JP7005772B2 - 眼科疾患の処置 - Google Patents

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Description

本発明は、眼科疾患の処置のための、VEGFとANG2とに結合する抗体の使用に関する。
発明の背景
血管形成は、固形腫瘍、眼内新生血管症候群、例えば増殖網膜症又は加齢黄斑変性(AMD)、関節リウマチ、及び乾癬をはじめとする、様々な障害の発病に関与している(Folkman, J., et al., J. Biol. Chem. 267 (1992) 10931-10934; Klagsbrun, M., et al., Annu. Rev. Physiol. 53 (1991) 217-239;及びGarner, A., Vascular diseases、 Pathobiology of ocular disease, A dynamic approach, Garner, A., and Klintworth, G. K. (eds.), 2nd edition, Marcel Dekker, New York (1994), pp. 1625-1710)。
ラニビズマブ(商標名ルセンティス(登録商標))は、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))と同じ親マウス抗体に由来するモノクローナル抗体断片である。しかしながら、それは、VEGF-Aに対するより強力な結合を与えるために親和性成熟されている(国際公開公報第98/45331号)。VEGF-Aの全身における遮断は、特定の有害事象のリスクの増加を伴うことが知られているので、それ故、ラニビズマブは、全身への曝露及び全身毒性のリスクを低減させるために、Fc部分を欠失している。それは、加齢に関連した視力低下の一般的な病型である、「滲出」型の加齢黄斑変性(新生血管型加齢黄斑変性)を処置するために認可されている抗血管形成剤である。
角膜血管形成アッセイは、ANG-1及びANG-2のどちらも類似した効果を有し、VEGFと相乗的に作用することにより、新規血管の増殖を促進することを示した(Asahara, T., et al., Circ. Res. 83 (1998) 233-40)。用量依存的な内皮応答が存在していた可能性は、ANG-2が、インビトロにおいて高濃度で、血管形成促進性でもあり得るという観察によって持ち上がった(Kim, I., et al., Oncogene 19 (2000) 4549-52)。ANG-2は、高濃度において、血清の枯渇によるアポトーシス中に、PI-3キナーゼ及びAkt経路を介するTie2の活性化を通して、内皮細胞に対するアポトーシス生存因子として作用する(Kim, I., et al., Oncogene 19 (2000) 4549-52)。
「滲出」型加齢黄斑変性(AMD)及び増殖性糖尿病網膜症(PDR)などの眼血管疾患は、それぞれ、異常な脈絡膜又は網膜の血管新生に起因する。これらの血管からの出血及び漏出は、網膜の機能障害及び視力低下を引き起し得る。他の網膜血管疾患、例えば糖尿病黄斑浮腫(DME)、及び網膜静脈閉塞(RVO)に続発する黄斑浮腫は、異常な網膜の漏出に起因し、これにより、網膜の腫脹及び視覚機能の障害に至る。これらの容態は、工業国における視力低下の主因である。網膜は、境界がきちんと定められた神経細胞成分、グリア細胞成分、及び血管成分の層からなり、血管増殖又は浮腫に見られるような比較的小さな障害により、かなりの視覚機能の低下が起こり得る。遺伝性網膜変性、例えば網膜色素変性症(RP)もまた、細動脈狭窄及び血管萎縮などの、血管の異常を伴う。それらに、3500人中1人という多くの個体が罹患し、それらは、進行的な夜盲症、視野の欠失、視神経萎縮、細動脈の減弱、及び、全盲へと進行することの多い中心視野欠損によって特徴付けられる。
虚血型網膜症は、網膜血管構造の減少又は機能障害によって特徴付けられ、これは血流の低下及び低酸素症をもたらす。網膜は、新規血管を増殖させるようシグナルを発生することによって低酸素症に応答するが、これらの新規血管は通常、脆弱であり、無秩序である。視力にとって脅威の大半を作り出すのは、これらの異常な新規血管の増殖である。なぜなら、それらは、漏出する可能性があるか、出血する可能性があるか、又は瘢痕をもたらす可能性があり、これらは最終的には網膜剥離に至る可能性がある。虚血型網膜症のための現在の処置は、病的血管の増殖を止めることを探索しているが、病的血管の増殖を駆り立てる根本的な虚血には取り組んでいない。さらに、数百万人が罹患している虚血性網膜症である糖尿病網膜症の標準的な処置は、新規血管の増殖を停止しかつ中心視野を保存するために虚血組織を破壊する試みにおける、レーザーを用いた網膜の一部の破壊を含む。異常な血管増殖及び漏出の主要な促進因子である、血管内皮増殖因子(VEGF)の機能を遮断するための戦略が使用されている。短期的には、抗VEGF抗体療法は視力を改善させることができるが、根本的な虚血には取り組んでおらず、事実、有益な側副血管をはじめとする、全ての血管の増殖を阻害するので、この容態を悪化させる可能性がある。また、虚血している脳、心臓、又は手足において新規血管増殖が必要とされ得る、高齢者及び/又は糖尿病患者において、これらの薬物への全身曝露には深刻な懸念がある。
発明の要約
本発明の1つの態様によると、方法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤が、眼血管疾患を患う患者の処置のために提供され、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に投与する工程を含み、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、16週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの態様は、眼血管疾患を患う患者の処置の/処置のための、このような方法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤(使用するための)であり、該方法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤(使用するための)は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に(硝子体内)投与する工程を含み、ここで、患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力に12レター以上(1つの実施態様では、13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加がある。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内投与される。本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患を患う患者の処置法であり、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に(硝子体内)投与する工程を含み、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力の12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加によって測定されるような、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投与後の視力の改善を示す。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内投与される。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、4週間目、及び/又は8週間目、及び/又は12週間目、及び/又は16週間目、及び/又は20週間目、及び/又は24週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、それぞれ処置開始後、24週間目、及び/又は25週間目、及び/又は26週間目、及び/又は27週間目、及び/又は28週間目、及び/又は29週間目、及び/又は30週間目、及び/又は31週間目、及び/又は32週間目、及び/又は33週間目、及び/又は34週間目、及び/又は35週間目、及び/又は36週間目、及び/又は37週間目、及び/又は38週間目、及び/又は39週間目、及び/又は40週間目、及び/又は41週間目、及び/又は42週間目、及び/又は43週間目、及び/又は44週間目、及び/又は45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される。本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、新生血管型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫(DME)、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、非増殖性糖尿病網膜症(NPDR)、増殖性糖尿病網膜症(PDR)、網膜中心静脈閉塞症に続発するか、半側網膜静脈閉塞症に続発するか又は網膜分枝静脈閉塞症に続発する黄斑浮腫、網膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎、脈絡膜炎、眼内炎症に続発する(眼ヒストプラズマ症又は推定ヒストプラズマ症又は脈絡膜炎に続発をはじめとする)脈絡膜血管新生(CNV);近視性脈絡膜血管新生(mCNV)、並びに、外傷、未熟児網膜症、及び虹彩ルベオーシス/血管新生緑内障に続発する脈絡膜血管新生の群から選択される。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫(DME)である。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫(DME)であり、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後、約9~15カ月目(1つの実施態様では9~14カ月目、1つの実施態様では9~12カ月目)に測定される。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫(DME)であり、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、36週間目、及び/又は37週間目、及び/又は38週間目、及び/又は39週間目、及び/又は40週間目、及び/又は41週間目、及び/又は42週間目、及び/又は43週間目、及び/又は44週間目、及び/又は45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される。
これらの時点は極めて早期であり、典型的には、血管新生型加齢黄斑変性では約6~9カ月目、糖尿病黄斑浮腫では9~12カ月目までは、最大の増加には到達しない。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)又は新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)である。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)又は新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)であり、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後、約9~15カ月目に測定される(1つの実施態様では6~9カ月目、1つの実施態様では6~12カ月目)。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)又は新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)であり、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、24週間目、及び/又は25週間目、及び/又は26週間目、及び/又は27週間目、及び/又は28週間目、及び/又は29週間目、及び/又は30週間目、及び/又は31週間目、及び/又は32週間目、及び/又は33週間目、及び/又は34週間目、及び/又は35週間目、及び/又は36週間目、及び/又は37週間目、及び/又は38週間目、及び/又は39週間目、及び/又は40週間目、及び/又は41週間目、及び/又は42週間目、及び/又は43週間目、及び/又は44週間目、及び/又は45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、ヒトVEGFとヒトANG2とに結合する二重特異的抗体は、ヒトVEGFに特異的に結合する第一の抗原結合部位と、ヒトANG-2に特異的に結合する第二の抗原結合部位とを含む、二重特異的で二価の抗VEGF/ANG2抗体であり、ここで
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号1のCDR3H領域、配列番号2のCDR2H領域、及び配列番号3のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号4のCDR3L領域、配列番号5のCDR2L領域、及び配列番号6のCDR1L領域を含み;
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号9のCDR3H領域、配列番号10のCDR2H領域、及び配列番号11のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12のCDR3L領域、配列番号13のCDR2L領域、及び配列番号14のCDR1L領域を含み;
iii)二重特異的抗体は、突然変異I253A、H310A、及びH435Aと、突然変異L234A、L235A、及びP329G(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)とを含むヒトIgG1サブクラスの重鎖定常領域を含む。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患を患う患者は、抗VEGF抗体による処置(例えば、単独療法)を以前に受けたことがない(未処置である)。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患を患う患者は、抗VEGF抗体による処置(例えば、単独療法)を以前に受けたことがある。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に一定した8週間毎の(Q8W)投薬計画を含む。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に一定した12週間毎の(Q12W)投薬計画を含む。本発明の1つの実施態様では、処置開始後、一定したQ12Wの投薬計画の前に、初回の1用量のQ8Wのサイクルがある。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む。本発明の1つの実施態様では、このような投薬計画は、患者の疾患状態に応じて、患者がQ4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む。本発明の1つの実施態様では、安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される。
本発明の1つの実施態様では、眼血管疾患は加齢黄斑変性であり、加齢黄斑変性を患う患者の処置は、処置開始後に、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む。本発明の1つの実施態様では、このような投薬計画は、患者の疾患状態に応じて、患者がQ4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む。本発明の1つの実施態様では、安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される。
ベースラインから経時的に24週目まで処置された糖尿病黄斑浮腫患者(未処置の患者)の最高矯正視力(BCVA)の変化。VA2は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mg又は1.5mgの用量が硝子体内に投与される)を指し、RBZはラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が硝子体内に投与される)を指す。 スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD OCT)によって測定される中心窩領域網膜厚(CST)。ベースラインから経時的に24週目まで処置された糖尿病黄斑浮腫患者(未処置の患者)の中心窩領域網膜厚の変化。配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mg又は1.5mgの用量が硝子体内に投与される)を、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が硝子体内に投与される)と比較した。 5レター以上減少した最高矯正視力と50μm以上増加した中心窩領域網膜厚の両方によって評価される疾患活動性に基づいて、必要とされる再処置までの時間(投薬が停止された後(20週間後又は6カ月間毎の用量=最後の硝子体内(IVT)投与後の時間))。配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mg又は1.5mgの用量が硝子体内に投与される)を、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が硝子体内に投与される)と比較した。 公表されている結果に基づいた、糖尿病黄斑浮腫の他の処置選択肢との図による比較(比較する薬剤ルセンティス(登録商標)(ラニビズマブ)、アイリーア(登録商標)(アフリベルセプト)、ブロルシズマブ、及びVA2(RO6867461/RG7716))。 新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)患者における12週間間隔及び16週間間隔で投与される、二重特異的抗体RO6867461の評価のための治験設計の概観。 二重特異的抗体RO6867461(配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む)(6.0mgが12週間間隔及び16週間間隔で硝子体内に投与される)と、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が4週間間隔で硝子体内に投与される)を比較した、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)患者のベースラインからの最高矯正視力の増加。 二重特異的抗体RO6867461(配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む)(6.0mgが硝子体内に12週間間隔及び16週間間隔で投与される)と、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が4週間間隔で硝子体内に投与される)を比較した、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)患者のベースラインの中心窩領域網膜厚(OCTを介して測定される)の変化。
発明の詳細な説明
本発明の1つの態様によると、眼血管疾患を患う患者の処置法が提供され、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に投与する工程を含み、
該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患を患う患者の処置法であり、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に投与する工程を含み、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力に12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加がある。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患を患う患者の処置法であり、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に投与する工程を含み、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力の12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加によって測定されるような、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投与後の視力の改善を示す。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、4週間目、及び/又は8週間目、及び/又は12週間目、及び/又は16週間目、及び/又は20週間目、及び/又は24週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、24週間目、及び/又は25週間目、及び/又は26週間目、及び/又は27週間目、及び/又は28週間目、及び/又は29週間目、及び/又は30週間目、及び/又は31週間目、及び/又は32週間目、及び/又は33週間目、及び/又は34週間目、及び/又は35週間目、及び/又は36週間目、及び/又は37週間目、及び/又は38週間目、及び/又は39週間目、及び/又は40週間目、及び/又は41週間目、及び/又は42週間目、及び/又は43週間目、及び/又は44週間目、及び/又は45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される。本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、前記方法は、再処置までの時間を延長するために及び/又は視力低下までの時間を延長するために使用され、前記二重特異的抗体を用いての再処置は、
(1つの実施態様ではスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を使用して)50μm以上の中心窩領域網膜厚の増加;及び/又は
5レター以上の最高矯正視力(BCVA/ETDRS)の減少
として決定された疾患活動性の場合に投与される。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体であり、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患を患う患者の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体であり、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力に12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加がある。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患を患う患者の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体であり、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力の12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加によって測定されるような、二重特異的VEGF/ANG2抗体の(硝子体内)投与後の視力の改善を示す。1つの実施態様では、二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、4週間目、及び/又は8週間目、及び/又は12週間目、及び/又は16週間目、及び/又は20週間目、及び/又は24週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、このような二重特異的抗体(使用するための)は、再処置までの時間を延長するために及び/又は視力低下までの時間を延長するために使用され、ここで、該二重特異的抗体を用いての再処置は、
(1つの実施態様ではスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を使用して)50μm以上の中心窩領域網膜厚(CST)の増加;及び/又は
5レター以上の最高矯正視力(BCVA/ETDRS)の減少
として決定された疾患活動性の場合に投与される。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体を含む医薬品又は医薬製剤であり、ここで、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患を患う患者の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体を含む医薬品又は医薬製剤であり、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力に12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加がある。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患を患う患者の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体を含む医薬品又は医薬製剤であり、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力の12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加によって測定されるような、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体の(硝子体内)投与後の視力の改善を示す。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、4週間目、及び/又は8週間目、及び/又は12週間目、及び/又は16週間目、及び/又は20週間目、及び/又は24週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、このような医薬品又は医薬製剤は、再処置までの時間を延長するために及び/又は視力低下までの時間を延長するために使用され、ここで、二重特異的抗体を用いての再処置は、
(1つの実施態様ではスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を使用して)50μm以上の中心窩領域網膜厚(CST)の増加;及び/又は
5レター以上の最高矯正視力(BCVA/ETDRS)の減少
として決定された疾患活動性の場合に投与される。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患の処置に使用するための医薬品の製造のための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の使用であり、ここで、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患の処置に使用するための医薬品の製造のための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の使用であり、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力に12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加がある。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様は、眼血管疾患の処置に使用するための医薬品の製造のための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の使用であり、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力の12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加によって測定されるような、二重特異的VEGF/ANG2抗体の(硝子体内)投与後の視力の改善を示す。1つの実施態様では、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、4週間目、及び/又は8週間目、及び/又は12週間目、及び/又は16週間目、及び/又は20週間目、及び/又は24週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される。
本発明の1つの実施態様では、医薬品は、再処置までの時間を延長するために及び/又は視力低下までの時間を延長するために使用され、ここで、該二重特異的抗体を用いての再処置は、
(1つの実施態様ではスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を使用して)50μm以上の中心窩領域網膜厚(CST)の増加;及び/又は
5レター以上の最高矯正視力(BCVA/ETDRS)の減少
として決定された疾患活動性の場合に投与される。
1つの実施態様では、このような方法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤における最高矯正視力の決定は、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)プロトコールに適応させた視力表に基づき、4メートルの距離から開始して評価される。
このような方法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤は、初回量(「処置開始」)を投与し、続いて、2回目の1用量以上の治療有効量の二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤を順次投与することを含み得る(例えば、3~7カ月間毎の投与;1つの実施態様では処置開始は3~4カ月間毎の投与を含み、1つの実施態様では処置開始は4~5カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では処置開始は4~6カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では処置開始は少なくとも4カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では処置開始は5~7カ月間毎の投与を含み、1つの実施態様では処置開始は6カ月間毎の投与を含む)。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(処置開始後)10~12週間毎に投与される。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(処置開始後)11~13週間毎に投与される。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(処置開始後)12~14週間毎に投与される。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(処置開始後)13~15週間毎に投与される。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(処置開始後)14~16週間毎に投与される。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(それぞれ、処置開始後)10~11週間毎、又は11~12週間毎、又は12~13週間毎、又は13~14週間毎、又は14~15週間毎、又は15~16週間毎に投与される。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(それぞれ、処置開始後)10週間毎、又は11週間毎、又は12週間毎、又は13週間毎、又は14週間毎、又は16週間毎に投与される。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、(各処置において)約5~7mgの用量で投与される。1つの実施態様では、二重特異的抗体は、(各処置において)6mg+/-10%の用量で投与される。1つの実施態様では、二重特異的抗体は、(各処置において)約6mgの用量で投与される(1つの実施態様では、(各処置において)6mgの用量で)。
本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、約30mg/mlの二重特異的抗体の濃度で投与される。本発明の1つの実施態様では、二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、約120mg/mlの二重特異的抗体の濃度で投与される。
「眼血管疾患」及び「血管性眼疾患」という用語は、本明細書において同義語として使用され、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、未熟児網膜症、血管新生緑内障、網膜静脈(分枝)閉塞症、中心網膜静脈閉塞症、黄斑変性、加齢黄斑変性、網膜色素変性症、網膜血管腫状増殖、黄斑部毛細血管拡張症、虚血性網膜症、虹彩血管新生、眼内血管新生、角膜血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、及び網膜変性などの、眼内血管新生症候群を含むがこれらに限定されない(Garner, A., Vascular diseases, In: Pathobiology of ocular disease, A dynamic approach, Garner, A., and Klintworth, G.K., (eds.), 2nd edition, Marcel Dekker, New York (1994), pp. 1625-1710)。本明細書において使用する眼血管障害は、新規血管の変化した又は制御不能な増殖、及び網膜又は角膜などの眼組織構造への侵入によって特徴付けられる、あらゆる病状を指す。1つの実施態様では、眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、非増殖性糖尿病網膜症(NPDR)、増殖性糖尿病網膜症(PDR)、網膜中心静脈閉塞症に続発するか、半側網膜静脈閉塞症に続発するか又は網膜分枝静脈閉塞症に続発する黄斑浮腫、網膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎、脈絡膜炎、眼内炎症に続発する(眼ヒストプラズマ症又は推定ヒストプラズマ症又は脈絡膜炎の続発をはじめとする)脈絡膜血管新生(CNV);近視性脈絡膜血管新生(mCNV)、並びに、外傷、未熟児網膜症、及び虹彩ルベオーシス/血管新生緑内障に続発する脈絡膜血管新生、並びに、他の眼科疾患(眼疾患又は眼障害が、眼血管新生、血管漏出、及び/又は網膜浮腫を伴っている)からなる群より選択される。よって、本明細書に記載の使用及び方法のための抗VEGF/ANG2二重特異的抗体は、滲出型加齢黄斑変性、新生血管型加齢黄斑変性、嚢胞様黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫、非増殖性糖尿病網膜症、増殖性糖尿病網膜症、およびぶどう膜炎、また好ましくは滲出型加齢黄斑変性、新生血管型加齢黄斑変性、また好ましくは糖尿病黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫、非増殖性糖尿病網膜症、及び増殖性糖尿病網膜症、及びまた特に滲出型加齢黄斑変性の予防及び治療に有用である。いくつかの実施態様では、眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)、(糖尿病)黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、及び糖尿病網膜症からなる群より選択される。
角膜の血管新生に関連した(又は、角膜の血管新生の原因となり得る)他の疾患/容態としては、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズによる代謝障害、アトピー性角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片、乾性角膜炎、シェーグレン症候群、酒さ性ざ瘡、フクテリン症、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂肪変性、化学熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペスウイルス感染、帯状疱疹感染、原虫感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性、周縁角質溶解、関節リウマチ、全身性ループス、多発動脈炎、外傷、ウェゲナー肉芽腫症、強膜炎、スティーブンジョンソン病、類天疱瘡、放射状角膜切開術、及び角膜移植後拒絶反応が挙げられるがこれらに限定されない。
網膜/脈絡膜の血管新生に関連した(又は、網膜/脈絡膜の血管新生の原因であり得る)疾患/容態としては、糖尿病性網膜症、黄斑変性、鎌状赤血球貧血、類肉腫、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫、ページェット病、静脈閉塞症、動脈閉塞症、頸動脈閉塞症、慢性ぶどう膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、網膜色素変性症、網膜浮腫(黄斑浮腫を含む)、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎/脈絡膜炎を引き起こす感染症、推定眼ヒストプラズマ症、ベスト病、近視、視神経(乳頭)小窩、シュツットガルト病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラスマ症、外傷、及びレーザー後合併症が挙げられるがこれらに限定されない。他の疾患としては、ルベオーシス(隅角の血管新生)に関連した疾患、及び全ての病型の増殖性硝子体網膜症を含む血管結合組織又は線維組織の異常な増殖によって引き起こされる疾患が挙げられるがこれらに限定されない。
未熟児網膜症(ROP)は、未熟児に発症する眼の疾患である。それは網膜血管の無秩序な増殖によって引き起こされると考えられており、これにより、瘢痕及び網膜剥離が起こり得る。未熟児網膜症は軽度である場合もあり、自然に回復する場合もあるが、深刻な症例では(全)盲に至る場合もある。したがって、全ての早産の赤ちゃんは、未熟児網膜症の危険があり、出生時の非常に少ない体重は、追加のリスク因子である。酸素中毒及び相対的な低酸素症のどちらも、未熟児網膜症の発症の原因となる可能性がある。
黄斑変性は、高齢者に主に見られる病状であり、網膜の黄斑領域として知られる眼の内境界膜の中心では、剥離、萎縮、及び場合によって出血が起こる。これにより中心視野の欠損が起こる可能性があり、それは、細かい事を見ることができないか、読書することができないか、又は顔を認識することができないことを伴う。米国眼科学会によると、それは、米国において、今日、50歳以上の人々にとって中心視野欠損(盲目)の主因である。より若年者の個体に発症するいくつかの黄斑ジストロフィーは時に、黄斑変性と称され、該用語は一般的に、加齢黄斑変性(AMD又はARMD)と称される。
本明細書において使用する「加齢黄斑変性(AMD)」は、黄斑として知られる網膜の小さな中心部分が悪化した場合の深刻な眼の容態を指す。AMDは、滲出型AMD及び新生血管型AMDを含む。滲出型AMD(滲出型AMD、すなわちwAMD、又は、新生血管型AMD、すなわちnAMDとも呼ばれる)は、黄斑下の脈絡膜からの異常な血管の増殖によって特徴付けられる。これは、脈絡膜血管新生と呼ばれる。これらの血管は、血液及び液体を(下に及び)網膜に漏出し、(網膜の上昇及び)直線が波状に見える視覚の歪み、並びに、盲点及び中心視野欠損を引き起こす。これらの異常な血管は最終的に瘢痕を形成し、それにより、中心視野の恒久的な欠損が起こる。加齢黄斑変性の症状としては、視野の中心における暗くかすんだ領域;及び、消失したか又は変化した色覚が挙げられる。加齢黄斑変性は、通常の眼検査で検出することができる。黄斑変性の最も一般的な初期の兆候の1つは、網膜下の小さな黄色の沈着物であるドルーゼン、及び色素塊の存在である。
顕著な視力低下に関与する進行性加齢黄斑変性は、ドライ型及び滲出型という2つの病型を有する。ドライ型進行性加齢黄斑変性である中心部地図上萎縮は、網膜下の網膜色素上皮層の萎縮から生じ、これにより、眼の中心部における光受容体(桿体及び錐体)の減少を通した、視力の低下が引き起こされる。この容態のための処置は全く得ることができないので、高用量の抗酸化剤、ルテイン、及びゼアキサンチンと共にビタミンサプリメントが、国立眼病研究所及びその他によって、ドライ型黄斑変性の進行を緩徐化し、幾人かの患者においては視力を改善することが実証されている。
網膜色素変性症(RP)は、遺伝性眼容態の一群である。網膜色素変性症の症状の進行では、夜盲が一般的に、視野狭窄より数年間又はさらには数十年間前に起こる。網膜色素変性症を有する多くの人々は、40代又は50代までは法的盲にはならず、全生涯を通じていくらかの視力を保持する。その他の人々は、網膜色素変性症から完全に盲目となり、場合によっては早くも小児においてなる。網膜色素変性症の進行は、各症例において異なる。網膜色素変性症は、網膜の光受容体(桿体及び錐体)又は網膜色素上皮(RPE)の異常により、進行的な視力の低下に至る、遺伝性障害の一群である、一種の遺伝性網膜ジストロフィーである。罹患した個体にまず、暗順応の異常又は鳥目(夜盲症)が起こり、続いて、周辺の視野の減少(視野狭窄症としても知られる)及び時には疾患の経緯の後期に中心視野の欠損が起こる。
黄斑浮腫は、良好な視力に関与する網膜の中心領域である、眼の黄斑の上又は下に、液体及びタンパク質の沈着物が集まり、網膜の肥厚及び膨潤が引き起こされる場合に起こる。膨潤は、ヒトの中心視野を歪める可能性がある。なぜなら、黄斑は、眼球の後の網膜の中心近くにあるからである。この領域は、シャープで明瞭な中心視野をもたらすことにより、視線上に直接ある形状、色、及び詳細をヒトが見ることを可能とする、緻密に詰まった錐体を保有する。嚢胞様黄斑浮腫は、嚢胞の形成を含む、一種の黄斑浮腫である。
本明細書において使用する「糖尿病黄斑浮腫」(DME)は、糖尿病(1型又は2型)を有する人々に発症する深刻な眼の容態を指す。黄斑浮腫は、網膜内の血管が黄斑に漏出し、眼の黄斑の上又は下に、液体及びタンパク質の沈着物が集まり、網膜の肥厚及び膨潤(浮腫)を引き起こす場合に起こる。膨潤は、ヒトの中心視野を歪める可能性がある。なぜなら、黄斑は、眼球の後の網膜の中心近くにあるからである。糖尿病黄斑浮腫の主な症状としては、かすみ目、飛蚊症、コントラスト視力の低下、複視、及び最終的な視力の低下が挙げられるがこれらに限定されない。糖尿病黄斑浮腫の病態は、通常は網膜内への液体の移動を防ぐ内側血液網膜関門が破壊され、これにより網膜組織内に液体が蓄積することが可能となること、及び網膜肥厚の存在によって特徴付けられる。糖尿病黄斑浮腫は現在、ヒトが標準視力表上の読むことができる最小の文字を測定する視力検査、疾患の兆候について調べる散瞳検査、光干渉断層計(OCT)又はフルオレセイン血管造影法(FA)などの造影検査、及び眼内圧を測定する機器である眼圧測定からなる、眼検査中に診断される。以下の試験もまた、処置を決定するために実施される:光干渉断層計(OCT)、フルオレセイン血管造影法、及びカラーステレオ眼底写真。糖尿病黄斑浮腫は概括的に、局所性及びびまん性という、2つの大きなカテゴリーに特徴付けられ得る。局所性の糖尿病黄斑浮腫は、黄斑内に十分な血流を有する、黄斑内における離れたかつ明確に異なる特定の漏出領域によって特徴付けられる。びまん性糖尿病黄斑浮腫は、眼の内側血液網膜関門の破壊から生じた、黄斑を囲む全毛細血管床の漏出から生じる。局所性及びびまん性の他に、糖尿病黄斑浮腫はまた、臨床検査所見に基づいて、臨床的に重要な黄斑浮腫(CSME)、臨床的に重要ではない糖尿病黄斑浮腫、及び中心窩を含む中心窩に併発する糖尿病黄斑浮腫(CSME-CI)に分類される。本発明は、上記のカテゴリーの糖尿病黄斑浮腫を処置する方法を含む。
最高矯正視力(BCVA)は、(糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して)4メートルの距離での糖尿病性網膜症早期治療研究[ETDRS]プロトコールから適応させた方法を使用して、それぞれのレタースコアを出して、決定される。
疾患活動性は、例えば、BCVA/ETDRレタースコアの減少を介して、及び/又は、中心窩領域網膜厚(CST)(中心窩下中心厚としても知られる)としての黄斑の中心を含むスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)による黄斑肥厚を介して決定される。1つの好ましい実施態様では、中心窩領域網膜厚(CST)は、スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を使用して決定される。1つの好ましい実施態様では、中心窩領域網膜厚は、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定され;1つの好ましい実施態様では、中心窩領域網膜厚は、Cirrus(シーラス)(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定され;1つの実施態様では、中心窩領域網膜厚は、Topcon(トプコン)(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定され;1つの実施態様では、中心窩領域網膜厚は、Optvue(オプトビュー) (商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定される。本明細書において使用する「を患う患者」という用語は、本明細書に記載のような眼血管疾患の1つ以上の症状若しくは徴候を示す、及び/又は本明細書に記載のような眼血管疾患であると診断されたヒトを指す。「を患う患者」という用語はまた、処置前に、眼血管疾患の1つ以上の徴候、例えば、網膜血管形成、血管新生、血管漏出、中心窩の網膜肥厚、隣接する網膜の肥厚を伴う硬く黄色な中心窩の滲出液、及び少なくとも1乳頭面積の網膜肥厚(そのどの部分も、中心窩の1乳頭径以内である)、かすみ目、飛蚊症、コントラスト視力の低下、複視、及び最終的な視力の低下を示す(又は示したことがある)、例えば被験者も含み得る。
本明細書において使用する「を患う患者」という用語はまた、糖尿病黄斑浮腫若しくは加齢黄斑変性により罹りやすいか、又は、糖尿病黄斑浮腫に関連しているか若しくは加齢黄斑変性に関連しているバイオマーカーの上昇したレベルを示し得る、個体群のサブセットを含み得る。例えば、「それを必要とする被験者」は、10年間以上糖尿病を患っているか、頻繁に高い血糖値又は高い空腹時血糖値を示す、被験者を含み得る。特定の実施態様では、「を患う患者」という用語は、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体の投与前又は投与時に、糖尿病を有しているか又は糖尿病と診断されている、被験者を含む。特定の実施態様では、「を患う患者」という用語は、抗VEGF/ANG2抗体の投与前又は投与時に、50歳を超える年齢である被験者を含む。いくつかの実施態様では、「を患う患者」という用語は、喫煙者である被験者、又は高血圧若しくは高コレステロールを有する被験者を含む。
本発明は、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体(又は、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体を含む医薬品又は医薬製剤)の治療有効量をそれを必要とする被験者に投与する工程を含む、眼血管疾患を治療するためであるか、予防するためであるか、又はその重症度を低減するための、方法又は二重特異的抗体(使用するための)、医薬品又は医薬製剤を含み、ここで、このような二重特異的抗VEGF/ANG2抗体を含む二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、例えば、特定の治療投薬処方計画の一部として、複数の用量で、被験者に(硝子体内)投与される。
本発明の1つの実施態様は、本明細書に記載のような処置法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤であり、ここでの眼血管疾患を患う患者は、以前に抗VEGF抗体による処置(例えば単独療法)を受けたことがなかった(未処置である)。
本発明の1つの実施態様は、本明細書に記載のような処置法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤であり、ここでの眼血管疾患を患う患者は、以前に抗VEGF抗体による処置(例えば単独療法)を受けたことがあった。
本発明の1つの実施態様は、本明細書に記載のような処置法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤であり、ここでの眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後の一定した8週間毎(Q8W)の投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は、5~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)。
本発明の1つの実施態様は、本明細書に記載のような処置法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤であり、ここでの眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後の一定した12週間毎(Q12W)の投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は、5~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)。1つの実施態様では、処置開始後、一定したQ12Wの投薬計画の前に、初回の1用量のQ8Wのサイクルがある。
本発明の1つの実施態様は、本明細書に記載のような処置法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤であり、ここでの眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は3~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は3~5カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は、少なくとも4カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は4~6カ月間毎の投与を含む)。1つの実施態様では、このような投薬計画は、患者が、患者の疾患状態に応じて、Q4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む。1つの実施態様では、安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST)、
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST)、
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される。
1つの実施態様では、安定して疾患が存在しないことは、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μm未満である(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μm未満;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μm未満)
として決定され、疾患活動性は、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μmを超える(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μmを超える;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μmを超える)
として決定される。
本発明の1つの実施態様は、本明細書に記載のような処置法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤であり、ここでの眼血管疾患は加齢黄斑変性(1つの実施態様では滲出型加齢黄斑変性)であり、加齢黄斑変性(1つの実施態様では滲出型加齢黄斑変性)を患う患者の処置は、処置開始後に、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は3~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は3~5カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は、少なくとも4カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は4~6カ月間毎の投与を含む)。1つの実施態様では、このような投薬計画は、患者が、患者の疾患状態に応じて、Q4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む。1つの実施態様では、安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される。
1つの実施態様では、安定して疾患が存在しないことは、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μm未満である(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μm未満;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μm未満)
として決定され、疾患活動性は、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μmを超える(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μmを超える;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μmを超える)
として決定される。
1つの実施態様では、このような方法、使用、二重特異的抗体(使用するための)、医薬品、又は医薬製剤における眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(新生血管型加齢黄斑変性)である。
本明細書において使用する「抗体」は、抗原結合部位を含む結合性タンパク質を指す。本明細書において使用する「結合部位」又は「抗原結合部位」という用語は、リガンドが実際に結合する抗体分子の領域(群)を示す。「抗原結合部位」という用語は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)と抗体軽鎖可変ドメイン(VL)(VH/VL対)を含む。
抗体特異性は、抗原の特定のエピトープに対する抗体の選択的認識を指す。天然抗体は、例えば、単一特異的である。
本発明による「二重特異的抗体」は、2つの異なる抗原結合特異性を有する抗体である。本発明の抗体は、第一抗原としてのVEGFと、第二抗原としてのANG-2という、2つの異なる抗原に対して特異的である。
本明細書において使用する「単一特異的」抗体という用語は、その各々が、同じ抗原の同じエピトープに結合する、1つ以上の結合部位を有する、抗体を示す。
本出願内で使用されるような「価」という用語は、抗体分子内の特定の数の結合部位の存在を示す。したがって、「二価」、「四価」及び「六価」という用語は、抗体分子内における、それぞれ、2つの結合部位、4つの結合部位、及び6つの結合部位の存在を示す。本発明による二重特異的抗体は好ましくは「二価」である。
本明細書において使用する「ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)に結合する二重特異的抗体」、「二重特異的抗VEGF/ANG2抗体」及び「二重特異的<VEGF/ANG2>抗体」という用語は同義語であり、VEGFに結合する第一の抗原結合部位と、ANG2に結合する第二の抗原結合部位という、少なくとも2つの異なる抗原結合部位を有する抗体を指す。
二重特異的抗VEGF/ANG2抗体は、例えば、国際公開公報第2010040508号、国際公開公報第2011/117329号、国際公開公報第2012/131078号、国際公開公報第2015/083978号、国際公開公報第2017/197199号、及び国際公開公報第2014/009465号に記載されている。国際公開公報第2014/009465号は、眼血管疾患の処置のために特別に設計された二重特異的抗VEGF/ANG2抗体を記載している。国際公開公報第2014/009465号(これはその全体が本明細書に組み入れられる)の二重特異的抗VEGF/ANG2抗体は、本明細書に記載のような眼血管疾患の処置及び処置計画に特に有用である。
1つの実施態様では、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)に結合する二重特異的抗体は、ヒトVEGFに特異的に結合する第一の抗原結合部位と、ヒトANG-2に特異的に結合する第二の抗原結合部位とを含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体であり、ここで
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号1のCDR3H領域、配列番号2のCDR2H領域、及び配列番号3のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号4のCDR3L領域、配列番号5のCDR2L領域、及び配列番号6のCDR1L領域を含み;
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号9のCDR3H領域、配列番号10のCDR2H領域、及び配列番号11のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12のCDR3L領域、配列番号13のCDR2L領域、及び配列番号14のCDR1L領域を含み;
iii)二重特異的抗体は、突然変異I253A、H310A、及びH435Aと、突然変異L234A、L235A、及びP329G(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)とを含むヒトIgG1サブクラスの重鎖定常領域を含む。
1つの実施態様では、このような二重特異的抗VEGF/ANG2抗体は二価である。
1つの実施態様では、このような二重特異的抗VEGF/ANG2抗体は、
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号7のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号8のアミノ酸配列を含み、
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号15のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号16のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
本発明の1つの態様では、本発明によるこのような二重特異的で二価の抗体は、
a)VEGFに特異的に結合する第一の完全長の抗体の重鎖及び軽鎖;
b)ANG-2に特異的に結合する第二の完全長の抗体の改変された重鎖及び改変された軽鎖(ここでの定常ドメインCL及びCH1は、互いに交換されている)
を含むことを特徴とする。
ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)に特異的に結合する二重特異的抗体のためのこの二重特異的で二価の抗体フォーマットは、国際公開公報第2009/080253号に記載されている(ノブ・イントゥ・ホール型の改変されたCH3ドメインを含む)。この二重特異的で二価の抗体フォーマットに基づいた抗体は、交差モノクローナル抗体(CrossMAb)と命名されている。
1つの実施態様では、このような二重特異的で二価の抗VEGF/ANG2抗体は、
a)第一の完全長抗体の重鎖としての配列番号17のアミノ酸配列、及び第一の完全長抗体の軽鎖として配列番号18のアミノ酸配列、並びに
b)第二の完全長抗体の改変された重鎖としての配列番号19のアミノ酸配列、及び第二の完全長抗体の改変された軽鎖としての配列番号20のアミノ酸配列
を含むことを特徴とする。
1つの実施態様では、このような二重特異的で二価の抗VEGF/ANG2抗体は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。1つの好ましい実施態様では、二重特異的で二価の抗VEGF/ANG2抗体はファリシマブである。
したがって、本発明の1つの実施態様は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第一の抗原結合部位と、ヒトANG-2に特異的に結合する第二の抗原結合部位とを含む、二重特異的で二価の抗体である。1つの好ましい実施態様では、二重特異的で二価の抗VEGF/ANG2抗体はファリシマブである。
1つの実施態様では、本発明による二重特異的で二価の抗体のCH3ドメインは、例えば、国際公開公報第96/027011号、Ridgway J.B., et al., Protein Eng 9 (1996) 617-621;及びMerchant, A.M., et al., Nat Biotechnol 16 (1998) 677-681において数例を用いて詳述されている、「ノブ・イントゥ・ホール」技術によって改変されている。この方法では、2つのCH3ドメインの相互作用表面は、これらの2つのCH3ドメインを含有している両方の重鎖のヘテロ二量体化を増加させるように改変されている。(2本の重鎖の)2つのCH3ドメインは各々「ノブ」となることができ、一方、他方は「ホール」である。ジスルフィド橋の導入は、ヘテロ二量体を安定化させ(Merchant, A.M, et al., Nature Biotech 16 (1998) 677-681; Atwell, S., et al. J. Mol. Biol. 270 (1997) 26-35)、収量を増加させる。
本発明の好ましい態様では、本発明による二重特異的抗VEGF/ANG2抗体は、
一方の重鎖のCH3ドメイン及び他方の重鎖のCH3ドメインが各々、抗体のCH3ドメイン間の元来の界面を含む界面において接触し;
ここで、該界面は、二重特異的抗体の形成を促進するように改変されており、ここでの改変は、
a)一方の重鎖のCH3ドメインは改変され、
これにより、二重特異的抗体内の一方の重鎖のCH3ドメインの元来の界面に接触する、他方の重鎖のCH3ドメインの元来の界面内で、
アミノ酸残基が、より大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、これにより、一方の重鎖のCH3ドメインの界面内に突起を生じ、これは、他方の重鎖のCH3ドメインの界面内の空洞内に位置することができ、そして
b)他方の重鎖のCH3ドメインは改変され、
これにより、二重特異的抗体内の第一のCH3ドメインの元来の界面と接触する、第二のCH3ドメインの元来の界面内で、
アミノ酸残基が、より小さな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、これにより、第二のCH3ドメインの界面内に空洞を生じ、この中に、第一のCH3ドメインの界面内の突起が位置することができる
ことを特徴とする。
したがって、本明細書に記載の使用のための二重特異的抗VEGF/ANG2抗体は好ましくは、
a)の完全長抗体の重鎖のCH3ドメイン及びb)の完全長抗体の重鎖のCH3ドメインは各々、抗体のCH3ドメイン間の元来の界面内に改変を含む、界面において接触し;
ここで、
i)一方の重鎖のCH3ドメインにおいて、
アミノ酸残基は、より大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、これにより、一方の重鎖のCH3ドメインの界面内に突起を生じ、これは、他方の重鎖のCH3ドメインの界面内の空洞内に位置することができ、そして
ii)他方の重鎖のCH3ドメインにおいて、
アミノ酸残基は、より小さな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、これにより、第二のCH3ドメインの界面内に空洞が生じ、この中に、第一のCH3ドメインの界面内の突起が位置することができる
ことを特徴とする。
好ましくは、より大きな側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)からなる群より選択される。
好ましくは、より小さな側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)からなる群より選択される。
本発明の1つの態様では、両方のCH3ドメインは、各々のCH3ドメインの対応する位置にアミノ酸としてのシステイン(C)の導入によってさらに改変され、これにより、両方のCH3ドメイン間でジスルフィド橋を形成することができる。
1つの実施態様では、二重特異的抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366Wの突然変異、及び「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S、L368A、Y407Vの突然変異を含む。例えば、一方のCH3ドメインにS354C突然変異を、他方のCH3ドメインにY349C突然変異を導入することにより、CH3ドメイン間に追加の鎖間ジスルフィド橋を使用してもよい(Merchant, A.M, et al., Nature Biotech 16 (1998) 677-681)。
別の好ましい実施態様では、二重特異的抗体は、2つのCH3ドメインの一方にS354C及びT366Wの突然変異、並びに2つのCH3ドメインの他方にY349C、T366S、L368A、Y407Vの突然変異を含む。別の好ましい実施態様では、二重特異的抗体は、2つのCH3ドメインの一方にY349C、T366Wの突然変異、及び2つのCH3ドメインの他方にS354C、T366S、L368A、Y407Vの突然変異を含む(一方のCH3ドメイン内の追加のY349C又はS354Cの突然変異と、他方のCH3ドメイン内の追加のS354C又はY349Cの突然変異は、鎖間ジスルフィド橋を形成している)(番号付けは常にKabatのEUインデックスによる)(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)))。
ヘテロ二量体化を強化するCH3改変のための他の技術は、本発明の代替法として考えられ、例えば、国際公開公報第96/27011号、国際公開公報第98/050431号、欧州特許第1870459号、国際公開公報第2007/110205号、国際公開公報第2007/147901号、国際公開公報第2009/089004号、国際公開公報第2010/129304号、国際公開公報第2011/90754号、国際公開公報第2011/143545号、国際公開公報第2012/058768号、国際公開公報第2013/157954号、及び国際公開公報第2013/096291号に記載されている。
1つの実施態様では、欧州特許第1870459A1号に記載されたヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。このアプローチは、両方の重鎖間のCH3/CH3ドメイン内の界面の特定のアミノ酸の位置において、逆の荷電を有する、荷電アミノ酸の置換/突然変異の導入に基づく。前記の多重特異的抗体についての1つの好ましい実施態様は、多重特異的抗体の一方の重鎖のCH3ドメイン内のアミノ酸R409D及びK370Eの突然変異、並びに他方の重鎖のCH3ドメイン内のアミノ酸D399K及びE357Kの突然変異である(番号付けはKabat EUインデックスによる)。
別の実施態様では、前記多重特異的抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメイン内にアミノ酸T366Wの突然変異、並びに「ホール鎖」のCH3ドメイン内にアミノ酸T366S、L368A及びY407Vの突然変異を含み、さらに「ノブ鎖」のCH3ドメイン内にアミノ酸R409D及びK370Eの突然変異、並びに「ホール鎖」のCH3ドメイン内にアミノ酸D399K及びE357Kの突然変異を含む。
1つの実施態様では、国際公開公報第2013/157953号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。1つの実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸T366Kの突然変異を含み、他方の重鎖のCH3ドメインはアミノ酸L351Dの突然変異を含む。さらなる実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインはさらに、アミノ酸L351Kの突然変異を含む。
さらなる実施態様では、他方の重鎖のCH3ドメインはさらに、Y349E、Y349D、及びL368E(1つの実施態様ではL368E)から選択されたアミノ酸の突然変異を含む。
1つの実施態様では、国際公開公報第2012/058768号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。1つの実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインはアミノ酸L351Y及びY407Aの突然変異を含み、他方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸T366A及びK409Fの突然変異を含む。さらなる実施態様では、他方の重鎖のCH3ドメインはさらに、T411位、D399位、S400位、F405位、N390位、又はK392位においてアミノ酸の突然変異を含む。1つの実施態様では、前記のアミノ酸の突然変異は、
a)T411N、T411R、T411Q、T411K、T411D、T411E及び411W、
b)D399R、D399W、D399Y及びD399K、
c)S400E、S400D、S400R及びS400K、
d)F405I、F405M、F405T、F405S、F405V及びF405W、
e)N390R、N390K及びN390D、
f)K392V、K392M、K392R、K392L、K392F及びK392E
からなる群より選択される。
さらなる実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸L351Y及びY407Aの突然変異を含み、他方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸T366V及びK409Fの突然変異を含む。さらなる実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸Y407Aの突然変異を含み、他方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸T366A及びK409Fの突然変異を含む。さらなる実施態様では、他方の重鎖のCH3ドメインはさらに、アミノ酸K392E、T411E、D399R、及びS400Rの突然変異を含む。
1つの実施態様では、国際公開公報第2011/143545号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。1つの実施態様では、国際公開公報第2011/143545号によるアミノ酸の改変は、重鎖のCH3ドメイン内の368及び409からなる群より選択された位置に導入される。
1つの実施態様では、上記のノブ・イントゥ・ホールも使用する、国際公開公報第2011/090762号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。1つの実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸T366Wの突然変異を含み、他方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸Y407Aの突然変異を含む。1つの実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸T366Yの突然変異を含み、他方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸Y407Tの突然変異を含む。
1つの実施態様では、多重特異的抗体は、IgG2アイソタイプの抗体であり、国際公開公報第2010/129304号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。
1つの実施態様では、国際公開公報第2009/089004号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。1つの実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインは、負に荷電したアミノ酸(1つの実施態様では、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D);さらなる実施態様では、K392D又はN392Dの突然変異)を用いてのK392又はN392のアミノ酸の置換を含み、他方の重鎖のCH3ドメインは、正に荷電したアミノ酸(1つの実施態様では、リジン(K)又はアルギニン(R)、さらなる実施態様では、D399K、E356K、D356K、又はE357Kの置換;もっとさらなる実施態様では、D399K又はE356Kの突然変異)を用いてのD399、E356、D356、又はE357のアミノ酸の置換を含む。さらなる実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインはさらに、負に荷電したアミノ酸(1つの実施態様では、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(E);さらなる実施態様では、K409D又はR409Dの突然変異)を用いてのK409又はR409のアミノ酸の置換を含む。さらなる実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインはさらに又は代替的には、負に荷電したアミノ酸(1つの実施態様では、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D))を用いてのK439及び/又はK370のアミノ酸の置換を含む。
1つの実施態様では、国際公開公報第2007/147901号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。1つの実施態様では、一方の重鎖のCH3ドメインはアミノ酸K253E、D282K、及びK322Dの突然変異を含み、他方の重鎖のCH3ドメインは、アミノ酸D239K、E240K、及びK292Dの突然変異を含む。
1つの実施態様では、国際公開公報第2007/110205号に記載のヘテロ二量体化アプローチが代わりに使用される。
1つの実施態様では、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体は、ヒトVEGFに特異的に結合する第一の抗原結合部位と、ヒトANG-2に特異的に結合する第二の抗原結合部位とを含む、二重特異的な抗VEGF/ANG2抗体であり、ここで、
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号1のCDR3H領域、配列番号2のCDR2H領域、及び配列番号3のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号4のCDR3L領域、配列番号5のCDR2L領域、及び配列番号6のCDR1L領域を含み;
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号9のCDR3H領域、配列番号10のCDR2H領域、及び配列番号11のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12のCDR3L領域、配列番号13のCDR2L領域、及び配列番号14のCDR1L領域を含み;
iii)二重特異的抗体は、突然変異I253A、H310A、及びH435Aと、突然変異L234A、L235A、及びP329G(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)とを含むヒトIgG1サブクラスの重鎖定常領域を含み;
iv)重鎖定常領域には、T366W突然変異が一方のCH3ドメインに含まれ、T366S、L368A、Y407Vの突然変異が他方のCH3ドメインに含まれる(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)。
1つの実施態様では、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体は、ヒトVEGFに特異的に結合する第一の抗原結合部位と、ヒトANG-2に特異的に結合する第二の抗原結合部位とを含む、二重特異的な抗VEGF/ANG2抗体であり、ここで
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号1のCDR3H領域、配列番号2のCDR2H領域、及び配列番号3のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号4のCDR3L領域、配列番号5のCDR2L領域、及び配列番号6のCDR1L領域を含み;
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号9のCDR3H領域、配列番号10のCDR2H領域、及び配列番号11のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12のCDR3L領域、配列番号13のCDR2L領域、及び配列番号14のCDR1L領域を含み;
iii)二重特異的抗体は、突然変異I253A、H310A、及びH435Aと、突然変異L234A、L235A、及びP329G(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)とを含むヒトIgG1サブクラスの重鎖定常領域を含み;
iv)重鎖定常領域には、S354C及びT366W突然変異が一方のCH3ドメインに含まれ、Y349C、T366S、L368A、及びY407Vの突然変異が他方のCH3ドメインに含まれる(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)。
1つの実施態様では、このような二重特異的な抗VEGF/ANG2抗体は二価である。
1つの実施態様では、このような二重特異的な抗VEGF/ANG2抗体は、
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号7のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号8のアミノ酸配列を含み、
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号15のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号16のアミノ酸配列を含む
ことを特徴とする。
本発明の1つの態様では、本発明によるこのような二重特異的で二価の抗体は、
a)VEGFに特異的に結合する第一の完全長抗体の重鎖及び軽鎖;
b)ANG-2に特異的に結合する第二の完全長の抗体の改変された重鎖及び改変された軽鎖(ここでの定常ドメインCL及びCH1は、互いに交換されている)
を含むことを特徴とする。
本明細書において使用する「VEGF」という用語は、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子(ヒトVEGF165の前駆配列のアミノ酸27~191:配列番号24;アミノ酸1~26は、シグナルペプチドを示す)であるヒト血管内皮増殖因子(VEGF/VEGF-A)、及びLeung, D.W., et al., Science 246 (1989) 1306-9; Houck et al., Mol. Endocrin. 5 ( 1991) 1806 -1814; Keck, P.J., et al., Science 246 (1989) 1309-12及びConnolly, D.T., et al., J. Biol. Chem. 264 (1989) 20017-24に記載のような、関連した121、189、及び206の血管内皮細胞増殖因子アイソフォームと共に、そうした増殖因子の天然の対立遺伝子形及びプロセシング形を指す。VEGFは、腫瘍及び眼内障害に関連した正常及び異常な血管形成及び血管新生の調節に関与している(Ferrara, N., et al., Endocr. Rev. 18 (1997) 4-25; Berkman, R.A.,et al., J. Clin. Invest. 91 (1993) 153-159; Brown, L.F., et al., Human Pathol. 26 (1995) 86-91; Brown, L.F., et al., Cancer Res. 53 (1993) 4727-4735; Mattern, J., et al., Brit. J. Cancer. 73 (1996) 931-934;及びDvorak, H.F., et al., Am. J. Pathol. 146 (1995) 1029-1039)。VEGFは、いくつかの入手源から単離されたホモ二量体糖タンパク質であり、いくつかのアイソフォームを含む。VEGFは、内皮細胞に対して高度に特異的な有糸分裂活性を示す。VEGFアンタゴニスト/阻害剤は、VEGFのその受容体であるVEGFRへの結合を阻害する。公知のVEGFアンタゴニスト/阻害剤は、国際公開公報第2014/009465号に記載のような二重特異的な抗VEGF/ANG2抗体を含む。
本明細書において使用する「ANG-2」という用語は、例えば、Maisonpierre, P.C., et al, Science 277 (1997) 55-60及びCheung, A.H., et al., Genomics 48 (1998) 389-91に記載されている、ヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)(あるいはANGPT2又はANG2とも略称される)(配列番号25)を指す。アンジオポエチン-1(配列番号26)及びアンジオポエチン-2は、血管内皮内に選択的に発現されている、チロシンキナーゼファミリーであるTieのリガンドとして発見された(Yancopoulos, G.D., et al., Nature 407 (2000) 242-48)。アンジオポエチンファミリーに現在、4つの確定されているメンバーが存在する。アンジオポエチン-3及び-4(Ang-3及びAng-4)は、マウス及びヒトにおいて同じ遺伝子座の広範に分岐した対応物を示し得る(Kim, I., et al., FEBS Let, 443 (1999) 353-56; Kim, I., et al., J Biol Chem 274 (1999) 26523-28)。ANG-1及びANG-2は当初、組織培養実験において、それぞれアゴニスト及びアンタゴニストとして同定された(ANG-1については、Davis, S., et al., Cell 87 (1996) 1161-69;ANG-2については、Maisonpierre, P.C., et al., Science 277 (1997) 55-60を参照されたい)。公知の全てのアンジオポエチンは主に、その受容体であるTIE2(配列番号27)に結合し、Ang-1及びAng-2のどちらも、3nMの親和性(Kd)でTIE2に結合する(Maisonpierre, P.C., et al., Science 277 (1997) 55-60)。ANG2アンタゴニスト/阻害剤は、ANG2のその受容体であるTIE2への結合を阻害する。公知のANG2アンタゴニスト/阻害剤は、国際公開公報第2014/009465号に記載のような二重特異的な抗VEGF/ANG2抗体を含む。
本発明の二重特異的抗体の抗原結合部位は、抗原に対する結合部位の親和性の度合いを変化させることに寄与する、6つの相補性決定領域(CDR)を含有している。3つの重鎖可変ドメインCDR(CDRH1、CDRH2、及びCDRH3)と、3つの軽鎖可変ドメインCDR(CDRL1、CDRL2、及びCDRL3)が存在する。CDR及びフレームワーク領域(FR)の範囲は、編集されたアミノ酸配列データベースとの比較によって決定され、そうした領域は、配列間の可変度により規定されている。
本発明の抗体は、ヒトを起源とする1つ以上の免疫グロブリンクラスに由来する免疫グロブリン定常領域を含み、このような免疫グロブリンクラスは、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEクラス、並びに、IgG及びIgAの場合には、それらのサブクラスであるIgG1及びIgG4を含む。
本明細書において使用する「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一アミノ酸組成の抗体分子の調製物を指す。
「キメラ抗体」という用語は、通常は組換えDNA技術によって調製された、ある入手源又は種に由来する可変領域、すなわち結合領域と、異なる入手源又は種に由来する定常領域の少なくとも一部とを含む、抗体を指す。マウス可変領域とヒト定常領域とを含むキメラ抗体が好ましい。本発明によって包含される他の好ましい形態の「キメラ抗体」は、定常領域が、元来の抗体の定常領域から改変又は変化して、本発明による特性、特にC1qへの結合及び/又はFc受容体(FcR)への結合に関する特性を生じたものである。このようなキメラ抗体は、「クラススイッチ抗体」とも称される。キメラ抗体は、免疫グロブリン可変領域をコードしているDNAセグメントと、免疫グロブリン定常領域をコードしているDNAセグメントとを含む、免疫グロブリン遺伝子発現産物である。キメラ抗体の作製法は、当技術分野において周知である、慣用的な組換えDNA技術及び遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えば、Morrison, S.L.,et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855; US 5,202,238 and US 5,204,244を参照されたい。
「ヒト化抗体」という用語は、フレームワーク又は「相補性決定領域」(CDR)が、親免疫グロブリンと比較して異なる特異性を有する免疫グロブリンのCDRを含むように改変されている、抗体を指す。好ましい実施態様では、マウスCDRが、ヒト抗体のフレーム領域に移植され、「ヒト化抗体」が調製される。例えば、Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323-327;及びNeuberger, M.S., et al., Nature 314 (1985) 268-270を参照されたい。特に好ましいCDRは、キメラ抗体について上述されている抗原を認識する配列を示すCDRに相当する。本発明によって包含される他の形態の「ヒト化抗体」は、定常領域が、元来の抗体の定常領域から改変又は変化し、それにより、本発明による特性、特にC1qへの結合及び/又はFc受容体(FcR)への結合に関する特性を生じているものである。
本明細書において使用する「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことを意図する。ヒト抗体は、最先端の当技術分野において周知である(van Dijk, M.A., and van de Winkel, J.G., Curr. Opin. Chem. Biol. 5 (2001) 368-374)。免疫化時に、内因的な免疫グロブリンの産生を伴うことなく、完全なレパートリーのヒト抗体又は選択されたヒト抗体を生成することができる、トランスジェニック動物(例えばマウス)においても、ヒト抗体を産生することができる。このような生殖系列突然変異体マウスへのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの導入により、抗原によるチャレンジ時にヒト抗体が産生されるだろう(例えば、Jakobovits, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 2551-2555; Jakobovits, A., et al., Nature 362 (1993) 255-258; Brueggemann, M., et al., Year Immunol. 7 (1993) 33-40を参照されたい)。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーにおいて作製されてもよい(Hoogenboom, H.R., and Winter, G., J. Mol. Biol. 227 (1992) 381-388; Marks, J.D., et al., J. Mol. Biol. 222 (1991) 581-597)。Cole, A., et al.及びBoerner, P., et al.の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Cole, A., et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Liss, A.L., p. 77 (1985);及びBoerner, P., et al., J. Immunol. 147 (1991) 86-95)。本発明に記載のキメラ抗体及びヒト化抗体についてすでに記載されているように、本明細書において使用する「ヒト抗体」という用語はまた、例えば、「クラススイッチ」、すなわちFc部分の変化又は突然変異(例えばIgG1からIgG4へ及び/又はIgG1/IgG4の突然変異)によって、本発明に記載の特性、特にC1qへの結合及び/又はFcRへの結合に関する特性を生じるように定常領域が改変されている、このような抗体も含む。
本明細書において使用する「組換え抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作出、又は単離されている全てのヒト抗体、例えば、NS0細胞若しくはCHO細胞などの宿主細胞から単離されたか又はヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離された抗体、又は宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体を含むことを意図する。このような組換え抗体は、再編成された形態の可変領域及び定常領域を含む。本発明による組換え抗体は、インビボでの体細胞超突然変異にかけられている。したがって、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列及びVL配列に由来しかつ関連しているが、インビボにおいてヒト抗体生殖系列レパートリーに天然には存在しない可能性がある、配列である。
本明細書において使用する「可変ドメイン」(軽鎖の可変ドメイン(VL)、重鎖の可変ドメイン(VH))は、抗原への抗体の結合に直接関与している、軽鎖と重鎖の各対を示す。ヒト軽鎖及び重鎖の可変ドメインは、同じ一般的な構造を有し、各ドメインは、3つの「超可変領域」(すなわち相補性決定領域(CDR))によって接続されている、その配列が広範囲に保存されている、4つのフレームワーク(FR)領域を含む。フレームワーク領域はβシート構造をとり、CDRは、βシート構造を接続しているループを形成している場合がある。各鎖内のCDRはフレームワーク領域によってその3次元構造を保ち、他の鎖のCDRと一緒に抗原結合部位を形成する。抗体の重鎖及び軽鎖のCDR3領域は、本発明に記載の抗体の結合特異性/親和性に特に重要な役割を果たし、それ故、本発明のさらなる目的を提供する。
本明細書において使用する場合の「超可変領域」又は「抗体の抗原結合部分」という用語は、抗原との結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」すなわち「CDR」に由来するアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」すなわち「FR」領域は、本明細書において定義されているような超可変領域残基以外の可変ドメイン領域である。それ故、抗体の軽鎖及び重鎖は、N末端からC末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4のドメインを含む。各鎖上のCDRは、このようなフレームワークアミノ酸によって隔てられている。特に、重鎖のCDR3は、抗原との結合に最も寄与する領域である。CDR領域及びFR領域は、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(1991)の標準的な定義に従って決定される。
「完全長抗体」という用語は、2本の「完全長抗体重鎖」と2本の「完全長抗体軽鎖」からなる抗体を示す。「完全長抗体重鎖」は、抗体のN末端からC末端の方向に、VH-CH1-HR-CH2-CH3と略称される、重鎖可変ドメイン(VH)、抗体重鎖定常ドメイン1(C1)、抗体ヒンジ領域(HR)、抗体重鎖定常ドメイン2(CH2)、及び抗体重鎖定常ドメイン3(CH3);及び場合により、サブクラスIgE抗体の場合には抗体重鎖定常ドメイン4(CH4)からなる、ポリペプチドである。好ましくは、「完全長抗体重鎖」は、N末端からC末端の方向に、VH、CH1、HR、CH2、及びCH3からなるポリペプチドである。「完全長抗体軽鎖」は、抗体のN末端からC末端の方向に、VL-CLと略称される、軽鎖可変ドメイン(VL)と抗体軽鎖定常ドメイン(CL)からなるポリペプチドである。抗体軽鎖定常ドメイン(CL)はκ(カッパ)又はλ(ラムダ)であり得る。2本の完全長抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインとの間、及び完全長抗体重鎖のヒンジ領域の間の、ポリペプチド間ジスルフィド結合を介して、互いに連結されている。典型的な完全長抗体の例は、IgG(例えばIgG1及びIgG2)、IgM、IgA、IgD、及びIgEのような天然抗体である。本発明に記載の完全長抗体は、単一の種であっても、例えばヒトに由来していても、又は、それらはキメラ化抗体又はヒト化抗体であってもよい。本発明に記載の完全長抗体は、VHとVLの対によって各々が形成されている2つの抗原結合部位を含み、それらはどちらも同じ抗原に特異的に結合する。前記の完全長抗体の重鎖又は軽鎖のC末端は、前記の重鎖又は軽鎖のC末端における最後のアミノ酸を示す。前記の完全長抗体の重鎖又は軽鎖のN末端は、前記の重鎖又は軽鎖のN末端における最後のアミノ酸を示す。
本出願内で使用される「定常領域」という用語は、可変領域以外の抗体のドメインの合計を示す。定常領域は、抗原との結合に直接関与していないが、様々なエフェクター機能を示す。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、抗体はIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMというクラスに分類され、これらの中のいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、IgA1、及びIgA2などのサブクラスにさらに分類され得る。抗体の異なるクラスに相当する重鎖定常領域は、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。5つ全ての抗体クラスに認めることのできる軽鎖定常領域は、κ(カッパ)及びλ(ラムダ)と呼ばれる。
本出願において使用される「ヒト起源に由来する定常領域」又は「ヒト定常領域」という用語は、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、若しくはIgG4のヒト抗体の重鎖定常領域、及び/又は軽鎖定常領域κ又はλを示す。このような定常領域は、最先端の当技術分野において周知であり、例えば、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)によって記載されている(例えば、Johnson, G., and Wu, T.T., Nucleic Acids Res. 28 (2000) 214-218; Kabat, E.A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72 (1975) 2785-2788も参照されたい)。出願内の位置及び突然変異の番号付けについて、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(1991)に記載のEU番号付け体系(EUインデックス)が使用され、「KabatのEUインデックスによる番号付け」と称される。
1つの実施態様では、本発明に記載の二重特異的抗体は、ヒトIgG1サブクラス(ヒトIgG1サブクラスに由来)の定常領域を有する。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びC末端リジン(Lys447)は、存在していても存在していなくてもよい。
1つの実施態様では、本明細書に記載のような二重特異的抗体は、IgG1アイソタイプ/サブクラスであり、配列番号23の重鎖定常ドメイン、又は配列番号17の重鎖アミノ酸配列及び配列番号18の重鎖アミノ酸配列の定常部分を含む。1つの実施態様ではさらに、C末端グリシン(Gly446)が存在する。1つの実施態様ではさらに、C末端グリシン(Gly446)及びC末端リジン(Lys447)が存在する。
本明細書において特記されない限り、定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242に記載されているような、KabatのEUインデックスとも呼ばれる、EU番号付け体系による。
1つの実施態様では、本発明に記載の二重特異的抗体は、突然変異L234A(Leu235Ala)、L235A(Leu234Ala)及びP329G(Pro329Gly)を有するヒトIgG1サブクラスである。このような抗体は、低減したFcRへの結合を示す(特にそれらは、FcRγI、FcRγII、及びFcRγIIIに対してもはや全く結合を示さない)。これは、例えば血栓症などの起こり得る副作用を低減させるのに特に有用である(Meyer, T., et al., J. Thromb. Haemost. 7 (2009) 171-81)。
すでに記載されていたPro329Ala突然変異は、FcγRIIIaサンドイッチ相互作用の僅か3分の2しか除去しないが、本発明に記載の抗体におけるPro329Glyは、FcγRIIIに対するFc部分の結合を完全に付与する。これは特に有用である。なぜなら、FcγRIIIに対する結合は、細胞死をもたらし、癌疾患の処置において有益であり得る、ADCC(抗体依存性細胞障害)に関与するが、他の血管疾患又は免疫学的疾患の抗体を基剤とした処置において深刻な副作用を引き起こす可能性もあるからである。よって、突然変異L234A、L235A、及びP329Gを有するIgG1サブクラス、並びに突然変異S228P、L235E、及びP329Gを有するIgG4サブクラスの本発明に記載の抗体は特に有用である。なぜなら、それらはどちらも、FcRγI、FcRγII、及びFcRγIIIに対してもはや全く結合を示さないからである。
薬剤、例えば医薬製剤又は二重特異的抗VEGF/ANG2抗体の「有効量」は、所望の治療結果又は予防結果を達成するために必要とされる用量及び期間において、有効な量を指す。
本発明の1つの実施態様では、本明細書に記載のような二重特異的抗体、医薬品、又は医薬製剤は、硝子体内適用を介して、例えば硝子体内注射を介して投与される(「硝子体内」投与される)。これは、当技術分野において公知である標準的な手順に従って実施され得る。例えば、Ritter et al., J. Clin. Invest. 116 (2006) 3266-76; Russelakis-Carneiro et al., Neuropathol. Appl. Neurobiol. 25 (1999) 196-206;及びWray et al., Arch. Neurol. 33 (1976) 183-5を参照されたい。
いくつかの実施態様では、本発明の治療用キットは、医薬品又は医薬製剤に存在する記載された1用量以上の二重特異的抗体、医薬品又は医薬製剤の硝子体内注射に適した器具、及び注射を実施するための適切な対象及びプロトコールを詳述した説明書を含有していてもよい。これらの実施態様では、医薬品又は医薬製剤は典型的には、硝子体内注射を介して処置の必要な被験者に投与される。これは、当技術分野において公知である標準的な手順に従って実施され得る。例えば、Ritter et al., J. Clin. Invest. 116 (2006) 3266-76; Russelakis-Carneiro et al., Neuropathol. Appl. Neurobiol. 25 (1999) 196-206;及びWray et al., Arch. Neurol. 33 (1976) 183-5を参照されたい。
選択される投与経路に関わらず、本明細書に記載のような二重特異的抗体は、当業者には公知である慣用的な方法によって、薬学的に許容可能な剤形へと製剤化される。
Figure 0007005772000001

Figure 0007005772000002
以下において、本発明の実施態様が列挙されている:
1.眼血管疾患の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)に結合する二重特異的抗体であって、該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
2A.眼血管疾患を患う患者の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)に結合する二重特異的抗体であって、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力に12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、15レター以上)の増加がある。
2B.眼血管疾患を患う患者の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)に結合する二重特異的抗体であって、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力の12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、15レター以上)の増加によって測定されるような、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投与後の視力の改善を示す。
3.該二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)、実施態様2A~2Bのいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
4.BCVA BCVA/ETDRSのレターの増加は、処置開始後それぞれ、4週間目、及び/又は8週間目、及び/又は12週間目、及び/又は16週間目、及び/又は20週間目、及び/又は24週間目に測定される、実施態様1~3のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
5.BCVA BCVA/ETDRSのレターの増加は、処置開始後それぞれ、45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される、実施態様1~3のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
6.前記二重特異的抗体が、再処置までの時間を延長するために及び/又は視力(例えば最高矯正視力(BCVA)BCVA/ETDRS)低下までの時間を延長するために使用され、再処置は、(1つの実施態様ではスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を使用して)50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)として決定された疾患活動性の場合に必要であると思われる、実施態様1~5のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
7.前記二重特異的抗体は、処置開始後に3~7カ月間毎の投与で投与される(1つの実施態様では、処置開始は3~5カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は、4カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は5~7カ月間毎の投与を含み、1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~6のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
8.眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、新生血管型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫(DME)、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、非増殖性糖尿病網膜症(NPDR)、増殖性糖尿病網膜症(PDR)、網膜中心静脈閉塞症に続発するか、半側網膜静脈閉塞症に続発するか又は網膜分枝静脈閉塞症に続発する黄斑浮腫、網膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎、脈絡膜炎、眼内炎症に続発する(眼ヒストプラズマ症又は推定ヒストプラズマ症又は脈絡膜炎に続発をはじめとする)脈絡膜血管新生(CNV);近視性脈絡膜血管新生(mCNV)、並びに、外傷、未熟児網膜症、及び虹彩ルベオーシス/血管新生緑内障に続発する脈絡膜血管新生の群から選択される、実施態様1~7のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
9.眼血管疾患は、糖尿病黄斑浮腫(DME)である、実施態様1~7のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
10.眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)又は新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)である、実施態様1~7のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
11.VEGFとヒトANG-2とに結合する二重特異的抗体はVEGFアンタゴニスト/阻害剤及びANG2アンタゴニスト/阻害剤であるか、又はVEGFのその受容体であるVEGFRへの結合を阻害し、かつANG2のその受容体であるTIE2への結合を阻害する、実施態様1~10のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
12.前記二重特異的抗体は、10~12週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
13.前記重特異的抗体は、11~13週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
14.前記重特異的抗体は、12~14週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
15.前記重特異的抗体は、13~15週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
16.前記重特異的抗体は、14~16週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
17.ヒトVEGFとヒトANG2とに結合する二重特異的抗体は、ヒトVEGFに特異的に結合する第一の抗原結合部位と、ヒトANG-2に特異的に結合する第二の抗原結合部位とを含む、二重特異的で二価の抗VEGF/ANG2抗体であり、ここで
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号1のCDR3H領域、配列番号2のCDR2H領域、及び配列番号3のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号4のCDR3L領域、配列番号5のCDR2L領域、及び配列番号6のCDR1L領域を含み;
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号9のCDR3H領域、配列番号10のCDR2H領域、及び配列番号11のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12のCDR3L領域、配列番号13のCDR2L領域、及び配列番号14のCDR1L領域を含み;
iii)二重特異的抗体は、突然変異I253A、H310A、及びH435Aと、突然変異L234A、L235A、及びP329G(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)とを含むヒトIgG1サブクラスの重鎖定常領域を含む、実施態様1~16のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
18.i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号7のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号8のアミノ酸配列を含み、
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号15のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号16のアミノ酸配列を含む、実施態様17記載の(使用するための)二重特異的抗体。
19.ヒトVEGFとヒトANG2に結合する二重特異的抗体は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施態様18記載の(使用するための)二重特異的抗体。
20.前記二重特異的抗体は、(各処置において)約5~7mgの用量で投与される、実施態様17~19のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
21.前記二重特異的抗体は、(各処置において)約6mgの用量で投与される(1つの実施態様では、(各処置において)6mg+/-10%の用量で);(1つの実施態様では、(各処置において)約6mgの用量で)、実施態様17~19のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
22.前記二重特異的抗体は、約30mg/mlの濃度で投与される、実施態様20~21のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
23.前記二重特異的抗体は、約120mg/mlの濃度で投与される、実施態様20~21のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
24.眼血管疾患を患う患者は、抗VEGF抗体による処置(例えば単独療法)を以前に受けたことがなかった(未処置である)、実施態様1~23のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
25.眼血管疾患を患う患者は、抗VEGF抗体による処置(例えば単独療法)を以前に受けたことがあった、実施態様1~24のいずれか1つに記載の(使用するための)二重特異的抗体。
26.眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に一定した8週間毎の(Q8W)投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は5~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~25記載の(使用するための)二重特異的抗体。
27.眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に一定した12週間毎の(Q12W)投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は5~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~26記載の(使用するための)二重特異的抗体。
28.処置開始後、一定したQ12Wの投薬計画の前に、初回の1用量のQ8Wのサイクルがある、実施態様27記載の(使用するための)二重特異的抗体。
29.眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は3~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は4~6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~28記載の(使用するための)二重特異的抗体。
30.このような投薬計画は、患者の疾患状態に応じて、患者がQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む(1つの実施態様では、患者の疾患状態に応じて、Q4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬)、実施態様29記載の(使用するための)二重特異的抗体。
31.安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される、実施態様29又は30記載の(使用するための)二重特異的抗体。
32.安定して疾患が存在しないことは、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μm未満である(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μm未満;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μm未満)
として決定され、疾患活動性は、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μmを超える(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μmを超える;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μmを超える)
として決定される、実施態様29又は30記載の方法。
33.眼血管疾患は加齢黄斑変性(1つの実施態様では滲出型加齢黄斑変性)であり、加齢黄斑変性(1つの実施態様では滲出型加齢黄斑変性)を患う患者の処置は、処置開始後に(1つの実施態様では、処置開始は3~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は4~6カ月間毎の投与を含む)、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む、実施態様1~32記載の(使用するための)二重特異的抗体。
34.このような投薬計画は、患者の疾患状態に応じて、患者がQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む(1つの実施態様では、患者の疾患状態に応じて、Q4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬)、実施態様33記載の(使用するための)二重特異的抗体。
35.安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される、実施態様33又は34記載の(使用するための)二重特異的抗体。
36.安定して疾患が存在しないことは、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μm未満である(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μm未満;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μm未満)
として決定され、疾患活動性は、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μmを超える(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μmを超える;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μmを超える)
として決定される、実施態様33又は34記載の(使用するための)二重特異的抗体。
以下において、本発明の実施態様が列挙されている:
1.眼血管疾患を患う患者の処置法であり、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に投与する工程を含み、ここで前記二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)。
2A.眼血管疾患を患う患者の処置法であり、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に投与する工程を含み、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力に12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加がある。
2B.眼血管疾患を患う患者の処置法であり、該方法は、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体の有効量を患者に投与する工程を含み、ここで、該患者は、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投薬前の患者の最高矯正視力(BCVA)レタースコアと比較して、糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートを使用して測定された最高矯正視力の12レター以上(1つの実施態様では13レター以上、1つの実施態様では14レター以上、1つの実施態様では15レター以上)の増加によって測定されるような、二重特異的VEGF/ANG2抗体の投与後の視力の改善を示す。
3.前記二重特異的抗体は、8週間毎又はより少ない頻度で硝子体内に投与される(投与される予定である)(1つの実施態様では、9週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、10週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、11週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、12週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、13週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、14週間毎又はより少ない頻度で;1つの実施態様では、15週間毎又はより少ない頻度で)、実施態様2A~2Bのいずれか1つに記載の方法。
4.BCVA/ETDRSのレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、4週間目、及び/又は8週間目、及び/又は12週間目、及び/又は16週間目、及び/又は20週間目、及び/又は24週間目に測定される、実施態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.BCVA/ETDRSレタースコアのレターの増加は、処置開始後それぞれ、45週間目、及び/又は46週間目、及び/又は47週間目、及び/又は48週間目、及び/又は49週間目、及び/又は50週間目、及び/又は51週間目、及び/又は52週間目、及び/又は53週間目、及び/又は54週間目、及び/又は55週間目、及び/又は56週間目、及び/又は57週間目、及び/又は58週間目、及び/又は59週間目、及び/又は60週間目に測定される、実施態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
6.前記二重特異的抗体は、再処置までの時間を延長するために及び/又は視力低下までの時間を延長するために使用され、該二重特異的抗体を用いての再処置は、(1つの実施態様ではスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)を使用して)50μm以上の中心窩領域網膜厚(CST)の増加;及び/又は5レター以上の最高矯正視力(BCVA/ETDRS)の減少として決定された疾患活動性の場合に投与される、実施態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.前記二重特異的抗体は、処置開始後に3~7カ月間毎の投与で投与される(1つの実施態様では、処置開始は3~5カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は、4カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は5~7カ月間毎の投与を含み、1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)、新生血管型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫(DME)、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、非増殖性糖尿病網膜症(NPDR)、増殖性糖尿病網膜症(PDR)、網膜中心静脈閉塞症に続発するか、半側網膜静脈閉塞症に続発するか又は網膜分枝静脈閉塞症に続発する黄斑浮腫、網膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎、脈絡膜炎、眼内炎症に続発する(眼ヒストプラズマ症又は推定ヒストプラズマ症又は脈絡膜炎に続発をはじめとする)脈絡膜血管新生(CNV);近視性脈絡膜血管新生(mCNV)、並びに、外傷、未熟児網膜症、及び虹彩ルベオーシス/血管新生緑内障に続発する脈絡膜血管新生の群から選択される、実施態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.眼血管疾患は、糖尿病黄斑浮腫(DME)である、実施態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
10.眼血管疾患は、滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)又は新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)である、実施態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
11.VEGFとヒトANG-2とに結合する二重特異的抗体はVEGFアンタゴニスト/阻害剤及びANG2アンタゴニスト/阻害剤であるか、又はVEGFのその受容体であるVEGFRへの結合を阻害し、ANG2のその受容体であるTIE2への結合を阻害する、実施態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.前記二重特異的抗体は、10~12週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.前記二重特異的抗体は、11~13週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
14.前記二重特異的抗体は、12~14週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
15.前記二重特異的抗体は、13~15週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
16.前記二重特異的抗体は、14~16週間毎に投与される、実施態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
17.ヒトVEGFとヒトANG2とに結合する二重特異的抗体は、ヒトVEGFに特異的に結合する第一の抗原結合部位と、ヒトANG-2に特異的に結合する第二の抗原結合部位とを含む、二重特異的で二価の抗VEGF/ANG2抗体であり、ここで
i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号1のCDR3H領域、配列番号2のCDR2H領域、及び配列番号3のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号4のCDR3L領域、配列番号5のCDR2L領域、及び配列番号6のCDR1L領域を含み;
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインに、配列番号9のCDR3H領域、配列番号10のCDR2H領域、及び配列番号11のCDR1H領域、並びに、軽鎖可変ドメインに、配列番号12のCDR3L領域、配列番号13のCDR2L領域、及び配列番号14のCDR1L領域を含み;
iii)二重特異的抗体は、突然変異I253A、H310A、及びH435Aと、突然変異L234A、L235A、及びP329G(番号付けは、KabatのEUインデックスによる)とを含むヒトIgG1サブクラスの重鎖定常領域を含む、実施態様1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.i)VEGFに特異的に結合する前記の第一の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号7のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号8のアミノ酸配列を含み、
ii)ANG-2に特異的に結合する前記の第二の抗原結合部位は、重鎖可変ドメインVHとして配列番号15のアミノ酸配列、及び軽鎖可変ドメインVLとして配列番号16のアミノ酸配列を含む、実施態様17記載の方法。
19.ヒトVEGFとヒトANG2に結合する二重特異的抗体は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施態様18記載の方法。
20.前記二重特異的抗体は、(各処置において)約5~7mgの用量で投与される、実施態様17~19のいずれか1つに記載の方法。
21.前記二重特異的抗体は、(各処置において)約6mgの用量で投与される(1つの実施態様では、(各処置において)6mg+/-10%の用量で);(1つの実施態様では、(各処置において)約6mgの用量で)、実施態様17~19のいずれか1つに記載の方法
22.前記二重特異的抗体は、約30mg/mlの濃度で投与される、実施態様20~21のいずれか1つに記載の方法。
23.前記二重特異的抗体は、約120mg/mlの濃度で投与される、実施態様20~21のいずれか1つに記載の方法。
24.眼血管疾患を患う患者は、抗VEGF抗体による処置(例えば単独療法)を以前に受けたことがなかった(未処置である)、実施態様1~23のいずれか1つに記載の方法
25.眼血管疾患を患う患者は、抗VEGF抗体による処置(例えば単独療法)を以前に受けたことがあった、実施態様1~24のいずれか1つに記載の方法。
26.眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に一定した8週間毎の(Q8W)投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は5~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~25に記載の方法。
27.眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に一定した12週間毎の(Q12W)投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は5~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~26に記載の方法。
28.処置開始後、一定したQ12Wの投薬計画の前に、初回の1用量のQ8Wのサイクルがある、実施態様27記載の方法。
29.眼血管疾患は糖尿病黄斑浮腫であり、糖尿病黄斑浮腫を患う患者の処置は、処置開始後に、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む(1つの実施態様では、処置開始は3~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は4~6カ月間毎の投与を含む)、実施態様1~28記載の方法。
30.このような投薬計画は、患者の疾患状態に応じて、患者がQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む(1つの実施態様では、患者の疾患状態に応じて、Q4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬)、実施態様29記載の方法。
31.安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される、実施態様28又は29記載の方法。
32.安定して疾患が存在しないことは、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μm未満である(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μm未満;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μm未満)
として決定され、疾患活動性は、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μmを超える(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μmを超える;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μmを超える)
として決定される、実施態様28又は29記載の方法。
33.加齢黄斑変性(1つの実施態様では滲出型加齢黄斑変性)を患う患者の処置は、処置開始後に(1つの実施態様では、処置開始は3~7カ月間毎の投与を含み;1つの実施態様では、処置開始は4~6カ月間毎の投与を含む)、安定して疾患が存在しない場合には投与間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬計画を含む、実施態様1~32記載の方法。
34.このような投薬計画は、患者の疾患状態に応じて、患者がQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬を受けることを含む(1つの実施態様では、患者の疾患状態に応じて、Q4W又はQ8W又はQ12W又はQ16Wの投薬)、実施態様33記載の方法。
35.安定して疾患が存在しないことは、
-50μm未満増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター未満減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定され、疾患活動性は、
-50μm以上増加した中心窩領域網膜厚(CST);及び/又は
-5レター以上減少した最高矯正視力(BCVA/ETDRS)
として決定される、実施態様33又は34記載の方法。
36.安定して疾患が存在しないことは、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μm未満である(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μm未満;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μm未満;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μm未満)
として決定され、疾患活動性は、
-中心窩領域網膜厚(CST)が約300μmを超える(1つの実施態様では、スペクトラリス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ325μmを超える;1つの実施態様では、シーラス(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、トプコン(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ315μmを超える;1つの実施態様では、オプトビュー(商標)機器を用いたスペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)によって測定したところ295μmを超える)
として決定される、実施態様33又は34記載の方法。
実施例
ヒトVEGFとヒトANG2に結合する二重特異的抗体を用いた、眼血管疾患を患う患者の処置
実施例1A:糖尿病黄斑浮腫(DME)を患う患者の処置の有効性及び持続期間
目的
第一の目的
本治験の第一の目的は以下であった:
中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(CI-DME)を有する未処置の患者において、実薬と比較した、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、ヒトVEGFとヒトANG2とに結合する二重特異的抗体(この抗体VEGFang2-0016及びその生成は、参照により組み入れられる国際公開公報第2014/009465号にも詳述されている)の有効性を評価するため。本明細書におけるこの二重特異的抗VEGF/ANG2抗体の名称は、RO6867461又はRG7716又はVEGFang2-0016、又はファリシマブである。4週間毎に1.5mg又は6mgのいずれかの用量の硝子体内投与用のRO6867461の無菌で無色から茶色がかった保存剤を含まない溶液のバイアルを使用した。二重特異的抗体の濃度は約120mg/mlであった。
第二の目的
本治験の第二の目的は以下の通りであった:
RO6867461の作用機序に関する情報を与える、薬物動態及び解剖学的転帰を調べるため。血漿中の抗RO6867461抗体の形成を調べるため。RO6867461の効果の持続時間を探索するため。
探索的目的
本治験の探索的目的は以下の通りであった:
RO6867461の有効性に対する、以前の硝子体内への抗VEGF抗体による処置の予測される効果を探索するため。以前に硝子体内に抗VEGF抗体による処置を受けた中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫患者における、実薬と比較した、RO6867461の有効性及び安全性を評価するため。血管形成及び炎症の血漿中マーカーレベルに対するRO6867461の効果を評価するため。眼房水試料(任意)及び硝子体液(任意)中の、RO6867461の濃度、並びに試料容積が許容すれば、血管形成及び炎症のバイオマーカーを調べるため。糖尿病網膜症(DR)重症度スコアの改善を評価するため。
治験デザイン
これは、中心窩を有する糖尿病黄斑浮腫患者における、複数用量を用いる、多施設、無作為化、実薬対照、二重盲検、三群での並行群間、36週間の治験であった。この治験の3つの群は以下の通りであった:
A群:0.3mgのラニビズマブ(硝子体内)
B群:1.5mgのRO6867461(硝子体内)
C群:6mgのRO6867461(硝子体内)
片方の眼のみが治験眼として選択された。両眼が全ての適格基準を満たしている場合、より悪い最高矯正視力を有する眼が、治験眼として定められた。両眼が全ての適格基準を満たし、1日目に同じ最高矯正視力レタースコアを有している場合、治験眼の選択は、治験責任医師により判断された。
患者数
最大210人までの患者が無作為化された。
約150人の未処置の患者、及び抗VEGF抗体で硝子体内に以前に処置されたことがある約60人の患者が治験に参加した。
約50人の未処置の患者が各群(1:1:1の無作為化スキーム)に無作為化され、抗VEGF抗体で硝子体内に以前に処置された約30人の患者が、A群及びC群に無作為化された。
標的個体群
中心窩を有する糖尿病黄斑浮腫を有する、18歳以上の男性及び女性の患者。
選択基準/除外基準
選択基準
患者は、治験への参加のために以下の基準を満たしていなければならない:
治験眼ついての眼の基準:
黄斑の中心部を含む、スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)による黄斑肥厚化として定義される、糖尿病網膜症を合併した黄斑浮腫:スクリーニング時にスペクトラリス(商標)(ハイデルベルグ社)を用いて325μm以上の中心窩領域網膜厚(CST)(スペクトラリス(商標)が利用不可能である場合には、以下の機器及び中心窩領域網膜厚の閾値が許容可能であった:シーラス(商標)については315μm以上の中心窩領域網膜厚、トプコンについては315m以上の中心窩領域網膜厚、オプトビュー(商標)については295μm以上の中心窩領域網膜厚)。
1日目に糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートにおいて、73~24レター(境界値を含む)の最高矯正視力(BCVA)レタースコアを有する(スネレン指標にて20/40-20/320と同等)、糖尿病黄斑浮腫に主に起因して低下した視力。
確定診断のための良質な網膜画像の取得を可能とする、透明な透光体及び適切な瞳孔散大。
一般的基準:
世界保健機関及び/又は米国糖尿病学会によって定義されているような、糖尿病(DM:1型又は2型)の診断。
書面によるインフォームドコンセントを準備し、医薬品規制調和国際会議(ICH)及び地方条例による治験プロトコールを順守する能力も意思もあること。あるいは、法的に権限のある代表者は、医薬品規制調和国際会議及び地方条例に従って患者を承諾しなければならない。
18歳以上。
閉経後(すなわち、ホルモン補充療法を受けていないならば、卵胞刺激ホルモンによって確認された、治療により誘発されたものではない無月経が12カ月間以上)ではないか、又は禁欲を維持するために不妊手術(卵巣及び/又は子宮がない)に同意した、又は処置期間中及び最後の投薬から少なくとも4週間を通して年間1%未満の失敗率である混合型避妊法を使用する女性。
禁欲は、それが患者の好ましくかつ通常の生活様式に沿っている場合にのみ許容可能である。定期禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、排卵徴候体温法、又は排卵後法)及び膣外射精法は、許容可能な避妊法ではなかった。
年間1%未満であると予想される失敗率を示す避妊法の例としては、精管切除、ホルモン剤のインプラント、混合型経口用又は注射用ホルモン避妊薬の適正使用、及び特定の子宮内器具が挙げられる。あるいは、2つの方法(例えば、コンドーム及び子宮頸部キャップなどの2つのバリア法)を組み合わせて年間1%未満の失敗率を達成してもよく、バリア法は常に、殺精子剤の使用を補足しなければならない。
男性については、治験薬の最後の投薬後少なくとも4週間の処置期間中には、バリア避妊法を使用することに同意すること。
患者は、現在の治験の完了時まで、治験薬(IMP)又は器具を含むあらゆる他の臨床試験に参加しようとしないようにしなければならない。
除外基準
以下のいずれかの基準を満たす患者は、治験への参加から除外された:
治験眼についての眼の基準:
以下として定義されるハイリスクな増殖性糖尿病網膜症のあらゆる兆候:
あらゆる硝子体内出血又は網膜前出血。
臨床検査で散瞳薬を用いた標準的な7フィールドのETDRSと同等な領域内の乳頭面積の2分の1以上の血管新生。
臨床検査で乳頭面積の3分の1以上の血管新生。
1日目より前の3か月以内の硝子体内への抗VEGF抗体によるあらゆる処置。
1日目より前のあらゆる広範囲網膜光凝固(PRP)処置。
1日目より前の3か月以内のあらゆる黄斑レーザー光凝固。
網膜硝子体手術歴。
1日目より前の3か月以内のあらゆる硝子体内又は眼球周囲の副腎皮質ステロイドによる処置。1日目より前のどのようなIluvien(登録商標)又はオザーデックス(登録商標)インプラントの使用歴も許容されないだろう。
1日目より前の3か月以内のあらゆる白内障手術又はステロイドを用いての白内障手術の合併症の処置。
切開緑内障手術歴。
制御されていない緑内障(例えば、進行的な視野の減少、又は緑内障医薬品での処置にも関わらず25mmHg以上の眼内圧[IOP])。
治験眼における併発している眼の容態:
ルベオーシス歴
黄斑の評価を混乱させ得るか中心視力に影響を及ぼし得る、糖尿病黄斑浮腫以外のあらゆる現在の眼疾患又は眼疾患病歴(例えば、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、網膜色素線条症、ヒストプラズマ症、活動性又は非活動性のサイトメガロウイルス、病的近視、網膜剥離、黄斑牽引、黄斑円孔、重度の白内障)。
治験責任医師の意見では、黄斑浮腫の回復により視力低下は改善しないだろう、あらゆる現在の眼容態(例えば、中心窩萎縮症、色素異常、濃い中心窩の硬性白斑、網膜以外の容態)。
1日目におけるあらゆる活動性の眼感染。
1日目におけるあらゆる活動性の眼内炎症(グレードはほんのわずか又はそれより多い)。
他眼についての特徴:
1日目より前の7日間以内のあらゆる抗VEGF抗体による処置。
治験責任医師の意見では、1日目から7日間以内に抗VEGF抗体による処置を必要とし得る、あらゆる網膜の容態。
一般的な基準:
1日目より前の6カ月間以内のあらゆる全身性の抗VEGF抗体。
1日目より前の1か月間以内のあらゆる大きな病気又は大きな手術。
1日目より前の1週間以内のあらゆる熱性病。
1日目より前の12カ月間以内のあらゆる脳卒中又は心筋梗塞。
制御されていない血圧(血圧;安静時の患者において180mmHgを超える収縮期血圧及び/又は100mmHgを超える拡張期血圧として定義される)。患者の初回の解読値がこれらの数値を超える場合、2回目の解読は、同じ日の30分以上後に行なわれても、又はスクリーニング期間中の別の日に行なわれてもよい。患者の血圧が、高血圧薬によって制御される必要がある場合、患者は、1日目より前の少なくとも1か月間、同じ医薬品を連続的に摂取しているべきである。
スクリーニング時に12%を超える糖化ヘモグロビンHbA1cを有する患者。
未処置の糖尿病、又は1日目より前の4カ月以内に経口抗糖尿病薬若しくはインシュリンの開始、又は治験期間中の抗糖尿病薬の予期される変更。
1日目より前の6カ月間以内に腎移植、血液透析、若しくは腹膜透析を必要とするか、又は治験中の任意の時点において血液透析若しくは腹膜透析を必要とすることが予想される、腎不全。
他の疾患の病歴、代謝機能障害、治験薬の使用が禁忌である容態が妥当に疑われるか、又は、治験結果の解釈に影響を及ぼす可能性があるか、又は治験責任医師の意見で合併症の処置において患者をハイリスクとさせる、身体検査所見若しくは臨床検査所見。
出産可能な女性、妊娠血液検査陽性。
授乳中の女性。
1日目より前の1か月間以内の副腎皮質ステロイドの全身使用。
実薬、フルオレセイン、使用される製剤のあらゆる成分、散瞳点眼液、又は使用される任意の麻酔薬及び抗菌点眼薬に対するあらゆる既知の過敏症。
実薬の使用によるあらゆる他の制約。
1日目より前の3か月以内の治験薬を用いてのあらゆる処置。
治験の期間
治験の全期間は、以下のように参加した各患者について、最大40週間であった(スクリーニングから治験完了まで):
スクリーニング:最大4週間まで。
ベースライン:1日目。
治験処置投与期間:1日目から20週目まで。
観察期間:20週目から最大36週目まで。
安全性に関する経過観察の要求:観察期間中及びラニビズマブの投与から7日間。
治験の終了
治験の終了は、最後の患者の最後の観察(LPLO)が行なわれる日として定義された。LPLOは、最後の患者が参加してから36週間後に行なわれることが予想された。
有効性及び薬物動態の評価項目
一次分析の個体群は、未処置の患者であった。追加の分析は、全個体群において及び硝子体内への抗VEGF抗体を用いて以前に処置された患者において行なわれ得る。
この治験についての有効性の主要評価項目は、未処置の患者におけるベースラインから24週目におけるBCVA(ETDRSレター)変化の平均値であった。
SD-OCTによる解剖学的評価項目:
24週目における中心窩厚のベースラインからの変化平均値。
24週目における中心窩領域網膜厚の平均値(直径1mm)のベースラインからの変化平均値。
24週目において網膜下液及び網膜内液の消散を示した患者の比率。
眼底フルオレセイン血管造影(FFA)による解剖学的評価項目。
24週目における黄斑における漏出の消散を示した患者の比率。
24週目における中心窩無血管域のサイズのベースラインからの変化。
探索的評価項目
この治験における探索的評価項目は、以下を含んでいたがこれらに限定されなかった:
BCVA:
未処置の患者と、以前に硝子体内に抗VEGF抗体を投与された患者との間のベースラインからの最高矯正視力(BCVA)の変化の平均値の差(RO6867461の効果の差)。
持続性に関連した探索的評価項目:
20週目における数値と比較して、糖尿病黄斑浮腫に起因する50μm以上の中心窩領域網膜厚の増加及び/又は5レター以上の最高矯正視力の減少までの時間。
20週目以後の0.3mgのラニビズマブを用いての再処置までの時間。
結果
有効性の一次分析は、全ての無作為化された患者を含み、患者は無作為化時に割り当てられた処置に従って分類された。
有効性の主要変数は、ベースラインから24週目までの最高矯正視力の変化であった。有効性の主要分析は、反復測定(MMRM)モデルのための混合モデルを使用して実施された。
最高矯正視力
開始時4メートルの試験距離の最高矯正視力は、散瞳前に、治験薬群の割り当てを盲検化された、訓練された公認の視力検査員によって測定された。
最高矯正視力は、3つのプレシジョン・ビジョン(商標)又はライトハウス社の遠見視力表(改訂されたETDRSのチャート1、2及びR)のセットを使用することによって測定された。視力マニュアルが治験責任医師に提供された。視力検査員及び視力検査室の認定証は、あらゆる視力検査が実施される前に得られた。
最高矯正視力の検査員は、治験眼及び処置の割り当てに関して盲検化され、屈折及び最高矯正視力の評価(例えば、視力の仕様マニュアル)のみを実施するだろう。最高矯正視力の検査員はまた、患者の以前の来診の最高矯正視力のレタースコアに対して盲検化され、以前の来診から患者の屈折データのみを知っている。最高矯正視力の検査員は、直接的な患者の介護をはじめとするあらゆる他の仕事を実施することを許可されていなかった。
Figure 0007005772000003
有効性の主要評価項目を図1に示す。図1は、有効性の主要評価項目:すなわち、これまで未処置である患者についての、ベースラインから経時的に24週間目までの最高矯正視力の変化を示す。VA2は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mg又は1.5mgの用量が硝子体内に投与される)を指し、RBZはラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が硝子体内に投与される)を指す。
ベースラインからの中心窩領域網膜厚(CST)の変化(治験眼)
重要な第二評価項目は、中心窩領域網膜厚(CST)のベースラインからの変化であった。結果を図2に示す。配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mg又は1.5mgの用量が硝子体内に投与される)を、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が硝子体内に投与される)と比較した。この第二の解剖学的評価項目は、最高矯正視力の一次評価項目を直接支持する。
持続期間/再処置までの時間
観察期間中のラニビズマブを用いての処置の基準
治験処置の最後の投薬後(20週目の来診)の各来診時に、最高矯正視力を評価し、SD-OCT造影を実施した(26週目の来診時以外)。
24週目に得られた最高矯正視力及び中心窩領域網膜厚の数値を、20週目の来院時に得られた数値と比較した。28、32、及び36週目に得られた最高矯正視力及び中心窩領域網膜厚の数値を、24週目の数値と比較した。
患者が以下の両方の基準を満たしていれば、患者は1回量の0.3mgのラニビズマブを受け、治験を終了した:
・中心窩領域網膜厚が50μm以上増加。
・糖尿病黄斑浮腫に因り最高矯正視力が5レター以上減少。
結果を図3に示す:図3は、5レター以上減少した最高矯正視力、及び50μm以上増加した中心窩領域網膜厚の両方によって評価される疾患活動性に基づいて、投薬が中止された後(20週間後又は6カ月間毎の投薬後=最後の硝子体内(IVT)への投与後の時点)の再処置までの時間を示す。配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mg又は1.5mgの用量が硝子体内に投与される)を、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量が硝子体内に投与される)と比較した。
概観のために図4は、公表されている結果に基づいた、糖尿病黄斑浮腫の他の処置選択肢に対する図による比較を示す(以下の薬剤、ルセンティス(登録商標)(ラニビズマブ)、アイリーア(登録商標)(アフリベルセプト)、ブロルシズマブ、及びVA2(RO6867461/RG7716)を比較する)。
実施例1B:糖尿病黄斑浮腫(DME)を患う患者の処置の有効性及び持続期間
実施例1Aの下で上記されている治験と類似したさらなる治験において、糖尿病黄斑浮腫(例えば、中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(CI-DME))を患う患者を、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、ヒトVEGFとヒトANG2に結合する二重特異的抗体で処置する。処置において実薬として、例えばアフリベルセプト及び/又はラニビズマブ及び/又はブロルシズマブが使用されるだろう。患者は、抗VEGF抗体による処置を受けていない(抗VEGF抗体単独療法を用いて、例えばアフリベルセプト及び/又はラニビズマブ及び/又はブロルシズマブを用いて以前に処置されたことがない)患者、及びまた抗VEGF抗体による単独療法を以前に処置されたことがある患者群も含む。ヒトVEGFとヒトANG2に結合するそれぞれの二重特異的抗体の名称は、RO6867461又はRG7716である。1.5mg又は6mgのいずれかの用量の硝子体内投与用のRO6867461の無菌で無色から茶色がかった保存剤を含まない溶液のバイアルを使用する。
以下の1つ以上の投薬計画を使用する:
a)糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、処置(例えば、最初は6カ月間毎の注射)開始後に一定した8週間毎の投薬計画で処置されるだろう、
b)糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、処置(例えば、最初は6カ月間毎の注射)開始後に一定した12週間毎の投薬(1つの計画では、まず1サイクルの8週間毎の投薬を含む)で処置されるだろう、
c)糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、処置(例えば、最初は3~7カ月間毎の注射)開始後に、安定して疾患が存在しない場合には注射間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する投薬処方計画で処置されるだろう。このような処方計画は、例えば、患者が、患者の疾患状態に応じて、Q4W/Q8W/Q12W/Q16Wの投薬を受けることを含む。
疾患安定性の評価は、最高矯正視力(BCVA)及び中心窩領域網膜厚(CST)、並びに、光干渉断層計(OCT)に基づいた網膜厚に基づくだろう。評価項目及び結果は、例えば、実施例1Aに記載のように評価されるだろう。主要評価項目は45週目から60週目までであろう。
1つの実施態様では、糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、未処置である(抗VEGF抗体による単独療法、例えばアフリベルセプト及び/又はラニビズマブ及び/又はブロルシズマブを用いて以前に処置されたことがない)。
1つの実施態様では、糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、抗VEGF抗体による単独療法、例えばアフリベルセプト及び/又はラニビズマブ及び/又はブロルシズマブを用いて以前に処置されたことがある。
1つの実施態様では、糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、処置(例えば最初は6カ月間毎の注射)開始後、一定の8週間毎の投薬計画で処置されるだろう。
1つの実施態様では、糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、処置(例えば最初は6カ月間毎の注射)開始後、一定の12週間毎の投薬計画(1つの実施態様ではまず1サイクルの8週間毎の投薬を含む)で処置されるだろう。
1つの実施態様では、糖尿病黄斑浮腫を患う患者は、処置(例えば、最初は3~7カ月間毎の注射)開始後に、安定して疾患が存在しない場合には注射間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する投薬処方計画で処置されるだろう。1つの実施態様では、このような処方計画は、患者が、患者の疾患状態に応じて、Q4W/Q8W/Q12W/Q16Wの投薬を受けることを含む。
1つの実施態様では、加齢黄斑変性を患う患者は、処置(例えば、最初は3~4カ月間毎の注射)開始後に、安定して疾患が存在しない場合には注射間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する投薬処方計画で処置されるだろう。1つの実施態様では、このような処方計画は、患者が、患者の疾患状態に応じて、Q4W/Q8W/Q12W/Q16Wの投薬を受けることを含む。
実施例2A:加齢黄斑変性(AMD)を患う患者の処置の有効性及び持続期間
目的及び評価項目
本治験は、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)患者に12週間間隔及び16週間間隔で投与されたRO6867461の有効性、安全性、及び薬物動態を評価した。RO6867461は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、ヒトVEGFとヒトANG2に結合する二重特異的抗体である(この抗体VEGFang2-0016及びその生成は、参照により組み入れられる国際公開公報第2014/009465号にも詳述されている)。本明細書におけるこの二重特異的抗VEGF/ANG2抗体の名称は、RO6867461又はRG7716又はVEGFang2-0016又はファリシマブである。
治験のための具体的な目的及び対応する評価項目の概略を以下に示す。
目的及び対応する評価項目
主要な有効性の目的
・12週間間隔及び16週間間隔で投与された場合の視力に対する、RO6867461の有効性を評価すること。
対応する評価項目
・ETDRS様チャートを使用した40週目における最高矯正視力のベースラインからの変化の平均値。
第二の有効性の目的:
1)追加の視力評価項目に対するRO6867461の有効性を評価すること。
対応する評価項目
・ETDRS様チャートを使用した経時的な最高矯正視力のベースラインからの変化の平均値。
・経時的な最高矯正視力のベースラインから15レター以上、10レター以上、5レター以上、又は0レター以上増加している患者の比率。
・経時的な最高矯正視力のベースラインからの15レター以上、10レター以上、5レター以上、又は0レター以上の減少を回避している患者の比率。
・経時的な20/40又はそれより良好な最高矯正視力を有する患者の比率。
・経時的な20/200又はそれより悪い最高矯正視力を有する患者の比率。
2)SD-OCTを使用した解剖学的な評価項目に対する、RO6867461の有効性を評価すること。
対応する評価項目
・経時的な中心窩領域網膜厚のベースラインからの変化の平均値。
・経時的な中心窩領域網膜厚の平均値(直径1mm)のベースラインからの変化の平均値。
・経時的な網膜内液、網膜下液、嚢胞、又は網膜色素上皮剥離を有する患者の比率。
3)眼底フルオレセイン血管造影(FFA)を使用した解剖学的評価項目に対する、RO6867461の有効性を評価すること。
対応する評価項目
・40週目及び52週目における脈絡膜血管新生(CNV)の全領域におけるベースラインからの変化の平均値。
・40週目及び52週目における脈絡膜血管新生成分の全領域におけるベースラインからの変化の平均値。
・40週目及び52週目における漏出の全領域におけるベースラインからの変化の平均値。
有効性を探索する目的
・24週目における疾患活動性の発症率を調査すること。
対応する評価項目
・24週目における疾患活動性を有する患者の比率。
安全性の目的
・12週間間隔及び16週間間隔でのRO6867461の硝子体内への複数回の投与量の安全性を評価すること。
対応する評価項目
・眼有害事象の発症率及び重症度。
・眼以外の有害事象の発症率及び重症度。
・治験を離脱した理由、臨床データ、併用薬物、生命徴候、及び身体検査結果を含むがこれらに限定されない、他の安全性データも列挙され、記述により要約されるだろう。
薬物動態/薬力学を探索する目的
1)RO6867461の全身における薬物動態プロファイルを評価すること。
対応する評価項目
・特定の時点におけるRO6867461の血漿中濃度。
2)眼房水中のRO6867461、ラニビズマブ、遊離VEGF-A、及びAng-2プロファイルを評価すること。
・眼房水中のRO6867461の濃度又は薬物動態パラメーターと遊離VEGF-Aの濃度とAng-2の濃度との間の関係。
対応する評価項目
・眼房水のラニビズマブ濃度又は薬物動態パラメーターと遊離VEGF-Aの濃度とAng-2の濃度との間の関係。
・眼房水中の遊離VEGF-Aの濃度とAng-2の濃度の時間経過。
免疫原性の目的
・血漿中の抗RO6867461抗体の形成を調べること。
対応する評価項目
・治験中の抗薬物抗体の発生率。
バイオマーカーを探索する目的
・RO6867461に対する応答を評価するために、ベースライン及び追加の時点における、眼房水中における血管形成及び炎症のバイオマーカー候補のレベルを探索すること。
対応する評価項目
・主要評価項目及び二次評価項目と、バイオマーカー候補の眼房水中濃度との間の関係。
上記で使用されている略称:
ADA=抗薬物抗体;Ang-2=アンジオポエチン-2;BCVA=最高矯正視力;CFT=中心窩厚;CNV=脈絡膜血管新生;CST=中心窩領域網膜厚;ETDRS=糖尿病性網膜症早期治療研究;FFA=眼底フルオレセイン血管造影;IVT=硝子体内;PK=薬物動態;SD-OCT=スペクトラルドメイン光干渉断層計;VEGF-A=血管内皮増殖因子A。
治験設計(図5は、治験設計の概観を提示する)
治験の説明
これは、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)を有する未処置患者に12週間間隔及び16週間間隔で投与されたRO6867461の有効性、安全性、及び薬物動態を調べるための、第II相、多施設、無作為化、実薬対照、被験者及び評価項目の評価者に盲検化された、並行群間、52週間の治験であった。
約75人の患者が参加し、3つの処置群の1つに2:2:1の比で無作為化された:
・A群(Q12W):12週目まで4週間毎(4回の注射)に硝子体内(IVT)に6mgのRO6867461を、その後、48週目まで12週間毎に(24週目、36週目、及び48週目に注射;3回の注射)6mgのRO6867461を硝子体内に。
・B群(Q16W):12週目まで4週間毎(4回の注射)に硝子体内に6mgのRO6867461を、その後、48週目まで16週間毎に(28週目及び44週目に注射;2回の注射)6mgのRO6867461を硝子体内に。24週目における疾患活動性のプロトコールにより規定された評価は、活動性疾患(以下の基準を参照)を有するB群患者が、治験の残りの期間において、12週間毎の6mgのRO6867461の投薬処方計画に切り替えることを必要とし、注射は24週目に開始され、36週目及び48週目に繰り返される。
・C群(比較群):4週間毎に48週間(13回の注射)0.5mgのラニビズマブ(硝子体内に)。片方の眼だけが、治験眼として選択されるだろう。各患者における治験の全期間は最大56週間であり、以下のように分類されるだろう:
・スクリーニング:無作為化より最大4週間前又は無作為化と同じ日に。
・無作為化:1日目。
・治験処置投与:1日目から48週目まで。
・最後の来診:52週目。
患者は、治験処置の投与までの4週間以内にスクリーニング検査を受けた。スクリーニング検査時の来院及び1週目/1日目(無作為化)の来院は、全ての評価(インフォームドコンセント以外)が48時間以内に完了したならば、来院日を合わせてもよい。眼底撮影法(FP)の中央判定、スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)、及び眼底フルオレセイン血管造影(FFA)をはじめとする、スクリーニング(又はスクリーニング検査時の来院/1日目の来院を合わせた来診日)の間に、加齢黄斑変性に続発する脈絡膜血管新生が、治験における予め規定された眼基準を満たすことを確実にするために、患者の適格性を評価した。以下のいずれかの理由からスクリーニング結果に基づいて不適格であると考えられる患者は、再スクリーニングすることが可能であった:
・制御されていない血圧
・管理上の理由(例えば、スクリーニング検査の来院から28日以内に1日目を計画することができない)
・治験眼の適格基準を満たしていない(そういう場合には、患者は、最初のスクリーニング期間の後、第二の眼での参加が適格である場合もある)。
再度スクリーニングする際に、全てのスクリーニング検査時の来院の評価を実施した(眼底フルオレセイン血管造影の画像収集を除く)。ただし、中央読影センターの適格な眼底フルオレセイン血管造影(FFA)画像は、新たな1日目の来院(無作為化)前の4週間以内に撮影された。
1日目に、適格な患者は、上記の無作為化計画に従って、及び確立された標準的な投与手順に従って、RO6867461又はラニビズマブのいずれかの初回の硝子体内投与を受けた。患者は、プロトコールにおける活動計画に概略が示されているような治験処置投与及び評価のために、初回の硝子体内投与から7日後、その後、4週間毎に眼クリニックに戻った。治験期間全体を通して盲検化を維持するために、偽薬の硝子体内投与が、A群及びB群に無作為化された患者に送達された。
全ての患者が、24週目に疾患活動性について評価された。24週目に活動性疾患(以下の基準を参照)を有していたB群に無作為化された患者は、治験の残りの期間において6mgのRO6867461のQ12Wの投薬処方計画に切り替えられ、注射は24週目に開始され、36週目及び48週目に繰り返された。
以下のいずれかの基準が満たされている場合には、活動性疾患であるとの決定が行なわれた:
・最近の2回の来院(16週目及び20週目)にかけての中心窩領域網膜厚の平均値と比較して、中心窩領域網膜厚の増加(スペクトラリス(登録商標)OCTで50μmを超える中心窩領域網膜厚)、又は
・16週目又は20週目のいずれかに記録された最も低い中心窩領域網膜厚と比較して、75μm以上の中心窩領域網膜厚の増加、又は
・新生血管型加齢黄斑変性の疾患活動性に因り最近の2回の来院(16週目及び20週目)にかけての最高矯正視力の平均値と比較して、少なくとも5レターの最高矯正視力(BCVA)の減少、又は
・新生血管型加齢黄斑変性の疾患活動性に因り16週目又は20週目のいずれかに記録された最も高い最高矯正視力と比較して、10レター以上の最高矯正視力の減少、又は
・新生血管型加齢黄斑変性の活動性に因る、新たな黄斑出血の存在。
患者は、52週目に最後の来院のために戻るだろう。最後の来院後、プロトコールに概略が示されているように有害事象が経過観察されるべきである。計画されていない来院の場合に実施された評価は、治験責任医師により判断される。
患者数:新生血管型加齢黄斑変性を有する約75人の未処置の患者が、米国におけるこの治験に参加し、無作為化されると予想された。
標的個体群
適格基準
患者は、治験への参加のために以下の基準を満たしていた:治験眼についての眼の基準。
・加齢黄斑変性(新生血管型加齢黄斑変性)に続発する未処置の脈絡膜血管新生。
・眼底フルオレセイン血管造影又はスペクトラルドメイン光干渉断層計による脈絡膜血管新生活性に関連した中心窩成分(網膜下液、網膜下高反射性物質、漏出のエビデンス、又は出血によって証明されるような)を有する中心窩下脈絡膜血管新生又は傍中心窩脈絡膜血管新生。
・以下を伴う、全種類の脈絡膜血管新生の病変(圧倒的にクラシック型、最小限のクラシック型、又はオカルト型):全病変サイズ(血液、萎縮、線維症、及び血管新生を含む)は眼底フルオレセイン血管造影により6乳頭面積以下、及び脈絡膜血管新生成分の面積は眼底フルオレセイン血管造影により全病変サイズの50%以上、及び眼底フルオレセイン血管造影により確認された活動性の脈絡膜血管新生(漏出のエビデンス)、及びスペクトラルドメイン光干渉断層計によって確認された脈絡膜血管新生の滲出物(液体の存在)。
・良質の網膜画像を取得して確定診断することを可能とする、透明な透光体及び適切な瞳孔拡張。
一般的基準
・インフォームドコンセント書式への署名。
・1日目において年齢が50歳以上であること。
・治験責任医師の判断において、治験プロトコールの順守が可能であること。
・出産可能な女性について:禁欲を維持する(異性との性交を控える)か又は処置期間中及び治験処置の最後の投薬から少なくとも28日間を通して年間1%未満の失敗率である避妊法を使用することに同意すること。
・患者は、現在の治験の完了までに、治験薬(IMP)又は器具を含む、任意の他の臨床試験に進んで参加しないようにしなければならない。
除外基準
以下のいずれかの基準を満たした患者は、治験の参加から除外された:
治験眼についての眼の基準
・眼ヒストプラズマ症、外傷、病的近視、網膜色素線条症、脈絡膜破裂、又はぶどう膜炎などの、加齢黄斑変性以外の原因に起因する脈絡膜血管新生。
・スクリーニング時における中心性漿液性脈絡網膜症。
・黄斑を含む、網膜色素上皮裂孔。
・眼底フルオレセイン血管造影において、全病変面積の50%を超え、及び/又は全病変面積の50%を超える中心窩線維症又は萎縮症を含む、及び/又は中心窩を含む、網膜下出血。
・硝子体内処置(ステロイド、抗血管内皮増殖因子[VEGF]抗体、組織プラスミノーゲンアクチベーター、オクリプラスミン、八フッ化プロパンガス、空気)、眼球周囲の薬理学的介入、アルゴンレーザーによる光凝固、ベルテポルフィン光線力学的療法、ダイオードレーザー、経瞳孔的温熱療法、又は手術による介入を含む(がこれらに限定されない)、脈絡膜血管新生のためのあらゆる前処置又は併用処置。
・ベースライン評価(1日目)から3か月以内の白内障手術。
・あらゆる他の眼内手術(経毛様体扁平部硝子体切除術、緑内障手術、角膜移植、放射線療法)。
・ステロイドによる硝子体内への処置を用いての白内障合併症の管理を除く、以前の硝子体内処置(抗VEGF抗体薬物を含む)。
・他の網膜疾患のための以前の眼球周囲における薬理学的介入。
現在の眼容態
・治験責任医師の意見では、視力改善の可能性を低減させるか、又は治験経過中に内科的介入若しくは手術による介入を必要とする可能性があるかのいずれかである、治験眼におけるあらゆる併発している眼内容態(例えば、弱視、無水晶体、網膜剥離、白内障、糖尿病性網膜症、又は黄斑症、又は牽引を伴う網膜前膜)。
・1日目(無作為化前)の治験眼における活動的な眼内炎症(ほんのわずかなグレード又はそれ以上)。
・1日目に糖尿病性網膜症早期治療研究(ETDRS)様チャートにおいて73~24レター(境界値を含む)の最高矯正視力レタースコア(スネレン指標にて20/40から20/320と同等)。
・治験眼における現在の硝子体内出血。
・治験眼における制御されていない緑内障(例えば、進行的な視野の減少、又は、緑内障薬を用いての処置にも関わらず25mmHg以上の眼内圧[IOP]として定義される)。
・治験眼における8ディオプトリーを超える近視を示す、屈折障害の等価球面度数。
・いずれかの眼における特発性又は自己免疫に関連したぶどう膜炎の病歴。
・1日目(無作為化前)にいずれかの眼における活動性で感染性の結膜炎、角膜炎、強膜炎、又は眼内炎。
一般的基準
・スクリーニング前の1か月間以内に何らかの大きな病気又は大きな外科手術。
・制御されていない血圧(患者の安静時において、180mmHgを超える収縮期血圧及び/又は100mmHgを超える拡張期血圧として定義される[血圧])。患者の最初の解読値がこれらの数値を超えている場合、同じ日に後で又はスクリーニング期間中の別の日に、2回目の解読を行なってもよい。患者の血圧が高血圧薬によって制御されている場合、患者は、1日目より前の少なくとも30日間連続的に同じ医薬品を摂取しているべきである。
・1日目より前の3カ月間以内の脳卒中又は心筋梗塞。
・他の疾患の病歴、代謝機能障害、治験薬の使用が禁忌であるか、又は、治験結果の解釈に影響を及ぼす可能性があるか、又は治験責任医師の意見で処置の合併症に対して患者をハイリスクとさせる、容態が妥当に疑われる、身体検査所見若しくは臨床検査所見。
・妊娠中、又は授乳中、又は治験中に妊娠する予定である。出産可能な女性は、治験処置の開始前の28日間以内に妊娠尿検査結果陰性でなければならない。妊娠尿検査が陽性である場合、妊娠血清検査によって確認されなければならない。
・ラニビズマブ、フルオレセイン、使用される製剤のあらゆる成分、散瞳点眼薬、又は使用されるあらゆる麻酔用及び抗菌用点眼薬に対する既知の過敏症。
・治験処置の開始前の3か月間以内に治験療法を用いての処置。
治験の終了
治験の終了は、最後の患者の最後の来院(LPLV)が行なわれた日として定義された。LPLVは、最後の患者が参加した52週間後に行なわれると予想された。
治験の期間
最初の患者のスクリーニングから治験の終了までの治験の全期間は、約18~19カ月間であると予想された。
治験薬の試験製品
RO6867461薬品(120mg/mL)は、無菌の無色から茶色がかった液体として提供され、保存剤を全く含有していない。6mgの用量毎の硝子体内投与用の無菌で無色から茶色がかった保存剤を含まないRO6867461溶液のバイアルが使用された。二重特異的抗体の濃度は約120mg/mlであった。
用量及び投与、
RO6867461、ラニビズマブ、及び偽薬。
患者は、以下に記載されているように、無作為化計画に従って、治験眼へのRO6867461若しくはラニビズマブの50μLの硝子体内注射又は偽薬投与を与えられた。
・A群(Q12W):12週目まで4週間毎に6mgのRO6867461の硝子体内注射(4回の注射)、その後、48週目まで12週間毎に6mgのRO6867461の硝子体内注射(24週目、36週目、及び48週目に注射;3回の注射)。
・B群(Q16W):12週目まで4週間毎に6mgのRO6867461の硝子体内注射(4回の注射)、その後、48週目まで16週間毎に6mgのRO6867461の硝子体内注射(28週目及び44週目に注射;2回の注射)。
・C群(比較群):4週間毎に48週間(13回の注射)0.5mgのラニビズマブの硝子体内注射。
片方の眼だけが治験眼として選択された。
治験の評価
いくつかの評価が同時に行なわれる時点では、以下の順番が、治験責任医師の判断で示唆された。順序は、はっきりと義務的であると(すなわちイタリック体の本文で)述べられている場合を除いて、現場人員及び患者の時間管理を最適化するように調整されてもよい。
・生命徴候
・血液試料採取:眼底フルオレセイン血管造影が実施される来院では、血液試料採取及び血管造影を、同じ静脈カニューレから実施することができる。血液試料は、血管造影前に収集されなければならない。
・眼の評価及びイメージング。
最高矯正視力:最高矯正視力は、瞳孔散大前に実施されなければならない。スクリーニング検査時の来院時及び1日目の来院時に、最高矯正視力は、最高矯正視力のレタースコアの結果としてスクリーニング失敗である可能性のある患者において、不必要な調査を避けるために、生命徴候及び血液試料採取前に実施されてもよい。
細隙灯顕微鏡検査。
瞳孔散大。
SD-OCT。
眼底撮影法(+赤外線反射率)。
眼底フルオレセイン血管造影。
瞳孔散大による双眼倒像鏡高拡大率眼底検査。
眼内圧:全てのイメージング評価後に実施される義務があり、同方法は、治験期間全体を通して使用されるべきである。
・眼房水の試料採取(任意)
疾患に特異的な評価
活動性の計画(追記1)に特記されていない限り、全ての眼の評価は両眼について実施された。
最高矯正視力
4メートルから始まる試験距離での最高矯正視力は、治験眼処置の割り当てに関して盲検化された、訓練され認定された視力(VA)検査者によって、散瞳する前に測定された。
最高矯正視力は、プレシジョンビジョン社(商標)又はライトハウス社の距離視力表(改訂されたETDRSチャート1、2及びR)のセットを使用して測定された。視力手順マニュアルが、治験責任医師に提供された。視力検査者及び視力検査室の認可は、あらゆる視力検査が実施される前に得られた。
最高矯正視力の検査者は、治験眼及び処置の割り当てに対して盲検化され、屈折及び最高矯正視力の評価(例えば視力の仕様マニュアル)を実施するだろう。最高矯正視力の検査者はまた、患者の以前の来院の最高矯正視力のレタースコアに対して盲検化され、以前の来院から既知である患者の屈折データしか知らない場合がある。
追加の眼の評価
治験中に実施される追加の眼の評価としては、以下が挙げられる:
・細隙灯顕微鏡検査(細胞1つあたりの発赤及び硝子体内出血密度を等級付けするための尺度が追記2に詳述されている)
・瞳孔散大による双眼倒像鏡高拡大率眼底検査。
・眼内圧
患者に使用される眼内圧の測定法は、治験全体を通して一貫していた。両眼の眼内圧の測定は、全てのイメージング後に実施された。
治験処置の来院時に、眼内圧は、治験処置投与前及び治験眼への処置投与から30(±15)分後に実施され、眼内圧が30mmHg以上である場合、眼内圧は、30(±15)分後に再評価されるべきである。眼内圧が上昇し続けた場合、治験責任医師の判断で処置が行なわれた。
・指折り数える視力の評価
治験眼における、処置後の視神経乳頭灌流液を、各患者について、治験処置投与後直ちに(処置投与後の最大15分間以内に)、適宜、指折り数える視力、手の動き、又は光覚を試験することによって評価した。
眼のイメージング
中央読影センターは、治験に要求される眼イメージングのための中央読影センターマニュアル及び教材を現場に提供した。治験画像が得られる前に、現場人員及びイメージングシステム(適用可能な場合)は、中央読影センターマニュアルに明記されているように、読影センターによって認可された。全ての治験被験者の眼画像は、治験現場において認可/登録された機器で、訓練されかつ中央読影センターにより認定された人員によってのみ得られた。全ての治験被験者の眼画像のコピーは、保存のため及び独立した分析のために(規定された画像に関連した基準の適格性の確認のためを含む)、中央読影センターに転送された。
24週目における疾患活動性の評価
全ての患者を、24週目における疾患活動性について評価した。24週目に活動性疾患(以下の基準を参照)を有していたB群に無作為化された患者は、治験の残りの期間中、6mgのRO6867461のQ12W投薬処方計画に切り替えられ、注射は24週目に開始され、36週目及び48週目に繰り返された。
活動性疾患の決定は、以下のいずれかの基準が満たされている場合に行なわれた:
・最近2回の来院(16週目及び20週目)におよぶ中心窩領域網膜厚の平均値と比較して、スペクトラリスOCTで50μmを超える中心窩領域網膜厚の増加、又は
・16週目又は20週目のいずれかにおいて記録された最も低い中心窩領域網膜厚と比較して、75μm以上の中心窩領域網膜厚の増加、又は
・新生血管型加齢黄斑変性の疾患活動性に因る、最近2回の来院(16週目及び20週目)におよぶ最高矯正視力の平均値と比較して、少なくとも5レターの最高矯正視力の減少、又は
・新生血管型加齢黄斑変性の疾患活動性に因る、16週目又は20週目のいずれかにおいて記録された最も高い最高矯正視力と比較して、10レター以上の最高矯正視力の減少、又は
・新生血管型加齢黄斑変性の活動性に因る、新規黄斑出血の存在。
結果
最高矯正視力(BCVA)及びBCVAの増加の持続期間(BCVAの増加を維持するための再処置までの時間)
有効性の主要評価項目を図6に示す。図6は、有効性の主要評価項目:ベースラインから経時的に40週目までのBCVAの変化を示す。RO6867461は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mgの用量がQ12W又はQ16Wのいずれかで硝子体内に投与される)を指し、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))は、0.3mgの用量でQ4Wで硝子体内に投与された。最初の最高矯正視力の増加は、RO6867461のQ12W群又はQ16W群で完全に維持され、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))のQ4W群で同じような範囲で維持された。
ベースラインからの中心窩領域網膜厚(CST)の変化(治験眼)
重要な二次評価項目は、中心窩領域網膜厚(CST)のベースラインからの変化であった。結果を図7に示す。配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、二重特異的抗VEGF/ANG2抗体RO6867461(6.0mgの用量がQ12W又はQ16Wのいずれかで硝子体内に投与される)を、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))(0.3mgの用量でQ4Wで硝子体内に投与された)と比較した。この解剖学的二次評価項目は最高矯正視力の主要評価項目を直接支持する。処置開始中にラニビズマブよりも二重特異的抗VEGF/ANG2抗体のRO6867461の方が中心窩領域網膜厚はより減少していた。
実施例2B:加齢黄斑変性(AMD)を患う患者の処置の有効性及び持続期間
実施例2Aの下で上記された治験と類似したさらなる治験において、加齢黄斑変性(例えば、滲出型加齢黄斑変性(wAMD)、特に新生血管型加齢型黄斑変性)を患う患者を、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、ヒトVEGFとヒトANG2とに結合する二重特異的抗体で処置する。処置における実薬として、例えばアフリベルセプト及び/又はラニビズマブ及び/又はブロルシズマブが使用されるだろう。患者は、抗VEGF抗体による処置を受けていない患者(抗VEGF抗体による単独療法、例えばアフリベルセプト及び/又はラニビズマブ及び/又はブロルシズマブを用いて以前に処置されたことがなかった)及びまた抗VEGF抗体による単独療法、例えばアフリベルセプト及び/又はラニビズマブ及び/又はブロルシズマブを用いて以前に処置されたことがある患者群も含む。ヒトVEGFとヒトANG2に結合するそれぞれの二重特異的抗体の名称は、RO6867461又はRG7716である。1.5mg又は6mgのいずれかの用量の硝子体内投与用のRO6867461の無菌で無色から茶色がかった保存剤を含まない溶液のバイアルを使用する。
例えば、以下の投薬計画を使用する:
加齢黄斑変性を患う患者は、処置開始後(例えば、最初は3~7か月毎の注射を用いて)、安定して疾患が存在しない場合には注射間隔を延長するか、又は疾患活動性が存在する場合には間隔を短縮する、投薬処方計画を用いて処置されるだろう。このような処方計画は、例えば、患者の疾患状態に応じて、患者がQ4W/Q8W/Q12W/Q16Wの投薬を受けることを含む。
疾患安定性の評価は、最高矯正視力(BCVA)及び中心窩領域網膜厚、並びに、光干渉断層計(OCT)に基づいた網膜厚に基づくだろう。評価項目及び結果は、例えば実施例1Aに記載のように評価されるだろう。主要評価項目は、45週目から60週目までであろう。
実施例3
VEGF、Ang2、FcγR、及びFcRnに対する抗VEGF/ANG2抗体の結合
種交差反応性の評価を含む、VEGFアイソフォームの動態親和性
約12000共鳴単位(RU)の捕獲システム(10μg/mlのヤギ抗ヒトF(ab)’;注文番号:28958325;GEヘルスケア・バイオサイエンシーズ社、スウェーデン)を、GEヘルスケア社によって供給されたアミンカップリングキットを使用することによって、pH5.0でCM5チップ(GEヘルスケア社BR-1005-30)上にカップリングさせた。試料及びシステム緩衝液は、PBS-T(0.05%のTween(登録商標)20を含む10mMのリン酸緩衝食塩水)pH7.4であった。フローセルは25℃に設定され(試料ブロックは12℃に設定された)、ランニング緩衝液を用いて2回プライミングされた。二重特異的抗体は、50nMの溶液を5μl/分の流速で30秒間注入することによって捕獲された。会合は、1:3の希釈率で300nMから開始して、様々な溶液中濃度のヒトhVEGF121、マウスmVEGF120、又はラットrVEGF164を30μl/分の流速で300秒間注入することによって測定された。解離相は、最大1200秒間までモニタリングし、試料溶液からランニング緩衝液へと切り替えることによってトリガーした。表面は、グリシンpH2.1溶液を用いて30μl/分の流速で60秒間洗浄することによって再生された。バルク屈折率の差は、ヤギ抗ヒトF(ab)’表面から得られた応答を差し引くことによって修正された。ブランク注射も差し引いた(=二重参照)。見かけのK及び他の動態パラメーターの計算のために、ラングミュア1:1モデルが使用された。結果を表5に示す。
種交差反応性の評価を含む、Ang2溶液の親和性
溶液親和性は、平衡混合物中の遊離相互作用対の濃度を決定することによって相互作用の親和性を測定する。溶液親和性アッセイは、一定濃度に保たれた<VEGF-ANG-2>二重特異的抗体を、様々な濃度のリガンド(=Ang2)と混合することを含む。可能な最大の共鳴単位(例えば17000共鳴単位(RU))の抗体を、GEヘルスケア社によって供給されたアミンカップリングキットを使用して、pH5.0でCM5チップ(GEヘルスケア社BR-1005-30)表面上に固定した。試料及びシステム緩衝液はHBS-P(pH7.4)であった。フローセルを25℃に設定し、試料ブロックを12℃に設定し、ランニング緩衝液を用いて2回プライミングした。検量曲線を作成するために、漸増濃度のAng2を、固定された<VEGF-ANG2>二重特異的抗体を含有しているビアコア(商標)フローセルに注入した。結合したAng2の量を、共鳴単位(RU)として決定し、濃度に対してプロットした。各リガンド(<VEGF-ANG-2>二重特異的抗体について0~200nMの11個の濃度)の溶液を10nMのAng2と共にインキュベートし、室温で平衡に到達させた。遊離Ang2濃度は、既知量のAng2を含む溶液の応答を測定する前後に作成された検量曲線から決定された。4パラメーターフィットを、y軸として遊離Ang2濃度及びx軸として阻害のために使用された抗体の濃度を使用して、モデル201を使用してXLfit4(IDBSソフトウェア)を用いて設定した。親和性は、この曲線の変曲点を決定することによって計算された。表面は、0.85%のHPO溶液を30μl/分の流速で用いて30秒間、1回洗浄することによって再生された。バルク屈折率の差は、ブランクの結合した表面から得られた応答を差し引くことによって修正された。結果を表6に示す。
FcRnの定常状態における親和性
FcRnの測定のために、定常状態の親和性を使用して、互いに対する二重特異的抗体を比較した。ヒトFcRnを、カップリング緩衝液(10μg/ml、酢酸ナトリウムpH5.0)に希釈し、200RUの最終応答となるまで、ビアコア(商標)ウィザードを使用して標的化された固定化手順によって、C1チップ(GEヘルスケア社BR-1005-35)上に固定した。フローセルは25℃に設定され、試料ブロックは12℃に設定され、ランニング緩衝液を用いて2回プライミングした。試料及びシステム緩衝液はPBS-T(0.05%のTween(登録商標)20を含む10mMのリン酸緩衝食塩水)pH6.0であった。各抗体についての様々なIgG濃度を評価するために、62.5nM、125nM、及び250nM、500nMの濃度を調製した。流速は30μl/分に設定され、様々な試料を、180秒間の会合時間を選択しながらチップ表面上に連続的に注入した。表面は、30μl/分の流速で60秒間注入されたPBS-T(pH8)によって再生された。バルク屈折率の差は、ブランク表面から得られた応答を差し引くことによって修正された。緩衝液の注入も差し引いた(=二重対照)。定常状態の親和性の計算のために、Bia-Evaluationソフトウェアの方法を使用した。簡潔に言えば、共鳴単位の数値(RU最大値)を、分析された濃度に対してプロットし、用量反応曲線を得た。2パラメーターフィットに基づいて上漸近線を計算し、最大半値RU値、及びこれにより親和性を決定することが可能となる。結果を図5及び表7に示す。同様に、カニクイザル、マウス、及びウサギのFcRnに対する親和性も決定することができる。
FcγRIIIaの測定
FcγRIIIaの測定のために、直接的な結合アッセイを使用した。約3000共鳴単位(RU)の捕獲システム(1μg/mlのペンタ-His;キアゲン社)を、GEヘルスケア社によって供給されたアミンカップリングキットを使用することによって、pH5.0でCM5チップ(GEヘルスケア社BR-1005-30)上にカップリングした。試料及び試料緩衝液はHBS-P+pH7.4であった。フローセルを25℃に設定し(試料ブロックは12℃に設定された)、ランニング緩衝液を用いて2回プライミングした。FcγRIIIa-His受容体を、5μl/分の流速で60秒間100nMの溶液を注入することによって捕獲した。結合は、100nMの二重特異的抗体又は単一特異的対照抗体(IgG1サブクラス及びIgG4サブクラスの抗体では抗Dig抗体)を30μl/分の流速で180秒間注入することによって測定された。表面は、グリシン(pH2.5)溶液を30μl/分の流速で120秒間洗浄することによって再生された。FcγRIIIaの結合はラングミュア1:1モデルから異なるので、結合のみ/結合無しを、このアッセイを用いて決定した。同じように、FcγRIa及びFcγRIIaの結合を決定することができる。結果を図6に示し、ここでは、突然変異P329G LALAの導入によって、FcγRIIIaに対する結合をこれ以上検出することができないことが分かる。
<VEGF-ANG-2>二重特異的抗体に対する独立したVEGF及びAng-2の結合の評価
約3500共鳴単位(RU)の捕獲システム(10μg/mlのヤギ抗ヒトIgG;GEヘルスケア・バイオサイエンシーズ社、スウェーデン)を、GEヘルスケア社によって供給されたアミンカップリングキットを使用することによって、pH5.0でCM4チップ(GEヘルスケア社BR-1005-34)上にカップリングさせた。試料及びシステム緩衝液は、PBS-T(0.05%のTween(登録商標)20を含む10mMのリン酸緩衝食塩水)pH7.4であった。フローセルの温度は25℃に設定され、試料ブロックの温度は12℃に設定された。捕獲前に、フローセルを、ランニング緩衝液を用いて2回プライミングした。
二重特異的抗体は、10nMの溶液を5μl/分の流速で60秒間注入することによって捕獲された。二重特異的抗体に対する各リガンドの独立した結合は、順次又は同時のいずれかで添加(30μl/分の流速)された各リガンドに対する有効な結合能を決定することによって分析された。
1.200nMの濃度でヒトVEGFを180秒間注入(抗原の単独結合を同定)
2.100nMの濃度でヒトAng2を180秒間注入(抗原の単独結合を同定)
3.200nMの濃度でヒトVEGFを180秒間注入、その後、100nMの濃度でヒトAng2を180秒間さらに注入(VEGFの存在下におけるAng2の結合を同定)
4.100nMの濃度でヒトAng2を180秒間注入、その後、200nMの濃度でヒトVEGFをさらに注入(Ang2の存在下におけるVEGFの結合を同定)
5.200nMの濃度のヒトVEGF及び100nMの濃度のヒトAng2を180秒間同時注入(同時にVEGFとAng2の結合を同定)
表面は、3mM MgCl溶液を30μl/分の流速で用いて60秒間洗浄することによって再生された。バルク屈折率の差は、ヤギ抗ヒトIgG表面から得られた応答を差し引くことによって修正された。
アプローチ3、4及び5の結果として得られた最終シグナルが、アプローチ1及び2の個々の最終シグナルの合計と等しいか又は類似している場合、二重特異的抗体は、互いに独立して両方の抗原に結合することができる。結果は以下の表に示され、ここではVEGFang2-0016(=RO6867461)は、VEGF及びANG2に互いに独立して結合することができることが示される。
<VEGF-ANG-2>二重特異的抗体に対するVEGF及びAng2への同時結合の評価
まず、約1600共鳴単位(RU)のVEGF(20μg/ml)を、GEヘルスケア社によって供給されたアミンカップリングキットを使用することによって、pH5.0でCM4チップ(GEヘルスケア社BR-1005-34)上にカップリングさせた。試料及びシステム緩衝液は、PBS-T(0.05%のTween(登録商標)20を含む10mMのリン酸緩衝食塩水)pH7.4であった。フローセルは25℃に設定され、試料ブロックは12℃に設定され、ランニング緩衝液を用いて2回プライミングされた。第二に、50nMの二重特異的抗体の溶液を、30μl/分の流速で180秒間注入した。第三に、hANG-2を、30μl/分の流速で180秒間注入した。hAng-2の結合応答は、VEGFに結合した二重特異的抗体の量に依存し、同時結合を示す。表面は、0.85%のHPO溶液を30μl/分の流速で用いて60秒間洗浄することによって再生された。同時結合は、事前にVEGFに結合した<VEGF-ANG-2>二重特異的抗体に対するhAng2の追加の特異的な結合シグナルによって示される。
Figure 0007005772000004
Figure 0007005772000005
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Figure 0007005772000007
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Claims (1)

  1. 新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)を患っている患者の処置に使用するための、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体を含み、
    ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)とヒトアンジオポエチン-2(ANG-2)とに結合する二重特異的抗体が、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20のアミノ酸配列を含む、医薬組成物であって
    6mgの二重特異的抗体を硝子体内(IVT)に12週目まで4週間毎(4回の注射)を、その後、6mgの二重特異的抗体を硝子体内(IVT)に48週目まで12週間毎に(24週目、36週目、及び48週目に注射;3回の注射)投与するか、
    6mgの二重特異的抗体を硝子体内(IVT)に12週目まで4週間毎(4回の注射)に硝子体内に、その後、6mgの二重特異的抗体を硝子体内(IVT)に48週目まで16週間毎に(28週目及び44週目に注射;2回の注射)
    投与するための、前記医薬組成物。
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