JP7006472B2 - ニッケル皮膜の成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質膜を用いたニッケル皮膜の成膜方法に関する。
この種の金属皮膜の成膜方法として、たとえば、特許文献1には、陽極と陰極との間に、陰極に接触するように金属イオンが含浸された固体電解質膜を設置し、陽極と陰極との間に電圧を印加して、陰極の表面で金属イオンを還元させて金属皮膜を成膜する方法が開示されている。
特許文献1に記載の成膜方法では、成膜時間ごとの電気化学インピーダンスから固体電解質膜の抵抗値と、電荷移動抵抗値と、を算出する。これらの抵抗値から、固体電解質膜の金属イオンのイオン交換を完了する成膜時間と、固体電解質膜とこれに接触した金属皮膜とが一体化する成膜時間とを特定する。これにより、固体電解質膜とこれに接触した金属皮膜とが一体化することなく、安定して金属皮膜を成膜することができる。
特開2017-137546号公報
しかしながら、たとえば、銅皮膜とニッケル皮膜とでは、結晶の析出形態が異なる上、電解液の組成、温度、またはpHなどが異なる。このため、特許文献1に記載の方法で、ニッケル皮膜を成膜した場合、固体電解質膜とニッケル皮膜とが一体化することがあった。これは、固体電解質膜とこれに接触したニッケル皮膜とを含む部分では、電流集中によるニッケルイオン不足により、水酸化ニッケルが生成されてしまい、生成された水酸化ニッケルが脱水して酸化ニッケルとなることによる。この結果、固体電解質膜とこれに接触したニッケル皮膜が物理的および化学的に密着したと考えられる。
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、本発明では、成膜中に、固体電解質膜とこれに接触したニッケル皮膜との一体化を防止することができるニッケル皮膜の成膜方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明のニッケル皮膜の成膜方法は、陽極と陰極との間に、前記陰極に接触するようにニッケルイオンが含浸された固体電解質膜を設置し、前記陽極と前記陰極との間に電流を流して、前記陰極の表面に、前記ニッケルイオンに由来したニッケル皮膜を成膜するニッケル皮膜の成膜方法であって、前記陽極と前記陰極との間に通電する前記電流が異なる電流密度となる条件で、成膜した後、前記陽極と前記陰極との間に印加する電圧を高周波数から低周波数まで変化させながら、前記固体電解質膜とこれに接触した前記ニッケル皮膜とを含む部分の電気化学インピーダンスを前記異なる電流密度ごとに測定する工程と、前記異なる電流密度ごとに測定された前記電気化学インピーダンスから、X軸を実数成分とし、Y軸を虚数成分とする座標系を有したコールコールプロット図を、前記高周波数から前記低周波数へ測定された順にプロットすることにより作成する際に、前記低周波数側で前記実数成分の値が減少した場合の前記電流密度を特定する工程と、特定した前記電流密度よりも小さい電流密度で、前記陰極の表面に前記ニッケル皮膜を成膜する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、ニッケル皮膜を成膜した後に、固体電解質膜とこれに接触したニッケル皮膜とを含む部分の電気化学インピーダンスを異なる電流密度ごとに測定する。電流密度ごとに測定した電気化学インピーダンスから、コールコールプロット図を作成する際に、低周波数側で実数成分の値が減少した場合の電流密度を特定する。特定した電流密度より小さい電流密度でニッケル皮膜を成膜するため、成膜中に、固体電解質膜とこれに接触したニッケル皮膜との一体化を防止することができる。
本実施形態に係るニッケル皮膜の成膜方法を説明するための模式的断面図であって、(a)は、成膜装置の成膜前の状態を説明する模式的断面図であり、(b)は、成膜装置1の成膜時の状態を説明する模式的断面図である。 本実施形態のニッケル皮膜Fの成膜方法の工程を説明するフロー図である。 (a)電流密度が50、100、および150mA/cmの場合の成膜前後の電気化学インピーダンスから得られたコールコールプロット図であり、(b)は、(a)の一部拡大図である。 ニッケル皮膜を成膜した後の基板に係る試験体の表面の顕微鏡画像であって、(a)~(c)は、それぞれ、50、100、および150mA/cmの電流密度で成膜した試験体の画像である。
以下に、図1~4を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るニッケル皮膜Fの成膜方法を説明するための模式的断面図であって、図1(a)は、成膜装置1の成膜前の状態を説明する模式的断面図であり、図1(b)は、成膜装置1の成膜時の状態を説明する模式的断面図である。
1.成膜装置1について
本実施形態では、図1(a)、(b)に示すように、基板Wを陰極として、成膜装置1を用いて、基板Wの表面にニッケル皮膜を成膜する。陰極となる基板Wは、導電性を有した金属材料からなり、たとえば、銅、ニッケル、銀、または金などを挙げることができる。また、基板Wが、絶縁性を有した基材に、上述した金属材料が被覆されていてもよい。
図1(a)、(b)に示すように、成膜装置1は、金属製の陽極11と、陽極11と基板W(陰極)との間に配置された固体電解質膜13と、陽極11と基板Wとの間に電流を流す電源部16と、を少なくとも備えている。固体電解質膜13を基板Wの表面に接触させた状態で、陽極11と基板Wとの間に電源部16で一定電圧を印加することにより、成膜時に、陽極11と基板Wとの間に電流が流れる。
本実施形態では、成膜装置1は、さらにハウジング15を備えており、ハウジング15には、陽極11と、成膜されるニッケル皮膜の材料であるニッケルイオンを含む溶液L(以下、ニッケル溶液Lという)と、が収容されている。より具体的には、陽極11と固体電解質膜13との間に、ニッケル溶液Lを収容する空間17が形成されている。なお、本実施形態では、陽極11と固体電解質膜13とは、離間して配置されているが、固体電解質膜13にニッケルイオンが供給可能であれば、陽極11の表面に固体電解質膜13が接触していてもよい。
陽極11は、基板Wが成膜される領域を覆う大きさを有していれば、ブロック状または平板状であってもよい。陽極11の材料としては、ニッケル皮膜と同じ材質であり、ニッケル溶液Lに対して可溶性の陽極であることが好ましい。これにより、ニッケル皮膜の成膜速度を高めることができる。なお、成膜前のニッケル溶液Lにはニッケルイオンが含まれているので、陽極11は、ニッケル溶液Lに対して不溶性の陽極であってもよい。
また、陽極11と固体電解質膜13とが接触している場合には、陽極11に、ニッケル溶液Lが透過し、かつ固体電解質膜13にニッケルイオンを供給する、多孔質体からなる陽極を用いてもよい。
本実施形態では、複数の基板Wの表面にニッケル皮膜を成膜後、固体電解質膜13を交換して、基板Wの表面にニッケル皮膜Fを成膜する。固体電解質膜13は、上述したニッケル溶液Lに接触させることにより、ニッケルイオンを内部に含浸(含有)することができ、電圧を印加したときに基板Wの表面においてニッケルイオン由来のニッケルを析出可能であれば、特に限定されるものではない。固体電解質膜13の膜厚は、100~200μmである。固体電解質膜の材質としては、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD、CMFシリーズ)などの陽イオン交換機能を有した樹脂を挙げることができる。
ニッケル溶液Lは、たとえば、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、ピロリン酸ニッケルなどを含む溶液を挙げることができる。また、ニッケル溶液Lは、成膜時において、所定のpHの範囲内で緩衝能を有し、ニッケルイオンと不溶性塩および錯体を形成しないpH緩衝液(pH緩衝液)をさらに含んでいることが好ましい。さらに、ニッケルイオンの固体電解質膜13中の移動を阻害しないために、pH緩衝液に含まれるカチオンが、ニッケルよりもイオン化傾向が小さい金属であることが好ましい。このようなpH緩衝液としては、酢酸-酢酸ニッケル緩衝液、または、コハク酸-コハク酸ニッケル緩衝液を挙げることができる。
さらに、本実施形態の成膜装置1は、ハウジング15の上部に、加圧装置(不図示)を備えていてもよい。加圧装置は、油圧式または空気式のシリンダなどを挙げることができ、固体電解質膜13で、基板Wを押圧する装置である。これにより、図1(b)に示すように、固体電解質膜13を介して基板Wの表面にニッケル溶液Lを配置し、その液圧により、を固体電解質膜13で均一に加圧しながら、基板Wにニッケル皮膜Fを成膜することができる。なお、陽極11と固体電解質膜13とが接触している場合には、陽極11を介して固体電解質膜13で、基板Wを押圧してもよい。
本実施形態の成膜装置1は、基板Wを載置する金属台座12をさらに備えており、金属台座12は、電源部16の負極に電気的に接続されている。これにより、基板Wを、電源部16の負極に導通することができる。一方、電源部16の正極は、ハウジング15に内蔵された陽極11に電気的に接続されている(導通している)。なお、電源部16は、成膜できるのであれば、直流電源または交流電源のいずれであってもよい。
ところで、発明者の知見によれば、上述した課題に示すように、ニッケル皮膜Fを成膜する際に、固体電解質膜13とニッケル皮膜Fの密着し一体化してしまうことがあり、例えば、成膜時の電流密度が高くなる場合、ニッケル溶液のニッケルイオン濃度が低い場合、成膜温度が高い場合、成膜時の固体電解質膜の圧力が高い場合、あるいはこれらの組み合わせの場合に発生することがあった。そこで、発明者は、成膜時の電流密度に着眼し、成膜装置1にインピーダンスアナライザー20を取付けている。
具体的には、本実施形態に係る成膜装置1には、陽極11に配置された対極18と、基板Wに配置された作用極19と、陽極11と固体電解質膜13との間に配置された参照極14と、が取付けられている。
詳細には、対極18は、ハウジング15を貫通しており、対極18の一端部は陽極11に電気的に接続されており、他端部は外部に露出している。作用極19は、金属台座12を貫通しており、作用極19の一端部は基板Wに電気的に接続されており、他端部は外部に露出している。参照極14は、ハウジング15を貫通しており、参照極14の一端部はニッケル溶液Lに接触しており、他端部は外部に露出している。なお、陽極11の表面に固体電解質膜13が接触している場合、参照極14は、参照極14の一端部が固体電解質膜13内に挿入され、他端部は外部に露出するように配置されていてもよい。
後述するように、対極18、作用極19、および参照極14の他端部が、それぞれインピーダンスアナライザー20に接続されることにより、成膜後に、固体電解質膜13とこれに接触したニッケル皮膜Fとを含む部分の電気化学インピーダンスを測定することができる。対極18、作用極19、および参照極14の材料としては、ニッケル溶液Lに対して、腐食しない材料であればよく、たとえば白金(Pt)などを挙げることができる。
2.ニッケル皮膜Fの成膜方法について
図2は、本実施形態のニッケル皮膜Fの成膜方法の工程を説明するフロー図である。まず電気化学インピーダンスの測定工程S11では、陽極11と基板W(陰極)との間に通電する電流が異なる電流密度となる条件で、ニッケル皮膜Fを成膜した後に、電気化学インピーダンスを測定する。なお、この工程におけるニッケル皮膜Fの成膜方法は、この電流密度を除き、後述する成膜工程S13と同じ条件であるので、その詳細を、成膜工程S13で説明する。
具体的には、各電流密度の条件で、ニッケル皮膜Fを成膜した後、固体電解質膜13をニッケル皮膜Fに接触させた状態で、陽極11(具体的には対極18)と基板W(具体的には作用極19)との間に印加する電圧を高周波数から低周波数まで変化させながら、固体電解質膜13とこれに接触したニッケル皮膜Fとを含む部分の電気化学インピーダンスを測定する。この電気化学インピーダンスの測定は、異なる電流密度で成膜したものに対して、それぞれ行う。本実施形態では、電気化学インピーダンスは、参照極14と作用極19との電気化学インピーダンスである。なお、この電気化学インピーダンスを測定する方法については、以下の確認試験で詳述する。
次いで、電流密度特定工程S12を行う。この工程では、まず、異なる電流密度ごとに測定された電気化学インピーダンスから、X軸を実数成分とし、Y軸を虚数成分とする座標系を有したコールコールプロット図を、高周波数から低周波数へ測定された順に、各成分に対応した点をプロットして作成する。この際に、低周波数側で実数成分の値が減少した場合の電流密度を特定する。
具体的には、各電流密度において成膜されたニッケル皮膜Fに対して、コールコールプロット図を高周波数から低周波数へ測定された順にプロットすることにより作成する際に、低周波数側で実数成分の値が減少するコールコールプロット図を特定する。ここで、発明者らの実験によれば、この特定されたコールコールプロット図に対応した電流密度で成膜した場合、ニッケル皮膜Fと固体電解質膜13とが一体化することがわかり、この電流密度が大きくなるに従って、これらの一体化が顕著なものになることがわかった。したがって、ニッケル皮膜Fの成膜時に、低周波数側で実数成分の値が減少した場合の電流密度より小さい電流密度で成膜すれば、固体電解質膜13とこれに接触したニッケル皮膜Fが一体化することはない。
次いで、成膜工程S13を行う。この工程では、電流密度特定工程S12で特定した電流密度より小さい電流密度で基板Wの表面にニッケル皮膜Fを成膜する。なお、その他の成膜条件は、電気化学インピーダンスの測定工程S11における成膜条件と同じ条件である。
具体的には、まず、固体電解質膜13を新しい固体電解質膜13に交換する。次に、図1(a)に示すように、新しい基板Wを金属台座12に載置する。次に、図1(b)に示すように、加圧装置(不図示)を用いて、交換後の固体電解質膜13を基板Wに接触させる。これにより、陽極11と基板Wとの間に、基板Wに接触するように、ニッケルイオンが含浸された固体電解質膜13が設置される。
次に、陽極11と基板Wとの間に通電する電流が特定した電流密度より小さくなるように、電源部16で一定の電圧を作用させる。これにより、固体電解質膜13に含有していたニッケルイオンが、基板Wの表面で還元されて、基板Wの表面には、ニッケルイオンに由来したニッケル皮膜Fを成膜することができる。
ここで、本実施形態では、電流密度特定工程S12で特定した電流密度より小さい電流密度で成膜しているため、成膜工程S13において、成膜中に、固体電解質膜13とこれに接触するニッケル皮膜Fとが一体化することはない。このため、2回目以降の成膜では、基板Wを新しいものに交換するだけで、固体電解質膜13とこれに接触するニッケル皮膜Fとが一体化することなく、複数の基板Wに連続して成膜することができる。
<確認試験>
電気化学インピーダンスを測定する方法と電流密度を特定する方法を、以下の確認試験により説明する。まず、図1に示す成膜装置1を準備した。成膜装置1の陽極11として、ニッケル板を使用し、ニッケル溶液Lとして、0.95Mの塩化ニッケル(NiCl)および0.05Mの酢酸ニッケル(Ni(CHCOO))を含有した水溶液(pH4.0および電流密度が25~175mA/cm)を使用した。また、基板Wとして、2インチのシリコン(Si)ウエハの表面に、金(Au)がスパッタリングにより成膜されているものを用いた。Au皮膜の膜厚は50nmであった。さらに、参照極14として、白金線を用いた。
次に、電気化学インピーダンスを測定するインピーダンスアナライザー20として、北斗電工製のインピーダンス測定装置(HZ7000(FRAボード、3Aブースター増設))を準備した。図1(a)、(b)に示すように、準備したインピーダンス測定装置に、成膜装置1の対極18と、作用極19と、参照極14とをそれぞれ接続した。
まず、基板Wを金属台座12に載置し、固体電解質膜13をハウジング15に取り付けた。次いで、図1(b)に示すように、陽極11と基板Wとの間に、基板Wに接触するように固体電解質膜13を配置した後、成膜前の電気化学インピーダンスの測定を行った。
具体的な電気化学インピーダンスの測定条件は、電位振幅10mV、周波数範囲10mHz~100kHzで、1桁5点で対数掃引し、対極18と作用極19との間の電圧を0.05Vにした。また、測定時のニッケル溶液Lの圧力および温度は、それぞれ、後述する成膜条件と同様の約1.0MPaおよび70℃にした。
次いで、電流密度50mA/cmとなる電流を陽極11と基板W(陰極)との間に通電して、ニッケル皮膜を成膜した。成膜時間は1分、基板Wを押圧する圧力は約1.0MPa、および温度は70℃とした。なお、加圧は、空間17内のニッケル溶液の圧力を加圧する液圧法により行った。
次いで、成膜後の電気化学インピーダンスを測定した。なお、電気化学インピーダンスの測定条件を、上述した成膜前の電気化学インピーダンスの測定条件と同じにした。次いで、基板Wおよび固体電解質膜13を取り外した。
上述した50mA/cmの電流密度の場合と同じようにして、新たな固体電解質膜13に対して、成膜前の電気化学インピーダンスの測定し、その後、電流密度が100mA/cmの成膜条件において、Ni皮膜を成膜した後、電気化学インピーダンスの測定を測定した。さらに、上述した50mA/cmの電流密度の場合と同じようにして、新たな固体電解質膜13に対して、成膜前の電気化学インピーダンスの測定し、その後、電流密度が150mA/cmの成膜条件において、Ni皮膜を成膜した後、電気化学インピーダンスの測定を測定した。なお、電流密度50、100、および150mA/cmの電流効率100%時の成膜速度は、それぞれ1.0、2.0、および3.0μm/分である。
<結果>
このようにして測定された成膜前後の電気化学インピーダンスから、コールコールプロット図を作成した。結果を図3(a)、(b)に示す。図3(a)は、電流密度が50、100、および150mA/cmの場合の成膜前後の電気化学インピーダンスから得られたコールコールプロット図であり、図3(b)は、図3(a)の一部拡大図である。
なお、図3(a)、(b)に示すコールコールプロット図の座標系は、X軸およびY軸をそれぞれ実数成分Z’(Ω)および虚数成分Z’’(Ω)である。また、コールコールプロット図は、高周波数から低周波数へ測定された順に、実数成分および虚数成分に対応する点をプロットして、作成するため、図の左側から右側へ行くほど低周波数となる。
図3(a)に示すように、異なる3つの電流密度(50、100、および150mA/cm)において、成膜前の全体のインピーダンスと比べて、成膜後の全体のインピーダンスが小さくなった。
図3(b)に示すように、成膜後のインピーダンススペクトラムについて、異なる3つの電流密度のうち、50および100mA/cmの電流密度の場合では、高周波領域で略半円状の軌跡が認められ、低周波数側になるにつれて、実数成分Z’が増加することが観察された。一方、150mA/cmの電流密度の場合では、高周波領域で略半円状の軌跡が認められたものの、低周波数側で、実数成分Z’が低減することが確認された(図3(b)の点線円で示す部分を参照)。これは、固体電解質膜13とこれに接触するニッケル皮膜Fとが強く密着(一体化)したため、電流が流れやすくなり、抵抗が減少したためと考えられる。
ここで、発明者らは、異なる3つの電流密度の場合で成膜した後に取り外した基板に係る試験体の表面を、それぞれ顕微鏡にて観察した。結果を図4に示す。図4は、ニッケル皮膜を成膜した後の基板Wに係る試験体の表面の顕微鏡画像であって、図4(a)~(c)は、それぞれ、50、100、および150mA/cmの電流密度で成膜した試験体の画像である。
図4(a)~(c)からわかるように、異なる3つの電流密度のうち、150mA/cmの電流密度の場合のみに、固体電解質膜13とニッケル皮膜Fとの一体化が確認された。上述のように、150mA/cmの電流密度の場合のインピーダンススペクトラムは、低周波数側で、実数成分Z’が減少するという異常波形となる。よって、この異常波形が固体電解質膜13とニッケル皮膜Fとの一体化の指標となるため、異常波形を示した電流密度を特定することができる。これにより、特定した電流密度よりも小さい電流密度でニッケル皮膜を成膜することで、固体電解質膜13とニッケル皮膜Fとの一体化を防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
11:陽極、13:固体電解質膜、F:ニッケル皮膜、W:基板(陰極)、S11:電気化学インピーダンスの測定工程、S12:電流密度特定工程、S13:成膜工程

Claims (1)

  1. 陽極と陰極との間に、前記陰極に接触するようにニッケルイオンが含浸された固体電解質膜を設置し、前記陽極と前記陰極との間に電流を流して、前記陰極の表面に、前記ニッケルイオンに由来したニッケル皮膜を成膜するニッケル皮膜の成膜方法であって、
    前記陽極と前記陰極との間に通電する前記電流の電流密度が異なる複数の成膜条件ごとにおいて前記ニッケル皮膜を成膜した後、前記ニッケル皮膜に前記固体電解質膜が接触した状態で、前記陽極と前記陰極との間に印加する電圧を高周波数から低周波数まで変化させながら、前記固体電解質膜とこれに接触した前記ニッケル皮膜とを含む部分の電気化学インピーダンスを定する工程と、
    前記異なる成膜条件ごとに測定された前記電気化学インピーダンスから、X軸を実数成分とし、Y軸を虚数成分とする座標系を有したコールコールプロット図を、前記高周波数から前記低周波数へ測定された順にプロットすることにより作成する際に、前記高周波数から前記低周波数に順にプロットした点において、前記低周波数側で前記実数成分の値が、その直前にプロットした点の前記実数成分の値に対して減少した場合の成膜条件、前記複数の成膜条件から特定する工程と、
    特定した成膜条件の電流密度よりも小さい電流密度の成膜条件、前記陰極とは別の新たな陰極の表面にニッケル皮膜を成膜する工程と、を少なくとも含むことを特徴とするニッケル皮膜の成膜方法。
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