JP7007200B2 - 発酵アルコール飲料の製造方法 - Google Patents

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本発明は発酵アルコール飲料の製造方法に関し、特に、タンパク分解物を使用する発酵アルコール飲料の製造方法に関する。
「発酵アルコール飲料」とは、糖溶液等を原料として、これらを発酵させて得られるアルコール飲料をいう。「アルコール飲料」とは、エチルアルコールを実質的な量で含有する飲料をいう。日本の酒税法では、体積アルコール度数1%以上の飲料を酒類としている。この酒類はアルコール飲料の一例である。一般に、「ビール」は、糖溶液である麦汁を発酵させ、ホップ等で香気を付与した発酵アルコール飲料である。本明細書において、文言「ビール様」とは、味及び香りがビールを想記させる程度に同様であることをいう。また、文言「アルコール」はエチルアルコールを意味する。
発酵アルコール飲料の具体例には、米やコーンスターチ等の麦芽以外のデンプン原料の使用量を増大させた発泡酒、及び麦芽以外のデンプン原料のみを使用するビール様発泡性アルコール飲料等がある。発酵アルコール飲料の中でも、原料として麦芽を使用するものを発酵麦芽飲料という。
発泡酒及び第三のビール等のビール様飲料はビール様の香味を有するため人気があり、近年需要が増大している。しかしながら、発泡酒及びビール様発泡性アルコール飲料は、ビールに比べ、香味や泡の品質等が不十分という問題がある。
特許文献1には、発泡性アルコール飲料の製造方法において、重量平均分子量10,000~35,000の精製大豆タンパク分解物を、酵母による発酵前の発酵原料液の原料の一つとして、発酵原料液の煮沸処理前又は煮沸処理中に混合することを特徴とする発泡性アルコール飲料の製造方法が記載されている(請求項1)。特許文献1の方法で得られる発泡性アルコール飲料は、香味、泡持ちが優れたものである。
しかしながら、タンパク分解物を使用して製造した発酵アルコール飲料は濁度が高くなる。その結果、飲料濾過時に差圧上昇および濁度上昇が生じ、濾過性が悪化する。結果として、歩合の悪化、ランニングコストの増加、メンテナンス頻度が高いなどの問題が発生している。
特許第4275170号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、タンパク分解物を使用して製造した発酵アルコール飲料の濁度を低下させ、濾過時の差圧上昇および濁度上昇を抑制することで、当該発酵アルコール飲料の濾過性を改善することにある。
本発明は、発酵原料液である第1の液汁に、タンパク分解物を水又は水溶液に溶解して得られる第2の液汁を添加する工程を包含する、発酵アルコール飲料の製造方法を提供する。
ある一形態においては、前記水溶液は麦汁を含有しないものである。
ある一形態においては、前記水溶液は糖を含有するものである。
ある一形態においては、前記水溶液はアルコールを含有するものである。
ある一形態においては、前記発酵原料液は麦汁を含有するものである。
また、本発明は、発酵原料液である第1の液汁に酵母を接種する工程;
第1の液汁に、タンパク分解物を水又は水溶液に溶解して得られる第2の液汁を添加する工程;及び
第1の液汁と第2の液汁との混合物を発酵させる工程;
を包含する、発酵アルコール飲料の製造方法を提供する。
本発明によれば、タンパク分解物を使用して製造した発酵アルコール飲料の濁度を低下させ、濾過時の差圧上昇および濁度上昇を抑制することで、当該発酵アルコール飲料の濾過性を、タンパク分解物を使用していないビールと同等レベルまで改善することができる発酵アルコール飲料の製造方法が提供される。また、本発明の発酵アルコール飲料の製造方法によれば、雑味が低減された発酵アルコール飲料が提供される。
実施例1、比較例1において、貯酒工程終了後の発酵アルコール飲料を珪藻土濾過する際に発生する差圧の経時的な変化をプロットしたグラフである。
発酵原料液は発酵原料を使用して製造する糖溶液である。発酵原料とは酵母を使用して発酵させることができるビール様飲料の原料をいう。発酵原料には、麦芽、穀類及び副原料が含まれる。副原料とは、麦芽と穀類以外の発酵原料を意味する。該副原料としては、例えば、大麦、小麦、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん等のデンプン原料、及び液糖や砂糖等の糖原料が挙げられる。液糖とは、澱粉質を酸又は糖化酵素により分解、糖化して製造されたものであり、主にグルコース、マルトース、マルトトリオース等が含まれる。
発酵原料及び水を釜に仕込み、加熱する。調製された煮汁から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の煮汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50~100℃程度で行われる。粕を除去した後の煮汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。この粕を除去した後の煮汁が、発酵原料液となる。
具体的には、まず、穀物原料と糖質原料の少なくともいずれかと原料水とを含む混合物を調製して加温し、穀物原料等の澱粉質を糖化させる。糖溶液の原料としては、穀物原料のみを用いてもよく、糖質原料のみを用いてもよく、両者を混合して用いてもよい。穀物原料としては、例えば、大麦や小麦、これらの麦芽等の麦類、米、トウモロコシ、大豆等の豆類、イモ類等が挙げられる。穀物原料は、穀物シロップ、穀物エキス等として用いることもできるが、粉砕処理して得られる穀物粉砕物として用いることが好ましい。穀物類の粉砕処理は、常法により行うことができる。
穀物粉砕物としては、麦芽粉砕物、コーンスターチ、コーングリッツ等のように、粉砕処理の前後において通常なされる処理を施したものであってもよい。用いられる穀物粉砕物は、麦芽粉砕物であることが好ましい。麦芽粉砕物を用いることにより、ビールらしさがよりはっきりとした発酵アルコール飲料を製造することができる。麦芽粉砕物は、大麦、例えば二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕したものであればよい。また、本発明において用いられる穀物原料としては、1種類の穀物原料であってもよく、複数種類の穀物原料を混合したものであってもよい。例えば、主原料として麦芽粉砕物を、副原料として米やトウモロコシの粉砕物を用いてもよい。糖質原料としては、例えば、液糖等の糖類が挙げられる。
当該混合物には、穀物原料等と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、酵母エキス、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。また、必要に応じて、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することができる。
糖化処理は、穀物原料等由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする発酵アルコール飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、穀物原料等を含む混合物を35~70℃で20~90分間保持する等、常法により行うことができる。
糖化処理後に得られた糖溶液を煮沸することにより、煮汁(糖溶液の煮沸物)を調製することができる。糖溶液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾液を煮沸処理することが好ましい。また、この糖溶液の濾液の替わりに、麦芽エキスに温水を加えたものを用い、これを煮沸してもよい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する発酵アルコール飲料を製造することができる。特にホップは、煮沸処理前又は煮沸処理中に添加することが好ましい。ホップの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気成分を効率よく煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。
発酵原料液は、以下、「第1の液汁」とも呼ぶ。発酵原料液である第1の液汁は、好ましくは、麦汁を含有する。麦汁は、発酵原料として麦芽を使用することで、第1の液汁に含有される。
次いで、冷却した発酵原料液に酵母を接種し、タンパク分解物を添加して、発酵を行う。発酵原料液に酵母を接種し、タンパク分解物を添加する順番は逆にしてもよいが、一般的ではない。発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
本発明において用いられるタンパク分解物は、植物由来、動物由来又は微生物由来のいずれのタンパク分解物でもよいが、ことに大豆タンパク分解物が好ましい。大豆は非常に優れた栄養的性質を有しており、消化吸収性も良いため、近年高まっている消費者の健康志向に添うためである。タンパク分解物は、一般にペプチドと言われるものであってよい。ペプチドは、一般に、タンパクを酵素分解及び精製して製造される。
また、本発明において用いられるタンパク分解物は、原料となる植物等の組織や培養液から、抽出・精製分離後、分解することにより得られたものを用いることができる。例えば、大豆タンパク分解物は、大豆を脱脂した脱脂大豆を水抽出して酸沈殿させ、生じた分離大豆タンパクカードを調製し、分解することにより得ることができる。該分解方法はタンパク質を部分分解し得る方法であれば特に限定されるものではない。例えば、熱や圧力による分解、酸やアルカリによる分解、酵素による分解がある。簡便であり、かつ、工程制御しやすいため、酵素による分解が好ましい。
該酵素は、タンパク質分解酵素であれば、特に限定されるものではない。市販されているタンパク質分解酵素のうち、いずれの酵素を用いても良く、またこれらを組み合わせて用いることもできる。エキソ型プロテアーゼ活性の高い酵素は、短鎖ペプチドや遊離アミノ酸を多く産生するため、タンパク質を部分分解するためには、エキソ型プロテアーゼ活性の高い酵素よりも、エンド型プロテアーゼ活性の高い酵素の方が好ましい。
タンパク分解物は、好ましくは、10,000~50,000の重量平均分子量を有するものを使用する。重量平均分子量が10,000未満のタンパク分解物を用いると、泡持ち効果が低く、かつ、エステル類が過度に合成されるため、官能上、好ましくない。一方、重量平均分子量50,000超のタンパク分解物を用いると、液粘性が上がり、発酵後の濾過や出荷のための瓶詰工程が遅延するという製造上の問題が生ずる。特に、重量平均分子量が13,000~43,000のタンパク分解物が好ましく、重量平均分子量が15,000~35,000のタンパク分解物がより好ましい。泡持ちが顕著に改善され、かつ、香味成分の過剰な合成が抑制されることにより嗜好性が向上するためである。
タンパク分解物の使用量は、製品に要求される香味及び泡持ちに依存して適宜調節される。
酵母を接種する前又は後の発酵原料液にタンパク分解物を添加する際には、まず、予めタンパク分解物を水又は水溶液に溶解する。そして、タンパク分解物を水又は水溶液に溶解して得られるタンパク分解物の溶液を、上記発酵原液に添加する。かかる操作を行うことで、得られる発酵アルコール飲料の濁度が低下し、雑味も低減する。タンパク分解物を水又は水溶液に溶解して得られるタンパク分解物の溶液を第2の液汁とも呼ぶ。
タンパク分解物を溶解する水溶液は、好ましくは、麦汁を含有しないものである。当該水溶液が麦汁を含有する場合、第2の液汁に濁りが発生し易く、得られる発酵アルコール飲料の濁度が上昇し易くなる。
タンパク分解物を溶解する水溶液は糖を含有するものであってよい。例えば、タンパク分解物を溶解する水溶液は、発酵原料として通常使用される糖溶液であってよい。また、タンパク分解物を溶解する水溶液はアルコールを含有するものであってよい。
第2の液汁に含有させるアルコール類の量は、目的の製品品質、特に最終製品たる発酵飲料の目的とするアルコール濃度を考慮して適宜調整できる。例えば、発酵原料液等に添加するアルコール類の量としては、添加したアルコール類により、製造される発酵飲料のアルコール濃度が1容量%以上増大させられる量が好ましく、製造される発酵飲料のアルコール濃度が1~4容量%増大させられる量がより好ましい。
発酵原料液等に添加するアルコール類としては、アルコールを含むものであれば特に限定されるものではなく、例えば、原料用アルコールであってもよく、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等の蒸留酒であってもよい。本発明に係る発酵飲料の製造方法において用いられるアルコール類としては、発酵飲料の呈味性に対してあまり影響を与えることなくアルコール濃度を高められることから、原料用アルコールや、ウオッカ等の特徴的な香味が少ない蒸留酒が好ましく、原料用アルコールがより好ましい。
発酵を行う際には、第1の液汁に第2の液汁を添加して混合した後に酵母を接種してもよく、酵母を接種した第1の液汁に第2の液汁を添加して混合してもよく、後者が好ましい。また、第1の液汁に酵母を接種して発酵を開始後に、第2の液汁を添加してもよい。
発酵が終了した後に、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、目的の発酵アルコール飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が0.4~0.6μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。
貯酒工程終了後の発酵アルコール飲料は濁度が低く、透明性に優れたものである。また、貯酒工程終了後の発酵アルコール飲料は濾過に要する圧力が低く、濾過時に差圧上昇が生じ難い。つまり、貯酒工程終了後の発酵アルコール飲料は濾過性に優れ、濾過性のレベルはタンパク分解物を使用していないビールと同等である。また、濾過後に得られる発酵アルコール飲料は、発酵原料液に固体状タンパク分解物を直接添加して製造した発酵アルコール飲料と比較して、渋味等の雑味が低減されたものになる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
<実施例1>
麦汁を含むもろみAに酵母を接種した後、麦汁以外の糖溶液に大豆ペプチドを溶解させたもろみBを添加し、得られた混合物を発酵させることにより、発酵ビール様発泡性飲料を調製した。大豆ペプチドは市販されているものを使用した。
もろみAは、以下のようにして調製した。まず、仕込槽にて、麦芽粉砕物20kgを100Lの温水に溶解させた後、65℃に保持した。この麦芽粉砕物液に、グルコアミラーゼ(天野エンザイム株式会社製)を10g添加して65℃で30分間保持し、次いで76℃に温度を上昇させることにより、麦汁を調製した。得られた麦汁は、麦汁ろ過槽にて濾過した後、煮沸釜に投入した。
麦汁を投入した煮沸釜に、液糖(昭和産業株式会社製)13kg、及び温水を投入して溶解させた後、ホップペレット(アメリカ、ナゲット種)20gを添加して100℃で60分間煮沸した。煮沸した液汁に、90Lになるように湯を入れて調整したものを、もろみAとした。もろみAは、熱交換器で冷却した後、酵母を添加して発酵タンクに投入した。
もろみAとは別に、以下のようにしてもろみBを調製した。すなわち、液糖(昭和産業株式会社製)13kgを温水に溶解させた後、大豆ペプチド600g、ホップペレット(アメリカ、ナゲット種)20gを添加し、100℃で60分間煮沸した。煮沸した液汁を熱交換器で冷却した後、原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)6.25kgを添加したものを、もろみBとし、発酵タンクに投入した。
もろみA及びもろみBの両方を発酵タンクに投入した後、発酵を開始した。
発酵終了後、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、珪藻土濾過することにより、発酵ビール様発泡性飲料を得た。安定化された貯酒をサンプリングし、GEA社製濁度計を使用して濁度を測定したところ、0.66CUであった。
<比較例1>
麦汁を含むもろみAに大豆ペプチドを添加し、酵母を接種した後、麦汁以外の糖溶液であるもろみBを添加し、得られた混合物を発酵させることにより、発酵ビール様発泡性飲料を調製した。
もろみAは、以下のようにして調製した。まず、仕込槽にて、麦芽粉砕物20kgを100Lの温水に溶解させた後、65℃に保持した。この麦芽粉砕物液に、グルコアミラーゼ(天野エンザイム株式会社製)を10g添加して65℃で30分間保持し、次いで76℃に温度を上昇させることにより、麦汁を調製した。得られた麦汁は、麦汁ろ過槽にて濾過した後、煮沸釜に投入した。
麦汁を投入した煮沸釜に、大豆ペプチド600g、液糖(昭和産業株式会社製)13kg、酵母エキス(アサヒフードアンドヘルスケア社製)400g、及び温水を投入して溶解させた後、ホップペレット(アメリカ、ナゲット種)20gを添加して100℃で60分間煮沸した。煮沸した液汁に、90Lになるように湯を入れて調整したものを、もろみAとした。もろみAは、熱交換器で冷却した後、酵母を添加して発酵タンクに投入した。
もろみAとは別に、以下のようにしてもろみBを調製した。すなわち、液糖(昭和産業株式会社製)13kgを温水に溶解させた後、ホップペレット(アメリカ、ナゲット種)20gを添加し、100℃で60分間煮沸した。煮沸した液汁を熱交換器で冷却したものを、もろみBとし、発酵タンクに投入した。
もろみA及びもろみBの両方を発酵タンクに投入した後、発酵を開始した。
発酵終了後、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、珪藻土濾過することにより、発酵ビール様発泡性飲料を得た。安定化された貯酒をサンプリングしGEA社製濁度計を使用して濁度を測定したところ、1.15CUであった。
<比較例2>
もろみAに大豆ペプチド300gを添加し、もろみBに大豆ペプチド300gを添加すること以外は比較例1と同様にして発酵ビール様発泡性飲料を製造し、貯酒の濁度を測定した。貯酒の濁度は1.1CUであった。
<濾過差圧測定>
図1は、実施例1、比較例1において、貯酒工程終了後の発酵アルコール飲料を珪藻土濾過する際に発生する差圧の経時的な変化をプロットしたグラフである。具体的には、貯蔵し安定化させた後の発泡性アルコール飲料を、キャンドル型システムを用いて珪藻土濾過をした場合の、キャンドルフィルターの差圧上昇度合いを測定した。実施例1については、イーストセパレータ(YS)あり、なしそれぞれの場合を示す。図1に示される通り、実施例1では濾過中の差圧上昇が比較例1に比べて顕著に低くなった。これは貯酒の濁度が低下したことによる効果と考えられる。
<溶解性試験>
大豆ペプチド1.5gを容量300mlのサンプル瓶に入れ、40℃の媒体250gを加え、攪拌した。媒体としては、実施例1でもろみAを製造する過程で得られたろ過後の麦汁、実施例1でもろみBを製造する過程で得られた大豆ペプチドを添加する前の液糖水溶液、及び水をそれぞれ使用した。サンプル瓶中の溶液の濁りの有無を目視により評価した。結果を表1に示す。
[表1]
Figure 0007007200000001
++++:濁りが多い
+:濁りが少ない
<比較例3>
もろみAに大豆ペプチド300gを添加し、もろみBに大豆ペプチド300gを添加すること以外は実施例1と同様にして、発酵ビール様発泡性飲料を製造した。
<官能検査>
実施例1及び比較例3の発酵ビール様発泡性飲料の官能検査を行った。結果を表2に示す。官能検査はビール醸造技術者2名のパネリストで行い、渋味、軽快、美味しさについて3段階で評価した。その結果、比較例3よりも実施例1の発酵ビール様発泡性飲料の方が全体として雑味が低減されていることが分かった。
[表2]
Figure 0007007200000002
○:よい、△:普通、×:悪い
<泡持ち試験>
実施例1及び比較例3の発酵ビール様発泡性飲料のNIBEM値を測定した。結果を表3に示す。NIBEM値は、注がれた泡の崩壊速度を電気伝導度で測定したものであり、ビール等の泡持ち評価に一般的に用いられている試験である。
[表3]
Figure 0007007200000003

Claims (7)

  1. 発酵原料液である第1の液汁に、タンパク分解物を水又は水溶液に溶解して得られる第2の液汁を添加する工程を包含する、発酵アルコール飲料の製造方法であって、
    第2の液汁が煮沸されたものである、発酵アルコール飲料の製造方法
  2. 前記水溶液が麦汁を含有しないものである請求項1に記載の発酵アルコール飲料の製造方法。
  3. 前記水溶液が糖を含有するものである請求項1又は2に記載の発酵アルコール飲料の製造方法。
  4. 前記発酵原料液が麦汁を含有するものである請求項1~のいずれか一項に記載の発酵アルコール飲料の製造方法。
  5. 第2の液汁は、煮沸された後にアルコールが添加されたものである請求項1~4のいずれか一項に記載の発酵アルコール飲料の製造方法。
  6. 発酵原料液である第1の液汁に酵母を接種する工程;
    第1の液汁に、タンパク分解物を水又は水溶液に溶解して得られる第2の液汁を添加する工程;及び
    第1の液汁と第2の液汁との混合物を発酵させる工程;
    を包含する、発酵アルコール飲料の製造方法であって、
    第2の液汁が煮沸されたものである、発酵アルコール飲料の製造方法
  7. 第2の液汁は、煮沸された後にアルコールが添加されたものである請求項6に記載の発酵アルコール飲料の製造方法。
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