以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す第1実施形態のECU1は、車両に搭載される電子制御装置であり、選択支援装置として機能する。ECUは、「Electronic Control Unit」の略である。
ECU1は、当該ECU1の機能を司る演算部2と、記憶部3と、を備える。
演算部2は、CPU4と、ROM5と、RAM6と、時間を計測する機能を有した時間計測部7と、備える。
演算部2の各機能は、主にCPU4が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM5が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。尚、演算部2と同様の1つ以上の演算部が更に備えられても良い。また、演算部2の各機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されても良い。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されても良い。
記憶部3は、例えば半導体メモリ又はハードディスク等によって構成される記憶装置であって良い。記憶部3は、演算部2によってアクセス可能である。
記憶部3に記憶されるデータとしては、移動データ、地図データ、自動車データ及び運転者データがある。
移動データには、トリップ毎の経路情報、自動車情報及び操縦情報と、重回帰分析結果とが、含まれる。トリップとは、車両の1回の走行機会であり、本実施形態では、車両のイグニッションスイッチ(以下、IGSW)20がオンされてからオフされるまでの1回の期間である。IGSW20は、車両の動力源の電源をオン/オフさせるスイッチである。地図データには、通行料金情報も含まれる。自動車データには、車両に搭載された機能の情報と、選択された機能の情報とが、含まれる。運転者データには、運転者の技能に関する情報が含まれる。
ECU1には、表示装置11と、車両の外部と無線通信を行う無線ECU12と、車両のトラクションを制御するトラクションECU13と、車両の動力源としてのエンジンを制御するエンジンECU14と、が接続される。更に、ECU1には、ブレーキを制御するABSECU15と、電動パワーステアリングを制御するEPSECU16と、アクセルセンサ17と、ブレーキセンサ18と、ステアリングセンサ19と、IGSW20と、が接続される。
表示装置11は、液晶パネル又は有機ELパネル等の表示パネルと、タッチパネルとを組み合わせた、タッチ式入力機能付きの表示装置である。表示装置11に表示される画像は演算部2によって制御される。また、表示装置11に対する入力操作に基づく入力情報は演算部2に入力される。尚、表示装置11と入力装置は、別々の装置でも良い。
無線ECU12は、車両に搭載されたアンテナ21を介して、車両外部に存在する無線通信設備との間で無線通信を行ったり、複数のGPS衛星からのGPSデータを受信したりする。
無線ECU12が上記無線通信設備から受信するデータとしては、少なくとも、燃料単価のデータと、新ソフトが存在することを通知するデータ(以下、アップデート通知)と、新ソフトと、後述の変換係数と、がある。ソフトとは、ソフトウェア(即ち、プログラム)の略である。また、ここで言う新ソフトとは、例えば、エンジンECU14で実行されるエンジン制御用のソフト(以下、エンジン制御ソフト)を改良した、新エンジン制御ソフトである。また例えば、新エンジン制御ソフトは、主に燃費性能の改善を図ったエンジン制御ソフトである。
無線ECU12によって受信されたデータは演算部2に入力される。また、新エンジン制御ソフトは、エンジンECU14においてエンジン制御ソフトの書き換えが実施される場合に、無線ECU12から例えば演算部2を介してエンジンECU14に提供される。
演算部2は、アップデート通知が入力されると、エンジン制御ソフトを更新するか否かをユーザーに問い合わせる画像を、表示装置11に表示させる。ここで言うユーザーとは、車両のユーザーであるが、ECU1のユーザーでもある。そして、ユーザーがエンジン制御ソフトの更新を希望することを示す所定の入力操作(以下、ソフト更新操作)を、表示装置11に対して行うと、演算部2は、エンジン制御ソフトを書き換えるための処理として、下記の処理を行う。
演算部2は、まず、無線ECU12に、新エンジン制御ソフトを受信する要求を出力する。無線ECU12は、演算部2からの上記要求を受け取ると、上記無線通信設備から、新エンジン制御ソフトを受信して、その受信した新エンジン制御ソフトを演算部2に出力する。
そして、演算部2は、エンジンECU14に書き換え指令を出力した後、エンジンECU14に新エンジン制御ソフトを出力する。エンジンECU14は、演算部2からの書き換え指令を受け取ると、当該エンジンECU14に備えられたメモリに記憶されているエンジン制御ソフト(即ち、旧エンジン制御ソフト)を、演算部2から出力される新エンジン制御ソフトに書き換える。
トラクションECU13には、車輪の回転速度を検出するための車輪センサ22が接続されている。そして、トラクションECU13から演算部2には、車両が走行中か停止中かを示す情報と、走行距離情報とが入力される。演算部2は、トラクションECU13からの情報を使用して、車両が走行している時間である走行時間と、車両が停止している時間である停止時間と、車両の走行距離とを、測定することができる。
エンジンECU14には、車両に日の光が当たっている(即ち、日照中)か否かを検出する日照センサ23が接続されている。そして、エンジンECU14から演算部2には、日照中か否かを示す情報と、車両のエンジンが消費する燃料量(以下、使用燃料量)を示す情報とが、入力される。演算部2は、エンジンECU14からの情報を使用して、車両が非日照の道路を走行した距離である非日照距離と、使用燃料量とを、測定することができる。非日照とは、日の光が当たっていないことである。
[1-2.機能の概要]
ECU1では、第1地点から第2地点への移動に関して、第1の移動手段が用いられると仮定した場合である第1仮定時と、第2の移動手段が用いられると仮定した場合である第2仮定時との、それぞれについて、N種類の評価値の予測値(以下、予測評価値)が算出される。そして、第1仮定時の各予測評価値と、第2仮定時の各予測評価値とが、表示装置11に分かりやすく表示される。このため、ユーザーは、第1の移動手段と第2の移動手段とのうち、自分に適した方を選び易くなる。ここで言う移動は、車両による移動である。また、本実施形態においては、車両の機能を制御するために使用されるソフトウェアと、車両が走行する経路との何れかが、上記移動手段として想定される。ソフトウェア又は経路が変わると、他の条件が同じであっても、車両による移動に関する評価値が変わる。車両の機能を制御するために使用されるソフトウェアとしては、エンジン制御ソフトが想定されるが、エンジン制御以外の制御を行うためのソフトウェアでも良い。
評価値の種類数である「N」は、本実施形態では3である。3種類の評価値としては、移動の質を表す第1評価値(以下、Q値)と、移動に要する費用を表す第2評価値(以下、C値)と、移動に要する時間を表す第3評価値(以下、D値)と、がある。本実施形態において、Q値は、移動の質として、危険の度合い(以下、危険度)を表す評価値となっている。これらの各評価値は、値が小さいほど、評価が良いことを意味する。
尚、Q値は、移動の質として、不快の度合い(以下、不快度)を表す評価値であっても良い。Q値が不快度である場合の実施形態については、第2実施形態として説明する。また、評価値の種類数は4以上であっても良い。例えば、危険度と不快度とC値及びD値との、4種類の評価値が採用されても良い。
ECU1では、各評価値を予測するために、重回帰分析が用いられる。このため、目的変数としての各評価値の実績値と、複数の説明変数として定められた複数の所定情報の実績値とが、収集される。以下では、説明変数として定められた所定情報のことを、単に、説明変数という。収集されるとは、検出又は算出されて記憶されることである。そして、各評価値について、その評価値の実績値と複数の説明変数の実績値とに対して重回帰分析が行われることで、その評価値と複数の説明変数との関係を表す予測式(即ち、重回帰式)が決定される。予測式が決定されることは、予測式において各説明変数に乗算される各係数と、予測式において加算される定数(即ち、切片)とが、決定されることである。予測式における各係数と切片は、偏回帰係数と呼ばれ、重回帰分析結果に該当する。尚、C値の予測に関しては、重回帰分析に用いられる目的変数の実績値として、C値の実績値ではなく、C値を算出するために使用される特定情報としての使用燃料量の実績値が収集される。
[1-3.Q値の算出方法]
Q値は、危険度をポイント(即ち、点数)で表す評価値である。危険度のポイントを、危険ポイントという。Q値の単位は、「ポイント」である。Q値は、計測器で直接測定することができない。このため、ECU1において、Q値は、以下の考え方で算出される。
Q値は、下記式1に示すように、基本危険ポイントから危険回避ポイントを引いた値として算出される。
Q値=基本危険ポイント-危険回避ポイント …式1
基本危険ポイントは、車両が危険な状態で走行した場合の危険ポイントであり、基本となる危険ポイントである。危険回避ポイントは、車両に装備された機能によって危険が解消(即ち、回避)されると想定される分の危険ポイントである。
本実施形態において、危険な状態とは、交差点、信号及び横断歩道のそれぞれを走行する状態と、非日照の道路を走行する状態である。このため、式1における基本危険ポイントは、下記式2によって算出される。
基本危険ポイント=交差点危険ポイント+信号危険ポイント+横断歩道危険ポイント+非日照危険ポイント …式2
交差点危険ポイントは、車両が交差点を通過することによる危険ポイントである。
信号危険ポイントは、車両が信号を通過することによる危険ポイントである。
横断歩道危険ポイントは、車両が横断歩道を通過することによる危険ポイントである。
非日照危険ポイントは、車両が非日照の道路を走行することによる危険ポイントである。
そして、式2における交差点危険ポイント、信号危険ポイント、横断歩道危険ポイント及び非日照危険ポイントのそれぞれは、下記式3~式6によって算出される。
交差点危険ポイント=交差点数×Q1C …式3
信号危険ポイント=信号数×Q2C …式4
横断歩道危険ポイント=横断歩道数×Q3C …式5
非日照危険ポイント=非日照距離×Q4C …式6
交差点数は、交差点の数である。信号数は、信号の数である。横断歩道数は、横断歩道の数である。
式3~式6におけるQ1C~Q4Cは、予め定められた係数である。そして、Q値は、車両が危険な状態で1km走行した場合に、危険ポイントが1となるように算出される。
このため、Q1Cは、交差点の車両走行方向の長さが6mであると仮定して、「0.006=6m/1km」に設定されている。Q2Cも、信号が設置された場所における車両走行方向の道路長さが6mであると仮定して、「0.006=6m/1km」に設定されている。Q3Cは、横断歩道の車両走行方向の長さが4mであると仮定して、「0.004=4m/1km」に設定されている。そして、Q4Cは、非日照距離が1kmで危険ポイントが1となるように、「1.00」に設定されている。尚、Q1C~Q4Cの上記各値は一例であり、他の値であっても良い。
一方、式1における危険回避ポイントは、下記式7によって算出される。
危険回避ポイント=交差点危険ポイント×Q1F+信号危険ポイント×Q2F+横断歩道危険ポイント×Q3F+非日照危険ポイント×Q4F …式7
式7におけるQ1F~Q4Fは、車両の機能のうち、危険を回避可能な機能の種類によって定められる係数である。Q1F~Q4Fの値が大きいほど、危険回避ポイントが大きくなり、Q値(即ち、危険ポイント)が小さくなる。以下では、Q1F~Q4Fを総称して、回避係数という。
例えば、図2に示すように、「機能名」の欄に名称が記載された複数の各制御について、交差点危険ポイント用の回避係数と、信号危険ポイント用の回避係数と、横断歩道危険ポイント用の回避係数と、非日照危険ポイント用の回避係数とが、それぞれ設定されている。尚、交差点、信号、横断歩道、非日照という言葉の何れかを「**」と記載することにすると、**危険ポイント用の回避係数とは、**危険ポイントに乗算される回避係数のことである。
そして、各制御について設定された交差点危険ポイント用の回避係数を合計した値が、式7におけるQ1Fとして用いられる。同様に、各制御について設定された信号危険ポイント用の回避係数を合計した値が、式7におけるQ2Fとして用いられる。Q3FとQ4Fについても同様である。図2の例において、Q1F~Q4Fのそれぞれは、結果的に全て「0.50」となっている。尚、Q1F~Q4Fの各値は一例であり、他の値であっても良い。また、図2の「機能名」の欄において、ガソリンエンジン動力制御の直下に記載されている「#0001」は、ガソリンエンジン動力制御を実現するエンジン制御ソフトのバージョン情報である。また、図2の「機能名」の欄における「合計(Q*F)」は、Q1F~Q4Fを意味している。
ECU1では、トリップ毎のQ値を算出するための移動実績情報として、図3に示すように、トリップ毎のQ1~Q4が収集される。Q1は、実際に通過した交差点の数(即ち、実際の交差点数)である。Q2は、実際に通過した信号の数(即ち、実際の信号数)である。Q3は、実際に通過した横断歩道の数(即ち、実際の横断歩道数)である。Q4は、実際の非日照距離である。
例えば、図3の例において、トリップ番号が「TR1」であるトリップでは、Q1として40が記憶され、Q2として30が記憶され、Q3として120が記憶され、Q4として2が記憶されている。尚、本実施形態において、収集された情報の記憶先は、記憶部3である。
そして、ECU1では、トリップ毎のQ1~Q4が、式1~式7に適用されることで、トリップ毎のQ値が算出される。算出されたトリップ毎のQ値は、図4に示すように、Q値の実績値であるQ実績値として記憶部3に記憶される。Q実績値は、Q値の予測に使用される。
具体的には、まず、トリップ毎のQ1~Q4が式3~式6に代入されることで、トリップ毎の交差点危険ポイント、信号危険ポイント、横断歩道危険ポイント及び非日照危険ポイントがそれぞれ算出される。更に、算出された4つの各危険ポイントが、式2に代入されることで、トリップ毎の基本危険ポイントが算出される。また、算出された各危険ポイントが、式7に代入されることで、トリップ毎の危険回避ポイントが算出される。そして、算出された基本危険ポイントと危険回避ポイントとが、式1に代入されることで、トリップ毎のQ値が算出され、その算出されたQ値が、Q実績値として記憶部3に記憶される。
例えば、図3の例において、トリップ番号が「TR1」であるトリップでは、交差点危険ポイントが「0.24=40×0.006」と算出され、信号危険ポイントが「0.18=30×0.006」と算出される。また、横断歩道危険ポイントが「0.48=120×0.004」と算出され、非日照危険ポイントが「2=2×1.000」と算出される。このため、基本危険ポイントは、式2により「2.9=0.24+0.18+0.48+2」と算出される。また、危険回避ポイントは、式7により「1.45=0.24×0.5+0.18×0.5+0.48×0.5+2×0.5」と算出される。よって、Q値(即ち、Q実績値)は、式1により「1.45=2.9-1.45」と算出される。このため、図4の例において、トリップ番号が「TR1」であるトリップでは、Q実績値として1.45が記憶される。
[1-4.C値の算出方法]
ECU1において、C値は、下記式8によって算出される。C値の単位は、車両が使用される国の通貨単位で良い。例えば、車両が使用される国が日本であれば、C値の単位は「円」で良い。
C値=通行料金+燃料費=通行料金+(燃料単価×使用燃料量) …式8
式8における「通行料金」は、有料道路の通行料金である。
また、C値を予測する場合、通行料金としては、記憶部3内の地図データから車両の走行予定経路について検索された通行料金の値が使用される。また、燃料単価は、予測時点における燃料単価を使用することができる。一方、使用燃料量に関しては、重回帰分析による予測が行われる。
このため、C値の予測に関しては、目的変数の実績値として、図4に示すように、トリップ毎の使用燃料量の実績値が記憶部3に記憶される。
[1-5.D値の算出方法]
ECU1において、D値は、下記式9によって算出される。D値の単位は、時間の単位であり、例えば「分」である。
D値=走行時間+停止時間 …式9
そして、D値を予測するための実績値として、図4に示すように、トリップ毎の走行時間及び停止時間の各実績値が記憶部3に記憶され、更に、トリップ毎の走行時間と停止時間の各実績値を加算した値が、トリップ毎のD値の実績値であるD実績値として記憶部3に記憶される。
[1-6.Q値、C値及びD値の予測について]
ECU1では、Q値、C値及びD値を予測するための複数の説明変数(即ち、上記所定情報)として、5つの情報が用いられる。その5つの情報は、有料道路距離と、一般道路距離と、曲がり角数と、道路沿いにある商店の数である路側コンビニ数と、一時停止数である。ここで言う商店とは、いわゆるコンビニエンスストアである。また、コンビニとは、コンビニエンスストアの略である。尚、上記5つの情報とは異なる情報が、説明変数として用いられても良い。
このため、ECU1では、図5に示すように、有料道路距離、一般道路距離、曲がり角数、路側コンビニ数及び一時停止数のそれぞれについて、トリップ毎の実績値が記憶部3に記憶される。尚、説明変数以外にも、トリップ毎の移動に関する実績情報として、図5に示すように、例えば、各トリップの始点及び終点の情報と、各トリップにおいて車両が移動した直線距離(以下、移動直線距離)とが、記憶部3に記憶される。
そして、ECU1では、収集されたトリップ毎のQ実績値及び上記5つの説明変数の実績値に対して、重回帰分析が行われることにより、5つの説明変数からQ予測値を算出するための下記式10におけるq0~q5が決定される。Q予測値は、Q値の予測値である。q0~q5は、重回帰分析結果に該当する偏回帰係数である。PRは、有料道路距離であり、PUは、一般道路距離であり、PCは、曲がり角数であり、PSは、路側コンビニ数であり、PIは、一時停止数である。
Q予測値=q0 +q1×PR +q2×PU +q3×PC +q4×PS +q5×PI …式10
そして、式10におけるPR、PU、PC、PS、PIのそれぞれに、記憶部3内の地図データから車両の走行予定経路について検索された該当の各値が代入されることにより、Q予測値が算出される。例えば、地図データから走行予定経路における有料道路距離が検索されて、その検索結果が100kmであれば、PRに100が代入される。また例えば、地図データから走行予定経路における一時停止数が検索されて、その検索結果が150個であれば、PIに150が代入される。
また、ECU1では、収集されたトリップ毎の使用燃料量の実績値及び上記5つの説明変数の実績値に対して、重回帰分析が行われることにより、5つの説明変数から予測燃料量を算出するための下記式11におけるc0~c5が決定される。予測燃料量は、使用燃料量の予測値である。c0~c5は、重回帰分析結果に該当する偏回帰係数である。
予測燃料量=c0 +c1×PR +c2×PU +c3×PC +c4×PS +c5×PI …式11
そして、Q予測値が算出される場合と同様に、式11におけるPR、PU、PC、PS、PIのそれぞれに、記憶部3内の地図データから車両の走行予定経路について検索された該当の各値が代入されることにより、予測燃料量が算出される。
そして更に、式8と同様の下記式12により、C値の予測値であるC予測値が算出される。
C予測値=通行料金+(燃料単価×予測燃料量) …式12
前述したように、C予測値を算出するための通行料金としては、記憶部3内の地図データから車両の走行予定経路について検索された通行料金の値が使用される。また、C予測値を算出するための燃料単価は、予測時点における燃料単価が使用される。
また、ECU1では、収集されたトリップ毎のD実績値及び上記5つの説明変数の実績値に対して、重回帰分析が行われることにより、5つの説明変数からD予測値を算出するための下記式13におけるd0~d5が決定される。D予測値は、D値の予測値である。d0~d5は、重回帰分析結果に該当する偏回帰係数である。
D予測値=d0 +d1×PR +d2×PU +d3×PC +d4×PS +d5×PI …式13
そして、Q予測値が算出される場合と同様に、式13におけるPR、PU、PC、PS、PIのそれぞれに、記憶部3内の地図データから車両の走行予定経路について検索された該当の各値が代入されることにより、D予測値が算出される。
[1-7.変換係数について]
ECU1において、移動に関して旧エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合、即ち、エンジン制御ソフトの書き換えが実施されないと仮定した場合の、Q値、C値及びD値の予測については、上記式10~式13が用いられる。
一方、移動に関して新エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合、即ち、エンジン制御ソフトの書き換えが実施されると仮定した場合の、Q値、C値及びD値の予測については、上記式10、式11及び式13における各偏回帰係数の妥当性が低下する。各偏回帰係数は、書き換え前の旧エンジン制御ソフトが実行されていた場合における前述の各実績値から決定されるからである。
このため、ECU1において、移動に関して新エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合の、Q値、C値及びD値の予測については、式10、式11及び式13のそれぞれに代えて、下記の式14、式15及び式16が用いられる。
Q予測値=(qZ×q0) +(qR×q1)×PR +(qU×q2)×PU +(qC×q3)×PC +(qS×q4)×PS +(qI×q5)×PI …式14
予測燃料量=(cZ×c0) +(cR×c1)×PR +(cU×c2)×PU +(cC×c3)×PC +(cS×c4)×PS +(cI×c5)×PI …式15
D予測値=(dZ×d0) +(dR×d1)×PR +(dU×d2)×PU +(dC×d3)×PC +(dS×d4)×PS +(dI×d5)×PI …式16
式14は、式10における各偏回帰係数(即ち、q0~q5)に、変換係数であるqZ、qR、qU、qC、qS、qIのそれぞれが乗算された式である。
このため、式14では、(qZ×q0)、(qR×q1)、(qU×q2)、(qC×q3)、(qS×q4)、(qI×q5)のそれぞれが、移動に関して新エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合の、Q値を予測するための偏回帰係数となっている。例えば、「qZ=0.5、qR=0.9、qU=0.9、qC=0.9、qS=1.2、qI=1.2」である。
式15は、式11における各偏回帰係数(即ち、c0~c5)に、変換係数であるcZ、cR、cU、cC、cS、cIのそれぞれが乗算された式である。
このため、式15では、(cZ×c0)、(cR×c1)、(cU×c2)、(cC×c3)、(cS×c4)、(cI×c5)のそれぞれが、移動に関して新エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合の、使用燃料量を予測するための偏回帰係数となっている。例えば、「cZ=2.0、cR=0.8、cU=0.8、cC=0.8、cS=1.6、cI=0.8」である。
式16は、式13における各偏回帰係数(即ち、d0~d5)に、変換係数であるdZ、dR、dU、dC、dS、dIのそれぞれが乗算された式である。
このため、式16では、(dZ×d0)、(dR×d1)、(dU×d2)、(dC×d3)、(dS×d4)、(dI×d5)のそれぞれが、移動に関して新エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合の、D値を予測するための偏回帰係数となっている。例えば、「dZ=1.0、dR=1.2、dU=1.2、dC=1.1、dS=1.0、dI=0.8」である。
上記各変換係数は、旧エンジン制御ソフトの使用によって決定された各偏回帰係数を、新エンジン制御ソフトが使用された場合に適合した各偏回帰係数へと変換するための係数であり、例えば車両メーカーから提供される。具体的には、車両メーカーで決定された各変換係数が、車両外部の無線通信設備から、例えば前述のアップデート通知と共に、或いはアップデート通知に続いて、無線ECU12を経由しECU1に入力される。
車両メーカーでは、旧エンジン制御ソフトが使用される車両(以下、旧ソフト車両)と、新エンジン制御ソフトが使用される車両(以下、新ソフト車両)とのそれぞれを、同一の運転者が、同一の所定経路で走行させる。
更に、旧ソフト車両を走行させた場合と、新ソフト車両を走行させた場合との、それぞれについて、各偏回帰係数であるq0~q5、c0~c5、d0~d5が、ECU1における各偏回帰係数の決定方法と同じ方法で決定される。
そして、例えば、旧ソフト車両を走行させた場合のq0を、q0oとし、新ソフト車両を走行させた場合のq0を、q0nとすると、q0に対する変換係数qZは、「q0n/q0o」として算出される。このことは、q0以外に対する他の変換係数についても同様である。つまり、各変換係数は、各偏回帰係数について、「新エンジン制御ソフトが使用された場合の偏回帰係数/旧エンジン制御ソフトが使用された場合の偏回帰係数」として算出される。
尚、変換係数を決定するために車両メーカーで使用される旧ソフト車両と新ソフト車両は、同じ車両で良いが、同一車種であれば異なる車両であっても良い。
[1-8.処理]
[1-8-1.メイン処理]
ECU1に動作用電源が投入されると、演算部2が起動して図6のメイン処理を行う。尚、ECU1へは、例えば、車両のアクセサリ電源(即ち、ACC電源)が動作用電源として投入される。
図6に示すように、演算部2は、メイン処理を開始すると、S110にて、今回の起動が、当該車両が車両メーカーから出荷された後の初回の起動であるか否かを判定する。
演算部2は、S110にて初回の起動であると判定した場合には、S120にて、前述した収集対象の各実績値を、初期値に設定する処理を行い、その後、S130に進む。初期値は、例えば0で良いが、0以外の値であっても良い。
また、演算部2は、S110にて初回の起動ではないと判定した場合には、S120をスキップして、S130に進む。
演算部2は、S130では、ユーザーによりIGSW20がオフからオンされたか否かを判定し、IGSW20がオンされるまで待つ。そして、演算部2は、S130にて、IGSW20がオンされたと判定すると、S140に進む。
演算部2は、S140では、後述する画面表示処理を行い、次のS150にて、後述する計測処理を行う。画面表示処理は、表示装置11に画像を表示するための処理である。計測処理は、説明変数等の実績値を計測するための処理である。
そして、演算部2は、S160にて、ユーザーによりIGSW20がオンからオフされたか否かを判定し、IGSW20がオフされていないと判定した場合には、S140及びS150の各処理を繰り返す。
また、演算部2は、S160にて、IGSW20がオフされたと判定した場合には、S170に進み、後述する分析処理を行った後、当該メイン処理を終了する。分析処理は、式10、式11及び式13における各偏回帰係数、即ち、q0~q5、c0~c5、d0~d5を、決定する処理である。
[1-8-2.計測処理]
演算部2は、図6のS150で計測処理を開始すると、図7に示すように、S210にて、今回のトリップにおける車両の移動直線距離を計測する。移動直線距離は、例えばGPSデータに基づいて計測されて良い。S210で計測される移動直線距離は、図5に示すように、トリップ毎の移動直線距離の実績値として、記憶部3に記憶される。
演算部2は、次のS211にて、今回のトリップにおいて車両が走行した有料道路の距離(即ち、有料道路距離)を計測する。
演算部2は、次のS212にて、今回のトリップにおいて車両が走行した一般道路の距離(即ち、一般道路距離)を計測する。
演算部2は、次のS213にて、今回のトリップにおいて車両が走行した曲がり角の数(即ち、曲がり角数)を計測する。
演算部2は、次のS214にて、今回のトリップにおいて車両が走行した道路沿いにあるコンビニエンスストアの数(即ち、路側コンビニ数)を計測する。
演算部2は、次のS214にて、今回のトリップにおいて車両が走行した一時停止箇所の数(即ち、一時停止数)を計測する。
S211~S215において、有料道路距離、一般道路距離、曲がり角数、路側コンビニ数及び一時停止数のそれぞれは、地図データに基づいて計測されて良いが、車載カメラで撮影された車両周囲の画像に基づいて計測されても良い。
S211~S215で計測される有料道路距離、一般道路距離、曲がり角数、路側コンビニ数及び一時停止数のそれぞれは、図5に示すように、トリップ毎の5つの説明変数の実績値として、記憶部3に記憶される。
演算部2は、次のS216にて、今回のトリップにおいて車両が通過した交差点の数(即ち、交差点数)を計測する。
演算部2は、次のS217にて、今回のトリップにおいて車両が通過した信号の数(即ち、信号数)を計測する。
演算部2は、次のS218にて、今回のトリップにおいて車両が通過した横断歩道の数(即ち、横断歩道数)を計測する。
演算部2は、次のS219にて、今回のトリップにおいて車両が非日照の道路を走行した距離(即ち、非日照距離)を計測する。
S216~S218において、交差点数、信号数及び横断歩道数のそれぞれは、地図データに基づいて計測されて良いが、車載カメラで撮影された車両周囲の画像に基づいて計測されても良い。また、S219において、非日照距離は、エンジンECU14からの日照中か否かの情報と、トラクションECU13からの走行距離情報とに基づいて、計測されて良い。
S216~S219で計測される交差点数、信号数、横断歩道数及び非日照距離のそれぞれは、図3に示すように、トリップ毎のQ実績値を算出するために使用されるトリップ毎の実績情報(即ち、Q1~Q4)として、記憶部3に記憶される。
演算部2は、次のS220にて、今回のトリップにおける使用燃料量を計測する。S220において、使用燃料量は、エンジンECU14からの使用燃料量の情報に基づいて計測されて良い。
S220で計測される使用燃料量は、図4に示すように、トリップ毎の使用燃料量の実績値として、記憶部3に記憶される。
演算部2は、次のS221にて、今回のトリップにおける走行時間を計測する。そして、演算部2は、次のS222にて、今回のトリップにおける停止時間を計測し、その後、当該計測処理を終了する。走行時間と停止時間は、トラクションECU13からの情報に基づいて計測されて良い。
S221,S222で計測される走行時間及び停止時間のそれぞれは、図4に示すように、トリップ毎のD実績値を算出するために使用されるトリップ毎の走行時間及び停止時間の各実績値として、記憶部3に記憶される。
[1-8-3.分析処理]
演算部2は、図6のS170で分析処理を開始すると、図8に示すように、S310にて、今回のトリップにおけるQ実績値を算出する。
具体的には、S310では、今回のトリップにおいて図7のS216~S219により計測された交差点数、信号数、横断歩道数及び非日照距離が、式3~式6に代入されることで、4つの各危険ポイントが算出される。そして、算出された各危険ポイントが式2と式7に代入されることで、基本危険ポイントと危険回避ポイントが算出される。更に、算出された基本危険ポイントと危険回避ポイントが、式1に代入されることで、今回のトリップにおけるQ値(即ち、Q実績値)が算出される。そして、このS310で算出されるQ実績値は、図4に示すように、トリップ毎のQ実績値として、記憶部3に記憶される。
演算部2は、次のS320にて、記憶部3に記憶されている過去から現在までのトリップ毎のQ実績値及び5つの説明変数の実績値に対して重回帰分析を行うことにより、式10におけるq0~q5を決定する。そして、演算部2は、決定したq0~q5を、記憶部3に重回帰分析結果として記憶する。
演算部2は、次のS330にて、記憶部3に記憶されている過去から現在までのトリップ毎の使用燃料量の実績値及び5つの説明変数の実績値に対して重回帰分析を行うことにより、式11におけるc0~c5を決定する。そして、演算部2は、決定したc0~c5を、記憶部3に重回帰分析結果として記憶する。
演算部2は、次のS340にて、今回のトリップにおけるD実績値を算出する。
具体的には、S340では、今回のトリップにおいて図7のS221,S222により計測された走行時間と停止時間とが加算されることで、今回のトリップにおけるD値(即ち、D実績値)が算出される。そして、このS340で算出されるD実績値は、図4に示すように、トリップ毎のD実績値として、記憶部3に記憶される。
演算部2は、次のS350にて、記憶部3に記憶されている過去から現在までのトリップ毎のD実績値及び5つの説明変数の実績値に対して重回帰分析を行うことにより、式13におけるd0~d5を決定する。そして、演算部2は、決定したd0~d5を、記憶部3に重回帰分析結果として記憶し、その後、当該分析処理を終了する。
上記S320,S330及びS350で記憶部3に記憶された重回帰分析結果は、後述する画面表示処理において、Q値、C値及びD値の予測値を算出するのに使用される。
[1-8-4.画面表示処理]
演算部2は、図6のS140で画面表示処理を開始すると、図9に示すように、S410にて、ユーザーが第1種比較を行うことを希望しているか否かを判定する。ここで言う比較とは、評価値の比較である。
第1種比較とは、エンジンECU14で実行されるエンジン制御ソフトとして、現在のエンジン制御ソフト(即ち、旧エンジン制御ソフト)と、新エンジン制御ソフトとの、何れを選択するかを判断するための比較である。換言すると、第1種比較とは、エンジン制御ソフトの書き換え(即ち、更新)を実施するか否かを判断するための比較である。エンジン制御ソフトが移動手段として想定される場合、旧エンジン制御ソフトは、第1の移動手段及び第1のソフトウェアに相当し、新エンジン制御ソフトは、第2の移動手段及び第2のソフトウェアに相当する。
例えば、演算部2は、無線ECU12から前述のアップデート通知が入力されると、前述したように、エンジン制御ソフトを更新するか否かをユーザーに問い合わせる画像を、表示装置11に表示させる。この際に、ユーザーが第1種比較を希望することを示す所定の入力操作を、表示装置11に対して行ったならば、演算部2は、S410にて、ユーザーが第1種比較を行うことを希望していると判定する。
演算部2は、S410にて、「YES」と判定した場合、即ち、ユーザーが第1種比較を行うことを希望していると判定した場合には、S415に進み、前述の各変換係数を無線ECU12から取得する。S415で取得された各変換係数は、式14~式16に使用される。そして、演算部2は、S420に進み、後述する第1の表示処理を行った後、当該画面表示処理を終了する。尚、S410で「YES」と判定されると、その後、ユーザーが表示装置11に対して、第1の表示処理の終了を指示する所定の入力操作を行うまで、S410では「YES」と判定される。
また、演算部2は、S410にて、ユーザーが第1種比較を行うことを希望していないと判定した場合には、S430に進み、ユーザーが第2種比較を行うことを希望しているか否かを判定する。
第2種比較とは、第1地点から第2時点までの2つの候補経路のうち、何れを選択するかを判断するための比較である。本実施形態において、第1地点は現在地であるが、現在地以外の地点でも良い。ここで言う現在地とは、S430での判定が行われた時点の車両位置である。また、第2地点はユーザーにより設定された目的地である。
例えば、ユーザーが表示装置11に対して、目的地を設定する入力操作を行い、更に、目的地までの経路の選択を希望することを示す所定の入力操作を行った場合に、演算部2は、S430にて、ユーザーが第2種比較を行うことを希望していると判定する。
また、上記2つの候補経路のうち、一方の候補経路(以下、第1経路)は、車両の過去の走行経路履歴に基づきユーザーが通常使用すると演算部2にて予想される経路であり、他方の候補経路(以下、第2経路)は、第1経路とは異なる経路である。例えば、第1経路は、有料道路を使用せずに第2時点へ到達する経路であり、第2経路は、有料道路を使用して第2地点へ到達する経路である。第1地点から第2地点へ至る経路が移動手段として想定される場合、第1経路は第1の移動手段に相当し、第2経路は第2の移動手段に相当する。
演算部2は、S430にて、「YES」と判定した場合、即ち、ユーザーが第2種比較を行うことを希望していると判定した場合には、S440に進み、後述する第2の表示処理を行った後、当該画面表示処理を終了する。尚、S430で「YES」と判定されると、その後、ユーザーが表示装置11に対して、第2の表示処理の終了を指示する所定の入力操作を行うまで、S430では「YES」と判定される。
また、演算部2は、S430にて、ユーザーが第2種比較を行うことを希望していないと判定した場合には、S450に進み、表示装置11に走行画面を表示する処理を行い、その後、当該画面表示処理を終了する。走行画面は、車両の現在位置が識別可能に表された地図の画面である。
[1-8-5.第1の表示処理]
演算部2は、図9のS420で第1の表示処理を開始すると、図10に示すように、S500にて、ユーザーによる変更候補の選択前か否かを判定する。第1の表示処理において、変更候補とは、新エンジン制御ソフトのことである。S500では、ユーザーにより前述のソフト更新操作が行われたか否かが判定され、ソフト更新操作が未だ行われていなければ、変更候補の選択前であると判定される。そして、演算部2は、S500にて、変更候補の選択前と判定した場合には、S510に進む。
演算部2は、S510では、図12に示すように、表示装置11に、Q値を示すグラフ軸31と、C値を示すグラフ軸32と、D値を示すグラフ軸33とを、三次元的に表示させる。グラフ軸31~33は、1つの原点30から3つの方向に伸びるグラフ軸である。原点30は、Q値、C値及びD値のそれぞれが0であることを示す位置である。グラフ軸31~33においては、原点30から離れた位置ほど、Q値、C値及びD値のそれぞれが大きいことを示す。そして、グラフ軸31~33は、三次元の直交座標系において互いに直行するグラフ軸である。このため、表示装置11の二次元の画面においては、グラフ軸31,33同士の角度は90度であるが、グラフ軸31,32同士の角度と、グラフ軸32,33同士の角度は、ともに135度である。尚、グラフ軸31~33の相互の角度は、例えば全て120度等、他の値であっても良い。
演算部2は、次のS520にて、Qe1、Ce1及びDe1を算出する。
Qe1は、第1地点から第2地点への移動に関して、第2の移動手段としての新エンジン制御ソフトが選択されず、第1の移動手段としての旧エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合(以下、旧ソフト仮定時)の、トータルのQ値を予測した値である。Ce1及びDe1のそれぞれも、第1地点から第2地点への移動に関して、旧ソフト仮定時の、トータルのC値及びD値を予測した値である。旧ソフト仮定時は、エンジン制御ソフトが移動手段である場合の、第1仮定時に相当する。そして、Qe1、Ce1及びDe1は、第1仮定時についての3種類の予測評価値に相当する。
演算部2は、S520では、第1時点から第2地点までの走行予定経路について、通行料金と、5つの説明変数、即ち、有料道路距離、一般道路距離、曲がり角数、路側コンビニ数及び一時停止数との、それぞれのトータル値を、記憶部3内の地図データから検索する。そして、演算部2は、検索した5つの説明変数を、式10及び式13のそれぞれに代入することにより、Qe1とDe1を算出する。また、演算部2は、検索した5つの説明変数を、式11に代入することにより、旧ソフト仮定時の予測燃料量を算出する。そして、演算部2は、算出した旧ソフト仮定時の予測燃料量と、地図データから検索した通行料金と、現時点(即ち、予測時点)における燃料単価とを、式12に代入することにより、Ce1を算出する。
演算部2は、次のS530にて、Qs1、Cs1及びDs1を算出する。
Qs1は、第1地点から第2地点への移動に関して、新エンジン制御ソフトが用いられると仮定した場合(以下、新ソフト仮定時)の、トータルのQ値を予測した値である。Cs1及びDs1のそれぞれも、第1地点から第2地点への移動に関して、新ソフト仮定時の、トータルのC値及びD値を予測した値である。新ソフト仮定時は、エンジン制御ソフトが移動手段である場合の、第2仮定時に相当する。そして、Qs1、Cs1及びDs1は、第2仮定時についての3種類の予測評価値に相当する。
演算部2は、S530では、S520で検索した5つの説明変数を、式14及び式16のそれぞれに代入することにより、Qs1とDs1を算出する。また、演算部2は、S520で検索した5つの説明変数を、式15に代入することにより、新ソフト仮定時の予測燃料量を算出する。そして、演算部2は、算出した新ソフト仮定時の予測燃料量と、S520で検索した通行料金と、現時点(即ち、予測時点)における燃料単価とを、式12に代入することにより、Cs1を算出する。
演算部2は、次のS540にて、図12に示すように、S510で表示された各グラフ軸31~33において、S520で算出されたQe1、Ce1及びDe1のそれぞれに該当する各位置を結んだ直線からなる第1の三角形41を、表示装置11に表示させる。演算部2は、次のS550にて、図12に示すように、S510で表示された各グラフ軸31~33において、S530で算出されたQs1、Cs1及びDs1のそれぞれに該当する各位置を結んだ直線からなる第2の三角形42を、表示装置11に表示させる。
三角形41,42のそれぞれは、それらが識別可能となるように表示される。図12の例では、第1の三角形41が実線で表示され、第2の三角形42が点線で表示されているが、例えば、2つの三角形41,42が異なる色の実線又は点線で表示されても良い。
演算部2は、次のS560にて、ユーザーが変更候補としての新エンジン制御ソフトを選択したか否かを判定する。具体的には、S560では、ユーザーにより前述のソフト更新操作が行われたか否かが判定され、ソフト更新操作が行われたならば、ユーザーが変更候補を選択した、と判定される。
そして、演算部2は、S560にて、ユーザーが変更候補を選択していないと判定した場合には、当該第1の表示処理を終了するが、ユーザーが変更候補を選択したと判定した場合には、S570に進む。
演算部2は、S570では、収集済みの各データ、即ち、旧エンジン制御ソフトの使用期間中に収集された前述の各実績値を、記憶部3における所定の退避領域に退避させる。そして、演算部2は、次のS580にて、旧エンジン制御ソフトを新エンジン制御ソフトに書き換えるための前述の処理を行う。演算部2は、次のS590にて、データ収集に関する初期化を行う。具体的には、エンジン制御ソフトが書き換えられてからの各トリップについて、新たな各実績値が収集されていくように内部設定を行う。尚、S570の処理は、エンジンECU14で実行されるエンジン制御ソフトが、1つ前のバージョンである旧エンジン制御ソフトに戻された場合に、その旧エンジン制御ソフトの過去の使用期間中に収集された各実績値を復活可能にするために実施される。
演算部2は、次のS600にて、ソフト選択フラグをオンし、その後、当該第1の表示処理を終了する。ソフト選択フラグは、変更候補としての新エンジン制御ソフトが選択されたかを示す履歴のフラグである。
また、演算部2は、上記S500にて、ユーザーによる変更候補の選択前ではないと判定した場合には、S610に進み、変更候補が選択済みであるか否かを判定する。具体的には、演算部2は、S600でオンされるソフト選択フラグを参照し、そのソフト選択フラグがオンであれば、変更候補が選択済みであると判定する。
演算部2は、上記S610にて、変更候補が選択済みではないと判定した場合には、当該第1の表示処理を終了する。また、演算部2は、上記S610にて、変更候補が選択済みであると判定した場合、即ち、エンジンECU14で実行されるエンジン制御ソフトが新エンジン制御ソフトに書き換えられた場合には、S620に進む。そして、演算部2は、S620にて、図11の第1グラフ表示処理を行った後、当該第1の表示処理を終了する。
[1-8-6.第1グラフ表示処理]
図10のS620で実行される第1グラフ表示処理は、図13に示すように、表示装置11に、各評価値についての3つの二次元グラフを表示するための処理である。第1グラフ表示処理で表示される3つの二次元グラフとしては、Q値グラフGQ1と、C値グラフGC1と、D値グラフGD1とがある。
Q値グラフGQ1は、Q値を示す縦軸51と、第1地点から少なくとも第2地点までの移動量を示す横軸52と、を有する。C値グラフGC1は、C値を示す縦軸53と、第1地点から少なくとも第2地点までの移動量を示す横軸54と、を有する。D値グラフGD1は、D値を示す縦軸55と、第1地点から少なくとも第2地点までの移動量を示す横軸56と、を有する。そして、各グラフGQ1,GC1,GD1の横軸52,54,56は、移動量として、第1地点からの直線距離を示す。尚、各グラフGQ1,GC1,GD1の横軸52,54,56が示す移動量は、第1地点からの道のりの長さであっても良い。また、図13に示される各グラフGQ1,GC1,GD1の横軸52,54,56において、「S」はスタート地点である第1地点を意味し、「G」は目的地である第2地点を意味する。各グラフGQ1,GC1,GD1において、縦軸51,53,55は第1グラフ軸に相当し、横軸52,54,56は第2グラフ軸に相当する。
図11に示すように、演算部2は、図10のS620で第1グラフ表示処理を開始すると、S710にて、図13に示すようにQ値グラフGQ1の縦軸51及び横軸52を表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS711にて、図13に示すように、Q値グラフGQ1のグラフ線として、第1Q予測線LQE1を表示装置11に表示させる。第1Q予測線LQE1は、旧ソフト仮定時におけるQ予測値(以下、旧ソフトQ予測値)と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。旧ソフトQ予測値は、Q値に関して、第1予測値に相当する。
具体的には、S711にて、演算部2は、第1地点から第2地点までの走行予定経路において、第1地点からの直線距離が所定距離(例えば10km)の整数倍となる各地点と、終点である第2地点とを、記憶部3内の地図データから、サンプル地点として検索する。そして、演算部2は、検索された各サンプル地点について、第1地点から当該サンプル地点までの走行予定経路における上記5つの説明変数を、記憶部3内の地図データから検索する。更に、演算部2は、各サンプル地点について、検索された5つの説明変数を式10に代入することにより、旧ソフトQ予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された旧ソフトQ予測値を縦軸51方向の座標値(即ち、y座標値)とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸52方向の座標値(即ち、x座標値)とする座標点を、第1Q予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸51及び横軸52による二次元座標系において、第1Q予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第1Q予測線LQE1として表示装置11に表示させる。
尚、図13に示される横軸52において、「P1」,「P2」のそれぞれは、サンプル地点を意味する。このことは、図13に示される他のグラフGC,GDの横軸54,56についても同様である。
演算部2は、次のS712にて、図13に示すように、Q値グラフGQ1のグラフ線として、第2Q予測線LQS1を表示装置11に表示させる。第2Q予測線LQS1は、新ソフト仮定時におけるQ予測値(以下、新ソフトQ予測値)と、第1地点から第2時点までの移動量との関係を表すグラフ線である。新ソフトQ予測値は、Q値に関して、第2予測値に相当する。
具体的には、S712にて、演算部2は、上記S711で検索された各サンプル地点について、上記S711で検索された5つの説明変数を式14に代入することにより、新ソフトQ予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された新ソフトQ予測値を縦軸51方向の座標値とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸52方向の座標値とする座標点を、第2Q予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸51及び横軸52による二次元座標系において、第2Q予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第2Q予測線LQS1として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS713にて、図13に示すように、Q値グラフGQ1のグラフ線として、Q実績線LQP1を表示装置11に表示させる。Q実績線LQP1は、第1地点から現在地までの実際の移動実績情報に基づいて算出されたQ実績値と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。このため、車両が第1地点から第2地点に近づくにつれて、表示装置11に表示されるQ実績線LQP1は長くなっていく。Q実績線LQP1が表すQ実績値は、車両において新エンジン制御ソフトが用いられたことによるQ実績値であり、Q値に関して、実際評価値に相当する。
具体的には、S713にて、演算部2は、第1地点から現在地までの実際の移動実績情報として、実際の交差点数、信号数、横断歩道数及び非日照距離を計測する。尚、実際の交差点数、信号数及び横断歩道数のそれぞれは、地図データに基づいて計測されて良いが、車載カメラで撮影された車両周囲の画像に基づいて計測されても良い。また、実際の非日照距離は、エンジンECU14からの日照中か否かの情報と、トラクションECU13からの走行距離情報とに基づいて、計測されて良い。更に、演算部2は、計測した実際の交差点数、信号数、横断歩道数及び非日照距離を、式3~式6のそれぞれに代入し、更に、式2及び式7と式1を用いて、第1地点から現在地までのQ実績値を算出する。そして、演算部2は、前回の当該S713で算出されたQ実績値を縦軸51方向の座標値とし、第1地点から前回の当該S713の実行時における車両位置までの直線距離を横軸52方向の座標値とする座標点を、前回Q値座標点として決定する。尚、現在地が第1地点と同じである場合、即ち、車両が第1地点から未だ移動していない場合には、縦軸51と横軸52との交点(即ち、原点)O1が、前回Q値座標点として決定される。更に、演算部2は、今回の当該S713で算出されたQ実績値を縦軸51方向の座標値とし、第1地点から今回の当該S713の実行時における車両位置(即ち、現在地)までの直線距離を横軸52方向の座標値とする点を、今回Q値座標点として決定する。そして、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸51及び横軸52による二次元座標系において、前回Q値座標点と今回Q値座標点とを結ぶ直線を順次追加して表示させていくことにより、Q実績線LQP1を表示装置11に表示させる。
尚、図13に示される横軸52において、「Am」は、現在地を意味し、「A1」,「A2」のそれぞれは、各トリップの終了地点及び開始地点を意味する。これらのことは、図13に示される他のグラフGC1,GD1の横軸54,56についても同様である。また、図13における「Qm1」は、Q実績線LQP1の現在の終点であり、今回Q値座標点でもある。
演算部2は、次のS714にて、図13に示すように、Q値グラフGQ1のグラフ線として、第3Q予測線LQF1を表示装置11に表示させる。第3Q予測線LQF1は、Q実績線LQP1に続くグラフ線であって、現在地から第2地点へ至るまでのQ予測値と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第3Q予測線LQF1が表すQ予測値は、Q値に関して、今後予測値に相当する。
具体的には、S714にて、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸51及び横軸52による二次元座標系において、原点O1とQ実績線LQP1の終点Qm1とを結ぶ直線の傾きを、Q予測傾きとして算出する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸51及び横軸52による二次元座標系において、上記終点Qm1から始まり、且つ、傾きが上記Q予測傾きである直線を、第3Q予測線LQF1として表示させる。そして、この第3Q予測線LQF1の終点QG1は、横軸52方向の座標値が、第1地点から第2地点までの直線距離の値と一致する座標点とされる。尚、第3Q予測線LQF1の傾き(即ち、Q予測傾き)は、Q実績線LQP1上の何れかの座標点(例えば、前回Q座標点)と上記終点Qm1とを結ぶ直線の傾きとされても良い。
尚、Q値グラフGQ1における上記4つの各グラフ線は、例えば色又は線種又は太さ等が異ならされることにより、識別可能に表示される。このことは、Q値グラフGQ1と同様の他の二次元グラフについても同様のことである。
演算部2は、次のS715にて、図13に示すようにC値グラフGC1の縦軸53及び横軸54を表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS716にて、図13に示すように、C値グラフGC1のグラフ線として、第1C予測線LCE1を表示装置11に表示させる。第1C予測線LCE1は、旧ソフト仮定時におけるC予測値(以下、旧ソフトC予測値)と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。旧ソフトC予測値は、C値に関して、第1予測値に相当する。
具体的には、S716にて、演算部2は、上記S711で検索された各サンプル地点について、上記S711で検索された5つの説明変数を式11に代入することにより、旧ソフト仮定時の予測燃料量を算出する。更に、演算部2は、各サンプル地点について、第1地点から当該サンプル地点までの走行予定経路における通行料金を、記憶部3内の地図データから検索する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された旧ソフト仮定時の予測燃料量と、検索された通行料金と、現時点の燃料単価とを、式12に代入することにより、旧ソフトC予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された旧ソフトC予測値を縦軸53方向の座標値(即ち、y座標値)とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸54方向の座標値(即ち、x座標値)とする座標点を、第1C予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸53及び横軸54による二次元座標系において、第1C予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第1C予測線LCE1として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS717にて、図13に示すように、C値グラフGQ1のグラフ線として、第2C予測線LCS1を表示装置11に表示させる。第2C予測線LCS1は、新ソフト仮定時におけるC予測値(以下、新ソフトC予測値)と、第1地点から第2時点までの移動量との関係を表すグラフ線である。新ソフトC予測値は、C値に関して、第2予測値に相当する。
具体的には、S717にて、演算部2は、上記S711で検索された各サンプル地点について、上記S711で検索された5つの説明変数を式15に代入することにより、新ソフト仮定時の予測燃料量を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された新ソフト仮定時の予測燃料量と、上記S716で検索された通行料金と、現時点の燃料単価とを、式12に代入することにより、新ソフトC予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された新ソフトC予測値を縦軸53方向の座標値とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸54方向の座標値とする座標点を、第2C予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸53及び横軸54による二次元座標系において、第2C予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第2C予測線LCS1として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS718にて、図13に示すように、C値グラフGC1のグラフ線として、C実績線LCP1を表示装置11に表示させる。C実績線LCP1は、第1地点から現在地までの実際の移動実績情報に基づいて算出されたC実績値と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。C実績値とは、C値の実績値である。このため、車両が第1地点から第2地点に近づくにつれて、表示装置11に表示されるC実績線LCP1は長くなっていく。C実績線LCP1が表すC実績値は、車両において新エンジン制御ソフトが用いられたことによるC実績値であり、C値に関して、実際評価値に相当する。
具体的には、S718にて、演算部2は、第1地点から現在地までの実際の移動実績情報として、実際の通行料金及び燃料費を計測する。尚、実際の通行料金は、地図データに基づいて計測されて良い。また、実際の燃料費は、実際の使用燃料量と、使用された燃料の補給時における燃料単価とによって算出されて良い。更に、演算部2は、計測した実際の通行料金及び燃料費を式8に代入することにより、第1地点から現在地までのC実績値を算出する。そして、演算部2は、前回の当該S718で算出されたC実績値を縦軸53方向の座標値とし、第1地点から前回の当該S718の実行時における車両位置までの直線距離を横軸54方向の座標値とする座標点を、前回C値座標点として決定する。尚、現在地が第1地点と同じである場合、即ち、車両が第1地点から未だ移動していない場合には、縦軸53と横軸54との交点(即ち、原点)O2が、前回C値座標点として決定される。更に、演算部2は、今回の当該S718で算出されたC実績値を縦軸53方向の座標値とし、第1地点から今回の当該S718の実行時における車両位置(即ち、現在地)までの直線距離を横軸54方向の座標値とする点を、今回C値座標点として決定する。そして、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸53及び横軸54による二次元座標系において、前回C値座標点と今回C値座標点とを結ぶ直線を順次追加して表示させていくことにより、C実績線LCP1を表示装置11に表示させる。尚、図13における「Cm1」は、C実績線LCP1の現在の終点であり、今回C値座標点でもある。
演算部2は、次のS719にて、図13に示すように、C値グラフGC1のグラフ線として、第3C予測線LCF1を表示装置11に表示させる。第3C予測線LCF1は、C実績線LCP1に続くグラフ線であって、現在地から第2地点へ至るまでのC予測値と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第3C予測線LCF1が表すC予測値は、C値に関して、今後予測値に相当する。
具体的には、S719にて、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸53及び横軸54による二次元座標系において、原点O2とC実績線LCP1の終点Cm1とを結ぶ直線の傾きを、C予測傾きとして算出する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸53及び横軸54による二次元座標系において、上記終点Cm1から始まり、且つ、傾きが上記C予測傾きである直線を、第3CQ予測線LCF1として表示装置11に表示させる。そして、この第3C予測線LCF1の終点CG1は、横軸54方向の座標値が、第1地点から第2地点までの直線距離の値と一致する座標点とされる。尚、第3C予測線LCF1の傾き(即ち、C予測傾き)は、C実績線LCP1上の何れかの座標点(例えば、前回C座標点)と上記終点Cm1とを結ぶ直線の傾きとされても良い。
演算部2は、次のS720にて、図13に示すようにD値グラフGD1の縦軸55及び横軸56を表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS721にて、図13に示すように、D値グラフGD1のグラフ線として、第1D予測線LDE1を表示装置11に表示させる。第1D予測線LDE1は、旧ソフト仮定時におけるD予測値(以下、旧ソフトD予測値)と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。旧ソフトD予測値は、D値に関して、第1予測値に相当する。
具体的には、S721にて、演算部2は、上記S711で検索された各サンプル地点について、上記S711で検索された5つの説明変数を式13に代入することにより、旧ソフトD予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された旧ソフトD予測値を縦軸55方向の座標値(即ち、y座標値)とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸56方向の座標値(即ち、x座標値)とする座標点を、第1D予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸55及び横軸56による二次元座標系において、第1D予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第1D予測線LDE1として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS722にて、図13に示すように、D値グラフGD1のグラフ線として、第2D予測線LDS1を表示装置11に表示させる。第2D予測線LDS1は、新ソフト仮定時におけるD予測値(以下、新ソフトD予測値)と、第1地点から第2時点までの移動量との関係を表すグラフ線である。新ソフトD予測値は、D値に関して、第2予測値に相当する。
具体的には、S722にて、演算部2は、上記S711で検索された各サンプル地点について、上記S711で検索された5つの説明変数を式16に代入することにより、新ソフトD予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された新ソフトD予測値を縦軸55方向の座標値とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸56方向の座標値とする座標点を、第2D予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸55及び横軸56による二次元座標系において、第2D予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第2D予測線LDS1として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS723にて、図13に示すように、D値グラフGD1のグラフ線として、D実績線LDP1を表示装置11に表示させる。D実績線LDP1は、第1地点から現在地までの実際の移動実績情報に基づいて算出されたD実績値と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。このため、車両が第1地点から第2地点に近づくにつれて、表示装置11に表示されるD実績線LDP1は長くなっていく。D実績線LDP1が表すD実績値は、車両において新エンジン制御ソフトが用いられたことによるD実績値であり、D値に関して、実際評価値に相当する。
具体的には、S723にて、演算部2は、第1地点から現在地までの実際の移動実績情報として、実際の走行時間及び停止時間を計測する。更に、演算部2は、計測した実際の走行時間及び停止時間を式9に代入することにより、第1地点から現在地までのD実績値を算出する。そして、演算部2は、前回の当該S723で算出されたD実績値を縦軸55方向の座標値とし、第1地点から前回の当該S723の実行時における車両位置までの直線距離を横軸56方向の座標値とする座標点を、前回D値座標点として決定する。尚、現在地が第1地点と同じである場合、即ち、車両が第1地点から未だ移動していない場合には、縦軸55と横軸56との交点(即ち、原点)O3が、前回D値座標点として決定される。更に、演算部2は、今回の当該S723で算出されたD実績値を縦軸55方向の座標値とし、第1地点から今回の当該S723の実行時における車両位置(即ち、現在地)までの直線距離を横軸56方向の座標値とする点を、今回D値座標点として決定する。そして、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸55及び横軸56による二次元座標系において、前回D値座標点と今回D値座標点とを結ぶ直線を順次追加して表示させていくことにより、D実績線LDP1を表示装置11に表示させる。尚、図13における「Dm1」は、D実績線LDP1の現在の終点であり、今回D値座標点でもある。
演算部2は、次のS724にて、図13に示すように、D値グラフGD1のグラフ線として、第3D予測線LDF1を表示装置11に表示させる。第3D予測線LDF1は、D実績線LDP1に続くグラフ線であって、現在地から第2地点へ至るまでのD予測値と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第3D予測線LDF1が表すD予測値は、D値に関して、今後予測値に相当する。
具体的には、S724にて、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸55及び横軸56による二次元座標系において、原点O3とD実績線LDP1の終点Dm1とを結ぶ直線の傾きを、D予測傾きとして算出する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸55及び横軸56による二次元座標系において、上記終点Dm1から始まり、且つ、傾きが上記D予測傾きである直線を、第3D予測線LDF1として表示させる。そして、この第3D予測線LDF1の終点DG1は、横軸56方向の座標値が、第1地点から第2地点までの直線距離の値と一致する座標点とされる。尚、第3D予測線LDF1の傾き(即ち、D予測傾き)は、D実績線LDP1上の何れかの座標点(例えば、前回D座標点)と上記終点Dm1とを結ぶ直線の傾きとされても良い。
そして、演算部2は、上記S724の処理を行った後、当該第1グラフ表示処理を終了する。
[1-8-7.第2の表示処理]
演算部2は、図9のS440で第2の表示処理を開始すると、図14に示すように、S800にて、ユーザーによる変更候補の選択前か否かを判定する。第2の表示処理において、変更候補とは、前述した第1経路及び第2経路のうち、第2経路のことである。S800では、ユーザーが表示装置11に対して第2経路を選択する入力操作を行ったか否かが判定され、その入力操作が行われていなければ、変更候補の選択前であると判定される。そして、演算部2は、S800にて、変更候補の選択前と判定した場合には、S810に進む。
演算部2は、S810では、図16に示すように、表示装置11に、前述したグラフ軸31~32を表示させる。
演算部2は、次のS820にて、Qe2、Ce2及びDe2を算出する。
Qe2は、第1地点から第2地点への移動に関して、第1の移動手段としての第1経路が用いられると仮定した場合(以下、第1経路仮定時)の、トータルのQ値を予測した値である。Ce2及びDe2のそれぞれも、第1地点から第2地点への移動に関して、第1経路仮定時の、トータルのC値及びD値を予測した値である。第1経路仮定時は、経路が移動手段である場合の、第1仮定時に相当する。そして、Qe2、Ce2及びDe2は、第1仮定時についての3種類の予測評価値に相当する。
演算部2は、S820では、第1経路について、通行料金と5つの説明変数との、それぞれのトータル値を、記憶部3内の地図データから検索する。そして、演算部2は、検索した5つの説明変数を、式10及び式13のそれぞれに代入することにより、Qe2とDe2を算出する。また、演算部2は、検索した5つの説明変数を、式11に代入することにより、第1経路仮定時の予測燃料量を算出する。そして、演算部2は、算出した第1経路仮定時の予測燃料量と、地図データから検索した第1経路の通行料金と、現時点(即ち、予測時点)における燃料単価とを、式12に代入することにより、Ce2を算出する。
演算部2は、次のS830にて、Qs2、Cs2及びDs2を算出する。
Qs2は、第1地点から第2地点への移動に関して、第2経路が用いられると仮定した場合(以下、第2経路仮定時)の、トータルのQ値を予測した値である。Cs2及びDs2のそれぞれも、第1地点から第2地点への移動に関して、第2経路仮定時の、トータルのC値及びD値を予測した値である。第2経路仮定時は、移動手段が経路である場合の、第2仮定時に相当する。そして、Qs2、Cs2及びDs2は、第2仮定時についての3種類の予測評価値に相当する。
演算部2は、S830では、第2経路について、通行料金と5つの説明変数との、それぞれのトータル値を、記憶部3内の地図データから検索する。そして、演算部2は、検索した5つの説明変数を、式10及び式13のそれぞれに代入することにより、Qs2とDs2を算出する。また、演算部2は、検索した5つの説明変数を、式11に代入することにより、第2経路仮定時の予測燃料量を算出する。そして、演算部2は、算出した第2経路仮定時の予測燃料量と、地図データから検索した第2経路の通行料金と、現時点における燃料単価とを、式12に代入することにより、Cs2を算出する。
演算部2は、次のS840にて、図16に示すように、S810で表示された各グラフ軸31~33において、S820で算出されたQe2、Ce2及びDe2のそれぞれに該当する各位置を結んだ直線からなる第1の三角形61を、表示装置11に表示させる。演算部2は、次のS850にて、図16に示すように、S810で表示された各グラフ軸31~33において、S830で算出されたQs2、Cs2及びDs2のそれぞれに該当する各位置を結んだ直線からなる第2の三角形62を、表示装置11に表示させる。
三角形61,62のそれぞれは、それらが識別可能となるように表示される。図16の例では、第1の三角形61が実線で表示され、第2の三角形62が点線で表示されているが、例えば、2つの三角形61,62が異なる色の実線又は点線で表示されても良い。
演算部2は、次のS860にて、ユーザーが変更候補としての第2経路を選択したか否かを判定する。具体的には、S860では、ユーザーにより第2経路を選択する入力操作が表示装置11に対して行われたか否かが判定され、第2経路を選択する入力操作が行われたならば、ユーザーが変更候補を選択した、と判定される。
そして、演算部2は、S860にて、ユーザーが変更候補を選択していないと判定した場合には、当該第2の表示処理を終了するが、ユーザーが変更候補を選択したと判定した場合には、S870に進む。
演算部2は、S870では、経路選択フラグをオンし、その後、当該第2の表示処理を終了する。経路選択フラグは、変更候補としての第2経路が選択されたかを示す履歴のフラグである。
また、演算部2は、上記S800にて、ユーザーによる変更候補の選択前ではないと判定した場合には、S880に進み、変更候補が選択済みであるか否かを判定する。具体的には、演算部2は、S870でオンされる経路選択フラグを参照し、その経路選択フラグがオンであれば、変更候補が選択済みであると判定する。
演算部2は、上記S880にて、変更候補が選択済みではないと判定した場合には、当該第2の表示処理を終了する。また、演算部2は、上記S880にて、変更候補が選択済みであると判定した場合には、S890に進む。そして、演算部2は、S890にて、図15の第2グラフ表示処理を行った後、当該第2の表示処理を終了する。
[1-8-8.第2グラフ表示処理]
図14のS890で実行される第2グラフ表示処理は、図17に示すように、表示装置11に、前述したQ値グラフGQ1、C値グラフGC1及びD値グラフGD1と同様の、Q値グラフGQ2、C値グラフGC2及びD値グラフGD2を表示するための処理である。
図15に示すように、演算部2は、第2グラフ表示処理を開始すると、S910にて、図17に示すようにQ値グラフGQ2の縦軸51及び横軸52を表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS911にて、図17に示すように、Q値グラフGQ2のグラフ線として、第1Q予測線LQE2を表示装置11に表示させる。第1Q予測線LQE2は、第1経路仮定時におけるQ予測値(以下、第1経路Q予測値)と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第1経路Q予測値は、Q値に関して、第1予測値に相当する。
具体的には、S911にて、演算部2は、第1経路において、第1地点からの直線距離が所定距離(例えば10km)の整数倍となる各地点と、終点である第2地点とを、記憶部3内の地図データから、サンプル地点として検索する。そして、演算部2は、検索された各サンプル地点について、第1地点から当該サンプル地点までの第1経路における上記5つの説明変数を、記憶部3内の地図データから検索する。更に、演算部2は、各サンプル地点について、検索された5つの説明変数を式10に代入することにより、第1経路Q予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第1経路Q予測値を縦軸51方向の座標値(即ち、y座標値)とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸52方向の座標値(即ち、x座標値)とする座標点を、第1Q予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸51及び横軸52による二次元座標系において、第1Q予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第1Q予測線LQE2として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS912にて、図17に示すように、Q値グラフGQ2のグラフ線として、第2Q予測線LQS2を表示装置11に表示させる。第2Q予測線LQS2は、第2経路仮定時におけるQ予測値(以下、第2経路Q予測値)と、第1地点から第2時点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第2経路Q予測値は、Q値に関して、第2予測値に相当する。
具体的には、S912にて、演算部2は、第2経路において、第1地点からの直線距離が所定距離(例えば10km)の整数倍となる各地点と、終点である第2地点とを、記憶部3内の地図データから、サンプル地点として検索する。そして、演算部2は、検索された各サンプル地点について、第1地点から当該サンプル地点までの第2経路における上記5つの説明変数を、記憶部3内の地図データから検索する。更に、演算部2は、各サンプル地点について、検索された5つの説明変数を式10に代入することにより、第2経路Q予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第2経路Q予測値を縦軸51方向の座標値とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸52方向の座標値とする座標点を、第2Q予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸51及び横軸52による二次元座標系において、第2Q予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第2Q予測線LQS2として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS913にて、図17に示すように、Q値グラフGQ2のグラフ線として、前述したQ実績線LQP1と同様の、Q実績線LQP2を表示装置11に表示させる。S913では、第1グラフ表示処理におけるS713と同様の処理が行われることにより、Q実績線LQP2が表示される。Q実績線LQP2が表すQ実績値は、第1地点から第2地点への走行経路として、第2経路が選択されたことによるQ実績値であり、Q値に関して、実際評価値に相当する。尚、図17における「Qm2」は、Q実績線LQP2の現在の終点であり、前述の今回Q値座標点でもある。
演算部2は、次のS914にて、図17に示すように、Q値グラフGQ2のグラフ線として、前述した第3Q予測線LQF1と同様の、第3Q予測線LQF2を表示装置11に表示させる。S914では、第1グラフ表示処理におけるS714と同様の処理が行われることにより、第3Q予測線LQF2が表示される。第3Q予測線LQF2が表すQ予測値は、Q値に関して、今後予測値に相当する。尚、図17における「QG2」は、第3Q予測線LQF2の終点である。
演算部2は、次のS915にて、図17に示すようにC値グラフGC2の縦軸53及び横軸54を表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS916にて、図17に示すように、C値グラフGC2のグラフ線として、第1C予測線LCE2を表示装置11に表示させる。第1C予測線LCE2は、第1経路仮定時におけるC予測値(以下、第1経路C予測値)と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第1経路C予測値は、C値に関して、第1予測値に相当する。
具体的には、S916にて、演算部2は、上記S911で検索された第1経路上の各サンプル地点について、上記S911で検索された5つの説明変数を式11に代入することにより、第1経路仮定時の予測燃料量を算出する。更に、演算部2は、各サンプル地点について、第1地点から当該サンプル地点までの第1経路における通行料金を、記憶部3内の地図データから検索する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第1経路仮定時の予測燃料量と、検索された通行料金と、現時点の燃料単価とを、式12に代入することにより、第1経路C予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第1経路C予測値を縦軸53方向の座標値(即ち、y座標値)とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸54方向の座標値(即ち、x座標値)とする座標点を、第1C予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸53及び横軸54による二次元座標系において、第1C予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第1C予測線LCE2として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS917にて、図17に示すように、C値グラフGQ2のグラフ線として、第2C予測線LCS2を表示装置11に表示させる。第2C予測線LCS2は、第2経路仮定時におけるC予測値(以下、第2経路C予測値)と、第1地点から第2時点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第2経路C予測値は、C値に関して、第2予測値に相当する。
具体的には、S917にて、演算部2は、上記S912で検索された第2経路上の各サンプル地点について、上記S912で検索された5つの説明変数を式11に代入することにより、第2経路仮定時の予測燃料量を算出する。更に、演算部2は、各サンプル地点について、第1地点から当該サンプル地点までの第2経路における通行料金を、記憶部3内の地図データから検索する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第2経路仮定時の予測燃料量と、検索された通行料金と、現時点の燃料単価とを、式12に代入することにより、第2経路C予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第2経路C予測値を縦軸53方向の座標値とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸54方向の座標値とする座標点を、第2C予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸53及び横軸54による二次元座標系において、第2C予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第2C予測線LCS2として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS918にて、図17に示すように、C値グラフGC2のグラフ線として、前述したC実績線LCP1と同様の、C実績線LCP2を表示装置11に表示させる。S918では、第1グラフ表示処理におけるS718と同様の処理が行われることにより、C実績線LCP2が表示される。C実績線LCP2が表すC実績値は、第1地点から第2地点への走行経路として、第2経路が選択されたことによるC実績値であり、C値に関して、実際評価値に相当する。尚、図17における「Cm2」は、C実績線LCP2の現在の終点であり、前述の今回C値座標点である。
演算部2は、次のS919にて、図17に示すように、C値グラフGC2のグラフ線として、前述した第3C予測線LCF1と同様の、第3C予測線LCF2を表示装置11に表示させる。S919では、第1グラフ表示処理におけるS719と同様の処理が行われることにより、第3C予測線LCF2が表示される。第3C予測線LCF2が表すC予測値は、C値に関して、今後予測値に相当する。尚、図17における「CG2」は、第3C予測線LCF2の終点である。
演算部2は、次のS920にて、図17に示すようにD値グラフGD2の縦軸55及び横軸56を表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS921にて、図17に示すように、D値グラフGD2のグラフ線として、第1D予測線LDE2を表示装置11に表示させる。第1D予測線LDE2は、第1経路仮定時におけるD予測値(以下、第1経路D予測値)と、第1地点から第2地点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第1経路D予測値は、D値に関して、第1予測値に相当する。
具体的には、S921にて、演算部2は、上記S911で検索された第1経路上の各サンプル地点について、上記S911で検索された5つの説明変数を式13に代入することにより、第1経路D予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第1経路D予測値を縦軸55方向の座標値(即ち、y座標値)とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸56方向の座標値(即ち、x座標値)とする座標点を、第1D予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸55及び横軸56による二次元座標系において、第1D予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第1D予測線LDE2として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS922にて、図17に示すように、D値グラフGD2のグラフ線として、第2D予測線LDS2を表示装置11に表示させる。第2D予測線LDS2は、第2経路仮定時におけるD予測値(以下、第2経路D予測値)と、第1地点から第2時点までの移動量との関係を表すグラフ線である。第2経路D予測値は、D値に関して、第2予測値に相当する。
具体的には、S922にて、演算部2は、上記S912で検索された第2経路上の各サンプル地点について、上記S912で検索された5つの説明変数を式13に代入することにより、第2経路D予測値を算出する。そして、演算部2は、各サンプル地点について、算出された第2経路D予測値を縦軸55方向の座標値とし、第1地点から当該サンプル地点までの直線距離を横軸56方向の座標値とする座標点を、第2D予測線表示用の座標点として決定する。更に、演算部2は、表示装置11に表示させた縦軸55及び横軸56による二次元座標系において、第2D予測線表示用の各座標点を結ぶ線を、第2D予測線LDS2として表示装置11に表示させる。
演算部2は、次のS923にて、図17に示すように、D値グラフGD2のグラフ線として、前述したD実績線LDP1と同様の、D実績線LDP2を表示装置11に表示させる。S23では、第1グラフ表示処理におけるS723と同様の処理が行われることにより、D実績線LDP2が表示される。D実績線LDP1が表すD実績値は、第1地点から第2地点への走行経路として、第2経路が選択されたことによるD実績値であり、D値に関して、実際評価値に相当する。尚、図17における「Dm2」は、D実績線LDP2の現在の終点であり、前述の今回D値座標点である。
演算部2は、次のS924にて、図17に示すように、D値グラフGD2のグラフ線として、前述した第3D予測線LDF1と同様の、第3D予測線LDF2を表示装置11に表示させる。S924では、第1グラフ表示処理におけるS724と同様の処理が行われることにより、第3D予測線LDF2が表示される。第3D予測線LDF2が表すD予測値は、D値に関して、今後予測値に相当する。尚、図17における「DG2」は、第3D予測線LDF2の終点である。
そして、演算部2は、上記S924の処理を行った後、当該第2グラフ表示処理を終了する。
[1-9.作用例]
[1-9-1.第1の表示処理による作用例]
車両へアップデート通知が送信され、ユーザーが前述の第1種比較を行うことを希望した場合、図12に示すように、表示装置11には、Q値、C値及びD値のそれぞれを示すグラフ軸31~33と、2つの三角形41,42とが表示される。
ユーザーは、2つの三角形41,42の形状及び面積を比べることにより、旧ソフト仮定時と新ソフト仮定時とで、Q値、C値及びD値のそれぞれにどのような差が出るかを、簡単に知ることができる。よって、ユーザーがエンジン制御ソフトの更新を実施するか否か判断する際に、その判断をし易くさせることができる。
例えば、図12に例示される2つの三角形41,42は、エンジン制御ソフトを更新したとすると、第1地点から第2地点への移動に関して、C値は小さくなるが、D値は大きくなる、ということを表している。この場合、ユーザーは、第2地点までの所要時間が長くなっても移動費用が安い方が良いと考えたなら、エンジン制御ソフトの更新を実施すると判断するであろう。逆に、ユーザーは、第2地点までの移動費用が高くなっても所要時間が短い方が良いと考えたなら、エンジン制御ソフトの更新を実施しないと判断するであろう。
また、ユーザーがエンジン制御ソフトの更新を実施すると、図13に示すように、表示装置11には、Q値グラフGQ1、C値グラフGC1及びD値グラフGD1が表示される。
Q値グラフGQ1により、ユーザーはQ値に関して下記の各情報を得ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ1における第1Q予測線LQE1により、旧ソフト仮定時のQ予想値、即ち、エンジン制御ソフトが更新されなかったと仮定した場合のQ予測値と、第1地点からの移動量との関係を知ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ1における第2Q予測線LQS1により、更新された新エンジン制御ソフトが用いられる現在状況でのQ予測値と、第1地点からの移動量との関係を知ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ1におけるQ実績線LQP1により、Q実績値と第1地点からの移動量との関係、即ち、第1地点からの実際の移動に伴うQ実績値の推移を、知ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ1における第3Q予測線LQF1により、第1地点から現在地までのQ実績値を用いて予測された、現在地から第2地点へ至るまでのQ予測値と、第1地点からの移動量との関係、即ち、今後のQ値の予想推移を知ることができる。
そして、ユーザーは、Q実績線LQP1及び第3Q予測線LQF1と、第2Q予測線LQS1とを比較することにより、第1地点からの自分の運転行為によるQ値への影響を知ることができる。ここで言うQ値への影響とは、第1地点で予測されたQ値(即ち、新ソフトQ予測値)に対して、実際のQ値を良くしている度合い又は悪くしている度合い、である。
また、ユーザーは、Q実績線LQP1及び第3Q予測線LQF1と、第1Q予測線LQE1とを比較することにより、旧ソフト仮定時のQ予想値と、エンジン制御ソフトを更新したことによる実際のQ値との差を知ることができる。
そして、ユーザーは、C値グラフGC1及びD値グラフGD1により、C値及びD値に関しても、Q値グラフGQ1によって得られるQ値に関する上記各情報と同様の情報を得ることができる。
よって、ユーザーは、自分の運転行為による各評価値(即ち、Q値、C値、D値)への影響を知ることができる。このため、ユーザーは、自分が望む実際の各評価値が得られるように、自分の運転行為を変えやすくなる。例えば、図13に例示されるD値グラフGD1を見たユーザーが、実際のD値が大きすぎる、つまり、ゆっくり走行しすぎていると思って、車両の走行速度を上げたとする。この場合、図13において、矢印Y1に示すように、実際のD値は小さくなっていくが、その代わり、矢印Y2,Y3に示すように、実際のQ値とC値は大きくなっていく。よって、ユーザーは、Q値、C値及びD値のバランスが自分の望むバランスとなるように、走行速度を調節するようになると考えられる。
また、ユーザーは、旧ソフト仮定時の各評価値と、エンジン制御ソフトを更新したことによる実際の各評価値との差を知ることができるため、今後も新エンジン制御ソフトを使用した方が良いか、旧エンジン制御ソフトに戻した方が良いか、といった判断もし易くなる。
[1-9-2.第2の表示処理による作用例]
ユーザーが前述の第2種比較を行うことを希望した場合にも、図16に示すように、表示装置11には、Q値、C値及びD値のそれぞれを示すグラフ軸31~33と、2つの三角形61,62とが表示される。
ユーザーは、2つの三角形61,62の形状及び面積を比べることにより、第1経路仮定時と第2経路仮定時とで、Q値、C値及びD値のそれぞれにどのような差が出るかを、簡単に知ることができる。よって、ユーザーが第1経路と第2経路との何れを選択するか判断する際に、その判断をし易くさせることができる。
例えば、図16に例示される2つの三角形61,62は、第1地点から第2地点への移動に関して、第1経路に代えて第2経路を用いると、Q値とD値は小さくなるが、C値は大きくなる、ということを表している。この場合、ユーザーは、第2地点までの移動費用が高くなっても、安全で速い方が良いと考えたなら、第2経路を用いると判断するであろう。逆に、ユーザーは、第2地点までの移動費用が安いことを最優先に考えたならば、第1経路を用いると判断するであろう。
また、ユーザーが第1経路と第2経路とのうち、第2経路を選択すると、図17に示すように、表示装置11には、Q値グラフGQ2、C値グラフGC2及びD値グラフGD2が表示される。
Q値グラフGQ2により、ユーザーはQ値に関して下記の各情報を得ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ2における第1Q予測線LQE2により、第1経路仮定時のQ予測値と、第1地点からの移動量との関係を知ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ2における第2Q予測線LQS2により、第2経路が用いられる現在状況でのQ予測値と、第1地点からの移動量との関係を知ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ2におけるQ実績線LQP2により、Q実績値と第1地点からの移動量との関係、即ち、第1地点からの実際の移動に伴うQ実績値の推移を、知ることができる。
ユーザーは、Q値グラフGQ2における第3Q予測線LQF2により、第1地点から現在地までのQ実績値を用いて予測された、現在地から第2地点へ至るまでのQ予測値と、第1地点からの移動量との関係、即ち、今後のQ値の予想推移を知ることができる。
そして、ユーザーは、Q実績線LQP2及び第3Q予測線LQF2と、第2Q予測線LQS2とを比較することにより、第1地点からの自分の運転行為によるQ値への影響を知ることができる。ここで言うQ値への影響とは、第1地点で予測されたQ値(即ち、第2経路Q予測値)に対して、実際のQ値を良くしている度合い又は悪くしている度合い、である。
また、ユーザーは、Q実績線LQP2及び第3Q予測線LQF2と、第1Q予測線LQE2とを比較することにより、第1経路仮定時のQ予想値と、第2経路を選択したことによる実際のQ値との差を知ることができる。
そして、ユーザーは、C値グラフGC2及びD値グラフGD2により、C値及びD値に関しても、Q値グラフGQ2によって得られるQ値に関する上記各情報と同様の情報を得ることができる。
よって、ユーザーは、表示装置11にQ値グラフGQ2、C値グラフGC2及びD値グラフGD2が表示される場合も、自分の運転行為による各評価値(即ち、Q値、C値、D値)への影響を知ることができる。このため、ユーザーは、自分が望む実際の各評価値が得られるように、自分の運転行為を変えやすくなる。
また、ユーザーは、第1経路仮定時の各評価値と、第2経路を選択したことによる実際の各評価値との差を知ることができるため、今後も第2経路を使用した方が良いか、第1経路を使用した方が良いか、といった判断もし易くなる。
[1-10.効果]
以上詳述した第1実施形態のECU1によれば、上記作用例の欄で述べた各効果が得られる。更に、下記の効果が得られる。
(1a)Q値グラフGQ1,GQ2と、C値グラフGC1,GC2と、D値グラフGD1,GD2との、それぞれにおける横軸52,54,56は、移動量として、第1地点からの直線距離を示す。このため、ユーザーは、第1地点からの移動距離を把握し易くなる。
(1b)複数種類の評価値として、少なくともQ値、C値及びD値をユーザーに伝えることができる。また、ユーザーに、Q値として危険度を伝えることができる。
(1c)ECU1では、車両のメーカーで決定された各変換係数であるqZ、qR、qU、qC、qS、qI、cZ、cR、cU、cC、cS、cI、dZ、dR、dU、dC、dS、及びdIが、図9のS415で取得される。そして、第1の表示処理におけるS530では、エンジン制御ソフトが移動手段である場合の第2仮定時に相当する新ソフト仮定時の各予測評価値、即ち、Qs1、Cs1及びDs1が、上記各変換係数が用いられた式14~式16により算出される。また、第1の表示処理におけるS620(即ち、第1グラフ表示処理)においても、S712,S717,S722のそれぞれでは、新ソフト仮定時のQ予測値、C予測値及びD予測値が、上記各変換係数が用いられた式14~式16により算出される。
このため、新ソフト仮定時のQ値、C値及びD値の予測値に関して、算出精度を向上させることができる。
(1d)ECU1では、Q値の予測に関しては、図7のS216~S219及び図8のS310の処理により、Q値の実績値が収集される。また、図7のS211~S215の処理により、5つの説明変数の実績値が収集される。更に、収集された各実績値に対して、図8のS320にて、Q値を予測するための重回帰分析が行われる。
そして、図10のS520では、Q値についての重回帰分析結果が適用された式10により、予測評価値に相当するQe1が算出される。図10のS530でも、Q値についての重回帰分析結果が適用された式14により、予測評価値に相当するQs1が算出される。同様に、図14のS820,S830でも、式10により、予測評価値に相当するQe2とQs2とが算出される。
また、図11の第1グラフ表示処理においても、S711では、式10により、Q値の第1予測値に相当する旧ソフトQ予測値が算出され、S712では、式14により、Q値の第2予測値に相当する新ソフトQ予測値が算出される。同様に、図15の第2グラフ表示処理においても、S911では、式10により、Q値の第1予測値に相当する第1経路Q予測値が算出され、S912では、式10により、Q値の第2予測値に相当する第2経路Q予測値が算出される。
このため、Q値の予測値に関して、算出精度を向上させることができる。
D値の予測に関しても、図7のS221,S222及び図8のS340の処理により、D値の実績値が収集され、図8のS350にて、D値を予測するための重回帰分析が行われる。そして、D値についての重回帰分析結果が適用された式13により、De1、De2、Ds2、旧ソフトD予測値、第1経路D予測値及び第2経路D予測値が算出される。また、D値についての重回帰分析結果が適用された式16により、Ds1と新ソフトD予測値が算出される。このため、D値の予測値に関しても、算出精度を向上させることができる。
また、C値の予測に関しては、C値の算出に使用される使用燃料量の実績値が、図7のS220の処理により収集される。更に、図8のS330にて、使用燃料量を予測するための重回帰分析が行われる。そして、使用燃料量についての重回帰分析結果が適用された式11と式12により、Ce1、Ce2、Cs2、旧ソフトC予測値、第1経路C予測値及び第2経路C予測値が算出される。また、使用燃料量についての重回帰分析結果が適用された式15と式12により、Cs1と新ソフトC予測値が算出される。このため、C値の予測値に関しても、算出精度を向上させることができる。
尚、上記第1実施形態では、演算部2が、第1機能部、第2機能部、第3機能部、取得部、収集部及び分析部の、それぞれとして機能する。そして、S520,S530,S820,S830は、第1機能部としての処理に相当する。S510,S540,S550,S810,S840,S850は、第2機能部としての処理に相当する。S710~S724,S910~S924は、第3機能部としての処理に相当する。S415は、取得部としての処理に相当する。S211~S222,S310,S340は、収集部としての処理に相当する。S320,S330,S350は、分析部としての処理に相当する。
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。尚、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
第2実施形態のECU1において、Q値は、移動の質として、不快度を表す評価値である。具体的には、Q値は、不快度をポイントで表す評価値である。不快度のポイントを、不快ポイントという。Q値は、以下の考え方で算出される。
Q値は、下記式17に示すように、基本不快ポイントから不快回避ポイントを引いた値として算出される。
Q値=基本不快ポイント-不快回避ポイント …式17
基本不快ポイントは、車両を運転するユーザーが感じる不快の度合いを表す基本の不快ポイントである。不快回避ポイントは、第1実施形態の危険回避ポイントと同様に、車両に装備された機能によって不快が解消(即ち、回避)されると想定される分の不快ポイントである。
そして、式17における基本不快ポイントは、下記式18によって算出される。
基本不快ポイント=信号不快ポイント+踏切不快ポイント+振動不快ポイント+温度不快ポイント …式18
信号不快ポイントは、車両が信号を通過することによる不快ポイントである。ユーザーは、信号を通過する際に、信号及び色の認識を行う必要があり、また、ブレーキ及びアクセルの操作頻度も多くなるため、不快に感じると考えられる。そして、信号不快ポイントは、下記式19によって算出される。
信号不快ポイント=信号数×Q5C …式19
踏切不快ポイントは、車両が踏切を通過することによる不快ポイントである。ユーザーは、踏切を通過する際に、標識及び踏切信号の認識を行う必要があり、また、ブレーキ及びアクセルの操作頻度も多くなるため、不快に感じると考えられる。そして、踏切不快ポイントは、下記式20によって算出される。踏切数は、踏切の数である。
踏切不快ポイント=踏切数×Q6C …式20
振動不快ポイントは、車両の振動による不快ポイントである。ユーザーは、車両が振動すると不快に感じると考えられる。
本実施形態では、70dbを超える車体振動レベル数と、車体振動レベル数が70dbを超えている場合の走行距離とを、乗算した値が、振動不快度として算出される。例えば、75dbで3km走行した場合、振動不快度は「15=(75-70)×3」と算出される。そして、このように算出される振動不快度に対して、下記式21に示すようにQ7Cが乗算された値が、振動不快ポイントとして算出される。
振動不快ポイント=振動不快度×Q7C …式21
温度不快ポイントは、車室内温度による不快ポイントである。ユーザーは、車室内温度によっては不快に感じると考えられる。
本実施形態では、28℃を超えた車室内温度、又は18℃を下回った車室内温度と、それらの温度状況での走行距離とを、乗算した値が、温度不快度として算出される。例えば、車室内温度が15℃で3km走行した場合、温度不快度は「9=(18-15)×3」と算出される。そして、このように算出される温度不快度に、下記式22に示すようにQ8Cが乗算された値が、温度不快ポイントとして算出される。
温度不快ポイント=温度不快度×Q8C …式22
尚、式19~式22におけるQ5C~Q8Cは、予め定められた係数である。Q5C~Q8Cは、例えば「1.00」に設定されているが、他の値であっても良い。
一方、式17における不快回避ポイントは、下記式23によって算出される。
不快回避ポイント=信号不快ポイント×Q5F+踏切不快ポイント×Q6F+振動不快ポイント×Q7F+温度不快ポイント×Q8F …式23
式23におけるQ5F~Q8Fは、第1実施形態の式7におけるQ1F~Q4Fと同様に、車両の機能のうち、不快を回避可能な機能の種類によって定められる係数である。Q5F~Q8Fの値が大きいほど、不快回避ポイントが大きくなり、Q値(即ち、不快ポイント)が小さくなる。本第2実施形態においても、Q5F~Q8Fを総称して、回避係数という。
例えば、図18に示すように、「機能名」の欄に名称が記載された複数の各制御について、信号不快ポイント用の回避係数と、踏切不快ポイント用の回避係数と、振動不快ポイント用の回避係数と、温度不快ポイント用の回避係数とが、それぞれ設定されている。尚、信号、踏切、振動、温度という言葉の何れかを「**」と記載することにすると、**不快ポイント用の回避係数とは、**不快ポイントに乗算される回避係数のことである。
そして、各制御について設定された信号不快ポイント用の回避係数を合計した値が、式23におけるQ5Fとして用いられる。Q6F~Q8Fについても同様である。図18の例において、Q5FとQ6Fは、結果的に「0.30」となっており、Q7FとQ8Fは、結果的に「0.50」となっている。尚、Q5F~Q8Fの各値は一例であり、他の値であっても良い。また、図18の「機能名」の欄における「合計(Q*F)」は、Q5F~Q8Fを意味している。
ECU1では、トリップ毎のQ値を算出するための移動実績情報として、図19に示すように、トリップ毎のQ5~Q8が収集される。Q5は、実際に通過した信号の数(即ち、実際の信号数)である。Q6は、実際に通過した踏切の数(即ち、実際の踏切数)である。Q7は、実際の振動不快度である。Q8は、実際の温度不快度である。例えば、図19の例において、トリップ番号が「TR1」であるトリップでは、Q5として30が記憶され、Q6として1が記憶され、Q7として100が記憶され、Q8として200が記憶されている。
そして、ECU1では、トリップ毎のQ5~Q8が、式17~式23に適用されることで、トリップ毎のQ値(即ち、不快ポイント)が算出される。本第2実施形態においても、算出されたトリップ毎のQ値は、Q実績値として記憶部3に記憶され、Q値の予測に使用される。
例えば、図19の例において、トリップ番号が「TR1」であるトリップでは、信号不快ポイントが「30=30×1.00」と算出され、踏切不快ポイントが「1=1×1.00」と算出される。また、振動不快ポイントが「100=100×1.00」と算出され、温度不快ポイントが「200=200×1.000」と算出される。このため、基本不快ポイントは、式18により「331=30+1+100+200」と算出される。また、不快回避ポイントは、式23により「159.3=30×0.3+1×0.3+100×0.5+200×0.5」と算出される。よって、Q値(即ち、Q実績値)は、式17により「171.7=331-159.3」と算出される。
以上のことから、本第2実施形態において、演算部2は、図7のS216では、交差点数に代えて、踏切数を計測する。また、演算部2は、図7のS218とS219では、横断歩道数及び非日照距離に代えて、振動不快度と温度不快度とを計測する。S216~S219での計測結果は、Q実績値を算出するためのトリップ毎の実績情報(即ち、Q5~Q7)として、記憶部3に記憶される。そして、演算部2は、図8のS310では、図7のS216~S219によって計測された今回のトリップにおける信号数、踏切数、振動不快度及び温度不快度を用いて、式17~式23により、今回のトリップにおけるQ実績値を算出する。また、演算部2は、図11のS713と図15のS913においては、第1地点から現在地までの信号数、踏切数、振動不快度及び温度不快度を用いて、式17~式23により、第1地点から現在地までのQ実績値を算出する。
[2-2.効果]
以上詳述した第2実施形態によっても、前述した第1実施形態の効果と同様の効果を奏する。また、ユーザーは、移動手段の選択について、不快度を判断材料にすることができる。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
例えば、第1グラフ表示処理及び第2グラフ表示処理が実施されない構成であっても良い。
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。尚、特許請求の範囲に記載した文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
また、上述したECU1の他、当該ECU1を構成要素とするシステム、当該ECU1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、選択支援方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。