JP7006646B2 - 冷却システムを備えた自律走行装置 - Google Patents
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Description
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、電子機器などの発熱体を備え、高温環境(例えば、夏場で60℃以上となるような環境)下で稼動させる自律走行装置であって、装置内部をバッテリーなどのエネルギーを利用することなく適切に冷却することができる冷却システムを備えた自律走行装置を提供することにある。
[1]発熱体(x)が収容される筐体であって、外側に遮熱材(4)が配され、内側に断熱材(5)が配された複層構造を有する筐体(1)と、
該筐体(1)の外面に気化熱冷却用の液体を接触させて筐体(1)を気化熱冷却する気化熱冷却機構(2)と、
筐体(1)内部に設置される保冷パックであって、常温・常圧で液体となる相変化物質が充填され、該相変化物質が固相となる温度まで冷却された保冷パック(3)を有することを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。
[2]上記[1]の自律走行装置において、筐体(1)を構成する遮熱材(4)が外面が反射面を構成する板材からなることを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの自律走行装置において、保冷パック(3)に充填された相変化物質が、発熱体(x)の許容環境温度未満の融解温度を有することを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの自律走行装置において、気化熱冷却機構(2)が、筐体(1)の外面に取り付けられ、気化熱冷却用の液体を含浸させる多孔質体(7)を有することを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。
[7]上記[1]~[5]のいずれかの自律走行装置において、気化熱冷却機構(2)が、筐体(1)の外面又は筐体(1)の外面に取り付けられた多孔質体(7)に気化熱冷却用の液体を噴霧する噴霧手段(9)を有することを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの自律走行装置において、コークス炉頂の清掃用クリーナーであり、清掃用機器が搭載されていることを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。
本発明の自律走行装置が備える冷却システムは、電子機器などの発熱体xが収容される筐体1と、この筐体1を気化熱冷却する気化熱冷却機構2と、相変化により吸熱を行う相変化物質が充填され、筐体1内部に設置される保冷パック3などで構成される。なお、図1において、11は自律走行装置の走行用の車輪である。
遮熱材4は、外部環境からの輻射熱を遮断する役目をするものであり、外面を鏡面研磨した板材(金属板)、外面を白色塗装した板材(金属板)などのような外面が高反射率の反射面を構成する板材からなることが好ましい。その反射面の反射率は、特に0.7~1.0程度が好ましい。
また、本実施形態の筐体1は、外側の遮熱材4と内側の断熱材5のみで構成されているが、図2に仮想線で示すように、筐体1の本体10(例えば金属製の本体)を遮熱材(外側)+断熱材5(内側)の複層構造を有する遮熱・断熱層で被覆した構造としてもよい。
本実施形態の気化熱冷却機構2は、筐体1の外面(上面)に取り付けられ、気化熱冷却用の液体を含浸させる多孔質体7と、この多孔質体7に気化熱冷却用の液体を噴霧する噴霧手段9を有している。
噴霧手段9は、液体タンク91と、この液体タンク91から供給される液体を噴霧するスプレーノズル90などで構成されている。
高温環境下において噴霧手段9から噴霧された液体は、一部が多孔質体7の表面で気化し、残りが多孔質体7に含浸された後、徐々に気化する。この気化熱により筐体1が冷却される。
発熱体xが電子機器などである場合、電子機器を保護するために許容環境温度(例えば、60℃)がある。保冷パック3に充填される相変化物質は、この発熱体xの許容環境温度未満の融解温度を有するものであることが好ましく、特に許容環境温度よりも10~20℃程度低い融解温度を有するものが好ましい。相変化物質の種類は特に制限はないが、例えば、パラフィン、硫酸ナトリウム十水塩などが好ましい。
また、保冷パック3としては、異なる融解温度の相変化物質がそれぞれ充填された2種以上の保冷パックを用いることができ、これにより広い温度域での吸熱が可能となる。
保冷パック3(相変化物質)は体積が大きいほど冷却効果が高くなるので、本実施形態では、筐体1の床部に敷き詰めるように設置されているが、例えば、さらに、筐体1の内壁面に設置してもよい。
発熱体xは、保冷パック3に直に接する(熱伝導的に接続する)ように設けられることが好ましく、本実施形態では、発熱体xは保冷パック3の上に直に設置されている。
上記(i)の気化熱冷却機構2では、使用前に予め多孔質体7に気化熱冷却用の液体を含浸させておき、この液体が高温環境下で徐々に気化することにより、その気化熱で筐体1が冷却される。また、上記(ii)の気化熱冷却機構2では、液体タンクなどを備えた液体供給手段8から供給された液体が多孔質体7に含浸され、この液体が高温環境下で徐々に気化することにより、その気化熱で筐体1が冷却される。また、上記(iii)の気化熱冷却機構2では、噴霧手段9から筐体1の外面に直に気化熱冷却用の液体が噴霧され、この液体が高温環境下で気化することにより、その気化熱で筐体1が冷却される。
すなわち、気化熱冷却機構2は、筐体1の外面(上面)に取り付けられ、気化熱冷却用の液体を含浸させる多孔質体7のみを有しており、この実施形態の気化熱冷却機構2では、使用前に予め多孔質体7に気化熱冷却用の液体を含浸させておく。
また、上記(ii)の気化熱冷却機構2のように、図3の仮想線で示すような液体タンク80を備えた液体供給手段8を設け、液体供給手段8から供給される液体を多孔質体7に含浸させるようにしてもよい。
図4に実験方法を示す。耐火ボード製の実験室内の床部に板状のヒータを設置し、その上に鋼板(板厚10mm,図示せず)を介して実験装置(自律走行装置)を置き、ヒータ(ヒータ温度100℃)で実験装置を加熱するとともに、実験室の外側に設置された温風発生器から実験室内に温風(60℃)を吹き込み、この温風でも実験装置を加熱した。筐体内部の温度を熱電対(図4に温度計測点を示す)で測定した。
(1)筐体1
・遮熱材:表面が鏡面研磨されたアルミ板(板厚1mm)
・断熱材:空気層(厚さ2mm)を介した2層の断熱ボード(材質:ガラス繊維+エポキシ樹脂系バインダ、熱伝導率0.13[W/mk]、板厚5mm)
(2)気化熱冷却機構2
・多孔質体:珪藻土ボード(厚さ10mm)
・水供給方法:霧吹き手段(図示せず)で噴霧
・水供給量:70g/h
(3)保冷パック3
・PCM:パラフィン
・PCM質量:0.8kg
(4)発熱体x
・発熱源:メタルクラッド抵抗器(ジュール熱による発熱)
・出力50W
比較例1:気化熱冷却機構2、保冷パック3ともに使用しない条件
比較例2:気化熱冷却機構2は使用するが、保冷パック3は使用しない条件
本実験では、筐体1の内部温度を発熱体xの許容環境温度である60℃以下に6時間程度保持することを目標とした。
2 気化熱冷却機構
3 保冷パック
4 遮熱材
5 断熱材
6 空気層
7 多孔質体
8 液体供給手段
9 噴霧手段
10 本体
11 車輪
80 液体タンク
90 スプレーノズル
91 液体タンク
x 発熱体
Claims (8)
- 発熱体(x)が収容される筐体であって、外側に遮熱材(4)が配され、内側に断熱材(5)が配された複層構造を有する筐体(1)と、
該筐体(1)の外面に気化熱冷却用の液体を接触させて筐体(1)を気化熱冷却する気化熱冷却機構(2)と、
筐体(1)内部に設置される保冷パックであって、常温・常圧で液体となる相変化物質が充填され、該相変化物質が固相となる温度まで冷却された保冷パック(3)を有し、
気化熱冷却機構(2)が、筐体(1)の外面又は筐体(1)の外面に取り付けられた多孔質体(7)に気化熱冷却用の液体を噴霧する噴霧手段(9)を有することを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。 - コークス炉頂清掃用のクリーナーであり、清掃用機器が搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却システムを備えた自律走行装置。
- 発熱体(x)が収容される筐体であって、外側に遮熱材(4)が配され、内側に断熱材(5)が配された複層構造を有する筐体(1)と、
該筐体(1)の外面に気化熱冷却用の液体を接触させて筐体(1)を気化熱冷却する気化熱冷却機構(2)と、
筐体(1)内部に設置される保冷パックであって、常温・常圧で液体となる相変化物質が充填され、該相変化物質が固相となる温度まで冷却された保冷パック(3)を有し、
コークス炉頂清掃用のクリーナーであり、清掃用機器が搭載されていることを特徴とする冷却システムを備えた自律走行装置。 - 気化熱冷却機構(2)が、筐体(1)の外面に取り付けられ、気化熱冷却用の液体を含浸させる多孔質体(7)を有することを特徴とする請求項3に記載の冷却システムを備えた自律走行装置。
- 気化熱冷却機構(2)が、気化熱冷却用の液体を多孔質体(7)に供給して含浸させる液体供給手段(8)を有することを特徴とする請求項4に記載の冷却システムを備えた自律走行装置。
- 筐体(1)を構成する遮熱材(4)が、外面が反射面を構成する板材からなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の冷却システムを備えた自律走行装置。
- 筐体(1)を構成する断熱材(5)が複数層からなり、各断熱材(5)間に空気層(6)が設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の冷却システムを備えた自律走行装置。
- 保冷パック(3)に充填された相変化物質が、発熱体(x)の許容環境温度未満の融解温度を有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の冷却システムを備えた自律走行装置。
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