JP6776438B2 - 生体情報測定用電極 - Google Patents

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Description

本発明は、脳波などを測定する際に用いられる生体情報測定用電極およびその製造方法に関する。
近年、様々な生体の情報、例えば、脈波、心電、筋電、体脂肪、脳波等を測定することが増えてきた。その際に、安定して生体と接触させるために、様々な生体情報測定用電極が提案されている。特に、髪の毛が存在する頭部に装着する、脳波測定用の電極に関しては様々な工夫がされている。例えば、毛髪を避けて頭皮に接触させるためには、電極先端の面積を狭くする必要が有る。しかし、金属のように硬い材料で作られた電極の先端の面積を小さくすると、装着者が痛みを感じる。このため、電極の先端を狭くせずに、脳波測定用の電極と頭皮との接触を安定させるために、導電ゲルが用いられる場合がある。
このような導電ゲルを用いる従来例として、特許文献1に記載される脳波測定用ヘルメットでは、進退手段と筒状電極とを備えたセンサ部材(電極に相当)を有し、頭皮に電解質のペーストを自動的に供給するペースト供給手段が筒状電極に接続されている。
特開2004−254953号公報
しかしながら、特許文献1に記載される脳波測定用ヘルメットが備える筒状電極は、導電ゲルを供給する構造(ペースト供給手段)を有するため、大がかりな機構となっている。ヘルメットが大型化・重量化し、測定の際に測定者にとって大きな負担となる。しかも、測定の際に頭皮(測定部位)に供給される電解質のペーストの供給量が多くなるため、測定後の頭皮からペーストを除去するための作業負荷も大きくなっていた。
本発明は、心電図、脈波、脳波などの生体情報を測定するための電極であって、特許文献1に記載されるような流動性を有する状態にある電解質(具体例として、液状、ペースト状、ゲル状などが挙げられる。)を特に用いなくても生体情報を安定的に取得することが可能な生体情報測定用電極を提供することを目的とする。本発明は、上記の生体情報測定用電極を製造する方法を提供することも目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明は、一態様において、少なくとも一部がカーボン材料からなる電極と、該電極に対して電気的に接続された端子部と、を備え、前記電極の前記カーボン材料からなる部分の少なくとも一部の表面が生体に接触可能な生体情報測定用電極であって、該表面の一部は、カチオン性官能基によって修飾されていることを特徴とする生体情報測定用電極である。
上記の生体情報測定用電極の電極におけるカーボン材料からなる部分の表面はグラフェン構造を有し、このグラフェン構造のπ電子雲によって電子伝導が行われる。一方、生体の表面では、生体情報の電気信号は主に塩化物イオンによって伝達される。したがって、カーボン材料からなる部分のうち生体と接触する部分では、その表面において、生体側の塩化物イオンによる電荷移動から、電極表面のπ電子雲の電子による電荷移動への変換、すなわち、電荷のキャリア変換が行われる。
上記の本発明に係る生体情報測定用電極では、カーボン材料からなる部分のうち生体と接触する部分の表面の一部がカチオン性官能基によって修飾されている。具体的には、生体と接触する部分の表面に位置するグラフェン構造を構成する炭素の一部にカチオン性官能基が結合している。このため、カチオン性官能基を有する正電荷は、グラフェン構造のπ電子雲と相互作用して安定化されている。したがって、生体と接触する部分の表面の近傍に位置する塩化物イオンは、その表面のカチオン性官能基の正電荷と相互作用しやすい。このため、塩化物イオンの電荷は、カチオン性官能基を介して、生体と接触する部分のグラフェン構造のπ電子雲に入り易くなり、その結果分極も小さくなる。それゆえ、時間経過による電荷溜まり(電極表面近傍における塩化部イオンの濃度の上昇)も低減され、生体と電極との間で電荷の授受をスムーズに行うことができる。このことにより、電解液或いは導電ゲルを用いなくても、安定して測定することができる。
上記の生体情報測定用電極において、前記カチオン性官能基はカチオン性アミノ基を含んでいてもよい。カーボン材料の表面に対するアミノ基による修飾は比較的容易に行うことができる。アミノ基はプロトンが付加することによりカチオン性官能基になることができる。したがって、カチオン性官能基をカチオン性アミノ基とすることにより、カーボン表面におけるカチオン性官能基の存在密度を高めやすく、生体の塩化物イオンの影響をより安定的に緩和することができる。
上記の生体情報測定用電極において、前記カチオン性官能基の少なくとも一部はアニオンと塩を形成した状態にあることが好ましい。カチオン性官能基が塩を形成していない状態の場合には、水と相互作用によって水酸化物イオンが生じ、カーボン材料の周囲の溶液の液性がアルカリ性となる。この状態で水酸化物イオンと生体由来の塩化物イオンとの交換が生じると、カーボン材料の周囲の溶液にpH変化を生じさせることになる。これに比べて、あらかじめ、カチオン性官能基が塩を形成している状態であれば、カーボン材料の周囲の溶液にpH変化を生じさせない、或いは生じるpH変化を少なくして、生体由来の塩化物イオンとの交換を生じさせることができる。
上記のカチオン性官能基の少なくとも一部がアニオンと塩を形成した状態にある生体情報測定用電極において、前記アニオンは塩化物イオンを含むことが好ましい。カチオン性官能基をあらかじめ塩化物イオンとイオンペアの状態としておくことにより、カチオン性官能基に相互作用している塩化物イオンが生体からの塩化物イオンと交換することが容易となる。
本発明の他の一態様は、少なくとも一部がカーボン材料からなる電極と、該電極に対して電気的に接続された端子部と、を備え、前記電極の前記カーボン材料からなる部分の少なくとも一部の表面が生体に接触可能な生体情報測定用電極の製造方法である。かかる製造方法は、該表面がカルバミン酸アンモニウム溶液に接触した状態で、前記表面を陽極電解する電解酸化工程と、前記電解酸化工程を経て酸化した前記表面を、アンモニア、ジチオン酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含む溶液に接触させて還元する還元工程と、を有することを特徴とする。この製造方法によれば、前述の表面の一部がカチオン性官能基によって修飾されている生体情報測定用電極を、電極構成材料への化学的ダメージを少なくして製造することができる。
上記の製造方法において、前記還元工程を経て還元した前記表面を、塩化物イオンを含む酸性液体に接触させる塩化工程を更に有していてもよい。塩化工程を備えることにより、生体情報をより安定的に取得することが可能な生体情報測定用電極を製造することができる。
本発明によれば、流動性を有する電解質を特に用いなくても生体情報を安定的に取得することが可能な生体情報測定用電極およびその製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極(生体電極)の構造を説明する図である。 従来技術に係る金属製の生体電極の構造を説明する図である。 (a)図2に示す生体電極を用いて脳波測定を行って得られたデータ及びこのデータに対してローカットフィルター処理を行った後のデータを示すグラフ、及び(b)比較例生体電極を用いて脳波測定を行って得られたデータ及びこのデータに対してローカットフィルター処理を行った後のデータを示すグラフである。 (a)図3(a)に示すローカットフィルター処理後のデータについて縦軸の範囲を変更したグラフ、及び(b)図3(b)に示すローカットフィルター処理後のデータについて縦軸の範囲を変更したグラフである。 生体電極の等価回路を示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体電極が生体に接触して電荷移動が生じている様子を概念的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る生体電極の炭素繊維の表面をX線光電子分光測定(XPS)により測定した結果を示すグラフである。 本発明の他の一実施形態に係る生体電極と比較例生体電極とについて、0.1M食塩水に浸漬してインピーダンス測定を行った結果を示すグラフである。 (a)実施例生体電極をヒトの額に固定し、耳たぶを接地点及びレファレンスとして脳波測定を行って得られたデータ及びこのデータに対してローカットフィルター処理を行った後のデータを示すグラフ、及び(b)比較例生体電極をヒトの額に固定し、耳たぶを接地点及びレファレンスとして脳波測定を行って得られたデータ及びこのデータに対してローカットフィルター処理を行った後のデータを示すグラフである。 カルバミン酸アンモニウム溶液を用いてカチオン性官能基の一種である−NH 基による修飾を行う方法のプロセスを概念的に示す図である。 (a)炭素繊維収束電極の外観を示す図、(b)CCコンポジットブロックの外観を示す図、(c)比較電極の一例である立体形状を有する電極の外観を示す図、及び(d)比較電極の他の一例である金皿電極の外観を示す図である。 (a)電解処理を行う装置(電解装置)の写真、及び(b)電解処理を行う装置(電解装置)の構成を概念的に示す図である。 図11(b)に示されるCCコンポジットに対して異なる時間で電解酸化工程を行った後、電極先端の断面をESCAで測定した結果を示す図である。 未処理、電解後および還元後の試料の0.1MのNaCl水溶液中でのインピーダンス測定の結果を示す図である。 比較電極を用いて脳波測定を行って得られたデータを示すグラフである。 炭素繊維集束電極を用いて脳波測定を行って得られたデータを示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極(本明細書において、「生体電極」ということもある)の構造を説明する図である。図2は、従来技術に係る金属製の金電極200の構造を説明する図である。
本発明の一実施形態に係る生体電極1は、図1に示すように、カーボン材料からなる電極E2と、電極E2に対して電気的に接続された端子部30と、を備えて構成されている。そして、生体電極1は、電極E2の表面の一部を生体に接触させて、生体の生体情報を測定するために用いられる。
先ず、生体電極1の電極E2は、炭素含有材料からなるマトリックスに炭素繊維が結着された複合材から全体が構成され、図1に示すように、生体と接触可能な複数のピン10と、複数のピン10が接続されている基部20と、を主に有している。そして、少なくとも炭素繊維が導電性を有することにより、生体電極1の電極E2全体が導電性を有する。すなわち、電極E2は、その全体がカーボン材料からなる。なお、生体電極1の電極E2では、カーボン材料として、炭素含有材料からなるマトリックスに炭素繊維が結着された複合材を用いたが、これに限るものではない。例えば、合成樹脂のマトリックスを炭化させた炭素繊維強化炭素複合材料や黒鉛材(カーボングラファイト)等を用いても良い。
詳細すると、図1に示す生体電極1の電極E2は、一例として、ピン10を9本有しており、それぞれのピン10が基部20から突出している。そして、ピン10の突出方向の先端部の表面において、生体に直接的に接触することが可能である。以下、この先端部を生体接触端部12と記する。また、生体電極1では、電極E2の生体接触端部12に後述するような表面処理が施され、生体接触端部12の表面の一部はカチオン性官能基によって修飾されている。
また、電極E2は、生体接触端部12とは反対側に、数cmの直径を有する円盤状の基部20が位置し、基部20の一方の面からピン10が突出している構造となっている。なお、図1の例では、ピン10が9本としているが、これに限るものではなく、複数本或いは1本であっても良い。
また、前述したように、生体電極1の電極E2は、炭素含有材料からなるマトリックスに炭素繊維が結着された複合材から構成されているが、マトリックスとなる材料の具体例として、エポキシ樹脂の硬化物、合成樹脂を2000℃程度で焼成して得られる炭化材料などが挙げられる。また、炭素繊維の具体例として、アクリル繊維を用いたPAN(Polyacrylonitrile)系、ピッチを用いたピッチ(PITCH)系などが挙げられる。なお、炭素繊維がマトリックスに結着された構成を好適に用いたが、これに限るものではなく、例えば、炭素繊維を束ねた構成であっても良い。
また、電極E2の複数のピン10と基部20とを一体にして、電極E2を構成したが、これに限るものではない。例えば、ピン10のみをカーボン材料とし、基部20については導電性を有する金属材料から構成しても良い。例えば、電極E2のうち、生体に接触可能な表面を有する部分(生体電極1では生体接触端部12)のみをカーボン材料とし、それ以外の部分については導電性を有する金属材料から構成しても良い。
また、脳波測定用に適した生体電極1として、髪の毛を掻き分けて生体に接触できるように、基部20から延出したピン10を用いた電極E2の構成とし、その先端部を生体接触端部12としたが、このような構成に限るものではない。例えば、心電図の測定用に適した生体情報測定用電極として、皮膚(生体)の表面に追従し易いように、可撓性の基材の一面側にカーボン材料からなる電極を設け、その電極の表面の一部を生体に接触させる構成でも良い。なお、云うまでもないが、その表面の一部がカチオン性官能基によって修飾されている。
次に、生体電極1の端子部30は、金、銅或いは銅合金等の金属材料を用いており、外部機器(測定装置)と電気的に接続するための機能を有している。そして、端子部30は、図1に示すように、電極E2の基部20のピン10が位置する側とは反対側の面に位置している。なお、図示はしていないが、端子部30は、リード線及びターミナルに接続されており、このターミナルと測定装置とが接続されていることにより、生体からの電気信号を測定装置に伝えている。
対比のために、従来技術の乾式で使われる生体情報測定用電極(以降、「金電極」ともいう)の構造を図2に示す。図2に示すように、従来技術に係る生体情報測定用電極(金電極200)は、金属製のピン201を9本有し、それぞれの先端には、生体に直接的に接触する部分である金属製の球状体202が位置する。9つのピン201のいずれにも、球状体202が位置する側とは反対側に、金属製であって数cmの直径を有する円盤状の基部203が位置し、基部203の一方の面からピン201が突出している構造となっている。基部203のピン201が設けられている側とは反対側の面には、外部機器と電気的に接続するための部分として金属製の端子204が位置する。金電極200の全体は、導電性を高める観点及び耐食性を高める観点から金めっきが施されている。この金電極200を用いる場合、金電極200が、毛髪を避けて頭皮に接触できるように、細い金電極200を頭皮に押しつけるため、装着者の不快感が大きい。
また、本発明の一実施形態に係る生体電極1と同様の構成を有するが、電極において生体と接触する部分となる生体接触端部12に相当する部分に、後述する表面処理が施されていない従来型の生体情報測定用電極(以降、「比較例生体電極」ともいう)は、次に説明するように、アーチファクトと呼ばれる現象が生じやすい。アーチファクトとは、比較例生体電極を用いて脳波を測定した際に、ベースライン補正のためのフィルターを用いても平準化できない程度に急峻なベースライン変動が生じる現象である。
図3(a)は、図2に示す従来技術に係る金電極200を用いて脳波測定を行って得られたデータ及びこのデータに対してローカットフィルター処理(0.5Hz以下の信号をカットする処理、以下同じ)を行った後のデータを示すグラフである。図3(b)は、比較例生体電極を用いて脳波測定を行って得られたデータ及びこのデータに対してローカットフィルター処理を行った後のデータを示すグラフである。図4(a)は、図3(a)に示すローカットフィルター処理後のデータについて縦軸の範囲を変更したグラフであり、図4(b)は、図3(b)に示すローカットフィルター処理後のデータについて縦軸の範囲を変更したグラフである。図3及び図4に示すいずれのグラフも、横軸は経過時間(秒)、縦軸は出力電位(μV)である。図3(a)のグラフ及び図3(b)のグラフは縦軸の範囲が共通(−2000μVから6000μV)であり、図4(a)のグラフ及び図4(b)のグラフは縦軸の範囲が共通(−100μVから400μV)である。
図3(a)に示すように、金電極200の場合は、ベースラインは測定中にドリフトするが、急峻に変動することない。このため、ベースライン補正のフィルター処理を行うことによって、ほぼベースラインをフラットにすることができる。これに対し、図3(b)に示すように、比較例生体電極の場合には、20秒程度において急激な測定電位の変動が生じている。このため、金電極200の場合と同様のベースライン補正のフィルター処理を行っても、ベースラインをフラットにすることができない。
具体的には、図4(a)に示すように、金電極200の結果では、ベースライン補正のローカットフィルター処理を行うことによって、ノイズが数十μVのほぼフラットなベースラインが得られている。これに対し、図4(b)に示すように、比較例生体電極の結果では、ローカットフィルター処理を行ったにもかかわらず、比較例生体電極の結果ではベースラインがフラットとなっておらず、むしろ、アーチファクトの影響を低減できなかった結果としてピークが形成されており(典型例:20秒)、これを脳波に基づく信号と認識すると、異常脳波の発生と解されてしまう。
図5は、生体電極1の等価回路を示す図である。図5に示すように、等価回路は、分極電圧Vmと抵抗Rsとが直列に接続され、これらからなる部分回路と並列に容量dlが接続された構成となると考えられる。分極電圧Vmによる電位差は、装置からの漏れ電流等による電荷が生体電極1の生体接触端部12と生体との間に蓄積されたことに基づいて生じる。生体と生体電極1との間では、電荷の変換が生じる。生体表面では、イオン、特に塩化物イオンが電荷移動を担い、生体電極1内部では電子が電荷移動を担う。したがって、生体と生体電極1との界面では、塩化物イオンとして運ばれてきた電荷を電子として受け取る現象が生じる。この際の生体中のイオンが電極中の電子として取りこまれにくさが抵抗Rsの主要な成分である。容量dlは生体と生体電極1との間の電気二重層に基づく。
アーチファクトは、抵抗(電荷移動抵抗)Rsが大きいため生じている可能性がある。したがって、イオンから電子への電荷が変換する際の抵抗を下げることによりアーチファクトの発生を抑制できると期待される。具体的には、生体電極1の生体接触端部12の表面に位置する炭素繊維のグラフェン構造のπ電子共役の近傍に塩素イオン(Cl)が存在するときに、これらの間での相互作用が生じやすいようにすればよい。
図6は、本発明の一実施形態に係る生体電極1が生体に接触して電荷移動が生じている様子を概念的に示す図である。図6に示すように、本発明の一実施形態に係る生体電極1の生体接触端部(電極E2の一部)12における炭素繊維101が露出している部分では、上記の考えに基づき、炭素繊維101の表面の一部がカチオン性官能基、具体的な一例として−NH 基によって修飾されている。すなわち、生体接触端部(電極E2の一部)12の表面はカチオン性官能基によって修飾された部分を有し、この部分では、炭素繊維101のグラフェン構造の炭素にカチオン性官能基が結合している。
前述のように、生体BB側における主要な電荷移動物質は塩化物イオン(Cl)である。この塩化物イオン(Cl)は、生体BBと接触する部分である生体接触端部(電極E2の一部)12の炭素繊維101の露出する表面に位置するカチオン性官能基(−NH 基)と電気的に相互作用しやすい。このため、生体BBと生体接触端部(電極2の一部)12の炭素繊維101との間の分極が低減される。その結果、生体BB側の塩化物イオン(Cl)の電荷が生体接触端部(電極E2の一部)12の炭素繊維101のグラフェン構造のπ電子雲に入り易くなる。このため、時間経過による電荷溜まりも低減され、生体BBと電極E2(生体接触端部12の炭素繊維101)との間で電荷の授受をスムーズに行うことができる。それゆえ、本発明の一実施形態に係る生体電極1によれば電解液或いは導電ゲルを用いなくても、安定して測定することができる。
図6に示すように、生体電極1において、カチオン性官能基はカチオン性アミノ基(一例が図6に示す−NH 基である。)を含んでいてもよい。カーボン材料(炭素繊維101)の表面の一部をアミノ基により修飾することは比較的容易である。アミノ基はプロトンが付加することによりカチオン性官能基になることができる。したがって、カチオン性官能基をカチオン性アミノ基とすることにより、カーボン材料(炭素繊維101)の表面におけるカチオン性官能基の存在密度を高めやすく、生体の塩化物イオン(Cl)の影響をより安定的に緩和することができる。カチオン性アミノ基の具体的な構造は限定されない。
また、図6に示す−NH 基のように窒素に3つの水素が結合していてもよいし、一般式で−NHR 基のように、アルキル基Rが結合していてもよい。カチオン性官能基の他の例として、イミダゾリン構造を有する官能基(イミダゾリウムカチオン)やピリジン構造を有する官能基(ピリジニウムカチオン)など、窒素を含有するカチオン性官能基、更には、ホスフィン構造を有する官能基(四級ホスホニウムカチオン)などリンを含有するカチオン性官能基が挙げられる。
好ましい一例として、図6では、カチオン性官能基がアニオン(塩化物イオン)と塩(イオンペア、[−NH ][Cl])を形成した状態にある。カチオン性官能基(−NH 基)が塩([−NH ][Cl])を形成していない状態の場合には、カチオン性官能基と水との相互作用によってカチオン性官能基の周囲に水酸化物イオン(OH)が生じる。このため、カーボン材料(炭素繊維101)の周囲の溶液の液性がアルカリ性となり、カチオン性官能基(−NH 基)の周囲には水酸化物イオン(OH)がするようになる。この状態で水酸化物イオン(OH)と生体由来の塩化物イオン(Cl)との交換が生じると、カーボン材料の周囲の溶液にpH変化を生じさせることになる。これに比べて、あらかじめ、カチオン性官能基(−NH 基)が塩を([−NH ][Cl])形成している状態であれば、カーボン材料の周囲の溶液にpH変化を生じさせない、或いは生じるpH変化を少なくして、生体由来の塩化物イオン(Cl)との交換を生じさせることができる。
また、カチオン性官能基の少なくとも一部がアニオンと塩を形成した状態にある生体電極1において、アニオンは塩化物イオン(Cl)を含むことが好ましい。生体に存在する塩化物イオン(Cl)が電極E2の生体接触端部12の表面に位置するカーボン材料(炭素繊維101)と相互作用することによって生体情報の電気信号が生体接触端部12に伝達されるため、カーボン材料(炭素繊維101)のグラフェン構造の炭素に結合するカチオン性官能基をあらかじめ塩化物イオン(Cl)とイオンペアの状態([−NH ][Cl])としておくことにより、カチオン性官能基に相互作用している塩化物イオン(Cl)が生体からの塩化物イオン(Cl)と交換することが容易となって、塩化物イオン(Cl)が関与して分極が発生する可能性をより安定的に低減させることができる。すなわち、図6では、カチオン性官能基(−NH 基)とイオンペアを作る塩化物イオン(Cl)を起点とする矢印は、電子の移動を示し、このイオンペアを作る塩化物イオン(Cl)に向かう塩化物イオン(Cl)からの矢印はイオン交換を示している。
以上のようにして、電極E2のカーボン材料からなる部分(図6では、生体接触端部(電極E2の一部)12の炭素繊維101)の表面の一部をカチオン性官能基によって修飾するが、その方法については特に限定されない。しかしながら、例えば、次の方法により、カチオン性官能基の一種である−NH 基による修飾を行うことができる。
先ず、比較例生体電極(カチオン性官能基を付与する処理が行われていないこと以外は本発明の一実施形態に係る生体電極1と同様の形状、素材であり、製法も上記表面処理が行われていないこと以外は共通する生体電極)を用意する。これを、比較例生体電極として測定に用いる。
一方、同じ比較例生体電極の生体接触端部12に相当する部分を、濃硝酸(60%)の液体中に浸漬させる。そして、この液体を25℃程度に維持しつつ、24時間反応させる。反応後の液体から比較例生体電極を取り出して、純水で洗浄し、乾燥する。この反応により、比較例生体電極における生体接触端部12に相当する部分に位置する炭素繊維の表面の一部がニトロ基(−NO基)によって修飾される。これを、仮にニトロ基修飾電極と呼称する。なお、濃硝酸及び無水酢酸を含む液体中に浸漬させる方法でも、ニトロ基(−NO基)を炭素繊維の表面の一部に修飾させることができる。
次に、上記のニトロ基修飾電極を窒素雰囲気下(実際には窒素気流下)において、28%アンモニア水100mL及びジチオン酸ナトリウム(Na)1gを含む液体に、炭素繊維の表面の一部がニトロ基(−NO基)によって修飾された部分(生体接触端部12に相当する部分)を浸漬させる。そして、この液体を25℃程度に維持しつつ、12時間撹拌して反応させる。反応後の液体からニトロ基修飾電極を取り出して、純水で洗浄し、乾燥する。この反応により、ニトロ基修飾電極における生体接触端部12に相当する部分に位置する炭素繊維の表面のニトロ基(−NO基)をアミノ基(−NH基)にすることができる。これを、仮にアミノ基修飾電極と呼称する。なお、上記液体に炭酸ナトリウムを0.5g程度更に加えても良い。これにより、炭酸ナトリウムの添加でアルカリ性を高めると、ジチオン酸ナトリウムの還元力がより高まるので、アミノ化をより促進できると云う効果を奏する。
続いて、炭素繊維の表面の一部がアミノ基(−NH基)により修飾されたアミノ基修飾電極を塩酸(7%〜18%)に6時間〜12時間程度浸漬させ、純水で洗浄し、乾燥する。こうして、炭素繊維の表面の一部が、塩化物イオン(Cl)との塩(イオンペア)を形成した状態にあるカチオン性官能基(−NH 基)によって修飾された生体電極1を得ることができる。以下、こうして得られる生体電極1を、「実施例生体電極」と呼称する。
実施例生体電極を作製し、その生体接触端部12の表面をX線光電子分光測定(XPS)により測定した結果を図7に示す。N1sの結合エネルギー帯域には、2つのピーク(400eV程度、及び405eV程度、図7では矢印で示した。)が認められる。これらの2つのピークのうち、400eVのピークはH又はCに結合するNに由来し、405eVのピークはOに結合するNに由来する。したがって、400eVのピークの面積の全ピーク面積に対する比率から、Oに結合するNの表面濃度(原子%)を算出することができ、その値は1原子%程度であった。
作製した実施例生体電極を0.1M食塩水に浸漬して、インピーダンス測定を行った。対比として、比較例生体電極についても行った。その結果を図8に示す。図8中、実線が実施例生体電極の結果であり、破線が比較例生体電極である。また、横軸は周波数(Hz)、縦軸はインピーダンス(Ω)である。
図8において実線で示す実施例生体電極の場合には、インピーダンスは、1Hz程度の低周波においても200Ω以下であった。これに対し、図8において破線で示す比較例生体電極の場合には、破線で示すように、1Hz程度の低周波においてインピーダンスが1kΩ程度となった。すなわち、図8に示すグラフは、比較例生体電極おける生体接触端部12に相当する部分に対して上記の処理を施すことにより、インピーダンスを1/6程度に低下させうることを示している。
実施例生体電極及び比較例生体電極を生体(ヒト)の額に固定し、耳たぶを接地点として脳波を測定した。その結果、実施例生体電極と額とのインピーダンス(1Hz)は98kΩであり、比較例生体電極と額とのインピーダンス(1Hz)は141kΩであり、実施例生体電極の方がよりインピーダンス(1Hz)が低くなっていた。
また、測定開始からの測定電位の時間変動も確認した。図9(a)及び図9(b)は、測定開始からの電位の変化を示したグラフである。いずれのグラフも、図3及び図4と同様に、横軸は経過時間(秒)、縦軸は出力電位(μV)である。図9(a)に示すように、実施例生体電極ではアーチファクトは明確には認められず、0.5Hzのローカットフィルター処理を行うことにより、おおむねフラットなベースラインを得ることができた。これに対し、図9(b)に示すように、比較例生体電極の場合には、明確なアーチファクトが認められ、0.5Hzのローカットフィルター処理を行ってもベースラインがフラットにはならなかった。このように、実施例生体電極を用いることによりベースラインを安定化できることが確認された。
以下、カルバミン酸アンモニウム溶液を用いてカチオン性官能基の一種である−NH 基による修飾を行う方法について説明する。この方法(以下の説明では、便宜的に「カルバミン酸法」という。)によれば、生体電極を構成する材料に樹脂など化学的に冒されやすい材料が含まれている場合であっても、そのような材料に与えるダメージを抑えつつ、−NH 基による修飾を行うことができる。カルバミン酸法は、電解酸化工程および還元工程を備え、さらに塩化工程を備えることが好ましい。
まず、少なくとも一部がカーボン材料からなる電極と、該電極に対して電気的に接続された端子部と、を備え、電極のカーボン材料からなる部分の少なくとも一部の表面が生体に接触可能な生体情報測定用電極を用意する。
電解酸化工程では、この生体情報測定用電極の表面をカルバミン酸アンモニウム溶液に接触させる。カルバミン酸アンモニウム溶液の溶媒として水が例示される。次に説明する電解が行われる限り、カルバミン酸アンモニウム溶液におけるカルバミン酸アンモニウムの濃度は任意である。電解をより安定的に行う観点から、カルバミン酸アンモニウムの濃度は0.01Mから1Mの範囲であることが好ましい場合がある。電解をより安定的に行う観点から、カルバミン酸アンモニウム溶液は、塩化ナトリウムなど電解質を含んでいてもよい。カルバミン酸アンモニウム溶液のpHは8から12の範囲で行うことが好ましい場合がある。電解に影響を与えない限り、リン酸塩などの緩衝性物質を含有していてもよい。
生体情報測定用電極の表面がカルバミン酸アンモニウム溶液に接触した状態で、表面を陽極電解する。陽極電解の電位は、カルバミン酸アンモニウムの酸化電位(1V)以上であって溶媒の電気分解電位よりも低く設定することが好ましい。溶媒として水を用いる場合には、1.6V程度よりも低い電圧で陽極電解を行えばよい。陽極電解の電位の限定されない例示として1.0V〜1.4Vが挙げられ、1.1V〜1.3Vとすることが好ましい場合がある。このように陽極電解することにより、カーボン材にアミノ基を付与することができる。
陽極電解を行う際のカルバミン酸アンモニウム溶液の温度は特に限定されない。均一な処理を実現する観点から、10℃〜60℃の範囲であることが好ましい場合がある。陽極電解を行う際の電流密度は特に限定されない。基本的傾向として、陽極電解の時間が長ければ長いほど、カーボン材に付与されるアミノ基の量が増える。カーボン材が有すべきアミノ基の量および生産性を勘案して、陽極電解の時間は設定される。陽極電解の時間の限定されない例示を行えば、10分間〜10時間であり、30分間〜5時間とすることが好ましい場合がある。
還元工程では、上記の電解酸化工程を経て酸化した生体情報測定用電極の表面を、アンモニア、ジチオン酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含む溶液(以下の説明では「還元溶液」ともいう。)に接触させて陽極酸化時に酸化された部分を還元する。この還元により、炭素繊維がアミノ化と同時に酸化された部分が還元され生体情報測定用電極の表面に位置するカーボン材に付与されたアミノ基が更に有効に機能する。
還元溶液は、例えば、28%アンモニア水に1質量%のジチオン酸ナトリウムおよび0.5質量%の炭酸ナトリウムを加えることにより得られる。生体情報測定用電極の表面の還元溶液への接触方法は任意である。生体情報測定用電極を還元溶液に浸漬させてもよいし、生体情報測定用電極に還元溶液を噴霧してもよい。生体情報測定用電極の表面の還元溶液への接触時間は還元溶液の温度など他の条件との関係で適宜設定される。限定されない例示をすれば、還元溶液が室温(25℃)の場合には接触時間は12時間程度となる。
塩化工程では、上記の還元工程を経て還元した生体情報測定用電極の表面を、塩化物イオンを含む酸性液体に接触させる。この酸性液体として10%程度の塩酸が例示される。その結果、カチオン性官能基(−NH 基)が、生体情報測定用電極の表面に位置するカーボン材に付与される。
以上のプロセスを概念的に示すと、図10のように表すことができる。電解酸化によるアミノ化は、不安定で容易にアンモニアと二酸化炭素に分解しやすいカルバミン酸アンモニウムの分解を利用したものである。正極でカルバミン酸アンモニウムを酸化分解(陽極電解)して、炭素繊維の断面にカルバミン酸を直接共有結合させた後、脱炭酸させることにより、結果的にアミノ基が炭素繊維に共有結合する。
以下、実施例を用いてカルバミン法を用いて生体情報測定用電極(生体電極1)を製造する方法について詳細に説明する。
(1)炭素繊維電極の種類と比較電極
(1−1)炭素繊維収束電極
日本グラファイトファイバー社製プレプリグを切りアセトンに軽く溶解させディスペンサーのチップの円形を通して円柱状に成形した。この成形体を吊るしたまま、130℃で2時間加熱硬化した。これを適当な長さにニッパで切断後ゴムの筐体に13本取り付けて図11(a)のような形状の電極を作製した。
(1−2)サイズが4mm×5mm×10mmのCCコンポジットブロック(東洋炭素株式会社社製、図11(b))を用意した。
(1−3)比較電極としてミユキ技研社製「パルテノン」(真鍮に金めっきを施した立体形状の電極、図11(c))およびミユキ技研社製金皿電極(図11(d))を用意した。
(1−4)脳波計電極用導体ペーストとして、Weaver and company社製ten20を用意した。
(2)カルバミン法
(2−1)電解酸化工程
図12(a)は電解処理を行う装置(電解装置)の写真である。図12(b)は電解処理を行う装置(電解装置)の構成を概念的に示す図である。図12(a)、図12(b)に示されるように、電解装置100においてスターラーチップ102が入った容器100Aに、0.1Mのカルバミン酸アンモニウム水溶液103を入れ、このカルバミン酸アンモニウム水溶液103に炭素繊維収束電極からなる試料SP、参照電極S1、及び補助電極S2を浸す。そして、参照電極S1と試料SP間が1.2Vとなるように調整しながら、補助電極S2から電圧を2時間印加した。なお、参照電極S1としてカロメル電極(Hg/HgCl)を用い、補助電極S2としてPt電極を用いた。
(2−2)還元工程
アンモニア水(28%)に還元剤としての1質量%のジチオン酸ナトリウム及び0.5質量%の炭酸ナトリウムを加えた還元溶液を調整した。電解酸化工程を経て水洗した試料SPを、室温(25℃)の還元溶液に12時間浸漬させた。
(2−3)塩化工程
電解工程を経て水洗した試料SPを、10%程度の塩酸(室温(25℃))に5時間浸漬した。浸漬後の試料SPを水洗し、乾燥することにより、生体情報測定用電極(生体電極1)を得た。
(3)測定及び評価
(3−1)陽極電解時間とN濃度
0.1Mのカルバミン酸アンモニウム水溶液を用いて、1.2Vで電解酸化する電解酸化工程を図11(b)に示されるCCコンポジットに対して行った。電解酸化工程後、電極先端の断面をESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)で測定した。その結果を図13に示した。図13に示されるように、処理時間が0.5時間の場合に3.5at%程度のN(NHに由来する。)が検出された。処理時間を増やすと時間に応じてNの存在量は徐々に増加し、処理時間が2時間の場合には、Nの存在量は4.3at%程度となった。
(3−2)インピーダンス測定
印加時間を2時間とする電解酸化工程を行う前の炭素繊維収束電極からなる試料SP(未処理、図14中実線)、上記電解酸化工程を行った後の試料SP(電解後、図14中点線)、及び電解酸化工程に続いて還元工程を行った後(還元後、図14中破線)の試料SPについて、それぞれ、0.1Mの食塩水とのインピーダンスを測定した。その結果を図14に示す。図14に示されるように、電解酸化工程を行うことにより、未処理の場合に比べてインピーダンスは約半分になり、更に還元工程を行うと電解酸化工程のみの場合に比べて1割程度インピーダンスが低下することが確認された。
(3−3)脳波測定
脳波測定は、ミユキ技研社製のアクティブ電極(ポリメイトミニAP108)からなる脳波測定システムを用いて、額を測定箇所として行った。前述の立体形状の比較電極と、上記のとおり電解酸化工程及び還元工程を実施することにより得られた炭素繊維収束電極とを、額に左右対称に取り付け、上記の脳波測定システムにより測定した。なお、ten20を塗布した金皿電極をリファレンスとして耳たぶに付着させた。額とのインピーダンスは比較電極が102kΩ、炭素繊維収束電極が64kΩであった。
HFF(60Hz以上カット)、TC(時定数0.3s、0.5Hz以下をカット)およびNotch(50Hz)の各フィルターで処理した結果(TCフィルタ有、細線)と、測定結果に対してTCフィルター処理を行わず(HFFおよびNotchのフィルター処理のみ行い)、リファレンスに対する電位差をそのまま表示した結果(TCフィルタ無、太線)とを、図15(比較電極)および図16(炭素繊維収束電極)に示す。
図15に示される比較電極の電位推移よりも、図16に示される炭素繊維収束電極の電位推移の方が安定していることが確認された。特に、TCフィルター無の場合(図15及び図16において太線)においては、比較電極(図15)の電位はリファレンスに対して大きく変動しているが、炭素繊維収束電極(図16)の電位は経時的にリファレンスの電位に対して集束する傾向を有する。それゆえ、炭素繊維収束電極を用いた場合には、TCフィルター処理を更に行うことにより、安定した電位測定が可能となることが確認された。
以上のように、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用電極(生体電極1)では、電極E2のカーボン材料からなる部分である生体接触端部12が生体と接触可能な表面を有し、その表面の一部がカチオン性官能基によって修飾されているので、生体側の塩化物イオンの電荷が電極E側の炭素のπ電子雲に入り易くなり、生体と電極E2との間の分極が低減される。このため、時間経過による電荷溜まりも低減され、生体と電極E2との間で電荷の授受をスムーズに行うことができる。このことにより、電解液或いは導電ゲルを用いなくても、安定して測定することができる。
1…生体電極
E2…電極
10…ピン
12…端部(生体接触端部)
20…基部
30…端子部
200…従来技術に係る生体電極(金電極)
201…ピン
202…球状体
203…基部
204…端子
101…炭素繊維
BB…生体

Claims (6)

  1. 少なくとも一部がカーボン材料からなる電極と、
    該電極に対して電気的に接続された端子部と、を備え、
    前記電極の前記カーボン材料からなる部分の少なくとも一部の表面は、カチオン性官能基によって修飾され
    前記カチオン性官能基の少なくとも一部はアニオンと塩を形成した状態にあり、該表面は生体に接触することを特徴とする生体情報測定用電極。
  2. 前記カチオン性官能基はカチオン性アミノ基を含むことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定用電極。
  3. 前記アニオンは塩化物イオンを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体情報測定用電極。
  4. 少なくとも一部がカーボン材料からなる電極と、該電極に対して電気的に接続された端子部と、を備え、前記電極の前記カーボン材料からなる部分の少なくとも一部の表面が生体に接触可能な生体情報測定用電極の製造方法であって、
    該表面がカルバミン酸アンモニウム溶液に接触した状態で、前記表面を陽極電解する電解酸化工程と、
    前記電解酸化工程を経て酸化した前記表面を、アンモニア、ジチオン酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含む溶液に接触させて還元する還元工程と、
    を有することを特徴とする生体情報測定用電極の製造方法。
  5. 前記還元工程を経て還元した前記表面を、塩化物イオンを含む酸性液体に接触させる塩化工程を更に有する、請求項4に記載の生体情報測定用電極の製造方法。
  6. 少なくとも一部がカーボン材料からなる電極と、該電極に対して電気的に接続された端子部と、を備え、前記電極の前記カーボン材料からなる部分の少なくとも一部の表面が生体に接触可能な生体情報測定用電極の製造方法であって、
    該表面がカルバミン酸アンモニウム溶液に接触した状態で、前記表面を陽極電解する電解酸化工程と、
    前記電解酸化工程を経て酸化した前記表面を、塩化物イオンを含む酸性液体に接触させる塩化工程を有することを特徴とする生体情報測定用電極の製造方法。
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