以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態](4-3配置)
(構成)
図1に示すように、ブレーキシステムは、ブレーキペダル11、マスタシリンダ12、リザーバタンク13、ホイルシリンダ14、及びブレーキ制御装置1を有しており、車両に搭載される。車両は、車輪を駆動する原動機として内燃機関や電動モータ等を備えた、4輪自動車である。なお、車輪の数は3等でもよい。各車輪に設けられるブレーキ作動ユニットはディスクブレーキでもドラムブレーキでもよい。各車輪(前左輪FL、前右輪FR、後左輪RL、後右輪RR)に設けられるホイルシリンダ14は、作動液としてのブレーキ液の圧力(ホイルシリンダ圧)に応じて、キャリパ・ピストン又はブレーキ・シューを作動させる。これにより各車輪に摩擦制動力(液圧制動力)を発生する。ブレーキシステムは、プライマリ(P)系統とセカンダリ(S)系統の2系統に分かれる。配管形式は対角配管であるが、前後配管を採用してもよい。以下、P系統の部材や構成については符号の末尾にPを、S系統の部材や構成については符号の末尾にSを付して、適宜区別する。また、前左輪FL、前右輪FR、後左輪RL、後右輪RRに対応する部材や構成については、符号の末尾にそれぞれa,b,c,dを付して、適宜区別する。
マスタシリンダ12は、シリンダ120、ピストン121、及びばねユニット122を有する。マスタシリンダ12は、タンデム式であり、シリンダ120の内部に2つのピストン121P,121Sを直列に有する。ピストン121P,121Sにより2つの液圧室123P,123Sがシリンダ120の内部に区画される。液圧室123P,123Sには、それぞればねユニット122P,122Sが設置される。プライマリピストン121Pは、プッシュロッド110を介して、ブレーキペダル11に連結される。シリンダ120は、例えばダッシュパネルに固定される。シリンダ120の外周には、リザーバタンク13とストロークセンサ15が設置される。リザーバタンク2は、ブレーキ液を貯留し、大気圧に開放される。リザーバタンク13の内部における底部側には、2つの液室131,132が区画される。各液室131,132には、液面の高さを検出可能な液面センサ161,162がそれぞれ設置されている。液室131は更に液室131P,131Sに区画される。ストロークセンサ15は、プライマリピストン121P(プッシュロッド110)のストローク量を検出する。ピストン121P,121Sが初期位置にあるとき、液圧室123P,123Sは、それぞれリザーバタンク13の液室131P,131Sに連通する。ブレーキペダル11が踏み込まれ、ピストン121P,121Sが初期位置から所定量以上ストロークすると、液圧室123P,123Sと液室131P,131Sとの連通が遮断され、ブレーキペダル11の踏力に応じた液圧(マスタシリンダ圧)が液圧室123P,123Sに発生する。ブレーキペダル11が離されると、ばねユニット122P,122Sのばねの付勢力により、ピストン121P,121Sが初期位置へ戻る。各液圧室123は、ブレーキ管171,172及びブレーキ制御装置1を介して、ホイルシリンダ14に連通可能である。
(ブレーキ制御装置の構成)
ブレーキ制御装置1は、ブレーキ管171,172,173を介して、マスタシリンダ12、ホイルシリンダ14、リザーバタンク13にそれぞれ接続される。例えばブレーキ管171,172は金属管(鋼管)であり、ブレーキ管173はフレキシブルなゴムホースや樹脂管である。ブレーキ制御装置1は、ハウジング2、ポンプ装置3、ストロークシミュレータ4、複数の弁、複数の液圧センサ61,62、及びコントロールユニット7を備える。ポンプ装置3は、モータ30とポンプユニット31を有する。モータ30はポンプユニット31を駆動する。モータ30は、ブラシ付きモータでもよいし、回転軸の回転角度ないし回転数を検出するレゾルバを備えるブラシレスモータでもよい。ポンプユニット31は、P系統及びS系統で共通の液圧源として機能する。
ストロークシミュレータ4は、シリンダ40、ピストン41、及びばねユニット42を有する。シリンダ40はハウジング2に取り付けられる。シリンダ40の内部は、ピストン41により、正圧室431と背圧室432に区画される。ばねユニット42は背圧室432に設置され、シリンダ40に対しピストン41を正圧室431の側(正圧室431の容積を縮小する側)に常時付勢する。ばねユニット42は、力とストロークとの間の望ましい特性を実現すべく、特性が異なる2つのコイルスプリングと、特性が異なる2つの弾性部材とが組み合わされている。シリンダ40の内周には、ピストン41の外周との間に、補給ポート44が区画される。
複数の弁は、複数の電磁弁を有する。電磁弁は、制御信号に応じて動作する制御弁であり、ソレノイド及び弁体を有する。弁体は、ソレノイドへの通電に応じてストロークし、液路の開閉状態を調整する(液路を断接する)。複数の電磁弁は、遮断弁51、増圧弁52、連通弁54、調圧弁55、減圧弁56、シミュレータ排出弁57、シミュレータ供給弁58を有する。遮断弁51、増圧弁52、及び調圧弁55は、ソレノイドに供給される電流に応じて弁の開度が調整される比例制御弁であり、他の電磁弁54,56~59は、弁の開閉が二値的に切り替え制御されるオン・オフ弁である。遮断弁51、増圧弁52、及び調圧弁55は、非通電状態で開弁する常開弁であり、他の電磁弁54,56~59は、非通電状態で閉弁する常閉弁である。
ハウジング2は、例えば防振部材を介してエンジンルームの床に固定される。ハウジング2は、複数のポート、複数の収容孔、複数の液溜め室、及び複数の液路(液路部)を有する。複数のポートは、マスタシリンダポート221、ホイルシリンダポート222、及びリザーバポート223を有する。マスタシリンダポート221はブレーキ管171を介してマスタシリンダ12の液圧室123に接続する。ホイルシリンダポート222はブレーキ管172を介してホイルシリンダ14に接続する。リザーバポート223はブレーキ管173を介してリザーバタンク13の液室132に接続する。複数の収容孔は、駆動部収容孔、複数のプランジャポンプ収容孔23(図8参照)、複数の電磁弁収容孔、及び複数の液圧センサ収容孔を有する。複数の液溜め室は、第1液溜め室25と第2液溜め室261,262(図8参照)を有する。第1液溜め室25は、リザーバポート223に接続しており、ブレーキ液を貯留可能なリザーバとして機能する。複数の液路は、接続液路201、吸入液路202、吐出液路203、連通液路204、調圧液路205、減圧液路206、第1排出液路207、第2排出液路208(図8参照)、シミュレータ正圧液路209、シミュレータ背圧排出液路210、シミュレータ背圧供給液路211、及びシミュレータ補給液路212を有する。
接続液路201は、マスタシリンダポート221とホイルシリンダポート222とを接続する。接続液路201には、遮断弁51が介在する。P系統について見ると、接続液路201Pにおける遮断弁51Pよりホイルシリンダポート222の側は、接続液路201a,201dに分岐する。接続液路201a,201dにはそれぞれ増圧弁52a,52dが介在する。増圧弁52a,52dと並列に、ホイルシリンダポート222から遮断弁51Pへ向かうブレーキ液の流れのみ許容する逆止弁がある。接続液路201a,201dにおける増圧弁52a,52dとホイルシリンダポート222a,222dとの間に、減圧液路206a,206dの一端がそれぞれ接続する。減圧液路206a,206dの他端は第1排出液路207に接続する。減圧液路206a,206dにはそれぞれ減圧弁56a,56dが介在する。S系統も同様である。連通液路204は、接続液路201Pにおける遮断弁51Pと増圧弁52a,52dとの間と、接続液路201Sにおける遮断弁51Sと増圧弁52b,52cとの間と、を接続する。第1排出液路207は第1液溜め室25に接続する。吸入液路202は、第1液溜め室25とポンプユニット31の吸入部とを接続する。吐出液路203は、ポンプユニット31の吐出部と連通液路204とを接続する。連通液路204における吐出液路203の接続部位と接続液路201Pとの間(液路204P)には、連通弁54Pが介在する。連通液路204における吐出液路203の接続部位と接続液路201Sとの間(液路204S)には、連通弁54Sが介在する。調圧液路205は、連通液路204における連通弁54p,54Sの間と、第1排出液路207とを接続する。調圧液路205には調圧弁55が介在する。
シミュレータ正圧液路209は、接続液路201Pにおけるマスタシリンダポート221Pと遮断弁51Pとの間と、ストロークシミュレータ4の正圧室431とを接続する。シミュレータ背圧排出液路210は、ストロークシミュレータ4の背圧室432と第1排出液路207とを接続する。シミュレータ背圧排出液路210には、シミュレータ排出弁57が介在する。シミュレータ背圧供給液路211は、シミュレータ背圧排出液路210における背圧室432とシミュレータ排出弁57との間と、接続液路201Pにおける遮断弁51Pと増圧弁52a,52dとの間、とを接続する。シミュレータ背圧供給液路211には、シミュレータ供給弁58が介在する。シミュレータ供給弁58と並列に、背圧室432から接続液路201Pへ向かうブレーキ液の流れのみ許容する逆止弁がある。シミュレータ補給液路212は、ストロークシミュレータ4の補給ポート44と第1排出液路207とを接続する。
液圧センサは、マスタシリンダ圧センサ61と系統圧センサ62を有する。マスタシリンダ圧センサ61は、接続液路201Pにおける遮断弁51Pと増圧弁52a,52dとの間の液圧(マスタシリンダ圧に相当)を検出する。系統圧センサ62は、各系統の接続液路201における遮断弁51と増圧弁52との間の液圧(ホイルシリンダ圧に相当)を検出する。
コントロールユニット7は、センサ15等の検出値や車両側から入力された走行状態に関する情報、及び内蔵された(ROMに記憶された)プログラムに基づき、電磁弁51等の開閉動作やモータ30の回転数(すなわちポンプユニット31が吐出するブレーキ液量)を制御する。これにより、各車輪FL~RRのホイルシリンダ圧(液圧制動力)を制御することで、各種のブレーキ制御を実行可能である。ブレーキ制御は、運転者のブレーキ操作力を低減するための倍力制御、制動による車輪のスリップを抑制するためのアンチロックブレーキ制御(ABS)、車輪の駆動スリップを抑制するためのトラクション制御、車両の運動制御(横滑り防止等の車両挙動安定化制御)のためのブレーキ制御、先行車追従制御等の自動ブレーキ制御、回生協調ブレーキ制御等を含む。
コントロールユニット7は、ケーシング70(図2参照)と基板を有する。基板上の回路は、受信部701、演算部702、及びアクチュエータ駆動部703として機能するモジュールを有する。受信部701は、センサ15等の検出値及び車載ネットワークからの情報を受信する。演算部702は、受信部701から入力される情報に基づき、目標ホイルシリンダ液圧その他の演算を行う。例えば、倍力制御時には、ストロークセンサ15の検出値に基づき、ブレーキ操作量としてのブレーキペダル11の変位量(ペダルストローク)を検出する。検出されたペダルストロークに基づき、所定の倍力比、すなわちペダルストロークと運転者の要求ブレーキ液圧(運転者が要求する車両減速度)との間の理想の関係特性を実現する目標ホイルシリンダ液圧を設定する。演算部702は、上記目標ホイルシリンダ液圧を実現するよう、アクチュエータ(各電磁弁51等やモータ30)を駆動するための指令を演算し、これをアクチュエータ駆動部703に出力する。アクチュエータ駆動部703は、演算部702からの指令信号に応じて上記アクチュエータに電力を供給する。
コントロールユニット7は、遮断弁51を閉方向に作動させ、マスタシリンダ12とホイルシリンダ14との連通を遮断した状態で、各ホイルシリンダ14の液圧を(運転者によるブレーキ操作とは独立に)個別に制御可能である(所謂ブレーキバイワイヤ)。ポンプ装置3(ポンプユニット31)は、遮断弁51に対してホイルシリンダ14の側の接続液路201にブレーキ液を供給可能である。ポンプユニット31は、第1液溜め室25のブレーキ液を、吸入液路202を介して吸入し、吐出液路203に吐出する。吐出(昇圧)されたブレーキ液は、連通液路204から接続液路201a~201dへ導かれ、ブレーキ管172を介してホイルシリンダ14へ供給される。例えば、コントロールユニット7は、倍力制御時、モータ30を所定回転数で駆動し、遮断弁51P,51Sを閉方向に、連通弁54P,54Sを開方向に作動させる。全増圧弁52a~52dを開弁状態に、全減圧弁56a~56dを閉弁状態に維持する。調圧弁55の上流側の液圧である吐出液路203の液圧が目標ホイルシリンダ液圧に応じた目標液圧となるように、調圧弁55の開閉(開弁の量や時間や頻度等)を調節する。これにより、目標ホイルシリンダ液圧を実現する。調圧弁55の上流側の液圧は、液圧センサ62P,62Sを用いて得られる。倍力制御では、ポンプユニット31を液圧源としてマスタシリンダ圧よりも高いホイルシリンダ圧を創生する。これにより、運転者のブレーキ操作力では不足する液圧制動力を発生させることで、ブレーキ操作力を補助する。
連通弁54は、閉方向に作動することで、P,S系統間のブレーキ液の流通を抑制し、各系統の液圧回路を独立の回路として互いに分離可能である。連通弁54P,54Sが開方向に作動することで、P系統の液圧回路とS系統の液圧回路とが接続する(いわば1系統の液圧回路となる)ため、ホイルシリンダ圧の制御がP,S系統のいずれかに偏ったものとなることが抑制される。吐出液路203(ポンプユニット31)は、連通液路204に接続しており、連通液路204及び接続液路201a~201dを介して、各ホイルシリンダ14a~14dに接続する。よって、ポンプユニット31からのブレーキ液の供給が、P,S系統のいずれかに偏ったものとなることが抑制される。
ストロークシミュレータ4は、運転者のブレーキ操作に伴い作動し、ブレーキペダル11の操作量(ペダルストローク)に応じた反力をブレーキペダル11に付与可能である。ブレーキバイワイヤ時、コントロールユニット7は、シミュレータ排出弁57を開方向に作動させ、背圧室432と第1液溜め室25を連通させることで、ストロークシミュレータ6を作動可能状態とする。ブレーキペダル11が踏み込まれ、マスタシリンダ12の液圧室123Pから流出したブレーキ液が(シミュレータ正圧液路209を介して)正圧室431に流入すると、ピストン41がストロークする。ばねユニット42の(特性に応じた)付勢力がピストン41に作用することで、ブレーキペダル11の操作反力(ペダル反力)が擬似的に生成される。ばねユニット42は、ピストン41の戻しばねとしても機能する。ピストン41が初期位置の近傍まで戻ると、シミュレータ補給液路212(第1液溜め室25)が補給ポート44を介して背圧室432と連通することで、戻りが円滑化される。なお、コントロールユニット7は、ブレーキペダル11の踏込み操作時、ホイルシリンダ圧制御を実行する際、シミュレータ排出弁57を閉方向に作動させてもよい。このとき、ブレーキペダル11の踏込み操作に応じて背圧室432から流出するブレーキ液は、背圧室432の液圧のほうがホイルシリンダ圧よりも高い間、シミュレータ背圧供給液路211(シミュレータ供給弁58と並列の逆止弁)を通って接続液路201に供給されうる。これにより、例えば急ブレーキ操作時やポンプ装置3の作動開始直後であって、ポンプ装置3によるホイルシリンダ圧の昇圧応答性が不十分である場合に、当該昇圧応答性を向上できる。
図2~7に示すように、ハウジング2は略直方体の形状を有する。ハウジング2は正面271、背面272、左側面273、右側面274、上面275、下面276を有する。隣接する各面は互いに略直交する。正面271と背面272、左側面273と右側面274、上面275と下面276は、それぞれ互いに略平行である。ブレーキ制御装置1が車両に搭載された状態で、上面275が鉛直方向上側を向く。なお、車両における装置1の配置は任意である。各図で、参考のため、x軸、y軸、z軸を有する三次元直交座標系を設定する。正面271と背面272がxy平面と平行であり、左側面273と右側面274がyz平面と平行であり、上面275と下面276がzx平面と平行である。図2~7では、ハウジング2の外表面において、プランジャポンプ収容孔23の開口のみを示し、他の孔やポート、液路等の開口の図示を省略する。なお、ストロークシミュレータ4は左側面273に配置されてもよい。マスタシリンダポート221は、正面271におけるy軸正方向側に開口してもよい。ホイルシリンダポート222とリザーバポート223(第1液溜め室25)は上面275に開口してもよい。第2液溜め室261,262は下面276に開口する。
駆動部収容孔は、円筒状であり、ハウジング2の内部をz軸方向に延びてハウジング2を貫通し、正面271と背面272に開口する。モータ30は、駆動部収容孔の開口を覆うように正面271に配置される。モータ30のケーシングが、正面271にボルトで固定される。モータ30の回転軸(ロータ)は、モータ30のケーシングに回転自在に支持され、z軸方向に延び、ポンプユニット31の回転軸32に連結する(図8参照)。回転軸32はモータ30によって回転される。回転軸32は、z軸方向に延び、駆動部収容孔の内部に回転自在に収容される。複数のプランジャポンプ収容孔23は、ハウジング2の内部の主に正面271の側(z軸正方向側)にある。各プランジャポンプ収容孔23は段付きの(異径の円筒が同軸上に連続する)円筒状であり、プランジャポンプ34を収容する。複数のプランジャポンプ収容孔23は、z軸方向から見て駆動部収容孔を中心とする放射状(回転軸32の回転軸線320に対する径方向)にハウジング2の内部を延びて、左側面273、右側面274、上面275、及び下面276に開口する。電磁弁収容孔と液圧センサ収容孔は、ハウジング2の内部の主に背面272の側(z軸負方向側)にある。各孔は有底円筒状であり、z軸方向に延び、背面272に開口する。電磁弁収容孔は電磁弁51等を収容する。電磁弁のソレノイド部(接続端子)は背面272からz軸負方向に突出する。液圧センサ収容孔は液圧センサ61,62を収容する。各液圧センサ61,62の一部(接続端子)は背面272からz軸負方向に突出する。コントロールユニット7は、背面272に配置される。ケーシング70が、背面272にボルトで固定される。ケーシング70は、基板を収容すると共に、電磁弁51等及び液圧センサ61,62の上記一部を収容する。電磁弁51等及び液圧センサ61,62の接続端子は、基板に接続される。基板は、ハウジング2の内部を通る電線を介してモータ30と電気的に接続される。基板に接続するコネクタ71が、ハウジング2の右側面274に隣接して正面271の側(z軸正方向側)に露出する。車載のバッテリや他のコントロールユニットやセンサ等が、電線やCAN等の車載ネットワークを介して、コネクタ71に接続可能である。
(ポンプ装置の構成)
図8~10は、ポンプ装置3が取り付けられた状態のハウジング2の内部を透視する。プランジャポンプ収容孔23、吐出液路203の一部、第2排出液路208、及び第2液溜め室261,262のみを示す。図8は、背面272の側から見た斜視図である。図9は背面図である。図10は下面図である。ポンプユニット31は、回転軸32、駆動部33、及び複数のプランジャポンプ34を備える。駆動部33は、回転軸32の外周に配置される。駆動部33は、複数の駆動ユニット33-1,33-2を有する。第1駆動ユニット33-1は、カムとベアリングの複合体であり、カム331、転動体332、及び外殻333を有している。カム331は、円柱状であり、回転軸32の外周を取り囲み、回転軸32に対して偏心した状態で回転軸32に固定される。カム331の軸線330は、回転軸32の回転軸線320と平行に延び、回転軸線320に対して所定量オフセットしている。転動体332は、複数のころであり、カム331の外周を取り囲み、カム331の外周面上を転動可能に設置される。ころの軸線は、回転軸線320(軸線330)と略平行に延びる。複数のころは、例えば保持器により回転自在に保持される。外殻333は、円筒状であり、転動体332(複数のころ)の外周を取り囲むように設置される。外殻333の軸線は、カム331の軸線330と略一致する。複数のころは、外殻333の内周面上を転動可能である。第2駆動ユニット33-2も同様である。回転軸32の(z軸負方向側の)端部には、駆動部33のストッパが設置される(図示を省略)。回転軸32の上記端部は、ハウジング2に対し、回転自在に支持されない。すなわち、回転軸32は、モータ30の側でのみ回転自在に支持される、片持ち構造である。なお、回転軸32の上記端部が、(軸受を介して)ハウジング2に対し回転自在に支持されてもよい(両持ち構造であってもよい)。
複数のプランジャポンプ34は7個ある(34-11~-14,-21~-23)。図9に示すように、プランジャポンプ34-11は、ケーシング340、プランジャ(ピストン)341、ばね、及び逆止弁を有する。ケーシング340は、円筒状であり、プランジャポンプ収容孔23-11に固定される。プランジャ341は、ケーシング340の内部に往復移動可能に設置される。プランジャ341の軸線(プランジャポンプ34の軸線ないし作動軸)は、プランジャポンプ収容孔23-11の軸線と略一致する。プランジャ341の一端は、円柱状であり、プランジャポンプ収容孔23-11から駆動部収容孔の内部へ一部突出する。プランジャ341の一端は、駆動ユニット33-1の外殻333の外周面に接する。ばねは、ケーシング340に対してプランジャ341を駆動部収容孔の側に常時付勢する。逆止弁は、吸入側逆止弁と吐出側逆止弁を有する。吸入側逆止弁は、プランジャ341の吸入行程時にのみ開弁し、作動液(ブレーキ液)の吸入を可能とする。吐出側逆止弁は、プランジャ341の吐出行程時にのみ開弁し、ブレーキ液の吐出を可能とする。プランジャポンプ34-11の吸入部342は、駆動部収容孔に近い側にあり、吐出部343は、駆動部収容孔から遠い側にある。他のプランジャポンプ34-12~-14,-21~-23も同様である。
各プランジャポンプ収容孔23は、駆動部収容孔の軸線(回転軸線320)に対し直角方向に延び、一端が駆動部収容孔に開口し、他端がハウジング2の外表面に開口する。複数のプランジャポンプ収容孔23は、回転軸線320が延びる方向(z軸方向)に互いにずれる(オフセットする)2列に配置される。回転軸線320が延びる方向でモータ30に近い(z軸正方向側の)列を第1列とし、モータ30から遠い(z軸負方向側の)列を第2列とする。上記「ずれる(オフセットする)」とは、寸法誤差(公差)を考慮しても、各列のプランジャポンプ収容孔23の軸線同士が回転軸線320の方向に離れていることをいう。本実施形態では、駆動部収容孔における各列のプランジャポンプ収容孔23の開口は、回転軸線320が延びる方向で離れており、重ならない。
第1列のプランジャポンプ収容孔23は4個ある。第1列の各プランジャポンプ収容孔23-11~-14の軸線は、回転軸線320が延びる方向でモータ30に近い所定位置(所定のxy平面内)にある。第1列のプランジャポンプ収容孔23-11~-14は、回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、回転軸線320を含みy軸方向に延びる直線(回転軸線320を含むyz平面)に関し、略対称に配置される。回転軸線320の方向から見て、回転軸線320を含みy軸方向に延びる直線に対し一方側(x軸正方向側)にある2つのプランジャポンプ収容孔23-11,-12の軸線が互いになす角度は、略4π/7(π=180°)である。回転軸線320に対しy軸正方向側にあり、回転軸線320を挟んでx軸方向両側にある2つのプランジャポンプ収容孔23-11,-14の軸線が互いになす角度は、略4π/7である。第1列の4つのプランジャポンプ収容孔23-11~-14のうち、任意の2つのプランジャポンプ収容孔23-11~-14の軸線が互いになす角度は、π未満である。よって、一部のプランジャポンプ収容孔(例えば孔23-11)は、他のいずれかのプランジャポンプ収容孔(孔23-12~-14のいずれか)に対し、回転軸線320を通る任意の平面を挟んで反対側にある。
第2列のプランジャポンプ収容孔23は3個ある。第2列の各プランジャポンプ収容孔23-21~-23の軸線は、回転軸線320が延びる方向で上記所定位置(第1列のプランジャポンプ収容孔23-11~-14の軸線)に対しモータ30から遠い側の所定位置(所定のxy平面内)にある。第2列のプランジャポンプ収容孔23-21~-23は、回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、回転軸線320を含みy軸方向に延びる直線に関し、略対称に配置される。回転軸線320に対しy軸正方向側にありy軸方向に延びるプランジャポンプ収容孔23-21の軸線と、他の2つのプランジャポンプ収容孔23-22,-23(のいずれか)の軸線とがなす角度は、略4π/7である。第2列の3つのプランジャポンプ収容孔23-21~-23のうち、任意の2つのプランジャポンプ収容孔23の軸線が互いになす角度は、π未満である。よって、一部のプランジャポンプ収容孔(例えば孔23-21)は、他のプランジャポンプ収容孔(孔23-22,-23のいずれか)に対し、回転軸線320を通る任意の平面を挟んで反対側にある。
回転軸線320の周り方向で、第2列のプランジャポンプ収容孔23-21の軸線は、第1列のプランジャポンプ収容孔23-11の軸線とプランジャポンプ収容孔23-14の軸線との略中間にある。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、両列の全てのプランジャポンプ収容孔23-11~-14, -21~-23は、回転軸線320に関し、略対称に配置される。回転軸線320の方向から見て、隣り合うプランジャポンプ収容孔23の軸線が互いになす角度は、全て略等しく、略2π/7である。回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見て、反時計回りで、プランジャポンプ収容孔23-11,-22,-12,-13,-23,-14,-21の順に並ぶ。図10に示すように、回転軸線320が延びる方向で(z軸に直交する方向から見て)、第1列のプランジャポンプ収容孔23-11~-14(の回転軸線320に対する径方向外側の部分)と第2列のプランジャポンプ収容孔23-21~-23(の回転軸線320に対する径方向外側の部分)とは、互いに一部重なる。
図8~10で示す液路203-11~-14, -21~-24は、各プランジャポンプ34の吐出部343から吐出されたブレーキ液を(回転軸線320に対しy軸負方向側にある)1つの吐出液路203へ送る(集約する)ための液路である。第1列において、回転軸線320に対しx軸正方向側で、液路203-11は2つのプランジャポンプ34-11,-12の吐出部343同士を接続する。液路203-12は、回転軸線320に対しy軸負方向側のプランジャポンプ34-12の吐出部343と(集約後の)吐出液路203とを接続する。回転軸線320に対しx軸負方向側で、液路203-13は2つのプランジャポンプ34-13,-14の吐出部343同士を接続する。液路203-14は、回転軸線320に対しy軸負方向側のプランジャポンプ34-13の吐出部343と吐出液路203とを接続する。第2列において、回転軸線320に対しx軸正方向側で、液路203-21は2つのプランジャポンプ34-21,-22の吐出部343同士を接続する。液路203-22は、回転軸線320に対しy軸負方向側のプランジャポンプ34-22の吐出部343と(集約後の)吐出液路203とを接続する。回転軸線320に対しx軸負方向側で、液路203-23は2つのプランジャポンプ34-21,-23の吐出部343同士を接続する。液路203-24は、回転軸線320に対しy軸負方向側のプランジャポンプ34-23の吐出部343と吐出液路203とを接続する。
第2液溜め室261,262は、円筒状であり、y軸方向に延びる。第2液溜め室261,262は、回転軸線320を挟んでx軸方向両側にある。第2液溜め室261,262は、第1列のプランジャポンプ収容孔23-11~-14に対し、回転軸線320が延びる方向で、モータ30から遠い側にある。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、第2液溜め室261,262は、第1列のy軸負方向側のプランジャポンプ収容孔23-12,-13と一部重なる。図10に示すように、回転軸線320が延びる方向で(y軸方向から見て)、第2液溜め室261,262は、第2列のプランジャポンプ収容孔23-22,-23に一部重なる。第2排出液路208-1,-2は、それぞれ第2液溜め室261,262と駆動部収容孔(のy軸負方向側)とを接続する。
図11~14に示すように、複数のプランジャポンプ34-11~-14,-21~-23の配置は、ハウジング2における複数のプランジャポンプ収容孔23-11~-14,-21~-23の配置と同じである。例えば、プランジャポンプ34は、駆動部33の外周で、回転軸線320が延びる方向(z軸方向)に互いにずれる(オフセットする)2列に配置される。回転軸線320が延びる方向でモータ30に近い(z軸正方向側の)第1列に4つのプランジャポンプ34-11~-14があり、モータ30から遠い(z軸負方向側の)第2列に3つのプランジャポンプ34-21~-23がある。上記「ずれる(オフセットする)」とは、寸法誤差(公差)を考慮しても、各列のプランジャポンプ34の軸線同士が回転軸線320の方向に離れていることをいう。駆動部33は、各列(第1、第2列)に対応して、駆動ユニット(カム331)を2個含む。第1駆動ユニット33-1の外殻333に、第1列のプランジャポンプ34-11~-14のプランジャ341の一端が接する。第2駆動ユニット33-2の外殻333に、第2列のプランジャポンプ34-21~-23のプランジャ341の一端が接する。第1駆動ユニット33-1(カム331-1)の軸線330-1と第2駆動ユニット33-2(カム331-2)の軸線330-2は互いに略一致する。回転軸線320に対し、両軸線330-1,-2は、x軸正方向側に所定量オフセット(偏倚)している。
(作用効果)
複数のプランジャポンプ34-11~-14,-21~-23は、回転軸線320に対して直交する方向に作動する。カム331が回転軸32と一体に回転すると、カム331(駆動ユニット33-1,-2)の軸線330は、回転軸線320の周りを回転する。軸線330の上記回転に応じて、外殻333は回転軸線320の周りを(回転軸32に対して偏心した状態で)揺動する。転動体332(複数のころ)がカム331の外周面と外殻333の内周面との間で転動することにより、外殻333がプランジャ341の一端に対して回転軸線320の周りに回転することは抑制される。外殻333が、回転軸線320に対する径方向外側にプランジャポンプ34のプランジャ341を押し出す方向に揺動すると、プランジャ341が上記径方向外側にストロークする。プランジャポンプ34の吸入側逆止弁が閉じ、吐出側逆止弁が開いて、吐出部343からブレーキ液が吐出される(吐出行程)。外殻333が、プランジャ341に対して、回転軸線320に対する径方向内側へ離れる(戻る)方向に揺動すると、ばねの付勢力により、プランジャ341が径方向内側にストロークする。吐出側逆止弁が閉じ、吸入側逆止弁が開いて、吸入部342へブレーキ液が吸入される(吸入行程)。
z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、第1駆動ユニット33-1は、第1列のプランジャポンプ34-11~-14をこの順に作動させる。第2駆動ユニット33-2は、第2列のプランジャポンプ34-21~-23をこの順に作動させる。回転軸線320の周りにおける両駆動ユニット33-1,-2の軸線330の位置は略同じであるため、回転軸線320の周りの並び順に、各プランジャポンプ34-11~-14, 34-21~-23が作動する。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-11,-22,-12,-13,-23,-14,-21の順に作動する。
複数のプランジャポンプ34は、回転軸線320が延びる方向に互いにずれる2個の列に配置される。このように、複数のプランジャポンプ34の軸線は、回転軸線320の方向で互いにずれる。よって、回転軸線320の周り方向で隣接するプランジャポンプ収容孔23同士の間に、回転軸線320が延びる方向で、隙間(肉厚)を容易に確保できる。このため、回転軸線320の周り方向で(回転軸線320の方向から見て)、隣接するプランジャポンプ34の間の隙間を小さくし、回転軸線320の周り方向で設置できるプランジャポンプ34の数を増やすことができる。プランジャポンプ34の数を増やすことで、ポンプ装置3の大流量化を図ることができる。言換えると、大流量化を図りつつ、回転軸線320の周り方向におけるポンプ装置3の大型化を抑制できる。なお、各プランジャポンプ34の体格(プランジャ341の径)を大きくすることで大流量化を図ることも考えられる。しかし、この場合、プランジャ341から力が作用する駆動部33(駆動ユニット33-1,-2)の耐久性が低下するおそれがある。本実施形態では、各プランジャポンプ34の体格の増大を抑制しつつ、プランジャポンプ34の数を増やす。よって、上記問題を回避可能である。
なお、駆動部33が有する駆動ユニット(カム331や外殻333)の数は1でもよい。この場合、外殻333の外周面において、第1列のプランジャポンプ34のプランジャ341の一端が接する範囲は、第2列のプランジャポンプ34のプランジャ341の一端が接する範囲に対し、回転軸線320が延びる方向で重なってもよい。このように、各列のプランジャポンプ34のプランジャ341の一端が、回転軸線320の方向で重なるように配置することで、回転軸線320の方向におけるポンプ装置3の大型化を抑制できる。本実施形態では、駆動部33は、2個の各列に対応して、駆動ユニット(カム331や外殻333)を2個含む。各々の列に対応して駆動ユニット33-1,-2(カム331や外殻333)が配置される。第1列のプランジャポンプ34のプランジャ341の一端は、第1駆動ユニット33-1の外殻333の外周面に接し、第2駆動ユニット33-2の外殻333の外周面に接しない。第2列のプランジャポンプ34のプランジャ341の一端は、第2駆動ユニット33-2の外殻333の外周面に接し、第1駆動ユニット33-1の外殻333の外周面に接しない。言換えると、各外殻333の外周面において、両列のプランジャ341が重畳して接する領域はない。よって、当該重畳して接する領域において磨耗が進行することが回避されるため、各外殻333(各駆動ユニット33-1,-2)の耐久性を向上できる。言換えると、駆動ユニットの耐久性を向上しつつ、プランジャポンプ34の複数列化を容易に実現できる。一方、回転軸線320が延びる方向で、各列のプランジャポンプ34(の回転軸線320に対する径方向外側の部分)は、互いに一部重なる。よって、回転軸線320の方向におけるポンプ装置3の大型化を抑制できる。
カム331の回転運動がプランジャ341の往復運動(軸線方向の運動)に変換されることによりプランジャポンプ34が作動するため、吐出流量の変動(吐出液路203における脈圧ないし脈動)が発生しうる。特にポンプ装置3を大流量化すると、脈圧が増大するおそれがある。図15~17は、回転軸32の回転角度θ(横軸:°)に対するトルクT(縦軸:Nm)の理論上の変動を、位相が異なる複数のプランジャポンプ34のそれぞれについて示すと共に、全てのプランジャポンプ34の上記トルクTを合計したもの(合計トルクTs)の上記変動の大きさΔTを示す。各プランジャポンプ34のトルクTは、駆動部33が各プランジャポンプ34のプランジャ341をばね等の反力に抗して軸線方向に押し出すための回転軸32の回転力であり(外殻333とプランジャ341との摩擦に起因する回転力を含まない)、当該プランジャポンプ34の吐出圧に相当する。各プランジャポンプ34のトルクTの変動は、カム331の揺動に応じ、360°(2π)を1周期とする正弦波の(吐出行程に相当する)半分の形状である。全てのプランジャポンプ34が吐出するブレーキ液は最終的に1つの部位(例えば吐出液路203)に集められる。合計トルクTsの変動は、この1つの部位における脈動(脈圧)に相当しており、全てのプランジャポンプ34の上記正弦波(の半分)を重ね(足し)合わせた形状である。図15はプランジャポンプ34の数が3の場合、図16は6の場合、図17は5の場合を、それぞれ示す。図15~17で、合計トルクTsの平均(トルク実効値)が同じであるものとする。合計トルクTsの変動幅ΔTは、プランジャポンプ34の数が3の場合と6の場合とで略同じであり、3の場合と6の場合よりも、5の場合のほうが小さい。これからも明らかなように、Tsの変動幅ΔTは、プランジャポンプ34の数が偶数の場合よりも奇数の場合のほうが、小さくなりやすい(ΔTが同じである場合、プランジャポンプ34の数が偶数のときよりも奇数のときのほうが、プランジャポンプ34の数を少なくできる)。プランジャポンプ34の数が奇数の場合、プランジャポンプ34の数が少ないときよりも多いときのほうが、ΔTは小さい。
本実施形態では、複数のプランジャポンプ34は、総数(全列のプランジャポンプ34の数を合計したもの)が奇数(具体的には7個)である。よって、全て(全列)のプランジャポンプ34の吐出部343が1つの部位(吐出液路203)へ連通する構成において、ΔTすなわち上記1つの部位における脈動(脈圧)の効率的な低減を図ることができる。また、プランジャポンプ34の総数が7であるため、総数が3の場合や5の場合に比べ、ΔTすなわち脈圧を低減することができる。なお、駆動ユニット(カム331)の軸線330が回転軸線320からオフセットする量は、第1列と第2列とで異なってよい。本実施形態では、上記オフセット量は両列で略同じである。よって、合計トルクTsの変動幅ΔT(脈圧)をより効果的に小さくすることができる。
具体的には、2列のうち第1列におけるプランジャポンプ34の数が偶数(4個)である。よって、全列におけるプランジャポンプ34の数が奇数の場合に比べ、列の数を少なくしつつ、プランジャポンプ34の総数を奇数とすることができる。例えば、2列の全てにおいてプランジャポンプ34の数が奇数の場合、総数は偶数となる。上記の場合に、総数を奇数とするためには、少なくとも3以上の奇数列が必要となる。これに対し、本実施形態では、2列のうち1つの列(第1列)におけるプランジャポンプ34の数が偶数(4個)であるため、他の列(第2列)におけるプランジャポンプ34の数を奇数(3個)とすれば、総数を奇数(7個)とすることができる。すなわち、総数を奇数とするために、2列を設ければ足りる。よって、列の数が増えることを抑制し、回転軸線320が延びる方向におけるポンプ装置3の大型化を抑制できる。なお、2列のうち1つの列(第1列)におけるプランジャポンプ34の数が2個であり、他の列(第2列)におけるプランジャポンプ34の数が5個であってもよい。
2列のうち、第1列におけるプランジャポンプ34の数(4個)が、第2列におけるプランジャポンプ34の数(3個)よりも多い。回転軸線320が延びる方向で、第1列はモータ30に近く、第2列はモータ30から遠い。このように、モータ30から遠い側(第2列)におけるプランジャポンプ34の数が比較的少ない。一方、各プランジャポンプ34は、駆動部33を介して、回転軸線320に直交する方向の力(以下、径方向荷重)を、回転軸32に作用させる。この径方向荷重の作用点の数が、モータ30から遠い側で比較的少ないことにより、回転軸32の傾きが抑制され、回転軸32の作動が安定する。特に、回転軸32の(z軸負方向側の)端部がハウジング2に対し回転自在に支持されない片持ち構造である場合、有効である。
本実施形態では、第1列におけるプランジャポンプ34の数が4個であり、第2列におけるプランジャポンプ34の数が3個である。よって、プランジャポンプ34の総数が7の場合に、上記作用効果が得られる。なお、第1列におけるプランジャポンプ34の数が5個であり、第2列におけるプランジャポンプ34の数が2個であってもよい。
第1列の4個のプランジャポンプ34-11~-14のうち、一部のプランジャポンプ(例えば34-11)は、他のプランジャポンプ(34-12~-14のいずれか)に対し、回転軸線320を通る任意の平面を挟んで反対側にある。また、第2列の3個のプランジャポンプ34のうち、一部のプランジャポンプ(例えば34-21)は、他のプランジャポンプ(34-22,-23のいずれか)に対し、回転軸線320を通る任意の平面を挟んで反対側にある。よって、各列において、各プランジャポンプ34から回転軸32に作用する上記径方向荷重が、上記平面に対し一方側に偏在することが抑制されるため、回転軸32の傾きが抑制され、回転軸32の作動が安定する。また、各プランジャ341の一端に接する外殻333の表面に摩耗が生じても、外殻333の軸線の周り方向で摩耗部位が偏在することが抑制されるため、外殻333(駆動部33)の耐久性の向上を図ることができる。
なお、ポンプ装置3は、ブレーキ制御装置1以外の装置(パワーステアリング装置等)に適用されてもよい。本実施形態では、ポンプ装置3は、ブレーキ制御装置1に備えられる。具体的には、ブレーキ制御装置1はハウジング2を有する。ハウジング2は複数の液路を有する。モータ30はハウジング2の一面271に配置される。ポンプ装置3の回転軸32はハウジング2の内部に配置される。よって、ポンプ装置3の大流量化により、ブレーキ制御装置1の制御応答性の向上を図ることができる。ポンプ装置3の脈圧低減により、ブレーキ制御装置1の音振性の向上を図ることができる。また、ポンプ装置3の大型化抑制により、ブレーキ制御装置1の大型化を抑制することができる。なお、ブレーキ制御装置1は、自動車以外の車両に適用されてもよい。
ポンプ装置3の作動毎に、各プランジャポンプ34から所定量のブレーキ液が駆動部収容孔に漏れ出しうる。このブレーキ液は、自重により、駆動部収容孔から第2排出液路208-1,-2を通って第2液溜め室261,262に移動し、第2液溜め室261,262に溜る。本実施形態では、第2液溜め室261,262が、回転軸線320の周り方向で互いに隣接するプランジャポンプ収容孔23-22,-23の間であって、回転軸線320が延びる方向でプランジャポンプ収容孔23-22,-23に重なる位置にある。このため、ハウジング2の内部におけるプランジャポンプ収容孔23の間のスペースを、第2液溜め室261,262の配置用に、有効に利用できる。プランジャポンプ収容孔23-22,-23の軸線が互いになす角度は、略6π/7であり、比較的大きい。よって、第2液溜め室261,262をプランジャポンプ収容孔23-22,-23の間に配置しやすい。
[第2実施形態]
まず構成を説明する。図18に示すように、第2列のプランジャポンプ34-21~-23(プランジャポンプ収容孔23-21~-23)は、回転軸線320の周りにおける互いの位置関係を保ったまま、第1実施形態に比べ、z軸負方向側から見て回転軸線320の周りで反時計回りにπ/2だけ回転した位置にある。図19は、回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見た駆動部33の模式図である。第2駆動ユニット33-2の軸線330-2は、第1駆動ユニット33-1の軸線330-1に対し、z軸負方向側から見て回転軸線320の周りで反時計回りにπ/2だけ回転した位置にある(回転軸線320からのオフセット量は同じ)。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。回転軸線320の周りで、第2列のプランジャポンプ34-21~-23と第2駆動ユニット33-2が、第1列のプランジャポンプ34-11~-14と第1駆動ユニット33-1に対して、それぞれ同じ角度(π/2)だけ、同じ側にずれている。言い換えると、回転軸32の回転角に対する、両列のプランジャポンプ34-11~-14,-21~-23の位相(行程)は、それぞれ第1実施形態と同じである。よって、回転軸32の回転に応じて、第1実施形態と同じ順序で、各プランジャポンプ34-11~-14, 34-21~-23が作動し、第1実施形態と同じ位相(タイミング)で、各プランジャポンプ34-11~-14, 34-21~-23がブレーキ液を吸入・吐出する。
このように、回転軸線320の方向から見て、回転軸線320の周り方向における全てのプランジャポンプ34の位置が等間隔でなくても(言換えると、全てのプランジャポンプ34が回転軸線320に関し対称に配置されていなくても)、全てのプランジャポンプ34の位相(吐出タイミング)が等間隔であれば、第1実施形態と同様、脈圧低減の効果が得られる。なお、回転軸線320の周りで、第2列のプランジャポンプ34と第2駆動ユニット33-2は、第1列のプランジャポンプ34と第1駆動ユニット33-1に対して、それぞれ同じ側に同じ角度だけずれていればよく、上記角度はπ/2に限らず任意である。言換えると、回転軸線320の周り方向で、第2列のプランジャポンプ34は、第2駆動ユニット33-2に対する位置関係(位相)を保っている限り、第1列のプランジャポンプ34に対し、任意の方向・角度で変位した位置にあってもよい。
また、第2列のプランジャポンプ34-21~-23(プランジャポンプ収容孔23-21~-23)が、第1実施形態に比べ、回転軸線320の周りで回転した位置にあることで、ハウジング2にプランジャポンプ34を組付ける際の作業性を向上(工数を削減)することが可能になる。また、回転軸線320の周りで、いずれの列のプランジャポンプ34(プランジャポンプ収容孔23)も存在しないスペースが増大する(具体的には、z軸方向から見てプランジャポンプ34-14,34-13に挟まれる領域には他のプランジャポンプ34が存在しない)。よって、ハウジング2の内部における各種の孔(電磁弁収容孔)や液溜め室等を、上記スペースを利用してレイアウトすることが可能であり、これによりレイアウト自由度が向上する。他の作用効果は第1実施形態と同じである。
[第3実施形態](3-4配置)
まず構成を説明する。図20~23に示すように、複数のプランジャポンプ34は7個ある(34-11~-13,-21~-24)。複数のプランジャポンプ34は、駆動部33の外周で、回転軸線320が延びる方向(z軸方向)に互いにずれる2列に配置される。回転軸線320が延びる方向でモータ30に近い(z軸正方向側の)第1列に3つのプランジャポンプ34-11~-13があり、モータ30から遠い(z軸負方向側の)第2列に4つのプランジャポンプ34-21~-24がある。第1列のプランジャポンプ34-11~-13の配置は、第1実施形態の第2列のプランジャポンプ34-21~-23の配置と同じである。第2列のプランジャポンプ34-21~-24の配置は、第1実施形態の第1列のプランジャポンプ34-11~-14の配置と同じである。回転軸線320の周り方向で、第1列のy軸正方向側のプランジャポンプ34-11の軸線は、第2列のy軸正方向側のプランジャポンプ34-21の軸線とプランジャポンプ34-24の軸線との略中間にある。回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見て、反時計回りで、プランジャポンプ34-11,-21,-12,-22,-23,-13,-24の順に並ぶ。図22,23に示すように、回転軸線320が延びる方向で(z軸に直交する方向から見て)、第1列のプランジャポンプ34-11~-13と第2列のプランジャポンプ34-21~-24とは、互いに一部重なる。
駆動部33の駆動ユニットの数及び配置は、第1実施形態と同じである。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、第1駆動ユニット33-1は、第1列のプランジャポンプ34-11~-13をこの順に作動させる。第2駆動ユニット33-2は、第2列のプランジャポンプ34-21~-24をこの順に作動させる。回転軸線320の周りにおける両駆動ユニット33-1,-2の軸線330の位置は略同じであるため、回転軸線320の周りの並び順に、各プランジャポンプ34-11~-14, 34-21~-23が作動する。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-11,-21,-12,-22,-23,-13,-24の順に作動する。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。2列のうち、第1列におけるプランジャポンプ34の数(3個)が、第2列におけるプランジャポンプ34の数(4個)よりも少ない。回転軸線320が延びる方向で、第1列はモータ30に近く、第2列はモータ30から遠い。回転軸線320の周りで、第2列のプランジャポンプ34同士の間のスペースよりも、第1列のプランジャポンプ34同士の間のスペースのほうが大きい。よって、ポンプ装置3において、回転軸線320が延びる方向で、モータ30と第2列のプランジャポンプ34との間のスペースが比較的広いため、他部材に対するポンプ装置3のレイアウト自由度を向上可能である。また、ブレーキ制御装置1において、ハウジング2の正面271と第2列のプランジャポンプ収容孔23との間のスペースが比較的広いため、このスペースを利用して、液溜め室や液路等をハウジング2の内部に設けることが可能である。すなわち、液溜め室等のレイアウト自由度が向上する。
本実施形態では、第1列におけるプランジャポンプ34の数が3個であり、第2列におけるプランジャポンプ34の数が4個である。よって、プランジャポンプ34の総数が7の場合に、上記作用効果が得られる。なお第1列におけるプランジャポンプ34の数が2個であり、第2列におけるプランジャポンプ34の数が5個であってもよい。また、第1実施形態と同様、回転軸線320の周り方向で、第2列のプランジャポンプ34は、第2駆動ユニット33-2に対する位置関係(位相)を保っている限り、第1列のプランジャポンプ34に対し、任意の方向・角度で変位した位置にあってもよい。また、駆動ユニットの軸線330が回転軸線320からオフセットする量は、各列で異なってよい。他の作用効果は第1実施形態と同じである。
[第4実施形態](3-2-2配置)
まず構成を説明する。図24~27に示すように、複数のプランジャポンプ34は7個ある(34-11~-13,-21,-22,-31,-32)。プランジャポンプ34は、駆動部33の外周で、回転軸線320が延びる方向(z軸方向)に互いにずれる3列に配置される。回転軸線320が延びる方向でモータ30に最も近い第1列に3つのプランジャポンプ34-11~-13があり、第1列に対しモータ30の反対側(モータ30から遠い側)で隣接する第2列に2つのプランジャポンプ34-21,-22があり、第2列に対しモータ30の反対側で隣接しモータ30から最も遠い第3列に2つのプランジャポンプ34-31,-32がある。回転軸32の(z軸負方向側の)端部には、駆動部33の抜け止め用のストッパ35が設置される(図25で図示を省略)。
図25に示すように、第1列のプランジャポンプ34-11~-13の配置は、第1実施形態の第2列のプランジャポンプ34-21~-23の配置と同じである。回転軸線320を中心として第2列のプランジャポンプ34-21,-22の軸線同士がなす劣角は、略6π/7(>π/2)である。回転軸線320を中心として第3列のプランジャポンプ34-31,-32の軸線同士がなす劣角は、略6π/7(>π/2)である。回転軸線320の周り方向で、第2列の一方のプランジャポンプ34-21の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線とプランジャポンプ34-12の軸線との略中間にある。第2列の他方のプランジャポンプ34-22の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-13の軸線に対し、第1列のプランジャポンプ34-11と反対側に略2π/7離れた位置にある。第3列の一方のプランジャポンプ34-31の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-12の軸線に対し、第1列のプランジャポンプ34-11と反対側に略2π/7離れた位置にある。第3列の他方のプランジャポンプ34-32の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線とプランジャポンプ34-13の軸線との略中間にある。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、3列の全てのプランジャポンプ34-11~-13,-21,-22,-31,-32は、回転軸線320に関し、略対称に配置される。回転軸線320の方向から見て、隣り合うプランジャポンプ34の軸線が互いになす角度は、全て略等しく、略2π/7である。回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見て、反時計回りで、プランジャポンプ34-11,-21,-12,-31,-22,-13,-32の順に並ぶ。
図26,27に示すように、回転軸線320が延びる方向で(z軸に直交する方向から見て)、第1列のプランジャポンプ34-11~-13と第2列のプランジャポンプ34-21,-22、及び、第2列のプランジャポンプ34-21,-22と第3列のプランジャポンプ34-31,-32とは、それぞれ互いに一部重なる。
駆動部33は、各列(第1、第2、第3列)に対応して、駆動ユニット(カム331)を3個含む。第1~第3駆動ユニット33-1~-3の外殻333に、それぞれ第1~第3列のプランジャポンプ34のプランジャ341の一端が接する。各駆動ユニット33-1~-3は、それぞれ対応する(外殻333が接する)列のプランジャポンプ34を作動させる。第1~第3駆動ユニット33-1~-3の軸線330-1~-3は互いに略一致する。回転軸線320に対し、軸線330-1~-3は、x軸正方向側に所定量偏倚(オフセット)している。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。回転軸線320の周りにおける各駆動ユニット33-1~-3の軸線330の位置は略同じであるため、回転軸線320の周りの並び順に、各プランジャポンプ34-11~-13,-21,-22,-31,-32が作動する。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-11,-21,-12,-31,-22,-13,-32の順に作動する。なお、回転軸線320の周り方向で、各列の駆動ユニットの軸線330は、互いにずれてもよい。例えば、z軸負方向側から見て、第2駆動ユニット33-2の軸線330-2が、第1駆動ユニット33-1の軸線330-1に対し、回転軸線320の周りで反時計回りに4π/7だけ回転した位置にあり、第3駆動ユニット33-3の軸線330-3が、第1駆動ユニット33-1の軸線330-1に対し、回転軸線320の周りで時計回りに4π/7だけ回転した位置にあってもよい。この場合、z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-11,-32,-12,-22,-31,-13,-21の順に作動する。また、回転軸線320の周り方向で、各列の複数のプランジャポンプ34は、その列の駆動ユニットに対する位置関係(位相)を保っている限り、他の列のプランジャポンプ34に対し、任意の方向・角度で変位した位置にあってもよい。また、回転軸線320の周りにおけるプランジャポンプ34と駆動ユニットとの位置関係(位相)を各列で保ったまま、第2列と第3列を入れ替えてもよい。
本実施形態では、プランジャポンプ34の総数は第1実施形態と同じ(7個)である一方、プランジャポンプ34の列の数は第1実施形態より多い(3である)。よって、1つの列に配置されるプランジャポンプ34の数が比較的少ない。このため、各列において、プランジャポンプ34から回転軸32に作用する径方向荷重の作用点の数が少なくなる。各プランジャ341の一端に接する外殻333の表面に摩耗が生じても、各列で(言換えると回転軸線320が延びる方向における同じ位置で)摩耗部位の数が少ないため、外殻333(駆動部33)の耐久性の向上を図ることができる。また、ポンプ装置3において、各列におけるプランジャポンプ34間の(回転軸線320の周り方向の)スペースが比較的広いため、他部材に対するポンプ装置3のレイアウト自由度を向上可能である。また、ブレーキ制御装置1において、各列のプランジャポンプ収容孔23の間の(回転軸線320の周り方向の)スペースが比較的広いため、このスペースを利用して、液路や孔をハウジング2の内部に設けることが可能でである。すなわち、液路等のレイアウト自由度が向上する。
3列のうち、第1列におけるプランジャポンプ34の数(3個)が、第3列におけるプランジャポンプ34の数(2個)よりも多い。回転軸線320が延びる方向で、第1列はモータ30に最も近く、第3列はモータ30から最も遠い。このように、モータ30から最も遠い側(第3列)におけるプランジャポンプ34の数が比較的少ない。よって、各プランジャポンプ34から回転軸32に作用する径方向荷重の作用点の数が、モータ30から最も遠い側で比較的少ないから、回転軸32の傾きが抑制される。なお、複数のプランジャポンプ34が配置される列の数は、4以上であってもよい。
具体的には、第1列におけるプランジャポンプ34の数が3個であり、第2、第3列のプランジャポンプ34の数がそれぞれ2個である。よって、プランジャポンプ34の総数が7であり、列の数が3の場合に、上記作用効果が得られる。なお、第1~第3列におけるプランジャポンプ34の数がそれぞれ4個、2個、1個等であってもよい。
回転軸線320を中心として、第2列のプランジャポンプ34-21,-22の軸線同士がなす劣角、及び第3列のプランジャポンプ34-31,-32の軸線同士がなす劣角は、それぞれπ/2より大きい。よって、第2,第3列において、各プランジャポンプ34から回転軸32に作用する上記径方向荷重が、回転軸線320を中心としてπ/2以内の範囲に偏在することが抑制される。これにより、第2,第3列において、各プランジャポンプ34の上記径方向荷重のベクトルを合成した後の大きさが元の上記径方向荷重の大きさよりも小さくなる。よって、回転軸32の傾きが抑制され、回転軸32の作動が安定する。また、各プランジャ341の一端に接する外殻333の表面に摩耗が生じても、外殻333の軸線の周り方向で摩耗部位が上記範囲に偏在することが抑制されるため、外殻333(駆動部33)の耐久性の向上を図ることができる。他の作用効果は第1実施形態と同じである。
[第5実施形態](2-2-3配置)
まず構成を説明する。図28~31に示すように、複数のプランジャポンプ34は7個ある(34-11,-12, -21,-22,-31~-33)。複数のプランジャポンプ34は、第4実施形態と同様、3列に配置される。第1列に2つのプランジャポンプ34-11,-12があり、第2列に2つのプランジャポンプ34-21,-22があり、第3列に3つのプランジャポンプ34-31~-33がある。図29に示すように、第1列のプランジャポンプ34-11,-12、第2列のプランジャポンプ34-21,-22、及び第3列のプランジャポンプ34-31~-33の配置は、第4実施形態の第2列のプランジャポンプ34-21,-22、第3列のプランジャポンプ34-31,-32、及び第1列のプランジャポンプ34-11~-13の配置とそれぞれ同じである。
回転軸線320の周り方向で、第2列の一方のプランジャポンプ34-21の軸線は、第3列のプランジャポンプ34-32の軸線に対し、第3列のプランジャポンプ34-31と反対側に略2π/7離れた位置にある。第2列の他方のプランジャポンプ34-22の軸線は、第3列のプランジャポンプ34-31の軸線とプランジャポンプ34-33の軸線との略中間にある。第1列の一方のプランジャポンプ34-11の軸線は、第3列のプランジャポンプ34-31の軸線とプランジャポンプ34-32の軸線との略中間にある。第1列の他方のプランジャポンプ34-12の軸線は、第3列のプランジャポンプ34-33の軸線に対し、第3列のプランジャポンプ34-31と反対側に略2π/7離れた位置にある。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、3列の全てのプランジャポンプ34-11,-12,-21,-22,-31~-33は、回転軸線320に関し、略対称に配置される。回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見て、反時計回りで、プランジャポンプ34-31,-11,-32,-21,-12,-33,-22の順に並ぶ。
図30,31に示すように、回転軸線320が延びる方向で(z軸に直交する方向から見て)、第1列と第2列のプランジャポンプ34、及び、第2列と第3列のプランジャポンプ34とは、それぞれ互いに一部重なる。
駆動部33の駆動ユニットの数及び配置は、第4実施形態と同じである。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。回転軸線320の周りにおける各駆動ユニット33-1~-3の軸線330の位置は略同じであるため、回転軸線320の周りの並び順に、各プランジャポンプ34-11~-13,-21,-22,-31,-32が作動する。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-31,-11,-32,-21,-12,-33,-22の順に作動する。なお、回転軸線320の周り方向で、各列の駆動ユニットの軸線330は、互いにずれてもよい。例えば、z軸負方向側から見て、第2駆動ユニット33-2の軸線330-2が、第3駆動ユニット33-3の軸線330-3に対し、回転軸線320の周りで反時計回りに4π/7だけ回転した位置にあり、第1駆動ユニット33-1の軸線330-1が、第3駆動ユニット33-3の軸線330-3に対し、回転軸線320の周りで時計回りに4π/7だけ回転した位置にあってもよい。この場合、z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-31,-21,-32,-11,-22,-33,-12の順に作動する。また、回転軸線320の周り方向で、各列の複数のプランジャポンプ34は、その列の駆動ユニットに対する位置関係(位相)を保っている限り、他の列のプランジャポンプ34に対し、任意の方向・角度で変位した位置にあってもよい。また、回転軸線320の周りにおけるプランジャポンプ34と駆動ユニットとの位置関係を各列で保ったまま、第1列と第2列を入れ替えてもよい。
3列のうち、第1列におけるプランジャポンプ34の数(2個)が、第3列におけるプランジャポンプ34の数(3個)よりも少ない。回転軸線320が延びる方向で、第1列はモータ30に最も近く、第3列はモータ30から最も遠い。このように、モータ30に最も近い側(第1列)におけるプランジャポンプ34の数が比較的少ない。よって、ポンプ装置3において、回転軸線320が延びる方向で、モータ30に最も近い側(第1列)におけるプランジャポンプ34間のスペースが比較的広いため、他部材に対するポンプ装置3のレイアウト自由度を向上可能である。また、ブレーキ制御装置1において、ハウジング2の正面271の側(第1列)におけるプランジャポンプ34間のスペースが比較的広いため、このスペースを利用して、液路等のレイアウト自由度が向上する。なお、複数のプランジャポンプ34が配置される列の数は、4以上であってもよい。
本実施形態では、第1,第2列におけるプランジャポンプ34の数がそれぞれ2個であり、第3列におけるプランジャポンプ34の数が3個である。よって、プランジャポンプ34の総数が7であり、列の数が3の場合に、上記作用効果が得られる。なお、第1~第3列におけるプランジャポンプ34の数がそれぞれ1個、2個、4個等であってもよい。他の作用効果は第4実施形態と同じである。
[第6実施形態](2-3-2配置)
まず構成を説明する。図32~35に示すように、複数のプランジャポンプ34は7個ある(34-11,-12,-21~-23,-31,-32)。複数のプランジャポンプ34は、第4実施形態と同様、3列に配置される。第1列に2つのプランジャポンプ34-11,-12があり、第2列に3つのプランジャポンプ34-21~-23があり、第3列に2つのプランジャポンプ34-31,-32がある。図33に示すように、第1列のプランジャポンプ34-11,-12、第2列のプランジャポンプ34-21~-23、及び第3列のプランジャポンプ34-31,-32の配置は、第4実施形態の第2列のプランジャポンプ34-21,-22、第1列のプランジャポンプ34-11~-13、及び第3列のプランジャポンプ34-31,-32の配置とそれぞれ同じである。
回転軸線320の周り方向で、第1列の一方のプランジャポンプ34-11の軸線は、第2列のプランジャポンプ34-21の軸線とプランジャポンプ34-22の軸線との略中間にある。第1列の他方のプランジャポンプ34-12の軸線は、第2列のプランジャポンプ34-23の軸線に対し、第2列のプランジャポンプ34-21と反対側に略2π/7離れた位置にある。第3列の一方のプランジャポンプ34-31の軸線は、第2列のプランジャポンプ34-22の軸線に対し、第2列のプランジャポンプ34-21と反対側に略2π/7離れた位置にある。第3列の他方のプランジャポンプ34-32の軸線は、第2列のプランジャポンプ34-21の軸線とプランジャポンプ34-23の軸線との略中間にある。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、3列の全てのプランジャポンプ34-11,-12,-21~-23,-31,-32は、回転軸線320に関し、略対称に配置される。回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見て、反時計回りで、プランジャポンプ34-21,-11,-22,-31,-12,-23,-32の順に並ぶ。
図34,35に示すように、回転軸線320が延びる方向で(z軸に直交する方向から見て)、第1列と第2列のプランジャポンプ34、及び、第2列と第3列のプランジャポンプ34とは、それぞれ互いに一部重なる。
駆動部33の駆動ユニットの数及び配置は、第4実施形態と同じである。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。回転軸線320の周りにおける各駆動ユニット33-1~-3の軸線330の位置は略同じであるため、回転軸線320の周りの並び順に、各プランジャポンプ34-11,-12, -21~-23, -31,-32が作動する。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-21,-11,-22,-31,-12,-23,-32の順に作動する。なお、回転軸線320の周り方向で、各列の駆動ユニットの軸線330は、互いにずれてもよい。例えば、z軸負方向側から見て、第1駆動ユニット33-1の軸線330-1が、第2駆動ユニット33-2の軸線330-2に対し、回転軸線320の周りで時計回りに4π/7だけ回転した位置にあり、第3駆動ユニット33-3の軸線330-3が、第2駆動ユニット33-2の軸線330-2に対し、回転軸線320の周りで反時計回りに4π/7だけ回転した位置にあってもよい。この場合、z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-21,-31,-22,-11,-32,-23,-12の順に作動する。また、回転軸線320の周り方向で、各列の複数のプランジャポンプ34は、その列の駆動ユニットに対する位置関係(位相)を保っている限り、他の列のプランジャポンプ34に対し、任意の方向・角度で変位した位置にあってもよい。また、回転軸線320の周りにおけるプランジャポンプ34と駆動ユニットとの位置関係を各列で保ったまま、第1列と第3列を入れ替えてもよい。
3列のうち、各列におけるプランジャポンプ34の数が、回転軸線320が延びる方向で、モータ30に近い第1列から、モータ30から遠い第3列に向かって、増えた後に減る。よって、第3実施形態と同様、レイアウト自由度を向上可能である。また、第4実施形態と同様、回転軸32の傾きを抑制できる。特に、回転軸32の(z軸負方向側の)端部がハウジング2に対し回転自在に支持される(回転軸32がモータ30側とハウジング2側の両方で軸受けされる)両持ち構造である場合、各プランジャポンプ34から回転軸32に作用する上記径方向荷重が、回転軸32が延びる方向で分散するため、回転軸32の傾きをより有効に抑制できる。なお、複数のプランジャポンプ34が配置される列の数は、4以上であってもよい。
本実施形態では、第1列におけるプランジャポンプ34の数が2個であり、第2列におけるプランジャポンプ34の数が3個であり、第3列におけるプランジャポンプ34の数が2個である。よって、プランジャポンプ34の総数が7であり、列の数が3の場合に、上記作用効果が得られる。なお、第1~第3列におけるプランジャポンプ34の数がそれぞれ1個、4個、2個等であってもよい。他の作用効果は第4実施形態と同じである。
[第7実施形態](3-2-4配置)
まず構成を説明する。図36~39に示すように、複数のプランジャポンプ34は9個ある(34-11~-13,-21,-22,-31~-34)。複数のプランジャポンプ34は、第4実施形態と同様、3列に配置される。第1列に3つのプランジャポンプ34-11~-13があり、第2列に2つのプランジャポンプ34-21,-22があり、第3列に4つのプランジャポンプ34-31~-34がある。第1列について見ると、回転軸線320に対しy軸正方向側にあるプランジャポンプ34-11の軸線と、回転軸線320に対しy軸負方向側かつx軸正方向側にあるプランジャポンプ34-12の軸線とがなす劣角は、略6π/9である。プランジャポンプ34-12の軸線と、回転軸線320に対しy軸負方向側かつx軸負方向側にあるプランジャポンプ34-13の軸線とがなす劣角は、略4π/9である。第1列の3つのプランジャポンプ34-11~-13のうち、任意の2つのプランジャポンプ34の軸線がなす角度は、π未満である。よって、一部のプランジャポンプ34(例えば34-11)は、他のいずれかのプランジャポンプ(34-12又は34-13)に対し、回転軸線320を通る任意の平面を挟んで反対側にある。
回転軸線320を中心として第2列のプランジャポンプ34-21,-22の軸線同士がなす劣角は、略8π/9(>π/2)である。
第3列のプランジャポンプ34-31~-34は、回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、回転軸線320を含み所定の方向に延びる直線α(回転軸線320を含む平面)に関し、対称に配置される。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、直線αに対し一方側(y軸正方向側)にある2つのプランジャポンプ34-31,-34の軸線がなす劣角は、略4π/9である。回転軸線320に対しx軸正方向側にあり、直線αを挟んで両側にある2つのプランジャポンプ34-31,-32の軸線がなす劣角は、略6π/9である。第3列の4つのプランジャポンプ34-31~-34のうち、任意の2つのプランジャポンプ34の軸線がなす角度は、π未満である。
回転軸線320の周り方向で、第2列の一方のプランジャポンプ34-21の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線に対し、第1列のプランジャポンプ34-12の側に略4π/9離れた位置にある。第2列の他方のプランジャポンプ34-22の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線に対し、第1列のプランジャポンプ34-13の側に略4π/9離れた位置にある。第3列のプランジャポンプ34-31の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線と第2列のプランジャポンプ34-21の軸線との略中間にある。第3列のプランジャポンプ34-34の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線と第2列のプランジャポンプ34-22の軸線との略中間にある。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、3列の全てのプランジャポンプ34-11~-13,-21,-22,-31~-34は、回転軸線320に関し、略対称に配置される。回転軸線320の方向から見て、隣り合うプランジャポンプ34の軸線が互いになす角度は、全て略等しく、略2π/9である。回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見て、反時計回りで、プランジャポンプ34-11,-31,-21,-12,-32,-13,-33,-22,-34の順に並ぶ。
図38,39に示すように、回転軸線320が延びる方向で(z軸に直交する方向から見て)、第1列と第2列のプランジャポンプ34、及び、第2列と第3列のプランジャポンプ34とは、それぞれ互いに一部重なる。
駆動部33の駆動ユニットの数及び配置は、第4実施形態と同じである。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。回転軸線320の周りにおける各駆動ユニット33-1~-3の軸線330の位置は略同じであるため、回転軸線320の周りの並び順に、各プランジャポンプ34-11~-13,-21,-22,-31~-34が作動する。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-11,-31,-21,-12,-32,-13,-33,-22,-34の順に作動する。なお、回転軸線320の周り方向で、各列の駆動ユニットの軸線330は、互いにずれてもよい。また、回転軸線320の周り方向で、各列の複数のプランジャポンプ34は、その列の駆動ユニットに対する位置関係(位相)を保っている限り、他の列のプランジャポンプ34に対し、任意の方向・角度で変位した位置にあってもよい。また、回転軸線320の周りにおけるプランジャポンプ34と駆動ユニットとの位置関係(位相)を各列で保ったまま、各列を適宜入れ替えてもよい。例えば、プランジャポンプ34の数が、第1列は4個、第2列は3個、第3列は2個でもよい。以下、同様に、「第1列:4個、第2列:2個、第3列:3個」、「第1列:3個、第2列:4個、第3列:2個」、「第1列:2個、第2列:3個、第3列:4個」、「第1列:2個、第2列:4個、第3列:3個」等でもよい。
本実施形態では、プランジャポンプ34の列の数が第1~第3実施形態より多く(3であり)、プランジャポンプ34の総数が第1~第6実施形態(7個)より多い(9個である)。すなわち、プランジャポンプ34の列が第1~第3実施形態より多いため、1つの列に配置されるプランジャポンプ34の最大数を第1~第3実施形態と同等とすれば、プランジャポンプ34の総数を第4~第6実施形態より増やすことができる。これにより、合計トルクTsの変動幅ΔTすなわち脈圧をより有効に低減することができる。
なお、第1~第3列におけるプランジャポンプ34の数がそれぞれ3個、4個、2個や、3個、5個、1個等であってもよい。この場合、3列のうち、各列におけるプランジャポンプ34の数が、回転軸線320が延びる方向で、モータ30に近い第1列から、モータ30から遠い第3列に向かって、増えた後に減る。よって、第6実施形態と同様の作用効果が得られる。本実施形態では、3列のうち、各列におけるプランジャポンプ34の数が、回転軸線320が延びる方向で、モータ30に近い第1列から、モータ30から遠い第3列に向かって、減った後に増える。よって、プランジャポンプ34の数が、第1列から3列に向かって、増えた後に減るものに比べ、プランジャポンプ34の総数を多くすることが容易である。これにより、ポンプ装置3の大流量化(ブレーキ制御装置1の高応答化)をより容易に実現できる。また、回転軸32が両持ち構造である場合、各プランジャポンプ34から回転軸32に作用する上記径方向荷重が、回転軸32が延びる方向で分散するため、第6実施形態と同様、回転軸32の傾きを有効に抑制できる。なお、複数のプランジャポンプ34が配置される列の数は、4以上であってもよい。
本実施形態では、第1列におけるプランジャポンプ34の数が3個であり、第2列におけるプランジャポンプ34の数が2個であり、第3列におけるプランジャポンプ34の数が4個である。よって、プランジャポンプ34の総数が9であり、列の数が3の場合に、上記作用効果が得られる。なお、第1~第3列におけるプランジャポンプ34の数がそれぞれ3個、1個、5個であってもよい。他の作用効果は第1実施形態と同じである。
[第8実施形態](3-3-3配置)
まず構成を説明する。図40~43に示すように、複数のプランジャポンプ34は9個ある(34-11~-13,-21~-23,-31~-33)。プランジャポンプ34は、第4実施形態と同様、3列に配置される。各列に3つのプランジャポンプ34がある。各列において、3つのプランジャポンプ34は、回転軸線320に関して略対称に配置される。各列において、任意の2つのプランジャポンプ34の軸線がなす角度は、略6π/9(<π)である。
回転軸線320の周り方向で、第2列のプランジャポンプ34-21の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線に対し、第1列のプランジャポンプ34-12の側に略2π/9離れた位置にある。第3列のプランジャポンプ34-31の軸線は、第1列のプランジャポンプ34-11の軸線に対し、第1列のプランジャポンプ34-12の側に略4π/9離れた位置にある。回転軸線320の方向(z軸方向)から見て、3列の全てのプランジャポンプ34-11~-13,-21~-23,-31~-33は、回転軸線320に関し、略対称に配置される。回転軸線320の方向から見て、隣り合うプランジャポンプ34の軸線がなす角度は、全て略等しく、略2π/9である。回転軸線320の方向(z軸負方向側)から見て、反時計回りで、プランジャポンプ34-11,-21,-31,-12,-22,-32,-13,-23,-33の順に並ぶ。
図42,43に示すように、回転軸線320が延びる方向で(z軸に直交する方向から見て)、第1列と第2列のプランジャポンプ34、及び、第2列と第3列のプランジャポンプ34とは、それぞれ互いに一部重なる。
駆動部33の駆動ユニットの数及び配置は、第4実施形態と同じである。他の構成は第1実施形態と同じである。
次に、作用効果を説明する。回転軸線320の周りにおける各駆動ユニット33-1~-3の軸線330の位置は略同じであるため、回転軸線320の周りの並び順に、各プランジャポンプ34-11~-13,-21~-23,-31~-33が作動する。z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-11,-21,-31,-12,-22,-32,-13,-23,-33の順に作動する。なお、回転軸線320の周り方向で、各列の駆動ユニットの軸線330は、互いにずれてもよい。例えば、z軸負方向側から見て、第2駆動ユニット33-2の軸線330-2が、第1駆動ユニット33-1の軸線330-1に対し、回転軸線320の周りで時計回りに2π/9だけ回転した位置にあり、第3駆動ユニット33-3の軸線330-3が、第1駆動ユニット33-1の軸線330-1に対し、回転軸線320の周りで反時計回りに2π/9だけ回転した位置にあってもよい。この場合、z軸負方向側から見て、回転軸32が反時計回りに回転すると、プランジャポンプ34-11,-31,-21,-12,-32,-22,-13,-33,-23の順に作動する。また、回転軸線320の周り方向で、各列の複数のプランジャポンプ34は、その列の駆動ユニットに対する位置関係(位相)を保っている限り、他の列のプランジャポンプ34に対し、任意の方向・角度で変位した位置にあってもよい。また、回転軸線320の周りにおけるプランジャポンプ34と駆動ユニットとの位置関係を各列で保ったまま、各列を適宜入れ替えてもよい。
プランジャポンプ34の列の数は奇数個(3個)であり、各列におけるプランジャポンプ34の数が奇数個(3個)である。よって、プランジャポンプ34の総数を奇数とすることができる。なお、複数のプランジャポンプ34が配置される列の数は、5以上の奇数個であってもよい。
各列におけるプランジャポンプ34の数が同じ(3個)である。よって、各プランジャ341の一端に接する外殻333の表面に摩耗が生じても、各列で摩耗部位の数が同じである。これにより、回転軸線320が延びる方向で、外殻333の磨耗の程度が分散するため、駆動部33の耐久性の向上を図ることができる。また、回転軸32が両持ち構造である場合、各プランジャポンプ34から回転軸32に作用する上記径方向荷重が、回転軸32が延びる方向で均等に分散するため、回転軸32の傾きを有効に抑制できる。
本実施形態では、列の数が3であり、各列におけるプランジャポンプ34の数が3である。よって、プランジャポンプ34の総数が9であり、列の数が3の場合に、上記作用効果が得られる。他の作用効果は第1実施形態と同じである。
[他の実施形態]
以上、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は、実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、マスタシリンダや(ストロークシミュレータを含む)ブレーキ制御装置の具体的な構成は、実施形態に限定されない。コントロールユニットやストロークシミュレータはブレーキ制御装置のハウジングと別体であってもよい。ブレーキ制御装置の液圧回路や制御の構成は任意である。ポンプ装置が、一部の車輪のホイルシリンダにのみブレーキ液を供給可能であってもよい。
[実施形態から把握しうる技術的思想]
以上説明した実施形態から把握しうる技術的思想(又は技術的解決策。以下同じ。)について、以下に記載する。
(1) 本技術的思想のポンプ装置は、その1つの態様において、
モータと、
前記モータによって回転される回転軸と、
前記回転軸の外周に配置され、前記回転軸の回転軸線に対して偏心したカムを含む駆動部と、
前記駆動部の外周で、前記回転軸線に対して直交する方向に作動し、Nを2以上の整数としたとき、前記回転軸線が延びる方向に互いにずれるN個の列に配置され、総数が奇数である複数のプランジャポンプとを備える。
(2) より好ましい態様では、前記態様において、
前記N個の列のうち少なくとも1つの列における前記プランジャポンプの数が偶数である。
(3) 別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記N個の列のうち、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに最も近い列における前記プランジャポンプの数が、前記モータから最も遠い列における前記プランジャポンプの数よりも多い。
(4) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは2であり、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに近い第1列に4つの前記プランジャポンプがあり、前記モータから遠い第2列に3つの前記プランジャポンプがある。
(5) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは3であり、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに最も近い第1列に3つの前記プランジャポンプがあり、他の第2列及び第3列にそれぞれ2つの前記プランジャポンプがある。
(6) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記N個の列のうち、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに最も近い列における前記プランジャポンプの数が、前記モータから最も遠い列における前記プランジャポンプの数よりも少ない。
(7) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは2であり、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに近い第1列に3つの前記プランジャポンプがあり、前記モータから遠い第2列に4つの前記プランジャポンプがある。
(8) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは3であり、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに最も近い第1列に2つの前記プランジャポンプがあり、第2列に2つの前記プランジャポンプがあり、前記モータから最も遠い第3列に3つの前記プランジャポンプがある。
(9) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは3以上であり、各列における前記プランジャポンプの数が、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに近い列から遠い列に向かって、増えた後に減る。
(10) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは3であり、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに最も近い第1列に2つの前記プランジャポンプがあり、第2列に3つの前記プランジャポンプがあり、前記モータから最も遠い第3列に2つの前記プランジャポンプがある。
(11) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは3以上であり、各列における前記プランジャポンプの数が、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに近い列から遠い列に向かって、減った後に増える。
(12) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは3であり、前記回転軸線が延びる方向で前記モータに最も近い第1列に3つの前記プランジャポンプがあり、第2列に2つの前記プランジャポンプがあり、前記モータから最も遠い第3列に4つの前記プランジャポンプがある。
(13) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは奇数であり、各列における前記プランジャポンプの数が奇数である。
(14) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは3であり、各列における前記プランジャポンプの数が3である。
(15) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記N個の列のうち少なくとも1つの列において、前記プランジャポンプの数は3以上であり、前記3以上の前記プランジャポンプのうち、一部の前記プランジャポンプは、他の前記プランジャポンプに対し、前記回転軸線を通る任意の平面を挟んで反対側にある。
(16) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記駆動部は、前記N個の各列に対応して、前記カムをN個含む。
(17) また、他の観点から、本技術的思想のブレーキ制御装置は、その1つの態様において、
液路部を有するハウジングと、
前記ハウジングの一面に配置されたモータと、
前記モータによって回転され、前記ハウジングの内部に配置された回転軸と、
前記回転軸の外周に配置され、前記回転軸の回転軸線に対して偏心したカムを含む駆動部と、
前記駆動部の外周で、前記回転軸線に対して直交する方向に作動し、Nを2以上の整数としたとき、前記回転軸線が延びる方向に互いにずれるN個の列に配置され、総数が奇数である複数のプランジャポンプとを備える。
(18) より好ましい態様では、前記態様において、
前記N個の列のうち少なくとも1つの列における前記プランジャポンプの数が偶数である。
(19) 別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記Nは奇数であり、各列における前記プランジャポンプの数が奇数である。