JPWO2018163881A1 - 生体情報測定用電極及び生体情報測定用電極の製造方法 - Google Patents

生体情報測定用電極及び生体情報測定用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

導電性ゲルを必須とすることなく生体情報を安定的に測定することが可能な生体情報測定用電極として、基材(10)と、基材(10)の表面に設けられた電極層(20)と、を備え、電極層(20)の一部が生体と接触可能な接触部(21)からなり、電極層(20)の接触部(21)は、銀又は銀合金及び塩化銀が合成樹脂(52)内に分散する分散構造を有し、電極層(20)の接触部(21)では、生体と接触する表面(21S)側における塩化銀の含有量が内部側における塩化銀の含有量よりも高い生体情報測定用電極(1)が提供される。

Description

本発明は、脳波などの生体情報を測定するための電極である生体情報測定用電極及び生体情報測定用電極の製造方法に関する。
近年、健康管理、患者の状態観察などを目的として、脈波、心電、筋電、体脂肪率、脳波等の生体情報を電気信号として測定する要望が増えてきた。その際に、生体情報を測定するための電極(生体情報測定用電極)と生体との接触を安定させるために、生体情報測定用電極と生体との間に導電性ゲルを用いることが一般的に用いられている。しかしながら、導電性ゲルは粘性が高いため塗布の段階でも取り扱い性が低く、また、測定後に煩雑な拭き取り作業が必要とされる。このため、導電性ゲルを用いることを必須としない生体情報測定用電極が求められている。
そのような要望に応えうるとされる生体情報測定用電極の一例として、特許文献1に記載される電極は、導電性カーボンの成形体に取り出し端子がインサート成形されている。その表面には、銀及び/又は塩化銀を含有する塗膜層があり、必要に応じてトップコート層が設けられている。
特開平9−168518号公報
しかしながら、現実には、特許文献1に記載される生体情報測定用電極を用いても、そのまま生体に接触させて測定すると、経時的な測定電圧の変動(ドリフト)が発生するなど、測定安定性を確保することが困難であり、結局は生体情報測定用電極と生体との間に導電性ゲルを塗布しなければならなかった。また、導電性ゲルを用いても電圧ドリフトが生じ、電圧が安定して測定可能になるまでしばらく待つ必要がある場合もあった。
本発明は、かかる現状を鑑み、導電性ゲルを必須とすることなく生体情報を安定的に測定することが可能な生体情報測定用電極及びかかる生体情報測定用電極の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために提供される本発明の一態様は、基材と、該基材の表面に設けられた電極層と、を備え、該電極層の一部が生体と接触可能な接触部からなる生体情報測定用電極であって、前記電極層の前記接触部は、銀又は銀合金及び塩化銀が合成樹脂内に分散する分散構造を有し、前記電極層の前記接触部では、前記生体と接触する表面側における前記塩化銀の含有量が内部側における前記塩化銀の含有量よりも高いことを特徴とする生体情報測定用電極である。
生体情報測定用電極は、その一部(接触部)が生体に接触して生体情報を電気信号として収集して、この電気信号を外部に出力するデバイスである。そして、生体情報測定用電極の電極層における電荷の移動は、生体に接触する部分ではイオン(塩化物イオン)によって行われるため、生体に接触する部分では塩化銀が適している。上記の本発明に係る生体情報測定用電極は、電極層の接触部では、生体と接触する表面側における塩化銀の含有量が内部側(基材との界面に近位な側)における塩化銀の含有量よりも高いので、生体との接触が安定し、生体情報を効率良く収集することができる。一方、塩化銀の含有量を内部側で低くしたため、塩化銀によって電子伝導が抑制されにくく、接触部からの信号が銀の含有量が相対的に多い内部側を伝達することとなる。これらにより、電極層の接触部で安定的に収集した生体情報の信号を効率的に取り出すことができる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極において、前記電極層の前記接触部では、前記内部側における前記銀の含有量が前記表面側における前記銀の含有量よりも高いことが好ましい。内部側における銀の含有量が表面側における銀の含有量よりも高く、表面側の塩化銀の含有量が高いことにより、接触部の内部側では、電子伝導による生体情報の電気信号の伝達が効率的に行われるとともに、内部側に存在する銀が腐食しにくくなる。このことにより、接触部における導電性の劣化(経時変化)が生じにくく、生体情報測定用電極の長寿命化が図れる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極において、前記電極層の前記接触部は、前記表面側から前記内部側へと、前記塩化銀の含有量が漸減しつつ前記銀の含有量が漸増する濃度傾斜領域を有することが好ましい。濃度傾斜領域では、塩化銀と銀とが厚さ方向で相反する濃度傾斜を有する。このような濃度傾斜領域を有することにより、主として塩化銀が関与するイオンによる電荷移動から、主として銀が関与する電子による電荷移動への変換が効率的に行われる。また、表面側に位置する塩化銀の含有量が多い領域と内部側に位置する銀の含有量が多い領域との界面が明確には存在しないことになるため、上記2つの領域の間で剥離が生じにくい。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極において、前記基材は可撓性を有していてもよい。基材が可撓性を有している場合には、生体情報測定用電極の生体の被測定面への追随性が高まり、より被測定面に接触部を沿わせる(接触させる)ことができる。このため、測定のための接触面積が増えることとなる。したがって、基材が可撓性を有していることにより、生体情報をより効率的に且つ安定的に収集することができる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極では、前記電極層の前記接触部において、前記銀又は銀合金は、前記合成樹脂内に分散する前記銀又は銀合金の粉末として存在し、前記接触部の前記塩化銀は、前記銀又は銀合金の粉末に含まれる銀の塩化物からなることが好ましい。電極層に含まれる銀又は銀合金が粉末状であることにより、その粉末内では電子伝導が安定的に行われる。したがって、合成樹脂内に分散する粉末の分散密度を合成樹脂内で粉末同士の接触が適切に生じる程度の密度とすることにより、銀又は銀合金内の電子伝導によって信号伝達を安定的に生じさせることができる。また、塩化銀がこの粉末に含まれる銀が塩化してなる塩化物からなるので、銀を多く含有した層と塩化銀を多く含有した層とを別々に作製した2層と比較して、電極層内の密着の不具合が生じなく、生体との接触に対して、強固な層が得られる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極は、前記電極層の前記接触部の前記表面側に、前記内部側の前記銀の腐食を前記塩化銀によって防止する保護領域を有することが好ましい。銀は酸化や硫化など腐食が生じやすいが、接触部の表面側の領域における塩化銀の含有量を十分に高く設定すれば、その領域が保護領域として機能し、接触部の内部側における銀の腐食を防止することができる。
本発明は、他の一態様として、基材と、該基材の表面に設けられた電極層と、を備え、該電極層の一部が生体と接触可能な接触部を有する生体情報測定用電極の製造方法を提供する。かかる生体情報測定用電極において、前記電極層の前記接触部は、銀又は銀合金及び塩化銀が合成樹脂内に分散する分散構造を有し、前記電極層の前記接触部では、前記生体と接触する表面側における前記塩化銀の含有量が内部側における前記塩化銀の含有量よりも高くなっている。このような生体情報測定用電極の製造方法は、前記銀又は銀合金からなる粉末が分散した樹脂系組成物を前記基材の表面に塗布して塗膜を得る塗布工程、前記塗膜を固化させて、前記基材の表面に付着する導電層を形成する導電層形成工程、及び塩化物イオンを含む液体を用いて前記導電層を陽極電解することにより、前記導電層に含まれる前記銀又は銀合金からなる粉末の一部を前記塩化銀にして、前記導電層の一部から前記電極層の前記接触部を形成する塩化工程を備える。
上記の生体情報測定用電極の製造方法は、銀又は銀合金からなる粉末が分散した樹脂系組成物を基材の表面に塗布する塗布工程と、塗布工程で得られた塗膜を固化させて導電層を形成する導電層形成工程と、導電層に含まれる銀又は銀合金からなる粉末の一部を塩化銀にする塩化工程と、を有して構成されている。これにより、基材の表面に容易に電極層を形成できるとともに、銀又は銀合金及び塩化銀が合成樹脂内に分散する分散構造を有した電極層を容易に形成できる。しかも、銀又は銀合金の粉末を構成する銀を陽極電解によって塩化(陽極塩化)することにより、内部側よりも表面側において塩化銀の含有量が高い電極層の接触部を容易に形成することができる。これらのことにより、生体情報測定用電極を容易に作製することができる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極の製造方法において、前記塩化工程により、前記表面側から前記内部側へと、前記塩化銀の含有量が漸減しつつ前記銀の含有量が漸増する濃度傾斜領域を前記接触部に形成することが好ましい。塩化工程の陽極電解では、導電層の表面側から内部側に塩化(陽極塩化)が進行するため、塩化工程終了後の電極層の接触部には、上記の濃度傾斜領域を容易に形成することができる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極の製造方法において、前記塩化工程により、前記内部側の前記銀の腐食を前記塩化銀によって防止する保護領域を前記接触部の前記表面側に形成することが好ましい。塩化工程の陽極電解で、表面における陽極塩化を十分に行うことにより、接触部の表面側に保護領域を容易に形成することができる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極の製造方法において、前記基材が平板状であって、該基材の一方の主面に前記電極層が設けられ、前記電極層は、前記接触部から収集した生体情報を含む電気信号を外部に出力するための外部端子を有し、前記外部端子は、前記導電層の他の一部であって前記塩化工程が行われない部分からなっていてもよい。この場合には、導電層形成工程により形成された導電層のうち、一部は塩化工程が行われて接触部となり、他の一部は塩化工程が行われず外部端子となる。すなわち、導電層は、接触部及び外部端子の前駆体と位置付けられ、導電層を形成することにより、電極層における接触部と外部端子との電気的接続を確実に生じさせることができる。しかも、導電層形成工程により平板状の基材の一方の主面にこの導電層を形成することができる。したがって、接触部及び外部端子を有する電極層を確実に且つ効率的に作製することができる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極の製造方法において、前記電極層は、前記接触部と前記外部端子とを電気的に接続する配線部を更に備え、前記導電層形成工程において形成される前記導電層の別の一部から、前記配線部は形成されることが好ましい。この場合には、導電層形成工程により形成された導電層のうち、一部は塩化工程が行われて接触部となり、他の一部は塩化工程が行われず外部端子となり、これらの部分以外の別の部分から配線部が形成される。すなわち、導電層は、接触部、配線部及び外部端子の全ての前駆体と位置付けられ、導電層を形成することにより、電極層における接触部と配線部と外部端子との電気的接続を確実に生じさせることができる。しかも、この導電層が平板状の基材の一方の主面に形成されるため、接触部、配線部及び外部端子を確実に且つ効率的に作製することができる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極の製造方法において、前記塩化工程では、前記導電層の別の一部を陽極電解して、前記配線部を、前記導電層に基づく導電領域と、その前記表面側に形成された前記塩化銀を含む保護領域とを備えるものとすることが好ましい。塩化工程において、配線部に対応する領域に形成された導電層を陽極電解するので、内部側よりも表面側において塩化銀の含有量が高い電極層の配線部を容易に形成することができる。しかも、配線部の厚み方向において、表面側に形成された塩化銀を含む保護領域と内部側に銀の含有量が高い導電領域とを容易に形成することができる。
本発明によれば、導電性ゲルを必須とすることなく生体情報を安定的に測定することが可能な生体情報測定用電極が提供される。また、好ましい一形態に係る生体情報測定用電極では、電極に含有される銀又は銀合金の腐食が生じにくいため、繰り返し使用しても測定の信頼性が低下しにくい生体情報測定用電極が提供される。更に、本発明によれば、上記の構成を備える生体情報測定用電極を効率的に製造することが可能な製造方法が提供される。
(a)本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極の構造を概念的に示す図、(b)図1(a)のV1−V1線断面図、及び(c)図1(a)のV2−V2線断面図である。 (a)本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極が可撓性を有していることを概念的に示す図、(b)本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極の使用方法の一例を概念的に示す図、及び(c)本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極を備える電極ユニットの構造を概念的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の製造方法のフローチャートである。 (a)本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の製造方法における塗布工程が行われている状態を概念的に示す、図1(a)のV2−V2断面図に対応する断面での断面図、(b)本実施形態に係る製造方法における導電層形成工程が終了した状態を示す概念図である。 (a)塩化工程のための設備を示す概念図、(b)本実施形態に係る製造方法における塩化工程が行われている際の積層体80の状態を示す概念図、及び(c)本実施形態に係る製造方法における塩化工程が終了して得られた生体情報測定用電極1を積層体80と対比しやすいように配置した図である。 (a)実施例に係る生体情報測定用電極1における表面側を含む部分の断面の観察画像、(b)図6(a)と同じ視野での銀(Ag)の組成像、及び(c)図6(a)と同じ視野での塩素(Cl)の組成像である。 (a)参考例1に係る生体情報測定用電極200の構造を概念的に示す外観図、及び(b)参考例2に係る生体情報測定用電極300の構造を概念的に示す外観図である。 (a)実施例、比較例及び参考例に係る生体情報測定用電極を生理食塩水に浸漬して電圧変化を測定した結果を示すグラフ、(b)実施例、比較例及び参考例に係る生体情報測定用電極を生理食塩水に浸漬してインピーダンスを測定した結果を示すグラフである。 実施例に係る生体情報測定用電極1の曲げ試験の結果を示す表である。 実施例に係る生体情報測定用電極1及び参考例1に係る生体情報測定用電極200により脳波を測定した結果を示すグラフである。 (a)実施例に係る生体情報測定用電極1に対して硫化試験を行ったものの断面の観察画像、及び(b)図11(a)と同じ視野での硫黄(S)の組成像である。 (a)比較例に係る生体情報測定用電極に対して硫化試験を行ったものの断面の観察画像、及び(b)図12(a)と同じ視野での硫黄(S)の組成像である。 (a)実施例及び比較例に係る生体情報測定用電極に対して硫化試験を行ったものの断面の表面側及び内部側について硫黄(S)の濃度測定を行った結果を示す表、(b)実施例及び比較例に係る生体情報測定用電極について、硫化試験の前後で抵抗測定を行った結果を示す表である。 実施例に係る生体情報測定用電極1の硫化試験後のもの及び参考例2に係る生体情報測定用電極300により脳波を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳しく説明する。
先ず、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の構造について説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の構造を概念的に示す図である。図1(b)は、図1(a)のV1−V1線断面図である。図1(c)は、図1(a)のV2−V2線断面図である。
図1(a)に示されるように、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1は、基材10と、この基材10の表面に設けられた電極層20と、を備える。
生体情報測定用電極1の基材10は、図1では、平板状の形状を有し、表面にポリウレタンコーティングが施された布からなる。したがって、本発明の一実施形態では、基材10が布製であるので、生体情報測定用電極1全体が可撓性を有している。なお、基材10の具体的な形状や構成材料は任意である。例えば、基材10の形状は、平板状に限定されず、棒状であってもよいし、塊状であってもよいし、基部と基部から伸びる複数の脚部とを備える複雑な形状(具体例として後述する参考例に係る生体情報測定用電極200の形状が挙げられる)を有していてもよい。例えば、基材10を構成する材料は上記の布のように絶縁性の材料であってもよいし、アルミニウムや導電性カーボン材料などの導電性の材料であってもよい。
生体情報測定用電極1の電極層20は、図1(a)に示すように、生体と接触可能な部分である接触部21、接触部21に一方の端部が接続される配線部22、及び配線部22の他方の端部に接続される外部端子23を有する。
先ず、電極層20の配線部22は、接触部21と外部端子23とを電気的に接続している。図1(b)に示されるように、電極層20の接触部21は、図1(b)では白丸「○」で示される銀又は銀合金の粉末(以下、銀粉末50と記する)及び図1(b)では黒丸「●」で示される塩化銀(AgCl)の粉末(以下、塩化銀粉末51と記する)が合成樹脂52内に分散する分散構造を有する。ここで、銀粉末50が銀又は銀合金から構成されているが、銀粉のみでもよく、銅或いはパラジウムなどを含有した銀合金粉のみでもよく、或いは銀粉及び銀合金粉を混合して用いてもよい。なお、図1(b)では、説明を分かり易くする観点から、電極層20の厚さ(Z1−Z2方向長さ)が基材10の厚さよりも厚くなっているが、これに限定されない。むしろ、基材10が数百μmの厚さであって、電極層20の厚さが数十μmの厚さとなっている方が取り扱いが容易である場合が多い。図1(c)や図4以降の断面図も同様である。
接触部21における銀と塩化銀との分布は厚さ方向で均一でなく、接触部21の生体と接触する表面21S側における塩化銀の含有量が、内部側(基材10に近位な側)における塩化銀の含有量よりも高くなっている。具体的には、図1(b)及び図1(c)に示すように、接触部21は、表面21S側に、塩化銀粉末51が他の領域よりも高密度で存在する領域(塩化銀領域)21Aを有する。一方、銀の含有量については、内部側が表面21S側よりも高い。具体的には、図1(b)及び図1(c)に示すように、接触部21は、内部側に、銀粉末50が他の領域よりも高密度で存在する領域(銀領域)21Cを有する。そして、接触部21は、塩化銀領域21Aと銀領域21Cとの間に、表面21S側から内部側へと、塩化銀の含有量が漸減しつつ銀の含有量が漸増する濃度傾斜領域21Bを有する。
生体情報測定用電極1は、接触部21が生体に接触して、脈波、心電、筋電、体脂肪率、脳波等の生体情報を電気信号として収集して、この電気信号を外部端子23から外部に出力するデバイスである。生体情報測定用電極1の電極層20における電荷の移動は、生体に接触する部分である表面21Sではイオン(塩化物イオン)によって行われる。したがって、接触部21の表面21Sでは、塩化物イオンを乖離しやすい金属塩化物が必須の物質であると云ってもよいほど適している。特に塩化銀は、製造や取り扱いが容易であることから好ましい。そして、生体情報測定用電極1は、電極層20の接触部21では、生体と接触する表面21S側における塩化銀の含有量(塩化銀粉末51の存在密度)が内部側における塩化銀の含有量(塩化銀粉末51の存在密度)よりも高いので、生体との接触が安定し、生体情報を効率良く収集することができる。
一方、接触部21は内部側での塩化銀の含有量(塩化銀粉末51の存在密度)が相対的に低いため、塩化銀によって電子伝導が抑制されにくい。それゆえ、接触部21では、表面21Sにおいて収集された生体情報の電気信号は、銀の含有量(銀粉末50の存在密度)が高い内部側を伝達することとなる。これらにより、生体情報測定用電極1では、導電性ゲルを用いなくても、接触部21を直接的に生体に接触させるだけで安定的に収集した生体情報の信号を効率的に取り出すことができる。この点については、実施例において詳述する。
また、接触部21では、内部側における銀の含有量(銀粉末50の存在密度)が表面21S側における銀の含有量(銀粉末50の存在密度)よりも高く、表面21S側の塩化銀の含有量(塩化銀粉末51の存在密度)が高いことにより、接触部21の内部側では、電子伝導による生体情報の電気信号の伝達が効率的に行われるとともに、接触部21の内部に存在する銀が腐食しにくくなる。このように、生体情報測定用電極1の接触部21では、内部側における銀領域21Cを含む領域が外部端子23へと信号を運ぶ導電領域として機能し、表面21S側の塩化銀領域21Aを含む領域は、生体情報を収集する領域として機能するだけでなく、導電領域における銀の腐食を防止する保護領域としても機能する。したがって、接触部21における導電性の劣化(経時変化)が生じにくく、生体情報測定用電極1の長寿命化が図れる。
更に、上記のように、接触部21は、塩化銀の含有量(塩化銀粉末51の存在密度)の厚さ方向の分布と銀の含有量(銀粉末50の存在密度)の厚さ方向の分布とが相反する濃度傾斜領域21Bを有することにより、主として塩化銀が関与するイオンによる電荷移動から、主として銀が関与する電子による電荷移動への変換が効率的に行われる。
また、接触部21では、表面21S側に位置する塩化銀の含有量が多い領域(塩化銀領域21A)と内部側に位置する銀の含有量が多い領域(銀領域21C)との界面が明確には存在しないことになるため、2つの層が積層されて形成した場合と比較して、上記2つの領域の間で剥離が生じにくい。
この点に関し、電極層20の接触部21において、銀又は銀合金は、合成樹脂52内に分散する銀粉末50として存在し、接触部21の塩化銀は、銀粉末50に含まれる銀が塩化した塩化物からなる。すなわち、電極層20の接触部21に含まれる塩化銀粉末51は、合成樹脂52内に分散した銀粉末50に含まれる銀に由来し、この銀が化学反応して生成した塩化物からなる。この場合には、銀粉末50が合成樹脂52内に分散する部材(この部材は全体が銀領域21Cの構造を有する)の内部に塩化物イオンが拡散することにより塩化銀粉末51が形成されるため、銀領域21Cと塩化銀領域21Aとの間に明確な界面は形成されず、濃度傾斜領域21Bを必然的に有する。このため、電極層20が銀を多く含有した層と塩化銀を多く含有した層とを別々に作製した2層からなる場合に比べて、電極層20に層間剥離などの不具合が生じないため、生体との接触に対して強固な電極層20が得られる。
また、銀粉末50が合成樹脂52に分散する部材を、塩化物イオンを含有する環境に曝す(具体例として、後述する塩化物イオンを含む液体を用いて陽極酸化することが挙げられる)ことにより、塩化銀領域21Aと銀領域21Cとを有する接触部21を形成できる。したがって、塩化銀領域21Aに相当する層と銀領域21Cに相当する層とを別々に作製して積層するよりも、電極層20の接触部21を容易に形成することができる。しかも、上記の方法により接触部21を形成する場合には、塩化物イオンの拡散は表面側から進行するため、塩化銀領域21Aを表面21S側に有し、銀領域21Cを内部側に有する構造を容易に得ることができる。
電極層20の接触部21が塩化銀領域21Aを表面21S側に有することは、防食の観点からも有利である。すなわち、銀は酸化や硫化などの腐食を生じやすく、酸化物や硫化物が形成されると、銀の電子伝導の妨げとなる。したがって、電極層20の銀領域21Cに位置する銀は腐食されないことが好ましい。一方、塩化銀粉末51に含まれる銀はすでに塩化したものであるから、塩化銀粉末51の存在密度が高い塩化銀領域21Aでは、銀の酸化や硫化が生じにくい。すなわち、電極層20の表面21S側に位置する塩化銀領域21Aはその内部側の領域に存在する銀の腐食を防ぐ保護領域として機能する。したがって、電極層20の表面21S側に塩化銀領域21Aが位置することにより、生体からの電気信号を受け取りやすくなるだけでなく、電極層20の腐食が抑制され、生体情報測定用電極1の耐久性を向上させることができる。
次に、電極層20の配線部22は、図1(c)に示されるように、接触部21と共通の構造を有する。すなわち、配線部22は、銀粉末50及び塩化銀粉末51が合成樹脂52内に分散する分散構造を有し、その表面側に塩化銀の含有量が多い領域を有し、内部側に銀の含有量が多い領域を有し、これらの領域の間に、塩化銀の含有量の厚さ方向分布と銀の含有量の厚さ方向分布とが相反する濃度傾斜領域を有する。したがって、配線部22は、接触部21を製造する方法と等しい方法により製造することができる。また、配線部22も塩化銀領域21Aによって内部側に存在する銀の腐食が抑制されている。
最後に、外部端子23は、図1(c)に示されるように、銀粉末50が合成樹脂52内に分散する分散構造、すなわち、銀領域21Cの構造と同様の構造を有する。後述するように、接触部21、配線部22及び外部端子23が上記のような構造を有することにより、銀の塩化処理を行うか否かによって、接触部21及び配線部22と外部端子23とを作り分けることができる。
次に、生体情報測定用電極1全体が可撓性を有していること(前述した)について、図2を用いて更に説明する。図2(a)は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1が可撓性を有していることを概念的に示す図である。図2(b)は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の使用方法の一例を概念的に示す図である。図2(c)は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1を備える電極ユニット100の構造を概念的に示す図である。
前述のように基材10は布製であるから可撓性を有する。そして、電極層20は合成樹脂52からなるマトリックスに銀粉末50及び塩化銀粉末51が分散する構造を有するため、電極層20も可撓性を有する。特に、合成樹脂52として、ポリエステル樹脂やゴム変性ウレタン樹脂等が好適に用いられる。したがって、図2(a)に示されるように、生体情報測定用電極1の全体が可撓性を有する。それゆえ、生体情報測定用電極1の接触部21は生体の被測定面への追随性が高く、より被測定面に接触部21を沿わせる(接触させる)ことができる。このように、基材10が可撓性を有していることにより、生体情報測定用電極1における測定のための接触面積が増え、生体情報をより効率的に且つ安定的に収集することができる。
また、生体情報測定用電極1は可撓性を有するため、図2(b)に示されるように、曲げた状態で使用することもできる。平板状の基材10の一方に面に接触部21及び外部端子23が形成されていても、生体情報測定用電極1を折り返すように曲げることにより、接触部21と外部端子23とを反対側に向かせることができる。接触部21は生体に対向するため、この状態であれば、外部端子23は生体から遠位な位置となり、取り扱いが容易になる。この曲げた状態を安定化させる観点から、生体情報測定用電極1の内面側に接するように弾性体などからなるスペーサ30を位置させてもよい。そのようにして得られる電極ユニット100(図2(c)参照)は、構造が簡便でありながら、取り扱い性に優れる。
次に、生体情報測定用電極1の製造方法について説明する。生体情報測定用電極1の製造方法は限定されないが、次に説明する方法により製造すれば、生体情報測定用電極1を効率的に製造することができる。
図3は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の製造方法のフローチャートである。図4(a)は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の製造方法における塗布工程が行われている状態を概念的に示す、図1(a)のV2−V2断面図に対応する断面での断面図(説明図)である(図4(b)以降の断面図も同様である。)。図4(b)は、本実施形態に係る製造方法における導電層形成工程が終了した状態を示す概念図である。図5(a)は、塩化工程のための設備を示す概念図である。図5(b)は、本実施形態に係る製造方法における塩化工程が行われている際の積層体80の状態を示す概念図である。図5(c)は、本実施形態に係る製造方法における塩化工程が終了して得られた生体情報測定用電極1を、積層体80と対比しやすいように配置した図である。
本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極1の製造方法は、図3に示されるように、塗布工程(ステップS101)、導電層形成工程(ステップS102)、及び塩化工程(ステップS103)を備える。
先ず、塗布工程では、図4(a)に示されるように、銀粉末50が未固化樹脂組成物61内に分散してなる樹脂系組成物60を、基材10の表面に塗布装置DMを用いて塗布する。そして、基材10上に塗膜65を得る。塗布装置DMの具体例として、スクリーン印刷装置、インクジェット装置、ディスペンサー装置などが挙げられる。
また、未固化樹脂組成物61は、固化して合成樹脂52を形成可能な物質であって、塗布工程において軟化温度以上であったり、未重合の物質や溶媒などが含まれていたりすることにより、合成樹脂52よりも軟質である。それゆえ、未固化樹脂組成物61に銀粉末50を分散させて得られる樹脂系組成物60は塗布装置DMによって任意の形状、厚さで塗膜65を形成することができる。なお、図4(a)の説明図では、基材10の一方の主面10Aにおける最終的に接触部21が形成される領域の一部において樹脂系組成物60の塗膜65が形成されており、その他の領域では樹脂系組成物60が塗布装置DMから供給されつつある。
また、樹脂系組成物60が溶媒を含む場合において、溶媒の種類は限定されない。溶媒が基材10の表面(具体的には基材10の一方の主面10A)に位置する物質(例えば布のオーバーコート層)を溶解可能である場合には、基材10上に形成された塗膜65、並びにこの塗膜65から形成される導電層70(図4(b)を参照)及び更に導電層70から形成される電極層20(図5(c)を参照)について、基材10に対する密着性を高めることができる。したがって、基材10が可撓性を有するものであって撓んだ場合であっても、電極層20と基材10との間に剥離が生じにくく、生体情報測定用電極1の全体が優れた可撓性を有することができる。
次に、導電層形成工程では、基材10上に形成された塗膜65を固化させて、基材10の表面(具体的には基材10の一方の主面10A)に付着する導電層70を形成する。導電層70は、合成樹脂52の内部に銀粉末50が分散した構造を有する。塗膜65を固化させる方法は未固化樹脂組成物61に応じて適宜設定される。つまり、未固化樹脂組成物61を軟化温度未満に冷却することにより合成樹脂52が得られる場合もあれば、未固化樹脂組成物61が含有する溶媒を揮発させることにより合成樹脂52が得られる場合もある。あるいは、未固化樹脂組成物61が含有する未重合の物質を重合させることにより合成樹脂52が得られる場合もある。また、これらの手段(冷却、揮発及び重合)の組み合わせによって合成樹脂52が得られる場合もある。こうして、基材10の一方の主面10A上に、電極層20に対応する外形及び厚さを有し、その全域が銀領域21Cと同じ組成の導電層70が設けられた積層体80が得られる。
最後に、塩化工程では、導電層70の一部を陽極電解する。具体的には、図5(a)に示されるように、処理槽90内に塩化物イオンを含有する液体(以下、電解液91と記する)を入れ、電解液91内に、導電クリップ92で保持された上記の積層体80及び陰極93を浸漬して、これらのそれぞれを配線により電源94に接続する。電解液91の組成は、塩化物イオンを含有していれば特に限定されない。カウンターカチオンとしては、ナトリウムイオンやカリウムイオンが例示される。塩化物イオンの含有量は適宜設定される。限定されない例示をすれば、1M程度である。電解液91の溶媒は水でよく、pHは中性であってもよい。陰極93を構成する材料は導電性を有していればよく、炭素電極などが例示される。
ここで、図5(a)に示されるように、積層体80は、その全体を電解液91に浸漬させるのではなく、部分的に浸漬させる。具体的には、接触部21及び配線部22に対応する部分(以下、第1部分71と記する)は電解液91に浸漬させるが、外部端子23に対応する部分(以下、第2部分72と記する)は電解液91に浸漬させない。必要であれば、第2部分72にはマスキングを施し、電解によって生じた気泡に基づく飛沫が第2部分72に接触しないようにしてもよい。
こうして、積層体80の導電層70が部分的に電解液91に浸漬した状態で陽極電解することにより、図5(b)に示されるように、第1部分71では塩化物イオン(Cl)が到達し、第1部分71の表面側から内部へと塩化物イオンが拡散する。このため、銀粉末50に含有される銀の塩化反応が表面側から内部側へと進行し、銀粉末50から塩化銀粉末51が表面側から内部側へと順次形成される。その結果、図5(c)に示されるように、第1部分71に対応する部分では、表面21S側に塩化銀領域21Aが形成され、その内側には濃度傾斜領域21Bが形成される。陽極電解の条件を適切に設定することによって、導電層70の内部側には、塩化反応が実質的に進行していない領域を残すことが可能であって、この領域が銀領域21Cとなる。こうして、接触部21が形成され、接触部21と等しい構造を有する配線部22が形成される。そして、陽極電解が施されていない第2部分72は、外部端子23となる。こうして、基材10の表面に電極層20を備える生体情報測定用電極1が得られる。塩化工程によって、電極層20の配線部22には、接触部21の塩化銀領域21Aと等しい構造の領域が形成されるが、この領域は、接触部21の塩化銀領域21Aの基本機能である生体情報を収集する機能ではなく、腐食防止機能を果たす保護領域として設けられている。
陽極電解の条件(電解液91の温度、電流密度、総電流量など)は、導電層70の組成及び厚さ、並びに塩化工程により形成される塩化銀領域21A、濃度傾斜領域21B及び銀領域21Cの組成及び厚さを勘案して適宜設定される。電流密度については、過度に低い場合には処理時間が長くなり、過度に高い場合には処理の均一性が低下する(いわゆる「焼け」が生じる)可能性が高まることを考慮して、例えば10mA/cm程度から250mA/cm程度とすることが好ましい場合がある。
以上のように、本実施形態に係る製造方法によれば、基材10の表面(具体的には基材10の一方の主面10A)に容易に電極層20を形成できるとともに、銀粉末50及び塩化銀粉末51が合成樹脂52の内部に分散する分散構造を有した電極層20を容易に形成できる。しかも、銀粉末50を構成する銀を陽極電解によって塩化(陽極塩化)することにより、内部側よりも表面21S側において塩化銀の含有量が高い電極層20の接触部21を容易に形成することができる。更に、陽極電解では導電層70の第1部分71の表面側から塩化物イオンが拡散して塩化銀が形成されるため、濃度傾斜領域21Bを有する接触部21を容易に形成することができる。濃度傾斜領域21Bの厚さや濃度傾斜の程度についても、電解条件を適切に設定することにより、容易にかつ再現性高く制御することができる。したがって、濃度傾斜領域21Bの内部側に銀領域21Cを有する接触部21を形成することも容易である。それゆえ、本実施形態に係る製造方法によれば、内部側における銀の含有量が表面側における銀の含有量よりも高い接触部21を容易に形成することができる。このように、本実施形態に係る製造方法によれば、生体情報測定用電極1を容易に作製することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
先ず、生体情報測定用電極1を作製し、その生体情報測定用電極の観察を行った。
生体情報測定用電極1の作製は、ポリウレタンコートが施された布(厚さ:500μm)からなる基材10を準備した。そして、この基材10の一方の主面10Aに、銀粉末50を含有するポリマー型導電性ペースト(樹脂系組成物60)を塗布(スクリーン印刷)して、電極層20に対応する形状の塗膜65を形成した。所定の条件(130℃で30分間)で処理することにより塗膜65を硬化させて、厚さ10μmから15μmの導電層70を形成し、基材10と基材10の一方の主面10Aに設けられた導電層70とからなる積層体80を得た。
図5(a)に示される装置を用いて、塩化物イオン(Cl)を含有する電解液(1Mの塩化ナトリウム水溶液)91に積層体80を浸漬させた。この際、導電層70は、接触部21及び配線部22に対応する部分である第1部分71のみを浸漬させた。この状態で、電流密度を50mA/cmから200mA/cmの範囲で設定して、導電層70の第1部分71の陽極電解を行った。その結果、白色であった導電層70のうち、陽極電解が行われた第1部分71は黒色化した。
こうして第1部分71から形成された接触部21及び配線部22と第2部分72からなる外部端子23とを備える電極層20が基材10の一方の主面10Aに設けられた生体情報測定用電極1を得た。
得られた生体情報測定用電極1の電極層20の接触部21の表面21Sを含む部分について、走査型電子顕微鏡及びこれに併設される分析装置を用いて、断面観察及び組成分析を行った。その結果を図6に示す。図6(a)は、電極層20の接触部21の表面21S側を含む部分の断面の観察画像、図6(b)は、図6(a)と同じ視野での銀(Ag)の組成像(図中で示される白い部分が銀)、図6(c)は、図6(a)と同じ視野での塩素(Cl)の組成像(図中で示される白い部分が塩素)である。
図6(a)に示されるように、表面21Sから3μmから4μm程度の深さまで、銀粉末50とは外形が異なる微細な粉状体の凝集物が形成されていることが確認された。また、図6(b)に示されるように、視野内の電極層20の全域に濃度の分布はあるものの銀(Ag)が存在することが確認された。そして、図6(c)に示されるように、図6(a)において確認された凝集物に対応する位置に、塩素(Cl)が存在することが確認された。したがって、図6(a)において確認された凝集物は塩化銀であることが確認された。すなわち、この凝集物が塩化銀粉末51である。
図6(c)に示される塩素(Cl)の分布から明らかなように、塩化銀は電極層20の接触部21の表面21Sを覆うように位置し、更に、その内部側へと0.5μm程度の厚さの領域には塩化銀が高濃度で存在する。一方、電極層20の接触部21の表面21Sから5μm程度の深さよりも内部側の領域には、塩素(Cl)はほとんど確認されない。そして、これらの間の領域(表面21Sから0.5μmから5μmの深さの領域)では、数μmの深さまで塩素(Cl)が入り込んでいる部分が複数個所存在し、平均的には、表面21S側から内部側にかけて、塩素(Cl)の密度が漸減し、銀(Ag)の密度が漸増している。したがって、測定した生体情報測定用電極1の電極層20の接触部21では、表面21Sから0.5μm程度までの厚さの領域が塩化銀領域21Aであり、塩化銀領域21Aの内部側から接触部21の表面21Sから5μmまでの深さの範囲が濃度傾斜領域21Bであり、濃度傾斜領域21Bの内部側は銀領域21Cであることが確認された。
次に、得られた生体情報測定用電極1に関して、測定を行った。対比のため、塩化工程を行わない積層体80(比較例)と、図7(a)に示される構造を有する市販の生体情報測定用電極200(参考例1)と、図7(b)に示される構造を有する他の参考例に係る生体情報測定用電極300(参考例2)と、を用いた。
比較例に係る生体情報測定用電極の電極層の接触部分は、全体が、合成樹脂52の内部に銀粉末50が分散した構造を有する。また、参考例1に係る生体情報測定用電極200は、導電性カーボン材料からなる電極部201が粘着シート204の厚さ方向に貫通して固定された構造を有する。電極部201は、全体が粘着シート204に埋設されて一方の面202Aが粘着シート204の粘着面204A側に露出する接触部202と、接触部202の一方の面202Aとは反対側の面に設けられ接触部202に電気的に接続される外部端子203とからなる。使用の際には、接触部202の一方の面202Aが生体と接触する面となる。このため、使用の際には、この接触部202の一方の面202Aの全体を覆うように導電性ゲルが塗布される。また、参考例2に係る生体情報測定用電極300は、金属製の電極部301と、電極部301に電気的に接続された端子部305とからなる。電極部301は、円盤状の基部302と、基部302における端子部305が設けられている端面とは反対側の端面から伸びる9本のピン303と、ピン303のそれぞれの先端に設けられた、球状体304とを有する。この球状体304が生体に接触する部分である。生体情報測定用電極300の生体との導電性の確保及び腐食防止の観点から、その全体の最表面には金めっきが施されている。
先ず、得られた生体情報測定用電極1を食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬し、生体情報測定用電極1の電圧の経時変化を測定した(参照電極:銀塩化銀標準電極)。測定結果を図8(a)に示す。図8(a)に示されるように、実施例に係る生体情報測定用電極1の電圧は0.07V程度で測定時間(60分間)においてほぼ一定であった。
また、比較例に係る生体情報測定用電極及び参考例1に係る生体情報測定用電極200についても、実施例に係る生体情報測定用電極1と同様に、食塩水中での電圧の経時変化を測定した。その結果、図8(a)に示されるように、比較例に係る生体情報測定用電極は、経時的に電圧が低下し、60分間の測定時間で0.03V以上の電圧降下が認められた。参考例1に係る生体情報測定用電極200は、経時的に電圧が高くなり、60分間の測定時間で0.045V程度の電圧上昇が認められた。これらの結果から、実施例に係る生体情報測定用電極1は、食塩水などの電解液に接触した際に表面での分極が生じにくく、測定安定性に優れることが確認された。
次に、実施例に係る生体情報測定用電極1、比較例に係る生体情報測定用電極及び参考例1に係る生体情報測定用電極200について、食塩水中でインピーダンス測定を行った。それら測定結果の周波数特性を図8(b)に示す。図8(b)に示されるように、比較例に係る生体情報測定用電極は低周波になるほどインピーダンスの絶対値が増大する傾向が認められ、抵抗成分が大きいことが確認された。実施例に係る生体情報測定用電極1及び参考例1に係る生体情報測定用電極200は、インピーダンスの絶対値にはめだった周波数依存性が認められず、抵抗成分がいずれも小さいことが確認された。これらの結果から、実施例に係る生体情報測定用電極1は比較例に係る生体情報測定用電極とは異なり電解液との接触界面での抵抗が小さく、参考例1に係る生体情報測定用電極200における金の表面と電解液との接触界面の抵抗と同程度であることが確認された。
次に、実施例に係る生体情報測定用電極1の可撓性について確認した(サンプル数:5)。直径1mmのピンを挟んで生体情報測定用電極1を折り返した(180度曲げ)状態を60秒間維持し、曲率半径0.5mmでの曲げ試験を行った。曲げ試験を行った後に生体情報測定用電極1を平面基板上に広げて配置し、曲げ部を挟むようにして表面抵抗率(単位:Ω/□)を測定した。上記の曲げ試験を繰り返し行い、曲げ試験後の表面抵抗率を同様に測定した。上記の曲げ試験及び表面抵抗率の測定を15回繰り返しを行った結果を、曲げ試験前の表面抵抗率の測定結果とともに、図9に示す。図9に示されるように、表面抵抗率の変化率([曲げ試験後の表面抵抗率/曲げ試験前の表面抵抗率−1]×100、単位:%)の最大値(最大抵抗変化率、単位:%)は、3%程度であり、実施例に係る生体情報測定用電極1は曲げを行っても抵抗率がほとんど変化しない、すなわち、可撓性に優れることが確認された。
次に、実施例に係る生体情報測定用電極1を用いて、図2(c)に示される電極ユニット100を形成し、電極ユニット100をヒトの額に固定し、耳たぶを接地点として、生体情報の測定を行った。また、対比のために、電極ユニット100に代えて参考例1に係る生体情報測定用電極200を用いて同様に生体情報の測定を行った。この際、参考例1の生体情報測定用電極200方には、生体情報測定用電極200とヒトの額との間に、導電性ゲルを塗布した。これらの測定結果を図10に示す。
図10に示されるように、参考例1に係る生体情報測定用電極200による測定結果では、開眼(目を開けている状態)における電圧変化と閉眼(目を閉じている状態)における電圧変化とが異なる挙動となり、脳波測定によって開眼と閉眼とを識別可能であった。同様にして、電極ユニット100を用いた場合も、参考例1に係る生体情報測定用電極200を用いた場合とほぼ同じ挙動の測定結果が得られた。したがって、実施例に係る生体情報測定用電極1を備える電極ユニット100は、参考例1に係る生体情報測定用電極200の代替品として使用可能であることが確認された。しかも、実施例に係る生体情報測定用電極1を備える電極ユニット100を用いる場合には、参考例1に係る生体情報測定用電極200の場合のように、導電性ゲルの塗布が不要であるから、実施例に係る生体情報測定用電極1を備える電極ユニット100は、参考例1に係る生体情報測定用電極200よりも取り扱い性に優れることが確認された。
次に、実施例に係る生体情報測定用電極1の耐食性について評価した。具体的には、実施例に係る生体情報測定用電極1及び比較例に係る生体情報測定用電極を、40℃、相対湿度80%、硫化水素濃度1ppmの雰囲気に96時間放置する硫化試験を行った。試験後の各生体情報測定用電極の接触部21について、走査型電子顕微鏡及びこれに併設される分析装置を用いて、断面観察及び組成分析を行った。その結果を図11及び図12に示す。図11は、実施例に係る生体情報測定用電極1に対して硫化試験を行ったものの断面を示す写真であって、図11(a)は、その断面の観察画像であり、図11(b)は、図11(a)と同じ視野での硫黄(S)の組成像である。図12は、比較例に係る生体情報測定用電極に対して硫化試験を行ったものの断面を示す写真であって、図12(a)は、その観察画像であり、図12(b)は、図12(a)と同じ視野での硫黄(S)の組成像である。
その結果、実施例に係る生体情報測定用電極1(図11(a))も比較例に係る生体情報測定用電極(図12(a))も二次電子画像では、銀粉末50が合成樹脂52の内部に分散する構造を維持できていることが確認された。硫黄(S)の組成分析を行うと、図11(b)に示されるように、実施例に係る生体情報測定用電極1では、硫黄(S)は表面21S側に偏在し、内部に拡散した硫黄(S)は少ないことが確認された。これに対し、図12(b)に示されるように、比較例に係る生体情報測定用電極では、硫黄(S)は、接触部21内に広くほぼ均一濃度で分布し、電極層20の内部でも銀の硫化が進行していることが確認された。
また、実施例に係る生体情報測定用電極1及び比較例に係る生体情報測定用電極について、表面及び内部について組成分析を行い、硫黄(S)の濃度(単位:原子%)を測定した。その結果を図13(a)に示す。図13(a)に示されるように、実施例に係る生体情報測定用電極1では、表面における硫黄(S)の濃度は20原子%以上であるのに対し、内部の硫黄(S)の濃度は1原子%未満であった。一方、比較例に係る生体情報測定用電極では、表面における硫黄(S)の濃度は15原子%程度であり、内部においても硫黄(S)の濃度は5原子%程度であった。このように、実施例に係る生体情報測定用電極1では、硫黄(S)は表面側に偏析し、内部側への拡散が抑制されているのに対し、比較例に係る生体情報測定用電極では表面側から内部側へと硫黄(S)が拡散していることが定量的に確認された。
また、実施例に係る生体情報測定用電極1及び比較例に係る生体情報測定用電極について、X1−X2方向で所定の距離をおいて接触部21に対して2本の測定プローブを突刺し、接触部21の抵抗(単位:Ω)を、硫化試験の前後で測定した。いずれの生体情報測定用電極についても測定サンプル数は5であった。結果を図13(b)に示す。図13(b)に示されるように、実施例に係る生体情報測定用電極1では、硫化試験前(初期)は3Ω程度であり、硫化試験後の抵抗値の変化率(抵抗変化率、[硫化試験後の抵抗値/硫化試験前の抵抗値−1]×100、単位:%)は、最大でも3%程度であった。一方、比較例に係る生体情報測定用電極では、硫化試験前(初期)は3.5Ωから4Ω程度であり、硫化試験後の抵抗変化率は少ない場合でも10%であり、最大では17%となった。すなわち、実施例に係る生体情報測定用電極1では硫化試験による抵抗値の上昇はわずかであったが、比較例に係る生体情報測定用電極では硫化試験による抵抗値の上昇は明らかであった。比較例に係る生体情報測定用電極では、硫化試験により接触部21の銀領域21Cに硫化物が形成され、この硫化物の影響が明らかな抵抗値の上昇として確認された。
これらの結果から、実施例に係る生体情報測定用電極1では、塩化銀領域21Aが接触部21の内部の銀(Ag)の硫化を防ぐ保護領域として機能していることが確認された。
次に、硫化試験後の実施例に係る生体情報測定用電極1を用いて図2(c)に示される電極ユニット100を形成し、電極ユニット100をヒトの額に固定し、耳たぶを接地点として、生体情報の測定を行った。また、対比のために、電極ユニット100に代えて参考例2に係る生体情報測定用電極300を用いて同様に生体情報の測定を行った。生体情報の測定の際に、生体情報測定用電極300とヒトの額との間には、導電性ゲルを塗布した。これらの測定結果を図14に示す。
図14に示されるように、硫化試験後の実施例に係る生体情報測定用電極1を用いた電極ユニット100を用いると、導電性ゲルを用いていないにもかかわらず、参考例2に係る生体情報測定用電極300による測定結果とほぼ同様の挙動を示す測定結果が得られた。したがって、実施例に係る生体情報測定用電極1を備える電極ユニット100は、導電性ゲルを用いることなく生体情報を測定しうる電極ユニットであることが確認され、しかも、腐食されにくいため、繰り返し使用可能であることが確認された。
1 :生体情報測定用電極
10 :基材
10A :基材10の主面
20 :電極層
21 :接触部
21A :塩化銀領域
21B :濃度傾斜領域
21C :銀領域
21S :接触部21の表面
22 :配線部
23 :外部端子
30 :スペーサ
50 :銀粉末
51 :塩化銀粉末
52 :合成樹脂
60 :樹脂系組成物
61 :未固化樹脂組成物
65 :塗膜
70 :導電層
71 :第1部分
72 :第2部分
80 :積層体
90 :処理槽
91 :電解液
92 :導電クリップ
93 :陰極
94 :電源
100 :電極ユニット
200 :参考例1に係る生体情報測定用電極
201 :電極部
202 :接触部
202A :接触部202の一方の面
203 :外部端子
204 :粘着シート
204A :粘着面
300 :参考例2に係る生体情報測定用電極
301 :電極部
302 :基部
303 :ピン
304 :球状体
305 :端子部
DM :塗布装置

Claims (12)

  1. 基材と、該基材の表面に設けられた電極層と、を備え、該電極層の一部が生体と接触可能な接触部からなる生体情報測定用電極であって、
    前記電極層の前記接触部は、銀又は銀合金及び塩化銀が合成樹脂内に分散する分散構造を有し、
    前記電極層の前記接触部では、前記生体と接触する表面側における前記塩化銀の含有量が内部側における前記塩化銀の含有量よりも高いことを特徴とする生体情報測定用電極。
  2. 前記電極層の前記接触部では、前記内部側における前記銀の含有量が前記表面側における前記銀の含有量よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定用電極。
  3. 前記電極層の前記接触部は、前記表面側から前記内部側へと、前記塩化銀の含有量が漸減しつつ前記銀の含有量が漸増する濃度傾斜領域を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体情報測定用電極。
  4. 前記基材が可撓性を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の生体情報測定用電極。
  5. 前記電極層の前記接触部において、前記銀又は銀合金は、前記合成樹脂内に分散する前記銀又は銀合金の粉末として存在し、
    前記接触部の前記塩化銀は、前記銀又は銀合金の粉末に含まれる銀の塩化物からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の生体情報測定用電極。
  6. 前記電極層の前記接触部は、その前記表面側に、前記内部側の前記銀の腐食を前記塩化銀によって防止する保護領域を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の生体情報測定用電極。
  7. 基材と、該基材の表面に設けられた電極層と、を備え、
    該電極層の一部が生体と接触可能な接触部を有する生体情報測定用電極の製造方法であって、
    前記電極層の前記接触部は、銀又は銀合金及び塩化銀が合成樹脂内に分散する分散構造を有し、
    前記電極層の前記接触部では、前記生体と接触する表面側における前記塩化銀の含有量が内部側における前記塩化銀の含有量よりも高くなっており、
    前記銀又は銀合金からなる粉末が分散した樹脂系組成物を前記基材の表面に塗布して塗膜を得る塗布工程、
    前記塗膜を固化させて、前記基材の表面に付着する導電層を形成する導電層形成工程、及び
    塩化物イオンを含む液体を用いて前記導電層を陽極電解することにより、前記導電層に含まれる前記銀又は銀合金からなる粉末の一部を前記塩化銀にして、前記導電層の一部から前記電極層の前記接触部を形成する塩化工程を備えることを特徴とする生体情報測定用電極の製造方法。
  8. 前記塩化工程により、前記表面側から前記内部側へと、前記塩化銀の含有量が漸減しつつ前記銀の含有量が漸増する濃度傾斜領域を前記接触部に形成することを特徴とする請求項7に記載の生体情報測定用電極の製造方法。
  9. 前記塩化工程により、前記内部側の前記銀の腐食を前記塩化銀によって防止する保護領域を前記接触部の前記表面側に形成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の生体情報測定用電極の製造方法。
  10. 前記基材が平板状であって、
    該基材の一方の主面に前記電極層が設けられ、
    前記電極層は、前記接触部から収集した生体情報を含む電気信号を外部に出力するための外部端子を有し、
    前記外部端子は、前記導電層の他の一部であって前記塩化工程が行われない部分からなることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の生体情報測定用電極の製造方法。
  11. 前記電極層は、前記接触部と前記外部端子とを電気的に接続する配線部を更に備え、
    前記導電層形成工程において形成される前記導電層の別の一部から、前記配線部は形成されることを特徴とする請求項10に記載の生体情報測定用電極の製造方法。
  12. 前記塩化工程では、前記配線部に対応する前記導電層の別の一部を陽極電解して、前記配線部を、前記導電層に基づく導電領域と、その前記表面側に形成された前記塩化銀を含む保護領域とを備えるものとすることを特徴とする請求項11に記載の生体情報測定用電極の製造方法。
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