以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
<動作の概略>
図1Aおよび図1Bは、本実施形態の電子黒板の動作の概略の一例を説明するフローチャートである。図1Aは電源OFF時の動作を示し、図1Bは電源ON時の動作を示す。なお、各ステップの詳細は後述される。
まず、ユーザが電子黒板の電源ボタンをOFFすることで、電子黒板は電源OFFを検知する(S10)。
電源OFF要求を取得すると電子黒板は保存する表示情報があるか否かを判定する(S20)。表示情報は、例えば、手書きの線に対応するストロークを表す情報などである。
ステップS20の判定がYesの場合、電子黒板は表示情報を保存する(S30)。保存された表示情報を「保存データ」と称する。
そして、電子黒板は電源OFF処理を行う(S40)。このように、仮に誤ってユーザが電源OFFした場合でも、電子黒板は表示情報を保存しておくことができる。
次に、ユーザが電子黒板の電源ボタンをONすることで、電子黒板のアプリケーションプログラムが起動する(S110)。
電子黒板のアプリケーションが起動すると、電子黒板は起動処理を行う(S120)。
起動した電子黒板は保存データがあるか否かを判定する(S130)。
ステップS130の判定がYesの場合、電子黒板は保存データを表示すべきか否かを判定する(S140)。保存データを表示すべきか否は、直前の電源ボタンのOFFが誤操作であると推定できるか、又は、直前の電源ボタンのOFFとONが同じ人物によると推定できるか否かを考慮して判定される。具体的には、電源OFFから電源ONまでの時間が閾値より小さいかどうか、又は、電源OFFの時刻と電源ONの時刻が予め設定された会議の予約時間に含まれるかどうかなどを判定する。すなわち、電源ボタンの操作履歴を利用して誤操作かどうかを判定できる。
ステップS140の判定がNoの場合、電子黒板は保存データを削除する(S160)。したがって、例えば別の会議の参加者が表示情報を閲覧することを抑制できる。
そして、ステップS140の判定結果がYesの場合、電子黒板は保存データを復元してディスプレイなどに表示する(S150)。これにより、直前の電源ボタンのOFFが誤操作であると推定できる場合や、直前の電源ボタンのOFFとONが同じ人物によると推定できる場合、表示情報を復元できる。
したがって、本実施形態の電子黒板2は、誤操作で表示情報を保存することなくユーザが電子黒板を電源OFFしても、表示情報を消失させずに再表示することができる。
<用語について>
表示情報は、電源ONから電源OFFまでの間に電子黒板がディスプレイに表示したことがある可視情報をいう。すなわち、ディスプレイに表示中の画面(ページ)の可視情報に限られず、ページとして保存されている可視情報を含む。電源OFF時にこれらの全てを記憶する必要はなく、ディスプレイに表示中のページだけなど一部だけを記憶してよい。可視情報としては、後述する図7のストローク画像(B)又は出力画像(C)の少なくとも一方を含む。更にUI画像(A)を含んでよい。
また、図1に示すような、電源ボタンのOFFにより表示情報を保存する処理、及び、保存データを復元する処理を「電源ボタン関連処理」と称する。
電源ボタンの誤操作とは、保存すべき表示情報があるが保存することなく電源ボタンをOFFすることをいう。押す意図がない状態で電源ボタンをOFFした場合だけでなく、押す意図があって電源ボタンをOFFした場合も含む。
直前の電源ボタンのOFFとONが同じ人物かどうかは、その人物が完全に同一か否かにより判断されるものではない。例えば、表示情報にアクセス可能である異なる人物(例えば、同じ部署の別のユーザ)を同一とみなしてもよい。
<システムの概要>
図2は、本実施形態の画像処理システムの全体構成図である。なお、図2では、説明を簡略化するために、2台の電子黒板2a,2b及びこれに付随する電子ペン4a,4b等を示しているだけであって、3台以上の電子黒板や電子ペン等を利用してもよい。図2に示されているように、画像処理システム1は、複数の電子黒板2a,2b、電子ペン4a,4b、USBメモリ5a,5b、ノートPC(Personal Computer)6a,6b、テレビ(ビデオ)会議端末7a,7b、及びPC8を有する。また、電子黒板2a,2b、及びPC8は、通信ネットワーク9を介して通信可能に接続されている。更に、電子黒板2a,2bには、それぞれディスプレイ3a,3bが設けられている。
また、電子黒板2aには、電子ペン4aによって生じたイベント(ディスプレイ3aに電子ペン4aの端部のタッチ)により描画された画像を、ディスプレイ3aに表示させることができる。なお、電子ペン4aだけでなく、ユーザの手Ha等によって生じたイベント(拡大、縮小、ページめくり等のジェスチャ)に基づいて、ディスプレイ3a上に表示されている画像を変更させることもできる。
また、電子黒板2aには、USBメモリ5aが接続可能であり、電子黒板2aはUSBメモリ5aからPDF等の電子ファイルを読み出したり、電子黒板2aはUSBメモリ5aに電子ファイルを記録したりすることができる。また、電子黒板2aには、DisplayPort(登録商標)、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標。High-Definition Multimedia Interface)及びVGA(Video Graphics Array)等の規格による通信が可能なケーブル10a1を介して、ノートPC6aが接続されている。そして、電子黒板2aは、ディスプレイ3aに対する接触によってイベントを発生させ、このイベントを示すイベント情報を、マウスやキーボード等の入力装置からのイベントと同様に、ノートPC6aに送信する。同じく、電子黒板2aには、上記規格による通信が可能なケーブル10a2を介して、テレビ(ビデオ)会議端末7aが接続されている。なお、ノートPC6a、及びテレビ会議端末7aは、Bluetooth(登録商標)等の各種無線通信プロトコルに準拠した無線通信により、電子黒板2aと通信してもよい。
一方、電子黒板2bが設置されている他の拠点では、上記と同様に、ディスプレイ3bを備えた電子黒板2b、電子ペン4b、USBメモリ5b、ノートPC6b、テレビ会議端末7b、ケーブル10b1、ケーブル10b2が利用される。更に、ユーザの手Hb等によって生じたイベントに基づいて、ディスプレイ3b上に表示されている画像を変更させることもできる。
これにより、一の拠点で電子黒板2aのディスプレイ3a上に描画された画像は、他の拠点で電子黒板2bのディスプレイ3b上にも表示され、逆に他の拠点で電子黒板2bのディスプレイ3b上に描画された画像は、一の拠点で電子黒板2aのディスプレイ3a上に表示される。このように、画像処理システム1では、遠隔地において同じ画像を共有する遠隔共有処理を行うことができるため、遠隔地での会議等に用いると、非常に便利である。
なお、以下では、複数の電子黒板のうち任意の電子黒板を示す場合には「電子黒板2」と示す。複数のディスプレイのうち任意のディスプレイを示す場合には「ディスプレイ3」と示す。複数の電子ペンのうち任意の電子ペンを示す場合には「電子ペン4」と示す。複数のUSBメモリのうち任意のUSBメモリを示す場合には「USBメモリ5」と示す。複数のノートPCのうち任意のノートPCを示す場合には「ノートPC6」と示す。複数のテレビ会議端末のうち任意のテレビ会議端末を示す場合には「テレビ会議端末7」と示す。また、複数のユーザの手のうち任意の手を示す場合には「手H」と示す。複数のケーブルのうち任意のケーブルを示す場合には「ケーブル10」と示す。
また、本実施形態では、画像処理装置の一例として、電子黒板を説明するが、これに限るものではなく、画像処理装置の他の例として、電子看板(デジタルサイネージ)、スポーツや天気予報等で利用されるテレストレータ、又は、遠隔画像(映像)診断装置等であってもよい。また、情報処理端末の一例として、ノートPC6を説明するが、これに限るものではなく、情報処理端末の他の例として、デスクトップ型PCやタブレット型PC、PDA、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、ゲーム機等の画像フレームを供給可能な端末であってもよい。更に、通信ネットワークには、インターネット、LAN(Local Area Network)、携帯電話通信網等が含まれる。また、本実施形態では、記録媒体の一例として、USBメモリを説明するが、これに限るものではなく、記録媒体の他の例として、SDカード等の各種記録メディアであってもよい。
<電子黒板のハードウェア構成>
続いて、図3を用いて、本実施形態の電子黒板のハードウェア構成を説明する。なお、図3は、電子黒板のハードウェア構成図である。
図3に示されているように、電子黒板2は、電子黒板2全体の動作を制御するCPU101、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM102、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM103、電子黒板2用のアプリケーションプログラム等の各種データを記憶するSSD104、通信ネットワーク9との通信を制御するネットワークコントローラ105、及び、USBメモリ5との通信を制御する外部記憶コントローラ106を備えている。
また、電子黒板2は、ノートPC6のディスプレイに対して映像情報を静止画又は動画として表示させるキャプチャデバイス111、グラフィクスを専門に扱うGPU(Graphics Processing Unit)112、及び、GPUからの出力画像をディスプレイ3やテレビ会議端末7へ出力するために画面表示の制御及び管理を行うディスプレイコントローラ113を備えている。
更に、電子黒板2は、接触センサ115の処理を制御するセンサコントローラ114、ディスプレイ3上に電子ペン4やユーザの手H等が接触したことを検知する接触センサ115を備えている。この接触センサ115は、赤外線により、ディスプレイ3上の座標の検出を行う。ディスプレイ3の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレイ3に平行に複数の赤外線を放射し、この赤外線がディスプレイ3の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る赤外線を受光素子が受光する。接触センサ115は、物体によって遮断された2つの受光素子のIDをセンサコントローラ114に出力し、センサコントローラ114が、物体の接触位置である座標位置を特定する。なお、以下に示す全ての各IDは、識別情報の一例である。物体の一例は指や電子ペン4であるが、光を遮断する物であればよい。また、物体はガラスやプラスチックなど透明から半透明の材料で作成されていてもよい。
また、接触センサ115としては、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2の抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。
また、電子黒板2は、電子ペンコントローラ116を備えている。この電子ペンコントローラ116は、電子ペン4と通信することで、ディスプレイ3へのペンのタッチの有無を判定する。
更に、電子黒板2は、CPU101、ROM102、RAM103、SSD104、ネットワークコントローラ105、外部記憶コントローラ106、キャプチャデバイス111、GPU112、センサコントローラ114、及び電子ペンコントローラ116を、図3に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン120を備えている。
また、電子黒板2はバスライン120に接続された電源ボタン119を有している。電源ボタン119は、ユーザが電子黒板2の電源をONにしたりOFFにしたりするために使用される。電源ボタン119のONにより電力が供給され、電源ボタン119のOFFにより所定の終了処理を経て電力が遮断される(ただし、スタンバイモードに移行してもよい)。具体的には、電源ボタン119のONにより電子黒板2は情報処理装置として動作するためのOS(Operating System)やアプリケーションを起動させる。電源ボタン119がOFFされると電源ボタン119のOFFをCPU101が割り込みとして検知して、CPU101が電子黒板2の情報処理装置としての動作を停止させる。この停止には電力を消費しないシャットダウンの他、スタンバイモード(又はスリープモードと呼ばれてもよい)など電力を消費する状態が含まれてよい。
電源ボタン119は、機械的にON/OFFされるボタンである。あるいは、可動部を有するボタンである。例えば押しボタンやレバー型のスイッチが挙げられる。電源ボタン119はONに操作されるとユーザが手を離しても電子黒板2は通電状態を維持する。ON状態でユーザが電源ボタン119を押下する操作がOFFの操作となる。電源ボタン119は、例えば電子黒板2の側面に他のボタン(方向キーボタン、メニュー表示ボタン、ノートPC6の映像が入力されるHDMIなどのインタフェースの入力種別切り替えボタンなど)と共に形成されている。電源ボタン119の形成位置は側面に限られず、前面や背面などユーザが操作可能な位置に形成されていてよい。
また、電子黒板2はバスライン120に接続されたリモコンコントローラ121を有している。リモコンコントローラ121は、赤外線や電波などでリモコン11と通信し、リモコン11からのコマンドを受信する。リモコン11は、電子黒板2をユーザが遠隔操作するための端末である。リモコン11は少なくとも遠隔電源ボタン11aを有しており、ユーザは電源ボタン119を操作しなくても遠隔電源ボタン11aを操作することで、電子黒板2の電源をON又はOFFするコマンドを電子黒板2に送信する。
なお、電子黒板2用のアプリケーションプログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
<電子黒板の機能構成>
続いて、図4~図7を用いて、電子黒板の機能構成について説明する。なお、先ずは、図4を用いて、電子黒板2の全体的な機能構成について説明する。図4は、電子黒板の機能ブロック図である。
電子黒板2は、図3に示されているハードウェア構成及びアプリケーションプログラムによって、図4に示されている各機能構成を有する。電子黒板2は、最初に遠隔共有処理を開始する「主催装置」となり得ると共に、既に開始されている遠隔共有処理に後から参加する「参加装置」にもなり得る。また、電子黒板2は、大きく分けて、クライアント部20及びサーバ部90の両方によって構成されている。クライアント部20及びサーバ部90は、電子黒板2の1台の筐体内で実現される機能である。そして、電子黒板2が主催装置となる場合には、この電子黒板2では、クライアント部20とサーバ部90が実現される。また、電子黒板2が参加装置となる場合には、この電子黒板2では、クライアント部20は実現されるが、サーバ部90は実現されない。即ち、図2において、電子黒板2aが主催装置で、電子黒板2bが参加装置となる場合、電子黒板2aのクライアント部20は、同じ電子黒板2a内に実現されたサーバ部90を介して、他の電子黒板2bのクライアント部20と通信を行う。一方、電子黒板2bのクライアント部20は、他の電子黒板2a内に実現されたサーバ部90を介して、他の電子黒板2aのクライアント部と通信を行う。
電子黒板2は、起動処理部54を有している。起動処理部54は電子黒板2の電源ボタン119がONされ電子黒板2の動作を制御するアプリケーションプログラムが起動すると動作する。アプリケーションプログラムの起動は、起動したOSにより行われる。起動処理部54は電子黒板2が動作するための初期処理を行う。例えば、ページデータ記憶部300にページデータが記憶されている場合、リカバリ処理部41によるリカバリを行わせる。また、リカバリの有無に関係なく、ページデータ記憶部300を初期化する。また、ユーザを認証するように設定されている場合、パスコードの入力欄を表示し、入力されたパスコードが正しいか否かを判定する。また、電子黒板2の起動時にパスコードを生成する(更新する)と設定されている場合は(これに対しパスコードが固定されている場合もある)、パスコードを生成する。
〔クライアント部20の機能構成〕
続いて、主に図4から図6を用いて、クライアント部20の機能構成について説明する。クライアント部20は、映像取得部21、座標検知部22、自動調整部23、接触検知部24、イベント振分部25、操作処理部26、ジェスチャ処理部27、映像重畳部28、電源ボタン監視部52、終了処理部53、画像処理部30、及び通信制御部60を有する。
このうち、映像取得部21は、ケーブル10に接続された映像出力機器の出力画像を取得する。映像取得部21は、映像出力機器から画像信号を受信すると、この画像信号を解析して、この画像信号によって形成される映像出力機器の表示画像である画像フレームの解像度や、この画像フレームの更新頻度などの画像情報を導出し、画像取得部31に出力する。
座標検知部22は、ディスプレイ3上でユーザによって生じたイベント(ディスプレイ3上にユーザの手Hがタッチされた動作等)の座標位置を検出する。また、座標検知部22は、タッチされた面積も検出する。
自動調整部23は、電子黒板2の起動時に起動され、座標検知部22が適切な値を出力できるように、光センサ方式により座標を検知する座標検知部22がセンサーカメラの画像を処理する際のパラメータを調整する。
接触検知部24は、ユーザによって生じたイベント(ディスプレイ3上に電子ペン4のペン先又は電子ペン4のペン尻が押下(タッチ)された動作等)を検出する。
イベント振分部25は、座標検知部22によって検知されたイベントの座標位置と接触検知部24によって検出された検出結果を、ストローク描画、UI操作、及びジェスチャ操作の各イベントに振り分ける。ここで、「ストローク描画」は、ディスプレイ3上に図7に示されている後述のストローク画像(B)が表示されている場合に、ユーザがディスプレイ3上で電子ペン4を押下し、この押下した状態で電子ペン4を移動させ、最終的にディスプレイ3上から電子ペン4を離すまでのイベントである。このストローク描画により、例えば、アルファベット「S」や「T」等がディスプレイ3上に描画される。なお、この「ストローク描画」には、画像を描画するだけでなく、既に描画された画像を消去したり、描画された画像を編集したりするイベントも含まれる。
「UI操作」は、ディスプレイ3上に図7に示されている後述のUI画像(A)が表示されている場合に、ユーザが電子ペン4又は手Hによって所定の位置を押下したイベントである。このUI操作により、例えば、電子ペン4により描画される線の色や幅等が設定される。
「ジェスチャ操作」は、ディスプレイ3上に図7に示されている後述のストローク画像(B)が表示されている場合に、ユーザが手Hでディスプレイ3上をタッチしたり、スワイプしたりするイベントである。このジェスチャ操作により、例えば、ユーザがディスプレイ3上で指を滑らせることで、画像の拡大(若しくは縮小)、表示領域の変更、又は、ページ切り換え等を行うことができる。
操作処理部26は、イベント振分部25によってUI操作と判定されたものから、イベントが発生されたUIの要素にしたがって、各種操作を実行する。このUIの要素としては、例えば、ボタン、リスト、チェックボックス、テキストボックスが挙げられる。ジェスチャ処理部27は、イベント振分部25によってジェスチャ操作と判定されたものに対応した操作を実行する。
映像重畳部28は、後述の表示重畳部36で重畳されて生成された画像を表示部29に表示する。表示部29はディスプレイ3により実現される表示機能である。また、映像重畳部28は、映像出力機器(ノートPC6等)からの映像に対して、他の映像出力機器(テレビ会議端末7等)から送られて来た映像をピクチャーインピクチャーする。更に、映像重畳部28は、ピクチャーインピクチャーされて表示部29の一部に表示された映像を、表示部29の全体に表示させるための切り替えを行う。
画像処理部30は、図7に示されているような各画像レイヤの重畳処理等を行う。この画像処理部30は、画像取得部31、ストローク処理部32、UI画像生成部33、背景生成部34、レイアウト管理部35、表示重畳部36、ページ処理部37、ファイル処理部40、ページデータ記憶部300、及び遠隔ライセンス管理テーブル310を有している。ページデータ記憶部300、及び遠隔ライセンス管理テーブル310はSSD104やUSBメモリ5などの不揮発メモリに構築される。あるいは、電子黒板2が停止していてもRAM103に電力が供給される場合はRAM103に構築されてもよい。
このうち、画像取得部31は、映像取得部21で取得された映像から、各フレームの画像を取得する。画像取得部31は、この画像のデータを、ページ処理部37に出力する。この画像は、図7に示されている映像出力機器(ノートPC6等)からの出力画像(C)に相当する。
ストローク処理部32は、イベント振分部25によって割り振られたストローク描画に係るイベントに基づいて、画像を描画したり、描画された画像を消去したり、描画された画像を編集する。このストローク描画による画像は、図7に示されているストローク画像(B)に相当する。また、このストローク描画に係るイベントに基づいた画像の描画、消去、編集の各結果は、後述の操作データとして、操作データ記憶部840に記憶される。
UI画像生成部33は、電子黒板2に予め設定されているUI(ユーザインターフェース)画像を生成する。このUI画像は、図7に示されているUI画像(A)に相当する。
背景生成部34は、ページ処理部37がページデータ記憶部300から読み出したページデータのうちのメディアデータを、ページ処理部37から受信する。背景生成部34は、この受信したメディアデータを表示重畳部36に出力する。また、このメディアデータによる画像は、図7に示されている背景画像(D)に相当する。背景画像(D)のパターンは、無地、グリッド表示等である。
レイアウト管理部35は、画像取得部31、ストローク処理部32、及びUI画像生成部33(又は背景生成部34)から出力された各画像のレイアウトが規定されているレイアウト情報を管理している。これにより、レイアウト管理部35は、表示重畳部36に対して、出力画像(C)及びストローク画像(B)を、UI画像(A)及び背景画像(D)中のどの位置に表示させるか又は非表示にさせるかを指示することができる。
表示重畳部36は、レイアウト管理部35から出力されたレイアウト情報に基づき、画像取得部31、ストローク処理部32、及びUI画像生成部33(背景生成部34)から出力された各画像をレイアウトする。
ページ処理部37は、ストローク画像(B)のデータと出力画像(C)のデータを、1つのページデータにまとめてページデータ記憶部300に記憶する。ストローク画像(B)のデータは、ストローク配列データ(各ストロークデータ)と称され、表1に示されているストローク配列データIDが付与される。ストローク配列データは、ページデータの一部を成す。出力画像(C)のデータは、メディアデータと称され、表4に示されているメディアデータIDが付与される。メディアデータは、ページデータの一部を成す。そして、このメディアデータは、ページデータ記憶部300から読み出されると、背景画像(D)のデータとして取り扱われる。
また、ページ処理部37は、一旦記憶されたページデータのうちのメディアデータを、背景生成部34を介して表示重畳部36に送信することで、背景画像(D)をディスプレイ3に再表示させることができる。また、ページ処理部37は、ページデータのうちのストローク配列データ(各ストロークデータ)を、ストローク処理部32に送信することで、ストローク描画による画像の再編集ができる状態にすることができる。更に、ページ処理部37は、ページデータを消去したり複製したりすることもできる。
即ち、ページ処理部37がページデータ記憶部300にページデータを記憶する時点でディスプレイ3上に表示されている出力画像(C)のデータは、一旦、ページデータ記憶部300に記憶され、その後にページデータ記憶部300から読み出される際には、背景画像(D)を示すメディアデータとして読みされる。そして、ページ処理部37は、ページデータ記憶部300から読み出したページデータのうち、ストローク画像(B)を示すストローク配列データを、ストローク処理部32に出力する。また、ページ処理部37は、ページデータ記憶部300から読み出したページデータのうち、背景画像(D)を示すメディアデータを、背景生成部34に出力する。
表示重畳部36は、画像取得部31からの出力画像(C)、ストローク処理部32からのストローク画像(B)、UI画像生成部33からのUI画像(A)、及び、背景生成部34からの背景画像(D)を、レイアウト管理部35によって指定されたレイアウトにしたがって重畳する。これにより、図7に示されているように、各画像が重なってもユーザが見える順に、UI画像(A)、ストローク画像(B)、出力画像(C)、及び背景画像(D)の各レイヤの構成となっている。
また、表示重畳部36は、図7に示されている画像(C)と画像(D)のいずれか一方のみを、画像(A)及び画像(B)に重畳することも可能である。例えば、当初、画像(A)、画像(B)及び画像(C)が表示されている状態で、電子黒板2と映像出力機器(ノートPC6等)との間のケーブル10が抜かれた場合には、レイアウト管理部35の指定によって、画像(C)を重畳対象から外し、画像(D)を表示させることができる。この場合に、また、表示重畳部36は、表示の拡大、表示の縮小、表示領域の移動処理も行う。
ページデータ記憶部300は、表1に示されているようなページデータを記憶する。
表1は、ページデータを概念的に示す。ページデータは、ディスプレイ3に表示される1ページ分のデータ(ストローク配列データ(各ストロークデータ)及びメディアデータ)である。なお、ページデータに含まれるパラメータが多いため、ここでは、表1~表4に分けて、ページデータの内容を説明する。
ページデータは、表1に示されているように、任意の1ページを識別するためのページデータID、このページの表示を開始した時刻を示す開始時刻、ストロークやジェスチャ等によるページの内容の書き換えが行われなくなった時刻を示す終了時刻、電子ペン4やユーザの手Hによるストロークによって生じたストローク配列データを識別するためのストローク配列データID、及びメディアデータを識別するためのメディアデータIDが関連付けて記憶されている。ストローク配列データは、後述の図7に示されているストローク画像(B)をディスプレイ3上に表示するためのデータである。メディアデータは、後述の図7に示されている背景画像(D)をディスプレイ3上に表示するためのデータである。
例えば、ユーザが電子ペン4によってアルファベット「S」を描く場合は一筆書きとなるため、ストロークデータIDが1つで一文字のアルファベット[S]が示される。ところが、ユーザが電子ペン4によってアルファベット「T」を描く場合、二筆書きとなるため、ストロークデータIDが2つで一文字のアルファベット「T」が示されることになる。
また、ストローク配列データには、表2に示されているように、詳細な情報が含まれている。表2は、ストローク配列データを概念的に示す。表2に示されているように、1つのストローク配列データは、複数のストロークデータによって表される。そして、1つのストロークデータは、このストロークデータを識別するためのストロークデータID、1つのストロークの書き始めの時刻を示す開始時刻、1つのストロークの書き終わりの時刻を示す終了時刻、ストロークの色、ストロークの幅、及び、ストロークの通過点を識別するための座標配列データIDを示している。
更に、この座標配列データには、表3に示されているように、詳細な情報が含まれている。表3は、座標配列データを概念的に示す。表3に示されているように、座標配列データは、ディスプレイ3上の1点(X座標値、Y座標値)、この1点を通過したときのストロークの開始時刻からの差分(ms)、及び、この1点における電子ペン4の筆圧の各情報を示している。即ち、表3に示されている1点の集まりが、表2に示されている1つの座標配列データで示されている。例えば、ユーザが電子ペン4によってアルファベット「S」を描く場合、一筆書きとなるが、「S」を描き終えるまでに、複数の通過点を通過するため、座標配列データは、これら複数の通過点の情報を示している。
また、表1に示されているページデータのうちのメディアデータには、表4に示されているように、詳細な情報が含まれている。
表4は、メディアデータを概念的に示す。表4に示されているように、メディアデータは、表1に示されているページデータにおけるメディアデータID、メディアデータのデータ種類、ページ処理部37からページデータ記憶部300にページデータが記憶された記録時刻、ページデータによってディスプレイ3上に表示される画像の位置(X座標値、Y座標値)及び画像のサイズ(幅、高さ)、並びにメディアデータの画像を示すデータが関連付けられて示されている。なお、画像の位置は、ページデータによって表示されるディスプレイ3に表示される画像の左上端の位置(X座標値,Y座標値)によって特定される。
また、図4に戻って説明する。遠隔ライセンス管理テーブル310は、遠隔共有処理を実行するために必要なライセンスデータを管理する。この遠隔ライセンス管理テーブル310では、表5に示されているように、電子黒板2のプロダクトID、認証に用いられるライセンスID、及びライセンスの有効期限が関連付けて管理されている。
また、図4に戻って説明する。電源ボタン監視部52は電源ボタン119のOFFを検知してファイル処理部40に電源OFF要求を通知する。すなわち、電源ボタン監視部52はCPU101への割り込みにより電源ボタン119のOFFを検知する。電源ボタン監視部52はファイル処理部40から表示情報の保存を完了したことを示す保存完了通知を取得すると、終了処理部53に終了処理を要求する。
終了処理部53は、電子黒板2を停止させる処理を行う。終了処理部53の機能は従来と同様である。例えば、電子黒板2のRAM103に記憶されたデータ(ユーザが設定ファイルに設定情報など)をSSD104に退避させる処理、終了時刻の記憶等を行い、ページデータ記憶部300の初期化などを行う。ページデータ記憶部300が初期化されることで、別のユーザが電子黒板2を使用してもページデータ等が閲覧されることを抑制できる。
その後、シャットダウン処理やスタンバイモードへの移行を行うOSのAPI(Application Programming Interface)が呼び出され、電子黒板2のアプリケーションプログラム、OSが終了されて、電子黒板2が停止される。終了処理部53の機能は、操作処理部26により終了要求が送信された場合も同様である。
(ファイル処理部40の機能構成)
続いて、図5を用いて、図4に示されているファイル処理部40の機能構成を説明する。なお、図5は、ファイル処理部の機能ブロック図である。ファイル処理部40は、リカバリ処理部41、ファイル入力部42a、ファイル出力部42b、ファイル変換部43、ファイル送信部44、アドレス帳入力部45、バックアップ処理部46、バックアップ出力部47、設定管理部48、設定ファイル入力部49a、及び設定ファイル出力部49bを有している。更に、ファイル処理部40は、アドレス帳管理テーブル410、バックアップデータ記憶部420、設定ファイル記憶部430、及び接続先管理テーブル440を有している。アドレス帳管理テーブル410、バックアップデータ記憶部420、設定ファイル記憶部430、及び接続先管理テーブル440は、それぞれ図3のSSD104やUSBメモリ5などの不揮発メモリに構築される。あるいは、電子黒板2が停止していてもRAM103に電力が供給される場合はRAM103に構築されてもよい。
このうち、リカバリ処理部41は、電子黒板2が異常終了した後に、異常終了を検知し、未保存のページデータを復旧する。例えば、正常終了の場合(後述する終了アイコンが押下された場合)は、ページデータがPDFファイルとしてファイル処理部40を介してUSBメモリ5に記録される。一方、電源が故障した等の異常終了の場合は、ページデータがページデータ記憶部300に記録されたままになっている。そのため、再び、電源オンになった際に、リカバリ処理部41は、ページデータ記憶部300からページデータを読み出すことで復旧させる。リカバリ処理部41の詳細は図8を参照して後述される。
ファイル入力部42aは、USBメモリ5から、PDFファイルを読み込み、各ページをページデータとしてページデータ記憶部300に記憶する。ファイル変換部43は、ページデータ記憶部300に記憶されているページデータを、PDF形式のファイルに変換する。
ファイル出力部42bは、ファイル変換部43によって出力されたPDFファイルをUSBメモリ5に記録する。
ファイル送信部44は、ファイル変換部43によって生成されたPDFファイルを、電子メールに添付して送信する。このファイルの送信先は、表示重畳部36によってディスプレイ3上にアドレス帳管理テーブル410の内容を表示し、ファイル送信部44がユーザの操作により、宛先の選択を受け付けることによって決定される。アドレス帳管理テーブル410には、表6に示されているように、宛先の名前及び宛先の電子メールのメールアドレスが関連付けられて記憶されている。
また、ファイル送信部44が、ユーザの操作による、宛先としてのメールアドレスの入力を受け付けることもできる。
アドレス帳入力部45は、USBメモリ5から電子メールアドレスの一覧ファイルを読み込み、アドレス帳管理テーブル410に記憶する。
バックアップ処理部46は、ファイル出力部42bによって出力されたファイルや、ファイル送信部44によって送信されたファイルを、バックアップデータ記憶部420に記憶することでバックアップする。バックアップデータは、表7に示されているように、PDF形式で記憶される。
したがって、電子黒板2が正常終了した場合、表7のバックアップデータの一レコード(PDFファイル)が記憶される。表7の1つのPDFファイルが1つの会議の全てのページデータを含む。また、ユーザが任意のタイミングでページデータの保存処理を行った場合(後述する読み込み保存アイコンを押下した場合)、PDFファイルが作成される。保存処理を複数回、行った場合、その度にPDFファイルが更新される。PDFファイルのファイル名は例えば終了処理部が取得した現在時刻(PDFファイルの作成時刻)を含んでいる。後述するように、PDFファイルはユーザが任意に付与する会議IDと関連づけられている。ユーザは会議IDが付与されたPDFファイルを特定してページデータを再生することができる。なお、会議IDはPDFファイルを一意に識別するための識別情報である。また、ユーザはPDFファイルに任意のファイル名を付与できる。
更に、バックアップデータはフラグのフィールドを有している。フラグのフィールドには、電源ボタン関連処理により作成されたバックアップデータに"F"が登録される。したがって、このフラグにより電子黒板2は保存データの有無を判定できる。この場合、ユーザは会議IDを入力していないので、フラグFが登録されたバックアップデータには会議IDは対応づけられない。
図5に戻り、バックアップ出力部47は、バックアップされたファイルをUSBメモリ5に記憶する。この記憶の際には、ユーザにより、セキュリティのためにパスワードが入力される。
設定管理部48は、電子黒板2の各種設定情報を設定ファイル記憶部430に記憶したり読み出したりして管理する。この各種設定情報としては、例えば、ネットワーク設定、日付や時刻の設定、地域や言語の設定、メールサーバの設定、アドレス帳の設定、接続先リストの設定、バックアップに関する設定が挙げられる。なお、ネットワーク設定は、例えば、電子黒板2のIPアドレスの設定、ネットマスクの設定、デフォルトゲートウェイの設定、又はDNS(Domain Name System)の設定等である。
設定ファイル出力部49bは、電子黒板2の各種設定情報を、設定ファイルとしてUSBメモリ5に記録させる。なお、設定ファイルは、ユーザが中身を見ることができないように保護されている。
設定ファイル入力部49aは、USBメモリ5に記憶されている設定ファイルを読み込み、各種設定情報を電子黒板の各種設定に反映させる。
アドレス帳入力部50は、USBメモリ5から遠隔共有処理の接続先IPアドレスの一覧ファイルを読み込み、接続先管理テーブル440に記憶する。接続先管理テーブル440の一例を表8に示す。
接続先管理テーブル440により、電子黒板2が参加装置である場合、この参加装置のユーザが主催装置としての役割を果たす電子黒板のIPアドレスを入力する手間を削減することができる。この接続先管理テーブル440では、参加できる遠隔共有処理の主催装置となる電子黒板2が設置されている拠点の名称、及び主催装置のIPアドレスが関連付けて管理されている。
なお、接続先管理テーブル440は、無くてもよい。但し、この場合には、参加装置のユーザは、主催装置との間で遠隔共有処理を開始するために、タッチパネル等を使って、主催装置のIPアドレスを入力する必要がある。そのため、参加装置のユーザは、電話や電子メール等によって、主催装置のユーザから、主催装置のIPアドレスを知得する。
(通信制御部60の機能構成)
次に、図6を用いて、通信制御部60の機能構成について説明する。図6は、サーバ部90とクライアント部20の機能ブロック図の一例である。通信制御部60は、通信ネットワーク9を介して、他の電子黒板2との通信や、サーバ部90における後述の通信制御部70との通信を制御する。そのため、通信制御部60は、遠隔開始処理部61、遠隔参加処理部62、遠隔画像送信部63、遠隔画像受信部64、遠隔操作送信部65、遠隔操作受信部66、及び参加拠点管理テーブル610を有している。
このうち、遠隔開始処理部61は、同じ電子黒板2のサーバ部90に対して、新たに遠隔共有処理を開始する要求を送信し、サーバ部90から要求に対する応答を受信する。遠隔開始処理部61は、遠隔ライセンス管理テーブル310を参照し、ライセンス情報(プロダクトID、ライセンスID、及び有効期限)が記憶されている場合には、遠隔共有処理を開始する要求を送信することができる。但し、ライセンス情報が記憶されていない場合には遠隔共有処理を開始する送信することができない。
参加拠点管理テーブル610は、電子黒板が主催装置である場合、現在、遠隔共有処理に参加している参加装置としての電子黒板を管理するテーブルである。参加拠点管理テーブル610の一例を表9に示す。
この参加拠点管理テーブル610では、遠隔共有処理の参加端末が設置されている拠点の名称及び当該電子黒板2のIPアドレスが関連付けて記憶されている。
遠隔参加処理部62は、通信ネットワーク9を介して、遠隔共有処理の主催装置である電子黒板2のサーバ部90の遠隔接続要求受信部71に対して、遠隔共有処理への参加要求を送信する。この場合も、遠隔参加処理部62は、遠隔ライセンス管理テーブル310を参照する。また、遠隔参加処理部62が、遠隔共有処理に参加する場合には、接続先管理テーブル440を参照して、参加する会議室のIPアドレスを取得する。なお、遠隔参加処理部62によって接続先管理テーブルが参照されず、ユーザの操作により会議室のIPアドレスが入力されてもよい。
遠隔画像送信部63は、映像取得部21から画像取得部31を介して送られて来た出力画像(C)を、サーバ部90に送信する。
遠隔画像受信部64は、サーバ部90から、他の電子黒板2に接続された映像出力機器からの画像データを受信し、表示重畳部36に出力することで、遠隔共有処理への参加を実現する。
遠隔操作送信部65は、遠隔共有処理に必要な各種操作データをサーバ部90に送信する。この各種操作データとしては、例えば、ストロークの追加、ストロークの消去、ストロークの編集(拡大、縮小、移動)、ページデータの記憶、ページデータの作成、ページデータの複製、ページデータの消去、表示されているページの切り替え等に関するデータが挙げられる。また、遠隔操作受信部66は、サーバ部90から、他の電子黒板2で入力された操作データを受信し、画像処理部30に出力する。
〔サーバ部の機能構成〕
続いて、図6を用いて、サーバ部90の機能構成について説明する。サーバ部90は、全ての電子黒板2に設けられている。サーバ部90は、通信制御部70、及びデータ管理部80を有している。
(通信制御部70の機能構成)
次に、図6を用いて、通信制御部70の機能構成について説明する。
通信制御部70は、同じ電子黒板2内のクライアント部20の通信制御部70との間の通信、及び他の電子黒板2内のクライアント部20の通信制御部70との通信を制御する。データ管理部80は、操作データや画像データ等を管理する。
通信制御部70は、遠隔接続要求受信部71、遠隔接続結果送信部72、遠隔画像受信部73、遠隔画像送信部74、遠隔操作受信部75、及び遠隔操作送信部76を有している。
このうち、遠隔接続要求受信部71は、遠隔開始処理部61からの遠隔共有処理の開始要求を受信したり、遠隔参加処理部62からの遠隔共有処理に対する参加要求を受信したりする。遠隔接続結果送信部72は、遠隔開始処理部61へ遠隔共有処理の開始要求への応答を送信したり、遠隔参加処理部62へ遠隔共有処理に対する参加要求への応答を送信したりする。
遠隔画像受信部73は、遠隔画像送信部63からの画像データ(出力画像(C)のデータ)を受信し、後述の遠隔画像処理部82に送信する。遠隔画像送信部74は、遠隔画像処理部82から画像データを受信し、遠隔画像受信部64に対して、この画像データを送信する。
遠隔操作受信部75は、遠隔操作送信部65からの操作データ(ストローク画像(B)等のデータ)を受信し、後述の遠隔操作処理部83に送信する。遠隔操作送信部76は、遠隔操作処理部83から操作データを受信し、この操作データを遠隔操作受信部66に送信する。
(データ管理部の機能構成)
次に、図6を用いて、データ管理部80の機能構成について説明する。データ管理部80は、遠隔接続処理部81、遠隔画像処理部82、遠隔操作処理部83、操作合成処理部84、及びページ処理部85を有している。更に、データ管理部80は、パスコード管理部810、参加拠点管理テーブル820、画像データ記憶部830、操作データ記憶部840、及びページデータ記憶部850を有している。
遠隔接続処理部81は、遠隔共有処理の開始、及び遠隔共有処理の終了を行う。また、遠隔接続処理部81は、遠隔接続要求受信部71が、遠隔開始処理部61から遠隔共有処理の開始要求と共に受信したライセンス情報、又は、遠隔参加処理部62から遠隔共有処理の参加要求と共に受信したライセンス情報に基づいて、ライセンスの有無やライセンスの有効性を確認する。更に、遠隔接続処理部81は、他の電子黒板2から受信した参加要求が予め定められた参加可能数を超えていないかを確認する。
更に、遠隔接続処理部81は、他の電子黒板2から遠隔共有処理に対する参加要求があった際に送られて来たパスコードが、パスコード管理部810に記憶されているパスコードと同じであるか否かを判定し、同じである場合には、遠隔共有処理の参加を許可する。なお、このパスコードは、新たに遠隔共有処理を開始する際に、遠隔接続処理部81によって発行され、遠隔共有処理に参加しようとする参加装置のユーザに、主催装置のユーザから、電話や電子メール等により伝えられる。これにより、遠隔共有処理に参加しようとする参加装置のユーザが、参加装置にパスコードを入力して参加を要求すると、参加が許可されることになる。なお、セキュリティよりもユーザの使い勝手を優先する場合、パスコードの確認を省略し、ライセンスの確認のみが行われるようにしてもよい。
また、電子黒板2が主催装置の場合、遠隔接続処理部81は、参加装置の遠隔参加処理部62から通信ネットワーク9を介して送られて来た参加要求に含まれる参加拠点情報を、サーバ部90の参加拠点管理テーブル820に記憶する。そして、遠隔接続処理部81は、参加拠点管理テーブル820に記憶されている遠隔拠点情報を読み出し、遠隔接続結果送信部72に送信する。遠隔接続結果送信部72は、同じ主催装置のクライアント部20における遠隔開始処理部61に遠隔拠点情報を送信する。遠隔開始処理部61は、参加拠点管理テーブルに610に、遠隔拠点情報を記憶する。これにより、主催装置では、クライアント部20及びサーバ部90の両方で、遠隔拠点情報を管理することになる。
遠隔画像処理部82は、遠隔共有処理に参加している各電子黒板2のクライアント部(主催装置である自己の電子黒板のクライアント部を含む)に接続された映像出力機器(ノートPC6等)からの画像データ(出力画像(C))を受信して画像データ記憶部830に記憶する。また、遠隔画像処理部82は、画像データの表示順を、画像データが主催装置である自己の電子黒板2のサーバ部90に届いた時刻により判定する。また、遠隔画像処理部82は、参加拠点管理テーブル820を参照し、遠隔共有処理に参加中の全ての電子黒板2のクライアント部20(主催装置である自己の電子黒板のクライアント部を含む)に、通信制御部70(遠隔画像送信部74)を介して、上記判定した順番で画像データを送信する。
遠隔操作処理部83は、遠隔共有処理に参加している各電子黒板2(自己の電子黒板を含む)で描画されたストローク画像等の各種操作データ(ストローク画像(B)等)を受信し、画像の表示順を、主催装置である自己の電子黒板2のサーバ部90に届いた時刻により判定する。なお、各種操作データは、上記の各種操作データと同じである。また、遠隔操作処理部83は、参加拠点管理テーブル820を参照し、遠隔共有処理に参加している全ての電子黒板2のクライアント部20(主催装置である自己の電子黒板のクライアント部を含む)に操作データを送信する。
操作合成処理部84は、遠隔操作処理部83から出力された各電子黒板2の操作データを合成し、合成された操作データを、操作データ記憶部840に記憶すると共に遠隔操作処理部83に供給する。この操作データは、遠隔操作送信部76から、主催装置である電子黒板のクライアント部、及び参加装置である電子黒板のクライアント部のそれぞれに送信されることで、各電子黒板2で同じ操作データに係る画像が表示される。操作データの一例を表10に示す。
操作データは、表10に示されているように、SEQ(Sequence)、操作データの操作名、操作データの送信元である電子黒板2のIPアドレス及びクライアント部(サーバ部)のPort No.、操作データの送信先である電子黒板2のIPアドレス及びクライアント部(サーバ部)のPort No,、操作データの操作種類、操作データの操作対象、並びに操作データの内容を示すデータが関連付けられて示されている。例えば、SEQ1では、主催装置である電子黒板(IPアドレス:192.0.0.1)のクライアント部(Port No.:50001)でストロークが描画され、同じ主催装置である電子黒板(IPアドレス:192.0.0.1)のサーバ部(Port No.:50000)に操作データが送られたことが示されている。この場合の操作種類は「STROKE」、操作対象はページデータID「p005」、及び、操作データの内容を示すデータはストロークを示すデータである。また、SEQ2では、主催装置である電子黒板(IPアドレス:192.0.0.1)のサーバ部(Port No.:50000)から、参加装置である他の電子黒板(IPアドレス:192.0.0.1)のクライアント部(Port No.:50001)に、操作データが送られたことが示されている。
なお、操作合成処理部84は、この操作合成処理部84に操作データが入力された順に合成を行うため、通信ネットワーク9が輻輳していなければ、各電子黒板2のユーザによるストローク順に、遠隔共有処理に参加している全ての電子黒板2のディスプレイ3にストローク画像(B)が表示される。
ページ処理部85は、クライアント部20の画像処理部30におけるページ処理部37と同様の機能を有する。このため、サーバ部90でも、表1から表3に示されているページデータが、ページデータ記憶部850に記憶される。なお、ページデータ記憶部850は、画像処理部30におけるページデータ記憶部300と同じ内容であるため、その説明を省略する。
<リカバリ処理部の機能構成>
図8は、リカバリ処理部41の機能ブロック図の一例を示す。設定管理部48は図4で説明された機能に加え、電源ボタン119がOFFされた場合に表示情報を保存するか否かを規定する設定情報、および、電源ボタン119がONされた場合に表示情報を復元するか否かを規定する設定情報を管理する。以下、この設定情報を「表示情報復元設定」という。表示情報復元設定の設定方法は図15にて説明される。表示情報復元設定は設定ファイルに記述され、設定ファイル記憶部430に記憶される。
また、リカバリ処理部41は、設定保存取得部411、保存判定部412、データ保存処理部413、データ復元処理部414、復元判定部415、及び、時刻取得部416を有している。設定保存取得部411は、設定管理部48を通して、表示情報復元設定が含まれる設定ファイルや、電源ボタン119がOFFされた時刻を設定ファイル記憶部430に保存したり、設定ファイル記憶部430から取得したりする。
時刻取得部416は、電子黒板2が有するリアルタイムクロックやタイムサーバから現在時刻を取得する。この現在時刻は、電源ボタン119のOFF時刻及びON時刻として使用される。保存判定部412は、表示情報を保存するか否かを判定する。復元判定部415は、保存データを復元するか否かを判定する。
データ保存処理部413は、保存判定部412が保存すると判定した場合に、表示情報をページデータ記憶部300から読み出して保存データとしてバックアップデータ記憶部420に保存する。データ復元処理部414は、復元判定部415が保存データを復元すると判定した場合、保存データをバックアップデータ記憶部420から読み出して復元する。
<実施形態の処理又は動作>
続いて、図9及び図10を用いて、本実施形態の処理又は動作について説明する。なお、図9及び図10は、各電子黒板の処理を示したシーケンス図である。図9及び図10に示す実施形態では、電子黒板2aが遠隔共有処理を主催する主催装置(サーバ部及びクライアント部)としての役割を果たしており、電子黒板2b,2cが遠隔共有処理に参加する参加装置(クライアント部)としての役割を果たす。また、ここでは、電子黒板2a,2b,2cには、それぞれディスプレイ3a,3b,3cが接続され、更に、それぞれノートPC6a,6b,6cが接続されている。また、電子黒板2a,2b,2cでは、それぞれ電子ペン4a,4b,4cが使用される。
(参加の処理)
まずは、図9を用いて、電子黒板2b,2cが遠隔共有処理に参加するための処理について説明する。
ユーザが電子黒板2aの電源スイッチをオンにすると、電子黒板2aのクライアント部20が起動する。そして、ユーザがタッチパネル等の入力装置によってサーバ部90を起動させる操作をすると、クライアント部20の遠隔開始処理部61が、同じ電子黒板2aのサーバ部90の遠隔接続要求受信部71に、サーバ部90の処理を開始させる指示を出力する。これにより、電子黒板2aでは、クライアント部20だけでなくサーバ部90も各種処理を開始可能となる(ステップS21)。
次に、電子黒板2aのクライアント部20のUI画像生成部33が、電子黒板2aとの接続を確立するための接続情報を生成し、映像重畳部28が、UI画像生成部33から表示重畳部36を介して得た接続情報をディスプレイ3aに表示させる(ステップS22)。
この接続情報には、主催装置のIPアドレス、及びこの遠隔共有処理のために生成されたパスコードが含まれている。この場合、パスコード管理部810に記憶されているパスコードは、図6に示されている遠隔接続処理部81によって読み出され、遠隔接続結果送信部72、遠隔開始処理部61の順に送信される。更に、パスコードは、遠隔開始処理部61を含む通信制御部60から、図4に示されている画像処理部30に送信され、最終的にUI画像生成部33に入力される。これにより、接続情報には、パスコードが含まれる。そして、接続情報は、電子黒板2aのユーザによって、電話や電子メールにより、電子黒板2b,2cのユーザに伝えられる。なお、接続先管理テーブル440が設けられている場合、接続情報に主催装置のIPアドレスを含めなくとも、参加装置は参加要求を行うことができる。
次に、電子黒板2b,2cでは、各ユーザの操作によって接続情報の入力を受け付けると、各電子黒板2a,2bのクライアント部20における遠隔参加処理部62が、接続情報のIPアドレスに基づき、通信ネットワーク9を介して、電子黒板2aのサーバ部90の通信制御部70にパスコードを送信して参加を要求する(ステップS23,S24)。これにより、通信制御部70の遠隔接続要求受信部71は、各電子黒板2b,2cから、参加要求(パスコードを含む)を受信し、このパスコードを遠隔接続処理部81に出力する。
次に、遠隔接続処理部81は、各電子黒板2b,2cのから受信したパスコードを、パスコード管理部810を参照して認証する(ステップS25)。
そして、遠隔接続結果送信部72が、各電子黒板2b,2cのクライアント部20に認証結果を通知する(ステップS26,S27)。
ステップS25の認証により、各電子黒板2b,2cが正当な電子黒板であると判定されていた場合には、主催装置である電子黒板2aと、参加装置である電子黒板2b,2cとの遠隔共有処理の通信が確立される。これにより、各電子黒板2b,2cのクライアント部20の遠隔参加処理部62が、それぞれ他の電子黒板との間の遠隔共有処理を開始する(ステップS28,S29)。
(出力画像の表示)
続いて、図9を用いて、遠隔共有処理における出力画像(C)が表示される処理について説明する。
まず、電子黒板2bは、ディスプレイ3bに出力画像(C)を表示する(ステップS30)。具体的には、電子黒板2bの画像取得部31が、ノートPC6bから映像取得部21を介して、ノートPC6bで表示されている出力画像(C)のデータを受信し、表示重畳部36及び映像重畳部28を介してディスプレイ3bに送信することで、ディスプレイ3bは出力画像(C)を表示する。
次に、電子黒板2bの画像取得部31を含む画像処理部30が、遠隔画像送信部63に出力画像(C)のデータを送信することで、遠隔画像送信部63を含む通信制御部60が通信ネットワーク9を介して、主催装置である電子黒板2aの通信制御部70に出力画像(C)のデータを送信する(ステップS31)。これにより、電子黒板2aの遠隔画像受信部73は、出力画像(C)のデータを受信し、遠隔画像処理部82に出力することで、遠隔画像処理部82が画像データ記憶部830に出力画像(C)のデータを記憶する。
次に、主催装置である電子黒板2aは、ディスプレイ3aに出力画像(C)を表示する(ステップS32)。具体的には、電子黒板2aの遠隔画像処理部82は、遠隔画像受信部73から受信した出力画像(C)のデータを、遠隔画像送信部74に出力する。遠隔画像送信部74は、同じ主催装置である電子黒板2aのクライアント部20の遠隔画像受信部64に、出力画像(C)のデータを出力する。遠隔画像受信部64は、表示重畳部36に出力画像(C)のデータを出力する。表示重畳部36は、映像重畳部28に出力画像(C)のデータを出力する。映像重畳部28はディスプレイ3aに出力画像(C)のデータを出力する。これにより、ディスプレイ3aは、出力画像(C)を表示する。
次に、主催装置としての電子黒板2aのサーバ部90の遠隔画像送信部74を含む通信制御部70は、通信ネットワーク9を介して、出力画像(C)のデータの送信元である電子黒板2b以外の電子黒板2cの通信制御部60に出力画像(C)のデータを送信する(ステップS33)。これにより、参加装置である電子黒板2cの遠隔画像受信部64は、出力画像(C)のデータを受信する。
次に、電子黒板2cは、ディスプレイ3cに出力画像(C)を表示する(ステップS34)。具体的には、電子黒板2cの遠隔画像受信部64が、上記ステップS33によって受信された出力画像(C)のデータを、電子黒板2cの表示重畳部36に出力する。表示重畳部36は、映像重畳部28に出力画像(C)のデータを出力する。映像重畳部28はディスプレイ3cに出力画像(C)のデータを出力する。これにより、ディスプレイ3cは、出力画像(C)を表示する。
なお、出力画像(C)のデータだけでなく、UI画像(A)、及びストローク画像(B)の各データが、映像重畳部28に入力されている場合には、表示重畳部36により、重畳画像(A,B,C)が生成され、映像重畳部28はディスプレイ3cに重畳画像(A,B,C)のデータを出力する。また、テレビ会議端末7から映像重畳部28に、テレビ会議用の映像(E)のデータが送られて来ている場合には、映像重畳部28は、ピクチャーインピクチャーによりテレビ会議用の映像(E)のデータを重畳画像(A,B,C)に重畳して、ディスプレイ3cに出力する。
(重畳画像の表示)
続いて、図10を用いて、遠隔共有処理における重畳画像が表示される処理について説明する。
まず、電子黒板2bは、ユーザが電子ペン4bを用いて電子黒板2bにストローク画像(B)を描画する(ステップS41)。
次に、電子黒板2bの表示重畳部36は、図7に示されているように、UI画像(A)、及び出力画像(C)に対して、ストローク画像(B)を重畳し、映像重畳部28が電子黒板2bのディスプレイ3b上に、重畳された重畳画像(A,B,C)を表示させる(ステップS42)。具体的には、電子黒板2bのストローク処理部32が座標検知部22及び接触検知部24からイベント振分部25を介して、操作データとしてのストローク画像(B)のデータを受信し、表示重畳部36に送信する。これにより、表示重畳部36は、UI画像(A)、及び出力画像(C)に対して、ストローク画像(B)を重畳することができ、映像重畳部28が電子黒板2bのディスプレイ3b上に重畳画像(A,B,C)を表示させることができる。
次に、電子黒板2bのストローク処理部32を含む画像処理部30が、遠隔操作送信部65にストローク画像(B)のデータを送信する。電子黒板2bの遠隔操作送信部65は、通信ネットワーク9を介して、主催装置である電子黒板2aの通信制御部70にストローク画像(B)のデータを送信する(ステップS43)。
これにより、電子黒板2aの遠隔操作受信部75は、ストローク画像(B)のデータを受信し、遠隔操作処理部83に出力する。遠隔操作処理部83は、操作合成処理部84にストローク画像(B)のデータを出力する。このようにして、電子黒板2bで描画されたストローク画像(B)のデータは、描画される度に、主催装置である電子黒板2aの遠隔操作処理部83に順次送信される。このストローク画像(B)のデータは、表1に示されているストロークデータID毎に示されるデータである。よって、例えば、上記したように、ユーザが電子ペン4によってアルファベット「T」を描く場合は二筆書きとなるため、2つのストロークデータIDのそれぞれで示されるストローク画像(B)のデータが順次送信される。
次に、主催装置である電子黒板2aは、ディスプレイ3aに、電子黒板2bから送られて来たストローク画像(B)のデータが含まれた重畳画像(A,B,C)を表示する(ステップS44)。具体的には、電子黒板2aの操作合成処理部84は、遠隔操作処理部83を介して順次送られて来た複数のストローク画像(B)のデータを合成して、操作データ記憶部840に記憶すると共に遠隔操作処理部83に供給する。これにより、遠隔操作処理部83は、操作合成処理部84から受信した、合成後のストローク画像(B)のデータを、遠隔操作送信部76に出力する。遠隔操作送信部76は、電子黒板2aのクライアント部20における遠隔操作受信部66に、合成後のストローク画像(B)のデータを出力する。遠隔操作受信部66は、画像処理部30における表示重畳部36に、合成後のストローク画像(B)のデータを出力する。よって、表示重畳部36は、UI画像(A)、及び出力画像(C)に対して、合成後のストローク画像(B)を重畳する。最後に、映像重畳部28が、表示重畳部36によって重畳された重畳画像(A,B,C)をディスプレイ3a上に表示させる。
次に、主催装置としての電子黒板2aのサーバ部90の遠隔操作送信部76を含む通信制御部70は、通信ネットワーク9を介して、ストローク画像(B)のデータの送信元である電子黒板2b以外の電子黒板2cの通信制御部60に、合成後のストローク画像(B)のデータを送信する(ステップS45)。これにより、参加装置である電子黒板2cの遠隔操作受信部66は、合成後のストローク画像(B)のデータを受信する。
次に、電子黒板2cは、ディスプレイ3cに重畳画像(A,B,C)を表示する(ステップS46)。具体的には、電子黒板2cの遠隔操作受信部66が、上記ステップS45によって受信された合成後のストローク画像(B)のデータを、電子黒板2cの画像処理部30に出力する。画像処理部30の表示重畳部36は、UI画像(A)、及び出力画像(C)の各データと、合成後のストローク画像(B)のデータを重畳し、映像重畳部28に重畳画像(A,B,C)のデータを出力する。映像重畳部28は、ディスプレイ3cに重畳画像(A,B,C)のデータを出力する。これにより、ディスプレイ3cは、重畳画像(A,B,C)を表示する。
なお、上記処理では、ディスプレイ3上に出力画像(C)が表示されているが、この出力画像(C)に代えて、背景画像(D)を表示してもよい。また、出力画像(C)と背景画像(D)との両方を同時にディスプレイ3上に表示させてもよい。
(参加の終了)
続いて、図10を用いて、参加装置が遠隔共有処理への参加を終了する処理について説明する。図10に示す実施形態では、電子黒板2cが参加を終了する処理が示されている。
まず、電子黒板2cでは、ユーザの操作によって参加の終了要求を受け付けると、遠隔参加処理部62は、主催装置としての電子黒板2aのサーバ部90における通信制御部70に、参加の終了を要求する(ステップS47)。これにより、通信制御部70の遠隔接続要求受信部71は、電子黒板2cから、参加の終了要求を受信し、遠隔接続処理部81に、電子黒板2cのIPアドレスと共に参加の終了要求を出力する。そして、電子黒板2aの遠隔接続処理部81は、参加拠点管理テーブル820から、参加の終了要求を送信した電子黒板2cのIPアドレス及び電子黒板2cが設置されている拠点の名称を消去し、遠隔接続結果送信部72に、電子黒板2cのIPアドレス及び消去した旨の通知を出力する。
次に、遠隔接続結果送信部72を含んだ通信制御部70が、通信ネットワーク9を介して、電子黒板2cのクライアント部20における通信制御部60に、参加の終了を指示する(ステップS48)。これにより、電子黒板2cにおける通信制御部60の遠隔参加処理部62が、遠隔共有処理の通信を切断し、参加が終了する(ステップS49)。
電源ボタン関連処理を説明するに当たり、ユーザが電子黒板2を適切に操作して表示情報を保存する操作と、電子黒板2を正常終了させる操作について説明する。表示情報を保存する操作により電子黒板2はバックアップデータを保存し、正常終了により電子黒板2はバックアップデータを保存して停止する。
図11は、電子黒板2のUI画像(A)とストローク画像(B)を説明する図の一例である。UI画像(A)は情報表示エリア501、メイン操作パネル502、及び、ページ操作パネル503を有している。情報表示エリア501には、日時、電子黒板2のホスト名(設定されていない場合は非表示)、IPアドレス、及び、パスコード等が表示される。このパスコードは他の拠点の電子黒板2が会議に参加する場合に他の拠点のユーザに通知される。
メイン操作パネル502には、ユーザが書き込みや編集など様々な操作を行うためのアイコンが表示される。本実施例では説明の便宜上、本実施例に関係するアイコンを説明する。また、ページ操作パネル503には各ページのサムネイル503aや新規ページ作成アイコン503bなどが表示される。
メイン操作パネル502のアイコンの1つに読み込み保存アイコン502aがある。ユーザが読み込み保存アイコン502aを指や電子ペン4で押下することで、ファイル(PDFファイルの他、各種のファイル)の読み込み、ページの保存、メール送信、ページの印刷等を行うことができる。ページの保存により、バックアップデータ記憶部420に表示情報を保存できる。ユーザはPDFファイルの保存に際し、ファイル名を付与したり、会議IDやパスワードを設定したりすることができる。図11ではストローク画像504,及び、ページデータ(サムネイル503a)が表示情報である。
また、メイン操作パネルのアイコンの1つに終了アイコン502bがある。終了アイコン502bは、電子黒板2を正常終了させる際に押下される。終了アイコン502bが押下されると、電子黒板2は表示情報を保存するためのダイアログをディスプレイ3に表示する。このため、正常終了させる際、ユーザは必要であれば表示情報を保存することができる。
なお、上記のように正常終了した電子黒板2は、シャットダウンされた状態、スタンバイモードなどに移行する。スタンバイ状態に移行した後、電子黒板2の無操作時間が設定値(図15のスタンバイ時間)を超えると電子黒板2は停止する。シャットダウンされた場合でも、スタンバイ状態を経て停止した場合でも、表示情報がバックアップデータ記憶部420に保存される。
このように、ユーザが表示情報を保存した場合、又は、電子黒板2を正常終了させた場合、表示情報をバックアップデータとしてPDFファイルで保存することができる。しかし、ユーザが電源ボタン119をOFFにした場合、ページデータ記憶部300に記憶されている表示情報の全てがバックアップデータ記憶部420に保存されないか、又は、保存されない一部の表示情報が生じうる。
本実施例では、ユーザが電源ボタン119をOFFした場合でも表示情報をバックアップデータ記憶部420に保存して、電源ON時に復元することができる。
<動作手順>
図12Aは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。
ユーザが電源ボタン119又はリモコン11の遠隔電源ボタン11aをOFFすることで、電源ボタン監視部52が電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFFを検知する(S10)。電源ボタン監視部52は電源OFF要求をファイル処理部40に通知する。
電源OFF要求を通知されたリカバリ処理部41の保存判定部412は、保存するデータがあるか否かを判定する(S20)。保存するデータとは表示情報である。電子黒板2の起動中、表1~3のデータ及び表4のメディアデータがページデータ記憶部300に保持されている。したがって、ページデータ記憶部300にページデータ等又はメディアデータが記憶されていれば、保存するデータ(表示情報)が存在することになる。
ステップS20の判定がNoの場合、処理はステップS40に進む。ステップS20の判定がYesの場合、リカバリ処理部41のデータ保存処理部413は表示情報をページデータ記憶部300から読み出してバックアップデータ記憶部420に保存する(S30)。すなわち、各ページの画像を1つのPDFファイルとして保存する。保存の際、データ保存処理部413はPDFファイルにフラグとしてFを対応づける。
なお、表示情報の他、操作内容の履歴、切り取りやコピー操作により得られクリップボードに記憶されているバッファ情報を保存してもよい。クリップボードはRAM103又はSSD104等に構築されている。
次に、電源ボタン監視部52はファイル処理部40から保存完了通知を取得して、終了処理部53に終了処理を要求する。すなわち、終了処理部53は、電子黒板2のRAM103に記憶されたデータをSSD104に退避させる処理、ページデータ記憶部300の初期化などを行う。その後、電子黒板2を停止させる。
このように、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされても、表示情報を保存しておくことができる。
図12Bは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。
まず、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONに操作されることにより、電子黒板2のOS及びアプリケーションプログラムが起動する(S110)。
アプリケーションプログラムが起動すると、起動処理部54が起動処理を行う(S120)。すなわち、起動処理部54は、リカバリ処理部41によるリカバリ、ページデータ記憶部300の初期化、ユーザの認証、及び、パスコードの生成等を行う。
次に、リカバリ処理部41の復元判定部415はバックアップデータ記憶部420に保存データがあるか否かを判定する(S130)。すなわち、フラグにFがついているバックアップデータがバックアップデータ記憶部420に記憶されているか否かを判定する。
ステップS130の判定がNoの場合、図12Bの処理は終了する。ステップS130の判定がYesの場合、リカバリ処理部41のデータ復元処理部414が保存データを復元してディスプレイ3に表示させる。ディスプレイ3には例えば最初のページ又は最後のページが表示される。最後にディスプレイ3に表示されていたページが表示されてもよい。なお、復元とはPDFファイルを解釈することであるが、仮に暗号化されていれば復号する処理も含まれる。
以上のように、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた場合、電子黒板2は表示情報を保存しておき、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONされた場合に復元することができる。したがって、例えば、ユーザが誤操作で電源をOFFした場合に、表示情報を消失させずに再度、ディスプレイ3に表示できる。
実施例1では、保存データがあると必ず保存データが復元される。しかし、保存データを復元したくないユーザが電源をONした場合には不要な復元を行ってしまう。そこで、本実施例では、ユーザが保存データを復元するか否かを制御できる電子黒板2について説明する。
図13は、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFF時の処理は実施例1と同様でよい。図13では図12Bとの相違点を主に説明する。
図13では、保存データがある場合(S130のYes)、リカバリ処理部41の保存判定部412は確認ダイアログをディスプレイ3に表示させる(S132)。確認ダイアログの一例を図14に示す。図14に示すように、確認ダイアログでは、表示情報を復元するか否かが選択できる。
そして、保存判定部412は復元するという操作を操作処理部26が受け付けたか否かを判定する(S134)。
ステップS134の判定がYesの場合、データ復元処理部414は保存データを復元させる(S140)。これにより、実施例1と同様に、ユーザが例えば誤操作で電源をOFFした場合に、表示情報を消失させずに再度、ディスプレイ3に表示できる。
また、ステップS134の判定がNoの場合、データ復元処理部414は保存データを削除する(S150)。したがって、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのONにより、保存データを削除できるので、別のユーザが表示情報を閲覧したり、情報が漏洩することを抑制したりできる。
図14は、ディスプレイ3に表示される確認ダイアログ511の一例を示す図である。確認ダイアログ511は、「前回の手書きデータ等を復元しますか?」というメッセージ512、「復元する」ボタン513、及び、「新規ホワイトボードを開始する」ボタン514を有している。「復元する」ボタン513は保存データを復元することを意味し、「新規ホワイトボードを開始する」ボタン514は保存データを復元することなくページデータ記憶部300に新しくページデータ等の記憶を開始することを意味する。
ユーザが「復元する」ボタン513、又は、「新規ホワイトボードを開始する」ボタン514を押下すると、ユーザが触れた位置の座標が座標検知部22により検知される。イベント振分部25は、検知された座標及び確認ダイアログ511を表示中であるという情報に基づいてUI操作が入力されたと判定し、操作処理部26に座標を出力する。操作処理部26は操作内容をリカバリ処理部41の保存判定部412に送信する。
これにより、保存判定部412はユーザが「復元する」ボタン513、又は、「新規ホワイトボードを開始する」ボタン514のどちらを押下したかを判定できる。
以上のように、本実施例の電子黒板2は、保存データを復元したくないユーザが電源をONした場合に、不要な復元を行うことを抑制できる。なお、本実施例は後述する実施例2~6と組み合わせることが可能である。
実施例1,2では、保存データが復元されると表示情報が、第三者にも閲覧され得るため、情報が漏洩するおそれがあった。そこで、本実施例では、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFF時に表示情報を保存するか否かをユーザ等が設定できる電子黒板2について説明する。
図15は、ディスプレイ3に表示される設定画面601の一例を示す図である。設定画面601には、拠点名変更ボタン602、システム更新設定欄603、自動シャットダウン時間設定欄604、自動再起動時刻設定欄605、自動スタンバイ時間設定欄606、遠隔会議の画質設定欄607、一次保存設定欄608、グリッド/ガイド線設定欄609、規定値設定欄620、及び、表示情報復元設定欄612を有する。
拠点名変更ボタン602は拠点名を変更するためのボタンである。システム更新設定欄603はシステム(ファームウェア)の更新タイミングを設定するための欄である。自動シャットダウン時間設定欄604は、電子黒板2に対する操作が行われない状態が続いている場合に自動的にシャットダウンされるまでの時間を設定するための欄である。自動再起動時刻設定欄605は電子黒板2が自動的に起動する時刻を設定するための欄である。自動スタンバイ時間設定欄606は、電子黒板2に対する操作が行われない状態が続いている場合に自動的にスタンバイ状態に移行されるまでの時間を設定するための欄である。画質設定欄607は他の拠点の電子黒板2と通信における画質の設定を行うための欄である。一次保存設定欄608は自動的なバックアップに関する設定を行うための欄である。グリッド/ガイド線設定欄609はグリッド/ガイド線の濃淡を設定するための欄である。規定値設定欄620は電子黒板2の詳細設定の規定値をON/OFFするための欄である。
電源ボタン関連処理の設定は表示情報復元設定欄612に設定される。表示情報復元設定欄612には、「起動時に前回シャットダウン時のホワイトボードを復元する」というメッセージ612aとチェックボックス612bが表示されている。このチェックボックス612bがONに設定されると、電源ボタン関連処理が有効になる。
また、表示情報復元設定欄612には復元タイムアウト時間設定欄612cが設けられている。復元タイムアウト時間設定欄612cは、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた時刻からの経過時間であって、保存データを復元することができる最長の経過時間(この時間を復元タイムアウト時間という)を設定するための欄である。なお、復元タイムアウト時間設定欄612cには「-(設定なし)」のような設定を選択可能であり、ユーザは復元タイムアウト時間を設定しないことも可能である。
OKボタン613をユーザが押下すると、図15の設定画面601でユーザが設定した内容は設定ファイルとして設定ファイル記憶部430に記憶される。キャンセルボタン614が押下された場合、設定した内容は記憶されない。具体的には、ユーザが触れた位置の座標が座標検知部22により検知され、イベント振分部25は、検知された座標及び設定画面601が表示されているという情報に基づいてUI操作が入力されたと判定し、操作処理部26に座標を出力する。操作処理部26は操作内容を設定管理部48に送信する。設定管理部48は設定ファイルを設定ファイル記憶部430に記憶させる。リカバリ処理部41の設定保存取得部411は設定管理部48を介して設定ファイルを取得する。
なお、設定画面601は通信ネットワーク9を介して接続されたPCが表示することもできる。PCはブラウザソフトウェアなどで設定画面601を表示し、ユーザはPCを操作して設定画面601に内容を設定することができる。
図16Aは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。なお、図16Aでは図12Aとの相違を主に説明する。なお、本実施例では復元タイムアウト時間が設定されていない場合を説明する。
保存するデータがある場合(S20のYes)、リカバリ処理部41の保存判定部412は表示情報復元設定がONか否かを判定する(S22)。すなわち、保存判定部412は設定管理部48を介して設定ファイルを取得し、表示情報復元設定がONか否かを判定する。保存判定部412は、設定管理部48に表示情報復元設定がONか否かを問い合わせてもよい。
ステップS22の判定がYesの場合、データ保存処理部413は表示情報を保存する(S30)。ステップS22の判定がNoの場合、データ保存処理部413は表示情報を保存せず、終了処理部53が終了処理を実行する(S40)。
したがって、表示情報復元設定がOFFの場合は表示情報を保存しないので、表示情報が第三者に閲覧される可能性を低減できる。
図16Bは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。なお、図16Bでは図12Bとの相違を主に説明する。なお、本実施例では復元タイムアウト時間が設定されていない場合を説明する。
電子黒板2のアプリケーションプログラムが起動すると、リカバリ処理部41の復元判定部415は表示情報復元設定がONか否かを判定する(S122)。
そして、ステップS122の判定がYesの場合にのみ、復元判定部415は保存データの有無を判定し(S130)、データ復元処理部414が保存データを復元させる(S140)。
したがって、表示情報復元設定がOFFの場合は保存データを復元しないので、表示情報が第三者に閲覧される可能性を低減できる。
以上のように本実施例の電子黒板2によれば、ユーザが予め復元するか否かを設定することにより、セキュリティを向上させることができる。電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをOFFしたユーザとONしたユーザが同じ人物であれば、表示情報復元設定は常にONでもよい(実施例1,2と同様)。しかし、場合によっては、Aさんが電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをOFFした後にBさんが電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをONすることも考えられる。例えば、AさんとBさんが異なる会社、異なる部署などに属している場合、Bさんに表示情報を見られると情報漏洩となる場合もある。つまり、不特定のユーザが電子黒板2を使用するような状況では、表示情報復元設定をOFFに設定しておくことで、情報漏洩を抑制しやすくなる。
なお、本実施例は、必要に応じて適宜変形されることで、他の実施例と組み合わせて適用することが可能である。
本実施例では、表示情報復元設定がONであり、復元タイムアウト時間が設定されている電子黒板2について説明する。
復元タイムアウト時間を設定することは、以下のようなユーザに有効である。電源ボタン119などの誤操作などに対処できるように表示情報復元設定をONに設定したいが、保存データの復元を制限したいユーザに有効である。一般に誤操作で電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをOFFしたユーザはすぐに電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをONすると考えられるため、復元タイムアウト時間に短い時間(例えば、数分)を設定しておくことで、情報漏洩を抑制しながら保存データを復元できる。すなわち、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFFとONが短時間に生じた場合、直前の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFFが誤操作であったと推定される。また、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFFとONが短時間に生じた場合、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをOFFしたユーザとONしたユーザが同じ人物(表示情報を共有してよい異なる人物を含む)であると推定される。
一方、別の会議を開始する程度の時間や、電子黒板2の使用者が入れ替わるほどの時間が経過すれば、電子黒板2は保存データを復元しない。したがって、復元タイムアウト時間を適切に設定することで、表示情報の消失を抑制し、更に情報漏洩を抑制することができる。
図17Aは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。なお、図17Aでは図16Aとの相違を主に説明する。
ステップS30で表示情報を保存すると時刻取得部416は電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた時刻を保存データに対応づけてバックアップデータ記憶部420に保存する(S32)。すなわち、リアルタイムクロックやタイムサーバなどから現在時刻を取得して保存データに対応づけて保存する。保存データのファイル名に電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた時刻が含まれる場合、ステップS32を省略してもよい。また、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた時刻は厳密でなくてもよく、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた時刻と大きな相違がない時刻であればよい。例えば、保存データを保存した時刻、電源OFF要求を取得した時刻を、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた時刻としてもよい。ステップS40の処理は図16Aと同様である。
図17Bは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。なお、図17Bでは図16Bとの相違を主に説明する。
図17Bでは、ステップS130で保存データがある場合、復元判定部415は電源OFF時刻と電源ON時刻の差が復元タイムアウト時間以下か否かを判定する(S136)。すなわち、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aの操作履歴が参照される。電源ON時刻は、例えば、ステップS136で時刻取得部416が取得した現在の時刻でよい。あるいは、図17Bの処理が開始されてからステップS136の処理が実行されるまでの間に時刻取得部416が取得した時刻でよい。
ステップS136の判定がYesの場合、データ復元処理部414は保存データを復元させる(S140)。すなわち、表示情報復元設定がONであり、さらに電源OFF時刻と電源ON時刻の差が復元タイムアウト時間以下の場合は、保存データを復元する。
ステップS136の判定がNoの場合、データ復元処理部414は保存データを削除する(S150)。したがって、表示情報復元設定がONでも、電源OFF時刻と電源ON時刻の差が復元タイムアウト時間以下でない場合は、保存データが削除される。
このように、電子黒板2は保存データを表示すべきか否かを適切に判定できる。すなわち、電源ボタン119のOFFが誤操作であると推定される場合、又は、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをOFFしたユーザとONしたユーザが同じ人物であると推定される場合、保存データを復元できる。一方、別の会議が始まったと推定される時間や、電子黒板2の使用者が入れ替わったと推定される時間が経過すれば、電子黒板2は保存データを復元しないので、情報漏洩を抑制することができる。
なお、本実施例は、必要に応じて適宜変形されることで、他の実施例と組み合わせて適用することが可能である。
本実施例では、保存データと共にパスコードを保存することができる電子黒板2について説明する。図9のステップS23,S24にて説明したように、参加装置の電子黒板2はパスコードにより主催装置の電子黒板2にログインする。一方、上記のパスコードは固定のパスコードが付与される場合と、電子黒板2が再起動のたびに自動的に生成する場合がある。このため、後者のように設定されている場合、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた後、ONされると、電子黒板2が再起動してパスコードを生成してしまう。この場合、再起動した電子黒板2のユーザは遠隔地のユーザに新しいパスコードを通知する必要がある。
本実施例の電子黒板2はパスコードを保存しておくので、再度のパスコードの通知を不要にできる。
図18Aは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。なお、図18Aでは図12Aとの相違を主に説明する。
データ保存処理部413が表示情報を保存データとして保存すると(S30)、データ保存処理部413がパスコードを保存データに対応づけてバックアップデータ記憶部420に保存しておく(S34)。これにより、電子黒板2は保存データと共にパスコードを読み出すことができる。以降の処理は図12Aと同様である。
図18Bは、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。なお、図18Bでは図12Bとの相違を主に説明する。
データ復元処理部414が保存データを復元させると(S140)、データ復元処理部414は保存データに対応づけられているパスコードをバックアップデータ記憶部420から読み出す(S142)。パスコードはパスコード管理部810で管理されているので、データ復元処理部414はパスコードをパスコード管理部810に送信する。これにより、パスコード管理部810は再起動の前のパスコードを管理できる。
この後、参加装置は再起動した電子黒板2に、再起動の前に通知されているパスコードでログインする。したがって、主催装置が参加装置と通信中に、主催装置のユーザが誤って電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをOFFにした場合、参加装置のユーザに新しいパスコードを伝えて入れ直してもらうという手間を減らすことができる。
なお、本実施例は、必要に応じて適宜変形されることで、他の実施例と組み合わせて適用することが可能である。
本実施例では、電子黒板2がある会議室の予約システムと連携して、保存データを復元するか否かを判定する電子黒板2について説明する。
図19は、会議室の予約システム800の概略構成図を例示する。通信ネットワーク9を介して会議予約サーバ701、ユーザPC702、及び、1つ以上の電子黒板2が通信可能に接続されている。会議予約サーバ701は情報処理装置であり、Webサーバとして機能しユーザPC702から会議室の予約を受け付ける。ユーザPC702はノートPC6などの情報処理装置であり、会議予約サーバ701と通信する。HTTPなどの通信プロトコルでHTMLデータをユーザPC702が受信し、Webページをブラウザソフトウェアで表示させたりWebアプリを実行したりする。ユーザPC702のユーザはブラウザソフトウェアから会議室の予約に必要な情報を設定する。なお、このような予約システムによる会議室の予約は公知であるため詳細は省略する。
電子黒板2a~2nが会議室1~Nに配置されている。図では1つの会議室には1つの電子黒板2が配置されているが、1つの会議室に1つ以上の電子黒板2が配置されてもよい。会議予約サーバ701は会議室と電子黒板2の対応関係を管理している。ユーザが会議室を予約することで、会議予約サーバ701には表11に示すような予約情報が登録される。
表11は、会議予約サーバ701が管理する予約情報を模式的に示す。予約情報には、予約番号、会議室番号、年月日、開始時刻、終了時刻、及び、予約ユーザが登録されている。例えば、会議室1には電子黒板2aが配置されており、2015/09/30の10:00から12:00がユーザAにより予約されている。開始時刻と終了時刻をまとめて予約時間という。
電子黒板2aは、会議予約サーバ701から少なくとも自機が配置されている会議室の予約情報を取得して例えば設定ファイル記憶部430等に記憶させておく。したがって、電子黒板2aは会議ごとに会議の開始時刻と終了時刻を検知できる。
本実施例の電子黒板2は、会議の開始時刻と終了時刻を利用して、保存データを復元するか否かを判定する。1つの会議の開始時刻から終了時刻の間は、ユーザは同じ会議に参加しているので、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aをONした場合、直前の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFFは誤操作である可能性が高い。また、1つの会議の開始時刻から終了時刻の間は、ユーザは同じ会議に参加しているので、電子黒板2のユーザが表示情報を閲覧してもよいと考えられる。次の会議の参加者は次の会議の開始時刻までは会議室に進入しない場合が多い。したがって、電子黒板2の電源OFF時刻と電源ON時刻がある会議の開始時刻から終了時刻の間に含まれる場合、電子黒板2は表示すべき保存データがあると判定できる。これにより、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aが誤操作によりOFFされた場合に、表示情報の損失を抑制できる。また、同じ人物により電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがOFFされてONされた場合に、表示情報の損失を抑制できる。さらに、次の会議が始まると、前の会議の保存データを復元しないので情報漏洩を抑制できる。
なお、本実施例の場合、図15の設定画面において、表示情報復元設定欄612に「予約システムと連携」というメッセージとチェックボックスが表示される。ユーザがチェックボックスをONにすることで、電子黒板2は会議予約サーバ701の予約情報を利用して保存データを復元するか否かを判定する。
図20は、電子黒板2の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aがONされた際に電子黒板2が行う処理を示すフローチャート図の一例である。なお、電源OFF時の処理は図17Aと同様であり、図20では図17Bとの相違を主に説明する。なお、本実施例では復元タイムアウト時間が設定されていない場合を説明する。
図20では、ステップS123で、リカバリ処理部41の復元判定部415は表示情報復元設定がONで、更に予約システムと連携がONか否かを判定する(S123)。
ステップS123の判定がYesの場合、ステップS130で保存データがあるか否かが判定される。
そして、ステップS130の判定がYesの場合、復元判定部415は電源OFF時刻と電源ON時刻が現在の会議の開始時刻から終了時刻の間に含まれるか否かを判定する(S137)。すなわち、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aの操作履歴が参照される。
ステップS137の判定がYesの場合、データ復元処理部414は保存データを復元させる(S140)。ステップS137の判定がNoの場合、データ復元処理部414は保存データを削除する(S150)。
本実施例の電子黒板2は、会議予約システムの予約情報、および、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aの操作履歴を参照する。これにより、直前の電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFFが誤操作であるかどうかが推定され、又は、電源ボタン119又は遠隔電源ボタン11aのOFF/ONが同じ人物によるかどうかが推定される。これにより、表示情報の消失を抑制でき、また、情報漏洩を抑制できる。
なお、本実施例は、必要に応じて適宜変形されることで、他の実施例と組み合わせて適用することが可能である。
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、本実施形態では電子黒板2の表示情報の保存について説明したが、プロジェクターが投影した画像、テレビ会議端末が表示した情報、などにも適用できる。また、汎用的な情報処理装置である、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、PC、デジタルサイネージ、ゲーム機などに広く適用できる。
また、電子黒板2は、電子情報ボード又は電子ホワイトボード等どのように呼ばれているかは問わない。
また、バックアップデータ記憶部420やページデータ記憶部300は電子黒板2が有する他、通信ネットワーク9のサーバやNAS(Network Attached Storage)に記憶されていてもよい。
また、図4~6、8の構成例は、電子黒板2による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称は、本願発明を限定するものではない。電子黒板2の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
なお、画像処理部30や映像重畳部28等は表示制御手段の一例であり、電源ボタン監視部52は電源ボタン操作検出手段の一例であり、時刻取得部416は操作時刻記録手段の一例であり、データ保存処理部413は保存手段の一例であり、保存判定部412は判定手段の一例であり、データ復元処理部414は情報表示手段の一例である。ページデータ記憶部300は第一の記憶装置の一例であり、設定ファイル記憶部430は第二の記憶装置の一例である。ディスプレイ3は表示装置の一例である。
操作処理部26は設定受付手段の一例であり、パスコード管理部810はパスコード保持手段の一例である。会議予約サーバ701は外部機器の一例である。実施例1~6の電子黒板2が行う処理は情報処理方法の一例である。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々な変形が可能である。
本願は、日本特許庁に2015年10月15日に出願された基礎出願2015-203842号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。