JP7005077B1 - と畜解体方法 - Google Patents
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Abstract
Description
又、下記の特許文献2には、家畜の導入から、スタニング処理、不動体化処理、真空採血処理、排出までの一連の処理を自動化した施設が開示されている。
このようなスポットが発生すると枝肉の商品価値が大きく損なわれ、出荷者に対して一定の補償が求められることから、スポット発生率の改善(低減)は、食肉処理業界においての大きな問題となっている。
本発明者等は種々検討を行った結果、スタニング後の一次放血工程において、後肢を吊り上げた状態の牛の喉を切開し、その後、これまでに広く知られている刃渡り18cmのナイフよりも小さな刃渡り13cm以下の小型のナイフを用いて、心臓から2cm以内の位置の、血管が枝分かれする手前(心臓側)の腕頭動脈を切断すると、多量の血液を放血させることができ、スポット発生率が1%未満にまで低減することを見出して、本発明を完成した。
本発明では、スタニングを行うことにより意識が無い状態となった牛をノッキングペンから搬出し、シャックルで速やかに後肢を吊り上げた後に、喉を切開し、胸腺を取り除いた後、腕頭動脈の位置を探り、刃渡りが13cm以下、好ましくは10cm以下、特に好ましくは7~10cmのナイフを用いて、図1に示される、心臓1から出ている腕頭動脈2で左右鎖骨下動脈4,5に分岐する箇所までの範囲(一般的に3~5cm程度の長さの腕頭動脈部分)のうち、心臓1から2cm以内の範囲(図1においてAで示される範囲)の腕頭動脈2を切断することにより一次放血を行う。
牛の心臓の場合、大動脈弓から分枝した腕頭動脈が心臓から出た構造であるので、本発明の方法における血管(腕頭動脈)の切断位置は、大動脈弓から腕頭動脈が分枝した位置から、左鎖骨下動脈側に2cm以内の範囲内であるということができる。
本発明において、腕頭動脈の切断位置が上記に限定されるのは、心臓を傷つけることなく、素早い放血を達成するためであり、後述の実施例に示されるように、心臓から2cm以内の位置の腕頭動脈を切断した場合のスポット発生率は、心臓から3~5cmの位置を切断した場合のスポット発生率よりも小さい。
本発明では、心臓と左鎖骨下動脈の間の腕頭動脈に左手中指等の指をひっ掛けて少し腕頭動脈を引っ張りながら、血管が枝分かれする手前の位置(心臓から2cm以内の範囲)の腕頭動脈を切断する。この手法により、目視不可能な畜牛の体内を手探りで行う作業でありながら、ほぼ確実に心臓から2cm以内を切断することができる。
頸動脈を切断した後に前肢を持ち上げるのは、一次放血において切断した動脈でも脂肪等により物理的に血管がふさがり放血されにくくなる場合があるからであり、前肢を持ち上げることで、ポンプ機能が働いてより放血されやすくなり、短時間での大量の放血を達成することができる。
本発明では、先に行われる一次放血において、心臓から2cm以内の腕頭動脈を切断するので、二次放血では腕頭動脈を的確に切断できていない場合の担保として、すでに切断されているはずの腕頭動脈の右鎖骨下動脈のみを切断する。二次放血において右鎖骨下動脈のみを切断する理由は、二次放血以降の除角工程で心臓が停止するので、それまでは心臓のポンプ機能による静脈を通して血液が心臓に戻ることを妨げないようにするためであり、心臓に傷をつけないよう、心臓に近い左鎖骨下動脈はあえて切断しない。
尚、上記の二次放血においては、右鎖骨下動脈を切断した後、胸腔内の空間を大きくするために気管を引き上げ、気管から食道を剥離し、前肢を持ち上げて放血を促進する。
本発明の切断具は、図2に示されるような、柄と刃からなる鎌状の外観を有しており、内側に付いた刃と柄のなす角度は直角ないし鋭角となっている。そして、この切断具の全長が16~20cmであり、18cmであることが好ましい。又、本発明の切断具における、内側に付いた刃の刃渡り(柄に対して直角ないし鋭角である刃部分の長さ)は2.5~3.5cmであり、3cmであることが好ましい。
牛を解体するのに用いられる本発明の切断具は、牛の血管を切断するのに適しており、特に左鎖骨下動脈を切断するのに適している。
以下に、本発明の実施例を示すが、これらのデータはいずれも、京都市中央食肉市場にて検証されたものである。
従来法(2020年3月~8月実施)としては、吊下げ放血方式にて刃渡りが18cmのナイフを用い、心臓から3~5cm離れた位置の腕頭動脈を切断し(スタニングから腕頭動脈を切断するまでの時間:50秒以上)、その後、剥皮を行い、洗浄し、頭部切除、内臓摘出した後に、背割りを行った。
背割り後のカット面を目視により観察し、スポット発生の有無を判定した。その結果、5,001頭中65頭においてスポットの発生が認められ、スポット発生率は1.299%であった。
本発明の方法(2020年9月~2021年2月実施)としては、吊下げ放血方式にて刃渡りが10cmのナイフを用い、心臓から2cm以内の位置の腕頭動脈を切断し、スタニングから腕頭動脈を切断するまで50秒以内に実施した。そして、従来法の場合と同様にして、剥皮、洗浄を行い、頭部切除、内臓摘出した後に、背割りを行った。
背割り後のカット面を目視により観察して、スポット発生の有無を判定した結果、6,162頭中67頭においてスポットの発生が認められ、スポット発生率は1.087%であった。
本発明の方法(2021年4月~2021年8月実施)としては、吊下げ放血方式にて刃渡りが10cmのナイフを用い、心臓から2cm以内の位置の腕頭動脈を切断し、スタニングから腕頭動脈を切断するまで50秒以内に実施し、しかも、腕頭動脈を切断した後、頭部を残した状態で左右頸動脈及び左右頸静脈を切断し、その後、前肢を持ち上げて放血を促進させ、右鎖骨下動脈のみを切断する二次放血を行い、更に食道を結紮し、前肢を持ち上げて放血を促進し、図2に示される外観を有した鎌状の切断具(全長18cm、刃渡り3cm)を用いて左鎖骨下動脈を切断した。
そして、従来法の場合と同様にして、剥皮、洗浄を行い、頭部切除、内臓摘出した後に、背割りを行った。背割り後のカット面を目視により観察して、スポット発生の有無を判定した結果、5,231頭中35頭においてスポットの発生が認められ、スポット発生率は0.669%であった。
1 心臓
2 腕頭動脈
3 左頸動脈
4 左鎖骨下動脈
5 右鎖骨下動脈
6 大動脈
Claims (6)
- 牛を吊り下げた状態で放血を行う吊り下げ放血方式により牛を解体する方法であって、スタニングを行った後の放血工程において、後肢を吊り上げ、喉を切開し、刃渡りが13cm以下のナイフを用いて、心臓から2cm以内の位置にある、血管が枝分かれする手前の腕頭動脈を切断して一次放血を行うことを特徴とする、と畜解体方法。
- スタニングを行った後、前記腕頭動脈を切断するまでの時間が50秒以内であることを特徴とする請求項1に記載の、と畜解体方法。
- 前記一次放血において腕頭動脈を切断した後、頭部を残した状態で左右頸動脈及び左右頸静脈を切断し、その後、前肢を持ち上げて放血を促進させることを特徴とする請求項1又は2に記載の、と畜解体方法。
- 前記一次放血を行った後に、左鎖骨下動脈を残して右鎖骨下動脈を切断する二次放血を行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の、と畜解体方法。
- 前記二次放血を行った後に、食道を結紮し、前肢を持ち上げて放血を促進し、内側に刃が付いて、柄と刃のなす角度が直角ないし鋭角である鎌状の切断具を用いて左鎖骨下動脈を切断することを特徴とする請求項4に記載の、と畜解体方法。
- 前記切断具が、柄と刃からなる鎌状の外観を有しており、内側に付いた刃と柄のなす角度が直角ないし鋭角であること、前記切断具の全長が16~20cmであり、刃渡りが2.5~3.5cmであることを特徴とする、請求項5に記載の、と畜解体方法。
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN1682597A (zh) * | 2004-04-16 | 2005-10-19 | 湖南谊信创汇农业实业有限公司 | 一种冷却肉的加工方法 |
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Non-Patent Citations (2)
Title |
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輸出用食肉処理技術等マニュアル作成委員会, 牛のと畜・解体技術の改善について, JPN7021004758, 25 February 2021 (2021-02-25), JP, ISSN: 0004636605 * |
輸出用食肉処理技術等マニュアル作成委員会,牛のと畜・解体技術の改善について,日本,(公財)日本食肉生産技術開発センター,2021年02月25日,インターネット<URL:https://www.jamti.jp/topics/view/216> |
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