JP7005383B2 - ロータワイヤー保護用樹脂組成物及びロータ - Google Patents

ロータワイヤー保護用樹脂組成物及びロータ Download PDF

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Description

本発明は、ロータワイヤー保護用樹脂組成物及びこれを用いたロータに関する。
一般にエポキシ樹脂組成物から得られる硬化物は絶縁性、耐熱性、接着性などに優れており、電子・電気絶縁材料、塗料、接着剤、複合材料などに好適に用いられる。これら用途に対して、塗布、注型、含浸など多様な工法で用いられる液状エポキシ樹脂組成物は、用いられる工法に合わせて最適なものを使用することが不可欠となる。
しかしながら、エポキシ樹脂組成物は硬くてもろいため、ロータなどの端子保護層に使用する場合には不具合があった。電動機を構成するロータは、回転軸に固定されたコアのスロット内に巻線を巻き付けるとともに、この巻線端部をスロットからコアの両端部に突出させた構造を有する。このようなロータでは、電動機内に侵入した異物がスロット内の巻線やスロットから突出する巻線端部を傷付け、摩耗または断線させるおそれがある。また、ロータの高速回転時、巻線同士が接触することによっても摩耗または断線が起こるおそれがある。そこで、従来より、スロット内の巻線やコアの両端部に突出する巻線端部、特に摩耗または断線を生じやすいコア両端部に突出する巻線端部をモールド樹脂で被覆し保護することが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、無機充填剤を添加した低粘度樹脂液を電機子の巻線に塗布し、該巻線を保護することが提案されている。(例えば特許文献3参照)。
特開2007-166683号公報 特開平7-123618号公報 特開2013-66323号公報
しかしながら、特許文献1及び2の方法では、所定の厚さでモールド樹脂層を形成させるために専用の金型が必要となり、かつモールド工程を要するため、生産効率が低く製造コストも高くなってしまう。また、特許文献3の方法では、巻き線の外側に十分な厚さの塗布材を被覆することができず、厚塗りしようとすると含浸性が悪くなってしまい、巻線内部にボイドが残ってしまう。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、初期及び溶融後の粘度が良好で含浸性及び厚塗り性に優れ、かつ成形性に優れるとともに、コアのスロット内に巻き付けられた巻線やコアの両端部に突出する巻線が、異物や高速回転に伴う巻線同士の接触等により摩耗したり断線したりするのを防止することができるロータワイヤー保護用樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた耐久性に優れたロータを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、(A)エポキシ樹脂、(B)ジシアンジアミドまたはその誘導体とともに、(C)有機ベントナイト、及び特定の割合の(D)ガラス繊維を含有するロータワイヤー保護用樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]を提供する。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)ジシアンジアミドまたはその誘導体、(C)有機ベントナイト、及び(D)ガラス繊維を含有するロータワイヤー保護用樹脂組成物であって、前記(D)成分の含有量が前記(A)成分100質量部に対して10~100質量部であるロータワイヤー保護用樹脂組成物。
[2]前記(C)成分の分散時の平均粒径が0.5μm以下である上記[1]に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
[3]前記(D)成分の平均繊維径が1~15μm、及び平均繊維長が20~300μmである上記[1]または[2]に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
[4]さらに(E)カチオン触媒を含有する上記[1]~[3]のいずれかに記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
[5]前記(E)カチオン触媒が4級アンモニウム塩であり、該(E)成分の含有量が前記(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1~3質量部である上記[4]に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
[6]25℃の粘度が210~350Pa・sであり、かつ150℃の粘度が10~50Pa・sである上記[1]~[5]のいずれかに記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物でワイヤー表面部分を硬化被覆してなるロータ。
本発明によれば、初期及び溶融後の粘度が良好で含浸性及び厚塗り性に優れ、かつ成形性に優れるとともに、コアのスロット内に巻き付けられた巻線やコアの両端部に突出する巻線が、異物や高速回転に伴う巻線同士の接触等により摩耗したり断線したりするのを防止することができるロータワイヤー保護用樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた耐久性に優れたロータを提供することができる。
本発明の一実施形態のロータを示す上面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ロータワイヤー保護用樹脂組成物>
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)ジシアンジアミドまたはその誘導体、(C)有機ベントナイト、及び(D)ガラス繊維を含有するロータワイヤー保護用樹脂組成物であって、前記(D)成分の含有量が前記(A)成分100質量部に対して10~100質量部であることを特徴とする。
まず、本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)の各成分について述べる。
〔(A)エポキシ樹脂〕
本発明で用いる(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のグリシジル基(エポキシ基)を有するものであれば、特に限定されることはなく、公知のエポキシ樹脂を使用することができる。(A)成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂;臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂などを挙げることができる。本発明においては、これらは単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、常温で液状であることが好ましいが、常温で固体のものであっても、液状のエポキシ樹脂、反応性希釈剤、溶剤等に希釈分散することにより液状にして用いることができる。好ましい液状のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等が挙げられる。
〔(B)ジシアンジアミドまたはその誘導体〕
本発明で用いる(B)成分のジシアンジアミドまたはその誘導体は、上記(A)成分の硬化剤として作用する成分である。(B)成分は、融点が高いため(例えば、ジシアンジアミドの融点は約210℃である)、樹脂組成物に良好な貯蔵安定性、貯蔵寿命(シェルフライフ)を付与する。また、得られる硬化物は良好な機械的特性を発現する。
ジシアンジアミドの誘導体の具体例としては、例えば、ジシアンジアミドと、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、またはカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ化合物との反応物等が挙げられる。ジシアンジアミドまたはその誘導体は、単独または2種以上を混合して使用することができる。中でも、本発明の効果を発揮する観点から、ジシアンジアミドの使用が好ましく、ジシアンジアミドの単独使用がより好ましい。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、好ましくは1~15質量部であり、より好ましくは3~12質量部であり、さらに好ましくは5~10質量部である。1質量部以上とすることで、十分な接着性を付与し、15質量部以下とすることで硬化剤過剰による特性劣化が防げる。
〔(C)有機ベントナイト〕
本発明で用いる(C)成分の有機ベントナイトは、粘土鉱物であるモンモリロナイトの結晶表面を、トリアルキルベンジルアンモニウム、ジメチルジアルキルアンモニウム、トリメチルアルキルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩で変性させた複合体からなるものである。この有機ベントナイトは、有機溶剤に懸濁すると膨潤して増粘し、分散液に剪断力をかけると薄片状結晶が流れに対して平行に配列するために粘性が低下し、分散液を再び静止状態にすると薄片状結晶の端面に存在している水酸基の水素結合により会合し、薄片状結晶同士がネットワークを形成するために粘性が増加する性質を有する。このような有機ベントナイトを配合することにより、本発明の樹脂組成物に良好な含浸性と良好な厚塗り性を付与することができる。
(C)成分の分散時の平均粒径は好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。(C)成分の分散時の平均粒径を0.5μm以下とすることで、良好な厚塗り性を確保することができる。
なお、(C)成分の分散時の平均粒径は、有機溶剤に分散させたときの平均粒径(メジアン径d50)をいい、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置により求めることができる。
有機ベントナイトの具体例としては、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSPN、ソマシフME-100、ソマシフMAE、ソマシフMTE、ソマシフMEE、ソマシフMPE(以上、コープケミカル(株)製);エスベン、エスベンC、エスベンE、エスベンW、エスベンP、エスベンWX、エスベンN-400、エスベンNX、エスベンNX80、エスベンNO12S、エスベンNEZ、エスベンNO12、エスベンNE、エスベンNZ、エスベンNZ70、オルガナイト、オルガナイトD、オルガナイトT(以上、(株)ホージュン製);クニピアF、クニピアG、クニピアG4(以上、クニミネ工業(株)製);チクソゲルVZ、クレイトンHT、クレイトン40(以上、ロックウッド アディティブズ社製)等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上混合して使用することができる。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、好ましくは0.5~5質量部、より好ましくは0.8~4質量部、さらに好ましくは1~3質量部である。0.5質量部以上とすることで厚塗り性を良好にすることができ、5質量部以下とすることで含浸性を良好にするとともに、ボイドの発生を抑制することができる。
〔(D)ガラス繊維〕
本発明で用いる(D)成分のガラス繊維は、樹脂組成物の硬化物の耐摩耗性を高める効果を奏する。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラス、HPガラスおよび石英ガラスから選ばれる一種または二種以上のガラスにより形成されたガラス繊維が好適に用いられる。
(D)成分の平均繊維径(直径)は、好ましくは1~15μm、より好ましくは2~12μm、さらに好ましくは5~12μmである。平均繊維径が上記範囲内であればコイルへの含浸性がよく、また、硬化物の耐摩耗性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
(D)成分の平均繊維長は、好ましくは5~300μm、より好ましくは20~300μm、さらに好ましくは20~100μmである。平均繊維長が上記範囲内であればコイルへの含浸性がよく、また、硬化物の耐摩耗性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
なお、平均繊維長の測定方法としては、例えば、倍率1,000倍の電子顕微鏡にて200本のガラス繊維の長さを測定し、平均値を求める方法が挙げられる。
(D)成分のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は、特に制限されるものではないが、好ましくは1~100である。アスペクト比が上記範囲内であればコイルへの含浸性がよく、また、硬化物の耐摩耗性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し10~100質量部であり、好ましくは15~90質量部、より好ましくは20~80質量部である。10質量部未満では十分な耐摩耗性が得られず、100質量部を超えると樹脂組成物の粘度が上昇してしまい、コイルへの含浸性が悪くなる。
(D)成分のガラス繊維は通常市販されているものを使用することができる。具体例として、PFE301、PFE001、3PE937、CSG 3PA-820、CSG 3PA-830(以上、日東紡績(株)製)、ECS03-615(セントラル グラスファイバー(株)製)等が挙げられる。本発明においてはこれらの1種又は2種以上の異なる平均繊維径、及び平均繊維長のガラス繊維を併用してもよい。
〔(E)カチオン触媒〕
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物は、さらに(E)カチオン触媒を含有することが好ましい。該樹脂組成物が(E)カチオン触媒を含有することにより、該樹脂組成物をロータワイヤーに含浸した時の泡抜け性が良好となり、硬化後のボイド発生を防ぐことができる。
(E)成分のカチオン触媒は、通常市販されているものを使用することができる。
カチオン触媒としては、ランタノイドトリフレラート塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、ランタントリフラート、イッテルビウムトリフラート、トリメトキシボロキシン、トリメトキシボロキシン-アルミニウムアセチルアセトネート、アミン-ボロントリハライド錯体、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、トリ-アリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、およびジアゾニウム塩等を挙げることができる。また、トリフェニルシラノールなどのシラノール系のカチオン触媒やアルミニウムトリス(アセチルアセトン)のアルミキレート系触媒などを用いることができる。中でも、4級アンモニウム塩が好ましく用いられる。4級アンモニウム塩の製品例としては、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドのM2-100R(日油(株)製)等が挙げられる。本発明においては、これらの1種又は2種以上の異なるものを併用してもよい。
(E)成分のカチオン触媒の配合量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.1~3質量部、より好ましくは0.5~2質量部である。0.1質量部以上とすることで、樹脂組成物をロータワイヤーに含浸した時の泡抜け性が良好となり、硬化後のボイド発生を防ぐことができる。また、3質量部以下とすることで、樹脂組成物の硬化速度を抑え、ボイド発生を抑制することができる。
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、従来、エポキシ樹脂組成物に配合されている各種充填剤を配合してもよい。併用する充填剤は、無機系及び有機系のいずれであってもよい。無機系充填材としては、例えば、シリカ、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、マグネシア、ベーマイト、水酸化アルミニウム、タルク等が挙げられる。有機系充填剤としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリテトラフロロエチレン等のフッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ベンゾグアナミンやメラミンとホルムアルデヒドとの架橋物等が挙げられる。さらに、シリカとアクリル樹脂との複合材等、有機化合物と無機化合物を複合した充填材等も使用できる。これらの充填剤は、分散性等を高めるため、アルコキシシラン、アシロキシシラン、シラザン、オルガノアミノシラン等のシランカップリング剤等により表面処理が施されていてもよい。
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物には、上記(A)成分と(B)成分との硬化を促進する目的で、硬化促進剤を配合することができる。硬化促進剤は、上記(A)成分と(B)成分との硬化を促進することができるものであれば、特に制限されることなく使用することができる。
使用可能な硬化促進剤の例としては、ウレア系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、有機ホスフィン系硬化促進剤、ジアザビシクロ系硬化促進剤、有機ボロン塩系硬化促進剤、ポリアミド系硬化促進剤等が挙げられる。保存安定性等の観点から、なかでもウレア系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましく、ウレア系硬化促進剤がより好ましい。
硬化促進剤は、単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。その配合量は、(A)成分100質量部に対し、好ましくは0.1~3.0質量部、より好ましくは0.5~1.5質量部である。0.1質量部以上であれば硬化促進効果が十分に得られ、3.0質量部以下であれば耐熱性の低下を抑制することができる。
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される、粘度調整剤、希釈剤、カップリング剤等の接着助剤;硬化促進助剤;消泡剤;顔料、染料等の着色剤;界面活性剤;難燃剤;チクソ性付与剤;その他の各種添加剤を必要に応じて配合することができる。これらの各添加剤はいずれも単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物は、前記した(A)~(D)成分、並びに必要に応じて配合される(E)成分、及び硬化促進剤、希釈剤等の添加剤等を十分に混合した後、さらにディスパース、ニーダ、三本ロールミル、遊星撹拌機等により混練処理を行い、その後、減圧脱泡することにより調製することができる。
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物中、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物は、25℃の粘度が210~350Pa・sであることが好ましく、260~330Pa・sであることがより好ましい。210Pa・s以上とすることで厚塗り性を良好にすることができ、350Pa・s以下とすることでワイヤー間への含浸性を良好にすることができる。また、150℃の粘度が10~50Pa・sであることが好ましく、25~45Pa・sであることがより好ましい。10Pa・s以上とすることで厚塗り性を良好にすることができ、50Pa・s以下とすることでワイヤー間への含浸性を良好にすることができる。
なお、上記粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物は、良好な含浸性と良好な厚塗り性とを併せ持つため、該樹脂組成物を用いることで、従来のような金型を使用せずに、ロータに装着された巻線を保護する被覆を形成することができ、高速回転によっても巻線が摩耗したり断線したりすることのない耐久性に優れたロータを得ることができる。
<ロータ>
次に、上記ロータワイヤー保護用樹脂組成物を用いた本発明のロータについて説明する。
本発明のロータは、例えば、ロータコアに巻き付けられ、その端部から突出している巻線に、本発明の常温で液状のロータワイヤー保護用樹脂組成物を滴下含浸させ、その後、ロータワイヤー保護用樹脂組成物を加熱硬化させることにより製造することができる。ロータワイヤー保護用樹脂組成物を硬化させる際の温度は、通常、150~170℃であり、0.5~1.0時間程度加熱することが好ましい。また、ロータワイヤー保護用樹脂組成物を巻線に滴下する際は、ロータコアの中心に挿通されたシャフト(回転軸)を水平に支持し、回転させながら行うことが好ましい。ロータコアを回転させながら行うことにより、速やかに被覆することができ、かつ被覆厚の均一性を高めることができる。
図1は、このようにして得られた本発明のロータ10の一例を示したものであり、コア1端部に突出している巻線2の端部2aが本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物からなる被覆3で保護固定されている。上述したように本発明のロータワイヤー保護用樹脂組成物は含浸性及び厚塗り性に優れるため、該樹脂組成物は巻線端部2aの内部にまで十分に含浸されるとともに、外側は十分な厚さに被覆される。したがって、巻線2が、異物や高速回転に伴う巻線同士の接触等によって摩耗したり断線したりすることはなく、ロータ10は優れた耐久性を具備する。
なお、図1において、4はシャフト(回転軸)、5はコア1の外周面に設けられ、巻線2が巻き付けられたスロット、6はコア1の一端側に装着され、巻線2に電気的に接続されたコンミテータ(整流子)を示している。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
[ロータワイヤー保護用樹脂組成物の調製]
表1~3に記載の種類及び配合量の各成分をプラネタリーミキサーで均一に混合することにより、実施例及び比較例のロータワイヤー保護用樹脂組成物を調製した。なお、表1~3中、空欄は配合なしを表す。
ロータワイヤー保護用樹脂組成物の調製に使用した表1~3に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<エポキシ樹脂>
〔(A)成分〕
・jER828:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、三菱化学(株)製、商品名、エポキシ当量184~194g/eq
<ジシアンジアミドまたはその誘導体>
〔(B)成分〕
・DDA5:ジシアンジアミド、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製、商品名
<有機ベントナイト>
〔(C)成分〕
・エスベン:有機ベントナイト、(株)ホージュン製、商品名(平均粒径0.5μm以下)
<ガラス繊維>
〔(D)成分〕
・PFE301:ガラスファイバー、日東紡績(株)製、商品名(表面処理シラン、平均繊維径(直径)10μm、平均繊維長30μm)
・PFE001:ガラスファイバー、日東紡績(株)製、商品名(表面処理無し、平均繊維径(直径)10μm、平均繊維長60μm)
・ECS03-615:ガラスファイバー、セントラル グラスファイバー(株)製、商品名(平均繊維径(直径)3μm、平均繊維長9μm)
<ガラス粉末>
・ASF-102X:ガラス粉末、旭硝子(株)製、商品名(平均粒径(D50)=1.1μm、レーザー回折法による測定値)
<カチオン触媒>
〔(E)成分〕
・M2-100R:テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、日油(株)製、商品名
<その他の成分>
〔消泡剤〕
・BYK066N:シリコン系消泡剤、ビックケミー社製、商品名
〔硬化促進剤〕
・オミキュア24:1,1’-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(3,3-ジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製、商品名
〔無機系充填材〕
・S210:シリカ、新日鉄住金マテリアルズ(株)製、商品名(平均粒径20μm)
・LA1200:アルミナ、太平洋ランダム(株)製、商品名(平均粒径12μm)
・ソフトン2200:炭酸カルシウム、白石カルシウム(株)製、商品名(平均粒径4μm)
以下に示す測定条件により、実施例1~13および比較例1~10で調製したロータワイヤー保護用樹脂組成物の特性の測定、及び評価を行った。評価結果を表1~3に示した。
(1)ダイヤモンドショット試験
樹脂組成物を150℃で1時間加熱し硬化させて作製したサンプルに、直径4mmのダイヤモンドを200km/hで衝突させ、削れた面積を測定した。削れた面積が0.4mm以下を合格とする。
(2)初期粘度(25℃)
東機産業(株)製のEHD型粘度計を用い、温度25℃、回転数0.5rpmの条件で粘度を測定した。210~350Pa・sを合格とする。
(3)溶融粘度(150℃)
TA Instruments社製のレオメータを用い、測定ギャップ2mm、回転数0.5rpmの条件で、温度150℃における溶融粘度を測定した。10~50Pa・sを合格とする。
(4)厚塗り性
ガラス板上に、温度25℃、圧力20MPaの条件で、先端径5mmのディスペンサーから樹脂組成物を押出し、該樹脂組成物を150℃で1時間硬化させ、得られた硬化物の高さを測定した。硬化物の高さが5mm以上を合格とする。
(5)含浸性
コイルに樹脂組成物を含浸させ、シャフトまで含浸しているか目視で確認し、下記の基準で評価した。
A:シャフトまで含浸している
B:シャフトまで含浸していない
(6)硬化物外観(ボイドの有無)
樹脂組成物を150℃で0.5時間加熱し硬化させて得られた硬化物の表面におけるボイドの有無を目視で確認し、下記の基準で評価した。
A:ボイドが2個以下
B:ボイドが2個超10個以下
C:ボイドが10個超
(7)シェルフライフ(5℃保管)
東機産業(株)製のEHD型粘度計を用いて、温度25℃、回転数0.5rpmの条件で測定した粘度が、初期粘度の2倍に達するまでの日数を測定した。
(8)ガラス転移点(Tg)
樹脂組成物を150℃で1時間加熱し硬化させて作製した試料について、熱分析装置TMA/SS150(セイコーインスツルメンツ社製 型名)により、室温(25℃)から250℃まで昇温して(昇温速度20℃/分)熱膨張曲線を測定し、変位点の中点から求めた。
(9)泡抜け性
160℃で温めたホットプレートに、1mlの樹脂組成物を直径40mmにひろげ、2分間放置した後、2mm以下の泡の個数を数えた。
(10)強度(ストラッカー試験)
直径1.3mm、長さ50mmのワイヤーを2本上下にずらして束ね、中央部分にワニスを滴下し含浸、硬化させたものを試験片とした。該試験片を上下から引っ張り、強度を測定した。
Figure 0007005383000001
Figure 0007005383000002
Figure 0007005383000003
実施例1~13の樹脂組成物は、いずれも初期及び溶融後の粘度が良好で含浸性及び厚塗り性に優れることがわかる。また、(E)成分を含む実施例7~12の樹脂組成物は、泡抜け性が良好であり、硬化後のボイドの発生が抑えられていることがわかる。特に、樹脂組成物が(D)成分を含むことで、ダイヤモンドショット試験での削れ面積が狭く、所望する特性が得られた。また、実施例4より(D)成分の処理材違いでも、所望する特性が得られた。これに対し、(D)成分を含有しない、又は(D)成分の含有量が特定量未満の比較例1,3,4,5,6,8,9の樹脂組成物は、いずれも削れた面積が広く、耐衝撃性が低下していることがわかる。比較例4の樹脂組成物は、含浸するものの厚塗り性が確保できなかった。比較例2及び10の樹脂組成物は、特定量を超える量の(D)成分を含むため、作業可能な粘度が得られなかった。
1 コア
2 巻線
2a 巻線端部
3 ロータワイヤー保護用樹脂組成物からなる被覆
4 シャフト(回転軸)
5 スロット
6 コンミテータ(整流子)
10 ロータ

Claims (7)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)ジシアンジアミドまたはその誘導体、(C)有機ベントナイト、及び(D)ガラス繊維を含有するロータワイヤー保護用樹脂組成物であって、
    前記(D)成分の含有量が前記(A)成分100質量部に対して10~100質量部であるロータワイヤー保護用樹脂組成物。
  2. 前記(C)成分の分散時の平均粒径が0.5μm以下である請求項1に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
  3. 前記(D)成分の平均繊維径が1~15μm、及び平均繊維長が20~300μmである請求項1または2に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
  4. さらに(E)カチオン触媒を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
  5. 前記(E)カチオン触媒が4級アンモニウム塩であり、該(E)成分の含有量が前記(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1~3質量部である請求項4に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
  6. 25℃の粘度が210~350Pa・sであり、かつ150℃の粘度が10~50Pa・sである請求項1~5のいずれか1項に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のロータワイヤー保護用樹脂組成物でワイヤー表面部分を硬化被覆してなるロータ。
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