とを関連付けた料金テーブルを用意し、ユーザーそれぞれについて、対応する料金テーブルを用いて印刷料金を決定してもよい。その場合、図18の例のように、ユーザーAおよびユーザーCの実行印刷条件が同じであっても、ユーザーAの実行印刷条件で定まる印刷料金とユーザーCの実行印刷料金で定まる印刷料金とが異なることがある。
図19は、図18の実行印刷条件で印刷が実行された場合の部署D1~D3それぞれに対応する課金情報の更新例を示す図である。図19を参照して、部署D1~D3それぞれの更新前の累計課金額は、3000円、1000円および2000円である。図18の実行印刷条件で印刷が実行されると、部署D1に対応する累計課金額に、ユーザーAの印刷料金である150円、ユーザーBの第1の料金である150円、およびユーザーCの印刷料金である150円が加算される。また、部署D2に対応する累計課金額に、追加料金としてユーザーBの第2の料金と第1の料金との差額である50円が加算される。
なお、参加者の累計課金額に追加料金が加算されることによって参加者の累計課金額が予め定められた上限値を超える場合、対象制限情報が第2の制限情報から第1の制限情報に変更されてもよい。この場合、参加者に追加料金が発生しないので、参加者の累計課金額を上限値以下に抑えることができる。
図20は、第2の実施の形態における印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。図20を参照して、第2の実施の形態における印刷処理が図10に示した処理と異なる点は、ステップS01とステップS02との間にステップS71が追加された点、ステップS08がステップS08Aに変更された点、ステップS09がステップS09Aに変更された点、ステップS11がステップS11Aに変更された点、ステップS14~S17が削除された点、ステップS19がステップS19Aに変更された点である。その他の処理は、図10に示した処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
CPU111は、ステップS71において、HDD115に記憶される制限情報を読み出し、読み出した制限情報を第1の制限情報として取得し、処理をステップS02に進める。HDD115に記憶される制限情報は、自装置に登録される制限情報である。ステップS08Aにおいては、他部署に対応するMFPから送信されたグループ制限情報を該当の参加者(ステップS05で選択した参加者)の第2の制限情報として取得し、処理をステップS10に進める。ステップS09Aにおいては、HDD115に記憶される自部署のグループ制限情報を読み出し、読み出したグループ制限情報を、該当の参加者の第2の制限情報として取得し、処理をステップS10に進める。ステップS10においては、該当の参加者の制限情報が印刷の禁止を含むか否かを判断する。該当の参加者の制限情報が印刷の禁止を含むならば、処理をステップS11Aに進めるが、そうでなければ処理をステップS12に進める。ステップS11Aにおいては、実行印刷条件決定処理を実行し、処理をステップS13に進める。ステップS19Aにおいては、少なくとも印刷指示者に対応する課金情報を更新し、処理を終了する。参加者に対して追加料金が発生した場合には、その参加者に対応する課金情報を更新する。
図21は、図20のステップS11Aにおいて実行される実行印刷条件決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図21を参照して、CPU111は、該当の参加者について、図20のステップS71で取得した第1の制限情報、および図20のステップS08AまたはステップS09Aで取得した第2の制限情報のうち一方を、対象制限情報に選択し、処理をステップS82に進める(ステップS81)。
ステップS82においては、選択した対象制限情報で許容されるように、指示印刷条件に基づいて該当の参加者の実行印刷条件を決定する。決定した実行印刷条件を該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理をステップS83に進める。ステップS83においては、ステップS81で選択した対象印刷条件が、第1の制限情報であるか否かを判断する。対象印刷条件が第1の制限情報であるならば、処理をステップS84に進めるが、そうでなければ処理をステップS85に進める。
ステップS84においては、予め記憶された料金テーブルを参照して、ステップS82で決定した実行印刷条件、すなわち第1の制限情報が対象制限情報に選択された場合の実行印刷条件で定まる印刷料金を決定する。決定した印刷料金を該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理を終了する。
ステップS85においては、予め記憶された料金テーブルを参照して、図20のステップS71で取得した第1の制限情報が対象制限情報に選択されたと仮定した場合の仮定条件で定まる印刷料金を第1の料金として決定する。決定した第1の料金を印刷指示者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理をステップS86に進める。
ステップS86においては、予め記憶された料金テーブルを参照して、ステップS82で決定した実行印刷条件、すなわち第2の制限情報が対象制限情報に選択された場合の実行印刷条件で定まる印刷料金を第2の料金として決定し、処理をステップS87に進める。ステップS87においては、決定した第2の料金と第1の料金との差額を追加料金として決定する。決定した追加料金を該当の参加者と対応付けてRAM114またはHDD115に記憶し、処理を終了する。
ステップS83において、対象印刷条件が第1の制限情報であると判断される場合、図20のステップS19Aにおいて、ステップS84で決定した印刷料金で、印刷指示者に対応する課金情報を更新する。ステップS83において、対象印刷条件が第1の制限情報でないと判断される場合、図20のステップS19Aにおいて、ステップS85で決定した印刷料金で、印刷指示者に対応する課金情報を更新するとともに、ステップS87で決定した追加料金で、該当の参加者に対応する課金情報を更新する。
以上説明したように第2の実施の形態に係るMFP100,100A,100Bは、登録された第1の制限情報と参加者に対応する第2の制限情報とのうち、選択された一方の制限情報に基づいて実行印刷条件を決定し、決定した実行印刷条件で印刷データの印刷を実行し、印刷指示者に対応する課金額を示す第1の課金情報を更新する。これにより、印刷指示者の意向、あるいは自装置の機能等に応じた適切な条件で印刷を実行することができる。また、選択された制限情報に適合する印刷料金を少なくとも印刷指示者に課金することができる。
また、MFP100,100A,100Bは、第1の制限情報が選択された場合の第1の印刷料金よりも第2の制限情報が選択された場合の第2の印刷料金が高い場合において、第2の制限情報が選択されると、第1の印刷料金で第1の課金情報を更新するとともに、第2の印刷料金と第1の印刷料金との差額で第2の課金情報を更新する。それにより、参加者の制限情報に従った印刷条件で印刷を実行するとともに、予め登録された制限情報に適合する印刷料金を印刷指示者に課金することができる。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態におけるMFPは、1以上の管理グループのいずれかに分類され、そのMFPにおける印刷指示者および参加者の課金情報の計算方法は、同一の管理グループに属する他のMFPに設定される。この場合、同一の管理グループに属する複数のMFPは、共通の計算方法で印刷指示者および参加者の課金情報を更新するように、群管理される。具体的には、MFP100,100A,100Bそれぞれが、上記第1の実施の形態における印刷処理、第1の実施の形態の第1の変形例における印刷処理、第1の実施の形態の第2の変形例における印刷処理、および第2の実施の形態における印刷処理のうちのいずれかを選択的に実行するための印刷プログラムをROM113、HDD115またはCD-ROM118に記憶する。ユーザーは、MFP100,100A,100Bそれぞれに対して、複数の印刷処理のうち実行すべき印刷処理を指定することができる。一のMFPに対して、ユーザーがいずれかの印刷処理を指定すると、他のMFPにおいても、同じ印刷処理が指定される。これにより、MFP100,100A,100Bのいずれにおいても、共通の印刷処理が実行され、共通の計算方法で印刷指示者および参加者の課金情報が更新される。このように、複数のMFP100,100A,100Bが群管理されることにより、複数のMFP100,100A,100Bそれぞれの処理を容易に管理することができる。
なお、上述した実施の形態においては、画像形成装置の一例としてMFP100,100A,100Bを説明したが、MFP100,100A,100Bの他、印刷を実行可能なプリンターまたはファクシミリ装置であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。