JP4024827B2 - 麦芽アルコール飲料の製造法 - Google Patents
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Description
一方、麦芽を使用する酒類としては、ビールの他に雑酒発泡酒(以下、発泡酒という。)が存在する。発泡酒は酒税法上、原料中の麦芽の重量に基づく区分として、当該重量が水以外の原料の重量の(1)100分の67以上のもの、(2)100分の50以上100分の67未満のもの、(3)100分の25以上100分の50未満のもの、および(4)100分の25未満のものの4段階に規定されている。
なお、原料中の麦芽重量が(1)の区分に属するものであっても、ビールの製造原料として認められていないものを原料の一部に含む麦芽アルコール飲料は発泡酒に分類される。
また、本発明は、麦芽とホップから調製した麦汁又は麦芽、副原料およびホップから調製した麦汁を複数の発酵槽に分割して発酵を開始し、各発酵槽に対して酵母が発酵可能な糖類とホップを含む溶液を、1〜3日間の間隔で少なくとも1回、それぞれ異なる割合で添加して発酵を行なうことを特徴とするビール又は発泡酒の製造法に関する。
また、仕込工程における第2液ないし第3液の煮沸は、殺菌のみを目的とするため、短時間で処理できることから、製造時間の短縮に加え、エネルギーコストの削減を図ることもできる。なお、実施例では加熱による第2液ないし第3液の殺菌を示したが、殺菌方法はこれに限定されるものではなく、例えば精密ろ過、紫外線殺菌などの任意の方法を採用することができる。
なお、実施例においては、いずれもホップの添加を第1液のみで行なったが、第2液、第3液等に対しても添加することができる。この方法を応用すれば、例えば通常ビールを第1液として仕込み、次いで該麦汁を複数の発酵槽に分割して発酵を開始し、各発酵槽に対して苦味質を含む糖液をそれぞれ所望の割合で添加することにより、ビールや麦芽使用率の異なる各種発泡酒などを同時に複数製造することもできる。
(1)麦芽100%で仕込んで得た麦汁を使用して発酵開始後、酵母が発酵可能な糖類を含む溶液を、所定濃度で、かつ適量を1回ないし数回に分けて添加して発酵を行なう方法。
(2)麦芽50%で仕込んで得た麦汁を使用して発酵開始後、酵母が発酵可能な糖類を含む溶液を、所定濃度で、かつ適量を1回ないし数回にわたり添加して発酵を行なう方法。
(3)麦芽25%以上で仕込んで得た麦汁を使用して発酵開始後、酵母が発酵可能な糖類を含む溶液を、所定濃度で、かつ適量を1回ないし数回にわたり添加して発酵を行なう方法。
(4)上記の各方法において、酵母が発酵可能な糖類を含む溶液と共に、必要に応じて酵母、ホップ、その他の原料等を適宜添加する方法。
(5)上記の各方法において、酵母が発酵可能な糖類を含む溶液として通気処理したものを用いる方法。
製麦工程で得られた麦芽は、次の仕込工程に送られるが、この工程では、前記したように、麦芽のみを仕込んで麦汁を作る他、麦芽と副原料を所定の割合で仕込んで麦汁を作る。この場合に用いる副原料としては、ビールにおいては酒税法により米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類等に限定されているが、発泡酒においてはこの他、小麦、ライ麦などの穀類、さつまいも、さといも等のいも類、その他一切の澱粉質原料並びに糖類もしくは糖類を含む果汁などの原料を用いることができる。
これらの原料は、仕込釜や仕込槽などにおいて温水と混合して麦芽中の酵素の作用によりマイシェを形成する。この場合、必要に応じてアミラーゼ、プロテアーゼ等の酵素や水質調整剤などを適宜添加してもよい。
糖化が終了した後、ろ過を行なって透明な麦汁を得る。次いで、この麦汁を煮沸釜に移し、ホップを添加して煮沸する。
(1)麦芽100%で仕込んで得た麦汁(第1液)を使用して発酵を開始し、1〜3日後に糖類を含む溶液(第2液)を添加して発酵を継続し、さらに1〜3日後に糖類を含む溶液(第3液)を加えて発酵を行ない、最終的に水以外の原料中の麦芽の重量が25%相当の麦芽アルコール飲料を製造する方法。
(2)麦芽50%で仕込んで得た麦汁(第1液)を使用して発酵を開始し、1〜3日後に糖類を含む溶液(第2液)を添加して発酵を続け、最終的に水以外の原料中の麦芽の重量が25%相当の麦芽アルコール飲料を製造する方法。
実施例1
仕込槽に麦芽56kgと温水200Lを加えて良く混合し、液温を約40℃として約40分間保持してマイシェを作った後、これを徐々に昇温し、液温を65℃とした。マイシェをこの温度に約20分間保持したのち、15分かけて75℃に昇温し、約3分間保持した。
なお、煮沸の際に添加するホップの使用量は、発酵工程での糖液等添加による希釈分を勘案した量としなければならない。
その後、該麦汁250Lを約9℃まで冷却した。この冷麦汁に通気した後、発酵槽に添加して主発酵を開始した。なお、ビール酵母は濃度が1.5×107 個/mLとなるように添加した。
さらに2日経過した後、糖類として主にマルトースを含む溶液(第3液)を第1液および第2液の合計量と等量添加し、この後さらに4日間発酵を継続した。なお、第3液についても第2液同様に調製したものを用い、酵母添加量は3.0×107 個/mLの濃度とし、かつ発酵槽添加時の通気も行なわなかった。
主発酵終了後、発酵液を貯酒工程(後発酵工程)に移し、11℃で7日間、次いで0℃で14日間保持した。その後、常法によるろ過工程、製品化工程を経て最終製品を得た。
発酵工程の概要を図1に、冷麦汁および最終製品の分析結果を第1表に、発酵工程での酵母数の推移を図2に、発酵工程でのエキス分の推移を図3に示す。また、製品中に含まれる低沸点化合物のガスクロ分析値をビールの標準分析値と比較したレーダーチャートを図4に示す。
仕込槽に、麦芽30kgと糖類として主としてマルトースを含む溶液32kgを添加し、さらに温水121Lを加えて良く混合した後、液温を約40℃として約40分間保持してマイシェを作った。これを徐々に昇温し液温を65℃とした。マイシェをこの温度に約20分間保持したのち、15分かけて75℃に昇温し、約3分間保持した。
その後、該麦汁250Lを約9℃まで冷却した。この冷麦汁に通気した後、発酵槽に添加して主発酵を開始した。なお、ビール酵母は濃度が1.5×107 個/mLとなるように添加した。
主発酵終了後、発酵液を貯酒工程(後発酵工程)に移し、11℃で7日間、次いで0℃で14日間保持した。その後、常法によるろ過工程、製品化工程を経て最終製品を得た。
発酵工程の概要を図1に、冷麦汁および最終製品の分析結果を第1表に、発酵工程での酵母数の推移を図2に、発酵工程でのエキス分の推移を図3に示す。また、製品中に含まれる低沸点化合物のガスクロ分析値をビールの標準分析値と比較したレーダーチャートを図4に示す。
実施例2において、第2液を発酵槽に添加する際、通気を行なわなかったこと以外は、すべて実施例2と同様にして実施した。
発酵工程の概要を図1に、冷麦汁および製品の分析結果を第1表に、発酵工程での酵母数の推移を図2に、発酵工程でのエキス分の推移を図3に示す。また、製品中に含まれる低沸点化合物のガスクロ分析値をビールの標準分析値と比較したレーダーチャートを図4に示す。
仕込槽に麦芽16kgと糖類として主にマルトースを含む溶液50kgを添加し、さらに温水110Lを加えて良く混合した後、液温を約40℃として約40分間保持してマイシェを作った。これを徐々に昇温して液温を65℃とした。マイシェをこの温度に約20分間保持したのち、15分かけて75℃に昇温し、約3分間保持した。
その後、該麦汁250Lを約9℃まで冷却した。この冷麦汁にビール酵母を濃度が3.0×107 個/mLとなるように添加した。なお、発酵槽への麦汁添加の際に通気をしなかったこと以外は実施例1と同様にして主発酵を行ない、さらに貯酒工程(後発酵工程)、ろ過工程、製品化工程を同様に実施して最終製品を得た。
発酵工程の概要を図1に、冷麦汁および最終製品の分析結果を第1表に、発酵工程での酵母数の推移を図2に、発酵工程でのエキス分の推移を図3に示す。また、製品中に含まれる低沸点化合物のガスクロ分析値をビールの標準分析値と比較したレーダーチャートを図4に示す。
Claims (2)
- 麦芽とホップから調製した麦汁又は麦芽、副原料およびホップから調製した麦汁の発酵工程において、酵母が発酵可能な糖類とホップを含む溶液を、1〜3日間の間隔で少なくとも1回添加して発酵を行なうことを特徴とするビール又は発泡酒の製造法。
- 麦芽とホップから調製した麦汁又は麦芽、副原料およびホップから調製した麦汁を複数の発酵槽に分割して発酵を開始し、各発酵槽に対して酵母が発酵可能な糖類とホップを含む溶液を、1〜3日間の間隔で少なくとも1回、それぞれ異なる割合で添加して発酵を行なうことを特徴とするビール又は発泡酒の製造法。
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