以下、本開示の実施形態に係る同軸ケーブル用コンセントについて説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の例に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下では、ハウジング6(図5参照)のカバー62からボディ61に向かう向きを前方とし、入力側同軸ケーブル20が入力側端子部3に差し込まれる向き(図2参照)を上向きとして説明する。また、前後及び上下方向と直交する方向を左右方向とする。ただし、前後上下左右の方向は、説明のために便宜上使用しているに過ぎず、実施形態に係る同軸ケーブル用コンセントの使用方向を規定する趣旨ではない。
(1)実施形態1
(1-1)概要
本実施形態の同軸ケーブル用コンセント100は、送り配線方式に用いられる送り配線用(中継用)のテレビコンセントである。この同軸ケーブル用コンセント100は、壁面に取付けられるとき、出力側端子部3(図1参照)が露出する前面が室内側を向き、入力側端子部2及び送り側端子部4が壁の裏側に位置するように、取り付けられる。
同軸ケーブル用コンセント100は、図1~図9に示すように、入力側端子部2と出力側端子部3と、を備えている。入力側端子部2には、テレビ信号入力用の同軸ケーブル(入力側同軸ケーブル)20の芯線21が接続される。出力側端子部3には、テレビ信号出力用の同軸ケーブル(出力側同軸ケーブル)30の芯線31が接続される。本実施形態の同軸ケーブル用コンセント100は、更に、送り側端子部4を備えている。送り側端子部4には、入力側同軸ケーブル20からのテレビ信号を他のテレビコンセントに伝送するための送り側同軸ケーブル40の芯線41が接続される。
入力側同軸ケーブル20、出力側同軸ケーブル30、及び送り側同軸ケーブル40の各々は、内部導体と、内部導体を覆う絶縁体と、絶縁体を覆う外部導体と、外部導体を覆うシースと、を備えている。入力側同軸ケーブル20、出力側同軸ケーブル30、及び送り側同軸ケーブル40の各々では、内部導体、絶縁体、外部導体、及びシースが、ケーブルの延長方向と直交する断面において同軸状(同心状)に配置されている。内部導体は、例えば、銅線を備える。絶縁体は、例えば発泡ポリエチレンからなる。絶縁体は、内部導体と外部導体とを電気的に絶縁する。外部導体は、例えば、細い銅線を編んだいわゆる編組線を備えている。なお、外部導体は、金属箔を備えていてもよいし、同軸状(同心状)に設けられた編組線と金属箔とを備えていてもよい。なお、金属箔は一例としてアルミ箔が用いられる。
以下、入力側同軸ケーブル20の内部導体(芯線21)を第1導体、外部導体210(図2参照)を第2導体とも呼ぶ。また、送り側同軸ケーブル40の内部導体(芯線41)を第3導体、外部導体410を第4導体とも呼ぶ。
本実施形態の同軸ケーブル用コンセント100は、図4、図5に示すように、端子板5と、ハウジング6と、回路基板7と、を更に備えている。
端子板5は、端子台(第1端子台)51と第2端子台52(図3参照)とが金属板により一体に形成されている。
第1端子台51は、入力側端子部2と電気的に絶縁されている。図4に示すように、第1端子台51は、入力側同軸ケーブル20の第1導体(芯線21)が入力側端子部2に挿入された状態において、入力側同軸ケーブル20の第2導体と接触する。
第2端子台52は、送り側端子部4と電気的に絶縁されている。図17に示すように、第2端子台52は、送り側同軸ケーブル40の第3導体(芯線41)が送り側端子部4に挿入された状態において、送り側同軸ケーブル40の第4導体と接触する。
ハウジング6は、金属製である。ハウジング6は、内部空間を有する。ハウジング6の内部空間には、入力側端子部2、及び端子板5(第1端子台51及び第2端子台52)が収容される。また、ハウジング6の内部空間には、送り側端子部4が収容される。ハウジング6は、端子板5と電気的に接続されている。
回路基板7は、入力側端子部2と電気的に接続されている。詳しくは、入力側端子部2は、回路基板7の導体と電気的に接続されている。回路基板7は、出力側端子部3と電気的に接続されている。詳しくは、出力側端子部3は、回路基板7の導体と電気的に接続されている。入力側端子部2と出力側端子部3とは、回路基板7の導体を介して電気的に接続されている。また、回路基板7は、送り側端子部4と電気的に接続されている。詳しくは、送り側端子部4は、回路基板7の導体と電気的に接続されている。入力側端子部2と送り側端子部4とは、回路基板7の導体を介して電気的に接続されている。
回路基板7は、ハウジング6の内部空間に収容されている。回路基板7には回路部品71が実装されており、回路部品71及び回路基板7上に形成された導体で、電気回路が形成されている。電気回路は、例えば、入力側同軸ケーブル20から入力側端子部2に入力された電気信号を増幅する増幅回路、及び上記電気信号を送り側端子部4に分岐させる分岐回路、等を含む。
ハウジング6は、ボディ61とカバー62とを備える。
ボディ61は、一面に開口を有する中空箱状に形成されている。入力側端子部2、送り側端子部4及び端子板5は、ボディ61の開口から露出している。
カバー62は、結合構造8によって、ボディ61に結合される。カバー62は、入力側端子部2、送り側端子部4、端子板5、及びボディ61の開口を覆うように、ボディ61に結合される。また、カバー62は、図4に示すように、入力側同軸ケーブル20の第1導体が入力側端子部2に接続された状態において、入力側同軸ケーブル20の第1導体及び第2導体を覆う。入力側同軸ケーブル20は、端子板5(第1端子台51)とカバー62との間に挟持される。カバー62は、図17に示すように、送り側同軸ケーブル40の第3導体が送り側端子部4に接続された状態において、送り側同軸ケーブル40の第3導体及び第4導体を覆う。送り側同軸ケーブル40は、端子板5(第2端子台52)とカバー62との間に挟持される。
本実施形態の同軸ケーブル用コンセント100は、上記のように電気回路(ここでは、分岐回路)を備えた回路基板7を備えているので、送り配線方式に用いることが可能となる。また、同軸ケーブル用コンセント100では、入力側同軸ケーブル20の第1導体を入力側端子部2に接続した状態において、入力側同軸ケーブル20の第1導体及び第2導体が金属製のハウジング6内に収容される。この結果、電磁波に対するシールド性を向上させることが可能となる。本実施形態の同軸ケーブル用コンセントでは、送り側同軸ケーブル40の第3導体を送り側端子部4に接続した状態において、送り側同軸ケーブル40の第3導体及び第4導体が金属製のハウジング6内に収容される。この結果、電磁波に対するシールド性を向上させることが可能となる。
(1-2)詳細
本実施形態に係る同軸ケーブル用コンセント100について、図1~図17を参照してより詳細に説明する。
同軸ケーブル用コンセント100は、上記のように、入力側端子部2と、出力側端子部3と、送り側端子部4と、端子板5と、ハウジング6と、回路基板7と、結合構造8と、を備えている。本実施形態の同軸ケーブル用コンセント100は、更に、導電部材9(図4参照)と、絶縁カバー10と、化粧カバー11と、を備えている。
図5に示すように、ハウジング6は、ボディ61とカバー62とを備えている。カバー62は、結合構造8によってボディ61に結合される。本実施形態では、結合構造8は単一のねじ81を備える。
ボディ61は、金属製であり、本実施形態では亜鉛ダイキャストである。
図11に示すように、ボディ61は、前壁611と、前壁611の4辺から後方に立ち上がる4つの側壁(第1側壁としての上壁612、第2側壁としての下壁613、第3側壁としての右壁614、第4側壁としての左壁615)と、取付軸63と、を一体に備えている。ボディ61は、左右方向に長い中空の直方体状に形成されている。ボディ61の後面は、開口している。
図5、図11に示すように、ボディ61の前壁611の中央部分6111は周辺部分6112よりも前方に突出しており、中央部分6111と周辺部分6112との間に段差が形成されている。
図11に示すように、ボディ61の前壁611の中央には、前壁611を前後に貫通する貫通孔6110が形成されている。貫通孔6110は、上下方向に長いレーストラック形状に形成されている。
前壁611の前面において、貫通孔6110の縁部からは、円筒状の取付軸63が一体に突出している。取付軸63の外周面には、F型コネクタが結合可能なねじ山が形成されている。取付軸63には、出力側同軸ケーブル30のF型コネクタが接続可能である。
ボディ61の前壁611の中央部分6111の後面(内面)において、貫通孔6110の左右には、後方に突出する一対の突台617が形成されており、各突台617の後面から突起6170が後方に突出している。また、ボディ61の前壁611の中央部分6111の後面において、周辺部分6112との境界には、後方に突出する計3つの突台618が形成されており、各突台618の後面から突起6180が後方に突出している。3つの突台618のうちの1つは、上壁612に隣接して配置されており、3つの突台618のうちの残りの2つは、下壁613に隣接し左右に並んで配置されている。
ボディ61の前壁611の周辺部分6112の後面において、右側の部分及び左側の部分それぞれには、後方に突出する突台619(図示では、左側のみ)が形成されており、突台619の後面から突起6190が後方に突出している。
つまり、ボディ61の前壁611の後面には、ボディ61の側壁(上壁612、下壁613、右壁614、左壁615)の内面に隣接する位置に、複数の突台618、619が形成されている。
複数の突台617、618、619(突起6170、6180、6190を除く部分)の先端面は、前後方向において同一平面上にある。これら突台617、618、619の先端面に、回路基板7が載せ置かれる。
ボディ61の上壁612は、前壁611の上側の一辺から後方に突出する。図5に示すように、上壁612の上面(外面)からは、左右に並んだ一対の組立突起6120が上方に突出している。
ボディ61の下壁613は、前壁611の下側の一辺から後方に突出する。図11に示すように、下壁613の下面(外面)からは、左右に並んだ一対の組立突起6130が下方に突出している。
ボディ61の右壁614は、前壁611の右側の一辺から後方に突出する。ボディ61の左壁615は、前壁611の左側の一辺から後方に突出する。図11に示すように、右壁614の後端及び左壁615の後端において、上側の部分には、カバー62の支軸6260(図14参照)を受けるための軸受け6140、6150がそれぞれ設けられている。
下壁613の前壁611からの高さは、上壁612、右壁614、左壁615の高さよりも低い。言い換えれば、下壁613の後縁は、上壁612、右壁614及び左壁615の後縁よりも前方にある。
図11に示すように、上壁612、下壁613、右壁614、左壁615の内面において、前壁611からの突出高さが互いに等しい位置に、段差が形成されている。この段差部分610に、端子板5が載せ置かれる。
図12は、ボディ61に対して、回路基板7、入力側端子部2、出力側端子部3、送り側端子部4、導電部材9(第1導電部材91、第2導電部材92)を取り付けた状態を示している。
図12に示すように、回路基板7は、ボディ61の内部空間に収容されている。具体的には、回路基板7は、厚さ方向が前後方向に沿うようにして、ボディ61の突台617、618、619に後方から載せ置かれる。回路基板7の中央部分には、一対の貫通孔72が前後方向に貫通している。また、回路基板7の周縁部分には、複数(ここでは計5個)の貫通孔73が前後方向に貫通している。回路基板7が突台617、618、619に載せ置かれたときに、各突起6170が対応する貫通孔72に挿入され、各突起6180、6190が対応する貫通孔73に挿入される。回路基板7は、突起6170、6180、6190がはんだ付けされることで、ボディ61に固定される。各突起6170、6180、6190は、回路基板7におけるグランドに、はんだ付けされている。すなわち、回路基板7は、ボディ61の内壁に隣接する部分(貫通孔73の部分)で、導電性を有する結合部(はんだ)によってボディ61に結合されている。
回路基板7には、上述のように、回路部品71が実装されている。回路部品71と回路基板7上に形成された導体とで、増幅回路、分岐回路、等を含む電気回路が形成されている。
図12に示すように、回路基板7の中央には、挿通孔(出力端子用挿通孔)74が形成されている。挿通孔74には、出力側端子部3の基端部が前方から挿入されている。出力側端子部3は、回路基板7にはんだ付けされて回路基板7の電気回路に電気的に接続されている。
図10に示すように、出力側端子部3は、金属製の一対のばね片からなる。出力側端子部3は、ボディ61の前壁611の貫通孔6110を貫通して前壁611の前面よりも前方に突出し、前端が取付軸63の内部に位置している。
出力側端子部3の周りにおいて取付軸63の内側には、絶縁性のホルダ301が配置される。ホルダ301は、ボディ61における前壁611の貫通孔6110の内部に配置されており、前壁611の貫通孔6110の内面及び取付軸63と出力側端子部3との間に位置して、出力側端子部3とボディ61とを電気的に絶縁している。またホルダ301は、出力側端子部3の一対のばね片を閉じるように、出力側端子部3を保持している。
ボディ61の前壁611の貫通孔6110には、貫通孔6110を塞ぎ前方に突出するように、絶縁性の筒状部302が取り付けられている。筒状部302は、後面が開口し前方に突出する円筒状である。筒状部302は、取付軸63の内側に位置している。筒状部302は、その後縁に、ボディ61の前壁611の貫通孔6110の縁に引っ掛かる一対の引っ掛け片を有している。出力側端子部3及びホルダ301は、貫通孔6110を通って取付軸63内で前方に突出しており、筒状部302は、貫通孔6110から突出する出力側端子部3及びホルダ301の部分を、前方から覆っている。
筒状部302の前面の中央には、挿通孔3020(図1参照)が形成されている。挿通孔3020には、出力側同軸ケーブル30の芯線31が挿通可能である。挿通孔3020を通して筒状部302の内部に差し込まれた出力側同軸ケーブル30の芯線31が、出力側端子部3に挟持される。これにより、出力側同軸ケーブル30の芯線31と出力側端子部3とが電気的に接続される。
図12に示すように、回路基板7における右側の部分の上端に、入力側端子部2の基端部が接続されている。
入力側端子部2は、金属製である。入力側端子部2は、基端部が回路基板7にはんだ付けされて回路基板7の電気回路に電気的に接続されている。入力側端子部2は、回路基板7から後方に突出しており、その先端部(後端部)に、下方へ突出する一対のばね片22を備えている。
回路基板7における左側の部分の上端に、送り側端子部4の基端部が接続されている。送り側端子部4は、回路基板7の左右方向の中心を通りかつ回路基板7の厚み方向に平行な仮想面に対して、入力側端子部2と対称な位置で、回路基板7と接続されている。
送り側端子部4は、金属製である。送り側端子部4は、基端部が回路基板7にはんだ付けされて回路基板7の電気回路に電気的に接続されている。送り側端子部4は、回路基板7から後方に突出しており、その先端部(後端部)に、下方へ突出する一対のばね片42を備えている。
回路基板7が突台617、618、619に載置された状態において、入力側端子部2のばね片22及び送り側端子部4のばね片42は、ボディ61の下壁613の後縁よりも後方に突出している。
図13は、図12の状態から、ボディ61に対して端子板5及び絶縁カバー10を更に取付けた状態を示している。
図12、図13に示すように、端子板5は、ボディ61の側壁612~615の段差部分610に載せ置かれる。
端子板5は、金属製であり、ここでは鉄板で形成されている。図13に示すように、端子板5は、前後方向から見てボディ61の開口を覆う形状(ここでは矩形板状)に形成されている。すなわち、ボディ61の前壁611、側壁612~615、及び端子板5に囲まれた空間によって、電磁的なシールド空間が形成されており、回路基板7はこの空間内に配置されている。端子板5は、右側縁及び左側縁に沿って3つずつ形成された貫通孔に、ボディ61の右壁614及び左壁615の段差部分に3つずつ形成された突部を差し込み、突部の先端を潰して形成される嵌合部50によって、ボディ61に結合(固定)される。
端子板5において、右上側の部分には、入力側端子部2を通すための挿通孔53が形成されている。すなわち、入力側端子部2は、挿通孔53を通って端子板5よりも後方に突出している。端子板5において、挿通孔53の下方の部分が、入力側同軸ケーブル20の第2導体と接触する第1端子台51である。第1端子台51には、V字状の突台が形成されており、入力側同軸ケーブル20の第1導体を入力側端子部2に接続した状態において、第2導体が第1端子台51に接触しやすくなっている(図4参照)。
端子板5において、左上側の部分には、送り側端子部4を通すための挿通孔54が形成されている。すなわち、送り側端子部4は、挿通孔54を通って端子板5よりも後方に突出している。端子板5において、挿通孔54の下方の部分が、送り側同軸ケーブル40の第4導体と接触する第2端子台52である。第2端子台52には、V字状の突台が形成されており、送り側同軸ケーブル40の第3導体を送り側端子部4に接続した状態において、第4導体が第2端子台52に接触しやすくなっている(図17参照)。
また、端子板5において、下側中央部分には、ねじ81がねじ込まれるねじ孔55が形成されている。
図5、図12、図13に示すように、端子板5とボディ61との間には、導電部材9(第1導電部材91及び第2導電部材92)が配置されている(図12、図13には、第1導電部材91のみ図示)。より詳細には、端子板5の右側面とボディ61の右壁614との間に、第1導電部材91が配置され、端子板5の左側面とボディ61の左壁615との間に、第2導電部材92が配置されている。つまり、導電部材9は、ボディ61と端子板5とのうちの少なくとも一方と、カバー62と、の間に配置されている。また、導電部材9は、弾性を有している。
第1導電部材91は、金属製である。第1導電部材91は、中央に開口が形成された金属板を折曲げることで、上下方向から見てL字状に形成されており、横板部911と縦板部912とを有している。
第1導電部材91の横板部911は、ボディ61の右壁614の段差部分と端子板5の前面との間に挟まれている。図12に示すように、横板部911には、端子板5の2つの貫通孔に対応する位置に、2つの貫通孔9110が形成されており、これにより、第1導電部材91は、端子板5と一緒にボディ61に結合(固定)される。また、横板部911の中央には切り欠きが形成されており、この切り欠きの部分に、端子板5の前面に向かう向きに付勢された、3つの板ばね9111(図5参照)が設けられている。ボディ61の右壁614の段差部分に横板部911が載せ置かれ、端子板5が横板部911に載せ置かれた状態において、3つの板ばね9111が、端子板5に接触する向きに弾性力を付与する。これによって、ボディ61と端子板5との間の電気的な接続を確保することが可能となり、ボディ61と端子板5との間の電磁シールド性を向上させることが可能となる。
図13に示すように、第1導電部材91の縦板部912は、ボディ61の右壁614と端子板5の右面との間に挟まれている。縦板部912は、中央部分に、横板部911の切り欠きと繋がる矩形の切り欠きが形成されている。縦板部912の後側の一片から切り欠き内に、弾性を有する板ばね9121が突出している。この板ばね9121によって、ボディ61の右壁614と端子板5との間の隙間が狭められ、ボディ61と端子板5との間の電磁シールド性を向上させることが可能となる。また、板ばね9121が、ボディ61の右壁614に形成された前後に長い一対のリブの間に挟まれることで、縦板部912の上下方向の位置が保持される。また、右壁614の内面には、段差凹部が形成されており、その段差凹部内に縦板部912が嵌合されることによっても、縦板部912の上下方向の位置が保持されている。
なお、ボディ61の開口をカバー62で閉じた状態(図9参照)では、板ばね9121がカバー62の右壁624に接触する。これにより、ボディ61の右壁614とカバー62の右壁624との間の電気的な接続を確保することが可能となり、ボディ61とカバー62との間の電磁シールド性を向上させることが可能となる。
第2導電部材92は、金属製である。第2導電部材92は、左右方向において、第1導電部材91と面対称の形状に形成されている。第2導電部材92は、中央に開口が形成された金属板を折曲げることで、上下方向から見てL字状に形成されており、横板部921と縦板部922とを有する。
第2導電部材92の横板部921は、ボディ61の左壁615の段差部分と端子板5の前面との間に挟まれている。図12に示すように、横板部921には、端子板5の2つの貫通孔に対応する位置に、2つの貫通孔9210が形成されており、これにより、第2導電部材92は、端子板5と一緒にボディ61に結合(固定)される。また、横板部921の中央には切り欠きが形成されており、この切り欠きの部分に、端子板5の前面に向かう向きに付勢された、3つの板ばね9211が設けられている。ボディ61の左壁615の段差部分に横板部921が載せ置かれ、端子板5が横板部921に載せ置かれた状態において、3つの板ばね9211が、端子板5に接触する向きに弾性力を付与する。これによって、ボディ61と端子板5との間の電気的な接続を確保することが可能となり、ボディ61と端子板5との間の電磁シールド性を向上させることが可能となる。
図13に示すように、第2導電部材92の縦板部922は、ボディ61の左壁615と端子板5の左面との間に挟まれている。縦板部922は、中央部分に、横板部921の切り欠きと繋がる矩形の切り欠きが形成されている。縦板部922の後側の一片から切り欠き内に、弾性を有する板ばね9221が突出している(図9参照)。この板ばね9221によって、ボディ61の左壁615と端子板5との間の隙間が狭められ、ボディ61と端子板5との間の電磁シールド性を向上させることが可能となる。また、板ばね9221が、ボディ61の左壁615に形成された前後に長い一対のリブ6151の間に挟まれることで、縦板部922の上下方向の位置が保持される。また、左壁615の内面には、段差凹部が形成されており、その段差凹部内に縦板部922が嵌合されることによっても、縦板部922の上下方向の位置が保持されている。
また、ボディ61の開口をカバー62で閉じた状態では、板ばね9221がカバー62の左壁625に接触する。これにより、ボディ61の左壁615とカバー62の左壁625との間の電気的な接続を確保することが可能となり、ボディ61とカバー62との間の電磁シールド性を向上させることが可能となる。
図13に示すように、入力側端子部2と端子板5との間、及び送り側端子部4と端子板5との間に、絶縁性の絶縁カバー10(図13参照)が介在している。絶縁カバー10は、入力側端子部2及び送り側端子部4と端子板5とを、電気的に絶縁する。
図5に示すように、絶縁カバー10は、基台部101と、入力側端子収容部102と、送り側端子収容部103と、を一体に備えている。絶縁カバー10は、例えば電気絶縁性を有する材料(例えば樹脂材料)により形成されている。基台部101は、板状である。入力側端子収容部102は、基台部101から後方に凹んで形成されている。送り側端子収容部103は、基台部101から後方に凹んで形成されている。
基台部101は、回路基板7の後面に載せ置かれる脚片1010を、その前面の左右の両端に有している。基台部101の後面は、端子台5の前面に接触或いは近接している。
入力側端子収容部102は、前方に開口した中空の矩形箱状である。入力側端子収容部102は、端子板5における挿通孔53の縁部と入力側端子部2との間に位置し、入力側端子部2を覆う。入力側端子収容部102及びその周りの基台部101の部分によって、端子板5の挿通孔53が閉じられている。入力側端子収容部102は、入力側端子部2と端子板5とを電気的に絶縁している。入力側端子収容部102の下面には、入力側端子部2のばね片22に対応する位置に、貫通孔1020(図13参照)が形成されている。
送り側端子収容部103は、前方に開口した中空の矩形箱状である。送り側端子収容部103は、端子板5における挿通孔54の縁部と送り側端子部4との間に位置し、送り側端子部4を覆う。送り側端子収容部103及びその周りの基台部101の部分によって、端子板5の挿通孔54が閉じられている。送り側端子収容部103は、送り側端子部4と端子板5とを電気的に絶縁している。送り側端子収容部103の下面には、送り側端子部4のばね片42に対応する位置に、貫通孔1030(図13参照)が形成されている。
図1~図5、図7~図9に示すように、カバー62は、ボディ61の開口を覆うようにボディ61に取付けられる。カバー62は、金属製であり、本実施形態では亜鉛ダイキャストである。
カバー62は、図14に示すように、後壁621と、4つの側壁(第1側壁としての上壁622、第2側壁としての下壁623、第3側壁としての右壁624、第4側壁としての左壁625)と、を一体に備えている。カバー62の前面は、開口している。
図3、図14に示すように、カバー62の後壁621は、段差を有する階段状に形成されている。すなわち、後壁621は、板状の第1部分626と、第1部分626の下縁から前方に突出する板状の第2部分627と、第2部分627の前縁から下方に突出する板状の第3部分628と、を備えている。
第1部分626の上端における左右両側には、側方に突出する支軸6260が形成されている。支軸6260は、ボディ61の軸受け6140、6150に保持される。支軸6260が軸受け6140、6150に保持された状態では、カバー62は、図15に示すように、支軸6260の周りで回転可能にボディ61に支持されている。ここにおいて、軸受け6140、6150の各々は、支軸6260を回転可能に支持する溝部と、その溝部と繋がり、溝部の幅及び支軸6260の直径より小さい幅の、開口部を有する。開口部の幅が支軸6260の直径よりも小さいため、支軸6260の軸受け6140、6150からの脱落が防止される。また、軸受け6140、6150の空間が、支軸6260によって埋められており、同軸ケーブル用コンセント100の電磁シールド性が向上する。
図14に示すように、第3部分628の左右方向の中央には、ねじ81を通すための貫通孔6280が形成されている。図3に示すように、第2部分627の左右方向の中央(貫通孔6280に対応する位置)には、ねじ81の頭を避けるように、円筒面状の凹み6270が形成されている。
カバー62の下壁623は、後壁621の第3部分628の下端よりもやや上方の位置から、前方に突出している。すなわち、図2、図14に示すように、後壁621の第3部分628の一部(下端部)が、いわゆる庇状となっている。
図2、図3に示すように、カバー62の下壁623において右側の部分には、カバー62がボディ61の開口を覆った状態で入力側端子部2と上下方向で対向する位置に、第1保持凹部6231が形成されている。第1保持凹部6231は、第3部分628に湾曲部6281を形成することにより、下方から見て半円状に形成されている。第1保持凹部6231の左右方向の幅(開口幅)は、入力側同軸ケーブル20の外径とほぼ同じ(やや大きい)である。
カバー62を開放した状態(図15参照)で、入力側同軸ケーブル20の芯線21(第1導体)を、絶縁カバー10における入力側端子収容部102の貫通孔1020を通して入力側端子部2に挿入して入力側端子部2に接続させる。そして、支軸6260周りにカバー62を回転させて、カバー62を閉じる。これにより、入力側同軸ケーブル20が、第1保持凹部6231内で、カバー62と端子板5(第1端子台51)及びボディ61の下壁613との間に挟持される(図16参照)。
図2、図3に示すように、カバー62の下壁623において左側の部分は、カバー62がボディ61の開口を覆った状態で送り側端子部4と上下方向で対向する位置に、第2保持凹部6232が形成されている。第2保持凹部6232は、第3部分628に湾曲部6282を形成することにより、下方から見て半円状に形成されている。第2保持凹部6232の左右方向の幅(開口幅)は、送り側同軸ケーブル40の外径とほぼ同じ(やや大きい)である。
カバー62を開放した状態(図15参照)で、送り側同軸ケーブル40の芯線41(第3導体)を、絶縁カバー10における送り側端子収容部103の貫通孔1030を通して送り側端子部4に挿入して送り側端子部4に接続させる。そして、支軸6260周りにカバー62を回転させて、カバー62を閉じる。これにより、送り側同軸ケーブル40が、第2保持凹部6232内で、カバー62と端子板5(第2端子台52)及びボディ61の下壁613との間に挟持される(図16参照)。
図14に示すように、第1保持凹部6231内には、第1受け金具641が配置されている。また、第2保持凹部6232内には、第2受け金具642が配置されている。第1受け金具641及び第2受け金具642の各々は、弾性を有する金属製であり、半円筒状に形成されている。第1受け金具641及び第2受け金具642の各々には、位置決めのための複数の貫通孔が形成されている。第1受け金具641及び第2受け金具642は、複数の貫通孔それぞれに、カバー62の後壁621の第3部分628の前面(内面)において第1保持凹部6231及び第2保持凹部6232に形成された突起が挿入されることにより、位置決めされる。また、第1受け金具641及び第2受け金具642は、貫通孔に突起が嵌め込まれることで、カバー62に固定されている。
入力側同軸ケーブル20の芯線21(第1導体)を入力側端子部2に接続し、カバー62を閉じた状態では、第1受け金具641により、入力側同軸ケーブル20とハウジング6との間の隙間(第1保持凹部6231)が塞がれる。したがって、同軸ケーブル用コンセント100の電磁シールド性を更に向上させることが可能となる。また、送り側同軸ケーブル40の芯線41(第3導体)を送り側端子部4に接続し、カバー62を閉じた状態では、第2受け金具642により、送り側同軸ケーブル40とハウジング6との間の隙間(第2保持凹部6232)が塞がれる。したがって、同軸ケーブル用コンセント100の電磁シールド性を更に向上させることが可能となる。つまり、第1受け金具641及び第2受け金具642の各々も、端子板5とカバー62との間に配置される導電部材9としても、機能する。
図14に示すように、カバー62の上壁622には、上下方向において第1保持凹部6231と対応する位置に、矩形状の第1切り欠き6221が形成されている。また、カバー62の上壁622には、上下方向において第2保持凹部6232と対応する位置に、矩形状の第2切り欠き6222が形成されている。第2切り欠き6222の形状は、第1切り欠き6221の形状と同じである。また、第2切り欠き6222は、カバー62の左右方向の中心を通りかつ左右方向と直交する仮想面に対して、第1切り欠き6221と対称な位置に形成されている。
第1切り欠き6221は、カバー62を支軸6260周りで回転させるときに、絶縁カバー10の入力側端子収容部102が通過できる大きさに形成されている。第2切り欠き6222は、カバー62を支軸6260周りで回転させるときに、絶縁カバー10の送り側端子収容部103が通過できる大きさに形成されている。
図14に示すように、カバー62の上壁622には、導電部材9(第3導電部材93及び第4導電部材94)が設けられている。第3導電部材93及び第4導電部材94は、カバー62を閉じたときにボディ61の上壁612に接触して、ボディ61の上壁612とカバー62の上壁622との間をつなぐ。第3導電部材93は、カバー62の上壁622において、第1切り欠き6221に対応する位置に設けられている。第4導電部材94は、カバー62の上壁622において、第2切り欠き6222に対応する位置に設けられている。
第3導電部材93は、金属製である。図14に示すように、第3導電部材93は、半円筒状の基部931と、基部931の上縁から上方に延びる一対の板状の連結部932と、各連結部932の上縁から左又は右に延びる、計4つの板ばね部933と、を一体に有する。
第3導電部材93の基部931は、中央に貫通孔が設けられている。第3導電部材93は、貫通孔に、カバー62の後壁621の第1部分626の前面(内面)に形成された突起が挿入されることにより、位置決めされる。また、第3導電部材93の基部931は、例えば貫通孔に突起が嵌め込まれることで、カバー62に固定され、カバー62と電気的に接続されている。
連結部932は、基部931と板ばね部933とを機械的及び電気的に接続している。
板ばね部933は、弾性を有する。板ばね部933は、カバー62の上壁622の第1切り欠き6221の側辺(右辺又は左辺)に対応する位置から、第1切り欠き6221と離れる向きに延びている。板ばね部933の先端は、カバー62を閉じたときにボディ61の上壁612に接触する(図9参照)。
第4導電部材94は、金属製である。図14に示すように、第4導電部材94は、半円筒状の基部941と、基部941の上縁から上方に延びる一対の板状の連結部942と、各連結部942の上縁から左又は右に延びる、計4つの板ばね部943と、を一体に有する。第4導電部材94の形状は、第3導電部材93の形状と同じである。
第4導電部材94の基部941は、中央に貫通孔が設けられている。第4導電部材94は、貫通孔に、カバー62の後壁621の第1部分626の前面(内面)に形成された突起が挿入されることにより、位置決めされる。また、第4導電部材94の基部941は、例えば貫通孔に突起が嵌め込まれることで、カバー62に固定され、カバー62と電気的に接続されている。
連結部942は、基部941と板ばね部943とを機械的及び電気的に接続している。
板ばね部943は、弾性を有する。板ばね部943は、カバー62の上壁622の第2切り欠き6222の側辺(右辺又は左辺)に対応する位置から、第2切り欠き6222と離れる向きに延びている。板ばね部943の先端は、カバー62を閉じたときにボディ61の上壁612に接触する(図9参照)。
図9に示すように、カバー62を閉じた状態では、第3導電部材93の板ばね部933及び第4導電部材94の板ばね部943によって、ボディ61の上壁612とカバー62の上壁622とが接続される。これにより、ボディ61とカバー62との間の電気的な接続を確保することが可能となり、ボディ61とカバー62との間の電磁シールド性を向上させることが可能となる。
図1~図5に示すように、ボディ61の前側には、合成樹脂で中空箱状に形成された化粧カバー11が取付けられる。化粧カバー11の前壁の中央には、取付軸63が挿通される円形状の貫通孔110が設けられている。
図1に示すように、化粧カバー11の上壁には、ボディ61の一対の組立突起6120が嵌まる一対の組立孔111が形成されている。図2に示すように、化粧カバー11の下壁には、ボディ61の一対の組立突起6130が嵌まる一対の組立孔112が形成されている。化粧カバー11は、組立孔111、112に、対応する組立突起6120、6130を嵌め込むことで、ボディ61に結合される。
また、化粧カバー11には、配線器具用の取付枠(JIS C 8375で規格化されている大角形連用コネクタの取付枠)に同軸ケーブル用コンセント100を取り付けるための、取付け金具12が取り付けられている。同軸ケーブル用コンセント100は、この取付け金具12と、例えば配線器具用の取付枠とを用いて、壁面に固定される。
上記の同軸ケーブル用コンセント100を壁面に設置する際には、まず図15に示すようにカバー62を開けた状態で、入力側同軸ケーブル20の芯線21を入力側端子収容部102の貫通孔1020に挿通して入力側端子部2に接続する。また、送り側同軸ケーブル40の芯線41を、送り側端子収容部103の貫通孔1030に挿通して送り側端子部4に接続する。
そして、カバー62を閉じて、カバー62の貫通孔6280にねじ81を通し、端子板5のねじ孔55にねじ81を締め込む。これにより、カバー62がボディ61に固定される。このとき、入力側同軸ケーブル20が第1保持凹部6231内で径方向に押圧されて変形する。この結果、第1保持凹部6231が入力側同軸ケーブル20で埋められる。また、送り側同軸ケーブル40が第2保持凹部6232内で径方向に押圧されて変形する。この結果、第2保持凹部6232が送り側同軸ケーブル40で埋められる。
この状態で、同軸ケーブル用コンセント100が取り付けられた取付枠を、壁面に設置する。そして、室内に露出される取付軸63に出力側同軸ケーブル30のF型コネクタを接続し、芯線31を筒状部302の挿通孔3020に挿通して出力側端子部3に保持させる。すると、入力側同軸ケーブル20の芯線21、送り側同軸ケーブル40の芯線41、出力側同軸ケーブル30の芯線31が、回路基板7を介して接続される状態となる(図4、図16、図17参照)。なお、図4では、入力側同軸ケーブル20がボディ61とカバー62とで挟まれて変形された状態を示しているが、もちろん、入力側同軸ケーブル20は変形しなくてもよい。同様に、送り側同軸ケーブル40は変形しなくてもよい。
このように構成された同軸ケーブル用コンセント100では、入力側同軸ケーブル20を入力側端子部2に接続した状態において、第1導体(芯線21)、及び第2導体がハウジング6の内部空間内に位置している。これにより、第1導体が、ハウジング6の外部空間から電気的に絶縁される。したがって、同軸ケーブル用コンセント100では、電磁シールド性を向上させて、外部から入力側同軸ケーブル20へのノイズの混入、及び入力側同軸ケーブル20から外部空間への電磁波の放出を、抑制することが可能となる。
また、送り側同軸ケーブル40を送り側端子部4に接続した状態において、第3導体(芯線31)、及び第4導体がハウジング6の内部空間内に位置している。これにより、第3導体が、ハウジング6の外部空間から電気的に絶縁される。したがって、同軸ケーブル用コンセント100では、電磁シールド性を向上させて、外部から送り側同軸ケーブル40へのノイズの混入、及び送り側同軸ケーブル40から外部空間への電磁波の放出を、抑制することが可能となる。
また、同軸ケーブル用コンセント100では、送り配線方式に必要な電気回路を備えた回路基板7が、ハウジング6の内部空間に収容されている。したがって、送り配線方式を可能としながら、外部から回路基板7の電気回路へのノイズの混入を、抑制することが可能となる。
また、ボディ61とカバー62との間には、導電部材9(第1導電部材91~第4導電部材94)が配置されている。すなわち、ボディ61とカバー62との間の隙間が、導電部材9によって塞がれる。導電部材9は、入力側同軸ケーブル20の延長方向から見て入力側端子部2が配置される第1空間(図7における右側の空間)に配置される、第1導電部材91、第3導電部材93を備えている。導電部材9は、更に、第1空間に隣り合う第2空間(図7における左側の空間)に配置される第2導電部材92、第4導電部材94を備えている。これにより、同軸ケーブル用コンセント100の電磁シールド性が更に向上する。また、導電部材9(板ばね9111、9121、9211、9221、板ばね部933、943)が弾性を有しているため、導電部材9又は他の部材に寸法誤差があっても、導電部材9の弾性によって寸法誤差を吸収することができる。
また、ボディ61とカバー62とを結合する結合構造8は、単一のねじ81を備える。ねじ81によって端子板5とカバー62と結合することで、ボディ61とカバー62とが結合される。これにより、同軸ケーブル用コンセント100に入力側同軸ケーブル20及び送り側同軸ケーブル40を接続する際の、施工性が向上する。
(2)実施形態2
本実施形態に係る同軸ケーブル用コンセント200について、図18~図21を参照して説明する。
本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200は、送り配線方式に用いられる端末用のテレビコンセントである。本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200は、特に、送り側端子部4を備えておらず、回路基板7の電気回路が終端回路(終端抵抗又はアッテネータ)を備えている点で、実施形態1の同軸ケーブル用コンセント100と相違する。本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200において、実施形態1の同軸ケーブル用コンセント100と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図20に示すように、本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200は、基本的には、実施形態1の同軸ケーブル用コンセント100と共通の部品を備えている。また、ハウジング6等の寸法も、実施形態1の同軸ケーブル用コンセント100と共通である。ただし、本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200では、端子板5に挿通孔54が形成されていない。また、絶縁カバー10は、送り側端子収容部103が形成されておらず、カバー62には第2保持凹部6232が形成されていない。
より詳細には、同軸ケーブル用コンセント200は、図18~図21に示すように、入力側端子部2と、出力側端子部3と、を備えている。入力側端子部2には、テレビ信号入力用の同軸ケーブル(入力側同軸ケーブル)20の芯線21が接続される。なお、実施形態1の同軸ケーブル用コンセント100の送り側端子部4に接続された送り側同軸ケーブル40が、本実施形態では入力側同軸ケーブル20として入力側端子部2に接続される。
また、本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200は、端子板5と、ハウジング6と、回路基板7と、を更に備えている。
端子板5は、第1端子台51を含み、金属板により形成されている。
第1端子台51は、入力側端子部2と電気的に絶縁されている。第1端子台51は、入力側同軸ケーブル20の第1導体(芯線21)が入力側端子部2に挿入された状態において、入力側同軸ケーブル20の第2導体と接触する。
ハウジング6は、金属製である。ハウジング6は、入力側端子部2、及び端子板5を収容する内部空間を有する。ハウジング6は、端子板5と電気的に接続されている。
回路基板7は、入力側端子部2と電気的に接続されている。回路基板7は、出力側端子部3と電気的に接続されている。入力側端子部2と出力側端子部3とは、回路基板7の導体を介して電気的に接続されている。回路基板7は、ハウジング6の内部空間に収容されている。回路基板7には回路部品71が実装されており、回路部品71及び回路基板7上に形成された導体で、電気回路が形成されている。電気回路は、例えば、入力側端子部2に接続される配線の特性インピーダンスと整合するための終端回路等を含む。
ハウジング6は、ボディ61とカバー62とを備える。
ボディ61は、一面に開口を有する中空箱状に形成されている。入力側端子部2及び端子板5は、ボディ61の開口から露出している。
カバー62は、結合構造8によって、ボディ61に結合される。カバー62は、入力側端子部2、端子板5、及びボディ61の開口を覆うように、ボディ61に結合される。本実施形態の結合構造8は、単一のねじ81を含む。また、カバー62は、入力側同軸ケーブル20の第1導体が入力側端子部2に接続された状態において、入力側同軸ケーブル20の第1導体及び第2導体を覆う。
なお、カバー62の下壁623には、第1保持凹部6231が形成されているが、第2保持凹部6232(図2、図3参照)は形成されていない。ただし、カバー62の上壁622には、第1切り欠き6221及び第2切り欠き6222の両方が形成されている。更に、第1切り欠き6221に対応する位置に第3導電部材93が配置され、第2切り欠き6222に対応する位置に第4導電部材94が配置されている。
本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200は、上記のように終端回路を備えた回路基板7を備えているので、送り配線方式の端末(終端)として用いることが可能となる。また、同軸ケーブル用コンセント200は、入力側同軸ケーブル20の第1導体を入力側端子部2に接続した状態において、電磁波に対するシールド性を向上させることが可能となる。
同軸ケーブル用コンセント200は、入力側端子部2が配置される第1空間(図19における右側の空間)に配置される第1導電部材91、第3導電部材93を備えている。本実施形態の同軸ケーブル用コンセント200は、さらに、第1空間に隣り合う第2空間(図19における左側の空間)に配置される第2導電部材92、第4導電部材94を備えている。これにより、同軸ケーブル用コンセント100の電磁シールド性が更に向上する。
(3)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
同軸ケーブル用コンセント100、200において、出力側端子部3は1個に限られず、複数設けられていてもよい。この場合、ボディ61に複数の取付軸63が形成される。また、実施形態1の同軸ケーブル用コンセント100において、送り側端子部4は1個に限られず、複数設けられていてもよい。この場合、回路基板7に複数の分岐回路が設けられ、端子板5に複数の挿通孔54及び第2端子台52が設けられ、カバー62に複数の第2保持凹部6232が設けられる。
導電部材9は、ボディ61、カバー62、又は端子板5と一体に設けられていてもよい。例えば、導電部材9は、ボディ61及び/又はカバー62及び/又は端子板5から突出する突部であってもよい。導電部材9は、必ずしも弾性を有していなくてもよい。
結合構造8は単一のねじ81に限られず、ボディ61に対してカバー62を開け閉め可能に結合できればよく、例えばボディ61とカバー62とに設けられて互いに嵌まり合う嵌合構造等でもよい。
ねじ81は、第1端子台51及び第2端子台52を備えた端子板5にねじ止めされなくてもよい。すなわち、ねじ81は、第1端子台51及び第2端子台52とは別体であってボディ61に結合された受け部材に結合されたり、ボディ61に直接結合されたりしてもよい。
カバー62は、ボディ61に対して支軸6260の周りで回転する構造でなくてもよい。例えば、カバー62の側壁に突条が設けられ、ボディ61の側壁に突条が嵌まる溝が設けられており、ボディ61の溝に沿ってカバー62をスライドさせることで、カバー62がボディ61の開口を塞ぐ構造等であってもよい。
同軸ケーブル用コンセント100、200の用途は、テレビコンセントに限られず、複数の任意の機器を同軸ケーブルにより送り配線方式で接続する任意のシステムに、用いられてもよい。
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、入力側端子部(2)と、端子台(51)と、ハウジング(6)と、回路基板(7)と、を備える。入力側端子部(2)には、第1導体及び第2導体を有する入力側同軸ケーブル(20)のうちの第1導体が接続される。端子台(51)は、入力側端子部(2)と電気的に絶縁されている。端子台(51)は、第1導体が入力側端子部(2)に接続された接続状態において、入力側同軸ケーブル(20)の第2導体と接触する。ハウジング(6)は、金属製である。ハウジング(6)は、端子台(51)と電気的に接続されている。ハウジング(6)は、入力側端子部(2)及び端子台(51)を収容する内部空間を有する。回路基板(7)は、入力側端子部(2)と電気的に接続されている。回路基板(7)は、ハウジング(6)の内部空間に収容されている。ハウジング(6)は、ボディ(61)と、カバー(62)と、を備える。ボディ(61)は、入力側端子部(2)及び端子台(51)が露出する開口を有する。カバー(62)は、結合構造(8)によってボディ(61)と結合される。カバー(62)は、接続状態における入力側同軸ケーブル(20)の第1導体及び第2導体を覆い、かつボディ(61)の開口を覆うように、ボディ(61)と結合される。
この態様によれば、入力側同軸ケーブル(20)を入力側端子部(2)に接続した状態において、第1導体(芯線21)、及び第2導体がハウジング(6)の内部に収納されている。したがって、電磁シールド性を向上させて、外部から入力側同軸ケーブル(20)へのノイズの混入、及び入力側同軸ケーブル(20)から外部空間への電磁波の放出を、抑制することが可能となる。また、送り配線方式に必要な電気回路(増幅回路、分岐回路、終端回路等)を備えた回路基板(7)が、ハウジング(6)の内部に収納されている。したがって、送り配線方式を可能としながら、回路基板(7)の電気回路へのノイズの混入及び回路基板からの信号の漏洩を、抑制することが可能となる。すなわち、送り配線方式に用いられ、電磁波に対するシールド性を確保することが可能な同軸ケーブル用コンセント(100、200)を提供することが可能となる。
第2の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第1の態様において、ボディ(61)と端子台(51)とのうちの少なくとも一方と、カバー(62)と、の間に配置される導電部材(9)を、更に備える。
この態様によれば、ボディ(61)とカバー(62)との間の隙間、及び/又は端子台(51)とカバー(62)との間の隙間が、導電部材(9)によって塞がれる。これにより、同軸ケーブル用コンセント(100、200)の電磁シールド性が更に向上する。
第3の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第2の態様において、導電部材(9)は、弾性を有する。
この態様によれば、導電部材(9)と他の部材(ボディ61、カバー62)とを確実に接触させることが可能となり、電磁シールド性が更に向上する。
第4の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第2又は第3の態様において、以下のように構成される。すなわち、ハウジング(6)の内部空間は、接続状態における入力側同軸ケーブル(20)の延長方向から見て、入力側端子部(2)が配置される第1空間と第1空間に隣り合い入力側端子部(2)が配置されない第2空間とを含む。導電部材(第2導電部材92、第4導電部材94)は、第2空間におけるボディ(61)とカバー(62)との間にある。
この態様によれば、第2空間において、ボディ(61)とカバー(62)との間の隙間が、導電部材(第2導電部材92、第4導電部材94)によって塞がれる。これにより、同軸ケーブル用コンセント(100、200)の電磁シールド性が更に向上する。
第5の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第1~第4のいずれかの態様において、端子台(51)は、ボディ(61)に結合されている。結合構造(8)は、端子台(51)とカバー(62)とを結合することでボディ(61)とカバー(62)とを結合する。
この態様によれば、カバー(62)が端子台(51)に結合されるので、カバー(62)を結合するための他の部材(例えば、端子台51とは別体である、ねじ受けのための台座)が必要な場合に比べて、施工性が向上する。
第6の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第1~第5のいずれかの態様において、結合構造(8)は、単一のねじ(81)を含む。
この態様によれば、ボディ(61)とカバー(62)とを単一のねじ(81)で結合することが可能となり、施工性が向上する。
第7の態様の同軸ケーブル用コンセント(100)は、第1~第6のいずれかの態様において、送り側端子部(4)と第2端子台(52)とを更に備える。送り側端子部(4)には、第3導体及び第4導体を有する送り側同軸ケーブル(40)のうちの第3導体が接続される。第2端子台(52)は、端子台(第1端子台51)と電気的に接続されている。第2端子台(52)は、第3導体が送り側端子部(4)に接続された状態において、送り側同軸ケーブル(40)の第4導体と接触する。送り側端子部(4)及び第2端子台(52)は、ハウジング(6)の内部空間に収納される。
この態様によれば、送り配線方式の送り配線用(中継用)の同軸ケーブル用コンセントを提供することが可能となる。
第8の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第1~第7のいずれかの態様において、回路基板(7)は、ボディ(61)の内壁に隣接する部分で、導電性を有する結合部によってボディ(61)に結合されている。
この態様によれば、同軸ケーブル用コンセント(100、200)の電磁シールド性が更に向上する。
第9の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第1~第8のいずれかの態様において、入力側端子部(2)と端子台(51)との間に位置し入力側端子部(2)と端子台(51)とを電気的に絶縁する絶縁カバー(10)を更に備える。
この態様によれば、入力側端子部(2)と端子台(51)とを電気的に絶縁して、入力側同軸ケーブル(20)の信号伝送特性を向上させることが可能となる。
第10の態様の同軸ケーブル用コンセント(100、200)は、第1~第9のいずれかの態様において、出力側端子部(3)を更に備える。出力側端子部(3)は、回路基板(7)と電気的に接続され、ボディ(61)において開口と対向する面に形成された貫通孔から露出し、出力側同軸ケーブル(30)の芯線(31)が電気的に接続される。
この態様によれば、ボディ(61)において、入力側端子部(2)とは反対側に出力側端子部(3)が配置されるので、入力側同軸ケーブル(20)及び出力側同軸ケーブル(30)を接続する際の施工性が向上する。